説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】複数のゲート電極3bを覆うように窒化シリコン膜(第1絶縁膜)5を形成した後、オゾンTEOS膜(第1酸化シリコン膜)6、プラズマTEOS膜(第2酸化シリコン膜)を順次積層する。ここで、オゾンTEOS膜6を積層後、プラズマTEOS膜を積層する前に、窒化シリコン膜5をCMPストッパ膜として、CMP法により研磨する。これにより、プラズマTEOS膜の膜厚を均一化させることができるので、半導体装置の信頼性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、半導体基板上に絶縁膜、特に、プリメタル層間絶縁膜を形成する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2000−208624号公報(特許文献1)には、プリメタル層間絶縁膜の形成技術として、O−TEOS(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)を用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化シリコン膜を形成することが記載されている。また、その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により前記酸化シリコン膜をゲート電極の導電層の厚さが薄くなるまで研磨し、更にその上に、PH−SiH−Oを用いたCVD法により酸化シリコン膜を形成することが記載されている。
【0003】
特開平3−194932号公報(特許文献2)には、アルミニウムから成る配線間および配線上にPE(Plasma Enhanced)−SiO膜、O−TEOSを用いたCVDによる酸化シリコン膜を順次堆積することが記載されている。また、その後、エッチバックにより、配線上のPE−SiO膜が露出するまで前記酸化シリコン膜を除去し、更にその上に、PE−SiO膜を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−208624号公報
【特許文献2】特開平3−194932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、プリメタル層間絶縁膜の形成方法について検討を行い以下の課題を見出した。半導体装置のプリメタル層間絶縁膜の形成方法として、例えば以下の方法が考えられる。まず、オゾンTEOSによる酸化シリコン膜(以下、「オゾンTEOS膜」または「O−TEOS膜」と略称する場合がある)等の埋め込み特性の良好なCVD酸化シリコン系絶縁膜を成膜する。その後、CMPスクラッチ耐性が良好なプラズマTEOSによる酸化シリコン膜(以下、「プラズマTEOS膜」または「P−TEOS膜」と略称する場合がある)等を積層する。その後、CMPでP−TEOS膜の上面を平坦化して第1層配線層の下地を形成する。
【0006】
しかし、単に、O−TEOS膜上にP−TEOS膜を堆積する場合、次のような問題点がある。すなわち、埋込み特性に優れたO3−TEOS膜は、P−TEOS膜に比べて吸湿性が高いという性質がある。そのため、O3−TEOS膜を成膜した段階で水分を吸収し、水分の含有量が高くなりやすい。また、O−TEOS膜は、成膜する下地の形状に倣って堆積されるため、O−TEOS膜の平坦化処理を施さずに、P−TEOS膜を積層し、その後、P−TEOS膜の上面を平坦化すると、P−TEOS膜の膜厚が薄い部分が発生する。このようにP−TEOS膜の一部が薄くなった状態で、プリメタル層間絶縁膜上に、配線層を形成すると、O−TEOS膜から脱離した水分の影響により、信頼性が低下する原因となる。例えば、配線層の配線間において、経時絶縁破壊(Time-Dependent Dielectric Breakdown:TDDB)特性が劣化する原因となる。
【0007】
そこで、本願発明者は、上記信頼性を向上させる観点から、O−TEOS膜および、P−TEOS膜の膜厚を安定化させるため、O−TEOS膜の平坦化処理を行った後で、P−TEOS膜を積層する技術についてさらに検討を行った。詳しくは、O−TEOS膜の平坦化処理方法として、CMP法により平坦化する方法、およびエッチング法により平坦化する方法について検討を行った。O−TEOS膜および、P−TEOS膜の膜厚を安定化させるためには、O−TEOS膜の平坦化処理を行う際に、O−TEOS膜の膜厚を均一化させることが重要である。この、O−TEOS膜の膜厚の均一性には、被処理対象物である半導体ウエハの処理毎の均一性(以下、ウエハ間均一性と呼ぶ)と、一枚の半導体ウエハ内における均一性(以下、ウエハ面内均一性と呼ぶ)が含まれる。
【0008】
前記特許文献1では、ゲート電極の導電層の厚さが薄くなるまでCMP法による研磨を行うため、平坦化処理の終点の設定が困難であり、O−TEOS膜の膜厚のウエハ間均一性が低下する。また、ゲート電極の導電層の一部を研磨する際に、ゲート電極、あるいは周囲のO−TEOS膜が損傷し易くなる。一方、前記特許文献2では、プラズマCVD法による窒化シリコン膜をエッチバックの終点検出膜として用いているので、O−TEOS膜の膜厚のウエハ間均一性は前記特許文献1よりは向上する。しかし、窒化シリコン膜が除去されて平坦化処理が終了する前に、周囲のO−TEOS膜のエッチバックが継続するため、O−TEOS膜の膜厚のウエハ面内均一性が低下する。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体装置の信頼性を向上させる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
すなわち、本願発明の一態様である半導体装置の製造方法は、以下の工程を含むものである。(a)半導体ウエハの第1の主面上に、複数のゲート電極を形成する工程を含む。(b)前記複数のゲート電極それぞれの両隣に、ソース領域およびドレイン領域を形成する工程を含む。(c)前記ソース領域およびドレイン領域の上面、および前記ゲート電極の上面を含む前記半導体ウエハの前記第1の主面上に、第1絶縁膜を形成する工程を含む。(d)前記CMPストッパ膜上に、オゾンおよびTEOSを用いた熱CVDによる第1酸化シリコン膜を形成する工程を含む。(e)前記第1酸化シリコン膜をCMP法により研磨して、前記ゲート電極上において、前記CMPストッパ膜の上面を露出させる工程を含む。(f)前記(e)工程の後、前記CMPストッパ膜の露出された上面および前記第1酸化シリコン膜の残存した部分に、TEOSを用いたプラズマCVDによる第2酸化シリコン膜を形成する工程を含む。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0014】
すなわち、本願発明の一態様によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法による半導体装置の断面構造の一例を示す拡大断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法におけるプロセス・フローを示す説明図である。
【図3】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、半導体基板準備工程からゲート電極形成工程までを示す拡大断面図である。
【図4】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、サイドウォール形成工程からシリサイド化工程までを示す拡大断面図である。
【図5】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、窒化シリコン膜形成工程を示す拡大断面図である。
