説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】配線絶縁膜としてSiOCH膜を用いる場合に、ビアホールの開口径に依らず、その加工制御性を十分に得て、下層Cu配線の表面の組成のバラツキを十分に抑制する。
【解決手段】下層Cu配線3上に形成されている積層構造20は、シリコンと炭素を含有するキャップ絶縁膜4と、キャップ絶縁膜4上に形成されている配線絶縁膜5としてのSiOCH膜を有する。積層構造20にビアホール8、9を形成する工程は、第1及び第2ドライエッチングを組み合わせて行う。第1ドライエッチングでは開口径が小さいビアホール9のエッチングレートが、開口径が大きいビアホール8のエッチングレートよりも大きくなるようにO濃度が設定された第1混合ガスを用いる。第2ドライエッチングではビアホール8のエッチングレートがビアホール9のエッチングレートよりも大きくなるようにO濃度が設定された第2混合ガスを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化と集積化の進展にともない、シリコン基板に形成されたトランジスタの上層に形成される多層配線の微細化が急速に進展している。この多層配線は、水平方向にトランジスタ素子を接続する複数層のトレンチ配線と、これらトレンチ配線を垂直方向に接続するビアと、を有する。65nmノード以降は、配線材料として銅(Cu)を用い、また配線絶縁膜材料として低誘電率のシリコン(Si)、炭素(C)及び酸素(O)を主成分とするSiOCH膜を用いることが一般的となっている。銅による配線パターンを形成する方法としては、トレンチ配線とビアとを同時に作りこむデュアルダマシン加工法が最も普及している。
【0003】
デュアルダマシン加工法のうち、ビアホールから先に形成するビアファーストデュアルダマシン加工法では、銅配線上のキャップ絶縁膜でエッチングをストップさせ、そのまま一定時間エッチングプロセスを継続する、いわゆるオーバーエッチングを行う。これにより、配線絶縁膜の膜厚の面内バラツキや、エッチングレートの面内バラツキ等に依らず、各ビアホールをキャップ絶縁膜に達する深さに形成する。
【0004】
一般に、キャップ絶縁膜としては、シリコン(Si)及び炭素(C)を主成分とするシリコン炭化膜(SiC)が使われているが、窒素を添加したシリコン炭窒化膜SiCNや酸素を添加したシリカカーボン複合膜(SCC:Silica−carbon−composite)も用いられている。
【0005】
このようなキャップ絶縁膜により下層Cu配線を保護した後で、該下層Cu配線の上層にビアホールを形成することにより、ビアに接続される下層Cu配線層の酸化などの表面変質の度合いのバラツキに起因する接続抵抗のバラツキや信頼性劣化を抑制している。
【0006】
そのため、キャップ絶縁膜のエッチングストップ性は非常に重要であり、キャップ絶縁膜に十分な膜厚を持たせるとともに、キャップ絶縁膜に配線絶縁膜とのエッチング選択比を十分に持たせることがこれまで一般的であった。
【0007】
近年、LSI(Large Scale Integration)の微細化に対応し、配線絶縁膜として比誘電率が3.0以下の単一のSiOCH膜が用いられるようになってきた。しかし、ビア配線形成工程において、配線絶縁膜中のC濃度が大きい、すなわち配線絶縁膜中のCとSiとの濃度比(C/Si)が大きい炭素リッチSiOCH膜を用いた場合、エッチングストッパであるキャップ絶縁膜と配線絶縁膜であるSiOCH膜との組成の差が小さくなり、キャップ絶縁膜と配線絶縁膜でのエッチングの選択性が小さくなってしまうことが顕在化してきている。
【0008】
図8は配線絶縁膜(SiOCH膜)とキャップ絶縁膜との炭素濃度比(横軸)と、キャップ絶縁膜と配線絶縁膜とのエッチング選択比(縦軸)と、の関係を示す図である。図8に示すように、配線絶縁膜(SiOCH膜)の炭素濃度がキャップ絶縁膜の炭素濃度に対して相対的に高まるほど(図8における左側に向かうほど)、キャップ絶縁膜に対する配線絶縁膜のエッチング選択比は低下する。図8に示すように、配線絶縁膜として、配線絶縁膜中のCとSiとの濃度比(C/Si)がキャップ絶縁膜中のCとSiとの濃度比(C/Si)の1/2よりも大きい炭素リッチSiOCH膜を用いた場合においては(図8中の(C/Si)キャップ絶縁膜/(C/Si)SiOCH膜が2未満の範囲においては)、キャップ絶縁膜に対する配線絶縁膜のエッチング選択比の低下が顕著となる(例えば、10以下となる)。
