パターン形成方法及びデバイス製造方法
【課題】露光装置の解像限界よりも微細な非周期的な部分を含むパターンを、露光装置を用いて形成する。
【解決手段】パターン形成方法は、ウエハW上に第1L&Sパターン71を形成し、第1L&Sパターン71を覆うように第1保護層48、周期方向が直交する第2L&Sパターン78、及びフォトレジスト層60を形成し、第2L&Sパターン78の一部と重なるように、フォトレジスト層60に第1開口部60A,60Bを有する第3パターンを形成し、第1開口部60A,60Bを介して第1保護層48に第2開口部48A,48Bを形成し、第2開口部48A,48Bを介して第1L&Sパターン71の一部を除去する。
【解決手段】パターン形成方法は、ウエハW上に第1L&Sパターン71を形成し、第1L&Sパターン71を覆うように第1保護層48、周期方向が直交する第2L&Sパターン78、及びフォトレジスト層60を形成し、第2L&Sパターン78の一部と重なるように、フォトレジスト層60に第1開口部60A,60Bを有する第3パターンを形成し、第1開口部60A,60Bを介して第1保護層48に第2開口部48A,48Bを形成し、第2開口部48A,48Bを介して第1L&Sパターン71の一部を除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にパターンを形成するパターン形成方法、及びそのパターン形成方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子デバイスやマイクロデバイス等を製造するためのリソグラフィー工程で使用され、露光光として例えば遠紫外域から真空紫外域にかけての紫外光を用いる露光装置においては、解像度を高めるために、露光波長の短波長化、照明条件の最適化、及び液浸法の適用等が行われてきた。最近では、露光装置の解像限界よりも微細なピッチの周期的な回路パターンを形成するために、ピッチ分割法(Pitch-Splitting Process)及びスペーサ・ダブルパターニング法(Spacer Double Patterning Process, Spacer transfer Process 又はSidewall transfer Process)が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
前者のピッチ分割法は、二重露光法(Double Exposure Process)とダブルパターニング法(Double Patterning Process)とに大別される。二重露光法では、最終的に形成されるデバイスパターンの2倍のピッチを持つ第1及び第2のマスクパターンの像を互いに位相をずらした状態で非線形レジストに転写した後、エッチング等を行う(例えば、非特許文献2参照)。また、ダブルパターニング法では、その第1のマスクパターンの像の露光とその第2のマスクパターンの像の露光との間にエッチング等のプロセスが実行される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Andrew J. Hazelton et al., “Double-patterning requirements for optical lithography and prospects for optical extension without double patterning,” J. Micro/Nanolith. MEMS MOEMS, (米国)Vol.8(1), 011003, Jan-Mar (2009)
【非特許文献2】H. Ohki et al. “Experimental study on non-linear multiple exposure method,” Proc. SPIE (米国) 3051, p.85-93 (1997)
【非特許文献3】W. Jung et al., “Patterning with amorphous carbon spacer for expanding the resolution limit of current lithography tool,” Proc. SPIE (米国) 6520, 65201C (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のピッチ分割法又はスペーサ・ダブルパターニング法よりなるパターン形成方法によれば、露光装置の解像限界よりも微細なピッチの周期的な回路パターンを形成することが可能である。しかしながら、従来のパターン形成方法では、露光装置の解像限界よりも微細な非周期的な部分を含む回路パターンを高精度に形成することは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑み、露光装置の解像限界よりも微細なパターンを形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、パターン形成方法であって、基板上に第1ラインパターンを有する第1パターンを形成し、その第1パターンを覆うように第1薄膜を形成し、その第1薄膜上に、その第1ラインパターンに交差する方向に伸びる第2ラインパターンを有する第2パターンを形成し、その第2パターンを覆うように感光層を形成し、その第2パターンの少なくとも一部と重なるように、その感光層に第1開口部を有する第3パターンを形成し、その感光層に形成された第3パターンの第1開口部を介してその第1薄膜の一部を除去して、その第1薄膜に第2開口部を形成し、その第1薄膜の第2開口部を介してその第1パターンの一部を除去し、その第1薄膜及びその第2パターンを除去するパターン形成方法が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、パターン形成方法であって、基板上に所定方向に交互に配列した複数の第1ラインと第1スペースを有する第1ライン・アンド・スペースパターンを形成し;その第1ライン・アンド・スペースパターン上に前記所定方向と交差する方向に交互に配列した複数の第2ラインと第2スペースを有する第2ライン・アンド・スペースパターンを形成し;第1ライン・アンド・スペースパターンの複数の第1ラインと第2ライン・アンド・スペースパターンの複数の第2スペースが重なる複数の重複領域に存在する第1ラインの一部の領域を、該第1ラインの一部の領域を区画する一対の第2ラインをマスクとしてエッチングして除去し;第2ライン・アンド・スペースパターンを除去することにより、第1ライン・アンド・スペースパターンの第1ラインの一部が除去された非周期のライン・アンド・スペースパターンを形成するパターン形成方法が提供される。
【0008】
また、本発明の第3の態様によれば、本発明の第1または第2の態様のパターン形成方法を用いて基板上に所定のパターンの一部を除去したパターンを形成する工程を含むデバイス製造方法が提供される。
また、本発明の第4の態様によれば、本発明の第1または第2の態様のパターン形成方法を用いるデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、露光装置の解像限界よりも微細なパターンを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は実施形態で使用されるパターン形成システムの要部を示すブロック図、(B)は図1(A)中の露光装置100の概略構成を示す図である。
【図2】実施形態において製造される電子デバイスの或るレイヤの回路パターンの一部を示す拡大図である。
【図3】第1の実施形態のパターン形成方法を示すフローチャートである。
【図4】(A)は第1のレチクルのパターンの一部を示す拡大平面図、(B)はデバイス層に第1中間層及びフォトレジスト層が形成された第1の実施形態のウエハWを示す拡大断面図、(C)は第1中間層のエッチング後のウエハを示す拡大断面図、(D)は第1スペーサ層が堆積されたウエハWを示す拡大断面図、(E)は第1スペーサ層のエッチング後のウエハWを示す拡大断面図、(F)は第1中間層のパターンの除去後のウエハWを示す拡大断面図、(G)はデバイス層に形成される第1のL&Sパターン(ライン・アンド・スペースパターン)71を示す拡大平面図である。
【図5】(A)は第2のレチクルのパターンの一部を示す拡大平面図、(B)は加工用パターン層等が形成されたウエハWを示す拡大断面図、(C)は加工用パターン層上の第2中間層のエッチング後のウエハWを示す拡大断面図、(D)は第2スペーサ層が堆積されたウエハWを示す拡大断面図、(E)は第2スペーサ層のエッチング後のウエハWを示す拡大断面図、(F)は第2中間層のパターンの除去後のウエハWを示す拡大断面図、(G)は加工用パターン層に形成される第2のL&Sパターン78を示す拡大平面図である。
【図6】(A)は第3のレチクルのパターンの像が露光されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図6(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図6(A)のCC’線に沿う断面図、(D)は第3のレチクルのパターンの一部を示す拡大平面図である。
【図7】(A)は現像後のウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図7(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図7(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図8】(A)は保護層に開口が形成されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図8(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図8(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図9】(A)はL&Sパターン71,78の一部が除去されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図9(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図9(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図10】(A)は第2保護層の除去後のウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図10(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図10(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図11】(A)は第2のL&Sパターン78の除去後のウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図11(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図11(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図12】(A)は第1保護層の除去後のウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図12(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図12(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図13】(A)は第3のレチクルの別のパターンの像が露光されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図13(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図13(A)のCC’線に沿う断面図、(D)は第3のレチクルの別のパターンを示す拡大平面図である。
【図14】(A)は図13(A)の状態に続いてフォトレジスト及び保護層の一部が除去されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図14(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図14(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図15】(A)は図14(A)の状態に続いてL&Sパターン71,78の一部が除去されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図15(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図15(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図16】(A)は図15(A)の状態に続いて第2のL&Sパターン78及び保護層が除去されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図16(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図16(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図17】第2の実施形態のパターン形成方法を示すフローチャートである。
【図18】(A)は第3のレチクルのパターンの像が露光された第2の実施形態のウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図18(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図18(A)のCC’線に沿う断面図、(D)は第3のレチクルのパターンの一部を示す拡大平面図である。
【図19】(A)は現像後にハードマスク層の一部が除去されたウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図19(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図19(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図20】(A)はレジスト及び有機層の一部が除去されたウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図20(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図20(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図21】(A)は第2のL&Sパターン78が除去され第1のL&Sパターン71の一部が除去されたウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図21(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図21(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図22】(A)はハードマスク層の除去後のウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図22(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図22(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図23】(A)は切り欠き部に有機材料が再充填されたウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図23(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図23(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図24】(A)は第1のL&Sパターン71の除去後のウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図24(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図24(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図25】(A)は第3のレチクルのパターンの像が露光された第3の実施形態のウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図25(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図25(A)のCC’線に沿う断面図、(D)は第3のレチクルのパターンを示す拡大平面図である。
【図26】(A)はフォトレジスト層及び第1保護層の一部が除去されたウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図26(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図26(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図27】(A)はL&Sパターン71,78Aの一部が除去されたウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図27(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図27(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図28】(A)はフォトレジスト層及び第2のL&Sパターン78Aの除去後のウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図28(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図28(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図29】(A)は第1保護層の除去後のウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図29(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図29(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図30】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態につき図1〜図16を参照して説明する。まず、本実施形態において半導体素子等の電子デバイスやマイクロデバイス等の回路パターンを形成するために使用されるパターン形成システムの一例につき説明する。
図1(A)は、本実施形態のパターン形成システムの要部を示し、図1(B)は、図1(A)中の露光装置(本実施形態では、露光装置の一例として、スキャンニグステッパーを示している)100の概略構成を示す。図1(A)において、そのパターン形成システムは、露光装置100、ウエハ等の基板に対するフォトレジスト(感光材料)の塗布及び現像を行うコータ・デベロッパ200、薄膜形成装置300、ウエハに対するドライ及びウエットのエッチングを行うエッチング装置400、これらの装置間でウエハの搬送を行う搬送系500、及びホストコンピュータ(不図示)等を含んでいる。
【0012】
図1(B)において、露光装置100は、照明系10と、照明系10を介した露光用の照明光(露光光)ILにより照明されるレチクルR(マスク)を保持するレチクルステージRSTと、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW(基板)の表面に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPUと、ウエハWを保持するウエハステージWSTとを備えている。露光装置100は、装置全体の動作を統括的に制御するコンピュータよりなる主制御装置(不図示)等も備えている。以下、図1(B)において、投影光学系PLの光軸AXと平行な方向に沿った軸をZ軸、これに直交する平面(ほぼ水平面)内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向に沿った軸をY軸、Z軸及びY軸に直交する方向に沿った軸をX軸とし、X軸、Y軸、及びZ軸の回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向とする。
【0013】
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/025890号明細書などに開示されるように、照明光ILを発生する光源と、照明光ILでレチクルRを照明する照明光学系とを含む。照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。なお、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、YAGレーザ若しくは固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波、又は水銀ランプの輝線(i線等)なども使用できる。
【0014】
照明光学系は、偏光制御光学系、光量分布形成光学系(例えば、回折光学素子又は空間光変調器など)、オプティカルインテグレータ(例えば、フライアイレンズ又はロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)など)等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド(可変視野絞り)等(いずれも不図示)を有する。照明系10は、レチクルブラインドで規定されたレチクルRのパターン面(下面)のX方向に細長いスリット状の照明領域IARを、2極照明、4極照明、輪帯照明、コヒーレンスファクタ(σ値)の小さい照明、又は通常照明等の照明条件で、所定の偏光状態の照明光ILによりほぼ均一な照度分布で照明する。
