光学式変位センサ及び該光学式変位センサにおける段差検出方法
【課題】段差候補となる期間を検出してから、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変位量の変動、時間方向の変位量の変動の影響を低減し、より確実に段差を検出することができる光学式変位センサ及び該光学式変位センサにおける段差検出方法を提供する。
【解決手段】受光器の出力に基づいて検出対象物の変位量を算出し、所定のタイミングでサンプリングする。前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出し、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する。段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出し、段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する。
【解決手段】受光器の出力に基づいて検出対象物の変位量を算出し、所定のタイミングでサンプリングする。前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出し、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する。段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出し、段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式変位センサ及び該光学式変位センサにおける段差検出方法に関する。特に、検出対象物に照射した投射光の、検出対象物表面で反射した反射光を受光する受光器の出力に基づいて検出対象物表面の段差を検出する光学式変位センサ及び該光学式変位センサにおける段差検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検出対象物に光を照射して検出対象物の有無、検出対象物の所望の形状等を検出するセンサとして、光電センサの他に光学式変位センサが良く用いられている。光学式変位センサは、検出対象物に照射した投射光の、検出対象物表面で反射した反射光に基づいて検出対象物の変位量を算出し、算出した変位量が予め定められた閾値以上、又は予め定められた上限閾値と下限閾値との間であるか等を判定し、判定結果に基づいて検出対象物の有無、検出対象物の所望の形状等を検出する。
【0003】
一般に、センサを用いた検出対象物の検出は、センサ及び検出対象物の少なくともいずれか一方を相対的に移動させることにより行われ、例えばセンサを装置乃至設備に固定し、検出対象物をベルトコンベア等の搬送装置で移動させることにより行われる。変位センサは、変位センサと検出対象物との相対的な変位量を検出する。例えば、紙葉類の段差、金属板の段差等の検出対象物による変位量を基準とした場合のベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変動量が比較的大きいとき等は、紙葉類の段差、金属板の段差等による変動であるのか、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変動であるのか、変位センサにより区別することが困難である。
【0004】
そこで、特許文献1では、変位センサの検出信号を微分処理することで、段差の存在による急峻な変位量の変動と振動による比較的緩やかな変位量の変動とを区別するようにして段差を検出している。また、特許文献2では、段差において、上段と下段とで受光波形の特徴が一気に遷移することを利用して段差を検出している。さらに、特許文献3では、変位センサの検出信号の波形の山と谷とを判別し、検出対象物の個数をカウントしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−271945号公報
【特許文献2】特開2008−145159号公報
【特許文献3】特開2005−108052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、変位の微分値は、検出対象物の搬送速度に大きく依存している。例えば1mmの段差を検出したい場合、変位の微分値の単位は「mm/秒」又は「mm/サンプリング」等となる。したがって、特許文献1では、段差判別のための閾値に時間、速度等の単位が含まれるため、閾値の設定は設定者にとって直感的なものではなく、設定することが困難であるという問題があった。また、搬送速度が変化した場合には同じ検出対象物であったとしても微分値が変化し、適切な閾値を設定することが困難であった。特に、検出動作にデジタル処理が含まれる場合、サンプリングのタイミングによっては、微分値が半分になるおそれもあり、安定して検出することが困難であった。さらに、変位の微分値を算出するためには変動の緩急の基準となるパラメータとしてカットオフ周波数、サンプリング周波数等を閾値とは別に設定する必要があり、斯かる周波数の設定も設定者にとって直感的なものではなく容易ではない。
【0007】
特許文献2では、段差の上段と下段との受光波形が一気に遷移することを利用して段差を検出しているが、段差が微小である場合、段差の上段と下段との受光波形の分離が困難であるおそれがある。また、段差の垂直側面がやや上向きに傾いている場合等は変位量が徐々に増加するため、受光波形が一気に遷移せず段差を検出することが困難であった。
【0008】
さらに、特許文献3では、変位量を示す波形の山と谷とがはっきりしている場合でなければ段差を検出することが困難であり、そもそも微分の特長部分も欠落してしまい、従来の微分機能を用いない変位センサと同様に、例えば紙葉類の段差、金属板の段差等の検出対象物による変位量を基準とした場合のベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変動量が比較的大きいとき等は、紙葉類の段差、金属板の段差等による変動であるのか、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変動であるのか、変位センサにより区別することが困難であった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変位量の変動、時間方向の変位量の変動の影響を低減し、より確実に段差を検出することができる光学式変位センサ及び該光学式変位センサにおける段差検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1発明に係る光学式変位センサは、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する差分値算出手段と、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、前記段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出する差分積算手段と、前記段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、第2発明に係る光学式変位センサは、第1発明において、前記段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値を表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第3発明に係る光学式変位センサは、第1又は第2発明において、前記段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値をゼロにリセットするリセット手段を備えることを特徴とする。
【0013】
次に、上記目的を達成するために第4発明に係る光学式変位センサは、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する差分値算出手段と、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、前記段差期間と判別された期間における基準変位を特定する基準変位特定手段と、現在の変位と前記基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、第5発明に係る光学式変位センサは、第4発明において、前記段差期間と判別された期間において前記基準変位を現在の変位にリセットするリセット手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第6発明に係る光学式変位センサは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記判別手段は、前記タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値以上であると判断された期間を段差期間であると判別するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
また、第7発明に係る光学式変位センサは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記判別手段は、前記タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値より小さいと判断された期間であっても、直前の所定期間内でいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合には、段差期間であると判別するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
また、第8発明に係る光学式変位センサは、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記変位量を出力することを停止する停止指示を受け付ける停止指示受付手段を備えることを特徴とする。
【0018】
また、第9発明に係る光学式変位センサは、第1乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記出力手段は、前記判別信号を、一定の時間幅を有するワンショットパルス信号として出力するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
次に、上記目的を達成するために第10発明に係る光学式変位センサは、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、前記変位量の変動に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の一方を表す第1代表値と、該段差期間の直前の非段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の他方を表す第2代表値とに基づいて段差代表値を算出する段差算出手段と、前記段差期間と判別された期間ごとに算出した段差代表値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
次に、上記目的を達成するために第11発明に係る段差検出方法は、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおける段差検出方法において、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する工程と、算出した変位量の差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する工程と、前記段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出する工程と、前記段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する工程と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
次に、上記目的を達成するために第12発明に係る段差検出方法は、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおける段差検出方法において、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する工程と、算出した変位量の差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する工程と、前記段差期間と判別された期間における基準変位を特定する工程と、現在の変位と前記基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する工程と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
第1発明及び第11発明では、所定のタイミングでサンプリングして取得する受光器の受光信号に基づいて検出対象物の変位量を算出し、算出した変位量の差分値に基づいて段差候補となる段差期間と段差期間とならない非段差期間とを判別する。段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出し、段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別し、段差であるか否かに関する判別信号を出力する。変位量が比較的大きく変動した時点から段差期間であると判別し、段差期間における変位量が第一の閾値以上である場合に段差であると判別することにより、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、一旦段差候補であるか否かを判別することで段差を確実に検出することができるとともに、段差判別閾値(第一の閾値)によってさらに判別することにより、段差以外による変動を排除することができる。したがって、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、確実に段差を検出することが可能となる。
【0023】
第2発明では、段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値を表示することにより、従来は読み取ることが困難であった段差の大きさを視認することが容易となる。
【0024】
第3発明では、段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値をゼロにリセットすることにより、所望の位置における段差の高さを確実に検出することが可能となる。
【0025】
第4発明及び第12発明では、所定のタイミングでサンプリングして取得する受光器の受光信号に基づいて検出対象物の変位量を算出し、算出した変位量の差分値に基づいて段差候補となる段差期間と段差期間とならない非段差期間とを判別する。段差期間と判別された期間における基準変位を特定し、現在の変位と基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別し、段差であるか否かに関する判別信号を出力する。変位量が比較的大きく変動した時点から段差期間であると判別し、段差期間における変位量が第一の閾値以上である場合に段差であると判別することにより、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、一旦段差候補であるか否かを判別することで段差を確実に検出することができるとともに、現在の変位と基準変位との差分値を段差判別閾値(第一の閾値)と比較して段差を判別することにより、段差以外による変動を排除することができる。したがって、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても確実に段差を検出することが可能となる。
【0026】
第5発明では、段差期間と判別された期間において基準変位を現在の変位にリセットすることにより、所望の位置における段差の高さを確実に検出することが可能となる。
【0027】
第6発明では、タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値以上であると判断された期間を段差期間であると判別することにより、変位量の変動が搬送装置の振動によるものであるか段差によるものであるかを判断する閾値を適切に設定することにより、段差が微小であっても確実に検出することが可能となる。
【0028】
第7発明では、タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値より小さいと判断された期間であっても、直前の所定期間内でいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合には、段差期間であると判別する。これにより、途中でノイズが入った場合等であっても、段差ではないと誤って判別することを回避することが可能となる。
