説明

半導体装置、半導体装置の検査方法、及び、半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の製造工程の増大を抑制しつつ、パッドの針跡を容易に確認できるようにする。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1上に形成された回路素子と、半導体基板1上に形成され、回路素子と電気的に接続されたパッド(接続パッド4)と、を有している。パッドは、平面視において、導体が存在する実体パターン41と、前記導体が存在しない開口パターン42と、を含む所定のパターン形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体装置の検査方法、及び、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の電気的特性検査は、プローブカードなどの探針(プローブ針)の先端を、半導体基板上に形成されたパッドに接触させて行う。
この検査を行うことにより、パッドの上面には、針跡が付く。そして、この針跡の有無によって、半導体装置に対して検査が行われたかどうかの確認が行われる。
【0003】
しかし、パッドに付く針跡は非常に小さいため、外観検査による針跡の有無の確認は容易ではない。パッドはAl或いはAuにより構成される。特許文献1には、パッドがAuにより構成されている場合、パッドの表面がやわらかく探針が接触しても針跡が付きにくいため、針跡の確認が非常に困難である旨の記載がある。
【0004】
このような問題に鑑み、特許文献1の技術では、パッドの上面に着色された導電性の薄膜を形成し、探針が接触すると当該薄膜が部分的に削られるようにしている。特許文献1には、このような構成とすることにより、針跡を容易に視認できるようになる旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−074323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、パッドの上面に着色された導電性の薄膜を形成する必要があるため、半導体装置の製造工程が増え、TAT(Turn Around Time)が増加するとともにコストアップとなる。
【0007】
このように、半導体装置の製造工程の増大を抑制しつつ、パッドの針跡を容易に確認できるようにすることは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された回路素子と、
前記半導体基板上に形成され、前記回路素子と電気的に接続されたパッドと、
を有し、
前記パッドは、平面視において、導体が存在する実体パターンと、前記導体が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されていることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0009】
この半導体装置によれば、パッドは、平面視において、導体が存在する実体パターンと、導体が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されているので、パッドに検査装置の探針を接触させることにより、実体パターンの導体の形状が変形する。すなわち、パッドのパターン形状が変形する(崩れる)。よって、パッドの針跡を容易に確認できる。
また、例えば、パッドの上面に着色された導電性の薄膜を形成するなどの余分な工程が必要ないため、半導体装置の製造工程の増大を抑制することができる。
つまり、半導体装置の製造工程の増大を抑制しつつ、パッドの針跡を容易に確認できるようにすることができる。
【0010】
また、本発明は、半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された回路素子と、
前記半導体基板上に形成され、前記回路素子とは電気的に接続されていないパッドと、
前記パッドとは別に前記半導体基板上に形成され、前記回路素子と電気的に接続された第2パッドと、
を有し、
前記パッドは、平面視において、前記パッドの構成材料が存在する実体パターンと、前記構成材料が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されていることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された回路素子と、
前記半導体基板上に形成され、前記回路素子と電気的に接続されたパッドと、
を有し、
前記パッドは、平面視において、導体が存在する実体パターンと、前記導体が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されている半導体装置を準備する工程と、
前記パッドに検査装置の探針を接触させて、前記パッドを変形させるとともに、前記半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の検査方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された回路素子と、
