説明

半導体基板接続ビア

第1導電層(104)とシリケートガラス層(106)の縁部を互いに隣接させて、半導体基板(41)まで延在するビア(164)に沿って延在させる。導電体(114/116)は、ビア(164)を通り延在して、半導体基板(41)と接触する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電気装置には、トランジスタ等の電気部品を形成するために半導体基板を含むことがある。高電圧や連続運転の結果、基板のトランジスタ付近で電荷が蓄積することがあり、それが原因でトランジスタの閾電圧が低下して、基板に寄生横バイポーラトランジスタを形成する可能性がある。蓄積した電荷を基板のトランジスタ付近から引抜くことで、そうした問題を軽減できる。しかしながら、基板と電気的に接続する構造では、製造が一層複雑になり、製造コストがかかり、貴重な空間を占領し、性能が不十分となる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【図1】例示的な実施形態による流体吐出装置を概略的に示す回路図である。
【図2】例示的な実施形態による図1の流体吐出装置の断面図である。
【図3】例示的な実施形態による図1の流体吐出装置においてサブタップを形成するところを概略的に説明する断面図である。
【図4】例示的な実施形態による図1の流体吐出装置においてサブタップを形成するところを概略的に説明する断面図である。
【図5】例示的な実施形態による図1の流体吐出装置においてサブタップを形成するところを概略的に説明する断面図である。
【図6】例示的な実施形態による図1の流体吐出装置においてサブタップを形成するところを概略的に説明する断面図である。
【図7】例示的な実施形態による図1の流体吐出装置のサブタップの別の実施例の平面図である。
【図8】例示的な実施形態による図7の8‐8線に沿ったサブタップの断面図である。
【図9】例示的な実施形態による図7の9‐9線に沿ったサブタップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
図1及び図2では、例示的な実施形態による流体吐出装置20を説明している。図1は、流体吐出装置20の概略図である。以下で記載するように、流体吐出装置20は、半導体基板からの電荷を引抜くためのサブタップ構造を含むが、このサブタップはそれ程複雑ではなく、製造コストが低く、十分な性能を提供できる。
【0004】
図1で概略的に示すように、流体吐出装置20には通常、発射回路26と、発射室28と、発射電圧源30と、アドレス線32と、グランド36と、サブタップ38とを、含む。発射回路26には、基板41で支持し、発射室28に対向する抵抗器を選択的に加熱又は発射させ、それにより発射室28内の流体を部分的に気化させ、強制的に残留流体を発射室28から外に出すように構成した電気部品又は電気素子を備える。図1で概略的に示したように、発射回路26には、薄膜トランジスタ40と抵抗器42とを含む。トランジスタ40には、抵抗器42に接続するドレイン44と、グランド36に接続するソース46と、ゲート誘電体50によってソース46及びドレイン44から離間し、アドレス線32に電気的に接続するゲート48とを、含む。抵抗器42を、ドレイン44と発射電圧源30との間に電気的に接続する。運転中、特定の発射室28から流体を吐出するために、アドレス線32によりゲート48に電荷を供給し、ドレイン44をソース46に電気的に接続する。その結果、発射電圧源30から電流が、グランド36に向けた抵抗器42、即ち加熱抵抗器42を通過して、発射室28から流体を気化及び吐出するように、流れる。
【0005】
サブタップ38には、導電線と、ビアと、コンタクトとを備え、又は構造は、基板41をグランド36に電気的に接続している。サブタップ38により、基板41に蓄積された電荷、特にトランジスタ40周囲に蓄積された電荷を、引抜く。その結果、寄生横バイポーラトランジスタ形成に繋がる可能性があるトランジスタの閾電圧低下を、抑制できる。
【0006】
図2は、流体吐出装置20の例示的な実構造を説明する断面図である。図2で示すように、流体吐出装置20には、基板41と、誘電層100と、導電層102、104と、シリケートガラス層106と、電気抵抗層108と、導電層110と、誘電層112と、導電層114、116と、バリヤ層118と、オリフィス層119とを含む。加えて、概略的に示すように、流体吐出装置20にはまた、発射電圧源30と、アドレス線電圧源32と、グランド36とを含む。
【0007】
