説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】エンジンにおける燃料の早期着火の発生を抑制することができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】車両の動力源としてのエンジン及びモータと、モータに電力を供給するバッテリとを備えたハイブリッド車両の制御装置において、走行状態が、車速が所定速度未満で且つ負荷が所定負荷未満である第1走行領域(領域A)と、第1走行領域以外の第2走行領域(領域B,C)とのいずれに属するかを判定し、走行状態が第1走行領域に属すると判定されたときは、エンジンを休止させてバッテリの電力を用いたモータによる走行を行い、第2走行領域に属すると判定されたときは、エンジンの動力を利用した走行を行うように制御し、走行状態が第2走行領域に属すると判定され、且つ、高負荷状態が所定時間継続して検出されたときに、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源としてのエンジン及びモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えたハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所謂パラレル方式のハイブリッド車両に関して、車速とアクセル開度とにより規定される車両の走行領域を第1走行領域と第2走行領域とに区分して予め設定し、車両の走行状態が第1走行領域に属するときは、バッテリの電力に基づくモータ走行を行い、車両の走行状態が第2走行領域に属するときは、エンジン走行又はパラレル走行(エンジンの駆動力とモータの駆動力とを併用した走行)を行う技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、所謂シリーズ方式のハイブリッド車両に関して、走行領域の区分を特許文献1の技術と同様に設定し、車両の走行状態が第1走行領域に属するときは、バッテリの電力に基づくモータ走行を行い、車両の走行状態が第2走行領域に属するときは、エンジン駆動により生じるジェネレータの発電電力を用いたモータ走行を行う技術が開示されている。
【0004】
これらの特許文献1及び2の技術によれば、エンジンを休止させてバッテリの電力を用いる走行(モータ走行)と、少なくともエンジンで発生させた動力を用いる走行(エンジン走行、パラレル走行、又は、エンジンの動力を用いたモータ走行)との間の切り替えが、車両の走行状態に応じて適宜行われるため、エネルギを効率よく利用しつつ、所望の駆動力を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−80048号公報
【特許文献2】特開2008−189069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両に搭載されるエンジンに継続して高負荷がかかると、エンジンの点火プラグの温度が著しく上昇することにより、点火前に燃料が着火してしまい、エンジンの出力を十分に得られないことがある。このような早期着火は、特に、水素燃料などの着火性の高い燃料を使用する場合に生じやすい。
【0007】
この問題は、上記のようなハイブリッド車両に搭載されたエンジンでも同様であり、ハイブリッド車両に関して、上述のような早期着火の発生を抑制するための技術の開発が求められる。
【0008】
そこで、本発明は、エンジンにおける燃料の早期着火の発生を抑制することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願の請求項1に記載の発明は、
車両の動力源としてのエンジン及びモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
車速を検出する車速検出手段と、
車両の負荷を検出する負荷検出手段と、
これらの検出手段による検出結果に基づき、走行状態が、車速が所定速度未満で且つ負荷が所定負荷未満である第1走行領域と、該第1走行領域以外の第2走行領域とのいずれに属するかを判定する判定手段と、
該判定手段により、走行状態が第1走行領域に属すると判定されたときは、前記エンジンを休止させて、前記バッテリの電力を用いたモータによる走行を行い、第2走行領域に属すると判定されたときは、前記エンジンの動力を利用した走行を行うように制御する制御手段と、
前記判定手段により走行状態が第2走行領域に属すると判定され、且つ、前記負荷検出手段により高負荷状態が所定時間継続して検出されたときに、前記第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更する領域変更手段と、が備えられていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「高負荷状態が所定時間継続する」とは、例えばアクセル開度が全開又はほぼ全開の状態が所定時間継続する場合や、所定時間内における全開又はほぼ全開状態にある時間の割合が所定割合以上の場合などをいう。
【0011】
本願の請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置は、請求項1に記載の発明において、