前記半導体基板上に形成され、前記回路素子とは電気的に接続されていないパッドと、
前記パッドとは別に前記半導体基板上に形成され、前記回路素子と電気的に接続された第2パッドと、
を有し、
前記パッドは、平面視において、前記パッドの構成材料が存在する実体パターンと、前記構成材料が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されている半導体装置を準備する工程と、
前記パッドに検査装置の第1探針を接触させて前記パッドを変形させるとともに、前記第2パッドに前記検査装置の第2探針を接触させて前記半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の検査方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、半導体基板上に回路素子を形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記回路素子と電気的に接続されたパッドを形成する工程と、
前記半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、
を有し、
前記パッドを形成する工程では、前記パッドを、平面視において、導体が存在する実体パターンと、前記導体が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成し、
前記電気的特性検査を行う工程では、前記パッドに検査装置の探針を接触させて、前記パッドを変形させるとともに、前記半導体装置の電気的特性検査を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、半導体基板上に回路素子を形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記回路素子とは電気的に接続されていないパッドを形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記パッドとは別に、前記回路素子と電気的に接続された第2パッドを形成する工程と、
前記半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、
を有し、
前記パッドを形成する工程では、前記パッドを、平面視において、前記パッドの構成材料が存在する実体パターンと、前記構成材料が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成し、
前記電気的特性検査を行う工程では、前記パッドに検査装置の第1探針を接触させて前記パッドを変形させるとともに、前記第2パッドに前記検査装置の第2探針を接触させて前記半導体装置の電気的特性検査を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体装置の製造工程の増大を抑制しつつ、パッドの針跡を容易に確認できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置のパッドの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の電気的特性検査を行う様子を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置のパッドが変形した状態を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る半導体装置のパッドの構成を示す平面図である。
【図5】第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図6】比較例に係る半導体装置のパッドの針跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る半導体装置の接続パッド(パッド)4の構成を示す図である。このうち図1(a)は平面図、図1(b)は正面図(或いは側面図)、図1(c)は図1(a)のA−A線に沿った断面図、図1(d)は図1(a)のB−B線に沿った断面図である。なお、図1(a)においては、接続パッド4の実体パターン41の位置を分かりやすくするために、実体パターン41にハッチングを入れている。
図2は第1の実施形態に係る半導体装置の電気的特性検査を行う様子を示す模式図である。図2において、半導体装置は平面図で表され、検査装置(全体図示略)の探針2は斜視図で表されている。
図3は第1の実施形態に係る半導体装置の接続パッド4が変形した状態を示す図である。このうち図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のC−C線に沿った断面図である。
【0019】
