説明

レーザー照射による電気伝導性銅パターン層の形成方法

【課題】
【解決手段】本発明は銅配線層、銅電極層などのような電気伝導性銅パターン層の形成方法に関し、(ステップ1)銅粒子、酸化銅粒子及びこれらの混合物からなる群より選択された銅系粒子の分散液を用意する段階;(ステップ2)前記銅系粒子の分散液を基材に所定形状で印刷または充填して銅系粒子パターン層を形成する段階;及び(ステップ3)前記銅系粒子パターン層にレーザーを照射し、前記銅系粒子パターン層に含まれた銅系粒子を焼成しながら相互連結させる段階を含む。本発明による電気伝導性銅パターン層の形成方法は、レーザーを用いて短時間で強いエネルギーで銅系粒子パターン層を焼成することで、空気中でも酸化が殆ど進まない銅パターン層が得られるため、電気伝導性の良好な銅パターン層を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板や半導体素子の銅配線層、各種ディスプレイの銅電極層などのような電気伝導性銅パターン層の形成方法に関し、より詳しくは、銅粒子または酸化銅粒子のような銅系粒子を用いて電気伝導性を持つ銅パターン層を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板、半導体素子、各種ディスプレイは、銅、ニッケル、銀などのような金属からなる配線層や電極層などのパターン層を備える。特に、銅を使用したパターン層は電気伝導性が良くて安価であり、広く用いられている。
【0003】
特に、銅粒子、酸化第一銅のような酸化銅粒子は、微細パターンが形成できるように数ナノメートルないし数十マイクロメーターの小さい粒径として製造できるので、電気伝導性銅パターン層の形成に有用に用いられる。
【0004】
銅系粒子を用いて電気伝導性銅パターン層を形成する従来の方法では、銅系粒子を主成分にするペーストを基材の表面に印刷するか又は基材の貫通孔に充填して銅系粒子パターン層を形成した後、それを不活性気体雰囲気の高温で熱処理して焼成する。これにより、銅系粒子パターン層に含まれた銅系粒子のうち酸化銅は銅に還元されながら相互連結され、ペーストに含まれた有機物は除去されるので、電気伝導性銅パターン層が形成される(特許文献1参照)。
【0005】
このような焼成方法によれば、電気伝導性がある程度良好な銅パターン層が得られるものの、不活性気体雰囲気で焼成工程を行うことは産業的に採択し難いという問題点がある。他方、通常の空気雰囲気で焼成工程を行う場合、銅の酸化が進んでしまい、形成される銅パターン層の電気伝導性が不良になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特開2006−93003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は短時間で銅系粒子パターン層を焼成することで、空気中でも電気伝導性の良好な銅パターン層を形成できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明による電気伝導性銅パターン層の形成方法は、
(ステップ1)銅粒子、酸化銅粒子及びこれらの混合物からなる群より選択された銅系粒子の分散液を用意する段階;
(ステップ2)前記銅系粒子の分散液を基材に所定形状で印刷または充填して銅系粒子パターン層を形成する段階;及び
(ステップ3)前記銅系粒子パターン層にレーザーを照射し、前記銅系粒子パターン層に含まれた銅系粒子を焼成しながら相互連結させる段階を含む。
【0009】
また、本発明による電気伝導性銅パターン層の形成方法において、酸化第一銅粒子としては、平均粒径が1ないし100nmである複数の酸化第一銅微粒子が相互凝集して形成された酸化第一銅凝集体粒子を使用することが望ましく、このとき酸化第一銅凝集体粒子の平均粒径が0.1ないし10μmであることがさらに望ましい。最も望ましくは、酸化第一銅粒子はその平均粒径が1ないし100nmであって粒径の標準偏差が0ないし10%である複数の酸化第一銅微粒子が相互凝集して形成された球形の酸化第一銅凝集体粒子であり、前記球形の酸化第一銅凝集体粒子の平均粒径が0.1ないし10μmであって粒径の標準偏差が0ないし40%である。
【0010】
本発明による伝導性銅パターン層の形成方法において、酸化第一銅凝集体粒子の表面は−OH、−COOH、−SH及び−NHからなる群より選択された少なくとも1つの官能基を持つ低分子、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物からなる界面活性剤で被覆され得る。
【0011】
