説明

不揮発性半導体装置

【課題】 周辺回路領域のコンパクト化を図ることができ、チップサイズのコンパクト化を図ることができる不揮発性半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体基板1と、半導体基板1の主表面上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセル領域と、半導体基板1の主表面上に形成され、メモリセル領域の周囲の領域からメモリセル領域内に達する活性領域3aと、活性領域3a上に第1ゲート絶縁膜71を介して形成された第1ゲート12aと、活性領域上3aに形成され、第1ゲート絶縁膜71より厚い第2ゲート絶縁膜72を介して形成され、第1ゲート12aより狭い第2ゲート13bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、不揮発性半導体装置は、フローティングゲートが形成されたメモリセル領域と、このメモリセル領域に隣接する周辺回路領域とを備えている。この周辺回路領域は、半導体基板の主表面に形成された活性領域と、この活性領域上に形成された複数のスイッチングトランジスタを備えている。近年、チップサイズの縮小化に伴い、周辺回路領域の面積を縮小する必要が生じ、スイッチングトランジスタの縮小化を図る必要が生じている。
【0003】
その一方で、液晶表示装置のドライバの分野において、チップサイズの縮小化を目的として、LDDオフセット構造をもつEMOSトランジスタと、同じくLDDオフセット構造からなりチャネル部にて両側のオフセットドレイン領域が接するほど小さなゲート長をもつEMOSトランジスタとを備えた、半導体集積回路が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この半導体集積回路においては、共役の関係にあるEMOSトランジスタのオフセットドレイン領域が、隣接する共役トランジスタ対のオフセットドレイン領域とチャネル領域で直接接続されているために、ゲート電極のON/OFFに関わらず、出力電圧を右隣接する共役トランジスタ対に伝えることができる。このため、DMOSトランジスタの代わりにゲート長を小さくしたEMOSトランジスタを使用することで不要となったスペースに、共役トランジスタ対のEMOSトランジスタを配置することにより、チップサイズを縮小することができる。
【特許文献1】特開2003−258115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、不揮発性半導体装置の周辺回路領域のコンパクト化を図るために、上記液晶表示装置のように、ゲート長を小さくしたスイッチングトランジスタを配置して、隣接するスイッチングトランジスタに電圧を伝える方法が考えられる。しかし、上記手法により、周辺回路領域のコンパクト化を図る手法によっても、近年のチップサイズのコンパクト化の要請に応え難いものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、周辺回路領域の面積を縮小することにより、チップサイズのコンパクト化が図られた不揮発性半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る不揮発性半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の主表面上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセル領域と、半導体基板の主表面上に形成され、メモリセル領域の周囲の領域からメモリセル領域内に達する活性領域と、活性領域上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲートと、活性領域上に形成され、第1ゲート絶縁膜より厚い第2ゲート絶縁膜を介して形成され、第1ゲートより狭い第2ゲートとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る不揮発性半導体装置によれば、周辺回路領域のコンパクト化を図ることができ、チップサイズのコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1から図30を用いて、本発明に係る実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る不揮発性半導体装置100の平面図である。図1に示されるように、不揮発性半導体装置100は、半導体基板1の主表面上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセル領域21と、半導体基板1の主表面上に形成されメモリセル領域21の周囲の領域に形成された周辺回路領域20A,20Bと、この周辺回路領域20A,20B内に形成され、メモリセル領域21内に達する活性領域3a〜3iとを備えている。
【0010】
ここで、周辺回路領域20A、20Bは、メモリセル領域21の両側に配置されており、メモリセル領域21に対して対象配置されている。そこで、周辺回路領域20A、20Bについては、メモリセル領域21の左側に配置された周辺回路領域20Aについて説明する。
【0011】
周辺回路領域20Aは、帯状に形成され、一方向に向けて延在する複数の活性領域3a〜3dと、この活性領域3a〜3d間に形成され、各活性領域3a〜3dを電気的に分離する分離領域2a〜2dと、これら活性領域3a〜3dおよび分離領域2a〜2dと交差する方向に延在する配線8a〜8dを備えている。分離領域2a〜2dは、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)またはSGI(Shallow Groove Isolation)と称する溝型の分離領域とされている。すなわち、半導体基板1に掘られた溝内に、例えば酸化シリコン(SiO2等)のような絶縁膜が埋め込まれることで形成されている。なお、本実施の形態1においては、配線4a〜4dが4本とされ、活性領域3a〜3dも4本とされているが、これは、説明上の例示であり、この本数に限られない。
【0012】
配線8a〜8dは、活性領域3a〜3dが延在する方向の幅が広く形成された幅広部12a〜12dと、この幅広部12a〜12dより幅が狭く形成された幅狭部13a〜13dとを備えている。
【0013】
