説明

作業車両

【課題】エンジン負荷率とエンジン回転数との相関性を考慮して車速制御が可能な作業車両を提供すること。
【解決手段】エンジン62とミッションケース65内にギヤ噛合式変速装置を備え、エンジン62の回転数の上限値を最高車速に制限する制御中では、エンジン負荷率が90%又はその近傍の制限値を越える高負荷状態にある場合には、ギヤ式変速装置の減速比を変更する制御を行い、エンジン負荷率が所定の制限値を越えない余裕がある状態ではエンジン負荷率を下げることなくエンジン回転数が制限値を越えないように制御を行う制御装置100を備えた走行車両である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関し、特にエネルギーの浪費を節減した省エネルギー作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタなどの作業車両は法律上路上走行時でも最高速度が35km/hに制限されている。そこでエンジン負荷に余裕があれば、エンジン回転数を最高にしないで35km/hの速度で運転する構成になっている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−125295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1記載の発明は、エンジン負荷率に余裕があって車速を45km/hとすることができてもエンジン回転数は最大値として、変速装置で制限速度である35km/hに速度を落として運転する構成であるため、エネルギーロスがあった。
本発明の課題は、エンジン負荷率とエンジン回転数との相関性を考慮して車速制御が可能な作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、エンジン(62)のエンジン回転数とギヤ式変速装置(G)の変速比との関連で最高車速を制限する構成を備えた作業車両において、エンジン負荷率が所定の制限値を越える高負荷状態にある場合には、エンジン回転数を上昇させる側に変更し、ギヤ式変速装置(G)の変速段を減速側に変速する制御を行って規定の最高車速を越えないように制御を行い、エンジン負荷率が前記所定の制限値を越えない余裕がある状態では、エンジン回転数を下降させる側に変更し、ギヤ式変速装置(G)の変速段を増速側に変速する制御を行って前記最高車速を越えないように制御を行う制御装置(100)を備えた作業車両である。
【0005】
請求項1記載の発明によれば、法定制限車速を越える車速が出せるエンジンとギヤ式変速装置(G)を備えた構成にしておき、エンジン負荷率に余裕がある場合にはエンジン負荷率を下げることなく、エンジン回転数を下げると共に、ギヤ式変速装置(G)の変速段を増速側に変速して走行し、エンジン負荷が大きくなってくるとエンジン回転数を上昇させ、ギヤ式変速装置(G)の変速段を減速側に変更することで最高車速を制限する走行する。
【0006】
請求項2記載の発明は、エンジン負荷率が所定の制限値を越える高負荷状態にある場合に、エンジン回転数を上昇させる側に変更し、ギヤ式変速装置(G)の変速段を減速側に変速する制御を行って規定の最高車速を越えないようにする制御中において、エンジン負荷率に余裕が発生してエンジン回転数が上昇しようとする場合には、瞬時にギヤ式変速装置(G)を減速側に変速して規定の最高車速を越えないように制御を行う請求項1記載の作業車両である。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、エンジン負荷率が所定の制限値を越える高負荷状態のときには、エンジン回転数を上昇させる側に変更し、ギヤ式変速装置(G)の変速を減速側に変速して規定の最高車速を越えないように走行している。しかしながら、エンジン回転数を上昇させる側に変更しても、特に高負荷のときにはエンジン回転数は規定の値まで上がりきっていないことがある。
【0008】
このような状況のときに、急にエンジン負荷率に余裕が生じると、制御装置(100)はエンジン回転数を下降させる側に指示を出すものの、エンジン負荷が急に抜けると、エンジン回転数は瞬間的に上昇してしまうという現象が生じてしまい、車速が規定速度を越えてしまうことがある。このような状態のときには、瞬時にギヤ式変速装置(G)の変速段を減速側に変更して最高車速を越えないように制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、エンジン負荷率に余裕がある場合にはエンジン負荷率を下げることなく、エンジン回転数を下げると共に、ギヤ式変速装置(G)の変速段を増速側に変速して走行し、エンジン負荷が大きくなってくるとエンジン回転数を上昇させ、ギヤ式変速装置(G)の変速段を減速側に変更することで最高車速を制限する走行することにより、法規制をクリアしながら省エネルギーの運転が可能になる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、エンジン(62)が高負荷状態のときにエンジン回転数を上昇させる側に変更しても、エンジン回転数が規定値まで上がりきっていないときに、急にエンジン負荷率に余裕が生じても瞬時にギヤ式変速装置(G)の変速段を減速側に変更して最高車速を越えないように制御を行うことで、省エネ運転と共に、最高車速を越えない安全な走行が可能となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1には本実施例のトラクタの側面図を示す。