また、本発明による電気伝導性銅パターン層の形成方法において、銅系粒子としては銅粒子及び酸化第一銅粒子をそれぞれ単独でまたはこれらを混合して使用することが望ましい。
【0012】
本発明による電気伝導性銅パターン層の形成方法において、銅系粒子の分散液は銅系粒子が分散媒に分散された液状の分散液または銅系粒子がバインダー樹脂溶液に分散されたペースト状の分散液であり得、レーザーの照射は空気中で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】酸化第一銅凝集体粒子の模式図である。
【図2】合成例によって製造された酸化第一銅粒子のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図3】合成例によって製造された酸化第一銅粒子のTEM(Transmission Electron Microscope)写真である。
【図4】合成例によって製造された酸化第一銅粒子のXRD(X−Ray Diffraction)分析グラフである。
【図5】HRTEM(High Resolution Transmission Electron Microscope)を用いて合成例によって製造された酸化第一銅粒子の構造を分析した写真である。
【図6】合成例によって製造された酸化第一銅粒子の端部のTEM写真である。
【図7】合成例によって製造された酸化第一銅粒子をFIB(Focused Ion Beam)で切断して撮影した酸化第一銅粒子の断面SEM写真である。
【図8】実施例によって酸化第一銅分散液をパターニングした後、一部にレーザーを照射して形成した銅パターン層の模式図である。
【図9】図8の(1)部分を撮影したSEM写真である。
【図10】図8の(2)部分を撮影したSEM写真である。
【図11】図8の(3)部分を撮影したSEM写真である。
【図12】(a)は実施例の銅パターン層形成に使用された酸化第一銅粒子のXRDグラフであり、(b)は図8の(2)部分を掻き出して採取したサンプルのXRDグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に即して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0015】
本発明の電気伝導性銅パターン層の形成方法は次のようである。
【0016】
まず、銅粒子、酸化第一銅のような酸化銅粒子、またはこれらの混合物粒子のような銅系粒子が分散された分散液を用意する(ステップ1)。
【0017】
分散液は、銅系粒子をテルピネオールなどのような公知の分散媒に分散させた液状の分散液であり得、分散媒にバインダー樹脂を溶解させたバインダー樹脂溶液に分散させたペースト状の分散液でもあり得る。分散液に添加されたバインダー樹脂はパターン形成を容易にする機能をする。分散液には、周知のように、必要に応じて難焼結材料である酸化アルミニウム、ニッケルなどをさらに添加することができる。
【0018】
銅粒子はメカニカルグラインディング法、共沈法、噴霧法、ゾルーゲル法、電気分解法など公知の多様な方法で用意することができる。また、酸化銅粒子の製造方法も多様な方法が提示されている。例えば、日本特開2006−96655号公報及び韓国公開特許10−2005−84099号公報には、酸化第一銅微粒子を製造する方法が開示されている。本発明の銅系粒子は後述するレーザーの照射によって焼成されて電気伝導性銅パターン層を形成できるものであれば全て使用可能であるが、銅粒子及び酸化第一銅粒子をそれぞれ単独でまたはこれらを混合して使用することが望ましい。
【0019】
酸化第一銅粒子としては、平均粒径が1ないし100nmである複数の酸化第一銅微粒子が相互凝集して形成された酸化第一銅凝集体粒子を使用することが望ましい。このように微粒子が相互凝集した酸化第一銅凝集体粒子を使用すれば、融着温度が低くなり、後述するレーザー焼成のとき、より速く銅パターン層が形成され得る。図1は酸化第一銅凝集体粒子の模式図である。図1を参照すれば、酸化第一銅凝集体粒子10は複数の酸化第一銅微粒子1が相互凝集して形成される。酸化第一銅微粒子1の平均粒径は1ないし100nmであることが望ましい。酸化第一銅微粒子1の平均粒径が1nm未満であれば粒子を形成すること自体が困難であり、平均粒径が100nmを超過すれば微粒子特有の物性を発現させ難くなる。望ましい酸化第一銅微粒子1の平均粒径は1ないし10nmである。また、酸化第一銅微粒子1の粒径の標準偏差は0ないし10%であることが望ましく、標準偏差が10%を超過すれば均一な大きさと形状の酸化第一銅凝集体粒子を形成し難い。
【0020】
