説明

半導体装置およびその製造方法ならびに半導体ウエハ

【課題】ダイシングブレードの寿命を延ばすことができるとともに、半導体装置のエッジ部へのダメージを低減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】機能素子領域2においては、第3層間絶縁膜27表面とパッシベーション膜33との間には、下配線25に接続される上配線29およびキャップメタル層32が形成されている。下配線25はCu以外の配線材料からなり、上配線29はCuからなる。このキャップメタル層32におけるパッシベーション膜33のパッド開口34から露出した部分が第1パッド6である。一方、スクライブ領域3においては、第3層間絶縁膜27表面とパッシベーション膜33との間には、下配線25に接続されるキャップメタル層32が形成されている。このキャップメタル層32におけるパッシベーション膜33のパッド開口44から露出した部分が第2パッド10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置およびその製造方法ならびに半導体ウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハプロセス後の半導体ウエハは、複数の機能素子領域と、各機能素子領域を取り囲むように形成されたスクライブ領域とを有している。各機能素子領域には、半導体装置の機能を担う、トランジスタその他の機能素子と、機能素子に接続されたパッドが形成されている。半導体ウエハは、スクライブ領域に設定された切断予定線に沿って切断される。これにより、機能素子領域を含む個々の半導体装置(チップ)が切り出される。
【0003】
ウエハプロセスにおいて、スクライブ領域に、プロセスコントロールモジュール(PCM:Process Control Module)が作り込まれる場合がある。PCMは、たとえば、トランジスタ、キャパシタ、抵抗等の検査素子と、検査素子に接続されたパッドとを含む。これらの検査素子は、機能素子領域内の製造プロセスが完全であることを保証するために、検査装置に接続して、その特性が測定される。スクライブ領域に作り込まれたPCMが所期の特性を有していれば、機能素子領域内の機能素子を作成するための製造プロセスが完全であることを保証できる。検査は、パッドに針当てして行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−116844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の半導体装置においては、機能素子領域に形成される機能素子用のパッドの構造と、スクライブ領域に形成される検査素子用のパッドの構造とは、同じである。
一方、半導体装置の配線材料には、従来からアルミニウムが用いられてきたが、配線抵抗を低減するために、より導電性の高い配線材料である銅を用いることが提案されている。とくに、本願の発明者は、最上層配線に銅の厚膜を用いる構造を検討している。
【0006】
最上層配線に銅の厚膜を用いる半導体装置においては、機能素子領域におけるパッドは、表面保護膜から銅配線の一部を露出させることによって形成されることになる。本願の発明者は、従来からの技術常識に従って、スクライブ領域のパッドにも同構造を適用したところ、個々の半導体装置を切り出すためのダイシングがうまくいかないという新たな課題が生じることを発見した。
【0007】
具体的には、配線材料の銅によってダイシングブレード(たとえばダイヤモンドブレード)が目詰まりし、歯が損傷してしまうから、ダイシングブレードの寿命が短くなる。しかも、歯に損傷を受けたダイシングブレードによる半導体ウエハの切断面は、滑らかな切断面にならない。そのため、切り出された半導体装置は、エッジ部にダメージを有している。
【0008】
この発明の目的は、半導体装置の最上層配線に銅の厚膜が用いられる場合に、ダイシングブレードの寿命を延ばすことができるとともに、半導体装置のエッジ部へのダメージを低減できる半導体装置およびその製造方法ならびに半導体ウエハを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の半導体装置は、層間絶縁膜上に突出して形成され、銅を主成分とする配線材料からなる最上層配線と、前記層間絶縁膜の下層に形成され、銅以外の配線材料からなる下地配線層と、前記最上層配線および前記層間絶縁膜を覆う表面保護膜と、前記最上層配線上で前記表面保護膜を開口して形成した第1パッドと、前記最上層配線が形成されていない領域において、前記下地配線層上で前記層間絶縁膜および前記表面保護膜を開口して形成した第2パッドとを含む(請求項1)。
【0010】
この構成によれば、第1パッドと第2パッドとを使い分けることが可能となる。たとえば、第1パッドを最終製品で使用される電極とし、第2パッドを最終製品では使用しない電極とすることができる。たとえば、第2パッドは、半導体装置の製造工程において検査用電極として用いられてもよい。より具体的には、製造工程において、検査針を第2パッドに当てて、製品または半製品の検査を行うことができる。したがって、第1パッドを傷付けることなく製品または半製品を検査できる。さらに具体的には、第2パッドをPCMのための電極(端子)として用いることができる。
【0011】
第2パッドをPCMのための電極として用いる場合には、第2パッドはスクライブ領域に配置されることになる。この発明では、第2パッドは、銅以外の配線材料の下地配線層上に層間絶縁膜および表面保護膜を開口して形成されている。そのため、半導体ウエハのスクライブ領域上の第2パッドがダイシングブレードによって切断されたとしても、ダイシングブレードは銅を主成分とする膜を切断しない。したがって、ダイシングブレードに目詰まりが生じたり、ダイシングブレードが損傷したりしにくくなる。これにより、ダイシングブレードの寿命を延ばすことができる。また、ダイシングブレードの損傷を抑制できるので、半導体ウエハの切断を良好に行える。これにより、半導体装置のエッジ部へのダメージを低減できる。