【図6】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、オゾンTEOS膜形成工程を示す拡大断面図である。
【図7】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、CMP工程を示す拡大断面図である。
【図8】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、プラズマTEOS膜形成工程を示す拡大断面図である。
【図9】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、コンタクトホール形成工程を示す拡大断面図である。
【図10】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、プラグ形成工程を示す拡大断面図である。
【図11】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、層間絶縁膜形成工程を示す拡大断面図である。
【図12】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、配線溝形成工程を示す拡大断面図である。
【図13】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、配線形成工程の一部を示す拡大断面図である。
【図14】図2に示す半導体装置の製造工程のうち、配線形成工程の一部を示す拡大断面図である。
【図15】図1の変形例である半導体装置の製造方法による半導体装置の断面構造の一例を示す拡大断面図である。
【図16】図4に対する変形例を示す拡大断面図である。
【図17】図5に対する変形例を示す拡大断面図である。
【図18】図7に対する変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0017】
「ゲート部」とは、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)や、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のゲート電極、ゲート絶縁膜、サイドウォールを含むゲート電極を中心とする構造体をいう。
【0018】
「酸化シリコン膜の含水率」とは、酸化シリコン膜の単位体積当たりに含まれる水分(HO成分)およびOH基の含有密度をいう。本願では、O−TEOS膜とP−TEOS膜のそれぞれに含まれる水分およびOH基の含有密度を比較する際に、含水率が大きい、あるいは含水率が小さいという表現を用いるが、「含水率が小さい」には、水分およびOH基を含有しない場合も含まれる。
【0019】
「CMPストッパ膜」とは、CMP法による研磨加工の加工終点となる膜である。例えば、CMP法による研磨加工の被研磨膜である酸化シリコン膜の下層に該酸化シリコン膜と異なる材料から成る膜(例えば、窒化シリコン膜)を形成することで、被研磨膜の材料の変化を研磨抵抗変化、温度変化、あるいは研磨剤(スラリ)廃液の変化などとして検出し、加工終点を判定することができる。
【0020】
「セリアスラリ」とは、研磨剤に含まれる砥粒の主要成分としてセリア(酸化セリウム:CeO)を含む研磨剤をいう。
【0021】
「アニオン系界面活性剤」とは、分子内に親水基と疎水基を持ち、水中で電離した時に陰イオンとなる物質をいう。
【0022】
なお、以下の各実施の形態は、C(Complementary)MISFETを集積したシリコン・ベースの半導体集積回路装置を一例として取り上げて説明するが、ほぼp−n対称構造であるため、図上では、主にnチャネル・デバイス側を例にとり具体的に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
<半導体装置の概要>
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法による半導体装置の断面構造の一例を示す拡大断面図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置1には、半導体基板2の主面2aに複数のMISFET(半導体素子)Qaが形成されている。MISFETQaのそれぞれは、主面2a上に形成されるゲート電極3b(ゲート部3)、および主面2aにおいてゲート電極3b(ゲート部3)の両隣に形成されるソース領域またはドレイン領域(以下、ソース・ドレイン領域4と記載する)を有している。なお、本実施の形態のゲート部3には、主面2a上に形成されるゲート絶縁膜3a、ゲート絶縁膜3a上に形成されるゲート電極3b、ゲート絶縁膜3aおよびゲート電極3bの側面を覆うサイドウォール絶縁膜3c、およびゲート電極3b上の金属シリサイド層3dが含まれる。また、ソース・ドレイン領域4の上面(ソース領域の上面およびドレイン領域の上面)、および複数のゲート部3の上面を含む半導体基板2の主面2a上には、CMPストッパ膜としての、窒化シリコン膜(第1絶縁膜)5が形成されている。複数のMISFETQaを含む半導体基板2の主面2a上は、この窒化シリコン膜5に覆われている。また、ゲート電極3b(ゲート部3)の間には、オゾンおよびTEOSを用いた熱CVDによる酸化シリコン膜であるオゾンTEOS膜6が、ゲート電極3b(ゲート部3)の間に埋め込まれるように形成されている。また、複数のゲート電極3b(ゲート部3)上、およびオゾンTEOS膜6上には、TEOSを用いたプラズマCVDによる酸化シリコン膜であるプラズマTEOS膜7が形成されている。また、オゾンTEOS膜6、プラズマTEOS膜7および窒化シリコン膜5を貫通するように、コンタクトホール(貫通孔)が形成されている。この、コンタクトホールには、プラグ8が埋め込まれ、MISFETQaの電極(ゲート電極3b、ソース領域、あるいはドレイン領域)と電気的に接続されている。ここまでが、プリメタル領域PMである。
【0025】
プリメタル領域PM上には、配線層M1が形成されている。配線層M1は、下層のSiCN膜等の絶縁性バリア膜11、主層間絶縁膜であるプラズマ酸化シリコン膜12、およびそれらに形成された配線溝に埋め込まれた配線13から構成されている。配線13は、例えば、銅(Cu)膜13cおよび銅膜13cの周囲に埋め込まれ、銅の拡散を防止ないしは抑制するバリア導体膜13bから成り、プラグ8と電気的に接続されている。なお、図示は省略したが、半導体装置1は、プリメタル領域PM上に複数の配線層が積層されている。例えば、図1に示す配線層M1の上層には、さらに複数の配線層が積層され、配線層M1に形成された配線13は、各配線層に形成された配線を介して、最上層の配線層に形成された複数のボンディング・パッドと、電気的に接続されている。
【0026】
ここで、本実施の形態では、プリメタル領域PMに形成されたプリメタル層間絶縁膜は、窒化シリコン膜5、オゾンTEOS膜6およびプラズマTEOS膜7の積層膜となっている。オゾンTEOS膜6はプラズマTEOS膜7よりも埋め込み特性(段差被覆性)が良好なので、下層にオゾンTEOS膜6を配置することで、ゲート電極3b(ゲート部3)の間にしっかりと酸化シリコン膜を埋め込むことができる。一方、プラズマTEOS膜7は、オゾンTEOS膜6よりも吸湿性が低いという性質がある。換言すれば、プラズマTEOS膜7の含水率は、オゾンTEOS膜6の含水率よりも小さくなっている。したがって、オゾンTEOS膜6上をプラズマTEOS膜7で覆うことにより、オゾンTEOS膜6から脱離した水分を、配線層M1に到達し難くすることができる。この結果、例えば、配線層M1の配線13間において、経時絶縁破壊(TDDB)特性が劣化するなどの信頼性低下を抑制することができる。
【0027】
