説明

ナビゲーション装置

【課題】自車の走行する車線が特定できない場合であっても、自車が推奨車線を走行していないと判定できた場合には、自車をその推奨車線へ誘導するナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】目的地までのルートを案内するナビゲーション装置100は、ルートを案内する際に推奨する推奨車線を決定する推奨車線決定手段11と、自車Vが走行する車線を特定することなく自車Vが推奨車線を走行しているか否かを判定する推奨車線走行判定手段12と、推奨車線走行判定手段12により自車Vが推奨車線を走行していないと判定された場合に自車Vを推奨車線へ誘導する車線誘導手段13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までのルートを案内するナビゲーション装置に関し、特に、自車が推奨車線を走行していないと判定できた場合に自車をその推奨車線へ誘導するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上における自車の走行位置を良好に監視することができる車両周辺監視装置を備えた運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この車両周辺監視装置は、自車の所定位置に取り付けられたカメラにより、車線を区分する道路区分線を撮影し、撮影した画像上における道路区分線の配置から自車が走行する車線(以下、「現車線」とする。)を識別する。
【0004】
これにより、この車両周辺監視装置を備えた運転支援装置は、車両周辺監視装置が識別した車線に関する情報とGPS(Global Positioning System)を介して取得した自車の現在位置情報と地図データとに基づいて、ルートを案内する際に推奨する推奨車線に自車を誘導することができる。
【特許文献1】特開2006−300534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の運転支援装置は、現車線を特定した上で推奨車線と現車線とが一致するか否かを判定し、推奨車線と現車線とが一致しないと判定した場合に限り自車を推奨車線へ誘導しようとするが、現車線が特定できない場合の処理を準備していないため、現車線を特定できた場合にしか自車を推奨車線へ誘導できない。
【0006】
上述の点に鑑み、本発明は、自車の走行する車線が特定できない場合であっても、自車が推奨車線を走行していないと判定できた場合には、自車をその推奨車線へ誘導するナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るナビゲーション装置は、目的地までのルートを案内するナビゲーション装置であって、ルートを案内する際に推奨する推奨車線を決定する推奨車線決定手段と、自車が走行する車線を特定することなく自車が前記推奨車線を走行しているか否かを判定する推奨車線走行判定手段と、前記推奨車線走行判定手段により自車が前記推奨車線を走行していないと判定された場合に車両を前記推奨車線へ誘導する車線誘導手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第二の発明は、第一の発明に係るナビゲーション装置であって、自車が端車線を走行しているか否かを判定する端車線走行判定手段を更に備え、前記推奨車線走行判定手段は、前記端車線走行判定手段により自車が端車線を走行していないと判定された場合、自車が左端又は右端にある前記推奨車線を走行していないと判定することを特徴とする。
【0009】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係るナビゲーション装置であって、車両周辺の画像から自車が走行する車線の区画線の種類を判定する区画線種類判定手段を更に備え、前記推奨車線走行判定手段は、前記区画線種類判定手段により自車が走行する車線の右側の区画線が断続線であると判定された場合、自車が右端の推奨車線を走行していないと判定し、前記区画線種類判定手段により自車が走行する車線の左側の区画線が断続線であると判定された場合、自車が左端の推奨車線を走行していないと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述の手段により、本発明は、自車の走行する車線が特定できない場合であっても、自車が推奨車線を走行していないと判定できた場合には、自車をその推奨車線へ誘導するナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図であり、ナビゲーション装置100は、制御部1、撮像部2、測位部3、距離測定部4、通信部5、記憶部6、音声出力部7及び表示部8から構成され、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)を介して各部を接続する。