乗用四輪駆動の走行形態を有するトラクタ走行機体Tは、ステアリングハンドル73で前輪61を操向しながら走行運転する。走行機体Tの後部にはロータリ耕耘装置等の作業機Rを昇降可能に装着して対地作業を行うことができる。この走行機体Tは、前端部にフロントアクスルハウジングに支架させるエンジンブラケットを介してエンジン62を搭載し、このエンジン62の後側にクラッチハウジングや、ギア式変速装置(トランスミッション)Gを収納したミッションケース65等を一体的に連結し、このミッションケース65の最後部にリヤアクスルハウジング75を設けて、左右両側部に後輪63を軸装する。
【0012】
図2には本実施例のトラクタの動力伝動系統図を示す。
なお本実施例でトラクタの前進方向に向かって左右をそれぞれ左、右といい、前後をそれぞれ前、後ということにする。
エンジン62からの駆動力によりクラッチハウジング部の入力軸2が駆動される。ミッションケース65内の伝動機構を介して後端部の出力軸3及びPTO軸14を連動すると共に、ミッションケース65の下部に設けた前輪出力軸5を連動する構成としている。この出力軸3はミッションケース65内の後部の略中央部において前後方向に沿うように軸受されて後端にドライブピニオンギヤ53を有し、リヤデフ45のデフリングギヤ46に噛合し、リヤアクスルハウジング75に沿って軸装されたリヤデフ軸10と後輪軸11を遊星減速機構16を介して連動する。また、前輪出力軸5はミッションケース65の下部からエンジン62の下部を経て、フロントアクスルハウジングの中央部に設けられるフロントデフ47の入力軸26に連結され、このフロントアクスルハウジングに沿って軸装されるフロントデフ軸12及び遊星減速機構等を介して前輪軸13へ連動する構成としている。
【0013】
本実施例のトランスミッションGは、エンジン62によって駆動される入力軸2から入力ギヤ31を経由してPTOカウンタ軸9(PTO変速カウンタギヤ44を有する)を駆動する。該PTOカウンタ軸9にはPTOクラッチパック66を設けている。また入力軸2には前後進切替用の前後進切替ギヤ42、42が遊転状態に設けられ、一方の後進側の前後進切替ギヤ42には入力軸2と並列配置されたバックカウンタ軸8に設けられたバックカウンタギヤ43が噛合し、他方の前進側の前後進切替ギヤ42には主変速軸19上に固定した入力ギヤ48と該主変速軸19上に遊転自在に設けた有効径の異なる4つの主変速ギヤ33を設ける。これら4つの主変速ギヤ33は、四段変速に構成され、クラッチパック76によって切替シフトされ、4つの主変速ギヤ33から構成される変速装置Gを主変速装置Aということにする。
【0014】
前記主変速軸19上には、前記主変速装置Aの4つの主変速ギヤ33のうち、最も有効径の小さい主変速ギヤ33(第1速用)と3番目に有効径の小さい主変速ギヤ33(第3速用)との間にクラッチパック76を固定して設け、2番目に有効径の小さい主変速ギヤ33(第2速用)と最も有効径の大きい主変速ギヤ33(第4速用)との間にクラッチパック76を固定して設ける。前記2つのクラッチパック76には、各主変速ギヤ33を主変速軸19と一体回転するように連結する摩擦クラッチが各々設けられている。
【0015】
また、前後進切替ギヤ42の前進側のギヤと噛合可能な入力ギヤ48は、前後進切替ギヤ42の後進側のギヤともバックカウンタ軸8上のバックカウンタギヤ43と噛合っており、該前後進切替ギヤ42のうちの前進側のギヤ42と後進側のギヤ42とを、前後独立した摩擦クラッチから成る2つの前後進切替クラッチパック60の切替によって択一的に入力軸2と一体化して、前進走行と後進走行とに切替えられる構成である。後述する油圧シリンダ85(図3)を含めこれらギヤ42とクラッチパック60などからなる構成を前後進クラッチDということにする。
また、前後進クラッチDの切替を手動で行う前後進切替レバー115をステアリングハンドルのポスト部分に設けている。
【0016】
主変速軸19と同軸芯位置に設けられた副変速軸20にはクラッチパック76によって切替シフトされる有効径の異なる2つの高低速切替ギヤ34が設けられており、主変速後の駆動力を更に減速して高速と低速とに切り替えることができる。この高速と低速とに切り替え可能なギヤ構成をハイ・ロー変速装置Bということにする。
さらに副変速軸20と同軸上には有効径の異なる3つの副変速ギヤ35を有する出力軸3が配置されている。出力軸3は副変速ギヤ35により三段変速する構成としている。この三段変速可能なギヤ35の構成を副変速装置Cということにする。
【0017】
