説明

光重合性モノマー及びこれを利用する感光性組成物ならびに平版印刷版

【課題】本発明は、光重合性が高い光重合性モノマーを見出すことを課題とし、また画像形成時の強度が十分でかつ現像時の溶出性が良好で、長期間保存した場合でも溶出不良等の劣化が起こらない感光性組成物を見出すことを課題とする。特に可視光から赤外光のレーザーによる走査露光に於いても十分な感度で、画像部の強度に優れたネガ型感光性組成物、及びこれを利用した平版印刷版を提供することを課題とする。
【解決手段】分子内に下記一般式1で表される単位構造を2つ以上有する光重合性モノマー、分子内に下記一般式3で表される単位構造を2つ以上有する光重合性モノマー、一般式5で表される光重合性モノマー及び一般式7で表される光重合性モノマーから選ばれる重合性モノマーであって、該光重合性モノマーの−SHの残存率が5〜45%である事を特徴とする光重合性モノマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネガ型の感光性組成物に関する。用途としては、感光性樹脂、印刷版、インキ、塗料、接着剤、架橋剤、光学レンズ材料、光ファイバーコーティング、三次元造形、ホログラフィー記録材料、プリント配線板やIC等の電子材料に利用可能な感光性組成物に関する。更に、レーザー等の走査露光による画像形成が可能な前記感光性組成物に関する。更に、前記感光性組成物を利用した平版印刷版に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線に感応し、照射部に於いて架橋反応が進行する光架橋システムは、その機構から大別して光ラジカル系と光カチオン系に分けられる。光ラジカル系としては主にアクリレート類と光ラジカル発生剤との組み合わせによる系が主流であり、室温硬化性が良好で、硬化速度が速いことが特徴の一つであるが、一方で、十分な光照射を行っても重合反応率が100%に達せず、残存するアクリレートモノマーによる硬化物物性への悪影響や、硬化物からのアクリレートモノマーのブリード、及び強アルカリ条件での硬化物の加水分解による劣化などの種々の問題を抱えている。
【0003】
これに対して光カチオン系に於いては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系光カチオン発生剤等を利用して、エポキシ系化合物のカチオン開環重合あるいはビニルエーテル類のカチオン重合を利用する等の方法で同様な光架橋システムが構築されている。この場合の最大の利点は酸素による重合阻害を受けない点であり、空気中の硬化反応に利用されている。欠点としては、硬化速度が低い場合が多く、また架橋反応を進行させるために放射線照射後に加熱処理(ポストキュア)が必要であることや、塩基性物質が存在すると重合阻害を受けること等の問題があった。
【0004】
更に、半導体レーザーの著しい進歩によって700〜1300nmの近赤外レーザー光源を容易に利用できるようになった事に伴い、該レーザー光に対応する感光性材料及び感光性平版印刷版が注目されている。
【0005】
上記可視光〜近赤外光に感光性を有する光重合性組成物として、特開平9−134007号公報にはエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合可能な化合物と400〜500nmに吸収ピークを持つ光増感色素と重合開始剤とを含有する平版印刷版材料が開示され、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平5−5988号、特開平5−194619号、特開平5−197069号、特開2000−98603号公報等には、有機ホウ素アニオンと色素との組み合わせが開示され、特開平4−31863号、特開平6−43633号公報には色素とs−トリアジン系化合物との組み合わせが開示され、特開平7−20629号、特開平7−271029号公報にはレゾール樹脂、ノボラック樹脂、赤外線吸収剤及び光酸発生剤の組み合わせが開示され、特開平11−212252号、特開平11−231535号公報には特定の重合体と光酸発生剤と近赤外増感色素の組み合わせが開示されている。
【0006】
また、ビニルフェニル基を2個以上有する重合性モノマー及びそれを用いた感光性組成物が知られており、例えば、特開平2−53783号公報(特許文献1)、特開2001−290271号公報(特許文献2)、特開2003−26744号公報(特許文献3)、に記載されている。
【0007】
また、重合性モノマーとして、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、ビニルピリジン等の含窒素不飽和モノマーを光硬化性組成物に用いることが、特開平11−106413号公報(特許文献4)に記載されている。また、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としてN−ビニルピロリドンを用いることが、特開平8−297364号公報(特許文献5)に記載されている。さらに、特定のホウ素化合物と多官能分岐チオールを含むことを特徴とする光重合開始剤及び感光性組成物が特開2003−25918号公報(特許文献6)に記載されている。
【0008】
上述した感光性組成物は、光が照射された部分が硬化し、現像処理によって未露光部(非硬化部)が溶解除去されてレリーフ画像が形成されるが、光重合が不十分なため画像部分の強度が十分ではなかった。特に、平版印刷版として使用する場合、光重合が不十分だと耐刷性に影響する。更に、十分な光重合を起こる光重合性モノマーの場合、感光性組成物を長期間保管すると、光重合性の高いモノマーを添加した感光性組成物は溶出性が悪くなり、さらには光を照射しても硬化反応が起こらなくなるという問題があった。
【特許文献1】特開平2−53783号公報
【特許文献2】特開2001−290271号公報
【特許文献3】特開2003−26744号公報
【特許文献4】特開平11−106413号公報
【特許文献5】特開平8−297364号公報
【特許文献6】特開2003−25918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、光重合性が高い光重合性モノマーを見出すことを課題とし、また画像形成時の強度が十分でかつ現像時の溶出性が良好で、長期間保存した場合でも溶出不良等の劣化が起こらない感光性組成物を見出すことを課題とする。特に可視光から赤外光のレーザーによる走査露光に於いても十分な感度で、画像部の強度に優れたネガ型感光性組成物、及びこれを利用した平版印刷版を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に記載の感光性組成物を用いることによって上記課題を基本的には解決できることを見出した。
1)分子内に下記一般式1で表される単位構造を2つ以上有する光重合性モノマー、分子内に下記一般式3で表される単位構造を2つ以上有する光重合性モノマー、一般式5で表される光重合性モノマー及び一般式7で表される光重合性モノマーから選ばれる重合性モノマーであって、該光重合性モノマーの−SHの残存率が5〜45%である事を特徴とする光重合性モノマー。
【0011】
【化1】

