説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザの選択基準に合わせて、通行料金の割引が適用可能な有料道路や一般道路を適宜選択して、案内経路を設定することが可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車位置から目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の場合には、有料道路を含む全道路を対象として該目的地までの経路を探索する(S11〜S15)。続いて、この探索した探索経路に有料道路が含まれている場合には、割引情報27に基づいて該有料道路にETCの通勤割引が適用可能か否かを判定して、ETCの通勤割引が適用可能な場合には、CPU41は、この有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離を表す代数A(km)以上のときには、この有料道路を含む探索経路を案内経路として設定すると共に、この有料道路の割引通行料金を算出して、液晶ディスプレイ15に案内経路と該割引通行料金とを表示する(S16〜S22)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置に関し、特に、通行料金の割引が適用可能な有料道路の経路探索を行うナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、通行料金の割引が適用可能な有料道路の経路探索を行うナビゲーション装置に関して種々提案されている。
例えば、通行料金の割引が受けられる有料道路に関する情報を記憶しておき、探索した案内経路に通行料金の割引が受けられる有料道路を含むことが可能か否かを判断して、そのような有料道路を含むことが可能な場合に、案内経路に通行料金の割引が受けられる旨を報知するように構成されたナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
これにより、ユーザは、目的地へ向かう際に有料道路の通行料金の割引を受けることが可能となる
【特許文献1】特開2005−77333号公報(段落(0027)〜(0071)、図1〜図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、ユーザの有料道路使用の有・無の選択基準が考慮されていないため、ユーザが有料道路の利用を希望しない時にも、有料道路を含む案内経路が報知されるという問題がある。特に、目的地までが近距離移動時においても、ユーザの有料道路使用の有・無の選択基準に拘わらず有料道路を含む案内経路が報知されるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、目的地までの距離が所定距離以内の近距離移動時等において、ユーザによって異なる有料道路使用の有・無の選択基準に合わせて、通行料金の割引が適用可能な有料道路や一般道路を適宜選択し、経路探索を行って案内経路を設定することが可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係るナビゲーション装置は、自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段(11)と、有料道路の通行料金の割引に関する割引情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段(25)と、ユーザが通行料金の所定割引が適用可能な有料道路の使用を決定する最短割引利用距離を記憶する最短割引利用距離記憶手段(23)と、目的地を設定する目的地設定手段(14)と、前記自車両の現在位置から前記目的地まで探索した探索経路に有料道路が含まれているか否かを判定する有料道路判定手段(13)と、前記探索経路に有料道路が含まれている場合には、前記割引情報に基づいて該有料道路に前記所定割引が適用可能か否かを判定する割引判定手段(13)と、該有料道路に前記所定割引が適用可能な場合には、この有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離以上か否かを判定する割引利用距離判定手段(13)と、該有料道路の割引利用距離が前記最短割引利用距離以上の場合には、この有料道路を含む探索経路を案内経路として設定する案内経路設定手段(13)と、を備えたことを特徴とする。
尚、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路等の有料の道路を有料道路という。
【0006】
また、請求項2に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置(1)において、通行料金の所定割引を受けて有料道路を走行した場合に、この所定割引が適用された割引利用距離に関する割引利用距離情報を記憶する割引利用距離情報記憶手段(22、13、51)を備え、前記最短割引利用距離記憶手段(23)は、前記割引利用距離情報記憶手段に記憶される各割引利用距離情報から最短割引利用距離を抽出して記憶することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係るナビゲーション装置は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置(1)において、前記地図情報に基づいて前記自車両の現在位置から前記目的地までの距離が所定距離以内か否かを判定する距離判定手段(13)を備え、前記有料道路判定手段(13)は、前記距離が所定距離以内の場合には、有料道路を含む全道路を対象として該自車両の現在位置から該目的地までの経路を探索することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置(1)において、有料道路を除いた一般道路のみを対象として前記自車両の現在位置から前記目的地までの経路を探索する一般道路探索手段(13、25)を備え、前記案内経路設定手段(13)は、前記割引判定手段(13)を介して前記有料道路に前記所定割引が適用できないと判定された場合には、前記一般道路探索手段を介して探索された探索経路を案内経路として設定することを特徴とする。
