説明

加工装置および材料加工方法

本発明は、少なくとも1つの高エネルギの加工ビーム(22)、特に電子ビームまたはレーザービームを準備するように形成された、少なくとも1つの加工ヘッド(16)を有する加工装置(10)に関する。この種の加工装置は、工作物(28)において材料を除去するため、あるいは工作物(28)を材料結合で結合するため、特に溶接するために、使用される。本発明によれば、加工ヘッド(16)に、表面走査のために設けられた、光学的な干渉トモグラフとして形成された、少なくとも1つの走査装置(32)が対応づけられていることが提案される。さらに、光学的干渉トモグラフを用いて、工作物の未加工の、加工された、あるいは加工中の表面領域を走査するために、高エネルギの加工ビームを使用しながら、材料を加工する方法が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの高エネルギの加工ビーム、特に電子ビームまたはレーザービームを準備するために形成された、少なくとも1つの加工ヘッドを有する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
市場から知られている加工装置は、除去および/または結合する材料加工を可能にするために、1つまたは複数の加工すべき工作物と加工ヘッドとの間の相対移動を可能にする。加工ヘッドには、高エネルギの加工ビーム、たとえばレーザービームまたは電子ビームのための、統合された、あるいは別に形成されたソースが設けられている。この種の加工装置の典型的な適用分野は、レーザービームを用いて工作物の材料を除去すること、あるいは電子ビームまたはレーザービームを用いてプラスチック部品または金属部品を溶接することである。それぞれ適用分野に応じて、この種の加工プロセスに高い品質要請が課され、それは特に、工作物に対して高エネルギの加工ビームを正確に案内し、かつ工作物における加工結果をコントロールすることも要求する。この目的のために、既知の加工装置に、1つまたは複数のセンサ装置を設けることができ、そのセンサ装置は、光学的(たとえばスプリットビーム方法)および/または電気的(たとえば渦電流方法)および/または音響的(たとえば超音波方法)な測定方法を適用しながら、品質管理に必要な、加工結果の検査を可能にする。
【0003】
既知の測定方法を適用するためのセンサは、高エネルギの加工ビームによって著しい影響を受け、かつ/または加工された表面に対する機械的な接触を必要とするので、加工ビームの加工場所とそれぞれの測定方法が適用される測定箇所との間に最小間隔が維持されなければならない。従って加工ビームのためのプロセス制御は、時間遅延をもってしか行われない。時間遅延は、加工速度および加工場所と測定場所の間の幾何学的間隔から生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、高エネルギの加工ビームによる加工プロセスのための、改良されたプロセスガイドを可能にする、測定装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
測定装置に関して、この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する加工装置によって解決される。
【0006】
本発明の他の形態が、下位請求項の対象である。
【0007】
本発明によれば加工装置は、加工ヘッドに、表面走査のために設けられた、光学的な干渉トモグラフとして形成された、少なくとも1つの走査装置が対応づけられるように、形成されている。
【0008】
光学的な干渉トモグラフというのは、干渉計を用いて干渉特性、従って干渉するための光の能力を利用する測定装置である。この目的のために、広帯域の光源から送出された光ビームが、特に半透明のミラーを有する、ビームスプリット装置を用いて2つのビーム束に分割される。第1のビーム束は、既知の調節可能な長さを有する基準アーム内で案内される。このビーム束は、基準アーム内の終端側で反射され、新たに基準アーム内で案内されて、次に検出器上に結合される。第2のビーム束は、測定すべき表面上へ案内されて、そこで少なくとも部分的に再び干渉トモグラフの方向へ反射される。反射された光は、同様に、干渉トモグラフ内の検出器上へ結合されて、そこで第1のビーム束と干渉するように案内される。検出器によって形成される測定信号から、ビームスプリッタから検出器までの第2のビーム束のための距離がどのような長さであったか、に関する情報を得ることができる。そこから、干渉トモグラフと測定すべき表面との間の間隔を求めることができる。
【0009】