【0029】
第8発明では、変位量を出力することを停止する停止指示を受け付けることにより、明らかに出力することが不要となる期間を任意に設定することが可能となる。
【0030】
第9発明では、判別信号を、一定の時間幅を有するワンショットパルス信号として出力することにより、一定の時間、判別結果を表示することができ、測定値を視認しやすくすることができる。
【0031】
第10発明では、所定のタイミングでサンプリングして取得する受光器の受光信号に基づいて検出対象物の変位量を算出し、変位量の変動に基づいて段差候補となる段差期間と段差期間とならない非段差期間とを判別する。段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の一方を表す第1代表値と、段差期間の直前の非段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の他方を表す第2代表値とに基づいて段差代表値を算出する。段差期間と判別された期間ごとに算出した段差代表値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別することにより、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、一旦段差候補であるか否かを判別することで段差を確実に検出することができるとともに、段差候補期間内の各サンプリング値の代表値と段差判別閾値(第一の閾値)とを比較して段差をさらに判別することにより、段差以外による変動を排除することができる。したがって、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても確実に段差を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、一旦段差候補であるか否かを判別することで段差を確実に検出することができるとともに、段差候補期間内の各サンプリング値の代表値と段差判別閾値(第一の閾値)とを比較して段差をさらに判別することにより、段差以外による変動を排除することができる。したがって、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても確実に段差を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る三角測距方式の光学式変位センサの測定ヘッド部の構成例を示す三面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサのコントローラ部の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサの演算部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図7】途中でノイズが入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図8】紙葉類を重ねて搬送する場合の変位量の変動を示す図である。
【図9】途中で測定レンジを外れた場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図10】リセット入力が入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図11】タイミング入力が入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図12】第一の閾値の自動設定方法を説明するための模式図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサの構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサの演算部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態に係る光学式変位センサについて、図面を参照しながら説明する。なお、参照する図面を通じて、同一又は同様の構成又は機能を有する要素については、同一又は同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサの構成を示す模式図である。図1に示すように本実施の形態1に係る光学式変位センサ1は、照射した投射光L1がワーク(検出対象物)A1の表面で反射した反射光L2に基づいて、ワークA1の有無、ワークA1の所望の形状等を検出する変位センサである。光学式変位センサ1は、測定ヘッド部2、伝送ケーブル3及びコントローラ部4からなる変位検出装置であり、作業台A2上に載置されたワークA1の有無、ワークA1の所望の形状等を検出する。
【0036】
測定ヘッド部2は、ワークA1に投射光L1を照射する投光器11と、投射光L1がワークA1の表面で反射した反射光L2を受光する受光器14とで、後述する測定部23を構成しており、受光器14の出力に基づいて投光器11の出力調整を行う。測定ヘッド部2は、例えば、ワークA1の製造ライン上に配置され、直下方向に投射光L1を照射する。
【0037】
伝送ケーブル3は、電力供給線として測定ヘッド部2に電力を供給するとともに、受光器14の出力をコントローラ部4へ伝送し、制御信号をコントローラ部4から測定ヘッド部2へ伝送する通信線として機能する。通信方式としては、RS485通信の他、RS422通信、RS232通信、LVDS、Ethernet(登録商標)等、データ通信することが可能な方式であればなんでも良い。また、伝送ケーブル3を用いて通信する代わりに無線で通信しても良い。
【0038】
コントローラ部4は、受光器14で受光した反射光L2の受光スポットの位置を検出し、検出した結果に基づいてワークA1の有無の判別、変位量の算出等を行う。コントローラ部4の筐体における一面には、各種操作キー、ワークA1の有無、結果等を表示するための表示部等が配置されている。
【0039】
なお、受光器14の出力に基づく受光スポットの位置の検出は、図示しないPLC(Programmable Logic Controller:プラグラマブルロジックコントローラ)などの外部機器から入力されるタイミング信号をトリガとして行われるように構成しても良い。
【0040】
図2は、本発明の実施の形態1に係る三角測距方式の光学式変位センサ1の測定ヘッド部2の構成例を示す三面図である。測定ヘッド部2は、投光器11、投光レンズ12、受光レンズ13及び受光器14を備え、筐体の側面にLED表示灯15a〜15cからなるヘッドインジケータ15が配置されている。
【0041】
投光器11は、投射光L1を生成する光源装置であり、LD(レーザーダイオード)、LED等の発光素子で構成されている。投光レンズ12は、投光器11から照射された投射光L1を集光するための集光レンズであり、投光器11よりもワークA1側に配置されている。投光レンズ12を透過した投射光L1は、筐体前面に設けられた矩形状の投光窓2aを介してワークA1に照射される。
【0042】
受光レンズ13は、ワークA1に照射された投射光L1がワークA1の表面で反射した反射光L2を受光器14上に集光するための集光レンズであり、反射光L2は、筐体前面に設けられた受光窓2bを介して入射される。受光器14は、ワークA1からの反射光L2を受光する複数の受光素子が線状に配置され、各受光素子から受光量に応じた信号が出力される。具体的には、複数の受光要素が直線上に配置されたラインCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)が受光器14として用いられている。もちろん、ラインCCDに限定されるものではなく、CMOS等の他の撮像素子やPSDを用いても良い。
【0043】
投光器11からワークA1に照射された光は、ワークA1の表面で反射され、ワークA1上における照射点の高さ、すなわち作業台A2からの距離に応じて受光器14上の異なる位置に集光する。なお、照射点の高さの変化による受光器14上における受光スポットの位置の変化が判別可能であれば、複数の受光素子が面状に配置された撮像素子を受光器14として用いても良い。
【0044】
LED表示灯15aは、投射光L1の出力状態を示す表示灯であり、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)で構成されている。LED表示灯15aは、例えば投射光L1が照射中である場合に緑色に点灯し、照射中でない場合に消灯する。LED表示灯15bは、コントローラ部4のセンサ出力状態を示す表示灯であり、例えばセンサ出力がオン状態である場合に消灯し、オフ状態である場合に赤色に点灯する。
【0045】
LED表示灯15cは、ワークA1上における多重反射の有無を示す表示灯であり、例えばワークA1の表面で反射した反射光L2に多重反射によるものを含む場合に緑色に点灯し、多重反射によるものを含まない場合に消灯する。
【0046】
図3は、本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサ1のコントローラ部4の構成を示す平面図である。コントローラ部4は、匡体の一面に各種のLED表示灯24、25、27、28と、7セグメントLED表示部26とで構成された表示部21を備えている。LED表示灯24は、投射光L1の照射状態を示す表示灯であり、LEDで構成されている。LED表示灯24は、例えば投射光L1が照射中である場合に緑色に点灯し、照射中でない場合に消灯する。
【0047】
LED表示灯25は、コントローラ部4のセンサ出力状態を示す表示灯であり、例えばセンサ出力がオン状態である場合に消灯し、オフ状態である場合に赤色に点灯する。LED表示灯27は、動作モードを示す表示灯である。
【0048】
LED表示灯28は、ワークA1上における多重反射の有無を示す表示灯であり、例えばワークA1の表面で反射した反射光L2に多重反射によるものを含む場合に緑色に点灯し、多重反射によるものを含まない場合に消灯する。
【0049】
7セグメントLED表示部26は、変位量等を文字で表示する表示装置であり、表示部21内の中央に配置された6つの7セグメントLEDで構成されている。各7セグメントLEDは、筐体の一面で長手方向に配列されている。
【0050】
図4は、本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサ1の構成を示すブロック図であり、コントローラ部4内の機能ブロックの一例も示されている。測定ヘッド部2は、測定部23、及びコントローラ部4とデータ通信する通信部22で構成されている。コントローラ部4は、各種の演算処理を実行する演算部41、必要な情報を記憶する記憶部42、測定ヘッド部2とデータ通信する通信部43、表示部21、及びコントローラ間通信部46により構成されている。
【0051】
演算部41は、マイコン、CPU等で構成される。記憶部42は、EEPROM、フラッシュメモリ等で構成され、段差候補となる期間、すなわち段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)421、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)422、段差期間内での変位量の最大値を示すピークホールド値423、基準変位424を、それぞれ記憶する。
【0052】
また、コントローラ間通信部46は、光学式変位センサ1を2台以上用いる場合に、コントローラ部4同士で情報を交換する。コントローラ間の通信にCAN通信、光通信等を用いるが、特にこれに限定されるものではなく、互いにデータ通信することができれば、特に限定されるものではない。
【0053】
演算部41の変位量算出部411は、図1に示す受光器14の各受光素子の受光量に基づいて受光器14上における受光スポットの位置、例えば1次元位置を検出し、検出した結果に基づいてワークA1の変位量を算出する。具体的には、受光素子が検出した受光量が受光素子ごとに判別され、各受光素子の配列方向に関する受光量の1次元位置の分布から受光スポットが抽出される。抽出された受光スポットのピーク位置又は重心位置に基づいて変位量が算出される。変位量として、ワークA1上における照射点の、投射光L1の光軸方向における位置が算出される。
【0054】
サンプリング部412は、変位量算出部411により算出された変位量を所定のタイミングでサンプリングし、差分値算出部413は、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する。ここで、「前回サンプリングした変位量」とは、直前のタイミングでサンプリングした変位量だけでなく、所定回前にサンプリングした変位量であっても良い。また、複数のタイミングでサンプリングした変位量から算出した、複数の変位量を代表する代表変位量も本発明における「前回サンプリングした変位量」に含まれる。また、差分値は、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との単純な差としても良いし、前回サンプリングした時刻と今回サンプリングした時刻との時間差を考慮した値としても良い。
【0055】
段差期間判別部(判別手段)414は、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する。より具体的には、変位量の変動を捕捉し、変動する期間を段差とて認識する方法であるが、ノイズ等の段差以外による変動と段差による変動とを区別して、段差を認識する必要がある。しかし、正確に段差を判別するための適切な閾値を設定することが困難であるため、段差期間判別部414は、ノイズ等の段差以外による変動も含め、差分値が第二の閾値よりも大きい期間を段差期間と判別する。また、段差期間を安定して判別できるように変位量の変動があったタイミングを段差期間の開始タイミング(段差期間開始時点)と判別し、変位量の変動が落ち着いたとみなすことができるタイミングを段差期間の終了タイミングと判別するようにしている。ここで、「変位量の変動が落ち着いたとみなすことができる」とは、例えば差分値が第二の閾値を超えない期間が所定時間又は所定サンプリング回数連続することを意味する。なお、変位量の変動には、正方向と負方向との2方向があるが、段差とみなす変動の方向はユーザによる設定等により正方向又は負方向が予め定められており、変位量の変動の絶対値が大きくても段差とみなす変動の方向と逆方向の場合には、段差であると判別するべき変位量の変動はないとみなしている。
【0056】
基準変位特定部415は、段差期間と判別された期間における基準変位を特定し、段差判別部416は、現在の変位と基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する。具体的には、段差期間開始時点の現在の変位を基準変位として特定する。出力部417は、段差であるか否かに関するON状態/OFF状態の判別信号を出力し、表示部21に表示する。すなわち、段差の変位量を、測定値として7セグメントLED表示部26で構成された表示部21に表示させる。出力部417は、段差であるか否かに関する判別信号に加え、表示部21に表示される段差の変位量を示すアナログ信号を出力するようにしても良い。
【0057】
以下、上述した構成の光学式変位センサ1の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサ1の演算部41の処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
図5において、光学式変位センサ1の演算部41は、所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS501)、現在の変位を基準変位に設定する(ステップS502)。その後、演算部41は、次の所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS503)、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する(ステップS504)。
【0059】
演算部41は、算出した差分値が、第二の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS505)。演算部41が、差分値が第二の閾値より小さいと判断した場合(ステップS505:NO)、演算部41は、現在の変位を新たな基準変位に設定し(ステップS506)、処理をステップS503へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0060】