【0015】
また、レチクルRを真空吸着等により保持するレチクルステージRSTは、レチクルベース(不図示)のXY平面に平行な上面に、Y方向に一定速度で移動可能に、かつX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角が調整可能に載置されている。レチクルステージRSTの位置情報は、複数軸のレーザ干渉計を含むレチクル干渉計18によって、移動鏡14(又はステージの鏡面加工された側面)を介して例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計18の計測値に基づいてリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系(不図示)を制御することで、レチクルステージRSTの位置及び速度が制御される。
【0016】
また、レチクルステージRSTの下方に配置された投影ユニットPUは、鏡筒24と、該鏡筒24内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率β(例えば1/4倍、1/5倍などの縮小倍率)を有する。レチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してレチクルRの照明領域IAR内の回路パターンの像が、ウエハWの一つのショット領域内の露光領域IA(照明領域IARと共役な領域)に形成される。本実施形態の基板としてのウエハWは、例えばシリコン(又はSOI(silicon on insulator)等でもよい)からなる直径が200mm又は300mm程度の円板状の基材の表面にパターン形成用の薄膜(酸化膜、金属膜、ポリシリコン膜等)を形成したものを含む。さらに、露光対象のウエハWの表面には、フォトレジスト(感光材料)が所定の厚さ(例えば数10nm〜200nm程度)で塗布される。
【0017】
また、露光装置100は、液浸法を適用した露光(露光方法)を行うため、投影光学系PLが備える複数の光学素子のうち、最も像面側(ウエハW側)の光学素子である先端レンズ26とウエハとの間に液体Lqを供給する局所液浸装置30を備える。局所液浸装置30により、ウエハWの上面の一部のみ領域に液浸領域が形成される。この局所液浸装置30は、鏡筒24の下端部周囲、すなわち、先端レンズ26の周囲を取り囲むように配置されるノズルユニット32を備える。ノズルユニット32の液体Lqの供給口は、供給流路及び供給管34Aを介して液体供給装置(不図示)に接続されている。ノズルユニット32の液体Lqの回収口は、回収流路及び回収管34Bを介して液体回収装置(不図示)に接続されている。局所液浸装置30の詳細な構成は、例えば米国特許出願公開第2007/242247号明細書等に開示されており、この文献を援用して本文の記載の一部とする。
【0018】
また、ウエハステージWSTは、ベース盤12のXY平面に平行な上面12aに、X方向、Y方向に移動可能に載置されている。ウエハステージWSTは、ステージ本体20と、ステージ本体20の上面に搭載されたウエハテーブルWTBと、ステージ本体20内に設けられて、ステージ本体20に対するウエハテーブルWTB(ウエハW)のZ方向の位置(Z位置)、及びθx方向、θy方向のチルト角を相対的に駆動するZ・レベリング機構とを備えている。ウエハテーブルWTBには、ウエハWを真空吸着等によってほぼXY平面に平行な吸着面上に保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハテーブルWTBの上面のウエハホルダ(ウエハW)の周囲には、ウエハWの表面(ウエハ面)とほぼ同一面となり、液体Lqに対して撥液化処理された表面を有する平板状のプレート(撥液板)28が設けられている。
【0019】
また、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成で、ウエハ面の複数の計測点のZ位置を計測する斜入射方式のオートフォーカスセンサ(不図示)が設けられている。露光中に、このオートフォーカスセンサの計測値に基づいて、ウエハ面が投影光学系PLの像面に合焦されるように、ウエハステージWSTのZ・レベリング機構が駆動される。
【0020】
また、ウエハテーブルWTBのY方向及びX方向の端面には、それぞれ鏡面加工によって反射面が形成されている。ウエハ干渉計16を構成する複数軸のレーザ干渉計からその反射面(移動鏡でもよい)にそれぞれ干渉計ビームを投射することで、ウエハステージWSTの位置情報(少なくともX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む)が例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で計測されている。この計測値に基づいてリニアモータ等を含むウエハステージ駆動系(不図示)を制御することで、ウエハステージWSTの位置及び速度が制御される。なお、ウエハステージWSTの位置情報は、回折格子状のスケールと検出ヘッドとを有するエンコーダ方式の検出装置で計測してもよい。
【0021】
また、露光装置100は、ウエハWの所定のアライメントマークの位置を計測するウエハアライメント系AL、及びレチクルRのアライメントマークの投影光学系PLによる像の位置を計測するために、ウエハステージWSTに内蔵された空間像計測系(不図示)を備えている。これらの空間像計測系(レチクルアライメント系)及びウエハアライメント系ALを用いて、レチクルRとウエハWの各ショット領域とのアライメントが行われる。
【0022】
ウエハWの露光時には、ウエハステージWSTをX方向、Y方向にステップ移動することで、ウエハWの露光対象のショット領域が露光領域IAの手前に移動する。さらに、局所液浸装置30から投影光学系PLとウエハWとの間に液体Lqが供給される。そして、レチクルRのパターンの一部の投影光学系PLによる像をウエハWの一つのショット領域に投影しつつ、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを介してレチクルR及びウエハWをY方向に同期して移動することで、当該ショット領域にレチクルRのパターンの像が走査露光される。そのステップ移動と走査露光とを繰り返すことによって、ステップ・アンド・スキャン方式及び液浸方式で、ウエハWの各ショット領域にそれぞれレチクルRのパターンの像が露光される。
【0023】
次に、本実施形態で製造対象とする回路パターンは、一例として、図2の部分拡大図で示すように、半導体素子としてのSRAM(Static RAM)のゲートセル用の回路パターン70である。なお、以下では、ライン・アンド・スペースパターンをL&Sパターンという。回路パターン70は、ウエハの基材36の表面において、線幅dのラインパターン72及び幅dのスペース部73を周期方向(以下、X方向とする)にピッチ(周期)2dで配列した第1のL&Sパターン71のうち、複数のラインパターン72の一部を除去して形成したものである。例えば、図2において、回路パターン70は、第1のL&Sパターン71のうち、一つ置きのラインパターンからX方向に直交するY方向に関して幅dの部分を除去して複数の分離部74A〜74F(非周期的な部分)を形成したものである。なお、本実施形態における図2のX軸及びY軸の方向は、図2の回路パターン70が形成されるウエハWを図1(B)の露光装置100のウエハステージWSTに載置した場合の、露光装置100におけるX軸及びY軸の方向に平行なものとして説明する。
【0024】
本実施形態では、線幅dは液浸型の露光装置100の解像限界(周期的パターンの場合のハーフピッチ)よりも微細であるとする。従って、第1のL&Sパターン71の線幅dは、露光装置100の解像限界よりも微細である。さらに、回路パターン70は、露光装置100の解像限界よりも微細な幅dの非周期的な部分を含むパターンでもある。一例として、線幅dは露光装置100の解像限界のほぼ1/2であり、言い換えると、露光装置100の解像限界はほぼ2dである。露光装置100の解像限界は、例えば40〜50nm程度であり、これに応じて線幅dは20〜25nm程度になる。以下では、露光装置100の解像限界はほぼ40nm(ハーフピッチ)であり、線幅dはほぼ20nmであるとする。
【0025】
また、図2において、点線で示すように、第1のL&Sパターン71に直交するように、線幅dのラインパターン77及び幅dのスペース部79をY方向にピッチ2dで配列した第2のL&Sパターン78を想定する。この場合、第1のL&Sパターン71中の分離部74A〜74Fは、第2のL&Sパターン78のいずれかのスペース部79と交差している部分である。例えば、第1領域76A内のラインパターン72の分離部74A,74Bの間隔、及び第2領域76B内のラインパターン72の分離部74C,74Dの間隔は、それぞれ第2のL&Sパターン78の2本のラインパターン77及び1つのスペース部79の幅(=3d)である。また、第3領域76C内のラインパターン72の分離部74E,74Fの間隔は、第2のL&Sパターン78の1つのスペース部79の幅(=d)である。この場合、第2のL&Sパターン78のY方向の位置は、例えば第1のL&Sパターン71を形成する際に使用されるアライメントマーク(不図示)に基づいて設定される。なお、分離部74A〜74Fの位置及び個数は、いずれかのスペース部79と交差しているという条件下で任意である。
【0026】
以下、本実施形態のパターン形成システムを用いて回路パターン70を形成するためのパターン形成方法の一例につき図3のフローチャートを参照して説明する。本実施形態では、第1段階として、スペーサ・ダブルパターニング法(Spacer Double Patterning Process, Spacer transfer Process 又は Sidewall transfer Process)を用いて、ウエハの表面の各ショット領域に線幅d(ピッチ2d)の第1のL&Sパターン71を形成する。そして、第2段階として、その各ショット領域において、スペーサ・ダブルパターニング法を用いて、第1のL&Sパターン71の上に、第1のL&Sパターン71に直交するように、線幅d(ピッチ2d)の第2のL&Sパターン78を形成する。そして、第3段階として、その各ショット領域において、第2のL&Sパターン78の複数のスペース部79を介して第1のL&Sパターン71の複数のラインパターン72に幅dの分離部74A〜74F(切り欠き部)を設ける。その第1段階は図3のステップ102,104に対応し、その第2段階はステップ106〜110に対応し、その第3段階はステップ112〜124に対応する。
【0027】
まず、図3のステップ102において薄膜形成装置300を用いて、図4(B)に示すように、ウエハWの例えばシリコンよりなる基材36の平坦な表面に、二酸化ケイ素(SiO2)の薄膜よりなるデバイス層38を形成する。なお、デバイス層38の底面(基材36の表面)には、酸化膜又は窒化膜等が形成されていてもよい。次のステップ104において、デバイス層38にスペーサ・ダブルパターニング法でX方向にピッチ2dの第1のL&Sパターン71を形成する。ステップ104の動作は、ステップ130〜140に分かれている。
【0028】
即ち、ステップ130において、図4(B)に示すように、薄膜形成装置300を用いてウエハWのデバイス層38の表面に第1の中間層40を形成し、コータ・デベロッパ200において、その中間層40の表面に例えばポジ型のフォトレジスト層42を形成する。次のステップ132において、ウエハWを図1(B)の液浸型の露光装置100のウエハステージWSTに載置する。露光装置100のレチクルR(第1マスク板)のパターンは、図4(A)の拡大図で示すように、線幅が2d/β(βは投影倍率)の遮光膜よりなるラインパターンRaをX方向にピッチ4d/βで配列したL&Sパターンである。そして、露光装置100でウエハWの各ショット領域にレチクルRのパターンの像44X(X方向にピッチ4dのL&Sパターンの像)を露光する。像44Xの線幅(ハーフピッチ)は2d(ほぼ解像限界)であるため、像44Xは露光装置100によって高精度に結像可能である。この際に、1ピッチ分の像44Xのうちで、露光量が感光レベル以下となる部分(未露光部分)のX方向の幅がdとなるように、露光量を設定しておく。
【0029】
次のステップ134において、コータ・デベロッパ200でウエハWのフォトレジスト層42を現像し、エッチング装置400でウエハWの中間層40のエッチングを行うことで、図4(C)に示すように、線幅dのレジストパターン42A及び中間層40のラインパターン40AをX方向にピッチ4dで配列したL&Sパターンが形成される。その後、レジストパターン42Aを剥離する。次のステップ136において、薄膜形成装置300で、図4(D)に示すように、ウエハWの中間層40のラインパターン40Aを覆うようにスペーサ層46を堆積する。そして、ステップ138に移行し、エッチング装置400において図4(E)に示すように、ウエハのスペーサ層46に対して表面に垂直な方向に異方性エッチングを行う。これにより、線幅dの中間層40のラインパターン40AのX方向の両側面に、スペーサ層46の幅dのスペーサ部46A,46Bが残される。その後、例えばエッチング装置400において、ウエハWの中間層40のラインパターン40Aを除去することにより、図4(F)に示すように、デバイス層38の表面に線幅dのスペーサ部46A,46BをX方向にピッチ2dで配列したL&Sパターンが形成される。次のステップ140において、エッチング装置400において、スペーサ部46A,46BよりなるL&Sパターンをマスクとしてデバイス層38のエッチングを行い、スペーサ部46A,46Bを除去する。この結果、図4(F)及び図4(G)(拡大平面図)に示すように、ウエハWの基材36の表面のデバイス層38に、線幅dのラインパターン38A(第1ライン)をX方向にピッチ2dで配列した第1のL&Sパターン71が形成される(隣合うラインパターン38Aの間にスペースパターン38S(第1スペース)が区画される)。ラインパターン38Aは、図2のラインパターン72に対応する。なお、L&Sパターン71とともにアライメントマーク(不図示)も形成されている。
【0030】
次に、ステップ106において図5(B)に示すように、薄膜形成装置300で、ウエハWの第1のL&Sパターン71を覆うように、一般にフォトレジストの下面に形成される反射防止膜であるBARC(Bottom Anti-Reflection Coating)よりなる第1保護層48を形成し、この表面を平坦化する。次のステップ108において、第1保護層48の表面にデバイス層38と同じ厚さで同じ材料(ここでは二酸化ケイ素)よりなる加工用パターン層52を形成する。なお、加工用パターン層52の厚さは、デバイス層38の厚さと異なっていてもよい。次のステップ110において、ステップ104と同様にスペーサ・ダブルパターニング法で、加工用パターン層52にY方向にピッチ2dの第2のL&Sパターン78を形成する。ステップ110の動作も、ステップ130〜140に対応する工程に分かれている。
【0031】
即ち、ステップ130に対応する工程において、図5(B)に示すように、ウエハWの加工用パターン層52の表面に第2の中間層50を形成し、その中間層50の表面に例えばポジ型のフォトレジスト層54を形成する。次のステップ132に対応する工程において、ウエハWを露光装置100のウエハステージWSTに載置する。露光装置100のレチクルステージRSTにはレチクルRの代わりに第2のレチクルR1(第2マスク板)がロードされている。レチクルR1のパターンは、図5(A)の拡大図で示すように、線幅が2d/β(βは投影倍率)の遮光膜よりなるラインパターンR1aをY方向にピッチ4d/βで配列したL&Sパターンである。そして、レチクルR1は、レチクルR1に形成されたアライメントマーク(不図示)が計測され、その計測結果に基づいてその位置が調整される。その後、露光装置100は、ウエハWの各ショット領域にレチクルR1のパターンの像44Y(Y方向にピッチ4dのL&Sパターンの像)を露光する。像44Yの線幅(ハーフピッチ)も2d(ほぼ解像限界)であるため、像44Yも露光装置100によって高精度に結像可能である。この際に、1ピッチ分の像44Yのうちで、露光量が感光レベル以下となる部分(未露光部分)のY方向の幅がdとなるように、露光量を設定しておく。
【0032】
次のステップ134に対応する工程において、ウエハWのフォトレジスト層54を現像し、中間層50のエッチングを行うことで、図5(C)に示すように、線幅dのレジストパターン54A及び中間層50のラインパターン50AをY方向にピッチ4dで配列したL&Sパターンが形成される。その後、レジストパターン54Aを剥離する。次のステップ136に対応する工程において、図5(D)に示すように、ウエハWのラインパターン50Aを覆うようにスペーサ層56を堆積する。そして、ステップ138に対応する工程で、図5(E)に示すように、ウエハのスペーサ層56に対して表面に垂直な方向に異方性エッチングを行う。これにより、線幅dのラインパターン50AのY方向の両側面に、スペーサ層56の幅dのスペーサ部56A,56Bが残される。その後、ウエハWのラインパターン50Aを除去することにより、図5(F)に示すように、加工用パターン層52の表面に線幅dのスペーサ部56A,56BをY方向にピッチ2dで配列したL&Sパターンが形成される。次のステップ140に対応する工程において、スペーサ部56A,56BよりなるL&Sパターンをマスクとして加工用パターン層52のエッチングを行い、次いで、スペーサ部56A,56Bを除去することで、図5(F)及び図5(G)(拡大平面図)に示すように、ウエハWの第1保護層48の表面の加工用パターン層52に、線幅dのラインパターン52AをY方向にピッチ2dで配列した第2のL&Sパターン78が形成される(隣合うラインパターン52Aの間にスペースパターン52S(第2スペース:スペース部79に対応)が区画される)。ラインパターン52Aは、図2のラインパターン77に対応する。
【0033】
以下、図2の回路パターン70中の分離部74A,74Bを含む第1領域76A内のパターンが形成される過程につき、図6(A)〜図12(C)を参照して説明する。図6(A)〜図12(A)はそれぞれウエハWの表面の各ショット領域内の第1領域76Aに対応する部分を示す拡大平面図、図6(B)〜図12(B)はそれぞれ図6(A)〜図12(A)のBB’線に沿う断面図、図6(C)〜図12(C)はそれぞれ図6(A)〜図12(A)のCC’線に沿う断面図である。なお、図6(A)〜図9(A)では、後述の第2保護層58及びフォトレジスト層60は透明部材として表している。
【0034】
まず、図3のステップ112において、図6(B)に示すように、薄膜形成装置300を用いてウエハWの第2のL&Sパターン78を覆うように、BARC(Bottom Anti-Reflection Coating)よりなる第2保護層58を形成するとともに、この表面を平坦化する。さらに、コータ・デベロッパ200を用いて第2保護層58の表面に例えばポジ型のフォトレジスト層60を形成する。次のステップ114において、ウエハWを図1(B)の露光装置100のウエハステージWSTに載置する。露光装置100のレチクルステージRSTには、レチクルR1の代わりに第3のレチクルR3(第3マスク板)がロードされている。レチクルR3には、図2の分離部74A〜74Fに対応して、それぞれ分離部74A〜74Bを含む大きさの像を形成するための開口パターンが形成されている。レチクルR3の第1領域76Aに対応する部分には、例えば、図6(D)の拡大図で示すように、遮光膜中にX方向及びY方向の幅が2d/β(βは投影倍率)でY方向の間隔が2d/βの2つの開口パターンR3a,R3bが形成されている。なお、本実施形態では、2つの開口パターンR3a、R3bの形状として、正方形の形状を示したが、これに限定されるものではない。例えば、2つの開口パターンとして、OPC(Optical proximity correction)処理を施したパターンを用いてもよい。
【0035】
そして、レチクルR3は、レチクルR3に形成されたアライメントマーク(不図示)が計測され、その計測結果に基づいてその位置が調整される。その後、露光装置100は、ウエハWの各ショット領域の第1領域76Aに対応する部分に、図6(A)に示すように、レチクルR3の開口パターンR3a,R3bの像62A,62Bを露光する。なお、説明の便宜上、投影光学系PLの像は正立像であるとしている。像62A,62Bの理想的な形状A1,B1はX方向、Y方向の幅が2dの正方形であり、露光装置100の解像限界は2dであるが、開口パターンR3a,R3bは孤立的なパターンであるため、図6(A)では、像62A,62Bが或る程度変形した状態を示している。また、例えば、ウエハWの表面が投影光学系の像面からずれている(ウエハWの表面に対して開口パターンR3a、R3bの像がデフォーカスしている)と、開口パターンR3a,R3bの像(フォトレジストの感光レベルを横切る輪郭部)は像A2,B2のようにさらに変形する。しかしながら、開口パターンR3a,R3bの像には、X方向及びY方向の幅がdの分離部74A,74Bを覆う範囲内での位置ずれ及び変形が許容される。なお、図6(A)より、分離部74A,74Bは、第2のL&Sパターン78のスペースパターン52Sと第1のL&Sパターン71のラインパターン38Aが重複している領域であることが分かる。その後、コータ・デベロッパ200においてウエハWのフォトレジスト層60の現像を行う。これによって、図7(A)〜(C)に示すように、ウエハWのフォトレジスト層60の像62A,62Bに対応する部分に第1の開口部60A,60Bが形成される。
【0036】
