説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用したMISFETを有する半導体装置において、MISFETの信頼性向上を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】本発明では、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜と、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜の構成を相違させている。具体的に、nチャネル型コア用トランジスタQ1では、ゲート絶縁膜に酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1の積層膜を使用している。一方、pチャネル型コア用トランジスタQ2では、ゲート絶縁膜に酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2の積層膜を使用している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、ゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用した電界効果トランジスタを有する半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009−302260号公報(特許文献1)および特開2010−21200号公報(特許文献2)には、電界効果トランジスタのゲート絶縁膜にジルコニウムの酸化物、酸窒化物、シリケートまたは窒素含有シリケートを使用してもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−302260号公報
【特許文献2】特開2010−21200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、例えば、集積回路を構成するnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)およびpチャネル型MISFETにおいて、ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜が使用されている。
【0005】
ところが、近年、半導体装置を構成するMISFETの微細化に伴って、ゲート絶縁膜の薄膜化が急速に進んでいる。ゲート絶縁膜の膜厚が薄くなると、トンネル効果により、電子がゲート絶縁膜中を通り抜ける現象が生じる。この現象によってゲート絶縁膜中にトンネル電流が流れる。このため、MISFETのリーク電流が増大することになる。一方、MISFETのリーク電流を低減するために、ゲート絶縁膜の膜厚を厚くすると、ゲート容量が小さくなり、電流駆動力が低下することになる。
【0006】
そこで、ゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜に代えて、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜に置き換える検討が進められている。これは、ゲート絶縁膜を高誘電率膜で構成した場合、酸化シリコン膜で構成した場合と同じ容量であっても、実際の物理膜厚を(高誘電率膜の誘電率/酸化シリコン膜の誘電率)倍だけ厚くできるので、結果としてリーク電流を低減することができるからである。そして、高誘電率膜では、実際の物理膜厚を厚くしても、誘電率が大きく、誘電率を考慮した電気膜厚を薄くすることができるため、ゲート容量を確保することができる。この結果、高誘電率膜をゲート絶縁膜に使用したMISFETでは、微細化した場合であっても、リーク電流の低減と、電流駆動力の向上を図ることができる。
【0007】
このような高誘電率膜の材料としては、ハフニウム(Hf)を含む絶縁膜が有望視されている。しかし、ハフニウムを含む絶縁膜には、固定電荷やトラップ準位が多く形成されており、MISFETの信頼性を低下させる問題点がある。特に、nチャネル型MISFETで生じるPBTI(Positive Bias Temperature Instability)の劣化が大きくなることが問題として顕在化してきている。PBTIとは、MISFETのゲート電極に正電圧(正バイアス)を印加し続けると、MISFETのしきい値電圧の変動や電流駆動力の低下を引き起こす現象をいい、nチャネル型MISFETではオン動作する際、ゲート電極に正電圧(正バイアス)を印加することから、nチャネル型MISFETで主に生じる現象である。このPBTIの劣化は、ゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用した場合、ハフニウムを含む絶縁膜に多く形成される固定電荷やトラップ準位が影響しているものと考えられている。
【0008】
本発明の目的は、ゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用したMISFETを有する半導体装置において、MISFETの信頼性向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
代表的な実施の形態による半導体装置は、半導体基板のnチャネル型MISFET形成領域に形成されたnチャネル型MISFETと前記半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域に形成されたpチャネル型MISFETとを備える。このとき、前記nチャネル型MISFETは、(a)前記半導体基板上に形成され、ハフニウムとジルコニウムを含む第1絶縁膜と、(b)前記第1絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、(c)前記半導体基板内に形成された第1ソース領域と、(d)前記半導体基板内に形成された第1ドレイン領域とを有する。一方、前記pチャネル型MISFETは、(e)前記半導体基板上に形成され、ハフニウムを含む第2絶縁膜と、(f)前記第2絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、(g)前記半導体基板内に形成された第2ソース領域と、(h)前記半導体基板内に形成された第2ドレイン領域とを有する。ここで、前記第1絶縁膜の物理膜厚は、前記第2絶縁膜の物理膜厚よりも厚く、前記第1絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度は、前記第2絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いことを特徴とするものである。
【0012】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、半導体基板のnチャネル型MISFET形成領域にnチャネル型MISFETを形成し、前記半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域にpチャネル型MISFETを形成する半導体装置の製造方法に関する。そして、この半導体装置の製造方法は、(a)前記半導体基板上にハフニウムを含む第2絶縁膜を形成する工程と、(b)前記(a)工程後、前記第2絶縁膜上にハードマスク膜を形成する工程とを備える。次に、(c)前記(b)工程後、前記ハードマスク膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜を除去する工程とを備える。さらに、(d)前記(c)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜上にジルコニウムを含む第1キャップ膜を形成する工程とを備える。続いて、(e)前記(d)工程後、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムを含む第1絶縁膜を形成する工程とを備える。その後、(f)前記(e)工程後、前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1キャップ膜と前記ハードマスク膜を除去する工程とを備える。次に、(g)前記(f)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1絶縁膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上に導体膜を形成する工程とを備える。さらに、(h)前記(g)工程後、前記導体膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に第1ゲート電極を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域に第2ゲート電極を形成する工程とを備える。そして、(i)前記(h)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にn型不純物を導入することにより、第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にp型不純物を導入することにより、第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程とを備える。ここで、前記第1絶縁膜の物理膜厚は、前記第2絶縁膜の物理膜厚よりも厚く、前記第1絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度は、前記第2絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いことを特徴とするものである。
【0013】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、半導体基板のnチャネル型MISFET形成領域にnチャネル型MISFETを形成し、前記半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域にpチャネル型MISFETを形成する半導体装置の製造方法に関する。そして、この半導体装置の製造方法は、(a)前記半導体基板上にハフニウムを含む第2絶縁膜を形成する工程と、(b)前記(a)工程後、前記第2絶縁膜上にハードマスク膜を形成する工程と、(c)前記(b)工程後、前記ハードマスク膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜を除去する工程とを備える。次に、(d)前記(c)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜上にジルコニウムを含む第1キャップ膜を形成する工程とを備える。そして、(e)前記(d)工程後、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムを含む第1絶縁膜を形成する工程とを備える。さらに、(f)前記(e)工程後、前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1キャップ膜と前記ハードマスク膜を除去する工程と、(g)前記(f)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1絶縁膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上に金属を含む第1導体膜を形成する工程とを備える。続いて、(h)前記(g)工程後、前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1導体膜を除去する工程とを備える。次に、(i)前記(h)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1導体膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程とを備える。さらに、(j)前記(i)工程後、前記第1導体膜および前記第2導体膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に第1ダミーゲート電極を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域に第2ダミーゲート電極を形成する工程とを備える。そして、(k)前記(j)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にn型不純物を導入することにより、第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にp型不純物を導入することにより、第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程とを備える。その後、(l)前記(k)工程後、前記第1ダミーゲート電極および前記第2ダミーゲート電極を覆う前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程とを備える。次に、(m)前記(l)工程後、前記層間絶縁膜の表面を研磨することにより、前記第1ダミーゲート電極の上面および前記第2ダミーゲート電極の上面を露出する工程とを備える。続いて、(n)前記(m)工程後、前記第1ダミーゲート電極の一部を構成する前記第2導体膜を除去することにより、前記層間絶縁膜に第1溝を形成し、かつ、前記第2ダミーゲート電極を構成する前記第2導体膜を除去することにより、前記層間絶縁膜に第2溝を形成する工程とを備える。さらに、(o)前記(n)工程後、前記第1溝の内部および前記第2溝の内部を含む前記層間絶縁膜上に金属を含む第3導体膜を形成し、前記第3導体膜上に金属を含む第4導体膜を形成することにより、前記第1溝の内部と前記第2溝の内部を前記第3導体膜と前記第4導体膜で埋め込む工程とを備える。そして、(p)前記(o)工程後、前記層間絶縁膜上に形成されている不要な前記第3導体膜および前記第4導体膜を除去することにより、前記第1溝内に第1ゲート電極を形成し、かつ、前記第2溝内に第2ゲート電極を形成する工程とを備える。ここで、前記第1絶縁膜の物理膜厚は、前記第2絶縁膜の物理膜厚よりも厚く、前記第1絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度は、前記第2絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いことを特徴とするものである。
【0014】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、半導体基板のnチャネル型MISFET形成領域にnチャネル型MISFETを形成し、前記半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域にpチャネル型MISFETを形成する半導体装置の製造方法に関する。そして、この半導体装置の製造方法は、(a)前記半導体基板上にハフニウムを含む第2絶縁膜を形成する工程と、(b)前記(a)工程後、前記第2絶縁膜上にジルコニウムを含む第1キャップ膜を形成する工程と、(c)前記(b)工程後、前記第1キャップ膜上に金属を含む第1導体膜を形成する工程とを備える。そして、(d)前記(c)工程後、前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1導体膜および前記第1キャップ膜を除去する工程と、(e)前記(d)工程後、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムを含む第1絶縁膜を形成する工程とを備える。さらに、(f)前記(e)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1導体膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程とを備える。次に、(g)前記(f)工程後、前記第1導体膜および前記第2導体膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に第1ダミーゲート電極を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域に第2ダミーゲート電極を形成する工程とを備える。その後、(h)前記(g)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にn型不純物を導入することにより、第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にp型不純物を導入することにより、第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程とを備える。続いて、(i)前記(h)工程後、前記第1ダミーゲート電極および前記第2ダミーゲート電極を覆う前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、(j)前記(i)工程後、前記層間絶縁膜の表面を研磨することにより、前記第1ダミーゲート電極の上面および前記第2ダミーゲート電極の上面を露出する工程とを備える。そして、(k)前記(j)工程後、前記第1ダミーゲート電極の一部を構成する前記第2導体膜を除去することにより、前記層間絶縁膜に第1溝を形成し、かつ、前記第2ダミーゲート電極を構成する前記第2導体膜を除去することにより、前記層間絶縁膜に第2溝を形成する工程とを備える。さらに、(l)前記(k)工程後、前記第1溝の内部および前記第2溝の内部を含む前記層間絶縁膜上に金属を含む第3導体膜を形成し、前記第3導体膜上に金属を含む第4導体膜を形成することにより、前記第1溝の内部と前記第2溝の内部を前記第3導体膜と前記第4導体膜で埋め込む工程とを備える。続いて、(m)前記(l)工程後、前記層間絶縁膜上に形成されている不要な前記第3導体膜および前記第4導体膜を除去することにより、前記第1溝内に第1ゲート電極を形成し、かつ、前記第2溝内に第2ゲート電極を形成する工程とを備える。ここで、前記第1絶縁膜の物理膜厚は、前記第2絶縁膜の物理膜厚よりも厚く、前記第1絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度は、前記第2絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
ゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用したMISFETを有する半導体装置において、MISFETの信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体チップのレイアウト構成を示す図である。
【図2】実施の形態1における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】実施の形態4における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図27】実施の形態5における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図30】実施の形態6における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図34】図33に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図41】図40に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図42】図41に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図43】実施の形態11における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図44】図43に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図47】図46に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0019】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0020】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0021】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0022】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態1における半導体装置について図面を参照しながら説明する。まず、マイクロコンピュータを含むシステムが形成された半導体チップのレイアウト構成について説明する。図1は、本実施の形態1における半導体チップCHPのレイアウト構成を示す図である。図1において、半導体チップCHPは、CPU(Central Processing Unit)1、RAM(Random Access Memory)2、アナログ回路3、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)4、フラッシュメモリ5およびI/O(Input/Output)回路6を有している。
【0024】
CPU(回路)1は、中央演算処理装置とも呼ばれ、コンピュータなどの心臓部にあたる。このCPU1は、記憶装置から命令を読み出して解読し、それに基づいて多種多様な演算や制御を行なうものである。
【0025】
RAM(回路)2は、記憶情報をランダムに、すなわち随時記憶されている記憶情報を読み出したり、記憶情報を新たに書き込んだりすることができるメモリであり、随時書き込み読み出しができるメモリとも呼ばれる。ICメモリとしてのRAMには、ダイナミック回路を用いたDRAM(Dynamic RAM)とスタティック回路を用いたSRAM(Static RAM)の2種類がある。DRAMは、記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリであり、SRAMは、記憶保持動作が不要な随時書き込み読み出しメモリである。
【0026】
アナログ回路3は、時間的に連続して変化する電圧や電流の信号、すなわちアナログ信号を扱う回路であり、例えば増幅回路、変換回路、変調回路、発振回路、電源回路などから構成されている。
【0027】
EEPROM4およびフラッシュメモリ5は、書き込み動作および消去動作とも電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。このEEPROM4およびフラッシュメモリ5のメモリセルは、記憶(メモリ)用の例えばMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタやMNOS(Metal Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタから構成される。EEPROM4およびフラッシュメモリ5の書き込み動作および消去動作には、例えばファウラーノルドハイム型トンネル現象を利用する。なお、ホットエレクトロンやホットホールを用いて書き込み動作や消去動作させることも可能である。EEPROM4とフラッシュメモリ5の相違点は、EEPROM4が、例えば、バイト単位で消去のできる不揮発性メモリであるのに対し、フラッシュメモリ5が、例えば、ワード線単位で消去できる不揮発性メモリである点である。一般に、フラッシュメモリ5には、CPU1で種々の処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。これに対し、EEPROM4には、書き換え頻度の高い各種データが記憶されている。
