説明

位置情報解析装置、位置情報解析方法、位置情報解析システムおよびプログラム

【課題】無線ICタグの位置情報を高い精度で解析することができる位置情報解析装置を提供する。
【解決手段】位置情報解析装置10は、光学的に識別可能なマーカ21と、IC情報を無線通信により送信するICタグ22と、を一体的に有する識別タグ20との間で無線通信し、ICタグ22からIC情報を含む無線信号を受信する無線通信部111と、無線通信部111が識別タグ20と通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得部113と、画像データに含まれるマーカ21の画像の位置を解析することによりマーカ21の位置を特定し、特定されたマーカ21の位置を示す詳細位置情報を生成し、詳細位置情報を識別タグ20の位置情報として求める画像解析部114と、を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報解析装置、位置情報解析方法、位置情報解析システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信分野の技術として無線ICタグに関する技術が注目されている。無線ICタグは、その名の通り「無線」を利用して「IC」チップに保持された情報を通信する「タグ」である。無線ICタグは、プリペイドカード、流通管理用の荷札、盗難防止用チップ等々、様々な形態で現在でも日常的に利用されており、将来的にもユビキタス社会の発展に伴い欠くことのできない技術である。
【0003】
この種の技術として、特許文献1(特開2006−318313号公報)に記載の技術は、物品に無線ICタグを取り付け、この無線ICタグから受信した無線信号を解析して求めた位置情報に基づいて指定エリア内に物品があるか否か判定する防犯システムである。この防犯システムにおいて、物品が指定エリア外にあると判定されたとき、当該物品の位置情報の履歴に基づいて当該物品の移動方向を推定し、この移動方向に基づいて撮影すべき防犯カメラを特定することができる。
【0004】
また、この種の技術として、特許文献2(特開2006−268748号公報)に記載の技術は、無線ICタグと光学的に識別可能な情報を保持している光学的マーカが一体的に配置されて構成される複合マーカである。この複合マーカを用いて情報取得を行うシステムは、ICタグから取得される情報と、光学的マーカから取得される情報とを適切なタイミングにて切替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−318313号公報
【特許文献2】特開2006−268748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記技術は、以下の点で改善の余地を有していた。特許文献1に記載の技術は、無線ICタグから受信した無線信号を解析して物品の位置情報を求めるが、無線信号の特性上その解析精度には上限があり、それ以上の解析精度を要する場合には対応できなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無線ICタグの位置情報を高い精度で解析することができる位置情報解析装置、位置情報解析方法、位置情報解析システムおよびそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、光学的に識別可能なマーカと、IC情報を無線通信により送信するICタグと、を一体的に有する識別タグとの間で無線通信し、前記ICタグから前記IC情報を含む無線信号を受信する無線通信手段と、前記無線通信手段が前記識別タグと通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得手段と、前記画像データに含まれる前記マーカの画像の位置を解析することにより前記マーカの位置を特定し、特定された前記マーカの位置を示す詳細位置情報を生成し、前記詳細位置情報を前記識別タグの位置情報として求める画像解析手段と、を備えることを特徴とする位置情報解析装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、光学的に識別可能なマーカと、IC情報を無線通信により送信するICタグと、を一体的に有する識別タグとの間で無線通信し、前記ICタグから前記IC情報を含む無線信号を受信する受信ステップと、前記受信ステップにて前記識別タグと通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得ステップと、前記画像データに含まれる前記マーカの画像の位置を解析することにより前記マーカの位置を特定し、特定された前記マーカの位置を示す詳細位置情報を生成し、前記詳細位置情報を前記識別タグの位置情報として求める画像解析ステップと、を備えることを特徴とする位置情報解析方法が提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