説明

傾斜検出装置、ホログラム装置、媒体の傾斜補正方法、ホログラム媒体の傾斜補正方法

【課題】 ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜している場合、当該傾斜を補正することができる傾斜検出装置、ホログラム装置、媒体の傾斜補正方法、ホログラム媒体の傾斜補正方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該媒体に入射させる傾斜検出用ビーム発生部と、前記傾斜検出用ビームが前記媒体に入射された後、当該媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光する受光部と、前記受光部の受光位置と、前記媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記媒体の傾斜を補正するための信号を出力する補正出力部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜検出装置、ホログラム装置、媒体の傾斜補正方法、ホログラム媒体の傾斜補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルデータがホログラムとして記録されるホログラム媒体としては、例えばガラス基板で光感受性樹脂(例えばフォトポリマー)を封止して設けられたものがある。
【0003】
このホログラム媒体にディジタルデータをホログラムとして記録させる場合、先ず、レーザー装置からのレーザービームをPBS(Polarization Beam Splitter・偏光ビームスプリッタ)にて2つのレーザービームに分離する。そして、一方のレーザービーム(以下、参照ビームという)と、ディジタルデータが2次元濃淡画像パターンとして形成されたSLM(Spatial Light Modulator・空間光変調器)に他方のレーザービームを照射させることによって当該2次元濃淡画像パターンの情報が反映されたレーザービーム(以下、データビームという)とを、ホログラム媒体に所定角度をもって照射させることによって、ディジタルデータがホログラム媒体に記録されることとなる。
【0004】
詳述すると、ホログラム媒体を構成する光感受性樹脂は、有限数のモノマー(Monomer)を有し、参照ビームとデータビームとからなるレーザービーム(以下、レーザービームと略する)が照射されることにより、当該レーザービームの光量及び照射時間からなるエネルギーに応じてモノマーがポリマー(Polymer)へと変化する。そして、このモノマーがポリマーに変化することにより、レーザービームのエネルギーに応じたポリマーからなる干渉縞が形成されることとなる。よって、この干渉縞がホログラム媒体中に形成されることにより、ディジタルデータがホログラムとして記録されたこととなる。その後、モノマーが消費された所へと残ったモノマーが移動(拡散)する。そして、再びレーザービームが照射されることによって、モノマーのポリマーへの変化が繰り返されることとなる。尚、ホログラム媒体中において、レーザービームのエネルギーに応じてモノマーがポリマーへと変化するときの様子を模式化した図を図2に示す。
【0005】
また、ホログラム媒体に記録させるディジタルデータが大量の場合、参照ビームのホログラム媒体への入射角を変えることによって、多数のホログラムを形成するいわゆる角度多重記録を行うことが可能である。例えば、ホログラム媒体へ形成された1つのホログラムをページと称し、多数のページからなる多重ホログラムをブックと称するとする。図3は、角度多重記録におけるブックとページを模式的に示した図である。図3において示すように、角度多重記録においては、1つのブックに対し、参照ビームの入射角を変えることによって、例えば10ページのホログラムが形成されることとなる。このように、ホログラム媒体へのディジタルデータの記録は、角度多重記録によって、大量のディジタルデータを記録することを可能としている。
【0006】
また、ホログラム媒体からディジタルデータを再生する場合、当該ディジタルデータを示す干渉縞に参照ビームを照射し、当該干渉縞にて回折された参照ビーム(以下、再生ビームという)を、イメージセンサ等で受光する。イメージセンサ等で受光した再生ビームは、前述したディジタルデータを示す2次元濃淡画像パターンとなっている。そして、この2次元濃淡画像パターンからディジタルデータをデコーダ等で復調することにより、ディジタルデータを再生することが可能となる。
【0007】
このように、ホログラム媒体からディジタルデータを再生する場合、再生ビームから2次元濃淡画像パターンを再現するため、当該再生ビームは、イメージセンサ等にて2次元濃淡画像パターンが再現可能な一定レベル以上の光量でなければならない。そのため、参照ビームを回折する干渉縞は、再生ビームを一定レベル以上の光量とするため、入射される参照ビームの光量に対する再生ビームの光量の割合を示す回折効率(Diffraction Efficiently)が、所定値以上となる回折効率を有するものでなければならない。尚、この回折効率の所定値とは、再生ビームを一定レベルの光量とする値である。
【0008】
図4は、ホログラム媒体に干渉縞を形成する場合の参照ビーム(以下、記録用参照ビームという)と、データビームとの入射角θを示す図である。図5は、図4における干渉縞からディジタルデータを再生する場合の参照ビーム(以下、再生用参照ビームという)と、再生ビームとの角θ(以下、再生角θという)を示す図である。
【0009】
ホログラム媒体からディジタルデータを再生する場合、入射角θと再生角θとの角度差は、非常に小さい角度差となる必要がある。いま、入射角θと再生角θの角度差をΔθとし、ホログラム媒体の屈折率をn、ホログラム媒体の厚さをt、レーザー装置から出射されるレーザービームの波長をλとすると、Δθは、(λ・√(n−sinθ))/t・sinθ・cosθとなる。そして、n=1、sinθ=1とすると、Δθはλ/tとなり、レーザービームの波長以下の値であることがわかる。例えばレーザービームがヘリウムネオンレーザーの場合、その波長λは633nmであり、Δθは非常に小さい値となる。この結果、ホログラム媒体からディジタルデータを再生する場合の再生角θは、当該ディジタルデータを示す干渉縞が形成されたときの入射角θと角度差Δθ内の角度となる必要があることがわかる。つまり、再生用参照ビームは、ホログラム媒体に対し非常に正確な再生角θをもって入射させる必要がある。そして、ホログラム媒体は、再生用参照ビームが非常に正確な再生角θをもって入射されるべき位置(以下、基準位置という)に配置されることとなる。
【0010】
一方、ホログラム媒体としては、利便性・融通性等をもたせるため、ホログラムの記録又は再生が可能なホログラム装置と着脱可能な構成で設けられることが求められる。例えば、あるホログラム装置でディジタルデータがホログラムとして記録されたホログラム媒体を、他方のホログラム装置で再生する要求がある場合、ホログラム媒体が着脱可能であれば、容易に当該要求に応じることが可能となる。
【特許文献1】特開2004−177958
【特許文献2】特開2004−272268
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、着脱可能なホログラム媒体の場合、当該ホログラム媒体が設置される箇所の機械的構成等により、ホログラム媒体が前述した基準位置に対して傾斜してしまう可能性があった。そして、このホログラム媒体の傾斜によって、入射角θと再生角θの角度差が、前述した角度差Δθを超える値となり再生用参照ビームが正確に入射されず、ディジタルデータの再生が不能となる可能があった。或いは、所望のホログラムに再生用参照ビームが正確に入射されず、他のホログラムに再生用参照ビームが入射されてしまい誤ったディジタルデータが再生される可能性があった。また、ホログラム媒体へディジタルデータを記録させる場合においても、ホログラム媒体の所望の位置にディジタルデータをホログラムとして記録できない可能性があった。
【0012】
特に、ホログラム媒体がディスク形状である場合、肉薄であるため、基準位置に対して水平に保つことが困難となりホログラム媒体が傾斜してしまう場合があった。また、ディスク形状のホログラム媒体においては、ホログラム装置と着脱可能とすべく、機械的加工が施され、例えば中心孔が設けられているものがある。そして、ホログラム装置においては、中心孔と着脱可能な支持部が設けられるとともに、多数のホログラムを形成するためにホログラム媒体を回転させるためのテーブルが設けられている。この結果、ホログラム媒体をホログラム装置に設置する際の歪みや、回転する際のホログラム媒体にかかる遠心力によって、基準位置に対して傾斜してしまう場合があった。
【0013】
そこで、本発明は、ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜している場合、当該傾斜を補正することができる傾斜検出装置、ホログラム装置、媒体の傾斜補正方法、ホログラム媒体の傾斜補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための発明は、傾斜検出装置であって、媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該媒体に入射させる傾斜検出用ビーム発生部と、前記傾斜検出用ビームが前記媒体に入射された後、当該媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光する受光部と、前記受光部の受光位置と、前記媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記媒体の傾斜を補正するための信号を出力する補正出力部と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、記録すべきデータに対応した可干渉性のデータビームと、可干渉性の記録用参照ビームと、をホログラム媒体へ入射させ、前記データをホログラムとして前記ホログラム媒体に記録するホログラム装置であって、前記データビーム及び前記記録用参照ビームに対し非干渉性を有し、且つ、前記ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該ホログラム媒体に入射させる傾斜検出用ビーム発生部と、前記傾斜検出用ビームが前記ホログラム媒体に入射された後、当該ホログラム媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光する受光部と、前記受光部の受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記ホログラム媒体の傾斜を補正するための信号を出力する補正出力部と、前記補正出力部からの信号に基づいて前記ホログラム媒体の位置を補正駆動させる補正駆動部と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、再生すべきデータがホログラムとして記録されたホログラム媒体に対し、可干渉性の再生用参照ビームを入射させ、前記ホログラムによって回折された後の前記再生用参照ビームに基づいて、前記データを再生するホログラム装置であって、前記再生用参照ビームに対し非干渉性を有し、且つ、前記ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該ホログラム媒体に入射させる傾斜検出用ビーム発生部と、前記傾斜検出用ビームが前記ホログラム媒体に入射された後、当該ホログラム媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光する受光部と、前記受光部の受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記ホログラム媒体の傾斜を補正するための信号を出力する補正出力部と、前記補正出力部からの信号に基づいて前記ホログラム媒体の位置を補正駆動させる補正駆動部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、媒体の傾斜補正方法であって、媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該媒体に入射させ、前記傾斜検出用ビームが前記媒体に入射された後、当該媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光し、受光位置と、前記媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記媒体の傾斜を補正するための信号を出力する、ことを特徴とする。
【0018】
また、記録すべきデータに対応した可干渉性のデータビームと、可干渉性の記録用参照ビームと、をホログラム媒体へ入射させ、前記データをホログラムとして前記ホログラム媒体に記録するホログラム装置によるホログラム媒体の傾斜補正方法であって、前記データビーム及び前記記録用参照ビームに対し非干渉性を有し、且つ、前記ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該ホログラム媒体に入射させ、前記傾斜検出用ビームが前記ホログラム媒体に入射された後、当該ホログラム媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光し、受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記ホログラム媒体の傾斜を補正するための信号を出力し、前記信号に基づいて前記ホログラム媒体の位置を補正駆動させる、ことを特徴とする。
【0019】