前記領域変更手段は、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更するとき、前記負荷検出手段により検出された高負荷状態の継続時間が長いほど前記第1走行領域の拡大量を大きくすることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置は、請求項1または2に記載の発明において、
前記領域変更手段は、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更するとき、該変更状態が維持される領域変更期間を、前記負荷検出手段により検出された高負荷状態の継続時間が長いほど長くすることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項4に記載のハイブリッド車両の制御装置は、請求項3に記載の発明において、
前記バッテリの充電状態を検出する充電状態検出手段を備え、
前記領域変更手段は、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更するとき、前記充電状態検出手段により検出された前記バッテリの残充電量が所定量よりも少ない場合は、残充電量が所定量以上の場合に比べて、前記第1走行領域の拡大量を小さくし、且つ/又は、前記領域変更期間を短くすることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項5に記載のハイブリッド車両の制御装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、
前記ハイブリッド車両は、
前記エンジンの出力軸に連結され、前記バッテリを充電すると共にモータとしての作動が可能なジェネレータが備えられ、
前記モータは、該ジェネレータの発電電力または前記バッテリからの電力の少なくとも一方により駆動されるように構成され、
前記制御手段は、前記領域変更手段により第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更されており、且つ、前記判定手段により走行状態が第1走行領域に属していると判定されたとき、前記バッテリから前記ジェネレータに電力を供給することで、該ジェネレータにより前記エンジンをモータリングすることを特徴とする。
【0015】
本願の請求項6に記載のハイブリッド車両の制御装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、
前記制御手段は、前記領域変更手段により第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更されており、且つ、前記判定手段により走行状態が第2走行領域に属すると判定されたときは、空燃比がリーンとなるように前記エンジンに燃料を供給して該エンジンの動力を利用した走行を行うとともに、駆動力の不足分を前記バッテリの電力でモータを駆動することにより補うように制御することを特徴とする。
【0016】
本願の請求項7に記載のハイブリッド車両の制御装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、
前記エンジンに供給する燃料として、第1の燃料、又は、第1の燃料よりも着火性が低い第2の燃料のいずれかを選択する燃料選択手段が備えられ、
前記領域変更手段は、走行領域の区分の変更を、前記燃料選択手段により第1の燃料が選択されているときのみ実行することを特徴とする。
【0017】
本願の請求項8に記載のハイブリッド車両の制御装置は、請求項7に記載の発明において、
前記制御手段は、前記燃料選択手段により第1の燃料が選択されている場合において、前記領域変更手段により第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更されたとき、前記エンジンに供給する燃料を第2の燃料に切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願の請求項1の発明によれば、車両の走行状態がエンジンの動力を利用する第2走行領域に属し、且つ、高負荷状態が所定時間継続したとき、つまり、エンジンの点火プラグの過熱が予測されるとき、エンジンの休止により点火プラグの温度を下げることができる第1走行領域が拡大されるため、走行領域に応じた走行を行いつつ、点火プラグが冷却される機会を増やすことにより、点火プラグの過熱による早期着火の発生を抑制することができる。
【0019】
本願の請求項2の発明によれば、高負荷状態の継続時間が長いほど、つまり、点火プラグが過熱されやすいときほど、前記第1走行領域が大きく拡大されるため、早期着火の発生を効果的に抑制することができる。
【0020】
本願の請求項3の発明によれば、高負荷状態の継続時間が長いほど、つまり、点火プラグが過熱されやすいときほど、領域変更期間が長く設定されるため、早期着火の発生を効果的に抑制することができる。
【0021】
本願の請求項4の発明によれば、バッテリの残充電量が所定量よりも少ない場合は、前記第1走行領域の拡大量が小さくされたり、領域変更期間が短縮されたりするため、バッテリの電力を用いたモータ走行の機会の増大を抑制することができる。そのため、バッテリの残充電量が過剰に少なくなることによる不具合、例えばモータ走行に支障を来す等の不具合を回避しつつ、早期着火の発生を抑制することができる。
【0022】
本願の請求項5の発明によれば、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更されて、走行状態がエンジンの動力を利用しない第1走行領域に属することとなったとき、ジェネレータによりエンジンがモータリングされるため、該モータリングによるエンジンの燃焼室内への外気の導入によって、点火プラグを効率的に冷却することができる。