ここで、幅広部12aの幅のうち、活性領域3aが延在する方向の幅l1は、例えば、0.7μm以上1.1μm以下とされており、幅狭部13aの幅のうち、活性領域3aが延在する方向の幅は、例えば、0.2μm以上0.6μm以下とされている。そして、活性領域3a上には、配線8aの幅広部12aと、配線8bの幅狭部13bと、配線8cの幅狭部13cと、配線8dの幅狭部13dとが配置されている。このため、活性領域3a上には、幅広部12a(第1ゲート)をゲート電極として含む制御トランジスタ108aと、幅狭部13b、13c、13d(第2ゲート)をゲート電極として含む複数のパストランジスタ108b〜108dとが形成されている。
【0014】
また、活性領域3b上にも、同様に、幅狭部13a、13c、13dをゲート電極として含む複数のパストランジスタ118a、118c、118dと、配線8bの幅広部12bをゲート電極として含む制御トランジスタ118bとが形成されている。
【0015】
さらに、活性領域3c上にも、同様に、幅狭部13a、13b、13dをゲート電極として含む複数のパストランジスタ128a,128b,128dと、幅広部12cをゲート電極として含む制御トランジスタ128cとが形成されている。
【0016】
また、活性領域3d上にも、同様に、幅狭部13a、13b、13cをゲート電極として含む複数のパストランジスタ138a、138b、138cと、幅広部12dをゲート電極として含む制御トランジスタ138dとが形成されている。
【0017】
すなわち、各活性領域3a〜3d上には、それぞれ1つの制御トランジスタ108a、118b、128c、138dと、この制御トランジスタ108a、118b、128c、138dのゲート長より小さい複数のパストランジスタ108b〜108d、118a、118c、118d、128a、128b、128d、138a〜138cとが形成されている。
【0018】
各配線8a〜8dの幅広部12a、12b、12c、12dは、活性領域3a〜3dが延在する方向に連設されておらず、互いにずれるように形成されている。このため、幅広部部12a、12b、12c、12dの両側には、幅狭部13a、13b、13c、13dが配置されており、幅狭部13a、13b、13c、13dと幅広部12a、12b、12c、12dとを近接させることにより、周辺回路領域20Aの面積が低減されている。
【0019】
そして、配線8a〜8dの端部には、電圧が印加されるコンタクト部9a〜9dが形成されている。また、活性領域3a〜3dの端部のうち、メモリセル領域21側の端部と対向する端部には、コンタクト部10a〜10dが形成されている。
【0020】
図2は、図1のII−II線における断面図である。この図2に示されるように、配線8aは、複数の活性領域3a〜3dおよび複数の分離領域2a〜2dに亘って形成されている。そして、活性領域3aの主表面と、配線8aとの間には、例えば、シリコン酸化膜等から形成された制御トランジスタ108aのゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)71が形成されている。そして、半導体基板1の主表面のうち、活性領域3b〜3dの主表面と、配線8aとの間には、例えば、シリコン酸化膜から形成されたパストランジスタ118a、128a、138aのゲート絶縁膜34、35、36が形成されている。
【0021】
ここで、ゲート絶縁膜71の膜厚は、5nm以上7nm以下程度に形成されており、ゲート絶縁膜34〜36の膜厚は、20nm以上30nm以下程度に形成されている。すなわち、制御トランジスタ108aのゲート絶縁膜71は、パストランジスタ118a、128a,138aのゲート絶縁膜34、35、36より薄く形成されている。配線8aの上面上には、メタルシリサイド膜32と、コンタクト部9aが形成されており、配線8aの側面には、例えば、シリコン酸化膜から形成されたサイドウォール31が設けられている。
【0022】
図3は、図1のIII−III線の断面図である。この図3に示されるように、活性領域3aにおける半導体基板1の主表面上には、コンタクト部10aと、制御トランジスタ108aと、複数のパストランジスタ108b〜108dが間隔を隔てて形成されている。制御トランジスタ108aは、半導体基板1の主表面上に形成されたゲート絶縁膜71と、このゲート絶縁膜71上に形成されゲート電極としての幅広部12aと、半導体基板1内に形成されたLDD(Lightly Doped Drain)部61、62と、高濃度拡散層60、63と、幅広部12aの上面上に形成されたメタルシリサイド膜40と、幅広部12aの側面に形成されたサイドウォール31とを備えている。
【0023】
また、パストランジスタ108b、108c、108dは、ゲート電極としての幅狭部13b、13c、13dと、半導体基板1の主表面上に形成されたゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)72、73、74と、このゲート絶縁膜72、73、74の上面上に形成され、半導体基板1内に形成されたLDD部64、65、67、68、80、81と、高濃度拡散層63、66、69、82と、幅狭部13b、13c、13d上に形成されたメタルシリサイド膜41、42、43と、幅狭部13b、13c、13dの側面に形成されたサイドウォール31とを備えている。このように、同一の活性領域3a上に配置された制御トランジスタ108aと、パストランジスタ108b〜108dは、高濃度拡散層63、66、69を共有して、連設されている。
【0024】
そして、制御トランジスタ108aのゲート長は、例えば、0.7μm以上1.1μm以下とされており、パストランジスタ108b〜108dのゲート長は、0.2μm以上0.6μm以下とされている。なお、露出した半導体基板1の主表面上には、メタルシリサイド膜44、45、46、47、48が形成されている。
【0025】
図4は、例えば、図3に示す制御トランジスタ108aと、パストランジスタ108b、108c、108dとの各ゲート電極に印加された電圧と、各トランジスタが導通する電流量との関係を示したグラフである。この図4において、実線は、制御トランジスタ108aの特性を示し、破線は、パストランジスタ108b、108c、108dの特性を示すものである。この図4に示されるように、制御トランジスタ108aは、ゲート電極に印加される電圧が18V以上の場合には、良好に電流を通電する一方で、18Vより小さくなると、急激に電流量が小さくなる。そして、ゲート電極に印加される電圧が0V程度の場合には、殆んど通電しないことが分かる。
【0026】
そして、パストランジスタ108b、108c、108dは、ゲート電極に印加される電圧が18V以上の場合には、制御トランジスタ108aと同様に電流量が多く、ゲート電極に印加される電圧が0Vとされた場合には、制御トランジスタ108aより電流量が多く、良好に通電することが分かる。
