パルスモードのマイクロ波プラズマを用いるダイヤモンドの高速成長
パルス状マイクロ波プラズマを使用して高速に電子製品向け品質のダイヤモンド膜を製造する方法であって、真空チャンバ内で、少なくとも水素と炭素を含んでいる気体をパルス状放電に曝すことによって、基板付近に有限の体積のプラズマが形成され、パルス状放電は、プラズマ中で少なくとも炭素含有ラジカルを得て、基板上にダイヤモンド膜を形成するために炭素含有ラジカルを基板上に被着させるように、一連の複数の低電力状態および複数の高電力状態と、ピーク吸収電力Pcとを有している、方法。基板を700℃と1000℃との間の基板温度に維持しながら、少なくとも100W/cm3のピーク電力密度でもって、プラズマの体積内に電力が注入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス状マイクロ波プラズマを使用するダイヤモンドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波プラズマ・アシスト化学気相成長法(MP−CVD)によってダイヤモンド膜を製造する現在の方法では、妥当な成長速度(約2μm/h)で電子製品向け品質(electronic quality)のダイヤモンドを得るために必要な大量のエネルギーにより壁が加熱され、プラズマに含まれ反応を活性化する水素原子がその壁上で再結合して反応に関与しなくなるため、効果が限定される。そのため、壁を冷却する狭窄装置(constricting device)の取り付けが必要となる。2001年にサンフランシスコで開催されたElectrical Chemical Society(ECS、電気化学学会)の会合の予稿集では、多数の共同発明者による「Diagnostics and modeling of moderate pressure microwave H2/CH4 plasmas obtained under pulsed mode(パルスモードで得られる中程度の圧力のマイクロ波H2/CH4プラズマの分析とモデル化)」という論文の中で、平均注入電力に関連しそのために壁上で発生する水素の再結合に関連している壁の温度を下げるために、デューティーサイクル(放電期間に対するエネルギーが放出されている時間の比)の低い周期的なパルス状放電を使用することが提案された。このような、パルス状放電を使用すると、パルス期間内に注入される電力に関連しているプラズマの高温を維持することが可能になり、そのためプラズマ内で水素原子の高い濃度を得ることが可能になる。したがって、ダイヤモンド膜を、定常的な消費電力に対して高速に堆積させることができる。
【0003】
本発明は、真空チャンバ内で、少なくとも水素と炭素を含んでいる気体をパルス状放電に曝すことによって、基板付近に有限の体積のプラズマが形成され、パルス状放電は、プラズマ中で少なくとも炭素含有ラジカルを得て、基板上にダイヤモンド膜を形成するために炭素含有ラジカルを基板上に被着させるように、一連の複数の低電力状態および複数の高電力状態と、ピーク吸収電力Pcとを有する、このような種類の方法に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、これらの方法、特に、これらの方法の効率をさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明は、パルス状マイクロ波プラズマによってアシストされた、ダイヤモンド膜を製造する方法を提供する。本方法は、前述の特徴以外に、基板を700℃と1000℃との間の基板温度に維持しながら、少なくとも100W/cm3のピーク電力密度でもって、プラズマの体積内に電力が注入されることを特徴としている。
【0006】
これらの構成によって、基板上でのダイヤモンド膜、特に電子製品向け品質のダイヤモンド膜の高速成長を実現することができる。
【0007】
本発明の好適な実施態様では、1つまたは2つ以上の以下に述べる構成を、さらに任意に(オプションとして)採用することができる。
【0008】
・以下の特徴:
パルス状放電は、あるピーク吸収電力Pcと、100W/cm3と250W/cm3との間にあるプラズマの体積に対するピーク電力の比とを有していること;
プラズマの最大温度が3500Kと5000Kとの間にあること;
基板の表面から1cm未満の位置にあるプラズマの境界領域でのプラズマの温度はが1500Kと3000Kとの間にあること;および
プラズマは、プラズマ内での最大濃度が1.7×1016と5×1017cm-3との間にある水素原子を含有していること
の少なくとも1つを有するプラズマが基板付近で生成される。
【0009】
・気体は、炭素と水素とを、炭素/水素モル比が1%と12%との間にあるように含有している。
【0010】
・気体は少なくとも1つの炭化水素を含有しており、2×1014cm-3と1×1015cm-3の間の炭素含有ラジカルの濃度を有するプラズマが生成される。
【0011】
・パルス状放電が発生し、低電力状態の継続時間に対する高電力状態の継続時間の比は1/9と1との間にある。
【0012】
・以下のパラメータ:
基板温度;
プラズマの温度;
基板の表面から1cm未満に位置している境界領域内のプラズマの温度:
プラズマ内での原子状水素の濃度;
プラズマ内での炭素含有ラジカルの濃度;
プラズマに近接している境界領域内での炭素含有ラジカルの濃度;
プラズマの圧力;及び
プラズマの電力密度
の少なくとも1つが評価され、放出される電力は、時間の関数として、これらのパラメータの少なくとも1つに対応している。
【0013】
・キャビティ内のプラズマは、以下の特徴:
パルス状放電は、2.45GHzで少なくとも5kWのピーク電力を有すること;