【0009】
このような選択比の低下により、ビアホールの加工制御性が悪化する。このため、ビアホールの底の下層Cu配線の表面の酸化状態のバラツキ(表面の組成のバラツキ)が生じることにより、下層Cu配線とビアとの接続抵抗のバラツキが生じ、多層配線構造を有する半導体装置の歩留りや信頼性に悪影響を及ぼすことがある。
【0010】
このような問題に対して、例えば特許文献1には、配線絶縁膜として、シリコンを含まない有機膜を用いた構造が開示されている。特許文献1の技術では、有機膜の炭素濃度がキャップ絶縁膜よりも高濃度であることに注目して、主なエッチングガスとしてOガスを用いて有機膜をエッチングし、ビアホールを形成する。特許文献1の技術では、主なエッチングガスとしてOガスを用いることにより、キャップ絶縁膜に対する配線絶縁膜(有機膜)の高いエッチング選択性を確保し、キャップ絶縁膜でエッチングを停止させることができる。
【0011】
一方、特許文献2、3のように、配線絶縁膜であるSiOCH膜を微細加工する技術では、マイクロローディング効果等に代表されるエッチングレートのパターンサイズ依存性が生じる。その対策として、SiOCH膜をエッチングするエッチャントガスに、フロロカーボン(CHxFy)系ガスやCガスのような堆積物を多く生成するガス(デポジション性ガス)を添加する方法が知られている。この方法によれば、エッチングレートが大きい箇所では、エッチャントガスの消費速度が大きいため、エッチングに直接関与しないデポジションガスの濃度が相対的に高まり、その箇所に炭化水素系(CHx)の堆積物が選択的に堆積されやすくなる。その結果、その箇所のSiOCH膜のエッチングレートが低下し、エッチングレートのパターンサイズ依存性(ビアホールの開口径への依存性)を低減する方向に作用する。特に、特許文献3のようにエッチング工程を2つのステップに分け、この2つのステップでデポジション性ガスの添加量を異ならせることにより、ビアホールの開口径に依らず、ビアホールを均一に加工する手法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−345380号公報
【特許文献2】特開平7−74156号公報
【特許文献3】特開2008−198659号公報
【特許文献4】国際公開第2008/078649号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2007/132879号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
シリコンを含有するSiOCH膜は、Oガスのみによってエッチングすることはできないので、酸素ガスによるエッチングを行う特許文献1の技術をSiOCH膜のエッチングに適用することはできない。
【0014】
また、特許文献1に記載された酸素ガスをエッチャントとして用いる場合、エッチングレートのパターン間差を吸収できるほどキャップ絶縁膜に対する高いエッチング選択比が要求される。その要求を満たせないと、ビアホール下のキャップ絶縁膜がエッチングされて下地Cu配線が現れ、その表面を酸化してしまうからである。ビアホール底のCuが酸化されると、ビアと下層Cu配線との接続抵抗の増大や信頼性の劣化を引き起こしてしまう。特許文献1の技術では、キャップ絶縁膜に対する有機膜のエッチング選択比100を確保できているが、SiOCH膜は、キャップ絶縁膜と同様にSiを含む。このため、配線絶縁膜としてSiOCH膜を用いる場合、配線絶縁膜が有機膜の場合とは異なり、キャップ絶縁膜に対するSiOCH膜のエッチング選択比100を確保することができない。
【0015】
