説明

半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

【解決手段】回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードとパッドとの電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止するのに用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
(A)液状エポキシ樹脂
(B)平均粒径が2〜20μmの無機質充填剤
(C)硬化促進剤
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された平均粒径が0.01〜0.1μmである無機質充填材
(E)熱可塑性樹脂粒子
を必須成分とすることを特徴とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
【効果】本発明の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物は、特に形状維持特性、保存安定性に優れており、この封止材を用いた半導体装置は、非常に信頼性の高いものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物及びその硬化物にて樹脂封止された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品を回路基板へ実装した混成集積回路装置が知られている。図5は、この混成集積回路装置における電子部品の実装構造を示した断面図である。この図に示されるように、この混成集積回路装置では、リードJ1が延設された電子部品J2とパッドJ3が備えられた回路基板J4とを用意し、回路基板J4上に電子部品J2を搭載したのち、リードJ1とパッドJ3とがはんだ等の接合材料J5を介して接合されるようになっている。
【0003】
このような混成集積回路装置において、回路基板上の接合材料J5の耐熱性、熱疲労向上のために、特殊な表面処理を実施することで、高温環境下での合金層の成長を押さえ、強度を確保する(例えば特許文献1:特開2003−198116号公報参照)ことが提案されている。
また、リードJ1と回路基板J4の隙間に、従来公知のフリップチップ用アンダーフィル材として使用可能な液状エポキシ樹脂組成物を適用する構造においては、はんだを十分に覆うことができないために信頼性に大きな問題が生じる(特許文献2:特許第3707531号公報)。
【0004】
しかしながら、はんだ接合部の強度確保や寿命の確保のためには、電子部品の端子の表面処理を行ったり、特殊な材料を用いなければならないという問題がある。このため、表面処理を行うという製造工程増加や特殊な材料が必要になるための材料コストの増大により、混成集積回路装置の製造コストが多大になるという問題がある。
【0005】
さらに、近年、はんだ接合材料における鉛(Pb)フリー化が進められていることから、接合材料として鉛フリーはんだを用いた場合、上記のような手法を採用したとしても、高温環境下での強度劣化やはんだ接合寿命の低下を防止できない可能性がある。
【0006】
また、樹脂で覆う構造においては、従来の樹脂材料を用いる場合、樹脂の厚みを確保するためには、樹脂の広がり率を0.1以上とすることが重要であるが、従来の材料では、0.1を安定して得ることは難しく、信頼性の上で大きな問題となっていた。
【0007】
【特許文献1】特開2003−198116号公報
【特許文献2】特許第3707531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、信頼性の高い半導体装置の封止材となり得る液状エポキシ樹脂組成物、及びこの組成物の硬化物で封止された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、回路基板上に表面実装(以下SMDという(SMD:Surface Mount Device))部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドとSMD部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、少なくともリードとパッドとの電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止する第1の構造、或いは少なくともリードと回路基板との間に入り込むように構成された第1樹脂部材と第1樹脂部材の上層に配置されるように構成された第2樹脂部材とで電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止する第2の構造について、上記第1の構造の樹脂部材、第2の構造の第2樹脂部材を下記(A)〜(E)成分を必須成分とする液状エポキシ樹脂組成物の硬化物とすることにより、落下試験や熱衝撃試験など耐久試験に有効で、高信頼性の封止材となること、特に、(C)成分の硬化促進剤として、下記一般式(1)で表される硬化促進剤を用いたものとすることにより、この液状エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止した樹脂部材が、更に落下試験や熱衝撃試験など耐久試験に有効であることを知見した。
