説明

レチクル検査システム及び方法

【課題】 任意のパターンを有するレチクル上のパーティクル及び異常の検出を可能にすること。
【解決手段】 レチクル検査のための方法及びシステムを開示する。この方法は、検査レチクル及び基準レチクルの表面をコヒーレントに照明すること、照明された表面からの散乱光にフーリエ変換を適用すること、基準レチクルからの変換された光の位相を、検査レチクルからの変換された光と基準レチクルからの変換された光との間の位相差が180度であるようにシフトすること、変換された光を像減算として合成すること、合成された光に逆フーリエ変換を適用すること、及び、ディテクタにおいて合成された光を検出することを含む。照明源からディテクタへの2つの光路間の光路長差は、照明源のコヒーレント長未満である。ディテクタにより検出される像は、レチクルの振幅及び位相分布における差を表し、これにより、外部パーティクル、異常などを容易に識別することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般にリソグラフィに関し、より具体的にはリソグラフィに用いられるレチクルの検査に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィは、集積回路(IC)並びに他のデバイス及び/又は構造を製造する際の重要なプロセスとして広く知られている。リソグラフィ装置は、リソグラフィの間に所望のパターンを基板上、例えば基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置を用いてICを製造する際に、パターニングデバイス(或いはマスク又はレチクルとも呼ばれる)によって、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンが生成される。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、又は1つ以上のダイを含む)上に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(例えば、レジスト)層への結像によって行われる。一般に、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。ICの様々な層を製造することは、大抵の場合、異なるレチクルを用いて異なる層上に異なるパターンを結像することが必要となる。したがって、リソグラフィプロセスの間にレチクルを取り替える必要がある。
【0003】
[0003] 現行のリソグラフィシステムは、極小のマスクパターンフィーチャを投影する。レチクルの表面上に出現する埃や外部からの粒子状物質が、結果として生じる製品に悪影響を及ぼしてしまう。リソグラフィプロセス前又はその間にレチクル上に堆積するあらゆる粒子状物質は、基板上に投影されるパターン内のフィーチャを変形させる可能性がある。したがって、フィーチャのサイズが小さいほど、レチクルから除去することが重要となるパーティクルのサイズも小さくなる。
【0004】
[0004] 多くの場合、ペリクルがレチクルと共に用いられる。ペリクルは、レチクルの表面の上方にあるフレーム全体に広げられる薄い透明層である。ペリクルは、パーティクルが、パターンが付けられた側のレチクル面に到達することを阻止すべく用いられる。ペリクル面上のパーティクルは、焦点面から外れており、露光されるウェーハ上に結像されないはずであるが、ペリクル面を可能な限りパーティクルがない状態にすることが依然として好適である。しかし、一部のタイプのリソグラフィ(例えば、極端紫外線(EUV)リソグラフィ)では、ペリクルは用いられない。EUVレチクルにはカバーがないことによりパーティクル汚染の影響を受け易く、パーティクル汚染はリソグラフィプロセスに異常をもたらしてしまうことがある。EUVレチクル上のパーティクルは、結像異常の主な原因の1つである。EUVレチクルを露光位置に移動させる前にレチクルを検査及び洗浄することは、レチクルハンドリングプロセスの重要な一側面となりうる。レチクルは、通常、検査の結果又は過去の統計に基づいて汚染があると思われる場合に洗浄される。
【0005】
[0005] レチクルは、通常、散乱光技術を利用したレーザスキャン型スキャトロメータ又はイメージングシステムを用いて異常を見つけるべく検査される。この技術では、レーザビームの焦点がレチクル上に合わされ、鏡面反射方向から離れるように散乱する放射ビームが検出される。物体面上のパーティクルが光をランダムに散乱させる。顕微鏡を用いて照射面を観察すると、パーティクルは明るいスポットとして浮き上がる。このスポットの強度がパーティクルのサイズの尺度となる。
【0006】
[0006] 可視又は紫外線(UV)光と共に動作するスキャトロメータは、スキャン型イメージングシステム(例えば、共焦点、EUV、又は電子ビーム顕微鏡システム)よりも著しく高速のレチクル検査を可能にする。レーザ照明ビームと、レチクル上のパターンから回折された光を遮断する瞳面におけるフーリエフィルタを有するコヒーレント光学系を使用するスキャトロメータが知られている。このタイプのスキャトロメータは、レチクル上の周期パターンからくる背景のレベルを超えてパーティクルによって散乱された光を検出する。
【0007】
[0007] このようなシステムの一例が、2007年11月8日に公開され、「Inspection Method and Apparatus Using Same」なるタイトルで、Bleekerらによる米国特許出願公開番号第2007/0258086号に記載される。図1に示すように、例示的な検査システム100は、顕微鏡対物系104、瞳フィルタ106、投影光学系108、及びディテクタ110を含む。放射(例えば、レーザ)ビーム112が、物体(例えば、レチクル)114を照明する。瞳フィルタ106を用いて物体114のパターンによる光学散乱が遮断される。コンピュータ116を用いて、物体114のパターンに基づいて瞳フィルタ106のフィルタリングを制御することができる。したがって、フィルタ106は、物体114に対する瞳面における空間フィルタとして設けられ、物体114のパターン付き構造に関連付けられて散乱放射から放射を除去する。ディテクタ110は、汚染パーティクルの検出のためにフィルタ106を透過した放射の一部を検出する。
【0008】
[0008] しかし、任意の(すなわち、非周期的な)パターンを有するレチクルには検査システム100のような検査システムを用いることが適していない。この制限は、パターンによって回折される光によるディテクタの飽和の結果生じる。ディテクタは限られたダイナミックレンジを有し、パターンから散乱される光がある状態ではパーティクルからの光を検出することができない。換言すれば、周期パターンに対してのみ、コヒーレント光学系のフーリエ面における空間フィルタによって対応光を効率的に除去することができる。周期パターン(例えば、DRAM用)であっても、レチクルスキャンプロセスにおいてフーリエフィルタを変更する際に深刻な問題がある。検査システム100などの検査システムでは、そのフーリエろ過のために平行照明ビームのみを使用するという制限もある。したがって、検査システム100などの検査システムは、レチクル面ラフネスからの散乱を抑制するために必要な照明最適化を行うことができない。
【0009】
[0009] 公知の検査システムを用いるとき、パーティクル検出の精度、品質及び確実性が非常に多くの場合に犠牲となる。より高いスループットがますます求められ、また、リソグラフィフィーチャのサイズが縮小するに従って、速度、より小さいパーティクルサイズ検出、及び望ましくない影響に対する耐性について検査システムの性能を高めることがますます重要となってきている。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 上述を鑑みるに、任意のパターンを有するレチクルを検査するためのシステム及び方法が必要とされている。この必要に応えることを目的として、本発明の実施形態は、任意のパターンを有するレチクル上のパーティクル及び異常の検出を可能にする検査システム及び方法に関する。
【0011】
[0011] 例えば、本発明の一実施形態は、レチクルを検査する方法を提供する。この方法は、コヒーレント照明源を用いて、検査レチクルの表面及び基準レチクルの表面の各部分を照明することと、照明された部分からの散乱光にフーリエ変換を適用することと、検査レチクル及び基準レチクルのうち一方からの変換された光の位相を、検査レチクルからの変換された光と基準レチクルからの変換された光との間の位相差が180度となるようにシフトすることと、照明された部分からの変換された光を合成することと、合成された光に逆フーリエ変換を適用することと、ディテクタにおいて合成された光を検出することとを含む。本実施形態では、照明源からディテクタへの第1光路と、照明源からディテクタへの第2光路との間の光路長差が、照明源のコヒーレンス長未満であり、ディテクタにより検出された合成された光は、検査レチクル及び基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表す像の形態にあり、それにより、外部パーティクル及び/又は異常を容易に識別することができる。
【0012】
