ハイブリッド車両用の充放電制御装置および当該充放電制御装置用のプログラム
【課題】走行モードとしてHVモードおよびEVモードを切り替えて走行するハイブリッド車両が、より簡易な走行モードの切り替えの制御を行うことで、外部の装置からの充電が可能な地点までの適切なバッテリ消費を実現できるようにする。
【解決手段】ナビゲーションECU20は、充電位置記録処理50によって充電可能地点を記録し、学習制御処理100によって充電可能地点付近の走行状況の履歴を記録する。さらにナビゲーションECU20は、予定系路上の目的地点が充電可能地点であった場合、SOC管理計画作成処理300によって、上記履歴に基づき、当該充電可能地点手前のEV走行可能な連続区間を決定し、走行時処理400によって、その決定に従ってHV走行とEV走行の切り替えを行う。
【解決手段】ナビゲーションECU20は、充電位置記録処理50によって充電可能地点を記録し、学習制御処理100によって充電可能地点付近の走行状況の履歴を記録する。さらにナビゲーションECU20は、予定系路上の目的地点が充電可能地点であった場合、SOC管理計画作成処理300によって、上記履歴に基づき、当該充電可能地点手前のEV走行可能な連続区間を決定し、走行時処理400によって、その決定に従ってHV走行とEV走行の切り替えを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用の充放電制御装置および当該充放電制御装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行用の動力源として内燃機関と電気モータを有するハイブリッド車両の中には、電気モータに電力を供給すると共に外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことができるバッテリを備えているものがある(例えばプラグインハイブリッド車両)。
【0003】
このようなタイプのハイブリッド車両では、低公害および省エネルギーを実現するために、次回の外部電源からの充電のときにバッテリ残量が下限値まで下がっているようにバッテリを消費したいという要請がある。他方、充電地点に到る途中でバッテリの残量が下限値となってしまうと、その後内燃機関のみによって走行しなければならなくなり、低公害および省エネルギーの実現が阻害され、かつ、車両の走行性能が低下する。
【0004】
このような目的のために、特許文献1では、目的地までの予定経路中の充電可能地点において充電を行った出発地点から充電を行う目的地点までの距離に基づいて、目的地点においてバッテリ残量がゼロとなるよう、走行中の各位置における目標バッテリ残量を設定し、その目標バッテリ残量に基づいてバッテリの電力を電気モータに供給するようになっている。
【特許文献1】特開2004−7969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のような技術によって設定された目標バッテリ残量を実現することは非常に困難である。なぜなら、目的地点までの走行方法は、走行の度に変化するので、設定に合わせるよう、内燃機関を用いた車両の駆動、モータを用いた車両の駆動、および内燃機関を用いたバッテリの充電等の実行タイミングを決定する処理が複雑になってしまうからである。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、電気モータに電力を供給すると共に外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことができるバッテリを備えたハイブリッド車両が、より簡易な内燃機関を用いた車両の駆動、モータを用いた車両の駆動、および内燃機関を用いたバッテリの充電等の実行タイミングの制御を行うことで、充電可能な地点までの適切なバッテリ消費を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用のバッテリの充放電制御装置が、当該ハイブリッド車両の走行モードを、内燃機関による動力を利用したバッテリの充電(以下、内燃充電という)を許可すると共に当該ハイブリッド車両の走行用の動力として内燃機関およびモータを使用する第1モードと、内燃充電を禁止すると共に走行用の動力として主としてモータを使用する第2モードとの間で切り替える走行時制御機能を有することである。
【0008】
さらに充放電制御装置は、バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点が記録された充電可能地点記憶媒体から、当該充電可能地点を読み出し、読み出した充電可能地点を目的地点とする予定経路中の目的地点から当該予定経路に沿って遡る連続した区間において第2モードを使用した場合のバッテリの消費電力量を、「複数の道路の走行時におけるバッテリの電力消費に影響する情報(以下、電力消費情報という)が記録された電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報」に基づいて算出し、算出した消費電力量に基づいて、当該予定経路に沿って目的地点まで第2モードの使用を続ける連続的な区間の開始地点を決定する決定機能を有する。そして、上述の走行制御機能は、この決定に従って、開始地点において、当該ハイブリッド車両の走行モードを第1モードから第2モードに切り替えるようになっている。ここで、走行状況とは、走行時の外部環境(例えば勾配)、および、走行時の車両挙動(例えば車速、電力消費量、燃料消費量)のうちいずれかおよび両方の情報をいう。
【0009】
このように、本発明の充放電制御装置は、予定経路中の開始地点から目的地点までの区間のすべてを第2モードを用いる区間として決定し、その区間において実際に第2モードを用いてバッテリ電力の消費を行うようになっている。このような、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御の実現をより容易化することができる。
【0010】
また、充放電制御装置は、予定経路上の出発地点から予定経路に沿って続く連続した区間において第2モードを使用した場合のバッテリの消費電力量を、第2記録手段が記録した履歴に基づいて算出し、算出した消費電力量に基づいて、予定経路に沿って出発地点から第2モードの使用を続ける連続的な区間の終了地点を決定するようになっていてもよい。そしてこのとき、充放電制御装置は、当該決定に従って、終了地点において、当該ハイブリッド車両の走行モードを第2モードから第1モードに切り替え、終了地点から開始地点まで第1モードを維持するようになっていてもよい。
【0011】
このように、予想経路の最初の連続区間と最後の連続区間のみにおいて、第2モードを用いるという、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御の実現をより容易化することができる。
【0012】
また、充放電制御装置は、予定経路のうち、出発地点から終了地点までの区間、および、開始地点から目的地点までの区間のみにおいて、電力消費情報記憶媒体中の電力消費情報を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっていてもよい。このようになっていることで、不必要な区間で電力消費量を算出すること、および、不必要な区間において目標バッテリ残量を設定(充電スケジュールをたてる)する無駄を解消することができる。
【0013】
また、終了地点が決定されていない場合においては、充放電制御装置は、予定経路のうち、開始地点から目的地点までの区間のみにおいて、電力消費情報記憶媒体中の電力消費情報を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっていてもよい。
【0014】
このように、上記発明における消費電力を算出するために最低限必要な範囲、すなわち、上記充電可能地点から基準距離内においてのみ、走行状況の履歴を記録することで、走行状況の履歴の記録のための処理の負担が低下し、さらに、走行状況の履歴の保存のための記憶領域のサイズを節約することができる。
【0015】
また、充放電制御装置は、電力消費情報記憶媒体中の電力消費情報に基づいて、開始地点から目的地点までの予定経路に沿った走行におけるバッテリの残量の推移を予測するようになっていてもよい。このとき充放電制御装置は、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、バッテリの残量を検出し、検出した残量が予測した推移よりも基準幅以上下回っていることに基づいて、上述の決定機能の作動を再実行するようになっていてもよい。
【0016】
このようになっていることで、前もって決定した開始地点から目的地までの第2モードを用いた走行において、予想されたバッテリの残量の推移と実際の走行におけるバッテリ残量とが大きく異なっている場合、すなわち、バッテリの消費量の予想が間違っていた場合、決定機能の再実行により、新たな開始地点が決まる。したがって、より現実に即応した柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0017】
また、充放電制御装置は、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、目的地点の変更がないままハイブリッド車両が予定経路を離脱したことに基づいて、現在位置から目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該新たな予想経路について、決定機能の作動を再実行するようになっていてもよい。
【0018】
このようになっていることで、ハイブリッド車両が予定経路を離脱した場合、その後の目的地点までの予想経路も変化するので、上記のように再度決定機能を実行することで、目的地までの新たな経路における新たな第2モードの開始地点が決定する。したがって、ハイブリッド車両の予想経路からの逸脱という例外的な事態においても、その事態に対応して柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0019】
また、充電可能地点記憶媒体は、バッテリが外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な他の充電可能地点を記憶していてもよい。この場合、充放電制御装置は、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、目的地点の変更があった場合、変更後の目的地点が当該他の充電可能地点であることに基づいて、現在位置から当該目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該変更後の目的地点および当該新たな予想経路について、決定機能の作動を再実行するようになっていてもよい。
【0020】
このようになっていることで、目的地点が変化した場合、新たな目的地点までの予想経路も変化するので、上記のように再度決定機能を実行することで、目的地までの新たな経路における新たな第2モードの開始地点が決定する。したがって、ハイブリッド車両の予想経路からの逸脱という例外的な事態においても、その事態に対応して柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0021】
また、充放電制御装置は、バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点を、充電可能地点記憶媒体に記録するようになっていてもよい。このようになっていることで、充電可能地点の変更が容易になる。
【0022】
また、充放電制御装置は、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を、電力消費情報記憶媒体に記録するようになっていてもよい。
【0023】
このようになっていることで、予定経路上のある一点から目的地点までの予定経路に沿った連続区間における電力消費量は、過去の当該区間を走行したときのバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を用いた学習処理によって決定すれば、算出する電力消費量が、より正確になる。
【0024】
また、充放電制御装置は、ハイブリッド車両が充電可能地点から基準距離内にいることに基づいて、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を記録し、ハイブリッド車両が充電可能地点から基準距離外にいることに基づいて、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時における前記バッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を記録しないようになっていてもよい。
【0025】
なお、上記の発明の各特徴は、そのような特徴を実現するためのプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。このハイブリッド車両には、エンジン1、オルタネータ2、モータ3、差動装置4、タイヤ5a、タイヤ5b、インバータ6、DCリンク7、インバータ8、バッテリ9、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、およびナビゲーションECU20が搭載されている。
【0027】
このハイブリッド車両は、エンジン1およびモータ3を動力源として走行する。エンジン1を動力源とする場合は、エンジン1の回転力が、図示しないクラッチ機構および差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。また、モータ3を動力源とする場合は、バッテリ9の直流電力がDCリンク7およびインバータ8を介して交流電力に変換され、その交流電力によってモータ3が作動し、このモータ3の回転力が、差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。
【0028】
また、エンジン1の回転力はオルタネータ2にも伝えられ、その回転力によってオルタネータ2が交流電力を生成し、生成された交流電力はインバータ6、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される場合がある。このようなバッテリ9への充電は、燃料を使用したエンジン1の作動による充電である。以下、この種の充電を、内燃充電という。
【0029】
また、図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ3に回転力として加わり、この回転力によってモータ3が交流電力を生成し、生成された交流電力がインバータ8、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。以下、この種の充電を、回生充電という。
【0030】
また、バッテリ9は、ハイブリッド車両の外部の電源(例えば、家庭用コンセントを介して供給される電源)に接続されることで、その外部電源から電力供給を受け、受けた電力を蓄積する。以下、この種の充電を、プラグイン充電という。