なお従来、液状エポキシ樹脂組成物においては、硬化剤として酸無水物が広く用いられている。しかし、酸無水物は吸湿し易いため、硬化前では吸湿による粘度上昇により侵入性がばらついたり途中でとまってしまう現象が見られ、また、未硬化の酸無水物は容易に水を取り込み、硬化後もエステル結合のため加水分解が促進され、吸湿により体積膨張が起こり、リード界面で剥離が発生し抵抗値を増大させてしまうというような信頼性の問題が生じており、そこで本発明者は飽和吸湿量をいかに下げるかが信頼性向上のための重要なファクターの一つと考え、エステル結合よりも加水分解しにくいエポキシ自己縮合(エーテル結合)を持つ樹脂組成物を検討した。この硬化系を用いることによって湿度による特性の劣化、例えば吸水後の接着力低下、吸水後のTg(ガラス転移温度)の低下等を抑えることが可能なものである。
【0010】
従って、本発明は、下記半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供する。
[I] 回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードとパッドとの電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止するのに用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
(A)液状エポキシ樹脂:100質量部
(B)平均粒径が2〜20μmの無機質充填剤:100〜1,000質量部
(C)硬化促進剤:1〜15質量部
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された平均粒径が0.01〜0.1μmである無機質充填材:0.5〜10質量部
(E)熱可塑性樹脂粒子:1〜50質量部
を必須成分とすることを特徴とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
[II] 回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードと回路基板との間に入り込むように構成された第1樹脂部材と第1樹脂部材の上層に配置されるように構成された第2樹脂部材とで電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止するに際し、上記第2樹脂部材に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
(A)液状エポキシ樹脂:100質量部
(B)平均粒径が2〜20μmの無機質充填剤:100〜1,000質量部
(C)硬化促進剤:1〜15質量部
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された平均粒径が0.01〜0.1μmである無機質充填材:0.5〜10質量部
(E)熱可塑性樹脂粒子:1〜50質量部
を必須成分とすることを特徴とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
[III] (C)成分の硬化促進剤が、下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1及びR2は水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基又はフェニル基を示し、R4はメチル基、エチル基、フェニル基又はアリル基を示し、R3は水素原子又は下記式(2)
【化2】

で示される基である。)で表わされる硬化促進剤であることを特徴とする[I]又は[III]記載の液状エポキシ樹脂組成物。
[IV] (E)成分の熱可塑性樹脂粒子が、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブタジエン樹脂、ポリスチレン、又はこれらの共重合体から選択される熱可塑性樹脂であることを特徴とする[I]〜[III]のいずれか1項記載の液状エポキシ樹脂組成物。
[V] (E)成分の熱可塑性樹脂粒子が、ポリスチレン換算の数平均分子量10,000〜100,000及び重量平均分子量100,000〜1,000,000を有することを特徴とする[I]〜[IV]のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
[VI] (E)熱可塑性樹脂粒子の表面が、シランカップリング剤で処理されていることを特徴とする[I]〜[V]のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
[VII] エポキシ樹脂組成物が、樹脂の広がり率が0.1以上であることを特徴とする[I]〜[VI]のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
[VIII] エポキシ樹脂組成物の粘度が、25℃において1,000Pa・s以下であることを特徴とする[I]〜[VII]のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
[IX] 回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードとパッドとの電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止する構造において、上記樹脂部材が[I],[III]〜[VIII]のいずれか1項記載の液状エポキシ樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする半導体装置。