【0012】
この発明の一実施形態においては、前記半導体装置は、当該半導体装置の機能を担う機能素子が形成された機能素子領域と、前記機能素子領域の周囲に配置されたスクライブ領域とを含む。そして、前記第1パッドが前記機能素子領域に配置されており、前記第2パッドが前記スクライブ領域に配置されている(請求項2)。
当該半導体装置が切り出される前の半導体ウエハのスクライブ領域に第2パッドが配置されている。そして、この半導体ウエハがスクライブ領域に設定された切断線に沿ってダイシングブレードによって切断される。これによって、当該半導体装置が切り出される。切り出された当該半導体装置の周囲にはスクライブ領域が残っており、このスクライブ領域に第2パッドが配置されている。第2パッドは、銅以外の配線材料の下地配線層上に層間絶縁膜および表面保護膜を開口して形成されている。したがって、半導体ウエハから当該半導体装置が切り出される際に、スクライブ領域上の第2パッドがダイシングブレードによって切断されたとしても、ダイシングブレードに目詰まりが生じたり、ダイシングブレードが損傷したりしにくくなる。これにより、ダイシングブレードの寿命を長くでき、かつ、半導体装置のエッジのダメージを抑制できる。
【0013】
前記スクライブ領域に前記第1パッドが存在しないことが好ましい(請求項3)。この構成により、半導体ウエハから半導体装置を切り出すときに、第1パッドの部分の銅を主成分とする最上層配線がダイシングブレードによって切断されることを回避できる。これにより、ダイシングブレードの寿命を長くでき、かつ、半導体装置のエッジ部のダメージを低減できる。
【0014】
前記スクライブ領域に銅を主成分とする膜が存在しないことが好ましい(請求項4)。この構成により、半導体ウエハから半導体装置を切り出すときに、銅を主成分とする膜がダイシングブレードによって切断されることを回避できる。これにより、ダイシングブレードの寿命を長くでき、かつ、半導体装置のエッジ部のダメージを低減できる。
前記半導体装置のエッジ部に銅を主成分とする膜が存在しないことが好ましい(請求項5)。半導体装置のエッジ部に銅を主成分とする膜が存在しなければ、半導体ウエハから当該半導体装置が切り出される際に、ダイシングブレードが当該膜を切断しなくてもよい。したがって、ダイシングブレードの寿命を長くでき、かつ、半導体装置のエッジ部のダメージを低減できる。
【0015】
この発明の半導体ウエハは、半導体装置の機能を担う機能素子が形成される複数の機能素子領域と、前記機能素子領域を取り囲むように形成され、個別の半導体装置を切り出すための切断予定線を含むスクライブ領域と、層間絶縁膜上に突出して形成され、銅を主成分とする配線材料からなる最上層配線と、前記層間絶縁膜の下層に形成され、銅以外の配線材料からなる下地配線層と、前記最上層配線および前記層間絶縁膜を覆う表面保護膜と、前記機能素子領域において、前記最上層配線上で前記表面保護膜を開口して形成した第1パッドと、前記スクライブ領域において、前記下地配線層上で前記層間絶縁膜および前記表面保護膜を開口して形成した第2パッドとを含む(請求項6)。
【0016】
この半導体ウエハは、そのスクライブ領域に設定された切断予定線に沿って切断される。これにより、個別の半導体装置が切り出される。スクライブ領域には第2パッドが形成されているので、当該半導体ウエハから個別の半導体装置が切り出される際に、第2パッドがダイシングブレードによって切断される場合がある。そこで、この発明では、第2パッドは、下地配線層上で層間絶縁膜および表面保護膜を開口して形成されている。そのため、第2パッドがダイシングブレードによって切断されたとしても、ダイシングブレードは銅を主成分とする膜を切断しない。したがって、ダイシングブレードに目詰まりが生じたり、ダイシングブレードが損傷したりしにくくなる。これにより、ダイシングブレードの寿命を延ばすことができる。また、ダイシングブレードの損傷を抑制できるので、半導体ウエハの切断を良好に行える。これにより、半導体装置のエッジ部へのダメージを低減できる。
【0017】
前記第1パッドが、前記スクライブ領域に存在しないことが好ましい(請求項7)。この構成により、半導体ウエハから半導体装置を切り出すときに、第1パッドの部分の銅を主成分とする最上層配線がダイシングブレードによって切断されることを回避できる。これにより、ダイシングブレードの寿命を長くでき、かつ、半導体装置のエッジ部のダメージを低減できる。
【0018】
この発明の一実施形態においては、前記スクライブ領域に形成され、前記第2パッドに接続され、前記半導体ウエハの特性を検査するための検査素子をさらに含む(請求項8)。この実施形態によれば、第2パッドを検査装置に接続することにより、半導体ウエハの特性を検査することができる。
また、この発明の一実施形態においては、前記検査素子は、銅を主成分とする配線材料からなる検査パターン配線をさらに含み、前記検査パターン配線が、前記切断予定線に沿って前記半導体ウエハを切断するダイシングブレードが通る帯状領域内に形成されている(請求項9)。ダイシングブレードは、一対の主面と周端面とを有する円板形状に形成されている。ダイシングブレードの周端面に、切断歯部が形成されている。この切断歯部(周端面)は、たとえば、ダイシングブレードの半径方向に沿う断面がV字状またはU字状に凹んだ溝形状を有している。したがって、ダイシングブレードの切断歯部は、両主面側に一対の切断エッジを有している。ダイシングブレードが通る帯状領域内に検査パターン配線が形成されていると、この半導体ウエハから個々の半導体装置を切り出す際に、検査パターン配線に切断歯部の切断エッジが当たらない。したがって、ダイシングブレードの切断エッジは、銅を主成分とする配線材料からなる検査パターン配線を横切らないから、その目詰まりや損傷が生じにくい。したがって、ダイシングブレードの損傷を抑制しながら、スクライブ領域に銅を主成分とする配線材料からなる検査パターン配線を配置できる。