ところで、半導体基板2上にCVD法により絶縁膜を成膜する場合、主面2aの凹凸に倣って成膜されるため、例えば図1に示す窒化シリコン膜5のように、絶縁膜の上面は、主面2a上に形成された構造体の形状に倣った凹凸面となる。オゾンTEOS膜6の上面が、窒化シリコン膜5と同様に主面2a上に形成された構造体の形状に倣った凹凸面になっている場合、プラズマTEOS膜7の下面が凹凸面となるため、プラズマTEOS膜7の膜厚が薄い領域が発生する。この場合、プラズマTEOS膜7の膜厚が薄い領域において、オゾンTEOS膜6から脱離した水分が配線層M1に到達してしまう場合がある。特に、半導体装置の性能向上の観点から、プリメタル層間絶縁膜の厚さを薄くする要求があり、プラズマTEOS膜7の厚さも必要最小限に留める必要がある。
【0028】
そこで、本実施の形態では、窒化シリコン膜5をCMPストッパ膜として、オゾンTEOS膜6に平坦化処理を施し、その後、プラズマTEOS膜7を積層している。このため、オゾンTEOS膜6の平坦度は、窒化シリコン膜5の平坦度よりも高い。そして、オゾンTEOS膜6を平坦化することにより、プラズマTEOS膜7の膜厚を均一化している。詳しくは、本実施の形態では、プラズマTEOS膜7は、複数のゲート部3上において、窒化シリコン膜5と接しており、複数のゲート部3の間においては、窒化シリコン膜5と接していない。つまり、プラズマTEOS膜7の膜厚を均一化することで、プラズマTEOS膜7の膜厚が薄い領域の発生を抑制できる。このため、オゾンTEOS膜6から脱離した水分が配線層M1に到達してしまうことを抑制し、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。また、本実施の形態では、例えば、半導体基板2の主面2aからプラズマTEOS膜7の下面までの厚さよりも、プラズマTEOS膜7の厚さ(プラズマTEOS膜7の下面から上面までの厚さ)の方が厚くなっている。このため、オゾンTEOS膜6から脱離した水分が、配線層M1に到達してしまうことを抑制することができる。なお、オゾンTEOS膜6から脱離した水分の影響を抑制する観点からは、プラズマTEOS膜7の厚さを厚くすることが好ましいが、半導体装置1の性能向上の観点から、プラズマTEOS膜7の厚さを薄くする場合もある。この場合でも、プラズマTEOS膜7の膜厚を均一化することで、プラズマTEOS膜7の膜厚が他よりも薄い領域の発生を抑制することで、オゾンTEOS膜6から脱離した水分の影響を抑制することができる。
【0029】
なお、半導体装置1のその他の詳細な構造は、次に半導体装置の製造方法を説明する際に説明する。
【0030】
<半導体装置の製造方法>
次に、図1に示す半導体装置の製造方法、および半導体装置のさらに詳細な構造について説明する。図2は、本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法におけるプロセス・フローを示す説明図である。また、図3〜図14は、図2に示す半導体装置の製造方法における各工程を示す拡大断面図である。
【0031】
まず、図3に示すように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)2を準備する(図2に示す半導体基板準備工程)。なお、本実施の形態では、一例としてp型のシリコン単結晶ウエハを用いる場合を説明するが、ウエハの導電型(不純物型)は、これに限定されず、n型でも良い。次に、その半導体基板2の主面2aに、素子分離領域20を形成する(図2に示す素子分離領域形成工程)。素子分離領域20は、シリコン酸化膜などからなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成される。
【0032】
次に、半導体基板2のnチャネル型MISFETが形成される領域に、p型ウェル領域が形成される(図2に示すウェル領域形成工程)。また、半導体基板2のpチャネル型MISFETが形成される領域に、n型ウェル領域が形成される(図2に示すウェル領域形成工程)。p型ウェル領域は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することによって形成される。また、n型ウェル領域は、例えばリン(P)または砒素(As)などのn型の不純物をイオン注入することによって形成される。
【0033】
次に、半導体基板2の主面2aの表面(p型ウェル領域およびn型ウェル領域の表面)に、ゲート絶縁膜3aが形成される(図2に示すゲート絶縁膜形成工程)。ゲート絶縁膜3aは、例えば、2nm〜4nm程度の薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成される。次に、図3に示すように、p型ウェル領域のゲート絶縁膜3a上に、ゲート電極3bを形成する(図2に示すゲート電極形成工程)。また、同様に、n型ウェル領域のゲート絶縁膜3a上に、ゲート電極3bを形成する(図2に示すゲート電極形成工程)。ゲート電極3bは、例えば多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)などから形成される。
【0034】
ゲート電極3bを形成するには、まず、半導体基板2上にノンドープ・ポリシリコン膜を形成する。次に、n型ウェル領域を覆うレジスト膜(図示は省略)をマスクとして、nチャネル型MISFETが形成される領域に位置するポリシリコン膜の部分に、リン(P)または砒素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、このポリシリコン膜の部分が低抵抗のn型半導体膜とされる。そして、p型ウェル領域を覆うレジスト膜(図示は省略)をマスクとして、pチャネル型MISFETが形成される領域に位置するポリシリコン膜の部分に、ホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、このポリシリコン膜の部分が低抵抗のp型半導体膜とされる。次に、半導体基板2の主面2a上に、ゲート電極3bをパターニングするためのレジスト膜(図示は省略)を形成し、このレジスト膜をマスクとして、不純物がドープされたポリシリコン膜のエッチングを行い、図3に示すゲート電極3bを形成する。
【0035】
次に、n型ウェル領域を覆うレジスト膜(図示は省略)をマスクとして、p型ウェル領域にリン(P)または砒素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n型半導体領域(エクステンション領域4a)を形成する。なお、エクステンション領域は、ソース領域のエクステンション領域、または、ドレイン領域のエクステンション領域をいうが、以下、単にエクステンション領域と記載する。また、p型ウェル領域を覆うレジスト膜(図示は省略)をマスクとして、n型ウェル領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p型半導体領域(エクステンション領域)を形成する。次に、ゲート電極3bの側壁に、例えば、シリコン酸化膜、あるいは、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜などからなるサイドウォール絶縁膜3cを形成する(図2に示すサイドウォール形成工程)。サイドウォール絶縁膜3cは、例えば、CVD法により、半導体基板2上にシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜に異方性エッチングを施すことによって形成される。
【0036】
次に、n型ウェル領域を覆うレジスト膜(図示は省略)をマスクとして、p型ウェル領域のゲート電極3bの間に、または砒素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n型半導体領域(ソース・ドレイン領域4)を形成する(図2に示すソース・ドレイン領域形成工程)。また、p型ウェル領域を覆うレジスト膜(図示は省略)をマスクとして、n型ウェル領域のゲート電極の間にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p型半導体領域(ソース領域またはドレイン領域)を形成する(図2に示すソース・ドレイン領域形成工程)。ソース・ドレイン領域4は、前記したエクステンション領域4aよりも不純物濃度が高い。詳しくは、n型半導体領域は、n型半導体領域よりも不純物濃度が高く、また、p型半導体領域は、p型半導体領域よりも不純物濃度が高い。