[X] 回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードと回路基板との間に入り込むように構成された第1樹脂部材と第1樹脂部材の上層に配置されるように構成された第2樹脂部材とで電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止する構造において、上記第2樹脂部材が[II]〜[VIII]のいずれか1項記載の液状エポキシ樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物は、特に形状維持特性、保存安定性に優れており、この封止材を用いた半導体装置は、非常に信頼性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物は、
(A)液状エポキシ樹脂
(B)平均粒径が2〜20μmの無機質充填剤
(C)硬化促進剤
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された平均粒径が0.01〜0.1μmである無機質充填材
(E)熱可塑性樹脂粒子
を必須成分とするもので、以下これらの成分について詳しく説明する。
【0013】
[(A)液状エポキシ樹脂]
本発明の半導体装置用封止材(半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物)において、(A)成分の液状のエポキシ樹脂は、一分子中に2個以上のエポキシ基があればいかなるものでも使用可能であるが、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などや下記構造式で示されるエポキシ樹脂が例示される。この中でも室温で液状のエポキシ樹脂を使用する。
【0014】
【化3】

【0015】
上記液状エポキシ樹脂中の全塩素含有量は、1,500ppm以下、望ましくは1,000ppm以下であることが好ましい。また、100℃で50%エポキシ樹脂濃度における20時間での抽出水塩素が10ppm以下であることが好ましい。全塩素含有量が1,500ppmを超え、抽出水塩素が10ppmを超えると、半導体素子の信頼性、特に耐湿性に悪影響を与えるおそれがある。
【0016】
[(B)無機質充填剤]
本発明においては、膨張係数を小さくする目的から、公知の各種無機質充填剤(B)を添加することができる。無機質充填剤として具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミニウム、窒化珪素、マグネシア、マグネシウムシリケートなどが挙げられる。中でも真球状の溶融シリカが低粘度化のため望ましい。
【0017】
無機質充填剤は、樹脂と無機質充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合することが好ましい。このようなカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトシラン等のメルカプトシランなどのシランカップリング剤を用いることが好ましい。ここで表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については、特に制限されるものではない。
【0018】
本発明の組成物を使用する場合、無機質充填剤は、平均粒径が2〜20μmであり、最大粒径が75μm以下、特に50μm以下のものが望ましい。平均粒径が2μm未満では粘度が高くなり、多量に充填できない場合があり、一方、20μmを超えると粗い粒子が多くなり、リード線につまり、ボイドとなるおそれがある。なお、この平均粒径、最大粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置等によって求めることができ、平均粒径は重量平均値(又はメジアン径)等として得ることができる。
【0019】
この場合、(B)無機質充填剤の配合量としては、(A)液状エポキシ樹脂総量100質量部に対して100〜1,000質量部、特に200〜800質量部の範囲が好ましい。100質量部未満では、膨張係数が大きく冷熱試験においてクラックの発生を誘発させる。1,000質量部を超えると、粘度が高くなり、流動性の低下をもたらす。
【0020】
[(C)硬化促進剤]
本発明においては、上記エポキシ樹脂の硬化促進剤(反応促進剤)として、エポキシ樹脂に対する溶解度が1質量%以下で、融点が170℃以上であり、平均粒径が1〜5μm、最大粒径が20μm以下である、下記一般式(1)のイミダゾール化合物を用いることが好ましい。
【0021】
【化4】

(式中、R1及びR2は水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基又はフェニル基を示し、R4はメチル基、エチル基、フェニル基又はアリル基を示し、R3は水素原子又は下記式(2)
【化5】

で示される基である。)
【0022】