図6は、時系列のサンプリング値(各タイミングでサンプリングされた変位量)の変動とその他の値の関係を示す図である。上段のグラフは、サンプリング値の遷移を示すグラフであり、その直下の数値は各タイミングにおけるサンプリング値を示すものである。図6では、10、15、10、25、40、55、70・・・の順でサンプリング値が遷移している様子が示されている。前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値はこれに対応して、不定、5、−5、15、15、15、15・・・となる(図示せず)。図6では、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間61を8msとしている。
【0061】
図6に示すように、サンプリングを開始して最初の3回は、直前のサンプリング値(前回のサンプリング値)との差分値が第二の閾値‘9’より小さい‘5’、‘−5’又は不定であることから、ステップS505により、非段差期間又は不定であると判別される。なお、図6に示すとおり「段差期間フラグ」は、‘1’が段差期間中を、‘0’が非段差期間中を、‘−’が不定であることを、それぞれ示す。「基準変位」は、非段差期間中はそれぞれの時点での変位、すなわちサンプリングされた値が変更される都度更新される。これにより、緩やかな変動に対して基準変位を追従させることができ、段差以外による変位量の変動の影響を低減することができる。
【0062】
4回目におけるサンプリング値の差分値(前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値)は‘15’であり、第二の閾値‘9’以上であるので、3回目以降の期間が段差期間であると判別され、段差期間である旨を示すフラグを立てる(「段差期間フラグ」を‘0’から‘1’に変更する)とともに、「基準変位」の追従を中断する、つまり「基準変位」は、直前である3回目のサンプリング値‘10’に維持される。換言すると、「基準変位」は、段差期間中、該段差期間の直前の非段差期間における各サンプリング値を代表する値、この例では非段差期間の最後のサンプリング値‘10’に維持されることになる。図6に示される「差分値」は、サンプリング値から基準変位を減じた値であり、「基準変位」が、不定、10、15、10、10、10、10・・・と遷移しているため、「差分値」は、不定、不定、−5、15、30、45、60・・・と遷移している。
【0063】
図5に戻って、光学式変位センサ1の演算部41が、差分値が第二の閾値以上であると判断した場合(ステップS505:YES)、その後、演算部41は、所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS507)、直前の所定回数内、例えば5回以内にサンプリングした変位量との差分値のいずれかが第二の閾値以上であるか否かを判断する、つまりステップS505における直近5回の判断のうち1回でもYESと判断したか否かにより変位量の変動が落ち着いたとみなすことができるか否かを判断する(ステップS508)。演算部41が、直前の所定サンプリング回数内のいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合、つまり変位量の変動がまだ落ち着いていないと判断した場合(ステップS508:YES)、演算部41は、サンプリングした変位量と基準変位との差分値を算出し、差分値が既にピークホールド値として記憶部42に記憶されている値を超えている場合には、算出した差分値をピークホールド値として記憶部42に記憶し、差分値が既にピークホールド値として記憶部42に記憶されている値を超えていない場合には、記憶部42に記憶されているピークホールド値を更新せず(ステップS509)、処理をステップS507へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0064】
演算部41が、直前の所定サンプリング回数内の各差分値がすべて第二の閾値より小さいと判断した場合、つまり変位量の変動が落ち着いたと判断した場合(ステップS508:NO)、記憶してあるピークホールド値が基準変位からの最大変動量に相当するため、段差による変動であるか否かを判別するために、演算部41は、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS510)。演算部41が、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値以上であると判断した場合(ステップS510:YES)、演算部41は、段差である旨を示す判別信号をワンショット出力する(ステップS511)。演算部41が、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値より小さいと判断した場合(ステップS510:NO)、演算部41は、記憶してあるピークホールド値を0(ゼロ)にリセットし(ステップS512)、処理をステップS503へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0065】
図6に示すピークホールド値は、非段差期間においては0(ゼロ)であり、段差期間においては、サンプリング値又は差分値(サンプリング値から基準変位を減じた値)が増加するに従い15、30、45、60、75、90と増加していき、その後、サンプリング値又は差分値(サンプリング値から基準変位を減じた値)が減少した場合であっても、該段差期間における最大値である‘90’が維持される。換言すれば、段差期間における各サンプリング値の中から該段差期間を代表するサンプリング値を求めるものであり、この例では段差期間の最大サンプリング値‘100’が該段差期間の各サンプリング値を代表するサンプリング値に相当する。そして、段差期間を代表するサンプリング値と該段差期間の直前の非段差期間を代表するサンプリング値に基づいて該段差期間における段差を示す段差代表値を求めるものであり、この例では、段差期間の最大サンプリング値‘100’と該段差期間の直前の非段差期間における各サンプリング値を代表する値である基準変位‘10’との差分‘90’が該段差期間の段差代表値に相当する。
【0066】
図6に示す「カウント数」は、段差期間中に前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値が第二の閾値‘9’より小さい場合にカウントアップされ、該差分値が第二の閾値‘9’以上であると0(ゼロ)にリセットされる。すなわち、該差分値が連続して第二の閾値‘9’より小さいか否かを判定している。図6の例では、サンプリング値(サンプリングした変位量)が・・・85、100、100、60、0、0、0、0、0、0、15・・・と遷移しているため、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値(図示しない)は・・・15、15、0、−40、−60、0、0、0、0、0、15・・・と遷移しており、カウント数は、・・・0、0、1、2、3、4、0、0、0、0、0・・・と遷移する。なお、この例では、段差期間が終了したと判断するための連続回数を4回とした例であり、カウント数が‘4’となったタイミングを段差期間が終了したタイミングと判断している。なお、この例では、非段差期間におけるカウント数を0(ゼロ)としている。
【0067】
段差期間の開始から終了までのタイミングが確定することにより、段差期間における各サンプリング値を代表する値、該段差期間における段差を代表する段差代表値が確定する。ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)と段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)とを比較し、図6の例では、ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)‘90’が段差判別閾値(第一の閾値)‘50’以上であるので、該段差期間における変位量の変動は段差によるものであると判断する。この場合、ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)‘90’を測定値として定め、定められた測定値は次の段差期間の確定により測定値が定められるまで値が保持される。また、図6の例では、段差期間が確定した場合であっても、ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)が段差判別閾値(第一の閾値)よりも小さい場合、測定値は更新されていないが、更新されるように構成しても良いことは言うまでもない。
【0068】
測定値は表示部21に表示させるとともに、ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)と段差判別閾値(第一の閾値)とを比較し、段差期間における変位量の変動は段差によるものであると判断した場合、ワンショット出力時の時間である8msの間、段差である旨を示す判別信号を出力する(ON状態)。判別信号の出力時間(ON状態の時間)が8msを超えた場合、判別信号は自動的にOFF状態となる。
【0069】
図7は、途中でノイズが入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。図7でも図6と同様、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間を8msとしている。なお、図7における「サンプリング値」等の用語の定義は、特に再定義しない限り図6における用語の定義と同一である。
【0070】
図7の2つ目の山に示すように、サンプリングの途中でノイズが入ることにより、差分値が段差判別閾値‘50’を挟んで大きく上下動している。従来は、変位量の変動がノイズによる変動であるのか段差による変動であるのかを区別するための閾値を適切に設定することが困難であり、例えば閾値の設定が不適切である場合、ピークホールド値‘70’の状態では段差による変動であると判断してしまうおそれがあった。それに対して、本実施の形態1では、直近所定回の差分値に基づいて、サンプリング値の差分値が安定するまで段差期間であると判別することがない。つまり、第二の閾値は段差らしきものが存在する段差期間とそれ以外の期間である非段差期間とを判別するだけであるので、ノイズにより変位量が変動する期間も含めて段差期間としても良く、閾値として精緻な値の設定は要求されない。そして、基準変位からの各段差期間における最大変動量であるピークホールド値により最終的に各段差期間の変動が段差によるものであったか否かを判断することで、段差を正確に判別することができる。また、サンプリング値の差分値が安定した以後のピークホールド値‘105’を出力として表示する。
【0071】
図6及び図7において、段差期間の終了は、直前のサンプリング値との各差分値が段差期間閾値より小さい値が所定回数連続するか否かで判断している。したがって、カウント数が‘4’になった時点でカウント数をリセットし、段差期間である旨を示すフラグを0(ゼロ)にする。そして、記憶してあるピークホールド値を測定値として表示部21に表示させる。また、ワンショット出力時の時間である8msの間、段差である旨を示す判別信号を出力する(ON状態)。8msを超えた場合、判別信号は自動的にOFF状態となる。さらに、判別信号を出力する出力線に加え、表示部21に表示される段差の変位量を示すアナログ信号を出力する出力線を設けてもよい。
【0072】
なお、表示部21に表示される段差の変位量は、次に段差が検出されるまで更新されることなく維持されるので、微分値、変位量等の表示値が瞬時に更新されることがなく、測定値を確実に表示することができる。したがって、従来は読み取ることが困難であった段差の大きさを視認することが容易となる。
【0073】
図8は、紙葉類を重ねて搬送する場合の変位量の変動を示す図である。図8(a)に示すように、紙葉類83がベルトコンベア82により重なって搬送される場合であっても、判別信号をワンショット出力とすることで、例えば図8(b)に示すように、段差による変位量81の立ち上がり変動が比較的急峻で、立ち下り変動が比較的緩やかな場合であっても、確実に各段差を検出することができる。
【0074】
途中で測定レンジを外れた場合、サンプリング値を取得することはできない。この場合、測定レンジに戻ってきた時点で基準変位を設定し直す必要が生じる。図9は、途中で測定レンジを外れた場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。図9でも、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間を8msとしている。なお、図9における「サンプリング値」等の用語の定義は、特に再定義しない限り図6における用語の定義と同一である。
【0075】
図9の2つ目の山に示すように、サンプリング途中91でサンプリング値が測定レンジから外れたために、サンプリング値が取得できていない。この場合、サンプリング値の取得が再開された時点から、再度基準変位を設定し直すことで対応するので、サンプリング値の取得を再開してしばらくは差分値を取得することができない。したがって、測定値を出力しないので異常値を出力することがない。
【0076】
また、基準変位を現在の変位に設定し直すのに、リセット入力を用いても良い(リセット手段)。この場合、リセット入力が入った時点における変位を基準変位として設定する。図10は、リセット入力が入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。図10でも、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間を8msとしている。なお、図10における「サンプリング値」等の用語の定義は、特に再定義しない限り図6における用語の定義と同一である。
【0077】
図10のリセット入力のパルス波形に示すように2つ目の山で順次サンプリング値を取得し、差分値を算出している途中でリセット入力が入った場合、リセット入力が入った時点の現在の変位‘45’を基準変位に設定する。この場合、記憶されるピークホールド値が小さくなるので、出力される値も小さくなる。
【0078】
さらに、タイミング入力を受け付けることにより、所望のタイミングで取得したサンプリング値を無視し、出力を停止することもできる(停止指示受付手段)。図11は、タイミング入力が入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。図11でも、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間を8msとしている。なお、図11における「サンプリング値」等の用語の定義は、特に再定義しない限り図6における用語の定義と同一である。
【0079】
図11のタイミング入力のパルス波形に示すように、オン状態である期間111の段差に基づいて取得したサンプリング値を無視し、オフ状態になった時点で、その時点のサンプリング値を基準変位‘100’として設定している。これにより、測定値を出力する必要がない部分については、タイミング入力を入れることで測定値が出力されないようにすることができる。
【0080】
なお、光学式変位センサ1は、ユーザの指示に応じて測定した変位量に基づく第一の閾値を設定できるように構成しても良い。より具体的には、光学式変位センサ1は、段差の下段に対応する変位量をユーザの指示に応じて測定し、次に段差の上段に対応する変位量をユーザの指示に応じて測定することで、段差の上段に対応する変位量と段差の下段に対応する変位量との中間の値を第一の閾値として自動的に設定することができる。
【0081】
図12は、第一の閾値の自動設定方法を説明するための模式図である。図12(a)に示すように、まずワークA1の段差の下段に対応する変位量122を取得し、ユーザがSETボタン等を操作することにより記憶される。次に図12(b)に示すように、ワークA1の段差の上段に対応する変位量123を取得し、ユーザがSETボタン等を操作することにより記憶される。そして、図12(c)に示すように、ワークA1の段差の上段に対応する変位量123と段差の下段に対応する変位量122との中間の値を第一の閾値121として設定する。なお、自動的に設定した後、ユーザにより第一の閾値を任意の値に調整することが可能に構成しても良いことは言うまでもない。
【0082】
また、第二の閾値を、第一の閾値と一定の関係を持たせることで、第一の閾値を設定した場合に自動的に第二の閾値が決定するように構成しても良い。例えば、第一の閾値の10分の1の値を第二の閾値として設定する。
【0083】