更に、再生すべきデータがホログラムとして記録されたホログラム媒体に対し、可干渉性の再生用参照ビームを入射させ、前記ホログラムによって回折された後の前記再生用参照ビームに基づいて、前記データを再生するホログラム装置によるホログラム媒体の傾斜補正方法であって、前記再生用参照ビームに対し非干渉性を有し、且つ、前記ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該ホログラム媒体に入射させ、前記傾斜検出用ビームが前記ホログラム媒体に入射された後、当該ホログラム媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光し、受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記ホログラム媒体の傾斜を補正するための信号を出力し、前記信号に基づいて前記ホログラム媒体の位置を補正駆動させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜している場合、当該傾斜を補正することができる傾斜検出装置、ホログラム装置、媒体の傾斜補正方法、ホログラム媒体の傾斜補正方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0022】
<<実施形態>>
=== 傾斜検出装置・ホログラム装置の全体構成 ===
図1、図6、図9、図10を参照しつつ、本発明に係る傾斜検出装置、ホログラム装置について説明する。図1は、本発明に係る傾斜検出装置、ホログラム装置の全体構成の一例を示す機能ブロック図である。図6は、ディスク媒体22(ホログラム媒体)が基準位置Aに対して傾斜したときのサーボレーザービーム(傾斜検出用ビーム)の反射・透過を示す図である。尚、図6において破線で示すディスク媒体22は、基準位置Aにあるディスク媒体22を示し、実線で示すディスク媒体22は基準位置Aに対して傾斜しているディスク媒体22を示すものである。図9は、図1に示すディスク駆動部25((第1・第2)補正駆動部)の詳細図である。図10は、図6に示すディスク媒体22を、図6とは異なる角度から示した図である。尚、図10に示すX1方向(第1方向)とY1方向(第2方向)は、ディスク媒体22の中心にて直交しているものとして以下説明する。
【0023】
ホログラム装置は、CPU(Central Processing Unit)1、メモリ2、インタフェース3、接続端子4、バッファ5、再生・記録判別部6、エンコーダ7、マッピング処理部8、SLM(Spatial Light Modulator・空間光変調器)9、レーザー装置10、第1シャッター11(遮断部)、第1シャッター制御部12、PBS(Polarization Beam Splitter・偏光ビームスピリッタ)13、第2シャッター14、第2シャッター制御部15、ガルボミラー(Galvo Mirror)16、ガルボミラー制御部17、ダイクロックミラー(Dichroic Mirror)18、サーボレーザー装置19(傾斜検出用ビーム発生部)、スキャナレンズ20、フーリエ変換レンズ(Fourier Transfer Lens)21、26、ディテクタ(Detector)23、ディスク制御部24、ディスク駆動部25、イメージセンサ27、イメージセンサ制御部28、フィルタ29、デコーダ30、1/2波長板31、PSD(Position Sensitive Detector)52(受光部)、差分器32、33(算出部)、基準電圧発生部34、35、ローパスフィルタ36(第1補正出力部)、37(第2補正出力部)、増幅器38(第1補正出力部)、39(第2補正出力部)、振動量検出部40、41(振動量算出部)、基準振動量電圧発生部42、43、比較器44、45(振動量判別部)、論理和演算回路(以下、OR回路という)44、45、TFF(Toggle flip-flop)48、第1のタイマ49、第2のタイマ50、第3のタイマ51、バンドパスフィルタ59、60を有する。
【0024】
インタフェース3は、接続端子4を介して接続される例えばPC(Personal Computer)等のホスト機器(不図示)とホログラム装置とがデータの送受信を行うために介在する。
【0025】
バッファ5は、ディスク媒体22に記憶されているデータを再生するためのホスト機器からの再生指示データが記憶される。また、バッファ5は、ホスト機器からのデータをディスク媒体22に記録させるための記録指示データが記憶される。更に、バッファ5は、ディスク媒体22に記録させるデータが記憶される。
【0026】
再生・記録判別部6は、所定のタイミングでバッファ5に再生指示データ又は記録指示データが記録されているか否か判別する。再生・記録判別部6は、バッファ5に再生指示データが記憶されていると判別すると、ホログラム装置にて再生処理を実行するための指示信号をCPU1に送信する。また、再生・記録判別部6は、バッファ5に記録指示データが記憶されていると判別すると、ホログラム装置にて記録処理を実行するための指示信号をCPU1に送信し、ホスト機器からのディスク媒体22に記憶させるデータをエンコーダ7に送信させる。そして、再生・記録判別部6は、ディスク媒体22に記憶させるデータ量の情報をCPU1に送信する。
エンコーダ7は、バッファ5からのデータに対して、エンコード処理を行う。
【0027】
マッピング処理部8は、エンコーダ7からのデータを、二次元のデータ配列(例えば縦1280ビット×横1280ビット≒1.6メガビット)に並び替えて単位ページ配列データを形成する。
【0028】
SLM9は、マッピング処理部8にて形成された単位ページ配列データに基づいた2次元濃淡画像パターンを形成する。この2次元濃淡画像パターンとは、例えば単位ページ配列データを構成するデータの一方の論理値に対して‘明’、他方の論理値に対して‘暗’として形成されるものである。SLM9が縦1280ピクセル×横1280ピクセルの2次元濃淡画像パターンを形成可能である場合、マッピング処理部8からの約1.6メガビットのデータを、1ビットデータに対して1ピクセルの明又は暗の2次元濃淡画像パターンとして形成することとなる。SLM9は、後述するようにレーザー装置10からのレーザービームが入射されると、当該レーザービームをフーリエ変換レンズ21に反射する。そして、この反射されたレーザービームは、SLM9にて形成された2次元濃淡画像パターンの情報が反映されたレーザービーム(以下、データビームという)となる。尚、図1に示すように、PBS13からのレーザービームが直接的にSLM9に入射される場合に限らない。例えば、第2シャッター14とSLM9との光路上にPBS(不図示)を設けて、そのPBSから分離したレーザービームがSLM9に入射される場合としてもよい。
【0029】
レーザー装置10は、時間的コヒーレンス、空間的コヒーレンスに優れたレーザービームを第1シャッター11に出射する。このレーザー装置10としては、ホログラムをディスク媒体22に形成すべく、例えばヘリウムネオンレーザー、アルゴンネオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、半導体レーザー、色素レーザー、ルビーレーザー等が用いられる。
【0030】
第1シャッター制御部12は、イメージセンサ制御部28からの指示信号に基づいて、第1シャッター11を閉状態とするための制御を行う。第1シャッター制御部12は、第1シャッター11を閉状態とするとき、第1シャッター11に閉状態指示信号を送信する。
【0031】
第1シャッター11は、TFF48からのハイレベルが入力されると開状態となる。そして、第1シャッター11は、TFF48からのハイレベルが入力される期間、開状態となる。また、第1シャッター11は、TFF48からのローレベルが入力されると閉状態となる。そして、第1シャッター11は、TFF48からのローレベルが入力される期間、閉状態となる。また、第1シャッター11は、第1シャッター制御部12からの閉状態指示信号に基づいて閉状態となる。第1シャッター11が閉状態となると、レーザー装置10からのレーザービームの1/2波長板31への入射が遮断されることとなる。
【0032】
1/2波長板31は、レーザー装置10から出射されるレーザービームがPBS13へ入射される角度を定めるために、所定の傾きで設けられる。なお、この1/2波長板31の所定の傾きは、レーザービームがPBS13にて2つのレーザービームに分離される際の分離割合を、所望の割合とすべく定められる。
【0033】
PBS13は、1/2波長板31からのレーザービームを2つのレーザービームに分離する。PBS13にて分離された一方のレーザービームは、第2シャッター14に入射される。また、他方のレーザービーム(以下、参照ビームという)は、ガルボミラー16に入射される。
ガルボミラー16は、PBS13からの参照ビームをダイクロックミラー18へ反射する。
【0034】
ガルボミラー制御部17は、CPU1からの指示信号に基づいて、ガルボミラー16にて反射された参照ビームがダイクロックミラー18やスキャナレンズ20を介してディスク媒体22に入射される角度を調整すべく、当該ガルボミラー16の角度を制御する。
【0035】
ホログラム記録時において、ガルボミラー制御部17は、ディスク媒体22に2次元濃淡画像パターンの情報をホログラムとして記録させるため、ガルボミラー16の角度調整を行う。また、カルボミラー制御部17は、カルボミラー16の角度を変位し、参照ビームのディスク媒体22への入射角を変えることで、角度多重記録を可能としている。以下、ディスク媒体22に形成された1つのホログラムをページと称し、角度多重記録にて多数のページが重なってなる多重記録ホログラムをブックと称する。
【0036】
ホログラム再生時において、カルボミラー制御部17は、ディスク媒体22に形成されたホログラムに入射される参照ビームの入射角を調整すべく、ガルボミラー16の角度を制御する。このカルボミラー制御部17によるカルボミラー16の角度調整は、再生させるべきホログラムに応じた角度調整となる。つまり、再生させるホログラムが形成されたときの参照ビームの入射角に対し、非常に小さい角度差内となる入射角で参照ビームを当該ホログラムに入射させるべく、ガルボミラー16の角度調整が行われる。
【0037】
サーボレーザー装置19は、ディスク媒体22に設けられたピットを照射することによって、当該ピットが示すアドレス情報に基づいて、当該ディスク媒体22に形成されたホログラムの位置を検出すべく、レーザービーム(以下、サーボレーザービームという)をダイクロックミラー18に出射する。サーボレーザー装置19から出射されるサーボレーザービームは、ディスク媒体22に形成されたホログラムに影響ない所定波長のビームである。なお、本実施形態においては、レーザー装置10から出射されるレーザービームに青色レーザービームを使用し、当該青色レーザービームよりも長い波長である赤色レーザービームをサーボレーザービームとして使用するものとする。
【0038】
サーボレーザー装置19からのサーボレーザービームの出射は、例えば、傾斜検出装置・ホログラム装置が起動開始するとともにサーボレーザービームの出射を開始し、当該傾斜検出装置・ホログラム装置が起動している間、サーボレーザービームを出射し続けるものである。しかし、サーボレーザー装置19はサーボレーザービームを出射し続けるものとしているが、これに限定するものではない。例えば、ホログラム装置によるディスク媒体22へのデータの記録においては、当該ディスク媒体22は停止状態となる。そのため、サーボレーザービームのピットへの照射が必ずしも必要とされない期間では、サーボレーザー装置19によるサーボレーザービームの照射を停止するようにしても良い。この結果、サーボレーザー装置19のサーボレーザービームの出射に係る負荷を減じることができる。
【0039】
ダイクロックミラー18は、ガルボミラー16にて反射された参照ビームを透過し、当該参照ビームを、スキャナレンズ20に入射させる。また、ダイクロックミラー18は、サーボレーザー装置19から出射されたサーボレーザービームを反射し、当該サーボレーザービームをスキャナレンズ20へ入射させる。
【0040】
スキャナレンズ20は、ダイクロックミラー18からの参照ビームを、ディスク媒体22に確実に照射させるべく当該参照ビームを屈折させる。また、スキャナレンズ20は、ダイクロックミラー18にて反射されたサーボレーザー装置19からのサーボレーザービームを、ディスク媒体22に入射させる。
【0041】
第2シャッター制御部15は、CPU1からの指示信号に基づいて、第2シャッター14を開状態又は閉状態とするための制御を行う。第2シャッター制御部15は、第2シャッター14を開状態とするとき、第2シャッター14に開状態指示信号を送信する。また、第2シャッター制御部15は、第2シャッター14を閉状態とするとき、第2シャッター14に閉状態指示信号を送信する。
【0042】
第2シャッター14は、第2シャッター制御部15からの開状態指示信号に基づいて開状態となる。或いは、第2シャッター14は、第2シャッター制御部15からの閉状態指示信号に基づいて閉状態となる。第2シャッター14が閉状態となると、PBS13にて分離された一方のレーザービームのSLM9への入射が遮断されることとなる。尚、第2シャッター14は、SLM9からフーリエ変換レンズ21を介してディスク媒体22へ入射されるデータビームの光路上に設けてもよい。
【0043】
フーリエ変換レンズ21は、SLM9からの前述した2次元濃淡画像パターンの情報が反映されたデータビームを集光しつつ、当該データビームに対して、フーリエ変換を行ってディスク媒体22に入射させる。
【0044】
ディスク媒体22は、データをホログラムとして記憶可能な光感受性樹脂(例えばフォトポリマー・銀塩乳剤・重クロム酸ゼラチン・フォトレジスト等)が用いられ、当該光感受性樹脂をガラス基板で封止して構成されている。また、ディスク媒体22には、中心孔(図9)が設けられ、この中心孔に後述するディスク駆動部25の支持部57が挿通される。この結果、ディスク媒体22は、ディスク駆動部25に固定されることとなる。ディスク媒体22には、フーリエ変換レンズ21からの2次元濃淡画像パターンを示すフーリエ変換されたデータビームと、スキャナレンズ20からの参照ビームとの干渉からホログラムが形成される。そして、前述したように、ディスク媒体22は、ガルボミラー制御部17によるガルボミラー16の角度調整が行われ、当該角度調整後のガルボミラー16からの参照ビームとデータビームとの干渉によりホログラムが再び形成されることにより角度多重記録が行われブックが形成される。
【0045】