具体的に硬化促進剤としては、融点が170℃以上の2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−S−トリアジンイソシアヌール酸付加物、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−アリール−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体が最も適している。
これらイミダゾール誘導体は常温で固体であり、平均粒径が5μm以下、最大粒径が20μm以下のものを使用する。好ましくは平均粒径1〜5μm、特に2〜5μmかつ最大粒径が15μm以下のものである。硬化促進剤の平均粒径が小さすぎると、比表面積が大きくなり、混合した時の粘度が高くなるおそれがある。5μmを超えると、エポキシ樹脂との分散が不均一になり、信頼性の低下を引き起こす場合がある。
【0023】
更に、この硬化促進剤の粒度、比表面積は、無機質充填剤の粒度、比表面積に比べ大きくすることが好ましい。小さいと混合、混練時に硬化促進剤が不均一に分散され、硬化性が悪くなり、信頼性に悪影響を及ぼすおそれがある。例えば、シリカ充填剤が平均粒径1〜3μm、比表面積2.5m2/gの場合、硬化促進剤の平均粒径は3〜5μm、比表面積は2.5〜10m2/gが好ましい。また、純度は、90%以上、好ましくは93%以上であり、90%未満では反応性にばらつきが生じ、硬化性、侵入特性にばらつきが生じるおそれがある。
なお、本発明において、平均粒径は、上述したように、レーザー光回折法等による重量平均値(又はメディアン径)等として求めることができる。
【0024】
上記硬化促進剤の配合量は、(A)液状エポキシ樹脂100質量部に対して1〜15質量部、特に2〜7質量部とすることが好ましい。配合量が少なすぎると硬化性が低下し、多すぎると保存性が低下するおそれがある。
【0025】
[(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された無機質充填材]
本発明においては、形状を維持するに当たり、非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された、平均粒径が0.01〜0.1μmである無機質充填材を用いる。この場合、前記表面処理は、この無機質充填材の分散性を向上させるために行われる。この無機質充填材の平均粒径が0.01μm未満であるとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなるおそれがあり、作業性が著しく悪くなるおそれがある。また、0.1μmを超えると硬化前の封止物の形状維持が困難となるという問題がある。なお、この平均粒径は動的光散乱法/レーザートラップ法により測定することができる。
【0026】
平均粒径が0.01〜0.1μmである無機質充填材としては、例えば、アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300(商品名、日本アエロジル社製)等のフュームドシリカ;ニプシルVN−3−LP(商品名、日本シリカ工業社製)等の湿式シリカ;等のシリカが好適に用いられる。
【0027】
また、非反応性有機ケイ素化合物としては、例えば、CH3Si(OCH33、(CH33SiOCH3、PhSi(OCH33、PhSiCH3(OCH32、{(CH33Si}2NH、CH3CH2Si(OCH33等(なお、前記「Ph」はフェニル基を意味する)が挙げられる。
【0028】
また、前記無機質充填材の表面処理方法としては、前記無機質充填材を予め前記非反応性有機ケイ素化合物を用いて処理しておいてもよく、また、本発明の液状エポキシ樹脂組成物の調製時に前記非反応性有機ケイ素化合物を添加・配合するインテグラルブレンド法によって表面処理をおこなってもよいが、前記非反応性有機ケイ素化合物の使用量を抑制する点から、前者の方法の方が好ましい。
【0029】
この成分の使用量は、(A)成分の液状エポキシ樹脂100質量部に対し、通常、0.5〜10質量部、好ましくは2〜7質量部の範囲とするのがよい。前記使用量が少なすぎると、液状成分のブリードの発生を抑制することが困難となり、また、逆に、多すぎるとチキソ性が高くなり過ぎるため、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、実質上液状のエポキシ樹脂組成物を得ることが困難となるおそれがある。
【0030】
[(E)熱可塑性樹脂粒子]
本発明の組成物は、粒子状の(E)熱可塑性樹脂粒子を含むことを特徴とする。該熱可塑性樹脂は、25℃で固体状である。即ち、保存中及び基板上に塗布される温度において、エポキシ樹脂(A)と相溶された樹脂相を形成しない。該熱可塑性樹脂としては公知の樹脂であってよく、例えばAAS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、各種のフッ素樹脂、各種シリコーン樹脂、ポリアセタール、各種のポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。これらの中でも、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブタジエン樹脂、ポリスチレンもしくはこれらの共重合体が望ましい。或いは、粒子の内核(コア)部と外皮(シェル)部で樹脂が異なるコア・シェル構造のものであっても良い。その場合、コアはシリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はブタジエン樹脂等からなるゴム粒子であり、シェルは線状分子鎖からなる上記各種の熱可塑性樹脂であることが望ましい。
