説明

ハイブリッド駆動装置

【課題】自動変速装置の1速段において電気モータにてエンジンを始動する際、スリップ制御する所定の摩擦要素に直接潤滑油を供給する。
【解決手段】潤滑油路Jから分岐して、エンジン始動時又は低速走行におけるバッテリ充電時にスリップ制御されるブレーキB−2に導かれる第2潤滑油路J2に切換えバルブ50を介在する。該切換えバルブ50の制御油室50aに、上記ブレーキB−2用油圧サーボ39を連通し、該油圧サーボに係合制御圧及びスリップ制御圧が供給されている場合、上記切換えバルブ50を連通状態に切換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと電気モータを駆動源として自動変速装置を介して駆動車輪に伝達するハイブリッド駆動装置に係り、詳しくは上記自動変速装置の所定のブレーキ等の摩擦要素に直接潤滑油に供給する潤滑装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンと電気モータとの間に配置された第1クラッチ(締結手段)と、電気モータと駆動車輪との間に配置した第2クラッチ(締結手段;具体的には自動変速装置の所定クラッチ又はブレーキ)を配置したハイブリッド駆動装置において、電気モータのみを動力源として走行するEVモードからエンジンを使用する走行モードに切換える際、第1クラッチを係合して電気モータによりエンジンを始動する。この際、第2クラッチをスリップ制御してショックの低減を図っている。
【0003】
上記第2クラッチのスリップ制御を行うと、該第2クラッチが過熱して耐久性の低下を招く虞がある。このため、第1クラッチ及び第2クラッチの温度を検知する温度検知手段と、これらクラッチの温度に応じて、第1クラッチ及び第2クラッチのスリップ量を制御する制御手段と、を備えたハイブリッド駆動装置の制御装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−7094号公報
【特許文献2】特開2009−257574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ハイブリッド駆動装置の制御装置は、例えば第2クラッチが高温状態になると、該第2クラッチのスリップ量を抑制し、第1クラッチをスリップ制御することにより補完して、第2クラッチが過熱状態になることを防止するが、クラッチの温度を検出するセンサ及び第1及び第2クラッチを統合してスリップ制御する制御装置等が必要となり、大掛りな装置となってコストアップを招いてしまう。また、自動変速装置の1速段での(極)低速走行時に、第1クラッチを係合してエンジンを始動する際、走行に基づく入力軸回転数より高い回転数からなるエンジン始動回転数で電気モータを回転駆動する必要があり、自動変速装置の入出力軸の回転差を吸収するために第2クラッチをスリップ制御する必要がある。
【0006】
特に、車両の極低速走行時、エンジンにより電気モータを駆動して、バッテリを充電する状況で、走行速度に基づく入力軸回転数以上でエンジン及び電気モータを回転する場合、同様に第2クラッチをスリップ制御する必要があるが、この場合、該第2クラッチのスリップ制御時間が長くなり、上述した特許文献1記載の制御装置では困難を伴う。
【0007】
また、第2クラッチに直接潤滑油を供給して冷却することも考えられるが(例えば特許文献2参照)、この場合でも、各潤滑必要箇所に導く流量制御弁が必要となり、大掛りな装置となってコストアップを招いてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、スリップ制御する所定の摩擦要素への潤滑油の供給を、当該摩擦要素の作動油圧で作動する切換えバルブにより行うことにより、上述した課題を解決したハイブリッド駆動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電気モータ(3)と、複数の摩擦要素(B−1…,C−1…)により動力伝達経路を変更して、入力部(2)の回転を複数変速段に変速して出力部(11)に伝達する自動変速装置(1)と、を備えてなる、ハイブリッド駆動装置(H)において、
潤滑必要箇所(45,46)に潤滑油を導く第1潤滑油路(J1)(J4)と、該第1潤滑油路から分岐し、前記複数変速段のうちの少なくとも1速段において係合する所定の摩擦要素(B−2)に直接潤滑油を導く第2潤滑油路(J2)と、を備え、
前記第2潤滑油路(J2)への分岐(d)(e)の下流側における前記第1潤滑油路(J1)(J4)にオリフィス(34)(53)を介在し、
該第2潤滑油路(J2)に、連通状態及び遮断状態に切換える所定の摩擦要素用切換えバルブ(50)を介在し、
前記所定の摩擦要素用油圧サーボ(39)に、ライン圧を調圧手段(37)にて調圧した所定油圧を供給して、該所定の摩擦要素(B−2)を、完全係合状態、解放状態及びスリップ状態に制御し、