たとえばプレート形状または立方体形状のビームスプリッタの代わりに、2つのビーム束を減結合するために用いられる、2つの分離されたファイバー束を有するファイバーカプラも使用することができる。
【0010】
それぞれ干渉トモグラフの技術的設計に応じて、測定は、時間領域内で(タイムドメイン)あるいは周波数領域内で(周波数ドメイン)、シーケンシャルに(タイムエンコード)あるいは同時に(空間エンコード)行われる。タイムエンコードされる測定において、周波数領域内で測定するための干渉トモグラフを設計するために、それ以外の設計のために設けられた、広帯域の光源の代わりに、可変の波長を有する光源、特に可変波長レーザーが使用される。
【0011】
本発明によれば、光を透過しない表面の表面幾何学配置を接触なしで走査するために、光学的な干渉トモグラフが利用される。それに対して、光を透過しない表面の下方にある構造に関する情報は、本発明に基づく方法においては、獲得されない。
【0012】
表面走査は、1次元、2次元または3次元で行われる。1次元の表面走査は、干渉トモグラフから走査された表面までの間隔を提供する。二次元の表面走査は、表面推移、すなわち走査された表面の線形の表面プロフィールを提供する。3次元の表面走査は、平面的な模写、従って走査された表面の表面リリーフを提供する。
【0013】
表面の走査は、測定ビームを用いて行われ、その測定ビームは干渉トモグラフから送出されて、測定すべき表面において反射される。反射された光は、少なくとも部分的に光学的干渉トモグラフ内へ逆反射されて、基準光ビームと共に検出器上へ案内される。そこで、測定ビームの反射された成分と基準光ビームの間の干渉を用いて、表面幾何学情報が獲得される。
【0014】
光学的干渉トモグラフは、表面の調査すべき空間的幾何学配置について、高い解像度を有している。さらに、高エネルギの加工ビームによって定められる加工場所と、光学的干渉トモグラフによる表面走査が行われる測定場所との間の間隔は、非常に小さく、好ましくは極めてわずかに、選択することができる。従って、加工と表面検出の間に小さい、特に極めてわずかな、時間的ずれしか存在しないので、効果的なプロセス制御を実施することができる。
【0015】
実験によって、光学的干渉トモグラフを用いた表面走査は、一般に高エネルギのプロセス光によって加工する場合に生じる、極めて明るいプロセス光によっては、じゃまされず、あるいはじゃまされたところでたいしたことはない、ということが、明らかにされた。これは、光学的検出器などにおいてプロセス光が本来の測定信号を目立たなくする、他の測定方法に比べて、本質的な利点である。
【0016】
本発明の形態において、走査装置のために設けられた光学的な基準パスが、光学ファイバー内で案内されている。複数の光学素子間でフリービームとして案内される、既知の基準パスにおいては、そのために使用される光学素子の品質と調整に対する高い要請が満たされなければならない。光学ファイバー内で、特にプラスチックファイバーまたはグラスファイバー内で、光学的な基準パスを案内する場合に、基準パスのためのコスト的に好ましい、コンパクトな構造が得られる。
【0017】
他の形態において、基準パスの光学ファイバーは、制御装置によって駆動可能な伸長体上に取り付けられ、特に巻き付けられている。光学的な干渉トモグラフィーを実施するために、基準パスの長さの時間に依存する変化が必要であって、その変化は、光学ファイバーの弾性的な伸長によって実現することができる。この目的のために、基準パスの光学ファイバーが、伸長体上に取り付けられている。伸長体は、好ましくは圧電材料から形成されており、制御電圧の印加によってその体積を変化させ、従って取り付けられた光学ファイバーがその長さにおいて調節される。好ましくは伸長体は、円筒状に形成されて、1層または複数層の光学ファイバーを巻き付けられているので、ファイバーの特に均質な伸長が保証されている。
【0018】
本発明の他の形態において、光学的な基準パスの長さは、測定ビームの出射平面と測定すべき表面との間の間隔が、100mmより大きく、好ましくは250mmより大きく、特に好ましくは500mmより大きく、特に800mmより大きくなることができるように、選択されている。従って、加工すべき、現在加工中の、あるいはすでに加工された表面の幾何学配置を、加工ヘッドの工作物側の端面と工作物との間の作業間隔に適合された間隔で、非接触で検出することが可能である。従って、走査装置によっては、工作物に対する加工ヘッドの位置決めに関して、何ら制限は行われない。その場合に、光学的干渉トモグラフの測定ビームの出射平面は、光学的干渉トモグラフから工作物の方向に送出された測定光がフリービームになる、従ってもはや光学素子を通過しない、平面である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、光学的な基準パスは、その長さにおいて、工作物へ向けられた光学軸に沿った光学的干渉トモグラフの測定領域が、好ましくは少なくとも5mm、特に好ましくは少なくとも8mmになるように、変化される。この目的のために、基準パスが、同様な長さだけ、特に同一の長さだけ、伸長される。すなわち、基準パスが8mm伸長した場合に、走査される表面の深さ情報は、8mmのインターバルで獲得することができる。