【0031】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20からの指令等に応じて、オルタネータ2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9の上述のような作動の実行・非実行等を制御する。HV制御部10は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現してもよいし、下記のような機能を実現するための専用の回路構成を有するハードウェアであってもよい。
【0032】
より具体的には、HV制御部10は、現在SOC、基準SOC、下限SOCという3つの値を記憶しており、また、以下の(A)〜(E)の処理を行う。
(A)プラグイン充電開始時に、その開始の旨をナビゲーションECU20に通知する。
(B)ナビゲーションECU20からの指令に基づいて、ハイブリッド車両の走行モードをHVモード(第1モードの一例に相当する)とEVモード(第2モードの一例に相当する)の間で切り替える。
(C)定期的に現在SOCをナビゲーションECU20に通知する。
(D)ナビゲーションECU20からの要求があった場合、基準SOC、下限SOCをナビゲーションECU20に通知する。
(E)ナビゲーションECU20からの要求があった場合、基準SOCの値を変化させる。
【0033】
SOC(State of Charge)とは、バッテリの残量を表す指標であり、その値が高いほど残量を多い。現在SOCは、現在のバッテリ9のSOCを示す。HV制御部10は、この現在SOCの値を、逐次バッテリ9の状態を検出することで、繰り返し更新する。基準SOCは、HVモード時に用いる値(例えば60パーセント)である。この値は、ナビゲーションECU20からの制御によって変更可能である。下限SOCは、これ以上低下することが許されないSOCの値(例えば30パーセント)である。
【0034】
ここで、HVモードおよびEVモードについて説明する。HVモードにおいてHV制御部10は、ハイブリッド車両の走行中、現在SOCが基準SOCの値を維持するよう、エンジン1による車両の駆動、モータ3による車両の駆動、内燃充電、および回生充電のそれぞれについての実行・非実行を切り替える。例えば、現在SOCが基準SOCを下回った場合には、内燃充電を用いることで、燃料のエネルギーをバッテリの電力エネルギーに変換する。このように、必要に応じて内燃充電を実行するという点で、HVモードは、内燃充電を許容する走行モードである。このHVモードの制御の内容は周知であるので、ここではその詳細については説明しない。
【0035】
EVモードにおいてHV制御部10は、エンジン1とモータ3のうち、主としてモータ3を用いてハイブリッド車両を駆動する。例えば、ハイブリッド車両の加速度または速度が高すぎて、モータ3だけでその加速度または速度を達成しようとするとモータ3が損傷を受ける可能性が高いような場合にのみ、エンジン1をモータ3と併用してハイブリッド車両を駆動し、他の場合は常にモータ3だけでハイブリッド車両を駆動するようになっていてもよい。また、HV制御部10は、EVモードにおいては、回生充電は許可しても、内燃充電は許可しない。これは、EVモードの目的の1つに、バッテリ9の現在SOCを低下させることがあるためである。
【0036】
GPSセンサ11、方位センサ12、および車速センサ13は、それぞれハイブリッド車両の位置、進行方向、走行速度を特定する周知のセンサである。地図DB記憶部14は、地図データを記憶する記憶媒体である。加速度センサ15は車両の加速度を特定する周知のセンサである。勾配(傾斜角)は車速センサと加速度センサを利用し算出する。
【0037】
地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応するノードデータ、および、交差点と交差点を結ぶ道路区間すなわちリンクのそれぞれに対応するリンクデータを有している。1つのノードデータは、当該ノードの識別番号、所在位置情報、種別情報を含む。また、1つのリンクデータは、当該リンクの識別番号(以下、リンクIDという)、位置情報、種別情報等を含んでいる。
【0038】
ここで、リンクの位置情報には、当該リンクが含む形状補完点の所在位置データ、および、当該リンクの両端のノードおよび形状補完点のうち隣り合う2つを繋ぐセグメントのデータを含んでいる。各セグメントのデータは、当該セグメントのセグメントID、当該セグメントの勾配、向き、長さ等の情報を有している。
【0039】
図2に示す様に、ナビゲーションECU20は、RAM21、ROM22、データ書き込み可能な耐久記憶媒体23、および制御部24を有している。耐久記憶媒体とは、ナビゲーションECU20の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体23としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。
【0040】
制御部24は、ROM22または耐久記憶媒体23から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM21、ROM22、および耐久記憶媒体23から情報を読み出し、RAM21および耐久記憶媒体23に対して情報の書き込みを行い、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14等と信号の授受を行う。
【0041】
具体的には、制御部24は、ナビゲーション処理40、充電位置記録処理50、学習制御処理100、経路算出処理200、SOC管理計画作成処理300、走行時処理400等の処理を、所定のプログラムを実行することで実現する。
【0042】
ナビゲーション処理40において、制御部24は、経路算出処理200によって確定した目的地点までの経路(以下、予定経路という)に沿ってハイブリッド車両を走行させるためのガイド表示を、ドライバに対して行う処理である。
【0043】
充電位置記録処理50において、制御部24は、HV制御部10からプラグイン充電開始の通知を受ける度に、その時点においてGPSセンサ11から受けている現在位置を、充電可能地点として、耐久記憶媒体23に記録する。あるいは、制御部24は、車両が停止する度に、その時点においてGPSセンサ11から受けている現在位置を、充電可能地点として、耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。またこのとき、充電可能地点を、その地点が属するセグメントに関連付けて、耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。なお、充電可能地点とセグメントとの対応付け、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで実現することができる。このような処理が、プラグイン充電を行った複数の地点で実行されることで、複数の充電可能地点の情報が耐久記憶媒体23に記録されることになる。
【0044】
学習制御処理100において、制御部24は、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリ9の電力消費に影響する走行状況の履歴を、セグメント毎に、耐久記憶媒体23に記録する。図3に、学習制御処理100のフローチャートを示す。なお、この処理においては、同じセグメントでも走行方向が違えば異なるセグメントであるとして扱う。
【0045】
制御部24は、この図に示す学習制御処理100を繰り返し実行し、その繰り返しの各回において、まずステップ110で、現在の走行状況の情報を取得する。走行状況とは、走行時の外部環境、および、走行時の車両挙動のうちいずれかまたは両方の情報をいう。走行状況の情報として取得する情報は、例えば、現在走行中のリンクのリンクID、現在走行中のセグメントのセグメントID、現在の車両の向き、現在の車両の速度、現在位置における路面勾配、当該リンクの道路種別、当該セグメントにおける消費電気量等を含む。
【0046】
ここで、リンクID、セグメントIDは、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで特定することができる。また、車両の向きは方位センサ12から取得できる。また、現在の車両の速度は車速センサ13から取得できる。また、当該道路の勾配としては、地図データ中の当該リンク中のセグメントの勾配の情報を用いて取得してもよいし、車速センサと加速度センサの出力を利用し算出てもよい。また、当該道路の道路種別は、地図データから取得する。また、当該リンク内における走行距離は、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで特定してもよいし、車速センサの出力を利用して算出してもよい。
【0047】
続いてステップ130で、現在位置が充電可能地点の周辺であるか否かを判定する。現在位置が充電可能地点の周辺であるか否かは、GPSセンサ11から取得した現在位置が、充電位置記録処理50によって記録された充電可能地点のいずれかから基準距離以内にあるか否かによって判定してもよい。この基準距離は、あらかじめ記憶された一定値であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。現在位置が充電可能地点の周辺であれば続いてステップ140を実行し、そうでなければ学習制御処理100の1回分の実行を終了する。
【0048】
ステップ140では、既存学習情報の読み出しを行う。具体的には、ステップ110で取得したセグメントIDについての走行状況の履歴情報が、耐久記憶媒体23にあれば、それを読み出す。
【0049】
続いてステップ150では、ステップ140で読み出した当該セグメントの情報と、ステップ110で新たに取得した当該セグメントの走行状況の情報とを組み合わせて最適化する。最適化としては、例えば、読み出した情報と新たに取得した情報の平均を算出する方法を採用してもよい。なお、ステップ140で、当該セグメントについての走行状況の履歴がなかった場合には、ステップ150では、ステップ110で取得したデータそのものを最適化されたデータとする。最適化された走行状況データは、セグメントIDが含まれているので、道路と、その道路における走行状況の情報とが紐付けられたデータである。
【0050】
続いてステップ160では、最適化されたデータを、当該セグメントについての新たな走行状況の履歴、すなわち学習情報として、耐久記憶媒体23に記録する。ステップ160の後、学習制御処理100の1回分の実行が終了する。
【0051】
このような学習制御処理100を実行することで、充電可能地点周辺のセグメントのそれぞれについての走行状況の履歴が耐久記憶媒体23に記録されることになる。図4に、耐久記憶媒体23に記録される走行状況の履歴のテーブルの一例を、当該履歴に紐付けられた道路と併せて示す。
【0052】
この走行状況の履歴のテーブルにおいては、ノード21、補完形状点25、補完形状点26、ノード22の間に挟まれたセグメント31〜33について、当該セグメントを走行したときの車速、そのセグメントの路面勾配が記録されている。これらの情報は、当該セグメントの走行時におけるバッテリ9の電力消費に影響する。すなわち、路面勾配が上り方向に急であればあるほど、車速が大きければ大きいほど、エンジン負荷が高まるので、そのセグメントの電力消費量は高い。
【0053】
また、充電位置記録処理50によって記録された充電可能地点が存在するセグメント33については、当該セグメント33が充電可能地点を含む旨の情報も当該テーブルに記録されるようになっている。
【0054】
図5に、経路算出処理200のフローチャートを示す。制御部24は、経路算出処理200の処理を、目的地点が決定する度に実行する。ここで、目的地点の決定は、操作装置を用いたユーザの入力操作に基づいて制御部24が決定してもよいし、過去の走行履歴に基づいて制御部24が決定してもよい。
【0055】
この経路算出処理200の1回分の実行において、制御部24は、まずステップ210で、現在位置(出発地点の一例に相当する)から当該目的地点までの最適な予定経路を、地図データ等に基づいて確定する。
【0056】
続いてステップ220では、目的地点が充電可能地点であるか否かを、目的地点の位置と、耐久記憶媒体23に記録された充電可能地点の位置とを比較することで判定する。そして、目的地点が充電可能地点であれば、続いてステップ230を実行し、そうでなければ経路算出処理200の1回分の実行を終了する。ステップ230では、現在SOCの情報をHV制御部10に要求し、その要求に応じてHV制御部10から送信された現在SOCの情報を受信する。
【0057】
続いてステップ240では、予定経路上の目的地点周辺の部分、すなわち、目的地点から予定経路に沿って遡る連続した区間(以下、判定区間という)内のセグメントにおける走行状況の履歴、すなわち学習情報を、耐久記憶媒体23から読み出す。判定区間は、当該目的地から上述の基準距離以内にある区間であってもよい。
【0058】
続いてステップ250では、ステップ230および240で取得した情報に基づいて、SOC管理計画作成処理300の実行を呼び出す。このようになっていることで、制御部24は、目的地点までの予定経路を確定すると、その目的地点が充電可能地点であれば、SOC管理計画作成処理300を実行する。
【0059】
図6に、このSOC管理計画作成処理300のフローチャートを示す。このSOC管理計画作成処理300の処理においては、HV走行時に維持されているSOC(例えば60パーセント)とSOCに許される値の下限値(例えば40パーセント)の間で利用可能な電気エネルギーを算出し、その電気エネルギーで目的地点まで走り切れる区間(以下、EVフィニッシュ区間という)を、判定区間内における学習情報に基づいて特定する。
【0060】
具体的には、まずステップ310で、判定区間の各セグメントにおいて、当該セグメントを走行した場合にどれだけの量の電力消費があるか、すなわち当該セグメントにおける予想電気消費量を、当該セグメントについての学習情報から算出する。なお、消費電力の算出の方法については周知であるので、ここではその詳細については説明しない。続いてステップ320では、HV制御部10から取得した現在SOCから下限SOCを減算した結果を、使用可能電気量として設定する。なお、下限SOCは、現在SOCの受信と同時にHV制御部10に要求することでHV制御部10から受信するようになっていてもよいし、他のタイミングでHV制御部10に要求することでHV制御部10から受信するようになっていてもよい。
【0061】
続いてステップ330〜360においては、目的地点から予想経路を遡る方向の順に(ステップ350)、セグメントをピックアップして当該セグメントにおける予想電気消費量を順次積算していく(ステップ330、360)。そして、その積算の結果が使用可能電気量と(所定の許容誤差内で)同じになったとき(ステップ340)、その時点で最後にピックアップしているセグメントのうち、目的地点から最も遠い位置を、EVフィニッシュ区間の開始地点とする(ステップ370)。