【0023】
本願の請求項6の発明によれば、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更された状態において走行状態が第2走行領域に属しているときは、空燃比をリーンにすることにより早期着火の発生を抑制しつつ、駆動力の不足分をバッテリの電力でモータを駆動することで補うことにより所望の駆動力を確保することができる。
【0024】
本願の請求項7の発明によれば、第1の燃料と第2の燃料が選択的に供給される場合において、第1走行領域を拡大させる走行領域の区分の変更が、比較的着火性の高い第1の燃料が選択されているときのみ実行されるため、早期着火の発生の抑制を図りつつ、早期着火が起こり難い第2の燃料選択時には通常の運転を行うことができる。
【0025】
本願の請求項8の発明によれば、第1の燃料選択時に第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更されると、エンジンに供給される燃料が比較的着火性の低い第2の燃料に切り換えられるため、点火プラグの温度が十分に低下していない状態であっても早期着火を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るシリーズハイブリッド車両の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す車両の制御システム図である。
【図3】車両の走行領域を区分するマップである。
【図4】高負荷状態の継続時間と領域Aの拡大量との関係を示すグラフである。
【図5】高負荷状態の継続時間と領域変更期間との関係を示すグラフである。
【図6】バッテリの残充電量と補正係数との関係を示すグラフである。
【図7】車両のコントロールユニットが行う具体的制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7に示す制御動作の続きを示すフローチャートである。
【図9】走行領域の区分が変更されない場合における各種要素の経時的変化の一例を示すタイムチャートである。
【図10】走行領域の区分が変更される場合における各種要素の経時的変化の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
先ず、図1を参照しながら、本実施形態に係る車両1の全体構成について説明する。車両1は、所謂シリーズ方式のハイブリッド車両であるが、本発明は、シリーズ方式以外の方式、例えば所謂パラレル方式のハイブリッド車両にも適用することができる。
【0029】
図1に示すように、車両1は、該車両1の動力源としてのエンジン10及びモータ60と、該モータ60に電力を供給する高電圧バッテリ40とを備えている。また、車両1は、エンジン10の出力軸に連結され、バッテリ40を充電するとともにモータとしての作動が可能なジェネレータ20を備えている。さらに、ジェネレータ20とバッテリ40との間には第1インバータ30が介在して設けられ、バッテリ40とモータ60との間には第2インバータ50が介在して設けられている。
【0030】
車両1の駆動源は専らモータ60である。モータ60は、ジェネレータ20の発電電力またはバッテリ40からの電力の少なくとも一方により駆動される。このモータ60の駆動力は、デファレンシャル装置70を介して左右の駆動輪(実施形態では前輪)71,72に伝達され、これにより、車両1が走行する。また、モータ60は、ジェネレータとしての作動が可能であり、車両1の減速時にモータ60がジェネレータとして作動することで、モータ60においてエネルギ回生が行われる。
【0031】
エンジン10の駆動力は、ジェネレータ20の発電に用いられる。このエンジン10は、ガソリン燃料タンク80に貯留されている液体燃料としてのガソリンと、水素燃料タンク90に貯留されている気体燃料としての水素とが選択的に供給されるデュアルフューエルエンジンである。ここで、ガソリン燃料と水素燃料とを比較すると、着火性はガソリン燃料よりも水素燃料の方が高い。よって、エンジン10における早期着火は、特に、水素燃料使用時に発生しやすく、早期着火の発生を確実に抑制する観点においては、ガソリン燃料を使用する方が有利である。
【0032】
次に、図2を参照しながら、車両1の制御システムについて説明する。
【0033】
図2に示すように、本実施形態に係るエンジン10は、ツインロータ式のロータリエンジンであって、ロータハウジング11のトロコイド面に3点で接し3つの作動室を画成するロータ12が回転することにより、出力軸としてのエキセントリックシャフト13が回転駆動される。ロータハウジング11には吸気通路14と排気通路16が接続されており、吸気通路14にはスロットル弁15とガソリン燃料噴射弁102が配設され、排気通路16には排気浄化触媒17が配設されている。水素燃料噴射弁103及び点火プラグ104は、ロータハウジング11の作動室に臨むようにしてロータハウジング11に取り付けられている。なお、図2において吸気通路14及び排気通路16に図示した矢印は、吸気または排気の流れを示している。
【0034】