【0027】
すなわち、制御トランジスタ108aがOFFとなる電圧においても、パストランジスタ108b、108c、108dは、良好に通電することが分かる。これは、パストランジスタ108b、108c、108dは、制御トランジスタ108bよりゲート長が短いため、短チャネル効果により、制御トランジスタ108bのしきい値電圧よりしきい値電圧が低くなっているためである。ここで、短チャネル効果とは、ソースからドレインへ、ゲート電圧により制御される電子または正孔のキャリアが流れるが、チャネル長が短くなるとこのドレイン接合の空乏層広がりが無視できなくなる現象のことである。
【0028】
図1において、メモリセル領域21は、帯状の活性領域3a〜3dが延在する方向に向けて延びる複数のアシストゲート4a〜4hと、各アシストゲート4a〜4h間に形成されたフローティングゲート6と、このフローティングゲート6上に形成されたコントロールゲート5a〜5eとを備えている。
【0029】
アシストゲート4a〜4hは、例えば、多結晶シリコン膜からなり、アシストゲート4a〜4hが延在する方向と交差する方向の幅は、例えば、65nm程度とされており、隣接するアシストゲート4a〜4h間の間隔は、例えば、115nm程度とされている。
【0030】
コントロールゲート5a〜5eは、アシストゲート4a〜4hと交差する方向に向けて延在しており、例えば、90nm程度の間隔を隔てて形成されている。
【0031】
アシストゲート4aとアシストゲート4eとは、メモリセル領域21のうち、周辺回路領域20A側の端部で、配線11L1に連結されている。また、アシストゲート4dと、アシストゲート4hも、メモリセル領域21のうち、周辺回路領域20B側の端部で配線11L2に連結されている。これら配線11L1と配線11L2には、それぞれアシストゲート4a、4e、4d、4hに電圧を印加する複数のコンタクト部11a、11hとが形成されている。そして、メモリセル領域21のうち、配線11L1と配線11L2との間には、帯状のアシストゲート4b、4c、4f、4gとが配置されている。
【0032】
アシストゲート4cおよびアシストゲート4gは、周辺回路領域20A側の端部にコンタクト部11c、11gが形成されている。また、同様に、アシストゲート4bおよびアシストゲート4gは、周辺回路領域20B側の端部にコンタクト部11b、11fが形成されている。
【0033】
そして、図3に示された高濃度拡散層82は、少なくとも、図1に示されたコンタクト部11aの下面側にまで延在している。また、活性領域3bにも、図3に示す高濃度拡散層82と同様の高濃度拡散層が形成されており、この高濃度拡散層は、少なくとも、コンタクト部11cの下面側にまで延在している。
【0034】
図5は、図1のIV−IV線における断面図である。この図5に示されるように、半導体基板1の主表面上には、絶縁膜94が形成されている。そして、この絶縁膜94上にアシストゲート4a〜4dが形成されており、このアシストゲート4a〜4dの側面には、絶縁膜92および絶縁膜91からなるサイドウォールがそれぞれ形成されている。そして、アシストゲート4a〜4dの上面上には、例えば窒化シリコン(Si34等)からなるキャップ膜95が形成されている。
【0035】
そして、各アシストゲート4a〜4d間には、アシストゲート4a〜4dより高く形成されたフローティングゲート6b1〜6b3が形成されている。このフローティングゲート6b1〜6b3は、アシストゲート4a〜4dが延在する方向と交差する方向の幅は、例えば、65nm程度とされている。このフローティングゲート6b1〜6b3の上面およびキャップ膜95の上面には、絶縁膜90が形成されている。絶縁膜90は、例えば酸化シリコン、窒化シリコンおよび酸化シリコンを下層から順に積層した、いわゆるONO膜で形成されている。
【0036】
そして、この絶縁膜90上には、コントロールゲート5bが形成されている。コントロールゲート5bは、例えば低抵抗な多結晶シリコンからなる導体膜5b2と、導体膜5b2よりも低抵抗な導体膜5b1として、例えばタングステンシリサイド等のような高融点金属シリサイド膜とから構成されている。
【0037】
このように構成された不揮発性半導体装置100において、図6および図7を用いて、フローティングゲート6b1に電気的情報を書き込む際の動作を説明する。図6は、書込み動作の際の断面図である。
【0038】
図7は、書込み動作の際の平面図である。この図7に示されるように、配線8aに18V程度の電圧を印加する。そして、他の配線8b、8c、8dには、0V程度の電圧を印加する。
【0039】
このように配線8a〜8dに電圧を印加すると、活性領域3b上に形成された制御トランジスタ108aのゲート電極に18V程度の電圧が印加される一方で、パストランジスタ108b、108c、108dのゲート電極には、0V程度の電圧が印加される。
【0040】
ここで、図5に示すように、制御トランジスタ108aのゲート電極に18V程度の電圧が印加されると、制御トランジスタ108aは、良好に電気を導通する。そして、パストランジスタ108b、108c、108dのゲート電極に0V程度の電圧が印加されても、パストランジスタ108b、108c、108dは、電流を導通する。このため、図3において、コンタクト部10aに印加された電圧が、高濃度拡散層60から、制御トランジスタ108a、パストランジスタ108b〜108dを介して、高濃度拡散層82に伝達される。
【0041】
そして、図6においてアシストゲート4aに1V程度の電圧を印加すると共に、アシストゲート4bに7V程度の電圧を印加する。このようにアシストゲート4a、4bに電圧を印加すると、アシストゲート4a下の半導体基板1の主表面側には、反転層97が形成され、アシストゲート4b下の半導体基板1の主表面側には、反転層98が形成される。
【0042】
そして、図3および図6において、形成された反転層97は、アシストゲート4aの下面に形成される一方で、図3に示す高濃度拡散層82は、アシストゲート4aの下面側にまで延在しているため、高濃度拡散層82と反転層97とは、電気的に連結されている。これにより、反転層97には、高濃度拡散層82を介して、0V程度の電圧が印加される。
【0043】
そして、図6に示す反転層98に電圧を印加するには、配線8eに18V程度の電圧を印加して、配線8f〜8hに0V程度の電圧を印加する。このように、配線8e〜8hに電圧が印加されることにより、活性領域3fの制御トランジスタ108eは、良好に電気を導通する。そして、パストランジスタ108f〜108hも電気を導通する状態となり、コンタクト部10fに印加された電圧が、反転層98に印加される。これにより、反転層98には、4V程度の電圧が印加される。さらに、図6において、選択されたコントロールゲート5bに15V程度の電圧を印加する。