【0062】
続いて、当該EVフィニッシュ区間におけるSOC管理計画を作成する(ステップ380)。具体的には、当該開始地点でHVモードからEVモードに切り替わり、その後EVモードが目的地点まで続く場合の、EVフィニッシュ区間におけるSOCの推移の予想を、学習情報に基づいて特定する。図7にこのようなSOCの推移の予想の一例をグラフで示す。この予想されたSOCの推移の各点における値を、目標SOCという。ステップ380の後、SOC管理計画作成処理300の1回分の実行を終了する。
【0063】
以上のようなSOC管理計画作成処理300の実行によって、目的地点までの予想経路において、目的地までEVモードを継続する区間の開始地点を特定することができる。このように、本実施形態においては、学習情報は、当該EVフィニッシュ区間の決定、および当該EVフィニッシュ区間における管理計画の決定のためのみに用いられ、それ以外の予想経路上の区間のためには用いられない。そして、本実施形態においては、EVフィニッシュ区間以外の全区間において、走行モードはHVモードとなっている。
【0064】
図8に、走行時処理400のフローチャートを示す。制御部24は、目的地点および目的地点までの予想経路が決定しており、かつ、当該予想経路についてSOC管理計画作成処理300が実行されており、かつ、ナビゲーション処理40が当該予想経路のガイド表示を行っており、かつ、ハイブリッド車両が走行しているときに、この走行時処理400を実行する。
【0065】
この走行時処理400の実行において、制御部24は、まずステップ410で、エコ制御支援情報として、現在位置等をHV制御部10に送信する。続いてステップ420では、HV制御部10から逐次送信されている現在SOCを受信する。続いてステップ430では、受信した現在SOCに基づいてSOC管理計画(すなわち、EVフィニッシュ区間の開始地点およびEVフィニッシュ区間における電気消費量の推移)を補正するために、再度SOC管理計画作成処理300を実行する。続いてステップ440で、ハイブリッド車両がEVフィニッシュ区間の開始地点に到達したか否かを判定し、まだ到達していなければ再度ステップ410を実行し、到達していれば続いてステップ450を実行する。したがって、制御部24は、自車両が開始地点に到達するまでは、現在SOCに基づくSOC管理計画の微調整が繰り返される。
【0066】
HVモードにおいては、HV制御部10は、SOCが基準SOCと同じ値になるように、エンジン1による車両の駆動、モータ3による車両の駆動、回生充電、内燃充電を適宜行うが、現実の現在SOCの値は常に基準SOCに一致するわけではなく、時々刻々と変動する。現在SOCの値が高くなればEVフィニッシュ区間の距離も長くなり、現在SOCの値が低くなればEVフィニッシュ区間の距離も短くなる。したがって、現在SOCの変動に合わせてEVフィニッシュ区間の開始地点をくり返し再計算することで、EVフィニッシュ区間の開始地点における現在SOCと目標SOCとがより正確に一致し、ひいては、目的地点でより正確に現在SOCを下限SOCまで下げることができるようになる。
【0067】
ステップ450では、EV走行開始通知をHV制御部10に送信する。これによって、HV制御部10は、走行モードをHVモードからEVモードに切り替える。続いてステップ452では、エコ制御支援情報として、現在SOC、および、現在位置に対応する目標SOCを、HV制御部10に送信する。続いてステップ454では、HV制御部10から現在SOCを受信する。
【0068】
続いてステップ460では、ハイブリッド車両が目的地点に到達したか否かをGPSセンサ11からの信号に基づいて判定し、到達するまでこのステップ460を繰り返し、到達するとステップ470を実行する。ステップ470では、HV制御部10にEV走行停止通知を送信する。これによって、HV制御部10は走行モードをEVモードからHVモードに切り替える。
【0069】
以上のように、走行時処理400を実行することで、制御部24は、まずEVフィニッシュ区間の手前のHV走行区間において(ステップ440参照)、HV制御部10から逐次受けた現在SOCに基づいて(ステップ420参照)、SOC管理計画を補正する(ステップ430参照)。そして制御部24は、EVフィニッシュ区間の開始地点にハイブリッド車両が到達すると(ステップ440参照)、HV制御部10にEVモードを開始させる(ステップ450参照)、その後、ハイブリッド車両が目的地点に到着したときに(ステップ460参照)、HV制御部10のEVモードを終了させる(ステップ470参照)。したがって、EVフィニッシュ区間の開始位置において、走行モードがHVモードからEVモードに切り替わり、その後目的地点到着までEVモードが続く。
【0070】
制御部24は、充電位置記録処理50によって充電可能地点を記録し、学習制御処理100によって充電可能地点付近の走行状況の履歴を記録する。さらに制御部24は、予定系路上の目的地点が充電可能地点であった場合(経路算出処理200のステップ220参照)、SOC管理計画作成処理300によって当該充電可能地点手前のEV走行可能な連続区間を決定し、走行時処理400によってその決定に従ってHV走行とEV走行の切り替えを行うべくHV制御部10を制御する。
【0071】
以上のように、ナビゲーションECU20は、EVフィニッシュ区間の開始地点から目的地点までの区間のすべてをEVモードを用いる区間として決定し、その区間において実際にEVモードを用いてバッテリ電力の消費を行うようになっている。このような、HVモードの区間を1つにまとめてEVフィニッシュ区間の前に配置するという、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御を容易に実現できる。
【0072】
また、開始地点の決定は、予定経路上のある一点から目的地点までの予定経路に沿った連続区間における電力消費量を利用して実現する。そして、この電力消費量は、過去の当該区間を走行したときのバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を用いた学習処理によって決定するようになっている。このようにすることで、算出する電力消費量が、より道路および当該ハイブリッド車両の実体に即したものとなり、ひいては、より正確に、目的地点でバッテリ残量を下限値に低下させることができる。
【0073】
また、ナビゲーションECU20は、ハイブリッド車両が充電可能地点から基準距離内にいるときに、走行状況の履歴の情報を記録し、ハイブリッド車両が充電可能地点から基準距離外にいるときに、走行状況の履歴の情報を記録しない。
【0074】
このように、判定区間における消費電力を算出するために最低限必要な範囲においてのみ、走行状況の履歴を記録することで、走行状況の履歴の記録のための処理の負担が低下し、さらに、走行状況の履歴の保存のための記憶領域のサイズを節約することができる。
【0075】
また、ナビゲーションECU20は、予定経路のうち、EVフィニッシュ区間のみにおいて、学習情報を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっている。このようになっていることで、予想経路のすべてにおいて学習情報を用いる場合に比べて、ナビゲーションECU20の処理負荷が低減する。
【0076】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、第1実施形態においては、目的地点までの予想経路のうち、出発地点からEVフィニッシュ区間の開始地点までの全区間の走行モードがHVモードであるのに対し、本実施形態においては、図9に示すように、出発地点91からEVフィニッシュ区間の開始地点93までの区間のうち、出発地点91からある地点(以下、終了地点という)92までは走行モードがEVモードであり、当該終了地点92からEVフィニッシュ区間の開始地点93までは走行モードがHVモードとなっている点である。
【0077】
このような作動を実現するために、制御部24は、SOC管理計画作成処理300において、予定経路上の出発地点91から予定経路に沿って続く連続した区間においてEVモードを使用した場合のバッテリの消費電力量を、当該区間における学習情報に基づいて算出する。ここで、出発地点91から予定経路に沿って続く連続した区間としては、予定経路上の、当該出発地点91から基準距離内にある区間とする。そして、学習制御処理100において、制御部24は、当該区間内においても学習情報を耐久記憶媒体23に記録する。
【0078】
また、制御部24は、SOC管理計画作成処理300において、算出した消費電力量に基づいて、予定経路に沿って出発地点91からEVモードの使用を続ける連続的な区間の終了地点92を決定するようになっていてもよい。具体的には、現在SOCから基準SOCを減算した値が所定量以上であるとき、その減算結果を消費可能電気量とし、出発地点91から予想経路に沿ってセグメントをピックアップして、当該セグメントにおける予想電気消費量を順次積算していく。そして、その積算の結果が当該使用可能電気量と(所定の許容誤差内で)同じになったとき、その時点で最後にピックアップしているセグメントのうち、出発地点91から最も遠い位置を、終了地点92とする。なお、現在SOCから基準SOCを減算した値が所定量以上であるときとしては、例えば、現在プラグイン充電が完了してすぐの状態である場合等がある。
【0079】
また、制御部24は、当該決定に従って、終了地点92において、当該ハイブリッド車両の走行モードをEVモードからHVモードに切り替えるようHV制御部10を制御し、終了地点92から開始地点93までHVモードを維持するようHV制御部10を制御する。
【0080】
このように、予想経路の最初の連続区間と最後の連続区間のみにおいてEVモードを用いるという、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御の実現をより容易化することができる。
【0081】
また、制御部24は、予定経路のうち、出発地点91から終了地点92までの区間、および、開始地点93から目的地点94までの区間のみにおいて、学習制御処理100によって記録した履歴を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっている。このようになっていることで、不必要な区間で電力消費量を算出することによる無駄を解消することができる。
【0082】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、本実施形態の制御部24が、走行時処理400に代えて図10に示す走行時処理400´を実行することである。この走行時処理400´と図8の走行時処理400とが異なる点は、本実施形態における走行時処理400´においては、ステップ454の直後、ステップ460の直前に、ステップ455の例外処理が実行されることである。例外処理は、SOC管理計画を変更する必要の発生の有無を判定し、必要が発生した場合にはSOC管理計画を再度作成するための処理である。
【0083】
図11に、455の例外処理の詳細のフローチャートを示す。制御部24は、この例外処理において、まずステップ530で、直前に受信した現在SOCと、現在位置に対応する目標SOCとを比較し、その乖離が基準幅より大きいか否か、より詳しくは、現在SOCが当該目標SOCを基準幅を超えて下回っているか否かを判定する。判定結果が肯定的な場合、続いてステップ560を実行し、否定的な場合続いてステップ540を実行する。なお、基準幅は、あらかじめ記憶された一定値であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。-
ステップ540では、ハイブリッド車両が予想経路を離脱したか否かを判定し、離脱していなければ続いてステップ550を実行し、離脱していれば目的地点までの新たな予想経路を算出した後続いてステップ560を実行する。ステップ550では、目的地点が変更になったか否かを判定し、変更になっていれば続いてステップ590を実行し、変更になっていなければ、例外処理を抜けてステップ460を続いて実行する。目的地が変更される場合としては、例えば、乗員が操作装置を用いて新たな目的地点を入力した場合がある。
【0084】
したがって、目標SOCと現在SOCとの乖離が基準幅以上でなく、ハイブリッド車両が予定経路を離脱しておらず、目的地も変更していない場合、ステップ530、540、550、460、452、454の処理がこの順で繰り返される。
【0085】
そして、目標SOCと現在SOCとの乖離が基準幅を超えるか、または、ハイブリッド車両が予定経路を離脱した場合は、制御部24は、まずステップ560で、EV走行を停止する旨の通知と、基準SOCの値に現在SOCの値を代入する旨の通知を、HV制御部10に送信する。これによって、HV制御部10は、走行モードをHVモードに戻すと共に、基準SOCの値に現在SOCの値を代入する。これによって、HV制御部10は、現状のSOCの値を維持するように、エンジン1、モータ3等を制御するようになる。
【0086】
さらにステップ570で、図5のステップ240と同じ処理を行うことで、予想経路上の目的地点周辺に紐付いた学習情報を読み出し、さらにステップ580で、SOC管理計画作成処理300の実行を呼び出す。ステップ580の後、続いて走行時処理400´のステップ410およびそれ以降を実行する。
【0087】
このように、予定経路上のEVフィニッシュ区間の走行中に、バッテリの残量を検出し、検出した残量が予測した推移よりも基準幅以上下回っていることに基づいて、SOC管理計画作成処理300を再実行することで、前もって決定したEVフィニッシュ区間におけるEVモードを用いた走行において、予想されたバッテリの残量の推移と実際の走行におけるバッテリ残量とが大きく異なっている場合、すなわち、バッテリの消費量の予想が間違っていた場合、新たなEVフィニッシュ区間が決まる。したがって、より現実に即応した柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0088】
また、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、目的地点の変更がないままハイブリッド車両が予定経路を離脱したことに基づいて、SOC管理計画作成処理300を再実行することで、新たなEVフィニッシュ区間が決まる。したがって、ハイブリッド車両の予想経路からの逸脱という例外的な事態においても、より現実に即応した柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0089】
そして、これら、目標SOCと現在SOCの乖離、予定経路からの離脱という例外においては、新たなEVフィニッシュ区間にハイブリッド車両が入るまでは、HVモードにおいて、その例外が発生したときのSOCを維持するようにする。これは、上記のような、目的地点の変化がない例外の場合には、目的地点にもうすぐ到着する可能性が高い場合が多いので、SOCを上げすぎて燃料を無駄遣いしないようにしたいという考えに基づく作動である。