【0037】
次に、半導体基板2の主面2aの自然酸化膜を除去し、ゲート電極3b、およびソース・ドレイン領域4の表面を露出させる。続いて、その表面を覆うように、例えばニッケル(Ni)膜のような金属膜(図示は省略)を形成する。次に、半導体基板2の主面2aを、例えば300℃程度の温度で熱処理(アニール処理)することにより、金属膜と半導体基板2の主面2aのシリコンを反応させて、金属膜をシリサイド化する。そして、未反応の金属膜(ニッケル膜)を除去し、図4に示すように金属シリサイド層3d、4bを形成する(図2に示すシリサイド化工程)。これにより、ゲート絶縁膜3a、ゲート電極3b、サイドウォール絶縁膜3cおよびゲート電極3b上の金属シリサイド層3dをそれぞれ有する複数のゲート部3が主面2a上に離間して形成される。そして、複数のゲート部3の間には、表面に金属シリサイド層4bを有するソース・ドレイン領域4が形成される。つまり、半導体基板2の主面2aに複数のMISFET(半導体素子)Qaが形成される。
【0038】
次に、図5に示すように、ソース・ドレイン領域4の上面、および複数のゲート電極3b(ゲート部3)の上面を含む主面2a上に、図2に示すCMP工程において、CMPストッパ膜となる窒化シリコン膜(第1絶縁膜)5を形成する(図2に示す窒化シリコン膜形成工程)。この窒化シリコン膜5は、図2に示すコンタクトホール形成工程において、エッチングストッパ膜としても用いるので、ソース・ドレイン領域4の上面、および複数のゲート電極3b(ゲート部3)の上面を含む主面2aのほぼ全面に形成する。窒化シリコン膜5は、例えば、CVD法により、30nm程度の厚さで成膜する。このようにCVD法により成膜する場合、下地の凹凸に倣って成膜される。このため、図5に示すように窒化シリコン膜5の上面は、下層に配置される半導体基板2の主面2a上の凹凸に倣った凹凸面となる。
【0039】
次に、図6に示すように、窒化シリコン膜5上に、オゾンおよびTEOSを用いた熱CVDによる酸化シリコン膜であるオゾンTEOS膜6を形成する(図2に示すオゾンTEOS膜形成工程)。オゾンTEOS膜6は、例えば、200nm程度の厚さで、複数のゲート部3の間の窪みが埋まるように成膜する。成膜条件は、例えば、処理室内気圧を2kPa〜80kPa、成膜温度(ウエハ・ステージの設定温度)は400℃から550℃程度、ガス流量は、TEOS、O、Heの流量をそれぞれ、1000〜5000mgm、10000〜30000sccm、10000〜30000sccmとすることができる。なお、流量の単位として[sccm]や[slm]を用いる場合があるが、この[sccm]、[slm]は、標準状態(1気圧:101325Pa、0℃)で1分間当たりの流量を体積(ccまたはリットル)で表わしている。したがって、標準状態のガスに換算すると、例えば、1sccmは、1.67×10−9/secとして表わすことができる。
【0040】
オゾンTEOS膜形成工程で形成するオゾンTEOS膜6は、窒化シリコン膜5上に積層するので、オゾンTEOS膜6の上面は、窒化シリコン膜5の上面に倣った凹凸面となる。このため、本実施の形態では、図2に示すように、オゾンTEOS膜形成工程の後で、かつ、プラズマTEOS膜形成工程の前に、CMP工程を行い、オゾンTEOS膜6(図6参照)の上面に対して平坦化処理を施す。CMP工程では、図7に示すように、窒化シリコン膜5をCMPストッパ膜、換言すれば、CMP法による研磨加工の加工終点として用いる。詳しくは、CMP法による被研磨膜であるオゾンTEOS膜6を上面側から研磨していくと、窒化シリコン膜5の一部(ゲート電極3b上における窒化シリコン膜5の上面)が露出する。窒化シリコン膜5の一部が露出すると、窒化シリコン膜5が露出したことを、例えば、研磨抵抗変化、温度変化、あるいは研磨剤(スラリ)廃液の変化などとして検出することができる。このため、ゲート電極3b(ゲート部3)上における窒化シリコン膜5の上面が露出した時点で、加工終点を判定し、CMP法による加工を終了させることができる。このように、窒化シリコン膜5をCMPストッパ膜として用いれば、CMP工程後のオゾンTEOS膜6の膜厚を、ゲート部3の高さで制御することができる。したがって、例えば、複数の半導体ウエハに対して、CMP法による平坦化処理を、順次施す場合に、オゾンTEOS膜6の膜厚のウエハ間均一性(半導体ウエハの処理毎の均一性)を向上させることができる。
【0041】
ところで、前記したようにオゾンTEOS膜6は、プラズマTEOS膜よりも埋め込み特性(段差被覆性)が良好なので、窒化シリコン膜5の上面の段差を被覆する観点から好ましい。しかし、オゾンTEOS膜6は、プラズマTEOS膜と比較して、CMP法による研磨処理を行った場合に、加工面に傷が発生し易い(スクラッチ耐性が低い)という特性がある。このため、本実施の形態のように、オゾンTEOS膜6の上面を平坦化する方法として、CMP法を適用する場合には、被研磨膜であるオゾンTEOS膜6に加わる応力を低減することで、オゾンTEOS膜6の傷の発生を抑制し、信頼性を向上させることができる。
【0042】
そこで、本実施の形態ではCMP工程において、オゾンTEOS膜6の被研磨面(上面)に供給する研磨剤として、分散剤中にセリア(酸化セリウム:CeO)砥粒が分散される、セリアスラリを用いている。CMP法で用いる研磨剤としては、この他、シリカ(フュームドシリカ)スラリを用いることもできるが、以下の観点からセリアスラリを用いることが好ましい。すなわち、セリアスラリを用いた場合には、シリカスラリを用いた場合と比較して被研磨膜の加工面に傷が発生し難い。また、セリアスラリは、シリカスラリよりも加工レートが高いので、スラリ中の砥粒濃度を低減することができる。例えば、本実施の形態では、セリアスラリ中のセリア砥粒の濃度を2.0重量%以下としている。このため、シリカスラリを用いた場合と比較して被研磨膜に印加される応力を低減することができるので、オゾンTEOS膜6のCMP加工における損傷を抑制することができる。なお、セリアスラリは、弱酸性から中性領域において、加工レートが高くなるので、CMP工程におけるpH値は、5前後としている。
【0043】
また、窒化シリコン膜5の上面が露出して、CMP法による平坦化処理が終了する前に、ゲート電極3b(ゲート部3)の間のオゾンTEOS膜6が研磨されてしまい、平坦性が低下する現象(ディッシングと呼ぶ)を抑制する観点から、研磨剤(セリアスラリ)には、アニオン系界面活性剤が含まれていることが好ましい。研磨剤中にアニオン系界面活性剤を含めることにより、窒化シリコン膜5の研磨レートに対するオゾンTEOS膜6の研磨レート比を高くしても、ディッシングを抑制することができる。例えば、本実施の形態では、窒化シリコン膜5の研磨レートに対するオゾンTEOS膜6の研磨レート比を10以上として、オゾンTEOS膜6の膜厚(ソース・ドレイン領域4上の厚さ)のウエハ面内均一性(一枚の半導体ウエハ内における均一性を向上させている。しかし、前記研磨レート比を10以上としても、ディッシングを抑制できるので、CMP工程後のオゾンTEOS膜6および窒化シリコン膜5の平坦性を向上させることができる。例えば、図7に示すように、CMP工程後の窒化シリコン膜5は、複数のゲート部3上において、オゾンTEOS膜6から露出しているが、複数のゲート電極3b(ゲート部3)の間においては、オゾンTEOS膜6から露出していない。なお、本実施の形態のCMP工程に代えて、エッチング法により平坦化処理する方法も考えられるが、CMP法はエッチング法よりも、平坦化処理後のオゾンTEOS膜6および窒化シリコン膜5の平坦性を向上させることができる。