前記所定の摩擦要素用切換えバルブ(50)は、その制御油室(50a)を前記所定の摩擦要素用油圧サーボ(39)に連通して、該所定の摩擦要素(B−2)が解放状態にある場合前記遮断状態とし、完全係合状態及びスリップ状態の場合前記連通状態に切換えられてなる、
ハイブリッド駆動装置にある。
【0010】
例えば図6を参照して、前記オイルポンプ(29,30)からの油圧を調圧した潤滑油圧(JP)が供給される潤滑油路(J)に、該潤滑油路の潤滑油を、前記自動変速装置(1,45)に導く第3潤滑油路(J1)と、前記電気モータ(3,46)に導く第4潤滑油路(J4)とに切換える第1の切換えバルブ(42)を介在し、
前記第1潤滑油路が前記第4潤滑油路(J4)であり、該第4潤滑油路(J4)から分岐して前記所定の摩擦要素(B−2)に導く前記第2潤滑油路(J2)に前記所定の摩擦要素用切換えバルブ(50)を介在し、
前記第1の切換えバルブ(42)は、車両の停止状態を含み走行速度が所定値以下の場合、前記潤滑油路(J)の潤滑油を、前記第3潤滑油路(J3)に連通する状態から前記第4潤滑油路(J4)に連通する状態に切換えてなる。
【0011】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によると、潤滑油を所定の摩擦要素に直接供給する第2潤滑油路に所定の摩擦要素用切換えバルブを介在し、該所定の摩擦要素用切換えバルブの制御油室に、上記所定の摩擦要素の油圧サーボを連通して、上記所定の摩擦要素の完全係合、解放及びスリップ制御の各状態に応じて該切換えバルブを切換えるので、該切換えバルブを上記所定の摩擦要素用油圧サーボへの調圧状態で切換える簡単で信頼性の高い制御により、スリップ制御等の上記所定の摩擦要素に潤滑を必要とするタイミングに合せて素早くかつ確実に切換えて、上記摩擦要素に潤滑油を供給して、該摩擦要素の耐久性の低下を防止し、該摩擦要素による制御の信頼性を向上することができる。
【0013】
ハイブリッド駆動装置にあって、電気モータでエンジンを始動する場合、又は低速走行状態でエンジンの動力により電気モータを回転して充電する場合、1速で係合する所定の摩擦要素をスリップ制御して入出力部の回転差を吸収する際、該所定の摩擦要素に確実に潤滑油を供給して、該摩擦要素が過熱状態となることを防止し、該摩擦要素の耐久性を保持すると共に、正確で確実なタイミングで上記切換えバルブを切換え、潤滑油の無駄をなくして、燃費性能を向上することができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によると、車両の通常走行時は、第1の切換えバルブが第3潤滑油路に切換えられ、潤滑油が、自動変速装置に供給されて、回転状態にある自動変速装置を充分に潤滑し得るものでありながら、所定値以下の低速時、上記第1の切換えバルブは第4潤滑油路に切換えられ、潤滑油が電気モータに供給され、電気モータは冷却される。また、バッテリ残量が少なく、内燃エンジンで電気モータを駆動して充電する場合も、電気モータに潤滑油が供給されて、電気モータが過熱状態となることを防止できる。これにより、切換えバルブを追加する簡単な構成でもって、潤滑油を有効に利用することができる。
【0015】
また、自動変速装置が1速段にあり、所定値以下の低速状態において、電気モータで内燃エンジンを始動する際、又は低速走行状態でエンジンの動力により電気モータを回転して充電する場合、自動変速装置は、所定の摩擦要素がスリップ制御されて入出力部での回転差を吸収するが、該所定の摩擦要素用油圧サーボの所定圧の供給により所定の摩擦要素用切換えバルブが、連通状態に切換えられ、第4潤滑油路の潤滑油が第2潤滑油路を介して上記所定の摩擦要素に直接供給されて、スリップ制御される該所定の摩擦要素に充分な量の潤滑油を供給する。この際、第1の切換えバルブが第4潤滑油路に潤滑油を供給している状態にあって、電気モータへも潤滑油が供給されている。これにより、上記電気モータによるエンジン始動時、又は(極)低速走行時でのエンジンにより電気モータを駆動して充電する際、電気モータを高い精度で出力制御すると共に、所定の摩擦要素を高い精度でスリップ制御して、自動変速装置の出力部にショックの少ない滑らかなトルクを出力することができ、かつ電気モータ及び上記所定の摩擦要素の耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自動変速装置及びそれを用いたハイブリッド駆動装置を示す概略図。
【図2】(A)は本自動変速装置の係合表、(B)はその速度線図。
【図3】本自動変速装置において、本発明に係る摩擦板潤滑装置を含む部分を切取った断面図。
【図4】(A)は、本摩擦板潤滑装置を示す正面断面図、(B)は、そのA部分の拡大図。
【図5】本発明に係る第1の実施の形態による油圧回路を示す図。
【図6】本発明に係る第2の実施の形態による油圧回路を示す図。
