説明

ナビゲーション装置

【課題】検出されている位置が誤っているかどうかを判断しやすくなるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイ110に表示される現在位置周辺の三次元地図画像は、通常、車両の進行方向に基づいて定まる視野方向の画像であるが、切替ボタン125を押した場合には、回転盤122を回転させることによって視野方向を変更できるようにする。これにより、ユーザが、ディスプレイ110に表示されている三次元地図画像と実際の景色とを比較して現在位置が誤検出されていると感じた場合に三次元地図画像の視野方向を変更でき、視野方向を変更すると、視野方向変更前には表示されなかった建物が表示される。その建物が実際に見えている景色の中にある場合、その建物との間の実際の位置関係と、三次元地図画像上におけるその建物と現在位置との位置関係を比較することにより、検出されている現在位置が誤っているかどうかを判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に、表示装置に三次元地図画像を表示することができるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置の表示装置に表示される地図画像は、二次元地図であることが一般的である。その二次元地図を実際の起伏に応じた曲面上に表すことができる装置も知られている(たとえば、特許文献1)。また、記憶装置の記憶容量の増大および処理装置の処理能力の向上により、市街地など、一部の地域の地図画像が三次元表示できる装置も市販されている。地図画像が三次元表示される場合、その画像の視野方向は、装置の進行方向(この装置が車両に搭載されている場合には車両の進行方向)の変化に連動して変化することになる。三次元的に地図画像が表示されると、その地図画像が実際に見えている景色に近いものになるので、より経路案内が分かりやすいものになるなどの利点がある。
【0003】
ところで、ナビゲーション装置は現在位置を逐次検出する機能を備えているが、ナビゲーション装置が検出する現在位置が誤っていることがある。位置の誤検出は、隣の道路が近い場合に生じやすい。検出された現在位置が異なっている場合、経路案内が不適切なものとなってしまう。
【特許文献1】特開2002−56400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
三次元地図画像が表示されるナビゲーション装置の場合、その三次元地図画像と、実際に見える景色とが大きく異なっていることによって、現在位置が誤検出されていることをユーザが認識できる場合もある。しかし、三次元地図画像であっても、実際に見える景色と全く同じ画像が表示されるのではなく、特徴的な建物が表示されるだけである。そのため、現在位置が誤検出されている場合において、三次元地図画像と実際に見える景色とを比較しても、ユーザは、現在位置が誤検出されているかもしれないと思う程度であり、その比較から確実に位置が誤検出されているかどうかを判断することができない場合が多い。
【0005】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、検出されている位置が誤っているかどうかを判断しやすくなるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、表示装置に現在位置周辺の三次元地図画像が表示され、その三次元地図画像の視野方向が進行方向の変化に連動して変化するナビゲーション装置であって、前記視野方向をユーザが変更するために操作する方向変更入力装置を備えていることを特徴とする。
【0007】
このようにすれば、方向変更入力装置を操作することにより、進行方向とは関係なく、ユーザの意思により三次元地図画像の視野方向を変更することができる。そのため、ユーザが、表示装置に表示されている三次元地図画像と実際の景色とを比較して現在位置が誤検出されていると感じた場合に、三次元地図画像の視野方向を変更することができる。視野方向を変更すると、視野方向変更前には表示されなかった建物が表示されるので、その建物が実際に見えている景色の中にある場合には、その建物との間の実際の位置関係と、三次元地図上におけるその建物と現在位置との位置関係を比較することにより、検出されている現在位置が誤っているかどうかを判断することができる。
【0008】
また、方向変更入力装置が操作されることによって変更された視野方向は、請求項2記載のように自動的に、または、請求項3記載のようにユーザ操作に基づいて、元の方向に復帰するようになっていることが好ましい。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記方向変更入力装置の操作に基づいて変更された視野方向を、所定時間経過後に進行方向に基づいて定まる視野方向に戻す視野方向復帰手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