本実施形態に係る半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1上に形成された回路素子3と、半導体基板1上に形成され、回路素子3と電気的に接続された接続パッド4と、を有し、接続パッド4は、平面視において、導体が存在する実体パターン41と、導体が存在しない開口パターン42と、を含む所定のパターン形状に形成されている。換言すれば、接続パッド4には、当該接続パッド4の外形線を最短距離で囲む曲線(例えば、矩形)の内側に、開口パターン42が形成されている。この半導体装置は、例えば、IC(Integrated Circuit)或いはMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)等の集積回路である。以下、詳細に説明する。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1上に形成された複数の回路素子3と、半導体基板1上に形成された複数の接続パッド4と、を有している。各接続パッド4は、それぞれ対応する回路素子3と電気的に接続されている。各接続パッド4は、回路素子3の周囲に配置されている。各接続パッド4の実体パターン41は、例えば、Al、Au或いはその他の金属により構成されている。
【0021】
図1に示すように、接続パッド4は、平面視において、導体が存在する実体パターン41と、導体が存在しない開口パターン42と、を含む所定のパターン形状に形成されている。つまり、接続パッド4は、実体パターン41と開口パターン42とでコントラストが強いパターンとなっている。
なお、このような所定のパターン形状の接続パッド4は、特定の接続パッド4だけであっても良い。所定のパターン形状を有する接続パッド4を何れの接続パッド4とするかは、半導体装置への要求性能、設計思想に応じて任意に設定することができる。例えば、半導体装置が動作している時の電流密度による制約などにより、特定の接続パッド4は所定のパターン形状にはしないようにしても良い。また、所定のパターン形状の接続パッド4をなるべく少なくしたい場合でも、半導体装置の全面に針跡がついていること(針のあたり具合に偏りがないことを)を確認するには、例えば、半導体装置の4隅の接続パッド4を所定のパターン形状にすることが望ましい。
図2の例では、3つの接続パッド4だけが、所定のパターン形状に形成され、その他の接続パッド4は、平面視矩形状に形成され、開口パターン42を有していない。
【0022】
接続パッド4の実体パターン41は、そのすべての箇所が回路素子3と電気的に接続していることが好ましいため、開口パターン42によって実体パターン41が複数部分に分断されてはいない(接続パッド4に孤立した実体パターン41が存在しない)ことが好ましい。
開口パターン42は、例えば、一筆書き形状となっている。接続パッド4の開口パターン42は、例えば、クランク状に蛇行している。接続パッド4は、例えば、平面視における外形形状が矩形状であり、開口パターン42以外の部分が実体パターン41となっている。本実施形態の場合、実体パターン41は、接続パッド4の平面視における外形線を最短距離で囲む曲線(つまり、本実施形態では矩形)に沿った枠状部43を含む。また、開口パターン42は、例えば、規則的に、クランク状に蛇行しており、このため、実体パターン41も規則的なパターンとなっている。
【0023】
次に、第1の実施形態に係る半導体装置の検査方法を説明する。
【0024】
この検査方法は、上述した構成の本実施形態に係る半導体装置の接続パッド4に検査装置の探針2を接触させて、接続パッド4を変形させるとともに、半導体装置の電気的特性検査を行う工程を有する。以下、詳細に説明する。
【0025】
半導体装置の電気的特性検査に用いられる検査装置は、プローブカード或いはソケットなどの検査用治具を有している。図2に示すように、これらの検査用治具は、探針(プローブ針)2を有している。具体的には、検査用治具は、複数の探針2を有し、これら探針2は、半導体装置の各接続パッド4と対応する位置にそれぞれ配置されている。検査の際には、各探針2が、それぞれ対応する接続パッド4に対して接触する。
【0026】
ここで、接続パッド4は、上述したようなパターン形状に形成されているため、接続パッド4の実体パターン41に探針2の先端を接触させることにより、実体パターン41を容易に変形させることができる。探針2は、例えば数十μmの距離だけ接続パッド4上をオーバードライブする(接続パッド4上を擦るように接触する)ため、実体パターン41が容易に変形する。
このため、図3に示すように、接続パッド4のパターン形状が崩れる。
具体的には、例えば、接続パッド4は、当初の規則的なパターンの一部分が崩れることにより、不規則なパターンとなる。或いは、接続パッド4は、当初の規則的なパターンの一部分が崩れることにより、規則的なパターンの部分と、不規則なパターンの部分と、が混在する形状となる。
【0027】
そして、接続パッド4の形状が当初のパターン形状から変形したことを外観検査によって確認することにより、容易に、接続パッド4に探針2が接触したと判定することができる。つまり、接続パッド4の変形箇所を、針跡20として容易に確認することができる。
【0028】