【0012】
一般式1中、L1は2価の連結基を表し、Aは水素原子又は下記一般式2の構造を表す。
【0013】
【化2】

【0014】
一般式2中、L2は2価の連結基を表し、VPはビニル基が置換したフェニル基を表す。
【0015】
【化3】

【0016】
一般式3中、A10は水素原子又は下記一般式4の構造を表す。
【0017】
【化4】

【0018】
一般式4中、L11は水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子又は原子群からなる2価の連結基を表し、VPはビニル基が置換したフェニル基を表す。n1は0又は1を表す。
【0019】
【化5】

【0020】
一般式5中、L21は水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または原子群からなる多価の連結基を表す。A20、A21はそれぞれ水素原子又は下記一般式6の構造を表し、同じでも異なっていても良い。
【0021】
【化6】

【0022】
一般式6中、L22は水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または原子群からなる多価の連結基を表す。Y21は、同じであっても異なっていても良く、置換基を有していても良いフェニレン基または−CO−基を表す。n21は0または1を表す。R21、R22、R23は同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表す。
【0023】
【化7】

【0024】
一般式7中、A30、A31はそれぞれ水素原子又は下記一般式8の構造を表し、同じでも異なっていても良いR34とR35は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基を表す。更に、R34とR35が組合わさって環構造を形成しても良い。A30とA31はそれぞれ水素原子又は下記一般式8の構造を表し、同じでも異なっていても良い。
【0025】
【化8】

【0026】
一般式8中、R31、R32、及びR33はそれぞれR21、R22及びR23と同義である。L31は、それぞれ一般式3におけるL22と同義である。Y31はそれぞれY21と同義である。n31はそれぞれ0または1を表す。
2)上記1)の光重合性モノマーを含有する事を特徴とする感光性組成物。
3)更に光重合開始剤を含有する上記2)記載の感光性組成物。
4)上記1)の光重合性モノマーと光重合開始剤及び380〜1100nmの波長域に於いて増感する増感色素を含有する事を特徴とする上記2)又は上記3)記載の感光性組成物。
5)支持体上に設けられる感光層に上記2)〜4)のいずれかに記載の感光性組成物を利用した事を特徴とする、平版印刷版。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、光重合性が高く、画像形成時の強度が十分でかつ現像時の溶出性が良好で、長期間保存した場合でも溶出不良等の劣化が起こらない光重合性モノマーを提供する事が出来る。特に可視光から赤外光のレーザーによる走査露光に於いても十分な感度で、画像部の強度に優れたネガ型感光性組成物、及びこれを利用した平版印刷版を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
まず、一般式1の光重合性モノマーについて詳細に説明する。上記一般式1の構造Aに含まれる、VPで表されるビニル基が置換したフェニル基とは、具体的には下記一般式9で表される。
【0029】
【化9】

【0030】
一般式9の式中、R1,R2及びR3は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。これらの基の中でも、R1及びR2が水素原子であり、R3が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であるものが特に好ましい。
【0031】
更に一般式9のベンゼン環には、他の置換基を有していても良い。その例としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などから選ばれる基を表し、更にこれらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
【0032】
前記一般式1及び一般式2中、L1、L2で表される2価の連結基とは、具体的には炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などから選ばれる原子、またはそれらに更に水素原子を加えた原子群からなる基であり、中でも、アルキレンやアリーレンなどの炭化水素系の連結基が好ましい。そして特に、L1、L2の総炭素数が6以下のアルキレン基が好ましい。なおこれらの基は可能であるならば、更なる置換基を有していても良い。
【0033】
上述したL1、L2が置換基を有する場合、その例としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
【0034】
本発明の光重合性モノマーにおいては、以上述べたような一般式1で表わされる単位構造を、単一分子中に2つ以上有しているものが好ましく、そして中でも単一分子中に3〜6つ有しているものが特に好ましい。
【0035】
次に一般式3で表される光重合性モノマーについて詳細に説明する。一般式3中、A10は下記一般式4で表される。
【0036】
【化10】