車両1には、バッテリ40を出入りする電流およびバッテリ40の電圧を検出するバッテリ電圧・電流センサ111と、乗員の操作によりエンジン10に供給される燃料をガソリン燃料と水素燃料との間で切り換えるための燃料切換スイッチ112と、車速(車両1の走行速度)を検出する車速センサ113と、車両の負荷としてアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ114と、が搭載されている。上記のセンサのうち、バッテリ電圧・電流センサ111は、特許請求の範囲における「充電状態検出手段」に相当し、燃料切換スイッチ112は、特許請求の範囲における「燃料選択手段」に相当し、車速センサ113は、特許請求の範囲における「車速検出手段」に相当し、アクセル開度センサ114は、特許請求の範囲における「負荷検出手段」に相当するものである。
【0035】
これらのバッテリ電圧・電流センサ111、燃料切換スイッチ112、車速センサ113及びアクセル開度センサ114の各出力信号は、コントロールユニット100に入力される。このコントロールユニット100は、特許請求の範囲における「判定手段」、「制御手段」および「領域変更手段」として機能するものであるが、これらの機能の具体的な構成については後述する。
【0036】
また、コントロールユニット100は、第1インバータ30、第2インバータ50、スロットル弁アクチュエータ101、ガソリン燃料噴射弁102、水素燃料噴射弁103、及び点火プラグ104に制御信号を出力する。
【0037】
図3に示すように、コントロールユニット100には、車速と車両の負荷(アクセル開度)とにより規定される車両1の走行領域が領域A、領域B及び領域Cに区分されて予め設定されている。
【0038】
領域Aは、車速が所定閾値未満で且つアクセル開度が所定閾値未満である領域、すなわち低負荷走行が行われる領域である。また、領域Cは、車速が領域Aの閾値よりも小さな所定閾値未満で且つアクセル開度が領域Aの閾値よりも大きな所定閾値以上である領域、すなわち高負荷低車速走行が行われる領域である。さらに、領域Bは、領域A及び領域C以外の領域、すなわち主として中負荷走行が行われる領域である。なお、特許請求の範囲における「第1走行領域」に相当する領域は領域Aであり、特許請求の範囲における「第2走行領域」に相当する領域は、領域Bと領域Cとを合わせた領域である。
【0039】
コントロールユニット100は、車速センサ113とアクセル開度センサ114による検出結果に基づき、車両1の走行状態が上記領域A〜Cのいずれに属するかを判定し、この判定結果に応じて、モータ60への電力供給源を適宜切り替えるように制御する。
【0040】
具体的に、車両1の走行状態が領域Aに属するとき、すなわち低負荷走行時は、バッテリ40から第2インバータ50を介してモータ60に電力が供給されることで、エンジン10を休止させてバッテリ40の電力のみを用いたモータ走行が行われる。
【0041】
これに対して、車両1の走行状態が領域Cに属するとき、すなわち高負荷低車速走行時は、バッテリ40の電力とエンジン10の動力とを併用した走行が行われる。具体的には、エンジン10の駆動により生じるジェネレータ20の発電電力と、バッテリ40からの電力とがモータ60に供給されることで、エンジン10駆動による発電とバッテリ60の放電とに基づくモータ走行が行われる。
【0042】
また、車両1の走行状態が領域Bに属するとき、すなわち、領域A、C以外での主として中負荷の領域での走行時は、バッテリ40の電力とエンジン10の動力とのうちエンジン10の動力のみを利用した走行が行われる。具体的には、エンジン10の駆動により生じるジェネレータ20の発電電力が第1及び第2のインバータ30,50を介してモータ60に供給されることで、エンジン10駆動による発電のみに基づくモータ走行が行われる。
【0043】
なお、エンジン10の駆動によりジェネレータ20で発電が行われるとき、ジェネレータ20の発電電力の余剰分が第1インバータ30を介してバッテリ40に供給されることにより、バッテリ40が充電される。また、バッテリ40の充電は、車両1の減速時にモータ60を発電機として作動させることによって発生する回生電力が第2インバータ50を介してバッテリ40に供給されることによっても行われる。
【0044】
ところで、エンジン10の動力を利用した走行中にアクセル開度が全開又はほぼ全開の状態が連続的または断続的に継続されると、エンジン10の点火プラグの温度が著しく上昇し、早期着火が生じやすくなる。
【0045】
このような早期着火の発生を抑制するため、コントロールユニット100は、車両1の走行状態が領域Bまたは領域Cに属すると判定し、且つ、アクセル開度センサ114により高負荷状態が所定時間継続して検出されたとき、領域Aが拡大するように走行領域の区分を変更する(図3の一点鎖線参照)。具体的には、車速とアクセル開度の両者に関して、領域Aと領域Bとを区切る閾値が増大するように走行領域の区分が変更される。
【0046】
なお、本実施形態において、「高負荷状態が所定時間継続する」とは、所定時間内におけるアクセル開度が全開又はほぼ全開状態にある時間(全開走行時間)の割合が所定割合以上であることをいう。つまり、本実施形態において、「高負荷状態が継続する状態」には、アクセル開度が全開又はほぼ全開である状態が連続する場合のみならず、アクセル開度が断続的に全開又はほぼ全開になる状態も含まれる。
【0047】
よって、本実施形態によれば、高負荷状態の継続に伴うエンジン10の点火プラグの過熱が予測される走行状態であるとき、領域Aが拡大されるため、走行領域に応じた走行を継続しつつ、走行状態が領域Aに属する機会、すなわち、エンジン10の休止により点火プラグが冷却される機会を増やすことにより、点火プラグの過熱に伴う早期着火の発生を抑制することができる。