ここで、半導体装置の外観検査は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)などの撮像部を有する外観検査装置を用いて行うことができる。外観検査装置の撮像部(CCD)は、例えば、半導体装置を上方から撮像する。このCCDは入射された光をフォトダイオードで受光し、電気信号に変換することにより、映像を生成することができる。外観検査装置は、あらかじめ記憶した半導体装置のパターン形状と、外観検査時に得られた個々の半導体装置のパターン形状との比較を行い、半導体装置におけるキズや欠けの有無を判別することができる。パターン形状を認識する際に必要となるもののひとつが、そのパターン形状のエッジ部の検出である。例えば、CCDにより検出された光の強弱をデジタル数値化し、その数値が急峻に変化する点をエッジ部と認識し検出することができる。
本実施形態の場合、接続パッド4は、上記のようにコントラストが強いパターン形状であるため、エッジ検出によるパターン認識を容易に行うことができる。
【0029】
また、外観検査を行っても接続パッド4の針跡20を確認できなかった半導体装置は、電気的特性検査が未検査の半導体装置とみなすことができ、例えば、そのような半導体装置を後工程へ流出させないようにすることができる。
なお、昨今は高機能な外観検査装置が開発されているが、本実施形態の半導体装置については、上記のように接続パッド4の針跡20を容易に確認できることから、安価で低機能の外観検査装置を用いた場合でも、未検査の半導体装置を容易に検出することができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0031】
この製造方法は、半導体基板1上に回路素子3を形成する工程と、半導体基板1上に、回路素子3と電気的に接続された接続パッド(パッド)4を形成する工程と、半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、を有し、接続パッド4を形成する工程では、接続パッド4を、平面視において、導体が存在する実体パターン41と、導体が存在しない開口パターン42と、を含む所定のパターン形状に形成し、電気的特性検査を行う工程では、接続パッド4に検査装置の探針2を接触させて、接続パッド4を変形させるとともに、半導体装置の電気的特性検査を行う。以下、詳細に説明する。
【0032】
先ず、半導体基板1上にトランジスタ等の回路素子3を形成する。また、半導体基板1上に回路素子3と電気的に接続された接続パッド4を形成する。これにより、検査前の段階の半導体装置が得られる。
【0033】
ここで、接続パッド4は、例えば、導体を半導体基板1上の全面に形成した後、導体上に所定パターンの開口を有するマスクを形成し、このマスクを介してエッチングを行うことによって、所定のパターン形状に形成することができる。
或いは、接続パッド4は、所定のパターン形状の溝を半導体基板1の表層に形成し、この溝内に導体を埋め込み、溝からはみ出た余剰の導体をCMPなどにより除去することによって、所定のパターン形状に形成することができる。
このため、本実施形態の接続パッド4は、後述する比較例の接続パッド104と同じ工程数で形成することができる。
【0034】
次に、このようにして得られた半導体装置の電気的特性検査を、上述したような、本実施形態に係る検査法方法の要領で行う。この結果、半導体装置の接続パッド4の実体パターン41が変形することで、接続パッド4に針跡20が形成される。
【0035】
その後、半導体装置は、後工程に流されて、例えば、接続パッド4に対するワイヤボンディング等が行われたり、半導体装置のパッケージングが行われたりすることにより、最終製品の半導体装置が製造される。
【0036】
ここで、最終製品の半導体装置においては、上記のような電気的特性検査を行った結果として、接続パッド4に針跡20が形成されている。
【0037】
次に、比較例について説明する。図6は比較例に係る半導体装置の接続パッド104の針跡120を示す図であり、このうち図6(a)は接続パッド104の平面図、図6(b)は接続パッド104に探針2が接触した後の接続パッド104の側断面図である。
【0038】
比較例に係る半導体装置の接続パッド104は、全体が平坦な一般的な形状である。この場合、接続パッド104に探針2が接触しても、図6に示すように、わずかな凹凸しか有しない低コントラストな針跡120が形成されるだけである。このため、CCDによる光の検出結果をデジタル数値化しても、なだらかなデジタル数値変化しか現れず、針跡120を検出することは困難である。また、同様の理由から、顕微鏡を用いた針跡120の確認も困難である。
更に、上面が高精度に平坦な接続パッド104を形成することは難しく、通常、接続パッド104の上面にはわずかな凹凸が存在するため、そのような凹凸の中から、低コントラストな針跡120を抽出することは、尚更難しい。
【0039】
これに対し、以上のような第1の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