次のステップ116において、エッチング装置400で例えばドライエッチングによって、開口部60A,60Bを通してウエハWの第2保護層58及び第1保護層48に開口を形成する。これによって、図8(A)〜(C)に示すように、第2保護層58の第3の開口部58A,58B(開口部60A,60Bと同じ形状)及び第1保護層48の第2の開口部48A,48Bが形成される。開口部48A,48Bは、Y方向が隣り合うラインパターン52Aによって制限され、かつX方向が像62A,62Bによって制限された領域を有し、この領域内にラインパターン38Aの一部(除去される部分)が存在している。すなわち、第1保護層48の第2の開口部48A,48Bは、第2のL&Sパターン78の一対のラインパターン(第2ライン)52Aの端部を境界として、すなわち、第2のL&Sパターン78の一対のラインパターン(第2ライン)52Aをマスクとしてエッチングにより形成されることが分かる。その後、フォトレジスト層60(レジスト)を剥離する。次のステップ118においてエッチング装置400で、ウエハWの開口部58A,58B及び開口部48A,48Bを通して第2のL&Sパターン78(ラインパターン52A)及び第1のL&Sパターン71(ラインパターン38A)を形成する二酸化ケイ素の薄膜のエッチングを行う。これにより、図9(A)〜(C)に示すように、開口部58A,58B内のラインパターン52Aに切り欠き部52Aa,52Abが形成され、開口部48A,48B内のラインパターン38Aの分離部74A,74Bに対応する部分に切り欠き部38Aa,38Abが形成される。このように、切り欠き部38Aa,38Abは第1保護層48の第2の開口部48A,48Bを区画する第1保護層48の部分(側壁)及びその上に存在する一対の第2のL&Sパターン78のラインパターン(第2ライン)52Aをマスクとして形成されていることが分かる。
【0037】
続いてステップ120において、図10(A)〜(C)に示すように、エッチング装置400で例えばドライエッチングでウエハWの第2保護層58(上層のBARC)を除去し、ステップ122において、図11(A)〜(C)に示すように、エッチング装置400で例えばエッチバック法でウエハWの第2のL&Sパターン78(ラインパターン52A)の残存部を除去し、ステップ124において、例えばアッシング装置(不図示)でドライアッシングにより第1保護層48(下層のBARC)の残存部を除去する。この結果、図12(A)〜(C)に示すように、ラインパターン38Aに、分離部74A,74Bに対応する部分でY方向に関して幅dの切り欠き部38Aa,38Abが形成された回路パターンが得られる。ラインパターン38Aをラインパターン72とみなすことによって、その回路パターンは図2の第1領域76A内の回路パターンと同じである。
【0038】
また、回路パターン70の第1領域76A内の回路パターンを形成する際に並行して、第2領域76B内の回路パターン、及び第3領域76C内のY方向に最小の間隔dで隣接する分離部74E,74Fを有する回路パターンも形成される。前者の第2領域76B内の回路パターンは第1領域76A内の回路パターンと同じであるため、その形成過程の説明は省略する。そして、第3領域76C内の回路パターンを形成するために、露光装置100にロードされた第3のレチクルR3の第3領域76Cに対応する部分には、例えば、図13(D)に示すように、X方向の幅2d/βでY方向の幅4d/βの細長い(長穴状の)開口パターンR3cが形成されている。なお、本実施形態では、開口パターンR3cの形状として、長方形の形状を示したが、これに限定されるものではない。例えば、開口パターンとして、OPC(Optical proximity correction)処理を施したパターンを用いてもよい。
以下、第3領域76C内のパターンが形成される過程につき、図13(A)〜図16(C)を参照して説明する。図13(A)〜図16(C)内で図6(A)〜図12(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
図13(A)〜図16(A)はそれぞれウエハWの各ショット領域内の第3領域76Cに対応する部分を示す拡大平面図、図13(B)〜図16(B)はそれぞれ図13(A)〜図16(A)のBB’線に沿う断面図、図13(C)〜図16(C)はそれぞれ図13(A)〜図16(A)のCC’線に沿う断面図である。なお、図13(A)〜図16(A)では、第2保護層58及びフォトレジスト層60は透明部材として表している。まず、図3のステップ114において、露光装置100でウエハWの各ショット領域の第3領域76Cに対応する部分に、図13(A)に示すように、レチクルR3の細長い開口パターンR3cの像62Cを露光する。像62Cの理想的な形状C1はX方向の幅が2d、Y方向の幅が4dの長方形であり、露光装置100の解像限界は2dであるが、開口パターンR3cは孤立的なパターンであるため、図13(A)では、像62Cが或る程度変形した状態を示している。ただし、開口パターンR3cの像には、X方向及びY方向の幅がdの分離部74E,74Fを覆う範囲内での位置ずれ及び変形が許容される。その後、ウエハWのフォトレジスト層60の現像を行い、図14(A)〜(C)に示すように、フォトレジスト層60の第1の細長い開口部60C(像62Cに対応する部分)が形成される。ステップ116で例えばドライエッチングにより、この開口部60Cを通して第2保護層58に第3の開口部58Cが形成され、第1保護層48に第2の開口48C1,48C2が形成される。第3の開口部58Cは、その中央部に1つのラインパターン52Aの一部が存在し、この1つのラインパターン52Aを挟むように、一対のラインパターンの一部が存在する。第2の開口部48C1,48C2は、Y方向が隣り合うラインパターン52Aに制限され、かつX方向が開口パターンR3cの像によって制限された領域を有する。このように、第2保護層58に第3の開口部58Cを形成し、第1保護層48に第2の開口48C1,48C2を形成した後、フォトレジスト層60を剥離する。
【0040】
その後、ステップ118において、ウエハWの開口部58C及び開口部48C1,48C2を通して第2のL&Sパターン78(ラインパターン52A)及び第1のL&Sパターン71(ラインパターン38A)を形成する二酸化ケイ素の薄膜のエッチングを行う。これにより、図15(A)〜(C)に示すように、開口部58C内の3本のラインパターン52Aに切り欠き部52Ac1,52Ac2,52Ac3が形成され、開口部48C2,48C1内のラインパターン38Aの分離部74E,74Fに対応する部分に切り欠き部38Ae,38Afが形成される。
【0041】
続いてステップ120において、例えばドライエッチングでウエハWの第2保護層58を除去し、ステップ122において、例えばエッチバック法で第2のL&Sパターン78(ラインパターン52A)の残存部を除去し、ステップ124において、例えばドライアッシングにより第1保護層48の残存部を除去する。この結果、図16(A)〜(C)に示すように、ラインパターン38Aに、間隔dの分離部74E,74Fに対応する部分でY方向に関して幅dの切り欠き部38Ae,38Afが形成された回路パターンが得られる。ラインパターン38Aをラインパターン72とみなすことによって、その回路パターンは図2の第3領域76C内の回路パターンと同じである。
【0042】
従って、レチクルR3の解像限界内の1つの開口パターンの像の露光によって、ラインパターン38A(72)に沿って間隔dで離れた2つの分離部74E,74Fを容易に、かつ高精度に形成できる。さらに、その分離部74E,74FのY方向の間隔d及び分離部74E,74FのY方向の幅dは、ステップ110で形成する第2のL&Sパターン78のピッチ2d及びスペース部79の幅dを制御することによって、容易に調整することが可能である。
【0043】
本実施形態によれば、第1段階及び第2段階でスペーサ・ダブルパターニング法を用いて微細な第1及び第2のL&Sパターン71,78を形成した後、第3段階で分離部74A〜74Fに対応する部分(非周期的な部分)に露光装置100で対応する開口パターンR3a〜R3cの像を露光している。そして、その像によって形成される開口部内で、第2のL&Sパターン52A(78)の複数のスペース部79を介して第1のL&Sパターン71の複数のラインパターン38A(72)に幅dの切り欠き部(分離部74A〜74F)を設けている。従って、露光装置100を用いて、露光装置100の解像限界よりも微細な非周期的な部分を含む回路パターン70を高精度に形成できる。
【0044】
本実施形態の効果等は以下の通りである。
(1)本実施形態の露光装置100を含むパターン形成システムを用いたパターン形成方法は、ウエハW上にX方向に配列された複数の第1ラインパターン38A(72)を有する第1のL&Sパターン71を形成するステップ104と、第1のL&Sパターン71を覆うように第1保護層48を形成するステップ106と、第1保護層48上に、第1ラインパターン38Aに直交する方向に伸びる複数の第2ラインパターン52A(77)をY方向に配列した形状の第2のL&Sパターン78を形成するステップ110と、第2のL&Sパターン78を覆うように第2保護層58を形成し、第2保護層58を覆うようにフォトレジスト層60を形成するステップ112と、を有する。さらに、そのパターン形成方法は、第2のL&Sパターン78の一部と重なるように、フォトレジスト層60に第1の開口部60A,60B,60Cを有するパターンを形成するステップ114と、フォトレジスト層60に形成された開口部60A〜60Cを介して第2保護層58及び第1保護層48の一部を除去して、第1保護層48に第2の開口部48A,48B,48C1,48C2を形成するステップ116と、第1保護層48の開口部48A〜48C2を介して第1のL&Sパターン71の一部(分離部74A,74B,74E,74F)を除去するステップ118と、第2保護層58、第2のL&Sパターン78、及び第1保護層48を除去するステップ120,122,124と、を有する。
【0045】
本実施形態によれば、第1及び第2のL&Sパターン71,78は周期的パターンであるため、L&Sパターン71,78は露光装置100を用いるスペーサ・ダブルパターニング法によって、露光装置100の解像限界よりも微細なパターンとして形成できる。この際に、第2のL&Sパターン78の分離部74A,74B,74E,74Fに対応する部分の(所定の)スペース部79が第1のL&Sパターン71のうちで除去対象となる部分に重なるように位置決めされており、露光装置100を用いて、フォトレジスト層60の開口部60A〜60Cとなる像が、その除去対象となる部分を覆うように露光される。この結果、その分離部74A等となる部分のスペース部79と開口部60A〜60Cとが重なった部分で第1保護層48の開口部48A〜48C2が形成されるため、その開口部48A〜48C2を介して第1のL&Sパターン71のうちその除去対象となる部分のみを高精度に除去できる。
【0046】
従って、露光装置100の解像限界よりも微細な非周期的な部分(分離部74A,74B)を含む回路パターン70を、露光装置100を用いて高精度に形成できる。
(2)また、スペーサ・ダブルパターニング法を適用して第1L&Sパターン71及び第2L&Sパターン78を形成する工程は、それぞれ複数のラインパターン38Aのピッチの2倍のピッチ(4d)の複数のラインパターン40A及び複数のラインパターン52Aのピッチの2倍のピッチ(4d)の複数のラインパターン50Aを形成するステップ132,134と、複数のラインパターン40A及び50Aを用いて、これらのピッチの1/2のピッチ(2d)の第1のL&Sパターン71及び第2のL&Sパターン78を形成するステップ136,138,140と、を有する。従って、露光装置100の解像限界の1/2までの線幅(ハーフピッチ)のL&Sパターン71,78を高精度に形成できる。
【0047】
(3)また、フォトレジスト層60の第1の開口部60A,60Bはそれぞれ第2のL&Sパターン78の1つのスペース部79の少なくとも一部(スペース部79の幅以上で且つスペース部79の長さの一部)を覆う大きさである(図7(A)参照)。これによって、そのスペース部79と重なっている部分で第1のL&Sパターン71のラインパターン38Aを高精度に切り欠くことができる。なお、1本のラインパターン38A上で、フォトレジスト層60の開口部(ひいては切り欠き部)は1つのみでもよい。
【0048】
(4)また、フォトレジスト層60に設けられた第1の開口部60Cは、第2のL&Sパターン78の互いに隣接する2つのスペース部79の少なくとも一部(隣合う2つのスペース部を跨いで且つスペース部79の長さの一部)を覆う大きさの細長い形状(長穴)であり(図14(A)参照)、1保護層48の第2の開口部48C2,48C1は、その互いに隣接する2つのスペース部79に対応する位置に形成される。これによって、フォトレジスト層60の1つの開口部60Cを介して、ラインパターン38Aに沿って最小の間隔dで2箇所に切り欠き部38Ae,38Afを容易に形成できる。
【0049】
(5)また、1保護層48とフォトレジスト層60との間に、第2のL&Sパターン78を覆うように反射防止膜(BARC)よりなる第2保護層58を形成し(ステップ112)、1保護層48に開口部48A〜48C2を形成するときに第2保護層58に第3の開口部58A〜58Cを形成し(ステップ116)、第1のL&Sパターン71の一部を除去するときに、第3の開口部58A〜58C、第2のL&Sパターン78のスペース部79、及び第1保護層48の第2の開口部48A〜48C2を介して第1のL&Sパターン71のエッチングを行っている(ステップ118)。第2のL&Sパターン78のスペース部79は第2のL&Sパターン78のラインパターン52Aから画成されているので、第1のL&Sパターン71の一部は、第2のL&Sパターン78のラインパターン52Aの一部をマスクとして形成されているということができる。
【0050】
また、本実施形態では、第1保護層48も反射防止膜(BARC)から形成されている。このようにBARCよりなる第2保護層58及び1保護層48をハードマスクとして使用することによって、専用のハードマスクを使用する場合よりも安価に回路パターンを形成できる。また、反射防止膜(BARC)は有機材料であるため、L&Sパターン71,78が二酸化ケイ素又は金属等の無機材料である場合に、エッチングに対する耐性が異なるため、特にハードマスクとして好適である。
【0051】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態につき図17〜図24(C)を参照して説明する。本実施形態においても、図1(A)のパターン形成システム及び図1(B)の露光装置100が使用される。また、本実施形態で形成されるパターンは、図2の回路パターン70の凸部(分離部74A〜74F以外のラインパターン72の部分)を凹部とした回路パターンである。
【0052】
以下、本実施形態のパターン形成システムを用いるパターン形成方法の一例につき図17のフローチャートを参照して説明する。本実施形態でも、第1段階として、スペーサ・ダブルパターニング法を用いて、ウエハ(ウエハW1とする)の表面の各ショット領域に線幅d(ピッチ2d)の第1のL&Sパターン71を形成する。そして、第2段階として、その各ショット領域において、スペーサ・ダブルパターニング法を用いて、第1のL&Sパターン71の上に、第1のL&Sパターン71に直交するように、線幅d(ピッチ2d)の第2のL&Sパターン78を形成する。そして、第3段階として、その各ショット領域において、第2のL&Sパターン78の複数のスペース部79を介して第1のL&Sパターン71の複数のラインパターン72に幅dの分離部74A〜74Fを設けた後、各ラインパターン72を除去する。その第1段階は図17のステップ102A,104A,150,152に対応し、その第2段階はステップ108A,110Aに対応し、その第3段階はステップ154〜166に対応する。
【0053】
まず、図17のステップ102Aにおいて、図18(B)に示すように、ウエハW1の例えばシリコンよりなる基材36の平坦な表面に、二酸化ケイ素(SiO2)の薄膜よりなるデバイス層(不図示)を形成する。次のステップ104Aにおいて、図3のステップ104と同様に、そのデバイス層にスペーサ・ダブルパターニング法で複数の線幅dのラインパターン38AをX方向にピッチ2dで配列した第1のL&Sパターン71を形成する。次のステップ150において、第1のL&Sパターン71のスペース部を埋めるように、低誘電率の有機材料(いわゆるLow-k 有機材)からなる薄膜である有機層64を形成(充填)するとともに、第1のL&Sパターン71及び有機層64の表面を平坦化する。低誘電率の有機材料としては、比誘電率が例えばほぼ4以下(さらに好ましくはほぼ3以下)の材料であるポーラス有機シリカ膜(SiOCH)、又は多孔性の有機ガラス材料である有機SOG(spin-on glass)材料等が使用可能である。低誘電率であることによって絶縁性が向上できる。また、第1のL&Sパターン71の材料は無機物であるため、第1のL&Sパターン71とこれを囲む有機層64とでエッチングに対する耐性が異なっている。
【0054】
次のステップ152において、第1のL&Sパターン71(及び有機層64)を覆うように、例えば窒化膜等の無機材料よりなるハードマスク層66を形成する。次のステップ108Aにおいて、ハードマスク層66の表面にデバイス層と同じ厚さで同じ材料(ここでは二酸化ケイ素)よりなる加工用パターン層(不図示)を形成する。なお、加工用パターン層の厚さはデバイス層の厚さと異なってもよい。次のステップ110Aにおいて、図3のステップ110と同様に、図18(A)に示すようにスペーサ・ダブルパターニング法で、その加工用パターン層に複数の線幅dのラインパターン52AをY方向にピッチ2dで配列した第2のL&Sパターン78を形成する。
【0055】
以下、図2の回路パターン70中の分離部74A,74Bを含む第1領域76A内のパターンに対応するパターンが形成される過程につき、図18(A)〜図24(C)を参照して説明する。図18(A)〜図24(C)内で図6(A)〜図12(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。図18(A)〜図24(A)はそれぞれウエハW1の表面の各ショット領域内の第1領域76Aに対応する部分を示す拡大平面図、図18(B)〜図24(B)はそれぞれ図18(A)〜図24(A)のBB’線に沿う断面図、図18(C)〜図24(C)はそれぞれ図18(A)〜図24(A)のCC’線に沿う断面図である。なお、図18(A)〜図24(A)では、後述のフォトレジスト層60は透明部材として表している。
【0056】
まず、図17のステップ154において、図18(B)に示すように、ウエハW1の第2のL&Sパターン78を覆うように、例えばポジ型のフォトレジスト層60を形成(塗布)する。次のステップ114Aにおいて、図3のステップ114と同様に、露光装置100は、ウエハW1の各ショット領域の第1領域76Aに対応する部分に、図18(A)に示すように、図18(D)のレチクルR3の幅2d/βの開口パターンR3a,R3bの像62A,62Bを露光する。その後、ウエハW1のフォトレジスト層60の現像を行うことによって、像62A,62Bに対応する部分に第1の開口部60A,60Bが形成される。(図18(B)及び(C)参照)
【0057】
次のステップ156において、開口部60A,60Bを通してウエハW1のハードマスク層66のエッチングを行うことによって、図19(A)〜(C)に示すように、開口部60A,60Bと第2のL&Sパターン78のスペース部とが重なった部分(ラインパターン38Aを跨ぐ部分)でハードマスク層66の第2の開口部66A,66Bが形成される。次のステップ158において、例えばドライエッチングによって、開口部66A,66Bを通して有機層64の一部を除去する。これにより、図20(A)〜(C)に示すように、第2のL&Sパターン78の1つのスペース部を隔てた第1及び第2のスペース部のうち、その第1のスペース部内にラインパターン38Aを挟むように有機層64の1対の開口部64A1,64A2が形成され、その第2のスペース部内にラインパターン38Aを挟むように有機層64の別の一対の開口部64B1,64B2が形成される。
【0058】
次のステップ118Aにおいて、図3のステップ118と同様に、第2のL&Sパターン78(ここでは二酸化ケイ素膜)のエッチングを行い、ハードマスク層66の開口部66A,66Bを通して第1のL&Sパターン71(ここでは二酸化ケイ素膜)のエッチングを行う。この際に、図21(C)に破線で示すように、第2のL&Sパターン78のラインパターン52Aが残存しないようにする。これによって、図21(A)〜(C)に示すように、開口部66A,66B内の分離部74A,74Bに対応する位置で、第1のL&Sパターン71のラインパターン38Aに切り欠き部38Aa,38Abが形成される。また、図20(A)の各1対の開口部64A1,64A2及び64B1,64B2は1つの開口部64A及び64Bとなる。
【0059】
次のステップ160において、例えばエッチバック法でハードマスク層66を除去することによって、図22(A)〜(C)に示すように、切り欠き部38Aa,38Abが設けられたラインパターン38Aを含む第1のL&Sパターン71が表れる。次のステップ162において、図23(A)〜(C)に示すように、第1のL&Sパターン71の切り欠き部38Aa,38Abに、有機層64と同じ低誘電率の有機材料からなる充填部64P,64Qを再充填するとともに、表面を平坦化する。次のステップ164において、例えばウエットエッチングによって、ウエハW1から第1のL&Sパターン71(二酸化ケイ素膜)のみを除去することによって、図24(A)〜(C)に示すように、図2の第1領域76A内で凸のラインパターン72に対応する部分を凹のラインパターン38B(又は72B)とみなした回路パターンが形成される。中央のラインパターン38Bには、分離部74A,74Bに対応するY方向の間隔が3dの位置に幅dの平坦部38Ba,38Bb(露光装置100の解像限界よりも微細な非周期的な部分)が形成されている。さらに、必要に応じてステップ166において、凹のラインパターン38B(凹部)に例えば銅などの導電性材料を充填してもよい。これによって、凹のラインパターン38Bに導電性材料が充填された埋め込み型の回路パターンが形成できる。
【0060】
また、図2の回路パターン70の第1領域76A内のパターンに対応する回路パターンとともに、第2領域76B及び第3領域76C内のパターンに対応する回路パターンも同様に形成される。