、光学的に識別可能なマーカと、IC情報を無線通信により送信するICタグと、を一体的に有する識別タグと、前記識別タグの位置情報を求める位置情報解析装置と、を備え、前記位置情報解析装置は、前記識別タグとの間で無線通信し、前記ICタグから前記IC情報を含む無線信号を受信する無線通信手段と、前記無線通信手段が前記識別タグと通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得手段と、前記画像データに含まれる前記マーカの画像の位置を解析することにより前記マーカの位置を特定し、特定された前記マーカの位置を示す詳細位置情報を生成し、前記詳細位置情報を前記識別タグの位置情報として求める画像解析手段と、を含むことを特徴とする位置情報解析システムが提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、コンピュータ読み出し可能な記憶媒体に格納されるプログラムであって、光学的に識別可能なマーカと、IC情報を無線通信により送信するICタグと、を一体的に有する識別タグとの間で無線通信し、前記ICタグから前記IC情報を含む無線信号を受信する受信処理と、前記受信処理にて前記識別タグと通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得処理と、前記画像データに含まれる前記マーカの画像の位置を解析することにより前記マーカの位置を特定し、特定された前記マーカの位置を示す詳細位置情報を生成し、前記詳細位置情報を前記識別タグの位置情報として求める画像解析処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
上記発明は、通信可能領域内を示す画像データから光学的にマーカを識別し、マーカの位置情報を解析して求められた詳細位置情報を識別タグの位置情報として求めるので、無線信号を解析して求められる位置情報より高精度な位置情報を得ることができる。また、上記発明は、無線通信部とICタグとが通信可能な領域の画像データのみを取得して画像解析処理を行うので、通常の画像解析処理による位置情報解析よりも画像解析処理の負荷が軽減される。
【0013】
本発明によれば、無線ICタグの位置情報を高い精度で解析することができる位置情報解析装置、位置情報解析方法、位置情報解析システムおよびそのプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の位置情報解析システムのブロック図である。
【図2】本発明の識別タグの外観図である。
【図3】本発明の位置情報解析システムの概観図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における位置情報解析方法のフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態の位置情報解析システムのブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における位置情報解析方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施形態の位置情報解析システムのブロック図である。位置情報解析システム1は、光学的に識別可能なマーカ21と、IC情報を無線通信により送信するICタグ22と、を一体的に有する識別タグ20と、識別タグ20の位置情報を求める位置情報解析装置10と、を備える。位置情報解析装置10は、識別タグ20との間で無線通信し、ICタグ22からIC情報を含む無線信号を受信する無線通信部111を含む。また、位置情報解析装置10は、無線通信部111が識別タグ20と通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得部113を含む。さらに、位置情報解析装置10は、画像データに含まれるマーカ21の画像の位置を解析することによりマーカ21の位置を特定し、特定されたマーカ21の位置を示す詳細位置情報を生成し、詳細位置情報を識別タグ20の位置情報として求める画像解析部114を含む。
【0017】
ここで、識別タグ20の位置情報(詳細位置情報)は、位置情報解析装置10が無線通信可能な領域に含まれる一部の領域として求められてもよい。また、識別タグ20の位置情報は、座標点として求められてもよい。
【0018】
また、位置情報解析システム1は、無線信号を受信するアンテナ部30を少なくとも1つ備えてもよく、撮像して画像データを生成する撮像部40を少なくとも1つ備えてもよい。アンテナ部30および撮像部40は、情報処理部11と電気的に接続され、情報の授受が可能であってもよい。無線通信部111はアンテナ部30を介して無線信号を受信してもよく、画像取得部113は撮像部40が生成した画像データを取得してもよい。
【0019】