【0013】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、推奨ルート探索手段10、推奨車線決定手段11、推奨車線走行判定手段12、車線誘導手段13、区画線種類判定手段14及び端車線走行判定手段15のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0014】
また、制御部1は、撮像部2、測位部3、距離測定部4、通信部5及び記憶部6の出力に基づいて上述の各手段による演算を実行し、演算結果に基づく制御信号を音声出力部7及び表示部8に出力する。
【0015】
撮像部2は、自車周辺を撮像するための手段であり、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えたカメラであって、例えば、自車後方の路面を撮影するバックガイドモニタカメラがある。
【0016】
測位部3は、自車位置(経度、緯度、高度)を測定するための手段であり、例えば、GPS受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力する信号を受信し、受信した信号に基づいて自車位置を測定する。
【0017】
測位部3による測定は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、自車位置は、操舵角センサ、車速センサ、ジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機又はFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。
【0018】
距離測定部4は、自車周辺に存在する物体までの距離を測定するための手段であり、例えば、超音波、赤外線又はミリ波等を用いたレーダや画像センサ(カメラ)であって、自車のボディ側方に取り付けられ、路側帯や中央分離帯におけるガードレール、縁石、植え込み、又は、防音壁等の道路設置物と自車との間の距離を測定する。なお、距離測定部4は、併走する車両と道路設置物とを区別するために、道路設置物の外形や高さを同時に測定するようにしてもよい。
【0019】
通信部5は、自車と外部との間の通信を制御するための手段であり、例えば、道路に設置された光ビーコン若しくは電波ビーコン又は道路に埋設された磁気ネイル等と自車との間の路車間通信を制御する装置、通信センタが配信するFM多重放送を受信する装置、又は、他車と自車との間の車車間通信を制御する装置等がある。
【0020】
記憶部6は、ナビゲーション装置100が必要とする情報を記憶するための手段であり、例えば、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disc.)等の不揮発性記憶媒体であって、地図情報データベース60(以下、「地図情報DB」とする。)、及び、音声データを体系的に記憶した音声情報データベース61(以下、「音声情報DB」とする。)等を格納する。
【0021】
音声出力部7は、音声を出力させるための手段であり、例えば、車載スピーカであって、制御部1から送信される制御信号に応じて、音声情報DB61に記憶された音声データに基づき、ルート案内や車線誘導のための音声案内を出力する。
【0022】
表示部8は、各種情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であって、制御部1から送信される制御信号に応じてルート案内や車線誘導のための文字情報やグラフィック情報、車線変更を促すアイコン等を表示する。
【0023】
また、表示部8は、自車が現在走行中の道路に複数の車線がある場合、その車線を走行していった先にある交差点における進行方向(右折、左折、直進等)を事前に表示するようにしてもよい。
【0024】
次に、制御部1が有する各種手段について説明する。
【0025】
推奨ルート探索手段10は、出発地(例えば、自車の現在位置)から目的地までの推奨ルートを探索するための手段であり、例えば、ルート探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を用い、自車位置と記憶部6が格納する地図情報DB60とに基づいて、距離的又は時間的に最短となるルートを探索したり、通行料金が最小となるルートを探索したりする。
【0026】
推奨車線決定手段11は、推奨車線を決定するための手段であり、例えば、測位部3が測定した自車位置と記憶部6が格納する地図情報DB60と推奨ルート探索手段10が探索した推奨ルートとに基づいて自車が属すべき車線を決定する。
【0027】
例えば、推奨車線決定手段11は、推奨ルートにおける右折のための分岐点の手前では右折用車線に繋がる車線(原則的に最も右側の車線であるが、右側の複数車線であってもよい。右折用車線が複数存在する場合もあるからである。)を推奨車線としたり、推奨ルートにおける左折のための分岐点の手前では左折用車線に繋がる車線(原則的に最も左側の車線であるが、左側の複数車線であってもよい。右折用車線と同様、左折用車線が複数存在する場合もあるからである。)を推奨車線としたり、或いは、推奨ルートに沿って交差点を直進する場合に中央の車線(中央の複数車線であってもよい。)を推奨車線としたりする。