また、副変速ギヤ35に噛合するクリープカウンタギヤ49を備えたクリープカウンタ軸21が出力軸3に並列位置に設けられている。また主変速ギヤ33や高低速切替ギヤ34等と噛合する主変速カウンタギヤ39と高低速切替ギヤ40を有する走行カウンタ軸6が主変速軸19や副変速軸20と並列位置に配置されており、主変速軸19から伝動される回転が主変速ギヤ33で変速されて、その回転が主変速カウンタギヤ39と高低速切替ギヤ40を順次経由して副変速軸20に設けられた高低速切替ギヤ34に伝達される。高低速切替ギヤ34に伝達された動力はクラッチパック76を介して副変速軸20上に設けた副変速ギヤ35による変速機構を介して出力軸3に伝達される。
【0018】
本実施例の走行動力伝達系では、PTO軸14を変速する機能とPTO軸14を正逆転する機能を設けている。
また、前記副変速ギヤ35と噛み合う副変速カウンタギヤ38の副変速カウンタ軸27を回転自在に支持すると共に、出力軸3から前輪取出ギヤ36を介して連動される前輪連動ギヤ51を回転自在に支持するPTO連動軸4を設けている。
【0019】
このPTO連動軸4の前方延長軸芯上にはPTO正逆切替軸22を設けている。さらに、PTO連動軸4の並行位置に前輪連動軸28を設け、前記PTO正逆切替軸22に前輪連動軸28を正転と逆転に切替えるPTO正逆切替ギヤ37を設け、該PTO正逆切替軸22の前方延長軸芯上にはPTO正転ギヤ32を設けたPTO変速軸18を配置している。
【0020】
また、PTO正逆切替ギヤ37と噛合するPTO減速ギヤ50を有する減速軸23が前記PTO正逆切替軸22と並列配置されている。
PTO軸14を変速する変速シフタギヤ15がPTOカウンタ軸9に設けられ、該ギヤ15は、該ギヤ15に常時噛合するシフタ15aを備えている。また、PTO軸14の正転・逆転の切り替えを行なう正逆シフタギヤ17がPTO変速軸18に設けられ、該ギヤ17は、該ギヤ17に常時噛合するシフタ17aを備えている。
【0021】
そこで、まずPTO軸14の1速正転の場合には、シフタ15aを図2の左側にスライドさせて変速シフタギヤ15と1速正転ギヤ29を接続し、シフタ17aを図2の左側にスライドして正逆シフタギヤ17をPTO正転ギヤ32と接続する。
【0022】
エンジン動力がPTO軸14を作動させるためには、まずエンジン入力軸2からの動力は入力ギヤ31に連動されるPTOクラッチパック66を経由してPTOカウンタ軸9上の変速シフタギヤ15からシフタ15aと接続している1速ギヤ29と該ギヤ29と一体回転する2番目の1速ギヤ正転ギヤ29を経由してPTOカウンタ軸9と並列配置されたPTO変速カウンタ軸58上のPTO変速カウンタギヤ44に伝達され、該PTO変速カウンタ軸58上の第2PTO変速カウンタギヤ68が駆動される。第2PTO変速カウンタギヤ68の駆動力がPTO正転ギヤ32を経由してPTO変速軸18に伝達され、該変速軸18からPTO正逆切替ギヤ37、PTO減速ギヤ50、2番目のPTO減速ギヤ50、第2のPTO正逆切替ギヤ77及びPTO正逆切替軸22を経由してPTO軸14に出力される。
【0023】
次にPTO軸14の1速逆転の場合には、シフタ15aを図2の左側にスライドさせて変速シフタギヤ15と1速正転ギヤ29を接続し、シフタ17aを図2の右側にスライドして正逆シフタギヤ17をPTO逆転ギヤ71と接続する。この場合は、エンジン入力軸2からの動力がPTO変速カウンタ軸58上の第2PTO変速カウンタギヤ68を駆動するまでは、前記PTO軸14の1速正転の場合と同様であり、第2PTO変速カウンタギヤ68の駆動力がPTO正転ギヤ32を経由してPTO逆転軸70上のPTO逆転ギ69に伝達され、PTO逆転ギ69からPTO逆転軸70に伝達され、該PTO逆転軸70上の第2PTO逆転ギヤ74、PTO逆転ギヤ71、2番目のPTO逆転ギヤ71、シフタ17a、正逆シフタギヤ17、PTO変速軸18、PTO正逆切替ギヤ37、PTO減速ギヤ50、2番目のPTO減速ギヤ50、第2のPTO正逆切替ギヤ77及びPTO正逆切替ギヤ22を経由してPTO軸14に出力される。
【0024】
また、次にPTO軸14の2速正転の場合には、シフタ15aを図2の右側にスライドさせて変速シフタギヤ15と2速正転ギヤ30を接続し、シフタ17aを図2の左側にスライドして正逆シフタギヤ17をPTO正転ギヤ32と接続する。
【0025】
エンジン入力軸2からの動力は入力ギヤ31に連動されるPTOクラッチパック66を経由してPTOカウンタ軸9上の変速シフタギヤ15からシフタ15aと接続している2速正転ギヤ30と2番目の2速正転ギヤ30を経由してPTO変速カウンタ軸58上のPTO変速カウンタギヤ44に伝達され、該PTO変速カウンタ軸58上の第2PTO変速カウンタギヤ68が駆動される。第2PTO変速カウンタギヤ68の駆動力がPTO変速ギヤ32と正逆シフタギヤ17を経由してPTO変速軸18に伝達され、該変速軸18からPTO正逆切替ギヤ37、PTO減速ギヤ50、2番目のPTO減速ギヤ50、第2のPTO正逆切替ギヤ77及びPTO正逆切替軸22を経由してPTO軸14に出力される。
【0026】
さらに、次にPTO軸14の2速逆転の場合には、シフタ15aを図2の右側にスライドさせて変速シフタギヤ15と2速正転ギヤ30を接続し、シフタ17aを図2の右側にスライドして正逆シフタギヤ17をPTO逆転ギヤ71と接続する。
【0027】