接続パッド4は、平面視において、導体が存在する実体パターン41と、導体が存在しない開口パターン42と、を含む所定のパターン形状に形成されている。このため、接続パッド4に探針2を接触させることにより、実体パターン41の導体の形状が変形する。すなわち、接続パッド4のパターン形状が変形する(崩れる)。よって、接続パッド4の針跡を容易に確認できる。
また、例えば、パッドの上面に着色された導電性の薄膜を形成するなどの余分な工程が必要ないため、半導体装置の製造工程の増大を抑制することができる。
つまり、半導体装置の製造工程の増大を抑制しつつ、接続パッド4の針跡を容易に確認できるようにすることができる。
【0040】
〔第2の実施形態〕
図4は第2の実施形態に係る半導体装置の接続パッド4の構成を示す平面図である。このうち図4(a)は探針2が接触される前の接続パッド4の形状を示し、図4(b)は探針2が接触されることにより針跡20が形成された接続パッド4の形状を示す。
【0041】
第2の実施形態に係る半導体装置は、以下に説明する点でのみ上記の第1の実施形態に係る半導体装置と相違し、その他の点では第1の実施形態と同様である。なお、第2の実施形態の場合も、半導体装置の検査方法及び製造方法は、上記の第1の実施形態と同様である。
【0042】
上記の第1の実施形態では、開口パターン42がクランク状に蛇行し、且つ、開口パターン42が一筆書き形状である例を説明したが、第2の実施形態の場合、図4に示すように、開口パターン42は、放射状に形成され、また、開口パターン42は一筆書き形状ではない。開口パターン42の中心は、接続パッド4の中央に位置していることが好ましい。本実施形態の場合、外形が矩形状の接続パッド4の開口パターン42以外の部分は実体パターン41である。このため、本実施形態でも、実体パターン41は、接続パッド4の平面視における外形線を最短距離で囲む曲線に沿った枠状部43を含む。
【0043】
以上のような第2の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他に、以下の効果が得られる。
各探針2のオーバードライブの方向は一様でなく、各探針2の傾斜方向に依存するため、開口パターン42を放射状とすることにより、オーバードライブの方向がどのような方向であっても、より確実に接続パッド4に針跡20が形成されるようにすることができる。よって、オーバードライブの方向にかかわらず、より確実に、針跡20を検出することができる。なお、図4(b)は、オーバードライブの方向が図4(a)の矢印D方向であった場合に形成される針跡20を示している。
【0044】
〔第3の実施形態〕
上記の第1及び第2の実施形態では、回路素子3と電気的に接続されている接続パッド4が、実体パターン41と開口パターン42とを含む所定のパターン形状に形成されている例を説明した。
これに対し、第3の実施形態では、回路素子3と電気的に接続されてはいないパッド、すなわち針跡確認用パッド(図示略)が、上記の第1及び第2の実施形態における接続パッド4と同様の形状に形成されている。すなわち、針跡確認用パッドは、実体パターン及び開口パターンを含む。
第3の実施形態の場合、針跡確認用パッドの他に、回路素子3と電気的に接続されている接続パッド(第2パッド)4を有する。この接続パッド4は、例えば、上記の変形例(図6)の接続パッド104と同様に、全体が平坦に形成されていても良い。
【0045】
すなわち、本実施形態に係る半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1上に形成された回路素子3と、半導体基板1上に形成され、回路素子3とは電気的に接続されていない針跡確認用パッド(パッド)と、針跡確認用パッドとは別に半導体基板1上に形成され、回路素子3と電気的に接続された接続パッド(第2パッド)4と、を有し、針跡確認用パッドは、平面視において、当該針跡確認用パッドの構成材料が存在する実体パターン(実体パターン41と同様の形状の部分)と、当該構成材料が存在しない開口パターン(開口パターン42と同様の形状の部分)と、を含む所定のパターン形状に形成されている。換言すれば、針跡確認用パッドには、当該針跡確認用パッドの外形線を最短距離で囲む曲線(例えば、矩形)の内側に、開口パターンが形成されている。
【0046】
このように、本実施形態に係る半導体装置は、電気的特性検査のために探針2が接触される接続パッド4の他に、ダミーパッドである針跡確認用パッドを有している。この針跡確認用パッドに探針2が接触されることで、針跡確認用パッドには、上記の第1の実施形態で説明した針跡20と同様の針跡(図示略)が形成される。
【0047】
なお、本実施形態の場合も、実体パターンは、第1及び第2の実施形態と同様に導体により構成されていることが好ましく、これにより、容易に実体パターンを変形させることができる。ただし、本実施形態の場合、針跡確認用パッドは、探針2が接触されることによって、針跡(針跡20と同様の変形部分)が形成されれば良く、必ずしも、針跡確認用パッドと探針2とが電気的に接続されなくても良い。このため、針跡確認用パッドの実体パターンは、無機膜或いは有機膜等の絶縁体により構成されていても良い。
【0048】