[0012] 本発明の別の実施形態は、検査レチクル及び基準レチクルの各部分を照明するように構成されたコヒーレント照明源と、検査レチクルの照明された部分から伝播された第1光ビームに第1フーリエ変換を適用するように構成された第1顕微鏡対物系を有する検査干渉計分岐と、基準レチクルの照明された部分から伝播された第2光ビームに第2フーリエ変換を適用するように構成された第2顕微鏡対物系を有する基準干渉計分岐とを含むレチクル検査システムを提供する。このシステムは更に、検査干渉計分岐と基準干渉計分岐との間に180度の位相シフトを生じさせるように構成された干渉計素子を含む。このシステムは更に、第1及び第2光ビームを受け取り且つ合成するように構成されたビームスプリッタと、合成された第1及び第2光ビームに逆フーリエ変換を与えるように構成されたフーリエレンズと、第1及び第2光ビームが検査レチクル及び基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表す像を形成するように、合成された第1及び第2光ビームを検出するように構成されたディテクタとを含む。外部パーティクル及び/又は異常は像において容易に識別可能である。本実施形態では、検査干渉計分岐は検査レチクルとディテクタとの間の光路を有し、基準干渉計分岐は基準レチクルとディテクタとの間の光路を有する。検査干渉計分岐と基準干渉計分岐との間の光路長差は、照明源のコヒーレンス長未満である。一実施形態では、システムは、第1顕微鏡対物系からの第1光ビームをビームスプリッタに向けるように構成された検査干渉計分岐における干渉計素子を含む。この干渉計素子は、180度の位相シフトを生じさせるように用いられた干渉計素子と同じであってよい。別の実施形態では、このシステムは、第1顕微鏡対物系からの第1光ビームをビームスプリッタに向けるように構成された第1干渉計素子と、第2顕微鏡対物系からの第2光ビームをビームスプリッタに向けるように構成された第2干渉計素子とを含む。これらの干渉計素子のどちらも180度の位相シフトを生じさせるために用いることができる。
【0013】
[0013] 本発明の更なる実施形態は、上述したシステムのいずれであってもよいレチクル検査システムを有するリソグラフィシステムを提供する。
【0014】
[0014] 本発明の更なる特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作は、添付図面を参照して以下に詳述する。なお、本発明は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、本明細書中、説明することのみを目的として提示される。更なる実施形態が本明細書に含まれる教示内容に基づいて当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[0015] 本願に組み込まれ且つ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明を例示し、また、以下の説明とともに本発明の原理を更に説明し且つ当業者が本発明をなす及び利用することを可能とするものである。
【図1】[0016] 図1はスキャトロメトリを用いる公知のレチクル検査システムの一例である。
【図2】[0017] 図2は本発明の一実施形態によるレチクル検査システムを示す。
【図3A】[0018] 図3Aは本発明の実施形態によるレチクル照明の一例を示す。
【図3B】[0018] 図3Bは本発明の実施形態によるレチクル照明の一例を示す。
【図3C】[0018] 図3Cは本発明の実施形態によるレチクル照明の一例を示す。
【図3D】[0018] 図3Dは本発明の実施形態によるレチクル照明の一例を示す。
【図4】[0018] 図4は本発明の実施形態によるレチクル照明の一例を示す。
【図5】[0019] 図5は本発明の一実施形態による、基準レチクルとして用いられる空間光モジュレータを示す。
【図6】[0020] 図6は本発明の一実施形態による、等光路長を有するレチクル検査システムを示す。
【図7A】[0021] 図7Aは本発明の実施形態によるレチクルサポートの別の例を示す。
【図7B】[0021] 図7Bは本発明の実施形態によるレチクルサポートの別の例を示す。
【図7C】[0021] 図7Cは本発明の実施形態によるレチクルサポートの別の例を示す。
【図8A】[0022] 図8Aは本発明の実施形態による、単一レチクルを用いる別の例を示す。
【図8B】[0022] 図8Bは本発明の実施形態による、単一レチクルを用いる別の例を示す。
【図9】[0023] 図9は本発明の実施形態を用いて検出された外部パーティクルを示す結像例を示す。
【図10A】[0024] 図10Aは反射型リソグラフィ装置を示す。
【図10B】[0024] 図10Bは透過型リソグラフィ装置を示す。
【図11】[0025] 図11は例示的なEUVリソグラフィ装置を示す。
【図12】[0026] 図12は本発明の一実施形態によるレチクル検査方法を説明するフロー図である。
【図13】[0027] 図13は本発明の一実施形態による、図12に示すレチクル検査方法の更なる工程を説明するフロー図である。
【図14】[0028] 図14は本発明の一実施形態による、図12に示すレチクル検査方法の複数の更なる工程を説明するフロー図である。
【図15】[0029] 図15は本発明の一実施形態による、図14に示すレチクル検査方法の更なる工程を説明するフロー図である。
【図16】[0030] 図16は本発明の一実施形態による、図12に示すレチクル検査方法の更なる工程を説明するフロー図である。
【0016】
[0031] 本発明の特徴及び利点は、図面と共に考慮された場合に以下に記載する詳細な説明からより明らかとなろう。図中、同様の参照文字は全体に亘って対応する構成要素を特定する。図中、同様の参照番号は、一般に、同一の、機能上同様の、及び/又は構造上同様の構成要素を示す。ある構成要素が最初に登場する図面は、対応する参照番号の左端の数字によって示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
I.概説
[0032] 本発明は、レチクル検査システム及び方法に関する。本明細書は、本発明の特徴が組み込まれた1以上の実施形態を開示する。開示する実施形態は、本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は、開示する実施形態に限定されない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0018】
[0033] 記載する実施形態、及び、明細書中における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、記載した実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を有してよいが、どの実施形態も必ずしもその特徴、構造、又は特性を含まなくてもよいことを示すものである。更に、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。また、特定の特徴、構造、又は特性が一実施形態に関連して説明された場合、明示的な記載の有無に関わらず、その特徴、構造、又は特性を他の実施形態に関連して達成することは当業者の知識内であることは理解されよう。
【0019】
[0034] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は任意の組み合わせで実施されてよい。本発明の実施形態は、機械読取可能媒体上に記憶され、1以上のプロセッサによって読出し及び実行されてよい命令として実施されてもよい。機械読取可能媒体は、機械(例えば、コンピュータデバイス)によって読取可能な形態で情報を記憶及び伝送するための任意の機構を含んでよい。例えば、機械読取可能媒体の例としては、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光学、音響、又は他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)などが挙げられる。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を、本明細書においては、特定の動作を行うように説明する場合もある。しかし、そのような記載は便宜上のものに過ぎず、そのような動作は、実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスによるものであることは理解されるべきである。
【0020】
[0035] 以下の説明は、レチクル上のパーティクル及び異常の検出を可能にし、かかるレチクルは任意のパターンを含んでいる、レチクル検査システム及び方法を提供する。この検査は、高度に生産的なスキャトロメトリの手段を用いて達成される。提示するアプローチは、光路において直接レチクル上の任意のパターンから散乱した光を抑制し、その結果、限られたダイナミックレンジを有するフォトディテクタを用いてパーティクル及び異常を検出することが可能である。
II.レチクル検査システムの実施形態
【0021】
[0036] 図2は、本発明の一実施形態によるレチクル検査システム200を概略的に示す。レチクル検査システム200は、基板サポート236を有し、基板サポートはその上に取り付けられた検査レチクル230及び基準レチクル232を有する。検査レチクル230は、検査用に設けられたレチクルである。基準レチクル232は、検査レチクル230との比較用に設けられたレチクルである。基準レチクル232は、汚染からの保護のためのペリクル234(すなわち、ガラス窓など)を含んでもよい。検査レチクル230もペリクルを含んでよいが、EUVリソグラフィプロセスに用いられる場合にはペリクルはない。