【0037】
上記一般式4式中、L11で表される水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子又は原子群からなる2価の連結基としては、具体的には下記化11に例示される構造単位及び下記に示す複素環より構成される基が挙げられる。これらの基は単独でも任意の2つ以上が組み合わされていても良い。更には、これらの基は置換基を有していても良い。A10中n1は0又は1を表す。
【0038】
【化11】

【0039】
11を構成する複素環の例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環は置換基を有していても良い。
【0040】
上述した多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
【0041】
次に一般式5で表される光重合性モノマーについて詳細に説明する。
【0042】
一般式5中L21は前述のL11と同義である。A20とA21は同じでも異なっていても良く、下記一般式6で表される。
【0043】
【化12】

【0044】
式中、R21、R22及びR23は同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。これらの基の中でも、R21が、水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R22及びR23が水素原子であるものが特に好ましい。
【0045】
式中、L22は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ前述のL11及びL21と同義である。
【0046】
式中Y21は、フェニレン基(具体的には1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基)または−CO−基を表す。上述したフェニレン基は置換基を有していても良く、その様な置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる、感光性組成物、特に平版印刷版材料用途として用いる場合には、Y21がフェニレン基であるものが好ましい 式中n21は0又は1を表す。
【0047】
次に一般式7で表される光重合性モノマーについて詳細に説明する。
【0048】
34及びR35は同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基を表す。これらの基の中でも、炭素数10以下のアルキル基、アリール基が好ましい。これらの基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。又R37とR38が組合わさって環構造を形成しても良く、そのような環構造の具体例としてはピロリジン環、ピペリジン環、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン環、ヘキサメチレンイミン環、へプタメチレンイミン環、イミダゾール環、ピペラジン環、1,4,5,6,−テトラヒドロピリミジン環、モルホリン環、チアゾリリジン環、チオモルホリン環、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。これら環構造は上述したような置換基を有していても良い。
【0049】
30とA31は同じでも異なっていても良く、下記一般式8で表される。
【0050】
【化13】

【0051】
式中、R31、R32及びR33は、それぞれ一般式5におけるR21、R22及びR23と同義である。これらの基の中でも、R31が、それぞれ水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R32、R33が水素原子であるものが特に好ましい。
【0052】
31は一般式5におけるL22と同義である。Y31は一般式5におけるY21と同義であり、特に平版印刷版材料用途として用いる場合には、Y31がフェニレン基であるものが好ましい。n31はそれぞれ一般式5におけるn21と同義である。
【0053】
本発明の光重合性モノマーは、実施例にて合成法を詳細に述べるが、一般式1、3、5、7に於けるそれぞれの一般式中の構造A、A10、A20、A21、A30、A31、が水素原子の構造を有する中間体を合成し、その後に水素原子の一部に一般式2、一般式4、一般式6、一般式8の構造を有する中間体を置換して得る事が出来る。実際には一般式1,3、5、7に於けるそれぞれの一般式中の構造A、A10、A20、A21、A30、A31、が水素原子の構造を有する中間体に対して、一般式2、一般式4、一般式6、一般式8の構造を有する中間体を、そのメルカプト基に結合している水素原子のモル数に対して95〜55%のモル数の、一般式2、一般式4、一般式6、一般式8の構造を有する中間体を反応させる事により、得る事が出来る。本発明の光重合性モノマーにおいては、一般式1、3、5、7に於けるそれぞれの一般式中の構造A、A10、A20、A21、A30、A31、が水素原子である割合(残存率)は5〜45%が好ましく、10〜30%が更に好ましい。本発明の化合物は、その合成方法から分かるように、特定の位置のみに置換反応を起こす事は困難であるため、得られる生成物の構造を特定する事は困難である。本発明の光重合性モノマーにおいて水素原子の残存率は、1H−NMRのスチレンビニルのプロトンシグナル強度をISBと、SHのプロトンのシグナル強度をISHとするとR%=(ISH/(ISB+ISH))×100で与えられる。このSHの残存率が上記割合よりも高い場合には、高温高湿度下での溶出性が低下し、更に残存率が高くなると画像強度が低下する。一方、SH残存率が5%より低い場合は、架橋効率が低下し、その結果として光重合によって得られる画像強度が低下する。
【0054】
本発明の光重合性モノマーは、このように水素原子の残存位置を特定する事が出来ないので、水素原子の残存率が0%の場合の構造の具体例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0055】
本発明の一般式1の光重合性モノマーの具体例は以下の通りである。
【0056】
【化14】