また、本実施形態に係る半導体装置の検査方法は、上述した構成の本実施形態に係る半導体装置の針跡確認用パッドに検査装置の第1探針(何れか探針2)を接触させて針跡確認用パッドを変形させるとともに、接続パッド4に検査装置の第2探針(何れか他の探針2)を接触させて半導体装置の電気的特性検査を行う工程を有する。
【0049】
このような検査を行うことにより、針跡確認用パッドに針跡が形成される。このため、検査後の外観検査によって、針跡確認用パッドに針跡が形成されているかどうかを確認することによって、半導体装置の検査が行われたか否かを判別することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板1上に回路素子3を形成する工程と、半導体基板1上に、回路素子3と電気的に接続されていない針跡確認用パッド(パッド)を形成する工程と、半導体基板1上に、針跡確認用パッドとは別に、回路素子3と電気的に接続された接続パッド(第2パッド)4を形成する工程と、半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、を有し、針跡確認用パッドを形成する工程では、針跡確認用パッド4を、平面視において、針跡確認用パッドの構成材料が存在する実体パターンと、この構成材料が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成し、電気的特性検査を行う工程では、針跡確認用パッドに検査装置の探針(第1探針)2を接触させて、針跡確認用パッドを変形させるとともに、接続パッド4に検査装置の他の探針(第2探針)2を接触させて半導体装置の電気的特性検査を行う。
【0051】
本実施形態の場合、最終製品の半導体装置においては、上記のような電気的特性検査を行った結果として、針跡確認用パッドに針跡が形成されている。
【0052】
以上のような第3の実施形態によれば、針跡確認用パッドは、平面視において、当該針跡確認用パッドの構成材料が存在する実体パターンと、当該構成材料が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されている。このため、針跡確認用パッドに探針2を接触させることにより、実体パターンの形状が変形する。すなわち、針跡確認用パッドのパターン形状が変形する(崩れる)。よって、針跡確認用パッドの針跡を容易に確認できる。
また、例えば、パッドの上面に着色された導電性の薄膜を形成するなどの余分な工程が必要ないため、半導体装置の製造工程の増大を抑制することができる。
なお、針跡確認用パッドを導体により構成する場合は、接続パッド4を形成するのと同一の工程にて針跡確認用パッドを形成することができる。また、針跡確認用パッドを無機膜等の絶縁体により形成する場合、半導体装置の表層に絶縁体を形成する工程において、針跡確認用パッドも併せて形成することにより、半導体装置の製造工程の増大を抑制することができる。
つまり、半導体装置の製造工程の増大を抑制しつつ、針跡確認用パッドの針跡を容易に確認できるようにすることができる。
【0053】
なお、第3の実施形態の場合も、上記の第1及び第2の実施形態と同様に、接続パッド4が実体パターン41と開口パターン42とを有していても良い。
【0054】
〔第4の実施形態〕
図5は第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す図であり、このうち図5(a)は平面図、図5(b)は断面図である。
【0055】
第4の実施形態では、上記の第1乃至第3の実施形態に係る半導体装置の構成に加えて、半導体基板1上及び接続パッド4上、或いは、半導体基板1上及び針跡確認用パッド上に、絶縁膜(例えば窒化膜)5を形成する。この絶縁膜5によって、半導体装置の表面を保護することができるので、半導体装置の信頼性を向上させることができる。この絶縁膜5には、開口5aが形成され、この開口5aを介して、接続パッド4、或いは、針跡確認用パッドが露出している。この開口5aは、実体パターン41と開口パターン42との境界部を露出させている。これにより、本実施形態でも、上記の各実施形態と同様に、パターンの変形の有無の確認による針跡の確認が可能である。
【0056】
なお、上記の各実施形態では、半導体装置が複数の回路素子3を有し、且つ、複数の接続パッド4を有している例を説明したが、半導体装置が有する回路素子3及び接続パッド4の数が、それぞれ単数(1つのみ)であっても良い。
【0057】
また、上記の各実施形態では、開口パターン42がクランク状に蛇行している例や、放射状に形成されている例を説明したが、開口パターン42はその他の形状であっても良い。例えば、開口パターン42を螺旋状に形成しても、任意の方向にオーバードライブさせたときに、容易に針跡20が形成されるようにすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 半導体基板
2 探針
3 回路素子
4 接続パッド
5 絶縁膜
5a 開口
20 針跡
41 実体パターン
42 開口パターン
43 枠状部
104 接続パッド
120 針跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された回路素子と、