情報処理部11に内包される構成の全部または一部は、ハードウェアで実現されてもよいし、あるいは、プロセッサに処理を実行させるプログラム(またはプログラムコード)で実現されてもよい。プロセッサは、不揮発性メモリなどの記録媒体からそのプログラムを読み出し実行する。本実施形態において、プロセッサは情報処理部11であってもよく、記憶媒体は記憶部12であってもよい。
【0020】
情報処理部11に内包される構成がプログラムによって実施される場合、当該プログラムはプロセッサ(コンピュータ)読み出し可能な記憶媒体に格納される。そして、当該プログラムは、光学的に識別可能なマーカ21と、IC情報を無線通信により送信するICタグ22と、を一体的に有する識別タグ20との間で無線通信し、ICタグ22からIC情報を含む無線信号を受信する受信処理をプロセッサ(コンピュータ)に実行させてもよい。また、当該プログラムは、受信処理にて識別タグ20と通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得処理をプロセッサ(コンピュータ)に実行させてもよい。また、当該プログラムは、画像データに含まれるマーカ21の画像の位置を解析することによりマーカ21の位置を特定し、特定されたマーカ21の位置を示す詳細位置情報を生成し、詳細位置情報を識別タグ20の位置情報として求める画像解析処理をプロセッサ(コンピュータ)に実行させてもよい。
【0021】
本実施形態においては、位置情報解析装置10が通信可能な領域に識別タグ20が一つ配置されているものとする。
【0022】
図2は、識別タグ20の外観図である。マーカ21は、光学的に識別可能であれば、その形状は絵、記号および文字のいずれでもよい。また、ICタグ22は位置情報解析装置10と無線通信可能であれば、用いる信号の周波数帯はいずれでもよい。
【0023】
図3は、位置情報解析システム1の概観図である。エリア31は、位置情報解析装置10がアンテナ部30を介して識別タグ20と無線通信可能な領域を示している。エリア32は、撮像部40が撮像可能な領域を示している。エリア33は、アンテナ部30を介して位置情報解析装置10(無線通信部111)が受信した無線信号を解析することにより求められる位置情報(簡易位置情報)が示す領域である。エリア34は、撮像部40が生成した画像データを解析することにより求められる位置情報(詳細位置情報)が示す領域である。
【0024】
無線信号解析による位置解析より画像解析による位置解析の方が高精度であるため、図3に示すとおり簡易位置情報が示すエリア33より詳細位置情報が示すエリア34の方が狭い領域となる。
【0025】
さらに、位置情報解析装置10は、無線通信部111が受信した無線信号を解析することにより、ICタグの位置を含む無線信号解析領域を特定し、無線信号解析領域を示す簡易位置情報を生成する無線信号解析部112を備えてもよい。この場合、画像取得部113は、簡易位置情報に基づいて無線信号解析領域の簡易位置画像データを画像データとして取得してもよい。そして、画像解析部114は、簡易位置画像データを解析することにより、詳細位置情報を生成してもよい。なお、無線信号解析部112も、情報処理部11に内包されてもよい。
【0026】
これによって、画像解析部114が処理する画像データのデータ量がさらに縮小するので、画像解析部114の処理負荷がさらに軽減される。
【0027】
なお、無線信号解析部112は、無線通信部111に接続されるアンテナ部30の位置情報、アンテナ部30の指向性または受信した無線信号の信号強度を解析して簡易位置情報を求めてもよい。
【0028】
画像取得部113が、無線信号解析領域(エリア33)の簡易位置画像データを取得する方法はいずれでもよい。
【0029】
例えば、画像取得部113は、撮像して画像データを生成する撮像部40が撮像する領域を簡易位置情報に基づいて制御することにより、撮像部40に簡易位置画像データを生成させて、撮像部40から簡易位置画像データを取得してもよい。
【0030】
画像取得部113は、撮像して画像データを生成する撮像部40が撮像可能な領域の全部を示す全体画像データを取得して、簡易位置情報に基づいて全体画像データをトリミングすることにより、簡易位置画像データを取得してもよい。
【0031】
上述した構成要素によって、位置情報解析装置10は、識別タグ20の位置情報を高精度に求めることができる。なお、本実施形態においては、以下のような変形例を適用することもできる。
【0032】
位置情報解析装置10は、詳細位置情報を、画像データが生成された生成タイミングに対応付けて記憶する記憶部12をさらに備えてもよい。このとき、位置情報解析装置10は、互いに生成タイミングが異なる複数の詳細位置情報が記憶部12に記憶されているとき、複数の詳細位置情報をそれぞれの生成タイミングを用いて解析することにより、識別タグ20の移動方向を示す移動方向情報を生成する移動方向解析部115を備えてもよい。なお、移動方向解析部115も、情報処理部11に内包されてもよい。
【0033】
これによって、位置情報解析装置10は、識別タグ20の移動方向情報を生成することができるので、識別タグ20の位置をトレースすることが可能となる。