また、ディスク媒体22を構成するガラス基板には、例えば予めウォブル(Wobble)が形成されており、当該ディスク媒体22に形成されるホログラムの位置を定めるためのアドレス情報が、ピットとして当該ウォブルに予め形成されている。そして、スキャナレンズ20から入射されるサーボレーザー装置19からのサーボレーザービームがアドレス情報を示すピットに照射される。アドレス情報を示すピットを照射した後のサーボレーザービームは、ディテクタ23に入射される。また、ディスク媒体22に入射されたサーボレーザービームの一部は、当該ディスク媒体22によって反射し、PSD52に入射する。尚、本実施形態においては、ホログラムが記録され、又は、ホログラムが再生される媒体としてディスク媒体22を用いたがこれに限るものではない。例えば、ディスク駆動部25と同様の機能を有する駆動部に設けられ、サーボレーザービームを反射する多角形の媒体を用いても良い。本実施形態においてディスク媒体22を用いた理由は、当該ディスク媒体22の傾斜・振動の検出が容易であり、また、持ち運び等の融通性・利便性を有しているからである。
【0046】
PSD52の受光面52(a)(図6・図10)には、ディスク媒体22にて反射されたサーボレーザービームの一部が入射される。PSD52の受光面は、図10に示すX1方向に対応するX2方向と、Y1方向に対応するY2方向とから構成されている。そして、PSD52は、X2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(X)を差分器32、バンドパスフィルタ59に出力する。また、PSD52は、Y2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(Y)を差分器33、バンドパスフィルタ60に出力する。
【0047】
基準電圧発生部34は、ディスク媒体22が基準位置Aにある場合のX2方向におけるアナログ電気信号(以下、基準アナログ電気信号(X)という)を差分器32に出力する。基準アナログ電気信号(X)について詳述すると、例えば実験等において、基準位置Aにディスク媒体22を確実に配置し、サーボレーザービームを入射させる。PSD52には、ディスク媒体22にて反射されたサーボレーザービームの一部が入射されることとなる。そして、このときPSD52から出力されるアナログ電気信号(X)が、基準アナログ電気信号(X)である。そして、基準電圧発生部34は、当該基準アナログ電気信号(X)を差分器33に出力すべく設けられる。
【0048】
差分器32は、PSD32からのアナログ電気信号(X)と基準アナログ電気信号(X)の差分結果を示す電圧(以下、差分電圧(X)という)をローパスフィルタ36に出力する。
【0049】
ローパスフィルタ36は、差分器32からの差分電圧(X)のうち所定周波数未満の電圧のみを増幅器38に出力する。尚、この所定周波数は、例えば、ディスク媒体22の傾斜を補正すべく動作する後述のディスク駆動部25が動作可能な最大周波数からもとめることができる。また、バンドパスフィルタ59は、この所定周波数を最小周波数とする周波数帯域内のアナログ電気信号(X)のみを振動量検出部40に出力する。このアナログ電気信号(X)の周波数の変化は、ディスク媒体22に発生している傾斜・振動の変化に対応したものとなっている。この結果、ディスク媒体22に発生している傾斜・振動の変化に対する補正がディスク駆動部25にて可能な場合に限り、ローパスフィルタ36は、所定周波数未満の電圧のみを増幅器38に出力することとなる。尚、本実施形態においては、所定周波数は、ディスク駆動部25が動作可能な最大周波数として設けられているがこれに限るものではない。例えば、所定周波数をディスク駆動部25が動作可能な最大周波数よりも小さい周波数で設け、より確実にディスク駆動部25を動作すべく設けても良い。また、ローパスフィルタ36が、差分電圧(X)のうち所定周波数以上の電圧をカットすることにより、ホログラム装置等による電気的ノイズをカットすることとなり、ディスク駆動部25の当該電気的ノイズによる誤動作を防止することが可能となる。
【0050】
増幅器38は、ローパスフィルタ36からの電圧を所定の増幅率にて増幅し(以下、増幅器38にて増幅された電圧を補正電圧(X)という)、ディスク駆動部25のソレノイド53(X)に印加させる。
【0051】
基準電圧発生部35は、ディスク媒体22が基準位置Aにある場合のY2方向におけるアナログ電気信号(以下、基準アナログ電気信号(Y)という)を差分器33に出力する。尚、基準電圧発生部35は前述した基準電圧発生部34と同様の趣旨で設けられる。
【0052】
差分器33は、PSD32からのアナログ電気信号(Y)と基準アナログ電気信号(Y)の差分結果を示す電圧(以下、差分電圧(Y)という)をローパスフィルタ37に出力する。
【0053】
ローパスフィルタ37は、差分器33からの差分電圧(Y)のうち所定周波数未満の電圧のみを増幅器39に出力する。また、バンドパスフィルタ60は、この所定周波数を最小周波数とする周波数帯域内のアナログ電気信号(Y)のみを振動量検出部41に出力する。尚、この所定周波数は、前述のローパスフィルタ36と同様の趣旨でもとめることができる。また、ローパスフィルタ37が、差分電圧(X)のうち所定周波数以上の電圧をカットすることにより、ホログラム装置等による電気的ノイズをカットすることとなり、ディスク駆動部25の当該電気的ノイズによる誤動作を防止することが可能となる。
【0054】
増幅器39は、ローパスフィルタ37からの電圧を所定の増幅率にて増幅し(以下、増幅器39にて増幅された電圧を補正電圧(Y)という)、ディスク駆動25のソレノイド53(Y)に印加させる。
【0055】
ディテクタ23は、サーボレーザー装置19からのサーボレーザービームが、ディスク媒体22に形成されたアドレス情報を示すピットに照射された後の当該サーボレーザービームが入射される。ディテクタ23は、例えば4分割された光検出器(不図示)から構成され、4分割された光検出器が検出するサーボレーザービームに基づいて、アドレス情報をCPU1に送信する。
【0056】
ディスク制御部24は、CPU1からの指示信号に基づいて、ディスク媒体22の所望のアドレス情報を示すピットにサーボレーザービームを照射させるべく、ディスク媒体22を回転させるための指示信号をディスク駆動部25に送信する。また、ディスク制御部24は、前述したブックがディスク媒体22に形成されたとき、ディスク媒体22の他の位置にホログラムを形成させるべく、ディスク媒体22を回転させるための指示信号をディスク駆動部25に送信する。
【0057】
ディスク駆動部25は、図9に示すとおりフレーム部56、バネ部54(a)、54(b)、54(c)、ソレノイド53(X)、ソレノイド53(Y)、支持部57、回転部55、回転部支持板58にて構成される。支持部57は、ディスク媒体22の中心孔に挿通され、ディスク媒体22をディスク駆動部25に固定させる。回転部55は、回転部支持板58上に設けられ、ディスク制御部24からの指示信号に基づいてディスク媒体22を回転させるべく設けられる。尚、図1、図9においては、説明の便宜上、ディスク制御部24からの指示信号に基づいてディスク媒体22を回転させるための回路構成(例えばディジタルアナログ変換器、増幅器等)は省略している。バネ部54(a)、54(b)、54(c)は、ディスク媒体22の基本的な傾斜・振動対策として、フレーム部56と回転部支持板58間に設けられる。ソレノイド53(X)は、増幅器38からの補正電圧(X)が印加され、補正電圧(X)のレベルに応じて回転部支持板58を+Y3方向に押し上げたり、−Y3方向に引き下げたりする構成となっている。そして、ソレノイド53(X)が回転部支持板58を+Y3方向に押し上げることにより、ディスク媒体22の端面22(a)は押し上げられ、端面22(b)は引き下げられることとなる。逆に、ソレノイド53(X)が回転部支持板58を−Y3方向に引き下げることにより、ディスク媒体22の端面22(a)は引き下げられ、端面22(b)は押し上げられることとなる。また、ソレノイド53(Y)は、増幅器39からの補正電圧(Y)が印加され、補正電圧(Y)のレベルに応じて回転支持板58を+Y3方向に押し上げたり、引き下げたりする構成となっている。そして、ソレノイド53(Y)が回転部支持板58を+Y3方向に押し上げることにより、ディスク媒体22の端面(c)(図9紙面手前であって、ディスク媒体22の端面22(a)(b)の中間部分)は押し上げられ、端面(c)とは支持部57を中心とした逆の端面(d)(不図示)は引き下げられることとなる。逆に、ソレノイド(Y)が回転部支持板58を−Y3方向に引き下げることにより、端面22(c)は引き下げられ、端面(d)は押し上げられることとなる。尚、ソレノイド53(X)は、図10に示すX1方向上に設けられており、ソレノイド53(Y)は、Y1方向上に設けられているものとする。
【0058】
振動量検出部40は、バンドパスフィルタ59からのアナログ電気信号(X)に基づいて、当該アナログ電気信号(X)の振幅レベルを検出する。そして、振動量検出部40は、振幅レベルに応じた電圧(以下、振幅電圧(X)という)を比較器44に出力する。例えば、X1方向において、基準位置Aに対してディスク媒体22が連続して傾斜した場合(つまり、ディスク媒体22が振動した場合)、振動量検出部40から出力される振幅電圧(X)は、ディスク媒体22の振動の大きさを示すこととなる。
【0059】
基準振動量電圧発生部42は、基準電圧Vref(X)を比較器44に出力する。基準電圧Vref(X)について詳述すると、例えばホログラム記録時の実験等において、振動量検出部40からの振幅電圧(X)があるレベル未満となる振動をディスク媒体22に発生させた場合、前述した所定値の回折効率を有するホログラムが当該ディスク媒体22に形成され、また、振幅電圧(X)があるレベル以上となる振動をディスク媒体22に発生させた場合、所定値の回折効率を有するホログラムが、当該ディスク媒体22に形成されなかったときの、当該あるレベルの振幅電圧(X)が基準電圧Vref(X)である。この結果、基準電圧Vref(X)未満の振動は許容範囲であるものとし、基準振動量電圧発生部42は、当該基準電圧Vref(X)を比較器44に出力すべく設けられる。
【0060】
比較器44は、振動量検出部40からの振幅電圧(X)が、基準振動量電圧発生部42からの基準電圧Vref(X)よりハイレベルである場合、一方の論理値‘1’をOR回路46、CPU1に出力する。尚、本実施形態においては、振幅電圧(X)が基準電圧Vref(X)よりハイレベルである場合、一方の論理値‘1’を出力すべく比較器44は設けられているがこれに限るものではない。例えば、本実施形態における基準電圧Vref(X)よりもローレベルで基準電圧Vref(X)を設け、比較器44は、振幅電圧(X)とローレベルの基準電圧Vref(X)を比較すべく設けても良い。この結果、より確実に所定値の回折効率を有するホログラムをディスク媒体22に形成させることが可能となり、所定値の回折効率を有していないホログラムが形成されることを防止することが可能となる。
【0061】
振動量検出部41は、バンドパスフィルタ60からのアナログ電気信号(Y)に基づいて、当該アナログ電気信号(Y)の振幅レベルを検出する。そして、振動量検出部41は、振幅レベルに応じた電圧(以下、振幅電圧(Y)という)を比較器44に出力する。例えば、Y1方向において、基準位置Aに対してディスク媒体22が連続して傾斜した場合(つまり、ディスク媒体22が振動した場合)、振動量検出部41から出力される振幅電圧(Y)は、ディスク媒体22の振動の大きさを示すこととなる。
【0062】
基準振動量電圧発生部43は、基準電圧Vref(Y)を比較器45に出力する。尚、基準振動量電圧発生部43は前述した基準振動量電圧発生部42と同様の趣旨で設けられる。
【0063】
比較器45は、振動量検出部41からの振幅電圧(Y)が、基準振動量電圧発生部43からの基準電圧Vref(Y)よりハイレベルである場合、一方の論理値‘1’をOR回路46、CPU1に出力する。尚、本実施形態においては、振幅電圧(Y)が基準電圧Vref(Y)よりハイレベルである場合、一方の論理値‘1’を出力すべく比較器45は設けられているがこれに限るものではない。例えば、本実施形態における基準電圧Vref(Y)よりもローレベルで基準電圧Vref(Y)を設け、比較器45は、振幅電圧(Y)とローレベルの基準電圧Vref(Y)を比較すべく設けても良い。この結果、より確実に所定の回折効率を有するホログラムをディスク媒体22に形成させることが可能となり、所定値の回折効率を有していないホログラムが形成されることを防止することが可能となる。
【0064】
OR回路46は、比較器44、45のうち少なくとも何れかの出力が一方の論理値‘1’である場合、一方の論理値‘1’をOR回路47に出力する。
OR回路47は、OR回路46、CPU1のうち少なくとも何れかの出力が一方の論理値‘1’である場合、一方の論理値‘1’をTFF48に出力する。
【0065】
TFF48は、T端子(トリガー入力)、R端子(リセット端子)、Q端子(出力端子)を有する。TFF48のT端子には、CPU1からのトリガー信号が入力される。そして、TFF48はトリガー信号が入力されると、例えばハイレベルをQ端子から出力し、第1シャッター11を開状態とする。また、TFF48のQ端子には、OR回路47からの一方の論理値‘1’が入力される。そして、TFF48は一方の論理値‘1’が入力されると、例えばローレベルをQ端子から出力し、第1シャッター11を閉状態とする。尚、TFF48は、R端子に一方の論理値‘1’が入力されるまでの期間、Q端子からハイレベルを出力し続ける。
【0066】
CPU1は、ホログラム装置を統括制御する。CPU1は、再生・記録判別部6からの記録指示データに基づく指示信号を受信すると、メモリ2から既にディスク媒体22に形成されているピットに基づくアドレス情報を読出す。そして、CPU1は、サーボレーザー装置19からのレーザービーム(以下、サーボレーザービームという)を、次のアドレス情報を示すピットに照射させるべく、ディスク媒体22を回転させるための指示信号をディスク制御部24に送信する。また、CPU1は、ガルボミラー制御部17によるガルボミラー16の角度調整を実行させるべく、ガルボミラー制御部17に指示信号を送信する。
【0067】