【0031】
(E)熱可塑性樹脂粒子は、略球状、円柱もしくは角柱状、不定形状、破砕状、及び燐片状等であってよく、ダイボンド剤用途には、略球状、及び、鋭角部を有しない不定形状が好ましい。
【0032】
(E)熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は、用途に応じて適宜選択されるが、通常は最大粒径が10μm以下、特に5μm以下であることが望ましく、平均粒径は0.1〜5μm、特に0.1〜2μmであることが望ましい。最大粒径が前記上限値より大きい、或いは平均粒径が5μmより大きい場合は、粒子熱可塑性樹脂の一部が十分に膨潤或いは溶解せずに残り、硬化後の組成物の特性を損なうおそれがある。一方、平均粒径が前記下限値よりも小さい場合、組成物の粘度が大きくなり、作業性が著しく悪くなるおそれがある。なお、粒径の測定は、電子顕微鏡観察により行うことができる。
【0033】
(E)熱可塑性樹脂粒子は、架橋構造を有していてもよい。しかし、熱可塑性樹脂(E)がエポキシ樹脂網目構造中に均一に分散された構造を形成することが好ましいと考えられることから、架橋度は低い方が好ましく、より好ましくは架橋の無い線状分子鎖である。
【0034】
(E)熱可塑性樹脂粒子の分子量は、樹脂の種類に依存して適宜選択される。典型的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000〜10,000,000が好ましく、より好ましくは10,000〜100,000、重量平均分子量が10,000〜100,000,000が好ましく、より好ましくは100,000〜1,000,000である。数平均分子量が上記下限値より小さい、或いは重量平均分子量が上記下限値より小さい場合は、形状維持性が安定的に得られない場合が生じる。一方、数平均分子量が上記上限値より大きい、或いは重量平均分子量が上記上限値より大きい場合は、樹脂粘度が著しく高くなり、作業性が悪くなる可能性がある。
【0035】
(E)熱可塑性樹脂粒子の含有量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して1〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部である。含有量が前記下限値より少ない場合は、形状が維持できなくなる可能性がある。一方含有量が前記上限値よりも多い場合は、粘度が高くなり、作業性が著しく悪くなるおそれがある。
【0036】
(E)熱可塑性樹脂粒子は、表面処理することが好ましい。表面処理は、公知の表面処理剤を用いて公知の方法により行うことができる。表面処理剤としては、シランカップリング剤が好ましく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられ、特にビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好適に使用される。表面処理方法は、湿式処理或いは乾式処理のいずれによってもよい。表面処理に使用するシランカップリング剤の量は、熱可塑性樹脂粒子の表面積にも依存するが、典型的には、熱可塑性樹脂粒子100質量部に対して0.1〜5質量部である。
【0037】
[その他添加剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、応力を低下させる目的でシリコーンゴム、シリコーンオイルや液状のポリブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンよりなる熱可塑性樹脂などを配合してもよい。好ましくは、アルケニル基含有エポキシ樹脂又はフェノール樹脂のアルケニル基と下記平均組成式(3)で示される1分子中の珪素原子の数が20〜400であり、珪素原子に結合する水素原子(SiH基)の数が1〜5であるオルガノポリシロキサンのSiH基との付加反応により得られる共重合体を配合することが好ましい。
a5bSiO(4-a-b)/2 (3)
(但し、式中R5は置換又は非置換の一価の炭化水素基、aは0.01〜0.1、bは1.8〜2.2、1.81≦a+b≦2.3である。)
【0038】
なお、R5の一価炭化水素基としては、炭素数1〜10、特に炭素数1〜8のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、キシリル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などや、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部を塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換したフロロメチル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換一価炭化水素基を挙げることができる。
【0039】
上記共重合体としては、中でも下記構造式(4)のものが望ましい。
【0040】
【化6】

【0041】