【0028】
推奨車線走行判定手段12は、自車が推奨車線を走行しているか否かを判定するための手段であり、例えば、測位部3が測定した自車位置に基づいて自車が推奨車線を走行しているか否かを判定する。
【0029】
また、推奨車線走行判定手段12は、推奨車線に埋設された磁気ネイルが発信する情報を受信したか否かに基づいて自車が推奨車線を走行しているか否かを判定するようにしてもよい。この場合、磁気ネイルの埋設位置は、地図情報DB60に予め記憶されているものとする。
【0030】
なお、推奨車線走行判定手段12は、自車が推奨車線を走行しているか、或いは、自車が推奨車線以外の何れかの車線を走行しているかを判定するだけでよく、自車が走行している車線を特定する必要はない。自車が走行している車線を特定しなくとも、自車が推奨車線を走行していないと判定できた場合には、意味のある車線誘導を実行させることができるからである。
【0031】
車線誘導手段13は、自車を推奨車線へ誘導するための手段であり、例えば、推奨車線走行判定手段12により自車が推奨車線を走行していないと判定された場合に、自車を推奨車線に誘導する音声メッセージを音声出力部7から出力させたり、自車を推奨車線に誘導する文字情報や画像情報を表示部8に表示させたりする。
【0032】
区画線種類判定手段14は、路面にペイントされた区画線の種類を判定するための手段であり、例えば、自車後方に設置された撮像部2が撮像した自車後方にある路面の画像(以下、「路面画像」とする。)に二値化処理やエッジ検出処理等の画像処理を施して区画線を抽出し、区画線が連続線であるか否かを判定する。
【0033】
端車線走行判定手段15は、自車が端車線(複数の車線を有する道路における最左端又は最右端の車線を意味する。)を走行しているか否かを判定するための手段であり、例えば、測位部3が測定した自車位置に基づいて自車が端車線を走行しているか否かを判定する。
【0034】
また、端車線走行判定手段15は、距離測定部4が測定した、自車とガードレール等の道路設置物との間の距離に基づいて自車が端車線を走行しているか否かを判定するようにしてもよい。この場合、端車線走行判定手段15は、自車と自車左(右)側の道路設置物との間の距離が閾値D1以上の場合に、自車が道路の最左(右)端の車線以外の何れかの車線を走行していると判定する。
【0035】
また、端車線走行判定手段15は、撮像部2が撮像した路面画像に基づいて自車が端車線を走行しているか否かを判定するようにしてもよい。この場合、端車線走行判定手段15は、区画線種類判定手段14により自車の両側にある区画線が断続線であると判定された場合、自車が道路の最左端又は最右端の車線以外の何れかの車線を走行していると判定する。なお、端車線走行判定手段15は、撮像部2が撮像した自車周辺にある道路設置物の画像に基づいて自車が端車線を走行しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0036】
また、端車線走行判定手段15は、撮像部2が撮像した路面画像を継続的に監視し、跨いだ区画線の数と跨いだ方向とに基づいて自車が端車線を走行しているか否かを判定するようにしてもよい。この場合、端車線走行判定手段15は、自車が右方向に区画線を跨いだことを検知した場合、自車が道路の最左端の車線以外の何れかの車線を走行していると判定し、自車が左方向に区画線を跨いだことを検知した場合、自車が道路の最右端の車線以外の何れかの車線を走行していると判定する。
【0037】
また、端車線走行判定手段15は、撮像部2が撮像した路面画像に加えて、或いは、撮像部2が撮像した路面画像に代えて、操舵角センサの出力を継続的に監視し、操舵角センサの出力に基づいてステアリングホイールを所定角度以上右側に回転させたことを検知した場合に、自車が道路の最左端の車線以外の何れかの車線を走行していると判定し、一方、操舵角センサの出力に基づいてステアリングホイールを所定角度以上左側に回転させたことを検知した場合に、自車が道路の最右端の車線以外の何れかの車線を走行していると判定する。
【0038】
このように、端車線走行判定手段15は、自車が端車線を走行していないことを消極的に判定するので、自車が特定の車線を走行していることを積極的に判定する場合に比べて処理負荷を低減させながらも、車線誘導を実行する上で必要かつ十分な情報を取得することができる。
【0039】
なお、端車線走行判定手段15は、自車と自車左(右)側の道路設置物との間の距離が閾値D2未満の場合に、自車が道路の最左(右)端の車線を走行していると判定したり、或いは、区画線種類判定手段14により自車の左(右)側にある区画線が連続線であると判定された場合に、自車が道路の最左(右)端の車線を走行していると判定したりする等、自車が走行する車線を積極的に判定するようにしてもよい。