【0034】
上記生成タイミングとは、撮像部40が生成した画像データを時系列的に表す情報であればいずれでもよい。例えば、撮像部40が画像データを生成した時刻でもよく、画像データが生成された順番に画像データに割り当てられるシーケンス番号(フレーム番号等)であってもよい。
【0035】
なお、本実施形態の位置情報解析装置10は、無線信号解析部112を必ずしも備えなくてもよい。また、本実施形態の位置情報解析装置10は、記憶部12または移動方向解析部115も必ずしも備えなくてもよい。
【0036】
図4は、本実施形態における位置情報解析方法のフローチャートである。本実施形態の位置情報解析方法は、光学的に識別可能なマーカ21と、IC情報を無線通信により送信するICタグ22と、を一体的に有する識別タグ20との間で無線通信し、ICタグ22からIC情報を含む無線信号を受信する受信ステップ(ステップS101)を備えてもよい。また、この位置情報解析方法は、受信ステップ(ステップS101)にて識別タグ20と通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得ステップ(ステップS103)を備えてもよい。さらに、この位置情報解析方法は、画像データに含まれるマーカ21の画像の位置を解析することによりマーカ21の位置を特定し、特定されたマーカ21の位置を示す詳細位置情報を生成し、詳細位置情報を識別タグ20の位置情報として求める画像解析ステップ(ステップS104)と、を備えてもよい。
【0037】
また、この位置情報解析方法は、受信ステップ(ステップS101)にて受信した無線信号を解析することにより、ICタグ22の位置を含む無線信号解析領域を特定し、無線信号解析領域を示す簡易位置情報を生成する無線信号解析ステップ(ステップS102)を備えてもよい。この場合、画像取得ステップ(ステップS103)は、簡易位置情報に基づいて無線信号解析領域の簡易位置画像データを画像データとして取得してもよい。また、画像解析ステップ(ステップS104)は、簡易位置画像データを解析することにより、詳細位置情報を生成してもよい。
【0038】
このとき、画像取得ステップ(ステップS103)は、画像データを生成する撮像部40が撮像する領域を簡易位置情報に基づいて制御することにより、撮像部40に簡易位置画像データを生成させて、撮像部40から簡易位置画像データを取得してもよい。または、画像取得ステップ(ステップS103)は、撮像して画像データを生成する撮像部40が撮像可能な領域の全部を示す全体画像データを取得して、簡易位置情報に基づいて全体画像データをトリミングすることにより、簡易位置画像データを取得してもよい。
【0039】
なお、無線信号解析ステップ(ステップS102)は、受信ステップ(ステップS102)にて用いられるアンテナ部30の位置情報、アンテナ部30の指向性または受信した無線信号の信号強度を解析して簡易位置情報を求めてもよい。
【0040】
さらに、この位置情報解析方法は、詳細位置情報を、画像データが生成された生成タイミングに対応付けて記憶部12に記憶する位置情報記憶ステップ(ステップS106)と、互いに生成タイミングが異なる複数の詳細位置情報が記憶部12に記憶されているとき(ステップS107のYES)、複数の詳細位置情報をそれぞれの生成タイミングを用いて解析することにより、識別タグ20の移動方向を示す移動方向情報を生成する移動方向解析ステップ(ステップS108)と、を備えてもよい。
【0041】
さらに、この位置情報解析方法は、互いに生成タイミングが異なる複数の詳細位置情報が記憶部12に記憶されていないとき(ステップS107のNO)、移動方向情報を求めずに位置情報解析を終了してもよい。
【0042】
さらに、この位置情報解析方法は、画像解析ステップ(ステップS104)にて、画像データからマーカの位置情報が解析できるときは(ステップS105のYES)、位置情報記憶ステップ(ステップS106)に移行してもよい。一方で、本実施形態の位置情報解析方法は、画像解析ステップ(ステップS104)にて、画像データからマーカが検知できない、またはマーカが複数検知される等の理由で、画像データからマーカの位置情報が解析できないときは(ステップS105のNO)、正当な位置情報解析ができないので当該画像データは破棄して、位置情報解析を終了してもよい。
【0043】
なお、本実施形態の位置情報解析方法は、無線信号解析ステップ(ステップS102)を必ずしも備えなくてもよい。また、この位置情報解析方法は、位置情報記憶ステップ(ステップS106)または移動方向解析ステップ(ステップS108)も必ずしも備えなくてもよい。
【0044】
ここでは、本実施形態の位置情報解析システム1の効果を述べる。本実施形態の位置情報解析システム1は、識別タグ20の位置情報を画像解析により求めるので、無線信号の解析により求められる位置情報より詳細な位置情報を得ることができる。
【0045】