プラズマの圧力は100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)の間にあること;および
水素と炭素とを含んでいる気体は、プラズマの体積に対する流速の比が0.75と7.5sccm/cm3との間で放出されること
の少なくとも1つを有している。
【0014】
・キャビティ内のプラズマは、以下の特徴:
パルス状放電は、915MHzで少なくとも10kWのピーク電力を有すること;
プラズマの圧力は100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)の間にあること;および
水素と炭素とを含んでいる気体は、プラズマの体積に対する流速の比が0.75と7.5sccm/cm3との間で放出されること
の少なくとも1つを有している。
【0015】
本発明のその他の態様、目的、および利点は、非限定的な例として示す、本発明の実施態様の1つの説明を読むことで明らかになろう。
【0016】
本発明は、図面によっても、より明確に理解されることであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
さまざまな図において、同一の参照番号は、同一のまたは同様の要素を示している。
【0018】
図1は、基部(ベース)3上に配置されている支持部分(サポート)2を有する真空チャンバ1を使用する、本発明に基づく方法の実施の仕方の例を示している。この真空チャンバは、キャビティとして動作するファラデー箱13内に配置されているか、あるいは真空チャンバ自体がキャビティとして動作する。また真空チャンバ内には、一方では水素H2などの分子状水素源と、他方ではメタンCH4などの炭化水素、二酸化炭素CO2などの炭素源とを含んでいる気体を真空チャンバ内に放出する、1つの噴射ノズル4または複数の噴射ノズルが配置されている。
【0019】
量が設定されているアルゴン(Ar)と、ボロン(B)、イオウ(S)、リン(P)、その他のドーパントなどの量が設定されているドーパントおよび不純物とを、さらに噴射ノズル4によって放出してもよい。
【0020】
支持部分2の上には、たとえば、単結晶または多結晶の、天然または合成ダイヤモンド基板、またはバイアスを印加されたり印加されていないシリコン基板、炭化ケイ素基板、またはイリジウムあるいはプラチナの基板などの非ダイヤモンド基板である、基板5が配置されている。
【0021】
噴射ノズル4から放出された気体は、真空チャンバ内に広がり、2.45GHzで動作するGE 60KEDC SAIREMマイクロ波発生器や、915MHzで動作するマイクロ波発生器などのマイクロ波発生器6によって発生した放電に曝される。マイクロ波は、導波管14によって導かれる。この放電は、基板5の周囲に、気体の分子以外に、水素原子と、たとえばCH3の形であり一般にはCxHyなどの形の炭素含有ラジカルである炭素含有ラジカルとを含むプラズマ7を形成するように、キャビティ13に結合されている。
【0022】
プラズマ7は、たとえば、基板5の周囲の、たとえば、直径が5cmと10cmとの間のほぼ半球状であっても、またはその他の形状であってもよい。プラズマ7に含まれている炭素原子が、基板5上に堆積して、ダイヤモンド膜8を形成する。
【0023】
基板5とダイヤモンド膜8とは、周囲のプラズマ7によって、約700℃から1000℃の基板温度Tsまで加熱される。さらに、基板と膜の温度は、基板の加熱および/または冷却に適している調整装置(不図示)によって調整されてもよく、この装置は、たとえば支持部分3に収容される。このようにすることで、本方法の実施中に、注入電力のパラメータを基板の温度パラメータから分離することができる。
【0024】
マイクロ波発生器6によって発生する電力が図2aに示されている。この電力は、時間に対して周期的であって、周期Tにわたって、
加熱時間Tonに対するピーク電力Pcと、
そして、待機時間Toffに対して、ほぼゼロとすることもできる高電力に対して相対的な低電力と、
を有している。
【0025】
信号は、本方法では、必ずしも厳密に周期的である必要はなく、加熱時間Tonと待機時間Toffとの継続期間は、たとえばプラズマ中で計測された条件によって変化してもよい。
【0026】
同様に、放出電力は必ずしも矩形波でなくてもよい。任意の周期信号について、その周期にわたって、放出電力の平均Pmを計算することができる。平均電力よりも高い放出電力が加熱時間Tonを規定し、以降では「高電力」と呼ぶ。高電力は、「ピーク電力」Pcと呼ばれる最大瞬間値を有している。平均電力よりも低い放出電力が待機時間Toffを規定し、以降では「低電力」と呼ぶ。TonとToffの時間は、任意で(オプションで)、周期を通して細分化してもよい。
【0027】
本発明の場合では、ピーク電力Pcは、5kWと60kWとの間の値を有することができる。
【0028】
マイクロ波発生器6のデューティーサイクルは、周期T=Ton+Toffに対する加熱時間Tonの比に等しく、10%と50%との間にある。したがって、低電力が放出されている時間に対する高電力が放出されている時間の比は、1/9と1との間とすることができる。
【0029】
プラズマの体積が変化し基本的には増加する、加熱期間Tonの開始時のTonよりもはるかに短い遷移状態以外の加熱期間Tonの間、プラズマは、実際には約100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)との間にあるプラズマの圧力と、使用されるマイクロ波発生器のマイクロ波の周波数とに直接関連している概ね一定の体積を有している。本明細書の残りの部分では、加熱期間の開始時に発生する遷移状態を無視し、その後に発生するプラズマの「定常状態」だけを考慮する。