【0057】
【化15】

【0058】
【化16】

【0059】
【化17】

【0060】
【化18】

【0061】
本発明の一般式3の光重合性モノマーの具体例は以下の通りである。
【0062】
【化19】

【0063】
【化20】

【0064】
【化21】

【0065】
本発明の一般式5の光重合性モノマーの具体例は以下の通りである。
【0066】
【化22】

【0067】
【化23】

【0068】
本発明の一般式7の光重合性モノマーの具体例は以下の通りである。
【0069】
【化24】

【0070】
【化25】

【0071】
【化26】

【0072】
【化27】

【0073】
【化28】

【0074】
本発明の光重合性モノマーの製造方法としては、従来公知の化学反応を用いて合成することができる。
【0075】
本発明の光重合性モノマーを光学レンズ等の光学材料に用いる場合には、本発明の光重合性モノマーは全光重合性モノマー組成中に20〜80質量%の割合で含有されることが好ましく、30〜70質量%の割合で含有された場合に、硬度、耐候性等に優れた樹脂が得られるため特に好ましい。本発明の光重合性モノマーを用いて光学材料樹脂を得る光重合方法としては、特に制限されず、特開平2−268170号公報等に記載の従来公知の方法を採用することができる。
【0076】
本発明に係わる増感色素については、380〜1300nmの波長域において光重合開始剤の分解を増感するものであり、種々のカチオン性色素、アニオン性色素及び電荷を有しない中性の色素としてメロシアニン、クマリン、キサンテン、チオキサンテン、アゾ色素等が使用できる。これらの内で特に好ましい例は、カチオン色素としてのシアニン、カルボシアニン、ヘミシアニン、メチン、ポリメチン、トリアリールメタン、インドリニン、アジン、チアジン、キサンテン、オキサジン、アクリジン、ローダミン、及びアザメチン色素から選ばれる色素である。更に380nm〜410nmの範囲に発振波長を有するバイオレット半導体レーザーに対応する増感色素としてはピリリウム系化合物やチオピリリウム系化合物を含む系が好ましい。本発明に係わる好ましい増感色素の例を以下に示す。
【0077】
【化29】

【0078】
【化30】

【0079】
【化31】

【0080】
【化32】

【0081】
【化33】

【0082】
【化34】

【0083】
上記の増感色素の内で、特に750nm以上の近赤外から赤外光の波長領域の光に感光性を持たせる系に於いては、増感色素としてこうした波長領域に吸収を有する事が必要であり、こうした目的で使用される特に好ましい例を以下に示す。
【0084】
【化35】

【0085】
【化36】

【0086】
本発明の感光性組成物は、バインダーポリマーを含有するのが好ましい。かかるポリマーとしては、アルカリ可溶性のポリマーが好ましく、そのためにはカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として含む重合体であることが好ましい。この場合、共重合体中に於けるカルボキシル基含有モノマーの割合は、共重合体トータル組成100質量%中に対して5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、更に10〜90質量%の範囲が好ましい。これ以下の割合では共重合体がアルカリ水溶液に溶解しない場合がある。
【0087】
本発明に好ましく用いられるバインダーポリマーとしては、側鎖に重合性二重結合を有し、かつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として含む共重合体が特に好ましい。共重合体の側鎖に重合性二重結合を導入するためのモノマーは後述するが、共重合体組成に於ける側鎖に重合性二重結合を有するモノマーの割合として、共重合体トータル組成100質量%中に対して5質量%以上95質量%以下であることが好ましく、10〜95質量%の範囲がより好ましく、更に20〜90質量%の範囲が好ましい。
【0088】
側鎖に重合性二重結合を有する重合体を得るためのモノマーとしては、例えば、ビニル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリルアミド、アリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリルアミド、1−プロペニル−(メタ)アクリレート、β−フェニルビニル−(メタ)アクリレート、α−クロロビニル−(メタ)アクリレート、β−メトキシビニル−(メタ)アクリレート、ビニル−チオ−(メタ)アクリレート等が挙げられ、また、重合性二重結合としてビニルが置換したフェニル基を有する重合体も好ましく用いられる。
【0089】
本発明に好ましく用いられる側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体とは、該フェニル基が直接もしくは連結基を介して主鎖と結合したものであり、連結基としては特に限定されず、任意の基、原子又はそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基は置換可能な基もしくは原子で置換されていても良く、また、前記ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。上記した側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体とは、更に詳細には、下記一般式で表される基を側鎖に有するものである。
【0090】
【化37】

【0091】
式中、Z4は連結基を表し、R41、R42は、水素素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基等を表し、R43は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R44は置換可能な基又は原子を表す。n4は0又は1を表し、m4は0〜4の整数を表し、k4は1〜4の整数を表す。m4が2以上の場合、R44はそれぞれ同じでも異なっていても良い。
【0092】
上記一般式について更に詳細に説明する。Z4の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R45)−、−C(O)−O−、−C(R46)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記化18で表される基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR45及びR46は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していても良い。
【0093】
【化38】

【0094】
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。上記一般式で表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものでは無い。
【0095】
【化39】