方向変更入力装置を用いて三次元地図画像の視野方向を変更した後に経路案内を再開するためには、三次元地図画像を進行方向に基づいて定まる視野方向の画像に戻す必要があるが、請求項2記載の発明では、所定時間経過後に自動的にその方向の画像に復帰するので、経路案内を円滑に再開させることができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記方向変更入力装置の操作に基づいて変更された視野方向を、進行方向に基づいて定まる視野方向に戻す視野方向復帰ボタンを備えていることを特徴とする。
【0012】
このように、ユーザ操作によって視野方向を復帰させるようにすれば、現在位置の確認が終了した時点で、即座に元の視野方向の三次元地図画像に戻すことができる。
【0013】
また、請求項4記載のように、地図上における現在位置をユーザが指定するために操作される現在位置指定ボタンと、その現在位置修正ボタンが操作されることによって指定された位置に現在位置を修正する現在位置修正手段とをさらに備えている場合に、特に方向変更入力装置を備える効果が大きい。
【0014】
三次元地図画像の視野方向を変更すると、単に検出された現在位置が誤っているかどうかだけでなく、正しい現在位置を知ることもできる場合が多い。そのため、請求項4のように、ユーザ操作に基づいて現在位置を修正することができるようになっている場合には、現在位置を、三次元地図画像の視野方向を変更することによって知ることができた正しい位置に修正することができる。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、前記方向変更入力装置は、ユーザの操作によって所定の軸心周りに回転させられる回転体と、その回転体の回転を検出して、回転量を表す信号を出力する回転信号出力部とを備えていることを特徴とする。
【0016】
このように、回転体を回転させることにより三次元地図画像の視野方向を変更するようにすれば、視野方向の変更操作が容易に行える。
【0017】
請求項5記載のように、回転体を操作することによって視野方向を変更することができるようになっている場合、請求項6のようにすることが好ましい。
【0018】
その請求項6記載の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、前記回転量検出センサによって検出された回転量と前記三次元地図画像の視野方向の角度変更量との間の対応関係を記憶した対応関係記憶装置と、前記対応関係記憶装置に記憶されている対応関係を変更するためにユーザによって操作される対応関係変更ボタンとをさらに備えていることを特徴とする。
【0019】
このように、回転体の回転量と視野方向の角度変更量との間の対応関係をユーザが変更できるようにすれば、少しの回転量で視野方向を大きく変更できるようにしたり、逆に、回転体の回転量に対して視野方向の角度変更量を少なくしたりすることができる。前者の場合、回転体の操作量を少なくすることができる。一方、後者の場合、視野方向の微調整が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用された車載ナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。車載ナビゲーション装置100は、位置検出器101、地図データ入力器106、操作スイッチ群107、メモリ109、ディスプレイ110、無線通信装置111、音声コントローラ112、スピーカ113、音声認識装置114、マイク115、リモコンセンサ116、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称する)117、方向変更入力装置120と、これら各装置が接続された制御装置108とを備えている。
【0021】
制御装置108は、通常のコンピュータであり、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するためのバスラインを備えている。ROMには、制御装置108が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0022】
位置検出器101は、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ102、車両の相対方位を検出するためのジャイロスコープ103、車両の走行距離を検出する距離センサ104、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機105を有している。これらのセンサ等102、103、104、105は、いずれも周知のものである。これらのセンサ等102、103、104、105は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサ等102、103、104、105により各々を補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部で位置検出器101を構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0023】
地図データ入力器106は、内部に着脱可能に、または、固定的に装着される記憶媒体からデジタル地図データを読み取って、制御装置108へ入力する。デジタル地図データは、道路データ、背景データ、文字データおよび施設データなどのデータからなるものであり、本実施形態の地図データには、一部の市街地についての三次元地図データが含まれている。