【0044】
そして、反転層97から反転層98に電子が放出される際に、選択されたフローティングゲート6b1内に電子が入り込み、電気情報が書き込まれる。なお、他のアシストゲート4c、4dには、0V程度の電圧が印加され、アシストゲート4c、4d下に、反転層が形成されることが抑制されている。
【0045】
ここで、配線8b〜8dに、0V程度の電圧が印加されており、活性領域3b〜3d上に形成されたパストランジスタ118a〜138dは、電圧を伝達可能な状態となっている。
【0046】
その一方で、活性領域3b〜3d上に形成された制御トランジスタ118b、128c、138dのゲート電極に0V程度の電圧が印加されており、電圧の伝達を抑制している。
【0047】
このため、例えば、活性領域3cの延長上に形成されたアシストゲート4e下にも、反転層が形成されるが、この形成された反転層に電圧が印加されることが抑制され、選択されたフローティングゲート6b1以外のフローティングゲートに電気情報が書き込まれることが抑制されている。
【0048】
図8および図9を用いて、不揮発性半導体装置100の読出し動作について、説明する。図8は、読出し動作の際におけるメモリセル領域の断面図であり、図9は、読出し動作の際の平面図である。この図9に示されるように、配線8aに18V程度の電圧が印加され、他の配線8b〜8dには、0V程度の電圧が印加される。このため、活性領域3a上の制御トランジスタ108aは、電気を導通する状態となり、また、パスストランジスタ108b〜108dも、電気を導通する状態となる。そして、配線8eに18V程度の電圧が印加され、配線8f〜8hには、0V程度の電圧が印加される。このため、活性領域3f上の制御トランジスタ108eは、電気を導通する状態となり、また、パストランジスタ108f〜108hも、電気を導通する状態となる。
【0049】
そして、図8においアシストゲート4aに5V程度の電圧が印加され、アシストゲート4a下の半導体基板1の主表面上には、反転層97が形成される。また、アシストゲート4bに5V程度の電圧が印加され、アシストゲート4b下の半導体基板1の主表面上には、反転層98が形成される。そして、図9において、コンタクト部10aに印加された電圧が、制御トランジスタ108aおよびパストランジスタ108b〜108dを介して、図8に示す反転層97に印加される。このため、反転層97には、0V程度の電圧が印加される。また、図9において、コンタクト部10fに印加された電圧が、制御トランジスタ108eおよびパストランジスタ108f〜108hを介して、図8に示す反転層98に電圧が印加される。そして、反転層98に1V程度の電圧が印加される。
【0050】
そして、選択されたフローティングゲート6b1上に形成されたコントロールゲート5bに2V以上5V以下程度の電圧が印加される。図8において、選択されたフローティングゲート6b1内に蓄積された電荷量により、しきい値電圧が変化するため、反転層97と反転層98との間に流れる電流量をセンシングすることにより、選択されたフローティングゲート6b1内の電気的情報を読み出すことができる。
【0051】
図10を用いて、不揮発性半導体装置100の消去動作について、説明する。図10は、消去動作における断面図であり、この図10に示すように、選択されたフローティングゲート6b1上に配置されたコントロールゲート5bに−16V程度の電圧を印加して、半導体基板1に正の電圧を印加する。これにより、フローティングゲート6b1〜6b3に蓄積された電気情報が一括に消去される。
【0052】
このように構成された不揮発性半導体装置100の製造方法について説明する。図11は、不揮発性半導体装置100の製造工程の第1工程を示す断面図である。この図11に示されるように、P型のシリコン単結晶からなる半導体基板1の主表面上に複数の溝部と、複数の帯状の凸部とを形成する。これにより、凸部の上端面に活性領域3a〜3dとが形成される。図12は、不揮発性半導体装置100の第2工程を示す断面図である。この図2に示されるように、形成された溝部に、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜を埋め込み、分離領域2a〜2dを形成する。
【0053】
図13は、不揮発性半導体装置100の第2工程における平面図である。この図13に示されるように、メモリセル領域となる領域に形成された活性領域3Aと、この活性領域3Aの周囲から延在し、活性領域3Aに連設された帯状の活性領域3a〜3iが形成される。そして、帯状の各活性領域3a〜3i間には、それぞれ、分離領域2a〜2hが形成される。
【0054】
図14は、不揮発性半導体装置100の第3工程を示す平面図である。この図14に示されるように、半導体基板1の主表面上に、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜70aを形成する。図15は、不揮発性半導体装置100の第4工程を示す平面図である。この図15に示されるように領域12a1,12b1,12c1,12d1に形成された絶縁膜70aを除去して、半導体基板1を露出する。なお、領域12a1,12b1,12c1,12d1は、図1に示す幅広部12a,12b,12c,12dに該当する部分である。図16は、図15のXVI−XVI線における断面図である。この図15に示されるように、図1に示す制御トランジスタ108aが形成される領域では、半導体基板1が露出する。そして、活性領域3b〜3dの上面上には、絶縁膜34a1、35a1、36a1が形成される。
【0055】
図17は、不揮発性半導体装置100の第5工程を示す平面図である。この図17に示されるように、再度、例えばISSG(In-Situ Steam Generation)酸化法のような熱酸化法により、半導体基板1の主表面上に絶縁膜70bを形成する。図18は、図17のXVIII−XVIII線における断面図である。この図18に示されるように、図1に示す制御トランジスタ108aのゲート絶縁膜71と、パストランジスタ108b〜108dのゲート絶縁膜34〜36が形成される。このように、制御トランジスタ108aのゲート絶縁膜71は、その形成過程において一度エッチングが施されており、パストランジスタ108b〜108dのゲート絶縁膜34〜36は、その形成過程において、エッチングがほどこされていない。このため、ゲート絶縁膜34〜36は、ゲート絶縁膜71より厚く形成されている。