【0022】
[0037] レチクル検査システム200は更に、検査レチクル230及び基準レチクル232のそれぞれの等しい部分(例えば、同一レチクル上の同じ領域、等しいパターンを有する領域など)にコヒーレントな照明ビーム203を供給する照明源220と、照明された検査レチクル230及び基準レチクル232から伝播された照明ビームにフーリエ変換をそれぞれ行う顕微鏡対物系204及び205とを含む。後に、レンズ226が逆フーリエ変換を行い、レチクルの像を形成する。一実施形態では、顕微鏡対物系204及び205は、1以上のレンズを含むことができる。変換済みビーム207及び209は、ビームスプリッタ224において合成(例えば、減算)される。変換済みビーム207は、干渉計素子201(例えば、ミラー、チルトミラー、プリズムなど)を介してビームスプリッタ224に向けられる。干渉計素子201又は追加の干渉計素子(図示せず)は、ビーム207と209との間に180度の位相差を生じさせる。この位相シフトを生じさせるために用いてもよい他の干渉計素子としては、次に限定されないが、1以上のレンズ、ビームスプリッタ、電気光学光モジュレータ、音響光学光モジュレータなどが挙げられる。合成されたビーム207、209は、ビームスプリッタ224からフーリエレンズ226を通りディテクタ210に向けられる。対物系204及び205は、レンズ226と共に、242及びディテクタ210における光学的な共役面においてレチクル230及び232の重なり合った像を形成する。
【0023】
[0038] 一実施形態では、レチクル検査システム200は、レンズ226とディテクタ210との間にフィルタリングシステム225を任意選択的に含んでもよい。フィルタリングシステム225は、例えば、2つのフーリエレンズ227と、その間にあって望まない放射又はエネルギーを相殺する空間フィルタ228とを含むことができる。フィルタリングシステム225を用いることにより、より良好な出力信号対ノイズ比を提供することができ、また、レチクルパターンが周期部分を有する場合に特に有用である。空間フィルタリングシステム225が用いられない場合、フォトディテクタ210は、面242内に位置付けられる。
【0024】
[0039] ビーム207と209との間に180度の位相差を維持するために、レチクル検査システム200の一実施形態は更に、干渉計素子201を調節するためのフィードバックループを含むことができる。このフィードバックループは、ビーム207を検出し、アクチュエータ240に制御信号255を供給するディテクタ238を含む。アクチュエータ240は、次に必要な傾斜及びピストンのために必要に応じて干渉計素子201を調節することができる。制御信号255は、ディテクタ238によって検出された光強度から生成されることが可能である。図2に示すフィードバックループは、検査レチクルを含む光路内に示す。しかし、フィードバックループは、基準レチクルを含む路内に配置されてもよい。
【0025】
[0040] 照明源220から検査レチクル230を通りディテクタ210に亘る光路は、検査路又は分岐を表し、照明源220から基準レチクル232を通りディテクタ210に亘る光路は、基準路又は分岐を表す。光路(すなわち、光路長)は、次式:OPL=∫n(s)dsに示すように幾何学的長さ(s)と屈折率(n)の積であり、積分は光線に沿って行われる。均一な媒体を有する2つの(光源からディテクタまでの)分岐に直線光を用いる例では、光路差(OPD)は、(n1*s1)−(n2*s2)に等しい。検査分岐と基準分岐との間の光路長差は、照明源220のコヒーレンス長未満でなければならない。この光路長差は、ゼロ又は略ゼロであってよい。短コヒーレンス長を有する光源を用いて動作するシステムでは、光路長差は、可能な限りゼロに近いことが好適である。
【0026】
[0041] 上述したシステムでは、コヒーレント照明源を用い、検査分岐と基準分岐との間に180度の位相シフトを維持することによって、ディテクタ210において結果として得られる像は、検査レチクル及び基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表す。この構成によって、外部パーティクル及び/又は異常は、例えば、図9を参照して以下に詳細に説明するように、像において識別することができるようになる。
【0027】
[0042] 図3A、図3B、図3C、図3D、及び図4は、本発明の実施形態による、レチクル照明の様々な例を示す。図3Aに示す実施形態では、光ビーム303が、照明源220から検査レチクル230に直接供給されることを示す。光ビーム303は、図2に示したように、このように基準レチクル232にも直接供給されることが可能である。図3Bに示す別の実施形態では、光ビーム303は、オプションの照明システム381を介して検査レチクル230に供給される。図3Cに示す更なる実施形態では、照明源220からの照明は、光学素子383(例えば、ビームスプリッタ、回折格子など)を介して分割されて、折り返しミラー385を介してレチクル230、232に向けられることができる。本文書に記載する実施形態の多くは、反射型レチクルを用いた使用について記載されるが、本発明の実施形態は、図3Dに例示するように、透過型レチクル(検査レチクル、基準レチクル、又は両方用)を用いた使用にも適用してもよい。
【0028】
[0043] 図4に示す実施形態では、光ビーム403が、照明源420によって、検査レチクル230及び基準レチクル232へと、それぞれ顕微鏡対物系204及び205を介して供給される。図4では、これは、ビームスプリッタ452及び454をそれぞれ用いることで達成される。図4に示す実施形態は、照明条件を最適化する際により多くの柔軟性を可能にする高い開口数照明を供給する。各実施形態では、コヒーレント照明ビームが、検査レチクル230及び基準レチクル232の同一の(又は同等の)領域に小さなスポットを形成する。このスポットは、1×1mm、0.25×0.25mmなどのオーダーであることができる。
【0029】
[0044] 本発明の一実施形態では、基準レチクル232は、空間光モジュレータであってよい。空間光モジュレータの例としては、次に限定されないが、液晶モジュレータアレイ(例えば、可視スペクトル範囲内)及びマイクロミラーアレイ(例えば、UVシステム用)が挙げられる。図5は、基準パターンの生成のために基準レチクル232’にパターンデータを供給するべく用いることのできるプロセッサ560を含む本発明の一実施形態を示す。
【0030】
[0045] 図6は、本発明の一実施形態による、等光路長を有するレチクル検査システム600を示す。レチクル検査システム600は、基板サポート664を含み、基板サポートは、両面に取り付けられた検査レチクル630及び基準レチクル632を有する。レチクル検査システム600は更に、検査レチクル630及び基準レチクル632のそれぞれの等しい部分(例えば、同一レチクル上の同じ領域、等しいパターンを有する領域など)にコヒーレントな照明ビーム603を供給する照明源670を含む。照明ビーム603は、反射素子672及び674(例えば、ミラー、プリズムなど)をそれぞれ介してレチクル630及び632に向けられる。図3Cにおいて光学素子383が用いられたのと同様に、ビームスプリッタ又は回折格子といった光学素子を用いることもできる。レチクル検査システム600は更に、図2における顕微鏡対物系204、205及びレンズ226と同様に機能する顕微鏡対物系604、605、及びレンズ626を含む。干渉計素子601及び668(例えば、ミラー、プリズムなど)が、各ビーム607、609を顕微鏡対物系604及び605からビームスプリッタ624に向ける。干渉計素子601、668は、ビーム607と609との間に180度の位相差を生じさせるように構成される。ビーム607及び609はビームスプリッタ624において合成(例えば、減算)される。合成されたビーム607、609は、ビームスプリッタ624からレンズ626を通りディテクタ610に向けられる。
【0031】
[0046] 一実施形態では、レチクル検査システム600は、図2におけるフィルタリングシステム225と同様にレンズ626とディテクタ610との間にフィルタリングシステム(図示せず)を任選択的に含むことができる。
【0032】
[0047] ビーム607と609との間に180度の位相差を維持するために、レチクル検査システム600の一実施形態は更に、図2に示すフィードバックループと同様に、干渉計素子601を調節するフィードバックループを含むことができる。このフィードバックループは、ビーム607を検出し、アクチュエータ640に制御信号655を供給するディテクタ638を含む。アクチュエータ640は、次に必要に応じて干渉計素子601を調節することができる。
【0033】
[0048] 図6に示す実施形態では、検査レチクル630及び基準レチクル632とディテクタ610との間の光路長差は、照明源670のコヒーレンス長未満であることが好適である。図6では、これらの光路長は、全く等しいわけではないにしても略等しい。従って、光路長差は、完全にゼロではないがゼロに近い。このことは、短コヒーレンス長を有する光源を使用することを可能にし、また、用いる光学素子の光学面上の表面的な異常に対する感応性を最小限にする。
【0034】