【0044】
次に、図8に示すように、窒化シリコン膜5の露出された上面およびオゾンTEOS膜6の残存した部分に、TEOSを用いたプラズマCVDによるプラズマTEOS膜7を形成する(図2に示すプラズマTEOS膜形成工程)。プラズマTEOS膜7は、例えば、200nm〜300nm程度の厚さで、窒化シリコン膜5およびオゾンTEOS膜6上に成膜する。成膜条件は、例えば、処理室内気圧を300Pa〜1100Pa、成膜温度(ウエハ・ステージの設定温度)は370℃〜400℃程度、ガス流量は、TEOS、Oをそれぞれ、200〜1500sccm、0.5〜3.0slm、高周波電力(13.56MHz:500〜1500W,400〜430KHz:250〜600W)とすることができる。本実施の形態では、プラズマTEOS膜形成工程をCMP工程の後で行うので、既に平坦化された面上に成膜する。このため、図8に示すように、プラズマTEOS膜7の膜厚を均一化することができる。また、CMP工程により平坦化された面上に、プラズマTEOS膜7を形成することで、プラズマTEOS膜7の埋込み特性は問題にはならない。そして、含水率が高いオゾンTEOS膜6を、オゾンTEOS膜6よりも含水率が低いプラズマTEOS膜7で覆うことができる。また、CMP工程により平坦化された面上に、プラズマTEOS膜7を形成することで、プラズマTEOS膜7の上面は、下地となる窒化シリコン膜5の露出された上面およびオゾンTEOS膜6の残存した部分の上面に倣った平坦面となる。このため、図2に示すコンタクトホール形成工程は、プラズマTEOS膜7の上面に対して、CMPなどの平坦化処理を施すことなく行うことができる。このため、プラズマTEOS膜7の上面に対する平坦化処理時にプラズマTEOS膜7やオゾンTEOS膜6が損傷することを防止することができる。なお、本実施の形態では、プリメタル層間絶縁膜として、窒化シリコン膜5、オゾンTEOS膜6およびプラズマTEOS膜7の三層構造の絶縁膜を説明したが、プリメタル層間絶縁膜の積層数は四層以上であっても良い。
【0045】
次に、図9に示すように、プラズマTEOS膜7、オゾンTEOS膜6、および窒化シリコン膜5を貫通するコンタクトホール8aを形成する(図2に示すコンタクトホール形成工程)。本工程では、プラズマTEOS膜7上に所定のレジスト膜パターン(図示は省略)を形成する。そのレジスト膜パターンをマスクとして、プラズマTEOS膜7、オゾンTEOS膜6および窒化シリコン膜5に異方性ドライエッチングを施すことにより、コンタクトホール8aを形成する。
【0046】
コンタクトホール8aを形成するための異方性ドライエッチングでは、まず、窒化シリコン膜5に対するエッチングレートよりも、オゾンTEOS膜6、プラズマTEOS膜7に対するエッチングレートが速くなるエッチング条件のもとで、プラズマTEOS膜7およびオゾンTEOS膜6に順次エッチングを施して、開口部を形成する。つまり、窒化シリコン膜5をエッチングストッパとして機能させる。エッチングガスとしては、例えば、CF,C,C,C等のフルオロカーボンガス、酸素ガス、およびアルゴンガス等の混合ガスを用いることができる。次に、プラズマTEOS膜7に対するエッチングレートよりも窒化シリコン膜5に対するエッチングレートが速くなるエッチング条件のもとで、窒化シリコン膜5にエッチングを施し、開口部の底の窒化シリコン膜5を取り除き、ゲート部3およびソース・ドレイン領域4を露出させる。これにより、窒化シリコン膜5、オゾンTEOS膜6、およびプラズマTEOS膜7を貫通するコンタクトホール8aが形成される。エッチングガスとしては、例えば、CF,CHF等のフルオロカーボンガス、酸素ガス、およびアルゴンガス等の混合ガスを用いることができる。このように、本実施の形態では、CMP工程におけるCMPストッパ膜と、コンタクトホール形成工程におけるエッチングストッパ膜を窒化シリコン膜5で兼用することにより、製造工程の追加による製造効率の低下を防止することができる。なお、図9では、ソース・ドレイン領域4上にコンタクトホール8aが形成された断面を例示している。しかし、コンタクトホール8aは、分離して形成されたゲート部3、ソース・ドレイン領域4(ソース領域およびドレイン領域)のそれぞれを露出させるように形成される。
【0047】
次に、図10に示すように、コンタクトホール8a内に、プラグ8を形成する(図2に示すプラグ形成工程)。本工程では、まず、プリメタル層間絶縁膜の上面(図10では、プラズマTEOS膜7の上面)、およびコンタクトホール8aの内面に、バリア導体膜8bとして、チタン膜および窒化チタン膜を順次成膜する。バリア導体膜8bは、例えば、TiClをメタルソースガスとして用いたメタルCVD処理により、形成することができる。なお、バリア導体膜8bの形成方法については、被覆性等の問題がないのであれば、メタルCVD処理のほか、スパッタリング成膜、またはメタルCVD処理とスパッタリング成膜の組み合わせ等の方法が適用できる。次に、コンタクトホール8a内のバリア導体膜8b上に、主導体膜であるタングステン膜8cを形成する。タングステン膜8cは、例えば、WFをメタルソースガスとして用いたメタルCVD処理により、コンタクトホール8aを埋め込むように形成する。次に、メタルCMP処理により、コンタクトホール8a外部のバリア導体膜8bを除去する。このメタルCMP処理では、例えば、研磨剤として、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム:AlO)砥粒を含んだアルミナスラリを用いることができる。以上の工程により、図10に示すように、プリメタル層間絶縁膜の上面に、ゲート部3あるいはソース・ドレイン領域4と電気的に接続されるプラグ8が露出されたプリメタル領域PMが形成される。
【0048】
次に、プリメタル領域PM上に配線層を形成する工程(図2に示す層間絶縁膜形成工程以降の工程)について説明する。なお、プリメタル領域PM上には、複数層の配線層が形成されるが、本実施の形態では、配線層を形成する工程の例として、複数の配線層のうち、最下層(プリメタル領域の上層)に形成される配線層(第1層目の配線層)M1(図1参照)を形成する工程について説明する。
【0049】
まず、図11に示すように、プラグ8が埋め込まれたプリメタル層間絶縁膜の上面(図11では、プラズマTEOS膜7の上面)上に、絶縁性バリア膜11および主層間絶縁膜であるプラズマ酸化シリコン膜12を順に成膜する(図2に示す層間絶縁膜形成工程)。絶縁性バリア膜11は、プラズマ酸化シリコン膜12に配線溝等をエッチングにより形成する際に、そのエッチングによって下層に損傷を与えたり、加工寸法精度が悪化したりするのを回避することに利用することができる。すなわち、プラズマ酸化シリコン膜12にエッチングを施す際に、絶縁性バリア膜11をエッチングストッパ膜として機能させることができる。このため、絶縁性バリア膜11は、プラズマ酸化シリコン膜12に対して、エッチング選択比を有する材料からなる。例えば、SiCN膜などを用いることができる。一方、絶縁性バリア膜11および主層間絶縁膜としては、半導体装置の低誘電率化を図る観点から、所謂、Low−k材料と呼ばれる低誘電率材料からなる低誘電率絶縁膜とすることが好ましい。なお、低誘電率絶縁膜(Low−k絶縁膜)とは、最上層の配線層(図示は省略)を覆うパッシベーション膜(図示は省略)に含まれる酸化シリコン膜(例えばTEOS酸化シリコン膜)の誘電率よりも低い誘電率を有する絶縁膜を例示することができる。一般的には、TEOS酸化シリコン膜の比誘電率(ε=4.1〜4.2程度)よりも低い比誘電率を有する絶縁膜(絶縁材料)を低誘電率絶縁膜(低誘電率材料)といい、ε=1.8〜3程度が研究レベルで報告されている。本実施の形態では、例えば、SiCHと酸化剤を主成分として含む原料ガスを用いて、プラズマCVD法により形成される、プラズマ酸化シリコン膜12を主層間絶縁膜として用いている。