【0056】
図19は、不揮発性半導体装置100の第6工程を示す平面図である。この図19に示されるように、半導体基板1の主表面側に、例えば、低抵抗な多結晶シリコンを堆積し、その後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術により、配線8a〜8dをパターニングする。図20は、図19のXX−XX線における断面図である。この図20に示されるように、半導体基板1の活性領域3aの主表面上には、絶縁膜70bが全面に形成されており図1に示す配線8aの幅広部12aと、配線8bの幅狭部13bと、配線8cの幅狭部13cと、配線8dの幅狭部13dとが、それぞれ間隔を隔てて形成される。そして、活性領域3aの表面上に形成された絶縁膜70bのうち、幅広部12a下に形成されたゲート絶縁膜71が最も薄く形成されている。すなわち、幅狭部13b〜13dと、半導体基板1との間に形成された絶縁膜72〜74の厚みは、幅広部12aと半導体基板1との間に形成された絶縁膜71の厚みより、厚く形成されている。
【0057】
図21は、不揮発性半導体装置100の第7工程を示す断面図である。この図21において、まず、配線8a〜8dの表面に表面保護酸化膜を形成する。そして、イオン注入により、n-型の半導体領域であるLDD部61、62を幅広部71の端部近傍に形成する。また、同様に、幅狭部13b〜13dの端部近傍に、LDD部64、65、67、68、80、81を形成する。このようにLDD部を形成した後に、絶縁膜を半導体基板1の主表面上に堆積し、エッチバックを施すことにより、幅広部12aおよび幅狭部13b〜13dの側面にサイドウォール31を形成する。そして、この際、半導体基板1の主表面上に形成された70bも同時にエッチングされ、半導体基板1が露出する。その後、高濃度拡散層60、63、66、69、82を形成する。このようにして、活性領域3a上に制御トランジスタ108aと、パストランジスタ108b〜108dが形成される。
【0058】
図22は、不揮発性半導体装置100の第8工程を示す断面図である。この図22において、半導体基板1の主表面上に高融点金属薄膜を形成して、シリサイド化する。これにより、制御トランジスタ108aおよびパストランジスタ108b〜108dのゲート電極上のメタルシリサイド膜40〜43と、露出した半導体基板1の主表面上のメタルシリサイド膜44、45、46、47、48とが自己生成的に形成される。そして、層間絶縁膜30を堆積し、コンタクト部10aを形成する。
【0059】
このような製造工程を経ることにより、図1に示す不揮発性半導体装置100が形成される。
【0060】
図1において、周辺回路領域20A、20B内に形成されたパストランジスタ108b〜138gのゲート絶縁膜は、制御トランジスタ108a、118b、128c、138d、108e、118f、128g、138hのゲート絶縁膜より厚く形成されている。
【0061】
これにより、パストランジスタ108b〜138gのゲート絶縁膜のしきい値電圧は、高くなる傾向をたどる。そこで、パストランジスタ108b〜138gのゲート電極を狭く形成することにより、パストランジスタ108b〜138gのしきい値電圧の上昇を抑制している。これにより、パストランジスタのしきい値電圧を、制御トランジスタのしきい値電圧より低くしている。
【0062】
この結果、パストランジスタ108b〜138gのゲート長を狭くすることができ、パストランジスタ108b〜138gの面積を低減することができる。
【0063】
すなわち、パストランジスタ108b〜108hのゲート絶縁膜と、制御トランジスタ108a、118b、128c、138dのゲート絶縁膜とを同じ厚みで形成した場合よりも、パストランジスタ108b〜108hのゲート長を小さく形成することができ、パストランジスタ108b〜108hをコンパクトに構成することができる。これにより、配線8a〜8d同士の間隔をさらに狭めることができ、周辺回路領域20A、20Bの面積を縮小することができ、チップ面積をさらに、小さくすることができる。
【0064】
また、制御トランジスタ108a、118b、128c、138dおよびパストランジスタ108b〜108hは、導体膜をパターニングすることにより、形成することができるので、製造工程の簡略化も図ることができる。
【0065】
さらに、一度のパターニングにより制御トランジスタ108a、118b、128c、138dおよびパストランジスタ108b〜108hを形成することができるので、多数のパターン余裕を取る必要が無く、周辺回路領域20A,20Bのコンパクト化を図ることができる。
【0066】
なお、本実施の形態1においては、配線8a〜8iには、1つの幅広部12a〜12hが形成されているが、これに限られない。図30は、本実施の形態1に係る不揮発性半導体装置100の変形例を示す平面図である。この図30に示すように、配線8cは、活性領域3a上に形成された幅広部12aと、活性領域3c上に形成された幅広部12cとを備えている。また、配線8dは、活性領域3a上に形成された幅広部12bと、活性領域3d上に形成された幅広部12dとを備えている。このように、配線8c〜8fは、間隔を隔てて形成された幅広部12a〜12hと、これら幅広部12a〜12h間に配置され、幅広部12a〜12hより幅が狭く形成された幅狭部13c〜13fとを備えている。
【0067】
これにより、配線8c、8dには、複数の制御トランジスタ108c、128c、118d、138dと、パストランジスタ118c、138c、108d、128dとを備えている。なお、配線8e,8fも、同様に、複数の制御トランジスタ108e、128e、118f、138fと、パストランジスタ118e、138e、108f、128fとを備えている。
【0068】
そして、各活性領域3a〜3d上には、1つの制御トランジスタ108c、128c、118d、138dと、パストランジスタ118c、138c、108d、128dとが形成されている。ここで、例えば、配線8cに18V程度の電圧を印加すると共に、配線8dに0V程度の電圧を印加と、制御トランジスタ108cおよび制御トランジスタ128cは、ON状態となる。そして、パストランジスタ108dおよびパストランジスタ128dも、電流および電圧を伝達可能な状態となる。このため、活性領域3aおよび活性領域3cとは、コンタクト部10aとコンタクト部10cに印加された電圧をメモリセル領域21に伝達可能な状態となる。
【0069】