第二の閾値は、段差期間の継続時間、サンプリング回数等に応じて調整することができるようにしても良いし、サンプリング周期の設定に連動して調整することができるように構成しても良い。例えば、サンプリング周期が短い場合には第一の閾値の10分の1の値を、サンプリング周期が長い場合には第一の閾値の3分の1の値を、それぞれ第二の閾値として設定する。
【0084】
なお、第二の閾値をユーザが設定することが可能に構成されている場合、表示部21に各段差期間の継続時間、サンプリング回数、あるいは各段差期間における前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値の最大値と最小値とを表示できるように構成し、ユーザに対して第二の閾値の設定に役立つ情報を表示させても良い。
【0085】
また、判別した段差の数をカウントする段差カウント機能を備えても良い。
【0086】
なお、測定ヘッド部2とコントローラ部4とが分離した分離型の光学式変位センサについて説明したが、本発明は測定ヘッド部2とコントローラ部4とが一体となった一体型の光学式変位センサへも適用することが可能である。
【0087】
以上のように本実施の形態1によれば、変位量が第二の閾値以上であると判断した時点から段差期間であると判別し、段差期間における変位量が第一の閾値以上である場合に段差であると判別することにより、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変位量の変動、時間方向の変位量の変動等の影響を低減し、より確実に段差を検出することが可能となる。
【0088】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサ1の構成は実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより、詳細な説明は省略する、本実施の形態2は、段差であるか否かを判別するのに、基準変位とサンプリング値との差分値を用いるのではなく、今回のサンプリング値と直前のサンプリング値との差分値を積算して用いる点で実施の形態1とは相違する。
【0089】
図13は、本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサ1の構成を示すブロック図であり、コントローラ部4内の機能ブロックの一例も示されている。測定ヘッド部2は、測定部23、及びコントローラ部4とデータ通信する通信部22で構成されている。コントローラ部4は、各種の演算処理を実行する演算部41、必要な情報を記憶する記憶部42、測定ヘッド部2とデータ通信する通信部43、表示部21、及びコントローラ間通信部46により構成されている。
【0090】
演算部41は、マイコン、CPU等で構成される。記憶部42は、EEPROM、フラッシュメモリ等で構成され、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)421、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)422、段差期間内における変位量の最大値を示すピークホールド値423を、それぞれ記憶する。
【0091】
また、コントローラ間通信部46は、光学式変位センサ1を2台以上用いる場合に、コントローラ部4同士で情報を交換する。コントローラ間の通信にCAN通信、光通信等を用いるが、特にこれに限定されるものではなく、互いにデータ通信することができれば、特に限定されるものではない。
【0092】
演算部41の変位量算出部411は、図1に示す受光器14の各受光素子の受光量に基づいて受光器14上における受光スポットの位置、例えば1次元位置を検出し、検出した結果に基づいてワークA1の変位量を算出する。具体的には、受光素子が検出した受光量が受光素子ごとに判別され、各受光素子の配列方向に関する受光量の1次元位置の分布から受光スポットが抽出される。抽出された受光スポットのピーク位置又は重心位置に基づいて変位量が算出される。変位量として、ワークA1上における照射点の、投射光L1の光軸方向における位置が算出される。
【0093】
サンプリング部412は、変位量算出部411により算出された変位量を所定のタイミングでサンプリングし、差分値算出部413は、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する。段差期間判別部(判別手段)414は、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する。
【0094】
より具体的には、変位量の変動を捕捉し、変動する期間を段差とて認識する方法であるが、ノイズ等の段差以外による変動と段差による変動とを区別して、段差を認識する必要がある。しかし、正確に段差を判別するためには判別するための適切な閾値を設定することが困難であるため、段差期間判別部414は、ノイズ等の段差以外による変動も含め、差分値が第二の閾値よりも大きい期間を段差期間と判別する。また、段差期間を安定して判別できるように変位量の変動があったタイミングを段差期間の開始タイミング(段差期間開始時点)と判別し、変位量の変動が落ち着いたとみなすことができるタイミングを段差期間の終了タイミングと判別するようにしている。ここで、「変位量の変動が落ち着いたとみなすことができる」とは、例えば差分値が第二の閾値を超えない期間が所定時間又は所定サンプリング回数連続することを意味する。なお、変位量の変動には、正方向と負方向との2方向があるが、段差とみなす変動の方向はユーザによる設定等により正方向又は負方向が予め定められており、変位量の変動の絶対値が大きくても段差とみなす変動の方向と逆方向の場合には、検出すべき段差による変位量の変動はないとみなしている。
【0095】
差分積算部418は、段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出し、段差判別部416は、段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する。出力部417は、段差であるか否かに関するON/OFFの判別信号を出力し、表示部21に表示する。すなわち、段差の変位量を、測定値として7セグメントLED表示部26で構成された表示部21に表示させる。
【0096】
以下、上述した構成の光学式変位センサ1の動作について説明する。図14は、本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサ1の演算部41の処理手順を示すフローチャートである。
【0097】
図14において、光学式変位センサ1の演算部41は、所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS1401)、次の所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS1402)、直前にサンプリングした変位量(前回サンプリングした変位量)と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する(ステップS1403)。
【0098】
演算部41は、算出した差分値が、第二の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS1404)。演算部41が、差分値が第二の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1404:NO)、演算部41は、処理をステップS1402へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0099】
演算部41が、差分値が第二の閾値以上であると判断した場合(ステップS1404:YES)、演算部41は、算出した差分値を積算する(ステップS1405)。ここで、変位量の変動があったタイミングを段差期間の開始タイミング(段差期間開始時点)と判別し、差分値は直前にサンプリングした変位量(前回サンプリングした変位量)に基づいて算出されるので、該段差期間の直前の非段差期間における最後のサンプリング値が該段差期間の直前の非段差期間における各サンプリング値を代表する値に相当する。
【0100】
演算部41は、次の所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS1406)、直前の所定回数内、例えば5回以内にサンプリングした変位量との差分値のいずれかが第二の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS1407)。演算部41が、直前の所定回数内にサンプリングした変位量に基づくいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合(ステップS1407:YES)、演算部41は、算出した差分値をさらに積算し(ステップS1408)、積算した積算値をピークホールド値として記憶部42に記憶し(ステップS1409)、処理をステップS1406へ戻して上述した処理を繰り返す。なお、算出した差分値を積算した積算値は、中間で取得したサンプリング値が順次相殺され、最初と最後に取得したサンプリング値に相当するが、最初のサンプリング値は該段差期間の直前の非段差期間における最後のサンプリング値であり、最後のサンプリング値は該段差期間における最大のサンプリング値に相当するものであるから、算出した差分値を積算した積算値のピークホールド値は、段差代表値に相当する。
【0101】
演算部41が、直前の所定回数内にサンプリングした変位量に基づく差分値がすべて第二の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1407:NO)、演算部41は、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS1410)。演算部41が、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値以上であると判断した場合(ステップS1410:YES)、演算部41は、段差である旨を示す判別信号をワンショット出力する(ステップS1411)。演算部41が、記憶してあるピークホールド値(段差代表値)が第一の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1410:NO)、演算部41は、記憶してある積算値及びピークホールド値を0(ゼロ)にリセットし(ステップS1412)、処理をステップS1402へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0102】
実施の形態2においても、図9乃至図11と同様に、測定レンジを外れた場合であっても測定を継続することができ、リセット入力、タイミング入力を活用することができる。
【0103】
以上のように本実施の形態2によれば、変位量を差分値の積算値として求めることができ、求めた変位量が第二の閾値以上であると判断した時点から段差期間であると判別し、段差期間における変位量が第一の閾値以上である場合に段差であると判別することにより、変位量の変動が搬送装置の振動によるものであるか段差によるものであるかを判断する閾値を比較的容易に設定することができ、段差が微小であっても確実に検出することが可能となる。また、測定値を確実に表示することができるので、従来は読み取ることが困難であった段差の大きさを視認することが容易となる。
【0104】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 光学式変位センサ
2 測定ヘッド部
4 コントローラ部
11 投光器
14 受光器
21 表示部
41 演算部
42 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式変位センサ及び該光学式変位センサにおける段差検出方法に関する。特に、検出対象物に照射した投射光の、検出対象物表面で反射した反射光を受光する受光器の出力に基づいて検出対象物表面の段差を検出する光学式変位センサ及び該光学式変位センサにおける段差検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検出対象物に光を照射して検出対象物の有無、検出対象物の所望の形状等を検出するセンサとして、光電センサの他に光学式変位センサが良く用いられている。光学式変位センサは、検出対象物に照射した投射光の、検出対象物表面で反射した反射光に基づいて検出対象物の変位量を算出し、算出した変位量が予め定められた閾値以上、又は予め定められた上限閾値と下限閾値との間であるか等を判定し、判定結果に基づいて検出対象物の有無、検出対象物の所望の形状等を検出する。
【0003】
一般に、センサを用いた検出対象物の検出は、センサ及び検出対象物の少なくともいずれか一方を相対的に移動させることにより行われ、例えばセンサを装置乃至設備に固定し、検出対象物をベルトコンベア等の搬送装置で移動させることにより行われる。変位センサは、変位センサと検出対象物との相対的な変位量を検出する。例えば、紙葉類の段差、金属板の段差等の検出対象物による変位量を基準とした場合のベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変動量が比較的大きいとき等は、紙葉類の段差、金属板の段差等による変動であるのか、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変動であるのか、変位センサにより区別することが困難である。
【0004】
そこで、特許文献1では、変位センサの検出信号を微分処理することで、段差の存在による急峻な変位量の変動と振動による比較的緩やかな変位量の変動とを区別するようにして段差を検出している。また、特許文献2では、段差において、上段と下段とで受光波形の特徴が一気に遷移することを利用して段差を検出している。さらに、特許文献3では、変位センサの検出信号の波形の山と谷とを判別し、検出対象物の個数をカウントしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−271945号公報
【特許文献2】特開2008−145159号公報
【特許文献3】特開2005−108052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、変位の微分値は、検出対象物の搬送速度に大きく依存している。例えば1mmの段差を検出したい場合、変位の微分値の単位は「mm/秒」又は「mm/サンプリング」等となる。したがって、特許文献1では、段差判別のための閾値に時間、速度等の単位が含まれるため、閾値の設定は設定者にとって直感的なものではなく、設定することが困難であるという問題があった。また、搬送速度が変化した場合には同じ検出対象物であったとしても微分値が変化し、適切な閾値を設定することが困難であった。特に、検出動作にデジタル処理が含まれる場合、サンプリングのタイミングによっては、微分値が半分になるおそれもあり、安定して検出することが困難であった。さらに、変位の微分値を算出するためには変動の緩急の基準となるパラメータとしてカットオフ周波数、サンプリング周波数等を閾値とは別に設定する必要があり、斯かる周波数の設定も設定者にとって直感的なものではなく容易ではない。
【0007】
特許文献2では、段差の上段と下段との受光波形が一気に遷移することを利用して段差を検出しているが、段差が微小である場合、段差の上段と下段との受光波形の分離が困難であるおそれがある。また、段差の垂直側面がやや上向きに傾いている場合等は変位量が徐々に増加するため、受光波形が一気に遷移せず段差を検出することが困難であった。
【0008】
さらに、特許文献3では、変位量を示す波形の山と谷とがはっきりしている場合でなければ段差を検出することが困難であり、そもそも微分の特長部分も欠落してしまい、従来の微分機能を用いない変位センサと同様に、例えば紙葉類の段差、金属板の段差等の検出対象物による変位量を基準とした場合のベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変動量が比較的大きいとき等は、紙葉類の段差、金属板の段差等による変動であるのか、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変動であるのか、変位センサにより区別することが困難であった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変位量の変動、時間方向の変位量の変動の影響を低減し、より確実に段差を検出することができる光学式変位センサ及び該光学式変位センサにおける段差検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1発明に係る光学式変位センサは、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する差分値算出手段と、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、前記段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出する差分積算手段と、前記段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、第2発明に係る光学式変位センサは、第1発明において、前記段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値を表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第3発明に係る光学式変位センサは、第1又は第2発明において、前記段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値をゼロにリセットするリセット手段を備えることを特徴とする。