上記式(4)中、R5は上記と同じであり、R6は−CH2CH2CH2−、−OCH2−CH(OH)−CH2−O−CH2CH2CH2−又は−O−CH2CH2CH2−であり、R7は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。nは4〜199、好ましくは19〜109の整数、pは1〜10の整数、qは1〜10の整数である。
【0042】
上記共重合体をジオルガノポリシロキサン量が、(A)成分100質量部に対して0〜20質量部、特には2〜15質量部含まれるように配合することで応力をより一層低下させることができ、密着性も向上する。ここで、ジオルガノポリシロキサン量は、下記式で示される。
ポリシロキサン量=(ポリシロキサン部分の分子量/共重合体の分子量)×添加量
【0043】
本発明の封止材には、更に必要に応じ、接着向上用炭素官能性シラン、カーボンブラックなどの顔料、染料、酸化防止剤、表面処理剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど)、その他の添加剤を配合することができる。また、必要により本発明の効果を妨げない範囲で、公知の他の硬化剤、硬化促進剤を配合することができるが、酸無水物硬化剤の使用は避けることが望ましい。
【0044】
[液状エポキシ樹脂組成物の調製等]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、エポキシ樹脂、無機質充填剤などと硬化促進剤を同時に又は別々に必要により加熱処理を加えながら撹拌、溶解、混合、分散させることによって製造することができる。これらの混合物の混合、撹拌、分散等の装置は特に限定されないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0045】
なお、本発明において、封止材として用いる液状エポキシ樹脂組成物の粘度は、上記した成分の種類及び配合量を適宜選定することにより、E型回転粘度計を用いて1rpmの回転数で測定した25℃の粘度で1,000Pa・s以下、特に500Pa・s以下とすることが好ましい。なお、その下限は特に制限されないが、通常10Pa・s以上である。
また、この封止材の成形方法、成形条件は、常法とすることができるが、好ましくは40〜100℃で成形硬化後、150〜180℃で1〜3時間ポストキュアーすることが好ましく、例えば、150℃で1時間以上熱オーブンにてポストキュアーすることが望ましい。ポストキュアーが150℃で1時間未満では十分な硬化物特性が得られない場合がある。
この場合、本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、樹脂の広がりを0.1以上、より好ましくは0.1〜0.5、更に好ましくは0.1〜0.3とすることが好ましい。広がり率が0.1より小さいとはんだ部を十分覆うことがでず、冷熱サイクルにおいてはんだクラックが発生するおそれがある。なお、広がり率は、後述する方法によって測定された値である。
【0046】
ここで、本発明に用いる半導体装置としては、例えば図1〜3に示すものが挙げられる。
この場合、図1は、本発明のエポキシ樹脂組成物による封止が適用された混成集積回路装置における電子部品の実装構造を示す断面図である。また、図2は、混成集積回路装置における電子部品の実装構造の上面図であり、図1の紙面上方から見たときの図に相当する。以下、これらの図を参照して、本発明の樹脂材料を用いた混成集積回路装置における電子部品の実装構造について説明する。
【0047】
図1に示されるように、混成集積回路装置は、回路基板1上に表面実装(以下SMDという(SMD:Surface Mount Device))部品2を搭載したのち、回路基板1内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッド1aとSMD部品2から引き延ばされた複数本のリード2aとが接合材料3を介して電気的に接続されることで構成されている。
【0048】
そして、このような構造において、本発明では、少なくともリード2aとパッド1aとの電気的接合部を覆うように、樹脂部材(上記液状エポキシ樹脂組成物の硬化物)4の封止を備えた構成としているものである。
また、図3は、図1に示した混成集積回路装置において、樹脂部材4が2層構造とされている。具体的には、樹脂部材4が第1樹脂部材4aと第2樹脂部材4bとによって構成されている。第1樹脂部材4aは、複数本のリード2aと回路基板1との間に入り込むように構成されたものであり、第2樹脂部材4bは、第1樹脂部材4aの上層に配置されるように構成されたものである。この場合、本発明の樹脂部材は第2樹脂部材4bとして好適に使用される。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0050】
[実施例、比較例]
下記の成分を表1に示す量で用い、表1に示す成分を3本ロールで均一に混練することにより種々のエポキシ樹脂組成物を得た。これらのエポキシ樹脂組成物を用いて、以下に示す試験を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
(A)液状エポキシ樹脂
RE306:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製)

共重合体:
【化7】

反応性希釈剤PGE:フェニルグリシジルエーテル
【0052】
(B)無機質充填剤