このように、図30に示された例においては、各配線8c〜8fが各活性領域3a〜3hの通電状態を制御する。このため、1つの配線8c〜8fが1つの活性領域3a〜3hの通電状態を制御する場合と比較すると、配線8c〜8fの本数を低減することができ、周辺回路領域20A、20Bの面積を低減することができる。
【0070】
(実施の形態2)
図23から図29を用いて、本実施の形態2に係る不揮発性半導体装置200について説明する。図23は、本実施の形態2に係る不揮発性半導体装置200の平面図である。この図23に示されるように、周辺回路領域20A、20Bには、メモリセル領域21に向けて延在する複数の帯状の活性領域3a〜3iが形成されている。そして、この活性領域3a〜3i上に形成され、活性領域3a〜3iと交差する方向に延在する配線58a〜58hが形成されている。図24は、周辺回路領域20Aの詳細を示す平面図である。この図24に示されるように、分離領域2aは、隣接する活性領域3aおよび活性領域3bに向けて突出する突出部2a1〜2a6が形成されている。また、同様に、分離領域2b〜2dにも、突出部2b1〜2b6、2c1〜2c6、2d1〜2d6が形成されている。
【0071】
このため、活性領域3aのうち、配線58b〜58dと交差する領域3a2〜3a4は、配線58aと交差する領域3a1より、配線58a〜58dが延在する方向の幅が、狭く形成されている。
【0072】
また、活性領域3bのうち、配線58a,58c,58dと交差する領域3b1、3b3、3b4は、配線58bと交差する領域3b2よりも、配線58a〜58dが延在する方向の幅が狭く形成されている。
【0073】
そして、活性領域3cのうち、配線58a,58b,58dと交差する領域3c1、3c2、3c4は、配線58cと交差する領域3c3よりも、配線58a〜58dが延在する方向の幅が狭く形成されている。
【0074】
さらに、活性領域3dのうち、配線58a,58b,58cと交差する領域3d1、3d2、3d3は、配線58cと交差する領域3d4よりも、配線58a〜58dが延在する方向の幅が狭く形成されている。
【0075】
すなわち、活性領域3aは、配線58a〜58dが延在する方向の幅が分離領域2aにより狭められた領域3a2〜3a4と、この領域3a2〜3a4より幅が広い3a1とを備えている。そして、活性領域3b〜3dも、活性領域3aと同様に構成されている。また、各活性領域3a〜3d上に形成された、配線58a〜58dが延在する方向の幅が広く形成された領域3a1,3b2,3c3,3d4は、各活性領域3a〜3dにそれぞれ1つずつ形成されている。
【0076】
そして、活性領域3a上には、領域3a1と配線58aとを含む制御トランジスタ158aと、領域3a2と配線58bとを含むパストランジスタ158bと、領域3a3と配線58cとを含むパストランジスタ158cと、領域3a3と配線58cとを含むパストランジスタ158dとが形成されている。
【0077】
また、活性領域3b上には、領域3b2と配線58bとを含む制御トランジスタ168bと、領域3b1と配線58aとを含むパストランジスタ168aと、領域3b3と配線58cとを含むパストランジスタ168cと、領域3b4と配線58dとを含むパストランジスタ168dとが形成されている。
【0078】
さらに、活性領域3c上には、領域3c3と配線58cとを含む制御トランジスタ178cと、領域3c1と配線58aとを含むパストランジスタ178aと、領域3c2と配線58bとを含むパストランジスタ178bと、領域3c4と配線58dとを含むパストランジスタ178dとが形成されている。
【0079】
また、活性領域3d上には、領域3d4と配線58dとを含む制御トランジスタ188dと、領域3d1と配線58aとを含むパストランジスタ188aと、領域3d2と配線58bとを含むパストランジスタ188bと、領域3d3と配線58cとを含むパストランジスタ188cとが形成されている。
【0080】
ここで、活性領域3a上に形成されたパストランジスタ158b、158c、158dのチャネル幅は、活性領域3aと配線58aとの交差領域に形成された制御トランジスタ158aのチャネル幅より狭く形成されている。
【0081】
また、活性領域3b上に形成されたパストランジスタ168a,168c,168dのチャネル幅は、活性領域3bと配線58bとの交差領域に形成された制御トランジスタ168bのチャネル幅より狭く形成されている。
【0082】
さらに、活性領域3c上に形成されたパストランジスタ178a、178b,178dは、活性領域3cと配線58cとの交差領域に形成された制御トランジスタ178cより、チャネル幅が狭く形成されている。
【0083】
また、活性領域3d上に形成されたパストランジスタ188a,188b,188cは、活性領域3dと配線58a、58b、58cとの交差領域に形成された制御トランジスタ188dより、チャネル幅が狭く形成されている。
【0084】
図25は、周辺回路領域20Bの詳細な平面図である。この図25に示されるように、活性領域3f上に形成されたパストランジスタ158f、158g、158hは、制御トランジスタ158eより、チャネル幅が狭く形成されている。また、活性領域3g上に形成されたパストランジスタ168e,168g,168hは、制御トランジスタ168fより、チャネル幅が狭く形成されている。さらに、活性領域3h上に形成されたパストランジスタ178e,178f、178hは、制御トランジスタ178gより、チャネル幅が狭く形成されている。また、活性領域3i上に形成されたパストランジスタ188e,188f,188gは、制御トランジスタ188hより、チャネル幅が狭く形成されている。
【0085】
図26は、図23のXXVI−XXVI線における断面図である。この図26に示されるように、半導体基板1側には、複数の凹凸部が形成され、分離領域2a〜2dと、活性領域3a〜3dとが形成されている。
【0086】
そして、配線58aに沿って、制御トランジスタ158aと、パストランジスタ168a、178a、188aとが形成されている。
【0087】
ここで、配線58(第1ゲート)をゲート電極として含む制御トランジスタ158aのゲート絶縁膜71の膜厚は、は、配線58a(第2ゲート)をゲート電極として含むパストランジスタ168a、178a、188aのゲート絶縁膜34、35、36の膜厚より薄く形成されている。
【0088】
例えば、ゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)71の膜厚は、5nm以上7nm以下程度とされ、ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)34、35、36は、20nm以上30nm以下程度となるように形成されている。