【0013】
次に、上記目的を達成するために第4発明に係る光学式変位センサは、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する差分値算出手段と、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、前記段差期間と判別された期間における基準変位を特定する基準変位特定手段と、現在の変位と前記基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、第5発明に係る光学式変位センサは、第4発明において、前記段差期間と判別された期間において前記基準変位を現在の変位にリセットするリセット手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第6発明に係る光学式変位センサは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記判別手段は、前記タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値以上であると判断された期間を段差期間であると判別するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
また、第7発明に係る光学式変位センサは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記判別手段は、前記タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値より小さいと判断された期間であっても、直前の所定期間内でいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合には、段差期間であると判別するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
また、第8発明に係る光学式変位センサは、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記変位量を出力することを停止する停止指示を受け付ける停止指示受付手段を備えることを特徴とする。
【0018】
また、第9発明に係る光学式変位センサは、第1乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記出力手段は、前記判別信号を、一定の時間幅を有するワンショットパルス信号として出力するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
次に、上記目的を達成するために第10発明に係る光学式変位センサは、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、前記変位量の変動に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の一方を表す第1代表値と、該段差期間の直前の非段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の他方を表す第2代表値とに基づいて段差代表値を算出する段差算出手段と、前記段差期間と判別された期間ごとに算出した段差代表値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
次に、上記目的を達成するために第11発明に係る段差検出方法は、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおける段差検出方法において、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する工程と、算出した変位量の差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する工程と、前記段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出する工程と、前記段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する工程と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
次に、上記目的を達成するために第12発明に係る段差検出方法は、検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおける段差検出方法において、所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する工程と、算出した変位量の差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する工程と、前記段差期間と判別された期間における基準変位を特定する工程と、現在の変位と前記基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する工程と、段差であるか否かに関する判別信号を出力する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
第1発明及び第11発明では、所定のタイミングでサンプリングして取得する受光器の受光信号に基づいて検出対象物の変位量を算出し、算出した変位量の差分値に基づいて段差候補となる段差期間と段差期間とならない非段差期間とを判別する。段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出し、段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別し、段差であるか否かに関する判別信号を出力する。変位量が比較的大きく変動した時点から段差期間であると判別し、段差期間における変位量が第一の閾値以上である場合に段差であると判別することにより、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、一旦段差候補であるか否かを判別することで段差を確実に検出することができるとともに、段差判別閾値(第一の閾値)によってさらに判別することにより、段差以外による変動を排除することができる。したがって、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、確実に段差を検出することが可能となる。
【0023】
第2発明では、段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値を表示することにより、従来は読み取ることが困難であった段差の大きさを視認することが容易となる。
【0024】
第3発明では、段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値をゼロにリセットすることにより、所望の位置における段差の高さを確実に検出することが可能となる。
【0025】
第4発明及び第12発明では、所定のタイミングでサンプリングして取得する受光器の受光信号に基づいて検出対象物の変位量を算出し、算出した変位量の差分値に基づいて段差候補となる段差期間と段差期間とならない非段差期間とを判別する。段差期間と判別された期間における基準変位を特定し、現在の変位と基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別し、段差であるか否かに関する判別信号を出力する。変位量が比較的大きく変動した時点から段差期間であると判別し、段差期間における変位量が第一の閾値以上である場合に段差であると判別することにより、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、一旦段差候補であるか否かを判別することで段差を確実に検出することができるとともに、現在の変位と基準変位との差分値を段差判別閾値(第一の閾値)と比較して段差を判別することにより、段差以外による変動を排除することができる。したがって、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても確実に段差を検出することが可能となる。
【0026】
第5発明では、段差期間と判別された期間において基準変位を現在の変位にリセットすることにより、所望の位置における段差の高さを確実に検出することが可能となる。
【0027】
第6発明では、タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値以上であると判断された期間を段差期間であると判別することにより、変位量の変動が搬送装置の振動によるものであるか段差によるものであるかを判断する閾値を適切に設定することにより、段差が微小であっても確実に検出することが可能となる。
【0028】
第7発明では、タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値より小さいと判断された期間であっても、直前の所定期間内でいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合には、段差期間であると判別する。これにより、途中でノイズが入った場合等であっても、段差ではないと誤って判別することを回避することが可能となる。
【0029】
第8発明では、変位量を出力することを停止する停止指示を受け付けることにより、明らかに出力することが不要となる期間を任意に設定することが可能となる。
【0030】
第9発明では、判別信号を、一定の時間幅を有するワンショットパルス信号として出力することにより、一定の時間、判別結果を表示することができ、測定値を視認しやすくすることができる。
【0031】
第10発明では、所定のタイミングでサンプリングして取得する受光器の受光信号に基づいて検出対象物の変位量を算出し、変位量の変動に基づいて段差候補となる段差期間と段差期間とならない非段差期間とを判別する。段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の一方を表す第1代表値と、段差期間の直前の非段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の他方を表す第2代表値とに基づいて段差代表値を算出する。段差期間と判別された期間ごとに算出した段差代表値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別することにより、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、一旦段差候補であるか否かを判別することで段差を確実に検出することができるとともに、段差候補期間内の各サンプリング値の代表値と段差判別閾値(第一の閾値)とを比較して段差をさらに判別することにより、段差以外による変動を排除することができる。したがって、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても確実に段差を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても、一旦段差候補であるか否かを判別することで段差を確実に検出することができるとともに、段差候補期間内の各サンプリング値の代表値と段差判別閾値(第一の閾値)とを比較して段差をさらに判別することにより、段差以外による変動を排除することができる。したがって、段差による変位量の時間当たり又はサンプリング当たりの変動が比較的緩やかな場合であっても確実に段差を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る三角測距方式の光学式変位センサの測定ヘッド部の構成例を示す三面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサのコントローラ部の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサの演算部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図7】途中でノイズが入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図8】紙葉類を重ねて搬送する場合の変位量の変動を示す図である。
【図9】途中で測定レンジを外れた場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図10】リセット入力が入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図11】タイミング入力が入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。
【図12】第一の閾値の自動設定方法を説明するための模式図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサの構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサの演算部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態に係る光学式変位センサについて、図面を参照しながら説明する。なお、参照する図面を通じて、同一又は同様の構成又は機能を有する要素については、同一又は同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサの構成を示す模式図である。図1に示すように本実施の形態1に係る光学式変位センサ1は、照射した投射光L1がワーク(検出対象物)A1の表面で反射した反射光L2に基づいて、ワークA1の有無、ワークA1の所望の形状等を検出する変位センサである。光学式変位センサ1は、測定ヘッド部2、伝送ケーブル3及びコントローラ部4からなる変位検出装置であり、作業台A2上に載置されたワークA1の有無、ワークA1の所望の形状等を検出する。
【0036】
測定ヘッド部2は、ワークA1に投射光L1を照射する投光器11と、投射光L1がワークA1の表面で反射した反射光L2を受光する受光器14とで、後述する測定部23を構成しており、受光器14の出力に基づいて投光器11の出力調整を行う。測定ヘッド部2は、例えば、ワークA1の製造ライン上に配置され、直下方向に投射光L1を照射する。
【0037】
伝送ケーブル3は、電力供給線として測定ヘッド部2に電力を供給するとともに、受光器14の出力をコントローラ部4へ伝送し、制御信号をコントローラ部4から測定ヘッド部2へ伝送する通信線として機能する。通信方式としては、RS485通信の他、RS422通信、RS232通信、LVDS、Ethernet(登録商標)等、データ通信することが可能な方式であればなんでも良い。また、伝送ケーブル3を用いて通信する代わりに無線で通信しても良い。
【0038】
コントローラ部4は、受光器14で受光した反射光L2の受光スポットの位置を検出し、検出した結果に基づいてワークA1の有無の判別、変位量の算出等を行う。コントローラ部4の筐体における一面には、各種操作キー、ワークA1の有無、結果等を表示するための表示部等が配置されている。
【0039】
なお、受光器14の出力に基づく受光スポットの位置の検出は、図示しないPLC(Programmable Logic Controller:プラグラマブルロジックコントローラ)などの外部機器から入力されるタイミング信号をトリガとして行われるように構成しても良い。
【0040】
図2は、本発明の実施の形態1に係る三角測距方式の光学式変位センサ1の測定ヘッド部2の構成例を示す三面図である。測定ヘッド部2は、投光器11、投光レンズ12、受光レンズ13及び受光器14を備え、筐体の側面にLED表示灯15a〜15cからなるヘッドインジケータ15が配置されている。