【0030】
このような周期的なパルス状放電を使用して、真空チャンバ1の壁13を低温に維持しながら、温度が高温に維持され、それによって水素原子Hと炭素含有ラジカルの高濃度と、その結果の高堆積速度を保証するパルス状プラズマを得る。このような吸収電力によって、プラズマ7の温度は、3500Kと5000Kとの間の最高値まで上昇する。その結果、そしてプラズマ7の体積に依存して、プラズマ中に注入されるピーク電力に対応する電力密度は、100W/cm3と250W/cm3との間になる。この電力密度は、たとえば、光学分光法などの特定の計測手段や、「フラッシュ・カム(Flash Cam)」型のたとえば可視領域の高速光学カメラや、その他の手段によって計測可能な、プラズマ7の体積に対するピーク電力Pcの比として計算される。基板と発生器との間で基板の表面から1cm未満に位置するプラズマの境界領域でも、気体温度は1500Kと3000Kとの間となる可能性がある。
【0031】
これらの条件は、噴射ノズル4によって放出される分子状水素H2の分裂と炭素含有ラジカルの形成に非常に好都合である。プラズマ内の原子状水素の濃度が1.7×1016cm-3と5×1017cm-3との間にあることが計測される可能性がある。そのような原子状水素の濃度により、生成されたダイヤモンド膜の電子製品向け品質を保証しながら、プラズマに含まれている炭素含有ラジカルをダイヤモンドの形態で堆積させる場合の反応速度を、高い反応速度に上昇させることができる。したがって、このような条件によって、プラズマが2×1014cm-3と1×1015cm-3との間のCH3ラジカルを含むように、プラズマ内の炭素含有ラジカルの濃度を有利に上昇させることができる。形成中のダイヤモンド膜8に炭素原子を結合させることは重要であるため、分子状水素H2に対するモル比で最大12%の分子状メタンを噴射ノズル4から放出することもできる。
【0032】
対象としている実施形態では、プラズマの体積は、たとえば、0.75と7.5sccm/cm3との間のプラズマの体積に対する流速の比に対応している、50sccmと500sccmとの間の流速の噴射ノズル4と通した流れによって、全体が一定の65cm3に維持されている。もちろん、本方法の実施中にプラズマを一定の体積に維持する必要はないし、実際に、この体積が約65cm3である必要もない。プラズマの圧力を100ミリバール(10kPa)〜350ミリバール(35kPa)の範囲内に調整することによって、プラズマの体積を変更することもできる。さらに、プラズマの体積は、より低いまたは高いマイクロ波周波数のマイクロ波発生器を使用することによって、それぞれ増加させたり減少させることもできる。
【0033】
前述のように、放電の平均電力に直接関連している壁の温度を低く維持したままプラズマの温度を増加させることができるため、制御されたパルス状放電の使用することは、プラズマの特性、特にプラズマ内の原子状水素と炭素含有ラジカルの濃度を増加させることができる。このように、ダイヤモンド膜の成長を支配する重要なパラメータは、ピーク電力に直接関連している。
【0034】
したがって、所与の期間と所与の平均電力に対して加熱時間Tonを短くすることによって、ピーク電力Pcを、使用する発生器に応じて、6kWから60kWの範囲にある最大値まで増加させることができる。反応速度は、基板の温度Tsによって、プラズマ7内の原子状水素の濃度と炭素含有ラジカルの濃度に関連している。他方、放電サイクルの平均電力は、真空チャンバ1の壁13が過度に高い温度になるのを避けるために低く維持しなければならず、これは、放電サイクルの一定の周期Tに対して、加熱時間Tonを短くし、待機時間Toffを長くすることになる。放電サイクルのTonとTとの間の部分の期間には、低い、ゼロのことさえあるマイクロ波電力がプラズマ7内に注入され、このプラズマ内のラジカルが再結合する。したがって、プラズマ7内の原子状水素Hの濃度は、この時間間隔の間は減少し、原子は再結合して水素分子H2になり、そのため水素分子H2を次の放電の間に再び分裂させなければならず、処理の効果が減少する。待機時間Toffの間、原子状水素の濃度は、時間とともに減少し、この減少は、プラズマの温度と圧力の条件に依存しているプラズマ内水素原子の寿命Tvによって特徴づけられる。待機時間Toffの間の水素原子の再結合の過程を制限して、次の加熱時間Tonの間に分裂させなければならない水素分子H2を最低限の量にしようとすることが好ましい。
【0035】
本発明によって、時間と共に定期的な放電を発生するエネルギー源6を使用してパルス状マイクロ波プラズマを得ることが可能になり、定期的な放電の待機時間Toffは、プラズマ7内の水素原子の寿命Tvよりも確実に短い。
【0036】
プラズマ7内の原子状水素Hの寿命Tvは、たとえば、公知のプラズマ誘起蛍光(PIF)法によって求めることが可能である。この手法は、図2bに示しているように、ピーク電力がPcである期間Tonの第1の電力ピークに加えて、第1の電力ピーク後の、TonとTとの間の定められている時刻Toにおける、継続時間が短い、たとえばTonの1/10の、第2の電力のピークを発生させることからなっている。第2の電力のピークは、時刻Toにプラズマ7内に依然として存在している水素原子Hを電子との直接の衝突によって励起する。この励起が計測され、放電の第1のピークによる励起と比較され、それによって、時刻Toにプラズマ7内に残存している水素原子Hの濃度を求めることが可能になり、したがって、プラズマの所与の条件下での水素原子の寿命を求めることが可能になる。オプションとして、この情報をマイクロ波発生器6に送信することが可能で、マイクロ波発生器6は、それに対して放電のパラメータを適応させる。レーザー励起誘導放出(LISE)や2光子レーザー励起蛍光などの、その他の公知の手法を、この場合に使用することができる。