尚、有料道路を除いた1桁又は2桁の国道、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道等を一般道路という。
【0009】
また、請求項5に係るナビゲーション装置は、請求項4に記載のナビゲーション装置(1)において、前記割引利用距離判定手段(13)を介して前記有料道路の割引利用距離が前記最短割引利用距離未満であると判定された場合には、前記案内経路設定手段(13)は、前記一般道路探索手段を介して探索された探索経路を案内経路として設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーション装置では、ユーザが通行料金の所定割引が適用可能な有料道路の使用を決定する最短割引利用距離が記憶されている。そして、自車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)から目的地まで探索した探索経路に有料道路が含まれている場合には、地図情報に含まれている割引情報に基づいて該有料道路に所定割引が適用可能か否かを判定する。そして、該有料道路に所定割引が適用可能な場合には、この有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離以上か否かを判定する。そして、この有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離以上の場合には、この有料道路を含む探索経路が案内経路として設定される。
【0011】
これにより、自車位置から目的地まで探索した探索経路に所定割引が適用可能な有料道路が含まれ、且つ、この有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離以上の場合には、この有料道路を含む探索経路が案内経路として設定されるため、ユーザによって異なる有料道路使用の有・無の選択基準に合わせて、通行料金の所定割引が適用可能な有料道路を適宜選択し、有料道路を含む案内経路を設定することが可能となる。
【0012】
また、請求項2に係るナビゲーション装置では、通行料金の所定割引を受けて有料道路を走行した場合に、この所定割引が適用された割引利用距離に関する割引利用距離情報を記憶する。また、この記憶した所定割引が適用された割引利用距離に関する各割引利用距離情報から最短割引利用距離を抽出して記憶する。
これにより、通行料金の所定割引を受けて有料道路を走行した割引利用距離に関する割引利用距離情報を記憶すると共に、この記憶した割引利用距離情報から最短割引利用距離を抽出して記憶することによって、当該ナビゲーション装置のユーザが、通行料金の所定割引を受ける有料道路の使用を決定する最短割引利用距離を推定することが可能となる。従って、ユーザによって異なる有料道路使用の有・無の選択基準に合わせて、通行料金の所定割引が適用可能な有料道路をより的確に選択し、有料道路を含む案内経路を設定することが可能となる。
【0013】
また、請求項3に係るナビゲーション装置では、自車位置から目的地までの距離が所定距離以内の場合には、有料道路を含む全道路を対象として該目的地までの経路を探索する。
これにより、目的地までの距離が所定距離以内の近距離移動時において、ユーザによって異なる有料道路使用の有・無の選択基準に合わせて、通行料金の所定割引が適用可能な有料道路を更に的確に選択し、有料道路を含む案内経路を設定することが可能となる。
【0014】
また、請求項4に係るナビゲーション装置では、探索経路に含まれる有料道路に所定割引が適用できないと判定された場合には、有料道路を除いた一般道路のみを対象として目的地までの経路を探索して、探索経路を案内経路として表示する。
これにより、探索経路に含まれる有料道路に所定割引が適用できない場合には、有料道路を除く一般道路のみの案内経路を確実に設定することが可能となる。
【0015】
また、請求項5に係るナビゲーション装置では、所定割引が適用可能な有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離未満の場合には、有料道路を除いた一般道路のみを対象として目的地までの経路を探索して、探索経路を案内経路として表示する。
これにより、目的地までの距離が最短割引利用距離未満の場合には、ユーザが有料道路を除いた一般道路を選択するというユーザの選択基準に合わせて、有料道路を除く一般道路のみの案内経路を確実に設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成について図1に基づいて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーション装置1を中心とした制御系を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施例の制御系は、ナビゲーション装置1と、このナビゲーション装置1に対して電気的に接続されたETC(Electronic Toll Collection System:ノンストップ自動料金収受システム)車載器51を基本にして構成され、各制御装置に対して所定の周辺機器が接続されている。
また、ナビゲーション装置1は、所定の条件を満たした場合には、後述のようにETC車載器51に制御信号を送信し、ETCの通行料金の割引制度を利用した履歴情報(入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、割引の種類、割引利用距離、割引通行料金等である。)を受信する。また、ETC車載器51は、有料道路の各料金所のETCゲートの通過の際に自動的に通行料金を支払うものであり、ナビゲーション装置1から受信した制御信号に基づいて、入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、割引の種類、割引利用距離、割引通行料金等の履歴情報を出力可能に構成されている。
【0018】
このナビゲーション装置1は、自車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出する現在地検出処理部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、道路交通情報センタ(VICS:登録商標)等の情報センタとの間で相互に通信を行う通信装置17と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部13には、自車両の走行速度を検出する車速センサ21が接続されている。
