説明

ナビゲーション装置及び受信装置

【課題】車両を使用して外出した場合に適切なタイミングでホームオートメーション機器の動作指示ができるシステムを提供する。
【解決手段】自車位置を検出する自車位置検出手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、予め定められた登録地点を目的地とし、前記自車位置検出手段により検出された自車位置が該登録地点に接近したときに、所定の機器の動作を開始させる動作開始信号を無線機を介して送信する送信手段とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自宅等に設置された各種機器の動作が指示できるナビゲーション装置と受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外出先から電話を用いて自宅の各種機器を遠隔制御できるホームオートメーション機器と言われるシステムが普及してきた。例えば、エアコンディショナのようなホームオートメーション機器では、外出先から帰宅したときに丁度部屋が適温になっているように、帰宅前の適切なタイミングで電話をかけ、ホームオートメーション機器の動作を開始させておくといった使われ方が行われる。
【0003】
図3は従来のホームオートメーション機器の作動方法を説明するためのブロック図である。以下、図に従って説明する。
外出先から自宅に設置されたホームオートメーション機器92を動作させたり、動作を停止させたりするには、自宅に到着する時刻を予測して、その所定時間前に電話機(送信機)81等を操作して作動信号や停止信号を送信していた。一方、自宅ではその信号を電話機(受信機)91により受信して、その信号に応じて受信機91に接続されたホームオートメーション機器92を動作させたり、動作を停止させたりしていた。
【特許文献1】特開平08−317475号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法では、利用者が外出先から所定の時刻にホームオートメーション機器を作動させるように指示しなければならない。また、車両等を使用して外出した場合には、運転に集中しているためにホームオートメーション機器の作動指示を忘れやすく、また指示操作のために車両を停止させる必要があったりして面倒なものであった。さらに、帰宅途中で渋滞等により到着(帰宅)時刻が大幅に遅れることが多々ある。そのため、一旦動作させたホームオートメーション機器が最適な状態を過ぎたり、また、無駄な運転を行うという問題がある。
【0005】
本発明は、車両を使用して外出した場合に適切なタイミングでホームオートメーション機器の動作指示ができるシステムを提供することを目的とする。また、その際、帰宅途中で渋滞等により到着時刻が変動しても自動的にホームオートメーション機器が所望のタイミングで一時停止、再動作できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、自車位置を検出する自車位置検出手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、予め定められた登録地点を目的地とし、前記自車位置検出手段により検出された自車位置が該登録地点に接近したときに、所定の機器の動作を開始させる動作開始信号を無線機を介して送信する送信手段とを有することを特徴とするものである。また、予め定められた登録地点は自宅位置であり、前記所望の機器は自宅に設置された機器であることを特徴とするものである。
【0007】
自車位置を検出する自車位置検出手段と、前記自車位置検出手段で検出された自車位置に応じて所定の機器の動作を開始させる動作開始信号を無線機を介して送信する送信手段を有するナビゲーション装置であって、前記送信手段は、複数の機器に対応して定まる複数範囲と自車位置に基づき、自車の位置する範囲に対応する機器の開始信号を送信することを特徴とするものである。
【0008】
予め定められた登録地点を目的地設定手段により設定された目的地とし、自車位置検出手段により検出された自車位置が該登録地点に接近したときに送信された所定機器の動作開始信号を受信することができることを特徴とするものである。
【0009】