さらに、CPU1は、再生・記録判別部6からのデータ量の情報に基づいて、ディスク媒体22に形成されるホログラムの数(つまり、ページ数)を算出する。そして、CPU1は、算出したページ数の各ページに応じたレーザービーム記録時照射時間Tを算出する。このレーザービーム記録時照射時間Tは、例えば実験等によって、前述した所定値の回折効率を有するホログラムを形成したときのデータビームと参照ビームの照射時間である。そして、CPU1は、レーザービーム記録時照射時間Tを算出すると、第1シャッター11を開状態とするためのトリガー信号をTFF48に送信し、第2シャッター14を開状態とするための指示信号を第2シャッター制御部15に送信する。また、CPU1は、レーザービーム記録時照射時間Tが達したか否を判別するため、第1のタイマ49の計時をスタートさせる。この結果、ディスク媒体22へのホログラム記録が開始される。
【0068】
また、CPU1は、比較器44からの一方の論理値‘1’が入力されると、第1のタイマ49の計時をストップさせる。そして、CPU1は、比較器44からの一方の論理値‘1’が入力されなくなると、第2のタイマ50の計時をスタートさせ、第2のタイマ50の計時が予め定められた期間t(X)に達したか否かを判別する。この予め定められた期間t(X)は、前述した振動量検出部40からの振幅電圧(X)が、基準振動量電圧発生部42からの基準電圧Vref(X)未満である期間を示す。つまり、第2のタイマ50の計時が予め定められた期間t(X)に達するということは、X1方向におけるディスク媒体22の振動が収まり、再びデータビームと参照ビームを当該ディスク媒体22に照射可能であることがわかる。そして、CPU1は、第2のタイマ50の計時が予め定められた期間t(X)に達したと判別すると、トリガー信号をTFF48に送信し、第1のタイマ49の計時を再びスタートさせる。
【0069】
また、CPU1は、比較器45からの一方の論理値‘1’が入力されると、第1のタイマ49の計時をストップさせる。そして、CPU1は、比較器45からの一方の論理値‘1’が入力されなくなると、第3のタイマ51の計時をスタートさせ、第3のタイマ51の計時が予め定められた期間t(Y)に達したか否かを判別する。この予め定められた期間t(Y)は、前述した振動量検出部41からの振幅電圧(Y)が、基準振動量電圧発生部43からの基準電圧Vref(Y)未満である期間を示す。つまり、第3のタイマ51の計時が予め定められた期間t(Y)に達するということは、Y1方向におけるディスク媒体22の振動が収まり、再びデータビームと参照ビームを当該ディスク媒体22に照射可能であることがわかる。そして、CPU1は、第3のタイマ51の計時が予め定められた期間t(Y)に達したと判別すると、トリガー信号をTFF48に送信し、第1のタイマ49の計時を再びスタートさせる。
【0070】
そして、CPU1は、第1のタイマ49の計時がレーザービーム記録時照射時間Tに達したと判別すると、OR回路47に一方の論理値‘1’を送信し、第2シャッター制御部15に第2シャッター14を閉状態とするための指示信号を送信する。この結果、ディスク媒体22へのホログラム記録が終了する。
【0071】
また、CPU1は、再生・記録判別部6からの再生指示データに基づく指示信号を受信すると、当該指示信号に応じたホログラム(以下、再生ホログラムという)のアドレス情報を示すピットに対して、サーボレーザービームを照射させるべく、ディスク媒体22を回転させるための指示信号をディスク制御部24に送信する。また、CPU1は、再生ホログラムに参照ビームを入射させるためガルボミラー16の角度調整をすべく、指示信号をガルボミラー制御部17に送信する。そして、CPU1は、再生ホログラムに応じたレーザービーム再生時照射時間Tを算出する。このレーザービーム再生時照射時間Tは、例えば、例えば実験等によって、後述する所定の光量の再生ビームをイメージセンサ27にて受光するまでの、再生ホログラムに対する参照ビームの照射時間である。そして、CPU1は、レーザービーム再生時照射時間Tを算出すると、第1シャッター11を開状態とするためのトリガー信号をTFF48に送信し、第2シャッター14を閉状態とするための指示信号を第2シャッター制御部15に送信する。また、CPU1は、レーザービーム再生時照射時間Tが達したか否かを判別するため、第1のタイマ49の計時をスタートさせる。また、この結果、ディスク媒体22からのホログラム再生が開始される。
【0072】
また、CPU1は、第1のタイマ49の計時がレーザービーム再生時照射時間Tに達したと判別すると、OR回路47に一方の論理値‘1’を送信する。この結果、ディスク媒体22からのホログラム再生が終了する。
【0073】
第1のタイマ49は、前述したレーザービーム記録時照射時間Tを計時すべく、CPU1からの指示信号に基づいて計時をスタートする。また、第1のタイマ49は、CPU1からの指示信号に基づいて、計時をストップする。
第2のタイマ50は、前述した予め定められた期間t(X)を計時すべく、CPU1からの指示信号に基づいて計時をスタートする。
第3のタイマ51は、前述した予め定められた期間t(Y)を計時すべく、CPU1からの指示信号に基づいて計時をスタートする。
【0074】
フーリエ変換レンズ26は、ホログラム再生時において、ディスク媒体22対して入射された参照ビームが、ディスク媒体22に形成されたホログラムによって回折されたビーム(以下、再生ビームという)が入射される。この再生ビームは、参照ビームが照射されたホログラムが示す2次元濃淡画像パターンが反映されている。そして、フーリエ変換レンズ26は、逆フーリエ変換された再生ビームを、イメージセンサ27へ入射させる。
【0075】
イメージセンサ27は、前述したSLM9と同様に1280ピクセル×1280ピクセルの2次元濃淡画像パターンが再現可能であり、例えばCCD(Charge Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor) Image Sensor、から構成されている。そして、イメージセンサ27には、フーリエ変換レンズ26からの再生ビームが照射される。イメージセンサ27は、イメージセンサ制御部28からの指示信号に基づいて、再現された2次元濃淡画像パターンの明暗を電気信号の強弱に変換し、2次元濃淡画像パターンの明暗の光量に応じたレベルとなるアナログ電気信号をフィルタ29へ送信する。尚、本実施形態においては、イメージセンサ27とSLM9は、共に1280ピクセル×1280ピクセルの2次元濃淡画像パターンが再現可能であるものとして設けられているがこれに限るものではない。例えば、イメージセンサ27の再現可能ピクセル数をSLM9のピクセル数より多く設けても良い。この結果、フーリエ変換レンズ26からの再生ビームが、イメージセンサ27に確実に照射されることとなり、2次元濃淡画像パターンの再現を確実に行うことが可能となる。また、イメージセンサ制御部28によるイメージセンサ27の所定位置への移動制御が、高精度で要求されることを軽減することが可能となる。
【0076】
イメージセンサ制御部28は、再生ビームをイメージセンサ27が確実に受光すべく、イメージセンサ27の所定位置への移動制御を行う。また、イメージセンサ制御部28は、イメージセンサ27に所定の光量以上の再生ビームが照射されたと判別した場合、第1シャッター制御部12に第1シャッター11を閉状態とするための指示信号を送信する。
【0077】
フィルタ29は、イメージセンサ27にて再現された2次元濃淡画像パターンの明暗の光量に基づくアナログ電気信号を、2値化処理の分離性を高めるべくフィルタリングを行う。例えば、イメージセンサ27にて再現された2次元濃淡画像パターンは、データビーム・再生ビーム等が受けるノイズなどにより、SLM9にて形成された2次元濃淡画像パターンの明暗に比べ、明確な明暗が再現されない場合がある。そのため、イメージセンサ27にて再現された2次元濃淡画像パターンの明暗に基づくアナログ電気信号のレベルが、‘明’を示すレベルであるか‘暗’を示すレベルであるかが明確でなく、2値化処理が適切に行われない場合がある。そのためフィルタ29によるフィルタリングによって、アナログ電気信号のレベルの補正が行われる。尚、本実施形態においては、フィルタ29とデコーダ30の間に2値化処理部(不図示)を設けられ、フィルタ29からのアナログ電気信号に対し2値化処理が行われる。そして、2値化処理の結果得られたディジタル信号がデコーダ30に送信されるものとして以下説明する。
【0078】
デコーダ30は、2値化処理部からのディジタル信号に対し、デコード処理を行う。
メモリ2は、CPU1が前述した処理を行うためのプログラムデータが予め記憶されている。また、メモリ2は、前述したCPU1からのディスク媒体22に形成されているピットからのアドレス情報が記憶される。メモリ2は、データを電気消去することによりデータを繰り返し書き込み読み出しできる不揮発性記憶素子で構成される。
【0079】
=== 傾斜検出装置・ホログラム装置の動作(記録) ===
図1、図6、図7、図9、図10を参照しつつ、本発明に係る傾斜検出装置、ホログラム装置の記録時の動作について説明する。図7は、本発明に係る傾斜検出装置、ホログラム装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。尚、本実施形態においては、ディスク媒体22には、ホログラムが形成されていない(つまり、データが記録されていない)ものとして説明する。
【0080】
例えばPC等のホスト機器から接続端子4、インタフェース3を介してバッファ5に記録指示データが記憶されると、再生・記録判別部6は、バッファ5に記録指示データが記憶されていると判別する。そして、再生・記録判別部6は、ホログラム装置にて記録処理を実行するための指示信号をCPU1に送信する。尚、バッファ5には、ディスク媒体22に記録させるデータがホスト機器から送信され、記憶されたものとする。そして、再生・記録判別部6は、ディスク媒体22に記憶させるデータ量の情報をCPU1に送信する。次に、再生・記録判別部6は、バッファ5に記憶されている、ディスク媒体22に記憶させるデータをエンコーダ7に送信する。
【0081】
CPU1は、再生・記録判別部6からの記録指示データに基づく指示信号を受信すると、メモリ2に記憶されているアドレス情報から、ディスク媒体22に既に形成されているホログラムに関するアドレス情報を読み出す。尚、前述したとおりディスク媒体22には、未だホログラムが形成されていないので、CPU1は、ディスク媒体22に既に形成されているホログラムに関する情報は無いと判別することとなる。また、CPU1は、再生・記録判別部6からのデータ量の情報に基づいて、ディスク媒体22に形成されるページ数を算出する。尚、本実施形態においては、例えばデータ量の情報が3メガビットの情報であるものとし、このとき、CPU1は、2ページを算出したものとして説明する。そして、CPU1は、例えば第1のアドレス情報がピットとして形成されているディスク媒体22の位置からホログラムの形成を開始すべく、ガルボミラー制御部17、ディスク制御部24に指示信号を送信する(図7・ディスク制御部24指示信号(t0)。ガルボミラー制御部17指示信号(t0))。
【0082】
サーボレーザー装置19は、傾斜検出装置・ホログラム装置が起動開始するとともに、サーボレーザービームを出射する(図7・サーボレーザー装置)。このサーボレーザービームは、ダイクロックミラー18にて反射されてスキャナレンズ20に入射される。スキャナレンズ20に入射されたサーボレーザービームは、ディスク媒体22に形成されたアドレス情報を示すピットに照射されて、ディテクタ23に入射される。また、サーボレーザービームの一部は、ディスク媒体22によって反射し、PSD52に入射する。
【0083】
ディテクタ23は、4分割された光検出器(不図示)に入射されたサーボレーザービームに基づいて、アドレス情報をCPU1に送信する。
CPU1は、ディテクタ23からのアドレス情報に基づいて、当該アドレス情報が第1のアドレス情報を示すものであるか否かを判別する。例えばCPU1は、当該アドレス情報が第1のアドレス情報を示すものではないと判別すると、ディスク媒体22を回転させて、第1のアドレス情報を示すピットにサーボレーザービームを照射させるべく、ディスク制御部24に指示信号を送信する。
ディスク制御部24は、CPU1からの指示信号に基づいて、ディスク媒体22を回転させるべく指示信号をディスク駆動部25に送信する。
ディスク駆動部25は、ディスク制御部24からの指示信号に基づいて、サーボレーザービームが第1のアドレス情報を示すピットに照射されるべく、ディスク媒体22を回転させる。
【0084】
以下、例えばディスク媒体22の中心孔へ、ディスク駆動部25の支持部57が確実に挿通されず、X1方向・Y1方向において、当該ディスク媒体22が傾斜している場合について説明する。
【0085】
PSD52の受光面52(a)には、傾斜したディスク媒体22にて反射されたサーボレーザービームの一部が入射される。そして、PSD52は、X2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(X)を差分器32、バンドパスフィルタ59に出力する。また、PSD52は、Y2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(Y)を差分器33、バンドパスフィルタ60に出力する。
【0086】
差分器32は、PSD52からのアナログ電気信号(X)と基準電圧発生部34からの基準アナログ電気信号(X)との差分結果を示す差分電圧(X)を、ローパスフィルタ36に出力する。尚、ディスク媒体22はX1方向において傾斜しているため、この差分電圧(X)は、基準位置Aにおけるサーボレーザービームの受光位置と傾斜時のサーボレーザービームの受光位置との距離に応じたレベルとなっている。
【0087】
差分器33は、PSD52からのアナログ電気信号(Y)と基準電圧発生部35からの基準アナログ電気信号(Y)との差分結果を示す差分電圧(Y)を、ローパスフィルタ37に出力する。尚、ディスク媒体22はY1方向において傾斜しているため、この差分電圧(Y)は、基準位置Aにおけるサーボレーザービームの受光位置と傾斜時のサーボレーザービームの受光位置との距離に応じたレベルとなっている。
【0088】
ローパスフィルタ36は、差分器32からの差分電圧(X)のうち所定周波数未満の電圧のみを増幅器38に出力する。
ローパスフィルタ37は、差分器33からの差分電圧(Y)のうち所定周波数未満の電圧のみを増幅器39に出力する。
増幅器38は、ローパスフィルタ36からの電圧を所定の増幅率にて増幅し、増幅結果を示す補正電圧(X)をディスク駆動部25のソレノイド53(X)に印加させる(図7・増幅器38出力(t1))。