【0020】
本発明の他の形態において、走査装置に偏向装置が設けられており、その偏向装置は、測定ビームを走査装置から測定対象へ、そして測定対象からの反射ビームを走査装置内へ偏向させるために形成されている。
【0021】
この偏向装置によって、加工ヘッドと工作物の間の相対運動に関係なく、測定ビームを工作物表面にわたって案内することができる。従ってたとえば、高エネルギの加工ビームが工作物へ当接する当接箇所と、工作物の表面上の測定ビームの測定箇所との間の間隔を、変化させることができる。工作物の表面幾何学配置の検出を可能にするために、さらに、測定対象から反射されたビームが少なくとも部分的に偏向装置によって走査装置内へ結合されるので、測定ビーム用の光学路と反射ビーム用の光学路が等しくなる。
【0022】
本発明の他の形態において、偏向装置は、少なくとも1つの移動可能に形成され、制御装置によって駆動可能なミラーを有している。ミラーは、測定ビームと反射ビームを偏向させるために設けられており、かつ、工作物の表面に対する測定ビームの1次元ないし2次元の相対運動をもたらすために、1つまたは複数の空間方向に揺動することができ、それによって、工作物の表面の線形または平面的な走査が可能になる。本発明の好ましい実施形態において、ミラーはカルダン方式で懸架され、互いに独立して駆動可能な複数の圧電操作部材によって、複数の空間方向に揺動される。
【0023】
本発明の他の形態において、ミラーと測定対象の間の光路内に、F−テータ対物レンズが配置されている。F−テータ対物レンズにおいて、イメージ高さは、入射するパラレルな光束と光学軸が形成する入射角に対して比例する。本発明によれば、F−テータ対物レンズに、ミラーが対応づけられており、そのミラーに測定ビームが次のように、すなわちミラーによってもたらされる測定ビームの揺動が平面内での測定ビームの焦点の線形移動をもたらすように、当接する。それによって、実質的に平坦な表面の正確な走査が可能になる。というのは、測定ビームを走査すべき表面に対して揺動させるのとは異なり、表面から反射される反射ビームの角度依存性が生じないからである。むしろ、測定ビームは、常に同じ方向付けで測定すべき対象上に当接し、同様にしてF−テータ対物レンズとミラーによって干渉トモグラフ内へ逆反射されて、基準光ビームと共に検出器上へ案内される。
【0024】
本発明の他の形態において、走査装置のための照明手段として、光源、特に900nmより大きい、好ましくは1200nmより大きい、特に好ましくは1300nmより大きい波長を有する超光発光ダイオードが設けられている。超光発光ダイオードは、通常、10nmから50nmの干渉長さを有し、メイン波長を中心とする約10nmから25nmの帯域幅を有する光ビームを準備する。
【0025】
本発明の他の形態において、走査装置は加工ヘッド内に、少なくとも1つの光学コンポーネントが加工ビームと測定ビームによって共通に利用可能であるように、統合されている。共通に利用される光学コンポーネントは、好ましくはレンズまたは保護ガラスである。レンズは、特に、工作物と加工ヘッドの間の様々な間隔に適合することを可能にするために、加工ビームと測定ビームを合焦させるために設けることができる。保護ガラスは、加工ヘッドと光学干渉トモグラフの光学システムを保護するために用いられる。保護ガラスには、保護ガラスの汚れおよび/または過熱を防止するために、加工ヘッドに設けられた、保護ガス用の放出器のような装置あるいは温度センサを対応づけることができる。それによって、材料除去によって生じる影響を、走査装置から効果的に遠ざけておくことができる。それはたとえば、溶接箇所に由来し、然るべき保護機構がないと、走査装置の測定精度を損なうことになる、蒸気および/また材料粒子である。
【0026】
本発明の他の形態において、加工ビームの加工平面と測定ビームの走査平面の少なくとも実質的に一致する配置が設けられている。加工ビームによって表面加工する場合に、加工ビームは、焦点が加工すべき表面上に加工ビームが当接する当接点と少なくとも実質的に一致するように、合焦される。本発明によれば、走査装置は同様に、測定光ビームの焦点が加工ビームの焦点と一致するように、合焦される。好ましくは加工ビームと測定光ビームは、共焦点配置を有し、すなわちそれらの焦点が一致する。本発明の特に好ましい形態において、加工ヘッドから出射する加工ビームと走査装置から送出される走査ビームは、同軸に配置されているので、加工ビームによって定められる加工点の、走査装置による測定が可能になる。