複数の機器に対応して定まる複数範囲と自車位置検出手段により検出された自車位置に基づいて、自車が位置する範囲に応じて送信される所定の機器の動作を開始させる動作開始信号を受信することができることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明では車両を使用した外出中においても、適切なタイミングでホームオートメーション機器の動作指示ができ、また、渋滞等その後の状況変化にも対応できるシステムが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の一実施例のナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。また、図2は本発明の一実施例のナビゲーションシステムの制御部の行う処理を示すフローチャートである。以下、図に従って説明する。 11は車両1側に設置されホームオートメーション機器22に無線電話機(送信機)12を介して信号を送出するナビゲーションシステムで、目的地までの経路を所定の条件で探索して地図上に表示し経路案内を行うものである。そして、無線送信機12はナビゲーションシステム11にコネクタにより着脱自在に接続され、取外せば所謂携帯電話機として使用できるようになっている。尚、ナビゲーションシステム11はGPSシステムや、車速センサ、方位センサ等により自車の位置を検出する自立航行システム等からなる位置検出部111、地図情報が記録されたCD−ROMの読取装置(CD−ROMドライブ)等からなる地図データベース112、位置検出部111及び対応する地図データベース112の地図情報に基いて自車の位置を特定する処理、表示処理等を行うマイクロコンピュータ等の制御部113、地図情報を表示する液晶表示器等からなる表示部114及びホームオートメーション機器22の指示内容等を記憶したメモリ115で構成される。尚、メモリ115に記載されるホームオートメーション機器22の指示内容は操作スイッチ等により、更新、設定できるようになっている。
【0012】
自宅2にはナビゲーションシステム11からの信号を受信する家庭用電話機(受信機)21と受信信号により動作、又は動作停止するエアコンディショナ(エアコン)等のホームオートメーション機器22が設置されている。そして、電話機21とホームオートメーション機器22はコネクタ等を介して接続されており、ナビゲーションシステム11からの信号が電話回線を介してオートメーションオートメーション機器22に入力されるようになっている。ホームオートメーション機器22は、その電話回線を介して入力された制御信号に応じて動作する。
【0013】
先ず、ナビゲーションシステム11の動作について説明する。位置検出部111により検出した自車の位置データは制御部113に送られる。制御部113は自車の位置に対応する地図データを地図データベース112から読み出し、当該地図と地図上における自車位置を示す自車マークを表示部114上に表示する。そして、制御部113が経路探索を行う場合には、現在地から目的地までを所定の条件に従って(例えば、最短距離になるように)経路探索を行い、探索した経路を表示部114の地図上に表示して経路案内を行う。この処理は通常のナビゲーションシステムによる経路案内と同じである。
【0014】
次に制御部113の行う処理について図2のフローチャートを用いて説明する。尚、本処理はナビゲーションシステムが起動した(電源が入った)時点から開始し、他の処理と共に繰り返し行われる。ステップS11では、ホームオートメーション機器22が作動中か否かを判断して作動中ならばステップS31に移り、作動中でなければステップS12に移る。つまり、既にナビゲーションシステム11側から作動信号を受けてホームオートメーション機器22が作動状態にあるか、停止状態にあるかを判断するものである。
【0015】
ステップS12では、移動距離によりホームオートメーション機器22が作動状態から停止状態に変化したか否かを判断して作動状態から停止状態に変化したならばステップS21に移り、最初から停止状態にあればステップS13に移る。つまり、ホームオートメーション機器22が同じ停止状態にあっても、既に登録地点に接近して作動信号を受けた後、渋滞等により移動距離が少ないために停止信号を受けて停止している場合はステップS13〜ステップS17の処理では作動信号が再度送信されず、別の処理(ステップS21〜ステップS24の処理)を行う必要があるためである。
【0016】
ステップS13では、目的地が登録地と一致しているか否かを判断して一致しておればステップS14に移り、一致していなければ処理を終える。つまり、ナビゲーションシステム11側において車両の目的地が自宅等の登録地にセットされていない時は、例え自宅(登録地)に接近しても、偶然自宅の近くを通過するだけで自宅には帰らないのでホームオートメーション機器22を作動させないためである。尚、目的地が全くセットされていない場合には、ステップS15に移る方法と処理を終える方法の2通りが考えられるが、目的地が全くセットされていない場合で自宅付近に近づいている場合には自宅に向かっていることが多いので、この場合ステップS15に移る方が好ましい。
【0017】