【0050】
次に、図12に示すように、プラズマ酸化シリコン膜12および絶縁性バリア膜11を貫通して、プラグ8を露出させる配線溝13aを形成する(図2に示す配線溝形成工程)。本工程では、プラズマ酸化シリコン膜12上にフォトリソグラフィ法により、レジスト膜パターン(図示は省略)を形成する。そして、このレジスト膜パターンをエッチングマスクとして、絶縁性バリア膜11に対するエッチングレートよりもプラズマ酸化シリコン膜12に対するエッチングレートが速くなるエッチング条件のもとで、プラズマ酸化シリコン膜12にドライエッチングを施してプラズマ酸化シリコン膜12に開口部を形成する。次に、プラズマ酸化シリコン膜12に対するエッチングレートよりも絶縁性バリア膜11に対するエッチングレートが速くなるエッチング条件のもとで、開口部の底の絶縁性バリア膜11を取り除き、プラグ8の上面を露出させる配線溝13aを形成する。その後、エッチングマスクとしてのレジスト膜パターンを除去する。
【0051】
次に、配線溝13a内に、導体膜を埋め込んで、図1に示すように、配線13を形成する(図2に示す配線形成工程)。本工程では、まず、図13に示すように、配線溝13aの底および側壁を含むプラズマ酸化シリコン膜12上に、例えば、タンタル(Ta)膜、窒化タンタル(TaN)膜あるいはこれらの積層膜などからなる膜厚約10nm程度のバリア導体膜13bを形成する。バリア導体膜13bは、スパッタリング法やCVD法などによって形成される。また、バリア導体膜13bは、銅膜13cの銅の拡散を防止ないしは抑制する機能などを有している。このようなバリア導体膜13bの材料としては、上述したタンタル系の材料に代えて、銅とほとんど反応しない窒化タングステン(WN)または窒化チタン(TiN)などのような高融点金属窒化物などを用いることもできる。また、バリア導体膜13bの材料として、高融点金属窒化物にシリコン(Si)を添加した材料や、銅と反応しにくいチタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)合金、ルテニウム(Ru)などのような高融点金属を用いることもできる。また、バリア導体膜13bとしては、上述した材料の単体膜でなく、積層膜を用いることもできる。
【0052】
次に、図14に示すようにバリア導体膜13b上に、配線溝13aに埋め込むように、例えば銅(Cu)からなる主導体膜として、銅膜13cを形成する。銅膜13cは、例えばスパッタリング法またはめっき法などを用いて形成される。また、銅膜13cは、銅を主成分とする導体膜、例えば銅または銅合金(Cuを主成分とし、例えばMg、Ag、Pd、Ti、Ta、Al、Nb、ZrまたはZnなどを含む)により形成することができる。あるいは、バリア導体膜13b上に、相対的に薄い銅(または銅合金)などからなるシード膜をスパッタリング法などによって形成し、そのシード膜上に相対的に厚い銅(または銅合金)などからなる銅膜13cをめっき法などによって形成することもできる。その後、例えば非酸化性雰囲気(例えば水素雰囲気)中において、半導体基板2に熱処理を施すことにより銅膜13cの結晶粒を成長させる。次に、メタルCMP処理により、図14に示す配線溝13a外部のバリア導体膜13bおよび銅膜13cを除去する。このメタルCMP処理では、研磨剤として、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム:AlO)砥粒を含んだアルミナスラリを用いることができる。これにより、図1に示すように絶縁膜(絶縁性バリア膜11およびプラズマ酸化シリコン膜12)に配線13が埋め込まれた配線層M1が形成される。この配線13は、配線溝13aの底部においてプリメタル領域PMのプラグ8の上面と接触し、プラグ8を介してゲート部3あるいはソース・ドレイン領域4と電気的に接続される。
【0053】
その後、配線層M1上にさらに、複数の配線層を積層する(図2に示す配線層積層工程)。一例として11層構造の配線層(図示は省略)について説明すると、第1層目の配線層M1上に積層される、第2層目〜第6層目の配線層は、略同様に形成される。例えば、下層のSiOC膜、SiCN膜等からなる複合絶縁性バリア膜(ライナー膜)上に主層間絶縁膜が、積層して形成される。この主層間絶縁膜は、例えば、下層よりカーボンドープ酸化シリコン膜、すなわち、SiOC膜とプラズマTEOSシリコン酸化膜の積層膜が形成される。また、これらの層間絶縁膜を貫通して、銅プラグおよび銅配線を含む銅埋め込み配線が形成される。
【0054】
また、第6層目の配線層上に積層される、第7層目および第8層目の配線層は、略同様に形成される。例えば、下層のSiCN膜等の絶縁性バリア膜上に上層の主層間絶縁膜が、積層して形成される。この主層間絶縁膜は、例えば、下層よりプラズマTEOSシリコン酸化膜、FSG(Fluorosilicate Glass)膜、およびUSG(Undoped Silicate Glass)膜の積層膜が形成される。また、これらの層間絶縁膜を貫通して、銅プラグおよび銅配線を含む銅埋め込み配線が形成される。
【0055】
また、第8層目の配線層上に積層される、第9層目および第10層目の配線層は、略同様に形成される。例えば、下層のSiCN膜等の絶縁性バリア膜上に上層の主層間絶縁膜が積層して形成される。また、主層間絶縁膜は、例えば、下層よりFSG膜、USG膜の積層膜が形成される。また、主層間絶縁膜上に、さらに、SiCN膜等の絶縁性バリア膜、FSG膜、およびUSG膜等が積層して形成される。また、これらの層間絶縁膜等を貫通して、銅プラグおよび銅配線を含む銅埋め込み配線が形成される。
【0056】
また、その上の最上層配線層は、例えば以下のように形成される。すなわち、SiCN膜等の絶縁性バリア膜、USG膜等の主層間絶縁膜が積層して形成される。これらの層間絶縁膜を貫通して、タングステン・プラグが設けられており、USG膜上にはアルミニウム配線およびボンディング・パッドが形成される。また、主層間絶縁膜上には、アルミニウム配線を覆うようにプラズマSiN等のファイナル・パッシベーション膜等が積層されて形成される。
【0057】
(実施の形態2)
次に、前記実施の形態1で説明した半導体装置1の変形例およびその製造方法について説明する。なお、本実施の形態では、前記実施の形態1で説明した半導体装置およびその製造方法との相違点を中心に説明し、共通する部分は、説明を省略する。また、図面についても前記実施の形態1との相違点を説明するために必要な図面を示し、必要に応じ、前記実施の形態1で説明した図面を引用して説明する。図15は、図1の変形例である半導体装置の製造方法による半導体装置の断面構造の一例を示す拡大断面図である。また、図16は図4に対する変形例を示す拡大断面図、図17は図5に対する変形例を示す拡大断面図である。また、図18は、図7に対する変形例を示す拡大断面図である。
【0058】
図15に示す本実施の形態の半導体装置30と、図1に示す前記実施の形態1の半導体装置1の相違点は、ゲート部3とは、頂点の高さの異なるゲート部31が形成されている点である。詳しくは、ゲート部31は、半導体基板2の主面2aよりも高い位置に配置される上面20aを有する素子分離領域20上に形成されている。ゲート部31は、ゲート部3を形成する各工程(前記実施の形態1で説明した図2に示すゲート絶縁膜形成工程からサイドウォール形成工程まで)において、レジスト膜パターン(図示は省略)の形状を変更することにより、同時に形成することができる。このため、ゲート部31自身の高さ(厚さ、上面20aに対する直交方向の高さ)は、ゲート部3自身の高さ(厚さ、上面20aに対する直交方向の高さ)と同等あるいはそれ以上となっている。なお、本実施の形態では、図2に示すサイドウォール形成工程の後で、図16に示すように、ゲート電極3bおよびサイドウォール絶縁膜3cを覆う絶縁膜(例えば、CVD法により形成されたシリコン酸化膜)3eが形成されるので、ゲート部31の高さは、ゲート部3の高さよりも高くなっている。本実施の形態のゲート部31には、上面20a上に形成されるゲート絶縁膜3a、ゲート絶縁膜3a上に形成されるゲート電極3b、ゲート絶縁膜3aおよびゲート電極3bの側面を覆うサイドウォール絶縁膜3c、およびゲート電極3bおよびサイドウォール3cを覆う絶縁膜3eが含まれる。