【0037】
マイクロ波発生器6を作動状態に維持し、新規の各放電サイクル期間の開始時にマイクロ波発生器6がより素早く高ピーク電力Pcを出力することができるように、待機時間Toff中にピーク電力Pcの約10%の残留電力PRがプラズマに注入されることを保証する手段を講じることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に基づく方法の一実施形態を示している図である。
【図2a】本発明に基づくパルス状放電を示すグラフである。
【図2b】本発明に基づくパルス状放電を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス状マイクロ波プラズマを使用するダイヤモンドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波プラズマ・アシスト化学気相成長法(MP−CVD)によってダイヤモンド膜を製造する現在の方法では、妥当な成長速度(約2μm/h)で電子製品向け品質(electronic quality)のダイヤモンドを得るために必要な大量のエネルギーにより壁が加熱され、プラズマに含まれ反応を活性化する水素原子がその壁上で再結合して反応に関与しなくなるため、効果が限定される。そのため、壁を冷却する狭窄装置(constricting device)の取り付けが必要となる。2001年にサンフランシスコで開催されたElectrical Chemical Society(ECS、電気化学学会)の会合の予稿集では、多数の共同発明者による「Diagnostics and modeling of moderate pressure microwave H2/CH4 plasmas obtained under pulsed mode(パルスモードで得られる中程度の圧力のマイクロ波H2/CH4プラズマの分析とモデル化)」という論文の中で、平均注入電力に関連しそのために壁上で発生する水素の再結合に関連している壁の温度を下げるために、デューティーサイクル(放電期間に対するエネルギーが放出されている時間の比)の低い周期的なパルス状放電を使用することが提案された。このような、パルス状放電を使用すると、パルス期間内に注入される電力に関連しているプラズマの高温を維持することが可能になり、そのためプラズマ内で水素原子の高い濃度を得ることが可能になる。したがって、ダイヤモンド膜を、定常的な消費電力に対して高速に堆積させることができる。
【0003】
本発明は、真空チャンバ内で、少なくとも水素と炭素を含んでいる気体をパルス状放電に曝すことによって、基板付近に有限の体積のプラズマが形成され、パルス状放電は、プラズマ中で少なくとも炭素含有ラジカルを得て、基板上にダイヤモンド膜を形成するために炭素含有ラジカルを基板上に被着させるように、一連の複数の低電力状態および複数の高電力状態と、ピーク吸収電力Pcとを有する、このような種類の方法に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、これらの方法、特に、これらの方法の効率をさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明は、パルス状マイクロ波プラズマによってアシストされた、ダイヤモンド膜を製造する方法を提供する。本方法は、前述の特徴以外に、基板を700℃と1000℃との間の基板温度に維持しながら、少なくとも100W/cm3のピーク電力密度でもって、プラズマの体積内に電力が注入されることを特徴としている。
【0006】
これらの構成によって、基板上でのダイヤモンド膜、特に電子製品向け品質のダイヤモンド膜の高速成長を実現することができる。
【0007】
本発明の好適な実施態様では、1つまたは2つ以上の以下に述べる構成を、さらに任意に(オプションとして)採用することができる。
【0008】
・以下の特徴:
パルス状放電は、あるピーク吸収電力Pcと、100W/cm3と250W/cm3との間にあるプラズマの体積に対するピーク電力の比とを有していること;
プラズマの最大温度が3500Kと5000Kとの間にあること;
基板の表面から1cm未満の位置にあるプラズマの境界領域でのプラズマの温度はが1500Kと3000Kとの間にあること;および
プラズマは、プラズマ内での最大濃度が1.7×1016と5×1017cm-3との間にある水素原子を含有していること
の少なくとも1つを有するプラズマが基板付近で生成される。
【0009】
・気体は、炭素と水素とを、炭素/水素モル比が1%と12%との間にあるように含有している。
【0010】
・気体は少なくとも1つの炭化水素を含有しており、2×1014cm-3と1×1015cm-3の間の炭素含有ラジカルの濃度を有するプラズマが生成される。
【0011】
・パルス状放電が発生し、低電力状態の継続時間に対する高電力状態の継続時間の比は1/9と1との間にある。
【0012】
・以下のパラメータ:
基板温度;
プラズマの温度;
基板の表面から1cm未満に位置している境界領域内のプラズマの温度:
プラズマ内での原子状水素の濃度;
プラズマ内での炭素含有ラジカルの濃度;
プラズマに近接している境界領域内での炭素含有ラジカルの濃度;
プラズマの圧力;及び
プラズマの電力密度
の少なくとも1つが評価され、放出される電力は、時間の関数として、これらのパラメータの少なくとも1つに対応している。
【0013】
・キャビティ内のプラズマは、以下の特徴:
パルス状放電は、2.45GHzで少なくとも5kWのピーク電力を有すること;
プラズマの圧力は100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)の間にあること;および