【0040】
次に、図2及び図3を参照しながら、ナビゲーション装置100が車線誘導を実行する処理(以下、「車線誘導処理」とする。)について説明する。なお、図2は、自車Vが走行する道路と撮像部2が撮像する画像P1との間の関係を示す図であり、図3は、車線誘導処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
図2(A)は、ナビゲーション装置100を搭載した自車Vが車線L1〜L3から成る片側三車線の道路(道路の車線数は、地図情報DB60に予め記憶されているものとする。)を走行する状態を示す図であり、自車Vが最左端の車線L1を走行し、推奨車線決定手段11が最右端の車線L3を推奨車線(一点鎖線で示す車線である。)とした状態を示す。なお、撮像部2は、点線で示す範囲Rを撮像するものとし、道路の両側(路側帯及び中央分離帯である。)にはガードレールGが設置されているものとする。また、図2(B)は、図2(A)における車両Vの撮像部2が撮像した路面画像P1である。
【0042】
図3を参照すると、最初に、車両Vに搭載されたナビゲーション装置100は、推奨ルート探索手段10が探索した推奨ルートにおける分岐点と自車位置との間の距離を継続的に監視する(ステップS1)。
【0043】
推奨ルートにおける分岐点と自車位置との間の距離が閾値D3(例えば、500メートル)以上である場合(ステップS1のNO)、ナビゲーション装置100は、未だ自車を推奨車線に誘導する時期ではないとして、分岐点と自車位置との間の距離の監視を継続する。
【0044】
推奨ルートにおける分岐点と自車位置との間の距離が閾値D3未満となった場合(ステップS1のYES)、ナビゲーション装置100は、推奨車線決定手段11により自車が属すべき車線を決定する(ステップS2)。この場合、推奨車線決定手段11は、推奨ルートが分岐点での右折を要求しているものとし、最右端の車線L3を推奨車線とする。
【0045】
ナビゲーション装置100は、端車線走行判定手段15により現車線が特定できているか否かを判定し(ステップS3)、現車線が特定できている場合には(ステップS3のYES)、現車線と推奨車線とが一致するか否かを判定する(ステップS4)。
【0046】
端車線走行判定手段15は、例えば、自車が左(右)方向に区画線を跨いだことを検知した場合や自車と自車左(右)側の道路設置物との間の距離が閾値D1未満の場合、或いは、区画線種類判定手段14により自車の左(右)側にある区画線が連続線であると判定された場合に、現車線が道路の最左(右)端の車線であると特定する。
【0047】
現車線と推奨車線とが一致すると判定された場合(ステップS4のYES)、ナビゲーション装置100は、直ちに車線誘導処理を終了させる。自車が既に推奨車線を走行しているため、自車を推奨車線に誘導する必要がないからである。
【0048】
なお、ナビゲーション装置100は、車線誘導手段13によりそのままの車線を維持するよう促す音声メッセージ(「そのまま車線を維持してください」等がある。)を音声出力部7から出力させたり、車線維持を促す文字情報や画像情報を表示部8に表示させたりするようにしてもよい。
【0049】
一方、現車線と推奨車線とが一致しないと判定された場合(ステップS4のNO)、ナビゲーション装置100は、車線誘導手段13に車線誘導を実行させ(ステップS5)、自車Vを推奨車線に誘導する音声メッセージ(「右(左)側に寄ってください」等がある。)を音声出力部7から出力させたり、自車Vを推奨車線に誘導する文字情報や画像情報を表示部8に表示させたりした上で車線誘導処理を終了させる。
【0050】
現車線が特定できていない場合(ステップS3のNO)、ナビゲーション装置100は、推奨車線走行判定手段12により自車が推奨車線以外の何れかの車線を走行しているか否かを判定する(ステップS6)。
【0051】
端車線走行判定手段15は、例えば、撮像部2が撮像した路面画像から区画線を認識することができず自車が跨いだ区画線の数を計数できない場合や自車と自車両側の道路設置物との間の距離が閾値D1以上の場合、或いは、区画線種類判定手段14により自車の両側にある区画線が断続線であると判定された場合に、現車線が特定できないとする。
【0052】
この場合、推奨車線走行判定手段12は、端車線走行判定手段15により自車VとガードレールGとの間の距離に基づいて自車Vが端車線(最左端又は最右端の車線をいう。)を走行しているか否かを判定させ、現車線が特定できない場合であっても、少なくとも自車Vが端車線を走行していることはないと判定できた場合には、自車Vが推奨車線以外の何れかの車線を走行しているものと判定する。
【0053】
このように、ナビゲーション装置100は、自車Vが区画線を跨いだことを見落とす等、現車線が特定できなくなった場合であっても、少なくとも推奨車線を走行していることはないと判定できた場合には(ステップS6のYES)、車線誘導手段13に車線誘導を実行させ(ステップS5)、自車Vを推奨車線に誘導する音声メッセージを音声出力部7から出力させたり、自車Vを推奨車線に誘導する文字情報や画像情報を表示部8に表示させたりした上で車線誘導処理を終了させる。