【0019】
そして、ナビゲーション装置1は、通信装置17を介して道路交通情報センタ(VICS)から警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の道路交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この道路交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、VICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、VICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
【0020】
また、通信装置17は、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系に接続して使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系に接続して使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系に接続して使用することもできる。
【0021】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について説明する。
図1に示すように、現在地検出処理部11は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車両の位置、方位、目標物(例えば、交差点である。)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0022】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車両の現在位置及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車両の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0023】
また、ステアリングセンサ34は自車両の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0024】
そして、ジャイロセンサ35は自車両の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0025】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された走行履歴DB22、地図情報DB25及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部12の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0026】
また、走行履歴DB22には、ETCの通行料金の各割引制度を利用した場合に、走行履歴情報(入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、割引の種類、割引利用距離、割引通行料金等である。)をETC車載器51から取得して、順次記憶すると共に、各割引制度毎に、最短割引利用距離を過去の履歴情報からそれぞれ抽出して、記憶するものである。
【0027】
ここで、ETCの各割引制度には、早朝夜間割引、通勤割引、深夜割引等がある。
例えば、ETCの早朝夜間割引は、午後10時から午前6時までの間に料金所を通過し、且つ、高速自動車国道のうち東京・大阪近郊区間を含んだ100km以内の区間を通行すると通行料金が50%引きになる。
また、ETCの通勤割引は、午前6時から午前9時までの間、又は、午後5時から午後8時までに料金所を通過し、100km以内の区間を通行すると1回の通行に限り、通行料金の割引が適用されて通行料金が50%引きになる。また、通勤割引の割引対象となる有料道路は、高速自動車国道(東京・大阪近郊区間を除く)と、一般有料道路のうち東海環状自動車道・伊勢湾岸道路等が対象である。
また、ETCの深夜割引は、午前0時から午前4時までに通行すると、通行料金が30%引きになる。但し、高速自動車国道等の入口料金所をETCで無線通行することが必要である。
従って、ETCの各割引制度を利用した場合の履歴情報としては、入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、割引の種類、割引利用距離、割引通行料金等がETC車載器51に装着されたETCカード52のICチップに記憶されることとなる。
【0028】
また、地図情報DB25には、ナビゲーション装置1の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報26が格納されている。ここで、ナビ地図情報26には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
そして、地図情報DB25の内容は、不図示の情報配信センタから通信装置17を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0029】
ここで、特に地図表示データとしては、10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0030】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0031】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
尚、以下、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路の有料の道路を有料道路という。また、有料道路を除いた1桁又は2桁の国道、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道等を一般道路という。