このため、配線絶縁膜としてSiOCH膜を用いる場合に、マイクロローディング効果に起因するビアホールパターンの開口率の違いによるエッチングレート差を吸収するには、キャップ絶縁膜を厚くする必要が生じる。しかし、キャップ絶縁膜は一般に配線層間絶縁膜と比較して比誘電率が高いため、その膜厚を厚くすると実効誘電率が上昇し、LSIの高性能化及び低消費電力化を阻害してしまう。よって、キャップ絶縁膜を厚くすることは現実的ではない。
【0016】
また、特許文献1に記載されている酸素を主成分とするエッチングガスの場合、エッチングレートを低減しているのはCHx系の堆積物である。この堆積物は、レジストアッシング等のOプラズマにより除去されてしまう。従って、エッチャントガスである酸素ガスに対して、特許文献2、3に記載されているようなデポジション性ガスを添加したとしても、堆積物自体が酸素ガスですぐにエッチングされてしまい、エッチングレートのパターンサイズ依存性を低減する効果は損なわれてしまう。また、酸素ガスで除去されないほどの堆積物を生成すれば、エッチング中にビアホールにおいて目詰まりを起こし、その目詰まりしたビアホールは未開口パターンとなってしまう。
【0017】
このため、特許文献1に記載の酸素ガスを主成分とするエッチングと、特許文献2や特許文献3に記載のフロロカーボン系の堆積物でマイクロローディング効果を抑制する技術を単に組み合わせただけであれば、SiOCH膜に対するエッチングレートのパターンサイズ依存性を回避することができず、ビアホールの加工制御性を十分に確保することができない。
【0018】
このように、配線絶縁膜としてSiOCH膜を用いる場合に、ビアホールの開口径に依らずビアホールの加工制御性を十分に確保して、下層Cu配線の表面の組成のバラツキを十分に抑制することは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、下層Cu配線上に形成されている積層構造に、第1及び第2開口径のビアホールを含む複数のビアホールを形成するビアホール形成工程を有し、前記積層構造は、シリコン(Si)と炭素(C)とを含有するキャップ絶縁膜と、前記キャップ絶縁膜上に形成されている配線絶縁膜としてのSiOCH膜と、を有し、前記ビアホール形成工程では、第1混合ガスをエッチングガスとして用いる第1ドライエッチングと、第2混合ガスをエッチングガスとして用いる第2ドライエッチングと、を組み合わせることによって、前記配線絶縁膜に前記複数のビアホールを形成し、前記第1及び第2混合ガスの各々は、CF系ガスとCHF系ガスとのうちの少なくとも一方のガスと、Oガスと、を含有し、前記第1混合ガスのO濃度は、前記第1及び第2開口径のうち相対的に小さい第1開口径のビアホールのエッチングレートが、相対的に大きい第2開口径のビアホールのエッチングレートよりも大きくなるように設定され、前記第2混合ガスのO濃度は、前記第2開口径のビアホールのエッチングレートが、前記第1開口径のビアホールのエッチングレートよりも大きくなるように設定されていることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0020】
この半導体装置の製造方法によれば、第1混合ガスを用いる第1ドライエッチングと、第2混合ガスを用いる第2ドライエッチングと、を適宜に組み合わせてビアホール形成工程を行うことによって、相対的に小さい第1開口径のビアホールと、相対的に大きい第2開口径のビアホールと、のエッチング深さを揃えることができる。つまり、第1ドライエッチングと第2ドライエッチングとを適宜に組み合わせて行うことによって、配線絶縁膜としてSiOCH膜を用いる場合におけるビアホールの加工制御性を、ビアホールの開口径に依らず十分に確保することができる。これにより、ビアホールの下層に位置する下層Cu配線の表面の組成のバラツキを低減することができる。