主シリカ:最大粒径53μm以下で、平均粒径7μmの球状シリカ処理シリカ(株式会社龍森製)
【0053】
(C)硬化促進剤
2PHZ−PW:平均粒径4.2μm、最大粒径15μm以下の2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール粉末(四国化成(株)製)
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された無機質充填材
シリカA:{(CH33Si}2NH、CH3CH2Si(OCH33で処理された平均粒径0.008μmの処理シリカ
シリカB:{(CH33Si}2NH、CH3CH2Si(OCH33で処理された平均粒径0.01μmの処理シリカ
シリカC:{(CH33Si}2NH、CH3CH2Si(OCH33で処理された平均粒径0.08μmの処理シリカ
シリカD:{(CH33Si}2NH、CH3CH2Si(OCH33で処理された平均粒径0.12μmの処理シリカ
【0054】
(E)熱可塑性樹脂粒子
熱可塑性粒子A:攪拌羽、滴下漏斗、温度計、還流管を取り付けたフラスコに、粒子状熱可塑性樹脂(ポリメタクリル酸メチル製、数平均分子量500,000、重量平均分子量1,500,000、平均粒径1μm、最大粒径3μm)100gと水900gを入れ、25℃で全体が均一なスラリー状になるまで十分に攪拌した。これとは別に攪拌羽、滴下漏斗、温度計、環流管を取り付けたフラスコに水100gを入れ、攪拌しながらシランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)2gを10分程度で滴下し、更に25℃/2時間で熟成した。このシランカップリング剤水溶液を、粒子状熱可塑性樹脂/水のスラリーに30分程度で滴下し、更に25℃/12時間で熟成した。これから水を除去し、白色粉末にしたもの。
【0055】
その他添加剤
シランカップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403:信越化学工業株式会社製)
試験
[粘度]E型回転粘度計を用いて1rpmの回転数で25℃における粘度を測定した。
[樹脂の広がり率]
樹脂の広がり率の測定方法は、図4に示すようにガラス板11(1mm厚み)に組成物12の0.1gを静置させ、5分後に、事前に120℃に設定されたホットプレート上に、前記板を設置する。次に硬化後、冷却させ、硬化物の高さ(h)と直径(d)を測定する。樹脂の広がり率とは、硬化物の高さと直径の比である(h/d)を意味する。
[曲げ強度、曲げ弾性率] JIS−K−6911による方法
[Tg]:ガラス転移温度
5mm×5mm×15mmの硬化物サンプルを用いてTMA(熱機械分析装置)により5℃/分の速度で昇温した際の値を測定した。
[CTE−1]:Tg以下の膨張係数
[CTE−2]:Tg以上の膨張係数
上記ガラス転移温度の測定において、CTE−1は20〜50℃の温度範囲、CTE−2は200〜230℃の温度範囲における値を求めた。
[保存安定性試験]25℃の恒温室に組成物をポリビンに密閉したサンプルに対し、96時間の粘度変化を測定した。
【0056】
【表1】

【0057】
次に、図1に示した混成集積回路の構造で冷熱サイクル試験を行い、上記実施例、比較例のエポキシ樹脂組成物による耐久性を評価した。結果を表2に示す。
この場合、樹脂部材4は、表1に示す樹脂材料を用い、ディスペンサーにて樹脂を塗布し、100℃×30分間高温にし、樹脂を低粘度化させ、SMDの下部に樹脂を流し込み、接合材料3を覆うようにし、150℃×2時間を硬化させた混成集積回路装置に対し、冷熱耐久試験を実施し、はんだ接合部の信頼性評価を実施した。
【0058】
評価として、樹脂の注入性(接合部のカバレージ性)を評価し、また、冷熱耐久試験は、−40℃/125℃を交互に5分間保持し、これを1サイクルとし、繰り返し実施した後の樹脂クラックの有無を確認し、有意判定を実施した。
【0059】
【表2】

【0060】
また、図3の混成集積回路装置の構造で同様に冷熱サイクル試験を行った。その結果を表3に示す。
この場合、樹脂部材4a,4bは、表1に示す樹脂材料を用い、まず、SMDの下部に樹脂が流し込み易い比較例1の材料をディスペンサーにて塗布し、100℃×30分間高温にし、樹脂を低粘度化させ、SMDの下部に樹脂を流し込んだ。その後、樹脂材料4bをディスペンサーにて樹脂を塗布し、接合材料3を覆うようにし、150℃×2時間を硬化させた混成集積回路装置に対し、冷熱耐久試験を実施し、はんだ接合部の信頼性評価を実施した。
【0061】
評価として、樹脂の注入性(接合部のカバレージ性)を評価し、また冷熱耐久試験は、−40℃/125℃を交互に5分間保持し、これを1サイクルとし、繰り返し実施した後の樹脂クラックの有無を確認し、有意判定を実施した。
【0062】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の混成集積回路装置における電子部品の実装構造の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す混成集積回路装置における電子部品の実装構造の上面図である。
【図3】本発明の混成集積回路装置における電子部品の実装構造の他の例を示す断面図である。
【図4】樹脂の広がり率の測定方法の概略を示す説明図である。
【図5】従来の混成集積回路装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 回路基板