基板41は、発射回路26と、発射室28と、サブタップ38とを支持するように構成する1層又は複数の層を備える。特に、基板41には、発射回路26用トランジスタを形成するために、基板41の一部の導電性を高くする一方、他部分の抵抗率を高く保てるように、選択的にドープするよう構成した1つ又は複数の材料を備える。例示的な1実施形態によれば、基板41にはシリコンを含み、シリコン基板全体が、低濃度にドープして、厳密に制御した仕様範囲内の適度な抵抗率を有するようにし、選択した領域を、導電性を高くするために高濃度にドープする(以下に記載する領域120及び122)。他の実施形態では、基板41を他の半導体又は半導電性材料から形成してもよい。
【0008】
図示した実施例では、基板41には、導電性のドープ領域120、122と、ドープ領域120と122との間の低濃度ドープ領域124とを有する。ドープ領域120をソースとし、ドープ領域122(リング形状をした層102のゲート構造体で取囲んだ)をドレインとし、低濃度ドープ領域124を、関連する発射室28に電力を供給するために使用するトランジスタのチャネルとする。
【0009】
誘電層100には、基板41上にパターニングした1層又は複数層の誘電材料を含む。1実施形態では、層100を2段階で形成する。第1段階では、層100をパターニングするが、層100で低濃度ドープ領域124を覆って画定するようにして、層100の下位になる基板41の領域をその後高濃度にドープするのを層100でブロックするようにする。層100のこれらの領域は更に、層102及び104を提供する単一層を次に形成する際に、この層を配置し、整列するのにも役立つ。第2段階では、層102及び104を形成した後、及びドープして領域120及び122を形成した後に、基板41を酸化させて、領域120、122の表面をパッシベーションし、層100の更なる部分を成長させる。
【0010】
図示した実施例では、誘電層100は、サブタップ38及びよりドープした領域120、122に対応する場所を除いて、基板41全体に亘り延在する。誘電層100により、トランジスタチャネルとして機能する低濃度ドープ領域124を、導電層102で提供するトランジスタの上層ゲートから、電気的に分離する。誘電層100を、層102が提供するゲートから発する電界により、低濃度ドープ領域124の導電性が高まるように、十分薄くする。図示した実施例では、誘電層100には、基板41の酸化表面を含む。基板41がシリコンを含む図示した実施形態では、層100にはSiO2を含む。別の実施形態では、層100を別の方法で形成してもよい又は他の誘電材料から形成してもよい。
【0011】
導電層102、104には、1層又は複数層の導電材料を含む。層102、104は、層100の下位部分と自己整合し、次のエッチングが層100の下位部分から離間するのを、妨げる又は防止する。層102は、誘電層100及び低濃度ドープ領域124を被覆し、トランジスタのゲートとして機能する。図示した実施例では、層102、104には、ポリシリコン(多結晶シリコン、ポリシリコン(poly-Si)、又はポリ(poly)としても知られる)を含む。層102及び104(誘電層100上で自己整合した)を、接合領域122、124をドープするのと同じ処理工程で、低導電率にドープする一方で、層102及び104により、同時にドーパントがチャネル領域124とサブタップ領域38に侵入するのを防ぐ。これにより、全ての回路部品を作製するのに使う処理工程数を減らせる。
【0012】
他の実施形態では、層102及び104を、導電性である基板41の下位部分をドープできないように構成した他の材料から形成してもよい。更に別の実施形態では、層102だけを導電性としてもよく、誘電層100を、領域120をドープする際に、基板41をドープできないように構成する1層又は複数層から形成する。他の実施形態では、或は層104を、基板41の下位部分をドープできないように構成する誘電材料を含むようにしてもよい。
【0013】
シリケートガラス層106には、基板41の領域120、層102、層104を被覆する誘電材料製の層を含む。層106は、比較的厚みを持たせ、層106により、基板41の領域120を、層102から、及び抵抗層108と導電層110から電気的に絶縁する。層106はシリケートガラスであるため、層106は、基板41と層102、104全体に容易に堆積、ブランケット被膜できる。特に、リンを添加すると、シリケートガラス形成層106の流動性が高まり、被覆率を向上できる。図示した例示的な実施形態では、シリケートガラス層106を、ポリシリケートガラス(PSG)から形成する。別の実施形態では、層106を、ホウ素リンシリケートガラス(BPSG)等の他の形のシリケートガラスから形成してもよい。