【0024】
操作スイッチ群107は、ディスプレイ110と一体になったタッチスイッチもしくはディスプレイ110の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなる。リモコン117には、図示しない複数の操作スイッチが設けられ、その操作スイッチの操作により操作スイッチ群107と同様の入力操作が行える。リモコン117に入力された入力操作を表す信号は、リモコンセンサ116を介して制御装置108へ供給される。
【0025】
メモリ109は、たとえば、メモリカードやハードディスク等の書き込み可能な記憶媒体である。このメモリ109には、ユーザによって設定された自宅位置や、テキストデータ、画像データ、音声データ等の各種データが記憶される。また、このメモリ109は、対応関係記憶装置として機能しており、後述する回転盤122の回転量と三次元地図画像の視野方向の角度変更量との間の対応関係も記憶されている。
【0026】
ディスプレイ110は表示装置として機能するものであり、たとえば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイによって構成される。このディスプレイ110には、所定の地図表示領域には自車周辺の道路地図画像が表示される。道路地図画像は、自車位置が所定の市街地など、三次元地図データが存在する場合には三次元画像として表示される。ただし、三次元画像が表示可能な場所であっても、ユーザの切替操作により、二次元地図画像に変更することもできる。また、ディスプレイ110には、その他に、現在時刻、渋滞情報などの他の情報表示を付加的に表示することもできる。
【0027】
無線通信装置111は、外部と無線通信するための装置であり、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介してVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)センサと接続可能であり、また、公衆通信回線網にも接続可能である。VICSセンサは、VICSセンタから提供される道路交通情報、気象情報、日付情報、施設情報、広告情報を受信するものであるので、これらの情報がVICSセンサを介して無線通信装置111に受信される。無線通信装置111は受信した情報を制御装置108へ送信する。また、上記制御装置108で処理した情報を無線通信装置111から出力することもできる。
【0028】
スピーカ113は、音声コントローラ112から入力された音声出力信号に基づき種々のメッセージを外部に出力する。このスピーカ113から出力されるメッセージとしては、経路案内のためのメッセージ、注意喚起メッセージ、画面操作説明のためのメッセージ、音声認識結果を表すメッセージなどがある。
【0029】
マイク115は、操作者が発声した音声を電気信号として音声認識装置114に入力する。音声認識装置114は、マイク115から入力された操作者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対照パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ112に入力する。
【0030】
音声コントローラ112は、音声認識装置114を制御するとともに、音声入力のあった操作者に対し、スピーカ113を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、音声認識装置114の認識結果を制御装置108に入力する処理も行う。
【0031】
方向変更入力装置120は、オフセット電圧生成回路121、回転盤122、回転信号出力部123、第1機能ボタン124、切替ボタン125、および第2機能ボタン126を備えている。
【0032】
オフセット電圧生成回路121は所定のオフセット電圧を生成する。回転体である回転盤122は、ユーザによって時計回りおよび反時計回りに回転可能させられるものである。回転信号出力部123は、オフセット電圧生成回路121から供給されたオフセット電圧に基づいて、回転盤122の回転量を表す回転信号を制御装置108へ出力するものである。本実施形態では、この回転信号出力部123は、回転盤122とともに回転させられる回転部を有するロータリスイッチであり、回転盤122が1度回転させられるごとに、回転盤122の回転方向および回転盤122が1度回転させられたことを示す信号を出力するものとする。
【0033】
切替ボタン125は、操作されるごとに後述する自動視野方向制御状態とマニュアル操作状態とを切り替えるための切替信号を制御装置108へ出力する。
【0034】
第1機能ボタン124、第2機能ボタン126は、それぞれ、予め設定された付加機能を実行する際にユーザによって操作されるボタンである。この付加機能としては、たとえば、メモリ109に記憶されている回転盤122の回転量と三次元地図画像の視野方向の角度変更量との間の対応関係の修正開始を指示する機能がある。
【0035】