エンジン入力軸2からの動力は入力ギヤ31に連動されるPTOクラッチパック66を経由してPTOカウンタ軸9上の変速シフタギヤ15からシフタ15aと接続している2速正転ギヤ30と2番目の2速正転ギヤ30を経由してPTO変速カウンタ軸58上の番目のPTO変速カウンタギヤ44に伝達され、該PTO変速カウンタ軸58上の第2PTO変速カウンタギヤ68が駆動される。第2PTO変速カウンタギヤ68の駆動力がPTO正転ギヤ32を経由してPTO逆転軸70上のPTO逆転ギヤ69に伝達され、PTO逆転ギヤ69からPTO逆転軸70に伝達され、該PTO逆転軸70上の第2PTO逆転ギヤ74、PTO逆転ギヤ71、2番目のPTO逆転ギヤ71、シフタ17a、正逆シフタギヤ17、PTO変速軸18、PTO正逆切替ギヤ37、PTO減速ギヤ50、2番目のPTO減速ギヤ50、第2のPTO正逆切替ギヤ77及びPTO正逆切替軸22を経由してPTO軸14に出力される。
【0028】
また、前記出力軸3の後端部の前輪取出ギヤ36に副変速カウンタ軸27に回動自在に設けられた第1の前輪連動ギヤ51が噛合し、該第1の前輪連動ギヤ51に噛合する副変速カウンタ軸27を介して前輪連動軸28に伝達される出力軸3の駆動力は、前輪連動軸28とカップリングKを介して一体回転する前輪駆動軸7に伝達される。
【0029】
なお、カウンタ軸59と前輪出力軸5の間と前輪出力軸5と前輪連動軸25の間と前輪連動軸25と前輪入力軸26との間もそれぞれカップリングKが設けられ、それぞれ一体回転する。なお、カップリングKの内径側のスプラインと軸側のスプラインが係合して動力伝達される。
【0030】
更に、ミッションケース65内の下段部に配置された前輪出力軸5は、ミッションケース65の後部底部に軸装されて、前輪連動軸25やカップリングK等を介して前記フロントデフ47の入力軸26へ連結する。
【0031】
また前輪駆動クラッチパック67を前輪駆動軸7上に設け、この駆動軸7から前輪出力軸5へギヤ連動する。また、有効径の異なる2つの前輪駆動切替ギヤ41が前輪駆動クラッチパック67の左右に配置されており、該2つの前輪駆動切替ギヤ41は、前輪駆動軸7に並行配置されたカウンタ軸59に設けた有効径の異なる2つの切替駆動カウンタギヤ56に各々噛み合わされ、前輪駆動クラッチパック67を択一的に接続することにより、2つの減速比のうちのいずれか一方の減速比で前輪出力軸5を駆動することができる。
【0032】
前輪駆動クラッチパック67を中立位置にシフトするときは前輪61を駆動させない後輪駆動の二駆形態とし、この前輪駆動クラッチパック67を油圧操作によって切り換えて低速位置にシフトするときは前輪61を後輪63に対して約1倍の等速駆動させる四駆形態とし、また、この前輪駆動クラッチパック67を油圧操作によって切り換えて高速位置にシフトするときは前輪61を後輪63に対して約2倍に増速駆動させる四駆形態とすることによって走行することができる。
【0033】
上記構成からなる噛合式変速装置Gにより、エンジン62の回転動力は主クラッチを構成する前後進クラッチDを経由して4段の変速段からなる主変速装置Aと2段の変速段からなるハイ・ロー変速装置B及び3段の変速段からなる副変速装置Cで合計24段のうちのいずれかの変速段に変速され、得られた回転動力はリヤデフ45を経て後輪63が駆動される。また、前記副変速装置Cで変速された回転動力は前輪駆動クラッチパック(二駆四駆切替クラッチ)67にも伝達され、該クラッチパック67により前輪61が「等速」もしくは「増速」に切り換えられた後、フロントデフ47を経て前輪61が駆動される。
【0034】
走行系の伝動は、入力軸2から出力軸3の軸芯上に配置される主変速ギヤ33、高低速切替ギヤ34及び複変速ギヤ35等を介してドライブピニオンギヤ53へ多段変速連動される。また、PTO系の変速は、PTO連動軸4の前端部に設けられるPTO正転ギヤ32を介して連動される。
【0035】
次に図3に本実施例のトラクタの油圧回路図を示す。
図3の油圧回路図では左右の後輪63を独立して制動する左右のブレーキシリンダ83、前輪61へ伝達する動力を「等速」もしくは「増速」に切り換える四駆切換クラッチシリンダ99、ステアリングハンドル73の回転操作により作動するパワーステアリング装置103、PTOクラッチシリンダ104、PTOクラッチ圧力コントロール用バルブ105,106などが設けられている。なお、一点鎖線部分の回路101はメイン油圧回路(作業機昇降・作業機水平や外部油圧取出しなど)となり、サブ回路(走行・ブレーキ・デフロック・PTO側回路)とあまり関係がないため、回路図の図示を省略している。
【0036】
油圧ポンプ80から吐出した作動油は、減圧弁81aを介して主変速装置Aの第4速用と第2速用の各ギヤ33をクラッチパック76を介してそれぞれ作動させる油圧クラッチシリンダ87と油圧クラッチシリンダ88を切り替える4−2速切替用の変速制御弁89に供給され、さらに主変速装置Aの第1速用と第3速用の各ギヤ33をそれぞれ作動させる油圧クラッチシリンダ91と油圧クラッチシリンダ92を切り替える1−3速切替用の変速制御弁93に供給される。
【0037】
減圧弁81aを経由する作動油は、前後進クラッチシリンダ85のオン・オフ制御弁129を介して前後進クラッチシリンダ85の前進側と後進側のクラッチDを切り替える切替弁86に供給される。該前後進クラッチシリンダ85の前進側と後進側のクラッチDのいずれに作動油が供給されているかは前進側クラッチ圧力センサ110と後進側クラッチ圧力センサ111で検出できる。