【0019】
第2パッドは、銅を主成分とする膜を含まないので、帯状領域外に少なくとも一部を有していてもよい。たとえば、第2パッドは、帯状領域の幅よりも幅広に形成されていてもよい。
前記検査パターン配線が、配線の開放異常の有無を検査するための開放検査パターンを含んでいてもよい(請求項10)。また、前記検査パターン配線が、配線の短絡異常の有無を検査するための短絡検査パターン配線を含んでいてもよい(請求項11)。
【0020】
この発明の半導体装置の製造方法は、銅以外の配線材料からなる下地配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、半導体装置の機能を担う機能素子が形成される機能素子領域に配線パターンに対応する開口を有し、前記機能素子領域を取り囲むスクライブ領域には開口を有しないレジストで前記層間絶縁膜を覆う工程と、前記レジストをマスクとしためっきによって、前記レジストの開口内に、銅を主成分とする配線材料からなる最上層配線を、前記層間絶縁膜から突出するように形成する工程と、前記レジストを剥離した後、前記最上層配線および前記層間絶縁膜を覆う表面保護膜を形成する工程と、前記最上層配線上で前記表面保護膜を開口して第1パッドを形成する工程と、前記スクライブ領域において、前記下地配線層上で前記層間絶縁膜および前記表面保護膜を開口して第2パッドを形成する工程とを含む(請求項12)。この方法により、請求項1に記載した半導体装置を作成できる。
【0021】
この発明の一実施形態では、前記スクライブ領域内に設定した切断予定線に沿って行うダイシングによって、前記機能素子領域を含む個別の半導体装置を切り出す工程をさらに含む(請求項13)。この工程により、半導体ウエハから、第1パッドおよび第2パッドを有する半導体装置を切り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る半導体装置を作成するための、ウエハプロセス後の半導体ウエハを示す図解的な平面図である。
【図2】図2は、図1のII-II線に沿う模式的な断面図である。
【図3】図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な断面図である。
【図4A】図4Aは、図1に示す部分IVAの拡大平面図である。
【図4B】図4Bは、図1に示す部分IVBの拡大平面図である。
【図5A】図5Aは、図1〜図3に示す半導体装置の製造工程における模式的な断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの次の工程における模式的な断面図である。
【図5C】図5Cは、図5Bの次の工程における模式的な断面図である。
【図5D】図5Dは、図5Cの次の工程における模式的な断面図である。
【図5E】図5Eは、図5Dの次の工程における模式的な断面図である。
【図5F】図5Fは、図5Eの次の工程における模式的な断面図である。
【図5G】図5Gは、図5Fの次の工程における模式的な断面図である。
【図5H】図5Hは、図5Gの次の工程における模式的な断面図である。
【図5I】図5Iは、図5Hの次の工程における模式的な断面図である。
【図5J】図5Jは、図5Iの次の工程における模式的な断面図である。
【図6】図6は、この発明の他の実施形態に係る半導体ウエハの一部の切断面を示す模式的な断面図である。
【図7】図7は、図6の実施形態に係る半導体ウエハの他の切断面を示す模式的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置を作成するためのウエハプロセス後の半導体ウエハを示す図解的な平面図である。
半導体ウエハ1は、複数の機能素子領域2と、各機能素子領域2を取り囲むように形成されたスクライブ領域3とを有している。図1に示す平面視において、各機能素子領域2は矩形状である。図1に示す平面視において、複数の機能素子領域2は、縦方向および横方向に間隔をおいて行列状に整列して配置されている。隣接する機能素子領域2の間の部分がスクライブ領域3である。半導体ウエハ1のスクライブ領域3に切断予定線7が設定されている。半導体ウエハ1は、切断予定線7に沿ってダイシングブレードにより切断(ダイシング)される。これによって、機能素子領域2を含む個々の半導体装置(チップ)4が切り出される。半導体装置4は、周縁部にスクライブ領域3を有し、スクライブ領域3に囲まれた中央領域に機能素子領域2を有することになる。
【0024】
ダイシングブレードは、一対の主面および周端面を有する円板状の切断具である。周端面が切断歯部となっている。切断歯部は、一般に、ダイシングブレードの半径方向に沿う断面がV字状またはU字状に凹んだ溝形状を有している。したがって、ダイシングブレードの切断歯部は、両主面側に一対の切断エッジを有している。