【0096】
【化40】

【0097】
【化41】

【0098】
【化42】

【0099】
上記一般式で表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R41及びR42が水素原子でR43が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、連結基としては複素環を含むものが好ましくk4は1〜4の整数、m4は0〜4の整数、n4は0又は1であるものが好ましい。
【0100】
上記のカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
【0101】
本発明に好ましく用いられるバインダーポリマーは、上述したカルボキシル基を有するモノマー及び側鎖に重合性二重結合を有するモノマー以外にも共重合体中に他のモノマー成分を導入して多元共重合体として合成、使用することが出来る。こうした場合に共重合体中に組み込むことが出来るモノマーとして、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを適宜共重合モノマーとして使用することが出来る。これらのモノマーの共重合体中に占める割合としては、先に述べた共重合体組成中に於ける側鎖に重合性二重結合を有するモノマーおよびカルボキシル基含有モノマーの好ましい割合が保たれている限りに於いて任意の割合で導入することが出来る。
【0102】
上記のような重合体の分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量で1000から100万の範囲であることが好ましく、さらに1万から30万の範囲にあることが特に好ましい。
【0103】
本発明に好ましく用いられる側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有し、かつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有する共重合体の例を下記に示す。式中、数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
【0104】
【化43】

【0105】
【化44】

【0106】
【化45】

【0107】
【化46】

【0108】
【化47】

【0109】
上記の例以外のバインダーポリマーの例としてはフェノール性水酸基を有するポリマーが挙げられ、ポリビニルフェノール、フェノール樹脂、ポリヒドロキシベンザール等も用いる事が出来る。
【0110】
上述したバインダーポリマーの感光性組成物における含有比率は、感光性組成物の全組成物に対して10〜90質量%が適当であり、20〜80質量%の範囲が好ましく、特に30〜70質量%の範囲が好ましい。
【0111】
本発明の感光性組成物は、ラジカル発生剤を含有する。ラジカル発生剤としては公知の化合物を用いることができる。例えば、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物およびオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、ヘキサアリールビスイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物、オニウム塩(特開2003−114532号公報に記載のヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩)等が挙げられる。これらのラジカル発生剤の中でも、特に有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物を組み合わせて用いることである。
【0112】
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式で表される。
【0113】
【化48】

【0114】
式中、R51、R52、R53およびR54は各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R51、R52、R53およびR54の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
【0115】
有機ホウ素塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が挙げられるが、好ましくは、オニウム塩であり、例えばテトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。また上述の有機ホウ素アニオンは、前記増感色素のカウンターアニオンであっても良い。
【0116】
【化49】

【0117】
他の好ましいラジカル発生剤として、トリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
【0118】
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
【0119】
【化50】