[0049] 図2を参照して上述したように、ディテクタ610において結果として得られる像は、検査レチクルと基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表し、図9を参照して以下に詳細に説明するように、外部パーティクル及び/又は異常を容易に識別することを可能にする。
【0035】
[0050] 図7A、図7B、及び図7Cは、本発明の実施形態によるレチクルサポートの別の例を示す。図7Aは、図2に示す実施形態に示したようなレチクルサポート236を示す。レチクルサポート236は、一端に検査レチクル230が取り付けられ、他端に基準レチクル232が取り付けられた単一サポートである。レチクルサポート236は、検査レチクル230の連続的な又は一連の部分の検査を可能にする可動式レチクルサポートである。レチクルサポート236は、検査レチクル230と基準レチクル232の両方を支持するので、検査レチクル230及び基準レチクル232は共に一致して(ユニゾンで)動く(すなわち、レチクル230及び232は、レチクルサポート236が移動させられると、同一の動作で一緒に動く)。
【0036】
[0051] 図7Bに示す別の実施形態では、検査レチクル230は、第1レチクルサポート778上に取り付けられ、基準レチクル232は第2レチクルサポート780上に取り付けられる。2つの別個のレチクルサポート778、780が用いられる場合、これらは、検査レチクル230の連続的な又は一連の部分を検査するためにはユニゾンで移動可能であるべきである。
【0037】
[0052] 図7Cに示す別の実施形態では、検査レチクル230は、第1レチクルサポート782上に取り付けられ、基準レチクル232は第2レチクルサポート784上に取り付けられ、第1レチクルサポート782及び基準レチクルサポート784は共に、第3レチクルサポート786の両端に配置される。この実施形態では、第1レチクルサポート782及び第2レチクルサポート784は、検査レチクル230の連続的な又は一連の部分の検査に対応すべくユニゾンで移動可能である。第3レチクルサポート786も、所望の位置へのより直接的な移動を可能にすべく移動可能である。
【0038】
[0053] 上の説明では、レチクルは(各々のサポート上で)移動可能であるとして説明したが、本発明の別の実施形態は、固定のレチクルを有することを含む。この実施形態では、システムが移動して検査スキャンを行うことができ、その間、レチクルは固定されたままである。
【0039】
[0054] 図8A及び図8Bは、本発明の実施形態による、単一レチクルを用いた別の例を示す。図8Aでは、レチクルサポート836上の単一レチクル831を示す。単一レチクル831は、その上に2つのパターン、すなわち、検査パターン863と別個の基準パターン865を有する。図8Bでは、レチクルサポート836上の単一レチクル867を示す。単一レチクル867はその上に単一パターン869を有する。単一パターン869は、検査パターン部871と基準パターン部873とを含む。検査パターン部871と基準パターン部873は、例えば、同一又は同等のパターンを含むことができる。図8A及び図8Bの各実施形態は、例えば、図2のレチクル検査システム200内に、検査レチクル230、基準レチクル232、及びレチクルサポート236の代わりに組み込んでもよい。
【0040】
[0055] 図9は、本発明の実施形態を用いて検出された外部パーティクルを示す結像例990、991、及び992(コンピュータモデリング)を示す。例990及び991は、ランダムパターンを示す。例990では、検査レチクル993がパーティクル又は異常994を含み、基準レチクル995がパーティクル又は異常996を含む。レチクル検査システム200(又は600)を用いて数学的な減算を適用し、像997がディテクタ210(又は610)に結果として生じ、パーティクル994及び996が共に識別可能である。パーティクル又は異常が見つかったので、検査レチクル993を洗浄する(又は、そうでなければ、例えば、使用不可として廃棄する)ことができる。像997からは、パーティクル/異常が検査レチクル993上にあったのか基準レチクル995上にあったのかが不明なので、基準レチクル995も洗浄されてよく、又は、そうでなければ、注意を向けられてよい。例991及び992は、例992は規則的な(又は周期的な)パターンを示すこと以外は例990と類似する。例992では、潜在的なパーティクル又は異常998は、検査レチクルと基準レチクルの両方で同一であるので像999では出現しない。
【0041】
[0056] 上述したように、ディテクタ210(又は610)において結果として生じる像は、検査レチクル及び基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表す。180度の位相シフト及び光源のコヒーレント長未満の光路長差によって、1つのレチクルからの振幅像が、他のレチクルの振幅像から減算され、パターン間の差が、結果として生じる像内に明るいスポットとして示される。数理シミュレーションでは、このパターン像の減算は非常に効率的である。しかし、これには、2つのレチクル間の正確なオーバレイ調節と像フィールド全体に亘って180度の位相差を必要とする。レチクル間の正確なオーバレイは、メトロロジアライメントマークを用いるシステムの初期アライメント及び信号最小化アルゴリズムなどによって与えられることができる。視野全体に亘って必要な位相シフトは、(例えば、上述したようにレチクル検査システム200及び600内の干渉計素子201及び601を制御することによって)検査スキャンプロセスの間の傾斜及び位相のダイナミック調節によって与えられることが可能である。像減算後、多少の残留ノイズが観察されることがある。
【0042】
[0057] ランダムパターン、又は、規則的な部分とランダムな部分の混合を有するパターンは、本文書の背景技術のセクションに記載した公知のフーリエフィルタリングアプローチでは効果的に処理することができない。本発明は、パターントポロジーの制限なく、効果的なパーティクル及び異常検出を可能にする。本発明は、光路において直接レチクル上のパターンから散乱した光を抑制し、その結果、限られたダイナミックレンジを有するフォトディテクタを用いてパーティクル及び異常を検出することが可能である。
III.例示的なリソグラフィ環境
【0043】
[0058] 上述の実施形態は、別個のデバイスとして説明した。或いは、これらの実施形態は、インツール(in-tool)デバイスとして、すなわち、リソグラフィシステム内に任意選択的に設けられてもよい。別個の装置としては、(例えば、出荷前の)レチクル検査のために用いることができる。インツールデバイスとしては、レチクルをリソグラフィプロセスに用いる前にそのレチクルの簡易検査を実行することができる。図10A、図10B、及び図11は、レチクル検査システム200をインツールデバイスとして組み込むことのできるリソグラフィシステムの例を示す。図10A、図10B、及び図11では、レチクル検査システム200は、各々のリソグラフィシステムと共に示す。
【0044】
[0059] 以下の説明は、本発明の実施形態を実施してよい詳細な例示的な環境を表す。
A.例示的な反射型及び透過型リソグラフィシステム
【0045】
[0060] 図10A及び図10Bは、それぞれ、リソグラフィ装置1000及びリソグラフィ装置1000’を概略的に示す。リソグラフィ装置1000及びリソグラフィ装置1000’は、それぞれ、放射ビームB(例えば、DUV又はEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク、レチクル、又はダイナミックパターニングデバイス)MAを支持するように構成され、且つパターニングデバイスMAを正確に位置付けるように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、且つ基板Wを正確に位置付けるように構成された第2のポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTとを含む。リソグラフィ装置1000及び1000’は更に、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分(例えば、1以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システムPSを有する。リソグラフィ装置1000では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは反射型であり、リソグラフィ装置1000’では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは透過型である。
【0046】
[0061] 照明システムILとしては、放射Bを誘導し、整形し、又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型、若しくはその他のタイプの光コンポーネント、又はそれらのあらゆる組み合わせなどの様々なタイプの光コンポーネントを含んでよい。
【0047】