【0089】
そして、パストランジスタ168a、178a、188aのチャネル幅は、例えば、0.2μm以上0.6μm以下とされ、制御トランジスタ158aのチャネル幅は、例えば、0.7μm以上1.1μm以下とされている。
【0090】
すなわち、パストランジスタ168a、178a、188aのチャネル幅は、制御トランジスタ158aのゲート幅より狭く形成されている。
【0091】
図27は、図23のXXVII−XXVII線における断面図である。この図23に示されるように、活性領域3a上には、制御トランジスタ158aと、パストランジスタ158b〜158dとが形成されている。ここで、図23に示す配線58a〜58dの幅は、いずれも同じように形成されているため、制御トランジスタ158aおよびパストランジスタ158b〜158dのゲート長はいずれも同じものとなっている。
【0092】
そして、活性領域3a上に形成されたパストランジスタ158b〜158dのゲート絶縁膜72、73、74は、制御トランジスタ158aのゲート絶縁膜71より厚く形成されている。
【0093】
図28は、図27に示すパストランジスタ158b〜158dおよび制御トランジスタ158aのゲート電極に印加される電圧と、電流量との関係を示したグラフである。
【0094】
このグラフにおいて、破線は、パストランジスタ158b〜158dの特性を示すものであり、実線は、制御トランジスタ158aの特性を示すものである。
【0095】
そして、グラフに示すように、制御トランジスタ158aは、ゲート電極に印加される電圧が18V程度の場合には、良好に電流を導通し、電圧を良好に伝達する。そして、制御トランジスタ158aのゲート電極に印加される電圧が0V程度となると、制御トランジスタ158aは、電気を導通させ難くなり、電圧の伝達も抑えられる。
【0096】
パストランジスタ158b〜158dにおいては、ゲート電極に印加される電圧が0Vより大きい場合には、電流および電圧を良好に伝達する。
【0097】
パストランジスタ158b〜158dのゲート電極に印加される電圧が0Vより小さくなると、パストランジスタ158b〜158dは、通電する電流量が漸次減少する。
【0098】
そして、パストランジスタ158b〜158dのゲート電極に印加される電圧が−3V程度となると、パストランジスタ158b〜158dを導通する電流量と、制御トランジスタ158aを導通する電流量とが一致し、いずれも、電流の導通量が低減されている。
【0099】
すなわち、パストランジスタ158b〜158dは、図23、図26および図27に示されるように、制御トランジスタ158aのチャネル幅より狭く形成されているため、逆狭チャネル効果により、制御トランジスタ158aよりしきい値電圧が低いものとなっている。ここで、逆狭チャネル効果とは、チャネル幅が小さくなるに従ってしきい値電圧が小さくなり、オフ電流が増加する現象のことである。
【0100】
このため、制御トランジスタ158aのゲート電極と、制御トランジスタ158b〜158dとのゲート電極とに、同電圧を印加した場合においても、0V近傍においては、パストランジスタ158b〜158dは、電流を良好に導通する一方で、制御トランジスタ158aが導通する電流量は、低減される。
【0101】
このように構成された不揮発性半導体装置200の書込み動作について説明する。
まず、図23において、アシストゲート4aに例えば、1V程度の電圧を印加して、アシストゲート4a下の半導体基板の主表面側に反転層を形成する。そして、配線58aに18V程度の電圧を印加すると共に、配線58b〜58dに0V程度の電圧を印加する。図24に示された制御トランジスタ158aおよびパストランジスタ158b〜158dは、図28に示されるように、電圧および電流を良好に伝達するようになる。
【0102】
これにより、図27において、コンタクト部10aに印加された電圧が、制御トランジスタ158aおよびパストランジスタ158b〜158dを介して、図23に示すアシストゲート4a下に形成された反転層に、例えば、0V程度の電圧が印加される。同様に、アシストゲート4bの例えば、7V程度の電圧を印加して、アシストゲート4b下の半導体基板の主表面上に反転層を形成して、配線58eに18V程度の電圧を印加すると共に、配線58f〜58hに0V程度の電圧を印加する。これにより、アシストゲート4b下に形成された反転層に、例えば、4V程度の電圧が、活性領域3fを介してコンタクト部10fから印加される。そして、コントロールゲート5bに15V程度の電圧を印加することにより、フローティングゲート6b1内に電気的情報が書き込まされる。
【0103】
また、待機状態においては、図23において、配線58a〜58hに−3V程度の電圧を印加する。
【0104】
このように、配線58a〜58hに−3V程度の電圧を印加すると、図28において、制御トランジスタおよびパストランジスタは、電流および電圧の伝達を低減する。
【0105】
このため、待機状態において、リーク電流が生じ難く、消費電力量を低減することができる。
【0106】
本実施の形態2に係る不揮発性半導体装置200においては、図26に示すように、パストランジスタ168a、178a,188aのチャネル幅を0.2μm以上0.6μm以下としている。
【0107】
このように、パストランジスタのチャネル幅が短いため、逆狭チャネル効果により、パストランジスタ168a、178a,188aのしきい値電圧が制御トランジスタ158aより小さくなっている。
【0108】
これにより、図23において、配線58a〜58hに印加する電圧を調整することにより、活性領域3a〜3iの導電状態を制御することができる。
【0109】
そして、パストランジスタのチャネル幅が狭く形成されているので、図26において、隣接する制御トランジスタ158aおよびパストランジスタ168a、178a,188a同士の間隔を小さくすることができる。これにより、図23において、周辺回路領域20A,20Bの面積を縮小化することができる。
【0110】
ここで、図27において、パストランジスタ158b〜158dのゲート絶縁膜72〜74は、制御トランジスタ158aのゲート絶縁膜71より厚く形成されている。
【0111】
このため、パストランジスタ158b〜158dのしきい値電圧は、高くなりやすい。そこで、図25に示すように、パストランジスタ158b〜158dのチャネル幅を狭くすることにより、さらに逆狭チャネル効果を顕著化させて、パストランジスタ158b〜158dのしきい値電圧の上昇を抑制している。
【0112】
この結果、パストランジスタ158b〜158dの機能を確保しつつ、コンパクトに構成することができる。