【0032】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された誘導経路を液晶ディスプレイ15の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0033】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記地図情報DB25には、所定の情報をナビゲーション装置1のスピーカ16によって出力するための音声出力データも記録される。
【0034】
また、地図情報DB25には、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、有料橋等の各有料道路毎に、ETCの通行料金の各割引制度や種々の通行料金の割引制度の適用条件を記憶する割引情報27が格納されている。
【0035】
また、図1に示すように、ナビゲーション装置1を構成するナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の目的地の設定時に、ETCの通勤割引が適用可能な有料道路や一般道路を適宜選択し、経路探索を行って案内経路や割引通行料金等を表示後、経路案内を行う経路案内処理プログラム(図2参照)等が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。
ここで、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0036】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部12に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0037】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0038】
操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種のキー等の複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0039】
また、液晶ディスプレイ15には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0040】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて、選択された目的地である施設名称や、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「イーティーシーの通勤割引が利用できます。」等がある。なお、スピーカ16より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0041】
そして、通信装置17は、不図示の情報配信センタと通信を行う通信手段であり、情報配信センタとの間で最もバージョンの新しい更新地図情報等の送受信を行う。また、情報配信センタに加えて、道路交通情報センタ(VICS)等から送信された渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る道路交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信する。また、通信装置17はLAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器である。更に、通信装置17は道路交通情報センタ(VICS)からの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0042】
また、ETC車載器51は、有料道路の各料金所のETCゲートの通過の際に、各料金所との間で無線通信により料金精算に必要な情報(車両の情報、入口料金所、出口料金所、通行料金、割引の有・無等である。)を交換し、各情報を履歴情報(入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、割引の種類、割引利用距離、割引通行料金等である。)として通信制御部51Bを介して装着されたETCカード52に埋め込まれているICチップに記憶する。また、ETC車載器51は、ナビゲーション制御部13から送信された制御情報を受信するデータ受信部51Aを備えると共に、この受信した制御情報に基づき通信制御部51Bを介して装着されたETCカード52に埋め込まれているICチップから走行履歴情報を読み出し、ナビゲーション制御部13に出力可能に構成されている。
【0043】
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置1のCPU41が実行する目的地の設定時に、ETCの通勤割引が適用可能な有料道路や一般道路を適宜選択し、経路探索を行って案内経路や割引通行料金等を表示後、経路案内を行う経路案内処理について図2乃至図4に基づいて説明する。
図2は本実施例に係るナビゲーション装置1のCPU41が実行する目的地の設定時に、ETCの通勤割引が適用可能な有料道路や一般道路を適宜選択し、経路探索を行って案内経路や割引通行料金等を表示後、経路案内を行う経路案内処理を示すフローチャートである。図3はETCの通勤割引を利用した場合に、CPU41が実行するETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を記憶する記憶処理を示すフローチャートである。図4は探索経路と割引通行料金等を液晶ディスプレイ15に表示した一例を示す図である。
尚、図2及び図3にフローチャートで示されるプログラムはナビゲーション装置1のナビゲーション制御部13が備えているROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0044】
図2に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、操作部14を介して目的地(例えば、施設の電話番号等である。)を入力された場合には、この目的地の座標データ(例えば、緯度と経度のデータである。)を地図情報DB25のナビ地図情報26から読み出し、RAM42に記憶する。
【0045】