【0120】
【化51】

【0121】
上述したようなラジカル発生剤の含有量は、増感色素に対して、10〜1000質量%の範囲が好ましく、更に20〜500質量%の範囲が特に好ましい。
【0122】
本発明の感光性組成物は、上述した成分以外にも種々の目的で他の成分を添加することも好ましく行われる。例えば、保存性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミン化合物を添加することが好ましく行われる。
【0123】
感光性組成物を構成する要素として、他に、画像の視認性を高める目的で種々の染料、顔料を添加することや、感光性組成物のブロッキングを防止する目的等で無機物微粒子あるいは有機物微粒子を添加することも好ましく行われる。
【0124】
本発明の感光性組成物は、平版印刷版の感光層として好ましく用いることができる。この場合の感光層自体の厚みは、支持体上に0.5ミクロンから10ミクロンの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、さらに1ミクロンから5ミクロンの範囲であることが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は、公知の種々の塗布方式を用いて支持体上に塗布、乾燥される。支持体については、例えばポリエステルフィルムやポリエチレン被覆紙を使用しても良いが、より好ましい支持体は、研磨され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板である。
【0125】
上記のようにして支持体上に形成された感光層を有する材料を平版印刷版として使用する為には、これに密着露光或いはレーザー走査露光を行い、露光された部分が架橋する事でアルカリ性現像液に対する溶解性が低下する事から、後述するアルカリ性現像液により非露光部を溶出する事でパターン形成が行われる。
【0126】
アルカリ性現像液としては、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアンモニウムハイドロキサイド等のようなアルカリ性化合物を溶解した水性現像液が良好に非露光部を選択的に溶解し、下方の支持体表面を露出出来る為極めて好ましい。更に、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種アルコール類をアルカリ性現像液中に添加する事も好ましく行われる。
【0127】
現像液には更にアニオン性の界面活性剤を含有するのが好ましく、これによって一段と溶出性が改良される。かかるアニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられるが、これらの中でもアルキルナフタレンスルホン酸塩が好ましい。アニオン性界面活性剤の含有量は、現像液1リットル当たり1〜50gの範囲が好ましく、特に3〜30gの範囲が好ましい。
【0128】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、その効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0129】
光重合性モノマー(M−12:メルカプト基残存率10%)の合成
ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)[和光純薬工業(株)製]を8.7g使用し、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−P]11.0gに変更して、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.1g、アセトニトリル50mlを混合し、氷水冷却・攪拌下にトリエチルアミン[ナカライテスク(株)製]7.7gを10分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水冷却下で30分間、その後室温に戻し更に2時間撹拌した。ついでこの反応混合液から溶媒を浴温40℃以下で減圧溜去し、残査にメタノール50mlを加え、室温にて10分間攪拌を行ない、静置後に上澄液をデカンテーションにより除去した。以下この洗浄操作を4回繰り返し、最後に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.02gを加え、浴温35℃以下で、残存溶媒を減圧溜去し、14.2gのM−12(淡黄色油状物)を得た。なおこの光重合性モノマーのメルカプト基残存率は、1H−NMR(TMS/CDCl3)におけるメルカプト基:2.01ppm(t)とビニル基:5.18−5.29ppm(multi)、5.66−5.78ppm(multi)、6.61−6.79ppm(multi)の積分強度比より計算して約10%であった。
【実施例2】
【0130】
光重合性モノマー(M−16:メルカプト基残存率10%)の合成
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)[和光純薬工業(株)製]9.8g、4−クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14]11.0g、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.1g、アセトニトリル50mlを混合し、氷水冷却・攪拌下にトリエチルアミン[ナカライテスク(株)製]7.7gを10分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水冷却下で30分間、その後室温に戻し更に5時間撹拌した。ついでこの反応混合液から溶媒を浴温40℃以下で減圧溜去し、残査にメタノール50mlを加え、室温にて10分間攪拌を行ない、静置後に上澄液をデカンテーションにより除去した。以下この洗浄操作を4回繰り返し、最後に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.02gを加え、浴温35℃以下で、残存溶媒を減圧溜去し、15.8gのM−16(淡黄色油状物)を得た。なおこの光重合性モノマーのメルカプト基残存率は、前述のM−12と同様に計算して約10%であった。
【実施例3】
【0131】
光重合性モノマー(M−17:メルカプト基残存率12%)の合成
ジペンタエリスリトール[東京化成工業(株)製]25.4g、チオグリコール酸[東京化成工業(株)製]55.3g、p−トルエンスルホン酸一水和物[ナカライテスク(株)製]1.5g、トルエン300mlとを混合し、副生する水分を共沸除去しながら、8時間加熱還流を行なった。ついでトルエンを減圧溜去し、残査にクロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−P]76.3g、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.5g、アセトニトリル500mlを加え、更に氷水冷却・攪拌下にトリエチルアミン[ナカライテスク(株)製]60.7gを30分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水冷却下で30分間、その後室温に戻し更に2時間撹拌した。ついでこの反応混合液から溶媒を浴温40℃以下で減圧溜去し、残査にメタノール500mlを加え、室温にて10分間攪拌を行ない、静置後に上澄液をデカンテーションにより除去した。以下この洗浄操作を4回繰り返し、最後に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.1gを加え、浴温35℃以下で、残存溶媒を減圧溜去し、117.2gのM−17(淡黄色油状物)を得た。なおこの光重合性モノマーのメルカプト基残存率は、1H−NMR(TMS/CDCl3)におけるメルカプト基:2.01ppm(t)とビニル基:5.18−5.29ppm(multi)、5.66−5.78ppm(multi)、6.61−6.79ppm(multi)の積分強度比より計算して約12%であった。
【実施例4】
【0132】
光重合性モノマー(M−37:メルカプト基残存率12%)の合成