上記機能は、第1機能ボタン124および第2機能ボタン126のいずれに設定されていてもよく、この機能が設定されている側のボタン(たとえば第1機能ボタン124)が対応関係変更ボタンに相当する。その対応関係変更ボタンに相当する側のボタンが押されると、ディスプレイ110に、回転盤122を1度回転させたときの視野方向の変更角度を示す画面が表示される。そして、ユーザは、回転盤122を回転させることにディスプレイ110に表示された数値を1度から45度の範囲で変更できる。なお、初期設定では、回転盤122の回転角度と視野方向の変更角度が一致する設定となっている。
【0036】
また、第1、第2機能ボタン124、126には、さらに別の付加機能を設定することができる。別の付加機能としては、パワーウィンドウの開閉、ルームミラーの向き調整、オーディオの選曲、DVDのチャプター変更、音量調整、ルームランプの光量調整、フロントおよび/またはリアワイパーの速度調整などがある。
【0037】
図2は、上記方向変更入力装置120の外観を示す斜視図である。回転盤122は円環板状であり、ユーザによって操作される操作面となる上面には、回転盤122の中心を対称点として互いに対称となる位置に、2つの操作凹部122aが形成されている。ユーザは、この操作凹部122aに指を入れて回転盤122を図矢印で示すように、時計回りおよび反時計回りに回転させることができる。
【0038】
回転盤122の径方向内側には、回転盤122の内周面に接し、且つ、上面が回転盤122から僅かに突き出す円盤状の固定盤127が固定されている。その固定盤127の上面の中心に円盤状の切替ボタン125が配置されている。第1、第2機能ボタン124、126は、固定盤127上において切替ボタン125を対称点として互いに対称位置に配置されている。
【0039】
図1の制御装置108は、音声認識装置114からの情報に基づき、操作者の発声に対する所定の処理および操作スイッチ群107あるいはリモコン117の入力操作に対する所定の処理(たとえば、メモリ109への地図データの記憶処理、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)を実行する。また、制御装置108で処理された経路案内メッセージ等は、音声コントローラ112を介してスピーカ113から適宜報知される。
【0040】
制御装置108の上記表示画面変更処理には、地図画像表示処理が含まれる。この地図画像表示処理は、位置検出器101によって検出された自車の現在位置に基づいて、自車位置周辺の地図データを地図データ入力器106から読み出して、ディスプレイ110の所定の地図表示領域に表示する処理である。読み出した地図データは、位置検出器101からの信号に基づいて進行方向を判断して、その進行方向がディスプレイ110上側となるように表示する。自車の進行方向の判断は、たとえば、ジャイロスコープ103からの信号に基づいて判断してもよいし、車両の現在位置の変化に基づいて判断してもよい。
【0041】
進行方向がディスプレイ110上側となるように表示するのは、二次元地図画像の場合も三次元地図画像の場合も同様である。従って、三次元地図画像の場合、右左折などの車両の旋回によって、その三次元地図画像の視野方向が自動的に変化する。以下、この三次元地図画像の視野方向を車両進行方向に連動して変化させる制御を自動視野方向制御という。
【0042】
ただし、この自動視野方向制御は、方向変更入力装置120に備えられている切替ボタン125を操作することにより、ユーザが実行/停止を切り替えることができる。そして、その切替ボタン125を操作して自動視野方向制御を停止させた場合には、方向変更入力装置120を操作することによって、三次元地図画像の視野方向をユーザが変更することができるマニュアル操作状態となる。
【0043】
図3は、制御装置108において、自動視野方向制御とマニュアル操作とを切り替える処理を示すフローチャートである。この図3に示す処理は、ディスプレイ110に三次元地図画像が表示されているときに、所定の短周期で繰り返し実行するようになっている。
【0044】
まず、ステップS10では切替信号を受け付ける。そして、ステップS20では、切替信号が入力されたか否か、すなわち、切替ボタン125が押されたか否かを判断する。ステップS10で切替信号を受け付けたが、切替ボタン125が押されなかったために切替信号が入力されなかった場合には、ステップS20が否定判断となって、ステップS10へ戻る。
【0045】
一方、ステップS20が肯定判断となった場合にはステップS30へ進む。ステップS30では自動視野方向制御を停止させ、続くステップS40では、マニュアル操作を受け付ける。
【0046】
続くステップS50では、回転盤122が回転させられたか否かを、回転信号出力部123から回転信号に基づいて判断する。この判断が肯定判断である場合には、ステップS60において、回転盤122の回転方向へ三次元地図画像を1度旋回させると決定する。
【0047】
ステップS70では、一秒間旋回角度を蓄積した後、一秒間に蓄積した合計の旋回角度だけ三次元地図画像を旋回させた画像を作成して、それをディスプレイ110に出力する。ステップS70の実行後は、ステップS40へ戻るようになっており、ステップS70における一秒間の計時開始は、初回のステップS70の実行、または、三次元地図画像を更新した後、最初にステップS70を実行した時点である。
【0048】