また、本実施形態の位置情報解析システム1は、位置情報解析装置10とICタグ22とが通信可能な領域の画像データの全部または一部を取得して画像解析処理を行うので、通常の画像解析処理による位置情報解析よりも画像解析処理の負荷が軽減される。
【0046】
さらに、本実施形態の位置情報解析システム1は、無線信号の解析により求められるICタグ22の位置情報に基づいて限定された領域の画像データを取得してもよいので、画像解析の処理負荷をさらに軽減することもできる。
【0047】
さらに、本実施形態の位置情報解析システム1は、互いに生成タイミングが異なる複数の詳細位置情報に基づいて解析して識別タグ20の移動方向情報を生成してもよいので、識別タグ20の位置をトレースすることもできる。
【0048】
〔第2の実施形態〕
図5は、本実施形態の位置情報解析システムのブロック図である。本実施形態においては、位置情報解析装置10が無線通信可能な領域に複数の識別タグ20が配置されているものとする。
【0049】
本実施形態の位置情報解析システム1は、複数の識別タグ20のうち識別タグ20aと識別タグ20bとが、撮像部40によって撮像され、また位置情報解析装置10と無線通信している。識別タグ20aはマーカ21aとICタグ22aとを有しており、識別タグ20bはマーカ21bとICタグ22bとを有している。
【0050】
ここでは複数の識別タグ20のうち、識別タグ20aの位置情報を解析するものとする。本実施形態において識別タグ20aの位置情報を解析するには、識別タグ20aを特定する識別情報が必要である。よって、ICタグ22aが送信するIC情報に識別タグ20aの識別番号が内包されてもよい。このとき、位置情報解析装置10は、無線通信部111がIC情報を含む無線信号を複数受信したとき、識別タグ20aの識別番号が内包されるIC情報を含む無線信号を選択する無線信号選択部116を備え、無線信号解析部112は、無線信号選択部116が選択した無線信号を解析してもよい。なお、無線信号選択部116も、情報処理部11に内包されてもよい。
【0051】
これによって、位置情報解析装置10が無線通信可能な領域に複数の識別タグ20が存在しても、位置情報解析装置10は、複数の識別タグ20のうちのいずれかを特定して、特定した識別タグ20の位置情報を求めることができる。
【0052】
また、無線信号選択部116は、同一の識別番号が内包されるIC情報を含む無線信号が複数存在したとき、信号強度の高い無線信号を選択してもよい。
【0053】
これによって、アンテナ部30が複数存在する環境等において、位置情報解析装置10が同一の識別番号を含む無線信号を複数受信しても、位置情報解析装置10は、識別タグ20の位置情報を求めることができる。
【0054】
本実施形態において、記憶部12は、詳細位置情報と生成タイミングとともに識別番号を対応付けて記憶し、移動方向解析部115は、同一の識別番号と対応付けられて互いに生成タイミングが異なる複数の詳細位置情報が記憶部12に記憶されているとき、複数の詳位置情報をそれぞれの生成タイミングを用いて解析し、移動方向情報を生成してもよい。
【0055】
なお、本実施形態の位置情報解析装置10も、第1実施形態と同様に、記憶部12または移動方向解析部115を必ずしも備えなくてもよい。
【0056】
図6は、本実施形態における位置情報解析方法のフローチャートである。本実施形態の位置情報解析方法は、ICタグ22が送信するIC情報に識別タグ20の識別番号が内包されるときの位置情報解析方法である。図6に示すフローチャートのステップS201およびステップS204〜ステップS206は、図4に示すフローチャートのステップS101およびステップS103〜ステップS105にて実行される処理と同様である。
【0057】
本実施形態の位置情報解析方法においては、さらに以下のステップが追加される。すなわち、受信ステップ(ステップS201)にてIC情報を含む無線信号を複数受信したとき、所定の識別タグ20の識別番号が内包されるIC情報を含む無線信号を選択する無線信号選択ステップ(ステップS202)を備え、無線信号解析ステップ(ステップS203)は、無線信号選択ステップ(ステップS202)にて選択した無線信号を解析してもよい。
【0058】
なお、無線信号選択ステップ(ステップS202)は、同一の識別番号が内包されるIC情報を含む無線信号が複数存在したとき、信号強度の高い無線信号を選択してもよい。
【0059】
さらに、位置情報記憶ステップ(ステップS207)は、詳細位置情報と生成タイミングとともに識別番号を対応付けて記憶し、移動方向解析ステップ(ステップS209)は、同一の識別番号と対応付けられて互いに生成タイミングが異なる複数の詳細位置情報が記憶部12に記憶されているとき(ステップS208のYES)、複数の詳細位置情報をそれぞれの生成タイミングを用いて解析し、移動方向情報を生成してもよい。
【0060】
同一の識別番号と対応付けられて互いに生成タイミングが異なる複数の詳細位置情報が記憶部12に記憶されていないとき(ステップS208のNO)、移動方向情報を求めずに位置情報解析を終了してもよい。
【0061】