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果等に加えて以下の効果等が得られる。
(1)本実施形態のパターン形成方法は、ウエハW1上にX方向に配列された複数の第1のラインパターン38Aを有する第1のL&Sパターン71を形成するステップ104Aと、第1のL&Sパターン71を覆うようにハードマスク層66を形成するステップ152と、ハードマスク層66上に、ラインパターン38Aに直交する方向に伸びる複数の第2のラインパターン52AをY方向に配列した形状の第2のL&Sパターン78を形成するステップ110Aと、第2のL&Sパターン78を覆うようにフォトレジスト層60を形成するステップ154と、を有する。さらに、そのパターン形成方法は、第2のL&Sパターン78の一部と重なるように、フォトレジスト層60に第1の開口部60A,60Bを有するパターンを形成するステップ114Aと、開口部60A,60Bを介してハードマスク層66の一部を除去して、ハードマスク層66に第2の開口部66A,66Bを形成するステップ156と、開口部66A,66Bを介して第1のL&Sパターン71の一部(分離部74A,74B)を除去するステップ118Aと、ハードマスク層66を除去するステップ160と、を有する。
【0061】
本実施形態によれば、第1及び第2のL&Sパターン71,78は露光装置100の解像限界よりも微細なパターンとして形成できる。また、露光装置100を用いて、フォトレジスト層60の開口部60A,60Bとなる像が、第2のL&Sパターン78のスペース部と重なる部分で、かつ第1のL&Sパターン71のラインパターン38Aの除去対象となる部分(離間部74A,74B)を覆うように露光される。この結果、その分離部74A等と開口部60A,60Bとが重なった部分でハードマスク層66の開口部66A,66Bが形成されるため、その開口部66A,66Bを介して第1のL&Sパターン71のうちその除去対象となる部分のみを高精度に除去できる。
【0062】
従って、露光装置100の解像限界よりも微細な非周期的な部分(分離部74A,74B)を含む回路パターンを、露光装置100を用いて高精度に形成できる。
(2)また、そのパターン形成方法は、ウエハW1に第1のL&Sパターン71を形成するときに第1のL&Sパターン71のスペース部に有機層64を充填するステップ150と、ハードマスク層66及び第2のL&Sパターン78を除去した後、第1のL&Sパターン71内の除去された部分(切り欠き部38Aa,38Ab)に有機層64と同じ材料の薄膜(充填部64P,64Q)を充填するステップ162と、第1のL&Sパターン71を除去するステップ164と、を有する。
【0063】
これによって、離間部74A,74Bが平坦部で第1のL&Sパターン71の部分が凹部となる回路パターンを形成できる。また、トレンチパターンであっても同様に形成可能である。
(3)また、有機層64は、誘電率の小さい有機材料からなる絶縁膜であり、ハードマスク層66は無機膜であるため、有機層64とハードマスク層66とはエッチングの耐性が異なる。従って、有機層64に開口部64A,64Bを形成した後、ハードマスク層66のみを容易に除去できる。
【0064】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態につき図25(A)〜図29(C)を参照して説明する。本実施形態においても、図1(A)のパターン形成システム及び図1(B)の露光装置100が使用される。また、本実施形態で形成されるパターンは、図2の回路パターン70中の第1領域76A内の回路パターンである。以下、本実施形態のパターン形成方法の一例につき、第1の実施形態の動作(図3のフローチャート)と比較しながら説明する。
【0065】
まず、図3のステップ102,104に対応して、図25(B)に示すように、ウエハ(ウエハW2とする)の基材36の平坦な表面に、スペーサ・ダブルパターニング法で、複数の線幅dのラインパターン38A(二酸化ケイ素の薄膜)をX方向にピッチ2dで配列した第1のL&Sパターン71を形成する。次のステップ106で、ウエハW2の第1のL&Sパターン71を覆うように反射防止膜(BARC)よりなる第1保護層48(以下、本実施形態では単に保護層48という)を形成し、次のステップ108に対応して、保護層48の表面に加工用パターン層52(図5(B)参照)を形成する。次にステップ110に対応する工程で、図5(E)のスペーサ部56A及び56Bの間にもスペーサ層56と同じ材料を充填し、ラインパターン50Aを除去してから加工用パターン層52のエッチングを行う。これによって、図25(A)に示すように、保護層48の表面に、Y方向の幅dのスペース部79Aと、Y方向の幅3dのラインパターン52BとをY方向にピッチ4dで配列した第2のL&Sパターン78Aが形成される。なお、第2のL&Sパターン78Aを形成するために、図3のステップ134に対応する工程で、図5(C)のラインパターン50Aとして線幅3dのラインパターンを形成してもよい。
【0066】
以下、図2の回路パターン70中の分離部74A,74Bを含む第1領域76A内のパターンに対応するパターンが形成される過程につき、図25(A)〜図29(C)を参照して説明する。図25(A)〜図29(C)内で図6(A)〜図12(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。図25(A)〜図29(A)はそれぞれウエハW2の表面の各ショット領域内の第1領域76Aに対応する部分を示す拡大平面図、図25(B)〜図29(B)はそれぞれ図25(A)〜図29(A)のBB’線に沿う断面図、図25(C)〜図29(C)はそれぞれ図25(A)〜図29(A)のCC’線に沿う断面図である。なお、図25(A)〜図27(A)では、後述のフォトレジスト層60は透明部材として表している。
【0067】
まず、図3のステップ112に対応する工程において、図25(B),(C)に示すように、ウエハW2の第2のL&Sパターン78Aを覆うように、例えばポジ型のフォトレジスト層60を形成(塗布)する。次のステップ114に対応して、露光装置100でウエハW2の各ショット領域の第1領域76Aに対応する部分に、図25(A)に示すように、図25(D)のレチクルR4のX方向の幅2d/βでY方向の幅6d/βの長方形の開口パターンR4a(長穴)の像62Dを露光する。像62Dの理想的な像A3は、X方向の幅2dでY方向の幅6dの分離部74A,74Bを覆う長方形の像であるが、実際には収差等で或る程度変形していても差し支えない。その後、ウエハW2のフォトレジスト層60の現像を行うことによって、図26(A)に示すように、像62Dに対応する部分に第1の開口部60Dが形成される。なお、本実施形態では、レチクルR4の開口パターンR4aの形状として、長方形の形状を示したが、これに限定されるものではない。例えば、その開口パターンとして、OPC(Optical proximity correction)処理を施したパターンを用いてもよい。
【0068】
次のステップ116に対応する工程において、例えばドライエッチングで開口部60Dを通してウエハW2の保護層48に開口を形成する。これによって、図26(A)〜(C)に示すように、開口部60Dと第2のL&Sパターン78Aのスペース部79Aとが重なった部分(ラインパターン38Aの分離部74A,74Bを跨ぐ部分)で保護層48の第2の開口部48D,48Eが形成される。次のステップ118に対応して、第2のL&Sパターン78A(ここでは二酸化ケイ素膜)のエッチングを行い、保護層48の開口部48D,48Eを通して第1のL&Sパターン71のラインパターン38A(ここでは二酸化ケイ素膜)のエッチングを行う。これによって、図27(A)〜(C)に示すように、開口部48D,48E内の分離部74A,74Bに対応する位置で、ラインパターン38Aに切り欠き部38Aa,38Abが形成される。また、第2のL&Sパターン78Aのラインパターン52Bにも切り欠き部52Ba,52Bb,52Bcが形成される。
【0069】
次にステップ120に対応して、例えばアッシングによって残存するフォトレジスト層60を除去し、ステップ122に対応して、例えばエッチバック法で第2のL&Sパターン78Aを除去することによって、図28(A)〜(C)に示すように、表面が保護層48で覆われて切り欠き部38Aa,38Abが形成された第1のL&Sパターン71が表れる。次のステップ124に対応して例えばドライアッシングで保護層48を除去することによって、図29(A)〜(C)に示すように、切り欠き部38Aa,38Abが設けられたラインパターン38Aを含む第1のL&Sパターン71が形成される。
【0070】
本実施形態によれば、上記の各実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。本実施形態によれば、第2のL&Sパターン78Aは、スペース部79Aの幅(d)が第2のラインパターン52Bの幅(3d)より狭いパターンであり、フォトレジスト層60の第1の開口部60Dは、第2のL&Sパターン78Aのうち、互いに隣接する2つのスペース部79Aの少なくとも一部を覆う大きさの長穴である。従って、1つの長穴(開口部60D)を形成するのみで、ラインパターン38Aの2箇所に切り欠き部38Aa,38Ab(分離部74A,74B)を形成することができる。このため、露光装置100の解像限界より微細な非周期的な部分を含むパターンを容易に形成できる。
【0071】
また、保護層48を覆うように第2のL&Sパターン78Aを形成するときに、保護層48上にL&Sパターンを有する第4パターン(複数のラインパターン50A)を形成し、その第4パターンのラインパターン50A(又はスペース部56A,56B)の幅をその第4パターンのピッチ(4d)の1/2より太く、例えば3dにしている。従って、第2のL&Sパターン78Aを容易に形成できる。
【0072】
なお、上記の各実施形態においては以下のような変形が可能である。
(1)上記の各実施形態では、第1のL&Sパターン71(第1のラインパターン38A,71)と第2のL&Sパターン78,78A(第2のラインパターン52A,77,52B)とは互いに直交している。しかしながら、第1のL&Sパターン71と第2のL&Sパターン78,78Aとは90°より小さい角度で交差していてもよい。また、第1のL&Sパターン71の代わりに、少なくとも1つのラインパターン38Aを含むパターンを形成しておいてもよく、第2のL&Sパターン78,78Aの代わりに、少なくとも1つのラインパターン52A,52Bを含むパターンを形成しておいてもよい。
【0073】
(2)上記の各実施形態では、第1のL&Sパターン71及び第2のL&Sパターン78はスペーサ・ダブルパターニング法で形成されている。しかしながら、第1のL&Sパターン71及び第2のL&Sパターン78の少なくとも一方を形成するときに、ピッチ分割法(Pitch-Splitting Process)を適用してもよい。そのピッチ分割法としては、二重露光法(Double Exposure Process)又はダブルパターニング法(Double Patterning Process)のいずれを適用してもよい。
【0074】
また、上記の各実施形態では、例えばスペーサ・ダブルパターニング法で元になるL&Sパターンからピッチが1/2のL&Sパターンを形成している。しかしながら、元になるパターンからこのピッチに対して1/(2k)(kは1以上の整数)のピッチを持つL&Sパターン(これがL&Sパターン71,78になる)を形成することも可能である。これによって、より微細な回路パターンを形成可能である。
【0075】
(3)上記の各実施形態では、形成される回路パターン中のラインパターン38A,71は二酸化ケイ素よりなるが、ラインパターン38A,71の材料は例えば導電性材料(例えば銅)などの他のどのような材料でもよい。
(4)上記の各実施形態では、周期的なパターン(第1のL&Sパターン71)の一部を除去しているが、非周期的なパターンの一部を除去する場合にも上記の実施形態のパターン形成方法が適用可能である。また、周期的なパターン又は非周期的なパターンに非周期的なパターンを付加する場合にも上記のパターン形成方法が適用可能である。
【0076】
次に、上記の各実施形態のパターン形成方法を用いてSRAM等の半導体デバイス(電子デバイス)を製造する場合、半導体デバイスは、図30に示すように、半導体デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ222、半導体デバイス用の基板(又はウエハの基材)を製造するステップ223、基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、及び検査ステップ226等を経て製造される。また、その基板処理ステップ224は、露光装置でレチクルのパターンを基板に露光する工程、露光した基板を現像する工程、並びに現像した基板の加熱(キュア)及びエッチングを行う工程などを含んでいる。
【0077】
言い換えると、このデバイス製造方法は、基板処理ステップ224を含み、この基板処理ステップ224は、上記の各実施形態のうちのいずれかのパターン形成方法を用いて基板(ウエハW,W1,W2)上に所定のパターン(ラインパターン38A,72)の一部を除去したパターンを形成する工程を含んでいる。また、一例として、基板上に形成されるパターンは、周期的パターン(第1のL&Sパターン71)の一部を除去したパターンである。
【0078】
このデバイスの製造方法によれば、露光装置の解像限界よりも微細な非周期的な部分を含む回路パターンを含む半導体デバイスを、露光装置を用いて高精度に製造できる。
なお、上記の実施形態で製造対象のデバイスは、SRAM以外のDRAM、CPU、DSP等の任意の半導体デバイスが可能である。さらに、半導体デバイス以外の撮像素子、MEMS(Microelectromechanical Systems)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造する際にも上記の実施形態のパターン形成方法が適用可能である。
【0079】
また、上記の実施形態において、露光装置としては、液浸型でないドライ型の露光装置を使用してもよい。また、紫外光を露光光とする露光装置以外に、露光光として波長が数nm〜数10nm程度のEUV光(Extreme Ultraviolet Light)を用いるEUV露光装置等を用いてもよい。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0080】
R,R1,R3…レチクル、W,W1,W2…ウエハ(基板)、36…基材、38…デバイス層、38A…第1のラインパターン、48…第1保護層、52…加工用パターン層、52A…第2のラインパターン、58…第2保護層、60…フォトレジスト層、70…回路パターン、71…第1のL&Sパターン、72…ラインパターン、74A〜74F…分離部、78…第2のL&Sパターン、100…露光装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にパターンを形成するパターン形成方法、及びそのパターン形成方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子デバイスやマイクロデバイス等を製造するためのリソグラフィー工程で使用され、露光光として例えば遠紫外域から真空紫外域にかけての紫外光を用いる露光装置においては、解像度を高めるために、露光波長の短波長化、照明条件の最適化、及び液浸法の適用等が行われてきた。最近では、露光装置の解像限界よりも微細なピッチの周期的な回路パターンを形成するために、ピッチ分割法(Pitch-Splitting Process)及びスペーサ・ダブルパターニング法(Spacer Double Patterning Process, Spacer transfer Process 又はSidewall transfer Process)が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
前者のピッチ分割法は、二重露光法(Double Exposure Process)とダブルパターニング法(Double Patterning Process)とに大別される。二重露光法では、最終的に形成されるデバイスパターンの2倍のピッチを持つ第1及び第2のマスクパターンの像を互いに位相をずらした状態で非線形レジストに転写した後、エッチング等を行う(例えば、非特許文献2参照)。また、ダブルパターニング法では、その第1のマスクパターンの像の露光とその第2のマスクパターンの像の露光との間にエッチング等のプロセスが実行される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Andrew J. Hazelton et al., “Double-patterning requirements for optical lithography and prospects for optical extension without double patterning,” J. Micro/Nanolith. MEMS MOEMS, (米国)Vol.8(1), 011003, Jan-Mar (2009)
【非特許文献2】H. Ohki et al. “Experimental study on non-linear multiple exposure method,” Proc. SPIE (米国) 3051, p.85-93 (1997)
【非特許文献3】W. Jung et al., “Patterning with amorphous carbon spacer for expanding the resolution limit of current lithography tool,” Proc. SPIE (米国) 6520, 65201C (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のピッチ分割法又はスペーサ・ダブルパターニング法よりなるパターン形成方法によれば、露光装置の解像限界よりも微細なピッチの周期的な回路パターンを形成することが可能である。しかしながら、従来のパターン形成方法では、露光装置の解像限界よりも微細な非周期的な部分を含む回路パターンを高精度に形成することは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑み、露光装置の解像限界よりも微細なパターンを形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、パターン形成方法であって、基板上に第1ラインパターンを有する第1パターンを形成し、その第1パターンを覆うように第1薄膜を形成し、その第1薄膜上に、その第1ラインパターンに交差する方向に伸びる第2ラインパターンを有する第2パターンを形成し、その第2パターンを覆うように感光層を形成し、その第2パターンの少なくとも一部と重なるように、その感光層に第1開口部を有する第3パターンを形成し、その感光層に形成された第3パターンの第1開口部を介してその第1薄膜の一部を除去して、その第1薄膜に第2開口部を形成し、その第1薄膜の第2開口部を介してその第1パターンの一部を除去し、その第1薄膜及びその第2パターンを除去するパターン形成方法が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、パターン形成方法であって、基板上に所定方向に交互に配列した複数の第1ラインと第1スペースを有する第1ライン・アンド・スペースパターンを形成し;その第1ライン・アンド・スペースパターン上に前記所定方向と交差する方向に交互に配列した複数の第2ラインと第2スペースを有する第2ライン・アンド・スペースパターンを形成し;第1ライン・アンド・スペースパターンの複数の第1ラインと第2ライン・アンド・スペースパターンの複数の第2スペースが重なる複数の重複領域に存在する第1ラインの一部の領域を、該第1ラインの一部の領域を区画する一対の第2ラインをマスクとしてエッチングして除去し;第2ライン・アンド・スペースパターンを除去することにより、第1ライン・アンド・スペースパターンの第1ラインの一部が除去された非周期のライン・アンド・スペースパターンを形成するパターン形成方法が提供される。
【0008】
また、本発明の第3の態様によれば、本発明の第1または第2の態様のパターン形成方法を用いて基板上に所定のパターンの一部を除去したパターンを形成する工程を含むデバイス製造方法が提供される。
また、本発明の第4の態様によれば、本発明の第1または第2の態様のパターン形成方法を用いるデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、露光装置の解像限界よりも微細なパターンを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は実施形態で使用されるパターン形成システムの要部を示すブロック図、(B)は図1(A)中の露光装置100の概略構成を示す図である。
【図2】実施形態において製造される電子デバイスの或るレイヤの回路パターンの一部を示す拡大図である。
【図3】第1の実施形態のパターン形成方法を示すフローチャートである。
【図4】(A)は第1のレチクルのパターンの一部を示す拡大平面図、(B)はデバイス層に第1中間層及びフォトレジスト層が形成された第1の実施形態のウエハWを示す拡大断面図、(C)は第1中間層のエッチング後のウエハを示す拡大断面図、(D)は第1スペーサ層が堆積されたウエハWを示す拡大断面図、(E)は第1スペーサ層のエッチング後のウエハWを示す拡大断面図、(F)は第1中間層のパターンの除去後のウエハWを示す拡大断面図、(G)はデバイス層に形成される第1のL&Sパターン(ライン・アンド・スペースパターン)71を示す拡大平面図である。
【図5】(A)は第2のレチクルのパターンの一部を示す拡大平面図、(B)は加工用パターン層等が形成されたウエハWを示す拡大断面図、(C)は加工用パターン層上の第2中間層のエッチング後のウエハWを示す拡大断面図、(D)は第2スペーサ層が堆積されたウエハWを示す拡大断面図、(E)は第2スペーサ層のエッチング後のウエハWを示す拡大断面図、(F)は第2中間層のパターンの除去後のウエハWを示す拡大断面図、(G)は加工用パターン層に形成される第2のL&Sパターン78を示す拡大平面図である。