【図7】本発明に係る潤滑装置のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、自動変速装置1の入力軸2には電気モータ3のロータ3aが連結されており、該入力軸2とエンジン出力軸5との間にはクラッチ6及びトーションダンパ7が介在している。従って、本自動変速装置1は、1モータパラレルタイプのハイブリッド駆動装置Hとして適用され、上記電気モータ3は、車両駆動源として、またエンジンを始動するスタータ(セルモータ)として、更にエンジン動力又は車輌の慣性力を電気エネルギに変換するオルタネータ(ジェネレータ)として機能する。なお、入力軸2とエンジン出力軸5との間に、上記クラッチ6及びトーションダンパ7を配置しているが、これは、ロックアップクラッチ付のトルクコンバータでもよく、この場合、該ロックアップクラッチが上記クラッチ6の機能を担う。
【0018】
自動変速装置1の上記入力軸2は、電気モータ3,クラッチ6及びエンジン出力軸5と同軸上に配置され、該入力軸2上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している、いわゆるシングルピニオンプラネタリギヤである。
【0019】
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2、及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンLPと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンSPとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
【0020】
上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、固定部材であるミッションケース9に一体的に固定されている不図示のボス部に接続されて回転が固定されている。また、上記リングギヤR1は、上記入力軸2の回転と同回転(以下「入力回転」という。)になっている。さらに、上記キャリヤCR1は、上記固定されたサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になるとともに、クラッチC−1及びクラッチC−3に接続されている。
【0021】
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、ブレーキB−1に接続されてミッションケース9に対して固定自在となっているとともに、上記クラッチC−3に接続され、該クラッチC−3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、クラッチC−1に接続されており、上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。
【0022】
さらに、上記キャリヤCR2は、入力軸2の回転が入力されるクラッチC−2に接続され、該クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ブレーキ(所定の摩擦要素)B−2に接続されて、該ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR2は、カウンタギヤ11に接続されており、該カウンタギヤ11は、カウンタシャフト12のカウンタドリブンギヤ12aに噛合している。更に、カウンタシャフト12の回転は、ピニオンギヤ12b及びデフマウントギヤ130aを介してディファレンシャル装置130に伝達され、左右の車軸130l,130rを介して駆動車輪14,14に伝達される。
【0023】
また、本ハイブリッド駆動装置Hは、油圧回路A及び制御装置Uを備えており、油圧回路Aは、自動変速装置1及び電気モータの潤滑部に連通しており、かつ制御装置Uは、自動変速装置1、電気モータ3、内燃エンジンE及び油圧回路Aに電気的に入力及び出力方向に接続している。
【0024】
上記構成の自動変速装置1は、図1のスケルトンに示す各クラッチC−1〜C−3、ブレーキB−1,B−2が、図2(A)の係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、図2(B)の速度線図に示すように、前進1速段(1st)〜前進6速段(6th)、及び後進1速段(Rev)を達成している。
【0025】
前記ブレーキB−2は、1速及びリバース時に作動するブレーキであり、発進時に係合すると共に、電気モータ3によるエンジンの始動時及び極低車速における充電時にスリップ制御する。即ち、車輌は、クラッチC−1を係合すると共にブレーキB−2を係合することにより1速状態となる。該1速状態にあっては、クラッチC−1の係合により、入力軸2の回転が減速されてプラネタリギヤPUのサンギヤS3に伝達され、ブレーキB−2によりキャリヤCR2が停止していることにより、更に減速されてリングギヤR2からカウンタギヤ11に出力される。該1速による車輌の発進時、通常、クラッチ6が切断されると共にエンジンは停止しており、電気モータ3により駆動される。
【0026】