【0090】
また、目的地の変更という例外が発生した後のステップ590では、EV走行を停止する旨の通知と、基準SOCの値にデフォルトSOCの値(例えば60パーセント)を代入する旨の通知を、HV制御部10に送信する。これによって、HV制御部10は、走行モードをHVモードに戻すと共に、基準SOCの値にデフォルトSOCの値を代入する。デフォルトSOCとは、基準SOCのデフォルト値をいう。HV制御部10は、このデフォルトSOCの値も記憶している。これによって、HV制御部10は、通常の基準SOCの値を維持するように、エンジン1、モータ3等を制御するようになる。続いてステップ595では、新たな目的地点について図5に示した経路算出処理200を再度実行し、その実行後、走行時処理400´のステップ410およびそれ以降を実行する。
【0091】
このように、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、目的地点の変更があった場合、変更後の目的地点が他の充電可能地点であることに基づいて、現在位置から当該目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該変更後の目的地点および当該新たな予想経路について、SOC管理計画が再作成される。
【0092】
目的地点が変化した場合、新たな目的地点までの予想経路も変化するので、上記のように再度決定機能を実行することで、目的地までの新たな経路における新たなEVモードの開始地点が決定する。したがって、ハイブリッド車両の予想経路からの逸脱という例外的な事態においても、その事態に対応して柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0093】
そして、この目的地点変更という例外においては、新たなEVフィニッシュ区間にハイブリッド車両が入るまでは、HVモードにおいて、デフォルトの基準SOC(この場面においては現在SOCよりも高い)を維持するようにする。これは、上記のような、目的地点の変化がある例外の場合には、目的地点にもうすぐ到着する可能性が高いとは言えないという考えに基づく作動である。
【0094】
なお、上記の実施形態において、ナビゲーションECU20が、充放電制御装置の一例に相当する。また、制御部24が走行時処理400を実行することで、走行時制御手段の一例として機能し、充電位置記録処理50を実行することで第1記録手段の一例として機能し、学習制御処理100を実行することで第2記録手段の一例として機能し、SOC管理計画作成処理300を実行することで決定手段の一例として機能する。また、耐久記憶媒体23のうち、充電可能地点の情報が記録されている部分が、充電可能地点記憶媒体の一例に相当する。また、耐久記憶媒体23のうち、学習制御処理100によって記録された履歴が記録されている部分が、電力消費情報記憶媒体の一例に相当する。また、地図DB記憶部の有する記憶媒体が、電力消費情報記憶媒体の一例に相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0095】
例えば、制御部24は、走行モードがHVモードとなっている区間においても、学習情報を用いてHVモードの範囲内の、エンジン1、モータ3、内燃充電の実行タイミングの計画を算出するようになっていてもよい。
【0096】
また、上記のステップ240、570においては、判定区間内のセグメントにおける走行状況の履歴、すなわち学習情報を、耐久記憶媒体23から読み出し、これをSOC管理計画作成処理300にて電力消費情報として用いるようになっている。しかし、上記のステップ240、570においては、判定区間内のセグメントにおける地図データを読み出し、読み出したデータを、SOC管理計画作成処理300にて、電力消費情報として用いるようになっていてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態においては、消費電気量の算出の単位、SOC管理計画の作成の単位、充電可能地点との関連付けの対象が、セグメントとなっているが、これらの対象はリンクであってもよい。
【0098】
また、充電可能地点は、実際に充電した位置のみならず、あらかじめ記憶されている充電可能地点であってもよいし、ユーザが設定した充電可能地点であってもよい。
【0099】
また、HV制御部10は、プラグイン充電を行った直後は、現在SOCが基準SOCに落ちるまで、EVモードを使用するようになっていてもよい。このような作動を第1実施形態に適用すれば、制御部24があらかじめSOC管理計画作成処理300において終了地点92を決定しておかなくとも、図9に示したようなEVモード→HVモード→EVモードへの切り替えが実現する。
【0100】
また、制御部24は、目的地点の変更がないまま、SOC管理計画作成処理300の再実行が基準回数(例えば5回)以上繰り返された場合、それ以降は、目的地までHV走行を続けるようにHV制御部10を制御してもよい。このようにすることで、SOC管理計画作成処理が有効でない状況において、当該処理を無駄に続けてしまうことを防止することができる。
【0101】
また、上記の実施形態において、制御部24がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成を概略的に示す図である。
【図2】ナビゲーションECU20の構成および外部との接続関係を示すブロック図である。
【図3】学習制御処理100のフローチャートである。
【図4】セグメント毎の走行状況の履歴の一例を示す図表である。
【図5】経路算出処理200のフローチャートである。
【図6】SOC管理計画作成処理300のフローチャートである。
【図7】SOC管理計画作成処理300によって予想された、EV走行時におけるSOCの変化の推移を示すグラフである。
【図8】走行時処理400のフローチャートである。
【図9】第2実施形態におけるSOC管理計画の一例を示す図である。
【図10】走行時処理400´のフローチャートである。
【図11】例外処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1…エンジン、2…オルタネータ、3…モータ、4…差動装置、5a、5b…タイヤ、
6…インバータ、7…DCリンク、8…インバータ、9…バッテリ、
10…HV制御部、11…GPSセンサ、12…方位センサ、13…車速センサ、
14…地図DB記憶部、20…ナビゲーションECU、21…RAM、22…ROM、
23…耐久記憶媒体、24…制御部、21、22…ノード、25、26…補完形状点、
31〜33…セグメント、40…ナビゲーション処理、50…充電位置記録処理、
91…出発地点、92…終了地点、93…開始地点、94…目的地点、
100…学習制御処理、200…経路算出処理、300…SOC管理計画作成処理、
400、400´…走行時処理。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用の充放電制御装置および当該充放電制御装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行用の動力源として内燃機関と電気モータを有するハイブリッド車両の中には、電気モータに電力を供給すると共に外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことができるバッテリを備えているものがある(例えばプラグインハイブリッド車両)。
【0003】
このようなタイプのハイブリッド車両では、低公害および省エネルギーを実現するために、次回の外部電源からの充電のときにバッテリ残量が下限値まで下がっているようにバッテリを消費したいという要請がある。他方、充電地点に到る途中でバッテリの残量が下限値となってしまうと、その後内燃機関のみによって走行しなければならなくなり、低公害および省エネルギーの実現が阻害され、かつ、車両の走行性能が低下する。
【0004】
このような目的のために、特許文献1では、目的地までの予定経路中の充電可能地点において充電を行った出発地点から充電を行う目的地点までの距離に基づいて、目的地点においてバッテリ残量がゼロとなるよう、走行中の各位置における目標バッテリ残量を設定し、その目標バッテリ残量に基づいてバッテリの電力を電気モータに供給するようになっている。
【特許文献1】特開2004−7969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のような技術によって設定された目標バッテリ残量を実現することは非常に困難である。なぜなら、目的地点までの走行方法は、走行の度に変化するので、設定に合わせるよう、内燃機関を用いた車両の駆動、モータを用いた車両の駆動、および内燃機関を用いたバッテリの充電等の実行タイミングを決定する処理が複雑になってしまうからである。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、電気モータに電力を供給すると共に外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことができるバッテリを備えたハイブリッド車両が、より簡易な内燃機関を用いた車両の駆動、モータを用いた車両の駆動、および内燃機関を用いたバッテリの充電等の実行タイミングの制御を行うことで、充電可能な地点までの適切なバッテリ消費を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用のバッテリの充放電制御装置が、当該ハイブリッド車両の走行モードを、内燃機関による動力を利用したバッテリの充電(以下、内燃充電という)を許可すると共に当該ハイブリッド車両の走行用の動力として内燃機関およびモータを使用する第1モードと、内燃充電を禁止すると共に走行用の動力として主としてモータを使用する第2モードとの間で切り替える走行時制御機能を有することである。
【0008】
さらに充放電制御装置は、バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点が記録された充電可能地点記憶媒体から、当該充電可能地点を読み出し、読み出した充電可能地点を目的地点とする予定経路中の目的地点から当該予定経路に沿って遡る連続した区間において第2モードを使用した場合のバッテリの消費電力量を、「複数の道路の走行時におけるバッテリの電力消費に影響する情報(以下、電力消費情報という)が記録された電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報」に基づいて算出し、算出した消費電力量に基づいて、当該予定経路に沿って目的地点まで第2モードの使用を続ける連続的な区間の開始地点を決定する決定機能を有する。そして、上述の走行制御機能は、この決定に従って、開始地点において、当該ハイブリッド車両の走行モードを第1モードから第2モードに切り替えるようになっている。ここで、走行状況とは、走行時の外部環境(例えば勾配)、および、走行時の車両挙動(例えば車速、電力消費量、燃料消費量)のうちいずれかおよび両方の情報をいう。
【0009】
このように、本発明の充放電制御装置は、予定経路中の開始地点から目的地点までの区間のすべてを第2モードを用いる区間として決定し、その区間において実際に第2モードを用いてバッテリ電力の消費を行うようになっている。このような、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御の実現をより容易化することができる。
【0010】
また、充放電制御装置は、予定経路上の出発地点から予定経路に沿って続く連続した区間において第2モードを使用した場合のバッテリの消費電力量を、第2記録手段が記録した履歴に基づいて算出し、算出した消費電力量に基づいて、予定経路に沿って出発地点から第2モードの使用を続ける連続的な区間の終了地点を決定するようになっていてもよい。そしてこのとき、充放電制御装置は、当該決定に従って、終了地点において、当該ハイブリッド車両の走行モードを第2モードから第1モードに切り替え、終了地点から開始地点まで第1モードを維持するようになっていてもよい。
【0011】
このように、予想経路の最初の連続区間と最後の連続区間のみにおいて、第2モードを用いるという、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御の実現をより容易化することができる。
【0012】
また、充放電制御装置は、予定経路のうち、出発地点から終了地点までの区間、および、開始地点から目的地点までの区間のみにおいて、電力消費情報記憶媒体中の電力消費情報を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっていてもよい。このようになっていることで、不必要な区間で電力消費量を算出すること、および、不必要な区間において目標バッテリ残量を設定(充電スケジュールをたてる)する無駄を解消することができる。
【0013】
また、終了地点が決定されていない場合においては、充放電制御装置は、予定経路のうち、開始地点から目的地点までの区間のみにおいて、電力消費情報記憶媒体中の電力消費情報を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっていてもよい。
【0014】
このように、上記発明における消費電力を算出するために最低限必要な範囲、すなわち、上記充電可能地点から基準距離内においてのみ、走行状況の履歴を記録することで、走行状況の履歴の記録のための処理の負担が低下し、さらに、走行状況の履歴の保存のための記憶領域のサイズを節約することができる。
【0015】
また、充放電制御装置は、電力消費情報記憶媒体中の電力消費情報に基づいて、開始地点から目的地点までの予定経路に沿った走行におけるバッテリの残量の推移を予測するようになっていてもよい。このとき充放電制御装置は、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、バッテリの残量を検出し、検出した残量が予測した推移よりも基準幅以上下回っていることに基づいて、上述の決定機能の作動を再実行するようになっていてもよい。
【0016】
このようになっていることで、前もって決定した開始地点から目的地までの第2モードを用いた走行において、予想されたバッテリの残量の推移と実際の走行におけるバッテリ残量とが大きく異なっている場合、すなわち、バッテリの消費量の予想が間違っていた場合、決定機能の再実行により、新たな開始地点が決まる。したがって、より現実に即応した柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0017】
また、充放電制御装置は、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、目的地点の変更がないままハイブリッド車両が予定経路を離脱したことに基づいて、現在位置から目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該新たな予想経路について、決定機能の作動を再実行するようになっていてもよい。