【0028】
I/O回路6は、入出力回路であり、半導体チップCHP内から半導体チップCHPの外部に接続された機器へのデータの出力や、半導体チップCHPの外部に接続された機器から半導体チップ内へのデータの入力を行なうための回路である。
【0029】
本実施の形態1における半導体チップCHPのレイアウトは上記のように構成されており、以下に、CPU1を構成するトランジスタと、I/O回路6を構成するトランジスタについて説明する。CPU1を構成するトランジスタをコア用トランジスタと呼び、I/O回路6を構成するトランジスタをI/O用トランジスタと呼ぶことにすると、CPU1は、例えば、nチャネル型コア用トランジスタと、pチャネル型コア用トランジスタと、nチャネル型抵抗素子と、pチャネル型抵抗素子とを有している。一方、I/O回路6は、例えば、nチャネル型I/O用トランジスタと、pチャネル型I/O用トランジスタとを有している。
【0030】
コア用トランジスタと、I/O用トランジスタはほぼ同様の構成をしているが、その相違点は、I/O用トランジスタのゲート絶縁膜がコア用トランジスタのゲート絶縁膜よりも厚く形成されている点である。これは、CPU1よりもI/O回路6のほうが高い電源電圧を使用しているため、コア用トランジスタよりもI/O用トランジスタに高い電圧が印加されるからである。つまり、I/O用トランジスタでは、コア用トランジスタよりも高い電圧が印加されるため、高い電圧が印加されてもゲート絶縁膜が絶縁破壊しないように厚く形成されているのである。
【0031】
以下に、CPU1を構成するコア用トランジスタ、I/O回路6を構成するI/O用トランジスタ、および、CPU1を構成する抵抗素子の構造について説明する。図2は、本実施の形態1におけるnチャネル型コア用トランジスタQ1、pチャネル型コア用トランジスタQ2,nチャネル型I/O用トランジスタQ3、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、nチャネル型抵抗素子R1、および、pチャネル型抵抗素子R2の構造を示す断面図である。図2に示すように、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRにnチャネル型コア用トランジスタQ1が形成され、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCRにpチャネル型コア用トランジスタQ2が形成されている。同様に、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)にnチャネル型I/O用トランジスタQ3が形成され、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)にpチャネル型I/O用トランジスタQ4が形成されている。さらに、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRにnチャネル型抵抗素子R1が形成され、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRにpチャネル型抵抗素子R2が形成されている。
【0032】
まず、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRに形成されているnチャネル型コア用トランジスタQ1の構造について説明する。図2において、シリコン単結晶からなる半導体基板1Sの主面には複数の素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域にp型ウェルPWL1が形成されている。p型ウェルPWL1は、ボロン(B)などのp型不純物を導入した半導体領域から構成されており、p型ウェルPWL1上にnチャネル型コア用トランジスタQ1が形成されている。
【0033】
具体的に、p型ウェルPWL1上には酸化シリコン膜SO1が形成されており、この酸化シリコン膜SO1上にHfZrSiON膜HK1が形成されている。この酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1より、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜が形成される。そして、HfZrSiON膜HK1上にゲート電極G1が形成されている。ゲート電極G1は、HfZrSiON膜HK1上に形成された金属を含む導体膜CF1と、導体膜CF1上に形成されたポリシリコン膜PF1と、このポリシリコン膜PF1の表面をシリサイド化して形成されたシリサイド膜SLから構成されている。金属を含む導体膜CF1としては、例えば、窒化チタン膜がある。また、シリサイド膜SLは、ニッケルプラチナシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜などから形成されている。このシリサイド膜SLは、ゲート電極G1の低抵抗化のために形成されている。
【0034】
続いて、ゲート電極G1の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。そして、オフセットスペーサOSの外側には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成されている。ただし、サイドウォールSWの構成は、これに限らず、酸化シリコン膜の単層膜や窒化シリコン膜の単層膜から形成することもできる。
【0035】
サイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いn型不純物拡散領域EX1が形成されている。そして、浅いn型不純物拡散領域EX1の外側に深いn型不純物拡散領域NR1が形成され、この深いn型不純物拡散領域NR1の表面にシリサイド膜SLが形成されている。
【0036】
サイドウォールSWは、nチャネル型コア用トランジスタQ1の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、nチャネル型コア用トランジスタQ1のソース領域およびドレイン領域は、浅いn型不純物拡散領域EX1と深いn型不純物拡散領域NR1とシリサイド膜SLより形成されている。このとき、浅いn型不純物拡散領域EX1の不純物濃度は、深いn型不純物拡散領域NR1の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いn型不純物拡散領域EX1とすることにより、ゲート電極G1の端部下における電界集中を抑制できる。なお、ソース領域とドレイン領域で挟まれたゲート絶縁膜直下の領域がチャネル領域となっている。以上のようにして、半導体基板1S上にnチャネル型コア用トランジスタQ1が形成されている。
【0037】
次に、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCRに形成されているpチャネル型コア用トランジスタQ2の構造について説明する。図2において、シリコン単結晶からなる半導体基板1Sの主面には複数の素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域にn型ウェルNWL1が形成されている。n型ウェルNWL1は、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入した半導体領域から構成されており、n型ウェルNWL1上にpチャネル型コア用トランジスタQ2が形成されている。
【0038】
具体的に、n型ウェルNWL1上には酸化シリコン膜SO1が形成されており、この酸化シリコン膜SO1上にHfSiON膜HK2が形成されている。この酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2より、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜が形成される。そして、HfSiON膜HK2上にゲート電極G2が形成されている。ゲート電極G2は、HfSiON膜HK2上に形成された金属を含む導体膜CF1と、導体膜CF1上に形成されたポリシリコン膜PF1と、このポリシリコン膜PF1の表面をシリサイド化して形成されたシリサイド膜SLから構成されている。金属を含む導体膜CF1としては、例えば、窒化チタン膜がある。また、シリサイド膜SLは、ニッケルプラチナシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜などから形成されている。このシリサイド膜SLは、ゲート電極G2の低抵抗化のために形成されている。
【0039】
続いて、ゲート電極G2の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。そして、オフセットスペーサOSの外側には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成されている。ただし、サイドウォールSWの構成は、これに限らず、酸化シリコン膜の単層膜や窒化シリコン膜の単層膜から形成することもできる。
【0040】
サイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いp型不純物拡散領域EX2が形成されている。そして、浅いp型不純物拡散領域EX2の外側に深いp型不純物拡散領域PR1が形成され、この深いp型不純物拡散領域PR1の表面にシリサイド膜SLが形成されている。
【0041】
サイドウォールSWは、pチャネル型コア用トランジスタQ2の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、pチャネル型コア用トランジスタQ2のソース領域およびドレイン領域は、浅いp型不純物拡散領域EX2と深いp型不純物拡散領域PR1とシリサイド膜SLより形成されている。このとき、浅いp型不純物拡散領域EX2の不純物濃度は、深いp型不純物拡散領域PR1の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いp型不純物拡散領域EX2とすることにより、ゲート電極G2の端部下における電界集中を抑制できる。なお、ソース領域とドレイン領域で挟まれたゲート絶縁膜直下の領域がチャネル領域となっている。以上のようにして、半導体基板1S上にpチャネル型コア用トランジスタQ2が形成されている。
【0042】
続いて、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)に形成されているnチャネル型I/O用トランジスタQ3の構造について説明する。図2において、シリコン単結晶からなる半導体基板1Sの主面には複数の素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域にp型ウェルPWL2が形成されている。p型ウェルPWL2は、ボロン(B)などのp型不純物を導入した半導体領域から構成されており、p型ウェルPWL2上にnチャネル型I/O用トランジスタQ3が形成されている。
【0043】
具体的に、p型ウェルPWL2上には酸化シリコン膜SO2が形成されており、この酸化シリコン膜SO2上にHfZrSiON膜HK1が形成されている。この酸化シリコン膜SO2とHfZrSiON膜HK1より、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のゲート絶縁膜が形成される。ここで、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のゲート絶縁膜と上述したnチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜を比較すると、nチャネル型I/O用トランジスタQ3の酸化シリコン膜SO2の膜厚は、nチャネル型コア用トランジスタQ1の酸化シリコン膜SO1の膜厚よりも厚くなっている。一方、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のHfZrSiON膜HK1の膜厚は、nチャネル型コア用トランジスタQ1のHfZrSiON膜HK1の膜厚と同じである。したがって、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のゲート絶縁膜は、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜よりも厚く形成されている。これは、nチャネル型コア用トランジスタQ1よりもnチャネル型I/O用トランジスタQ3に高い電圧が印加されるからである。つまり、nチャネル型I/O用トランジスタQ3では、nチャネル型コア用トランジスタQ1よりも高い電圧が印加されるため、高い電圧が印加されてもゲート絶縁膜が絶縁破壊しないように厚く形成されているのである。
【0044】
そして、HfZrSiON膜HK1上にゲート電極G3が形成されている。ゲート電極G3は、HfZrSiON膜HK1上に形成された金属を含む導体膜CF1と、導体膜CF1上に形成されたポリシリコン膜PF1と、このポリシリコン膜PF1の表面をシリサイド化して形成されたシリサイド膜SLから構成されている。金属を含む導体膜CF1としては、例えば、窒化チタン膜がある。また、シリサイド膜SLは、ニッケルプラチナシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜などから形成されている。このシリサイド膜SLは、ゲート電極G3の低抵抗化のために形成されている。このとき、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のゲート長と、上述したnチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート長を比較すると、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のゲート長は、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート長よりも大きく形成されている。
【0045】
続いて、ゲート電極G3の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。そして、オフセットスペーサOSの外側には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成されている。ただし、サイドウォールSWの構成は、これに限らず、酸化シリコン膜の単層膜や窒化シリコン膜の単層膜から形成することもできる。
【0046】
サイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いn型不純物拡散領域EX3が形成されている。そして、浅いn型不純物拡散領域EX3の外側に深いn型不純物拡散領域NR2が形成され、この深いn型不純物拡散領域NR2の表面にシリサイド膜SLが形成されている。
【0047】
サイドウォールSWは、nチャネル型I/O用トランジスタQ3の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のソース領域およびドレイン領域は、浅いn型不純物拡散領域EX3と深いn型不純物拡散領域NR2とシリサイド膜SLより形成されている。このとき、浅いn型不純物拡散領域EX3の不純物濃度は、深いn型不純物拡散領域NR2の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いn型不純物拡散領域EX3とすることにより、ゲート電極G3の端部下における電界集中を抑制できる。なお、ソース領域とドレイン領域で挟まれたゲート絶縁膜直下の領域がチャネル領域となっている。以上のようにして、半導体基板1S上にnチャネル型I/O用トランジスタQ3が形成されている。
【0048】
次に、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)に形成されているpチャネル型I/O用トランジスタQ4の構造について説明する。図2において、シリコン単結晶からなる半導体基板1Sの主面には複数の素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域にn型ウェルNWL2が形成されている。n型ウェルNWL2は、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入した半導体領域から構成されており、n型ウェルNWL2上にpチャネル型I/O用トランジスタQ4が形成されている。
【0049】
具体的に、n型ウェルNWL2上には酸化シリコン膜SO2が形成されており、この酸化シリコン膜SO2上にHfSiON膜HK2が形成されている。この酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2より、pチャネル型I/O用トランジスタQ4のゲート絶縁膜が形成される。ここで、pチャネル型I/O用トランジスタQ4のゲート絶縁膜と上述したpチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜を比較すると、pチャネル型I/O用トランジスタQ4の酸化シリコン膜SO2の膜厚は、pチャネル型コア用トランジスタQ2の酸化シリコン膜SO1の膜厚よりも厚くなっている。一方、pチャネル型I/O用トランジスタQ4のHfSiON膜HK2の膜厚は、pチャネル型コア用トランジスタQ2のHfSiON膜HK2の膜厚と同じである。したがって、pチャネル型I/O用トランジスタQ4のゲート絶縁膜は、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜よりも厚く形成されている。これは、pチャネル型コア用トランジスタQ2よりもpチャネル型I/O用トランジスタQ4に高い電圧が印加されるからである。つまり、pチャネル型I/O用トランジスタQ4では、pチャネル型コア用トランジスタQ2よりも高い電圧が印加されるため、高い電圧が印加されてもゲート絶縁膜が絶縁破壊しないように厚く形成されているのである。
【0050】
そして、HfSiON膜HK2上にゲート電極G4が形成されている。ゲート電極G4は、HfSiON膜HK2上に形成された金属を含む導体膜CF1と、導体膜CF1上に形成されたポリシリコン膜PF1と、このポリシリコン膜PF1の表面をシリサイド化して形成されたシリサイド膜SLから構成されている。金属を含む導体膜CF1としては、例えば、窒化チタン膜がある。また、シリサイド膜SLは、ニッケルプラチナシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜などから形成されている。このシリサイド膜SLは、ゲート電極G4の低抵抗化のために形成されている。このとき、pチャネル型I/O用トランジスタQ4のゲート長と、上述したpチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート長を比較すると、pチャネル型I/O用トランジスタQ4のゲート長は、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート長よりも大きく形成されている。
【0051】
続いて、ゲート電極G4の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。そして、オフセットスペーサOSの外側には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成されている。ただし、サイドウォールSWの構成は、これに限らず、酸化シリコン膜の単層膜や窒化シリコン膜の単層膜から形成することもできる。
【0052】
サイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いp型不純物拡散領域EX4が形成されている。そして、浅いp型不純物拡散領域EX4の外側に深いp型不純物拡散領域PR2が形成され、この深いp型不純物拡散領域PR2の表面にシリサイド膜SLが形成されている。
【0053】
サイドウォールSWは、pチャネル型I/O用トランジスタQ4の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域をLDD構造とするために形成されたものである。すなわち、pチャネル型I/O用トランジスタQ4のソース領域およびドレイン領域は、浅いp型不純物拡散領域EX4と深いp型不純物拡散領域PR2とシリサイド膜SLより形成されている。このとき、浅いp型不純物拡散領域EX4の不純物濃度は、深いp型不純物拡散領域PR2の不純物濃度よりも低くなっている。したがって、サイドウォールSW下のソース領域およびドレイン領域を低濃度の浅いp型不純物拡散領域EX4とすることにより、ゲート電極G4の端部下における電界集中を抑制できる。なお、ソース領域とドレイン領域で挟まれたゲート絶縁膜直下の領域がチャネル領域となっている。以上のようにして、半導体基板1S上にpチャネル型I/O用トランジスタQ4が形成されている。
【0054】
さらに、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRに形成されているnチャネル型抵抗素子R1の構造について説明する。図2において、シリコン単結晶からなる半導体基板1Sの主面には複数の素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域にp型ウェルPWL3が形成されている。p型ウェルPWL3は、ボロン(B)などのp型不純物を導入した半導体領域から構成されており、p型ウェルPWL3上にnチャネル型抵抗素子R1が形成されている。
【0055】
具体的に、p型ウェルPWL3上には酸化シリコン膜SO1が形成されており、この酸化シリコン膜SO1上にHfZrSiON膜HK1が形成されている。そして、HfZrSiON膜HK1上にゲート電極G5が形成されている。ゲート電極G5は、HfZrSiON膜HK1上に形成されたポリシリコン膜PF1と、このポリシリコン膜PF1の表面をシリサイド化して形成されたシリサイド膜SLから構成されている。シリサイド膜SLは、ニッケルプラチナシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜などから形成されている。このシリサイド膜SLは、ゲート電極G5の低抵抗化のために形成されている。
【0056】
続いて、ゲート電極G5の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。そして、オフセットスペーサOSの外側には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成されている。ただし、サイドウォールSWの構成は、これに限らず、酸化シリコン膜の単層膜や窒化シリコン膜の単層膜から形成することもできる。
【0057】
サイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いn型不純物拡散領域EX5が形成されている。そして、浅いn型不純物拡散領域EX5の外側に深いn型不純物拡散領域NR3が形成され、この深いn型不純物拡散領域NR3の表面にシリサイド膜SLが形成されている。以上のようにして、半導体基板1S上にnチャネル型抵抗素子R1が形成されている。
【0058】
次に、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されているpチャネル型抵抗素子R2の構造について説明する。図2において、シリコン単結晶からなる半導体基板1Sの主面には複数の素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域にn型ウェルNWL3が形成されている。n型ウェルNWL3は、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入した半導体領域から構成されており、n型ウェルNWL3上にpチャネル型抵抗素子R2が形成されている。
【0059】
具体的に、n型ウェルNWL3上には酸化シリコン膜SO1が形成されており、この酸化シリコン膜SO1上にHfSiON膜HK2が形成されている。そして、HfSiON膜HK2上にゲート電極G6が形成されている。ゲート電極G6は、HfSiON膜HK2上に形成されたポリシリコン膜PF1と、このポリシリコン膜PF1の表面をシリサイド化して形成されたシリサイド膜SLから構成されている。シリサイド膜SLは、ニッケルプラチナシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜などから形成されている。このシリサイド膜SLは、ゲート電極G6の低抵抗化のために形成されている。
【0060】
続いて、ゲート電極G6の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。そして、オフセットスペーサOSの外側には、サイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSWは、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜から形成されている。ただし、サイドウォールSWの構成は、これに限らず、酸化シリコン膜の単層膜や窒化シリコン膜の単層膜から形成することもできる。
【0061】
サイドウォールSW下の半導体基板1S内には、半導体領域として、浅いp型不純物拡散領域EX6が形成されている。そして、浅いp型不純物拡散領域EX6の外側に深いp型不純物拡散領域PR3が形成され、この深いp型不純物拡散領域PR3の表面にシリサイド膜SLが形成されている。以上のようにして、半導体基板1S上にpチャネル型抵抗素子R2が形成されている。
【0062】
次に、nチャネル型コア用トランジスタQ1、pチャネル型コア用トランジスタQ2、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、pチャネル型I/OトランジスタQ4、nチャネル型抵抗素子R1、および、pチャネル型抵抗素子R2を形成した半導体基板1Sの上方には多層配線が形成されている。以下に、多層配線の構成について説明する。図2に示すように、nチャネル型コア用トランジスタQ1、pチャネル型コア用トランジスタQ2、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、pチャネル型I/OトランジスタQ4、nチャネル型抵抗素子R1、および、pチャネル型抵抗素子R2を形成した半導体基板1S上には、これらの半導体素子を覆うように窒化シリコン膜SN1が形成されている。そして、この窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。このコンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOS(tetra ethyl ortho silicate)とを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、このオゾンTEOS膜上に設けられたTEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。
【0063】
次に、このコンタクト層間絶縁膜CILを貫通して、nチャネル型コア用トランジスタQ1、pチャネル型コア用トランジスタQ2、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、pチャネル型I/OトランジスタQ4、nチャネル型抵抗素子R1、および、pチャネル型抵抗素子R2のソース領域やドレイン領域に達するプラグPLGが形成されている。このプラグPLGは、例えば、チタン膜と、チタン膜上に形成された窒化チタン膜と、窒化チタン膜上に形成されたタングステン膜とをコンタクトホールCNTに埋め込むことにより形成されている。チタン膜および窒化チタン膜は、タングステン膜を構成するタングステンがシリコン中へ拡散することを防止するために設けられている膜である。なお、コンタクト層間絶縁膜CILは、酸化シリコン膜(SiO膜)、SiOF膜のいずれかの膜から形成されていてもよい。
【0064】
続いて、コンタクト層間絶縁膜CIL上に第1配線層として配線L1が形成されている。具体的に、配線L1は、プラグPLGを形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に形成された層間絶縁膜IL1に埋め込まれるように形成されている。つまり、層間絶縁膜IL1を貫通して底部でプラグPLGが露出する配線溝に、バリア導体膜と、銅を主体とする膜(以下、銅膜と記載する)を埋め込むことにより、配線L1が形成されている。つまり、配線L1は、配線溝の側面と底面を覆うように形成されたバリア導体膜と、バリア導体膜上で配線溝を埋め込むように形成された銅膜から形成されている。さらに、配線L1上に多層配線が形成されるが、本実施の形態1では、その説明を省略する。以上のようにして、半導体基板1S上にnチャネル型コア用トランジスタQ1、pチャネル型コア用トランジスタQ2、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、pチャネル型I/OトランジスタQ4、nチャネル型抵抗素子R1、および、pチャネル型抵抗素子R2が形成され、これらの半導体素子上に配線L1が形成されている。
【0065】
続いて、本実施の形態1の特徴であるゲート絶縁膜の構成について、さらに詳述する。まず、上述したnチャネル型コア用トランジスタQ1とpチャネル型コア用トランジスタQ2に着目して、本実施の形態1の特徴について説明する。
【0066】
従来、例えば、集積回路を構成するnチャネル型トランジスタおよびpチャネル型トランジスタにおいて、ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜が使用されている。ところが、近年、半導体装置を構成するトランジスタの微細化に伴って、ゲート絶縁膜の薄膜化が急速に進んでいる。ゲート絶縁膜の膜厚が薄くなると、トンネル効果により、電子がゲート絶縁膜中を通り抜ける現象が生じる。この現象によってゲート絶縁膜中にトンネル電流が流れる。このため、トランジスタのリーク電流が増大することになる。一方、トランジスタのリーク電流を低減するために、ゲート絶縁膜の膜厚を厚くすると、ゲート容量が小さくなり、電流駆動力が低下することになる。
【0067】
そこで、ゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜に代えて、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜に置き換える検討が進められている。これは、ゲート絶縁膜を高誘電率膜で構成した場合、酸化シリコン膜で構成した場合と同じ容量であっても、実際の物理膜厚を(高誘電率膜の誘電率/酸化シリコン膜の誘電率)倍だけ厚くできるので、結果としてリーク電流を低減することができるからである。そして、高誘電率膜では、実際の物理膜厚を厚くしても、誘電率が大きく、誘電率を考慮した電気膜厚を薄くすることができるため、ゲート容量を確保することができる。この結果、高誘電率膜をゲート絶縁膜に使用したトランジスタでは、微細化した場合であっても、リーク電流の低減と、電流駆動力の向上を図ることができる。
【0068】
このような高誘電率膜の材料としては、ハフニウム(Hf)を含む絶縁膜が有望視されている。例えば、ハフニウムを含む絶縁膜としては、HfSiON膜、HfSiO膜、HfON膜、HfO膜などが挙げられる。しかし、ハフニウムを含む絶縁膜には、固定電荷やトラップ準位が多く形成される問題点がある。つまり、ハフニウムを含む絶縁膜では、膜中に固定電荷やトラップ準位を多く含んでいることから、トランジスタのしきい値電圧の変動やキャリアの移動度低下を引き起こすことが問題点として存在する。
【0069】
例えば、固定電荷自体は電荷を帯びており、かつ、トラップ準位に電子が捕獲されると、捕獲された電子の電荷によってハフニウムを含む絶縁膜(ゲート絶縁膜)が電荷を帯びることになる。つまり、固定電荷やトラップ準位が存在するハフニウムを含む絶縁膜では、膜自体が電荷を帯びることになり、この結果、ハフニウムを含む絶縁膜をゲート絶縁膜として使用すると、膜自体に生じる電荷によって、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまうのである。
【0070】
さらに、ハフニウムを含む絶縁膜にある固定電荷は電界を生成し、かつ、トラップ準位に捕獲された電子によっても電界が生成される。この固定電荷や、トラップ準位に捕獲された電子による電界は、ゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用した場合、ゲート絶縁膜直下に形成されているチャネル領域に影響を及ぼすことになる。つまり、チャネル領域はソース領域とドレイン領域の間の電子の通り道であるが、このチャネル領域に、固定電荷やトラップ準位に捕獲された電子からの電界が及ぶと、この電界によって、チャネル領域を通過する電子が散乱を受ける。このため、チャネル領域を通過する電子の移動度が低下してしまうのである。この結果、トランジスタの電流駆動能力を充分に向上することができなくなってしまう。
【0071】
さらに、ハフニウムを含む絶縁膜にある固定電荷やトラップ準位は、トランジスタの信頼性を低下させる。特に、nチャネル型トランジスタで生じるPBTI(Positive Bias Temperature Instability)の劣化が大きくなることが問題として顕在化してきている。PBTIとは、トランジスタのゲート電極に正電圧(正バイアス)を印加し続けると、トランジスタのしきい値電圧の変動や電流駆動力の低下を引き起こす現象をいい、nチャネル型トランジスタではオン動作する際、ゲート電極に正電圧(正バイアス)を印加することから、nチャネル型トランジスタで主に生じる現象である。このPBTIの劣化は、ゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用した場合、ハフニウムを含む絶縁膜に多く形成される固定電荷やトラップ準位が影響しているものと考えられている。
【0072】
以上のように、ゲート絶縁膜の薄膜化に伴うリーク電流の増大を、電流駆動力を低下させることなく実現するため、ゲート絶縁膜に高誘電率膜であるハフニウムを含む絶縁膜を使用することが有用である。しかし、ハフニウムを含む絶縁膜には、固定電荷やトラップ準位が多く存在しており、この固定電荷やトラップ準位が、トランジスタの性能向上および信頼性向上を図る上での阻害要因となっていることがわかる。
【0073】
そこで、本実施の形態1では、ゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用する場合であっても、トランジスタの性能向上および信頼性向上を充分に実現できる工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態1における特徴点について説明する。
【0074】
図2において、nチャネル型コア用トランジスタQ1に着目すると、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1から形成されている。このとき、高誘電率膜として、ハフニウムとジルコニウムを含むHfZrSiON膜HK1を使用する点が本実施の形態1の特徴である。つまり、本実施の形態1では、ハフニウムを含む高誘電率膜として、ハフニウムを含むHfSiON膜を使用するのではなく、ハフニウムとジルコニウムを含むHfZrSiON膜HK1を使用しているのである。この理由について説明する。
【0075】
例えば、ハフニウムを含む絶縁膜として、HfSiON膜があるが、このHfSiON膜には上述したように固定電荷やトラップ準位が多く存在する。そこで、本発明者は、どのようにすれば、ハフニウムを含む絶縁膜に存在する固定電荷やトラップ準位を低減することができるかについて鋭意検討した結果、このHfSiON膜にジルコニウムを含有させると、膜中に存在する固定電荷やトラップ準位を低減できることに着目したのである。つまり、ハフニウムとジルコニウムを含む絶縁膜によれば、ハフニウムを含む絶縁膜よりも固定電荷やトラップ準位を低減できることに着目したのである。このように、ハフニウムとジルコニウムを含むHfZrSiON膜HK1をゲート絶縁膜に使用すると、まず、HfZrSiON膜HK1自体が高誘電率膜であることから、トランジスタを微細化した場合であっても、リーク電流の低減と電流駆動力の向上とを図ることができる。
【0076】
そして、HfZrSiON膜HK1では、膜中の固定電荷とトラップ準位を低減することができることから、固定電荷やトラップ準位に起因したトランジスタのしきい値電圧の変動やキャリアの移動度の低下を抑制できるのである。このため、ゲート絶縁膜にHfZrSiON膜HK1を使用することにより、トランジスタの性能向上を図ることができるのである。さらに、本実施の形態1では、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜にHfZrSiON膜HK1を使用して固定電荷やトラップ準位の低減を図っている。上述したように、特に、nチャネル型トランジスタ(nチャネル型コア用トランジスタQ1を含む)で、固定電荷やトラップ準位に起因したPBTIの劣化が顕著となる。このことから、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜にハフニウムとジルコニウムを含んだHfZrSiON膜HK1を使用して固定電荷やトラップ準位を低減することにより、大幅にPBTIを改善することができ、この結果、nチャネル型コア用トランジスタQ1における信頼性向上を図ることができるのである。
【0077】
なお、本実施の形態1においては、ゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜SO1と、HfZrSiON膜HK1の積層膜を使用し、HfZrSiON膜HK1と半導体基板1Sの間に酸化シリコン膜SO1を介在させている。これは、高誘電率膜であるHfZrSiON膜HK1を半導体基板1Sと直接接触させる場合、HfZrSiON膜HK1の表面粗さ(表面の凹凸)によって、ゲート絶縁膜直下のチャネル領域を流れるキャリアが散乱され、キャリアの移動度が低下してしまうからである。すなわち、キャリアの移動度の低下を抑制する観点から、HfZrSiON膜HK1と半導体基板1Sの間に表面の平坦性のよい酸化シリコン膜SO1を介在させているのである。このようにHfZrSiON膜HK1と半導体基板1Sの間に表面の平坦性のよい酸化シリコン膜SO1を介在させることが望ましいが、酸化シリコン膜SO1は設けなくてもよい。
【0078】
また、本実施の形態1では、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜にハフニウムとジルコニウムを含む絶縁膜を使用し、ハフニウムとジルコニウムを含む絶縁膜の一例として、HfZrSiON膜HK1を挙げている。しかし、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜は、これに限らず、HfZrSiO膜、HfZrON膜、HfZrO膜などを使用しても同様の効果が得られる。
【0079】
次に、図2において、pチャネル型コア用トランジスタQ2に着目すると、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜SO1と、HfSiON膜HK2から形成されている。ここで、pチャネル型コア用トランジスタQ2においても、上述したnチャネル型コア用トランジスタQ1と同様に、高誘電率膜として、HfSiON膜HK2ではなくてHfZrSiON膜HK1を使用すれば、ジルコニウムを含有させることによって膜中の固定電荷やトラップ準位が低減されると考えられる。しかし、本実施の形態1では、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜に、HfZrSiON膜HK1を使用せず、HfSiON膜HK2を使用している。以下に、この理由について説明する。
【0080】
まず、HfSiON膜HK2にジルコニウムを含有させてHfZrSiON膜HK1とすると、ジルコニウムを含有させた分だけHfZrSiON膜HK1の物理膜厚がHfSiON膜HK2の物理膜厚よりも厚くなってしまう。したがって、nチャネル型コア用トランジスタQ1とpチャネル型コア用トランジスタQ2の両方にHfZrSiON膜HK1を使用すると、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜の物理膜厚と、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜の物理膜厚が同じになる。
【0081】
ここで、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜の物理膜厚と、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜の物理膜厚を同じにすると、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜の電気膜厚よりも、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜の電気膜厚が厚くなってしまうことが知られている。つまり、nチャネル型コア用トランジスタQ1とpチャネル型コア用トランジスタQ2に同じ物理膜厚のゲート絶縁膜を使用した場合、pチャネル型コア用トランジスタQ2の電気膜厚がnチャネル型コア用トランジスタQ1の電気膜厚よりも厚くなるのである。この電気膜厚とは、ゲート容量に着目して誘電率も考慮した膜厚である。
【0082】
このことは、nチャネル型コア用トランジスタQ1とpチャネル型コア用トランジスタQ2に同じ材料で、かつ、同じ物理膜厚のゲート絶縁膜を使用すると、nチャネル型コア用トランジスタQ1の電気膜厚よりもpチャネル型コア用トランジスタQ2の電気膜厚が厚くなる結果、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート容量よりも、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート容量が小さくなることを意味している。この場合、nチャネル型コア用トランジスタQ1の電流駆動力と、pチャネル型コア用トランジスタQ2の電流駆動力のバランスが悪くなり、回路設計がしにくくなってしまう。
【0083】
このように、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜に、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜と同様のHfZrSiON膜HK1を使用すると、nチャネル型コア用トランジスタQ1の電気膜厚よりもpチャネル型コア用トランジスタQ2の電気膜厚が厚くなってしまうデメリットがあるのである。
【0084】
一方、HfZrSiON膜HK1を使用するメリットは、膜中に存在する固定電荷やトラップ準位を低減できる点にある。特に、nチャネル型コア用トランジスタQ1では、この固定電荷やトラップ準位を低減することにより、PBTIが大幅に改善されるので、nチャネル型コア用トランジスタQ1でHfZrSiON膜HK1を使用するメリットは大きくなる。これに対し、pチャネル型コア用トランジスタQ2では、ゲート絶縁膜にHfZrSiON膜HK1を使用しても、それほどNBTI(Negative Bias Temperature Instability)を改善する効果は小さく、pチャネル型コア用トランジスタQ2にHfZrSiON膜HK1を使用するメリットは小さいのである。ここで、NBTIとは、トランジスタのゲート電極に負電圧(負バイアス)を印加し続けると、トランジスタのしきい値電圧の変動や電流駆動力の低下を引き起こす現象をいい、pチャネル型トランジスタではオン動作する際、ゲート電極に負電圧(負バイアス)を印加することから、pチャネル型トランジスタで主に生じる現象である。
【0085】
以上のことから、pチャネル型コア用トランジスタQ2では、ゲート絶縁膜にHfZrSiON膜HK1を使用する場合、NBTIが改善されるというメリットよりも、ゲート絶縁膜の物理膜厚が厚くなり、この結果、pチャネル型コア用トランジスタQ2の電気膜厚も厚くなって、ゲート容量が低下するデメリットの方が大きくなってしまうのである。したがって、本実施の形態1において、pチャネル型コア用トランジスタQ2では、HfZrSiON膜HK1を使用せずに、HfSiON膜HK2を使用しているのである。
【0086】
なお、本実施の形態1においては、ゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜SO1と、HfSiON膜HK2の積層膜を使用し、HfSiON膜HK2と半導体基板1Sの間に酸化シリコン膜SO1を介在させている。これは、高誘電率膜であるHfSiON膜HK2を半導体基板1Sと直接接触させる場合、HfSiON膜HK2の表面粗さ(表面の凹凸)によって、ゲート絶縁膜直下のチャネル領域を流れるキャリアが散乱され、キャリアの移動度が低下してしまうからである。すなわち、キャリアの移動度の低下を抑制する観点から、HfSiON膜HK2と半導体基板1Sの間に表面の平坦性のよい酸化シリコン膜SO1を介在させているのである。このようにHfSiON膜HK1と半導体基板1Sの間に表面の平坦性のよい酸化シリコン膜SO1を介在させることが望ましいが、酸化シリコン膜SO1は設けなくてもよい。
【0087】
また、本実施の形態1では、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用し、ハフニウムを含む絶縁膜の一例として、HfSiON膜HK2を挙げている。しかし、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜は、これに限らず、HfSiO膜、HfON膜、HfO膜などを使用してもよい。
【0088】