ステップS14では、経路上にあるか否かを判断して経路上にあるとステップS15に移り、経路上になければ処理を終える。つまり、制御部113は予めナビゲーションシステム11により自宅までの走行経路を所定の条件で探索して、その走行経路を自車の現在位置と共に表示部114に表示しており、その走行経路上に自車があるか否かを判断する。走行経路上になければ自車が登録地点の近くに来ても、自宅等の登録地点に向かっていないと判断してホームオートメーション機器22を作動させない。この処理はたまたま自宅近辺を通った場合にホームオートメーション機器22が作動するのを防ぐためである。
【0018】
ステップS15では、登録地点に接近したか否かを判断して登録地点に接近したらステップS16に移り、登録地点に接近していなければ処理を終える。つまり、自車が予めメモリ115内に登録されている登録地点(ホームオートメーション機器の設置されている自宅等)に接近したか否かをナビゲーションシステム11で検出した自車位置と目的地(登録地)との距離あるいは、道路の制限速度、渋滞情報等を加味して得られる到着までの推定時間により判断する。ホームオートメーション機器22の動作を開始するタイミング(作動信号出力)は自車が登録地点(自宅)に到着する所定時間前であるので、この時間に対応する距離(地点)が算出されてメモリ115に記憶されている。尚、複数のホームオートメーション機器22が接続させている場合には、予め各機器毎に作動させたいタイミングに対応した自宅からの距離を記憶しておけばよい。
【0019】
ステップS16では、作動信号を出力してステップS17に移る。つまり、自宅に向かって所定の距離内に接近したので予め設定しておいたホームオートメーション機器22を作動させるために、制御部113は送信機(自動車電話)12を介して自宅の受信機(宅内電話)21に作動信号を出力する。受信機21は受信した作動信号をホームオートメーション機器22に伝達し作動させる。この処理により、ホームオートメーション機器22が丁度良いタイミングで作動し、自宅に到着した時には各機器が所望の状態になっているようにできる。
【0020】
ステップS17では、タイマをオンして処理を終える。つまり、自車が登録地点に接近して作動信号が出力されホームオートメーション機器22が動作状態になっているが、その後渋滞等で所定時間内に自宅(登録地点)に到達できない場合には、停止信号を出力して一旦作動しているホームオートメーション機器22を停止させる必要がある(ステップS34参照)ので、所定時間が経過したか否かを確認するためにタイマを動作(セット)させる。
【0021】
ステップS21では、平均車速を演算してステップS22に移る。つまり、渋滞のために通常の速度では走行できないので、現状の平均車速に基いて登録地点までの所要時間を算出する必要がある。平均車速は所定時間における車速センサの平均速度を使用してもよいし、またナビゲーションシステム11による一定時間での車両の移動距離から求めてもよい。
【0022】
ステップS22では、所要時間を推定してステップS23に移る。つまり、渋滞のために自宅までの所要時間が変わるので、現状の平均車速に基いて自宅までの所要時間を推定する。
ステップS23では、所要時間が所定時間以下か否かを判断して所定時間以下ならばステップS24に移り、所定時間を超えておれば処理を終える。つまり、渋滞等の道路状況を考慮して再度演算された所要時間が所定時間(例えば、エアコンならば自宅に到着する30分前に、また、炊飯器ならば自宅に到着する1時間前に作動するように設定されている)になったか否かを判断する。
【0023】
ステップS24では、作動信号を再出力して処理を終える。つまり、渋滞等の道路状況を考慮しても自宅に所定時間内に到達できるので、一旦停止しておいたホームオートメーション機器22を再度作動させるために、制御部113は送信機(自動車電話)12を介して自宅の受信機(宅内電話)21に作動信号を送出する。受信機21は受信した作動信号をホームオートメーション機器22に伝達し作動させる。この処理により、渋滞等で到着時間が遅れるので一旦停止しておいたホームオートメーション機器22を丁度良いタイミングで作動(再起動)できる。
【0024】
ステップS31では、登録地点に到達したか否かを判断して到達しなければステップS32に移り、到達すれば処理を終える。つまり、制御部113は位置検出部111により検出した自車位置が予め登録されている自宅の位置と一致しているか否かを判断する。
ステップS32では、タイマの経過時間が所定時間を超えているか否かを判断してタイマの経過時間が所定時間を超えているとステップS34に移り、タイマの経過時間が所定時間に達していなければステップS33に移る。つまり、作動信号を出力してホームオートメーション機器22を作動させた後、所定時間経過して到着予定時刻になっても渋滞等のために自宅に到着していない場合には、ホームオートメーション機器22を停止させる必要がある。そのために、制御部113はステップS17でセットしたタイマの経過時間に基いて判断する。