その計測開始時点から一秒間が経過していない場合には、旋回角度に1度を加えるのみで、三次元地図画像は更新せずにステップS40へ戻る。このようにすることにより、三次元地図画像の更新は一秒毎に行われることになる。そのため、三次元地図画像が非常に短時間で次々と更新されてしまうことによってユーザに与える不快感を防止できるとともに、更新後の三次元地図画像を作成するための演算処理負荷を軽減することができる。なお、本実施形態では、旋回角度の蓄積時間は一秒間となっているが、それ以外の時間に設定されてもよい。
【0049】
ステップS50が否定判断である場合には、ステップS80において機能ボタン124、126が押されたか否かをさらに判断する。この判断が肯定判断である場合には、ステップS90へ進んで、押された機能ボタン124、126に対して設定されている所定の付加機能を実行した後、ステップS40へ戻る。
【0050】
ステップS80が否定判断である場合には、ステップS100において切替ボタン125が押されたか否かを判断する。この判断が否定判断である場合には、ステップS110において、三次元地図画像を更新した後、所定の復帰時間(たとえば5秒間)が経過したか否かをさらに判断する。このステップS110が否定判断である場合にも、前述のステップS40に戻り、マニュアル操作状態を継続する。
【0051】
一方、ステップS100が肯定判断である場合、すなわち、切替ボタン125が押された場合にはステップS120へ進む。ステップS120ではマニュアル操作を停止し、続くステップS130では自動視野方向制御を再開する。自動視野方向制御が再開されると、ディスプレイ110に表示されている三次元地図画像の視野方向が、車両の進行方向に基づいて定まる方向に戻る。従って、切替ボタン125は、三次元地図画像の視野方向を戻す視野方向復帰ボタンとしても機能する。
【0052】
また、ステップS110が肯定判断である場合、すなわち、切替ボタン125は押されていないが、回転盤122が上記所定時間の間、回転させられなかった場合にも、ステップS120以降を実行する。そのため、切替ボタン125は押されていないが、回転盤122が上記所定時間の間、回転させられなかった場合にも、自動視野方向制御が再開されて、ディスプレイ110に表示されている三次元地図画像の視野方向が、車両の進行方向に基づいて定まる方向に戻る。上記ステップS110乃至S130の処理が視野方向復帰手段に相当する。
【0053】
次に、三次元地図画像をマニュアル操作によって旋回させることによって、位置検出器101によって検出されている自車位置が正しいかどうかを確認することができる理由について説明する。
【0054】
図4は、ディスプレイ110に表示される三次元地図画像の一例である。この三次元地図画像において、130は自車位置マークであり、132は目的地までの経路を示す経路線である。この三次元地図画像が実際の景色と対応していないと感じた場合、ユーザは、切替ボタン125を押してマニュアル操作状態とした後、回転盤122を回転させて三次元地図画像を旋回させることになる。
【0055】
図4の例からも分かるように、三次元地図画像は、車両幅方向の表示距離がそれほど広くないが、マニュアル操作で三次元地図画像を旋回させてみることにより、車両側方にある建物も三次元地図画像に表示されるようになる。三次元地図画像をマニュアル操作によって旋回させてみた結果、実際の景色の中に見える建物が三次元地図画像に表示されるようになれば、三次元地図画像内におけるその建物の位置から、車両の正しい現在位置を知ることができる。
【0056】
これを、図5を用いてさらに具体的に説明する。図5(a)、(b)はそれぞれ二次元地図であり、140は自車位置マーク、A、B、Cは建物である。また、Dは視野方向であり、ディスプレイ110に表示される三次元地図画像は、図5(a)、(b)の二次元地図を視点Pから鳥瞰した画像となるが、三次元地図画像の車幅方向の表示範囲は狭いので、三次元地図画像に表示される範囲は、図5(a)、(b)に示す矢印の範囲である。
【0057】
位置検出器101による自車位置の検出が誤っており、実際には142で示す位置を走行している場合、図5(a)から分かるように、実際の景色には建物C(たとえばコンビニエンスストア)が見えるが、ディスプレイ110の三次元地図画像には、建物Cが表示されない。
【0058】
ここで、ユーザが方向変更入力装置120を操作して、三次元地図画像を旋回させると、図5(b)に示されるように表示範囲に建物Cが入るようになる。そのため、ユーザは、実際に走行している道路は、三次元地図画像において自車位置マーク132が重畳表示されている道路ではなく、その隣の道路であるということが分かる。
【0059】
このように位置検出器101によって検出された位置が誤っていると分かった場合、ユーザは、操作スイッチ群107またはリモコン117を操作して自車位置を修正することができる。
【0060】
具体的には、制御手段108は現在位置修正手段としても機能し、所定の自車位置修正開始スイッチを押すと、制御装置108において現在位置修正処理が開始される。まず、上記スイッチが押されると、位置検出器101によって検出されている自車位置を中心とする二次元地図が自車位置マークとともにディスプレイ110に表示される。そして、たとえば十字ボタンなど、操作スイッチ群107またはリモコン117の所定の方向移動ボタンを操作すると、自車位置マークが二次元地図に対して相対移動するので、自車位置マークを実際の自車位置へ移動させることができる。このように、方向移動ボタンによって自車位置を指定できるので、方向移動ボタンを含んでいる操作スイッチ群107またはリモコン117が現在位置指定ボタンに相当する。