【0014】
抵抗層108には、層106上に堆積した電気抵抗材料の層を、少なくとも発射室28の領域内に備える。層108は、発射電圧源30から電流を伝送する際に熱を発する抵抗器42として機能する。この発射室28の領域内で層108が発した熱により、発射室28内にある流体の一部を蒸発させ、強制的に発射室28内にある残りの流体を吐出させる。図示した実施例では、層108には、タンタルアルミニウム(TaAl)層、即ち共スパッタしたTa原子及びAl原子の単層を備える。他の実施形態では、層108を、他の抵抗材料から形成してもよい。
【0015】
導電層110(第1金属層(metal 1 layer)又は第1金属バス(metal 1 bus)と呼ばれることもある)には、1層又は複数層の導電材料を含み、層には、層108の一部を発射電圧源30に電気的に接続する第1部分126と、層108の第2離間部分をトランジスタ40のドレインとして機能する領域122に電気的に接続する第2部分128と、層102と接触しており、層102をアドレス線電圧源32に電気的に接続する第3部分129と、基板41の領域120(トランジスタ40の電源として機能する)に電気的に接続し、サブタップ38周りに(頁に入る方向に)延在して、領域120を、グランド36に接続するボンドパッド132に電気的に接続する第4部分130と、を含む。層110の領域128を、基板41の領域122と、層108の隣接部分に亘り、層106及び100を通り形成したビア134を通して、電気的接続状態にする。1実施形態では、ビア134を、層106及び100を通して、掘り下げて形成する。図示した実施例では、層110を、アルミニウム層から形成する。1実施形態によれば、層110を、抵抗器42の領域以外、層108と一緒にパターニングする。他の実施形態では、層110を、他の導電材料から形成してもよい。
【0016】
誘電層112は、パッシベーション層と呼ばれることもあるが、この誘電層112には、層110上に延在し、層110の一部を電気的に絶縁又は隔離する誘電材料の層を1層又は複数層備える。図示した実施例では、層112には、領域140、142、144を含む。領域140は、層110を通り延在して、層108と接触し、層110の部分126と部分128とを電気的に分離している。領域142は、層110を通り層106まで延在して、層110の領域129から領域128を電気的に分離している。領域144は、層110を通り層106まで延在して、層110の領域130から領域129を分離している。例示的な1実施形態によれば、誘電層112は、SiC及びSiNの連続した層から成る。他の実施形態では、誘電層112には、他の材料を含んでもよく、誘電層を多く又は少なく有してもよい。
【0017】
導電層114には、導電材料製のパターン層を備える。層114には、領域146及び148を含む。領域146(キャビテーション層と呼ばれることもある)は、発射室28内で層112上で層112と接触し、抵抗器42を形成する層108の部分と対向して、延在する。領域146により、層108及び層112の一部分で形成した抵抗器42を、流体吐出後の発射室28での気泡崩壊による損傷から、保護する。領域148は、層112のビア135を通り延在して、層110の領域130と接触し、層110の領域130とボンドパッド132の層116との間に電気的接続を提供する。図示した実施例では、領域148は更にビアを通り、層112、層106、層104内に延在して、基板41の低濃度ドープ部分と接触して、サブタップ38の一部を提供する。図示した実施例では、層114をタンタルから形成する。他の実施形態では、層114を、タングステン又はモリブデン等他の金属から形成してもよい。
【0018】
層116は、層114の領域148上にパターニングした導電材料の層を備える。層116を、層114と比べて比較的抵抗を低くする。層116でボンドパッド132の表面を形成する。層116は更に、基板41まで延在してサブタップ38を提供する導電層の一部としても機能する。図示した実施例では、層116は金の層を備える。他の実施形態では、層116を、比較的電気抵抗が低い他の導電材料から形成してもよい。実施形態によっては、層116を領域130及び基板41に直接接触させて堆積してもよく、その場合層114の領域148は省略する。
【0019】