同様に、上記及び下記油圧クラッチシリンダに供給される作動油はそれぞれの油圧クラッチシリンダへの入口側の油路に設けた圧力センサで検知できる構成になっている。
【0038】
また、油圧ポンプ80から吐出した作動油は、減圧弁81bを介してブレーキバルブ82aを経由して左右のブレーキシリンダ83に分岐供給される。前記ブレーキバルブ82aは後輪63を選択する切替制御弁であり、該ブレーキバルブ82aはブレーキ力を調整する圧力制御弁82bと一体構成となっている。
【0039】
さらに、減圧弁81bを経由する作動油は、前記第1速〜第4速用の各ギヤ33で変速された速度を「高速」と「低速」の二つのギヤ40のいずれかにクラッチパック76を介して作動させるハイ・ロー油圧クラッチシリンダ95を切り替えるための制御弁96a,96bに供給される。
【0040】
また、減圧弁81bを経由する作動油は、デフロック制御弁97を経てフロントデフ47用の前輪デフロックシリンダ98a及びリアデフ45用の後輪デフロックシリンダ98bに分岐される。
さらに、前輪駆動クラッチパック67のギヤ41の切替用の油圧シリンダ99には切替制御弁94を経て前記減圧弁81bを経由する作動油が供給される。
【0041】
同様に、減圧弁81bを経由する作動油は、PTO用バルブ105,106を介してPTOクラッチシリンダ104に供給され、PTOクラッチの圧力を調整する。
また図3に示す油圧ポンプ80からの油圧は、パワステアリングハンドル73の操作で作動されるオービットロール107に作動油を供給する構成である。
【0042】
また、図4には本実施例の図2に示す常時噛合式変速装置Gの制御装置100とその入出力装置を説明する制御ブロック図を示す。図4(a)には制御ブロック図の概略構成図をを示し、図4(b)にはその詳細図を示す。
図4に示すように制御装置100はエンジンECU100aと作業機昇降系ECU100bと走行系ECU100cからなり、互いにCAN2通信系により通信可能になっている。また、制御装置100はCAN1通信系により操作パネル118及びメータパネル119と通信可能になっている。
【0043】
図7と図8にはエンジン始動後、アクセルペダル(図示せず)を踏んで路上走行中にエンジン負荷率に余裕があると、エンジン回転数を制限して最高車速を制限する制御を行い、エンジン負荷率に余裕がなくなるとギア式変速装置Gの減速比により最高車速を制限する制御を行うフローチャートを示す。この図7の制御は、エンジン側に設けているコントローラ(エンジンECU)100aで行う制御のフローチャートであり、図8の制御は、機体側の走行系を制御するコントローラ(走行系ECU)100Cで行う制御のフローチャートである。
【0044】
図7のステップS1〜S4では、センサや操作スイッチ類の読み込み、及びCAN情報の読み出しを行い、排気ガス温度とエンジン回転数からエンジン出力の演算を行う。そして、エンジン出力、回転数よりエンジン負荷率を確認する。ステップS5に示すように、副変速が路上走行のときが条件である。
【0045】
また、図5には種々のエンジン回転数におけるエンジンの排気ガス温度とエンジン出力(PTO出力)との関係図を示し、図6にはエンジン回転数とエンジン出力の関係(負荷特性)図を示す。また、図6における各領域の説明をする。
領域A:重負荷で負荷率に余裕が全く無く、エンジン回転数を上げて、減速比を車速が遅くなる側に変更し、車速を維持する領域
領域B:負荷率は比較的高めであり、エンジン回転数を上げて、減速比を車速が遅くなる側に変更し、車速を維持する領域
領域C:適正負荷であり、省エネルギー運転ができる領域
領域D:負荷に余裕があり、作業条件(又は走行条件)を変更でき、エンジン回転数をさげて、走行速度段減速比を車速が速い側に変更し、車速を維持する領域
領域E:負荷に十分余裕があり、作業条件(又は走行条件)を変更でき、エンジン回転数を下げて、走行速度段減速比を車速が速い側に変更し、車速を維持する領域
【0046】
上記図5に示す関係から現在のエンジン回転数におけるエンジンの排気ガス温度に基づきエンジン出力を演算し、得られたエンジン出力とエンジン回転数との図6に示す関係から負荷特性(負荷率)を求める。
【0047】
そして、図7のステップS6においてエンジン負荷率が所定値の90%又はその近傍の値である制限値を越える高負荷状態にある場合には、エンジン回転数を上昇させる側に変更し、ギヤ式変速装置Gの変速段を減速側に変速する制御を行って規定の最高車速(例えば、35km/h)を越えないようにする制御(走行変速リミット制御)(ステップS7)を行い、エンジン負荷率が前記所定の制限値を越えない余裕がある状態では、エンジン負荷率を下げることなくエンジン回転数を下降させる側に変更し、ギヤ式変速装置Gの変速段を増速側に変速する制御(ステップS8)を行って前記最高車速を越えないようにエンジン回転数を上限値以下に制限する制御(エンジン回転リミット制御)を行う。
【0048】