【0059】
このように、主面2aよりも高い位置に配置される素子分離領域20の上面20a上に、ゲート部3の高さ以上のゲート部31が形成されているので、ゲート部31の頂点の高さは、ゲート部3の頂点の高さよりも高くなる。このため、窒化シリコン膜形成工程(図2参照)で、CMPストッパ膜としての窒化シリコン膜(第1絶縁膜)5を形成すると、図17に示すようにゲート部31上の窒化シリコン膜5の上面は、ゲート部3上の窒化シリコン膜5よりも高い位置に配置されることとなる。そして、この状態でオゾンTEOS膜形成工程(図2参照)の後、CMP工程(図2参照)を施すと、図18に示すように、ゲート部31上の窒化シリコン膜5の上面が露出した時点でCMP法による研磨処理を終了することができるので、ゲート部3上には、オゾンTEOS膜6が残存している。このため、CMP工程において、ゲート部3周辺のオゾンTEOS膜6に加わる応力を前記実施の形態1よりも、さらに低減することができる。
【0060】
ここで、図15に示すゲート部3は、半導体装置30の論理回路と電気的に接続される、MISFETQaの一部であるが、ゲート部31は、前記論理回路には接続されない、所謂ダミーゲートとなっている。したがって、論理回路に接続されるゲート部3周辺のオゾンTEOS膜6の傷の発生を抑制すれば、半導体装置30の信頼性を向上させることができる。また、前記実施の形態1で説明したように、オゾンTEOS膜6の被研磨面(上面)に供給する研磨剤として、分散剤中にセリア(CeO)砥粒が分散される、セリアスラリを用いることで、オゾンTEOS膜6のCMP加工における損傷を抑制することができる。また、研磨剤中にアニオン系界面活性剤を含めることにより、窒化シリコン膜5の研磨レートに対するオゾンTEOS膜6の研磨レート比を高くしても、ディッシングを抑制することができる。また、前記実施の形態1と同様に、本実施の形態では、プラズマTEOS膜形成工程をCMP工程の後で行うので、既に平坦化された面上に成膜する。このため、図15に示すように、プラズマTEOS膜7の膜厚を均一化することができる。また、CMP工程により平坦化された面上に、プラズマTEOS膜7を形成することで、プラズマTEOS膜7埋込み特性は問題にはならない。そして、含水率が高いオゾンTEOS膜6を、オゾンTEOS膜6よりも含水率が低いプラズマTEOS膜7で覆うことができる。また、CMP工程により平坦化された面上に、プラズマTEOS膜7を形成することで、プラズマTEOS膜7の上面は、下地となる窒化シリコン膜5の露出された上面およびオゾンTEOS膜6の残存した部分の上面に倣った平坦面となる。このため、図2に示すコンタクトホール形成工程は、プラズマTEOS膜7の上面に対して、CMPなどの平坦化処理を施すことなく行うことができる。このため、プラズマTEOS膜7の上面に対する平坦化処理時にプラズマTEOS膜7やオゾンTEOS膜6が損傷することを防止することができる。
【0061】
上記の製造方法により得られる本実施の形態の半導体装置30は、図15に示すように、プラズマTEOS膜7は、ゲート部31上において、窒化シリコン膜5と接し、複数のゲート部3上においては、窒化シリコン膜5と接していない構造となる。
【0062】
なお、本実施の形態の半導体装置およびその製造方法は、上記した相違点を除き、前記実施の形態1で説明した半導体装置およびその製造方法と同様である。したがって、重複する説明は省略するが、上記相違点を除き、前記実施の形態1で説明した発明を適用することができる。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0064】
例えば、前記実施の形態2では、素子分離領域20上に、ダミーゲートとしてのゲート部31を形成する実施態様について説明したが、ゲート部3と高さの異なるゲート部の態様はこれに限定されない。例えば、半導体基板2の主面2a上にゲート部3よりも高いゲート部を形成することもできる。この時、ゲート部3よりも高くする方法としては、例えば、前記実施の形態2で説明したゲート部31のように、ゲート電極3bおよびサイドウォール絶縁膜3cを覆う絶縁膜(例えば、CVD法により形成されたシリコン酸化膜)3eが形成された構造としても良い。この場合、絶縁膜3eの厚さ分、ゲート部3よりも高いゲート部を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、半導体基板上に絶縁膜、特に、プリメタル層間絶縁膜を形成する半導体装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1、30 半導体装置、
2 半導体基板(半導体ウエハ)
2a 主面
3、31 ゲート部
3a ゲート絶縁膜
3b ゲート電極
3c サイドウォール絶縁膜
3d 金属シリサイド層
3e 絶縁膜
4 ソース・ドレイン領域
4a エクステンション領域
4b 金属シリサイド層
5 窒化シリコン膜(CMPストッパ膜、第1絶縁膜)
6 オゾンTEOS膜(酸化シリコン膜)
7 プラズマTEOS膜(酸化シリコン膜)
8 プラグ
8a コンタクトホール
8b バリア導体膜
8c タングステン膜
11 絶縁性バリア膜
12 プラズマ酸化シリコン膜
13 配線
13a 配線溝
13b バリア導体膜
13c 銅膜
20 素子分離領域
20a 上面
M1 配線層
PM プリメタル領域
Qa MISFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体ウエハの第1の主面上に、複数のゲート電極を離間して形成する工程と、
(b)前記複数のゲート電極の間に、ソース領域またはドレイン領域を形成する工程と、
(c)前記(a)工程および前記(b)工程の後、前記ソース領域の上面、前記ドレイン領域の上面、および前記複数のゲート電極の上面を含む前記半導体ウエハの前記第1の主面上に、第1絶縁膜を形成する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記第1絶縁膜上に、オゾンおよびTEOSを用いた熱CVDによる第1酸化シリコン膜を形成する工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記第1絶縁膜をCMPストッパとして、前記第1酸化シリコン膜をCMP法により研磨して、前記複数のゲート電極上において、前記第1絶縁膜の上面を露出させる工程と、
(f)前記(e)工程の後、前記第1絶縁膜の露出された上面および前記第1酸化シリコン膜の残存した部分に、TEOSを用いたプラズマCVDによる第2酸化シリコン膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記(c)工程では、前記第1絶縁膜として、窒化シリコン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記(e)工程では、
前記第1酸化シリコン膜の被研磨面に研磨剤としてセリアスラリを供給し、研磨することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記研磨剤には、アニオン系界面活性剤が含まれることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1において、