【0027】
方法に関して、冒頭で設定された課題は、請求項11の特徴を有する方法によって解決される。本発明によれば、未加工の材料領域が、光学的干渉トモグラフの測定ビームによって走査されて、工作物によって反射された少なくとも1つの反射ビームを用いて表面トポグラフィーの評価が行われる。この種の走査は、たとえば、溶接によって結合すべき溶接間隙の推移を正確に定めることを可能にし、従って加工装置の機械制御によって補償することができる、溶接間隙の推移における誤差を補償するために行うことができる。その場合に補償は、出力密度に関しても、加工ビームの焦点の位置決めに関しても、行うことができる。
【0028】
特に、光学的干渉トモグラフによって走査する際に、加工ビームの軸方向に材料除去が検出された場合に、焦点が軸方向に再案内されるか、あるいは工作物が軸方向に沿って再操作されるようにすることができる。この種の材料除去は、たとえば通常、レーザーボーリングの際に生じる。高エネルギの加工ビームは、通常、予め定めることのできる加工点上に正確に合焦されているので、然るべき再案内なしでは、作業場所の位置変化に基づいて、材料除去の効率の低下が生じる。その場合に焦点の再案内は、たとえば、焦点を形成する、加工ヘッド内に配置されている光学系の焦点の焦点距離の変化によって、かつ/または加工ヘッドの変位によって、もたらすことができる。
【0029】
それに加えて、あるいはその代わりに、本発明に基づく方法においては、高エネルギの加工ビームの作業領域が走査されて、走査によって獲得された情報を用いてプロセスコントロールが実施される。これは、加工ビームを用いて材料を除去する方法、特にレーザー切断においても、材料を結合する方法、特にレーザー溶接においても、かつ生成する方法、特にレーザー肉盛溶接においても、重要である。材料除去においては、作業領域の走査によって直接、材料除去によって所望の表面構造が達成されたか、を確認することができる。特に電子ビーム溶接またはレーザービーム溶接による、材料結合の場合には、加工ビームのための出力密度およびパルス長さのような溶接パラメータの適合によって、熱的に小さい影響において、材料の信頼できる結合を得るために、形成された溶接継目の表面幾何学配置を走査することができる。
【0030】
それに加えて、あるいはその代りに、たとえば、溶接継目の冷却後に、熱的な影響によってもたらされた材料歪みを判定することができるようにし、場合によっては溶接パラメータの適合を実施するために、走査装置を用いて、すでに加工された材料領域を走査することができる。
【0031】
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】工業ロボットを有する、レーザー溶接するための加工装置を図式的に示している。
【図2】加工ヘッド内に統合された干渉トモグラフを図式的に示している。
【図3】加工ヘッドの光路内に配置された、F−テータレンズと揺動ミラーの組合せを図式的に示している。
【図4】ボール工程のための加工ヘッドの使用を図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、実質的に工業ロボット12とレーザー源14および工業ロボット12によって支持される加工ヘッド16から構成される、加工装置10を示している。工業ロボット12は多軸ロボットであって、その多軸ロボットは、工作物28の効果的な加工を保証するために、加工ヘッド16を工作物28に対して種々の空間的位置へ移動させることができる。レーザー源14は、フレキシブルなグラスファイバー導管30によって加工ヘッド16と接続されている。その場合に、レーザー源14から発生されたレーザー光は、加工ヘッド16内に設けられた、図2に詳細に示す光学システム内へ結合される。光学システムから出て、レーザー光は高エネルギの加工ビーム22として工作物28へ向けられる。
【0034】
加工ヘッド16内には、高エネルギの加工ビーム22のための光学システムに加えて、図2に詳細に示す光学的な干渉トモグラフ32が配置されており、その干渉トモグラフは、溶接間隙18および/または溶接継目20の領域内に、溶接工程によって形成される表面構造を求めるために設けられている。定められた加工工程のために、工作物28は、図1に記入された加工方向に摺動され、加工ヘッド16は工業ロボット12によって、工作物28に対して実質的に一定の間隔かつ実質的に垂直の位置に保持される。