層118は、バリヤ層と呼ばれることがあり、層118には、層114の領域146周囲、及び抵抗器42周囲に発射室28を形成するようにパターニングした材料の、1層又は複数層を備える。層119はオリフィスプレートと呼ばれることもあり、層119は、層118上に延在し、発射室28のノズル開口部150を画定するよう構成した1層又は複数層を備える。層118と層119とで一緒に、オリフィス構造152を形成する。オリフィス構造152について2層から形成したように図示したが、オリフィス構造152を代わりに単一層から又は3層以上から形成してもよい。オリフィス構造152を様々なポリマー、エポキシ材料、金属等から形成してもよい。
【0020】
例示的な1実施形態によれば、流体吐出装置28を以下のプロセスで形成してもよい。誘電層100を初めにp型シリコン基板41を含む基板41上に形成する。1実施形態では、層100を酸化成長により形成する。その後、ポリシリコンを含む層102及び104を、単一の連続した層として基板41に亘り層131上に堆積する。1実施形態では、層102及び104を、低圧化学気相成長法(LPCVD)で堆積する。その後、単一の連続した層をパターニング及びエッチングして、層102及び104を形成する。次に、層41をドープして、領域120及び122を形成する。上述したように、層102により領域124のドープを阻止し、一方層104はサブタップ38の下の基板41部分のドープを阻止する。
【0021】
こうしたドープ後、シリケートガラス層106を堆積し、次に固化又は高密度化を行う。1実施形態では、層106を、常圧化学気相成長法(APCVD)で堆積する。図2で示すように、層106の一部をパターニング及びエッチングして、ビア134を形成し、また層104の上面を露出させる。その後、層108及び110を堆積する。1実施形態では、層108及び110を、スパッタリングで堆積する。かかる堆積後、層110及び108の一部を、パターニング及びエッチングして、層106にまで延在して接触する開口部158及び159を形成し、また層110を通り延在し、更に層104を通り延在して基板41に接触する開口部160を形成する。その後、層110の一部をパターニング及びエッチングして、層108にまで延在して接触する開口部156を(領域126と128との間に)形成する。
【0022】
このような開口部又は間隙部を形成した直後に、層112を堆積する。1実施形態では、層112をスパッタリングによって堆積する。図1で示すように、層112の一部を更にパターニング及びエッチングして、層112を通り延在して基板41に接触するビア164を形成する。ビア164は前に形成した開口部160を被覆する。
【0023】
ビア164を形成したら、層114及び116を堆積する。1実施形態では、かかる層をスパッタリングによって堆積する。その後、かかる層をパターニング及びエッチングして、領域140及び142を形成する。上記発射回路26を形成した後に、オリフィス構造152を抵抗器42周囲に形成して、発射室28及びノズル開口部150を形成する。他の実施形態では、かかる層の1層又は複数層を省略或は、1層又は複数層の追加層を加えてもよい。他の実施形態では、このプロセスを変更してもよい。
【0024】
図3〜図6では、サブタップ38(図1で示した)の形成について更に詳細に説明する。図3では、層104を層100上に堆積及びパターニングした後の図1のサブタップ38の領域について、説明している。図3では更に、シリケートガラス層106を堆積及びパターニングして層106に開口部170を形成した後のサブタップ38の領域についても、説明している。
【0025】
図4では、層110を堆積して、層110の一部を除去した後のサブタップ38の領域について説明している。図4で示すように、追加の更なるエッチング又はオーバーエッチング(層110を通る開口部160を形成した後に、追加エッチングを行う)により、層104の一部を更に除去して、開口部170を通して層100を露出させる。かかるエッチング中、層106は、層104を通る開口部172の寸法及び位置を制御することで、ハードマスクとして機能し、該開口部172を開口部170と略整列する。かかるエッチング中に、開口部170の寸法も若干大きくしてもよい。層106はハードマスクとして機能するので、サブタップ38を形成するフォトリソグラフィー工程数を減少できる。その結果、製造時間とコストを削減できる。更に、層106、層104、層100を通る開口部の合わせずれリスクを軽減できる。
【0026】