[0062] サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの配向、リソグラフィ装置1000及び1000’の設計、及び、パターニングデバイスMAが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様でパターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式、又はその他のクランプ技術を使ってパターニングデバイスMAを保持することができる。サポート構造MTは、必要に応じて固定式若しくは可動式にすることができるフレーム又はテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムPSに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0048】
[0063] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分C内にパターンを作り出すように、放射ビームBの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると広く解釈されるべきである。放射ビームBに付けられたパターンは、集積回路などのターゲット部分C内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応する。
【0049】
[0064] パターニングデバイスMAは、(図10Bのリソグラフィ装置1000’のように)透過型であっても(図10Aのリソグラフィ装置1000のように)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAの例としては、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは周知であり、バイナリ、レゼンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、並びに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームBにパターンを付ける。
【0050】
[0065] 「投影システム」PSという用語は、使われている露光放射に、若しくは液浸液の使用又は真空の使用といった他の要因に適切な屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、及び静電型光学系、又は、それらのあらゆる組み合わせを含むあらゆる型の投影システムを包含してよい。真空環境は、他のガスが放射又は電子を多く吸収し過ぎてしまうことがあるのでEUV又は電子ビーム放射に用いてよい。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に設けられてよい。上述したようなレチクル検査システムを真空環境内に含めることで、レチクルを真空環境から移動させることなくレチクルを検査できる。
【0051】
[0066] リソグラフィ装置1000及び/又はリソグラフィ装置1000’は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)WTを有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加の基板テーブルWTを平行して使うことができ、すなわち、予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上の基板テーブルWTを露光用に使うことができる。例えば、1つのマスクが露光用に用いられている間に、別のマスクテーブルが上述したようなレチクル検査システムを用いたレチクル検査用に用いられてよい。
【0052】
[0067] 図10A及び図10Bを参照すると、イルミネータILが放射源SOから放射ビームを受け取る。放射源SOとリソグラフィ装置1000、1000’は、例えば、放射源SOがエキシマレーザーである場合、別個の構成要素であってもよい。そのような場合、放射源SOは、リソグラフィ装置1000又は1000’の一部を形成しているとはみなされず、また、放射ビームBは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBD(図10B)を使って送られる。その他の場合、例えば、放射源SOが水銀ランプである場合、放射源SOは、リソグラフィ装置1000、1000’の一体部分とすることもできる。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じて、ビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼んでもよい。
【0053】
[0068] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタAD(図10B)を含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOといった様々な他のコンポーネント(図10B)を含むことができる。イルミネータILを使って放射ビームBを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性及び強度分布をもたせることができる。
【0054】
[0069] 図10Aを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。リソグラフィ装置1000では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは放射ビームBの焦点を基板Wのターゲット部分C上に合わせる。第2ポジショナPW及び位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を使って、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPM及び別の位置センサIF1を使って、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることができる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と、基板アライメントマークP1、P2を使って位置合わせされてもよい。
【0055】
[0070] 図10Bを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点を合わせる。第2ポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を使って、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPM及び別の位置センサ(図10Bには明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後又はスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。
【0056】
[0071] 通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、又は固定されてもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と、基板アライメントマークP1、P2を使って位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0057】
[0072] リソグラフィ装置1000及び1000’は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
1.工程モードでは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームBに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、X及び/又はY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
2.スキャンモードでは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームBに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決めることができる。
3.別のモードでは、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、又はスキャンする一方で、放射ビームBに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。パルス放射源SOが採用されてよく、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、又はスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、本願において言及したタイプのプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0058】
[0073] 上述の使用モードの組合せ及び/若しくはバリエーション、又は完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0059】
[0074] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」又は「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」又は「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、及び/又はインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツール及びその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0060】