【0041】
投光器11は、投射光L1を生成する光源装置であり、LD(レーザーダイオード)、LED等の発光素子で構成されている。投光レンズ12は、投光器11から照射された投射光L1を集光するための集光レンズであり、投光器11よりもワークA1側に配置されている。投光レンズ12を透過した投射光L1は、筐体前面に設けられた矩形状の投光窓2aを介してワークA1に照射される。
【0042】
受光レンズ13は、ワークA1に照射された投射光L1がワークA1の表面で反射した反射光L2を受光器14上に集光するための集光レンズであり、反射光L2は、筐体前面に設けられた受光窓2bを介して入射される。受光器14は、ワークA1からの反射光L2を受光する複数の受光素子が線状に配置され、各受光素子から受光量に応じた信号が出力される。具体的には、複数の受光要素が直線上に配置されたラインCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)が受光器14として用いられている。もちろん、ラインCCDに限定されるものではなく、CMOS等の他の撮像素子やPSDを用いても良い。
【0043】
投光器11からワークA1に照射された光は、ワークA1の表面で反射され、ワークA1上における照射点の高さ、すなわち作業台A2からの距離に応じて受光器14上の異なる位置に集光する。なお、照射点の高さの変化による受光器14上における受光スポットの位置の変化が判別可能であれば、複数の受光素子が面状に配置された撮像素子を受光器14として用いても良い。
【0044】
LED表示灯15aは、投射光L1の出力状態を示す表示灯であり、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)で構成されている。LED表示灯15aは、例えば投射光L1が照射中である場合に緑色に点灯し、照射中でない場合に消灯する。LED表示灯15bは、コントローラ部4のセンサ出力状態を示す表示灯であり、例えばセンサ出力がオン状態である場合に消灯し、オフ状態である場合に赤色に点灯する。
【0045】
LED表示灯15cは、ワークA1上における多重反射の有無を示す表示灯であり、例えばワークA1の表面で反射した反射光L2に多重反射によるものを含む場合に緑色に点灯し、多重反射によるものを含まない場合に消灯する。
【0046】
図3は、本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサ1のコントローラ部4の構成を示す平面図である。コントローラ部4は、匡体の一面に各種のLED表示灯24、25、27、28と、7セグメントLED表示部26とで構成された表示部21を備えている。LED表示灯24は、投射光L1の照射状態を示す表示灯であり、LEDで構成されている。LED表示灯24は、例えば投射光L1が照射中である場合に緑色に点灯し、照射中でない場合に消灯する。
【0047】
LED表示灯25は、コントローラ部4のセンサ出力状態を示す表示灯であり、例えばセンサ出力がオン状態である場合に消灯し、オフ状態である場合に赤色に点灯する。LED表示灯27は、動作モードを示す表示灯である。
【0048】
LED表示灯28は、ワークA1上における多重反射の有無を示す表示灯であり、例えばワークA1の表面で反射した反射光L2に多重反射によるものを含む場合に緑色に点灯し、多重反射によるものを含まない場合に消灯する。
【0049】
7セグメントLED表示部26は、変位量等を文字で表示する表示装置であり、表示部21内の中央に配置された6つの7セグメントLEDで構成されている。各7セグメントLEDは、筐体の一面で長手方向に配列されている。
【0050】
図4は、本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサ1の構成を示すブロック図であり、コントローラ部4内の機能ブロックの一例も示されている。測定ヘッド部2は、測定部23、及びコントローラ部4とデータ通信する通信部22で構成されている。コントローラ部4は、各種の演算処理を実行する演算部41、必要な情報を記憶する記憶部42、測定ヘッド部2とデータ通信する通信部43、表示部21、及びコントローラ間通信部46により構成されている。
【0051】
演算部41は、マイコン、CPU等で構成される。記憶部42は、EEPROM、フラッシュメモリ等で構成され、段差候補となる期間、すなわち段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)421、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)422、段差期間内での変位量の最大値を示すピークホールド値423、基準変位424を、それぞれ記憶する。
【0052】
また、コントローラ間通信部46は、光学式変位センサ1を2台以上用いる場合に、コントローラ部4同士で情報を交換する。コントローラ間の通信にCAN通信、光通信等を用いるが、特にこれに限定されるものではなく、互いにデータ通信することができれば、特に限定されるものではない。
【0053】
演算部41の変位量算出部411は、図1に示す受光器14の各受光素子の受光量に基づいて受光器14上における受光スポットの位置、例えば1次元位置を検出し、検出した結果に基づいてワークA1の変位量を算出する。具体的には、受光素子が検出した受光量が受光素子ごとに判別され、各受光素子の配列方向に関する受光量の1次元位置の分布から受光スポットが抽出される。抽出された受光スポットのピーク位置又は重心位置に基づいて変位量が算出される。変位量として、ワークA1上における照射点の、投射光L1の光軸方向における位置が算出される。
【0054】
サンプリング部412は、変位量算出部411により算出された変位量を所定のタイミングでサンプリングし、差分値算出部413は、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する。ここで、「前回サンプリングした変位量」とは、直前のタイミングでサンプリングした変位量だけでなく、所定回前にサンプリングした変位量であっても良い。また、複数のタイミングでサンプリングした変位量から算出した、複数の変位量を代表する代表変位量も本発明における「前回サンプリングした変位量」に含まれる。また、差分値は、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との単純な差としても良いし、前回サンプリングした時刻と今回サンプリングした時刻との時間差を考慮した値としても良い。
【0055】
段差期間判別部(判別手段)414は、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する。より具体的には、変位量の変動を捕捉し、変動する期間を段差とて認識する方法であるが、ノイズ等の段差以外による変動と段差による変動とを区別して、段差を認識する必要がある。しかし、正確に段差を判別するための適切な閾値を設定することが困難であるため、段差期間判別部414は、ノイズ等の段差以外による変動も含め、差分値が第二の閾値よりも大きい期間を段差期間と判別する。また、段差期間を安定して判別できるように変位量の変動があったタイミングを段差期間の開始タイミング(段差期間開始時点)と判別し、変位量の変動が落ち着いたとみなすことができるタイミングを段差期間の終了タイミングと判別するようにしている。ここで、「変位量の変動が落ち着いたとみなすことができる」とは、例えば差分値が第二の閾値を超えない期間が所定時間又は所定サンプリング回数連続することを意味する。なお、変位量の変動には、正方向と負方向との2方向があるが、段差とみなす変動の方向はユーザによる設定等により正方向又は負方向が予め定められており、変位量の変動の絶対値が大きくても段差とみなす変動の方向と逆方向の場合には、段差であると判別するべき変位量の変動はないとみなしている。
【0056】
基準変位特定部415は、段差期間と判別された期間における基準変位を特定し、段差判別部416は、現在の変位と基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する。具体的には、段差期間開始時点の現在の変位を基準変位として特定する。出力部417は、段差であるか否かに関するON状態/OFF状態の判別信号を出力し、表示部21に表示する。すなわち、段差の変位量を、測定値として7セグメントLED表示部26で構成された表示部21に表示させる。出力部417は、段差であるか否かに関する判別信号に加え、表示部21に表示される段差の変位量を示すアナログ信号を出力するようにしても良い。
【0057】
以下、上述した構成の光学式変位センサ1の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式変位センサ1の演算部41の処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
図5において、光学式変位センサ1の演算部41は、所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS501)、現在の変位を基準変位に設定する(ステップS502)。その後、演算部41は、次の所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS503)、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する(ステップS504)。
【0059】
演算部41は、算出した差分値が、第二の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS505)。演算部41が、差分値が第二の閾値より小さいと判断した場合(ステップS505:NO)、演算部41は、現在の変位を新たな基準変位に設定し(ステップS506)、処理をステップS503へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0060】
図6は、時系列のサンプリング値(各タイミングでサンプリングされた変位量)の変動とその他の値の関係を示す図である。上段のグラフは、サンプリング値の遷移を示すグラフであり、その直下の数値は各タイミングにおけるサンプリング値を示すものである。図6では、10、15、10、25、40、55、70・・・の順でサンプリング値が遷移している様子が示されている。前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値はこれに対応して、不定、5、−5、15、15、15、15・・・となる(図示せず)。図6では、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間61を8msとしている。
【0061】
図6に示すように、サンプリングを開始して最初の3回は、直前のサンプリング値(前回のサンプリング値)との差分値が第二の閾値‘9’より小さい‘5’、‘−5’又は不定であることから、ステップS505により、非段差期間又は不定であると判別される。なお、図6に示すとおり「段差期間フラグ」は、‘1’が段差期間中を、‘0’が非段差期間中を、‘−’が不定であることを、それぞれ示す。「基準変位」は、非段差期間中はそれぞれの時点での変位、すなわちサンプリングされた値が変更される都度更新される。これにより、緩やかな変動に対して基準変位を追従させることができ、段差以外による変位量の変動の影響を低減することができる。
【0062】
4回目におけるサンプリング値の差分値(前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値)は‘15’であり、第二の閾値‘9’以上であるので、3回目以降の期間が段差期間であると判別され、段差期間である旨を示すフラグを立てる(「段差期間フラグ」を‘0’から‘1’に変更する)とともに、「基準変位」の追従を中断する、つまり「基準変位」は、直前である3回目のサンプリング値‘10’に維持される。換言すると、「基準変位」は、段差期間中、該段差期間の直前の非段差期間における各サンプリング値を代表する値、この例では非段差期間の最後のサンプリング値‘10’に維持されることになる。図6に示される「差分値」は、サンプリング値から基準変位を減じた値であり、「基準変位」が、不定、10、15、10、10、10、10・・・と遷移しているため、「差分値」は、不定、不定、−5、15、30、45、60・・・と遷移している。
【0063】
図5に戻って、光学式変位センサ1の演算部41が、差分値が第二の閾値以上であると判断した場合(ステップS505:YES)、その後、演算部41は、所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS507)、直前の所定回数内、例えば5回以内にサンプリングした変位量との差分値のいずれかが第二の閾値以上であるか否かを判断する、つまりステップS505における直近5回の判断のうち1回でもYESと判断したか否かにより変位量の変動が落ち着いたとみなすことができるか否かを判断する(ステップS508)。演算部41が、直前の所定サンプリング回数内のいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合、つまり変位量の変動がまだ落ち着いていないと判断した場合(ステップS508:YES)、演算部41は、サンプリングした変位量と基準変位との差分値を算出し、差分値が既にピークホールド値として記憶部42に記憶されている値を超えている場合には、算出した差分値をピークホールド値として記憶部42に記憶し、差分値が既にピークホールド値として記憶部42に記憶されている値を超えていない場合には、記憶部42に記憶されているピークホールド値を更新せず(ステップS509)、処理をステップS507へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0064】
演算部41が、直前の所定サンプリング回数内の各差分値がすべて第二の閾値より小さいと判断した場合、つまり変位量の変動が落ち着いたと判断した場合(ステップS508:NO)、記憶してあるピークホールド値が基準変位からの最大変動量に相当するため、段差による変動であるか否かを判別するために、演算部41は、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS510)。演算部41が、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値以上であると判断した場合(ステップS510:YES)、演算部41は、段差である旨を示す判別信号をワンショット出力する(ステップS511)。演算部41が、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値より小さいと判断した場合(ステップS510:NO)、演算部41は、記憶してあるピークホールド値を0(ゼロ)にリセットし(ステップS512)、処理をステップS503へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0065】
図6に示すピークホールド値は、非段差期間においては0(ゼロ)であり、段差期間においては、サンプリング値又は差分値(サンプリング値から基準変位を減じた値)が増加するに従い15、30、45、60、75、90と増加していき、その後、サンプリング値又は差分値(サンプリング値から基準変位を減じた値)が減少した場合であっても、該段差期間における最大値である‘90’が維持される。換言すれば、段差期間における各サンプリング値の中から該段差期間を代表するサンプリング値を求めるものであり、この例では段差期間の最大サンプリング値‘100’が該段差期間の各サンプリング値を代表するサンプリング値に相当する。そして、段差期間を代表するサンプリング値と該段差期間の直前の非段差期間を代表するサンプリング値に基づいて該段差期間における段差を示す段差代表値を求めるものであり、この例では、段差期間の最大サンプリング値‘100’と該段差期間の直前の非段差期間における各サンプリング値を代表する値である基準変位‘10’との差分‘90’が該段差期間の段差代表値に相当する。
【0066】