【図6】(A)は第3のレチクルのパターンの像が露光されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図6(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図6(A)のCC’線に沿う断面図、(D)は第3のレチクルのパターンの一部を示す拡大平面図である。
【図7】(A)は現像後のウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図7(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図7(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図8】(A)は保護層に開口が形成されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図8(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図8(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図9】(A)はL&Sパターン71,78の一部が除去されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図9(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図9(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図10】(A)は第2保護層の除去後のウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図10(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図10(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図11】(A)は第2のL&Sパターン78の除去後のウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図11(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図11(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図12】(A)は第1保護層の除去後のウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図12(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図12(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図13】(A)は第3のレチクルの別のパターンの像が露光されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図13(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図13(A)のCC’線に沿う断面図、(D)は第3のレチクルの別のパターンを示す拡大平面図である。
【図14】(A)は図13(A)の状態に続いてフォトレジスト及び保護層の一部が除去されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図14(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図14(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図15】(A)は図14(A)の状態に続いてL&Sパターン71,78の一部が除去されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図15(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図15(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図16】(A)は図15(A)の状態に続いて第2のL&Sパターン78及び保護層が除去されたウエハWの一部を示す拡大平面図、(B)は図16(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図16(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図17】第2の実施形態のパターン形成方法を示すフローチャートである。
【図18】(A)は第3のレチクルのパターンの像が露光された第2の実施形態のウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図18(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図18(A)のCC’線に沿う断面図、(D)は第3のレチクルのパターンの一部を示す拡大平面図である。
【図19】(A)は現像後にハードマスク層の一部が除去されたウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図19(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図19(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図20】(A)はレジスト及び有機層の一部が除去されたウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図20(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図20(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図21】(A)は第2のL&Sパターン78が除去され第1のL&Sパターン71の一部が除去されたウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図21(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図21(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図22】(A)はハードマスク層の除去後のウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図22(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図22(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図23】(A)は切り欠き部に有機材料が再充填されたウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図23(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図23(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図24】(A)は第1のL&Sパターン71の除去後のウエハW1の一部を示す拡大平面図、(B)は図24(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図24(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図25】(A)は第3のレチクルのパターンの像が露光された第3の実施形態のウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図25(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図25(A)のCC’線に沿う断面図、(D)は第3のレチクルのパターンを示す拡大平面図である。
【図26】(A)はフォトレジスト層及び第1保護層の一部が除去されたウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図26(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図26(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図27】(A)はL&Sパターン71,78Aの一部が除去されたウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図27(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図27(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図28】(A)はフォトレジスト層及び第2のL&Sパターン78Aの除去後のウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図28(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図28(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図29】(A)は第1保護層の除去後のウエハW2の一部を示す拡大平面図、(B)は図29(A)のBB’線に沿う断面図、(C)は図29(A)のCC’線に沿う断面図である。
【図30】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態につき図1〜図16を参照して説明する。まず、本実施形態において半導体素子等の電子デバイスやマイクロデバイス等の回路パターンを形成するために使用されるパターン形成システムの一例につき説明する。
図1(A)は、本実施形態のパターン形成システムの要部を示し、図1(B)は、図1(A)中の露光装置(本実施形態では、露光装置の一例として、スキャンニグステッパーを示している)100の概略構成を示す。図1(A)において、そのパターン形成システムは、露光装置100、ウエハ等の基板に対するフォトレジスト(感光材料)の塗布及び現像を行うコータ・デベロッパ200、薄膜形成装置300、ウエハに対するドライ及びウエットのエッチングを行うエッチング装置400、これらの装置間でウエハの搬送を行う搬送系500、及びホストコンピュータ(不図示)等を含んでいる。
【0012】
図1(B)において、露光装置100は、照明系10と、照明系10を介した露光用の照明光(露光光)ILにより照明されるレチクルR(マスク)を保持するレチクルステージRSTと、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW(基板)の表面に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPUと、ウエハWを保持するウエハステージWSTとを備えている。露光装置100は、装置全体の動作を統括的に制御するコンピュータよりなる主制御装置(不図示)等も備えている。以下、図1(B)において、投影光学系PLの光軸AXと平行な方向に沿った軸をZ軸、これに直交する平面(ほぼ水平面)内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向に沿った軸をY軸、Z軸及びY軸に直交する方向に沿った軸をX軸とし、X軸、Y軸、及びZ軸の回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向とする。
【0013】
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/025890号明細書などに開示されるように、照明光ILを発生する光源と、照明光ILでレチクルRを照明する照明光学系とを含む。照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。なお、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、YAGレーザ若しくは固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波、又は水銀ランプの輝線(i線等)なども使用できる。
【0014】
照明光学系は、偏光制御光学系、光量分布形成光学系(例えば、回折光学素子又は空間光変調器など)、オプティカルインテグレータ(例えば、フライアイレンズ又はロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)など)等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド(可変視野絞り)等(いずれも不図示)を有する。照明系10は、レチクルブラインドで規定されたレチクルRのパターン面(下面)のX方向に細長いスリット状の照明領域IARを、2極照明、4極照明、輪帯照明、コヒーレンスファクタ(σ値)の小さい照明、又は通常照明等の照明条件で、所定の偏光状態の照明光ILによりほぼ均一な照度分布で照明する。
【0015】
また、レチクルRを真空吸着等により保持するレチクルステージRSTは、レチクルベース(不図示)のXY平面に平行な上面に、Y方向に一定速度で移動可能に、かつX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角が調整可能に載置されている。レチクルステージRSTの位置情報は、複数軸のレーザ干渉計を含むレチクル干渉計18によって、移動鏡14(又はステージの鏡面加工された側面)を介して例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計18の計測値に基づいてリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系(不図示)を制御することで、レチクルステージRSTの位置及び速度が制御される。
【0016】
また、レチクルステージRSTの下方に配置された投影ユニットPUは、鏡筒24と、該鏡筒24内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率β(例えば1/4倍、1/5倍などの縮小倍率)を有する。レチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してレチクルRの照明領域IAR内の回路パターンの像が、ウエハWの一つのショット領域内の露光領域IA(照明領域IARと共役な領域)に形成される。本実施形態の基板としてのウエハWは、例えばシリコン(又はSOI(silicon on insulator)等でもよい)からなる直径が200mm又は300mm程度の円板状の基材の表面にパターン形成用の薄膜(酸化膜、金属膜、ポリシリコン膜等)を形成したものを含む。さらに、露光対象のウエハWの表面には、フォトレジスト(感光材料)が所定の厚さ(例えば数10nm〜200nm程度)で塗布される。
【0017】
また、露光装置100は、液浸法を適用した露光(露光方法)を行うため、投影光学系PLが備える複数の光学素子のうち、最も像面側(ウエハW側)の光学素子である先端レンズ26とウエハとの間に液体Lqを供給する局所液浸装置30を備える。局所液浸装置30により、ウエハWの上面の一部のみ領域に液浸領域が形成される。この局所液浸装置30は、鏡筒24の下端部周囲、すなわち、先端レンズ26の周囲を取り囲むように配置されるノズルユニット32を備える。ノズルユニット32の液体Lqの供給口は、供給流路及び供給管34Aを介して液体供給装置(不図示)に接続されている。ノズルユニット32の液体Lqの回収口は、回収流路及び回収管34Bを介して液体回収装置(不図示)に接続されている。局所液浸装置30の詳細な構成は、例えば米国特許出願公開第2007/242247号明細書等に開示されており、この文献を援用して本文の記載の一部とする。
【0018】
また、ウエハステージWSTは、ベース盤12のXY平面に平行な上面12aに、X方向、Y方向に移動可能に載置されている。ウエハステージWSTは、ステージ本体20と、ステージ本体20の上面に搭載されたウエハテーブルWTBと、ステージ本体20内に設けられて、ステージ本体20に対するウエハテーブルWTB(ウエハW)のZ方向の位置(Z位置)、及びθx方向、θy方向のチルト角を相対的に駆動するZ・レベリング機構とを備えている。ウエハテーブルWTBには、ウエハWを真空吸着等によってほぼXY平面に平行な吸着面上に保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハテーブルWTBの上面のウエハホルダ(ウエハW)の周囲には、ウエハWの表面(ウエハ面)とほぼ同一面となり、液体Lqに対して撥液化処理された表面を有する平板状のプレート(撥液板)28が設けられている。
【0019】
また、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成で、ウエハ面の複数の計測点のZ位置を計測する斜入射方式のオートフォーカスセンサ(不図示)が設けられている。露光中に、このオートフォーカスセンサの計測値に基づいて、ウエハ面が投影光学系PLの像面に合焦されるように、ウエハステージWSTのZ・レベリング機構が駆動される。
【0020】
また、ウエハテーブルWTBのY方向及びX方向の端面には、それぞれ鏡面加工によって反射面が形成されている。ウエハ干渉計16を構成する複数軸のレーザ干渉計からその反射面(移動鏡でもよい)にそれぞれ干渉計ビームを投射することで、ウエハステージWSTの位置情報(少なくともX方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む)が例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で計測されている。この計測値に基づいてリニアモータ等を含むウエハステージ駆動系(不図示)を制御することで、ウエハステージWSTの位置及び速度が制御される。なお、ウエハステージWSTの位置情報は、回折格子状のスケールと検出ヘッドとを有するエンコーダ方式の検出装置で計測してもよい。
【0021】
また、露光装置100は、ウエハWの所定のアライメントマークの位置を計測するウエハアライメント系AL、及びレチクルRのアライメントマークの投影光学系PLによる像の位置を計測するために、ウエハステージWSTに内蔵された空間像計測系(不図示)を備えている。これらの空間像計測系(レチクルアライメント系)及びウエハアライメント系ALを用いて、レチクルRとウエハWの各ショット領域とのアライメントが行われる。
【0022】
ウエハWの露光時には、ウエハステージWSTをX方向、Y方向にステップ移動することで、ウエハWの露光対象のショット領域が露光領域IAの手前に移動する。さらに、局所液浸装置30から投影光学系PLとウエハWとの間に液体Lqが供給される。そして、レチクルRのパターンの一部の投影光学系PLによる像をウエハWの一つのショット領域に投影しつつ、レチクルステージRST及びウエハステージWSTを介してレチクルR及びウエハWをY方向に同期して移動することで、当該ショット領域にレチクルRのパターンの像が走査露光される。そのステップ移動と走査露光とを繰り返すことによって、ステップ・アンド・スキャン方式及び液浸方式で、ウエハWの各ショット領域にそれぞれレチクルRのパターンの像が露光される。
【0023】
次に、本実施形態で製造対象とする回路パターンは、一例として、図2の部分拡大図で示すように、半導体素子としてのSRAM(Static RAM)のゲートセル用の回路パターン70である。なお、以下では、ライン・アンド・スペースパターンをL&Sパターンという。回路パターン70は、ウエハの基材36の表面において、線幅dのラインパターン72及び幅dのスペース部73を周期方向(以下、X方向とする)にピッチ(周期)2dで配列した第1のL&Sパターン71のうち、複数のラインパターン72の一部を除去して形成したものである。例えば、図2において、回路パターン70は、第1のL&Sパターン71のうち、一つ置きのラインパターンからX方向に直交するY方向に関して幅dの部分を除去して複数の分離部74A〜74F(非周期的な部分)を形成したものである。なお、本実施形態における図2のX軸及びY軸の方向は、図2の回路パターン70が形成されるウエハWを図1(B)の露光装置100のウエハステージWSTに載置した場合の、露光装置100におけるX軸及びY軸の方向に平行なものとして説明する。
【0024】
本実施形態では、線幅dは液浸型の露光装置100の解像限界(周期的パターンの場合のハーフピッチ)よりも微細であるとする。従って、第1のL&Sパターン71の線幅dは、露光装置100の解像限界よりも微細である。さらに、回路パターン70は、露光装置100の解像限界よりも微細な幅dの非周期的な部分を含むパターンでもある。一例として、線幅dは露光装置100の解像限界のほぼ1/2であり、言い換えると、露光装置100の解像限界はほぼ2dである。露光装置100の解像限界は、例えば40〜50nm程度であり、これに応じて線幅dは20〜25nm程度になる。以下では、露光装置100の解像限界はほぼ40nm(ハーフピッチ)であり、線幅dはほぼ20nmであるとする。
【0025】
また、図2において、点線で示すように、第1のL&Sパターン71に直交するように、線幅dのラインパターン77及び幅dのスペース部79をY方向にピッチ2dで配列した第2のL&Sパターン78を想定する。この場合、第1のL&Sパターン71中の分離部74A〜74Fは、第2のL&Sパターン78のいずれかのスペース部79と交差している部分である。例えば、第1領域76A内のラインパターン72の分離部74A,74Bの間隔、及び第2領域76B内のラインパターン72の分離部74C,74Dの間隔は、それぞれ第2のL&Sパターン78の2本のラインパターン77及び1つのスペース部79の幅(=3d)である。また、第3領域76C内のラインパターン72の分離部74E,74Fの間隔は、第2のL&Sパターン78の1つのスペース部79の幅(=d)である。この場合、第2のL&Sパターン78のY方向の位置は、例えば第1のL&Sパターン71を形成する際に使用されるアライメントマーク(不図示)に基づいて設定される。なお、分離部74A〜74Fの位置及び個数は、いずれかのスペース部79と交差しているという条件下で任意である。