(g)前記(f)工程の後、前記第2酸化シリコン膜、前記第1酸化シリコン膜、および前記第1絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程、
をさらに含み、
前記(g)工程は、前記(f)工程で形成された前記第2酸化シリコン膜の上面に対して平坦化処理を施すことなく行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記(g)工程は、
(g1)前記第1絶縁膜をエッチングストッパとして、エッチングにより、前記第2酸化シリコン膜および前記第1酸化シリコン膜を貫通する開口部を形成する工程、
(g2)前記開口部の底の前記第1絶縁膜を取り除いて前記コンタクトホールを形成する工程、を含んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
(a)半導体ウエハの第1の主面上に、第1ゲート電極および第2ゲート電極を離間して形成する工程と、
(b)前記第1ゲート電極の隣に、ソース領域またはドレイン領域を形成する工程と、
(c)前記(a)工程および前記(b)工程の後、前記ソース領域の上面、前記ドレイン領域の上面、および前記第1および第2ゲート電極の上面を含む前記半導体ウエハの前記第1の主面上に、第1絶縁膜を形成する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記第1絶縁膜上に、オゾンおよびTEOSを用いた熱CVDによる第1酸化シリコン膜を形成する工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記第1絶縁膜をCMPストッパとして、前記第1酸化シリコン膜をCMP法により研磨して、前記第2ゲート電極上において、前記第1絶縁膜の上面を露出させる工程と、
(f)前記(e)工程の後、前記第1絶縁膜の露出された上面および前記第1酸化シリコン膜の残存した部分に、TEOSを用いたプラズマCVDによる第2酸化シリコン膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記(c)工程では、前記第1絶縁膜として、窒化シリコン膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記(d)工程では、前記第2ゲート電極上の前記第1絶縁膜の上面は、前記第1ゲート電極上の前記第1絶縁膜の上面よりも高い位置に配置されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記(e)工程では、前記第1ゲート電極上において、前記第1絶縁膜の上面が露出する前に前記研磨を終了することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9において、
前記(a)工程では、前記半導体ウエハの前記第1の主面よりも高い位置に配置される上面を備える素子分離領域上に、前記第2ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項7において、
前記(e)工程では、
前記第1酸化シリコン膜の被研磨面に研磨剤としてセリアスラリを供給し、研磨することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項7において、
前記研磨剤には、アニオン系界面活性剤が含まれることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項7において、
(g)前記(f)工程の後、前記第2酸化シリコン膜、前記第1酸化シリコン膜、および前記第1絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程、
をさらに含み、
前記(g)工程は、前記(f)工程で形成された前記第2酸化シリコン膜の上面に対して平坦化処理を施すことなく行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
半導体基板の第1の主面上に離間して形成される複数のゲート電極と、
前記複数のゲート電極の間に形成されるソース領域またはドレイン領域と、
前記ソース領域の上面、前記ドレイン領域の上面、および前記複数のゲート電極の上面を含む前記半導体基板の前記第1の主面上に形成されるCMPストッパ膜と、
第1の含水率を有し、前記複数のゲート電極の間に埋め込まれた第1酸化シリコン膜と、
前記第1の含水率よりも小さい第2の含水率を有し、前記複数のゲート電極上、および前記第1酸化シリコン膜上に形成される第2酸化シリコン膜と、
前記第2酸化シリコン膜上に形成される配線層と、
を有し、
前記第2酸化シリコン膜は、前記複数のゲート電極上において、前記CMPストッパ膜と接しており、前記複数のゲート電極の間においては、前記CMPストッパ膜と接していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記半導体装置は、前記第2酸化シリコン膜、前記第1酸化シリコン膜、および前記CMPストッパ膜を貫通し、前記ゲート電極、前記ソース領域、または前記ドレイン領域と電気的に接続されるプラグをさらに有し、
前記第2酸化シリコン上には、前記プラグと電気的に接続される配線を備える配線層が積層されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
半導体基板の第1の主面上に離間して形成される複数の第1ゲート電極、および前記複数の第1ゲート電極と離間して形成される第2ゲート電極と、
前記複数の第1ゲート電極の間に形成されるソース領域またはドレイン領域と、
前記ソース領域の上面、前記ドレイン領域の上面、前記複数の第1ゲート電極の上面、および前記第2ゲート電極の上面を含む前記半導体基板の前記第1の主面上に形成されるCMPストッパ膜と、
第1の含水率を有し、前記複数の第1ゲート電極の間および前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極の間に埋め込まれた第1酸化シリコン膜と、
前記第1の含水率よりも小さい第2の含水率を有し、前記複数の第1ゲート電極上、前記第2ゲート電極上、および前記第1酸化シリコン膜上に形成される第2酸化シリコン膜と、
前記第2酸化シリコン膜上に形成される配線層と、
を有し、
前記第2酸化シリコン膜は、前記第2ゲート電極上において、前記CMPストッパ膜と接しており、前記複数の第1ゲート電極上においては、前記CMPストッパ膜と接していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項17において、
前記第2ゲート電極上の前記CMPストッパ膜の上面は、前記第1ゲート電極上の前記CMPストッパ膜の上面よりも高い位置に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記第2ゲート電極は、前記半導体基板の前記第1の主面よりも高い位置に配置される上面を備える素子分離領域上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項17において、
前記半導体装置は、前記第2酸化シリコン膜、前記第1酸化シリコン膜、および前記CMPストッパ膜を貫通し、前記第1ゲート電極、前記ソース領域、または前記ドレイン領域と電気的に接続されるプラグをさらに有し、
前記第2酸化シリコン膜上には、前記プラグと電気的に接続される配線を備える配線層が積層されていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−38898(P2012−38898A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177275(P2010−177275)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】