トリエチレンテトラミン[東京化成工業(株)製]2.19gとトリエチルアミン[ナカライテスク(株)製]6.68gをメタノール30mlに溶解し氷水冷却下撹拌しながら、二硫化炭素[ナカライテスク(株)製]5.02gをメタノール15mlに溶解した溶液を10分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水冷却化で30分間、その後室温に戻し更に1時間撹拌した。得られた黄白色懸濁液に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.2gを加え氷水冷却下撹拌しながら、4−クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14]8.06gを15分間かけて滴下した。滴下終了後、室温にて二時間撹拌を継続した。反応終了後、析出した結晶を濾種し、メタノール及び水で十分に洗浄を繰り返した。これを乾燥し、光重合性モノマー(M−37:メルカプト基残存率12%)を7.3g得た。
【実施例5】
【0133】
光重合性モノマー(M−49:メルカプト基残存率20%)の合成
特願2003−093262号の実施例1記載の中間体(IM−2)1.30g、4−tert−ブチルカテコール[東京化成工業(株)製]0.01g及びメタノール15mlをフラスコに仕込み、室温下で撹拌しながら水酸化カリウム0.53gを水1.5mlに溶解した水溶液を添加した。得られた燈色の均一溶液を、室温下撹拌しながら、4−クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14]0.95gを添加した。添加気55℃で3時間撹拌を継続した。反応終了後、デカンてーションにより上澄みを廃棄し、残差をクロロホルムに溶解、分液ロートに移し、水洗した。有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成し、M−49(メルカプト基残存率20%)をワックス上の淡黄色固体として1.45g得た。
【実施例6】
【0134】
光重合性モノマー(M−91:メルカプト基残存率15%)の合成
特願2003−093262号の実施例6記載の中間体(IM−4)4.89g、4−tert−ブチルカテコール[東京化成工業(株)製]0.05g及びメタノール50gをフラスコに仕込み、室温下で撹拌しながらトリエチルアミン[ナカライテスク(株)製]6.68gを添加した。得られた淡黄色の均一溶液を、室温下撹拌しながら、4−クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14]6.04gを添加した。添加気50℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液に2規定塩酸15ml加えると析晶した。結晶を濾取し、メタノールで洗浄後乾燥してM−91(メルカプト基残存率15%)を淡黄色固体として6.5g得た。
【0135】
[比較例1]
光重合性モノマー(M−12:メルカプト基残存率3%)の合成
ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)[和光純薬工業(株)製]8.7g、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−P]11.5g、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.1g、アセトニトリル50mlを混合し、氷水冷却・攪拌下にトリエチルアミン[ナカライテスク(株)製]7.7gを10分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水冷却下で30分間、その後室温に戻し更に2時間撹拌した。ついでこの反応混合液から溶媒を浴温40℃以下で減圧溜去し、残査にメタノール50mlを加え、室温にて10分間攪拌を行ない、静置後に上澄液をデカンテーションにより除去した。以下この洗浄操作を4回繰り返し、最後に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.02gを加え、浴温35℃以下で、残存溶媒を減圧溜去し、14.2gのM−12(淡黄色油状物)を得たなおこの光重合性モノマーのメルカプト基残存率は、1H−NMR(TMS/CDCl3)におけるメルカプト基:2.01ppm(t)とビニル基:5.18−5.29ppm(multi)、5.66−5.78ppm(multi)、6.61−6.79ppm(multi)の積分強度比より計算して約3%であった。
【0136】
[比較例2]
光重合性モノマー(M−12:メルカプト基残存率50%)の合成
ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)[和光純薬工業(株)製]8.7g、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−P]6.0g、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.1g、アセトニトリル50mlを混合し、氷水冷却・攪拌下にトリエチルアミン[ナカライテスク(株)製]7.7gを10分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水冷却下で30分間、その後室温に戻し更に2時間撹拌した。ついでこの反応混合液から溶媒を浴温40℃以下で減圧溜去し、残査にメタノール50mlを加え、室温にて10分間攪拌を行ない、静置後に上澄液をデカンテーションにより除去した。以下この洗浄操作を4回繰り返し、最後に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.02gを加え、浴温35℃以下で、残存溶媒を減圧溜去し、14.2gのM−12(淡黄色油状物)を得た。なおこの光重合性モノマーのメルカプト基残存率は、1H−NMR(TMS/CDCl3)におけるメルカプト基:2.01ppm(t)とビニル基:5.18−5.29ppm(multi)、5.66−5.78ppm(multi)、6.61−6.79ppm(multi)の積分強度比より計算して約50%であった。
【0137】
[比較例3]
光重合性モノマー(M−37:メルカプト基残存率0%)の合成
トリエチレンテトラミン[東京化成工業(株)製]2.19gとトリエチルアミン[ナカライテスク(株)製]6.68gをメタノール30mlに溶解し氷水冷却下撹拌しながら、二硫化炭素[ナカライテスク(株)製]5.02gをメタノール15mlに溶解した溶液を10分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水冷却化で30分間、その後室温に戻し更に1時間撹拌した。得られた黄白色懸濁液に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]0.2gを加え氷水冷却下撹拌しながら、4−クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14]9.16gを15分間かけて滴下した。滴下終了後、室温にて二時間撹拌を継続した。反応終了後、析出した結晶を濾種し、メタノール及び水で十分に線上を繰り返した。これを乾燥し、光重合性モノマー(M−37:メルカプト基残存率0%)を8.32g得た。
【実施例7】
【0138】
下記組成の感光性組成物の塗液を作製した。次いで該塗液を、厚みが0.24mmの砂目立て処理及び陽極酸化処理を施したアルミニウム板上に、乾燥厚みが2.0μmになるよう塗布し、75℃で5分間乾燥を行い、試料を作製した。サンプル内容を表1に示す。表1中、比較例のモノマーCM−3は特許文献6記載のものである。
<塗液>
バインダー樹脂(前記P−1:質量平均分子量約5万) 6.0質量部
光重合開始剤(前記BC−6) 1.0質量部
光重合開始剤(前記T−4) 0.2質量部
光重合性モノマー(前記本発明のモノマーおよび下記比較モノマー)1.5質量部
増感色素(前記S−39) 0.3質量部
ベーシックブルー7 0.1質量部
1,4−ジオキサン 45.0質量部
【0139】
【化52】