【0026】
以下、本実施形態のパターン形成システムを用いて回路パターン70を形成するためのパターン形成方法の一例につき図3のフローチャートを参照して説明する。本実施形態では、第1段階として、スペーサ・ダブルパターニング法(Spacer Double Patterning Process, Spacer transfer Process 又は Sidewall transfer Process)を用いて、ウエハの表面の各ショット領域に線幅d(ピッチ2d)の第1のL&Sパターン71を形成する。そして、第2段階として、その各ショット領域において、スペーサ・ダブルパターニング法を用いて、第1のL&Sパターン71の上に、第1のL&Sパターン71に直交するように、線幅d(ピッチ2d)の第2のL&Sパターン78を形成する。そして、第3段階として、その各ショット領域において、第2のL&Sパターン78の複数のスペース部79を介して第1のL&Sパターン71の複数のラインパターン72に幅dの分離部74A〜74F(切り欠き部)を設ける。その第1段階は図3のステップ102,104に対応し、その第2段階はステップ106〜110に対応し、その第3段階はステップ112〜124に対応する。
【0027】
まず、図3のステップ102において薄膜形成装置300を用いて、図4(B)に示すように、ウエハWの例えばシリコンよりなる基材36の平坦な表面に、二酸化ケイ素(SiO2)の薄膜よりなるデバイス層38を形成する。なお、デバイス層38の底面(基材36の表面)には、酸化膜又は窒化膜等が形成されていてもよい。次のステップ104において、デバイス層38にスペーサ・ダブルパターニング法でX方向にピッチ2dの第1のL&Sパターン71を形成する。ステップ104の動作は、ステップ130〜140に分かれている。
【0028】
即ち、ステップ130において、図4(B)に示すように、薄膜形成装置300を用いてウエハWのデバイス層38の表面に第1の中間層40を形成し、コータ・デベロッパ200において、その中間層40の表面に例えばポジ型のフォトレジスト層42を形成する。次のステップ132において、ウエハWを図1(B)の液浸型の露光装置100のウエハステージWSTに載置する。露光装置100のレチクルR(第1マスク板)のパターンは、図4(A)の拡大図で示すように、線幅が2d/β(βは投影倍率)の遮光膜よりなるラインパターンRaをX方向にピッチ4d/βで配列したL&Sパターンである。そして、露光装置100でウエハWの各ショット領域にレチクルRのパターンの像44X(X方向にピッチ4dのL&Sパターンの像)を露光する。像44Xの線幅(ハーフピッチ)は2d(ほぼ解像限界)であるため、像44Xは露光装置100によって高精度に結像可能である。この際に、1ピッチ分の像44Xのうちで、露光量が感光レベル以下となる部分(未露光部分)のX方向の幅がdとなるように、露光量を設定しておく。
【0029】
次のステップ134において、コータ・デベロッパ200でウエハWのフォトレジスト層42を現像し、エッチング装置400でウエハWの中間層40のエッチングを行うことで、図4(C)に示すように、線幅dのレジストパターン42A及び中間層40のラインパターン40AをX方向にピッチ4dで配列したL&Sパターンが形成される。その後、レジストパターン42Aを剥離する。次のステップ136において、薄膜形成装置300で、図4(D)に示すように、ウエハWの中間層40のラインパターン40Aを覆うようにスペーサ層46を堆積する。そして、ステップ138に移行し、エッチング装置400において図4(E)に示すように、ウエハのスペーサ層46に対して表面に垂直な方向に異方性エッチングを行う。これにより、線幅dの中間層40のラインパターン40AのX方向の両側面に、スペーサ層46の幅dのスペーサ部46A,46Bが残される。その後、例えばエッチング装置400において、ウエハWの中間層40のラインパターン40Aを除去することにより、図4(F)に示すように、デバイス層38の表面に線幅dのスペーサ部46A,46BをX方向にピッチ2dで配列したL&Sパターンが形成される。次のステップ140において、エッチング装置400において、スペーサ部46A,46BよりなるL&Sパターンをマスクとしてデバイス層38のエッチングを行い、スペーサ部46A,46Bを除去する。この結果、図4(F)及び図4(G)(拡大平面図)に示すように、ウエハWの基材36の表面のデバイス層38に、線幅dのラインパターン38A(第1ライン)をX方向にピッチ2dで配列した第1のL&Sパターン71が形成される(隣合うラインパターン38Aの間にスペースパターン38S(第1スペース)が区画される)。ラインパターン38Aは、図2のラインパターン72に対応する。なお、L&Sパターン71とともにアライメントマーク(不図示)も形成されている。
【0030】
次に、ステップ106において図5(B)に示すように、薄膜形成装置300で、ウエハWの第1のL&Sパターン71を覆うように、一般にフォトレジストの下面に形成される反射防止膜であるBARC(Bottom Anti-Reflection Coating)よりなる第1保護層48を形成し、この表面を平坦化する。次のステップ108において、第1保護層48の表面にデバイス層38と同じ厚さで同じ材料(ここでは二酸化ケイ素)よりなる加工用パターン層52を形成する。なお、加工用パターン層52の厚さは、デバイス層38の厚さと異なっていてもよい。次のステップ110において、ステップ104と同様にスペーサ・ダブルパターニング法で、加工用パターン層52にY方向にピッチ2dの第2のL&Sパターン78を形成する。ステップ110の動作も、ステップ130〜140に対応する工程に分かれている。
【0031】
即ち、ステップ130に対応する工程において、図5(B)に示すように、ウエハWの加工用パターン層52の表面に第2の中間層50を形成し、その中間層50の表面に例えばポジ型のフォトレジスト層54を形成する。次のステップ132に対応する工程において、ウエハWを露光装置100のウエハステージWSTに載置する。露光装置100のレチクルステージRSTにはレチクルRの代わりに第2のレチクルR1(第2マスク板)がロードされている。レチクルR1のパターンは、図5(A)の拡大図で示すように、線幅が2d/β(βは投影倍率)の遮光膜よりなるラインパターンR1aをY方向にピッチ4d/βで配列したL&Sパターンである。そして、レチクルR1は、レチクルR1に形成されたアライメントマーク(不図示)が計測され、その計測結果に基づいてその位置が調整される。その後、露光装置100は、ウエハWの各ショット領域にレチクルR1のパターンの像44Y(Y方向にピッチ4dのL&Sパターンの像)を露光する。像44Yの線幅(ハーフピッチ)も2d(ほぼ解像限界)であるため、像44Yも露光装置100によって高精度に結像可能である。この際に、1ピッチ分の像44Yのうちで、露光量が感光レベル以下となる部分(未露光部分)のY方向の幅がdとなるように、露光量を設定しておく。
【0032】
次のステップ134に対応する工程において、ウエハWのフォトレジスト層54を現像し、中間層50のエッチングを行うことで、図5(C)に示すように、線幅dのレジストパターン54A及び中間層50のラインパターン50AをY方向にピッチ4dで配列したL&Sパターンが形成される。その後、レジストパターン54Aを剥離する。次のステップ136に対応する工程において、図5(D)に示すように、ウエハWのラインパターン50Aを覆うようにスペーサ層56を堆積する。そして、ステップ138に対応する工程で、図5(E)に示すように、ウエハのスペーサ層56に対して表面に垂直な方向に異方性エッチングを行う。これにより、線幅dのラインパターン50AのY方向の両側面に、スペーサ層56の幅dのスペーサ部56A,56Bが残される。その後、ウエハWのラインパターン50Aを除去することにより、図5(F)に示すように、加工用パターン層52の表面に線幅dのスペーサ部56A,56BをY方向にピッチ2dで配列したL&Sパターンが形成される。次のステップ140に対応する工程において、スペーサ部56A,56BよりなるL&Sパターンをマスクとして加工用パターン層52のエッチングを行い、次いで、スペーサ部56A,56Bを除去することで、図5(F)及び図5(G)(拡大平面図)に示すように、ウエハWの第1保護層48の表面の加工用パターン層52に、線幅dのラインパターン52AをY方向にピッチ2dで配列した第2のL&Sパターン78が形成される(隣合うラインパターン52Aの間にスペースパターン52S(第2スペース:スペース部79に対応)が区画される)。ラインパターン52Aは、図2のラインパターン77に対応する。
【0033】
以下、図2の回路パターン70中の分離部74A,74Bを含む第1領域76A内のパターンが形成される過程につき、図6(A)〜図12(C)を参照して説明する。図6(A)〜図12(A)はそれぞれウエハWの表面の各ショット領域内の第1領域76Aに対応する部分を示す拡大平面図、図6(B)〜図12(B)はそれぞれ図6(A)〜図12(A)のBB’線に沿う断面図、図6(C)〜図12(C)はそれぞれ図6(A)〜図12(A)のCC’線に沿う断面図である。なお、図6(A)〜図9(A)では、後述の第2保護層58及びフォトレジスト層60は透明部材として表している。
【0034】
まず、図3のステップ112において、図6(B)に示すように、薄膜形成装置300を用いてウエハWの第2のL&Sパターン78を覆うように、BARC(Bottom Anti-Reflection Coating)よりなる第2保護層58を形成するとともに、この表面を平坦化する。さらに、コータ・デベロッパ200を用いて第2保護層58の表面に例えばポジ型のフォトレジスト層60を形成する。次のステップ114において、ウエハWを図1(B)の露光装置100のウエハステージWSTに載置する。露光装置100のレチクルステージRSTには、レチクルR1の代わりに第3のレチクルR3(第3マスク板)がロードされている。レチクルR3には、図2の分離部74A〜74Fに対応して、それぞれ分離部74A〜74Bを含む大きさの像を形成するための開口パターンが形成されている。レチクルR3の第1領域76Aに対応する部分には、例えば、図6(D)の拡大図で示すように、遮光膜中にX方向及びY方向の幅が2d/β(βは投影倍率)でY方向の間隔が2d/βの2つの開口パターンR3a,R3bが形成されている。なお、本実施形態では、2つの開口パターンR3a、R3bの形状として、正方形の形状を示したが、これに限定されるものではない。例えば、2つの開口パターンとして、OPC(Optical proximity correction)処理を施したパターンを用いてもよい。
【0035】
そして、レチクルR3は、レチクルR3に形成されたアライメントマーク(不図示)が計測され、その計測結果に基づいてその位置が調整される。その後、露光装置100は、ウエハWの各ショット領域の第1領域76Aに対応する部分に、図6(A)に示すように、レチクルR3の開口パターンR3a,R3bの像62A,62Bを露光する。なお、説明の便宜上、投影光学系PLの像は正立像であるとしている。像62A,62Bの理想的な形状A1,B1はX方向、Y方向の幅が2dの正方形であり、露光装置100の解像限界は2dであるが、開口パターンR3a,R3bは孤立的なパターンであるため、図6(A)では、像62A,62Bが或る程度変形した状態を示している。また、例えば、ウエハWの表面が投影光学系の像面からずれている(ウエハWの表面に対して開口パターンR3a、R3bの像がデフォーカスしている)と、開口パターンR3a,R3bの像(フォトレジストの感光レベルを横切る輪郭部)は像A2,B2のようにさらに変形する。しかしながら、開口パターンR3a,R3bの像には、X方向及びY方向の幅がdの分離部74A,74Bを覆う範囲内での位置ずれ及び変形が許容される。なお、図6(A)より、分離部74A,74Bは、第2のL&Sパターン78のスペースパターン52Sと第1のL&Sパターン71のラインパターン38Aが重複している領域であることが分かる。その後、コータ・デベロッパ200においてウエハWのフォトレジスト層60の現像を行う。これによって、図7(A)〜(C)に示すように、ウエハWのフォトレジスト層60の像62A,62Bに対応する部分に第1の開口部60A,60Bが形成される。
【0036】
次のステップ116において、エッチング装置400で例えばドライエッチングによって、開口部60A,60Bを通してウエハWの第2保護層58及び第1保護層48に開口を形成する。これによって、図8(A)〜(C)に示すように、第2保護層58の第3の開口部58A,58B(開口部60A,60Bと同じ形状)及び第1保護層48の第2の開口部48A,48Bが形成される。開口部48A,48Bは、Y方向が隣り合うラインパターン52Aによって制限され、かつX方向が像62A,62Bによって制限された領域を有し、この領域内にラインパターン38Aの一部(除去される部分)が存在している。すなわち、第1保護層48の第2の開口部48A,48Bは、第2のL&Sパターン78の一対のラインパターン(第2ライン)52Aの端部を境界として、すなわち、第2のL&Sパターン78の一対のラインパターン(第2ライン)52Aをマスクとしてエッチングにより形成されることが分かる。その後、フォトレジスト層60(レジスト)を剥離する。次のステップ118においてエッチング装置400で、ウエハWの開口部58A,58B及び開口部48A,48Bを通して第2のL&Sパターン78(ラインパターン52A)及び第1のL&Sパターン71(ラインパターン38A)を形成する二酸化ケイ素の薄膜のエッチングを行う。これにより、図9(A)〜(C)に示すように、開口部58A,58B内のラインパターン52Aに切り欠き部52Aa,52Abが形成され、開口部48A,48B内のラインパターン38Aの分離部74A,74Bに対応する部分に切り欠き部38Aa,38Abが形成される。このように、切り欠き部38Aa,38Abは第1保護層48の第2の開口部48A,48Bを区画する第1保護層48の部分(側壁)及びその上に存在する一対の第2のL&Sパターン78のラインパターン(第2ライン)52Aをマスクとして形成されていることが分かる。
【0037】
続いてステップ120において、図10(A)〜(C)に示すように、エッチング装置400で例えばドライエッチングでウエハWの第2保護層58(上層のBARC)を除去し、ステップ122において、図11(A)〜(C)に示すように、エッチング装置400で例えばエッチバック法でウエハWの第2のL&Sパターン78(ラインパターン52A)の残存部を除去し、ステップ124において、例えばアッシング装置(不図示)でドライアッシングにより第1保護層48(下層のBARC)の残存部を除去する。この結果、図12(A)〜(C)に示すように、ラインパターン38Aに、分離部74A,74Bに対応する部分でY方向に関して幅dの切り欠き部38Aa,38Abが形成された回路パターンが得られる。ラインパターン38Aをラインパターン72とみなすことによって、その回路パターンは図2の第1領域76A内の回路パターンと同じである。
【0038】
また、回路パターン70の第1領域76A内の回路パターンを形成する際に並行して、第2領域76B内の回路パターン、及び第3領域76C内のY方向に最小の間隔dで隣接する分離部74E,74Fを有する回路パターンも形成される。前者の第2領域76B内の回路パターンは第1領域76A内の回路パターンと同じであるため、その形成過程の説明は省略する。そして、第3領域76C内の回路パターンを形成するために、露光装置100にロードされた第3のレチクルR3の第3領域76Cに対応する部分には、例えば、図13(D)に示すように、X方向の幅2d/βでY方向の幅4d/βの細長い(長穴状の)開口パターンR3cが形成されている。なお、本実施形態では、開口パターンR3cの形状として、長方形の形状を示したが、これに限定されるものではない。例えば、開口パターンとして、OPC(Optical proximity correction)処理を施したパターンを用いてもよい。
以下、第3領域76C内のパターンが形成される過程につき、図13(A)〜図16(C)を参照して説明する。図13(A)〜図16(C)内で図6(A)〜図12(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
図13(A)〜図16(A)はそれぞれウエハWの各ショット領域内の第3領域76Cに対応する部分を示す拡大平面図、図13(B)〜図16(B)はそれぞれ図13(A)〜図16(A)のBB’線に沿う断面図、図13(C)〜図16(C)はそれぞれ図13(A)〜図16(A)のCC’線に沿う断面図である。なお、図13(A)〜図16(A)では、第2保護層58及びフォトレジスト層60は透明部材として表している。まず、図3のステップ114において、露光装置100でウエハWの各ショット領域の第3領域76Cに対応する部分に、図13(A)に示すように、レチクルR3の細長い開口パターンR3cの像62Cを露光する。像62Cの理想的な形状C1はX方向の幅が2d、Y方向の幅が4dの長方形であり、露光装置100の解像限界は2dであるが、開口パターンR3cは孤立的なパターンであるため、図13(A)では、像62Cが或る程度変形した状態を示している。ただし、開口パターンR3cの像には、X方向及びY方向の幅がdの分離部74E,74Fを覆う範囲内での位置ずれ及び変形が許容される。その後、ウエハWのフォトレジスト層60の現像を行い、図14(A)〜(C)に示すように、フォトレジスト層60の第1の細長い開口部60C(像62Cに対応する部分)が形成される。ステップ116で例えばドライエッチングにより、この開口部60Cを通して第2保護層58に第3の開口部58Cが形成され、第1保護層48に第2の開口48C1,48C2が形成される。第3の開口部58Cは、その中央部に1つのラインパターン52Aの一部が存在し、この1つのラインパターン52Aを挟むように、一対のラインパターンの一部が存在する。第2の開口部48C1,48C2は、Y方向が隣り合うラインパターン52Aに制限され、かつX方向が開口パターンR3cの像によって制限された領域を有する。このように、第2保護層58に第3の開口部58Cを形成し、第1保護層48に第2の開口48C1,48C2を形成した後、フォトレジスト層60を剥離する。
【0040】
その後、ステップ118において、ウエハWの開口部58C及び開口部48C1,48C2を通して第2のL&Sパターン78(ラインパターン52A)及び第1のL&Sパターン71(ラインパターン38A)を形成する二酸化ケイ素の薄膜のエッチングを行う。これにより、図15(A)〜(C)に示すように、開口部58C内の3本のラインパターン52Aに切り欠き部52Ac1,52Ac2,52Ac3が形成され、開口部48C2,48C1内のラインパターン38Aの分離部74E,74Fに対応する部分に切り欠き部38Ae,38Afが形成される。
【0041】
続いてステップ120において、例えばドライエッチングでウエハWの第2保護層58を除去し、ステップ122において、例えばエッチバック法で第2のL&Sパターン78(ラインパターン52A)の残存部を除去し、ステップ124において、例えばドライアッシングにより第1保護層48の残存部を除去する。この結果、図16(A)〜(C)に示すように、ラインパターン38Aに、間隔dの分離部74E,74Fに対応する部分でY方向に関して幅dの切り欠き部38Ae,38Afが形成された回路パターンが得られる。ラインパターン38Aをラインパターン72とみなすことによって、その回路パターンは図2の第3領域76C内の回路パターンと同じである。
【0042】
従って、レチクルR3の解像限界内の1つの開口パターンの像の露光によって、ラインパターン38A(72)に沿って間隔dで離れた2つの分離部74E,74Fを容易に、かつ高精度に形成できる。さらに、その分離部74E,74FのY方向の間隔d及び分離部74E,74FのY方向の幅dは、ステップ110で形成する第2のL&Sパターン78のピッチ2d及びスペース部79の幅dを制御することによって、容易に調整することが可能である。
【0043】
本実施形態によれば、第1段階及び第2段階でスペーサ・ダブルパターニング法を用いて微細な第1及び第2のL&Sパターン71,78を形成した後、第3段階で分離部74A〜74Fに対応する部分(非周期的な部分)に露光装置100で対応する開口パターンR3a〜R3cの像を露光している。そして、その像によって形成される開口部内で、第2のL&Sパターン52A(78)の複数のスペース部79を介して第1のL&Sパターン71の複数のラインパターン38A(72)に幅dの切り欠き部(分離部74A〜74F)を設けている。従って、露光装置100を用いて、露光装置100の解像限界よりも微細な非周期的な部分を含む回路パターン70を高精度に形成できる。
【0044】
本実施形態の効果等は以下の通りである。
(1)本実施形態の露光装置100を含むパターン形成システムを用いたパターン形成方法は、ウエハW上にX方向に配列された複数の第1ラインパターン38A(72)を有する第1のL&Sパターン71を形成するステップ104と、第1のL&Sパターン71を覆うように第1保護層48を形成するステップ106と、第1保護層48上に、第1ラインパターン38Aに直交する方向に伸びる複数の第2ラインパターン52A(77)をY方向に配列した形状の第2のL&Sパターン78を形成するステップ110と、第2のL&Sパターン78を覆うように第2保護層58を形成し、第2保護層58を覆うようにフォトレジスト層60を形成するステップ112と、を有する。さらに、そのパターン形成方法は、第2のL&Sパターン78の一部と重なるように、フォトレジスト層60に第1の開口部60A,60B,60Cを有するパターンを形成するステップ114と、フォトレジスト層60に形成された開口部60A〜60Cを介して第2保護層58及び第1保護層48の一部を除去して、第1保護層48に第2の開口部48A,48B,48C1,48C2を形成するステップ116と、第1保護層48の開口部48A〜48C2を介して第1のL&Sパターン71の一部(分離部74A,74B,74E,74F)を除去するステップ118と、第2保護層58、第2のL&Sパターン78、及び第1保護層48を除去するステップ120,122,124と、を有する。