【0113】
これに伴い、周辺回路領域20A、20Bの面積を小さくすることができ、チップサイズのコンパクト化を図ることができる。
【0114】
図29は、本実施の形態2に係る不揮発性半導体装置200の他の例を示す平面図である。この不揮発性半導体装置200においても、周辺領域20Aと、周辺回路領域20Bとは、同様の構成とされている。
【0115】
分離領域20A内に形成された活性領域3a、3b、3c、3dは、分離領域2a、2b、2c、2dにより幅が狭められた領域3a4、3b3、3c4、3d3と、この領域3a4より幅が広い領域3a3、3b4、3c3、3c4とを備えている。
【0116】
そして、配線58cは、複数の幅の広い領域3a3,3c3上に亘って形成されている。また、配線58dも同様に、複数の幅の広い領域3b4,3d4上に亘って形成されている。これにより、配線58c〜58fは、複数の制御トランジスタと、複数のパストランジスタとを備えている。
【0117】
そして、例えば、配線58cに18V程度の電圧を印加して、配線58dに0V程度の電圧を印加すると、活性領域3aおよび活性領域3cは、電流および電圧を伝達可能な状態となる。
【0118】
このように、図29に示された例においては、配線58c〜58fは、複数の活性領域3a〜3hの通電状態を制御するため、配線数を低減することができる。このため、周辺回路領域20A、20Bの面積を小さく低減することができ、チップササイズの縮小化を図ることができる。
【0119】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、不揮発性半導体装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】実施の形態1に係る不揮発性半導体装置の平面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1のIII−III線の断面図である。
【図4】ゲート電極に印加された電圧と、各トランジスタが導通する電流量との関係を示したグラフである。
【図5】図1のIV−IV線における断面図である。
【図6】書込み動作の際の断面図である。
【図7】書込み動作の際の平面図である。
【図8】読出し動作の際におけるメモリセル領域の断面図である。
【図9】読出し動作の際の平面図である。
【図10】消去動作における断面図である。
【図11】不揮発性半導体装置の製造工程の第1工程を示す断面図である。
【図12】不揮発性半導体装置の第2工程を示す断面図である。
【図13】不揮発性半導体装置の第2工程における平面図である。
【図14】不揮発性半導体装置の第3工程を示す平面図である。
【図15】不揮発性半導体装置の第4工程を示す平面図である。
【図16】図15のXVI−XVI線における断面図である。
【図17】不揮発性半導体装置の第5工程を示す平面図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII線における断面図である。
【図19】不揮発性半導体装置の第6工程を示す平面図である。
【図20】図19のXX−XX線における断面図である。
【図21】不揮発性半導体装置の第7工程を示す断面図である。
【図22】不揮発性半導体装置の第8工程を示す断面図である。
【図23】実施の形態2に係る不揮発性半導体装置の平面図である。
【図24】周辺回路領域の詳細を示す平面図である。
【図25】周辺回路領域の詳細な平面図である。
【図26】図23のXXVI−XXVI線における断面図である。
【図27】図23のXXVII−XXVII線における断面図である。
【図28】ゲート電極に印加される電圧と、電流量との関係を示したグラフである。
【図29】実施の形態2に係る不揮発性半導体装置の他の例を示す平面図である。
【図30】実施の形態1に係る不揮発性半導体装置の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0122】
1 半導体基板、2a 分離領域、4a アシストゲート、5a コントロールゲート、6 フローティングゲート、8a 配線、9a コンタクト部、20A,20B 周辺回路領域、21 メモリセル領域、108b パスストランジスタ、108a 制御トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の主表面上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセル領域と、
前記半導体基板の主表面上に形成され、前記メモリセル領域の周囲の領域から前記メモリセル領域内に達する活性領域と、
前記活性領域上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲートと、
前記活性領域上に形成され、前記第1ゲート絶縁膜より厚い第2ゲート絶縁膜を介して形成され、前記第1ゲートより狭い第2ゲートと、
を備えた不揮発性半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板の主表面上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセル領域と、
前記半導体基板の主表面上に形成され、前記メモリセル領域の周囲から前記メモリセル領域内に達する活性領域と、
前記活性領域上に形成された第1ゲートと、
前記活性領域上に形成された第2ゲートと、
を備え、
前記第1ゲート下の前記活性領域の幅は、前記第2ゲート下の前記活性領域の幅より広い不揮発性半導体装置。
【請求項3】
前記第1ゲート下に形成された第1ゲート絶縁膜は、前記第2ゲート下に形成された第2ゲート絶縁膜より薄く形成された、請求項2に記載の不揮発性半導体装置。
【請求項4】
前記メモリセルは、電荷を蓄積可能なフローティングゲートと、
前記フローティングゲートと隣り合う位置に形成され、直下に反転層を形成可能なアシストゲートとを有し、
前記不揮発性半導体装置は、さらに、前記アシストゲートに電圧を印加するコンタクト部を備え、
前記活性領域は、前記コンタクト部下にまで達する、請求項1または請求項2に記載の不揮発性半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−12879(P2007−12879A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191915(P2005−191915)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】