[0075] 更なる実施形態では、リソグラフィ装置1000は、EUVリソグラフィ用のEUV放射ビームを発生するように構成された極端紫外線(EUV)源を含む。一般に、EUV源は、放射システム(下記参照)内に構成され、対応する照明システムがEUV源のEUV放射ビームを調整するように構成される。
B.例示的なEUVリソグラフィ装置
【0061】
[0076] 図11は、本発明の一実施形態による例示的なEUVリソグラフィ装置1100を概略的に示す。前述したように、レチクル検査は、ペリクルによって保護されていないEUVレチクルには特に重要である。本明細書に示すようにレチクル検査システムをEUVリソグラフィ装置と一体にすることは有益であると考えられる。
【0062】
[0077] 図11では、EUVリソグラフィ装置1100は、放射システム1111、照明光学ユニット1113、及び投影システムPSを含む。放射システム1111は、放射源SOを含み、この放射源内で放射ビームが放電プラズマによって形成されてよい。一実施形態では、EUV放射は、例えば、Xeガス、Li蒸気、又はSn蒸気といったガス又は蒸気によって生成されてよく、ガス又は蒸気内で非常に高温なプラズマが生成されて電磁スペクトルのEUV範囲内の放射が放出される。非常に高温なプラズマは、例えば、放電によって少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを発生させることによって生成ことができる。例えば、10PaのXe、Li、Sn蒸気又は任意の他の好適なガス又は蒸気の部分圧が放射の効率的な発生には必要となることがある。放射源SOによって放出される放射は、放射源チャンバ1115から、放射源チャンバ1115内の開口内又はその背後に位置付けられたガスバリア又は汚染トラップ1119を介してコレクタチャンバ1117内に渡さされる。一実施形態では、ガスバリア1119はチャネル構造を含んでもよい。
【0063】
[0078] コレクタチャンバ1117は、かすめ入射コレクタから形成されてよい放射コレクタ1121(集光ミラー又はコレクタとも呼ばれてもよい)を含む。放射コレクタ1121は、上流放射コレクタ側1121a及び下流放射コレクタ側1121bを有し、コレクタ1121を通過した放射は、格子スペクトルフィルタ1123を反射して、コレクタチャンバ1117の開口における仮想放射源点1127にその焦点が合わされることが可能である。放射コレクタ1121は当業者には既知である。
【0064】
[0079] 放射ビーム1133は、コレクタチャンバ1117から照明光学ユニット1113内を法線入射リフレクタ1129及び1131を介して、レチクル又はマスクテーブルMT上に位置付けられたレチクル又はマスク(図示せず)上へと反射される。パターン付きビーム1135が形成され、このビームは、投影システムPS内で反射素子1137及び1139を介してウェーハステージ又は基板テーブルWT上に支持された基板(図示せず)上に結像される。様々な実施形態において、照明光学ユニット1113及び投影システムPSは、図11に示すよりも多くの(又は少ない)素子を含んでよい。例えば、格子スペクトルフィルタ1123は、リソグラフィ装置のタイプに依存して任意選択的にあってよい。更に、一実施形態では、照明光学ユニット1113及び投影システムPSは、図11に示すよりも多くのミラーを含んでもよい。例えば、投影システムPSには、反射素子1137及び1139に加えて1乃至4つの反射素子が組み込まれてもよい。図11では、参照番号1147は、2つのリフレクタ間の空間、例えば、リフレクタ1141と1143との間の空間を示す。
【0065】
[0080] 一実施形態では、コレクタミラー1121は、かすめ入射ミラーの代わりに又はそれに加えて法線入射コレクタを含んでもよい。更に、コレクタミラー1121は、リフレクタ1141、1143、及び1145を有する入れ子式のコレクタを参照して説明しているが、本明細書では以降コレクタの一例として用いる。
【0066】
[0081] 更に、図11に概略的に示すように、格子1123の代わりに、透過型光学フィルタを適用してもよい。EUVを透過させる光学フィルタ並びにUV放射をあまり透過させない又は実質的に吸収する光学フィルタが当業者には知られている。したがって、本明細書における「格子スペクトル純度フィルタ」の使用は、「スペクトル純度フィルタ」と置換可能に示され、スペクトル純度フィルタには格子又は透過フィルタが含まれる。図11には示さないが、EUV透過型光学フィルタを、例えば、コレクタミラー1121の上流に構成された追加の光学素子、又は、照明ユニット1113及び/又は投影システムPS内の光学EUV透過型フィルタとして含んでもよい。
【0067】
[0082] 光学素子に対して「上流」及び「下流」という用語は、それぞれ、1以上の光学素子の、1以上の追加の光学素子より「光学的に上流」及び「光学的に下流」の位置を示す。放射ビームがリソグラフィ装置1100内を通過する光路に従って、放射源SOに対して第2光学素子よりも近くにある第1光学素子は、第2光学素子より上流に構成され、第2光学素子は第1光学素子の下流に構成されている。例えば、コレクタミラー1121はスペクトルフィルタ1123の上流に構成され、光学素子1129はスペクトルフィルタ1123の下流に構成されている。
【0068】
[0083] 図11に示すあらゆる光学素子(及び本実施形態の概略図には示さない追加の光学素子)は、例えば、Snなどの放射源SOによって生成された汚染物質の堆積に対して影響を受けやすい場合がある。このようなことは、放射コレクタ1121や、ある場合にはスペクトル純度フィルタ1123について該当する。したがって、洗浄デバイスを用いてこれらの光学素子のうちの1以上を洗浄し、また、洗浄方法をこれらの光学素子だけではなく、法線入射リフレクタ1129及び1131並びに反射素子1137及び1139、又は、追加のミラー、格子などの他の光学素子にも適用してよい。
【0069】
[0084] 放射コレクタ1121は、かすめ入射コレクタであってよく、そのような実施形態では、コレクタ1121は、光軸Oに沿って位置合わせされる。放射源SO又はその像も光軸Oに沿って配置されてよい。放射コレクタ1121は、リフレクタ1141、1143、及び1145(「シェル」又は幾つかのウォルター(Wolter)型リフレクタを含むウォルター型リフレクタとしても知られている)を含んでもよい。リフレクタ1141、1143、及び1145は、入れ子式にされて光軸Oについて回転対称であってよい。図11では、内側リフレクタを参照番号1141により示し、中間リフレクタを参照番号1143により示し、外側リフレクタを参照番号1145により示す。放射コレクタ1121は、特定の容積、すなわち、外側リフレクタ1145内の容積を囲む。通常、外側リフレクタ1145内の容積は周囲が閉じられるが、小さい穴があけられていてもよい。
【0070】
[0085] リフレクタ1141、1143、及び1145は、それぞれ、少なくとも一部が反射層又は幾つかの反射層を表す表面を含んでよい。したがって、リフレクタ1141、1143、及び1145(又は、4以上のリフレクタ又はシェルを有する放射コレクタの実施形態では追加のリフレクタ)は、少なくとも部分的に、放射源SOからのEUV放射を反射し且つ収集するために設計され、また、少なくとも一部のリフレクタ1141、1143、及び1145はEUV放射を反射し且つ収集するように設計されないこともある。例えば、リフレクタの裏面の少なくとも一部は、EUV放射を反射且つ収集するようには設計されないことがある。これらの反射層の表面上には更に、保護のための、又は、反射層の表面の少なくとも一部上に設けられた光フィルタとしてのキャップ層があってもよい。
【0071】
[0086] 放射コレクタ1121は、放射源SO又は放射源SOの像の付近に配置されてよい。各リフレクタ1141、1143、及び1145は、少なくとも2つの隣接する反射面を含んでよく、放射源SOから遠い反射面は、放射源SOに近い反射面より小さい角度で光軸Oに対して配置される。このようにすると、かすめ入射コレクタ1121は、光軸Oに沿って伝播する(E)UV放射ビームを発生するように構成される。少なくとも2つのリフレクタが、実質的に同軸状に配置されて、光軸Oについて実質的に回転対称に延在してよい。なお、放射コレクタ1121は、外側リフレクタ1145の外面上に、又は、外側リフレクタ1145の周りに、例えば、保護ホルダ、ヒータなどの更なる特徴を有してもよいことは理解されるべきである。
【0072】
[0087] 本明細書に記載した実施形態では、「レンズ」及び「レンズ素子」といった用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、及び静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つ又はこれらの組合せを指すことができる。
【0073】