上述した本実施の形態1の特徴をまとめると以下のようになる。すなわち、本実施の形態1では、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜と、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜の構成を相違させている。具体的に、本実施の形態1において、nチャネル型コア用トランジスタQ1では、ゲート絶縁膜に酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1の積層膜を使用している。一方、pチャネル型コア用トランジスタQ2では、ゲート絶縁膜に酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2の積層膜を使用している。
【0089】
このように、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜にハフニウムとジルコニウムを含んだHfZrSiON膜HK1を使用して固定電荷やトラップ準位を低減することにより、大幅にPBTIを改善することができ、この結果、nチャネル型コア用トランジスタQ1における信頼性向上を図ることができるのである。さらに、固定電荷やトラップ準位を低減できるので、しきい値電圧の変動や電流駆動力の低下も抑制することができる。
【0090】
一方、HfZrSiON膜HK1のほうが、HfSiON膜HK2よりもジルコニウムを含んでいる分だけ物理膜厚が厚くなる。この結果、本実施の形態1では、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜に、HfZrSiON膜HK1ではなく、HfSiON膜HK2を使用することにより、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜の物理膜厚を、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜の物理膜厚よりも薄くすることができる。このため、pチャネル型コア用トランジスタQ2の電気膜厚がnチャネル型コア用トランジスタQ1の電気膜厚よりも厚くなる現象が生じても、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜の物理膜厚を、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜の物理膜厚よりも薄くしているので、結果として、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート容量と、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート容量とをほぼ同じにすることができる。したがって、本実施の形態1によれば、nチャネル型コア用トランジスタQ1の電流駆動力と、pチャネル型コア用トランジスタQ2の電流駆動力のバランスが良くなり、回路設計がしやすくなるという利点が得られる。
【0091】
なお、本実施の形態1では、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜にHfZrSiON膜HK1を使用し、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜にHfSiON膜HK2を使用している。したがって、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜にハフニウムとジルコニウムを含む絶縁膜を使用し、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜にハフニウムを含む絶縁膜を使用しているということができる。このとき、基本的に、pチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜に使用しているHfSiON膜HK2にはジルコニウムは含まれていない。しかし、実際の製造工程においては、HfSiON膜HK2に不純物としてわずかにジルコニウムが混入することが考えられる。このため、本実施の形態1における技術的思想では、積極的に、pチャネル型コア用トランジスタQ2のHfSiON膜HK2にジルコニウムを含有させない構成であるが、製造工程において、意図しないジルコニウムが不純物としてHfSiON膜HK2に含まれる場合があることを考慮している。つまり、本実施の形態1の構成では、HfZrSiON膜HK1に含まれているジルコニウムの濃度は、HfSiON膜HK2に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いということができる。このとき、HfSiON膜HK2には、ジルコニウムが含まれていない場合も当然含まれている。
【0092】
以上の説明では、nチャネル型コア用トランジスタQ1のゲート絶縁膜とpチャネル型コア用トランジスタQ2のゲート絶縁膜について説明したが、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のゲート絶縁膜とpチャネル型I/O用トランジスタQ4のゲート絶縁膜についても同様である。つまり、図2に示すように、nチャネル型I/O用トランジスタQ3のゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜SO2とHfZrSiON膜HK1から構成され、pチャネル型I/O用トランジスタQ4のゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜SO2とHfSiON膜HK2から構成されている。そして、HfZrSiON膜HK1の物理膜厚が、HfSiON膜HK2の物理膜厚よりも厚くなっている。
【0093】
また、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜とpチャネル型抵抗素子R2のゲート絶縁膜についても同様である。つまり、図2に示すように、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1から構成され、pチャネル型抵抗素子R2のゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2から構成されている。そして、HfZrSiON膜HK1の物理膜厚が、HfSiON膜HK2の物理膜厚よりも厚くなっている。
【0094】
続いて、nチャネル型コア用トランジスタQ1、pチャネル型コア用トランジスタQ2、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、pチャネル型I/O用トランジスタQ4に、金属を含む導体膜CF1とポリシリコン膜PF1との積層膜を使用している理由について説明する。
【0095】
例えば、ゲート絶縁膜として酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜を使用する場合には、通常、ゲート絶縁膜上に形成されるゲート電極をポリシリコン膜から形成している。そして、nチャネル型MISFETでは、ゲート電極を構成するポリシリコン膜にn型不純物(リンや砒素など)を導入している。これにより、ゲート電極の仕事関数(フェルミレベル)をシリコンの伝導帯近傍(4.05eV近傍)に設定することで、nチャネル型MISFETのしきい値電圧の低下を図ることができる。一方、pチャネル型MISFETでは、ゲート電極を構成するポリシリコン膜にp型不純物(ホウ素など)を導入している。これにより、ゲート電極の仕事関数をシリコンの価電子帯近傍(5.17eV近傍)に設定することで、pチャネル型MISFETのしきい値電圧の低下を図ることができる。すなわち、ゲート絶縁膜として酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜を使用している場合では、ゲート電極にn型不純物あるいはp型不純物を導入することにより、ゲート電極の仕事関数を伝導帯近傍あるいは価電子帯近傍にすることができる。
【0096】
ところが、本実施の形態1のように、ゲート絶縁膜として、高誘電率膜(HfZrSiON膜HK1、HfSiON膜HK2)を使用すると、ポリシリコン膜よりなるゲート電極にn型不純物あるいはp型不純物を導入しても、ゲート電極の仕事関数が、伝導帯近傍あるいは価電子帯近傍にならない現象が生じる。すなわち、ゲート絶縁膜として高誘電率膜(HfZrSiON膜HK1、HfSiON膜HK2)を使用した場合、nチャネル型MISFETでは、ゲート電極の仕事関数が大きくなって伝導帯近傍から離れる。このため、nチャネル型MISFETのしきい値電圧が上昇する。一方、pチャネル型MISFETでは、ゲート電極の仕事関数が小さくなって価電子帯から離れるので、nチャネル型MISFETと同様にしきい値電圧が上昇する。このように、ゲート電極の仕事関数がしきい値電圧の上昇する方向にシフトする現象はフェルミレベルピニングとして解釈されている。したがって、ゲート絶縁膜として高誘電率膜を使用する場合、ゲート電極をポリシリコン膜から構成すると、しきい値電圧の調整がうまくできないことがわかる。
【0097】
そこで、ゲート絶縁膜に酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜を使用する場合、本実施の形態1では、ゲート絶縁膜上に配置されるゲート電極G1〜G4を、ポリシリコン膜の単体膜ではなく、ゲート絶縁膜に直接接触するように金属を含む導体膜CF1(例えば、窒化チタン膜)を形成し、この導体膜CF1上にポリシリコン膜PF1を形成している。つまり、本実施の形態1では、ゲート電極G1〜G4を、導体膜CF1とポリシリコン膜PF1の積層膜から形成している。このような構造をしているゲート電極G1〜G4は、MIPS(Metal Inserted Poly Silicon)電極と呼ばれている。
【0098】
このように、ゲート電極G1〜G4をMIPS電極から形成する場合、ゲート絶縁膜に直接接触するのは導体膜CF1となる。このことから、MIPS電極によれば、ポリシリコン膜のように不純物を導入することでしきい値を調整することなく、導体膜CF1の種類を選択することでしきい値電圧を調整することができる。このため、ゲート電極G1〜G4としてMIPS電極を使用することで、上述したフェルミレベルピニングの問題を回避することができる。
【0099】
さらに、ゲート電極G1〜G4にMIPS電極を使用するもう1つの理由について説明する。例えば、ゲート絶縁膜上にポリシリコン膜を直接形成すると、ポリシリコン膜のゲート絶縁膜側の界面に空乏化領域が形成される。この空乏化領域は絶縁領域として機能することから、空乏化領域が容量絶縁膜となり、ゲート絶縁膜が見かけ上厚くなる現象が生じる。この結果、ゲート容量が設計値よりも小さくなるため、MISFETのオン電流の確保が難しくなり、MISFETの動作速度が低下する問題点が発生する。このポリシリコン膜の空乏化の問題は、MISFETを微細化するにしたがって顕在化してきている。
【0100】
そこで、本実施の形態1では、ゲート電極G1〜G4としてMIPS電極を使用している。このMIPS電極によれば、ゲート絶縁膜と直接接触する膜は導体膜CF1となるので、空乏化の問題は生じない。つまり、導体膜CF1は金属であり半導体のように空乏化しないため、ゲート電極G1〜G4の空乏化の問題が生じない。このため、ゲート容量が設計値よりも小さくなることを防止でき、MISFETを微細化しても、オン電流を確保することができる。
【0101】
以上のように、本実施の形態1では、ゲート電極G1〜G4としてMIPS電極を使用することにより、ゲート電極G1〜G4をポリシリコン膜の単体膜から形成する場合に生じるフェルミレベルピニングの問題や空乏化の問題を回避することができる。
【0102】
ここで、ゲート電極G1〜G4を導体膜CF1から形成すると、フェルミレベルピニングの問題や空乏化の問題を解決することができることから、ゲート電極G1〜G4を導体膜CF1の単体膜から形成することも考えられる。しかし、本実施の形態1では、ゲート電極G1〜G4を金属膜の単体膜から構成せずに、ゲート電極G1〜G4を導体膜CF1とポリシリコン膜PF1の積層膜であるMIPS電極としている。この理由について説明する。
【0103】
MISFETの微細化に伴って、ゲート電極G1〜G4の加工精度も高くすることが要求される。ところが、一般的に導体膜CF1(金属膜)の加工は難しくなっている。したがって、ゲート電極G1〜G4を導体膜CF1(金属膜)の単体膜から形成する場合、導体膜CF1(金属膜)の膜厚が厚くなりゲート電極G1〜G4の加工精度を向上することが困難になる。つまり、ゲート電極G1〜G4を導体膜CF1(金属膜)の単体膜から形成する場合、加工精度を向上することが難しく、設計値通りのゲート長を有するゲート電極G1〜G4を形成することが難しくなっている。この場合、規定の電気的特性を得ることが困難になる上に、複数のMISFETで、ゲート長のばらつきが大きくなってしまう。
【0104】
そこで、本実施の形態1では、ゲート電極G1〜G4を導体膜CF1(金属膜)の単体膜から形成するのではなく、導体膜CF1(金属膜)とポリシリコン膜PF1の積層膜から形成している。このようにゲート電極G1〜G4を形成することにより、導体膜CF1(金属膜)自体の膜厚を薄くすることができるので、導体膜CF1(金属膜)の加工困難性を緩和することができる。そして、ポリシリコン膜PF1は加工が容易であるので、ゲート電極G1〜G4をMIPS電極とすることにより、ゲート電極G1〜G4を微細化しても、ゲート電極G1〜G4の加工精度を良好に保つことができ、所望の電気的特性を得やすいという利点を有することになる。
【0105】
したがって、本実施の形態1では、フェルミレベルピニングや空乏化の問題を解決するためにゲート絶縁膜に直接接触するように導体膜CF1(金属膜)を使用するとともに、導体膜CF1(金属膜)の加工困難性を緩和するために、ゲート電極G1〜G4として、導体膜CF1(金属膜)とポリシリコン膜PF1との積層膜を使用しているのである。すなわち、本実施の形態1のように、ゲート電極G1〜G4をMIPS電極とすることにより、フェルミレベルピニングや空乏化の抑制と加工困難性の緩和とを両立することができる。
【0106】
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0107】
まず、図3に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板1Sを用意する。このとき、半導体基板1Sは、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板1Sに素子間を分離する素子分離領域STIを形成する。素子分離領域STIは、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域STIは、例えばLOCOS(local Oxidation of silicon)法やSTI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。例えば、STI法では、以下のようにして素子分離領域を形成している。すなわち、半導体基板1Sにフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域STIを形成することができる。
【0108】
次に、素子分離領域STIで分離された活性領域(アクティブ領域)に不純物を導入してp型ウェルPWL1〜PWL3を形成する。具体的に、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRの活性領域にp型ウェルPWL1を形成し、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)の活性領域にp型ウェルPWL2を形成する。そして、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRの活性領域にp型ウェルPWL3を形成する。p型ウェルPWL1〜PWL3は、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板1Sに導入することで形成される。
【0109】
また、素子分離領域STIで分離された活性領域(アクティブ領域)に不純物を導入してn型ウェルNWL1〜NWL3を形成する。具体的に、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCRの活性領域にn型ウェルNWL1を形成し、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)の活性領域にn型ウェルNWL2を形成する。そして、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRの活性領域にn型ウェルNWL3を形成する。n型ウェルNWL1〜NWL3は、例えばリンや砒素などのn型不純物をイオン注入法により半導体基板1Sに導入することで形成される。
【0110】
続いて、p型ウェルPWL1〜PWL3の表面領域にチャネル形成用の半導体領域(図示せず)を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。同様に、n型ウェルNWL1〜NWL3の表面領域にチャネル形成用の半導体領域(図示せず)を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。
【0111】
次に、図4に示すように、半導体基板1Sの主面上に、例えば、熱酸化法を使用することにより、酸化シリコン膜SO2を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、nチャネル型抵抗素子形成領域NRR、および、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されている酸化シリコン膜SO2を除去する。これにより、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)とpチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)にだけ酸化シリコン膜SO2が残存する。
【0112】
続いて、図5に示すように、半導体基板1Sの主面上に、例えば、熱酸化法を使用することにより、酸化シリコン膜SO1を形成する。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、nチャネル型抵抗素子形成領域NRR、および、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRに酸化シリコン膜SO1が形成される。このとき、酸化シリコン膜SO1の物理膜厚は、酸化シリコン膜SO2の物理膜厚よりも薄く形成される。
【0113】
その後、図6に示すように、酸化シリコン膜SO1および酸化シリコン膜SO2を形成した半導体基板1S上に、HfSiON膜HK2を形成し、このHfSiON膜HK2上にハードマスク膜HM1を形成する。HfSiON膜HK2は、例えば、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるいは、ALD(Atomic Layer Deposition)法を使用することにより形成することができる。なお、HfSiON膜HK2に代えて、HfSiO膜、HfON膜、HfO膜などの他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。また、ハードマスク膜HM1は、例えば、窒化チタン膜から形成されており、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。
【0114】
そして、図7に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ハードマスク膜HM1をパターニングする。ハードマスク膜HM1のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRに形成されているハードマスク膜HM1を除去するように行われる。この結果、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されているハードマスク膜HM1が残存する。
【0115】
次に、図8に示すように、パターニングしたハードマスク膜HM1上にキャップ膜CAP1を形成する。キャップ膜CAP1は、例えば、Zr(ジルコニウム)膜、あるいは、ZrO(酸化ジルコニウム)膜から形成されており、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、HfSiON膜HK2上に直接キャップ膜CAP1が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ハードマスク膜HM1上にキャップ膜CAP1が形成される。
【0116】
続いて、図9に示すように、半導体基板1Sに対して熱処理を実施する。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、HfSiON膜HK2上に直接キャップ膜CAP1が形成されているので、上述した熱処理によって、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウム(Zr)がHfSiON膜HK2に拡散する。この結果、HfZrSiON膜HK1が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ハードマスク膜HM1上にキャップ膜CAP1が形成されているので、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウムは、HfSiON膜HK2まで拡散しない。このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにおいては、HfZrSiON膜HK1が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにおいては、HfSiON膜HK2がそのまま残存することになる。ここで、HfZrSiON膜HK1は、ジルコニウムを含むので、ジルコニウムを含まないHfSiON膜HK2よりも物理膜厚が厚くなる。
【0117】
その後、半導体基板1S上にレジスト膜(図示せず)を塗布し、塗布したレジスト膜に対して露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜をパターニングする。レジスト膜のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにレジスト膜が残存するように行われる。言い換えれば、レジスト膜のパターニングは、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにレジスト膜が残存しないように行われる。そして、図10に示すように、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチングにより、ハードマスク膜HM1上に形成されているキャップ膜CAP1を除去する。
【0118】
次に、図11に示すように、残存するハードマスク膜HM1を、例えば、エッチング技術により除去する。このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにHfZrSiON膜HK1を形成し、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにHfSiON膜HK2を形成することができる。
【0119】