よって、ビアと下層Cu配線との接続抵抗のバラツキを抑制し、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明は、下層Cu配線と、前記下層Cu配線上に形成されている積層構造と、を有し、前記積層構造は、シリコン(Si)と炭素(C)とを含有するキャップ絶縁膜と、前記キャップ絶縁膜上に形成されている配線絶縁膜としてのSiOCH膜と、を有し、前記SiOCH膜は、該SiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が前記キャップ絶縁膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)の1/2よりも大きい炭素リッチSiOCH膜であり、前記積層構造には、互いに開口径が異なるビアホールを含む複数のビアホールが、前記積層構造を貫通して前記下層Cu配線に達する深さに形成され、各ビアホール内には前記下層Cu配線に接続されたCuデュアルダマシン配線が形成され、各Cuデュアルダマシン配線に接する前記下層Cu配線の表面組成が、各ビアホールの開口径に依存することなく均質であることを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、配線絶縁膜としてSiOCH膜を用いる場合に、ビアホールの開口径に依らず、ビアホールの加工制御性を十分に得て、その結果として、下層Cu配線の表面の組成のバラツキを十分に抑制することを、容易になしうる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるビアホール形成工程を説明するための切断端面図である。
【図2】実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるビアホール形成工程のメカニズムを説明するための切断端面図である。
【図3】実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を説明するための切断端面図である。
【図4】実施形態に係る半導体装置の製造方法で用いる成膜装置の模式図である。
【図5】エッチングガス中のOの流量に応じたエッチングレートのパターン依存性を示す図である。
【図6】実施形態による効果(パターン依存性の解消)を説明するための図である。
【図7】エッチングガス中のCFの流量に応じたエッチングレートを示す図である。
【図8】配線絶縁膜(SiOCH膜)とキャップ絶縁膜との炭素濃度比と、エッチング選択比と、の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0025】
〔第1の実施形態〕
図1は実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるビアホール形成工程を説明するための、半導体装置の要部の切断端面である。図2は実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるビアホール形成工程のメカニズムを説明するための、半導体装置の要部の切断端面図である。図3は実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を説明するための、半導体装置の要部の断面端面図である。図4は実施形態に係る半導体装置の製造方法で用いるSiOCH膜等の成膜装置の模式図である。図5はエッチングガス中のOの流量に応じたエッチングレートのパターン依存性を示す図、図6は実施形態による効果(パターン依存性の解消)を説明するための図、図7はエッチングガス中のCFの流量に応じたエッチングレートを示す図である。
【0026】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、下層Cu配線3上に形成されている積層構造20に、第1及び第2開口径のビアホール8、9を含む複数のビアホール8、9を形成するビアホール形成工程を有する。積層構造20は、シリコン(Si)と炭素(C)とを含有するキャップ絶縁膜4と、キャップ絶縁膜4上に形成されている配線絶縁膜5としてのSiOCH膜と、を有する。ビアホール形成工程では、第1混合ガスをエッチングガスとして用いる第1ドライエッチングと、第2混合ガスをエッチングガスとして用いる第2ドライエッチングと、を組み合わせることによって、配線絶縁膜5に複数のビアホール8、9を形成する。第1及び第2混合ガスの各々は、CF系ガスとCHF系ガスとのうちの少なくとも一方のガスと、Oガスと、を含有している。第1混合ガスのO濃度は、第1及び第2開口径のうち相対的に小さい第1開口径のビアホール9のエッチングレートが、相対的に大きい第2開口径のビアホール8のエッチングレートよりも大きくなるように設定されている。第2混合ガスのO濃度は、第2開口径のビアホール8のエッチングレートが、第1開口径のビアホール9のエッチングレートよりも大きくなるように設定されている。
