説明

不良検出システムの改良

【課題】パターンを形成したウェハの検査において、表面の内部もしくは表面上の異常の有無を判定できる表面検査法を提供する。
【解決手段】サンプル表面20aからの散乱光は表面20aに対して垂直な線に対して略対称の光を集束する集束器38,52によって集束される。集束光は、異なる方位角で経路へと導かれ、集束した散乱光の線に対する相対的方位角位置に関する情報が保存される。集束光は、垂直な線に対して異なる方位角で散乱した光線を表すそれぞれの信号に変換される。異常の有無および/または特徴は、この信号から判定される。あるいは、集束器38,52によって集束された光線は、予測されるパターン散乱の角度差に対応する角度の環状ギャップを有する空間フィルタによって濾波され、狭角および広角集束経路から得た信号は比較され、マイクロスクラッチと粒子との間を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に不良検出に関し、特に、粒子のような表面の異常、並びに例えば、結晶起因粒子(COP)、表面の粗さ、マイクロスクラッチなど表面に起因する不良などを検出するためのシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願の譲受人である、カリフォルニア州、サンノゼのケーエルエー−テンカー コーポレイションから入手可能なSP1TBI (商標)検出システムは、特に、パターンを形成していない半導体ウェハ状の不良を検出するのに有効である。SP1TBI システムは、メモリアレイを有するウェハのように、表面にパターンを有するウェハを検査するために使用する場合より、ベアウェハまたはパターンを形成していないウェハ上を検査する場合のほうが不良に対する卓越した感度を呈する。このシステムでは、すべての光をレンズや楕円形ミラーによって集光して検出器に導き、単一の出力を生成する。よって、ウェハ上のパターンがフーリエおよび/または他の強力な散乱信号を生成するために、これらの信号を収集して検出器に送ると、信号検出機の出力は、飽和してしまい、ウェハ上の不良を検出するために有効な情報を提供することができなくなる。
【0003】
ウェハ上の不良を検出するための従来の技術は、パターンを形成したウェハの検査用、もしくはパターンを形成していないウェハ、またはベアウェハの検査用のいずれかに適合するように構成されているが、その両方を行うには適していない。パターンを形成したウェハ用の検出システムは、パターンを形成していないウェハを検査するために使用することはできるが、このシステムは、一般的にその目的においては最適なものとはいえない。一方、パターンを形成していないウェハ、またはベアウェハの検査用として設計されたシステムでは、上述したような理由から、パターンを形成したウェハ上のパターン構造によって引き起こされる回折や他の散乱を処理するのが困難である。
【0004】
パターンを形成したウェハの検査では、まったく異なる検査システムを使用してきた。AIT(商標)検査システムとして知られる、市販のシステムは、本出願の譲受人である、カリフォルニア州、サンノゼのケーエルエー−テンカー コーポレイションから入手可能である。このシステムについては、米国特許第5,864,394号(特許文献1)など、様々な特許において説明されている。AITシステムにおいては、ウェハ上のパターン構造による回折や散乱から検出器を遮蔽するために空間フィルタを採用している。この空間フィルタの設計は、パターン構造に関する従来の知識に基づくものでよいが、非常に複雑となる可能性がある。さらに、このシステムは、不良の有無をより正確に識別するために、ダイ比較工程を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,864,394号
【特許文献2】米国特許出願第08/770,491号
【特許文献3】米国特許第6,201,601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パターンを形成したウェハの検査において、上記の機器はいずれも完全に満足のいくものではなかった。よって、パターンを形成したウェハに対し、上記の問題を軽減できるような不良検出システムの改良が望まれている。さらに、インライン検査に必要な空間を節約するため、パターンを形成したウェハおよびパターンを形成していないウェハの双方の検査に最適な機器の提供が望まれている。
【0007】
化学的機械的平坦化(CMP)技術は、半導体産業において広く受け入れられている。しかしながら、CMP処理においても、その不良を適切に制御できなければ集積回路(IC)の生産量に大きな衝撃を与えうる多様な不良が生成される。CMP不良において、マイクロスクラッチは、ICの生産量に大きな影響を与えている。そのため、マイクロスクラッチおよび他のCMP不良を検出し、粒子と差別化できるようにすることが望まれている。
【0008】
シリコンウェハ上の、パターンを形成していない膜、またはベア膜の質を監視するための重要なパラメータは、表面の粗さである。表面の粗さは、一般的に、本出願の譲受人であるケーエルエー−テンカー コーポレイションのHRP(登録商標)機器、もしくは、原子力顕微鏡のような他の機器や、走査型トンネル顕微鏡などの他のタイプの走査プローブ顕微鏡によって測定される。このような機器の欠点の一つは、その操作速度が遅いという点である。そのため、上述した機器より大幅に速い速度で表面の粗さを測定可能な代替システムを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの局面は、SP1TBI 機器における集束器が、検査対象表面による散乱光の方位角の情報を保存するという観点に基づくものである。よって、SP1TBI機器で使用しているタイプの集束器によって集束した散乱光を、異なる方位角に分けて導くことにより集束経路を分離すれば、上述した問題は解決し、機器がパターンを形成したウェハの検出にも最適なものとして構成することができるようになる。これにより、パターンを形成したウェハの不良を測定することができる小型の機器を得ることができる。SP1TBI機器で使用している楕円形ミラーに加え、一つ以上のレンズとともに使用する放物線ミラーのような、方位角上対称な他の集束器を使用してもよい。
【0010】
SP1TBIシステムのように、本発明の一つの局面による表面検査システムは、表面に対して垂直な線に対して略対称に散乱光を集束するための集束器により、表面から散乱した光線を集束する。その垂直な線に対して異なる方位角もしくは別の方向に散乱光を集束して異なる経路に導くことにより、これらの経路により、その散乱光の相対的方位角に対応する位置における、散乱光に関する情報を搬送できる。好ましくは、これら経路は、クロストークを軽減するためにセパレータによって分離する。少なくともその経路の一部を通して運ばれた集束した散乱光を使用して、表面内部もしくは表面上における異常の有無もしくはその特徴を判定することができる。さらに、同じ事象を多方向から考察できることにより、リアルタイムの不良分類(RTDC)の工程を大幅に簡素化することができる。
【0011】
上述した仕組みにおいて、集束した光線の一部のみを異なる経路に導き、異なる方位角における集束光の残りの部分を単一の検出器に導くことにより、従来のSP1TBIの仕組みのように単一の出力を生成するようにすれば、システムを使ってパターンを形成していないウェハとパターンを形成したウェハとの両方を検査することができるようになる。すなわち、方位角の情報を保存しながら、上述した方法で集束した光線の一部を異なる経路に方向転換することによってSP1TBIの仕組みを変更すれば、パターンを形成していないウェハと、パターンを形成したウェハの両方の検査が最適に実行可能な多目的ツールが実現する。このように、半導体製造業者は、それぞれがパターンを形成したウェハとパターンを形成していないウェハを検出する最適なツールを別々に用意する必要がなくなる。
【0012】
上述した仕組みでは、表面に対して垂直な線に対して異なる方位角において集束された光線は、異なる集束経路へと導かれ、別の信号に変換されるため、パターンの回折を含む信号を破棄し、パターンの散乱を含まない残りの信号を使ってウェハの表面内部もしくは表面上の異常の検出と分類ができるようになる。上述したシステムは、特に、半導体ウェハの検査に有効であるが、例えば、フラットパネル表示システム、磁気ヘッド、磁気および光学記録媒体などのような他の表面および他のアプリケーションにおける異常の検査にも使用することができる。