続いて、図12に示すように、HfZrSiON膜HK1あるいはHfSiON膜HK2を形成した半導体基板1S上に、金属を含む導体膜CF1を形成する。導体膜CF1は、例えば、窒化チタン膜から形成されており、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。そして、図13に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、導体膜CF1をパターニングする。導体膜CF1のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびpチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)に導体膜CF1が残存するように行われる。言い換えれば、導体膜CF1のパターニングは、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRとpチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されている導体膜CF1を除去するように行われる。
【0120】
次に、図14に示すように、半導体基板1S上にポリシリコン膜PF1を形成する。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびpチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)では、導体膜CF1上にポリシリコン膜PF1が形成される。一方、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRとpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、HfZrSiON膜HK1、あるいは、HfSiON膜HK2上にポリシリコン膜PF1が形成される。
【0121】
続いて、図15に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜PF1および導体膜CF1をパターニングして、ゲート電極G1〜G6を形成する。具体的に、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRおよびpチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCRでは、ポリシリコン膜PF1および導体膜CF1をパターニングすることにより、導体膜CF1とポリシリコン膜PF1の積層膜からなるゲート電極G1およびゲート電極G2を形成する。同様に、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびpチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)でも、ポリシリコン膜PF1および導体膜CF1をパターニングすることにより、導体膜CF1とポリシリコン膜PF1の積層膜からなるゲート電極G3およびゲート電極G4を形成する。さらに、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRおよびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ポリシリコン膜PF1をパターニングすることにより、ポリシリコン膜PF1からなるゲート電極G5およびゲート電極G6を形成する。
【0122】
その後、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRでは、ゲート電極G1をマスクとして、HfZrSiON膜HK1および酸化シリコン膜SO1を加工することにより、酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1からなるゲート絶縁膜を形成する。同様に、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCRでは、ゲート電極G2をマスクとして、HfSiON膜HK2および酸化シリコン膜SO1を加工することにより、酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2からなるゲート絶縁膜を形成する。また、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)では、ゲート電極G3をマスクとして、HfZrSiON膜HK1および酸化シリコン膜SO2を加工することにより、酸化シリコン膜SO2とHfZrSiON膜HK1からなるゲート絶縁膜を形成する。同様に、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)では、ゲート電極G4をマスクとして、HfSiON膜HK2および酸化シリコン膜SO2を加工することにより、酸化シリコン膜SO2とHfSiON膜HK2からなるゲート絶縁膜を形成する。また、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、ゲート電極G5をマスクとして、HfZrSiON膜HK1および酸化シリコン膜SO1を加工することにより、酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1からなるゲート絶縁膜を形成する。同様に、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ゲート電極G6をマスクとして、HfSiON膜HK2および酸化シリコン膜SO1を加工することにより、酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2からなるゲート絶縁膜を形成する。
【0123】
次に、図16に示すように、ゲート電極G1〜G6の側壁にオフセットスペーサOSを形成する。オフセットスペーサOSは、例えば、酸化シリコン膜から形成されており、例えば、CVD法により半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成した後、この酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより形成することができる。
【0124】
そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ゲート電極G1、G3、G5に整合して、浅いn型不純物拡散領域EX1、EX3、EX5を形成する。浅いn型不純物拡散領域EX1、EX3、EX5は、半導体領域であり、リンや砒素などのn型不純物が導入されている。同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ゲート電極G2、G4、G6に整合して、浅いp型不純物拡散領域EX2、EX4、EX6を形成する。浅いp型不純物拡散領域EX2、EX4、EX6は、半導体領域であり、ボロン(ホウ素)などのp型不純物が導入されている。
【0125】
次に、図17に示すように、半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、サイドウォールSWをゲート電極G1〜G6の側壁に形成する。サイドウォールSWは、酸化シリコン膜の単層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜からなるサイドウォールSWを形成してもよい。
【0126】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、それぞれ、サイドウォールSWに整合した深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3を形成する。これらの深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3は、半導体領域であり、リンや砒素などのn型不純物が導入されている。同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、それぞれ、サイドウォールSWに整合した深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3を形成する。これらの深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3は、半導体領域であり、ボロン(ホウ素)などのp型不純物が導入されている。
【0127】
このようにして、深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3および深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
【0128】
その後、図18に示すように、半導体基板1S上にニッケルプラチナ膜(図示せず)を形成する。このとき、ゲート電極G1〜G6の上面に直接接するようにニッケルプラチナ膜が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3や深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3にもニッケルプラチナ膜が直接接する。
【0129】
ニッケルプラチナ膜は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができる。そして、ニッケルプラチナ膜を形成した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極G1〜G6を構成するポリシリコン膜PF1とニッケルプラチナ膜を反応させて、ニッケルプラチナシリサイド膜からなるシリサイド膜SLを形成する。これにより、ゲート電極G1〜G4は、導体膜CF1とポリシリコン膜PF1とシリサイド膜SLの積層構造となり、ゲート電極G5、G6は、ポリシリコン膜PF1とシリサイド膜SLの積層構造となる。シリサイド膜SLは、ゲート電極G1〜G6の低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3の表面においてもシリコンとニッケルプラチナ膜が反応してニッケルプラチナシリサイド膜からなるシリサイド膜SLが形成される。このため、深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3においても低抵抗化を図ることができる。また、上述した熱処理により、深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3の表面においてもシリコンとニッケルプラチナ膜が反応してニッケルプラチナシリサイド膜からなるシリサイド膜SLが形成される。このため、深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3においても低抵抗化を図ることができる。
【0130】
そして、未反応のニッケルプラチナ膜は、半導体基板1S上から除去される。なお、本実施の形態1では、ニッケルプラチナシリサイド膜からなるシリサイド膜SLを形成するように構成しているが、例えば、ニッケルプラチナシリサイド膜に代えてニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜などからシリサイド膜SLを形成するようにしてもよい。以上のようにして、例えば、半導体基板1S上に、nチャネル型コア用トランジスタQ1、pチャネル型コア用トランジスタQ2、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、nチャネル型抵抗素子R1、および、pチャネル型抵抗素子R2を形成することができる。
【0131】
次に、配線工程について図2を参照しながら説明する。図2に示すように、半導体基板1Sの主面上に窒化シリコン膜SN1を形成し、この窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILを形成する。このコンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOS(tetra ethyl ortho silicate)とを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、このオゾンTEOS膜上に設けられたTEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。その後、コンタクト層間絶縁膜CILの表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0132】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、コンタクト層間絶縁膜CILにコンタクトホールCNTを形成する。
【0133】
その後、コンタクトホールCNTの底面および内壁を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上にチタン/窒化チタン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、チタン膜と窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜は、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する。
【0134】
そして、コンタクトホールCNTを埋め込むように、半導体基板1Sの主面の全面にタングステン膜を形成する。このタングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を例えばCMP法で除去することにより、プラグPLGを形成することができる。
【0135】
次に、図2に示すように、プラグPLGを形成したコンタクト層間絶縁膜CIL上に層間絶縁膜IL1を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL1に溝を形成する。その後、溝内を含む層間絶縁膜IL1上にタンタル/窒化タンタル膜を形成する。このタンタル/窒化タンタル膜は、例えば、スパッタリング法により形成することができる。続いて、タンタル/窒化タンタル膜上に薄い銅膜よりなるシード膜を、例えば、スパッタリング法で形成した後、このシード膜を電極とする電解めっき法により、溝を形成した層間絶縁膜IL1上に銅膜を形成する。その後、溝の内部以外の層間絶縁膜IL1上に露出している銅膜を、例えば、CMP法で研磨して除去することにより、層間絶縁膜IL1に形成された溝内にだけ銅膜を残す。これにより、配線L1を形成することができる。さらに、配線L1の上層に配線を形成するが、ここでの説明は省略する。このようにして、最終的に本実施の形態1における半導体装置を形成することができる。
【0136】
なお、本実施の形態1では、銅膜よりなる配線L1を形成する例について説明したが、例えば、アルミニウム膜よりなる配線L1を形成してもよい。この場合は、コンタクト層間絶縁膜CILおよびプラグPLG上にチタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜、チタン/窒化チタン膜を順次、形成する。これらの膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、これらの膜のパターニングを行い、配線L1を形成する。これにより、アルミニウム膜よりなる配線L1を形成することができる。
【0137】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、ハフニウムとジルコニウムを含む絶縁膜であるHfZrSiON膜を使用する例について説明した。本実施の形態2では、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、ハフニウムとジルコニウムとランタン(La)を含む絶縁膜であるHfZrLaSiON膜を使用する例について説明する。
【0138】
本実施の形態2における半導体装置の構成は、前記実施の形態1における半導体装置の構成を示す図2とほぼ同様であるため、図示は省略する。異なる点は、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、HfZrSiON膜HK1に代えて、HfZrLaSiON膜を使用している点である。これにより、本実施の形態2によれば、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)を含有させることで、前記実施の形態1と同様に、膜中の固定電荷やトラップ準位を低減することができる。したがって、大幅にPBTIを改善することができ、この結果、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1における信頼性向上を図ることができるのである。また、固定電荷やトラップ準位を低減できるので、しきい値電圧の変動や電流駆動力の低下も抑制することができる。
【0139】
さらに、本実施の形態2では、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)の他にランタン(La)も含有させている。このランタン(La)は、ハフニウムを含む絶縁膜に含有させると、nチャネル型MISFET(ここでは、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1)のしきい値電圧を低減させる効果がある。したがって、本実施の形態2では、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)の他にランタン(La)も含有させるようにゲート絶縁膜を構成することにより、ジルコニウム(Zr)による上述した効果の他に、ランタン(La)によるトランジスタのしきい値電圧の低減という効果も得られる。
【0140】
本実施の形態2における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。まず、図3〜図8までは、前記実施の形態1における製造工程と同様である。
【0141】
続いて、図19に示すように、半導体基板1S上にキャップ膜CAP2を形成する。具体的には、半導体基板1S上に形成されているキャップ膜CAP1上にキャップ膜CAP2が形成される。このキャップ膜CAP2は、ランタン(La)膜、あるいは、酸化ランタン膜から形成されており、例えば、スパッタリング法により形成することができる。
【0142】
その後、図20に示すように、半導体基板1Sに対して熱処理を実施する。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、HfSiON膜HK2上に直接キャップ膜CAP1とキャップ膜CAP2が形成されているので、上述した熱処理によって、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウム(Zr)がHfSiON膜HK2に拡散するとともに、キャップ膜CAP2に含まれるランタン(La)がHfSiON膜HK2に拡散する。この結果、HfZrLaSiON膜HK3が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ハードマスク膜HM1上にキャップ膜CAP1およびキャップ膜CAP2が形成されているので、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウム(Zr)およびキャップ膜CAP2に含まれるランタン(La)は、HfSiON膜HK2まで拡散しない。このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにおいては、HfZrLaSiON膜HK3が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにおいては、HfSiON膜HK2がそのまま残存することになる。ここで、HfZrLaSiON膜HK3は、ジルコニウムとランタンを含むので、ジルコニウムとランタンを含まないHfSiON膜HK2よりも物理膜厚が厚くなる。
【0143】
その後、半導体基板1S上にレジスト膜(図示せず)を塗布し、塗布したレジスト膜に対して露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜をパターニングする。レジスト膜のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにレジスト膜が残存するように行われる。言い換えれば、レジスト膜のパターニングは、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにレジスト膜が残存しないように行われる。そして、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチングにより、ハードマスク膜HM1上に形成されているキャップ膜CAP1およびキャップ膜CAP2を除去する。
【0144】
次に、図21に示すように、残存するハードマスク膜HM1を、例えば、エッチング技術により除去する。このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにHfZrLaSiON膜HK3を形成し、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにHfSiON膜HK2を形成することができる。
【0145】
この後の工程は、前記実施の形態1と同様であるので、省略する(図12〜図18参照)。以上のようにして、本実施の形態2における半導体装置を製造することができる。なお、本実施の形態2では、ジルコニウムを含むキャップ膜CAP1上に、ランタンを含むキャップ膜CAP2を形成する例を示しているが、これに限らず、例えば、ランタンを含むキャップ膜CAP2を先に形成し、このキャップ膜CAP2上に、ジルコニウムを含むキャップ膜CAP1を形成するようにしてもよい。
【0146】
(実施の形態3)
前記実施の形態2では、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、ハフニウムとジルコニウムとランタン(La)を含む絶縁膜であるHfZrLaSiON膜を使用する例について説明した。本実施の形態3では、nチャネル型MISFET(nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1)のゲート絶縁膜に、ハフニウムとジルコニウムと希土類元素(アクチニウムを除く第3族元素やランタノイド)を含む絶縁膜を使用する例について説明する。
【0147】
本実施の形態3における半導体装置の構成は、前記実施の形態1における半導体装置の構成を示す図2とほぼ同様であるため、図示は省略する。異なる点は、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、HfZrSiON膜HK1に代えて、HfZrXSiON膜(Xは希土類元素(アクチニウムを除く第3族元素やランタノイド))を使用している点である。これにより、本実施の形態3によれば、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)を含有させることで、前記実施の形態1と同様に、膜中の固定電荷やトラップ準位を低減することができる。したがって、大幅にPBTIを改善することができ、この結果、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1における信頼性向上を図ることができるのである。また、固定電荷やトラップ準位を低減できるので、しきい値電圧の変動や電流駆動力の低下も抑制することができる。