図6に示す「カウント数」は、段差期間中に前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値が第二の閾値‘9’より小さい場合にカウントアップされ、該差分値が第二の閾値‘9’以上であると0(ゼロ)にリセットされる。すなわち、該差分値が連続して第二の閾値‘9’より小さいか否かを判定している。図6の例では、サンプリング値(サンプリングした変位量)が・・・85、100、100、60、0、0、0、0、0、0、15・・・と遷移しているため、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値(図示しない)は・・・15、15、0、−40、−60、0、0、0、0、0、15・・・と遷移しており、カウント数は、・・・0、0、1、2、3、4、0、0、0、0、0・・・と遷移する。なお、この例では、段差期間が終了したと判断するための連続回数を4回とした例であり、カウント数が‘4’となったタイミングを段差期間が終了したタイミングと判断している。なお、この例では、非段差期間におけるカウント数を0(ゼロ)としている。
【0067】
段差期間の開始から終了までのタイミングが確定することにより、段差期間における各サンプリング値を代表する値、該段差期間における段差を代表する段差代表値が確定する。ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)と段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)とを比較し、図6の例では、ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)‘90’が段差判別閾値(第一の閾値)‘50’以上であるので、該段差期間における変位量の変動は段差によるものであると判断する。この場合、ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)‘90’を測定値として定め、定められた測定値は次の段差期間の確定により測定値が定められるまで値が保持される。また、図6の例では、段差期間が確定した場合であっても、ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)が段差判別閾値(第一の閾値)よりも小さい場合、測定値は更新されていないが、更新されるように構成しても良いことは言うまでもない。
【0068】
測定値は表示部21に表示させるとともに、ピークホールド値(段差期間における段差を代表する段差代表値)と段差判別閾値(第一の閾値)とを比較し、段差期間における変位量の変動は段差によるものであると判断した場合、ワンショット出力時の時間である8msの間、段差である旨を示す判別信号を出力する(ON状態)。判別信号の出力時間(ON状態の時間)が8msを超えた場合、判別信号は自動的にOFF状態となる。
【0069】
図7は、途中でノイズが入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。図7でも図6と同様、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間を8msとしている。なお、図7における「サンプリング値」等の用語の定義は、特に再定義しない限り図6における用語の定義と同一である。
【0070】
図7の2つ目の山に示すように、サンプリングの途中でノイズが入ることにより、差分値が段差判別閾値‘50’を挟んで大きく上下動している。従来は、変位量の変動がノイズによる変動であるのか段差による変動であるのかを区別するための閾値を適切に設定することが困難であり、例えば閾値の設定が不適切である場合、ピークホールド値‘70’の状態では段差による変動であると判断してしまうおそれがあった。それに対して、本実施の形態1では、直近所定回の差分値に基づいて、サンプリング値の差分値が安定するまで段差期間であると判別することがない。つまり、第二の閾値は段差らしきものが存在する段差期間とそれ以外の期間である非段差期間とを判別するだけであるので、ノイズにより変位量が変動する期間も含めて段差期間としても良く、閾値として精緻な値の設定は要求されない。そして、基準変位からの各段差期間における最大変動量であるピークホールド値により最終的に各段差期間の変動が段差によるものであったか否かを判断することで、段差を正確に判別することができる。また、サンプリング値の差分値が安定した以後のピークホールド値‘105’を出力として表示する。
【0071】
図6及び図7において、段差期間の終了は、直前のサンプリング値との各差分値が段差期間閾値より小さい値が所定回数連続するか否かで判断している。したがって、カウント数が‘4’になった時点でカウント数をリセットし、段差期間である旨を示すフラグを0(ゼロ)にする。そして、記憶してあるピークホールド値を測定値として表示部21に表示させる。また、ワンショット出力時の時間である8msの間、段差である旨を示す判別信号を出力する(ON状態)。8msを超えた場合、判別信号は自動的にOFF状態となる。さらに、判別信号を出力する出力線に加え、表示部21に表示される段差の変位量を示すアナログ信号を出力する出力線を設けてもよい。
【0072】
なお、表示部21に表示される段差の変位量は、次に段差が検出されるまで更新されることなく維持されるので、微分値、変位量等の表示値が瞬時に更新されることがなく、測定値を確実に表示することができる。したがって、従来は読み取ることが困難であった段差の大きさを視認することが容易となる。
【0073】
図8は、紙葉類を重ねて搬送する場合の変位量の変動を示す図である。図8(a)に示すように、紙葉類83がベルトコンベア82により重なって搬送される場合であっても、判別信号をワンショット出力とすることで、例えば図8(b)に示すように、段差による変位量81の立ち上がり変動が比較的急峻で、立ち下り変動が比較的緩やかな場合であっても、確実に各段差を検出することができる。
【0074】
途中で測定レンジを外れた場合、サンプリング値を取得することはできない。この場合、測定レンジに戻ってきた時点で基準変位を設定し直す必要が生じる。図9は、途中で測定レンジを外れた場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。図9でも、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間を8msとしている。なお、図9における「サンプリング値」等の用語の定義は、特に再定義しない限り図6における用語の定義と同一である。
【0075】
図9の2つ目の山に示すように、サンプリング途中91でサンプリング値が測定レンジから外れたために、サンプリング値が取得できていない。この場合、サンプリング値の取得が再開された時点から、再度基準変位を設定し直すことで対応するので、サンプリング値の取得を再開してしばらくは差分値を取得することができない。したがって、測定値を出力しないので異常値を出力することがない。
【0076】
また、基準変位を現在の変位に設定し直すのに、リセット入力を用いても良い(リセット手段)。この場合、リセット入力が入った時点における変位を基準変位として設定する。図10は、リセット入力が入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。図10でも、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間を8msとしている。なお、図10における「サンプリング値」等の用語の定義は、特に再定義しない限り図6における用語の定義と同一である。
【0077】
図10のリセット入力のパルス波形に示すように2つ目の山で順次サンプリング値を取得し、差分値を算出している途中でリセット入力が入った場合、リセット入力が入った時点の現在の変位‘45’を基準変位に設定する。この場合、記憶されるピークホールド値が小さくなるので、出力される値も小さくなる。
【0078】
さらに、タイミング入力を受け付けることにより、所望のタイミングで取得したサンプリング値を無視し、出力を停止することもできる(停止指示受付手段)。図11は、タイミング入力が入った場合の、時系列のサンプリング値の変動とその他の値の関係を示す図である。図11でも、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)を‘50’、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)を‘9’としている。また、ワンショット出力時の時間を8msとしている。なお、図11における「サンプリング値」等の用語の定義は、特に再定義しない限り図6における用語の定義と同一である。
【0079】
図11のタイミング入力のパルス波形に示すように、オン状態である期間111の段差に基づいて取得したサンプリング値を無視し、オフ状態になった時点で、その時点のサンプリング値を基準変位‘100’として設定している。これにより、測定値を出力する必要がない部分については、タイミング入力を入れることで測定値が出力されないようにすることができる。
【0080】
なお、光学式変位センサ1は、ユーザの指示に応じて測定した変位量に基づく第一の閾値を設定できるように構成しても良い。より具体的には、光学式変位センサ1は、段差の下段に対応する変位量をユーザの指示に応じて測定し、次に段差の上段に対応する変位量をユーザの指示に応じて測定することで、段差の上段に対応する変位量と段差の下段に対応する変位量との中間の値を第一の閾値として自動的に設定することができる。
【0081】
図12は、第一の閾値の自動設定方法を説明するための模式図である。図12(a)に示すように、まずワークA1の段差の下段に対応する変位量122を取得し、ユーザがSETボタン等を操作することにより記憶される。次に図12(b)に示すように、ワークA1の段差の上段に対応する変位量123を取得し、ユーザがSETボタン等を操作することにより記憶される。そして、図12(c)に示すように、ワークA1の段差の上段に対応する変位量123と段差の下段に対応する変位量122との中間の値を第一の閾値121として設定する。なお、自動的に設定した後、ユーザにより第一の閾値を任意の値に調整することが可能に構成しても良いことは言うまでもない。
【0082】
また、第二の閾値を、第一の閾値と一定の関係を持たせることで、第一の閾値を設定した場合に自動的に第二の閾値が決定するように構成しても良い。例えば、第一の閾値の10分の1の値を第二の閾値として設定する。
【0083】
第二の閾値は、段差期間の継続時間、サンプリング回数等に応じて調整することができるようにしても良いし、サンプリング周期の設定に連動して調整することができるように構成しても良い。例えば、サンプリング周期が短い場合には第一の閾値の10分の1の値を、サンプリング周期が長い場合には第一の閾値の3分の1の値を、それぞれ第二の閾値として設定する。
【0084】
なお、第二の閾値をユーザが設定することが可能に構成されている場合、表示部21に各段差期間の継続時間、サンプリング回数、あるいは各段差期間における前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値の最大値と最小値とを表示できるように構成し、ユーザに対して第二の閾値の設定に役立つ情報を表示させても良い。
【0085】
また、判別した段差の数をカウントする段差カウント機能を備えても良い。
【0086】
なお、測定ヘッド部2とコントローラ部4とが分離した分離型の光学式変位センサについて説明したが、本発明は測定ヘッド部2とコントローラ部4とが一体となった一体型の光学式変位センサへも適用することが可能である。
【0087】
以上のように本実施の形態1によれば、変位量が第二の閾値以上であると判断した時点から段差期間であると判別し、段差期間における変位量が第一の閾値以上である場合に段差であると判別することにより、ベルトコンベア等の搬送装置の振動等による変位量の変動、時間方向の変位量の変動等の影響を低減し、より確実に段差を検出することが可能となる。
【0088】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサ1の構成は実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより、詳細な説明は省略する、本実施の形態2は、段差であるか否かを判別するのに、基準変位とサンプリング値との差分値を用いるのではなく、今回のサンプリング値と直前のサンプリング値との差分値を積算して用いる点で実施の形態1とは相違する。
【0089】
図13は、本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサ1の構成を示すブロック図であり、コントローラ部4内の機能ブロックの一例も示されている。測定ヘッド部2は、測定部23、及びコントローラ部4とデータ通信する通信部22で構成されている。コントローラ部4は、各種の演算処理を実行する演算部41、必要な情報を記憶する記憶部42、測定ヘッド部2とデータ通信する通信部43、表示部21、及びコントローラ間通信部46により構成されている。
【0090】
演算部41は、マイコン、CPU等で構成される。記憶部42は、EEPROM、フラッシュメモリ等で構成され、段差期間であるか否かを判別する段差期間閾値(第二の閾値)421、段差であるか否かを判別する段差判別閾値(第一の閾値)422、段差期間内における変位量の最大値を示すピークホールド値423を、それぞれ記憶する。
【0091】
また、コントローラ間通信部46は、光学式変位センサ1を2台以上用いる場合に、コントローラ部4同士で情報を交換する。コントローラ間の通信にCAN通信、光通信等を用いるが、特にこれに限定されるものではなく、互いにデータ通信することができれば、特に限定されるものではない。
【0092】
演算部41の変位量算出部411は、図1に示す受光器14の各受光素子の受光量に基づいて受光器14上における受光スポットの位置、例えば1次元位置を検出し、検出した結果に基づいてワークA1の変位量を算出する。具体的には、受光素子が検出した受光量が受光素子ごとに判別され、各受光素子の配列方向に関する受光量の1次元位置の分布から受光スポットが抽出される。抽出された受光スポットのピーク位置又は重心位置に基づいて変位量が算出される。変位量として、ワークA1上における照射点の、投射光L1の光軸方向における位置が算出される。
【0093】
サンプリング部412は、変位量算出部411により算出された変位量を所定のタイミングでサンプリングし、差分値算出部413は、前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する。段差期間判別部(判別手段)414は、算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する。
【0094】
より具体的には、変位量の変動を捕捉し、変動する期間を段差とて認識する方法であるが、ノイズ等の段差以外による変動と段差による変動とを区別して、段差を認識する必要がある。しかし、正確に段差を判別するためには判別するための適切な閾値を設定することが困難であるため、段差期間判別部414は、ノイズ等の段差以外による変動も含め、差分値が第二の閾値よりも大きい期間を段差期間と判別する。また、段差期間を安定して判別できるように変位量の変動があったタイミングを段差期間の開始タイミング(段差期間開始時点)と判別し、変位量の変動が落ち着いたとみなすことができるタイミングを段差期間の終了タイミングと判別するようにしている。ここで、「変位量の変動が落ち着いたとみなすことができる」とは、例えば差分値が第二の閾値を超えない期間が所定時間又は所定サンプリング回数連続することを意味する。なお、変位量の変動には、正方向と負方向との2方向があるが、段差とみなす変動の方向はユーザによる設定等により正方向又は負方向が予め定められており、変位量の変動の絶対値が大きくても段差とみなす変動の方向と逆方向の場合には、検出すべき段差による変位量の変動はないとみなしている。
【0095】
差分積算部418は、段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出し、段差判別部416は、段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する。出力部417は、段差であるか否かに関するON/OFFの判別信号を出力し、表示部21に表示する。すなわち、段差の変位量を、測定値として7セグメントLED表示部26で構成された表示部21に表示させる。
【0096】
以下、上述した構成の光学式変位センサ1の動作について説明する。図14は、本発明の実施の形態2に係る光学式変位センサ1の演算部41の処理手順を示すフローチャートである。
【0097】
図14において、光学式変位センサ1の演算部41は、所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS1401)、次の所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS1402)、直前にサンプリングした変位量(前回サンプリングした変位量)と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する(ステップS1403)。