各機能素子領域2には、半導体装置4の機能を担う、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)その他の機能素子5(図2参照)と、機能素子5に接続された第1パッド6とが形成されている。一方、スクライブ領域3には、プロセスコントロールモジュール(PCM)が作り込まれている。PCMは、検査素子と、検査素子に接続された第2パッド10とを含む。検査素子としては、たとえば、トランジスタ、抵抗等の検査用半導体素子11(図3参照)、オープンパターン12(図1,図4A参照)、ショートパターン13(図1,図4B参照)を例示できる。これらの検査素子は、機能素子領域2内の同様の素子または配線の形成プロセスが完全であることを保証するために、検査装置(図示略)に接続して、その特性が測定される。スクライブ領域3に作り込まれたPCMが所期の特性を有していれば、機能素子領域2内の機能素子5を作成するためのプロセスが完全であることを保証できる。検査は、第2パッド10に針当てして行う。したがって、第2パッド10は針当てできるだけの大きさを有している。
【0025】
図2は、図1のII-II線に沿う模式的な断面図である。つまり、図2は、機能素子領域2内の第1パッド6の付近の模式的な断面図である。
半導体ウエハ1は、半導体基板20を備えている。半導体基板20は、たとえば、Si(シリコン)基板である。半導体基板20上には、機能素子5が作り込まれている。半導体基板20上には、第1層間絶縁膜21が積層されている。第1層間絶縁膜21は、たとえば、SiO(酸化シリコン)からなる。
【0026】
第1層間絶縁膜21上には、第1配線22が形成されている。第1配線22は、たとえば、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金からなる主配線層22bと、主配線層22bの下面および上面にそれぞれ形成されたバリア層22a,22cとを含む。バリア層22a,22cは、アルミニウムの拡散に対するバリア性および層間絶縁膜に対する良好な密着性(付着性)を有しており、たとえば、TiN(窒化チタン)からなる。第1配線22と機能素子5とは、第1層間絶縁膜21を貫通するプラグ(ビア)23によって電気的に接続されている。プラグ23は、たとえば、W(タングステン)からなる。
【0027】
第1層間絶縁膜21および第1配線22上には、第2層間絶縁膜24が積層されている。第2層間絶縁膜24は、たとえば、SiOからなる。この第2層間絶縁膜24の表面は平坦化されている。
第2層間絶縁膜24上には、第2配線(下地配線層。以下、「下配線」という。)25が形成されている。下配線25は、たとえば、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金からなる主配線層25bと、主配線層25bの下面および上面にそれぞれ形成されたバリア層25a,25cとを含む。バリア層25a,25cは、アルミニウムの拡散に対するバリア性および層間絶縁膜に対する良好な密着性(付着性)を有しており、たとえば、TiN(窒化チタン)からなる。下配線25と第1配線22とは、第2層間絶縁膜24を貫通する複数のプラグ26によって電気的に接続されている。プラグ26は、たとえば、W(タングステン)からなる。
【0028】
第2層間絶縁膜24および下配線25上には、第3層間絶縁膜27が積層されている。第3層間絶縁膜27は、たとえば、SiOからなる。この第3層間絶縁膜27の表面は平坦化されている。
第3層間絶縁膜27には、下配線25と厚さ方向に対向する部分(平面視において第1パッド6が形成される位置)に、第3層間絶縁膜27を厚さ方向に貫通する複数のビアホール28が形成されている。各ビアホール28は、上側ほど開口面積が大きくなるようなテーパー形状に形成されている。
【0029】
第3層間絶縁膜27上には、最上層配線としての上配線29が形成されている。上配線29は、平面視で複数のビアホール28を含む領域に形成され、第3層間絶縁膜27から上方に突出して形成されている。上配線29は、たとえば、第3層間絶縁膜27の表面からの突出量が10μm程度となるような厚さを有する厚膜配線である。上配線29の下部は、各ビアホール28内に入り込み、下配線25に接続されている。上配線29は、Cu(たとえば、純度99.9%のCu)からなる。
【0030】
上配線29と、下配線25および第3層間絶縁膜27との間には、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有するバリア膜30が介在されている。バリア膜30は、たとえば、Ti(チタン)またはTiW(チタン・タングステン合金)からなる。バリア膜30は、上配線29からCu(Cuイオン)が拡散するのを防止することができるので、上配線29と他の最上層配線との間にリークパスが形成されるのを防止する。
【0031】
上配線29の表面(頂面および側面)は、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有するバリア膜31によって被覆されている。バリア膜31は、たとえば、Ti(チタン)またはTiW(チタン・タングステン合金)からなる。バリア膜31の表面は、キャップメタル層32によって被覆されている。キャップメタル層32は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。
【0032】
第3層間絶縁膜27およびキャップメタル層32上には、パッシベーション膜(表面保護膜)33が形成されている。パッシベーション膜33は、たとえば、SiN(窒化シリコン)からなる。パッシベーション膜33において、キャップメタル層32上に形成された部分には、キャップメタル層32の表面の一部を露出させるためのパッド開口34が厚さ方向に貫通して形成されている。キャップメタル層32においてパッド開口34から露出している部分が第1パッド6である。第1パッド6は、たとえば、平面視において正方形状であり、その一辺の大きさは50〜150μm程度であり、好ましくは100μm程度である。
【0033】
図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な断面図である。図3は、スクライブ領域3内の第2パッド10付近の模式的な断面図である。図3において、図2と同じ部分には、図2と同じ符号を付してある。