【0018】
このようになっていることで、ハイブリッド車両が予定経路を離脱した場合、その後の目的地点までの予想経路も変化するので、上記のように再度決定機能を実行することで、目的地までの新たな経路における新たな第2モードの開始地点が決定する。したがって、ハイブリッド車両の予想経路からの逸脱という例外的な事態においても、その事態に対応して柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0019】
また、充電可能地点記憶媒体は、バッテリが外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な他の充電可能地点を記憶していてもよい。この場合、充放電制御装置は、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、目的地点の変更があった場合、変更後の目的地点が当該他の充電可能地点であることに基づいて、現在位置から当該目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該変更後の目的地点および当該新たな予想経路について、決定機能の作動を再実行するようになっていてもよい。
【0020】
このようになっていることで、目的地点が変化した場合、新たな目的地点までの予想経路も変化するので、上記のように再度決定機能を実行することで、目的地までの新たな経路における新たな第2モードの開始地点が決定する。したがって、ハイブリッド車両の予想経路からの逸脱という例外的な事態においても、その事態に対応して柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0021】
また、充放電制御装置は、バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点を、充電可能地点記憶媒体に記録するようになっていてもよい。このようになっていることで、充電可能地点の変更が容易になる。
【0022】
また、充放電制御装置は、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を、電力消費情報記憶媒体に記録するようになっていてもよい。
【0023】
このようになっていることで、予定経路上のある一点から目的地点までの予定経路に沿った連続区間における電力消費量は、過去の当該区間を走行したときのバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を用いた学習処理によって決定すれば、算出する電力消費量が、より正確になる。
【0024】
また、充放電制御装置は、ハイブリッド車両が充電可能地点から基準距離内にいることに基づいて、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を記録し、ハイブリッド車両が充電可能地点から基準距離外にいることに基づいて、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時における前記バッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を記録しないようになっていてもよい。
【0025】
なお、上記の発明の各特徴は、そのような特徴を実現するためのプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。このハイブリッド車両には、エンジン1、オルタネータ2、モータ3、差動装置4、タイヤ5a、タイヤ5b、インバータ6、DCリンク7、インバータ8、バッテリ9、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、およびナビゲーションECU20が搭載されている。
【0027】
このハイブリッド車両は、エンジン1およびモータ3を動力源として走行する。エンジン1を動力源とする場合は、エンジン1の回転力が、図示しないクラッチ機構および差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。また、モータ3を動力源とする場合は、バッテリ9の直流電力がDCリンク7およびインバータ8を介して交流電力に変換され、その交流電力によってモータ3が作動し、このモータ3の回転力が、差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。
【0028】
また、エンジン1の回転力はオルタネータ2にも伝えられ、その回転力によってオルタネータ2が交流電力を生成し、生成された交流電力はインバータ6、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される場合がある。このようなバッテリ9への充電は、燃料を使用したエンジン1の作動による充電である。以下、この種の充電を、内燃充電という。
【0029】
また、図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ3に回転力として加わり、この回転力によってモータ3が交流電力を生成し、生成された交流電力がインバータ8、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。以下、この種の充電を、回生充電という。
【0030】
また、バッテリ9は、ハイブリッド車両の外部の電源(例えば、家庭用コンセントを介して供給される電源)に接続されることで、その外部電源から電力供給を受け、受けた電力を蓄積する。以下、この種の充電を、プラグイン充電という。
【0031】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20からの指令等に応じて、オルタネータ2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9の上述のような作動の実行・非実行等を制御する。HV制御部10は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現してもよいし、下記のような機能を実現するための専用の回路構成を有するハードウェアであってもよい。
【0032】
より具体的には、HV制御部10は、現在SOC、基準SOC、下限SOCという3つの値を記憶しており、また、以下の(A)〜(E)の処理を行う。
(A)プラグイン充電開始時に、その開始の旨をナビゲーションECU20に通知する。
(B)ナビゲーションECU20からの指令に基づいて、ハイブリッド車両の走行モードをHVモード(第1モードの一例に相当する)とEVモード(第2モードの一例に相当する)の間で切り替える。
(C)定期的に現在SOCをナビゲーションECU20に通知する。
(D)ナビゲーションECU20からの要求があった場合、基準SOC、下限SOCをナビゲーションECU20に通知する。
(E)ナビゲーションECU20からの要求があった場合、基準SOCの値を変化させる。
【0033】
SOC(State of Charge)とは、バッテリの残量を表す指標であり、その値が高いほど残量を多い。現在SOCは、現在のバッテリ9のSOCを示す。HV制御部10は、この現在SOCの値を、逐次バッテリ9の状態を検出することで、繰り返し更新する。基準SOCは、HVモード時に用いる値(例えば60パーセント)である。この値は、ナビゲーションECU20からの制御によって変更可能である。下限SOCは、これ以上低下することが許されないSOCの値(例えば30パーセント)である。
【0034】
ここで、HVモードおよびEVモードについて説明する。HVモードにおいてHV制御部10は、ハイブリッド車両の走行中、現在SOCが基準SOCの値を維持するよう、エンジン1による車両の駆動、モータ3による車両の駆動、内燃充電、および回生充電のそれぞれについての実行・非実行を切り替える。例えば、現在SOCが基準SOCを下回った場合には、内燃充電を用いることで、燃料のエネルギーをバッテリの電力エネルギーに変換する。このように、必要に応じて内燃充電を実行するという点で、HVモードは、内燃充電を許容する走行モードである。このHVモードの制御の内容は周知であるので、ここではその詳細については説明しない。
【0035】
EVモードにおいてHV制御部10は、エンジン1とモータ3のうち、主としてモータ3を用いてハイブリッド車両を駆動する。例えば、ハイブリッド車両の加速度または速度が高すぎて、モータ3だけでその加速度または速度を達成しようとするとモータ3が損傷を受ける可能性が高いような場合にのみ、エンジン1をモータ3と併用してハイブリッド車両を駆動し、他の場合は常にモータ3だけでハイブリッド車両を駆動するようになっていてもよい。また、HV制御部10は、EVモードにおいては、回生充電は許可しても、内燃充電は許可しない。これは、EVモードの目的の1つに、バッテリ9の現在SOCを低下させることがあるためである。
【0036】
GPSセンサ11、方位センサ12、および車速センサ13は、それぞれハイブリッド車両の位置、進行方向、走行速度を特定する周知のセンサである。地図DB記憶部14は、地図データを記憶する記憶媒体である。加速度センサ15は車両の加速度を特定する周知のセンサである。勾配(傾斜角)は車速センサと加速度センサを利用し算出する。
【0037】
地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応するノードデータ、および、交差点と交差点を結ぶ道路区間すなわちリンクのそれぞれに対応するリンクデータを有している。1つのノードデータは、当該ノードの識別番号、所在位置情報、種別情報を含む。また、1つのリンクデータは、当該リンクの識別番号(以下、リンクIDという)、位置情報、種別情報等を含んでいる。
【0038】
ここで、リンクの位置情報には、当該リンクが含む形状補完点の所在位置データ、および、当該リンクの両端のノードおよび形状補完点のうち隣り合う2つを繋ぐセグメントのデータを含んでいる。各セグメントのデータは、当該セグメントのセグメントID、当該セグメントの勾配、向き、長さ等の情報を有している。
【0039】
図2に示す様に、ナビゲーションECU20は、RAM21、ROM22、データ書き込み可能な耐久記憶媒体23、および制御部24を有している。耐久記憶媒体とは、ナビゲーションECU20の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体23としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。
【0040】
制御部24は、ROM22または耐久記憶媒体23から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM21、ROM22、および耐久記憶媒体23から情報を読み出し、RAM21および耐久記憶媒体23に対して情報の書き込みを行い、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14等と信号の授受を行う。
【0041】
具体的には、制御部24は、ナビゲーション処理40、充電位置記録処理50、学習制御処理100、経路算出処理200、SOC管理計画作成処理300、走行時処理400等の処理を、所定のプログラムを実行することで実現する。
【0042】
ナビゲーション処理40において、制御部24は、経路算出処理200によって確定した目的地点までの経路(以下、予定経路という)に沿ってハイブリッド車両を走行させるためのガイド表示を、ドライバに対して行う処理である。
【0043】
充電位置記録処理50において、制御部24は、HV制御部10からプラグイン充電開始の通知を受ける度に、その時点においてGPSセンサ11から受けている現在位置を、充電可能地点として、耐久記憶媒体23に記録する。あるいは、制御部24は、車両が停止する度に、その時点においてGPSセンサ11から受けている現在位置を、充電可能地点として、耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。またこのとき、充電可能地点を、その地点が属するセグメントに関連付けて、耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。なお、充電可能地点とセグメントとの対応付け、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで実現することができる。このような処理が、プラグイン充電を行った複数の地点で実行されることで、複数の充電可能地点の情報が耐久記憶媒体23に記録されることになる。
【0044】
学習制御処理100において、制御部24は、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリ9の電力消費に影響する走行状況の履歴を、セグメント毎に、耐久記憶媒体23に記録する。図3に、学習制御処理100のフローチャートを示す。なお、この処理においては、同じセグメントでも走行方向が違えば異なるセグメントであるとして扱う。
【0045】
制御部24は、この図に示す学習制御処理100を繰り返し実行し、その繰り返しの各回において、まずステップ110で、現在の走行状況の情報を取得する。走行状況とは、走行時の外部環境、および、走行時の車両挙動のうちいずれかまたは両方の情報をいう。走行状況の情報として取得する情報は、例えば、現在走行中のリンクのリンクID、現在走行中のセグメントのセグメントID、現在の車両の向き、現在の車両の速度、現在位置における路面勾配、当該リンクの道路種別、当該セグメントにおける消費電気量等を含む。
【0046】
ここで、リンクID、セグメントIDは、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで特定することができる。また、車両の向きは方位センサ12から取得できる。また、現在の車両の速度は車速センサ13から取得できる。また、当該道路の勾配としては、地図データ中の当該リンク中のセグメントの勾配の情報を用いて取得してもよいし、車速センサと加速度センサの出力を利用し算出てもよい。また、当該道路の道路種別は、地図データから取得する。また、当該リンク内における走行距離は、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで特定してもよいし、車速センサの出力を利用して算出してもよい。
【0047】
続いてステップ130で、現在位置が充電可能地点の周辺であるか否かを判定する。現在位置が充電可能地点の周辺であるか否かは、GPSセンサ11から取得した現在位置が、充電位置記録処理50によって記録された充電可能地点のいずれかから基準距離以内にあるか否かによって判定してもよい。この基準距離は、あらかじめ記憶された一定値であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。現在位置が充電可能地点の周辺であれば続いてステップ140を実行し、そうでなければ学習制御処理100の1回分の実行を終了する。