前記半導体基板上に形成され、前記回路素子と電気的に接続されたパッドと、
を有し、
前記パッドは、平面視において、導体が存在する実体パターンと、前記導体が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された回路素子と、
前記半導体基板上に形成され、前記回路素子とは電気的に接続されていないパッドと、
前記パッドとは別に前記半導体基板上に形成され、前記回路素子と電気的に接続された第2パッドと、
を有し、
前記パッドは、平面視において、前記パッドの構成材料が存在する実体パターンと、前記構成材料が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記パッドは、前記開口パターンによって前記実体パターンが複数部分に分断されてはいないことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記開口パターンはクランク状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記開口パターンは蛇行形状であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記開口パターンが放射状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された回路素子と、
前記半導体基板上に形成され、前記回路素子と電気的に接続されたパッドと、
を有し、
前記パッドは、平面視において、導体が存在する実体パターンと、前記導体が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されている半導体装置を準備する工程と、
前記パッドに検査装置の探針を接触させて、前記パッドを変形させるとともに、前記半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項8】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された回路素子と、
前記半導体基板上に形成され、前記回路素子とは電気的に接続されていないパッドと、
前記パッドとは別に前記半導体基板上に形成され、前記回路素子と電気的に接続された第2パッドと、
を有し、
前記パッドは、平面視において、前記パッドの構成材料が存在する実体パターンと、前記構成材料が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成されている半導体装置を準備する工程と、
前記パッドに検査装置の第1探針を接触させて前記パッドを変形させるとともに、前記第2パッドに前記検査装置の第2探針を接触させて前記半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項9】
半導体基板上に回路素子を形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記回路素子と電気的に接続されたパッドを形成する工程と、
前記半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、
を有し、
前記パッドを形成する工程では、前記パッドを、平面視において、導体が存在する実体パターンと、前記導体が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成し、
前記電気的特性検査を行う工程では、前記パッドに検査装置の探針を接触させて、前記パッドを変形させるとともに、前記半導体装置の電気的特性検査を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板上に回路素子を形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記回路素子とは電気的に接続されていないパッドを形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記パッドとは別に、前記回路素子と電気的に接続された第2パッドを形成する工程と、
前記半導体装置の電気的特性検査を行う工程と、
を有し、
前記パッドを形成する工程では、前記パッドを、平面視において、前記パッドの構成材料が存在する実体パターンと、前記構成材料が存在しない開口パターンと、を含む所定のパターン形状に形成し、
前記電気的特性検査を行う工程では、前記パッドに検査装置の第1探針を接触させて前記パッドを変形させるとともに、前記第2パッドに前記検査装置の第2探針を接触させて前記半導体装置の電気的特性検査を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138393(P2012−138393A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287818(P2010−287818)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】