【0045】
本実施形態によれば、第1及び第2のL&Sパターン71,78は周期的パターンであるため、L&Sパターン71,78は露光装置100を用いるスペーサ・ダブルパターニング法によって、露光装置100の解像限界よりも微細なパターンとして形成できる。この際に、第2のL&Sパターン78の分離部74A,74B,74E,74Fに対応する部分の(所定の)スペース部79が第1のL&Sパターン71のうちで除去対象となる部分に重なるように位置決めされており、露光装置100を用いて、フォトレジスト層60の開口部60A〜60Cとなる像が、その除去対象となる部分を覆うように露光される。この結果、その分離部74A等となる部分のスペース部79と開口部60A〜60Cとが重なった部分で第1保護層48の開口部48A〜48C2が形成されるため、その開口部48A〜48C2を介して第1のL&Sパターン71のうちその除去対象となる部分のみを高精度に除去できる。
【0046】
従って、露光装置100の解像限界よりも微細な非周期的な部分(分離部74A,74B)を含む回路パターン70を、露光装置100を用いて高精度に形成できる。
(2)また、スペーサ・ダブルパターニング法を適用して第1L&Sパターン71及び第2L&Sパターン78を形成する工程は、それぞれ複数のラインパターン38Aのピッチの2倍のピッチ(4d)の複数のラインパターン40A及び複数のラインパターン52Aのピッチの2倍のピッチ(4d)の複数のラインパターン50Aを形成するステップ132,134と、複数のラインパターン40A及び50Aを用いて、これらのピッチの1/2のピッチ(2d)の第1のL&Sパターン71及び第2のL&Sパターン78を形成するステップ136,138,140と、を有する。従って、露光装置100の解像限界の1/2までの線幅(ハーフピッチ)のL&Sパターン71,78を高精度に形成できる。
【0047】
(3)また、フォトレジスト層60の第1の開口部60A,60Bはそれぞれ第2のL&Sパターン78の1つのスペース部79の少なくとも一部(スペース部79の幅以上で且つスペース部79の長さの一部)を覆う大きさである(図7(A)参照)。これによって、そのスペース部79と重なっている部分で第1のL&Sパターン71のラインパターン38Aを高精度に切り欠くことができる。なお、1本のラインパターン38A上で、フォトレジスト層60の開口部(ひいては切り欠き部)は1つのみでもよい。
【0048】
(4)また、フォトレジスト層60に設けられた第1の開口部60Cは、第2のL&Sパターン78の互いに隣接する2つのスペース部79の少なくとも一部(隣合う2つのスペース部を跨いで且つスペース部79の長さの一部)を覆う大きさの細長い形状(長穴)であり(図14(A)参照)、1保護層48の第2の開口部48C2,48C1は、その互いに隣接する2つのスペース部79に対応する位置に形成される。これによって、フォトレジスト層60の1つの開口部60Cを介して、ラインパターン38Aに沿って最小の間隔dで2箇所に切り欠き部38Ae,38Afを容易に形成できる。
【0049】
(5)また、1保護層48とフォトレジスト層60との間に、第2のL&Sパターン78を覆うように反射防止膜(BARC)よりなる第2保護層58を形成し(ステップ112)、1保護層48に開口部48A〜48C2を形成するときに第2保護層58に第3の開口部58A〜58Cを形成し(ステップ116)、第1のL&Sパターン71の一部を除去するときに、第3の開口部58A〜58C、第2のL&Sパターン78のスペース部79、及び第1保護層48の第2の開口部48A〜48C2を介して第1のL&Sパターン71のエッチングを行っている(ステップ118)。第2のL&Sパターン78のスペース部79は第2のL&Sパターン78のラインパターン52Aから画成されているので、第1のL&Sパターン71の一部は、第2のL&Sパターン78のラインパターン52Aの一部をマスクとして形成されているということができる。
【0050】
また、本実施形態では、第1保護層48も反射防止膜(BARC)から形成されている。このようにBARCよりなる第2保護層58及び1保護層48をハードマスクとして使用することによって、専用のハードマスクを使用する場合よりも安価に回路パターンを形成できる。また、反射防止膜(BARC)は有機材料であるため、L&Sパターン71,78が二酸化ケイ素又は金属等の無機材料である場合に、エッチングに対する耐性が異なるため、特にハードマスクとして好適である。
【0051】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態につき図17〜図24(C)を参照して説明する。本実施形態においても、図1(A)のパターン形成システム及び図1(B)の露光装置100が使用される。また、本実施形態で形成されるパターンは、図2の回路パターン70の凸部(分離部74A〜74F以外のラインパターン72の部分)を凹部とした回路パターンである。
【0052】
以下、本実施形態のパターン形成システムを用いるパターン形成方法の一例につき図17のフローチャートを参照して説明する。本実施形態でも、第1段階として、スペーサ・ダブルパターニング法を用いて、ウエハ(ウエハW1とする)の表面の各ショット領域に線幅d(ピッチ2d)の第1のL&Sパターン71を形成する。そして、第2段階として、その各ショット領域において、スペーサ・ダブルパターニング法を用いて、第1のL&Sパターン71の上に、第1のL&Sパターン71に直交するように、線幅d(ピッチ2d)の第2のL&Sパターン78を形成する。そして、第3段階として、その各ショット領域において、第2のL&Sパターン78の複数のスペース部79を介して第1のL&Sパターン71の複数のラインパターン72に幅dの分離部74A〜74Fを設けた後、各ラインパターン72を除去する。その第1段階は図17のステップ102A,104A,150,152に対応し、その第2段階はステップ108A,110Aに対応し、その第3段階はステップ154〜166に対応する。
【0053】
まず、図17のステップ102Aにおいて、図18(B)に示すように、ウエハW1の例えばシリコンよりなる基材36の平坦な表面に、二酸化ケイ素(SiO2)の薄膜よりなるデバイス層(不図示)を形成する。次のステップ104Aにおいて、図3のステップ104と同様に、そのデバイス層にスペーサ・ダブルパターニング法で複数の線幅dのラインパターン38AをX方向にピッチ2dで配列した第1のL&Sパターン71を形成する。次のステップ150において、第1のL&Sパターン71のスペース部を埋めるように、低誘電率の有機材料(いわゆるLow-k 有機材)からなる薄膜である有機層64を形成(充填)するとともに、第1のL&Sパターン71及び有機層64の表面を平坦化する。低誘電率の有機材料としては、比誘電率が例えばほぼ4以下(さらに好ましくはほぼ3以下)の材料であるポーラス有機シリカ膜(SiOCH)、又は多孔性の有機ガラス材料である有機SOG(spin-on glass)材料等が使用可能である。低誘電率であることによって絶縁性が向上できる。また、第1のL&Sパターン71の材料は無機物であるため、第1のL&Sパターン71とこれを囲む有機層64とでエッチングに対する耐性が異なっている。
【0054】
次のステップ152において、第1のL&Sパターン71(及び有機層64)を覆うように、例えば窒化膜等の無機材料よりなるハードマスク層66を形成する。次のステップ108Aにおいて、ハードマスク層66の表面にデバイス層と同じ厚さで同じ材料(ここでは二酸化ケイ素)よりなる加工用パターン層(不図示)を形成する。なお、加工用パターン層の厚さはデバイス層の厚さと異なってもよい。次のステップ110Aにおいて、図3のステップ110と同様に、図18(A)に示すようにスペーサ・ダブルパターニング法で、その加工用パターン層に複数の線幅dのラインパターン52AをY方向にピッチ2dで配列した第2のL&Sパターン78を形成する。
【0055】
以下、図2の回路パターン70中の分離部74A,74Bを含む第1領域76A内のパターンに対応するパターンが形成される過程につき、図18(A)〜図24(C)を参照して説明する。図18(A)〜図24(C)内で図6(A)〜図12(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。図18(A)〜図24(A)はそれぞれウエハW1の表面の各ショット領域内の第1領域76Aに対応する部分を示す拡大平面図、図18(B)〜図24(B)はそれぞれ図18(A)〜図24(A)のBB’線に沿う断面図、図18(C)〜図24(C)はそれぞれ図18(A)〜図24(A)のCC’線に沿う断面図である。なお、図18(A)〜図24(A)では、後述のフォトレジスト層60は透明部材として表している。
【0056】
まず、図17のステップ154において、図18(B)に示すように、ウエハW1の第2のL&Sパターン78を覆うように、例えばポジ型のフォトレジスト層60を形成(塗布)する。次のステップ114Aにおいて、図3のステップ114と同様に、露光装置100は、ウエハW1の各ショット領域の第1領域76Aに対応する部分に、図18(A)に示すように、図18(D)のレチクルR3の幅2d/βの開口パターンR3a,R3bの像62A,62Bを露光する。その後、ウエハW1のフォトレジスト層60の現像を行うことによって、像62A,62Bに対応する部分に第1の開口部60A,60Bが形成される。(図18(B)及び(C)参照)
【0057】
次のステップ156において、開口部60A,60Bを通してウエハW1のハードマスク層66のエッチングを行うことによって、図19(A)〜(C)に示すように、開口部60A,60Bと第2のL&Sパターン78のスペース部とが重なった部分(ラインパターン38Aを跨ぐ部分)でハードマスク層66の第2の開口部66A,66Bが形成される。次のステップ158において、例えばドライエッチングによって、開口部66A,66Bを通して有機層64の一部を除去する。これにより、図20(A)〜(C)に示すように、第2のL&Sパターン78の1つのスペース部を隔てた第1及び第2のスペース部のうち、その第1のスペース部内にラインパターン38Aを挟むように有機層64の1対の開口部64A1,64A2が形成され、その第2のスペース部内にラインパターン38Aを挟むように有機層64の別の一対の開口部64B1,64B2が形成される。
【0058】
次のステップ118Aにおいて、図3のステップ118と同様に、第2のL&Sパターン78(ここでは二酸化ケイ素膜)のエッチングを行い、ハードマスク層66の開口部66A,66Bを通して第1のL&Sパターン71(ここでは二酸化ケイ素膜)のエッチングを行う。この際に、図21(C)に破線で示すように、第2のL&Sパターン78のラインパターン52Aが残存しないようにする。これによって、図21(A)〜(C)に示すように、開口部66A,66B内の分離部74A,74Bに対応する位置で、第1のL&Sパターン71のラインパターン38Aに切り欠き部38Aa,38Abが形成される。また、図20(A)の各1対の開口部64A1,64A2及び64B1,64B2は1つの開口部64A及び64Bとなる。
【0059】
次のステップ160において、例えばエッチバック法でハードマスク層66を除去することによって、図22(A)〜(C)に示すように、切り欠き部38Aa,38Abが設けられたラインパターン38Aを含む第1のL&Sパターン71が表れる。次のステップ162において、図23(A)〜(C)に示すように、第1のL&Sパターン71の切り欠き部38Aa,38Abに、有機層64と同じ低誘電率の有機材料からなる充填部64P,64Qを再充填するとともに、表面を平坦化する。次のステップ164において、例えばウエットエッチングによって、ウエハW1から第1のL&Sパターン71(二酸化ケイ素膜)のみを除去することによって、図24(A)〜(C)に示すように、図2の第1領域76A内で凸のラインパターン72に対応する部分を凹のラインパターン38B(又は72B)とみなした回路パターンが形成される。中央のラインパターン38Bには、分離部74A,74Bに対応するY方向の間隔が3dの位置に幅dの平坦部38Ba,38Bb(露光装置100の解像限界よりも微細な非周期的な部分)が形成されている。さらに、必要に応じてステップ166において、凹のラインパターン38B(凹部)に例えば銅などの導電性材料を充填してもよい。これによって、凹のラインパターン38Bに導電性材料が充填された埋め込み型の回路パターンが形成できる。
【0060】
また、図2の回路パターン70の第1領域76A内のパターンに対応する回路パターンとともに、第2領域76B及び第3領域76C内のパターンに対応する回路パターンも同様に形成される。
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果等に加えて以下の効果等が得られる。
(1)本実施形態のパターン形成方法は、ウエハW1上にX方向に配列された複数の第1のラインパターン38Aを有する第1のL&Sパターン71を形成するステップ104Aと、第1のL&Sパターン71を覆うようにハードマスク層66を形成するステップ152と、ハードマスク層66上に、ラインパターン38Aに直交する方向に伸びる複数の第2のラインパターン52AをY方向に配列した形状の第2のL&Sパターン78を形成するステップ110Aと、第2のL&Sパターン78を覆うようにフォトレジスト層60を形成するステップ154と、を有する。さらに、そのパターン形成方法は、第2のL&Sパターン78の一部と重なるように、フォトレジスト層60に第1の開口部60A,60Bを有するパターンを形成するステップ114Aと、開口部60A,60Bを介してハードマスク層66の一部を除去して、ハードマスク層66に第2の開口部66A,66Bを形成するステップ156と、開口部66A,66Bを介して第1のL&Sパターン71の一部(分離部74A,74B)を除去するステップ118Aと、ハードマスク層66を除去するステップ160と、を有する。
【0061】
本実施形態によれば、第1及び第2のL&Sパターン71,78は露光装置100の解像限界よりも微細なパターンとして形成できる。また、露光装置100を用いて、フォトレジスト層60の開口部60A,60Bとなる像が、第2のL&Sパターン78のスペース部と重なる部分で、かつ第1のL&Sパターン71のラインパターン38Aの除去対象となる部分(離間部74A,74B)を覆うように露光される。この結果、その分離部74A等と開口部60A,60Bとが重なった部分でハードマスク層66の開口部66A,66Bが形成されるため、その開口部66A,66Bを介して第1のL&Sパターン71のうちその除去対象となる部分のみを高精度に除去できる。
【0062】
従って、露光装置100の解像限界よりも微細な非周期的な部分(分離部74A,74B)を含む回路パターンを、露光装置100を用いて高精度に形成できる。
(2)また、そのパターン形成方法は、ウエハW1に第1のL&Sパターン71を形成するときに第1のL&Sパターン71のスペース部に有機層64を充填するステップ150と、ハードマスク層66及び第2のL&Sパターン78を除去した後、第1のL&Sパターン71内の除去された部分(切り欠き部38Aa,38Ab)に有機層64と同じ材料の薄膜(充填部64P,64Q)を充填するステップ162と、第1のL&Sパターン71を除去するステップ164と、を有する。
【0063】
これによって、離間部74A,74Bが平坦部で第1のL&Sパターン71の部分が凹部となる回路パターンを形成できる。また、トレンチパターンであっても同様に形成可能である。
(3)また、有機層64は、誘電率の小さい有機材料からなる絶縁膜であり、ハードマスク層66は無機膜であるため、有機層64とハードマスク層66とはエッチングの耐性が異なる。従って、有機層64に開口部64A,64Bを形成した後、ハードマスク層66のみを容易に除去できる。
【0064】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態につき図25(A)〜図29(C)を参照して説明する。本実施形態においても、図1(A)のパターン形成システム及び図1(B)の露光装置100が使用される。また、本実施形態で形成されるパターンは、図2の回路パターン70中の第1領域76A内の回路パターンである。以下、本実施形態のパターン形成方法の一例につき、第1の実施形態の動作(図3のフローチャート)と比較しながら説明する。
【0065】
まず、図3のステップ102,104に対応して、図25(B)に示すように、ウエハ(ウエハW2とする)の基材36の平坦な表面に、スペーサ・ダブルパターニング法で、複数の線幅dのラインパターン38A(二酸化ケイ素の薄膜)をX方向にピッチ2dで配列した第1のL&Sパターン71を形成する。次のステップ106で、ウエハW2の第1のL&Sパターン71を覆うように反射防止膜(BARC)よりなる第1保護層48(以下、本実施形態では単に保護層48という)を形成し、次のステップ108に対応して、保護層48の表面に加工用パターン層52(図5(B)参照)を形成する。次にステップ110に対応する工程で、図5(E)のスペーサ部56A及び56Bの間にもスペーサ層56と同じ材料を充填し、ラインパターン50Aを除去してから加工用パターン層52のエッチングを行う。これによって、図25(A)に示すように、保護層48の表面に、Y方向の幅dのスペース部79Aと、Y方向の幅3dのラインパターン52BとをY方向にピッチ4dで配列した第2のL&Sパターン78Aが形成される。なお、第2のL&Sパターン78Aを形成するために、図3のステップ134に対応する工程で、図5(C)のラインパターン50Aとして線幅3dのラインパターンを形成してもよい。
【0066】
以下、図2の回路パターン70中の分離部74A,74Bを含む第1領域76A内のパターンに対応するパターンが形成される過程につき、図25(A)〜図29(C)を参照して説明する。図25(A)〜図29(C)内で図6(A)〜図12(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。図25(A)〜図29(A)はそれぞれウエハW2の表面の各ショット領域内の第1領域76Aに対応する部分を示す拡大平面図、図25(B)〜図29(B)はそれぞれ図25(A)〜図29(A)のBB’線に沿う断面図、図25(C)〜図29(C)はそれぞれ図25(A)〜図29(A)のCC’線に沿う断面図である。なお、図25(A)〜図27(A)では、後述のフォトレジスト層60は透明部材として表している。
【0067】
まず、図3のステップ112に対応する工程において、図25(B),(C)に示すように、ウエハW2の第2のL&Sパターン78Aを覆うように、例えばポジ型のフォトレジスト層60を形成(塗布)する。次のステップ114に対応して、露光装置100でウエハW2の各ショット領域の第1領域76Aに対応する部分に、図25(A)に示すように、図25(D)のレチクルR4のX方向の幅2d/βでY方向の幅6d/βの長方形の開口パターンR4a(長穴)の像62Dを露光する。像62Dの理想的な像A3は、X方向の幅2dでY方向の幅6dの分離部74A,74Bを覆う長方形の像であるが、実際には収差等で或る程度変形していても差し支えない。その後、ウエハW2のフォトレジスト層60の現像を行うことによって、図26(A)に示すように、像62Dに対応する部分に第1の開口部60Dが形成される。なお、本実施形態では、レチクルR4の開口パターンR4aの形状として、長方形の形状を示したが、これに限定されるものではない。例えば、その開口パターンとして、OPC(Optical proximity correction)処理を施したパターンを用いてもよい。
【0068】
次のステップ116に対応する工程において、例えばドライエッチングで開口部60Dを通してウエハW2の保護層48に開口を形成する。これによって、図26(A)〜(C)に示すように、開口部60Dと第2のL&Sパターン78Aのスペース部79Aとが重なった部分(ラインパターン38Aの分離部74A,74Bを跨ぐ部分)で保護層48の第2の開口部48D,48Eが形成される。次のステップ118に対応して、第2のL&Sパターン78A(ここでは二酸化ケイ素膜)のエッチングを行い、保護層48の開口部48D,48Eを通して第1のL&Sパターン71のラインパターン38A(ここでは二酸化ケイ素膜)のエッチングを行う。これによって、図27(A)〜(C)に示すように、開口部48D,48E内の分離部74A,74Bに対応する位置で、ラインパターン38Aに切り欠き部38Aa,38Abが形成される。また、第2のL&Sパターン78Aのラインパターン52Bにも切り欠き部52Ba,52Bb,52Bcが形成される。
【0069】
次にステップ120に対応して、例えばアッシングによって残存するフォトレジスト層60を除去し、ステップ122に対応して、例えばエッチバック法で第2のL&Sパターン78Aを除去することによって、図28(A)〜(C)に示すように、表面が保護層48で覆われて切り欠き部38Aa,38Abが形成された第1のL&Sパターン71が表れる。次のステップ124に対応して例えばドライアッシングで保護層48を除去することによって、図29(A)〜(C)に示すように、切り欠き部38Aa,38Abが設けられたラインパターン38Aを含む第1のL&Sパターン71が形成される。
【0070】
本実施形態によれば、上記の各実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。本実施形態によれば、第2のL&Sパターン78Aは、スペース部79Aの幅(d)が第2のラインパターン52Bの幅(3d)より狭いパターンであり、フォトレジスト層60の第1の開口部60Dは、第2のL&Sパターン78Aのうち、互いに隣接する2つのスペース部79Aの少なくとも一部を覆う大きさの長穴である。従って、1つの長穴(開口部60D)を形成するのみで、ラインパターン38Aの2箇所に切り欠き部38Aa,38Ab(分離部74A,74B)を形成することができる。このため、露光装置100の解像限界より微細な非周期的な部分を含むパターンを容易に形成できる。