【0013】
本発明のもう一つの局面は、表面上のパターンによって散乱すると予測される光線成分の角度差に相当する角度の傾いたギャップを有する空間フィルタを使用して(上述したような)集束器によって集束した光線を濾波することができるという観点に基づくものである。このように、表面上のフィルタに対するいくつかの相対位置における濾波光線は、測定を妨げる可能性のあるパターンの散乱によって露出した表面の不良に関する情報を含んでいる。このような光線を検出器で検出することにより、その検出器の出力を使用して表面内部もしくは表面上の異常の有無および/または特徴を検出することができる。
【0014】
SP1TBIツールまたは上述したシステムを使って、CMPによる粒子とマイクロスクラッチを区別することができる。垂直方向に近い方向に沿った散乱光は、第1の検出器によって集束され、垂直方向から離れた方向に沿った散乱光は、第2の検出器によって集束される。その比を2台の検出器の出力から求めることにより、表面の異常がマイクロスクラッチであるか、粒子であるかを判定する。
【0015】
CMPマイクロスクラッチは、斜めに入った入射光からの光線を前方に散乱させる傾向がある。一方、粒子は、そのような光線をより均一に散乱させる。表面によって前方散乱方向に散乱させられた光線は、他の散乱方向への散乱光とは別に集束される。別々に集束された散乱光から二つの異なる信号を導き出し、比較して表面上の異常がマイクロスクラッチであるか、粒子であるかを判定する。
【0016】
本発明の別の局面において、異なる二種類の表面走査中にS偏光とP偏光が順に、表面に斜めに入射される。第1と第2の走査中に不良によって散乱した光線は、集束され、二つの異なる入射偏光の散乱光を表す一対の信号を出力する。その対の信号を基準と比較し、表面上の異常がマイクロスクラッチであるか、粒子であるかを判定する。
【0017】
薄膜の表面の粗さを判定する工程をより迅速に行うために、薄膜の表面の粗さとヘイズ値を関連付けるデータベースが作成される。表面のヘイズ値は、SP1TBIのようなツール、または、上述したシステムのうちの一つで測定され、表面の粗さの値は、測定したヘイズ値とデータベースから判定することができる。例えば、データベースは、代表的な薄膜のヘイズ値を測定するためのSP1TBIのようなツールまたは上述したシステムのうちの一つと、その種の膜の表面の粗さを測定するためのHRP(登録商標)プロファイラまたは他のタイプのプロフィロメータもしくは走査プローブ顕微鏡によって収集される。
【0018】
上述したような本発明の局面は、本明細書中で説明する利点を達成するために、個々に、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0019】
また、説明をわかりやすくするため、本願においては同一の部品については同一の参照番号で示している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を説明するためのSP1TBI(商標)システムの略図である。
【図2】本発明の一つの局面を例示するための集束中空円錐形の光線を示す略図である。
【図3A】本発明の一つの局面を例示するための図1のシステムの楕円形集束器によって集束された散乱光を搬送するためのマルチファイバ経路の可能な配置を示す略図である。
【図3B】本発明の一つの局面を例示するための図3Aに示すようなマルチファイバ経路の配置に関連して使用可能なマルチアノード光電子管(PMT)の略図である。
【図4】本発明の一つの局面を例示するための図1のシステムの狭角経路におけるレンズ集束器によって集束した散乱光を搬送するためのファイバ経路/多重検出器の配置の略図である。
【図5A】本発明の好ましい実施形態を例示するための不良検査システムの断面図である。
【図5B】図5Aに示す実施形態で使用する別体の光学経路の配置を示す断面図である。
【図6A】本発明の別の実施形態を例示するための不良検査システムの断面図である。
【図6B】図6Aに示す実施形態で使用する分割された光学経路の配置を示す断面図である。
【図7】本発明の別の代替の実施形態を例示するための不良検査システムの一部の上面図である。
【図8A】図7の実施形態におけるマルチエレメント検出器の略図である。
【図8B】図7の実施形態において使用するマルチエレメント検出器の略図である。
【図9A】本発明のさらに別の代替の実施形態を例示するための不良検査システムの一部断面一部斜視図である。
【図9B】図9Aに示す実施形態において有効なフィルタホイールの略図である。
【図9C】図9Aに示す実施形態において有効なフィルタホイールの略図である。
【図10】本発明の一つの局面を例示するための検査対象の表面上のパターンからの二次元回折成分を示す略図である。
【図11】本発明のさらに別の代替の実施形態を例示するための不良検出システムの略図である。
【図12】本発明の異なる実施形態において使用する非対称のマスクの略図である。
【図13A】本発明の別の局面を例示するための本願の異なるシステムで使用する二つのマスクの略図である。
【図13B】本発明の別の局面を例示するための本願の異なるシステムで使用する二つのマスクの略図である。
【図14】本発明のさらに別の局面を例示するための三つの異なる偏光の光で照射したときの薄膜表面の干渉強度を示すグラフである。
【図15】本発明のさらに別の局面を例示するためのヘイズと表面の粗さのグラフである。
【図16】図15に示す本発明に有効なデータベースを収集するための代表的な膜の表面の粗さとヘイズを測定するためのシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本出願の譲受人である、カリフォルニア州、サンノゼのケーエルエー−テンカー コーポレイションから入手可能なSP1TBI(商標)システム10の略図である。SP1TBIシステム10の局面は、1996年12月20日出願の米国特許出願第08/770,491号(特許文献2)および米国特許第6,201,601号(特許文献3)に記載されている。これら特許出願および特許は、この言及によりここに明確に取り入れられている。図面を簡単にするために、照明光をウェハに誘導する構成要素などのシステムの光学要素の一部は省略している。検査対象であるウェハ20は、垂直な入射光22および/または傾斜した入射光24によって照射される。モータ28によって回転され、ギヤ30によって方向を転換されるチャック26上にウェハ20が支持され、光22および/または24がウェハの表面を検査するためにウェハ20の表面上の螺旋通路を移動、追跡する領域またはスポット20aを照射する。モータ28とギヤ30は、当業者にとっては周知のように、コントローラ32によって制御される。あるいは、光22,24は、当業者が周知の方法で移動し、螺旋通路もしくは別のタイプの走査通路を追跡する。
【0022】
ウェハ20上において、一方もしくは両方の光によって照射された領域もしくはスポット20aは、これらの光からの光線を散乱させる。ウェハの表面に垂直かつ領域20aを通過する線36に近い方向に沿った領域20aによって散乱される光線は、レンズ集束器38によって集束され、集光されてPMT40へと導かれる。レンズ38は、散乱光を垂直方向に近い方向に沿って集束し、このような集束経路は、ここでは、狭角経路と呼び、PMT40は、暗視野狭角PMTと呼ぶ。所望であれば、一つ以上の偏光子42を狭角経路の中の集束光の光路に配置してもよい。
【0023】
光22,24の一方もしくは両方によって照射されたウェハ20のスポット20aで、垂直方向36から離れる方向に沿って散乱した光線は、楕円集束器52によって集束され、絞り54と任意の偏光子56を介して暗視野狭角PMT60に集光される。レンズ38に比較して、楕円集束器52は、垂直方向36に対してより大きい角度の方向に沿った散乱光を集束することができ、このような集束経路を広角経路と呼ぶ。検出器40,60の出力は、コンピュータ62に送られ、信号を処理し、異常の有無とその特徴を判定する。
【0024】