【0061】
この方向移動ボタンの操作によって、自車位置マークを実際に自車がいる場所へ移動させた後、決定キーを押すと、自車位置が正しい位置へ修正される。
【0062】
以上、説明した本実施形態によれば、方向変更入力装置120を操作することにより、車両進行方向とは関係なく、ユーザの意思により三次元地図画像の視野方向を変更することができる。ユーザが、ディスプレイ110に表示されている三次元地図画像と実際の景色とを比較して現在位置が誤検出されていると感じた場合に、三次元地図画像の視野方向を変更すると、たとえば図5の建物Cのように、視野方向変更前には表示されなかった建物が表示されるので、その建物が実際に見えている景色の中にある場合には、その建物との間の実際の位置関係と、三次元地図画像上におけるその建物と現在位置との位置関係を比較することにより、検出されている現在位置が誤っているかどうかを判断することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0064】
たとえば、前述の実施形態では、ユーザが自車の正しい位置を地図上で指定することによって、自車位置を修正するようになっていたが、所定の自車位置再検出ボタンが操作されることによって、自車位置を再検出するようになっていてもよい。この場合、その自車位置再検出ボタンが操作されたことに基づいて、GPS受信機105を介してGPS衛星からの信号を再度取得し、その信号に基づいて自車位置を再決定する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明が適用された車載ナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】方向変更入力装置120の外観を示す斜視図である。
【図3】制御装置108において、自動視野方向制御とマニュアル操作とを切り替える処理を示すフローチャートである。
【図4】ディスプレイ110に表示される三次元地図画像の一例である。
【図5】三次元地図画像を旋回させることによって、正しい自車位置が確認できることを説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
100:車載ナビゲーション装置、 101:位置検出器、 107:操作スイッチ群(現在位置修正ボタン)、 108:制御装置(現在位置修正手段)、 109:メモリ(対応関係記憶装置)、 110:ディスプレイ(表示装置)、 120:方向変更入力装置、 122:回転盤(回転体)、 123:回転信号出力部、 124:第1機能ボタン(対応関係変更ボタン)、 125:切替ボタン(視野方向復帰ボタン)、 S110乃至130:視野方向復帰手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に現在位置周辺の三次元地図画像が表示され、その三次元地図画像の視野方向が進行方向の変化に連動して変化するナビゲーション装置であって、
前記視野方向をユーザが変更するために操作する方向変更入力装置を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記方向変更入力装置の操作に基づいて変更された視野方向を、所定時間経過後に進行方向に基づいて定まる視野方向に戻す視野方向復帰手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記方向変更入力装置の操作に基づいて変更された視野方向を、進行方向に基づいて定まる視野方向に戻す視野方向復帰ボタンを備えていることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
地図上における現在位置をユーザが指定するために操作される現在位置指定ボタンと、
その現在位置修正ボタンが操作されることによって指定された位置に現在位置を修正する現在位置修正手段と
をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記方向変更入力装置は、
ユーザの操作によって所定の軸心周りに回転させられる回転体と、
その回転体の回転を検出して、回転量を表す信号を出力する回転信号出力部と
を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記回転量検出センサによって検出された回転量と前記三次元地図画像の視野方向の角度変更量との間の対応関係を記憶した対応関係記憶装置と、
前記対応関係記憶装置に記憶されている対応関係を変更するためにユーザによって操作される対応関係変更ボタンと
をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−271794(P2007−271794A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95612(P2006−95612)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】