図4で更に示すように、層110にかかるエッチング(又は、他の除去プロセス)を施して開口部160を形成する間、層110の除去部分によって露出した層106の最上部も除去する。こうした層110のオーバーエッチングにより、層106の厚みを開口部170及び172周囲で減少させる。1実施形態では、かかるオーバーエッチングにより、層106の約1000オングストロームを除去する。その結果、全体的な段差高さH(層106の最上部と基板41との間の高さ)を減少させる。次に堆積する層114及び116の被覆性を向上させて、容易にサブタップ38による電荷の引抜きを向上させ、次なる化学処理工程下で構造的完全性を向上させる。特に、層114及び116の被覆性を向上させることで、次なる化学処理工程で、層114/116が提供する「テント」下に存在するアルミニウム、PSG及び/又はポリシリコン層を侵すのを阻止できる。また、こうして保護を向上することで、腐食性のインク蒸気が層114/116の亀裂やピンホールを通り、アルミニウムとPSGを侵す可能性がある最終的な印字ヘッドに有益である。
【0027】
図5では、層112を堆積して、(フォトリソグラフィーによるパターニング及びエッチング等で)一部を除去した後のサブタップ38の領域について、更に説明している。図5で示すように、層112の一部を除去して、層112を通る開口部173を形成する。層112の露出部分をオーバーエッチングして、層100の露出部分を更に除去して、層100を通る開口部174を形成する。開口部174を、開口部172及び170と略整列させて、基板41まで延在する全開口部176を完成する。ここでもまた、層106を、層100の一部をエッチング及び除去するためのハードマスクとして機能させて、基板41を露出するビア176を形成する。
【0028】
図5で更に示すように、こうした層112の除去又はオーバーエッチング中に、層106の更なる厚みを除去する。1実施形態では、層106の約2000オングストロームの更なる厚みを除去して、サブタップ38を形成するビア176の段差高さHを一層低くする。その結果、次に堆積する層114及び116の被覆性が一層向上して、容易にサブタップ38による電荷の引抜きが向上する。
【0029】
図6では、層114及び116(集合的に第2金属層(metal 2 layer)又は第2金属バス(metal 2 bus)と呼ばれることもある)を堆積した後のサブタップ38の領域について説明している。1実施形態では、層114、116をスパッタリングで堆積する。他の実施形態では、堆積を他の方法で達成してもよい。図6で示すように、例示的な1実施形態によれば、層112を通り層110と接触するビア180を、フォトリソグラフィー及びそれに続くプラズマエッチングにより形成する。その結果、層114、116を、層110に(図2でも示したように、ボンドパッド132下で)電気的に接続する。
【0030】
図6で更に示すように、層114、116は、層112上に層106、104、100の隣接する縁部に沿って延在して、基板41と電気的に接触している。図6で示すように、層110及び層112をオーバーエッチングする間に、層106を除去することで、層114、116(第2金属層)の段差高さが減少する。図示した実施例では、層114/116の段を、少なくとも約3000オングストロームの距離Dだけ層110(第1金属)段より実質的に低くしている。その結果、層114/116の段差被覆性が向上した。
【0031】
全体的に見て、上述したサブタップ38及びサブタップ38を形成する上記プロセスにより、幾つかの利点を提供する。層106がサブタップビアの寸法及び位置を制御するハードマスクとして機能するため、このビアをフォトリソグラフィーで画定するソフトマスクを省略でき、製造コストを削減し時間を短縮できる。また、合わせずれリスクも軽減できる。合わせずれリスクが軽減することで、サブタップ38の配置を一層正確に制御でき、サブタップ38をトランジスタ44に近接して配設できる。これにより、サブタップの有効性(性能)を向上できる一方で、サブタップ38の全表面積も削減できる。
【0032】
また、サブタップ38のビア176周囲の層106部分の厚み(通常、基板41上に形成した電気回路の層の中で最も厚くなる)を、層110及び112をオーバーエッチングする間に侵食するので、段差高さが減少し、接触角を層114、116のビア縁部に沿って減少できる。その結果、層114、116の被覆性が向上し、サブタップ38が基板41から電荷を引抜く能力が高まる。更に、続く化学処理工程下での構造的完全性が向上する。特に、層114及び116の被覆性が向上することで、続く化学処理工程で、層114/116で提供した「テント」下に存在するアルミニウム、PSG及び/又はポリシリコン層を侵すのを阻止できる。また、こうして保護を向上することで、腐食性のインク蒸気が層114/116の亀裂やピンホールを通り、アルミニウムとPSGを侵す可能性がある最終的な印字ヘッドに有益である。
【0033】