【0048】
ステップ140では、既存学習情報の読み出しを行う。具体的には、ステップ110で取得したセグメントIDについての走行状況の履歴情報が、耐久記憶媒体23にあれば、それを読み出す。
【0049】
続いてステップ150では、ステップ140で読み出した当該セグメントの情報と、ステップ110で新たに取得した当該セグメントの走行状況の情報とを組み合わせて最適化する。最適化としては、例えば、読み出した情報と新たに取得した情報の平均を算出する方法を採用してもよい。なお、ステップ140で、当該セグメントについての走行状況の履歴がなかった場合には、ステップ150では、ステップ110で取得したデータそのものを最適化されたデータとする。最適化された走行状況データは、セグメントIDが含まれているので、道路と、その道路における走行状況の情報とが紐付けられたデータである。
【0050】
続いてステップ160では、最適化されたデータを、当該セグメントについての新たな走行状況の履歴、すなわち学習情報として、耐久記憶媒体23に記録する。ステップ160の後、学習制御処理100の1回分の実行が終了する。
【0051】
このような学習制御処理100を実行することで、充電可能地点周辺のセグメントのそれぞれについての走行状況の履歴が耐久記憶媒体23に記録されることになる。図4に、耐久記憶媒体23に記録される走行状況の履歴のテーブルの一例を、当該履歴に紐付けられた道路と併せて示す。
【0052】
この走行状況の履歴のテーブルにおいては、ノード21、補完形状点25、補完形状点26、ノード22の間に挟まれたセグメント31〜33について、当該セグメントを走行したときの車速、そのセグメントの路面勾配が記録されている。これらの情報は、当該セグメントの走行時におけるバッテリ9の電力消費に影響する。すなわち、路面勾配が上り方向に急であればあるほど、車速が大きければ大きいほど、エンジン負荷が高まるので、そのセグメントの電力消費量は高い。
【0053】
また、充電位置記録処理50によって記録された充電可能地点が存在するセグメント33については、当該セグメント33が充電可能地点を含む旨の情報も当該テーブルに記録されるようになっている。
【0054】
図5に、経路算出処理200のフローチャートを示す。制御部24は、経路算出処理200の処理を、目的地点が決定する度に実行する。ここで、目的地点の決定は、操作装置を用いたユーザの入力操作に基づいて制御部24が決定してもよいし、過去の走行履歴に基づいて制御部24が決定してもよい。
【0055】
この経路算出処理200の1回分の実行において、制御部24は、まずステップ210で、現在位置(出発地点の一例に相当する)から当該目的地点までの最適な予定経路を、地図データ等に基づいて確定する。
【0056】
続いてステップ220では、目的地点が充電可能地点であるか否かを、目的地点の位置と、耐久記憶媒体23に記録された充電可能地点の位置とを比較することで判定する。そして、目的地点が充電可能地点であれば、続いてステップ230を実行し、そうでなければ経路算出処理200の1回分の実行を終了する。ステップ230では、現在SOCの情報をHV制御部10に要求し、その要求に応じてHV制御部10から送信された現在SOCの情報を受信する。
【0057】
続いてステップ240では、予定経路上の目的地点周辺の部分、すなわち、目的地点から予定経路に沿って遡る連続した区間(以下、判定区間という)内のセグメントにおける走行状況の履歴、すなわち学習情報を、耐久記憶媒体23から読み出す。判定区間は、当該目的地から上述の基準距離以内にある区間であってもよい。
【0058】
続いてステップ250では、ステップ230および240で取得した情報に基づいて、SOC管理計画作成処理300の実行を呼び出す。このようになっていることで、制御部24は、目的地点までの予定経路を確定すると、その目的地点が充電可能地点であれば、SOC管理計画作成処理300を実行する。
【0059】
図6に、このSOC管理計画作成処理300のフローチャートを示す。このSOC管理計画作成処理300の処理においては、HV走行時に維持されているSOC(例えば60パーセント)とSOCに許される値の下限値(例えば40パーセント)の間で利用可能な電気エネルギーを算出し、その電気エネルギーで目的地点まで走り切れる区間(以下、EVフィニッシュ区間という)を、判定区間内における学習情報に基づいて特定する。
【0060】
具体的には、まずステップ310で、判定区間の各セグメントにおいて、当該セグメントを走行した場合にどれだけの量の電力消費があるか、すなわち当該セグメントにおける予想電気消費量を、当該セグメントについての学習情報から算出する。なお、消費電力の算出の方法については周知であるので、ここではその詳細については説明しない。続いてステップ320では、HV制御部10から取得した現在SOCから下限SOCを減算した結果を、使用可能電気量として設定する。なお、下限SOCは、現在SOCの受信と同時にHV制御部10に要求することでHV制御部10から受信するようになっていてもよいし、他のタイミングでHV制御部10に要求することでHV制御部10から受信するようになっていてもよい。
【0061】
続いてステップ330〜360においては、目的地点から予想経路を遡る方向の順に(ステップ350)、セグメントをピックアップして当該セグメントにおける予想電気消費量を順次積算していく(ステップ330、360)。そして、その積算の結果が使用可能電気量と(所定の許容誤差内で)同じになったとき(ステップ340)、その時点で最後にピックアップしているセグメントのうち、目的地点から最も遠い位置を、EVフィニッシュ区間の開始地点とする(ステップ370)。
【0062】
続いて、当該EVフィニッシュ区間におけるSOC管理計画を作成する(ステップ380)。具体的には、当該開始地点でHVモードからEVモードに切り替わり、その後EVモードが目的地点まで続く場合の、EVフィニッシュ区間におけるSOCの推移の予想を、学習情報に基づいて特定する。図7にこのようなSOCの推移の予想の一例をグラフで示す。この予想されたSOCの推移の各点における値を、目標SOCという。ステップ380の後、SOC管理計画作成処理300の1回分の実行を終了する。
【0063】
以上のようなSOC管理計画作成処理300の実行によって、目的地点までの予想経路において、目的地までEVモードを継続する区間の開始地点を特定することができる。このように、本実施形態においては、学習情報は、当該EVフィニッシュ区間の決定、および当該EVフィニッシュ区間における管理計画の決定のためのみに用いられ、それ以外の予想経路上の区間のためには用いられない。そして、本実施形態においては、EVフィニッシュ区間以外の全区間において、走行モードはHVモードとなっている。
【0064】
図8に、走行時処理400のフローチャートを示す。制御部24は、目的地点および目的地点までの予想経路が決定しており、かつ、当該予想経路についてSOC管理計画作成処理300が実行されており、かつ、ナビゲーション処理40が当該予想経路のガイド表示を行っており、かつ、ハイブリッド車両が走行しているときに、この走行時処理400を実行する。
【0065】
この走行時処理400の実行において、制御部24は、まずステップ410で、エコ制御支援情報として、現在位置等をHV制御部10に送信する。続いてステップ420では、HV制御部10から逐次送信されている現在SOCを受信する。続いてステップ430では、受信した現在SOCに基づいてSOC管理計画(すなわち、EVフィニッシュ区間の開始地点およびEVフィニッシュ区間における電気消費量の推移)を補正するために、再度SOC管理計画作成処理300を実行する。続いてステップ440で、ハイブリッド車両がEVフィニッシュ区間の開始地点に到達したか否かを判定し、まだ到達していなければ再度ステップ410を実行し、到達していれば続いてステップ450を実行する。したがって、制御部24は、自車両が開始地点に到達するまでは、現在SOCに基づくSOC管理計画の微調整が繰り返される。
【0066】
HVモードにおいては、HV制御部10は、SOCが基準SOCと同じ値になるように、エンジン1による車両の駆動、モータ3による車両の駆動、回生充電、内燃充電を適宜行うが、現実の現在SOCの値は常に基準SOCに一致するわけではなく、時々刻々と変動する。現在SOCの値が高くなればEVフィニッシュ区間の距離も長くなり、現在SOCの値が低くなればEVフィニッシュ区間の距離も短くなる。したがって、現在SOCの変動に合わせてEVフィニッシュ区間の開始地点をくり返し再計算することで、EVフィニッシュ区間の開始地点における現在SOCと目標SOCとがより正確に一致し、ひいては、目的地点でより正確に現在SOCを下限SOCまで下げることができるようになる。
【0067】
ステップ450では、EV走行開始通知をHV制御部10に送信する。これによって、HV制御部10は、走行モードをHVモードからEVモードに切り替える。続いてステップ452では、エコ制御支援情報として、現在SOC、および、現在位置に対応する目標SOCを、HV制御部10に送信する。続いてステップ454では、HV制御部10から現在SOCを受信する。
【0068】
続いてステップ460では、ハイブリッド車両が目的地点に到達したか否かをGPSセンサ11からの信号に基づいて判定し、到達するまでこのステップ460を繰り返し、到達するとステップ470を実行する。ステップ470では、HV制御部10にEV走行停止通知を送信する。これによって、HV制御部10は走行モードをEVモードからHVモードに切り替える。
【0069】
以上のように、走行時処理400を実行することで、制御部24は、まずEVフィニッシュ区間の手前のHV走行区間において(ステップ440参照)、HV制御部10から逐次受けた現在SOCに基づいて(ステップ420参照)、SOC管理計画を補正する(ステップ430参照)。そして制御部24は、EVフィニッシュ区間の開始地点にハイブリッド車両が到達すると(ステップ440参照)、HV制御部10にEVモードを開始させる(ステップ450参照)、その後、ハイブリッド車両が目的地点に到着したときに(ステップ460参照)、HV制御部10のEVモードを終了させる(ステップ470参照)。したがって、EVフィニッシュ区間の開始位置において、走行モードがHVモードからEVモードに切り替わり、その後目的地点到着までEVモードが続く。
【0070】
制御部24は、充電位置記録処理50によって充電可能地点を記録し、学習制御処理100によって充電可能地点付近の走行状況の履歴を記録する。さらに制御部24は、予定系路上の目的地点が充電可能地点であった場合(経路算出処理200のステップ220参照)、SOC管理計画作成処理300によって当該充電可能地点手前のEV走行可能な連続区間を決定し、走行時処理400によってその決定に従ってHV走行とEV走行の切り替えを行うべくHV制御部10を制御する。
【0071】
以上のように、ナビゲーションECU20は、EVフィニッシュ区間の開始地点から目的地点までの区間のすべてをEVモードを用いる区間として決定し、その区間において実際にEVモードを用いてバッテリ電力の消費を行うようになっている。このような、HVモードの区間を1つにまとめてEVフィニッシュ区間の前に配置するという、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御を容易に実現できる。
【0072】
また、開始地点の決定は、予定経路上のある一点から目的地点までの予定経路に沿った連続区間における電力消費量を利用して実現する。そして、この電力消費量は、過去の当該区間を走行したときのバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を用いた学習処理によって決定するようになっている。このようにすることで、算出する電力消費量が、より道路および当該ハイブリッド車両の実体に即したものとなり、ひいては、より正確に、目的地点でバッテリ残量を下限値に低下させることができる。
【0073】
また、ナビゲーションECU20は、ハイブリッド車両が充電可能地点から基準距離内にいるときに、走行状況の履歴の情報を記録し、ハイブリッド車両が充電可能地点から基準距離外にいるときに、走行状況の履歴の情報を記録しない。
【0074】
このように、判定区間における消費電力を算出するために最低限必要な範囲においてのみ、走行状況の履歴を記録することで、走行状況の履歴の記録のための処理の負担が低下し、さらに、走行状況の履歴の保存のための記憶領域のサイズを節約することができる。
【0075】
また、ナビゲーションECU20は、予定経路のうち、EVフィニッシュ区間のみにおいて、学習情報を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっている。このようになっていることで、予想経路のすべてにおいて学習情報を用いる場合に比べて、ナビゲーションECU20の処理負荷が低減する。
【0076】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、第1実施形態においては、目的地点までの予想経路のうち、出発地点からEVフィニッシュ区間の開始地点までの全区間の走行モードがHVモードであるのに対し、本実施形態においては、図9に示すように、出発地点91からEVフィニッシュ区間の開始地点93までの区間のうち、出発地点91からある地点(以下、終了地点という)92までは走行モードがEVモードであり、当該終了地点92からEVフィニッシュ区間の開始地点93までは走行モードがHVモードとなっている点である。
【0077】
このような作動を実現するために、制御部24は、SOC管理計画作成処理300において、予定経路上の出発地点91から予定経路に沿って続く連続した区間においてEVモードを使用した場合のバッテリの消費電力量を、当該区間における学習情報に基づいて算出する。ここで、出発地点91から予定経路に沿って続く連続した区間としては、予定経路上の、当該出発地点91から基準距離内にある区間とする。そして、学習制御処理100において、制御部24は、当該区間内においても学習情報を耐久記憶媒体23に記録する。
【0078】
また、制御部24は、SOC管理計画作成処理300において、算出した消費電力量に基づいて、予定経路に沿って出発地点91からEVモードの使用を続ける連続的な区間の終了地点92を決定するようになっていてもよい。具体的には、現在SOCから基準SOCを減算した値が所定量以上であるとき、その減算結果を消費可能電気量とし、出発地点91から予想経路に沿ってセグメントをピックアップして、当該セグメントにおける予想電気消費量を順次積算していく。そして、その積算の結果が当該使用可能電気量と(所定の許容誤差内で)同じになったとき、その時点で最後にピックアップしているセグメントのうち、出発地点91から最も遠い位置を、終了地点92とする。なお、現在SOCから基準SOCを減算した値が所定量以上であるときとしては、例えば、現在プラグイン充電が完了してすぐの状態である場合等がある。