一方、酸化第一銅凝集体粒子10の平均粒径は0.1ないし10μmであることが望ましい。酸化第一銅凝集体粒子10の平均粒径が0.1μm未満であれば凝集体として形成させる意味がなく、10μmを超過すれば大きくなるにつれて加工性が低下する可能性がある。より望ましい酸化第一銅凝集体粒子10の平均粒径は0.3ないし2μmである。また、酸化第一銅凝集体粒子10の粒径の標準偏差は、望ましくは0ないし40%、より望ましくは0ないし20%であり、球形の形状であることが望ましい。標準偏差が40%を超過すれば、大きさが不均一であるために、配線形成時にパターニングに関する物性が低下する恐れがある。本明細書において、球形とは各断面の縦横比が1である真の球体の外に、各断面の縦横比が2以下の楕円形球体も含む意味で定義される。
【0021】
前述した酸化第一銅凝集体粒子、望ましくは前述した平均粒径と標準偏差を持つ球形の酸化第一銅凝集体粒子は、次のような方法で製造され得るが、これに限定されることはない。
【0022】
先ず、下記化学式1で表される銅カルボキシル化合物または下記化学式2で表されるカルボキシル基含有化合物と銅塩とを溶媒に溶解させて銅(II)前駆体溶液を用意する。
【0023】
[化学式1]
(R1‐COO)2Cu
化学式1において、R1は炭素数が1ないし18のアルキル基である。
【0024】
[化学式2]
1‐COOH
化学式2において、R1は炭素数が1ないし18のアルキル基である。
【0025】
化学式1の銅カルボキシル化合物としては(CH3COO)2Cuが挙げられ、化学式2のカルボキシル基含有化合物としてはCH3COOHが挙げられる。また、銅塩としては硝酸銅、ハロゲン化銅、水酸化銅、硫酸銅などが挙げられ、これらをそれぞれ単独でまたはこれらのうち2種以上を混合して使用することができる。また、溶媒としては、前述した銅カルボキシル化合物またはカルボキシル基含有化合物と銅塩とを溶解できる溶媒であって、弱還元剤を添加するとき、酸化第一銅凝集体粒子を形成できる溶媒であれば全て使用可能であるが、例えば水、C1‐C6の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどをそれぞれ単独でまたはこれらを2種以上混合して使用することができる。
【0026】
次いで、用意した銅(II)前駆体溶液に標準還元電位が−0.2ないし−0.05Vで
ある弱還元剤を投入して、平均粒径が1ないし100nmであって粒径の標準偏差が0ないし10%である複数のCu2O微粒子が相互凝集して形成され、その平均粒径が0.1ないし10μmであって粒径の標準偏差が0ないし40%である球形のCu2O凝集体粒子を形成する。凝集体粒子及び酸化第一銅微粒子の大きさは、溶媒の種類、界面活性剤の添加などの反応条件を変化させて調節することができる。弱還元剤は銅(II)前駆体を溶
媒に溶解させる前に先に投入することもでき、別の溶媒に弱還元剤を溶解させた後、銅(II)前駆体溶液に投入することもできる。弱還元剤としては、酸化第一銅凝集体粒子を均
一に形成するため、標準還元電位が−0.2ないし−0.05Vである弱還元剤を使用する。このような弱還元剤としては、アスコルビン酸、ジオール化合物、クエン酸、フルクトース(fructose)、アミン化合物、α‐ヒドロキシケトン(α‐hydroxy ketone)化合物、コハク酸、マルトース(maltose)などをそれぞれ単独でまたはこれらのうち2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
酸化第一銅凝集体粒子の大きさの均一性を向上させるため、前記銅(II)前駆体溶液に
界面活性剤をさらに添加することができる。界面活性剤の種類及び使用量などによって凝集体粒子の大きさが調節される。添加された界面活性剤は球形の酸化第一銅凝集体粒子の表面に被覆される形態で存在する。界面活性剤としては、1つの分子内に親水性基と親油性基を共に持つ両親媒性物質であって、酸化第一銅粒子の製造に使用される通常の界面活性剤を使用することができる。例えば、−OH、−COOH、−SH、−NHなどの官能基を1つ以上持つ低分子界面活性剤、または、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールのような高分子界面活性剤を使用でき、これらをそれぞれ単独でまたはこれらのうち2種以上を混合して使用することができる。特に、界面活性剤としてポリアクリルアミドを使用すれば、得られる酸化第一銅凝集体粒子の形状と大きさが一層均一になり、粒径の標準偏差が非常に低くなった球形の酸化第一銅凝集体粒子を得ることができる。
【0028】