水素と炭素とを含んでいる気体は、プラズマの体積に対する流速の比が0.75と7.5sccm/cm3との間で放出されること
の少なくとも1つを有している。
【0014】
・キャビティ内のプラズマは、以下の特徴:
パルス状放電は、915MHzで少なくとも10kWのピーク電力を有すること;
プラズマの圧力は100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)の間にあること;および
水素と炭素とを含んでいる気体は、プラズマの体積に対する流速の比が0.75と7.5sccm/cm3との間で放出されること
の少なくとも1つを有している。
【0015】
本発明のその他の態様、目的、および利点は、非限定的な例として示す、本発明の実施態様の1つの説明を読むことで明らかになろう。
【0016】
本発明は、図面によっても、より明確に理解されることであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
さまざまな図において、同一の参照番号は、同一のまたは同様の要素を示している。
【0018】
図1は、基部(ベース)3上に配置されている支持部分(サポート)2を有する真空チャンバ1を使用する、本発明に基づく方法の実施の仕方の例を示している。この真空チャンバは、キャビティとして動作するファラデー箱13内に配置されているか、あるいは真空チャンバ自体がキャビティとして動作する。また真空チャンバ内には、一方では水素H2などの分子状水素源と、他方ではメタンCH4などの炭化水素、二酸化炭素CO2などの炭素源とを含んでいる気体を真空チャンバ内に放出する、1つの噴射ノズル4または複数の噴射ノズルが配置されている。
【0019】
量が設定されているアルゴン(Ar)と、ボロン(B)、イオウ(S)、リン(P)、その他のドーパントなどの量が設定されているドーパントおよび不純物とを、さらに噴射ノズル4によって放出してもよい。
【0020】
支持部分2の上には、たとえば、単結晶または多結晶の、天然または合成ダイヤモンド基板、またはバイアスを印加されたり印加されていないシリコン基板、炭化ケイ素基板、またはイリジウムあるいはプラチナの基板などの非ダイヤモンド基板である、基板5が配置されている。
【0021】
噴射ノズル4から放出された気体は、真空チャンバ内に広がり、2.45GHzで動作するGE 60KEDC SAIREMマイクロ波発生器や、915MHzで動作するマイクロ波発生器などのマイクロ波発生器6によって発生した放電に曝される。マイクロ波は、導波管14によって導かれる。この放電は、基板5の周囲に、気体の分子以外に、水素原子と、たとえばCH3の形であり一般にはCxHyなどの形の炭素含有ラジカルである炭素含有ラジカルとを含むプラズマ7を形成するように、キャビティ13に結合されている。
【0022】
プラズマ7は、たとえば、基板5の周囲の、たとえば、直径が5cmと10cmとの間のほぼ半球状であっても、またはその他の形状であってもよい。プラズマ7に含まれている炭素原子が、基板5上に堆積して、ダイヤモンド膜8を形成する。
【0023】
基板5とダイヤモンド膜8とは、周囲のプラズマ7によって、約700℃から1000℃の基板温度Tsまで加熱される。さらに、基板と膜の温度は、基板の加熱および/または冷却に適している調整装置(不図示)によって調整されてもよく、この装置は、たとえば支持部分3に収容される。このようにすることで、本方法の実施中に、注入電力のパラメータを基板の温度パラメータから分離することができる。
【0024】
マイクロ波発生器6によって発生する電力が図2aに示されている。この電力は、時間に対して周期的であって、周期Tにわたって、
加熱時間Tonに対するピーク電力Pcと、
そして、待機時間Toffに対して、ほぼゼロとすることもできる高電力に対して相対的な低電力と、
を有している。
【0025】
信号は、本方法では、必ずしも厳密に周期的である必要はなく、加熱時間Tonと待機時間Toffとの継続期間は、たとえばプラズマ中で計測された条件によって変化してもよい。
【0026】
同様に、放出電力は必ずしも矩形波でなくてもよい。任意の周期信号について、その周期にわたって、放出電力の平均Pmを計算することができる。平均電力よりも高い放出電力が加熱時間Tonを規定し、以降では「高電力」と呼ぶ。高電力は、「ピーク電力」Pcと呼ばれる最大瞬間値を有している。平均電力よりも低い放出電力が待機時間Toffを規定し、以降では「低電力」と呼ぶ。TonとToffの時間は、任意で(オプションで)、周期を通して細分化してもよい。
【0027】
本発明の場合では、ピーク電力Pcは、5kWと60kWとの間の値を有することができる。
【0028】
マイクロ波発生器6のデューティーサイクルは、周期T=Ton+Toffに対する加熱時間Tonの比に等しく、10%と50%との間にある。したがって、低電力が放出されている時間に対する高電力が放出されている時間の比は、1/9と1との間とすることができる。
【0029】
プラズマの体積が変化し基本的には増加する、加熱期間Tonの開始時のTonよりもはるかに短い遷移状態以外の加熱期間Tonの間、プラズマは、実際には約100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)との間にあるプラズマの圧力と、使用されるマイクロ波発生器のマイクロ波の周波数とに直接関連している概ね一定の体積を有している。本明細書の残りの部分では、加熱期間の開始時に発生する遷移状態を無視し、その後に発生するプラズマの「定常状態」だけを考慮する。
【0030】