増幅器39は、ローパスフィルタ37からの電圧を所定の増幅率にて増幅し、増幅結果を示す補正電圧(Y)をディスク駆動部25のソレノイド53(Y)に印加させる(図7・増幅器39出力(t1))。
【0089】
ソレノイド53(X)は、増幅器38からの補正電圧(X)が印加されることによって、ディスク媒体22を基準位置Aに配置すべく、例えば、回転部支持板58を+Y3方向に押し上げる。そして、回転部支持板58が押し上げられることにより、ディスク媒体22の端面22(a)は押し上げられ、端面22(b)は引き下げられる。
【0090】
ソレノイド53(Y)は、増幅器39からの補正電圧(Y)が印加されることによって、ディスク媒体22を基準位置Aに配置すべく、例えば、回転部支持板58を+Y3方向に押し上げる。そして、回転部支持板58が押し上げられることにより、ディスク媒体22の端面22(c)が押し上げられ、端部22(d)は引き下げられる。
【0091】
この結果、傾斜したディスク媒体22に対する基準位置Aへの補正が行われたこととなる。そして、ホログラムを形成するためのデータビームと参照ビームを、正確な入射角をもってディスク媒体22に入射させることが可能となる。
【0092】
CPU1は、第1のページ(ディスク媒体22に形成される第1のホログラム)をディスク媒体22に形成すべく、第1のページに応じたレーザービーム記録時照射時間T1を算出する。そして、CPU1は、TFF48にトリガー信号を送信し(図7・トリガー信号(t2))、第2シャッター制御部15に第2シャッター14を開状態とするための指示信号を送信する。また、CPU1は、第1のタイマ49の計時をスタートさせる。
エンコーダ7は、バッファ5からのデータに対してエンコード処理を行う。
【0093】
マッピング処理部8は、エンコーダ7からのデータを、二次元のデータ配列に並び替えて単位ページ配列データを形成する。マッピング処理部8は、約1.6メガビット(1280ビット×1280ビット)のデータから単位ページ配列データを形成可能であり、ホスト機器からのディスク媒体22に記憶させるべきデータが3メガビットである場合、少なくとも2回、単位ページ配列データを順次形成することとなる。
【0094】
SLM9は、マッピング処理部8にて形成された単位ページ配列データに基づいた2次元濃淡画像パターン(縦1280ピクセル×横1280ピクセル)を形成する。例えば、SLM9は、単位ページ配列データを構成するデータの一方の論理値に対して‘明’、他方の論理値に対して‘暗’として形成する。
【0095】
TFF48は、CPU1からのトリガー信号が入力されると、ハイレベルをQ端子から出力して第1シャッター11を開状態(ON)とする(図7・第1シャッター(t2))。第1シャッター11は、TFF48からのハイレベルが出力されている期間、開状態となる。そして、第1シャッター11が開状態となることによって、レーザー装置10からのレーザービームが第1シャッター11を介して1/2波長板31に入射される。
1/2波長板31は、所定の傾きに応じた角度にてレーザー装置10からのレーザービームをPBS13に入射させる。
PBS13は、1/2波長板31からのレーザービームを一方のレーザービームと参照ビームに分離して、一方のレーザービームを第2シャッター14に入射させ、参照ビームをガルボミラー16に入射させる。
【0096】
第2シャッター制御部15は、CPU1からの指示信号に基づいて、第2シャッター14に開状態指示信号を送信する(図7・第2シャッター開状態指示信号(t2))。
第2シャッター14は、第2シャッター制御部15からの開状態指示信号に基づいて、開状態(ON)となる(図7・第2シャッター(t2))。第2シャッター14が開状態となることによって、PBS13からの一方のレーザービームがSLM9に入射される。
【0097】
SLM9は、一方のレーザービームが入射されると、一方のレーザービームをSLM9に形成された2次元濃淡画像パターンの情報が反映されたデータビームとしてフーリエ変換レンズ21に反射する。
フーリエ変換レンズ21は、SLM9からのデータビームを集光しつつフーリエ変換を行ってディスク媒体22に入射させる。
【0098】
ガルボミラー制御部17は、CPU1からの指示信号に基づいて、ガルボミラー16にて反射された参照ビームがダイクロックミラー18、スキャナレンズ20を介してディスク媒体22に入射される角度を調整すべく、ガルボミラー16の角度を調整する。尚、このときのガルボミラー制御部17にて角度調整されたガルボミラー16は、前述したように第1のページをディスク媒体22に形成すべく角度調整される。そして、PBS13からの参照ビームは、ガルボミラー制御部17にて角度調整されたガルボミラー16にて反射されてダイクロックミラー18に入射される。
【0099】
ダイクロックミラー18に入射された参照ビームは、ダイクロックミラー18を透過して、スキャナレンズ20に入射される。尚、前述したサーボレーザー装置19から出射されたサーボレーザービームは、参照ビームと重畳してスキャナレンズ20に入射される。
【0100】
スキャナレンズ20は、ダイクロックミラー18からの参照ビーム、サーボレーザービームを屈折させ、ディスク媒体22に入射させる。
この結果、データビームと参照ビームが、基準位置Aに配置されたディスク媒体22に入射されることとなり、第1のページのホログラムの形成が開始されることとなる。
【0101】
以下、例えば第1のページのホログラムの形成中において、ディスク媒体22に振動が発生した場合について説明する。
ディスク媒体22に参照ビームと重畳して入射されたサーボレーザービームの一部は、振動するディスク媒体22によって反射し、PSD52に入射する。
【0102】
PSD52の受光面52(a)には、振動するディスク媒体22にて反射されたサーボレーザービームの一部が入射される。そして、PSD52は、X2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(X)を差分器32、バンドパスフィルタ59に出力する。また、PSD52は、Y2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(Y)を差分器33、バンドパスフィルタ60に出力する。
【0103】
尚、差分器32に出力されたアナログ電気信号(X)、及び、差分器33に出力されたアナログ電気信号(Y)については、前述したディスク媒体22の傾斜に対する補正が行われるため、以下説明を省略する。
【0104】
バンドパスフィルタ59は、PSD52からのアナログ電気信号(X)のうち所定周波数帯域内のアナログ電気信号(X)のみを振動量検出部40に出力する。
振動量検出部40は、バンドパスフィルタ59からのアナログ電気信号(X)に基づいて、当該アナログ電気信号(X)の振幅レベルに応じた振幅電圧(X)を比較部44に出力する。この振幅電圧(X)は、基準位置Aにおけるサーボレーザービームの受光位置と振動時のサーボレーザービームの受光位置との距離に応じたレベルであり、当該振動の大きさに対応したものとなる。
【0105】
バンドパスフィルタ60は、PSD52からのアナログ電気信号(Y)のうち所定周波数帯域内のアナログ電気信号(Y)のみを振動量検出部41に出力する。
振動量検出部41は、バンドパスフィルタ60からのアナログ電気信号(Y)に基づいて、当該アナログ電気信号(Y)の振幅レベルに応じた振幅電圧(Y)を比較部45に出力する。この振幅電圧(Y)は、基準位置Aにおけるサーボレーザービームの受光位置と振動時のサーボレーザービームの受光位置との距離に応じたレベルであり、当該振動の大きさに対応したものとなる。
【0106】
比較器44は、振動量検出部40からの振幅電圧(X)と基準振動量電圧発生部42からの基準電圧Vref(X)とを比較し、振幅電圧(X)が基準電圧Vref(X)よりハイレベルである場合、一方の論理値‘1’をOR回路46、CPU1に出力する。尚、本実施形態においては、振幅電圧(X)が図7・t3において基準電圧Vref(X)よりハイレベルとなり、比較器44は、一方の論理値‘1’を出力したものとして以下説明する。
【0107】
比較器45は、振動量検出部41からの振幅電圧(Y)と基準振動量電圧発生部43からの基準電圧Vref(Y)とを比較し、振幅電圧(Y)が基準電圧Vref(Y)よりハイレベルである場合、一方の論理値‘1’をOR回路46、CPU1に出力する。尚、本実施形態においては、振幅電圧(Y)が図7・t3において基準電圧Vref(Y)よりハイレベルとなり、比較器45は、一方の論理値‘1’を出力したものとして以下説明する。
【0108】
CPU1は、比較器44、45からの一方の論理値‘1’に基づいて、第1のタイマ49の計時をストップさせる。
また、OR回路46は、比較器44、45からの一方の論理値‘1’に基づいて、一方の論理値‘1’をOR回路47に出力する。
OR回路47は、OR回路46からの一方の論理値‘1’に基づいて、一方の論理値‘1’をTFF48に出力する。
TFF48は、OR回路47からの一方の論理値‘1’に基づいて、ローレベルをQ端子から出力し、第1シャッター11を閉状態(OFF)とさせる(図7・第1シャッター(t3))。第1シャッター11が閉状態となることにより、データビームと参照ビームのディスク媒体22への照射が遮断される。
【0109】
このように、ディスク媒体22に発生した振動による振幅電圧(X)(Y)が、それぞれ基準電圧Vref(X)(Y)よりハイレベルとなる場合、第1シャッター11を閉状態とすることにより、データビームと参照ビームの当該ディスク媒体22への照射を遮断することが可能となる。この結果、ディスク媒体22に発生した振動によって、所定値の回折効率を有さないホログラムが形成されることを防止することが可能となる。尚、本実施形態においては、振幅電圧(X)(Y)がそれぞれ基準電圧Vref(X)(Y)よりハイレベルとなる場合について説明したが、振幅電圧(X)のみが基準電圧Vref(X)よりハイレベルとなる場合、振幅電圧(Y)のみが基準電圧Vref(Y)よりハイレベルとなる場合についても同様に第1シャッター11が閉状態となる。
【0110】
次にディスク媒体22に発生した振動が徐々に収まり、振幅電圧(Y)が基準電圧Vref(Y)よりローレベルとなり(図7・t4)、振幅電圧(X)が基準電圧Vref(X)よりローレベルとなる場合(図7・t5)について説明する。
【0111】
比較器45は、振動量検出部41からの振幅電圧(Y)が、基準振動量電圧発生部43からの基準電圧Vref(Y)よりローレベルである場合(図7・t4)、OR回路46、CPU1へ他方の論理値‘0’を出力する。つまり、Y1方向におけるディスク媒体22の振動は、ホログラムの形成において前述した許容範囲内の振動となったことがわかる。
【0112】
CPU1は、比較器45からの他方の論理値‘0’が入力されると、第3のタイマ51の計時をスタートさせ、第3のタイマ51の計時が予め定められた期間t(Y)に達したか否かを判別する。
OR回路46は、比較器45からの他方の論理値‘0’が入力されるが、比較器44からの一方の論理値‘1’が入力され続けているため、一方の論理値‘1’をOR回路47に出力し続ける。
OR回路47は、OR回路46からの一方の論理値‘1’に基づいて、一方の論理値‘1’をTFF48に出力し続ける。
TFF48は、OR回路47からの一方の論理値‘1’に基づいて、ローレベルをQ端子から出力し、第1シャッター11を閉状態とさせ続ける。この結果、第1シャッター11が閉状態のままとなり(図7・t4t5間)、データビームと参照ビームのディスク媒体22への照射が遮断され続ける。
【0113】
比較器44は、振動量検出部40からの振幅電圧(X)が、基準振動量電圧発生部42からの基準電圧Vref(X)よりローレベルである場合(図7・t5)、OR回路46、CPU1へ他方の論理値‘0’を出力する。つまり、X1方向におけるディスク媒体22の振動は、ホログラムの形成において許容範囲内の振動となったことがわかる。
CPU1は、比較器44からの他方の論理値‘0’が入力されると、第2のタイマ50の計時をスタートさせ、第2のタイマ50の計時が予め定められた期間t(X)に達したか否かを判別する。
【0114】
OR回路46は、比較器44からの他方の論理値‘0’と、前述した比較器45からの他方の論理値‘0’とに基づいて、他方の論理値‘0’をOR回路47に出力する。
OR回路47は、OR回路46からの他方の論理値‘0’に基づいて、他方の論理値‘0’をTFF48に出力する。
TFF48は、OR回路47からの他方の論理値‘0’が入力され、ローレベルをQ端子から出力し続ける。
【0115】
CPU1は、第3のタイマの計時が予め定められた期間t(Y)に達し(図7・t6)、第2のタイマの計時が予め定められた期間t(X)に達したと判別すると、TFF48にトリガー信号を送信し(図7・トリガー信号(t7))、再び第1のタイマ49の計時をスタートさせる。
【0116】
TFF48は、CPU1からのトリガー信号が入力されると、ハイレベルをQ端子から出力して第1シャッター11を開状態(ON)とする(図7、第1シャッター(t7))。この結果、第1のページをディスク媒体22に形成すべく、データビームと参照ビームが再びディスク媒体22に入射されることとなる。
【0117】
そして、CPU1は、第1のタイマ49の計時が、算出したレーザービーム記録時照射時間T1(図7・T1(a)+T1(b))に達したと判別すると、OR回路47に一方の論理値‘1’を送信する。この結果、所定値の回折効率を有する第1のページを示すホログラムが、ディスク媒体22に形成されたこととなる。
【0118】
OR回路47は、CPU1からの一方の論理値‘1’に基づいて、一方の論理値‘1’をTFF48に出力する。
TFF48は、OR回路47からの一方の論理値‘1’に基づいて、ローレベルをQ端子から出力し、第1シャッター11を閉状態(OFF)とさせる(図7・第1シャッター(t8))。第1シャッター11が閉状態となることにより、データビームと参照ビームのディスク媒体22への照射が遮断される。
【0119】