【0048】
走行領域の区分が変更されるときは、領域Aの拡大量(領域Bの縮小量)と、領域Aが拡大するように走行領域の区分が変更された状態が維持される領域変更期間とが、図4〜図6のマップに基づき設定される。
【0049】
領域Aの拡大量は、図4のマップで求められる値が図6のマップに基づき補正されることで設定される。なお、領域Aの拡大量は、図3の横軸(車速)の閾値の増加幅と図3の縦軸(アクセル開度)の閾値の増加幅とのそれぞれについて設定される。
【0050】
図4に示すように、領域Aの拡大量の補正前の値は、高負荷状態の継続時間(現在の高負荷状態が開始された時点から現時点までの時間)が長いほど大きく設定される。よって、エンジン10の点火プラグが過熱されやすいときほど、領域Aが大きく拡大されることとなるため、早期着火の発生を効果的に抑制することができる。
【0051】
同様に、領域変更期間は、図5のマップで求められる値が図6のマップに基づき補正されることで設定される。
【0052】
図5に示すように、領域変更期間は、高負荷状態の継続時間が長いほど長く設定される。よって、エンジン10の点火プラグが過熱されやすいときほど、領域Aが長期間拡大されることとなるため、早期着火の発生を効果的に抑制することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、領域Aの拡大量と領域変更期間との両方が、高負荷時間の継続時間に応じて設定されるが、本発明においては、領域Aの拡大量または領域変更期間の一方のみを高負荷状態の継続時間に応じて設定し、他方を一定の値に固定するようにしてもよい。
【0054】
図4のマップで求められた値、及び図5のマップで求められた値は、図6のマップで求められる補正係数が乗じられることで補正され、該補正後の値が、領域Aの拡大量または領域変更期間として設定される。
【0055】
図6のマップでは、バッテリ40の残充電量SOCに応じて補正係数(0〜1)が求められる。具体的に説明すると、先ず、残充電量SOCが、第1の量SOC1以下であるとき、すなわち、バッテリ40の電力のみを用いたモータ走行を行うには不十分な量であるとき、補正係数は0に設定されて、領域Aの拡大は行われない。一方、残充電量SOCが、第1の量SOC1よりも大きな第2の量SOC2以上であるとき、補正係数は1に設定され、図4と図5のマップで求められた値がそのまま領域Aの拡大量または領域変更期間として設定される。また、残充電量SOCが、第1の量SOC1よりも多く第2の量SOC2よりも少ないとき、補正係数は、0よりも大きく1よりも小さな値で、且つ、残充電量SOCが多いほど大きくなるように設定される。
【0056】
このように、バッテリ40の残充電量SOCが第2の量SOC2よりも少ない場合は、残充電量SOCが第2の量SOC2以上である場合に比べて、領域Aの拡大量がより小さく、領域変更期間がより短く設定されるため、領域Aが拡大された状態におけるバッテリ40の電力を用いたモータ走行の機会の増大を抑制することができる。そのため、バッテリ40の残充電量SOCが過剰に少なくなることによる不具合、例えばモータ走行に支障を来す等の不具合を回避しつつ、早期着火の発生を抑制することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、図4のマップで求められた領域Aの拡大量と、図5のマップで求められた領域変更期間との両方が、図6のマップに基づき補正されるが、本発明においては、領域Aの拡大量と領域変更期間の一方のみを図6のマップに基づき補正し、他方については、図4又は図5のマップで求められる値をそのまま設定するようにしてもよい。
【0058】
続いて、図7及び図8を参照しながら、コントロールユニット100で行われる具体的制御動作の一例について説明する。
【0059】
先ず、ステップS1において、各種信号の読み込みが行われる。具体的には、車速、アクセル開度、バッテリ40の電圧・電流値、及び、燃料切換スイッチ112の選択燃料の各信号が読み込まれる。
【0060】
次のステップS2では、ステップS1で読み込まれたバッテリ40の電圧・電流値に基づき、バッテリ40の残充電量SOCが算出される。
【0061】
続くステップS3では、ステップS1で読み込まれた燃料切換スイッチ112の選択燃料に基づき、乗員により選択された燃料が水素であるか否かが判定される。
【0062】
ステップS3の判定の結果、乗員により水素燃料が選択されている場合、ステップS4に進む。
【0063】
ステップS4では、フラグFが「0」にセットされているか否かが判定される。ここで、フラグFは、上述のように領域Aが拡大するように走行領域の区分が変更されているか否かを示すフラグであり、走行領域の区分が初期状態にあるときは「0」にセットされ、走行領域の区分の変更により領域Aが拡大された状態にあるときは「1」にセットされる。
【0064】
ステップS4の判定の結果、フラグFが「0」にセットされている場合、すなわち走行領域の区分が初期状態にある場合、ステップS5に進む。
【0065】
ステップS5では、車両1の走行状態が、初期状態(拡大前)の領域Aに属するか否かが判定される。また、ステップS5の判定の結果、走行状態が領域Aに属さない場合、すなわち領域B又は領域Cに属する場合は、さらにステップS6において、高負荷状態が所定時間以上継続しているか否かが判定される。具体的には、現時点から起算した過去の所定時間内における全開走行時間(アクセル開度が全開又はほぼ全開の状態にある時間)の割合が所定割合以上であるか否かが判定される。