続いて、S12において、CPU14は、現在地検出処理部11により自車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)及び自車両の向きを表す自車方位を検出して、自車位置を表す座標データ(例えば、緯度と経度のデータである。)と自車方位をRAM42に記憶する。そして、CPU41は、目的地の座標データと自車位置の座標データとをRAM42から読み出し、自車位置から目的地までの直線距離が、所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離移動か否かを判定する判定処理を実行する。
尚、S12において、有料道路を含む全道路を対象として自車位置から該目的地までの仮経路を探索して、自車位置から目的地までの経路長を算出し、この経路長が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離移動か否かを判定する判定処理を実行するようにしてもよい。
【0046】
そして、目的地が自車位置から所定距離より遠い距離(例えば、25kmより遠い距離である。)の場合には(S12:NO)、CPU41は、S13の処理に移行する。S13において、有料道路を含む全道路を対象として該目的地までの経路を探索して、探索経路をRAM42に記憶する。
続いて、S14において、CPU41は、RAM42から探索経路を再度読み出し、この探索経路を構成する各リンクデータから高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路等の有料道路を表すデータが含まれている場合には、地図情報DB25の地図情報26及び割引情報27に基づいて、有料道路の通常時の通行料金を算出し、また、この通行料金に割引がある場合には、割引通行料金を算出してRAM42に記憶後、S21の処理に移行する。
S21において、CPU41は、S13で探索した探索経路をRAM42から再度、読み出し、該探索経路を案内経路としてRAM42に記憶後、S22の処理に移行する。
【0047】
一方、目的地が自車位置から所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離移動の場合には(S12:YES)、CPU41は、S15の処理に移行する。
S15において、CPU41は、有料道路を含む全道路を対象として該目的地までの経路を探索し、探索経路をRAM42に記憶する。
続いて、S16において、CPU41は、RAM42から探索経路を再度読み出し、この探索経路を構成する各リンクデータから高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路等の有料道路を表すデータが含まれているか否かを判定する判定処理を実行する。そして、この探索経路に有料道路のリンクデータが含まれていない場合、即ち、有料道路を除く一般道路のみの探索経路の場合には(S16:NO)、CPU41は、S21の処理に移行する。
S21において、CPU41は、S15で探索した探索経路をRAM42から再度、読み出し、該探索経路を案内経路としてRAM42に記憶後、S22の処理に移行する。
【0048】
また一方、この探索経路に有料道路のリンクデータが含まれている場合には(S16:YES)、CPU41は、S17の処理に移行する。S17において、CPU41は、地図情報DB25の割引情報27に基づいて、この有料道路の通行料金に上記ETCの通勤割引が適用可能か否かを判定する判定処理を実行する。
そして、この有料道路の通行料金に上記ETCの通勤割引が適用できない場合には(例えば、入口料金所の予測通過時間が午前9時10分の場合や、出口料金所の予測通過時間が午前5時50分の場合等である。)(S17:NO)、CPU41は、S18の処理に移行する。S18において、CPU41は、有料道路を除く一般道路のみを対象として該目的地までの経路を探索し、探索経路をRAM42に記憶後、S21の処理に移行する。
S21において、CPU41は、S18で探索した探索経路をRAM42から再度、読み出し、該探索経路を案内経路としてRAM42に記憶後、S22の処理に移行する。
【0049】
一方、この有料道路の通行料金に上記ETCの通勤割引が適用できる場合には(例えば、入口料金所の通過時間が午前8時58分で、当該有料道路の利用距離が12kmで、且つ、当該有料道路がETCの通勤割引の対象である場合等である。)(S17:YES)、CPU41は、S19の処理に移行する。
S19において、CPU41は、当該有料道路の利用距離を探索経路に基づいて算出する。そして、CPU41は、走行履歴DB22の割引利用距離情報23からETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を表す代数A(km)を読み出し、当該有料道路の利用距離が代数A(km)以上か否かを判定する判定処理を実行する。即ち、ユーザが過去にETCの通勤割引を利用した有料道路の最短利用距離以上か否かを判定する判定処理を実行する。
【0050】
そして、当該有料道路の利用距離が代数A(km)未満の場合、即ち、ユーザが過去にETCの通勤割引を利用した有料道路の最短利用距離未満の場合には(S19:NO)、CPU41は、S18以降の処理を実行する。
他方、当該有料道路の利用距離が代数A(km)以上の場合、即ち、ユーザが過去にETCの通勤割引を利用した有料道路の最短利用距離以上の場合には(S19:NO)、CPU41は、S20の処理に移行する。S20において、CPU41は、地図情報DB25の割引情報27に基づいて、当該有料道路のETCの通勤割引を利用した割引通行料金と通常時の通行料金とを算出して、RAMに記憶後、S21の処理に移行する。
S21において、CPU41は、S15で探索した探索経路をRAM42から再度、読み出し、該探索経路を案内経路としてRAM42に記憶後、S22の処理に移行する。
【0051】
ここで、ユーザがETCの通勤割引を利用して有料道路を走行した場合に、CPU41が実行するETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を記憶する記憶処理について、図3に基づいて説明する。尚、図3に示す処理プログラムは、CPU41により一定時間毎(例えば、10msec〜100msec毎)に実行される。