SP1TBIシステムは、集束光学系(レンズ38とミラー52)が垂直方向36に対して回転対称であるため、パターンを形成していないウェハの検査には有利であり、ウェハ20の表面上の不良の方向に対する図1に示すシステムの方向は重要でない。さらに、これらの集束器が対象とする散乱空間の角度範囲は、パターンを形成していないウェハ検査において当該の異常を検出する際に必要な角度範囲と一致している。
【0025】
しかしながら、上記の特徴に加え、SP1TBIシステム10が有する重要な特徴は、そのレンズ集束器38と楕円形ミラー集束器52の両者はウェハ20の表面上の不良によって散乱される光に含まれる方位角の情報を保存するという点にある。従って、ウェハ上のある不良および/またはパターンにより、光線がある一定の方位角方向に偏って散乱することもあり得る。集束器38および52によって集束した光線に保存された方位角の情報を利用することによって、システム10は、パターンを形成したウェハ上の不良の検出に対し、有利に適合かつ変更することができる。
【0026】
本発明の一つの局面は、レンズ38および/または楕円形ミラー52によって集束した光線を分割することによって、異なる方位角方向に散乱した光線を別々に検出することができる。この方法では、パターンによって回折もしくは散乱した光線を検出する検出器が飽和してしまう可能性があるが、これらの回折または散乱を検出しない他の検出器がウェハ20上の不良の検出と分類に対し有効な信号を生成することができる。レンズ38と楕円形ミラー52が散乱光の方位角の情報を保存しているので、ウェハ20上に存在するパターンや不良のタイプに関する知識を複数の検出器の設計配置に利用して、ウェハ上の不良を有利に検出および分類することができる。このことは、以下に説明するウェハ20上に形成される記憶構造体のような規則正しいパターンの場合に特に当てはまる。何故なら、そのような規則正しいパターンによって回折した光線は規則正しいからである。
【0027】
図2は、レンズ38またはミラー52で集束可能な集束中空円錐形の光線を示す略図である。図1のレンズ38の場合には、垂直な入射光22の正反射が検出器40に到達することを阻止するために空間フィルタ(図1には示していない)を採用しており、レンズ38によってPMT40に集光した光線が図2に示すような集束中空円錐形の形状となる。楕円形ミラー52の場合、ミラーが完全な楕円形でないため、垂直方向の近くで散乱した光線を集束せずに垂直方向36に対して大きい角度で散乱する光線のみを集束するので、ミラー52によって検出器60に集光した光線も、図2に示すような集束中空円錐形となる。
【0028】
図3Aは、例えばミラー52に集束されたような、図2に示す集束円錐形の光線を受け取るマルチファイバ経路の可能な配置を示す略図であり、本発明の好ましい実施形態を示すものである。図3Aの構成は、図2に示す集束中空円錐形の中の集束した散乱光を搬送するために使用する二つの略同心の環状に配列された光ファイバ経路72を含む。ウェハ20上のパターンから散乱するフーリエ成分または他のパターンがファイバ72の一部に到達し、それによってその経路からの光線を検出する検出器が飽和する。しかし、そのような望ましくないパターン散乱を受け入れない他の光ファイバ経路がある。マルチファイバ経路72を使用することにより、集束した散乱光は、異なるセクタもしくはセグメントに有効に分割されるため、ファイバ経路の一部のみが強い信号を受け取ってフーリエもしくは他のパターン散乱によって飽和されても、残りの経路から異常を検出するために分析可能な情報を搬送することができる。以下に説明するように、図2の円錐形の中の集束した散乱光の方位角の情報が保存されているため、様々な仕組みを採用して、図3Aの分割法を採用した際にパターン散乱の影響を最小限に抑えることができる。
【0029】
異なるタイプの検出器を使用して、図3Bに示すマルチアノードPMTのようなファイバ経路72によって搬送された光線を検出することもできる。しかし、マルチアノードPMTを使用した場合、二つの隣接する経路の間には、公称クロストークが3パーセント生じる。こうしたクロストークを回避するためには、図3Bに示すように、ファイバ72を一つおきのPMTアノードと合わせて並べる。図3Bは、マルチアノードPMTの略図である。図3Bに示すように、斜線を附したアノード74だけがファイバ72と並んでおり、アノード76は、ファイバ72のいずれとも並ばない。これにより、図3Bに示すアノードすべてがファイバ72と並んだ際に生じる3%のクロストークを回避することができる。
【0030】
図4は、狭角経路用のファイバ経路または多重検出器82の配置80を示す図である。図示したように、ファイバまたは検出器82は、レンズ38が集束した狭角経路の図2に示す集束した散乱光と並び、広角経路の場合と同じ方法によって光線を分割する。
【0031】
図5Aは、不良検出システムの部分断面図かつ部分略図であり、本発明の実施形態を示す図である。図5Aを簡略化するため、二本の照射光線22および24、コンピュータ62、およびウェハを移動させるための機構については図に示していない。ウェハ20上のスポット20aによって散乱し、レンズ38によって集束された光線は、ミラー102によって検出器40へ反射される。ストッパ104が検出器40からの垂直入射光22の正反射を阻止するので、図2に示すような円錐形の集束光が生成される。レンズ38によって集束され、集光され、ミラー102によって反射した光は、ビームスプリッタ106を通過し、集束光のビームスプリッタを通過した部分は、検出器40上に集光され、通常のSP1TBI操作のように単一出力を生成する。ビームスプリッタ106は、レンズ38からの集束光の一部を反射して、図4の光ファイバの配列80へと方向転換する。好ましくは、光ファイバ82の寸法とビームスプリッタ106によって反射した中空円錐形の寸法は、ファイバ82が中空円錐形の光線のうちほとんどの光線を集束して搬送するように設定する。すると、ファイバ82はそれぞれ、対応する検出器、もしくはマルチユニットまたはマルチエレメント検出器の検出ユニットに接続される。同様に、ビームスプリッタ112は、楕円形ミラー52が集束した光線のうちの少量を図5Bにさらに詳しく示す光ファイバ経路72の配列70′に向けて方向転換し、そこで、各経路72が別体の検出器、もしくはマルチエレメント検出システム(図示せず)の別体の検出ユニットに接続される。図5Aに示すように、ビームスプリッタ112は、小径リング114の内部でのみ光線を配列70′へ向けて方向転換するように構成されている。ミラー52が集束した光線のほとんどは、ビームスプリッタ112を通過し、検出器60に集光されて通常のSP1TBI操作の場合のように、単一の出力を生成する。図5Aでは、照射光線22,24とウェハを移動するための機構は、図面を簡素化する目的で省略している。
【0032】
図1のシステム10と図5Aのシステム100とを比較すると明確なように、システム100は、図1のシステム10の実質的にすべての特性を有している。さらに、システム100は、レンズ38およびミラー52それぞれによって集束された散乱光の一部を方向転換し、ファイバ82、72に向かって誘導し、分割した光線を別体の検出器または検出ユニットに搬送する。このシステムは、小型で、図1に示すSP1TBIシステム10に比較して別途に必要な空間は最小限でよい。このように、一体化した結合機器を最適化し、パターンを形成していないウェハとパターンを形成したウェハとの双方に使用できるようになり、二つのタイプのウェハの検査に対し、二つの別々の機器を必要としなくなる。
【0033】
パータンを形成したウェハのみを検査する場合、図6Aに示す別の不良検査システム150を使用することができる。図6Aにおいて、図面を簡素化するため、照射光線22、24、コンピュータ62、およびウェハを移動させるための機構は省略している。図6Aに示すように、レンズ38とミラー52によって集束した散乱光は、ミラー112′によって反射し、図6Bに断面でさらに詳しく示す光ファイバ152のシステムに向かって導かれる。図6Bに示すように、システム152は、レンズ38によって集束した散乱光を搬送するための環状に配列されたファイバ82と、ミラー52によって集束した散乱光を搬送するための環状に配列されたファイバ72とを有する。前述したように、ファイバ72、83はそれぞれ、別体の検出器、またはマルチユニット検出器の検出ユニットに接続される。