半導体基板20上には、検査用半導体素子11が作り込まれている。第1層間絶縁膜21上には、第1配線22が形成されている。第1配線22と検査用半導体素子11とは、第1層間絶縁膜21を貫通するプラグ43により電気的に接続されている。プラグ43は、たとえば、W(タングステン)からなる。
【0034】
第2層間絶縁膜24上には、下配線(下地配線層)25が形成されている。下配線25と第1配線22とは、第2層間絶縁膜24を貫通する複数のプラグ46により電気的に接続されている。プラグ46は、たとえば、W(タングステン)からなる。
第3層間絶縁膜27には、下配線25と厚さ方向に対向する部分(平面視において第2パッド10が形成される位置)に、第3層間絶縁膜27を厚さ方向に貫通するビアホール48が形成されている。ビアホール48は、上側ほど開口面積が大きくなるようなテーパー形状に形成されている。
【0035】
第3層間絶縁膜27および下配線25上には、バリア膜31が形成されている。バリア膜31は、平面視でビアホール48を含む領域に形成されている。バリア膜31の表面は、キャップメタル層32によって被覆されている。キャップメタル層32は、ビアホール48の底面に沿う円板状部分と、ビアホール48の内側面に沿う筒状部分と、ビアホール38の周囲の第3層間絶縁膜27表面に沿う環状部分とからなる。キャップメタル層32は、バリア膜31を介して、下配線25に接続されている。
【0036】
第3層間絶縁膜27およびキャップメタル層32上には、パッシベーション膜33が形成されている。パッシベーション膜33において、キャップメタル層32上に形成された部分には、キャップメタル層32の表面の一部を露出させるためのパッド開口44が厚さ方向に貫通して形成されている。キャップメタル層32においてパッド開口44から露出している部分が第2パッド10である。第2パッド10は、たとえば、平面視において正方形状であり、その一辺の大きさは50〜150μm程度である。
【0037】
図3において、切断予定線7は、パッド10のほぼ中心を通って、紙面に垂直な方向に延びている。この切断予定線7に沿って、半導体ウエハ1が切断される。この切断のために用いられるダンシングブレード50の周端面に形成された切断歯部は、前述のように断面がV字状またはU字状に凹んだ溝形状を有している。切断歯部には、V字状またはU字状溝の両側(ダイシングブレード50の両主面)に、一対の円周状の切断エッジ50a,50bが形成されている。これらの切断エッジ50a,50bの間隔(ブレード50の厚さ)Dは、たとえば、50μm程度である。ダイシング時に、切断予定線7に沿って切断歯部が通る帯状領域8の幅は、一対のダイシング歯50a,50bの間隔Dとほぼ等しい。
【0038】
この実施形態では、図3に示したように、スクライブ領域3には、上配線29および第1パッド6は存在しない。
なお、図2および図3に示される実施形態では、基板20と最上層電極29との間には、第1配線22および第2配線25の2層分の配線しか形成されていないが、それより多層の配線が形成されていてもよい。
【0039】
図4Aは、検査パターン配線としてのオープンパターンの一例を示している。オープンパターン12は、配線の膜厚異常や寸法異常が生じているかどうかを検査するために用いられる検査パターン配線である。オープンパターン12は、第3層間絶縁膜27上において、2つの第2パッド10間に形成される。
図4Aに示す平面視において、オープンパターン12は、切断予定線7に直交する縦方向に延びる複数の縦方向配線部と、切断予定線7に平行な横方向に延びる複数の横方向配線部とを含む1本の銅配線からなる。より具体的には、オープンパターン12は、縦方向に微小間隔をおいて互いに平行に配された複数の横方向配線部を含み、それらが各一端部で隣接する横方向配線部に接続されて横配線領域を形成している。さらに、オープンパターン12は、横方向に微小間隔をおいて互いに平行に配された複数の縦方向配線部を含み、それらが各一端部で隣接する縦方向配線部に接続されて縦配線領域を形成している。横配線領域の一つの横方向配線部の一端と、縦配線領域の一つの縦方向配線部の一端とが接続されている。オープンパターン12を形成する銅配線の一端は、一つの第2パッド10に接続され、他端は別の第2パッド10に接続されている。
【0040】
オープンパターン12を形成する銅配線は、ダイシングブレード50の切断歯部によって切除される帯状領域8内に形成されている。これにより、ダイシング時には、切断歯部の一対の切断エッジ50a,50bの間の溝内にオープンパターン12が収まる。言い換えれば、切断エッジ50a,50bが通る一対のライン(切断予定線7を挟んで帯状領域8の幅だけ間隔を開けた一対のライン)上にはオープンパターン12を形成する銅配線は存在しない。したがって、ダイシング時に、切断エッジ50a,50bはオープンパターン12を形成する銅配線を切断しないので、切断エッジ50a,50bが損傷しにくくなる。
【0041】
検査時には、オープンパターン12の両端がそれぞれ接続された第2パッド10間に針当てして電圧が印加される。このとき、第2パッド10間に電流が流れるか否かを調べることによって、オープンパターン12に断線が生じているか否かを検査することができる。これにより、オープンパターン12と同じ工程で機能素子領域2に形成された配線に断線が生じているか否かを間接的に検査できる。
【0042】
図4Bは、検査パターン配線としてのショートパターンの一例を示している。ショートパターン13は、配線間に短絡異常が生じているかどうかを検査するために用いられる検査パターン配線である。ショートパターン13は、第3層間絶縁膜27上において、2つの第2パッド10間に形成される。