図7〜図9では、図1及び図2で示したサブタップ38とは別の実施形態の、流体吐出装置320のサブタップ338について説明している。流体吐出装置320は、流体吐出装置320にサブタップ38の代わりにサブタップ338を含む以外は、流体吐出装置20と略同じである。流体吐出装置320の他の要素は、図1で示したものである。図7は、層114/116無しのサブタップ338領域の平面図である。図8及び図9は、層114、116を含む領域の断面図である。
【0034】
サブタップ338は、該サブタップ338では2つのビアの代わりに1つの長いビアで全構造をカバーして、サブタップ338をよりコンパクトにできる点以外は、サブタップ38と同様である。その代わり、層110の内縁部に沿って、開口部170、172、174で形成するビア176周囲で延在する層112の一部183(図6で示す)を省略して、層114、116が層110の上縁及び側縁部分とビア176周囲で接触するようにする。特に、図7で示したように、層112を通る開口部173(図6で示す)を拡幅して、開口部373を形成する。1実施形態では、開口部373の縁部375を、図6に示したサブタップ38のビア180の外縁181と対応させてもよい。その結果、サブタップ338が占領する表面積又は実質的な空間は、さらに小さくなる。
【0035】
例示的な1実施形態によれば、層110を通る開口部160を、約6(mX8(mとする。層112を通る開口部373を、約6(mX20(mとする。その結果、層110と層114、116が互いに、開口部160の各側に関して面積6(mX6(m上で重なる。サブタップ338の幅は9(m未満に減少しており、名目上約8(mなので、層110の導電性のバスラインの幅も減少でき、貴重な実質的空間を節約できる。
【0036】
図8及び図9で更に示すように、層110及び層112のオーバーエッチング中に、層106の側縁部を拡幅して先細にする。その結果、形状角又は接触角Aを、約90度にするのではなく、75度未満まで減少させる。1実施形態では、接触角を約70度まで減少させる。こうして接触角を減少することで、層104及び106の縁部上への層114、116の被覆性が更に向上して、サブタップ338が基板41から電荷を引抜く能力が向上する。また、図1に示したサブタップ38の接触角は、75度未満で、名目上は約70度である。サブタップ38と同様に、サブタップ338により、位置合わせを向上させ、合わせずれリスクを減少させ、緩やかな段差高さにして、サブタップ38領域に必要な全面積を減少できる。
【0037】
本開示について例示的な実施形態を参照して記述したが、当業者は、請求項に記載した対象の精神及び範囲から逸脱することなく、形状及び詳細について変更を行えるものと理解するであろう。例えば、異なる例示的な実施形態を、1つ又は複数の利益を提供する1つ又は複数の特徴を含むように記述したかも知れないが、記述した特徴は互いに交換できる、或は記述した例示的な実施形態又は他の別の実施形態において、互いに組合せてもよいと、考えられる。本開示の技術は比較的複雑であるため、本技術に関する全ての変更を予見できるというわけではない。例示的な実施形態を参照して記載し、以下の請求項で明記する本開示は、明らかに出来る限り広範なものとする。例えば、具体的に言及しない限り、単一の特定要素を引用する請求項には、複数のかかる特定要素も包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(41)と、
前記基板(41)上の第1導電層(104)と、
前記第1導電層(104)上のシリケートガラス層(106)であって、前記シリケートガラス層(106)と前記第1導電層(104)は隣接する縁部を、前記基板(41)まで延在するビア(164)に沿って有する、前記シリケートガラス層(106)と、
前記シリケートガラス層(106)上の第2導電層(110)と、
前記第2導電層(110)上の誘電層(112)と、
前記誘電層上の第3導電層(114/116)であって、前記第2導電層(110)と電気的に接触しており、前記ビア(164)を通り延在して前記基板(41)と電気的に接触する前記第3導電層(114/116)と、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記半導体基板(41)にはシリコンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1導電層(104)にはポリシリコンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記縁部の形状角度を70度以下とすることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記シリケートガラス層(106)には、前記第2導電層(110)下にあり前記基板(41)から第1距離だけ離間する第1表面と、前記第3導電層(114/116)下にあり前記基板(41)からより短い第2距離だけ離間する第2表面と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1導電層(104)と前記シリコン層との間に第2誘電層(112)を更に備え、前記ビア(164)は前記第2誘電層(112)を通り延在すること、を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