【0034】
図4および5Bには、検出器が単一の環状に配列されているが、図3Aに示すような、複数の環状に配列したものも採用可能である。二つの配列70,70′,80のそれぞれにおいて互いに隣接して位置する光ファイバの光伝達コアは、コアを包囲するクラッドによって互いから隔離されており、隣接するコア間のクロストークが低減してある。ファイバ以外の光路も使用可能であり、本発明の範囲に含まれることは明らかである。このような経路が光ファイバの場合のクラッドのようなセパレータを含まない場合には、他の光学セパレータを利用してクロストークを低減することができる。
【0035】
図5Aを参照する。検出器40および60からの集束散乱光の一部の方向転換により、パターンを形成していないウェハを検査する際、システム100の粒子感度が幾分低減する場合があるが、この感度の低減は、システム100の狭角および広角集束経路の効率が高いため、取るに足らない程度である。所望であれば、パターンを形成していないウェハを検査する場合、ファイバ72と82によって搬送された光線をそれぞれ検出器40および60へ導きシステム100の感度を実質的に復元して、その感度を図1のシステム10の感度と実質的に同じものとすることもできる。
【0036】
図5Aおよび6Aのシステム100および150は、マイクロスクラッチと粒子を識別する際に特に有利である。マイクロスクラッチによる散乱パターンは、エネルギーの集中が最高となり、垂直に照射し、レンズ38によって集束されたほぼ垂直もしくは狭角経路において捕えられると、検出均一性が最も高くなる。遠視野における長手のパターンの形態を有するスクラッチの唯一の兆候により単純な分類方法が可能となる。よって、これらのファイバの出力がマルチチャネル検出器または個々の検出器のアレイに誘導されるビームスプリッタ106で方向転換された際にレンズ38によってファイバ82に向かって集光される光の中空円錐形の光路に環状に配置した8本以上のファイバ82を配置すれば、いずれかの直径方向に対向する2本のファイバを通して得た信号と、残りのファイバからの信号とを比較するという単純なプロセスによってマイクロスクラッチの有無が判別できる。斜めに照射すると、マイクロスクラッチは、パターン検査に関して先に説明した多重検出チャネル、すなわち、マルチファイバユニット70,70′を使うことによって、粒子によるものとは異なる散乱パターンが生成される。広角および狭角経路の双方において、個々の検出器またはマルチエレメント検出システムを個々の光ファイバではなく、集束中空円錐形の光路に直接配置することも可能である。
【0037】
<アレイウェハ>
システム100,150を利用してメモリセルを表面に有するウェハを検査する場合、ウェハが回転すると、メモリアレイからのフーリエ成分がスピンする。よって、これらの要素は回転し、図1,5A,6Aの垂直方向36に対して異なる方位角をとる。すなわち、これらのフーリエ成分は、ウェハが回転すると、異なるファイバ71,82によって搬送される。メモリセルのアレイは、ウェハのX方向およびY方向の寸法が異なるため、ウェハが回転すると、フーリエ成分によって飽和した検出器の数が変わる。これにより、メモリセルのX,Y方向の寸法を知ることができ、フーリエ回折要素の数を予測できるようになる。あるいは、非常に強いあるいは飽和した出力での検出器の最大数を認識することによって、除去しなければならない最大数のフーリエ成分を判定するという学習サイクルを最初の初期化工程中に実施する。その後の測定工程で、検出器出力のその数だけが除去されるが、除去される出力は、飽和した出力、もしくは最大値を有する出力である。例えば、マルチアノードPMTの場合、各アノードが対応するファイバに接続されて使用されている場合は、最高出力を有する検出器に隣接する要素を取り除くことによってクロストークを低減することができる。例えば、ウェハの一箇所において、フーリエ成分が3であり、他の2箇所において、隣接する二つの成分と合わせて3つの直接的な成分を削除するとすると、合計9つの検出器出力を削除することになる。これにより、7つの利用可能な検出器出力が残る。この数は、ウェハが正しい方向を向いているか否かに関わらず維持される。これによりユーザは粒子に対するサイジングオプションを保持することができるようになる。
【0038】
好ましくは、ファイバ72,82は、図3A,4,5Bおよび6Bに示した軸74,84のような方向を中心として回転対称に配置される。このように配置すると、光線散乱方向が同一の角度セグメント内に位置することになり、各セグメント内で散乱した光線は、それに対応するファイバによって集束される。ビームスプリッタやミラー102,112,112′がレンズ38またはミラー52によって集束した光線の部分を反射または方向転換すると、集束した散乱光の方位角位置は、反射したもしくは方向転換した光線がファイバ72,82に導かれた時点で保存される。光線がこのように反射または方向転換されると、垂直方向36に対応する軸74,84と、垂直方向36に対する方位角位置に対応する軸74,84を中心とした集束した散乱光の方位角位置が保存される。
【0039】
上述したように、散乱光の方位角特性は狭角および広角経路双方に対して保存される。実質的に垂直な照射方向の光22によって照射されたマイクロスクラッチによる散乱パターンには、エネルギーの集中が最高となり、狭角経路において捕えられると、検出均一性が最も高くなる。さらに、遠視野における長手のパターンの形態を有するスクラッチの唯一の兆候により、単純な分類方法が可能となる。例えば、図4を参照すると、配列80の中に8本のファイバ82を使用して、レンズ38によって集束した図2の中空円錐状の光の中で散乱光を受け取って搬送し、ファイバがそれぞれ個々の検出器に接続されていると、二つのいずれかの直径方向に対向する2本のファイバからの二つの信号の和を残りの検出器の出力信号と比較して、マイクロスクラッチの有無を確認する。
【0040】
先に説明したように、照射されたスポット20aからの散乱光すべてが集束され、単一の検出器に誘導されると、フーリエまたは他の散乱成分の存在により、検出器が飽和し、システムが照射されたスポットにおける異常に関して有効な情報を提供できなくなる。この理由から、出願人は集束した散乱光を異なるセグメントに分割することを提案している。集束した散乱光を2つもしくは3つなど、ほんの少数のセグメントに分けた場合、2つもしくは3つの出力信号しか生成されず、その2つもしくは3つのセグメントがまだパターン散乱を含んでいるため、2つもしくは3つの検出器が再び飽和して、異常に関する有効な情報を得ることができなくなる可能性が高い。よって、有効にするためには、検出信号の一部には目立つパターン散乱が存在しなくなるぐらい十分細かく分割するのが好ましい。よって、各種フーリエまたは他の散乱成分と垂直方向36を結ぶ線が、角度方向にδφより互いに近づかない場合、各検出器がδφを超えない絞り角内で集束した散乱光を受け取ることができるように分割するのが好ましい。このように、フーリエや他のパターン散乱を受け取らない検出器が少なくともいくつか存在し、確実にサンプル表面の不良の有無、もしくは特徴を確認できる有効な出力信号を生成するようになる。よって、分割された光線が複数の光ファイバに搬送される場合、少なくとも数本のファイバがδφ以下の方位角の範囲内で集束される光線を受け取るようにするのが好ましい。
【0041】
散乱光の集束を分割するためのもう一つの配置を図7に示す。図7は、二つの絞り202,204を有する楕円形または放物線形状のミラー200のような回転対称集束器の上面図である。二つの絞りは、図1および7に示す斜めの光24に対して+90°と−90°の方位角位置に中心を有することが好ましい。マルチエレメント検出器または検出器アレイ206,208は、この二つの絞りのそれぞれの中に配置されている。この場合、検出器またはアレイは、マルチアノードPMTまたはマルチPINダイオードアレイでもよい。図8Aは、図7の検出器もしくは検出器アレイ206,208の一部の矢印8Aの方向から見た略側面図である。図8Aに示すように、検出ユニット206a,208aはそれぞれ実質的に幅がwの長方形状を有する。好ましくは、検出ユニット206a,208aは、その長手の辺を略垂直方向36に平行に配置する。このように、検出ユニット206a,208aのそれぞれは、長い要素206a,208aの幅によって範囲を定められた角度がδφ以下である場合、その範囲を定められた、角度の小さいセクタの範囲内で中心軸36に向かって散乱光を集束するため、検出器の少なくとも一部がパターンの散乱によって阻止されることなく、サンプル表面上の異常を検出し、特徴付けるための有効な信号を出力する。