また、本実施形態に係る半導体装置は、下層Cu配線3と、下層Cu配線3上に形成されている積層構造20と、を有している。積層構造20は、シリコン(Si)と炭素(C)とを含有するキャップ絶縁膜4と、キャップ絶縁膜4上に形成されている配線絶縁膜5としてのSiOCH膜と、を有している。SiOCH膜は、該SiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)がキャップ絶縁膜4中のCとSiとの原子組成比(C/Si)の1/2よりも大きい炭素リッチSiOCH膜である。積層構造20には、互いに開口径が異なるビアホール8、9を含む複数のビアホール8、9が、積層構造20を貫通して下層Cu配線3に達する深さに形成されている。各ビアホール8、9内には下層Cu配線3に接続されたCuデュアルダマシン配線(金属層14)が形成され、各Cuデュアルダマシン配線に接する下層Cu配線3の表面組成が、各ビアホール8、9の開口径に依存することなく均質である。
【0027】
図5は、エッチングガス中のOの流量に応じたSiOCH膜に対するエッチングレートのパターン依存性を示す。図5に示すように、SiOCH膜に対するエッチングレートはエッチングガス中のO濃度に依存する。換言すれば、SiOCH膜に対するエッチングレートはプラズマ中のO濃度に依存する。しかも、ドライエッチングにより形成するビアホール8、9(図1参照)の開口径に応じたエッチングレートは、エッチングガス中のO濃度に依存して逆転する(図5の例ではO流量が約15sccmのところを境として、開口径が相対的に大きいビアホール8のエッチングレート(図5中の開口径大)と、開口径が相対的に小さいビアホール9のエッチングレート(図5中の開口径小)とが逆転している)。本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、このような依存性を利用して、ビアホール8、9をドライエッチングにより均一な深さに形成する。
【0028】
ここで、エッチングの際には、エッチングによりSiOCH膜から発生する酸素も、エッチャントとして利用する。図2に示すように、微細パターン(開口径が小さいパターン)ほど側壁の間隔が狭く、発生したO(図2の活性酸素21)が密集する。つまり、開口径が相対的に大きいビアホール8(図2(a))と、開口径が相対的に小さいビアホール9(図2(b))との比較では、後者の方が、エッチングにより発生した活性酸素(酸素イオンまたは酸素ラジカル)21がビアホール8内に密集する。このため、微細パターンの方が、ビア底とビア側壁より発生する活性酸素21によるエッチングが多く進行する。
【0029】
開口径の大きいパターン(ビアホール8)に対するエッチャントガスからの活性酸素(酸素イオンまたは酸素ラジカル)22の供給量をAとした場合、微細パターン(ビアホール9)では開口径が小さいためこの活性酸素22の供給量がAよりも小さく、αA(α<1)となるが、SiOCH膜のエッチング生成物である活性酸素21もエッチャントとして利用することにより、微細パターン(ビアホール9)ではエッチングに使用できる活性酸素21、22の量が供給量Aよりも多くなり(αA+βとなり)、エッチングレートが向上する。
【0030】
また、パターン内部で発生するエッチャントを使用するため、同一開口面積のパターンであればパターンの粗密差に関わらず、エッチングレートを一定にできる。
【0031】
本実施形態の場合、例えば、第1ドライエッチング(図1(a))と第2ドライエッチング(図1(b))とをこの順に行うことによって、ビアホール8、9を形成する(ビアホール形成工程を行う)。
【0032】