そして、該車輌発進後の上記1速状態でエンジンEが始動される。この際には、ブレーキB−2をスリップ制御することにより、キャリヤCR2を回転し、サンギヤS3及びリングギヤR2の回転差を吸収する。上記ブレーキB−2のスリップ制御により、入出力軸間の回転差を吸収した状態で、電気モータ3のトルクを上げると共に、クラッチ6を繋いで、エンジンを始動する。
【0027】
図3は、上記スリップ制御されるブレーキB−2部分を示す図であり、複数の摩擦要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−2)の内の所定の摩擦要素である前記ブレーキB−2は、多板湿式摩擦板からなり、ケース9の内スプライン9aに係合する歯を外周面に有する外摩擦板(ブレーキプレート)12と、ハブ13のスプライン15に係合する歯を内周面に有する内摩擦板(ブレーキディスク)16とが交互に軸方向に並んで配置されており、これら外摩擦板12の先端にスナップリング19で抜止めされたエンドプレート12aが配置されていると共に、油圧ピストン側にプレッシャプレート12bが配置されている。
【0028】
ハブ13は、前記キャリヤCR2のケース20に溶接等により一体に固着されており、該ケース20内には前記キャリヤCR2を構成するピニオンLP,SPが配置されていると共に、ピニオンにはリングギヤR2及びサンギヤS2,S3が噛合している。上記キャリヤケース20には、上記ハブ13の内側にて所定隙間gを隔ててスリーブ21が一体に固着されており、ハブ13及びスリーブ21は、該固定された一端にて上記所定隙間gが閉塞されている。従って、ハブ13とスリーブ21は、同軸状に配置された円筒部材からなり、ハブ13を外周側にしてかつスリーブ21を内周側にして軸方向に平行に延び、スリーブ21の先端21aはハブ13の先端13aより所定長さhだけ長く突出し、かつ僅かに外径方向に折曲している。そして、ケース9の所定位置には、潤滑油を噴射するノズル25が、その噴射口25aを上記所定長さhからなる空間Aに向けて、上記ハブ13とスリーブ21の隙間gに潤滑油を吐出するように配置されている。
【0029】
即ち、スリーブ21の内径側には、前記プラネタリギヤPUを構成するキャリヤCR2、リングギヤR2、サンギヤS2,S3が配置されており、該プラネタリギヤPUは、入力軸2及びロングピニオン軸40等に形成された潤滑油路36a,36bからの潤滑油により潤滑される。
【0030】
前記ハブ13は、図4(A)に示すように、そのスプライン15が所定板厚tのプレス型により成形され、その凹凸は、外周面に内摩擦板16の歯と係合するスプライン15として形成されていると共に、内周面にも同様な凹凸部26が全周に亘ってかつ軸方向形成されている。該凹凸部26の凹部26aの底面にはそれぞれかつ軸方向に所定間隔で小孔(貫通孔)27が貫通して多数形成されており、図4(B)に示すように、上記凹部26aは潤滑油Oが溜る油溜りとなり、該油溜り26aの潤滑油Oが上記小孔27を通って、ブレーキB−2の摩擦板12,16に供給される。また、ハブの先端13aは、図3に示すように、上記油溜りとなる凹部26aの端が蓋されるように折曲して、円環状の鍔部となっている。
【0031】
第1の実施の形態による油圧回路A1は、図5に示すように、自動変速装置1の入力軸(又はエンジン出力軸)2に連動して駆動される機械式オイルポンプ29と電動オイルポンプ30を有しており、これらポンプによる油圧は、制御装置(コントローラ)Uからの電気信号により制御されるプライマリレギュレータバルブによりライン油圧PLに調圧される。更に、該プライマリレギュレータバルブの排出側には、同じくコントローラからの電気信号により制御されるセカンダリレギュレータバルブ32が配置されており、該セカンダリレギュレータバルブ32により潤滑油圧JPに調圧される。上記プライマリレギュレータバルブからのライン油圧PLは、マニュアルバルブ33へ導かれる。該マニュアルバルブ33は、運転者のレンジ(P,R,N,D等)切換え操作により切換えられ、Dレンジ操作によりライン圧供給ポートaがDレンジライン圧ポートDに連通して、油路D1にライン油圧(PL)が供給される。該ライン油圧は、リニアソレノイドバルブ(SLB2)37を介して前記ブレーキB−2の油圧サーボ39に供給されると共に、リニアソレノイドバルブ(SLC1)40を介して前記クラッチC−1の油圧サーボ41に供給される。なお、ライン油圧PLは、1速時に係合する所定の摩擦要素であるブレーキB−2用油圧サーボ39及びクラッチC−1用油圧サーボ41に限らず、他の摩擦要素の油圧サーボにも供給される。また、上記機械式オイルポンプ29,電動オイルポンプ30は、いずれか一方のみでもよい。
【0032】