【0042】
二つの検出器もしくは検出器アレイ206,208をそれぞれ絞り202,204に配置することにより、検出ユニット206a,208aは、異常を検出するための有効な信号成分を出力する。上述したような即時学習サイクルを介して予測または判定のいずれかを行うプロセスを二つの検出器もしくは検出器アレイ206,208に適用して、除去する必要のあるパターン散乱成分の最大数を確認し、残りの検出信号を利用して異常を検出できるようにする。
【0043】
半導体回路の寸法は、ますます小型化されている。よって、セル寸法も同様に小型化され、これに対応してフーリエまたは他の散乱成分の数も減っている。セル寸法が大きい場合、検出器または検出器アレイ206,208の検出ユニットの幅wを小さくしないと、二つの検出器または検出器アレイ206,208の各検出ユニットは、飽和され、また有効な信号が得られなくなる。これは、図8Bに示すしくみによって直すことができる。
【0044】
図8Bに示すように、検出器もしくは検出器アレイ206,208の信号収集能力をさらに高めることが可能である。パターン散乱の数が、その検出器もしくは検出器アレイの設計値を超えて増加した場合、図8Bの配置を使用することにより、その増加にもかかわらず異常検出ができるようになる。図8Bに示すように、検出器もしくは検出器アレイ206,208の多重検出ユニットは、それぞれ同じ側から反対側に向かって、D1,D2…,D2n,D2n+1…と符号をつける。マルチユニット検出器または検出器アレイ206の奇数の検出ユニットD1,D3,D5…,D2n+1…は、空間フィルタ216によって覆われている。また、検出器またはアレイ208の偶数の検出ユニットD2,D4,D6…D2n…は、図8Bに示す空間フィルタ218によって覆われている。このように、サンプル表面と検出器もしくはアレイ206,208の間に相対的回転運動が起きても、覆われていない検出ユニットが有効な信号を出力する。
【0045】
図9Aは、図1の集束器52の断面図であり、図7,8A,および8Bに示すようなタイプの絞り、あるいは検出器、あるいは検出器アレイを含むように変更したものである。二つの絞り202,204は、好ましくは、それぞれの側に、±90°の方位角位置に中心を有し、約10°〜40°の方位角ギャップを有するような寸法とする。絞りは、集束器の底部に向かってのみ位置しており、検出器もしくは検出器アレイ206,208によって表面に近い方向に沿った散乱光のみが検出可能である。適当なF数のレンズ222,224を2枚使用して、照射されたスポット20aからの散乱光を集束し、そのそれぞれの検出器もしくは検出器アレイ206,208に集光する。二つの検出器もしくは検出器アレイを2枚のレンズ222,224の後方焦点面に戴置することができる。
【0046】
アクチュエータ232,234によって回転させたフィルタホイール226,228によって照射したスポット20aと検出器または検出器アレイ206,208の間にマスク216,218を配置する。この方法は、当業者にとって周知の方法であり、よってこれらの二つのアクチュエータとホイールの間の接続は図示しておらず、また、その操作の詳細な説明はここでは必要ない。簡素化するために、図9Aには二つのフィルタホイール226,228のマスク部216,218しか図示していない。図9A,9B,および9Cに示す特性を、図5A,6Aのシステム100,150と組み合わせ、その多目的性をさらに高めることも可能である。組み合わせた機器をパターンを形成していないウェハ、もしくはベアウェハの検査に使用した場合、例えば、二つの絞り202,204による感度の低下は取るに足らない。さらに、パターンを形成していないウェハを検査する際に、検出器または検出器アレイ206,208の出力を、検出器60の出力に加え、少なくとも部分的にシステムの感度を復元することができる。膜の粗さによる異質な信号を抑えるため、図9A〜9Cに示す特性も有利に利用することができる。膜の粗さがP偏光をS偏光より効率よく散乱させるので、そのような状況下では、S偏光された斜めの照射光24を出力し、照射したスポット20aからのS偏光散乱のみを集束するのが好ましい。これは、フィルタホイール226,228によって好都合に達成することができる。フィルタホイール226,228はアクチュエータ232,234を使って回転させ、S偏光子236が図9Aのマスク216の代わりとなり、もう一つのS偏光子が同じく図9Aのマスク218の代わりとなる。図9Aからわかるように、この配置は、二つのフィルタ236,238がウェハ20の表面の近くに位置し、よって、集束光はウェハ表面に非常に近い散乱角度に閉じ込められるので有利である。膜の表面が非常に粗い場合、さらに集束仰角を制限するため、S偏光子の上半分をフィルタホイール内の半円形の不透明なスクリーン236′,238′を使用して遮蔽することができる。例えば、半円形のS偏光子は、絞りの集束仰角を、垂直方向36から約55から70°の範囲内に制限することができる。これは、膜の粗さによる散乱量がウェハ表面に対する仰角とともに増加するため役に立つ。図9Cは、ベアウェハもしくはパターンを形成していないウェハの検査に使用することができるもう一つのフィルタホイールを示す図である。
【0047】
予測されるパターン散乱面の方向がわかっている場合、空間フィルタは、そのような散乱を遮断するように設計することができ、それによって表面上の異常による散乱のみを検出するようになる。図10は、垂直な入射光によって照射した時の、アレイ構造の二次元のフーリエ成分を示す略図である。サンプルが回転すると、X−Y線の交差点に位置するすべてのスポットが回転し、円を生成する。これらの円は、ウェハが回転したときのフーリエ成分の位置を表す。中央の暗い不透明な円は、図5Aのストッパ104による集束空間の0〜5°の遮断状態を示す。図10から、円と円の間にフーリエ成分が存在しないギャップがあるのがわかる。少なくとも理論的には、任意の半径を有する環状帯が遮断されるプログラマブルフィルタ(例えば、液晶フィルタ)を構成することが可能である。単純な空間フィルタを構成することにより、本発明の目的の多くを達成することができる。よって、ウェハ上にある典型的なメモリアレイのセル寸法は、そのXY寸法が約3.5ミクロン以下であった場合、例えば、照射光22,24で使用する488ナノメートルの波長光において、第1のフーリエ成分は垂直方向36に対し約8°となる。よって、空間フィルタを採用した場合、垂直方向36に対して8°以上である狭角経路におけるあらゆる集束光を遮断することにより、中央の障害のリム(すなわち、5または6°)から約8°の可変絞りのリムまでにわたる2または3°の環状ギャップが残る。これらの状況下において、ウェハがスピンすると、フーリエ成分は環状ギャップを通過できず、アレイからの散乱は抑制される。ある実施形態では、使用している空間フィルタにより、垂直方向36から約5から9°の間の環状ギャップが残る。
【0048】
上述した例では、空間フィルタは狭角経路用に設計されている。同様の空間フィルタを広角経路に対しても設計可能であることは理解できよう。その、そして他の変更についても本発明の範囲に含まれる。
【0049】
先に説明したように、少なくとも数個の検出器がフーリエまたは他のパターン散乱によって遮断されない有効な信号を確実に受けるようにするため、少なくとも一部の検出器の集束絞りが予測されるパターン散乱の間の角度差以下であるのが好ましい。この目的のために、絞り角の角度がパターン散乱の間の角度差以下であるような小さい絞り角以外は、狭角または広角経路内で集束された光線すべてを遮断するように空間フィルタを構成することができる。照射されたスポット20aと検出器40または60のような検出器との間にこのような空間フィルタを配置すると、フーリエ成分はこの小さな絞りを出入りしてスピンする。通過する成分がなければ、そのデータは異常を検出するために有効である。そうでない場合、信号が非常に強いか、あるいは飽和している。よって、螺旋走査の最後には、ウェハマップはデータ有効であるとともに飽和した一連のセクタとなる。走査をもう1回繰り返す場合、第1回目の走査中に絞り角の中心位置がその位置からパターン化した散乱の最小角度差だけずれ、前と同じように、データが有効であるとともに飽和したセクタを含む同様のマップが得られる。しかし、第1回目の走査中に飽和していた領域では、今度は有効なデータを得られる。よって、論理OR演算を利用して二つのデータセットを結合することにより、有効データを有する完全なウェハマップを得ることができる。