1a パッド
2 表面実装部品
2a リード
3 接合材料
4 樹脂部材(液状エポキシ樹脂組成物の硬化物)
4a 第1樹脂部材
4b 第2樹脂部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードとパッドとの電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止するのに用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
(A)液状エポキシ樹脂:100質量部
(B)平均粒径が2〜20μmの無機質充填剤:100〜1,000質量部
(C)硬化促進剤:1〜15質量部
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された平均粒径が0.01〜0.1μmである無機質充填材:0.5〜10質量部
(E)熱可塑性樹脂粒子:1〜50質量部
を必須成分とすることを特徴とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードと回路基板との間に入り込むように構成された第1樹脂部材と第1樹脂部材の上層に配置されるように構成された第2樹脂部材とで電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止するに際し、上記第2樹脂部材に用いられる液状エポキシ樹脂組成物であって、
(A)液状エポキシ樹脂:100質量部
(B)平均粒径が2〜20μmの無機質充填剤:100〜1,000質量部
(C)硬化促進剤:1〜15質量部
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された平均粒径が0.01〜0.1μmである無機質充填材:0.5〜10質量部
(E)熱可塑性樹脂粒子:1〜50質量部
を必須成分とすることを特徴とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
(C)成分の硬化促進剤が、下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1及びR2は水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基又はフェニル基を示し、R4はメチル基、エチル基、フェニル基又はアリル基を示し、R3は水素原子又は下記式(2)
【化2】

で示される基である。)で表わされる硬化促進剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
(E)成分の熱可塑性樹脂粒子が、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブタジエン樹脂、ポリスチレン、又はこれらの共重合体から選択される熱可塑性樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
(E)成分の熱可塑性樹脂粒子が、ポリスチレン換算の数平均分子量10,000〜100,000及び重量平均分子量100,000〜1,000,000を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
(E)熱可塑性樹脂粒子の表面が、シランカップリング剤で処理されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
エポキシ樹脂組成物が、樹脂の広がり率が0.1以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
エポキシ樹脂組成物の粘度が、25℃において1,000Pa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液状エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードとパッドとの電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止する構造において、上記樹脂部材が請求項1,3乃至8のいずれか1項記載の液状エポキシ樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
回路基板上に表面実装部品を搭載したのち、回路基板内の回路配線に電気的に接続された複数個のパッドと表面実装部品から引き延ばされた複数本のリードとが接合材料を介して電気的に接続されることで構成されている混成集積回路装置において、上記リードと回路基板との間に入り込むように構成された第1樹脂部材と第1樹脂部材の上層に配置されるように構成された第2樹脂部材とで電気的接合部を覆うように樹脂部材で封止する構造において、上記第2樹脂部材が請求項2乃至8のいずれか1項記載の液状エポキシ樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−69291(P2008−69291A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250188(P2006−250188)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】