【0035】
図2にブロック回路図の形式で図式的に示される加工ヘッド16は、実質的に互いに独立して操作する2つのシステムを有している:
【0036】
第1の光学システムは、レーザー源14によって準備された高エネルギの加工ビーム22を次へ案内するために用いられる。この目的のために、ハウジング40に方向変換装置44が設けられており、その方向変換装置は、グラスファイバー導管30から分離されたレーザービームを直角に方向変換するための方向変換ミラー48を有している。さらに、レーザービームを工作物28の加工場所80上に合焦させるための合焦ブロック50が設けられている。この目的のために、合焦ブロック50は、部分的に凹状に湾曲されたミラー面52を有しており、そのミラー面が入射する拡幅されたレーザービームを合焦させるので、レーザービームが工作物28上に焦点を形成する。
【0037】
さらに、合焦ブロック50には透孔54が設けられており、その透孔が、図2に示すように合焦ブロック50の上方に配置された光学的な干渉トモグラフ32の測定ビーム24の通り抜けを可能にする。さらに透孔54は、工作物28の表面において光学的な干渉トモグラフ32の方向に逆反射された反射光の通り抜けも可能にする。
【0038】
光学的な干渉トモグラフ32は、超光発光ダイオード42を有しており、それは、制御回路34と電気的に接続されており、かつビームスプリッタ56の方向に約1300nmの波長を有する光を放射する。半透明ミラーとして構成されているビームスプリッタ56において、超光発光ダイオード42から送出された光はが、部分的に基準アーム58の方向へ透過される。超光発光ダイオード42から放出された光の他の部分は、ビームスプリッタ56において工作物28の方向へ反射されて、測定アームを形成する。
【0039】
基準アーム58は、グラスファイバー巻線から形成されており、それが、圧電材料から形成された巻き芯60上に取り付けられている。巻き芯60は、電圧の印加によって巻き芯60の所望の伸長とそれに伴って基準アーム58のグラスファイバー巻線の伸長をもたらすために、評価回路36と電気的に接続されている。例として200Hzの周波数と基準アーム58について8mmの伸長によって実施することができる、基準アーム58の長さ変化が、基準アーム58内に結合された、超光発光ダイオード12の光の到達時間を変化させる。
【0040】
基準アーム58内へ結合された光と、工作物28から逆反射された反射ビーム26との相互作用によって、2つの光ビームの干渉、すなわち波長の加算または減算が行われる。その場合に発生する光強度は、評価回路36に接続されているフォトダイオード62によって求めることができる。それぞれその時に存在する基準アーム58の長さと、フォトダイオード62に存在する光強度を知って、光学的な干渉トモグラフィーと工作物28の表面との間の間隔を逆推定することができるので、測定ビーム24が適切に案内される場合に、工作物28の表面プロフィールを求めることができる。
【0041】
溶接工程の間、工作物28への高エネルギの加工ビーム22の作用によって、工作物28で反射されたレーザービームの逆散乱も、熱的な放射によってもたらされる、二次光の送出も行われるが、光学的な干渉トモグラフ32の使用によって、溶接箇所ないし加工場所の領域における表面プロフィールの直接的な決定を実現することができる。工作物28から逆散乱された、加工ビーム22の一次光と加熱された工作物28から送出された二次光は、基準アーム58内へ結合された、超光発光ダイオード42の光との干渉のために必要とされるような、10nmから50nmまでの短い干渉長さで送出される測定光の干渉条件を満たさない。
【0042】
図2に図式的に示すように、高エネルギの加工ビーム22、測定ビーム24および光学的な干渉トモグラフ32内で逆反射された反射光26は、互いに対して同軸に配置されている。高エネルギの加工ビームが工作物28の表面上に有する焦点の大きさを調整するために、高エネルギの加工ビーム22のための光学システム内に、図2に示すように垂直方向にスライド可能な合焦レンズ64が取り付けられており、その合焦レンズは、図示されない操作装置によって駆動される。
【0043】
測定ビーム24は、工作物28の表面の平面的な走査を可能にするために、2つの互いに対して直交して方向づけされた揺動軸を有する揺動ミラーとして形成された、偏向装置70を用いて方向変換することができる。
【0044】