前記セカンダリレギュレータバルブ32から潤滑油圧JPが供給される(第1)油路J1は、オイルクーラ35を介して前記自動変速装置1のギヤトレーン(SP,PU)用潤滑部45及び電気モータの潤滑部46に導かれる。上記第1潤滑油路J1は、オイルクーラ35の上流側で分岐(d)され、該分岐された第2潤滑油路J2は、上記ブレーキB−2潤滑用としてのノズル25に導かれるB−2専用の潤滑油路となる。上記第2潤滑油路J2への分岐点dより下流側における第1潤滑油路J1にはオリフィス34が介在しており、該オリフィス34の径は、所定量の潤滑油が第2潤滑油路J2に確実に導かれるように設定されている。該B−2(所定の摩擦要素)専用の第2潤滑油路J4には、1個のB−2(所定の摩擦要素)用切換えバルブ50が介在している。
【0033】
前記B−2用切換えバルブ50は、スプールの一端部に制御油室50aを有しており、該制御油室50aは、油路M2を介してブレーキB−2用油圧サーボ39への油路M1に連通している。即ち、ライン油圧がリニアソレノイドバルブ37により調圧され、該調圧は、調圧油路M1を通ってブレーキB−2用油圧サーボ39へ供給されると共に、分岐調圧油路M2を通って上記切換えバルブ50の制御油室50aに導かれる。該制御油室50aに対抗するようにスプールの他端にはスプリング50bの付勢力が作用しており、該スプールは、上記B−2専用の第2潤滑油路J2の供給ポートfを上記ブレーキB−2用潤滑部25への出力ポートi又は遮断ポートsに切換える。
【0034】
従って、電気モータ3による発進時、自動変速装置1は1速状態にあり、所定の摩擦要素であるブレーキB−2を係合する。即ち、リニアソレノイドバルブ37は、ライン油圧PLと略々等しい係合圧を出力し、該係合圧は、調圧油路M1を介して油圧サーボ39に供給され、ブレーキB−2を係合する。上記油路M1の係合圧は、分岐調圧油路M2を介してB−2用切換えバルブ50の制御油室50aにも供給され、該切換えバルブ50を供給ポートfと出力ポートiとを連通した連通状態に切換える。この状態では、潤滑油路Jの潤滑油は、B−2専用第2潤滑油路J2及び切換えバルブ50の連通ポートf,iを介してブレーキB−2潤滑部25であるノズルに供給される。
【0035】
そして、自動変速装置1の1速段における比較的低速走行時に、制御装置Uからエンジン始動指令が出力される。これにより、リニアソレノイドバルブ37は、ライン油圧PLを係合圧と解放圧の間である所定油圧(スリップ圧)を出力し、該所定油圧が調圧油路M1を介して前記ブレーキB−2用の油圧サーボ39に供給されて、前記ブレーキB−2は、スリップ制御され、また同時にクラッチ6を係合して、電気モータ3によりエンジンが始動される。この際、電気モータ3は所定トルク及び回転数を出力し、クラッチ6をスリップしつつ滑らかにエンジンを始動すると共に、ブレーキB−2をスリップ制御して、入出力軸の回転差を吸収しかつ出力部11に始動ショックの少ない滑らかなトルクを出力する。前記調圧油路M1の所定油圧(スリップ圧)は、分岐調圧油路M2を介して、切換えバルブ50の制御油室50aにも供給され、該切換えバルブ50は、連通状態を維持されてB−2専用の第2潤滑油路J2の潤滑油は、B−2潤滑用のノズル25に供給され続ける。
【0036】
また、自動変速装置1の1速段での低速走行時、バッテリ残量(SOC)が不足した状況にあって、内燃エンジンEの動力によりクラッチ6を介して電気モータ3を回転して、バッテリを充電する場合がある。この場合も、内燃エンジン出力軸5及び入力軸2は、自動変速装置1の1速段に基づく低速走行による回転に対して高い回転になるため、上記ブレーキB−2をスリップ制御する必要がある。この状態では、上記エンジン始動時に比較して、スリップ制御の時間が長くなるが、上述したように、潤滑油は、第1の潤滑油路J1、第2潤滑油路J2及び切換えバルブ50の連通位置f,iを介してブレーキB−2に直接供給され、該比較的大量の潤滑油が、上記スリップ制御中常に供給されることにより、ブレーキB−2が過熱状態となることはなく、高い精度のスリップ制御を上記充電時間中維持することができる。
【0037】
該第2潤滑油路J2の潤滑油は、ノズル25の噴射口25aから空間Aに吐出され、ハブ13とスリーブ21との比較的狭い隙間gに殆ど漏すことなく供給される。図4(A)に所定角度位置αにてノズル噴射口25aから供給される潤滑油は、重力とスリップ制御に基づくハブ13及びスリーブ21の回転による遠心力とにより、ハブ13内周面の凹凸部26の凹部26aからなる油溜りに入って軸方向に拡がり、更に上記遠心力により油溜り26a内に張り付いて、小孔27から徐々に摩擦板12,16に向って排出される。小孔27の孔径は、スリップ制御において略々ハブ13が1回転したときに各油溜り26aの潤滑油がなくなるように設定されている。従って、多板ブレーキB−2は、その全周に亘ってかつ軸方向全長に亘って、略々均等にかつ充分な量の潤滑油が供給されて、該ブレーキのスリップ制御が度々生じても、摩擦板12,16の耐久性を確保しつつ、スリップ制御が支障なく行われる。
【0038】
この際、上記油溜りとなる凹部26aは、その先端13aが蓋されており、凹部26aに溜められた潤滑油Oは、遠心力等により先端から飛散することはなく、潤滑油は、無駄になることなく高い効率でブレーキB−2に供給される。また、例えハブ13の回転速度が低く、充分な遠心力が潤滑油Oに作用しなくても、比較的狭い隙間gに拡散した潤滑油は、空間Aから外方に漏れることは少なく、小孔27からブレーキB−2に供給される。