【0050】
上述した工程は、図11に示すような非対称マスク250を利用することによって、簡素化することができる。図11に示すように、二つの扇形の絞り252,254が直径方向に対向する位置からパターン散乱の予測最小角度差と等しい角度だけずれている。このようなフィルタを図1に示す照射したスポット20aと検出器40または60の間に配置すると、検出器40および60はウェハの走査時に完全なウェハマップを生成する。
【0051】
図12は、本発明の別の実施形態を示す不良検出システムの略図である。図12に示すように、図1の光22,24のような光(図示せず)によって照射すると、集束器52(図面を簡素化するため、図12では省略している)によって集束された散乱光は、デバイスの対向する側に二つのミラー262a,262bを有する三角形状のデバイス262に集光される。照射ビームも簡素化のため省略している。よって、散乱光は、デバイス262によって二つの対向する半球に反射する。ミラー262aは、散乱光の半分をPMT1に反射し、ミラー262bは散乱光の他の半分をPMT2に反射し、非対称マスク250をミラー262aとPMT1との間およびミラー262bとPMT2との間に設けることができる。このように、二つのPMTにより、異常検出および分類に有効な二つのウェハマップを得ることができる。
【0052】
<CMP不良の検出>
本発明のある局面は、CMP不良を分類するための二つのアルゴリズムを含む。第1の方法は、不良によって散乱された光の空間分布に基づくものである。理論的シミュレーションおよび実験結果によれば、CMPマイクロスクラッチによって散乱した光は、まず正反射の方向に進み、粒子(特に小さい粒子)によって散乱した光は、異なる空間分布となることが示されている。結果として、不良分類は、散乱光の分布を測定することによって実現できる。これは、複数の検出器を散乱体の周囲の適当な位置に配置することによって実行できる。あるいは、単一の検出器を複数の空間フィルタ/マスクとともに使用する。このアルゴリズムを実行する三つの異なる方法について説明する。
【0053】
第2のアルゴリズムは、二重偏光法に基づくものである。この方法は、入射するSおよびP偏光を利用して不良からの散乱信号を比較するものである。理論的シミュレーションによると、散乱の強さは、不良によって見られる局所干渉の強さと比例することが判明した。この干渉の強さは、SおよびP偏光で異なり、ウェハの表面からの高さに依存する。よって、粒子(表面上の不良)によって見られる干渉の強さと、(ウェハ表面もしくは表面下の)マイクロスクラッチによって見られる干渉の強さとの間には大きな差がある。不良の分類は、SおよびP偏光入射光または光線を使用して散乱信号の強さを比較することによって実現可能である。
【0054】
<操作の詳細>
以下の段落では、Surfscan SP1TBI (商標)システムにおける本発明の実行/操作について説明する。しかし、アルゴリズムはSP1TBI (商標)システムに限られるものではなく、どの光散乱ツールでも実施できる。以下に示すアルゴリズムではすべて、使用した経路すべてに対しPSL較正曲線を必要とする。これらは、CMP不良の分類を成功させるために、きわめて重要な要素である。
【0055】
アルゴリズム#1、実行#1、デュアルチャネル、斜め方向入射、1回走査
SP1システムには、DWN,DNN,DWO,DNOの4本の暗視野経路がある。DWNは、垂直な照射光から楕円形ミラーによって集束された散乱光を搬送する経路を表す。DNNは、垂直な照射光からレンズ集束器によって集束された散乱光を搬送するための経路を表す。DWOは、斜めの照射光から楕円形ミラーによって集束された散乱光を搬送する経路を表す。そして、DNOは、斜めの照射光からレンズ集束器によって集束された散乱光を搬送する経路を表す。デュアルチャネル法は、二つの暗視野経路、例えば、DWOとDNO経路を使用する。この方法の原理は、粒子とマイクロスクラッチの空間散乱パターンは異なるという事実に基づく。粒子は、光をあらゆる方向に散乱させ、これは、両方の暗視野経路によって集束することができる。しかし、マイクロスクラッチは、優先的に、光をある一定の方向に散乱させるので、ある経路で捕えた信号が、他の経路で捕えたものよりかなり大きくなる。例えば、傾斜した経路DWOとDNOを使用した場合、マイクロスクラッチは、DWO経路において優先的に捕えられるか、あるいは、DWO経路内における信号がDNO経路内の信号より大幅に大きくなる。マイクロスクラッチを粒子と区別するため、DWOおよびDNO経路内において捕えたそれぞれの不良の寸法比を算出する。不良の寸法比が1に近い場合、その不良は、粒子として分類される。しかし、不良の寸法比がある数(例えば、0.8)にも満たない場合、マイクロスクラッチとして分類される。不良がDWO経路でのみ捕えられ、DNO経路では捕えられなかった場合には、CMPマイクロスクラッチとして分類される。不良がDNO経路でのみで捕えられ、DWO経路では捕えられなかった場合には、粒子として分類される。
【0056】
アルゴリズム#1、実行#2、デュアルチャネル、垂直入射、1回走査
垂直な経路における実行は、斜めの経路における実行と類似している。違いは、CMPマイクロスクラッチから散乱した光は、広角(DWN)経路の代わりに垂直入射の狭角経路(DNN)に優先的に進むという点である。これは、CMPマイクロスクラッチ散乱光が正反射の方向に進むという事実によるものである。不良分類は、DNNとDWNの両方の経路で捕えた不良の寸法比を算出することによって行う。不良の寸法比が1に近い場合、その不良は、粒子として分類される。しかし、不良の寸法比がある数(例えば、1.6)より大きい場合、マイクロスクラッチとして分類される。不良がDNN経路でのみ捕えられ、DWN経路では捕えられなかった場合には、CMPマイクロスクラッチとして分類される。不良がDWN経路でのみ捕えられ、DNN経路では捕えられなかった場合には、粒子として分類される。
【0057】
アルゴリズム#1、実行#3、シングルチャネル、傾斜入射、2−マスク、二重走査
アルゴリズム#1を実行するための第3の方法は、二つのマスクを使用する。一方のマスク(#1)は、CMPマイクロスクラッチからの散乱光を優先的に捕えるように設計されている。このマスクは、図13Aに示してあり、影のついた領域は、光線が遮断される領域を示し、影のついていない領域は、光線が通過できる領域である。他方(#2)は、CMPマイクロスクラッチによって散乱した光を遮蔽するように設計されている。このマスクは、図13Bに示してあり、影のついた領域は、光線が遮断される領域を示し、影のついていない領域は、光線が通過できる領域である。これらマスクの形状は、ともに較正曲線が必要である。不良の分類は、双方のマスク形状において捕えられた不良の寸法比を算出することによって行う。ある不良において、マスク#1とマスク#2の寸法比が1に近い場合、その不良は、粒子として分類される。しかし、不良の寸法比がある一定の数(例えば、1.15)より大きい場合、マイクロスクラッチとして分類される。また、不良が#1の形態のマスクでのみ捕えられ、#2の形態のマスクでは捕えられなかった場合には、CMPマイクロスクラッチとして分類される。不良が#2の形態のマスクでのみ捕えられ、#1の形態のマスクでは捕えられなかった場合には、粒子として分類される。
【0058】
アルゴリズム#1は、マルチアノードPMTにおいても実行することができる。この方法の利点は、一回の走査でよいという点である。二つのマスクを使用する際と本質的に同じであるが、データ収集に1回の走査を行えばよい。
【0059】
アルゴリズム#2、実行#1、シングルチャネル、二重偏光、傾斜入射、二重走査