高エネルギの加工ビーム22と光学的な干渉トモグラフ32の光学システム全体を、特に溶接箇所に由来する蒸気や粒子によって発生することがあり得る、望ましくない環境影響から保護するために、加工ヘッド16の下方の端面に、カバーガラス66が取り付けられており、そのカバーガラスは熱的に安定した、光学的に透明な材料から形成されている。カバーガラス66は、場合によってはフィルタコーティングを設けることができ、そのフィルタコーティングは、加工ビーム22、超光発光ダイオード42から送出された測定ビーム24および反射ビーム26の光波長のみを透過する。カバーガラス66には、制御回路34と電気的に接続された温度センサ72が対応づけられており、その温度センサは、カバーガラス66の熱的な過負荷を検出するために用いられる。さらに、溶接浴液に由来する蒸気または溶融粒子の沈積を防止するために、加工ヘッド16に放射パイプ68が取り付けられており、その放射パイプは反射ビーム26と測定ビーム24の光学軸に対して横方向に方向付けされた保護ガス流をカバーガラス66にわたって案内することができる。
【0045】
図3に詳細に示す、図2に示す加工ヘッド16と同一の構造を有する加工ヘッド16に、平坦な揺動ミラー80および光路内において揺動ミラー80と測定対象28との間に配置されたF−テータレンズ配置82が対応づけられている。図2に示す加工ヘッド16とは異なり、図3に示す加工ヘッド16の光学システムは、パラレルビームを放出するように形成されている。揺動ミラー80は、図示されないアクターによって回転軸を中心に揺動することができ、その回転軸は、揺動ミラー80の表面の、測定ビーム側のミラー平面内に配置されて、図3の表示に従って図面平面に対して直交して延びている。加工ヘッド16から出る測定ビーム24は、F−テータレンズ配置82の機能方法を説明するために、パラレルビームとして図示されているが、それぞれF−テータレンズの屈折力に応じて発散するビームとして、あるいは収束するビームとして準備することもできる。
【0046】
測定ビームは、揺動ミラー80上に当接し、それに応じてこの揺動ミラーによって偏向される。異なる角度で、かつ異なる場所においてF−テータレンズ配置82上に当接する測定ビームは、F−テータレンズ配置82の屈折角度によって、合焦された測定ビームへ移行され、そのメインビームは常に、F−テータレンズ配置82の光学軸に対して平行に延びている。図3に示す実施例において、測定対象28の走査すべき表面は、測定ビームの焦平面内に位置する。従って、揺動ミラー80が揺動軸を中心に揺動した場合に、測定対象28の線形の表面領域は常に、測定ビームの変化しない合焦によって走査することができる。揺動ミラー80が、付加的に、上で説明した揺動軸に対して直交する方向に、図面平面に位置する他の揺動軸を中心に揺動可能である場合に、F−テータレンズ配置82が回転対称に形成されていることにより、測定対象28の二次元の表面走査を行うことができる。
【0047】
図4に図式的に示す、ボール工程用の加工ヘッド16の使用において、拡大した詳細図に、孔88内へ進入する加工ビーム22と測定ビーム24が示されている。加工ビーム22は、焦点90上に合焦されている。焦点90は、図4に示す表示においては、孔の底の高さに位置し、従って加工ビーム22によって材料除去が行われる作業場所の位置と一致する。従って加工ビーム22は、最大のエネルギ密度で作業場所へ当接し、最大の効率で材料を除去することができる。
【0048】
材料除去によって作業場所が変位するので、加工ビーム22のための合焦位置制御なしでは、加工ビーム22が合焦を外れて作業場所へ当接するので、エネルギ密度の低下がもたらされる。これを回避するために、測定ビーム24とそれに基づいて求めるべき間隔情報を用いて、加工ヘッド16と作業場所との間の間隔が、焦平面90が常に作業場所の高さにくるように、制御される。間隔を変化させるために、加工ヘッド16および/または工作物を変位させることができる。それに加えて、あるいはその代りに、焦点を形成し、かつ加工ヘッド内に配置されている光学系(図2における合焦レンズ62)によって、焦点を変化させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの高エネルギの加工ビーム(22)である電子ビームまたはレーザービームを準備するように形成された、少なくとも1つの加工ヘッド(16)を有する加工装置(10)において、
加工ヘッド(16)に、光学的な干渉トモグラフ(32)として形成された、表面走査のために設けられた、少なくとも1つの走査装置が対応づけられていることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
走査装置(32)のために設けられた光学的な基準パス(58)が、光学ファイバー内で案内されていることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