図4Bに示す平面視において、ショートパターン13は、切断予定線7に直交する縦方向の櫛歯部と、切断予定線に平行な横方向の櫛歯部とをそれぞれ有する2本の銅配線13a,13bを含む。両銅配線13a,13bは、それらの縦方向の櫛歯部どうしおよび横方向の櫛歯部どうしが嵌り合うように配置されている。一方の銅配線13aは、一つの第2パッド10に接続され、他方の銅配線13bは別の第2パッド10に接続されている。
【0043】
ショートパターン13を形成する両銅配線13a,13bは、ダイシングブレード50の切断歯部によって切除される帯状領域8内に形成されている。したがって、オープンパターン12と同様に、ダイシング時に、一対の切断エッジ50a,50bはショートパターン13を形成する両銅配線13a,13bを切断しない。これにより、切断エッジ50a,50bが損傷しにくくなる。
【0044】
検査時には、ショートパターン13を構成する2つの銅配線13a,13bがそれぞれ接続された第2パッド10間に電圧がされる。このとき、第2パッド10間に電流が流れるか否かを調べることによって、ショートパターン13に短絡が生じているか否かを検査することができる。これにより、ショートパターン13と同じ工程で機能素子領域2に形成された配線に短絡が生じているか否かを間接的に検査できる。
【0045】
オープンパターン12およびショートパターン13は、同じ配線工程で形成された検査パターン配線であることが好ましい。これにより、それらと同工程で形成された配線に短絡および開放のうちの一方または両方が生じているか否かを検査することができる。
オープンパターン12およびショートパターン13は、いずれもダイシングブレード50が通る帯状領域8内に収まっているので、半導体ウエハ1を切断して得られる半導体装置4は、スクライブ領域3に銅を主成分とする膜を含まない。また、第2パッド10は、帯状領域8よりも幅広であり、したがって、ダイシングブレード50の切断エッジ50a,50bによって切断されるものの、銅を主成分とする配線は第2パッド10の領域に形成されていない。また、第1パッド6は、機能素子領域2内にのみ形成されていて、スクライブ領域3には第1パッド6は存在していない。よって、半導体ウエハ1から切り出された半導体装置4のエッジ部には、銅を主成分とする膜が存在しない。
【0046】
図5A〜図5Jは、図1〜図3に示す半導体装置の各製造工程における模式的な断面図である。より具体的には、図5A〜図5Jの左側の図は、図2に対応する部分の断面を示し、図5A〜図5Jの右側の図は、図3に対応する部分の断面を示している。
半導体装置4の製造工程では、機能素子5(図2参照)、検査用半導体素子11(図3参照)等が作り込まれた半導体基板20の表面に、第1層間絶縁膜21、プラグ23,43、第1配線22、第2層間絶縁膜24、プラグ26,46、下配線25および第3層間絶縁膜27が形成される。
【0047】
次に、図5Aに示すように、第3層間絶縁膜27にビアホール28,48を形成するためのレジストマスク61が、フォトリソグラフィにより形成される。このレジストマスク61は、機能素子領域2に複数のビアホール28を形成するための複数の開口61aと、スクライブ領域3にビアホール48を形成するための開口61bとを有する。
次いで、図5Bに示すように、レジストマスク61をマスクとしたドライエッチング(たとえば、RIE:反応性イオンエッチング)により、第3層間絶縁膜27が選択的に除去され、第3層間絶縁膜27を厚さ方向に貫通するビアホール28,48が形成される。
【0048】
次に、図5Cに示すように、スパッタ法により、ビアホール28,48の内面(底面および側壁)および第3層間絶縁膜27上に、たとえば、Tiからなるバリア膜30が形成される。続いて、スパッタ法により、バリア膜30上にCuのシード膜62が形成される。
その後、図5Dに示すように、バリア膜30およびシード膜62上に、平面視で複数のビアホール28を含む領域に開口63aを有するレジストマスク63が形成される。スクライブ領域3においては、第2パッド10を形成すべき領域を含めて、ほぼ全ての領域がレジストマスク63で覆われる。ただし、上配線29の形成プロセスを検査するためのオープンパターン12およびショートパターン13が形成される場合には、これらに対応した開口がスクライブ領域3においてレジストマスク63に形成される。
【0049】
次いで、図5Eに示すように、レジストマスク63の開口63a内に、Cuがめっき成長される。これにより、レジストマスク63の開口63a内がCuに埋め尽くされ、Cuからなる所定の配線パターンの上配線29が形成される。レジストマスク63の開口63a内のシード膜62は、上配線29の一部となる。上配線29が形成された後、図5Fに示すように、レジストマスク63が除去される。上配線29は、たとえば、膜厚が10μm程度、幅が10μm程度の厚膜配線である。すなわち、上配線29は、第3層間絶縁膜27から10μm程度突出した状態で形成される。その後、図5Fに示すように、上配線29をマスクとして用いるウェットエッチングにより、シード膜62およびバリア膜30が順にエッチングされる。これにより、シード膜62およびバリア膜30において、レジストマスク63の下方に形成されていた部分が除去される。したがって、スクライブ領域3では、第2パッド10の形成領域を含めたほぼ全域において、シード膜62およびバリア膜30がいずれも除去される。ただし、上配線29の形成プロセスを検査するためのオープンパターン12およびショートパターン13が形成される場合には、これらを構成するバリア膜30およびシード膜62、ならびにその上にめっき成長した厚膜銅配線が、スクライブ領域3に残される。
【0050】