次に、CPU1は、第2のページ(ディスク媒体22に形成される第2のホログラム)をディスク媒体22に形成すべく、第2のページに応じた入射角にて参照ビームを入射させるための指示信号をガルボミラー制御部17に送信する(図7・ガルボミラー制御部17指示信号(t8))。また、CPU1は、第2のページに応じたレーザービーム記録時照射時間T2を算出する。そして、CPU1は、TFF48にトリガー信号を送信し(図7・トリガー信号(t9))、第1のタイマ49の計時をリセットし、スタートさせる。
そして、前述した第1のページをディスク媒体22に記録させるための処理と同様に、第2のページをディスク媒体22に形成する。
【0120】
CPU1は、第1のタイマ49の計時が、算出したレーザービーム記録時照射時間T2(図7・T2(a)+T2(b))に達したと判別すると、OR回路47に一方の論理値‘1’を送信し、第2シャッター制御部15に第2シャッター14を閉状態とするための指示信号を送信する。この結果、所定値の回折効率を有する第2のページを示すホログラムが、ディスク媒体22に形成されたこととなる。そして、ディスク媒体22には、再生・記録判別部6からのデータ量の情報に基づいて算出したページ数のホログラム(第1のホログラム・第2のホログラム)が形成されたこととなる。
【0121】
第2シャッター制御部15は、CPU1からの指示信号に基づいて、第2シャッター14に閉状態指示信号を送信する(図7・第2シャッター閉状態指示信号(t10))。
第2シャッター14は、第2シャッター制御部15からの閉状態指示信号に基づいて、閉状態となる(図7・第2シャッター(t10))。
【0122】
この結果、ホログラム記録時において、基準位置Aに対するディスク媒体22の振動による影響を防止することが可能となり、所定値の回折効率を有するホログラムを形成することが可能となる。また、振動によって傾斜したディスク媒体22の基準位置Aへの補正を行うことが可能となり、ホログラムを形成するためのデータビームと参照ビームを、正確な入射角をもってディスク媒体22に入射させることが可能となる。
【0123】
=== 傾斜検出装置・ホログラム装置の動作(再生) ===
図1、図6、図8乃至図10を参照しつつ本発明に係る傾斜検出装置・ホログラム装置の再生時の動作について説明する。図8は、本発明に係る傾斜検出装置・ホログラム装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0124】
例えばPC等のホスト機器から接続端子4、インタフェース3を介してバッファ5に再生指示データが記憶されると、再生・記録判別部6は、バッファ5に再生指示データが記憶されていると判別する。そして、再生・記録判別部6は、ホログラム装置にて記録処理を実行するための指示信号を送信する。例えば、再生指示データは、前述した第1のホログラム、第2のホログラムの再生を示す指示データであるものとする。
【0125】
CPU1は、再生・記録判別部6からの再生指示データに基づく指示信号を受信すると、メモリ2に記憶されているアドレス情報から、先ず、第1のホログラム・第2のホログラムに応じたアドレス情報(以下、再生アドレス情報という)を読み出す。そして、CPU1は、再生アドレス情報がピットとして形成されているディスク媒体22の位置からホログラムを再生すべく、ディスク制御部24に指示信号を送信する(図8・ディスク制御部24指示信号(t10))。
【0126】
サーボレーザー装置19は、傾斜検出装置・ホログラム装置が起動開始するとともに、サーボレーザービームを出射する(図8・サーボレーザー装置)。このサーボレーザービームは、ダイクロックミラー18にて反射されてスキャナレンズ20に入射される。スキャナレンズ20に入射されたサーボレーザービームは、ディスク媒体22に形成されたアドレス情報を示すピットに照射されて、ディテクタ23に入射される。また、サーボレーザービームの一部は、ディスク媒体22によって反射し、PSD52に入射する。
【0127】
ディテクタ23は、4分割された光検出器(不図示)に入射されたサーボレーザービームに基づいて、アドレス情報をCPU1に送信する。
【0128】
CPU1は、ディテクタ23からのアドレス情報に基づいて、当該アドレス情報が再生アドレス情報を示すものであるか否かを判別する。例えばCPU1は、当該アドレス情報が再生アドレス情報を示すものではないと判別すると、ディスク媒体22を回転させて、再生アドレス情報を示すピットにサーボレーザービームを照射させるべく、ディスク制御部24に指示信号を送信する。
ディスク制御部24は、CPU1からの指示信号に基づいて、ディスク媒体22を回転させるべく指示信号をディスク駆動部25に送信する。
ディスク駆動部25は、ディスク制御部24からの指示信号に基づいて、サーボレーザービームが再生アドレス情報を示すピットに照射されるべく、ディスク媒体22を回転させる。
【0129】
以下、例えばディスク媒体22の中心孔へ、ディスク駆動部25の支持部57が確実に挿通されず、X1方向・Y1方向において、当該ディスク媒体22が傾斜している場合について説明する。
【0130】
PSD52の受光面52(a)には、傾斜したディスク媒体22にて反射されたサーボレーザービームの一部が入射される。そして、PSD52は、X2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(X)を差分器32、バンドパスフィルタ59に出力する。また、PSD52は、Y2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(Y)を差分器33、バンドパスフィルタ60に出力する。
【0131】
差分器32は、PSD52からのアナログ電気信号(X)と基準電圧発生部34からの基準アナログ電気信号(X)との差分結果を示す差分電圧(X)を、ローパスフィルタ36に出力する。尚、ディスク媒体22はX1方向において傾斜しているため、この差分電圧(X)は、基準位置Aにおけるサーボレーザービームの受光位置と傾斜時のサーボレーザービームの受光位置との距離に応じたレベルとなっている。
【0132】
差分器33は、PSD52からのアナログ電気信号(Y)と基準電圧発生部35からの基準アナログ電気信号(Y)との差分結果を示す差分電圧(Y)を、ローパスフィルタ37に出力する。尚、ディスク媒体22はY1方向において傾斜しているため、この差分電圧(Y)は、基準位置Aにおけるサーボレーザービームの受光位置と傾斜時のサーボレーザービームの受光位置との距離に応じたレベルとなっている。
【0133】
ローパスフィルタ36は、差分器32からの差分電圧(X)のうち所定周波数未満の電圧のみを増幅器38に出力する。
ローパスフィルタ37は、差分器33からの差分電圧(Y)のうち所定周波数未満の電圧のみを増幅器39に出力する。
増幅器38は、ローパスフィルタ36からの電圧を所定の増幅率にて増幅し、増幅結果を示す補正電圧(X)をディスク駆動部25のソレノイド53(X)に印加させる(図7・増幅器38出力(t11))。
増幅器39は、ローパスフィルタ37からの電圧を所定の増幅率にて増幅し、増幅結果を示す補正電圧(Y)をディスク駆動部25のソレノイド53(Y)に印加させる(図7・増幅器39出力(t11))。
【0134】
ソレノイド53(X)は、増幅器38からの補正電圧(X)が印加されることによって、ディスク媒体22を基準位置Aに配置すべく、例えば、回転部支持板58を+Y3方向に押し上げる。そして、回転部支持板58が押し上げられることにより、ディスク媒体22の端面22(a)は押し上げられ、端面22(b)は引き下げられる。
ソレノイド53(Y)は、増幅器39からの補正電圧(Y)が印加されることによって、ディスク媒体22を基準位置Aに配置すべく、例えば、回転部支持板58を+Y3方向に押し上げる。そして、回転部支持板58が押し上げられることにより、ディスク媒体22の端面22(c)が押し上げられ、端部22(d)は引き下げられる。
この結果、傾斜しているディスク媒体22に対する基準位置Aへの補正が行われたこととなる。そして、第1のホログラム・第2のホログラムを再生するための参照ビームを、正確な入射角でディスク媒体22に入射させることが可能となる。
【0135】
CPU1は、先ず、第1のホログラムを再生すべく、第1のホログラムに応じたレーザービーム再生時照射時間T1を算出する。また、CPU1は、参照ビームを第1のホログラムに照射させるべく、ガルボミラー制御部17に指示信号を送信する(図8・ガルボミラー制御部17指示信号(t10))。また、CPU1は、TFF48にトリガー信号を送信し、第1のタイマ29の計時をスタートさせる。
【0136】
TFF48は、CPU1からのトリガー信号が入力されると、ハイレベルをQ端子から出力して第1シャッター11を開状態(ON)とする(図8・第1シャッター(t12))。第1シャッター11は、TFF48からのハイレベルが出力されている期間、開状態となる。そして、第1シャッター11が開状態となることによって、レーザー装置10からのレーザービームが第1シャッター11を介して1/2波長板31に入射される。
1/2波長板31は、所定の傾きに応じた角度にてレーザー装置10からのレーザービームをPBS13に入射させる。
PBS13は、1/2波長板31からのレーザービームを一方のレーザービームと参照ビームに分離して、一方のレーザービームを第2シャッター14に入射させ、参照ビームをガルボミラー16に入射させる。尚、一方のレーザービームは、第2シャッター14が閉状態であるため、SLM9への入射が遮断される。
【0137】
ガルボミラー制御部17は、CPU1からの指示信号に基づいて、ガルボミラー16にて反射された参照ビームがダイクロックミラー18、スキャナレンズ20を介してディスク媒体22に入射される角度を調整すべく、ガルボミラー16の角度を調整する。尚、このときのガルボミラー制御部17にて角度調整されたガルボミラー16は、前述したように第1のホログラムに参照ビームが照射されるべく角度調整される。そして、PBS13からの参照ビームは、ガルボミラー制御部17にて角度調整されたガルボミラー16にて反射されてダイクロックミラー18に入射される。
【0138】
ダイクロックミラー18に入射された参照ビームは、ダイクロックミラー18を透過して、スキャナレンズ20に入射される。尚、前述したサーボレーザー装置19から出射されたサーボレーザービームは、参照ビームと重畳してスキャナレンズ20に入射される。
スキャナレンズ20は、ダイクロックミラー18からの参照ビーム、サーボレーザービームを屈折させ、ディスク媒体22に入射させる。
【0139】
第1のホログラムに照射された参照ビームは、当該第1のホログラムを示す干渉縞にて回折され、再生ビームとしてフーリエ変換レンズ26に入射される。尚、この再生ビームは、第1のホログラムが示す2次元濃淡画像パターンが反映されたものとなっている。
【0140】
フーリエ変換レンズ26は、逆フーリエ変換された再生ビームをイメージセンサ27へ入射させる。
【0141】
イメージセンサ制御部28の制御によって所定位置に配置されたイメージセンサ27は、フーリエ変換レンズ26からの再生ビームに基づいて、第1のホログラム示す2次元濃淡画像パターンを再現する。イメージセンサ制御部28は、イメージセンサ27に入射された再生ビームが所定の光量未満であるか否かを判別する。尚、本実施形態においては、イメージセンサ制御部28は、イメージセンサ27に入射された再生ビームが所定の光量以上であると判別しないものとして以下説明する。
この結果、参照ビームが、基準位置Aに配置されたディスク媒体22に入射されることとなり、第1のホログラムの再生が開始されることとなる。
【0142】
以下、例えば第1のホログラムからの再生中において、ディスク媒体22に振動が発生した場合について説明する。
ディスク媒体22に参照ビームと重畳して入射されたサーボレーザービームの一部は、振動するディスク媒体22によって反射し、PSD52に入射する。
PSD52の受光面52(a)には、振動するディスク媒体22にて反射されたサーボレーザービームの一部が入射される。そして、PSD52は、X2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(X)を差分器32、バンドパスフィルタ59に出力する。また、PSD52は、Y2方向におけるサーボレーザービームの受光位置に応じたアナログ電気信号(Y)を差分器33、バンドパスフィルタ60に出力する。尚、差分器32に出力されたアナログ電気信号(X)、及び、差分器33に出力されたアナログ電気信号(Y)については、前述したとおりディスク媒体22の振動による傾斜の補正が行われるため、以下説明を省略する。
【0143】
バンドパスフィルタ59は、PSD52からのアナログ電気信号(X)のうち所定周波数帯域内のアナログ電気信号(X)のみを振動量検出部40に出力する。
振動量検出部40は、バンドパスフィルタ59からのアナログ電気信号(X)に基づいて、当該アナログ電気信号(X)の振幅レベルに応じた振幅電圧(X)を比較部44に出力する。この振幅電圧(X)は、基準位置Aにおけるサーボレーザービームの受光位置と振動時のサーボレーザービームの受光位置との距離に応じたレベルであり、当該振動の大きさに対応したものとなる。
【0144】
バンドパスフィルタ60は、PSD52からのアナログ電気信号(Y)のうち所定周波数帯域内のアナログ電気信号(Y)のみを振動量検出部41に出力する。
振動量検出部41は、バンドパスフィルタ60からのアナログ電気信号(Y)に基づいて、当該アナログ電気信号(Y)の振幅レベルに応じた振幅電圧(Y)を比較部45に出力する。この振幅電圧(Y)は、基準位置Aにおけるサーボレーザービームの受光位置と振動時のサーボレーザービームの受光位置との距離に応じたレベルであり、当該振動の大きさに対応したものとなる。
【0145】
比較器44は、振動量検出部40からの振幅電圧(X)と基準振動量電圧発生部42からの基準電圧Vref(X)とを比較し、振幅電圧(X)が基準電圧Vref(X)よりハイレベルである場合、一方の論理値‘1’をOR回路46、CPU1に出力する。尚、本実施形態においては、振幅電圧(X)が図8・t3において基準電圧Vref(X)よりハイレベルとなり、比較器44は、一方の論理値‘1’を出力したものとして以下説明する。
【0146】
比較器45は、振動量検出部41からの振幅電圧(Y)と基準振動量電圧発生部43からの基準電圧Vref(Y)とを比較し、振幅電圧(Y)が基準電圧Vref(Y)よりハイレベルである場合、一方の論理値‘1’をOR回路46、CPU1に出力する。尚、本実施形態においては、振幅電圧(Y)が図7・t3において基準電圧Vref(Y)よりハイレベルとなり、比較器45は、一方の論理値‘1’を出力したものとして以下説明する。