図3に示すように、S41において、CPU41は、設定された目的地に到着したか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、CPU41は、自車位置が設定された目的地まで所定距離以内(例えば、100m〜200m以内である。)に到着した場合、若しくは、イグニションスイッチがONからOFFにされた場合、即ち自車両のエンジンが停止したことを表す検出信号を不図示の車両ECU(Electronic Control Unit)から受信した場合に、目的地に到着したと判定する。
【0052】
そして、自車両が設定された目的地に到着していない場合には(S41:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、自車両が設定された目的地に到着した場合には(S41:YES)、CPU41は、S42の処理に移行する。S42において、CPU41は、当該目的地が出発地から所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離か否かを判定する判定処理を実行する。
【0053】
そして、当該目的地が出発地から所定距離より遠い距離(例えば、25kmより遠い距離である。)の場合には(S42:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
また一方、当該目的地が出発地から所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離の場合には(S42:YES)、CPU41は、S43の処理に移行する。S43において、CPU41は、有料道路の走行において、ETCの通勤割引を利用したか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、CPU41は、ETC車載器51を介してETCカード52のICチップに記憶されている、当該有料道路に関する入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、割引の種類、割引利用距離、割引通行料金等の情報を取得してRAM42に記憶し、この割引の種類がETCの通勤割引か否か、即ち、ETCの通勤割引を利用したか否かを判定する。
尚、CPU41は、探索した案内経路上の当該有料道路に関する入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、有料道路の利用距離等から、地図情報DB25の割引情報27基づいてETCの通勤割引を利用したか否かを判定するようにしてもよい。
【0054】
そして、有料道路の走行において、ETCの通勤割引を利用していない場合には(S43:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
他方、有料道路の走行において、ETCの通勤割引を利用していた場合には(S43:YES)、CPU41は、S44の処理に移行する。S44において、CPU41は、当該有料道路に関する入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、割引の種類、割引利用距離、割引通行料金等の情報をRAM42から読み出して、走行履歴DB22の割引利用距離情報23に記憶後、当該有料道路の割引利用距離を代数X(km)に代入してRAM42に記憶する。
【0055】
続いて、S45において、CPU41は、走行履歴DB22の割引利用距離情報23からETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を表す代数A(km)を読み出すと共に、RAM42から当該有料道路の割引利用距離を表す代数X(km)を読み出す。そして、代数X(km)が代数A(km)未満か否かを判定する判定処理を実行する。尚、最短割引利用距離を表す代数A(km)は、工場出荷時には、例えば、「25(km)」が代入されて、走行履歴DB22の割引利用距離情報23に格納されている。
そして、代数X(km)が代数A(km)以上の場合には(S45:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
例えば、代数X(km)が14(km)で、代数A(km)が12(km)の場合には(S45:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0056】
一方、代数X(km)が代数A(km)未満の場合には(S45:YES)、CPU41は、S46の処理に移行する。S46において、CPU41は、ETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を表す代数A(km)にこの代数X(km)を代入して、この代数A(km)を再度、割引利用距離情報23に記憶後、当該処理を終了する。
例えば、代数X(km)が11(km)で、代数A(km)が12(km)の場合には(S45:YES)、CPU41は、代数A(km)に11(km)を代入後、この代数A(km)を再度、割引利用距離情報23に記憶後、当該最短割引利用距離を記憶する記憶処理を終了する。
【0057】
また、図2に示すように、S22において、CPU41は、案内経路をRAM42から読み出し、この案内経路の全ルートを液晶ディスプレイ15に表示する。また、有料道路の通常時の通行料金や割引通行料金がRAM42に記憶されている場合には、当該通行料金や割引通行料金をRAM42から読み出し、液晶ディスプレイ15に表示する。
【0058】
例えば、図4に示すように、自車位置を表す車両位置マーク55から目的地63までの直線距離が23kmで、S15で探索した探索経路に、有料道路62の○○インターチェンジ(IC)の入口料金所62Aから△△インターチェンジ(IC)の出口料金所62Bまでが含まれ、当該有料道路62の各料金所62A、62Bのいずれかの通過時間が午前6時から午前9時までの間で、各料金所62A、62B間の距離が12(km)で、又、当該有料道路62が高速自動車国道(東京・大阪近郊区間を除く)と、一般有料道路のうち東海環状自動車道・伊勢湾岸道路等のうちのいずれかであって、ETCの通勤割引が適用され、更に、各料金所62A、62B間の距離が割引利用距離情報23に記憶される最短割引利用距離を表す代数A(km)以上の場合には(例えば、A=11(km)である。)、車両位置マーク55から目的地63までの当該探索経路が、液晶ディスプレイ15に案内経路61として表示される。また、当該有料道路62は、赤い太線で点滅表示されて強調表示される。