【0039】
また、上記多板ブレーキB−2の係合中及びスリップ制御中にあっても、図3に示す潤滑油路36a,36bからプラネタリギヤPUに供給された潤滑油は、遠心力により径方向油路から外径方向飛散され続ける。該回転軸2,40の回転速度等により流量が変化する潤滑油はプラネタリギヤPUの外径側を覆うように配置されているスリーブ21により阻止されて、上記スリーブ21とハブ13との間の油溜り26aに供給されることはない。従って、多板ブレーキB−2には、B−2専用の第2潤滑油路J2を経由したノズル25からの潤滑油のみが供給されることになり、多板ブレーキB−2は、その全周及び全長に亘って均等に行き渡った適正な量の潤滑油供給によりスリップ制御される。
【0040】
自動変速装置1が2速にシフトアップすることが判断されると、リニアソレノイドバルブ37は、略々ドレーン状態からなる解放圧(略0圧)を出力する。これにより、調圧油路M1の解放圧は、B−2用油圧サーボ39に作用してブレーキB−2は解放状態となり、前述したように、ブレーキB−1の係合と相俟って2速にアップシフトする。
【0041】
この状態では、調圧油路M1の解放圧は、分岐調圧油路M2を介して切換えバルブ50の制御油室50aにも作用し、該切換えバルブ40は、スプールがスプリングの付勢力により移動して遮断される。これにより、ノズル25への潤滑油の供給は停止され、ブレーキB−2は、引きずりトルクが作用することなく解放状態に保持される。
【0042】
前記B−2用切換えバルブ50は、B−2用油圧サーボ39への調圧により切換え制御されるが、所定の摩擦要素であるブレーキB−2が完全係合状態、即ち摩擦要素の入力側と出力側が差回転を有さずに駆動力を伝達する状態、並びにスリップ状態、即ち摩擦要素の入力側と出力側が差回転を有して駆動力を伝達する状態で連通状態(供給ポートfと出力ポートiが連通する状態)となり、解放状態、即ち摩擦要素の入力側と出力側の間で駆動力を伝達しない状態で遮断状態(供給ポートfが遮断ポートsで遮断される)に切換えられる。
【0043】
ついで、図6に沿って、第2の実施の形態について説明する。なお、図5に示す第1の実施の形態と同様な構成部品については、同一符号を付して説明を省略する。本油圧回路A2は、前記セカンダリレギュレータバルブ32から潤滑油圧JPが供給されている潤滑油路Jに、(第1の)切換えバルブ42が介在しており、該切換えバルブ42は、制御装置AからのON,OFF信号により切換えられるソレノイドバルブSVにより制御されて、上記潤滑油路Jを第3潤滑油路J3と第4潤滑油路J4とに切換える。第3潤滑油路J3は、オイルクーラ35を介して前記自動変速装置1のギヤトレーン(SP,PU)及びベアリング等の潤滑部45に導かれ、第4潤滑油路J4は、上記電気モータ3のステータ巻線等の冷却潤滑部46に導かれる。上記オイルクーラ35とギヤトレーン潤滑部45との間の上記第3潤滑油路J3と上記電気モータ冷却潤滑部46へ導かれる第4潤滑油路J4との間に、第3潤滑油路J3から第4潤滑油路J4へのオイルの流れを許容する一方向バルブ47を有する連絡油路J5を連通する。
【0044】
前記第4潤滑油路J4からは、B−2専用の第2潤滑油路J2が分岐し、該分岐された第2潤滑油路J2はB−2用切換えバルブ50を介してブレーキB−2用の潤滑部25に連通している。第4潤滑油路J4の上記分岐部eと電気モータ潤滑冷却部46との間には、連絡潤滑油路J5からの潤滑油が第2潤滑油路J2に逆流することを防止すると共に、第2潤滑油路J2へ所定量の潤滑油を導くためにオリフィス53が設けられている。従って、上記第4潤滑油路J4が、図5に示す第1の実施の形態における必要潤滑箇所に潤滑油を導く第1潤滑油路(J1)に相当する。
【0045】
前記第1の切換えバルブ42は、ソレノイドバルブSVにより切換えられる。該ソレノイドバルブSVは、図7に示すように、制御装置UからのON,OFF信号により切換えられる。即ち、車両の停止時を含む車速の所定速度以下の(極)低速走行か否か判断され(S−1)、車速が所定値以下を検出した場合(YES)、第3潤滑油路J3に連通する第1状態に切換えられ(S−2)、所定値以上での走行状態を検出した場合(NO)、第4潤滑油路J4に連通する第2状態に切換えられる(S−3)。上記所定値は、例えば1−2変速時に対応するように設定される。例えば、該第1の切換えバルブ42の切換え信号は、所定速度以下での車速(停止を含む)を検出する信号でもよく、所定速度以下の車速を区別し得る信号油圧でもよい。また、1モータパラレルタイプのハイブリッド駆動装置Hにあっては、電気モータ3は低速走行における発進時又は車両停止における発電充電時に駆動されるので、車両の停止信号に、電気モータの駆動信号を加えたものでもよい。なお、該第1の切換えバルブ42は、電気信号により切換えられるソレノイドバルブでも、油圧により切換えられるバルブでもよい。