【0147】
CPU1は、比較器44、45からの一方の論理値‘1’に基づいて、第1のタイマ49の計時をストップさせる。
また、OR回路46は、比較器44、45からの一方の論理値‘1’に基づいて、一方の論理値‘1’をOR回路47に出力する。
OR回路47は、OR回路46からの一方の論理値‘1’に基づいて、一方の論理値‘1’をTFF48に出力する。
TFF48は、OR回路47からの一方の論理値‘1’に基づいて、ローレベルをQ端子から出力し、第1シャッター11を閉状態(OFF)とさせる(図8・第1シャッター(t13))。第1シャッター11が閉状態となることにより、参照ビームのディスク媒体22への照射が遮断される。
【0148】
このように、ディスク媒体22に発生した振動による振幅電圧(X)(Y)が、それぞれ基準電圧Vref(X)(Y)よりハイレベルとなる場合、第1シャッター11を閉状態とすることにより、参照ビームの当該ディスク媒体22への照射を遮断することが可能となる。この結果、ディスク媒体22に発生した振動によって、例えば第1のホログラムとは異なるホログラムが再生されることを防止することが可能となる。尚、本実施形態においては、振幅電圧(X)(Y)がそれぞれ基準電圧Vref(X)(Y)よりハイレベルとなる場合について説明したが、振幅電圧(X)のみが基準電圧Vref(X)よりハイレベルとなる場合、振幅電圧(Y)のみが基準電圧Vref(Y)よりハイレベルとなる場合についても同様に第1シャッター11が閉状態となる。
【0149】
次にディスク媒体22に発生した振動が徐々に収まり、振幅電圧(X)が基準電圧Vref(X)よりローレベルとなり(図8・t14)、振幅電圧(Y)が基準電圧Vref(Y)よりローレベルとなる場合(図8・t15)について説明する。
【0150】
比較器44は、振動量検出部40からの振幅電圧(X)が、基準振動量電圧発生部42からの基準電圧Vref(X)よりローレベルである場合(図8・t14)、OR回路46、CPU1へ他方の論理値‘0’を出力する。つまり、X1方向におけるディスク媒体22の振動が、第1のホログラムを再生可能なレベルの振動となったことがわかる。
【0151】
CPU1は、比較器44からの他方の論理値‘0’が入力されると、第2のタイマ50の計時をスタートさせ、第2のタイマ50が予め定められた期間t(X)に達したか否かを判別する。
OR回路46は、比較器44からの他方の論理値‘0’が入力されるが、比較器45からの一方の論理値‘1’が入力され続けているため、一方の論理値‘1’をOR回路47に出力し続ける。
OR回路47は、OR回路46からの一方の論理値‘1’に基づいて、一方の論理値‘1’をTFF48に出力し続ける。
TFF48は、OR回路47からの一方の論理値‘1’に基づいて、ローレベルをQ端子から出力し、第1シャッター11を閉状態とさせ続ける。この結果、第1シャッター11が開状態のままとなり(図8・t14t15間)。参照ビームのディスク媒体22への照射が遮断し続ける。
【0152】
比較器45は、振動量検出部41からの振幅電圧(Y)が、基準振動量電圧発生部43からの基準電圧Vref(Y)よりローレベルである場合(図8・t15)、OR回路46、CPU1へ他方の論理値‘0’を出力する。つまり、Y1方向におけるディスク媒体22の振動が、第1のホログラムを再生可能なレベルの振動となったことがわかる。
【0153】
CPU1は、比較器45からの他方の論理値‘0’が入力されると、第3のタイマ51の計時をスタートさせ、第3のタイマ51の計時が予め定められた期間t(Y)に達したか否かを判別する。
OR回路46は、比較器45からの他方の論理値‘0’と、前述した比較器44からの他方の論理値‘0’とに基づいて、他方の論理値‘0’をOR回路47に出力する。
OR回路47は、OR回路46からの他方の論理値‘0’に基づいて、他方の論理値‘0’をTFF48に出力する。
TFF48は、OR回路47からの他方の論理値‘0’が入力され、ローレベルをQ端子から出力し続ける。
【0154】
CPU1は、第2のタイマ50の計時が予め定められた期間t(X)に達し(図8・t16)、第3のタイマ51の計時が予め定められた期間t(Y)に達したと判別すると、TFF48にトリガー信号を送信し(図8・トリガー信号(t17))、再び第1のタイマ49の計時をスタートさせる。
【0155】
TFF48は、CPU1からのトリガー信号が入力されると、ハイレベルをQ端子から出力して第1シャッター11を開状態(ON)とする(図8、第1シャッター(t17))。この結果、第1のホログラムを再生すべく、再び参照ビームがディスク媒体22に入射されることとなる。
【0156】
そして、CPU1は、第1のタイマ49の計時が、算出したレーザービーム再生時照射時間T1(図8・T1(c)+T1(d))に達したと判別すると、OR回路47に一方の論理値‘1’を送信する。この結果、イメージセンサ27に入射された再生ビームが所定の光量に達したこととなり、当該イメージセンサ27にて第1のホログラムを示す2次元濃淡画像パターンが再現されることとなる。
【0157】
イメージセンサ27は、再現された2次元濃淡画像パターンの明暗を電気信号の強弱に変換し、2次元濃淡画像パターンの光量に応じたレベルとなるアナログ電気信号をフィルタ29に送信する。
【0158】
フィルタ29は、イメージセンサ27にて再現された2次元濃淡画像パターンの明暗の光量に基づくアナログ電気信号を、2値化処理の分離性を高めるべくフィルタリングを行って、2値化処理部(不図示)に送信する。尚、前述したようにフィルタ29とデコーダ30の間には2値化処理部が設けられ、フィルタ29からのアナログ電気信号に対し2値化処理が行われる。
【0159】
デコーダ30は、2値化処理部からのディジタル信号に対しデコード処理を行う。デコーダ30にてデコード処理がなされたディジタル信号は、バッファ5、インタフェース3を介してホスト機器等に送信される。
【0160】
また、OR回路47は、CPU1からの一方の論理値‘1’に基づいて、一方の論理値‘1’をTFF48に出力する。
TFF48は、OR回路47からの一方の論理値‘1’に基づいて、ローレベルをQ端子から出力し、第1シャッター11を閉状態(OFF)とさせる(図8・第1シャッター(t18))。第1シャッター11が閉状態となることにより、参照ビームのディスク媒体22への照射が遮断されることとなる。
この結果、第1のホログラムに応じたデータが再生されたこととなる。
【0161】
次に、CPU1は、第2のホログラムをディスク媒体22から再生すべく、第2のホログラムに応じた入射角にて参照ビームを入射させるための指示信号をガルボミラー制御部17に送信する(図8・ガルボミラー制御部指示信号(t18))。また、CPU1は、第2のホログラムに応じたレーザービーム再生時照射時間T2を算出する。そして、CPU1は、TFF48にトリガー信号を送信し(図8・トリガー信号(t19))、第1のタイマ49をリセットし、スタートさせる。
【0162】
そして、前述した第1のホログラムをディスク媒体22から再生させるための処理と同様に、第2のホログラムをディスク媒体22から再生させる。
【0163】
CPU1は、第1のタイマ49の計時が、算出したレーザービーム再生時照射時間T2(図8・T2(c)+T(d))に達したと判別すると、OR回路47に一方の論理値‘1’を送信し、第2シャッター制御部15に第2シャッター14を閉状態とするための指示信号を送信する。つまり、バッファ5に記憶された第1のホログラム・第2のホログラムの再生を示す再生指示データに応じた、データが再生されたこととなる。
【0164】
第2シャッター制御部15は、CPU1からの指示信号に基づいて、第2シャッター14に閉状態指示信号を送信する(図8・第2シャッター閉状態指示信号(t20))。
第2シャッター14は、第2シャッター制御部15からの閉状態指示信号に基づいて、閉状態となる(図8・第2シャッター(t20))。
【0165】
この結果、ホログラム再生時において、基準位置Aに対するディスク媒体22の振動による影響を防止することが可能となり、再生すべきホログラムからデータを再生することが可能となる。また、振動によって傾斜したディスク媒体22の基準位置Aへの補正を行うことが可能となり、正確な入射角で参照ビームをディスク媒体22に入射させることが可能となる。
【0166】
上記の実施形態によれば、ディスク媒体22が基準位置Aに対して傾斜していた場合、当該ディスク媒体22の傾斜を補正することが可能となる。この結果、基準位置Aにあるディスク媒体22に対し、データビームと用参照ビームを入射させることが可能となり、モノマーの消費を制御しつつ所定値の回折効率を有するホログラムを形成させることが可能となる。つまり、ディスク媒体22に対し、傾斜の影響による誤ったホログラムが形成されることを防止することが可能となる。
【0167】
また、ディスク媒体22が基準位置Aに対して傾斜していた場合、当該ディスク媒体22の傾斜を補正することが可能となる。この結果、基準位置Aにあるディスク媒体22に対し、参照ビームを入射させることが可能となり、ホログラムによって回折された参照ビーム(再生ビーム)に基づいてデータを再生させることが可能となる。つまり、傾斜の影響による誤ったホログラムにて回折された参照ビーム(再生ビーム)に基づいて、データが再生されることを防止することが可能となる。
【0168】
また、ディスク媒体22に振幅電圧(X)(Y)が基準電圧Vref(X)(Y)以上となる振動が発生していた場合、データビームと参照ビームのうち少なくとも一方の当該ディスク媒体22への入射を遮断することが可能となる。この結果、基準電圧Vref(X)(Y)未満のディスク媒体22に対し、データビームと参照ビームを入射させることが可能となり、モノマーの消費を制御しつつ所定値の回折効率を有するホログラムを形成させることが可能となる。つまり、ディスク媒体22に対し、基準電圧Vref(X)(Y)以上の振動の影響による誤ったホログラムが形成されることを防止することが可能となる。
【0169】
また、ディスク媒体22に振幅電圧(X)(Y)が基準電圧Vref(X)(Y)以上となる振動が発生していた場合、参照ビームの当該ディスク媒体22への入射を遮断することが可能となる。この結果、基準電圧Vref(X)(Y)未満のディスク媒体22に対し、参照ビームを入射させることが可能となり、ホログラムによって回折された参照ビーム(再生ビーム)に基づいてデータを再生させることが可能となる。つまり、基準電圧Vref(X)(Y)以上となる振動の影響による誤ったホログラムにて回折された参照ビーム(再生ビーム)に基づいて、データが再生されることを防止することが可能となる。
【0170】
また、PSD52とディクス媒体22との間の距離に応じた差分電圧(X)(Y)を、差分器32、33にて出力することが可能となる最短距離よりもより長く設けることによって、ディスク媒体22の微小な傾斜までも検出することが可能となる。そして、差分器32、33にて出力された差分電圧(X)(Y)に基づいて、より確実にディスク媒体22を基準位置Aに駆動補正させることが可能となる。この結果、ホログラム記録時においては、正確な基準位置Aにあるディスク媒体22に対してホログラムを形成させることが可能となり、ホログラム再生時においては、正確な基準位置Aにあるディスク媒体22からデータを再生させることが可能となる。
【0171】
また、サーボレーザービームがディスク媒体22のディスク面の外周側に入射されることにより、確実に当該ディスク媒体22の傾斜を検出することが可能となる。また、ディスク媒体22が振動している場合、振動の影響が顕著に現れる外周側にサーボレーザービームが入射されることから、確実に振動量を振動量検出部40、41にて検出することが可能となる。
【0172】
また、ディスク媒体22におけるX1方向とY1方向において、それぞれの方向における傾斜を補正することが可能となる。この結果、ホログラム記録時においては、正確な基準位置Aにあるディスク媒体22に対してホログラムを形成させることが可能となり、ホログラム再生時においては、正確な基準位置Aにあるディスク媒体22からデータを再生させることが可能となる。
【0173】
更に、サーボレーザービームを反射するディスク媒体22に用いることが可能となり、当該ディスク媒体22の傾斜及び振動、傾斜検出装置・ホログラム装置の振動を検出することが可能となる。
【0174】
尚、本実施形態においては、差分器32、33、基準電圧発生部34、35、ローパスフィルタ36、37、増幅器38、39、振動量検出部40、41、基準振動量電圧発生部42、43、比較器44、45、OR回路46、47、TFF48、バンドパスフィルタ59、60のアナログ回路にて、ディスク媒体22の傾斜・振動の補正等をハードウェア処理にて実現しているが、これに限るものではない。例えば、DSP(Digital Signal Processor)を設け、PSD52からのアナログ電気信号(X)(Y)をADC(Analog Digital Converter)にてディジタルデータに変換し、前述した処理を当該DSPによるソフトウェア処理にて実現しても良い。
【0175】
また、本実施形態においては、ホログラムを形成することが可能なディスク媒体22について記述しているがこれに限るものではない。例えば、市場において流通している映像データ等が記録された媒体(例えばCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk))の傾斜・振動を検出すべく設けても良い。この場合、傾斜・振動を検出するためのレーザービームを出射するレーザー装置を設け、当該レーザー装置からのレーザービームを入射し、ディスク媒体22にて反射されたレーザービームをPSD52にて受光する。そして、PSD52からのアナログ電気信号に基づいて、前述した傾斜の補正等を実現するように設けても良い。
【0176】
=== その他の実施の形態 ===
以上、本発明に係るホログラム装置における、ホログラム媒体に照射されるレーザービームの制御について説明したが、上記の説明は、本発明の理解を容易とするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。