こうして、エンジン負荷率に余裕がある場合には、エンジン負荷率を下げることなくエンジン回転数を下げると共に、ギヤ式変速装置Gの変速段を増速側に変速して走行し、エンジン負荷が大きい場合はエンジン回転数を上昇させ、トランスミッションのギヤ式変速装置Gの変速段を減速側に変更することで最高車速を制限する走行することにより、法規制をクリアしながら省エネルギーの運転が可能になる。
【0049】
また、エンジン回転数の上限値を車両の最高車速以下になるように制限する制御(エンジン回転リミット制御)中(ステップS9)に、前記図6に示す関係から得られたエンジン負荷率が所定値の90%又はその近傍の値以上で変化している場合は高負荷状態にあるので、負荷率を下げるためにギヤ式の変速装置(トランスミッション)Gの減速比を変更して負荷率を所定値の90%又はその近傍の値未満に制御する(走行変速リミット制御)ことでエネルギーロスを小さくすることができる。ステップS9でエンジン回転リミット制御中は、ステップS10へと進み、そうでない場合はステップS12へ進む。
【0050】
図7のステップS10とS11に示すようにアクセルぺダルの指示がリミット車速(法定の最高車速度)以上では、リミット車速(最高車速)になるようにエンジン回転をコントロールすることで法定車速を越えない効果となる。リミット車速以下では、指示通りエンジン回転をコントロールすることで効率の良い走行を行う効果を達成することができる。
【0051】
また、図7のステップS10でのアクセルぺダルによる指示が最高車速を越えない場合においては、通常の走行時とおなじようにアクセルペダル(図示せず)の踏み込みによるエンジン回転数が得られるように制御を行う(ステップS12)。即ち、ステップS12はステップS10において、最高車速以上の指示が出ていない場合なので、操作されたアクセル指示に応じてエンジン回転数を制御する。
【0052】
このように、上記「走行変速リミット制御」又は「エンジン回転リミット制御」中であっても、アクセルペダル(図示せず)の踏み込みによるエンジン回転数が法定制限速度35km/h以下となるようにエンジン回転数の制限車速制御を行うことができる。
【0053】
以上のように本実施例のトラクタは、法定制限車速を越える車速が出せるエンジン62とトランスミッションGのギヤ減速比を備えた構成にしておき、所定のエンジン負荷率に対して余裕がある場合にはエンジン回転数を下げる制御をすることで最高車速を超えないようにすると共に、トランスミッションGのギヤ減速比を増速側にして走行し、エンジン負荷が大きくなってエンジン負荷率が所定値の90%又はその近傍の値以上で変化していると、エンジン回転数を上昇させ、トランスミッションGのギヤ減速比を減速側に制御して、しかも最高車速を越えないように走行することにより、法規制をクリアしながら省エネルギーの運転が可能になる。
【0054】
また、図8に示す機体側の走行系を制御するコントローラ(走行系ECU)100Cで行う制御のフローチャートにおいて、ステップS3で路上走行であるか否かを判定し、路上走行中であるとステップS4で走行変速リミット制御をしている場合に、負荷が大きくなると、ステップS5へと進んで負荷の変化状態を判断する。ステップS5で負荷が少し軽くなったことを判定(図6のAゾーンからBゾーン)すると、ステップS6へ進んで減速側に走行変速リミット制御を行う。ステップS5では、図6のAゾーンからBゾーンへ負荷が下ったものの、Bゾーンは依然として負荷が大きい状態であるので、前述のトランスミッションGのギヤ減速比による走行変速リミット制御を行う。
【0055】
ステップS7において、図6の実施例のCゾーン以下、即ち、負荷が適正状態より軽くなると、エンジン回転数が上昇する場合を除いて、ステップS10へ進んで前述のエンジン回転数を変えるエンジン回転リミット制御を行う。このときエンジン負荷がCゾーンより軽い状態を維持していると(ステップS11)、ステップS12へ進んでアクセルペダルの指示に合わせて自動変速を行う。
【0056】
ステップS13では、エンジン回転リミット制御中において、アクセル指示が少ない状態(最低)になる場合、即ち、長い下り坂を走行する場合は車速が速くなってしまう。そこで、変速比を減速して車速を落すようにする(ステップS14)。
【0057】
しかしながら、AゾーンやBゾーンのように高負荷状態の場合には、全てではないが状況によっては規定通りのエンジン回転数にはなっておらず(燃料噴射はエンジン回転を上昇させるための噴射を行っているが、高負荷のため規定回転に上がりきっていない)、このような状況で負荷が急に軽くなると、ステップS10でエンジン回転数を下げる方向に指示が出ているものの、エンジン回転は極短時間の間上昇してしまう現象が発生する。即ち、負荷が軽くなった状態に対してステップS10の制御が追いつかない状態となる。
【0058】
そこで前記ステップS7において、図6の実施例のCゾーン以下、即ち、負荷が適正状態より軽くなると、すなわち、エンジン負荷率が高負荷状態から軽負荷状態に余裕が出て、エンジン回転数が急上昇すると(ステップS8)、ステップS9において瞬時に変速装置Gの変速比を減速側に変速させることで、法定の最高車速を越えるのを防止できる。その後、負荷が軽いゾーンに安定することで、ステップS10の制御を行う。即ち、トランスミッションのギヤ比を高速側とし、エンジン回転数は低回転側にして目標とする車速を得ることで省エネルギー効果が発生すると共に最高車速を越えない安全な走行が可能となる効果がある。