[0088] 更に、本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長λを有する)、極端紫外線(EUV又は軟X線)(例えば、5〜20nmの範囲内、例えば、13.5nmの波長を有する)、又は5nm未満で作動する硬X線、並びにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。一般に、約780〜3000nm(又はそれ以上)の波長を有する放射は、IR放射とみなされる。UVは、約100〜400nmの波長を有する放射を指す。リソグラフィにおいては、通常、水銀放電ランプによって生成可能な波長、すなわち、G線436nm、H線405nm、及び/又はI線365nmも適用できる。真空UV、すなわち、VUV(すなわち、空気により吸収されるUV)は、約100〜200nmの波長を有する放射を指す。ディープUV(DUV)は、通常、126nmから428nmの範囲の波長を有する放射を指し、一実施形態では、エキシマレーザーが、リソグラフィ装置において用いられるDUV放射を発生することができる。例えば、5〜20nmの範囲内の波長を有する放射は、特定の波長帯域を有する放射に関連して、この特定の波長帯域のうちの少なくとも一部が5〜20nmの範囲にあることは理解されるべきである。
IV.レチクル検査方法
【0074】
[0089] 図12は、本発明の一実施形態による、レチクル検査の方法1200を説明するフロー図である。方法1200は、工程1201において開始し、すぐに工程1202に進み、ここで、検査レチクルの表面の一部と基準レチクルの表面の一部がそれぞれコヒーレント照明源によって照明される。工程1204では、検査レチクルからの散乱光と基準レチクルからの散乱光にフーリエ変換が適用される。工程1206では、検査レチクル又は基準レチクルからの変換済み光の位相が、検査レチクルからの変換済み光と基準レチクルからの変換済み光との間の位相差が180度となるようにシフトされる。工程1208では、変換済み光は、各変換済み光が運ぶ像が減算されるように合成される。工程1210では、逆フーリエ変換が合成された光に適用される。工程1212では、合成された光がディテクタにおいて検出され、ここでは、照明源からディテクタまでの2つの光路(1つの光路は、検査レチクルを介し、もう1つの光路は基準レチクルを介する)の間の光路長における差が、照明源のコヒーレンス長未満である。その後、方法1200は終了する。方法1200では、コヒーレント照明源と、検査分岐と基準分岐との間の180度の位相シフトを利用することにより、検査レチクル及び基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表す像がディテクタに結果として生じる。この構成によって、外部パーティクル及び/又は異常が容易に識別できるようになる。
【0075】
[0090] 図13は、本発明の一実施形態による、図12に示すレチクル検査方法1200の更なる工程を説明するフロー図である。工程1302は、工程1210から発生する。工程1302では、合成された光は、望ましくないエネルギーを除去すべくフィルタリングされる。例えば、フーリエフィルタリングシステムを用いることができる。このようなフィルタリングによってより良好な出力信号対ノイズ比を提供することができる。方法は、次に工程1212に進む。
【0076】
[0091] 図14は、本発明の一実施形態による、図12に示すレチクル検査方法1200の複数の更なる工程を説明するフロー図である。工程1402は、工程1210から発生する。工程1402では、検査レチクル及び基準レチクルはユニゾンで動かされる(すなわち、検査レチクル及び基準レチクルは、同一の動作で一緒に動く)。工程1404では、工程1202から工程1212までが繰り返されて、検査レチクルの連続する部分が検査される。その後方法は終了する。これは連続工程での検査レチクルのスキャンを表す。
【0077】
[0092] 図15は、本発明の一実施形態による、図14に示すレチクル検査方法の更なる工程を説明するフロー図である。工程1502は、工程1402から発生する。工程1502では、干渉計素子が調節されて位相差が180度に維持される。方法は、次に工程1404に進む。
【0078】
[0093] 図16は、本発明の一実施形態による、図12に示すレチクル検査方法1200の更なる工程を説明するフロー図である。工程1602は、工程1201から発生する。工程1602では、コンピュータにより生成されたパターンが基準レチクルに付けられる。本実施形態では、基準レチクルは、マイクロミラーアレイといった空間光モジュレータである。方法は、次に工程1202に進む。
V.結論
【0079】
[0094] 請求項を解釈するためには、発明の概要及び要約のセクションではなく、発明を実施するための形態のセクションを用いるべきであることは理解されるべきである。発明の概要及び要約のセクションは、発明者が熟考した本発明の1以上の例示的な実施形態を記載しうるが、全ての例示的な実施形態を記載しているわけではなく、したがって、本発明及び特許請求の範囲をいかようにも限定することを意図していない。
【0080】
[0095] 本発明を、特定の機能の実装及びそれらの関係を説明する機能構築ブロックを用いて上に説明した。これらの機能構築ブロックの境界は説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。別の境界も、その境界が特定の機能及びその関係が適切に実行されるのであれば定義されてよい。
【0081】
[0096] 特定の実施形態の上述の説明は、本発明の一般的な性質を、他者が当技術の知識を適用することによって、必要以上の実験なしで且つ本発明の一般的な概念から逸脱することなくかかる特定の実施形態を様々な適用のために容易に変更及び/又は適応できるように明らかにしているものである。したがって、そのような適応及び変更は、本願に提示した教示内容に基づいて開示した実施形態の均等物の意味及び範囲内であることを意図している。本明細書における表現又は用語は、本明細書の用語又は表現が教示内容を鑑みて解釈されるように限定ではなく説明を目的としていることは理解されるべきである。
【0082】
[0097] 本発明の範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、特許請求の範囲及びその等価物に従ってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0083】
100 例示的な検査システム
104 顕微鏡対物系
106 瞳フィルタ
108 投影光学系
110 ディテクタ
112 放射ビーム
114 物体
116 コンピュータ
200 レチクル検査システム
201 干渉計素子
203 コヒーレントな照明ビーム
204、205 顕微鏡対物系
207、209 フーリエ変換済みビーム
210 フォトディテクタ
220 照明源
225 フィルタリングシステム
226 レンズ
227 フーリエレンズ
228 空間フィルタ
230 検査レチクル
232 基準レチクル
234 ペリクル
236 基板サポート
238 ディテクタ
240 アクチュエータ
242 面
255 制御信号
303 光ビーム
381 オプションの照明システム
383 光学素子
385 折り返しミラー
403 光ビーム
420 照明源
452、454 ビームスプリッタ
560 プロセッサ
600 レチクル検査システム
601、668 干渉計素子
603 照明ビーム
604、605 顕微鏡対物系
607、609 ビーム
610 ディテクタ
624 ビームスプリッタ
626 レンズ
630 検査レチクル
632 基準レチクル
638 ディテクタ
664 基板サポート
672、674 反射素子
778 第1レチクルサポート
780 第2レチクルサポート
782 第1レチクルサポート
784 第2レチクルサポート
786 第3レチクルサポート
836 レチクルサポート
863 検査パターン
865 基準パターン
867 単一レチクル
869 単一パターン
871 検査パターン部
873 基準パターン部
990、991、992 結像例
993 検査レチクル
994 パーティクル
995 基準レチクル
996 パーティクル
997 像
998 潜在的なパーティクル又は異常
999 像
1000、1000’ リソグラフィ装置
1113 照明光学ユニット
1115 放射源チャンバ
1117 コレクタチャンバ
1119 ガスバリア又は汚染トラップ
1121 放射コレクタ
1123 格子スペクトルフィルタ
1129、1131 法線入射リフレクタ
1133 放射ビーム
1135 パターン付きビーム
1137、1139 反射素子
1141、1143、1145 リフレクタ
SO 放射源
IL イルミネータ
PS 投影システム
B 放射ビーム
W 基板
BD ビームデリバリシステム
MA パターニングデバイス
MT サポート構造
PM、PW 第1及び第2ポジショナ
IF1、IF2 位置センサ
WT 基板テーブル
AD アジャスタ
IN インテグレータ
CO コンデンサ
M1、M2 マスクアライメントマーク
P1、P2 基板アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査レチクル及び基準レチクルの各部分を照明するように構成されたコヒーレント照明源と、
前記検査レチクルの前記照明された部分から伝播された第1光ビームに第1フーリエ変換を適用するように構成された第1顕微鏡対物系を有する検査干渉計分岐と、
前記基準レチクルの前記照明された部分から伝播された第2光ビームに第2フーリエ変換を適用するように構成された第2顕微鏡対物系を有する基準干渉計分岐と、