基準パス(58)の光学ファイバーが、制御装置(34)によって駆動可能な伸長体(60)上に取り付けられ、特に巻き付けられていることを特徴とする請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
光学的な基準パスの長さが、測定ビーム(24)の出射平面と測定すべき表面(28)との間の間隔が100mmより大きく、好ましくは250mmより大きく、特に好ましくは500mmより大きく、特に800mmより大きくなることができるように、選択されていることを特徴とする請求項2または3に記載の加工装置。
【請求項5】
走査装置(32)に、偏向装置(70)が設けられており、前記偏向装置が、走査装置(32)からの測定ビーム(24)を測定対象(28)へ、そして測定対象(28)から出た反射ビーム(26)を操作装置(32)内へ偏向させるように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項6】
偏向装置(70)が、少なくとも1つの移動可能に懸架されて、制御装置(34)によって駆動可能なミラーを有していることを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
【請求項7】
前記ミラーと測定対象(28)の間の光路内に、F−テータ対物レンズが配置されていることを特徴とする請求項6に記載の加工装置。
【請求項8】
走査装置のための照明手段として、900nmより大きい、好ましくは1200nmより大きい、特に1300nmより大きい波長を有する光源、特に超光発光ダイオード(42)が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項9】
走査装置(32)が加工ヘッド(16)内に次のように、すなわち少なくとも1つの光学コンポーネント(66)が加工ビーム(22)と測定ビーム(24)によって共通に利用可能であるように、統合されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項10】
加工ビーム(22)の加工平面と測定ビーム(24)の走査平面の少なくとも実質的に一致する配置が設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の加工装置。
【請求項11】
高エネルギの加工ビーム(22)と光学的干渉トモグラフ(32)を使用しながら材料を加工する方法であって、次のステップ:
a)光学的干渉トモグラフとして形成された走査装置(32)の測定ビーム(24)によって、未加工の材料領域(18)を走査し、光学的干渉トモグラフ(32)によって求められた、工作物(28)の表面トポグラフィーを、特に加工ビーム(22)の合焦点の位置を制御するために、評価し;かつ/または
b)光学的干渉トモグラフ(32)を用いて、工作物(28)における高エネルギの加工ビーム(22)の作業領域を走査して、高エネルギの加工ビーム(22)のためのプロセスコントロールを実施し;かつ/または
c)光学的干渉トモグラフ(32)によって求められた表面構造を用いて、工作物(28)の表面における加工された材料領域を走査する;
ステップを有する、材料を加工する方法。
【請求項12】
a)に従って光学的干渉トモグラフ(32)によって走査する際に、加工ビーム(22)の軸方向における材料除去が検出された場合に、合焦点が軸方向に再案内されるか、あるいは工作物(28)が軸方向に沿って再調節されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
合焦点の再案内が、合焦点を形成し、かつ加工ヘッド内に配置されている光学系の焦点距離の変化によって、かつ/または加工ヘッドの変位によって、実施されることを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−523336(P2010−523336A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501389(P2010−501389)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001692
【国際公開番号】WO2008/122330
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(507119836)プレシテク オプトロニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】