このような周期的なパルス状放電を使用して、真空チャンバ1の壁13を低温に維持しながら、温度が高温に維持され、それによって水素原子Hと炭素含有ラジカルの高濃度と、その結果の高堆積速度を保証するパルス状プラズマを得る。このような吸収電力によって、プラズマ7の温度は、3500Kと5000Kとの間の最高値まで上昇する。その結果、そしてプラズマ7の体積に依存して、プラズマ中に注入されるピーク電力に対応する電力密度は、100W/cm3と250W/cm3との間になる。この電力密度は、たとえば、光学分光法などの特定の計測手段や、「フラッシュ・カム(Flash Cam)」型のたとえば可視領域の高速光学カメラや、その他の手段によって計測可能な、プラズマ7の体積に対するピーク電力Pcの比として計算される。基板と発生器との間で基板の表面から1cm未満に位置するプラズマの境界領域でも、気体温度は1500Kと3000Kとの間となる可能性がある。
【0031】
これらの条件は、噴射ノズル4によって放出される分子状水素H2の分裂と炭素含有ラジカルの形成に非常に好都合である。プラズマ内の原子状水素の濃度が1.7×1016cm-3と5×1017cm-3との間にあることが計測される可能性がある。そのような原子状水素の濃度により、生成されたダイヤモンド膜の電子製品向け品質を保証しながら、プラズマに含まれている炭素含有ラジカルをダイヤモンドの形態で堆積させる場合の反応速度を、高い反応速度に上昇させることができる。したがって、このような条件によって、プラズマが2×1014cm-3と1×1015cm-3との間のCH3ラジカルを含むように、プラズマ内の炭素含有ラジカルの濃度を有利に上昇させることができる。形成中のダイヤモンド膜8に炭素原子を結合させることは重要であるため、分子状水素H2に対するモル比で最大12%の分子状メタンを噴射ノズル4から放出することもできる。
【0032】
対象としている実施形態では、プラズマの体積は、たとえば、0.75と7.5sccm/cm3との間のプラズマの体積に対する流速の比に対応している、50sccmと500sccmとの間の流速の噴射ノズル4と通した流れによって、全体が一定の65cm3に維持されている。もちろん、本方法の実施中にプラズマを一定の体積に維持する必要はないし、実際に、この体積が約65cm3である必要もない。プラズマの圧力を100ミリバール(10kPa)〜350ミリバール(35kPa)の範囲内に調整することによって、プラズマの体積を変更することもできる。さらに、プラズマの体積は、より低いまたは高いマイクロ波周波数のマイクロ波発生器を使用することによって、それぞれ増加させたり減少させることもできる。
【0033】
前述のように、放電の平均電力に直接関連している壁の温度を低く維持したままプラズマの温度を増加させることができるため、制御されたパルス状放電の使用することは、プラズマの特性、特にプラズマ内の原子状水素と炭素含有ラジカルの濃度を増加させることができる。このように、ダイヤモンド膜の成長を支配する重要なパラメータは、ピーク電力に直接関連している。
【0034】
したがって、所与の期間と所与の平均電力に対して加熱時間Tonを短くすることによって、ピーク電力Pcを、使用する発生器に応じて、6kWから60kWの範囲にある最大値まで増加させることができる。反応速度は、基板の温度Tsによって、プラズマ7内の原子状水素の濃度と炭素含有ラジカルの濃度に関連している。他方、放電サイクルの平均電力は、真空チャンバ1の壁13が過度に高い温度になるのを避けるために低く維持しなければならず、これは、放電サイクルの一定の周期Tに対して、加熱時間Tonを短くし、待機時間Toffを長くすることになる。放電サイクルのTonとTとの間の部分の期間には、低い、ゼロのことさえあるマイクロ波電力がプラズマ7内に注入され、このプラズマ内のラジカルが再結合する。したがって、プラズマ7内の原子状水素Hの濃度は、この時間間隔の間は減少し、原子は再結合して水素分子H2になり、そのため水素分子H2を次の放電の間に再び分裂させなければならず、処理の効果が減少する。待機時間Toffの間、原子状水素の濃度は、時間とともに減少し、この減少は、プラズマの温度と圧力の条件に依存しているプラズマ内水素原子の寿命Tvによって特徴づけられる。待機時間Toffの間の水素原子の再結合の過程を制限して、次の加熱時間Tonの間に分裂させなければならない水素分子H2を最低限の量にしようとすることが好ましい。
【0035】
本発明によって、時間と共に定期的な放電を発生するエネルギー源6を使用してパルス状マイクロ波プラズマを得ることが可能になり、定期的な放電の待機時間Toffは、プラズマ7内の水素原子の寿命Tvよりも確実に短い。
【0036】
プラズマ7内の原子状水素Hの寿命Tvは、たとえば、公知のプラズマ誘起蛍光(PIF)法によって求めることが可能である。この手法は、図2bに示しているように、ピーク電力がPcである期間Tonの第1の電力ピークに加えて、第1の電力ピーク後の、TonとTとの間の定められている時刻Toにおける、継続時間が短い、たとえばTonの1/10の、第2の電力のピークを発生させることからなっている。第2の電力のピークは、時刻Toにプラズマ7内に依然として存在している水素原子Hを電子との直接の衝突によって励起する。この励起が計測され、放電の第1のピークによる励起と比較され、それによって、時刻Toにプラズマ7内に残存している水素原子Hの濃度を求めることが可能になり、したがって、プラズマの所与の条件下での水素原子の寿命を求めることが可能になる。オプションとして、この情報をマイクロ波発生器6に送信することが可能で、マイクロ波発生器6は、それに対して放電のパラメータを適応させる。レーザー励起誘導放出(LISE)や2光子レーザー励起蛍光などの、その他の公知の手法を、この場合に使用することができる。