【0148】
さらに、本実施の形態3では、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)の他に希土類元素も含有させている。この希土類元素は、ハフニウムを含む絶縁膜に含有させると、前記実施の形態2で説明したランタン(La)と同様に、nチャネル型MISFET(ここでは、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1)のしきい値電圧を低減させる効果がある。したがって、本実施の形態3では、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)の他に希土類元素も含有させるようにゲート絶縁膜を構成することにより、ジルコニウム(Zr)による上述した効果の他に、希土類元素によるトランジスタのしきい値電圧の低減という効果も得られる。
【0149】
具体的に、本実施の形態3でいう希土類元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれかをいうものである。
【0150】
本実施の形態3における半導体装置は上記のように構成されており、その製造方法は前記実施の形態2とほぼ同様である。前記実施の形態2では、キャップ膜CAP2にランタン膜、あるいは、酸化ランタン膜を使用していたが、本実施の形態3では、このキャップ膜CAP2として、希土類元素(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか)を含む膜を使用する点だけが相違する。その他の製造工程は、前記実施の形態2における製造工程と同様であるため、その説明は省略する。このようにして、本実施の形態3における半導体装置を製造することができる。
【0151】
(実施の形態4)
前記実施の形態1では、pチャネル型コア用トランジスタQ2、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、および、pチャネル型抵抗素子R2のゲート絶縁膜に、ハフニウムを含む絶縁膜であるHfSiON膜を使用する例について説明した。本実施の形態4では、pチャネル型コア用トランジスタQ2、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、および、pチャネル型抵抗素子R2のゲート絶縁膜に、ハフニウムとアルミニウム(Al)を含む絶縁膜であるHfAlSiON膜を使用する例について説明する。
【0152】
本実施の形態4における半導体装置の構成は、前記実施の形態1における半導体装置の構成を示す図2とほぼ同様であるため、図示は省略する。異なる点は、pチャネル型コア用トランジスタQ2、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、および、pチャネル型抵抗素子R2のゲート絶縁膜に、HfSiON膜HK2に代えて、HfAlSiON膜を使用している点である。
【0153】
本実施の形態4では、HfSiON膜にアルミニウム(Al)を含有させている。このアルミニウム(Al)は、ハフニウムを含む絶縁膜に含有させると、pチャネル型MISFET(ここでは、pチャネル型コア用トランジスタQ2、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、および、pチャネル型抵抗素子R2)のしきい値電圧を低減させる効果がある。したがって、本実施の形態4では、HfSiON膜にアルミニウム(Al)を含有させるようにゲート絶縁膜を構成することにより、アルミニウム(Al)によるトランジスタのしきい値電圧の低減という効果も得られる。
【0154】
本実施の形態4における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。まず、図3〜図5までは、前記実施の形態1における製造工程と同様である。
【0155】
続いて、図22に示すように、酸化シリコン膜SO1および酸化シリコン膜SO2を形成した半導体基板1S上に、HfSiON膜HK2を形成し、このHfSiON膜HK2上にアルミニウムを含むキャップ膜CAP3を形成する。そして、このキャップ膜CAP3上にハードマスク膜HM1を形成する。HfSiON膜HK2は、例えば、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるいは、ALD(Atomic Layer Deposition)法を使用することにより形成することができる。なお、HfSiON膜HK2に代えて、HfSiO膜、HfON膜、HfO膜などの他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。キャップ膜CAP3は、アルミニウムを含む膜であり、例えば、アルミニウム膜や酸化アルミニウム膜から形成されており、例えば、スパッタリング法により形成することができる。また、ハードマスク膜HM1は、例えば、窒化チタン膜から形成されており、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。
【0156】
そして、図23に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ハードマスク膜HM1をパターニングする。ハードマスク膜HM1のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRに形成されているハードマスク膜HM1を除去するように行われる。この結果、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されているハードマスク膜HM1が残存する。その後、パターニングしたハードマスク膜HM1をマスクにしたエッチングにより、露出しているキャップ膜CAP3を除去する。すなわち、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRに露出しているキャップ膜CAP3を除去する。
【0157】
次に、図24に示すように、パターニングしたハードマスク膜HM1上にキャップ膜CAP1を形成する。キャップ膜CAP1は、例えば、Zr(ジルコニウム)膜、あるいは、ZrO(酸化ジルコニウム)膜から形成されており、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、HfSiON膜HK2上に直接キャップ膜CAP1が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ハードマスク膜HM1上にキャップ膜CAP1が形成される。
【0158】
続いて、図25に示すように、半導体基板1Sに対して熱処理を実施する。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、HfSiON膜HK2上に直接キャップ膜CAP1が形成されているので、上述した熱処理によって、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウム(Zr)がHfSiON膜HK2に拡散する。この結果、HfZrSiON膜HK1が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ハードマスク膜HM1上にキャップ膜CAP1が形成されているので、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウムは、HfSiON膜HK2まで拡散しない。これに対し、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ハードマスク膜HM1の下層にキャップ膜CAP3が形成されているので、キャップ膜CAP3に含まれるアルミニウムは、HfSiON膜HK2に拡散する。この結果、HfAlSiON膜HK4が形成される。
【0159】
このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにおいては、HfZrSiON膜HK1が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにおいては、HfAlSiON膜HK4が形成される。ここで、HfZrSiON膜HK1は、電流駆動力のバランスを良くする観点から、HfAlSiON膜HK4よりも物理膜厚が厚くなるように調整することが望ましい。
【0160】
その後、半導体基板1S上にレジスト膜(図示せず)を塗布し、塗布したレジスト膜に対して露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜をパターニングする。レジスト膜のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにレジスト膜が残存するように行われる。言い換えれば、レジスト膜のパターニングは、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにレジスト膜が残存しないように行われる。そして、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチングにより、ハードマスク膜HM1上に形成されているキャップ膜CAP1を除去する。
【0161】
次に、図26に示すように、残存するハードマスク膜HM1を、例えば、エッチング技術により除去する。このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにHfZrSiON膜HK1を形成し、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにHfAlSiON膜HK4を形成することができる。
【0162】
この後の工程は、前記実施の形態1と同様であるので、省略する(図12〜図18参照)。以上のようにして、本実施の形態4における半導体装置を製造することができる。
【0163】
(実施の形態5)
本実施の形態5では、前記実施の形態2と前記実施の形態4とを組み合わせた例について説明する。具体的には、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、ハフニウムとジルコニウムとランタン(La)を含む絶縁膜であるHfZrLaSiON膜を使用する。そして、pチャネル型コア用トランジスタQ2、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、および、pチャネル型抵抗素子R2のゲート絶縁膜に、ハフニウムとアルミニウム(Al)を含む絶縁膜であるHfAlSiON膜を使用する。
【0164】
本実施の形態5における半導体装置の構成は、前記実施の形態1における半導体装置の構成を示す図2とほぼ同様であるため、図示は省略する。異なる点は、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、HfZrSiON膜HK1に代えて、HfZrLaSiON膜を使用している点である。これにより、本実施の形態5によれば、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)を含有させることで、前記実施の形態1と同様に、膜中の固定電荷やトラップ準位を低減することができる。したがって、大幅にPBTIを改善することができ、この結果、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1における信頼性向上を図ることができるのである。また、固定電荷やトラップ準位を低減できるので、しきい値電圧の変動や電流駆動力の低下も抑制することができる。
【0165】
さらに、本実施の形態5では、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)の他にランタン(La)も含有させている。このランタン(La)は、ハフニウムを含む絶縁膜に含有させると、nチャネル型MISFET(ここでは、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1)のしきい値電圧を低減させる効果がある。したがって、本実施の形態5では、HfSiON膜にZr(ジルコニウム)の他にランタン(La)も含有させるようにゲート絶縁膜を構成することにより、ジルコニウム(Zr)による上述した効果の他に、ランタン(La)によるトランジスタのしきい値電圧の低減という効果も得られる。
【0166】
また、本実施の形態5では、pチャネル型コア用トランジスタQ2、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、および、pチャネル型抵抗素子R2のゲート絶縁膜に、HfSiON膜HK2に代えて、HfAlSiON膜を使用している。
【0167】
つまり、本実施の形態5でも、pチャネル型MISFETにおいて、HfSiON膜にアルミニウム(Al)を含有させている。このアルミニウム(Al)は、ハフニウムを含む絶縁膜に含有させると、pチャネル型MISFET(ここでは、pチャネル型コア用トランジスタQ2、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、および、pチャネル型抵抗素子R2)のしきい値電圧を低減させる効果がある。したがって、本実施の形態5では、pチャネル型MISFETにおいて、HfSiON膜にアルミニウム(Al)を含有させるようにゲート絶縁膜を構成することにより、アルミニウム(Al)によるトランジスタのしきい値電圧の低減という効果も得られる。
【0168】
本実施の形態5における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。まず、図3〜図5までは、前記実施の形態1における製造工程と同様である。その後は、図22〜図24に示す前記実施の形態4の製造工程を実施する。
【0169】
続いて、図27に示すように、半導体基板1S上にキャップ膜CAP2を形成する。具体的には、半導体基板1S上に形成されているキャップ膜CAP1上にキャップ膜CAP2が形成される。このキャップ膜CAP2は、ランタン(La)膜、あるいは、酸化ランタン膜から形成されており、例えば、スパッタリング法により形成することができる。
【0170】
その後、図28に示すように、半導体基板1Sに対して熱処理を実施する。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、HfSiON膜HK2上に直接キャップ膜CAP1とキャップ膜CAP2が形成されているので、上述した熱処理によって、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウム(Zr)がHfSiON膜HK2に拡散するとともに、キャップ膜CAP2に含まれるランタン(La)がHfSiON膜HK2に拡散する。この結果、HfZrLaSiON膜HK3が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ハードマスク膜HM1上にキャップ膜CAP1およびキャップ膜CAP2が形成されているので、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウム(Zr)およびキャップ膜CAP2に含まれるランタン(La)は、HfSiON膜HK2まで拡散しない。これに対し、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ハードマスク膜HM1の下層にキャップ膜CAP3が形成されているので、キャップ膜CAP3に含まれるアルミニウムは、HfSiON膜HK2に拡散する。この結果、HfAlSiON膜HK4が形成される。
【0171】
このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにおいては、HfZrLaSiON膜HK3が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにおいては、HfAlSiON膜HK4が形成される。ここで、HfZrLaSiON膜HK3は、電流駆動力のバランスを良くする観点から、HfAlSiON膜HK4よりも物理膜厚が厚くなるように調整することが望ましい。
【0172】
その後、半導体基板1S上にレジスト膜(図示せず)を塗布し、塗布したレジスト膜に対して露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜をパターニングする。レジスト膜のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにレジスト膜が残存するように行われる。言い換えれば、レジスト膜のパターニングは、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにレジスト膜が残存しないように行われる。そして、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチングにより、ハードマスク膜HM1上に形成されているキャップ膜CAP1およびキャップ膜CAP2を除去する。
【0173】
次に、図29に示すように、残存するハードマスク膜HM1を、例えば、エッチング技術により除去する。このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにHfZrLaSiON膜HK3を形成し、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにHfAlSiON膜HK4を形成することができる。
【0174】
この後の工程は、前記実施の形態1と同様であるので、省略する(図12〜図18参照)。以上のようにして、本実施の形態5における半導体装置を製造することができる。なお、本実施の形態5では、ジルコニウムを含むキャップ膜CAP1上に、ランタンを含むキャップ膜CAP2を形成する例を示しているが、これに限らず、例えば、ランタンを含むキャップ膜CAP2を先に形成し、このキャップ膜CAP2上に、ジルコニウムを含むキャップ膜CAP1を形成するようにしてもよい。
【0175】
(実施の形態6)
前記実施の形態1では、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、ハフニウムとジルコニウムを含む絶縁膜であるHfZrSiON膜を使用する例について説明した。このとき、前記実施の形態1における半導体装置の製造方法では、ゲート電極を最初に形成するゲートファーストプロセスを使用していたが、本実施の形態6では、ゲート電極を最後に形成するゲートラストプロセスを使用して、前記実施の形態1と同様の構成を有する半導体装置を製造する方法について説明する。本実施の形態6で説明するゲートラストプロセスは、ダマシンゲートプロセスと呼ばれるものである。
【0176】
以下に、本実施の形態6における半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。まず、図3〜図11までは前記実施の形態1と同様である。続いて、図30に示すように、HfZrSiON膜HK1あるいはHfSiON膜HK2を形成した半導体基板1S上に、金属を含む導体膜CF1を形成する。導体膜CF1は、例えば、窒化チタン膜から形成されており、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。そして、導体膜CF1上にポリシリコン膜PF1を形成する。
【0177】
次に、図31に示すように、ポリシリコン膜PF1上にレジスト膜FR1を塗布する。その後、塗布したレジスト膜FR1に対して、露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜FR1をパターニングする。レジスト膜FR1のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRとnチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)にだけレジスト膜FR1が残るように行われる。言い換えれば、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)、nチャネル型抵抗素子形成領域NRR、および、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されているレジスト膜FR1は除去される。
【0178】
そして、図32に示すように、パターニングしたレジスト膜FR1をマスクにしたエッチングにより、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)、nチャネル型抵抗素子形成領域NRR、および、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されているポリシリコン膜PF1および導体膜CF1を除去する。この結果、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRとnチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)にだけポリシリコン膜PF1と導体膜CF1が残存することになる。その後、パターニングしたレジスト膜FR1を除去する。
【0179】
続いて、図33に示すように、半導体基板1Sの主面の全面にポリシリコン膜PF2を形成し、このポリシリコン膜PF2上に窒化シリコン膜SN2を形成する。このとき、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRとnチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)においては、ポリシリコン膜PF1とポリシリコン膜PF2が一体化するため、この一体化した膜をポリシリコン膜PF2とする。
【0180】
次に、図34に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、ポリシリコン膜PF2および導体膜CF1をパターニングして、ダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6を形成する。具体的に、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRおよびnチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)では、ポリシリコン膜PF2および導体膜CF1をパターニングすることにより、導体膜CF1とポリシリコン膜PF2の積層膜からなるダミーゲート電極DG1、DG3を形成する。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCRおよびpチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)では、ポリシリコン膜PF2をパターニングすることにより、ポリシリコン膜PF2からなるダミーゲート電極DG2、DG4を形成する。さらに、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRおよびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ポリシリコン膜PF2をパターニングすることにより、ポリシリコン膜PF2からなるゲート電極G5およびゲート電極G6を形成する。なお、ダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6の上部には窒化シリコン膜SN2が形成されている。