【0025】
ステップS33では、所定時間での車の移動距離が所定距離よりも小さいか否かを判断して移動距離が所定距離よりも小さければステップS34に移り、移動距離が所定距離よりも大きければ処理を終える。つまり、制御部113は例えば5分間の車両の移動距離を2地点間の距離(L)として算出する。この移動距離(L)が予め設定された所定距離(例えば、一般道路では5分間で2km、高速道路では5分間で5km)よりも少なければ道路が渋滞していると判断する。尚、予め所定距離は平均的な道路状況における実績距離等を参考に決められる。
【0026】
ステップS34では、停止信号を出力して処理を終える。つまり、自宅(登録地点)に向かって所定の距離内に近づいたので予め設定しておいたホームオートメーション機器22を一旦作動させたが、その後道路が渋滞していて自宅に到達する時刻が予定よりも大幅に遅れそうであるので、ホームオートメーション機器22の作動を停止させる。制御部113は送信機(自動車電話)12を介して自宅の受信機(宅内電話)21に停止信号を送出する。受信機21は受信した停止信号をホームオートメーション機器22に伝達し停止させる。この処理により、ホームオートメーション機器22の無駄な運転が防止できる。
【0027】
以上のように本実施例では、車両を使用して外出した場合に適切なタイミングでホームオートメーション機器の動作指示ができる。その際、帰宅途中で渋滞等により到着時刻が変動した場合には、一旦、ホームオートメーション機器の動作を停止させ、再度現状にあった修正を加え、自動的に所望のタイミングで再起動できるナビゲーションシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例のナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例のナビゲーションシステムの制御部の行う処理を示すフローチャートである。
【図3】従来のホームオートメーション機器の作動方法を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0029】
11・・・・ナビゲーションシステム、 113・・・制御部、
111・・・位置検出部、 114・・・表示部、
112・・・地図データベース、 12・・・・送信機、
21・・・・受信機、 13・・・・メモリ、
22・・・・ホームオートメーション機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
予め定められた登録地点を目的地とし、前記自車位置検出手段により検出された自車位置が該登録地点に接近したときに、所定の機器の動作を開始させる動作開始信号を無線機を介して送信する送信手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記予め定められた登録地点は自宅位置であり、前記所望の機器は自宅に設置された機器であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
自車位置を検出する自車位置検出手段と、前記自車位置検出手段で検出された自車位置に応じて所定の機器の動作を開始させる動作開始信号を無線機を介して送信する送信手段を有するナビゲーション装置であって、
前記送信手段は、複数の機器に対応して定まる複数範囲と自車位置に基づき、自車の位置する範囲に対応する機器の開始信号を送信することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
予め定められた登録地点を目的地設定手段により設定された目的地とし、自車位置検出手段により検出された自車位置が該登録地点に接近したときに送信された所定機器の動作開始信号を受信することができることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
複数の機器に対応して定まる複数範囲と自車位置検出手段により検出された自車位置に基づいて、自車が位置する範囲に応じて送信される所定の機器の動作を開始させる動作開始信号を受信することができることを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−184282(P2006−184282A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367238(P2005−367238)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【分割の表示】特願平9−44075の分割
【原出願日】平成9年2月27日(1997.2.27)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】