【0037】
マイクロ波発生器6を作動状態に維持し、新規の各放電サイクル期間の開始時にマイクロ波発生器6がより素早く高ピーク電力Pcを出力することができるように、待機時間Toff中にピーク電力Pcの約10%の残留電力PRがプラズマに注入されることを保証する手段を講じることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に基づく方法の一実施形態を示している図である。
【図2a】本発明に基づくパルス状放電を示すグラフである。
【図2b】本発明に基づくパルス状放電を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状マイクロ波プラズマを使用してダイヤモンド膜(8)を製造する方法であって、真空チャンバ(1)内で、少なくとも水素と炭素とを含んでいる気体をパルス状放電に曝すことによって、基板(5)付近に有限の体積のプラズマ(7)が形成され、前記パルス状放電は、前記プラズマ(7)中で少なくとも炭素含有ラジカルを得て、前記基板(5)上にダイヤモンド膜(8)を形成するために前記炭素含有ラジカルを前記基板(5)上に被着させるように、一連の複数の低電力状態および複数の高電力状態と、ピーク吸収電力Pcとを有する、方法において、
前記基板(5)を700℃と1000℃との間の基板温度に維持しながら、少なくとも100W/cm3のピーク電力密度でもって、前記プラズマの前記体積内に電力が注入されることを特徴とする方法。
【請求項2】
以下の特徴:
前記パルス状放電は、あるピーク吸収電力Pcと、100W/cm3と250W/cm3との間にある前記プラズマの体積に対する前記ピーク電力の比とを有していること;
前記プラズマの最大温度が3500Kと5000Kとの間にあること;
前記基板の表面から1cm未満の位置にある前記プラズマの境界領域での前記プラズマの温度が1500Kと3000Kとの間にあること;および
前記プラズマは、前記プラズマ内での最大濃度が1.7×1016と5×1017cm-3との間にある水素原子を含有していること
の少なくとも1つを有するプラズマ(7)が前記基板(5)付近で生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気体は、炭素と水素とを、炭素/水素モル比が1%と12%との間にあるように含有している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記気体は少なくとも1つの炭化水素を含有しており、2×1014cm-3と1×1015cm-3の間の炭素含有ラジカル濃度を有するプラズマ(7)が生成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス状放電が発生し、前記低電力状態の継続時間に対する前記高電力状態の継続時間の比は1/9と1との間にある、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
以下のパラメータ:
基板温度;
前記プラズマの温度;
前記基板の表面から1cm未満に位置している前記境界領域内での前記プラズマの温度;
前記プラズマ内での原子状水素の濃度;
前記プラズマ内での前記炭素含有ラジカルの濃度;
前記プラズマに近接している前記境界領域内での前記炭素含有ラジカルの濃度;
前記プラズマの圧力;および
前記プラズマの電力密度
の少なくとも1つが評価され、放出される前記電力は、時間の関数として、これらのパラメータの少なくとも1つに対応している、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
キャビティ(13)内の前記プラズマは、以下の特徴:
前記パルス状放電は、2.45GHzで少なくとも5kWのピーク電力を有すること;
前記プラズマの圧力は100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)の間にあること;および
前記水素と炭素とを含んでいる気体は、前記プラズマの体積に対する流速の比が0.75と7.5sccm/cm3との間で放出されること
の少なくとも1つを有している、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
キャビティ内の前記プラズマは、以下の特徴:
前記パルス状放電は、915MHzで少なくとも10kWのピーク電力を有すること;
前記プラズマの圧力は100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)の間にあること;および
前記水素と炭素とを含んでいる気体は、前記プラズマの体積に対する流速の比が0.75と7.5sccm/cm3との間で放出されること
の少なくとも1つを有している、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
パルス状マイクロ波プラズマを使用してダイヤモンド膜(8)を製造する方法であって、真空チャンバ(1)内で、少なくとも水素と炭素とを含んでいる気体をパルス状放電に曝すことによって、基板(5)付近に有限の体積のプラズマ(7)が形成され、前記パルス状放電は、前記プラズマ(7)中で少なくとも炭素含有ラジカルを得て、前記基板(5)上にダイヤモンド膜(8)を形成するために前記炭素含有ラジカルを前記基板(5)上に被着させるように、一連の複数の低電力状態および複数の高電力状態と、ピーク吸収電力Pcとを有する、方法において、
前記基板(5)を700℃と1000℃との間の基板温度に維持しながら、少なくとも100W/cm3のピーク電力密度でもって、前記プラズマの前記体積内に電力が注入されることを特徴とする方法。
【請求項2】
以下の特徴:
前記パルス状放電は、あるピーク吸収電力Pcと、100W/cm3と250W/cm3との間にある前記プラズマの体積に対する前記ピーク電力の比とを有していること;
前記プラズマの最大温度が3500Kと5000Kとの間にあること;
前記基板の表面から1cm未満の位置にある前記プラズマの境界領域での前記プラズマの温度が1500Kと3000Kとの間にあること;および
前記プラズマは、前記プラズマ内での最大濃度が1.7×1016と5×1017cm-3との間にある水素原子を含有していること
の少なくとも1つを有するプラズマ(7)が前記基板(5)付近で生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気体は、炭素と水素とを、炭素/水素モル比が1%と12%との間にあるように含有している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記気体は少なくとも1つの炭化水素を含有しており、2×1014cm-3と1×1015cm-3の間の炭素含有ラジカル濃度を有するプラズマ(7)が生成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス状放電が発生し、前記低電力状態の継続時間に対する前記高電力状態の継続時間の比は1/9と1との間にある、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
以下のパラメータ:
基板温度;
前記プラズマの温度;
前記基板の表面から1cm未満に位置している前記境界領域内での前記プラズマの温度;
前記プラズマ内での原子状水素の濃度;
前記プラズマ内での前記炭素含有ラジカルの濃度;
前記プラズマに近接している前記境界領域内での前記炭素含有ラジカルの濃度;
前記プラズマの圧力;および
前記プラズマの電力密度
の少なくとも1つが評価され、放出される前記電力は、時間の関数として、これらのパラメータの少なくとも1つに対応している、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
キャビティ(13)内の前記プラズマは、以下の特徴:
前記パルス状放電は、2.45GHzで少なくとも5kWのピーク電力を有すること;
前記プラズマの圧力は100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)の間にあること;および
前記水素と炭素とを含んでいる気体は、前記プラズマの体積に対する流速の比が0.75と7.5sccm/cm3との間で放出されること
の少なくとも1つを有している、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
キャビティ内の前記プラズマは、以下の特徴:
前記パルス状放電は、915MHzで少なくとも10kWのピーク電力を有すること;
前記プラズマの圧力は100ミリバール(10kPa)と350ミリバール(35kPa)の間にあること;および
前記水素と炭素とを含んでいる気体は、前記プラズマの体積に対する流速の比が0.75と7.5sccm/cm3との間で放出されること
の少なくとも1つを有している、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【公表番号】特表2006−513123(P2006−513123A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565926(P2004−565926)
【出願日】平成15年6月18日(2003.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007142
【国際公開番号】WO2004/063430
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(502155356)サントル ナショナル デ ラ ルシェルシュ シィアンティフィク (セ.エヌ.エール.エス.) (10)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (C.N.R.S.)
【出願人】(505260349)ユニヴェルシテ パリ ノール (パリ XIII) アンスティテュ ガリレ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS NORD (PARIS XIII) INSTITUT GALILEE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年6月18日(2003.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007142
【国際公開番号】WO2004/063430
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(502155356)サントル ナショナル デ ラ ルシェルシュ シィアンティフィク (セ.エヌ.エール.エス.) (10)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (C.N.R.S.)
【出願人】(505260349)ユニヴェルシテ パリ ノール (パリ XIII) アンスティテュ ガリレ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS NORD (PARIS XIII) INSTITUT GALILEE
【Fターム(参考)】
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