次に、図5Gに示すように、スパッタ法により、第3層間絶縁膜27上および上配線29の表面に、バリア膜31およびキャップメタル層32がこの順に形成される。そして、フォトリソグラフィおよびドライエッチング(たとえば、RIE)により、バリア膜31およびキャップメタル層32が選択的に除去される。これにより、図5Gに示すように、機能素子領域2においては平面視で上配線29を含む領域に、バリア膜31およびキャップメタル層32が形成される。また、スクライブ領域3においては、平面視でビアホール48を含む領域に、バリア膜31およびキャップメタル層32が形成される。
【0051】
その後、図5Hに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法により、第3層間絶縁膜27およびキャップメタル層32上に、たとえば、窒化シリコンからなるパッシベーション膜33が形成される。
そして、図5Iに示すように、フォトリソグラフィにより、パッシベーション膜33上に、平面視において複数のビアホール28を含む領域およびビアホール48を含む領域に、それぞれ開口64a,64bを有するレジストマスク64が形成される。
【0052】
次に、図5Jに示すように、レジストマスク64をマスクとして用いたドライエッチング(たとえばRIF)により、パッシベーション膜33が除去されて、パッド開口34,44が形成される。キャップメタル層32においてパッド開口34から露出している部分が第1パッド6である。一方、キャップメタル層32においてパッド開口44から露出している部分が第2パッド10である。
【0053】
この後、半導体ウエハ1のスクライブ領域3がダイシングブレード50によって切断予定線7に沿って切断されることにより、機能素子領域2を含む個々の半導体装置4が切り出される。
この実施形態では、半導体ウエハ1から個別の半導体装置4が切り出される際、第2パッド10がダイシングブレード50によって切断されるが、第2パッド10の下側には上配線29のような銅配線が存在しないので、ダイシングブレード50に目詰まりが生じたり、ダイシングブレード50が損傷したりしにくくなる。これにより、ダイシングブレード50の寿命を延ばすことができるとともに、半導体装置4のエッジ部へのダメージを低減できる。
【0054】
一方、この実施形態では、スクライブ領域2に、銅配線からなるオープンパターン12や銅配線からなるショートパターン13が形成されている。しかし、これらのパターン12,13を形成する銅配線は、ダイシングブレード50の切断歯部によって切除される帯状領域8内に形成されている。このため、ダイシング時において、これらの銅配線はダイシングブレードの切断エッジ50a,50bによって切断されないので、切断エッジ50a,50bが損傷しにくくなる。
【0055】
図6および図7は、この発明の第2の実施形態に係る半導体ウエハの模式的な断面図である。図6には図2に対応する断面を示し、図7には図3に対応する断面を示す。図6において図2に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。また、図7において図3に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。
【0056】
図6および図7において、この実施形態に係る半導体ウエハにおいては、パッシベーション膜33上に有機膜35が形成されている。図6に示すように、機能素子領域2においては、上配線29が第3層間絶縁膜27上に突出して形成されているとともに、キャップメタル層32が上配線29の表面および第3層間絶縁膜27上の上配線29の周囲に形成されている。したがって、パッシベーション膜33の表面には、キャップメタル層32上に形成された部分と第3層間絶縁膜27上に形成された部分との間に、上配線29およびキャップメタル層32の厚さにほぼ等しい段差がついている。
【0057】
また、図7に示すように、スクライブ領域3においては、キャップメタル層32が第3層間絶縁膜27上に突出して形成されているので、パッシベーション膜33の表面には、キャップメタル層32上に形成された部分と第3層間絶縁膜27上に形成された部分との間に、キャップメタル層32の厚さにほぼ等しい段差がついている。
有機膜35は、パッシベーション膜33の表面に生じている段差をなくすように形成されている。有機膜35は、有機材料(たとえば、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂)からなる。また、有機膜35には、平面視においてパッド開口34,44が形成されている部分を含む領域に、それぞれパッド開口34,44と連通する開口36,46が形成されている。
【0058】
このような構成によっても、図1〜図3に示す半導体ウエハ1および半導体装置4と同様の効果を奏することができる。
さらに、パッシベーション膜33上に有機膜35が形成され、パッシベーション膜33の表面の段差が有機膜35により埋められているので、上配線29(キャップメタル層32)に応力が加わったときに、その応力を有機膜35によって吸収することができる。
【0059】
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、第3層間絶縁膜27の材料としてSiOを例示したが、代わりにSiNを用いてもよい。
また、バリア膜30,31の材料として、TiおよびTiWを例示したが、バリア膜30,31は、導電性を有し、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有する他の材料で形成してもよい。このような材料としては、TiおよびTiWの他にも、TiN(窒化チタン)、WN(窒化タングステン)、TaN(窒化タンタル)、Ta(タンタル)、W(タングステン)などを例示することができる。図3および図7に示されるスクライブ領域3において、下配線25および第3層間絶縁膜27上に形成されているバリア膜31は、省略することができる。