【0066】
ステップS5及びステップS6の判定の結果、走行状態が領域Aに属する場合、又は、領域Aに属さないが高負荷状態が所定時間以上継続していない場合、エンジン10の点火プラグの温度上昇が顕著でなく早期着火が懸念されない状態であることが予測されるため、走行領域の区分が変更されることなく、ステップS19に進み、車両1の走行状態に応じた通常の運転、すなわち図3のマップに従う運転が行われる。
【0067】
一方、ステップS5及びステップS6の判定の結果、走行状態が領域B又は領域Cに属し、高負荷状態が所定時間以上継続している場合、エンジン10の点火プラグの温度が上昇して早期着火が起こりやすい状態であることが予測される。そのため、この場合、領域Aが拡大するように走行領域の区分を変更するために、ステップS7に進む。
【0068】
ステップS7ではフラグFが「1」にセットされ、ステップS8では、現在の高負荷状態が開始された時点から現時点までの時間(高負荷状態の継続時間)と、バッテリ40の残充電量SOCとに応じて、領域Aの拡大量と領域変更期間(設定時間T1)とが設定される。具体的には、上述のように図4〜図6のマップに基づき、領域Aの拡大量と領域変更期間(設定時間T1)とが設定される。
【0069】
続くステップS9では、ステップS8の設定に基づき、領域Aが拡大するように走行領域の区分の変更が実行される。その後、ステップS10においてタイマーのカウントTが開始された後、後述するステップS11〜ステップS18の処理が行われる。
【0070】
一方、ステップS4の判定の結果、フラグFが「1」にセットされている場合、すなわち、すでに走行領域の区分の変更が実行されている場合(領域Aが拡大されている場合)、先ず、ステップS20において、タイマーのカウントTが設定時間T1を経過しているか否かが判定される。
【0071】
ステップS20の判定の結果、タイマーのカウントTが設定時間T1を経過している場合、走行領域の区分が初期状態に戻され(ステップS21)、フラグFが「0」にリセットされて(ステップS22)、車両1の走行状態が属する走行領域に応じた通常運転が行われる(ステップS19)。
【0072】
一方、ステップS20の判定の結果、タイマーのカウントTが設定時間T1に達していない場合、次に説明するステップS11〜ステップS18の処理が引き続き行われる。
【0073】
ステップS11では、車両1の走行状態が領域Aに属するか否かが判定され、続くステップS12またはステップS14では、フラグFが「1」にセットされているか否か、すなわち領域Aが拡大された状態であるか否かが判定される。
【0074】
領域Aが拡大された状態において、ステップS11の判定の結果、車両1の走行状態が、拡大された領域Aに属する場合は、ステップS12においてフラグFが「1」であると判定されて、ステップS13に進む。
【0075】
ステップS13では、走行領域に応じた走行、すなわち、エンジン10を休止させてバッテリ40の電力のみを用いるモータ走行が行われるとともに、バッテリ40の電力がジェネレータ20にも供給されて、ジェネレータ20によるエンジン10のモータリングが行われる。このエンジン10のモータリングにより、エンジン10の燃焼室に外気が導入されるため、点火プラグを効率的に冷却することができる。このエンジン10のモータリングは、走行領域の区分が初期状態に戻されるか(ステップS21)、又は、車両1の走行領域が領域A以外の領域(領域B又は領域C)に属するようになるまで継続される。
【0076】
一方、領域Aが拡大されても、ステップS11の判定の結果、車両1の走行状態が領域Aに属さない場合、すなわち領域B又は領域Cに属する場合は、ステップS14においてフラグFが「1」であると判定されて、ステップS15に進む。
【0077】
ステップS15では、現時点から遡る過去の所定時間内において早期着火が生じたか否かが判定される。早期着火の発生の有無を判定する方法は特に限定されないが、例えば、現時点から遡る過去の所定時間内におけるジェネレータ20の発電電流値の低下の有無を検出し、発電電流値の低下が検出された場合は早期着火が発生したと判定し、発電電流値の低下が検出されなかった場合は早期着火が発生しなかったと判定することができる。
【0078】
ステップS15の判定の結果、早期着火が生じた場合は、ステップS16において、ガソリン燃料が強制選択され、リーン空燃比でエンジン10が駆動される。このように、エンジン10に供給される燃料が、水素燃料よりも着火性が低いガソリン燃料に強制的に切り換えられることで、点火プラグの温度が十分に低下していない状態であっても、更なる早期着火の発生を防止することができる。しかも、空燃比がリーンに設定されることにより、一層確実に早期着火の発生を防止することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、ステップS15のようにリーン空燃比でガソリン燃料を使用する場合があるため、エンジン10の排気系には、リーン空燃比でガソリン燃料を使用した場合でも適切に排気ガスを浄化可能な触媒を設けることが好ましい。
【0080】
一方、ステップS15の判定の結果、早期着火が生じなかった場合は、ステップS17において、水素燃料が選択されたまま、リーン空燃比でエンジン10が駆動される。これにより、水素燃料を選択した乗員の意思を尊重しつつ、空燃比をリーンにすることにより、早期着火の発生を抑制することができる。