【0046】
本第2の実施の形態による油圧回路A2は、以上のような構成からなるので、車両の停止時は、第1の切換えバルブ42が供給側潤滑油路Jを第4潤滑油路J4に接続して、潤滑油が電気モータ潤滑冷却部46に供給されて、電気モータ3が冷却される。また、車両の前記所定値以上での走行状態では、第1の切換えバルブ42は、供給側油路Jが第3潤滑油路J3に接続して、機械式ポンプ29による比較的大量の潤滑油がオイルクーラ35を介してギヤトレーン潤滑部45に供給され、自動変速装置1のギヤトレーンSP,PU及びベアリング等を潤滑する。更に、第3潤滑油路J3の潤滑油の一部は、連絡潤滑油路J5の一方向バルブ47を介して電気モータ潤滑冷却部46に供給され、該電気モータ3を冷却する。この際、該連絡潤滑油路J4を通る潤滑油が、B−2専用の第2潤滑油路J2に逆流することがオリフィス53により防止される。
【0047】
そして、車両が始動する際、自動変速装置1は、ブレーキB−2及びクラッチC−1が係合した1速段にあり、かつクラッチ6は解放状態にあると共に内燃エンジンEは停止状態にあって、車両は、電気モータ2を駆動源として走行する。この際、車速は、前記所定値以下であって、第1の切換えバルブ42は第4潤滑油路J4に潤滑油圧JPが供給されている状態にあり、電気モータ潤滑冷却部46に潤滑油が供給されると共に、B−2専用の第2滑油路J2を介してB−2用切換えバルブ50の供給ポートfに潤滑油圧JPが供給されている。
【0048】
自動変速装置1の1速段にあっては、リニアソレノイドバルブ37がライン油圧を所定圧を調圧して、調圧油路M1に出力して、ブレーキB−2用油圧サーボ39に供給してブレーキB−2を完全係合状態としている。上記調圧油路M1の所定調圧は、分岐調圧油路M2を介して第2の切換えバルブ50の制御油室50aに供給され、該切換えバルブ50は、供給ポートfと出力ポートiとを連通状態として、上記第2潤滑油路J2の潤滑油は、ポートf,iを通ってブレーキB−2用潤滑部25に供給される。
【0049】
そして、上記自動変速装置1の1速段における低速走行状態にあって、クラッチ6が係合することにより電気モータ3のトルクが内燃エンジンEに伝達され、エンジンEを始動する。この際、電気モータ3は、一般に、低速走行時より高いエンジン始動回転で回転するため、自動変速装置1の入出力軸間の上記回転差を吸収する必要があり、ブレーキB−2をスリップ制御する。従って、ブレーキB−2には比較的大量の潤滑油が供給されることが好ましいが、上記第1の切換えバルブ42及びB−2用切換えバルブ50により、自動変速装置1の回転状態による機械式オイルポンプ29の駆動に基づく比較的大量の潤滑油が、ブレーキB−2に直接供給されて上記スリープ制御を高い精度で適正に行うことができると共に、ブレーキB−2の耐久性を確保する。
【0050】
また、自動変速装置1の1速段での低速走行時、バッテリ残量(SOC)が不足して、内燃エンジンEの動力によりクラッチ6を介して電気モータ3を回転して、バッテリを充電する場合がある。この場合も、内燃エンジン出力軸5及び入力軸2は、自動変速装置1の1速段に基づく低速走行による回転に対して高い回転になるため、上記ブレーキB−2をスリップ制御する必要がある。この状態では、上記エンジン始動時に比較して、スリップ制御の時間が長くなるが、上述したように、潤滑油は第1の切換えバルブ42による第4の潤滑油路J4、第2潤滑油路J2及び切換えバルブ50の連通位置f,iを介してブレーキB−2に直接供給され、該比較的大量の潤滑油が、上記スリップ制御中常に供給されることにより、ブレーキB−2が過熱状態となることはなく、高い精度のスリップ制御を上記充電時間中維持することができる。
【0051】
この際、自動変速装置1は、車速が所定値以下の低速状態にあって、ギヤトレーンへの潤滑負荷は大きくない。そして、エンジンEが上記電気モータ3のトルクにより始動されるが、この際電気モータ3は、車両の走行負荷に加えてエンジンの始動負荷が作用するが、上記ブレーキB−2のスリップ制御と相俟って、該電気モータ3の出力制御により、自動変速装置1の出力部11には、エンジンの始動等のショックの少ない滑らかなトルクを出力する。また、電気モータ3も、第2潤滑油路J2の潤滑油により冷却されて過熱状態となることはない。
【0052】
エンジンEが始動された後は、エンジントルクがクラッチ6を介して自動変速装置1に伝達され、車両は、専らエンジン出力により走行する。この状態では、車速が所定値以上になり、第1の切換えバルブ42が第3潤滑油路J3に切換えられるか、又は2速段にシフトアップして、ブレーキB−2用油圧サーボ39への所定圧が開放され、B−2用切換えバルブ50は遮断ポートs側に切換えられる。従って、潤滑油圧JPは、第3潤滑油路J3を介してギヤトレーン潤滑部45に供給され、またブレーキB−2用潤滑部51への潤滑油の直接供給は遮断される。
【0053】