前述した酸化第一銅凝集体粒子の製造段階が終われば、遠心分離などの方法で溶液から酸化第一銅凝集体粒子を分離し、球形の酸化第一銅凝集体粒子を得る。
【0029】
前述した方法で用意した銅系粒子の分散液を基材の表面に所定形状で印刷または充填して銅系粒子パターン層を形成する(ステップ2)。
【0030】
基材としては銅電極、銅配線のような電気伝導性銅パターン層が求められるものであれば全て使用可能であり、銅系粒子パターン層を形成する方法としてはスクリーン印刷法、ディスペンス法、インクジェット法、スプレー法など銅系粒子の分散液を用いて目的とするパターンを形成できる方法であれば全て用いることができる。
【0031】
その後、銅系粒子パターン層にレーザーを照射して、銅系粒子パターン層に含まれた銅系粒子を焼成すれば、銅粒子または酸化銅が銅に変化しながら銅粒子が相互連結されて電気伝導性銅パターン層が形成される(ステップ3)。レーザーを用いて短時間で強いエネルギーで銅系粒子パターン層を焼成するため、空気中で行っても銅粒子の酸化が殆ど進まず、これにより電気伝導性が良好な銅パターン層を得ることができる。レーザーは銅系粒子パターン層に照射されて電気伝導性銅パターンに変化させることができる出力を持つものであれば、公知の多様なレーザー装置を使用することができる。
【0032】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態で変形でき、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0033】
[酸化第一銅凝集体粒子の合成例]
(CH3COO)2Cu・H2O 50mgとポリアクリルアミド200mgを蒸溜水4.5mlに溶解して第1溶液を用意し、アスコルビン酸22mgを蒸溜水0.5mlに溶解して第2溶液を用意した。室温、常圧、及び空気中で、用意した2つの溶液を混合して10分間静置した。次いで、2000rpmで3分間遠心分離した後、上層の上澄み液を捨てて残った沈殿物を水20mlに再分散した後、遠心分離過程をさらに一回行って酸化第一銅粒子を得た。
【0034】
前記酸化第一銅粒子に対するSEM写真(図2)、TEM写真(図3)、XRD分析グラフ(図4)、HRTEMを用いて酸化第一銅粒子の構造を分析した写真(図5)、酸化第一銅粒子の端部のTEM写真(図6)、及びFIBで切断して撮影した酸化第一銅粒子の断面SEM写真(図7)を図面に示した。
【0035】
図4のXRDパターンに対するScherrere quation計算法によって得た結晶の大きさは4.4nmであり、これは図6でTEMを通じて確認できる〜5nmの粒子大きさとも一致する。
【0036】
形成された凝集体の大きさは、SEMイメージ(図2)を基にグラフィックソフトウェア(MAC−View)を使用して200個以上の粒子に対して測定し、得られた統計分布から平均大きさは504.7nm、標準偏差は91.8(18%)と計算された。
【0037】
[電気伝導性銅パターン層の形成]
[実施例1]
前述した方法で製造した酸化第一銅凝集体粒子をテルピネオールに分散させて固形分の含量が50〜85重量比になるように分散液を製造した。次いで、スクリーン印刷法を用いてポリエチレンテレフタレート基板上に厚さが10〜20μmであって幅が2mmである線を印刷した後、40kHz、60%/0.01m/sec/0.2mm mesh/6mm オフセットの条件でレーザーを照射して焼成した。得られた銅線の比抵抗値を測定した結果、4.96E−4Ωmであった。
【0038】
[実施例2]
レーザーの照射条件を40kHz、60%/0.01m/sec/0.02mm mesh/3mm オフセットに変化させたことを除き、実施例1と同様の方法で行った。得られた銅線の比抵抗値を測定した結果、3.96E−5Ωmの比抵抗値が得られた。
【0039】
図8は、本発明の実施例によって酸化第一銅分散液をパターニングした後、一部にレーザーを照射して形成した銅パターン層の模式図である。図8において、(1)はレーザーで焼成していない部分であって、図9のSEM写真から見られるように酸化第一銅粒子の形状をそのまま維持している。図8の(2)はレーザーで焼成した部分と焼成していない部分の境界であって、図10のSEM写真から見られるようにレーザーで焼成した部分と焼成していない部分の境界が明確に現われる。図8の(3)はレーザーで焼成した部分であって、図11のSEM写真から見られるように酸化第一銅の粒子形状が残っておらず、相互連結されて電気伝導性が向上していることが分かる。
【0040】