【0071】
また、保護層48を覆うように第2のL&Sパターン78Aを形成するときに、保護層48上にL&Sパターンを有する第4パターン(複数のラインパターン50A)を形成し、その第4パターンのラインパターン50A(又はスペース部56A,56B)の幅をその第4パターンのピッチ(4d)の1/2より太く、例えば3dにしている。従って、第2のL&Sパターン78Aを容易に形成できる。
【0072】
なお、上記の各実施形態においては以下のような変形が可能である。
(1)上記の各実施形態では、第1のL&Sパターン71(第1のラインパターン38A,71)と第2のL&Sパターン78,78A(第2のラインパターン52A,77,52B)とは互いに直交している。しかしながら、第1のL&Sパターン71と第2のL&Sパターン78,78Aとは90°より小さい角度で交差していてもよい。また、第1のL&Sパターン71の代わりに、少なくとも1つのラインパターン38Aを含むパターンを形成しておいてもよく、第2のL&Sパターン78,78Aの代わりに、少なくとも1つのラインパターン52A,52Bを含むパターンを形成しておいてもよい。
【0073】
(2)上記の各実施形態では、第1のL&Sパターン71及び第2のL&Sパターン78はスペーサ・ダブルパターニング法で形成されている。しかしながら、第1のL&Sパターン71及び第2のL&Sパターン78の少なくとも一方を形成するときに、ピッチ分割法(Pitch-Splitting Process)を適用してもよい。そのピッチ分割法としては、二重露光法(Double Exposure Process)又はダブルパターニング法(Double Patterning Process)のいずれを適用してもよい。
【0074】
また、上記の各実施形態では、例えばスペーサ・ダブルパターニング法で元になるL&Sパターンからピッチが1/2のL&Sパターンを形成している。しかしながら、元になるパターンからこのピッチに対して1/(2k)(kは1以上の整数)のピッチを持つL&Sパターン(これがL&Sパターン71,78になる)を形成することも可能である。これによって、より微細な回路パターンを形成可能である。
【0075】
(3)上記の各実施形態では、形成される回路パターン中のラインパターン38A,71は二酸化ケイ素よりなるが、ラインパターン38A,71の材料は例えば導電性材料(例えば銅)などの他のどのような材料でもよい。
(4)上記の各実施形態では、周期的なパターン(第1のL&Sパターン71)の一部を除去しているが、非周期的なパターンの一部を除去する場合にも上記の実施形態のパターン形成方法が適用可能である。また、周期的なパターン又は非周期的なパターンに非周期的なパターンを付加する場合にも上記のパターン形成方法が適用可能である。
【0076】
次に、上記の各実施形態のパターン形成方法を用いてSRAM等の半導体デバイス(電子デバイス)を製造する場合、半導体デバイスは、図30に示すように、半導体デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ222、半導体デバイス用の基板(又はウエハの基材)を製造するステップ223、基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、及び検査ステップ226等を経て製造される。また、その基板処理ステップ224は、露光装置でレチクルのパターンを基板に露光する工程、露光した基板を現像する工程、並びに現像した基板の加熱(キュア)及びエッチングを行う工程などを含んでいる。
【0077】
言い換えると、このデバイス製造方法は、基板処理ステップ224を含み、この基板処理ステップ224は、上記の各実施形態のうちのいずれかのパターン形成方法を用いて基板(ウエハW,W1,W2)上に所定のパターン(ラインパターン38A,72)の一部を除去したパターンを形成する工程を含んでいる。また、一例として、基板上に形成されるパターンは、周期的パターン(第1のL&Sパターン71)の一部を除去したパターンである。
【0078】
このデバイスの製造方法によれば、露光装置の解像限界よりも微細な非周期的な部分を含む回路パターンを含む半導体デバイスを、露光装置を用いて高精度に製造できる。
なお、上記の実施形態で製造対象のデバイスは、SRAM以外のDRAM、CPU、DSP等の任意の半導体デバイスが可能である。さらに、半導体デバイス以外の撮像素子、MEMS(Microelectromechanical Systems)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造する際にも上記の実施形態のパターン形成方法が適用可能である。
【0079】
また、上記の実施形態において、露光装置としては、液浸型でないドライ型の露光装置を使用してもよい。また、紫外光を露光光とする露光装置以外に、露光光として波長が数nm〜数10nm程度のEUV光(Extreme Ultraviolet Light)を用いるEUV露光装置等を用いてもよい。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0080】
R,R1,R3…レチクル、W,W1,W2…ウエハ(基板)、36…基材、38…デバイス層、38A…第1のラインパターン、48…第1保護層、52…加工用パターン層、52A…第2のラインパターン、58…第2保護層、60…フォトレジスト層、70…回路パターン、71…第1のL&Sパターン、72…ラインパターン、74A〜74F…分離部、78…第2のL&Sパターン、100…露光装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成方法であって、
基板上に第1ラインパターンを有する第1パターンを形成し、
前記第1パターンを覆うように第1薄膜を形成し、
前記第1薄膜上に、前記第1ラインパターンに交差する方向に伸びる第2ラインパターンを有する第2パターンを形成し、
前記第2パターンを覆うように感光層を形成し、
前記第2パターンの少なくとも一部と重なるように、前記感光層に第1開口部を有する第3パターンを形成し、
前記感光層に形成された前記第3パターンの前記第1開口部を介して前記第1薄膜の一部を除去して、前記第1薄膜に第2開口部を形成し、
前記第1薄膜の前記第2開口部を介して前記第1パターンの一部を除去し、
前記第1薄膜及び前記第2パターンを除去する
ことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記第1パターンは、第1方向に複数の前記第1ラインパターンが配列されたライン・アンド・スペースパターンを有し、
前記第2パターンは、前記第1方向に交差する第2方向に複数の前記第2ラインパターンが配列されたライン・アンド・スペースパターンを有することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1パターン及び前記第2パターンを形成するときに、
それぞれ前記第1ラインパターン及び前記第2ラインパターンのピッチの2倍のピッチを持つ第4パターンを形成し、
前記第4パターンを用いて、前記第4パターンのピッチの1/2のピッチを持つライン・アンド・スペースパターンを形成することを特徴とする請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記感光層の前記第1開口部は、前記第2パターンの1つのスペース部の少なくとも一部を含む大きさであることを特徴とする請求項2または3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記感光層に形成された前記第1開口部は、前記第2パターンのうち、互いに隣接する2つのスペース部の少なくとも一部を含む大きさの長穴を有し、
前記第2開口部は、前記互いに隣接する2つのスペース部に対応する位置に形成されることを特徴とする請求項2または3に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第1薄膜と前記感光層との間に前記第2パターンを覆うように第2薄膜を形成し、
前記第1薄膜に前記第2開口部を形成するときに前記第2薄膜に第3開口部を形成し、
前記第1パターンの一部を除去するときに、前記第2薄膜の前記第3開口部、前記第2パターンのスペース部、及び前記第1薄膜の前記第2開口部を介して前記第1パターンのエッチングを行うことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記基板上に前記第1パターンを形成するときに前記第1パターンのスペース部に第4薄膜を充填し、
前記第1薄膜及び前記第2パターンを除去した後、前記第1パターンの除去された部分に前記第4薄膜と同じ材料の薄膜を充填し、
前記第1パターンを除去することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第1薄膜中の前記第1パターンが除去された凹部に前記第1薄膜と異なる材料を充填することを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記第4薄膜は誘電率の小さい絶縁膜であることを特徴とする請求項7または8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記第1薄膜は無機膜であり、前記第4薄膜は有機膜であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記第2パターンは、スペース部の幅が前記第2ラインパターンの幅より狭いライン・アンド・スペースパターンを有し、
前記感光層の前記第1開口部は、前記第2パターンのうち、互いに隣接する2つのスペース部の少なくとも一部を覆う大きさの長穴を有することを特徴とする請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記第1薄膜を覆うように前記第2パターンを形成するときに、前記第1薄膜上にライン・アンド・スペースパターンを有する第4パターンを形成し、前記第4パターンのラインパターン又はスペース部の幅を前記第4パターンのピッチの1/2より太くすることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
パターン形成方法であって、
基板上に所定方向に交互に配列した複数の第1ラインと第1スペースを有する第1ライン・アンド・スペースパターンを形成し;
前記第1ライン・アンド・スペースパターン上に前記所定方向と交差する方向に交互に配列した複数の第2ラインと第2スペースを有する第2ライン・アンド・スペースパターンを形成し;
前記第1ライン・アンド・スペースパターンの複数の第1ラインと前記第2ライン・アンド・スペースパターンの複数の前記第2スペースが重なる複数の重複領域に存在する前記第1ラインの一部の領域を、該第1ラインの一部の領域を区画する一対の前記第2ラインをマスクとしてエッチングして除去し;
前記第2ライン・アンド・スペースパターンを除去することにより、前記第1ライン・アンド・スペースパターンの前記第1ラインの一部が除去された非周期のライン・アンド・スペースパターンを形成するパターン形成方法。
【請求項14】
前記第1ライン・アンド・スペースパターンを形成した後に、前記第1ライン・アンド・スペースパターンを覆う保護層を形成し、該保護層の上に前記第2ライン・アンド・スペースパターンを形成し、前記複数の重複領域の前記第1ラインの一部の領域に相当する前記保護層の領域を除去し、該保護層の除去された領域を通じて該第1ラインの一部の領域をエッチングにより除去する請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記第1ライン・アンド・スペースパターンを形成する際に、前記所定方向に配列した遮光ラインパターンを有する第1のマスク板を用い、前記第2ライン・アンド・スペースパターンを形成する際に、前記所定方向と交差する方向に配列した遮光ラインパターンを有する第2のマスク板を用い、前記重複領域の一部の領域を除去する際に、前記重複領域の一部の領域を含む領域に光照射可能な光透過部を有する第3のマスク板を用いる請求項13または14に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
スペーサ・ダブルパターニング法により、前記第1ライン・アンド・スペースパターン及び前記第2ライン・アンド・スペースパターンを形成する請求項13〜15のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
前記パターンが所定の解像限界を有する露光装置により形成され、前記除去された前記第1ライン・アンド・スペースパターンのラインの一部は、前記解像限界未満の線幅を有する請求項13〜16のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
局所液浸法により基板を露光することにより前記非周期のライン・アンド・スペースパターンを形成する請求項13〜17のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のパターン形成方法を用いて基板上に所定のパターンの一部を除去したパターンを形成する工程を含むデバイス製造方法。
【請求項20】
前記基板上に形成されるパターンは、周期的パターンの一部を除去したパターンである請求項19に記載のデバイス製造方法。
【請求項1】
パターン形成方法であって、
基板上に第1ラインパターンを有する第1パターンを形成し、
前記第1パターンを覆うように第1薄膜を形成し、
前記第1薄膜上に、前記第1ラインパターンに交差する方向に伸びる第2ラインパターンを有する第2パターンを形成し、
前記第2パターンを覆うように感光層を形成し、
前記第2パターンの少なくとも一部と重なるように、前記感光層に第1開口部を有する第3パターンを形成し、
前記感光層に形成された前記第3パターンの前記第1開口部を介して前記第1薄膜の一部を除去して、前記第1薄膜に第2開口部を形成し、
前記第1薄膜の前記第2開口部を介して前記第1パターンの一部を除去し、
前記第1薄膜及び前記第2パターンを除去する
ことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記第1パターンは、第1方向に複数の前記第1ラインパターンが配列されたライン・アンド・スペースパターンを有し、
前記第2パターンは、前記第1方向に交差する第2方向に複数の前記第2ラインパターンが配列されたライン・アンド・スペースパターンを有することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1パターン及び前記第2パターンを形成するときに、
それぞれ前記第1ラインパターン及び前記第2ラインパターンのピッチの2倍のピッチを持つ第4パターンを形成し、
前記第4パターンを用いて、前記第4パターンのピッチの1/2のピッチを持つライン・アンド・スペースパターンを形成することを特徴とする請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記感光層の前記第1開口部は、前記第2パターンの1つのスペース部の少なくとも一部を含む大きさであることを特徴とする請求項2または3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記感光層に形成された前記第1開口部は、前記第2パターンのうち、互いに隣接する2つのスペース部の少なくとも一部を含む大きさの長穴を有し、
前記第2開口部は、前記互いに隣接する2つのスペース部に対応する位置に形成されることを特徴とする請求項2または3に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第1薄膜と前記感光層との間に前記第2パターンを覆うように第2薄膜を形成し、
前記第1薄膜に前記第2開口部を形成するときに前記第2薄膜に第3開口部を形成し、
前記第1パターンの一部を除去するときに、前記第2薄膜の前記第3開口部、前記第2パターンのスペース部、及び前記第1薄膜の前記第2開口部を介して前記第1パターンのエッチングを行うことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記基板上に前記第1パターンを形成するときに前記第1パターンのスペース部に第4薄膜を充填し、
前記第1薄膜及び前記第2パターンを除去した後、前記第1パターンの除去された部分に前記第4薄膜と同じ材料の薄膜を充填し、
前記第1パターンを除去することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第1薄膜中の前記第1パターンが除去された凹部に前記第1薄膜と異なる材料を充填することを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記第4薄膜は誘電率の小さい絶縁膜であることを特徴とする請求項7または8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記第1薄膜は無機膜であり、前記第4薄膜は有機膜であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記第2パターンは、スペース部の幅が前記第2ラインパターンの幅より狭いライン・アンド・スペースパターンを有し、
前記感光層の前記第1開口部は、前記第2パターンのうち、互いに隣接する2つのスペース部の少なくとも一部を覆う大きさの長穴を有することを特徴とする請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記第1薄膜を覆うように前記第2パターンを形成するときに、前記第1薄膜上にライン・アンド・スペースパターンを有する第4パターンを形成し、前記第4パターンのラインパターン又はスペース部の幅を前記第4パターンのピッチの1/2より太くすることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
パターン形成方法であって、
基板上に所定方向に交互に配列した複数の第1ラインと第1スペースを有する第1ライン・アンド・スペースパターンを形成し;
前記第1ライン・アンド・スペースパターン上に前記所定方向と交差する方向に交互に配列した複数の第2ラインと第2スペースを有する第2ライン・アンド・スペースパターンを形成し;
前記第1ライン・アンド・スペースパターンの複数の第1ラインと前記第2ライン・アンド・スペースパターンの複数の前記第2スペースが重なる複数の重複領域に存在する前記第1ラインの一部の領域を、該第1ラインの一部の領域を区画する一対の前記第2ラインをマスクとしてエッチングして除去し;
前記第2ライン・アンド・スペースパターンを除去することにより、前記第1ライン・アンド・スペースパターンの前記第1ラインの一部が除去された非周期のライン・アンド・スペースパターンを形成するパターン形成方法。
【請求項14】
前記第1ライン・アンド・スペースパターンを形成した後に、前記第1ライン・アンド・スペースパターンを覆う保護層を形成し、該保護層の上に前記第2ライン・アンド・スペースパターンを形成し、前記複数の重複領域の前記第1ラインの一部の領域に相当する前記保護層の領域を除去し、該保護層の除去された領域を通じて該第1ラインの一部の領域をエッチングにより除去する請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記第1ライン・アンド・スペースパターンを形成する際に、前記所定方向に配列した遮光ラインパターンを有する第1のマスク板を用い、前記第2ライン・アンド・スペースパターンを形成する際に、前記所定方向と交差する方向に配列した遮光ラインパターンを有する第2のマスク板を用い、前記重複領域の一部の領域を除去する際に、前記重複領域の一部の領域を含む領域に光照射可能な光透過部を有する第3のマスク板を用いる請求項13または14に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
スペーサ・ダブルパターニング法により、前記第1ライン・アンド・スペースパターン及び前記第2ライン・アンド・スペースパターンを形成する請求項13〜15のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
前記パターンが所定の解像限界を有する露光装置により形成され、前記除去された前記第1ライン・アンド・スペースパターンのラインの一部は、前記解像限界未満の線幅を有する請求項13〜16のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
局所液浸法により基板を露光することにより前記非周期のライン・アンド・スペースパターンを形成する請求項13〜17のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のパターン形成方法を用いて基板上に所定のパターンの一部を除去したパターンを形成する工程を含むデバイス製造方法。
【請求項20】
前記基板上に形成されるパターンは、周期的パターンの一部を除去したパターンである請求項19に記載のデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
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【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−64939(P2012−64939A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196802(P2011−196802)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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