また、目的地63の到着時刻「9:15」、目的地63までの距離「23km」、有料道路62の利用区間の距離「12km」、ETCの通勤割引を適用した割引通行料金「450円」、及び通常時の通行料金「900円」が液晶ディスプレイ15に表示される。
【0059】
そして、S23において、CPU41は、液晶ディスプレイ15に表示した案内経路に沿って経路案内を行った後、当該経路案内処理を終了する。
【0060】
従って、本実施例に係るナビゲーション装置1では、ETCの通勤割引を受けて有料道路を走行した場合には、この通勤割引が適用された割引利用距離に関する割引利用距離情報(例えば、当該有料道路に関する入口料金所、出口料金所、各料金所の通過時間、割引の種類、割引利用距離、割引通行料金等の情報である。)を走行履歴DB22の割引利用距離情報23に記憶すると共に、この記憶した各割引利用距離情報からETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を抽出して代数A(km)に代入して該割引利用距離情報23に記憶している(S41〜S46)。また、自車位置から目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の場合には、有料道路を含む全道路を対象として該目的地までの経路を探索する(S11〜S15)。続いて、この探索した探索経路に有料道路が含まれている場合には、地図情報DB25の割引情報27に基づいて該有料道路にETCの通勤割引が適用可能か否かを判定する(S16〜S17)。そして、該有料道路にETCの通勤割引が適用可能な場合には、CPU41は、この有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離を表す代数A(km)以上のときには、この有料道路を含む探索経路を案内経路として設定すると共に、この有料道路のETCの通勤割引が適用される割引通行料金等を算出して、液晶ディスプレイ15に案内経路と該割引通行料金等とを表示する(S18〜S22)。
【0061】
これにより、ETCの通勤割引を受けて有料道路を走行した場合に、CPU41は、この通勤割引が適用された割引利用距離に関する割引利用距離情報を順次走行履歴DB22の割引利用距離情報23に記憶すると共に、この記憶した割引利用距離情報からETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を抽出して代数A(km)に代入して該割引利用距離情報23に記憶することによって、当該ナビゲーション装置1のユーザが、ETCの通勤割引を適用可能な有料道路の使用を決定する最短割引利用距離を推定することが可能となる。
また、CPU41は、自車位置から目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の場合には、有料道路を含む全道路を対象として該目的地までの経路を探索し、この探索したETCの通勤割引が適用可能な有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離以上の場合、即ち、代数A(km)以上の場合に、有料道路を含む案内経路とETCの通勤割引を適用した割引通行料金等とを表示することによって、目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離移動時に、ユーザが有料道路を使用する選択基準に合わせて、ETCの通勤割引が適用可能な有料道路を適宜選択し、有料道路を含む案内経路とETCの通勤割引の割引通行料金とを報知することが可能となる。
【0062】
また、CPU41は、自車位置から目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の場合に、有料道路にETCの通勤割引が適用できないと判定された場合には(S17:NO)、有料道路を除いた一般道路のみを対象として目的地までの経路を探索して、探索経路を案内経路として表示する(S18〜S22)。
これにより、自車位置から目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の場合には、ETCの通勤割引が適用可能な有料道路が含まれていない場合には、有料道路を除く一般道路のみの案内経路を確実に選択することが可能となる。
【0063】
また、自車位置から目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の際に、ETCの通勤割引が適用可能な有料道路の割引利用距離が最短割引利用距離未満の場合には(S19:NO)、有料道路を除いた一般道路のみを対象として目的地までの経路を探索して、探索経路を案内経路として表示する(S18〜S22)。
これにより、目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離移動時に、目的地までの距離が最短割引利用距離未満の場合には、ユーザが有料道路を除いた一般道路を選択するというユーザの選択基準に合わせて、経路探索をすることが可能となる。
【0064】
更に、CPU41は、自車位置から目的地までの距離が所定距離より長い場合には、有料道路を含む全道路を対象として該目的地までの経路を探索して、探索経路を案内経路として設定すると共に、この案内経路に有料道路が含まれている場合には、割引情報27に基づいてこの有料道路の通行料金を算出して、液晶ディスプレイ15に該案内経路と該通行料金とを表示する(S12:NO〜S13〜S22)。
これにより、自車位置から目的地までの距離が所定距離より長い場合には(例えば、自車位置から目的地までの距離が、25kmより長い場合である。)、探索した案内経路に有料道路が含まれているときには、割引情報27に基づいてこの有料道路の通行料金や割引通行料金等を算出して、液晶ディスプレイ15に該案内経路と該通行料金や割引通行料金等が表示されるため、ユーザは、この有料道路の案内表示を有効に活用することが可能となる。