なお、本実施形態の位置情報解析方法は、位置情報記憶ステップ(ステップS207)または移動方向解析ステップ(ステップS209)を必ずしも備えなくてもよい。
【0062】
本実施形態の位置情報解析システム1の効果を述べる。本実施形態の位置情報解析システム1は、位置情報解析装置10が無線通信可能な領域に複数の識別タグ20が存在しても、IC情報に内包される識別番号に基づいて通信相手の識別タグ20を特定して、特定した識別タグ20の位置情報を求めることができる。
【0063】
また、本実施形態の位置情報解析システム1は、位置情報解析装置10が同一の識別番号を含む無線信号を複数受信しても、受信した無線信号の信号強度に基づいて解析に必要な無線信号を選択して、選択した無線信号を用いて識別タグ20の位置情報を求めることができる。
【0064】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0065】
例えば、第1の実施形態および第2の実施形態において、アンテナ部30および撮像部40は、位置情報解析装置10の外部に設置される構成としたが、位置情報解析装置10は、アンテナ部30および撮像部40の少なくとも一方を備えてもよい。
【0066】
また、第1の実施形態および第2の実施形態において、位置情報解析装置10は移動方向解析部115を備えなくてもよい。このとき、位置情報解析装置10は、識別タグ20の位置情報を高精度に求めることができる。この場合、記憶部12は、詳細位置情報を画像データが生成された生成タイミングに対応付けて記憶しなくてもよい。
【0067】
さらに、第1の実施形態において、位置情報解析装置10は無線信号解析部112を備える構成としたが、これが無い構成であってもよい。このとき、画像取得部113は、無線通信部111から無線信号を受信したアンテナ部30が無線通信可能な領域を示す情報を取得してもよい。そして、画像取得部113は、取得した情報に基づいて通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得してもよい。
【0068】
さらに、第1の実施形態において、無線信号解析部112を備えず、無線信号解析ステップ(ステップS102)が実行されない場合、受信ステップ(ステップS101)と画像取得ステップ(ステップS103)とは、どちらが先に処理されてもよく、並行して処理されても構わない。
【0069】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各構成要素の機能などを具体的に説明したが、その機能などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【0070】
上述した実施の形態に対して上述の変形例のいずれを組み合わせても、位置情報解析装置10が求める識別タグ20の位置情報は、画像解析により求められるので、無線信号を解析して求められる位置情報より高精度に位置情報を求めることができる。また、位置情報解析装置10は、通信可能な領域の画像データの全部または一部を取得して画像解析処理を行うので、通常の画像解析処理による位置情報解析よりも画像解析処理の負荷が軽減される。
【符号の説明】
【0071】
1 位置情報解析システム
10 位置情報解析装置
11 情報処理部
111 無線通信部
112 無線信号解析部
113 画像取得部
114 画像解析部
115 移動方向解析部
116 無線信号選択部
12 記憶部
20 識別タグ
20a 識別タグ
20b 識別タグ
21 マーカ
21a マーカ
21b マーカ
31 エリア
32 エリア
33 エリア
34 エリア
22 ICタグ
22a ICタグ
22b ICタグ
30 アンテナ部
40 撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に識別可能なマーカと、IC情報を無線通信により送信するICタグと、を一体的に有する識別タグとの間で無線通信し、前記ICタグから前記IC情報を含む無線信号を受信する無線通信手段と、
前記無線通信手段が前記識別タグと通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得手段と、
前記画像データに含まれる前記マーカの画像の位置を解析することにより前記マーカの位置を特定し、特定された前記マーカの位置を示す詳細位置情報を生成し、前記詳細位置情報を前記識別タグの位置情報として求める画像解析手段と、
を備えることを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置情報解析装置において、
前記詳細位置情報を、前記画像データが生成された生成タイミングに対応付けて記憶する記憶手段と、
互いに前記生成タイミングが異なる複数の前記詳細位置情報が前記記憶手段に記憶されているとき、複数の前記詳細位置情報をそれぞれの前記生成タイミングを用いて解析することにより、前記識別タグの移動方向を示す移動方向情報を生成する移動方向解析手段と、