【0181】
その後、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRでは、ダミーゲート電極DG1をマスクとして、HfZrSiON膜HK1および酸化シリコン膜SO1を加工することにより、酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1からなるゲート絶縁膜を形成する。同様に、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCRでは、ダミーゲート電極DG2をマスクとして、HfSiON膜HK2および酸化シリコン膜SO1を加工することにより、酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2からなるゲート絶縁膜を形成する。また、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)では、ダミーゲート電極DG3をマスクとして、HfZrSiON膜HK1および酸化シリコン膜SO2を加工することにより、酸化シリコン膜SO2とHfZrSiON膜HK1からなるゲート絶縁膜を形成する。同様に、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)では、ダミーゲート電極DG4をマスクとして、HfSiON膜HK2および酸化シリコン膜SO2を加工することにより、酸化シリコン膜SO2とHfSiON膜HK2からなるゲート絶縁膜を形成する。また、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、ゲート電極G5をマスクとして、HfZrSiON膜HK1および酸化シリコン膜SO1を加工することにより、酸化シリコン膜SO1とHfZrSiON膜HK1からなるゲート絶縁膜を形成する。同様に、pチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、ゲート電極G6をマスクとして、HfSiON膜HK2および酸化シリコン膜SO1を加工することにより、酸化シリコン膜SO1とHfSiON膜HK2からなるゲート絶縁膜を形成する。
【0182】
次に、図35に示すように、ダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6の側壁にオフセットスペーサOSを形成する。オフセットスペーサOSは、例えば、酸化シリコン膜から形成されており、例えば、CVD法により半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成した後、この酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより形成することができる。
【0183】
そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ダミーゲート電極DG1、DG3およびゲート電極G5に整合して、浅いn型不純物拡散領域EX1、EX3、EX5を形成する。浅いn型不純物拡散領域EX1、EX3、EX5は、半導体領域であり、リンや砒素などのn型不純物が導入されている。同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ダミーゲート電極DG2、DG4およびゲート電極G6に整合して、浅いp型不純物拡散領域EX2、EX4、EX6を形成する。浅いp型不純物拡散領域EX2、EX4、EX6は、半導体領域であり、ボロン(ホウ素)などのp型不純物が導入されている。
【0184】
次に、図36に示すように、半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、サイドウォールSWをダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6の側壁に形成する。サイドウォールSWは、酸化シリコン膜の単層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜からなるサイドウォールSWを形成してもよい。
【0185】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、それぞれ、サイドウォールSWに整合した深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3を形成する。これらの深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3は、半導体領域であり、リンや砒素などのn型不純物が導入されている。同様に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、それぞれ、サイドウォールSWに整合した深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3を形成する。これらの深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3は、半導体領域であり、ボロン(ホウ素)などのp型不純物が導入されている。
【0186】
このようにして、深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3および深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
【0187】
その後、図37に示すように、半導体基板1S上にニッケルプラチナ膜(図示せず)を形成する。このとき、ダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6の上面には窒化シリコン膜SN2が形成されているので、ニッケルプラチナ膜がダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6に直接接触することはない。一方、深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3や深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3にはニッケルプラチナ膜が直接接する。
【0188】
ニッケルプラチナ膜は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができる。そして、ニッケルプラチナ膜を形成した後、熱処理を施すことにより、深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3の表面においては、シリコンとニッケルプラチナ膜が反応してニッケルプラチナシリサイド膜からなるシリサイド膜SLが形成される。このため、深いn型不純物拡散領域NR1、NR2、NR3においても低抵抗化を図ることができる。また、上述した熱処理により、深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3の表面においてもシリコンとニッケルプラチナ膜が反応してニッケルプラチナシリサイド膜からなるシリサイド膜SLが形成される。このため、深いp型不純物拡散領域PR1、PR2、PR3においても低抵抗化を図ることができる。なお、上述したように、ダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6の上面には窒化シリコン膜SN2が形成されているので、ダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6の上面にはシリサイド膜SLは形成されない。
【0189】
そして、未反応のニッケルプラチナ膜は、半導体基板1S上から除去される。なお、本実施の形態6では、ニッケルプラチナシリサイド膜からなるシリサイド膜SLを形成するように構成しているが、例えば、ニッケルプラチナシリサイド膜に代えてニッケルシリサイド膜、チタンシリサイド膜、コバルトシリサイド膜、あるいは、プラチナシリサイド膜などからシリサイド膜SLを形成するようにしてもよい。
【0190】
次に、図38に示すように、ダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6を形成した半導体基板1S上に、窒化シリコン膜SN1を形成し、この窒化シリコン膜SN1上にコンタクト層間絶縁膜CILを形成する。コンタクト層間絶縁膜CILは、例えば、オゾンとTEOS(tetra ethyl ortho silicate)とを原料に使用した熱CVD法により形成されるオゾンTEOS膜と、このオゾンTEOS膜上に設けられたTEOSを原料に使用したプラズマCVD法により形成されるプラズマTEOS膜との積層膜から形成されている。
【0191】
続いて、図39に示すように、コンタクト層間絶縁膜CILの表面を、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を研磨し、さらに、窒化シリコン膜SN1および窒化シリコン膜SN2の表面も研磨する。これにより、ダミーゲート電極DG1〜DG4およびゲート電極G5、G6の上面が露出する。
【0192】
その後、図40に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用すすることにより、ダミーゲート電極DG1およびダミーゲート電極DG3の一部を構成するポリシリコン膜PF2を除去することにより、溝DIT1を形成する。この溝DIT1の底部には導体膜CF1が露出する。同様に、ダミーゲート電極DG2およびダミーゲート電極DG4を構成するポリシリコン膜PF2を除去することにより、溝DIT2を形成する。この溝DIT2の底部には、HfSiON膜HK2が露出する。なお、ゲート電極G5およびゲート電極G6を構成するポリシリコン膜PF2は残存させる。
【0193】
次に、図41に示すように、半導体基板1Sの主面の全面に、pチャネル型コア用トランジスタおよびpチャネル型I/O用トランジスタの仕事関数を調整するための導体膜CF2を形成する。この導体膜CF2は、溝DIT1および溝DIT2の内面に形成されるが、溝DIT1および溝DIT2を完全には埋め込まないように形成される。その後、溝DIT1および溝DIT2の内部を完全に埋め込むように、導体膜CF2上に導体膜CF3を形成する。この導体膜CF3は、例えば、アルミニウムを含む導体膜から形成され、例えば、スパッタリング法により形成することができる。
【0194】
続いて、図42に示すように、コンタクト層間絶縁膜CIL上に形成されている不要な導体膜CF2および導体膜CF3を、例えば、CMP法で除去することにより、溝DIT1と溝DIT2の内部にだけ導体膜CF2および導体膜CF3を残存させる。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRでは、導体膜CF1と導体膜CF2と導体膜CF3からなるゲート電極G1が形成され、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCRでは、導体膜CF2と導体膜CF3からなるゲート電極G2が形成される。同様に、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)では、導体膜CF1と導体膜CF2と導体膜CF3からなるゲート電極G3が形成され、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)では、導体膜CF2と導体膜CF3からなるゲート電極G4が形成される。
【0195】
以上のようにして、例えば、半導体基板1S上に、nチャネル型コア用トランジスタQ1、pチャネル型コア用トランジスタQ2、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、nチャネル型抵抗素子R1、および、pチャネル型抵抗素子R2を形成することができる。その後の配線工程は、前記実施の形態1と同様であり、配線工程を経ることにより最終的に本実施の形態6における半導体装置を製造することができる。
【0196】
(実施の形態7)
前記実施の形態2では、nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1のゲート絶縁膜に、ハフニウムとジルコニウムとランタン(La)を含む絶縁膜であるHfZrLaSiON膜を使用する例について説明した。このとき、前記実施の形態2における半導体装置の製造方法では、ゲート電極を最初に形成するゲートファーストプロセスを使用していたが、本実施の形態7では、ゲート電極を最後に形成するゲートラストプロセスを使用して、前記実施の形態2と同様の構成を有する半導体装置を製造する方法について説明する。
【0197】
まず、図3〜図8までは前記実施の形態1と同様である。そして、前記実施の形態2で説明した図19〜図21までの工程を実施する。その後、前記実施の形態6で説明した図30〜図42に示す工程を実施し、配線工程を経ることにより、最終的に、本実施の形態7における半導体装置を製造することができる。
【0198】
(実施の形態8)
前記実施の形態3では、nチャネル型MISFET(nチャネル型コア用トランジスタQ1、nチャネル型I/O用トランジスタQ3、および、nチャネル型抵抗素子R1)のゲート絶縁膜に、ハフニウムとジルコニウムと希土類元素(アクチニウムを除く第3族元素やランタノイド)を含む絶縁膜を使用する例について説明した。このとき、前記実施の形態3における半導体装置の製造方法では、ゲート電極を最初に形成するゲートファーストプロセスを使用していたが、本実施の形態8では、ゲート電極を最後に形成するゲートラストプロセスを使用して、前記実施の形態3と同様の構成を有する半導体装置を製造する方法について説明する。
【0199】
まず、図3〜図8までは前記実施の形態1と同様である。そして、前記実施の形態2で説明した図19〜図21までの工程を実施する。このとき、前記実施の形態2では、キャップ膜CAP2にランタン膜、あるいは、酸化ランタン膜を使用していたが、本実施の形態8では、このキャップ膜CAP2として、希土類元素(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか)を含む膜を使用する点だけが相違する。その後、前記実施の形態6で説明した図30〜図42に示す工程を実施し、配線工程を経ることにより、最終的に、本実施の形態8における半導体装置を製造することができる。
【0200】
(実施の形態9)
前記実施の形態4では、pチャネル型コア用トランジスタQ2、pチャネル型I/O用トランジスタQ4、および、pチャネル型抵抗素子R2のゲート絶縁膜に、ハフニウムとアルミニウム(Al)を含む絶縁膜であるHfAlSiON膜を使用する例について説明した。このとき、前記実施の形態4における半導体装置の製造方法では、ゲート電極を最初に形成するゲートファーストプロセスを使用していたが、本実施の形態9では、ゲート電極を最後に形成するゲートラストプロセスを使用して、前記実施の形態4と同様の構成を有する半導体装置を製造する方法について説明する。
【0201】
まず、図3〜図5までは、前記実施の形態1における製造工程と同様である。そして、前記実施の形態4で説明した図22〜図26までの工程を実施する。その後、前記実施の形態6で説明した図30〜図42に示す工程を実施し、配線工程を経ることにより、最終的に、本実施の形態9における半導体装置を製造することができる。
【0202】
(実施の形態10)
前記実施の形態5では、前記実施の形態2と前記実施の形態4とを組み合わせた例について説明した。このとき、前記実施の形態5における半導体装置の製造方法では、ゲート電極を最初に形成するゲートファーストプロセスを使用していたが、本実施の形態10では、ゲート電極を最後に形成するゲートラストプロセスを使用して、前記実施の形態5と同様の構成を有する半導体装置を製造する方法について説明する。
【0203】
まず、図3〜図5までは、前記実施の形態1における製造工程と同様である。その後は、図22〜図24に示す前記実施の形態4の工程を実施する。そして、図27〜図29に示す前記実施の形態5の工程を実施する。その後、前記実施の形態6で説明した図30〜図42に示す工程を実施し、配線工程を経ることにより、最終的に、本実施の形態10における半導体装置を製造することができる。
【0204】
(実施の形態11)
本実施の形態11では、ゲート電極を最後に形成するゲートラストプロセスを使用した半導体装置の製造方法について、前記実施の形態6とは異なる例について説明する。
【0205】
以下に、本実施の形態11における半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。まず、図3〜図5までは前記実施の形態1と同様である。その後、図43に示すように、酸化シリコン膜SO1および酸化シリコン膜SO2を形成した半導体基板1S上に、HfSiON膜HK2を形成する。HfSiON膜HK2は、例えば、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるいは、ALD(Atomic Layer Deposition)法を使用することにより形成することができる。なお、HfSiON膜HK2に代えて、HfSiO膜、HfON膜、HfO膜などの他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。
【0206】
そして、HfSiON膜HK2上にキャップ膜CAP1を形成する。キャップ膜CAP1は、例えば、Zr(ジルコニウム)膜、あるいは、ZrO(酸化ジルコニウム)膜から形成されており、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。続いて、キャップ膜CAP1を形成した半導体基板1S上に、金属を含む導体膜CF1を形成する。導体膜CF1は、例えば、窒化チタン膜から形成されており、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。
【0207】
その後、図44に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRおよびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されている導体膜CF1を除去する。
【0208】
次に、図45に示すように、半導体基板1Sの主面上の全面にポリシリコン膜PF1上に形成する。そして、形成したポリシリコン膜PF1上にレジスト膜(図示せず)を塗布する。その後、塗布したレジスト膜に対して、露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜をパターニングする。レジスト膜のパターニングは、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRとnチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)とnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにだけレジスト膜が残るように行われる。言い換えれば、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されているレジスト膜は除去される。
【0209】
そして、図46に示すように、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチングにより、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRに形成されているポリシリコン膜PF1、導体膜CF1およびキャップ膜CAP1を除去する。この結果、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCRとnチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)にポリシリコン膜PF1と導体膜CF1とキャップ膜CAP1が残存することになる。同様に、nチャネル型抵抗素子形成領域NRRにポリシリコン膜PF1とキャップ膜CAP1が残存することになる。その後、パターニングしたレジスト膜を除去する。
【0210】
続いて、図47に示すように、半導体基板1Sに対して熱処理を実施する。これにより、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRでは、HfSiON膜HK2上にキャップ膜CAP1が形成されているので、上述した熱処理によって、キャップ膜CAP1に含まれるジルコニウム(Zr)がHfSiON膜HK2に拡散する。この結果、HfZrSiON膜HK1が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRでは、キャップ膜CAP1が除去されているので、露出しているHfSiON膜HK2がそのままの状態を維持する。このようにして、nチャネル型コア用トランジスタ形成領域NCR、nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域NTR(I/O)およびnチャネル型抵抗素子形成領域NRRにおいては、HfZrSiON膜HK1が形成される。一方、pチャネル型コア用トランジスタ形成領域PCR、pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域PTR(I/O)およびpチャネル型抵抗素子形成領域PRRにおいては、HfSiON膜HK2がそのまま残存することになる。ここで、HfZrSiON膜HK1は、ジルコニウムを含むので、ジルコニウムを含まないHfSiON膜HK2よりも物理膜厚が厚くなる。
【0211】
その後、前記実施の形態6で説明した図33〜図42に示す工程とほぼ同様の工程を実施し、配線工程を経ることにより、最終的に、本実施の形態11における半導体装置を製造することができる。
【0212】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0214】
1 CPU
1S 半導体基板
2 RAM
3 アナログ回路
4 EEPROM
5 フラッシュメモリ
6 I/O回路
CAP1 キャップ膜
CAP2 キャップ膜
CAP3 キャップ膜
CF1 導体膜
CF2 導体膜
CF3 導体膜
CHP 半導体チップ
CIL コンタクト層間絶縁膜
CNT コンタクトホール
DG1 ダミーゲート電極
DG2 ダミーゲート電極
DG3 ダミーゲート電極
DG4 ダミーゲート電極
DIT1 溝
DIT2 溝
EX1 浅いn型不純物拡散領域
EX2 浅いp型不純物拡散領域
EX3 浅いn型不純物拡散領域
EX4 浅いp型不純物拡散領域
EX5 浅いn型不純物拡散領域
EX6 浅いp型不純物拡散領域
FR1 レジスト膜
G1 ゲート電極
G2 ゲート電極
G3 ゲート電極
G4 ゲート電極