アルゴリズム#2は、二つの入射偏光S,Pを使用する。この方法には二回の走査が必要となる。一つは、S偏光に対するもの、そしてもう一つはP偏光に対するものである。SおよびP偏光に対しPSL較正曲線を使用する。不良分類は、PおよびS走査の両方で捕えた不良の寸法比を算出することによって行う。PおよびS走査の寸法比が1に近い場合、その不良は、粒子として分類される。しかし、不良の寸法比が1以外(例えば、膜厚によって<0.65または>1.85)である場合、その不良は、マイクロスクラッチとして分類される。誘電体膜の場合、2本の偏光に対する干渉の強さは、膜厚によって変わる。2本の偏光の干渉の強さの変化は、位相が外れている。すなわち、P偏光の干渉強度が最大であるとき、S偏光の干渉強度は最小となる、もしくはその逆である。よって、CMP不良の寸法比は、誘電体膜の厚さによって1.0より大きいか小さいかのいずれかが決まる。同様に、不良が1本の偏光においてのみ捕えられ、他方では捕えられなかった場合には、その不良は、膜厚によって、CMPマイクロスクラッチあるいは粒子として分類される。この方法は、酸化CMPウェハを使って実証に成功している。この方法は、ウェハを横切る方向の厚さの変化は、実質的な厚さを有する金属膜にとっては大した問題ではないため、厚い誘電体膜より、金属膜に対してよい結果が出ると思われる。
【0060】
ある実験において、PSL球面を使ってSP1(商標)機器を較正し、粒子に対し、PおよびS走査中に検出した強度の寸法比を、1に合わせて標準化する。よって、粒子が存在すると、比は、1もしくは約1となる。さらに、機器から得たヒストグラムによると、第2の組の強度の比は、1より大きい値に集中しており、これは、S偏光を照射した時より、P偏光を照射したときの方がより散乱が大きくなる不良の組を表している。これらは、マイクロスクラッチのようなCMP不良であり、散乱強度がP走査中にのみ検出され、S走査中には検出されなかった場合でもそうである。何故なら、その場合、比は無限となり、よって、1より大きくなるからである。第3の組の比は、ゼロもしくはゼロに近い値である。これらは、以下に示す理由により、粒子を示すと思われる。
【0061】
PまたはS偏光光線を照射した際に検出される表面における干渉効果により、検出される散乱強度は、S走査中のものと比較するとP走査中の方が強くなる、もしくはその逆である。よって、上述した実験では、表面上の干渉効果によって検出される散乱強度がS走査中よりP走査中の方が強くなる場合は、S偏光が構造的干渉を受ける領域において十分な大きさの粒子のみが存在することになる。これは、例えば、図14に示されている。例えば、図14を参照すると、ウェハ表面上の膜厚が200ナノメートルの場合、図14の曲線から、ウェハ表面の干渉強度は、S偏光光線を照射したときより、P偏光光線を照射したときに大幅に強くなると予測できる。しかし、300ナノメートル以上の粒子の場合は、S走査中に検出した散乱強度がP走査中より大幅に強くなる。
【0062】
<表面粗さ判定>
金属のような不透明な膜や、k値が低い誘電体のような透明な誘電体(両者ともCVD蒸着体上でスピンする)において、膜厚の変化がほとんどない場合は、膜から測定したヘイズは、膜の表面の粗さによって変化する。集積回路に適用するための誘電体膜CVD蒸着体は、ほとんど均一である。よって、ヘイズの測定により、膜の粗さを測定するための迅速な代替法が実現する。
【0063】
表面の粗さは、一般的に、カリフォルニア州、サンノゼのケーエルエー−テンカー コーポレイションのHRP(登録商標)ツールのような機器によって測定可能であり、また原子力顕微鏡や、近距離顕微鏡や走査トンネル型顕微鏡のような、他のタイプの走査プローブ顕微鏡によって測定可能である。この工程は時間がかかる。均一の誘電体膜において、またはさまざまな均一性を有する金属において、ヘイズと膜の粗さの間の上記の関係を利用することによって、膜の粗さを従来の方法よりさらに迅速に測定することができる。よって、図16によると、異なる厚さの膜に対し、ヘイズと表面の粗さの間の相互関係のデータベースをコンピュータ310を使って作成するために、ケーエルエー−テンカー
コーポレイションの高解像度プロファイラーまたはAFMタイプのツール304を使って異なる厚さの代表的な膜302の表面の粗さを測定し、SP1TBIシステム10や上述した一体型システム(例えば、100)のうちの一つ、もしくはヘイズを測定できるその他のツールを使ってこれらの同じ膜に対してヘイズの値を測定することによってデータベースを構築することができる。表面の粗さは膜厚が厚くなるに従って増えるため、様々な厚さを有する同様の膜を測定するのが好ましい。そして、データベースを、図15に示すような折れ線グラフに示すことができる。そして、未知の膜の表面の粗さを判定したい場合、その粗さは、図1に示すシステム10のような機器、あるいは上述したような一体型の機器を使って膜のヘイズを測定することによって判定できる。そして、ヘイズの測定値を使って、図15に示すグラフなどから厚さがすでにわかっている膜に対するデータベースから対応する粗さの値を選択する。これにより、ヘイズ値を測定し、ヘイズ測定値を図15のRMS粗さ較正曲線と関連付けるのに約1分しかかからないため、製造設備のエンドユーザが各膜に対して1時間まで節約することができるようになる。
【0064】
本発明について、様々な実施形態に基づいて説明してきたが、添付の請求項およびその等価物によってのみ限定される本発明の範囲を逸脱することなく、変更および変形が可能であることは理解できよう。本出願で挙げた参考文献のすべては、その全体が参照のために引用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線を散乱させる回折パターンを有する表面上の異常を検出するための表面検査法であって、
表面を光線によって走査するステップと、
表面に垂直な線に対して略対称に散乱光を集束する集束器によって表面から散乱した光線を集束するステップと、
表面上のパターンによって散乱すると予測される光成分の角度差に相当する角度の角度ギャップを有する空間フィルタによって集束光の少なくとも一部を濾波するステップと、
前記濾波した集束光から表面の内部もしくは表面上の異常の有無を判定するステップと、
を含む表面検査法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記濾波するテップが、それぞれ内部に角度ギャップを有する二つの対応する空間フィルタによって集束光を濾波し、ギャップが、表面上のパターンによって散乱すると予測される成分の角度差に相当する角度だけ互いにずれている方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、
集束光を第1と第2の部分に分けるステップをさらに含み、前記濾波するステップが、二つの対応する空間フィルタによって第1と第2の部分を濾波する方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、
表面上のパターンによって散乱すると予測される成分の角度差がある値以上であり、ギャップとずれが前記値と実質的に等しい方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、
集束光の濾波した第1と第2の部分に呼応して信号を出力するステップと、前記信号を組み合わせて表面の内部もしくは表面上の異常を検出するステップとをさらに含む方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記パターンによって散乱すると予測される成分が、フーリエ成分である方法。
【請求項7】
光線を散乱させる回折パターンを有する表面上の異常を検出するための表面検査装置であって、
表面を走査するための光線を供給する供給源と、
表面に垂直な線に対して略対称に表面から散乱した光線を集束するための集束器と、
集束光の少なくとも一部を濾波するための空間フィルタであって、前記フィルタが、表面上のパターンによって散乱すると予測される角度差に相当する角度の角度ギャップを有するフィルタと、
前記濾波した集束光から表面の内部もしくは表面上の異常の有無を判定するプロセッサと、