【0098】
演算部41は、算出した差分値が、第二の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS1404)。演算部41が、差分値が第二の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1404:NO)、演算部41は、処理をステップS1402へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0099】
演算部41が、差分値が第二の閾値以上であると判断した場合(ステップS1404:YES)、演算部41は、算出した差分値を積算する(ステップS1405)。ここで、変位量の変動があったタイミングを段差期間の開始タイミング(段差期間開始時点)と判別し、差分値は直前にサンプリングした変位量(前回サンプリングした変位量)に基づいて算出されるので、該段差期間の直前の非段差期間における最後のサンプリング値が該段差期間の直前の非段差期間における各サンプリング値を代表する値に相当する。
【0100】
演算部41は、次の所定のタイミングで変位量をサンプリングし(ステップS1406)、直前の所定回数内、例えば5回以内にサンプリングした変位量との差分値のいずれかが第二の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS1407)。演算部41が、直前の所定回数内にサンプリングした変位量に基づくいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合(ステップS1407:YES)、演算部41は、算出した差分値をさらに積算し(ステップS1408)、積算した積算値をピークホールド値として記憶部42に記憶し(ステップS1409)、処理をステップS1406へ戻して上述した処理を繰り返す。なお、算出した差分値を積算した積算値は、中間で取得したサンプリング値が順次相殺され、最初と最後に取得したサンプリング値に相当するが、最初のサンプリング値は該段差期間の直前の非段差期間における最後のサンプリング値であり、最後のサンプリング値は該段差期間における最大のサンプリング値に相当するものであるから、算出した差分値を積算した積算値のピークホールド値は、段差代表値に相当する。
【0101】
演算部41が、直前の所定回数内にサンプリングした変位量に基づく差分値がすべて第二の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1407:NO)、演算部41は、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS1410)。演算部41が、記憶してあるピークホールド値が第一の閾値以上であると判断した場合(ステップS1410:YES)、演算部41は、段差である旨を示す判別信号をワンショット出力する(ステップS1411)。演算部41が、記憶してあるピークホールド値(段差代表値)が第一の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1410:NO)、演算部41は、記憶してある積算値及びピークホールド値を0(ゼロ)にリセットし(ステップS1412)、処理をステップS1402へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0102】
実施の形態2においても、図9乃至図11と同様に、測定レンジを外れた場合であっても測定を継続することができ、リセット入力、タイミング入力を活用することができる。
【0103】
以上のように本実施の形態2によれば、変位量を差分値の積算値として求めることができ、求めた変位量が第二の閾値以上であると判断した時点から段差期間であると判別し、段差期間における変位量が第一の閾値以上である場合に段差であると判別することにより、変位量の変動が搬送装置の振動によるものであるか段差によるものであるかを判断する閾値を比較的容易に設定することができ、段差が微小であっても確実に検出することが可能となる。また、測定値を確実に表示することができるので、従来は読み取ることが困難であった段差の大きさを視認することが容易となる。
【0104】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 光学式変位センサ
2 測定ヘッド部
4 コントローラ部
11 投光器
14 受光器
21 表示部
41 演算部
42 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、
前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する差分値算出手段と、
算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、
前記段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出する差分積算手段と、
前記段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする光学式変位センサ。
【請求項2】
前記段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光学式変位センサ。
【請求項3】
前記段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値をゼロにリセットするリセット手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の光学式変位センサ。
【請求項4】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、
前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する差分値算出手段と、
算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、
前記段差期間と判別された期間における基準変位を特定する基準変位特定手段と、
現在の変位と前記基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする光学式変位センサ。
【請求項5】
前記段差期間と判別された期間において前記基準変位を現在の変位にリセットするリセット手段を備えることを特徴とする請求項4記載の光学式変位センサ。
【請求項6】
前記判別手段は、前記タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値以上であると判断された期間を段差期間であると判別するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項7】
前記判別手段は、前記タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値より小さいと判断された期間であっても、直前の所定期間内でいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合には、段差期間であると判別するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項8】
前記変位量を出力することを停止する停止指示を受け付ける停止指示受付手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項9】
前記出力手段は、前記判別信号を、一定の時間幅を有するワンショットパルス信号として出力するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項10】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、
前記変位量の変動に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、
段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の一方を表す第1代表値と、該段差期間の直前の非段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の他方を表す第2代表値とに基づいて段差代表値を算出する段差算出手段と、
前記段差期間と判別された期間ごとに算出した段差代表値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする光学式変位センサ。
【請求項11】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおける段差検出方法において、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する工程と、
算出した変位量の差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する工程と、
前記段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出する工程と、
前記段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する工程と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する工程と
を含むことを特徴とする段差検出方法。
【請求項12】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおける段差検出方法において、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する工程と、
算出した変位量の差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する工程と、
前記段差期間と判別された期間における基準変位を特定する工程と、
現在の変位と前記基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する工程と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する工程と
を含むことを特徴とする段差検出方法。
【請求項1】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、
前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する差分値算出手段と、
算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、
前記段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出する差分積算手段と、
前記段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする光学式変位センサ。
【請求項2】
前記段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光学式変位センサ。
【請求項3】
前記段差期間と判別された期間において算出した差分値の積算値をゼロにリセットするリセット手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の光学式変位センサ。
【請求項4】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、
前回サンプリングした変位量と今回サンプリングした変位量との差分値を算出する差分値算出手段と、
算出した差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、
前記段差期間と判別された期間における基準変位を特定する基準変位特定手段と、
現在の変位と前記基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする光学式変位センサ。
【請求項5】
前記段差期間と判別された期間において前記基準変位を現在の変位にリセットするリセット手段を備えることを特徴とする請求項4記載の光学式変位センサ。
【請求項6】
前記判別手段は、前記タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値以上であると判断された期間を段差期間であると判別するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項7】
前記判別手段は、前記タイミングごとに差分値が第二の閾値以上であるか否かを判断し、第二の閾値より小さいと判断された期間であっても、直前の所定期間内でいずれかの差分値が第二の閾値以上であると判断した場合には、段差期間であると判別するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項8】
前記変位量を出力することを停止する停止指示を受け付ける停止指示受付手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項9】
前記出力手段は、前記判別信号を、一定の時間幅を有するワンショットパルス信号として出力するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項10】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおいて、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する変位量算出手段と、
前記変位量の変動に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する判別手段と、
段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の一方を表す第1代表値と、該段差期間の直前の非段差期間に取得した変位量に基づく段差の上段又は下段の他方を表す第2代表値とに基づいて段差代表値を算出する段差算出手段と、
前記段差期間と判別された期間ごとに算出した段差代表値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する段差判別手段と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする光学式変位センサ。
【請求項11】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおける段差検出方法において、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する工程と、
算出した変位量の差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する工程と、
前記段差期間と判別された期間における差分値の積算値を算出する工程と、
前記段差期間と判別された期間ごとに算出した積算値の最大値と第一の閾値とを比較して段差であるか否かを判別する工程と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する工程と
を含むことを特徴とする段差検出方法。
【請求項12】
検出対象物に投射光を照射し、該検出対象物で反射した反射光を、受光器を用いて受光して検出対象物の変位量を取得する光学式変位センサにおける段差検出方法において、
所定のタイミングでサンプリングして取得する前記受光器の受光信号に基づいて前記検出対象物の変位量を算出する工程と、
算出した変位量の差分値に基づいて段差期間と非段差期間とを判別する工程と、
前記段差期間と判別された期間における基準変位を特定する工程と、
現在の変位と前記基準変位との差分値を第一の閾値と比較して段差であるか否かを判別する工程と、
段差であるか否かに関する判別信号を出力する工程と
を含むことを特徴とする段差検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−127865(P2012−127865A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280898(P2010−280898)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
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