第2導電層(110)にはタンタルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記基板(41)の一部分をドープし、この部分で少なくとも1つのトランジスタを形成することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第3導電層(114/116)には、抵抗部分及び前記抵抗部分上の導電部分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記導電部分を通る前記抵抗部分への開口部(156)と、
前記開口部(156)に対向する流体キャビティ(28)と、
前記流体キャビティ(28)と連通するノズル開口(150)と、
を更に備えることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記誘電層(112)で、前記ビア(164)と近接する前記第2導電層(110)の縁部を被覆することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第3導電層(114/116)により、前記ビア(164)に近接する前記第2導電層(110)の縁部を被覆することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第2導電層(110)には、前記ビア周囲に、前記シリケートガラス層(106)の縁部から外側に離間する縁部を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第2導電層(110)には、前記ビア(164)周囲に、前記第1導電層(104)の縁部から外側に離間する縁部を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第2導電層(110)には、前記ビア(164)周囲に、約9平方ミクロン以下の幅を持つ縁部を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
第1導電層(104)を半導体基板(41)上に形成すること、
前記第1導電層(104)上にシリケートガラス層(106)をパターニングすること、
前記第1導電層(104)を通るビアを、前記パターニングしたシリケートガラス層(106)をハードマスクとして使用して、エッチングすること、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項17】
前記シリケートガラス層(106)上に第2導電層(110)をパターニングすること、を更に含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記導電層(110)をオーバーエッチングして、前記シリケートガラス層(106)の一部分を前記ビア(164)周囲でエッチングすること、を更に含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2導電層(110)上にパッシベーション層(112)をパターニングすることを更に含み、前記パターニングには、前記パッシベーション層(112)をオーバーエッチングして、前記シリケートガラス層(106)を前記ビア(164)周囲でエッチングすることを特徴とする、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−515024(P2011−515024A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548658(P2010−548658)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/055395
【国際公開番号】WO2009/108201
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】