一方、図12の(a)は実施例の銅パターン層形成に使用された酸化第一銅粒子のXRDグラフであって、立方晶構造の酸化第一銅パターンと一致することが分かる。また、図12の(b)はレーザーで焼成した部分と焼成していない部分の境界である図8の(2)の部分を掻き出して採取したサンプルのXRDを測定したグラフである。銅に関するピーク(赤色)と酸化第一銅に関するピーク(青色)とが混在していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の電気伝導性銅パターン層の形成方法は、レーザーを用いて短時間で強いエネルギーで銅系粒子パターン層を焼成することで、空気中でも酸化が殆ど進まない銅パターン層が得られるため、電気伝導性の良好な銅パターン層が形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ステップ1)銅粒子、酸化銅粒子及びこれらの混合物からなる群より選択された銅系粒子の分散液を用意する段階;
(ステップ2)前記銅系粒子の分散液を基材に所定形状で印刷または充填して銅系粒子パターン層を形成する段階;
(ステップ3)前記銅系粒子パターン層にレーザーを照射し、前記銅系粒子パターン層に含まれた銅系粒子を焼成しながら相互連結させる段階を含む電気伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項2】
前記銅系粒子は銅粒子、酸化第一銅粒子及びこれらの混合物からなる群より選択されたことを特徴とする請求項1に記載の電気伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項3】
前記酸化第一銅粒子は、平均粒径が1ないし100nmである複数の酸化第一銅微粒子が相互凝集して形成された酸化第一銅凝集体粒子であることを特徴とする請求項2に記載の電気伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項4】
前記酸化第一銅凝集体粒子は、平均粒径が0.1ないし10μmであることを特徴とする請求項3に記載の電気伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項5】
前記酸化第一銅粒子は、平均粒径が1ないし100nmであって粒径の標準偏差が0ないし10%である複数の酸化第一銅微粒子が相互凝集して形成された球形の酸化第一銅凝集体粒子であり、前記球形の酸化第一銅凝集体粒子の平均粒径が0.1ないし10μmであって粒径の標準偏差が0ないし40%であることを特徴とする請求項3に記載の電気伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項6】
前記酸化第一銅凝集体粒子の表面が界面活性剤で被覆されていることを特徴とする請求項3に記載の伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項7】
前記界面活性剤は−OH、−COOH、−SH及び−NHからなる群より選択された少なくとも1つの官能基を持つ低分子、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールからなる群より選択されたいずれか1つまたはこれらのうち2種以上の混合物であることを特徴とする請求項6に記載の電気伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項8】
前記界面活性剤はポリアクリルアミドであることを特徴とする請求項7に記載の電気伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項9】
前記銅系粒子の分散液は、銅系粒子が分散媒に分散された液状の分散液または銅系粒子がバインダー樹脂溶液に分散されたペースト状の分散液であることを特徴とする請求項1に記載の電気伝導性銅パターン層の形成方法。
【請求項10】
前記レーザーの照射は空気中で行うことを特徴とする請求項1に記載の電気伝導性銅パターン層の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−534932(P2010−534932A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518120(P2010−518120)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004340
【国際公開番号】WO2009/014391
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】