G5 ゲート電極
G6 ゲート電極
HK1 HfZrSiON膜
HK2 HfSiON膜
HK3 HfZrLaSiON膜
HK4 HfALSiON膜
HM1 ハードマスク膜
IL1 層間絶縁膜
L1 配線
NCR nチャネル型コア用トランジスタ形成領域
NR1 深いn型不純物拡散領域
NR2 深いn型不純物拡散領域
NR3 深いn型不純物拡散領域
NRR nチャネル型抵抗素子形成領域
NTR(I/O) nチャネル型I/O用トランジスタ形成領域
NWL1 n型ウェル
NWL2 n型ウェル
NWL3 n型ウェル
OS オフセットスペーサ
PCR pチャネル型コア用トランジスタ形成領域
PF1 ポリシリコン膜
PF2 ポリシリコン膜
PLG プラグ
PR1 深いp型不純物拡散領域
PR2 深いp型不純物拡散領域
PR3 深いp型不純物拡散領域
PRR pチャネル型抵抗素子形成領域
PTR(I/O) pチャネル型I/O用トランジスタ形成領域
PWL1 p型ウェル
PWL2 p型ウェル
PWL3 p型ウェル
Q1 nチャネル型コア用トランジスタ
Q2 pチャネル型コア用トランジスタ
Q3 nチャネル型I/O用トランジスタ
Q4 pチャネル型I/O用トランジスタ
R1 nチャネル型抵抗素子
R2 pチャネル型抵抗素子
SL シリサイド膜
SN1 窒化シリコン膜
SN2 窒化シリコン膜
SO1 酸化シリコン膜
SO2 酸化シリコン膜
STI 素子分離領域
SW サイドウォール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板のnチャネル型MISFET形成領域に形成されたnチャネル型MISFETと前記半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域に形成されたpチャネル型MISFETとを備える半導体装置であって、
前記nチャネル型MISFETは、
(a)前記半導体基板上に形成され、ハフニウムとジルコニウムを含む第1絶縁膜と、
(b)前記第1絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、
(c)前記半導体基板内に形成された第1ソース領域と、
(d)前記半導体基板内に形成された第1ドレイン領域とを有し、
前記pチャネル型MISFETは、
(e)前記半導体基板上に形成され、ハフニウムを含む第2絶縁膜と、
(f)前記第2絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
(g)前記半導体基板内に形成された第2ソース領域と、
(h)前記半導体基板内に形成された第2ドレイン領域とを有し、
前記第1絶縁膜の物理膜厚は、前記第2絶縁膜の物理膜厚よりも厚く、
前記第1絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度は、前記第2絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1絶縁膜は、HfZrSiON膜、HfZrON膜、HfZrO膜のいずれかの膜から構成されており、
前記第2絶縁膜は、HfSiON膜、HfON膜、HfO膜のいずれかの膜から構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記半導体基板と前記第1絶縁膜の間に第1界面層が形成され、
前記半導体基板と前記第2絶縁膜の間に第2界面層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置であって、
前記第1界面層および前記第2界面層は、酸化シリコン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1ゲート電極は、金属を含む第1導体膜と、前記第1導体膜上に形成された第2導体膜から形成され、
前記第2ゲート電極は、金属を含む前記第1導体膜と、前記第1導体膜上に形成された前記第2導体膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜は、窒化チタン膜から形成され、
前記第2導体膜は、ポリシリコン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜は、窒化チタン膜から形成され、
前記第2導体膜は、アルミニウム膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1絶縁膜は、さらに、Laを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1絶縁膜は、さらに、希土類元素を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置であって、
前記第1絶縁膜は、さらに、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれかの元素を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第2絶縁膜は、さらに、Alを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1絶縁膜は、さらに、Laを含み、
前記第2絶縁膜は、さらに、Alを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
半導体基板のnチャネル型MISFET形成領域にnチャネル型MISFETを形成し、前記半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域にpチャネル型MISFETを形成する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板上にハフニウムを含む第2絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記(a)工程後、前記第2絶縁膜上にハードマスク膜を形成する工程と、
(c)前記(b)工程後、前記ハードマスク膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜を除去する工程と、
(d)前記(c)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜上にジルコニウムを含む第1キャップ膜を形成する工程と、
(e)前記(d)工程後、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムを含む第1絶縁膜を形成する工程と、
(f)前記(e)工程後、前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1キャップ膜と前記ハードマスク膜を除去する工程と、
(g)前記(f)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1絶縁膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上に導体膜を形成する工程と、
(h)前記(g)工程後、前記導体膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に第1ゲート電極を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域に第2ゲート電極を形成する工程と、
(i)前記(h)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にn型不純物を導入することにより、第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にp型不純物を導入することにより、第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程とを備え、
前記第1絶縁膜の物理膜厚は、前記第2絶縁膜の物理膜厚よりも厚く、
前記第1絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度は、前記第2絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1絶縁膜は、HfZrSiON膜、HfZrON膜、HfZrO膜のいずれかの膜から構成されており、
前記第2絶縁膜は、HfSiON膜、HfON膜、HfO膜のいずれかの膜から構成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a)工程前に、前記半導体基板上に界面層を形成する工程を有し、
前記(a)工程は、前記界面層上に前記第2絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法であって、
前記界面層を酸化シリコン膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(g)工程は、金属を含む第1導体膜を形成し、その後、前記第1導体膜上に第2導体膜を形成することにより、前記第1導体膜と前記第2導体膜からなる前記導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(g)工程は、前記第1導体膜を窒化チタン膜から形成し、前記第2導体膜をポリシリコン膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
(j)前記(d)工程後、前記(e)工程前に、前記第1キャップ膜上に、ランタンを含む第2キャップ膜を形成する工程を有し、
前記(e)工程は、前記(j)工程後、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムおよび前記第2キャップ膜に含まれているランタンを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムとランタンを含む第1絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法であって、
(k)前記(a)工程後、前記(b)工程前に、前記第2絶縁膜上に、アルミニウムを含む第3キャップ膜を形成する工程を有し、
前記(b)工程は、前記(k)工程後、前記第3キャップ膜上に前記ハードマスク膜を形成し、
前記(c)工程は、前記ハードマスク膜および前記第3キャップ膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜および前記第3キャップ膜を除去し、
前記(e)工程は、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムおよび前記第2キャップ膜に含まれているランタンを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムとランタンを含む第1絶縁膜を形成し、かつ、前記第3キャップ膜に含まれているアルミニウムを前記pチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記pチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとアルミニウムを含む前記第2絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
半導体基板のnチャネル型MISFET形成領域にnチャネル型MISFETを形成し、前記半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域にpチャネル型MISFETを形成する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板上にハフニウムを含む第2絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記(a)工程後、前記第2絶縁膜上にハードマスク膜を形成する工程と、
(c)前記(b)工程後、前記ハードマスク膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜を除去する工程と、
(d)前記(c)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜上にジルコニウムを含む第1キャップ膜を形成する工程と、
(e)前記(d)工程後、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムを含む第1絶縁膜を形成する工程と、
(f)前記(e)工程後、前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1キャップ膜と前記ハードマスク膜を除去する工程と、
(g)前記(f)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1絶縁膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上に金属を含む第1導体膜を形成する工程と、
(h)前記(g)工程後、前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1導体膜を除去する工程と、
(i)前記(h)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1導体膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程と、
(j)前記(i)工程後、前記第1導体膜および前記第2導体膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に第1ダミーゲート電極を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域に第2ダミーゲート電極を形成する工程と、
(k)前記(j)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にn型不純物を導入することにより、第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にp型不純物を導入することにより、第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程と、
(l)前記(k)工程後、前記第1ダミーゲート電極および前記第2ダミーゲート電極を覆う前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(m)前記(l)工程後、前記層間絶縁膜の表面を研磨することにより、前記第1ダミーゲート電極の上面および前記第2ダミーゲート電極の上面を露出する工程と、
(n)前記(m)工程後、前記第1ダミーゲート電極の一部を構成する前記第2導体膜を除去することにより、前記層間絶縁膜に第1溝を形成し、かつ、前記第2ダミーゲート電極を構成する前記第2導体膜を除去することにより、前記層間絶縁膜に第2溝を形成する工程と、
(o)前記(n)工程後、前記第1溝の内部および前記第2溝の内部を含む前記層間絶縁膜上に金属を含む第3導体膜を形成し、前記第3導体膜上に金属を含む第4導体膜を形成することにより、前記第1溝の内部と前記第2溝の内部を前記第3導体膜と前記第4導体膜で埋め込む工程と、
(p)前記(o)工程後、前記層間絶縁膜上に形成されている不要な前記第3導体膜および前記第4導体膜を除去することにより、前記第1溝内に第1ゲート電極を形成し、かつ、前記第2溝内に第2ゲート電極を形成する工程とを備え、
前記第1絶縁膜の物理膜厚は、前記第2絶縁膜の物理膜厚よりも厚く、
前記第1絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度は、前記第2絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1絶縁膜は、HfZrSiON膜、HfZrON膜、HfZrO膜のいずれかの膜から構成されており、
前記第2絶縁膜は、HfSiON膜、HfON膜、HfO膜のいずれかの膜から構成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項21記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a)工程前に、前記半導体基板上に界面層を形成する工程を有し、
前記(a)工程は、前記界面層上に前記第2絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23記載の半導体装置の製造方法であって、
前記界面層を酸化シリコン膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
請求項21記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(g)工程は、前記第1導体膜を窒化チタン膜から形成し、
前記(i)工程は、前記第2導体膜をポリシリコン膜から形成し、
前記(o)工程は、前記第4導体膜をアルミニウム膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項26】
請求項21記載の半導体装置の製造方法であって、
(q)前記(d)工程後、前記(e)工程前に、前記第1キャップ膜上に、ランタンを含む第2キャップ膜を形成する工程を有し、
前記(e)工程は、前記(q)工程後、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムおよび前記第2キャップ膜に含まれているランタンを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムとランタンを含む第1絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項27】
請求項26記載の半導体装置の製造方法であって、
(r)前記(a)工程後、前記(b)工程前に、前記第2絶縁膜上に、アルミニウムを含む第3キャップ膜を形成する工程を有し、
前記(b)工程は、前記(r)工程後、前記第3キャップ膜上に前記ハードマスク膜を形成し、
前記(c)工程は、前記ハードマスク膜および前記第3キャップ膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記ハードマスク膜および前記第3キャップ膜を除去し、
前記(e)工程は、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムおよび前記第2キャップ膜に含まれているランタンを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムとランタンを含む第1絶縁膜を形成し、かつ、前記第3キャップ膜に含まれているアルミニウムを前記pチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記pチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとアルミニウムを含む前記第2絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項28】
半導体基板のnチャネル型MISFET形成領域にnチャネル型MISFETを形成し、前記半導体基板のpチャネル型MISFET形成領域にpチャネル型MISFETを形成する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板上にハフニウムを含む第2絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記(a)工程後、前記第2絶縁膜上にジルコニウムを含む第1キャップ膜を形成する工程と、
(c)前記(b)工程後、前記第1キャップ膜上に金属を含む第1導体膜を形成する工程と、
(d)前記(c)工程後、前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1導体膜および前記第1キャップ膜を除去する工程と、
(e)前記(d)工程後、前記半導体基板に対して加熱処理を施すことにより、前記第1キャップ膜に含まれているジルコニウムを前記nチャネル型MISFET形成領域の前記第2絶縁膜に拡散して、前記nチャネル型MISFET形成領域にハフニウムとジルコニウムを含む第1絶縁膜を形成する工程と、
(f)前記(e)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第1導体膜上および前記pチャネル型MISFET形成領域に形成されている前記第2絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程と、
(g)前記(f)工程後、前記第1導体膜および前記第2導体膜をパターニングすることにより、前記nチャネル型MISFET形成領域に第1ダミーゲート電極を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域に第2ダミーゲート電極を形成する工程と、
(h)前記(g)工程後、前記nチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にn型不純物を導入することにより、第1ソース領域および第1ドレイン領域を形成し、前記pチャネル型MISFET形成領域の前記半導体基板内にp型不純物を導入することにより、第2ソース領域および第2ドレイン領域を形成する工程と、
(i)前記(h)工程後、前記第1ダミーゲート電極および前記第2ダミーゲート電極を覆う前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(j)前記(i)工程後、前記層間絶縁膜の表面を研磨することにより、前記第1ダミーゲート電極の上面および前記第2ダミーゲート電極の上面を露出する工程と、
(k)前記(j)工程後、前記第1ダミーゲート電極の一部を構成する前記第2導体膜を除去することにより、前記層間絶縁膜に第1溝を形成し、かつ、前記第2ダミーゲート電極を構成する前記第2導体膜を除去することにより、前記層間絶縁膜に第2溝を形成する工程と、
(l)前記(k)工程後、前記第1溝の内部および前記第2溝の内部を含む前記層間絶縁膜上に金属を含む第3導体膜を形成し、前記第3導体膜上に金属を含む第4導体膜を形成することにより、前記第1溝の内部と前記第2溝の内部を前記第3導体膜と前記第4導体膜で埋め込む工程と、
(m)前記(l)工程後、前記層間絶縁膜上に形成されている不要な前記第3導体膜および前記第4導体膜を除去することにより、前記第1溝内に第1ゲート電極を形成し、かつ、前記第2溝内に第2ゲート電極を形成する工程とを備え、
前記第1絶縁膜の物理膜厚は、前記第2絶縁膜の物理膜厚よりも厚く、
前記第1絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度は、前記第2絶縁膜に含まれているジルコニウムの濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2012−59888(P2012−59888A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201049(P2010−201049)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】