車速が前記所定値以上で走行している場合、専ら内燃エンジンEを動力源として、多段に変速される自動変速装置1を介して駆動車輪に伝達される。この際、第1の切換えバルブ32は、供給側潤滑油路Jが第3潤滑油路J3に接続した状態にあり、前述したように、潤滑油は、ギヤトレーン用潤滑部45に供給され、走行状態にある自動変速装置1を潤滑する。該内燃エンジンE主動で走行する場合、電気モータ3は無負荷状態で回転するか、上記エンジン駆動をアシストするように所定トルクを出力するか、又は車両慣性力により回生してバッテリを充電する。また、バッテリの残量(SOC)が残り少なくなった場合、内燃エンジンEにより電気モータ3が回転して、該電気モータをジェネレータとして機能してバッテリを充電する。この状態では、上記第3潤滑油路J3からのオイルクーラで冷却された潤滑油の一部が、一方向バルブ47を介して電気モータ潤滑冷却部46に供給されており、上記無負荷又は低負荷で回転している電気モータ3を冷却して、該モータが過熱状態になることを防止する。
【0054】
また、バッテリ残量が少なくなると、運転者は、Pレンジ(又はNレンジ)で停止し、この状態でクラッチ6を接続してエンジンEにより電気モータ3を駆動してバッテリを充電する。この際、第1の切換えバルブ42は、供給側潤滑油路Jが第2潤滑油路J2に連通するように切換えられ、電気モータ潤滑冷却油路46に潤滑油が供給されて、電気モータ3が過熱状態となることはない。なお、B−2用切換えバルブ50は、ブレーキB−2用油圧サーボ39が開放状態にあるので、供給ポートfが遮断状態にあって、ブレーキB−2用潤滑部25に潤滑油が直接供給されることはない。
【0055】
上述した実施の形態は、クラッチ6を有する1モータパラレルタイプのハイブリッド駆動装置に適用しているが、これに限らず、クラッチを有さない1モータパラレルタイプのハイブリッド駆動装置、更に動力分配機構によるハイブリッド駆動装置等、他の形式のハイブリッド駆動装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 自動変速装置
2 入力軸
3 電気モータ
3a ロータ
5 エンジン出力軸
11 出力部
25 所定の摩擦要素(B−2)用潤滑部
32 セカンダリレギュレータバルブ
34,53 オリフィス
39 ブレーキB−2用油圧サーボ
42 第1の切換えバルブ
45 自動変速装置(ギヤトレーン)潤滑部
46 電気モータ潤滑冷却部
47 一方向バルブ
50 所定の摩擦要素(B−2)用切換えバルブ
50a 制御油室
,A 油圧回路
B−1,B−2,C−1〜C−3 摩擦要素
B−2 所定の摩擦要素(ブレーキ)
E 内燃エンジン
J (供給側)潤滑油路
J1 第1潤滑油路
J2 第2潤滑油路
J3 第3潤滑油路
J4 第4潤滑油路
H ハイブリッド駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータと、複数の摩擦要素により動力伝達経路を変更して、入力部の回転を複数変速段に変速して出力部に伝達する自動変速装置と、を備えてなる、ハイブリッド駆動装置において、
潤滑必要箇所に潤滑油を導く第1潤滑油路と、該第1潤滑油路から分岐し、前記複数変速段のうちの少なくとも1速段において係合する所定の摩擦要素に直接潤滑油を導く第2潤滑油路と、を備え、
前記第2潤滑油路への分岐の下流側における前記第1潤滑油路にオリフィスを介在し、
該第2潤滑油路に、連通状態及び遮断状態に切換える所定の摩擦要素用切換えバルブを介在し、
前記所定の摩擦要素用油圧サーボに、ライン圧を調圧手段にて調圧した所定油圧を供給して、該所定の摩擦要素を、完全係合状態、解放状態及びスリップ状態に制御し、
前記所定の摩擦要素用切換えバルブは、その制御油室を前記所定の摩擦要素用油圧サーボに連通して、該所定の摩擦要素が解放状態にある場合遮断状態とし、完全係合状態及びスリップ状態の場合連通状態に切換えられてなる、
ハイブリッド駆動装置。
【請求項2】
前記オイルポンプからの油圧を調圧した潤滑油圧が供給される潤滑油路に、該潤滑油路の潤滑油を、前記自動変速装置に導く第3潤滑油路と、前記電気モータに導く第4潤滑油路とに切換える第1の切換えバルブを介在し、
前記第1潤滑油路が前記第4潤滑油路であり、該第4潤滑油路から分岐して前記所定の摩擦要素に導く前記第2潤滑油路に前記所定の摩擦要素用切換えバルブを介在し、
前記第1の切換えバルブは、車両の停止状態を含み走行速度が所定値以下の場合、前記潤滑油路の潤滑油を、前記第3潤滑油路に連通する状態から前記第4潤滑油路に連通する状態に切換えてなる、
請求項1記載のハイブリッド駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−215246(P2012−215246A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81061(P2011−81061)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】