【0059】
また、エンジン負荷率が高負荷状態にあるときに急に負荷が軽くなったものの再び高負荷に戻る場合もあるし、軽くなった負荷が維持される場合もある。負荷が軽くなるとエンジン回転数を下げて変速比を増速側に変更するが、圃場の条件によっては再び高負荷になる場合があり、エンジン回転数も再び上昇させる必要が出てくるので、エンジン回転数がハンチングを起こしたようになり、運転者は違和感を感じてしまう。
【0060】
そこで、軽負荷状態が所定時間以上続くことを条件にエンジン回転数を下げてトランスミッションの変速比を増速側に変更する構成とする。これにより、不要なエンジン回転数の下降と上昇を防止できるようになる。
【0061】
また、図7に示すように、負荷に応じて(ステップS6)走行変速リミット制御を行うのか、又は、エンジン回転リミット制御を行うのかを選択し、エンジン回転リミット制御中(ステップS9)のときにはステップS10へ進み、アクセルペダルを所定以上踏み込んで法定の最高車速度以上が出てしまう場合(ステップS10)には、最高車速をエンジン回転数で規制するようにする(ステップS11)。即ち、アクセルペダルの踏み込みによるエンジン回転数が、法定の車速35km/h以下となるようにエンジン回転数の制限車速制御を行う。
【0062】
しかしエンジン負荷率が図6に示すAゾーンからBゾーンへ変化する場合(負荷は軽くなるが、負荷自体は高負荷状態)には、負荷を下げるためにエンジン回転数を上げ、ギヤ式の変速装置Gの減速比は車速を落とす側に変速してBゾーンでの最高車速を制御する(図8のステップS5とステップS6、即ち、ギヤ式の変速装置Gの変速で法定の最高車速の制限を行う(走行変速リミット制御)。
【0063】
なお、図6に示すエンジン回転数とエンジン出力の関係はコントローラ100内のメモリに記憶されているので、現在の負荷率は排気ガス温度とエンジン回転数の計測値から分かる。しかし、エンジン回転リミット制御中(負荷が小さいときでエンジン回転を下降側に制御)にエンジン負荷率が90%又はその近傍以上に変化する場合(図7のステップS6で負荷率がAゾーンの最大負荷率の90%又はその近傍の値以上に変化する場合)には、負荷率をBゾーンに下げるためにトランスミッションの減速比を車速を落とす方向に変更して負荷率を90%未満に制御する走行変速リミット制御を行うこと、即ち、Aゾーンでの負荷域におけるトラクタの最大馬力ライン近くになった場合には減速し、エンジン回転数を高負荷ではあるもののBゾーンに合わせてコントロールする。
【0064】
これは、坂道などで、エンジン負荷率が大きくなり、走行できなくなるような場合に、エンジン回転数で最高車速を制限していた場合は、最大馬力近くになりエンジン回転が大きく落ち込んでしまう前に事前に減速し、トルクに余裕を持たせ、エンジン回転を上げて最高車速を保持することで、最高車速維持を図ると共に省エネルギー効果が得られる。
【0065】
また、図8に示す走行制御でアクセルペダル増速操作時にエンジン回転数を上げることをしないでエンジン負荷率が規定の負荷率になるまでトランスミッションの減速比を変更して増速化(変速)し、エンジン負荷率が規定の負荷率を越えている場合にエンストを防ぐためにエンジン回転数を増速側に変更して車速を高速側に変更する。
【0066】
また、アクセルペダルが減速側に操作された場合は、通常の通りエンジン回転数を低下して車速を低速側にコントロールする。アクセルペダルを開放側に操作し(足をアクセルペダルから離して)、エンジン回転数を低下させても車速が低速側に変更しない場合は、トランスミッションの変速比を減速側に変更する(図8のステップS14)。
【0067】
このステップS14の制御により、下り坂等で、慣性により車速が上がってしまうような場合、トランスミッションの変速比を減速側に変更してエンジンブレーキを効かして最高車速を制限する構成を採用しておくことで、安全走行(法規遵守)が可能になる。なお、このとき、どんどん減速してしまうと、車両停止してしまう。下り坂などでは、そのまま車速を維持したい場合があるのでトランスミッション変速比の減速側への変速操作量には制限を設ける必要がある。この場合、車速をセンサで検出して、車両停止しないように制御してもよい。
【0068】
図8のステップS12とS14の制御中にアクセルペダルの変速の変化がない場合に車速を保持するべくコントロールする場合に、エンジン負荷率が上昇するとエンジン回転数をコントロールし、エンジン負荷率が減少する場合はトランスミッションの減速比を変更するように構成する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のトラクタは農作業以外の各種作業用の車両にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施例のトラクタの左側面図である。
【図2】図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図である。
【図3】図2の動力伝動図の油圧回路図である。