【0065】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(1)目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離の場合に、CPU41は、探索した経路に、ETCの早朝夜間割引や深夜割引等を適用可能な有料道路が含まれている場合にも、各割引制度毎に記憶する最短割引利用距離に基づいて、ユーザが有料道路を使用する選択基準に合わせて、有料道路を含む案内経路とETCの各割引制度の割引通行料金等を報知するようにしてもよい。
(2)最短割引利用距離を表す代数A(km)を各曜日と祝日、平日と休日、天気、座席に装着された着座センサを介して検出された乗車人数が「1人」と「2人以上」等に対応付けて割引利用距離情報23に記憶するようにしてもよい。そして、ステップ45において、CPU41は、各曜日と祝日、平日と休日、天気、座席に装着された着座センサを介して検出された乗車人数が「1人」と「2人以上」等に対応する代数A(km)を読み出し、代数X(km)が代数A(km)未満か否かを判定する判定処理を実行するようにしてもよい。更に、ステップ46において、CPU41は、ETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を表す代数A(km)に代数X(km)を代入後、この代数A(km)を各曜日と祝日、平日と休日、天気、座席に装着された着座センサを介して検出された乗車人数が「1人」と「2人以上」等に対応付けて割引利用距離情報23に再度、記憶するようにしてもよい。
これにより、目的地までの距離が所定距離以内(例えば、25km以内である。)の近距離移動時に、各曜日と祝日、平日と休日、天気、乗車人数が「1人」と「2人以上」等のユーザが有料道路を使用する選択要因を考慮して、ETCの通勤割引が適用可能な有料道路を更に的確に選択し、有料道路を含む案内経路とETCの通勤割引の割引通行料金とを報知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施例に係るナビゲーション装置を中心とした制御系を模式的に示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置のCPUが実行する目的地の設定時に、ETCの通勤割引が適用可能な有料道路や一般道路を適宜選択し、経路探索を行って案内経路や割引通行料金等を表示後、経路案内を行う経路案内処理を示すフローチャートである。
【図3】ETCの通勤割引を利用した場合に、CPUが実行するETCの通勤割引に関する最短割引利用距離を記憶する記憶処理を示すフローチャートである。
【図4】探索経路と割引通行料金等を液晶ディスプレイに表示した一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ナビゲーション装置
11 現在地検出処理部
12 データ記録部
13 ナビゲーション制御部
15 液晶ディスプレイ
22 走行履歴DB
23 割引利用距離情報
25 地図情報DB
26 ナビ地図情報
27 割引情報
41 CPU
42 RAM
43 ROM
51 ETC車載器
52 ETCカード
55 車両位置マーク
61 案内経路
62 有料道路
62A 入口料金所
62B 出口料金所
68 目的地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
有料道路の通行料金の割引に関する割引情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
ユーザが通行料金の所定割引が適用可能な有料道路の使用を決定する最短割引利用距離を記憶する最短割引利用距離記憶手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記自車両の現在位置から前記目的地まで探索した探索経路に有料道路が含まれているか否かを判定する有料道路判定手段と、
前記探索経路に有料道路が含まれている場合には、前記割引情報に基づいて該有料道路に前記所定割引が適用可能か否かを判定する割引判定手段と、
該有料道路に前記所定割引が適用可能な場合には、この有料道路の割引利用距離が前記最短割引利用距離以上か否かを判定する割引利用距離判定手段と、
該有料道路の割引利用距離が前記最短割引利用距離以上の場合には、この有料道路を含む探索経路を案内経路として設定する案内経路設定手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
通行料金の所定割引を受けて有料道路を走行した場合に、この所定割引が適用された割引利用距離に関する割引利用距離情報を記憶する割引利用距離情報記憶手段を備え、
前記最短割引利用距離記憶手段は、前記割引利用距離情報記憶手段に記憶される各割引利用距離情報から最短割引利用距離を抽出して記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記地図情報に基づいて前記自車両の現在位置から前記目的地までの距離が所定距離以内か否かを判定する距離判定手段を備え、
前記有料道路判定手段は、前記距離が所定距離以内の場合には、有料道路を含む全道路を対象として該自車両の現在位置から該目的地までの経路を探索することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
有料道路を除いた一般道路のみを対象として前記自車両の現在位置から前記目的地までの経路を探索する一般道路探索手段を備え、
前記案内経路設定手段は、前記割引判定手段を介して前記有料道路に前記所定割引が適用できないと判定された場合には、前記一般道路探索手段を介して探索された探索経路を案内経路として設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記割引利用距離判定手段を介して前記有料道路の割引利用距離が前記最短割引利用距離未満であると判定された場合には、前記案内経路設定手段は、前記一般道路探索手段を介して探索された探索経路を案内経路として設定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−58021(P2008−58021A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232391(P2006−232391)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】