前記第1及び第2光ビームを受け取り且つ合成するように構成されたビームスプリッタと、
前記検査干渉計分岐における干渉計素子であって、前記検査干渉計分岐と前記基準干渉計分岐との間に180度の位相シフトを生じさせ且つ前記第1顕微鏡対物系からの前記第1光ビームを前記ビームスプリッタに向けるように構成された、干渉計素子と、
前記合成された第1及び第2光ビームに逆フーリエ変換を与えて、それにより像が形成されるように構成されたフーリエレンズと、
前記像を検出するように構成されたディテクタと
を含み、
前記像は、前記検査レチクル及び前記基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表し、
前記検査干渉計分岐は前記照明源と前記ディテクタとの間の光路を有し、
前記基準干渉計分岐は前記照明源と前記ディテクタとの間の光路を有し、
前記検査干渉計分岐と前記基準干渉計分岐との間の光路長差は、前記照明源のコヒーレンス長未満である、レチクル検査システム。
【請求項2】
前記フーリエレンズから伝播された前記合成された第1及び第2光ビームにおける不所望のエネルギーを遮断するように構成されたフィルタリングシステムを更に含む、請求項1に記載のレチクル検査システム。
【請求項3】
前記干渉計素子から向けられた前記第1光ビームを検出し、位相調節信号を出力するように構成された位相調節ディテクタと、
前記位相調節ディテクタから前記位相調節信号を受け取り、前記位相調節信号に呼応して前記干渉計素子を調節するように構成されたアクチュエータと
を更に含む、請求項1に記載のレチクル検査システム。
【請求項4】
前記基準干渉計分岐における干渉計素子を更に含み、
前記基準干渉計分岐における前記干渉計素子は、前記第2顕微鏡対物系からの前記第2光ビームを前記ビームスプリッタに向けるように構成される、請求項1に記載のレチクル検査システム。
【請求項5】
前記基準レチクルは、空間光モジュレータ(SLM)である、請求項1に記載のレチクル検査システム。
【請求項6】
前記検査レチクル及び前記基準レチクルがその上に取り付けられた可動プラットフォームを更に含み、
前記可動プラットフォームは、前記検査レチクルの連続的な部分の検査のために動かされるように構成される、請求項1に記載のレチクル検査システム。
【請求項7】
前記検査レチクルがその上に取り付けられた第1可動プラットフォームと、
前記基準レチクルがその上に取り付けられた第2可動プラットフォームと
を更に含み、
前記第2可動プラットフォームは、前記第1可動プラットフォーム及び第2可動プラットフォームの動作が前記検査レチクルの連続的な部分の検査のために同一であるように、前記第1可動プラットフォームとユニゾンで動くように構成される、請求項1に記載のレチクル検査システム。
【請求項8】
前記検査レチクルがその上に取り付けられた第1可動プラットフォームと、
前記基準レチクルがその上に取り付けられた第2可動プラットフォームであって、前記第1可動プラットフォーム及び第2可動プラットフォームの動作が前記検査レチクルの連続的な部分の検査のために同一であるように、前記第1可動プラットフォームとユニゾンで動くように構成される、第2可動プラットフォームと、
前記第1可動プラットフォーム及び前記第2可動プラットフォームがその上に配置された第3可動プラットフォームであって、前記第1及び第2可動プラットフォームを所望の位置に動かすように構成される、第3可動プラットフォームと
を更に含む、請求項1に記載のレチクル検査システム。
【請求項9】
前記照明源からの照明を、前記第1顕微鏡対物系を通り前記検査レチクルに向けるように構成された第1照明ビームスプリッタと、
前記照明源からの照明を、前記第2顕微鏡対物系を通り前記基準レチクルに向けるように構成された第2照明ビームスプリッタと
を更に含む、請求項1に記載のレチクル検査システム。
【請求項10】
検査レチクル及び基準レチクルの各部分を照明するように構成されたコヒーレント照明源と、
前記照明源からの照明を前記検査レチクルに向けるように構成された第1反射素子と、
前記照明源からの照明を前記基準レチクルに向けるように構成された第2反射素子と、
前記検査レチクルの前記照明された部分から伝播された第1光ビームに第1フーリエ変換を適用するように構成された第1顕微鏡対物系を有する検査干渉計分岐と、
前記基準レチクルの前記照明された部分から伝播された第2光ビームに第2フーリエ変換を適用するように構成された第2顕微鏡対物系を有する基準干渉計分岐と、
前記第1及び第2光ビームを受け取り且つ合成するように構成されたビームスプリッタと、
前記検査干渉計分岐と前記基準干渉計分岐との間に180度の位相シフトを生じさせ且つ前記第1顕微鏡対物系からの前記第1光ビームを前記ビームスプリッタに向けるように構成された第1干渉計素子と、
前記第2顕微鏡対物系からの前記第2光ビームを前記ビームスプリッタに向けるように構成された第2干渉計素子と、
前記合成された第1及び第2光ビームに逆フーリエ変換を与えて、それにより像が形成されるように構成されたフーリエレンズと、
前記像を検出するように構成されたディテクタと
を含み、
前記像は、前記検査レチクル及び前記基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表し、
前記検査干渉計分岐は前記照明源と前記ディテクタとの間の光路を有し、
前記基準干渉計分岐は前記照明源と前記ディテクタとの間の光路を有し、
前記検査干渉計分岐と前記基準干渉計分岐との間の光路長差は、前記照明源のコヒーレンス長未満である、レチクル検査システム。
【請求項11】
レチクル検査システムを有するリソグラフィシステムであって、
前記レチクル検査システムは、
検査レチクル及び基準レチクルの各部分を照明するように構成されたコヒーレント照明源と、
前記検査レチクルの前記照明された部分から伝播された第1光ビームに第1フーリエ変換を適用するように構成された第1顕微鏡対物系を有する検査干渉計分岐と、
前記基準レチクルの前記照明された部分から伝播された第2光ビームに第2フーリエ変換を適用するように構成された第2顕微鏡対物系を有する基準干渉計分岐と、
前記第1及び第2光ビームを受け取り且つ合成するように構成されたビームスプリッタと、
前記検査干渉計分岐における干渉計素子であって、前記検査干渉計分岐と前記基準干渉計分岐との間に180度の位相シフトを生じさせ且つ前記第1顕微鏡対物系からの前記第1光ビームを前記ビームスプリッタに向けるように構成された、干渉計素子と、
前記合成された第1及び第2光ビームに逆フーリエ変換を与えて、それにより像が形成されるように構成されたフーリエレンズと、
前記像を検出するように構成されたディテクタと
を含み、
前記像は、前記検査レチクル及び前記基準レチクルの振幅及び位相分布における差を表し、
前記検査干渉計分岐は前記照明源と前記ディテクタとの間の光路を有し、
前記基準干渉計分岐は前記照明源と前記ディテクタとの間の光路を有し、
前記検査干渉計分岐と前記基準干渉計分岐との間の光路長差は、前記照明源のコヒーレンス長未満である、リソグラフィシステム。
【請求項12】
コヒーレント照明源を用いて、検査レチクルの表面及び基準レチクルの表面の各部分を照明すること、
前記照明された部分からの散乱光にフーリエ変換を適用すること、
前記検査レチクル及び前記基準レチクルのうち一方からの前記変換された光の位相を、前記検査レチクルからの前記変換された光と前記基準レチクルからの前記変換された光との間の位相差が180度となるようにシフトすること、
前記照明された部分からの前記変換された光を合成すること、
前記合成された光に逆フーリエ変換を適用すること、及び、
ディテクタにおいて前記合成された光を検出すること
を含み、
前記検査レチクルを介する前記照明源と前記ディテクタとの間の第1光路と、前記基準レチクルを介する前記照明源と前記ディテクタとの間の第2光路との間の光路長差が、前記照明源のコヒーレンス長未満であり、
前記ディテクタにより検出された前記合成された光は、前記検査レチクル及び前記基準レチクルの振幅分布における差を表す像の形態にある、レチクル検査方法。
【請求項13】
不所望のエネルギーを除去すべく前記合成された光をフィルタリングすることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
連続する工程で前記検査レチクル及び前記基準レチクルをユニゾンで動かすこと、及び、
照明ステップ、フーリエ変換の適用ステップ、シフト、合成ステップ、逆フーリエ変換の適用ステップ及び検出ステップを繰り返して、前記検査レチクルの連続的な部分を検査すること
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
干渉計素子を調節して前記位相差を180度に維持すること、及び、
コンピュータにより生成されたパターンを前記基準レチクルに付けること
を更に含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−140027(P2010−140027A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−278112(P2009−278112)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(503195263)エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. (232)
【Fターム(参考)】