【図4】図1のトラクタの動力伝動系の制御ブロックの概略図(図4(a))と詳細図(図4(b))である。
【図5】図1のトラクタの種々のエンジン回転数におけるエンジンの排気ガス温度とエンジン出力との関係図を示す。
【図6】図1のトラクタのエンジン回転数とエンジン出力の関係(負荷特性)図を示す。
【図7】図1のトラクタの走行制御のフローチャートである。
【図8】図1のトラクタの走行制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
2 入力軸 3 出力軸
4 PTO連動軸 5 前輪出力軸
6 走行カウンタ軸 7 前輪駆動軸
8 バックカウンタ軸 9 PTOカウンタ軸
10 リヤデフ軸 11 後輪軸
12 フロントデフ軸 13 前輪軸
14 PTO軸 15 変速シフタギヤ
15a シフタ 16 遊星減速機構
17 正逆シフタギヤ 17a シフタ
18 PTO変速軸 19 主変速軸
20 副変速軸 21 クリープカウンタ軸
22 PTO正逆切替軸 23 PTO減速軸
25 前輪連動軸 26 入力軸
27 副変速カウンタ軸 28 前輪連動軸
29 一速正転ギヤ 30 二速正転ギヤ
31 入力ギヤ 32 PTO正転ギヤ
33 主変速ギヤ 34 高低速切替ギヤ
35 副変速ギヤ 36 前輪取出ギヤ
37 PTO正逆切替ギヤ 38 副変速カウンタギヤ
39 主変速カウンタギヤ 40 高低速切替ギヤ
41 前輪駆動切換ギヤ 42 前後進切替ギヤ
43 バックカウンタギヤ 44 PTO変速カウンタギヤ
45 リヤデフ 46 デフリングギヤ
47 フロントデフ 48 入力ギヤ
49 クリープカウンタギヤ 50 PTO減速ギヤ
51 前輪連動ギヤ 53 ドライブピニオンギヤ
54 前輪連動ギヤ 55 前輪ギヤ
56 切替駆動カウンタギヤ 58 PTO変速カウンタ軸
59 カウンタ軸 60 前後進切替クラッチパック
61 前輪 62 エンジン
63 後輪 65 ミッションケース
66 PTOクラッチパック 67 前輪駆動クラッチパック
68 第2PTO変速カウンタギヤ
69 PTO逆転ギヤ 70 PTO逆転軸
71 PTO逆転ギヤ 73 ステアリングハンドル
74 第2PTO逆転ギヤ 75 リヤアクスルハウジング
76 クラッチパック 77 PTO正逆切替ギヤ
80 油圧ポンプ 81a,81b 減圧弁
82a ブレーキバルブ 82b 圧力制御弁
83 ブレーキシリンダ 85 前後進クラッチシリンダ
86 切替弁 89 変速制御弁
87,88,91,92 油圧クラッチシリンダ
93 変速制御弁 94 切替制御弁
95 ハイ・ロー油圧クラッチシリンダ
96a,96b 制御弁 97 デフロック制御弁
98a 前輪デフロックシリンダ
98b 後輪デフロックシリンダ
99 四駆切替クラッチシリンダ
100 制御装置 100a エンジンECU
100b 作業機昇降系ECU 100c 走行系ECU
101 メイン油圧回路
103 パワーステアリング装置
104 PTOクラッチシリンダ
105,106 PTOクラッチ圧力コントロール用バルブ
107 オービットロール
110 前進側クラッチ圧力センサ
111 後進側クラッチ圧力センサ
115 前後進切替レバー 118 操作パネル
119 メータパネル 129 制御弁
A 主変速装置 B ハイ・ロー変速装置
C 副変速装置 D 前後進クラッチ
G ギア式(噛合式)変速装置 R 作業機
S 動作指令手段 T 走行機体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(62)のエンジン回転数とギヤ式変速装置(G)の変速比との関連で最高車速を制限する構成を備えた作業車両において、
エンジン負荷率が所定の制限値を越える高負荷状態にある場合には、エンジン回転数を上昇させる側に変更し、ギヤ式変速装置(G)の変速段を減速側に変速する制御を行って規定の最高車速を越えないように制御を行い、エンジン負荷率が前記所定の制限値を越えない余裕がある状態では、エンジン回転数を下降させる側に変更し、ギヤ式変速装置(G)の変速段を増速側に変速する制御を行って前記最高車速を越えないように制御を行う制御装置(100)を備えたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
エンジン負荷率が所定の制限値を越える高負荷状態にある場合に、エンジン回転数を上昇させる側に変更し、ギヤ式変速装置(G)の変速を減速側に変速する制御を行って規定の最高車速を越えないようにする制御中において、エンジン負荷率に余裕が発生してエンジン回転数が上昇しようとする場合には、瞬時にギヤ式変速装置(G)を減速側に変速して規定の最高車速を越えないように制御を行うことを特徴とする請求項1記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−196393(P2009−196393A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37196(P2008−37196)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】