【0081】
ステップS16又はステップS17において空燃比がリーンに設定されると、続くステップS18において、空燃比をリーンにしたことにより生じる駆動力の不足分が、バッテリ40の電力でモータ60が駆動されることにより補われる。このバッテリ40の電力による駆動力の補助は、車両1の走行領域が領域Cに属する場合のみならず、領域Bに属する場合にも行われ、これにより、所望の駆動力を確実に得ることができる。
【0082】
このように空燃比をリーンにしつつバッテリ40の電力により駆動力を補助する制御(ステップS15〜ステップS18)は、走行領域の区分が初期状態に戻されるか(ステップS21)、又は、車両1の走行領域が領域Aに属するようになるまで継続される。
【0083】
最後に、ステップS3の判定の結果、乗員によりガソリン燃料が選択されている場合について説明する。
【0084】
この場合、走行領域の区分が初期状態であれば、ステップS23において、フラグFが「0」であると判定されて、走行領域に応じた通常の運転が行われる(ステップS19)。一方、領域変更期間(設定時間T1)中において、乗員による選択燃料がガソリン燃料に切り換えられた場合、ステップS23においてフラグFが「1」であると判定された後、ステップS21において、走行領域の区分が初期状態に戻される。その後、続くステップS22で、フラグFが「0」にリセットされて、走行領域に応じた通常の運転が行われる(ステップS19)。
【0085】
このように、領域Aを拡大させる走行領域の区分変更は、比較的着火性が低いガソリン燃料選択時には行われず、比較的着火性が高い水素燃料選択時のみ行われるため、早期着火の発生の抑制を図りつつ、早期着火が起こり難いガソリン燃料選択時には通常の運転を行うことができる。
【0086】
最後に、図9及び図10のタイムチャートを参照しながら、図7〜図8の制御動作が行われたときの各種要素の経時的変化の一例について説明する。
【0087】
図9のタイムチャートは、走行領域の区分が初期状態から変化しない場合の制御動作の一例を示す。
【0088】
図9に示される初期の状態は、車両1の走行状態が領域Bに属し、乗員により選択された水素燃料が使用されてエンジン10が駆動され、このエンジン10の動力を利用した発電に基づきモータ走行が行われている状態である。
【0089】
一方、図9の中期の状態は、アクセル開度が増減して断続的に閾値を下回る状態であり、アクセル開度が閾値未満であるときは、車両1の走行状態が領域Aに属することとなる。走行状態が領域Aに属する間は、エンジン10が休止されてバッテリ40の電力のみに基づくモータ走行が行われる。
【0090】
また、図9の終期の状態は、アクセル開度が閾値以上に上昇して、走行状態が再び領域Bに属することとなり、これに応じて、エンジン10の動力を利用した発電に基づきモータ走行が行われている状態である。
【0091】
これに対して、図10のタイムチャートは、途中で領域Aが拡大するように走行領域の区分が変更される場合の制御動作の一例を示す。
【0092】
図10の初期の状態は、図9の初期状態と同様であるが、アクセル開度が全開である状態が所定時間継続されることに伴い、領域Aが拡大するように走行領域の区分が変更される点で異なる。なお、図示は省略するが、全開走行の継続中に早期着火が生じたものとする。
【0093】
領域Aが拡大するように走行領域の区分が変更された直後、走行状態は領域Bに属したままである。走行状態が領域Bに属している間、エンジン10への供給燃料としてはガソリン燃料が強制的に選択され、リーン空燃比でエンジン10が駆動されるとともに、駆動力の不足分がバッテリ40の電力でモータ60が駆動されることにより補われる。
【0094】
その後、アクセル開度の減少に伴い、走行状態が領域Aに属することとなり、これに応じて、エンジン10が休止されてバッテリ40の電力に基づく走行が開始される。また、これに併せて、ジェネレータ20によるエンジン10のモータリングが開始されて、これにより、点火プラグが冷却される。
【0095】
さらにその後、アクセル開度は閾値以上に上昇し、走行状態は再び領域Bに属することとなる。これに伴い、再び、リーン空燃比でガソリン燃料を使用したエンジン10の駆動が開始され、バッテリ40の電力による駆動力の補助も併せて開始される。
【0096】
図10の終期では、領域変更期間が終了し、走行領域の区分が初期状態に戻される。これに伴い、エンジン10への供給燃料は、乗員により選択された水素燃料に戻されて、理想空燃比でエンジン10が駆動されるとともに、バッテリ40の電力による駆動力の補助は停止される。
【0097】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0098】
例えば、本発明において使用するエンジンは、上述の実施形態のようなロータリエンジン10に限られず、レシプロエンジンであってもよい。
【0099】
また、上述の実施形態では、第1の燃料として水素燃料を使用し、第2燃料としてガソリン燃料を使用する構成について説明したが、本発明は、着火性が第1燃料よりも第2燃料の方が低いという条件を満たすのであれば、第1燃料として水素燃料以外の燃料を使用したり、第2燃料としてガソリン燃料以外の燃料を使用したりすることを妨げるものでない。
【0100】