【0079】
また、制御部24は、当該決定に従って、終了地点92において、当該ハイブリッド車両の走行モードをEVモードからHVモードに切り替えるようHV制御部10を制御し、終了地点92から開始地点93までHVモードを維持するようHV制御部10を制御する。
【0080】
このように、予想経路の最初の連続区間と最後の連続区間のみにおいてEVモードを用いるという、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御の実現をより容易化することができる。
【0081】
また、制御部24は、予定経路のうち、出発地点91から終了地点92までの区間、および、開始地点93から目的地点94までの区間のみにおいて、学習制御処理100によって記録した履歴を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっている。このようになっていることで、不必要な区間で電力消費量を算出することによる無駄を解消することができる。
【0082】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、本実施形態の制御部24が、走行時処理400に代えて図10に示す走行時処理400´を実行することである。この走行時処理400´と図8の走行時処理400とが異なる点は、本実施形態における走行時処理400´においては、ステップ454の直後、ステップ460の直前に、ステップ455の例外処理が実行されることである。例外処理は、SOC管理計画を変更する必要の発生の有無を判定し、必要が発生した場合にはSOC管理計画を再度作成するための処理である。
【0083】
図11に、455の例外処理の詳細のフローチャートを示す。制御部24は、この例外処理において、まずステップ530で、直前に受信した現在SOCと、現在位置に対応する目標SOCとを比較し、その乖離が基準幅より大きいか否か、より詳しくは、現在SOCが当該目標SOCを基準幅を超えて下回っているか否かを判定する。判定結果が肯定的な場合、続いてステップ560を実行し、否定的な場合続いてステップ540を実行する。なお、基準幅は、あらかじめ記憶された一定値であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。-
ステップ540では、ハイブリッド車両が予想経路を離脱したか否かを判定し、離脱していなければ続いてステップ550を実行し、離脱していれば目的地点までの新たな予想経路を算出した後続いてステップ560を実行する。ステップ550では、目的地点が変更になったか否かを判定し、変更になっていれば続いてステップ590を実行し、変更になっていなければ、例外処理を抜けてステップ460を続いて実行する。目的地が変更される場合としては、例えば、乗員が操作装置を用いて新たな目的地点を入力した場合がある。
【0084】
したがって、目標SOCと現在SOCとの乖離が基準幅以上でなく、ハイブリッド車両が予定経路を離脱しておらず、目的地も変更していない場合、ステップ530、540、550、460、452、454の処理がこの順で繰り返される。
【0085】
そして、目標SOCと現在SOCとの乖離が基準幅を超えるか、または、ハイブリッド車両が予定経路を離脱した場合は、制御部24は、まずステップ560で、EV走行を停止する旨の通知と、基準SOCの値に現在SOCの値を代入する旨の通知を、HV制御部10に送信する。これによって、HV制御部10は、走行モードをHVモードに戻すと共に、基準SOCの値に現在SOCの値を代入する。これによって、HV制御部10は、現状のSOCの値を維持するように、エンジン1、モータ3等を制御するようになる。
【0086】
さらにステップ570で、図5のステップ240と同じ処理を行うことで、予想経路上の目的地点周辺に紐付いた学習情報を読み出し、さらにステップ580で、SOC管理計画作成処理300の実行を呼び出す。ステップ580の後、続いて走行時処理400´のステップ410およびそれ以降を実行する。
【0087】
このように、予定経路上のEVフィニッシュ区間の走行中に、バッテリの残量を検出し、検出した残量が予測した推移よりも基準幅以上下回っていることに基づいて、SOC管理計画作成処理300を再実行することで、前もって決定したEVフィニッシュ区間におけるEVモードを用いた走行において、予想されたバッテリの残量の推移と実際の走行におけるバッテリ残量とが大きく異なっている場合、すなわち、バッテリの消費量の予想が間違っていた場合、新たなEVフィニッシュ区間が決まる。したがって、より現実に即応した柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0088】
また、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、目的地点の変更がないままハイブリッド車両が予定経路を離脱したことに基づいて、SOC管理計画作成処理300を再実行することで、新たなEVフィニッシュ区間が決まる。したがって、ハイブリッド車両の予想経路からの逸脱という例外的な事態においても、より現実に即応した柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0089】
そして、これら、目標SOCと現在SOCの乖離、予定経路からの離脱という例外においては、新たなEVフィニッシュ区間にハイブリッド車両が入るまでは、HVモードにおいて、その例外が発生したときのSOCを維持するようにする。これは、上記のような、目的地点の変化がない例外の場合には、目的地点にもうすぐ到着する可能性が高い場合が多いので、SOCを上げすぎて燃料を無駄遣いしないようにしたいという考えに基づく作動である。
【0090】
また、目的地の変更という例外が発生した後のステップ590では、EV走行を停止する旨の通知と、基準SOCの値にデフォルトSOCの値(例えば60パーセント)を代入する旨の通知を、HV制御部10に送信する。これによって、HV制御部10は、走行モードをHVモードに戻すと共に、基準SOCの値にデフォルトSOCの値を代入する。デフォルトSOCとは、基準SOCのデフォルト値をいう。HV制御部10は、このデフォルトSOCの値も記憶している。これによって、HV制御部10は、通常の基準SOCの値を維持するように、エンジン1、モータ3等を制御するようになる。続いてステップ595では、新たな目的地点について図5に示した経路算出処理200を再度実行し、その実行後、走行時処理400´のステップ410およびそれ以降を実行する。
【0091】
このように、予定経路上の開始地点から目的地点までの走行中に、目的地点の変更があった場合、変更後の目的地点が他の充電可能地点であることに基づいて、現在位置から当該目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該変更後の目的地点および当該新たな予想経路について、SOC管理計画が再作成される。
【0092】
目的地点が変化した場合、新たな目的地点までの予想経路も変化するので、上記のように再度決定機能を実行することで、目的地までの新たな経路における新たなEVモードの開始地点が決定する。したがって、ハイブリッド車両の予想経路からの逸脱という例外的な事態においても、その事態に対応して柔軟な充放電の制御を行うことができる。
【0093】
そして、この目的地点変更という例外においては、新たなEVフィニッシュ区間にハイブリッド車両が入るまでは、HVモードにおいて、デフォルトの基準SOC(この場面においては現在SOCよりも高い)を維持するようにする。これは、上記のような、目的地点の変化がある例外の場合には、目的地点にもうすぐ到着する可能性が高いとは言えないという考えに基づく作動である。
【0094】
なお、上記の実施形態において、ナビゲーションECU20が、充放電制御装置の一例に相当する。また、制御部24が走行時処理400を実行することで、走行時制御手段の一例として機能し、充電位置記録処理50を実行することで第1記録手段の一例として機能し、学習制御処理100を実行することで第2記録手段の一例として機能し、SOC管理計画作成処理300を実行することで決定手段の一例として機能する。また、耐久記憶媒体23のうち、充電可能地点の情報が記録されている部分が、充電可能地点記憶媒体の一例に相当する。また、耐久記憶媒体23のうち、学習制御処理100によって記録された履歴が記録されている部分が、電力消費情報記憶媒体の一例に相当する。また、地図DB記憶部の有する記憶媒体が、電力消費情報記憶媒体の一例に相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0095】
例えば、制御部24は、走行モードがHVモードとなっている区間においても、学習情報を用いてHVモードの範囲内の、エンジン1、モータ3、内燃充電の実行タイミングの計画を算出するようになっていてもよい。
【0096】
また、上記のステップ240、570においては、判定区間内のセグメントにおける走行状況の履歴、すなわち学習情報を、耐久記憶媒体23から読み出し、これをSOC管理計画作成処理300にて電力消費情報として用いるようになっている。しかし、上記のステップ240、570においては、判定区間内のセグメントにおける地図データを読み出し、読み出したデータを、SOC管理計画作成処理300にて、電力消費情報として用いるようになっていてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態においては、消費電気量の算出の単位、SOC管理計画の作成の単位、充電可能地点との関連付けの対象が、セグメントとなっているが、これらの対象はリンクであってもよい。
【0098】
また、充電可能地点は、実際に充電した位置のみならず、あらかじめ記憶されている充電可能地点であってもよいし、ユーザが設定した充電可能地点であってもよい。
【0099】
また、HV制御部10は、プラグイン充電を行った直後は、現在SOCが基準SOCに落ちるまで、EVモードを使用するようになっていてもよい。このような作動を第1実施形態に適用すれば、制御部24があらかじめSOC管理計画作成処理300において終了地点92を決定しておかなくとも、図9に示したようなEVモード→HVモード→EVモードへの切り替えが実現する。
【0100】
また、制御部24は、目的地点の変更がないまま、SOC管理計画作成処理300の再実行が基準回数(例えば5回)以上繰り返された場合、それ以降は、目的地までHV走行を続けるようにHV制御部10を制御してもよい。このようにすることで、SOC管理計画作成処理が有効でない状況において、当該処理を無駄に続けてしまうことを防止することができる。
【0101】
また、上記の実施形態において、制御部24がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成を概略的に示す図である。
【図2】ナビゲーションECU20の構成および外部との接続関係を示すブロック図である。
【図3】学習制御処理100のフローチャートである。
【図4】セグメント毎の走行状況の履歴の一例を示す図表である。
【図5】経路算出処理200のフローチャートである。
【図6】SOC管理計画作成処理300のフローチャートである。
【図7】SOC管理計画作成処理300によって予想された、EV走行時におけるSOCの変化の推移を示すグラフである。
【図8】走行時処理400のフローチャートである。
【図9】第2実施形態におけるSOC管理計画の一例を示す図である。
【図10】走行時処理400´のフローチャートである。
【図11】例外処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1…エンジン、2…オルタネータ、3…モータ、4…差動装置、5a、5b…タイヤ、
6…インバータ、7…DCリンク、8…インバータ、9…バッテリ、
10…HV制御部、11…GPSセンサ、12…方位センサ、13…車速センサ、
14…地図DB記憶部、20…ナビゲーションECU、21…RAM、22…ROM、
23…耐久記憶媒体、24…制御部、21、22…ノード、25、26…補完形状点、
31〜33…セグメント、40…ナビゲーション処理、50…充電位置記録処理、
91…出発地点、92…終了地点、93…開始地点、94…目的地点、
100…学習制御処理、200…経路算出処理、300…SOC管理計画作成処理、
400、400´…走行時処理。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の前記バッテリの充放電制御装置であって、
当該ハイブリッド車両の走行モードを、前記内燃機関による動力を利用した前記バッテリの充電(以下、内燃充電という)を許可すると共に当該ハイブリッド車両の走行用の動力として前記内燃機関および前記モータを使用する第1モードと、前記内燃充電を禁止すると共に前記走行用の動力として主として前記モータを使用する第2モードとの間で切り替える走行時制御手段と、
前記バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点が記録された充電可能地点記憶媒体から、当該充電可能地点を読み出し、読み出した充電可能地点を目的地点とする予定経路中の前記目的地点から前記予定経路に沿って遡る連続した区間において前記第2モードを使用した場合の前記バッテリの消費電力量を、複数の道路のそれぞれの走行時におけるバッテリの電力消費に影響する情報(以下、電力消費情報という)が記録された電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報に基づいて算出し、算出した前記消費電力量に基づいて、前記目的地点でバッテリの残量が所定の下限値となるよう、前記予定経路に沿って前記目的地点まで第2モードの使用を続ける連続的な区間の開始地点を決定する決定手段と、を備え、
前記走行制御手段は、前記決定手段の決定に従って、前記開始地点において、当該ハイブリッド車両の前記走行モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする充放電制御装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記予定経路上の出発地点から前記予定経路に沿って続く連続した区間において前記第2モードを使用した場合の前記バッテリの消費電力量を、前記第2記録手段が記録した前記履歴に基づいて算出し、算出した前記消費電力量に基づいて、前記予定経路に沿って前記出発地点から第2モードの使用を続ける連続的な区間の終了地点を決定し、