【0054】
一方、現車線が特定できず、かつ、推奨車線を走行していないとも判定できない場合(ステップS6のNO)、ナビゲーション装置100は、直ちに車線誘導処理を終了させる。不適切な車線誘導を実行させないようにするためである。
【0055】
以上の構成により、ナビゲーション装置100は、現車線と推奨車線とが一致しない場合のほか、現車線が特定できなくても自車が推奨車線以外の何れかの車線を走行していることが明らかな場合には車線誘導処理を開始させるようにするので、適切な車線誘導を実行する機会を拡げ、運転支援を補完することができる。
【0056】
また、ナビゲーション装置100は、現車線と推奨車線とが一致する場合には車線維持を促す車線誘導処理を開始させるようにするので、推奨車線を走行していることを運転者に確認させることができ、運転者に安心感を与えることができる。
【0057】
また、ナビゲーション装置100は、路車間通信等を利用して現車線を特定しなくとも車線誘導を開始させることができるので、ビーコンや磁気ネイル等の道路への設置を必要とせず、インフラストラクチャを整備するためのコストを増大させることもない。
【0058】
次に、図4及び図5を参照しながら、別の車線誘導処理について説明する。なお、図4は、自車Vが走行する道路と撮像部2が撮像する画像P2〜P5との間の関係を示す図であり、図5は、別の車線誘導処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
図4(A)は、ナビゲーション装置100を搭載した自車Vが車線L4〜L7から成る片側四車線の道路(道路の車線数は、地図情報DB60に予め記憶されているものとする。)を走行する状態を示す図であり、推奨車線決定手段11が最右端の車線L7を推奨車線(一点鎖線で示す車線である。)とした状態を示す。
【0060】
なお、撮像部2は、点線で示す範囲Rを撮像するものとし、図4(B)は、車線L7を走行する車両Vの撮像部2が撮像した路面画像P2を示し、図4(C)は、車線L6を走行する車両Vの撮像部2が撮像した路面画像P3を示し、図4(D)は、車線L5を走行する車両Vの撮像部2が撮像した路面画像P4を示し、図4(E)は、車線L4を走行する車両Vの撮像部2が撮像した路面画像P5を示す。
【0061】
図5を参照すると、最初に、車両Vに搭載されたナビゲーション装置100は、推奨ルート探索手段10が探索した推奨ルートにおける分岐点と自車位置との間の距離を継続的に監視する(ステップS11)。
【0062】
推奨ルートにおける分岐点と自車位置との間の距離が閾値D3(例えば、500メートル)以上である場合(ステップS11のNO)、ナビゲーション装置100は、未だ自車を推奨車線に誘導する時期ではないとして、分岐点と自車位置との間の距離の監視を継続する。
【0063】
推奨ルートにおける分岐点と自車位置との間の距離が閾値D3未満となった場合(ステップS11のYES)、ナビゲーション装置100は、推奨車線決定手段11により自車が属すべき車線を決定する(ステップS12)。この場合、推奨車線決定手段11は、推奨ルートが分岐点での右折を要求していることから、最右端の車線L7を推奨車線とする。
【0064】
その後、ナビゲーション装置100は、現車線を特定することなく、推奨車線走行判定手段12により自車が推奨車線以外の何れかの車線を走行しているか否かを判定する(ステップS13)。
【0065】
現車線を特定できなかった場合であっても、少なくとも自車Vが推奨車線を走行していることはないと判定できた場合(ステップS13のYES)、ナビゲーション装置100は、車線誘導手段13に車線誘導を実行させる(ステップS14)。
【0066】
自車Vが推奨車線(最右端の車線L7)以外の車線を走行している限り、少なくとも一車線分の右側への車線変更が必要とされるからであり、「右側の車線に移動してください」といった音声メッセージを音声出力部7から出力させたり、右側への車線変更を促すアイコンを表示部8に表示させたりすることによって運転者に違和感を抱かせることもないからである。
【0067】
一方、推奨車線以外の車線を走行していると判定できない場合(ステップS13のNO)、ナビゲーション装置100は、直ちに車線誘導処理を終了させる。不適切な車線誘導を実行させないようにするためである。
【0068】
ステップS13において、推奨車線走行判定手段12は、区画線種類判定手段14により、自車Vの右側の区画線(路面画像における左側の区画線である。撮像部2が自車Vの後方を撮影するため左右が逆となるからである。)の種類のみを判定させ、自車Vの右側の区画線が連続線でないと判定された場合に(図4(C)、(D)、(E)に示す路面画像P3、P4、P5の場合である。)、自車が推奨車線以外の何れかの車線を走行しているものと判定する。
【0069】