を備えることを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位置情報解析装置において、
前記無線通信手段が受信した前記無線信号を解析することにより、前記ICタグの位置を含む無線信号解析領域を特定し、前記無線信号解析領域を示す簡易位置情報を生成する無線信号解析手段を備え、
前記画像取得手段は、前記簡易位置情報に基づいて前記無線信号解析領域の簡易位置画像データを前記画像データとして取得し、
前記画像解析手段は、前記簡易位置画像データを解析することにより、前記詳細位置情報を生成することを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の位置情報解析装置において、
前記画像取得手段は、前記画像データを生成する撮像手段が撮像する領域を前記簡易位置情報に基づいて制御することにより、前記撮像手段に前記簡易位置画像データを生成させて、前記撮像手段から前記簡易位置画像データを取得することを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項5】
請求項3に記載の位置情報解析装置において、
前記画像取得手段は、前記画像データを生成する撮像手段が撮像可能な領域の全部を示す全体画像データを取得して、前記簡易位置情報に基づいて前記全体画像データをトリミングすることにより、前記簡易位置画像データを取得することを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項6】
請求項3乃至5いずれかに記載の位置情報解析装置において、
前記無線信号解析手段は、前記無線通信手段に接続されるアンテナ手段の位置情報、前記アンテナ手段の指向性または受信した無線信号の信号強度を解析して前記簡易位置情報を求めることを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項7】
請求項3乃至6いずれかに記載の位置情報解析装置において、
前記IC情報に前記識別タグの識別番号が内包され、
前記無線通信手段が前記IC情報を含む無線信号を複数受信したとき、所定の識別タグの識別番号が内包されるIC情報を含む無線信号を選択する無線信号選択手段を備え、
前記無線信号解析手段は、前記無線信号選択手段が選択した無線信号を解析することを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項8】
請求項7に記載の位置情報解析装置において、
前記無線信号選択手段は、同一の前記識別番号が内包されるIC情報を含む無線信号が複数存在したとき、信号強度の高い無線信号を選択することを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項9】
請求項2に従属する請求項7または8に記載の位置情報解析装置において、
前記記憶手段は、前記詳細位置情報と前記生成タイミングとともに前記識別番号を対応付けて記憶し、
前記移動方向解析手段は、同一の識別番号と対応付けられて互いに前記生成タイミングが異なる複数の前記詳細位置情報が前記記憶手段に記憶されているとき、複数の前記詳細位置情報をそれぞれの前記生成タイミングを用いて解析し、前記移動方向情報を生成することを特徴とする位置情報解析装置。
【請求項10】
光学的に識別可能なマーカと、IC情報を無線通信により送信するICタグと、を一体的に有する識別タグとの間で無線通信し、前記ICタグから前記IC情報を含む無線信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにて前記識別タグと通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得ステップと、
前記画像データに含まれる前記マーカの画像の位置を解析することにより前記マーカの位置を特定し、特定された前記マーカの位置を示す詳細位置情報を生成し、前記詳細位置情報を前記識別タグの位置情報として求める画像解析ステップと、
を備えることを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項11】
請求項10に記載の位置情報解析方法において、
前記詳細位置情報を、前記画像データが生成された生成タイミングに対応付けて記憶手段に記憶する位置情報記憶ステップと、
互いに前記生成タイミングが異なる複数の前記詳細位置情報が前記記憶手段に記憶されているとき、複数の前記詳細位置情報をそれぞれの前記生成タイミングを用いて解析することにより、前記識別タグの移動方向を示す移動方向情報を生成する移動方向解析ステップと、
を備えることを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の位置情報解析方法において、
前記受信ステップにて受信した前記無線信号を解析することにより、前記ICタグの位置を含む無線信号解析領域を特定し、前記無線信号解析領域を示す簡易位置情報を生成する無線信号解析ステップを備え、