【0177】
<<PSDの受光位置>>
本実施形態においては、PSD52は、ディスク媒体22にて反射されたサーボレーザービームの一部を受光しているが、これに限るものではない。図11は、PSD52が、ディスク媒体22を透過したサーボレーザービームを受光する様子を示した図である。図11に示すように、サーボレーザービームは、ディスク媒体22を透過する際、ディスク媒体22が有する所定の屈折率にて屈折されて、ディスク媒体22を透過する。そのため、ディスク媒体22が基準位置Aに対して傾斜している場合のサーボレーザービームの受光位置は、ディスク媒体22が基準位置Aに配置されている場合のサーボレーザービームの受光位置とは異なる位置となる。この結果、PSD52から出力されるアナログ電気信号のレベルに差が生じ、ディスク媒体22が傾斜していることを判別することができる。ディスク媒体22に振動が発生している場合についても、同様に用いることができる。
【0178】
<<データビーム、参照ビームの遮断>>
本実施形態においては、ディスク媒体22に許容範囲以上の振動が発生した場合、第1シャッターを閉状態とすることによって、データビーム、参照ビームのディスク媒体22への入射を遮断しているが、これに限るものではない。
【0179】
ホログラム記録時においては、例えば、参照ビームの光路上に第3シャッターを設け、許容範囲以上の振動が発生した場合、当該第3シャッターにて参照ビームのディスク媒体22への入射を遮断するとともに、第2シャッターにてデータビームのディスク媒体22への入射を遮断するように設けても良い。また、第2シャッターにてデータビームのみを遮断し、或いは、第3シャッターにて参照ビームのみを遮断するように設けても良い。その理由は、ホログラムとは、前述したようにデータビームと参照ビームが干渉することによって形成された干渉縞だからである。つまり、データビームと参照ビームの何れか一方のディスク媒体22への入射を遮断することによって、ホログラムを示す干渉縞がディスク媒体22には、形成されなくなる。
【0180】
また、ホログラム再生時においては、前述した第3シャッターにて参照ビームをディスク媒体22への入射を遮断するように設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明に係る傾斜検出装置、ホログラム装置の全体構成の一例を示す図である。
【図2】レーザービームのエネルギーに応じてモノマーがポリマーへと変化するときの様子を模式化した図である。
【図3】角度多重記録のおけるブックとページを模式的に示した図である。
【図4】ホログラム記録時におけるデータビームと参照ビームの入射角θを示す図である。
【図5】ホログラム再生時における参照ビームの再生角θを示す図である。
【図6】ディスク媒体を反射・透過するサーボレーザービームを示す図である。
【図7】本発明に係る傾斜検出装置・ホログラム装置のホログラム記録時における動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明に係る傾斜検出装置・ホログラム装置のホログラム再生時における動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図9】ディスク駆動部の詳細図である
【図10】図6に示すディスク媒体を、図6とは異なる角度から示した図である。
【図11】ディスク媒体を透過したサーボレーザービームをPSDにて受光するときの様子を示した図である。
【符号の説明】
【0182】
1 CPU 2 メモリ
3 インタフェース 4 接続端子
5 バッファ 6 再生・記録判別部
7 エンコーダ 8 マッピング処理部
9 SLM 10 レーザー装置
11 第1シャッター 12 第1シャッター制御部
13 PBS 14 第2シャッター
15 第2シャッター制御部 16 ガルボミラー
17 ガルボミラー制御部 18 ダイクロックミラー
19 サーボレーザー装置 20 スキャナレンズ
21、26 フーリエ変換レンズ
22 ディスク媒体 23 ディテクタ
24 ディスク制御部 25 ディスク駆動部
27 イメージセンサ 28 イメージセンサ制御部
29 フィルタ 30 デコーダ
31 1/2波長板
32、33 差分器 34、35 基準電圧発生部
36、37 ローパスフィルタ 38、39 増幅器
40、41 振動量検出部 42、43 基準振動量電圧発生部
44、45 比較器 46、47 論理和演算回路(OR回路)
48 TFF 49 第1のタイマ
50 第2のタイマ 51 第3のタイマ
52 PSD 53 ソレノイド
54 バネ部 55 回転部
56 フレーム部 57 支持部
58 回転部支持板 59、60 バンドパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該媒体に入射させる傾斜検出用ビーム発生部と、
前記傾斜検出用ビームが前記媒体に入射された後、当該媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光する受光部と、
前記受光部の受光位置と、前記媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記媒体の傾斜を補正するための信号を出力する補正出力部と、
を有することを特徴とする傾斜検出装置。
【請求項2】
記録すべきデータに対応した可干渉性のデータビームと、可干渉性の記録用参照ビームと、をホログラム媒体へ入射させ、前記データをホログラムとして前記ホログラム媒体に記録するホログラム装置であって、
前記データビーム及び前記記録用参照ビームに対し非干渉性を有し、且つ、前記ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該ホログラム媒体に入射させる傾斜検出用ビーム発生部と、
前記傾斜検出用ビームが前記ホログラム媒体に入射された後、当該ホログラム媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光する受光部と、
前記受光部の受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記ホログラム媒体の傾斜を補正するための信号を出力する補正出力部と、
前記補正出力部からの信号に基づいて前記ホログラム媒体の位置を補正駆動させる補正駆動部と、
を有することを特徴とするホログラム装置。
【請求項3】
再生すべきデータがホログラムとして記録されたホログラム媒体に対し、可干渉性の再生用参照ビームを入射させ、前記ホログラムによって回折された後の前記再生用参照ビームに基づいて、前記データを再生するホログラム装置であって、
前記再生用参照ビームに対し非干渉性を有し、且つ、前記ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該ホログラム媒体に入射させる傾斜検出用ビーム発生部と、
前記傾斜検出用ビームが前記ホログラム媒体に入射された後、当該ホログラム媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光する受光部と、
前記受光部の受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記ホログラム媒体の傾斜を補正するための信号を出力する補正出力部と、
前記補正出力部からの信号に基づいて前記ホログラム媒体の位置を補正駆動させる補正駆動部と、
を有することを特徴とするホログラム装置。
【請求項4】
前記受光部の受光位置と前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置との差に基づいて、前記ホログラム媒体と前記傾斜検出用ビーム発生部のうち少なくとも一方の振動量を算出する振動量算出部と、
前記振動量算出部にて算出された振動量が所定振動量未満であるか否かを判別する振動量判別部と、
前記振動量算出部にて算出された振動量が前記所定振動量以上であると前記振動量判別部が判別したときの判別結果に基づいて、前記データビームと前記記録用参照ビームのうち少なくとも一方の前記ホログラム媒体への入射を遮断する遮断部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載のホログラム装置。
【請求項5】
前記受光部の受光位置と前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置との差に基づいて、前記ホログラム媒体と前記傾斜検出用ビーム発生部のうち少なくとも一方の振動量を算出する振動量算出部と、
前記振動量算出部にて算出された振動量が所定振動量未満であるか否かを判別する振動量判別部と、
前記振動量算出部にて算出された振動量が前記所定振動量以上であると前記振動量判別部が判別したときの判別結果に基づいて、前記再生用参照ビームの前記ホログラム媒体への入射を遮断する遮断部と、
を有することを特徴とする請求項3に記載のホログラム装置。
【請求項6】
前記補正出力部は、
前記受光部の受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差を算出する算出部を有し、
前記受光部と前記ホログラム媒体との間の距離は、前記算出部にて前記差を算出することが可能となる最短距離よりも長い、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れかに記載のホログラム装置。
【請求項7】
前記ホログラム媒体は、ディスク媒体であって、
前記傾斜検出用ビーム発生部は、
前記ディスク媒体のディスク面の外周側に前記傾斜検出用ビームを入射させる、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6の何れかに記載のホログラム装置。
【請求項8】
前記ホログラム媒体は、ディスク媒体であって、
前記受光部は、前記ディスク媒体の径方向となる第1方向に対応する第1位置と、前記ディスク媒体の中心において前記第1方向と交差する第2方向に対応する第2位置と、において前記傾斜検出用ビームを受光し、
前記第1位置と、前記ディスク媒体が前記基準位置にあるときの前記第1方向に対応する第1位置と、の差に基づいて、前記ディスク媒体の前記第1方向における傾斜を補正するための信号を出力する第1補正出力部と、
前記第1補正出力部からの信号に基づいて、前記ディスク媒体の前記第1方向における位置を補正駆動させる第1補正駆動部と、
前記第2位置と、前記ディスク媒体が前記基準位置にあるときの前記第2方向に対応する第2位置と、の差に基づいて、前記ディスク媒体の前記第2方向における傾斜を補正するための信号を出力する第2補正出力部と、
前記第2補正出力部からの信号に基づいて、前記ディスク媒体の前記第2方向における位置を補正駆動させる第2補正駆動部と、
を有することを特徴とする請求項2乃至請求項7の何れかに記載のホログラム装置。
【請求項9】
前記受光部は、前記ホログラム媒体にて反射された前記傾斜検出用ビームを受光する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れかに記載のホログラム装置。
【請求項10】
前記受光部は、前記ホログラム媒体にて屈折された後、透過した前記傾斜検出用ビームを受光する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れかに記載のホログラム装置。
【請求項11】
媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該媒体に入射させ、
前記傾斜検出用ビームが前記媒体に入射された後、当該媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光し、
受光位置と、前記媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記媒体の傾斜を補正するための信号を出力する、
ことを特徴とする媒体の傾斜補正方法。
【請求項12】
記録すべきデータに対応した可干渉性のデータビームと、可干渉性の記録用参照ビームと、をホログラム媒体へ入射させ、前記データをホログラムとして前記ホログラム媒体に記録するホログラム装置であって、
前記データビーム及び前記記録用参照ビームに対し非干渉性を有し、且つ、前記ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該ホログラム媒体に入射させ、
前記傾斜検出用ビームが前記ホログラム媒体に入射された後、当該ホログラム媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光し、
受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記ホログラム媒体の傾斜を補正するための信号を出力し、
前記信号に基づいて前記ホログラム媒体の位置を補正駆動させる、
ことを特徴とするホログラム媒体の傾斜補正方法。
【請求項13】
再生すべきデータがホログラムとして記録されたホログラム媒体に対し、可干渉性の再生用参照ビームを入射させ、前記ホログラムによって回折された後の前記再生用参照ビームに基づいて、前記データを再生するホログラム装置であって、
前記再生用参照ビームに対し非干渉性を有し、且つ、前記ホログラム媒体が基準位置に対して傾斜しているか否かを検出するための傾斜検出用ビームを、当該ホログラム媒体に入射させ、
前記傾斜検出用ビームが前記ホログラム媒体に入射された後、当該ホログラム媒体を介して得られる前記傾斜検出用ビームを受光し、
受光位置と、前記ホログラム媒体が前記基準位置にあるときの受光位置と、の差に基づいて、前記ホログラム媒体の傾斜を補正するための信号を出力し、
前記信号に基づいて前記ホログラム媒体の位置を補正駆動させる、
ことを特徴とするホログラム媒体の傾斜補正方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−179080(P2006−179080A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370018(P2004−370018)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】