前記走行制御手段は、前記決定手段の決定に従って、前記終了地点において、当該ハイブリッド車両の前記走行モードを前記第2モードから前記第1モードに切り替え、前記終了地点から前記開始地点まで前記第1モードを維持することを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記予定経路のうち、前記出発地点から前記終了地点までの区間、および、前記開始地点から前記目的地点までの区間のみにおいて、前記電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報を用いて前記バッテリの電力消費量を算出することを特徴とする請求項2に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記予定経路のうち、前記開始地点から前記目的地点までの区間のみにおいて、前記電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報を用いて前記バッテリの電力消費量を算出することを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報に基づいて、前記開始地点から前記目的地点までの前記予定経路に沿った走行における前記バッテリの残量の推移を予測し、
前記走行時制御手段は、前記予定経路上の前記開始地点から前記目的地点までの走行中に、前記バッテリの残量を検出し、検出した前記残量が前記決定手段によって予測された前記推移よりも基準幅以上下回っていることに基づいて、前記決定手段の作動を再実行することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項6】
前記走行時制御手段は、前記予定経路上の前記開始地点から前記目的地点までの走行中に、前記目的地点の変更がないまま前記ハイブリッド車両が前記予定経路を離脱したことに基づいて、現在位置から目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該新たな予想経路について、前記決定手段の作動を再実行することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項7】
前記充電可能地点記憶媒体は、前記バッテリが外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な他の充電可能地点を記憶しており、
前記走行時制御手段は、前記予定経路上の前記開始地点から前記目的地点までの走行中に、前記目的地点の変更があった場合、変更後の目的地点が前記他の充電可能地点であることに基づいて、現在位置から当該目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該変更後の目的地点および当該新たな予想経路について、前記決定手段の作動を再実行することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項8】
前記バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点を、前記充電可能地点記憶媒体に記録する第1記録手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項9】
前記ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時における前記バッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を、前記電力消費情報記憶媒体に記録する第2記録手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項10】
前記第2記録手段は、前記ハイブリッド車両が前記充電可能地点から基準距離内にいることに基づいて、前記ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時における前記バッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を記録し、前記ハイブリッド車両が前記充電可能地点から前記基準距離外にいることに基づいて、前記ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時における前記バッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を記録しないことを特徴とする請求項9に記載の充放電制御装置。
【請求項11】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の前記バッテリの充放電制御装置に用いるプログラムであって、
前記バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点が記録された充電可能地点記憶媒体から、当該充電可能地点を読み出し、読み出した充電可能地点を目的地点とする予定経路中の前記目的地点から前記予定経路に沿って遡る連続した区間において前記第2モードを使用した場合の前記バッテリの消費電力量を、複数の道路のそれぞれについて、当該道路の走行時におけるバッテリの電力消費に影響する情報(以下、電力消費情報という)が記録された電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報に基づいて算出し、算出した前記消費電力量に基づいて、前記目的地点でバッテリの残量が所定の下限値となるよう、前記予定経路に沿って前記目的地点まで第2モードの使用を続ける連続的な区間の開始地点を決定する決定手段、および、
当該ハイブリッド車両の走行モードを、前記内燃機関による動力を利用した前記バッテリの充電(以下、内燃充電という)を許可すると共に当該ハイブリッド車両の走行用の動力として前記内燃機関および前記モータを使用する第1モードと、前記内燃充電を禁止すると共に前記走行用の動力として主として前記モータを使用すると共に第2モードとの間で切り替える走行時制御手段であって、前記決定手段の決定に従って、前記開始地点において、当該ハイブリッド車両の前記走行モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えること走行時制御手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項1】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の前記バッテリの充放電制御装置であって、
当該ハイブリッド車両の走行モードを、前記内燃機関による動力を利用した前記バッテリの充電(以下、内燃充電という)を許可すると共に当該ハイブリッド車両の走行用の動力として前記内燃機関および前記モータを使用する第1モードと、前記内燃充電を禁止すると共に前記走行用の動力として主として前記モータを使用する第2モードとの間で切り替える走行時制御手段と、
前記バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点が記録された充電可能地点記憶媒体から、当該充電可能地点を読み出し、読み出した充電可能地点を目的地点とする予定経路中の前記目的地点から前記予定経路に沿って遡る連続した区間において前記第2モードを使用した場合の前記バッテリの消費電力量を、複数の道路のそれぞれの走行時におけるバッテリの電力消費に影響する情報(以下、電力消費情報という)が記録された電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報に基づいて算出し、算出した前記消費電力量に基づいて、前記目的地点でバッテリの残量が所定の下限値となるよう、前記予定経路に沿って前記目的地点まで第2モードの使用を続ける連続的な区間の開始地点を決定する決定手段と、を備え、
前記走行制御手段は、前記決定手段の決定に従って、前記開始地点において、当該ハイブリッド車両の前記走行モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする充放電制御装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記予定経路上の出発地点から前記予定経路に沿って続く連続した区間において前記第2モードを使用した場合の前記バッテリの消費電力量を、前記第2記録手段が記録した前記履歴に基づいて算出し、算出した前記消費電力量に基づいて、前記予定経路に沿って前記出発地点から第2モードの使用を続ける連続的な区間の終了地点を決定し、
前記走行制御手段は、前記決定手段の決定に従って、前記終了地点において、当該ハイブリッド車両の前記走行モードを前記第2モードから前記第1モードに切り替え、前記終了地点から前記開始地点まで前記第1モードを維持することを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記予定経路のうち、前記出発地点から前記終了地点までの区間、および、前記開始地点から前記目的地点までの区間のみにおいて、前記電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報を用いて前記バッテリの電力消費量を算出することを特徴とする請求項2に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記予定経路のうち、前記開始地点から前記目的地点までの区間のみにおいて、前記電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報を用いて前記バッテリの電力消費量を算出することを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報に基づいて、前記開始地点から前記目的地点までの前記予定経路に沿った走行における前記バッテリの残量の推移を予測し、
前記走行時制御手段は、前記予定経路上の前記開始地点から前記目的地点までの走行中に、前記バッテリの残量を検出し、検出した前記残量が前記決定手段によって予測された前記推移よりも基準幅以上下回っていることに基づいて、前記決定手段の作動を再実行することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項6】
前記走行時制御手段は、前記予定経路上の前記開始地点から前記目的地点までの走行中に、前記目的地点の変更がないまま前記ハイブリッド車両が前記予定経路を離脱したことに基づいて、現在位置から目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該新たな予想経路について、前記決定手段の作動を再実行することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項7】
前記充電可能地点記憶媒体は、前記バッテリが外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な他の充電可能地点を記憶しており、
前記走行時制御手段は、前記予定経路上の前記開始地点から前記目的地点までの走行中に、前記目的地点の変更があった場合、変更後の目的地点が前記他の充電可能地点であることに基づいて、現在位置から当該目的地点までの新たな予想経路を算出し、当該変更後の目的地点および当該新たな予想経路について、前記決定手段の作動を再実行することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項8】
前記バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点を、前記充電可能地点記憶媒体に記録する第1記録手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項9】
前記ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時における前記バッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を、前記電力消費情報記憶媒体に記録する第2記録手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の充放電制御装置。
【請求項10】
前記第2記録手段は、前記ハイブリッド車両が前記充電可能地点から基準距離内にいることに基づいて、前記ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時における前記バッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を記録し、前記ハイブリッド車両が前記充電可能地点から前記基準距離外にいることに基づいて、前記ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時における前記バッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を記録しないことを特徴とする請求項9に記載の充放電制御装置。
【請求項11】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の前記バッテリの充放電制御装置に用いるプログラムであって、
前記バッテリが当該ハイブリッド車両の外部の電源から電力供給を受けて充電を行うことが可能な充電可能地点が記録された充電可能地点記憶媒体から、当該充電可能地点を読み出し、読み出した充電可能地点を目的地点とする予定経路中の前記目的地点から前記予定経路に沿って遡る連続した区間において前記第2モードを使用した場合の前記バッテリの消費電力量を、複数の道路のそれぞれについて、当該道路の走行時におけるバッテリの電力消費に影響する情報(以下、電力消費情報という)が記録された電力消費情報記憶媒体中の前記電力消費情報に基づいて算出し、算出した前記消費電力量に基づいて、前記目的地点でバッテリの残量が所定の下限値となるよう、前記予定経路に沿って前記目的地点まで第2モードの使用を続ける連続的な区間の開始地点を決定する決定手段、および、
当該ハイブリッド車両の走行モードを、前記内燃機関による動力を利用した前記バッテリの充電(以下、内燃充電という)を許可すると共に当該ハイブリッド車両の走行用の動力として前記内燃機関および前記モータを使用する第1モードと、前記内燃充電を禁止すると共に前記走行用の動力として主として前記モータを使用すると共に第2モードとの間で切り替える走行時制御手段であって、前記決定手段の決定に従って、前記開始地点において、当該ハイブリッド車両の前記走行モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えること走行時制御手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−265594(P2008−265594A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112756(P2007−112756)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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