前記画像取得ステップは、前記簡易位置情報に基づいて前記無線信号解析領域の簡易位置画像データを前記画像データとして取得し、
前記画像解析ステップは、前記簡易位置画像データを解析することにより、前記詳細位置情報を生成することを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項13】
請求項12に記載の位置情報解析方法において、
前記画像取得ステップは、前記画像データを生成する撮像手段が撮像する領域を前記簡易位置情報に基づいて制御することにより、前記撮像手段に前記簡易位置画像データを生成させて、前記撮像手段から前記簡易位置画像データを取得することを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項14】
請求項12に記載の位置情報解析方法において、
前記画像取得ステップは、前記画像データを生成する撮像手段が撮像可能な領域の全部を示す全体画像データを取得して、前記簡易位置情報に基づいて前記全体画像データをトリミングすることにより、前記簡易位置画像データを取得することを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項15】
請求項12乃至14いずれかに記載の位置情報解析方法において、
前記無線信号解析ステップは、前記受信ステップにて用いられるアンテナ手段の位置情報、前記アンテナ手段の指向性または受信した無線信号の信号強度を解析して前記簡易位置情報を求めることを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項16】
請求項12乃至15いずれかに記載の位置情報解析方法において、
前記IC情報に前記識別タグの識別番号が内包され、
前記受信ステップにて前記IC情報を含む無線信号を複数受信したとき、所定の識別タグの識別番号が内包されるIC情報を含む無線信号を選択する無線信号選択ステップを備え、
前記無線信号解析ステップは、前記無線信号選択ステップにて選択した無線信号を解析することを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項17】
請求項16に記載の位置情報解析方法において、
前記無線信号選択ステップは、同一の前記識別番号が内包されるIC情報を含む無線信号が複数存在したとき、信号強度の高い無線信号を選択することを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項18】
請求項11に従属する請求項16または17に記載の位置情報解析方法において、
前記位置情報記憶ステップは、前記詳細位置情報と前記生成タイミングとともに前記識別番号を対応付けて記憶し、
前記移動方向解析ステップは、同一の識別番号と対応付けられて互いに前記生成タイミングが異なる複数の前記詳細位置情報が前記記憶手段に記憶されているとき、複数の前記詳細位置情報をそれぞれの前記生成タイミングを用いて解析し、前記移動方向情報を生成することを特徴とする位置情報解析方法。
【請求項19】
光学的に識別可能なマーカと、IC情報を無線通信により送信するICタグと、を一体的に有する識別タグと、
前記識別タグの位置情報を求める位置情報解析装置と、を備え、
前記位置情報解析装置は、
前記識別タグとの間で無線通信し、前記ICタグから前記IC情報を含む無線信号を受信する無線通信手段と、
前記無線通信手段が前記識別タグと通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得手段と、
前記画像データに含まれる前記マーカの画像の位置を解析することにより前記マーカの位置を特定し、特定された前記マーカの位置を示す詳細位置情報を生成し、前記詳細位置情報を前記識別タグの位置情報として求める画像解析手段と、
を含むことを特徴とする位置情報解析システム。
【請求項20】
コンピュータ読み出し可能な記憶媒体に格納されるプログラムであって、
光学的に識別可能なマーカと、IC情報を無線通信により送信するICタグと、を一体的に有する識別タグとの間で無線通信し、前記ICタグから前記IC情報を含む無線信号を受信する受信処理と、
前記受信処理にて前記識別タグと通信可能な領域の全部または一部を示す画像データを取得する画像取得処理と、
前記画像データに含まれる前記マーカの画像の位置を解析することにより前記マーカの位置を特定し、特定された前記マーカの位置を示す詳細位置情報を生成し、前記詳細位置情報を前記識別タグの位置情報として求める画像解析処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−164443(P2010−164443A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7289(P2009−7289)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】