さらに、本発明は、2種類の燃料が使用されるデュアルフューエルエンジンを搭載した車両に限らず、1種類の燃料のみが使用されるエンジンを搭載した車両にも適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1:車両、10:エンジン、20:ジェネレータ、40:バッテリ、60:モータ、100:コントロールユニット、111:バッテリ電圧・電流センサ、112:燃料切換スイッチ、113:車速センサ、114:アクセル開度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源としてのエンジン及びモータと、該モータに電力を供給するバッテリとを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
車速を検出する車速検出手段と、
車両の負荷を検出する負荷検出手段と、
これらの検出手段による検出結果に基づき、走行状態が、車速が所定速度未満で且つ負荷が所定負荷未満である第1走行領域と、該第1走行領域以外の第2走行領域とのいずれに属するかを判定する判定手段と、
該判定手段により、走行状態が第1走行領域に属すると判定されたときは、前記エンジンを休止させて、前記バッテリの電力を用いたモータによる走行を行い、第2走行領域に属すると判定されたときは、前記エンジンの動力を利用した走行を行うように制御する制御手段と、
前記判定手段により走行状態が第2走行領域に属すると判定され、且つ、前記負荷検出手段により高負荷状態が所定時間継続して検出されたときに、前記第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更する領域変更手段と、が備えられていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記領域変更手段は、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更するとき、前記負荷検出手段により検出された高負荷状態の継続時間が長いほど前記第1走行領域の拡大量を大きくすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
前記領域変更手段は、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更するとき、該変更状態が維持される領域変更期間を、前記負荷検出手段により検出された高負荷状態の継続時間が長いほど長くすることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
前記バッテリの充電状態を検出する充電状態検出手段を備え、
前記領域変更手段は、第1走行領域が拡大するように走行領域の区分を変更するとき、前記充電状態検出手段により検出された前記バッテリの残充電量が所定量よりも少ない場合は、残充電量が所定量以上の場合に比べて、前記第1走行領域の拡大量を小さくし、且つ/又は、前記領域変更期間を短くすることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
前記ハイブリッド車両は、
前記エンジンの出力軸に連結され、前記バッテリを充電すると共にモータとしての作動が可能なジェネレータが備えられ、
前記モータは、該ジェネレータの発電電力または前記バッテリからの電力の少なくとも一方により駆動されるように構成され、
前記制御手段は、前記領域変更手段により第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更されており、且つ、前記判定手段により走行状態が第1走行領域に属していると判定されたとき、前記バッテリから前記ジェネレータに電力を供給することで、該ジェネレータにより前記エンジンをモータリングすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記領域変更手段により第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更されており、且つ、前記判定手段により走行状態が第2走行領域に属すると判定されたときは、空燃比がリーンとなるように前記エンジンに燃料を供給して該エンジンの動力を利用した走行を行うとともに、駆動力の不足分を前記バッテリの電力でモータを駆動することにより補うように制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項7】
前記エンジンに供給する燃料として、第1の燃料、又は、第1の燃料よりも着火性が低い第2の燃料のいずれかを選択する燃料選択手段が備えられ、
前記領域変更手段は、第1走行領域を拡大させる走行領域の区分の変更を、前記燃料選択手段により第1の燃料が選択されているときのみ実行することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記燃料選択手段により第1の燃料が選択されている場合において、前記領域変更手段により第1走行領域が拡大するように走行領域の区分が変更されたとき、前記エンジンに供給する燃料を第2の燃料に切り換えることを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−63047(P2011−63047A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212802(P2009−212802)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】