を備える表面検査装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置において、
前記装置が、集束光の第1と第2の部分をそれぞれ濾波するための第1と第2の空間フィルタを有し、前記二つの空間フィルタは、それぞれ内部に角度ギャップを有し、二つのフィルタのギャップは、前記線に対して表面上のパターンによって散乱すると予測される成分の角度差に相当する角度だけ互いにずれている装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
表面上のパターンによって散乱すると予測される成分の角度差がある値以上であり、ギャップとずれが前記値と実質的に等しい装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、
前記プロセッサが、集束光の濾波した第1と第2の部分に呼応して信号を出力し、信号を組み合わせて表面の内部もしくは表面上の異常を検出する装置。
【請求項11】
請求項8記載の装置において、
集束光を二つの空間フィルタによって濾波した第1と第2の部分に分割する分割器をさらに含む装置。
【請求項12】
請求項7記載の装置において、
前記パターンによって散乱すると予測される成分が、フーリエ成分である装置。
【請求項13】
表面を走査するための光線を出射し、表面に垂直な線に近い方向に沿った表面領域によって散乱した光線を集束して第1の検出器へ誘導する第1の近垂直集束装置と、前記線から離れる方向に沿った表面領域から散乱した光線を第2の検出器に向かって反射して誘導する前記線に対して対称を成す軸を有する湾曲した鏡面を含む第2の集束装置とを含む装置を採用して表面上の異常を検出するための表面検査法であって、
光線と表面上の領域からの散乱光とに呼応して第1の検出器から第1の出力信号を受信するステップと、
光線と表面上の領域からの散乱光とに呼応して第2の検出器から第2の出力信号を受信するステップと、
表面上の異常がマイクロスクラッチか、粒子かを判定するために、第1と第2の出力信号の比を求めるステップと、
を含む表面検査法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
表面に対して斜めの方向に光を入射させるステップを含み、比が1に近い場合には、異常が粒子であると判定し、比が所定の割合を下回る場合には、マイクロスクラッチであると判定する方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、
前記割合が、約0.8である方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、
表面に対して斜めの方向に光を入射させるステップをさらに含み、第1の出力信号がゼロでなく、第2の出力信号がほぼゼロである場合には、異常が粒子であると判定し、第1の出力信号がほぼゼロで、第2の出力信号がゼロでない場合には、マイクロスクラッチであると判定する方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法において、
表面に対して略垂直な方向に光を入射させるステップをさらに含み、比が1に近い場合には、異常が粒子であると判定し、比が1より大きい所定の値である場合には、マイクロスクラッチであると判定する方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、
前記値が、約1.6である方法。
【請求項19】
請求項13記載の方法において、
表面に対して略垂直な方向に光を入射させるステップをさらに含み、第1の出力信号がゼロでなく、第2の出力信号がほぼゼロである場合には、異常がマイクロスクラッチであると判定し、第1の出力信号がほぼゼロで、第2の出力信号がゼロでない場合には、粒子であると判定する方法。
【請求項20】
線から離れる方向に沿った表面領域から散乱した光線を第2の検出器に向かって反射して誘導する前記線に対して対称を成す軸を有する湾曲した鏡面を採用して表面上の異常を検出するための表面検査法であって、
表面を走査するために、表面に対して斜めの方向に光を入射させるステップと、
表面によって前方散乱方向に沿って散乱した光線を他の散乱方向とは別に集束し、この別に集束した光線を別に検出して、集束した前方への散乱光を表す第1の信号と、前方散乱光以外の集束した散乱光を表す第2の信号を出力するステップと、
表面の異常がマイクロスクラッチか、粒子かを判定するために、二つの信号を比較するステップと、
を含む表面検査法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、
前記比較するステップが、二つの信号の比を1と比較するステップと、その比が1に近い場合には、異常を粒子と呼び、第1の信号と第2の信号との比が所定の値を上回る場合には、マイクロスクラッチと呼ぶステップとを含む方法。
【請求項22】
請求項20記載の方法において、
前記比較するステップが、第1の信号がゼロでなく、第2の信号がほぼゼロである場合には、異常をマイクロスクラッチと呼び、それ以外の場合には、粒子と呼ぶステップを含む方法。
【請求項23】
請求項20記載の方法において、
前記セパレータによって互いに隔てられた別の光学経路に沿って散乱光を誘導することによって前記別の集束を行う方法。
【請求項24】
請求項20記載の方法において、
前方散乱方向を遮断するか、もしくは前方散乱方向以外のすべての散乱方向を遮断して、マスクの形態の空間フィルタを通して散乱光を誘導することによって前記別の集束を行う方法。
【請求項25】
線から離れる方向に沿った表面領域から散乱した光線を第2の検出器に向かって反射して誘導する前記線に対して対称を成す軸を有する湾曲した鏡面を採用して表面上の異常を検出するための表面検査法であって、
表面を走査するために、第1の偏光状態の光と第2の偏光状態の光を表面に対して斜めの方向に順次入射させ、前記第1と第2の状態は異なるものとするステップと、
順次行う走査の間に不良によって散乱した光線を集束し、一対の信号、すなわち、表面が第1の偏光状態の光で走査された場合に集束した散乱光を表す信号を含む第1の信号と、表面が第2の偏光状態の光で走査された場合に集束した散乱光を表す信号を含む第2の信号を出力するステップと、
表面の異常がマイクロスクラッチか、粒子かを判定するために、二つの信号を比較するステップと、
を含む表面検査法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、
前記比較するステップが、信号の比を導いて比を求めるステップと、比を所定の基準値と比較するステップとを含む方法。
【請求項27】
請求項25記載の方法において、
前記第1と第2の偏光状態が、S偏光とP偏光状態である方法。
【請求項28】
表面の粗さを判定する方法であって、
ヘイズ値を薄膜の表面の粗さと関連付けるデータベースを作成するステップと、
表面のヘイズ値を測定するステップと、
表面の粗さの値をヘイズ値およびデータベースから判定するステップと、
を含む方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、
前記作成するステップが、
代表的な薄膜の表面のヘイズ値を測定するステップと、
前記表面の粗さの値を測定するステップと、
前記データベースを収集するステップと、
を含む方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、
前記粗さの値の測定は、プロフィロメータまたは走査プローブ顕微鏡によって行う方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−189587(P2012−189587A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48604(P2012−48604)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【分割の表示】特願2009−47802(P2009−47802)の分割
【原出願日】平成14年4月3日(2002.4.3)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】