なお、推奨車線走行判定手段12は、区画線種類判定手段14により自車Vの両側の区画線の種類を判定させ、両側の区画線が共に連続線でないことから(図4(C)、(D)に示す路面画像P3、P4の場合である。)、自車Vが端車線以外の何れかの車線を走行していると判定させることもできるが、自車Vが推奨車線(最右端の車線L7)を走行しているか否かを判定する上で、自車Vが端車線以外の車線L5、L6を走行しているか否かを知る必要はないので、自車Vの左側の区画線の種類を判定する処理を省略するものとする。
【0070】
同様に、推奨車線走行判定手段12は、区画線種類判定手段14により自車Vの左側の区画線の種類を判定させ、自車Vの左側の区画線が連続線であることから(図4(E)に示す路面画像P5の場合である。)、自車Vが最左端の車線L4を走行していると特定することもできるが、自車Vが推奨車線(最右端の車線L7)を走行しているか否かを判定する上で、自車Vが最左端の車線L4を走行しているか否かを知る必要はないので、自車Vの左側の区画線の種類を判定する処理を省略するものとする。
【0071】
以上の構成により、ナビゲーション装置100は、自車が推奨車線以外の車線を走行していることを積極的に判定して車線誘導処理を開始させるか否かを決定するので、現車線を特定する演算処理を省略し処理負荷を低減させながらも、迅速かつ適切な車線誘導を実行する機会を拡げ、運転支援を補完することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0073】
例えば、上述の実施例において、ナビゲーション装置100は、自車Vが推奨車線として決定された最右端の車線L7を走行しているか否かを判定する際、区画線種類判定手段14により自車Vの右側の区画線の種類のみを判定させているが、自車Vの左側の区画線の種類をも判定させ、自車Vが端車線以外の何れかの車線を走行していることや自車Vが最左端の車線L4を走行していることを確認させた上で、車線誘導を実行するようにしてもよい。自車Vが推奨車線を走行していないことをより正確に判定するためである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】自車が走行する道路と撮像部が撮像する画像との間の関係を示す図(その1)である。
【図3】車線誘導処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図4】自車が走行する道路と撮像部が撮像する画像との間の関係を示す図(その2)である。
【図5】車線誘導処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【符号の説明】
【0075】
1 制御部
2 撮像部
3 測位部
4 距離測定部
5 通信部
6 記憶部
7 音声出力部
8 表示部
10 推奨ルート探索手段
11 推奨車線決定手段
12 推奨車線走行判定手段
13 車線誘導手段
14 区画線種類判定手段
15 端車線走行判定手段
100 ナビゲーション装置
G ガードレール
L1〜L7 車線
R 撮像範囲
V 自車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までのルートを案内するナビゲーション装置であって、
ルートを案内する際に推奨する推奨車線を決定する推奨車線決定手段と、
自車が走行する車線を特定することなく自車が前記推奨車線を走行しているか否かを判定する推奨車線走行判定手段と、
前記推奨車線走行判定手段により自車が前記推奨車線を走行していないと判定された場合に自車を前記推奨車線へ誘導する車線誘導手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
自車が端車線を走行しているか否かを判定する端車線走行判定手段を更に備え、
前記推奨車線走行判定手段は、前記端車線走行判定手段により自車が端車線を走行していないと判定された場合、自車が左端又は右端にある前記推奨車線を走行していないと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
車両周辺の画像から自車が走行する車線の区画線の種類を判定する区画線種類判定手段を更に備え、
前記推奨車線走行判定手段は、前記区画線種類判定手段により自車が走行する車線の右側の区画線が断続線であると判定された場合、自車が右端の推奨車線を走行していないと判定し、前記区画線種類判定手段により自車が走行する車線の左側の区画線が断続線であると判定された場合、自車が左端の推奨車線を走行していないと判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−232760(P2008−232760A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71318(P2007−71318)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】