【0140】
【表1】

【0141】
上記で得られた試料の一部を温度35℃、相対湿度80%の部屋に2週間放置し、強制加温経時サンプルを得た。
【0142】
上記で得られた試料の平版印刷版としての印刷性能を評価した。830nmに発光する半導体レーザーを搭載したイメージセッター[大日本スクリーン製造(株)製、PTR−4000]を使用して、2400dpi、ドラム回転速度1000rpm、版面露光エネルギー100mJ/cm2で露光を行った。露光後、自動現像機としてPD912(大日本スクリーン製造(株)製)を用い、下記現像液で30℃で15秒現像処理を行い、続いて下記ガム液を塗布し、ネガ型の平版印刷版を得た。
【0143】
<現像液>
35%アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(花王(株)社製) 30g
25%水酸化テトラアルキルアンモニウム 50g
リン酸 10g
N−エチルエタノールアミン 30g
EDTA2Na 1g
水で 1L
<ガム液>
リン酸1カリウム 10g
アラビアガム 25g
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.5g
EDTA2Na 1g
水で 1L
【0144】
上記方法で得られた版を、50μmのゲージフィルムを敷いてオフセット印刷機[リョービ(株)製;Ryobi560]に取り付け、通常よりも印圧の高い条件でを用いて印刷を行った。使用したインキは[大日本インキ化学工業(株)製;FINE INKニューチャンピオン墨(N)]で湿し水は[(株)日研化学研究所製;アストロマークIIIの1%水溶液]である。その結果を表2に示す。なお表2における耐刷性とは、〜15万枚:○、〜7万枚:△、3万枚以下:×の3段階評価である。更に、上記条件の高温多湿の部屋に放置したサンプルについて同様の条件で現像処理を行い、製版物の溶出性の評価を行った。結果を表2に表す。評価基準は50倍ルーペで非画像部表面を6点観察し、感光層が全く観察されない場合○、1〜2点で感光層が観察された場合△、3点以上で観察された場合を×とする。
【0145】
【表2】

【0146】
表2より分かるように、比較例のモノマーを添加した試料では、高温高湿での保管によって溶出性が悪かったり、耐刷性が悪かったりするが、本発明のモノマーを添加した試料では高温高湿度下の保管でも溶出性が悪くなる事もなく、耐刷も良好である。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の活用例としては、感光性樹脂、印刷版、インキ、塗料、接着剤、架橋剤、光学レンズ材料、光ファイバーコーティング、三次元造形、ホログラフィー記録材料、プリント配線板やIC等の電子材料への応用が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に下記一般式1で表される単位構造を2つ以上有する光重合性モノマー、分子内に下記一般式3で表される単位構造を2つ以上有する光重合性モノマー、一般式5で表される光重合性モノマー及び一般式7で表される光重合性モノマーから選ばれる重合性モノマーであって、該光重合性モノマーの−SHの残存率が5〜45%である事を特徴とする光重合性モノマー。
【化1】

一般式1中、L1は2価の連結基を表し、Aは水素原子又は下記一般式2の構造を表す。
【化2】

一般式2中、L2は2価の連結基を表し、VPはビニル基が置換したフェニル基を表す。
【化3】

一般式3中、A10は水素原子又は下記一般式4の構造を表す。
【化4】

一般式4中、L11は水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子又は原子群からなる2価の連結基を表し、VPはビニル基が置換したフェニル基を表す。n1は0又は1を表す。
【化5】

一般式5中、L21は水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または原子群からなる多価の連結基を表す。A20、A21はそれぞれ水素原子又は下記一般式6の構造を表し、同じでも異なっていても良い。
【化6】

一般式6中、L22は水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または原子群からなる多価の連結基を表す。Y21は、同じであっても異なっていても良く、置換基を有していても良いフェニレン基または−CO−基を表す。n21は0または1を表す。R21、R22、R23は同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表す。
【化7】

一般式7中、A30、A31はそれぞれ水素原子又は下記一般式8の構造を表し、同じでも異なっていても良いR34とR35は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基を表す。更に、R34とR35が組合わさって環構造を形成しても良い。A30とA31はそれぞれ水素原子又は下記一般式8の構造を表し、同じでも異なっていても良い。
【化8】

一般式8中、R31、R32、及びR33はそれぞれR21、R22及びR23と同義である。L31は、それぞれ一般式3におけるL22と同義である。Y31はそれぞれY21と同義である。n31はそれぞれ0または1を表す。
【請求項2】
請求項1の光重合性モノマーを含有する事を特徴とする感光性組成物。
【請求項3】
更に光重合開始剤を含有する請求項2記載の感光性組成物。
【請求項4】
請求項1の光重合性モノマーと光重合開始剤及び380〜1100nmの波長域に於いて増感する増感色素を含有する事を特徴とする請求項2又は請求項3記載の感光性組成物
【請求項5】
支持体上に設けられる感光層に請求項2〜請求項4のいずれかに記載の感光性組成物を利用した事を特徴とする平版印刷版。

【公開番号】特開2007−269891(P2007−269891A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94949(P2006−94949)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】