【0060】
また、前記実施形態では、検査素子として、トランジスタ、抵抗等の半導体素子11、銅配線からなるオープンパターン12および銅配線からなるショートパターン13が設けられているが、検査素子としてキャパシタが設けられていてもよい。また、検査素子として、アルミニウム配線で形成されたオープンパターンやアルミニウム配線で形成されたショートパターンが設けられていてもよい。
【0061】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 半導体ウエハ
2 機能素子領域
3 スクライブ領域
4 半導体装置
5 機能素子
6 第1パッド
10 第2パッド
11 検査用半導体素子
12 オープンパターン
13 ショートパターン
20 半導体基板
25 下配線(下地配線層)
27 第3層間絶縁層
29 上配線(最上層配線)
32 キャップメタル層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁膜上に突出して形成され、銅を主成分とする配線材料からなる最上層配線と、
前記層間絶縁膜の下層に形成され、銅以外の配線材料からなる下地配線層と、
前記最上層配線および前記層間絶縁膜を覆う表面保護膜と、
前記最上層配線上で前記表面保護膜を開口して形成した第1パッドと、
前記最上層配線が形成されていない領域において、前記下地配線層上で前記層間絶縁膜および前記表面保護膜を開口して形成した第2パッドとを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体装置は、当該半導体装置の機能を担う機能素子が形成された機能素子領域と、前記機能素子領域の周囲に配置されたスクライブ領域とを含み、
前記第1パッドが前記機能素子領域に配置されており、
前記第2パッドが前記スクライブ領域に配置されている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記スクライブ領域に前記第1パッドが存在しない、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記スクライブ領域に銅を主成分とする膜が存在しない、請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体装置のエッジ部に銅を主成分とする膜が存在しない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体装置の機能を担う機能素子が形成される複数の機能素子領域と、
前記機能素子領域を取り囲むように形成され、個別の半導体装置を切り出すための切断予定線を含むスクライブ領域と、
層間絶縁膜上に突出して形成され、銅を主成分とする配線材料からなる最上層配線と、
前記層間絶縁膜の下層に形成され、銅以外の配線材料からなる下地配線層と、
前記最上層配線および前記層間絶縁膜を覆う表面保護膜と、
前記機能素子領域において、前記最上層配線上で前記表面保護膜を開口して形成した第1パッドと、
前記スクライブ領域において、前記下地配線層上で前記層間絶縁膜および前記表面保護膜を開口して形成した第2パッドとを含む、半導体ウエハ。
【請求項7】
前記第1パッドが、前記スクライブ領域に存在しない、請求項6に記載の半導体ウエハ。
【請求項8】
前記スクライブ領域に形成され、前記第2パッドに接続され、前記半導体ウエハの特性を検査するための検査素子をさらに含む、請求項6または7に記載の半導体ウエハ。
【請求項9】
前記検査素子は、銅を主成分とする配線材料からなる検査パターン配線をさらに含み、
前記検査パターン配線が、前記切断予定線に沿って前記半導体ウエハを切断するダイシングブレードが通る帯状領域内に形成されている、請求項6〜8のいずれか一項に記載の半導体ウエハ。
【請求項10】
前記検査パターン配線が、配線の開放異常の有無を検査するための開放検査パターンを含む、請求項9に記載の半導体ウエハ。
【請求項11】
前記検査パターン配線が、配線の短絡異常の有無を検査するための短絡検査パターン配線を含む、請求項9または10に記載の半導体ウエハ。
【請求項12】
銅以外の配線材料からなる下地配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、
半導体装置の機能を担う機能素子が形成される機能素子領域に配線パターンに対応する開口を有し、前記機能素子領域を取り囲むスクライブ領域には開口を有しないレジストで前記層間絶縁膜を覆う工程と、
前記レジストをマスクとしためっきによって、前記レジストの開口内に、銅を主成分とする配線材料からなる最上層配線を、前記層間絶縁膜から突出するように形成する工程と、
前記レジストを剥離した後、前記最上層配線および前記層間絶縁膜を覆う表面保護膜を形成する工程と、
前記最上層配線上で前記表面保護膜を開口して第1パッドを形成する工程と、
前記スクライブ領域において、前記下地配線層上で前記層間絶縁膜および前記表面保護膜を開口して第2パッドを形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記スクライブ領域内に設定した切断予定線に沿って行うダイシングによって、前記機能素子領域を含む個別の半導体装置を切り出す工程をさらに含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−249478(P2011−249478A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119697(P2010−119697)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】