このうち第1ドライエッチング(図1(a))では、エッチングガス中のO流量を減らし、開口径の小さいパターンでエッチャントとして利用される活性酸素21、22の単位体積当たりの量を、開口径の大きいパターンでエッチャントとして利用される活性酸素21、22の単位体積当たりの量よりも多くすることにより、開口径の小さいパターンでのエッチングレートを開口径の大きいパターンにおけるそれよりも大きくさせる。これにより、マイクロローディング効果によるエッチングレートのパターン間差を制御させる。第1ドライエッチングでは、SiOCH膜の膜厚分布やマイクロローディング効果によるエッチングレート分布を考慮せず、相対的に開口径の小さいビアホール9が、キャップ絶縁膜4に達するか、又は、キャップ絶縁膜4の近傍に達する段階まで行う。
【0033】
これに対して、第2ドライエッチング(図1(b))では第1ドライエッチングよりもO流量を増大させて、開口径の大きいパターンでエッチャントとして利用される活性酸素21、22の単位体積当たりの量を、開口径の小さいパターンでエッチャントとして利用される活性酸素21、22の単位体積当たりの量よりも大きくさせることにより、開口径の大きいパターンでのエッチングレートを開口径の小さいパターンにおけるそれよりも大きくさせる。このため、第2ドライエッチングを行うことにより、開口径の大きいパターンでのエッチングの方が、開口径の小さいパターンでのエッチングよりも速く進行し、開口径の大きいパターンでのエッチング深さが開口径の小さいパターンでのエッチング深さに追いつく。
【0034】
換言すれば、第2ドライエッチングで発生するエッチングレートの不均衡を予め第1ドライエッチングによって補正した後で、第2ドライエッチングを実施することにより、第2ドライエッチング後のエッチング深さを開口径に依らず同程度に揃えることができる。
【0035】
このように、第1ドライエッチングと第2ドライエッチングとを組み合わせることにより、パターン差を相殺することが可能となり、加工制御性と均一性を両立させることができる。
【0036】
なお、エッチングガス(第1混合ガス及び第2混合ガス)は、Oガスの他に、CF系ガス(例えば、CF)とCHF系ガス(例えば、CHF、CH)とのうちの少なくとも一方のガス)を含有する。更に、エッチングガス(第1混合ガス及び第2混合ガス)は、例えば、ArとNとのうちの少なくとも何れか一方のガスを含有する。エッチングガスは、より具体的には、例えば、Ar及びNを主成分とし、さらにCFとOを含む混合ガスとすることができる。N、CF、Oの各ガスによりSiOCH膜を構成するSi、C、Hをエッチングし、ビアホール8、9を形成することができる。
【0037】
以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法をより詳細に説明する。
【0038】
図3(a)に示すように、シリコン基板(図示略)上に下層Cu配線3を例えばシングルダマシン法によって形成する。すなわち、シリコン基板上にSiOCH配線層間膜1を形成し、このSiOCH配線層間膜1に形成した溝内に、バリアメタル2と下層Cu配線3とを形成した後、CMPにより余剰のバリアメタル2及び下層Cu配線3を除去する。
【0039】
その後、下層Cu配線3を覆うキャップ絶縁膜4を形成する。キャップ絶縁膜4は、例えば、シリコン(Si)と炭素(C)とを主成分とする。すなわち、キャップ絶縁膜4は、シリコン(Si)と炭素(C)とを、例えば合計で20atomic%以上含有する。キャップ絶縁膜4は、具体的には、例えば、SiCN膜とすることができる。ただし、キャップ絶縁膜4は、この例に限らず、SiC膜であっても良いし、SiCN膜とSiC膜との積層膜であっても良い。更に、キャップ絶縁膜4は、不飽和炭化水素膜とアモルファスカーボン膜とを有するシリカカーボン複合膜であっても良いし、このシリカカーボン複合膜と、SiCN膜又はSiC膜と、の積層膜であっても良いし、或いは、このシリカカーボン複合膜と、SiCN膜及びSiC膜と、の積層膜であっても良い。
【0040】
次に、図3(b)に示すように、キャップ絶縁膜4上に、上層Cu配線形成用の配線絶縁膜5を形成する。この配線絶縁膜5は、例えば、該配線絶縁膜5を構成するSiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)がキャップ絶縁膜4中のCとSiとの原子組成比(C/Si)の1/2よりも大きい炭素リッチSiOCH膜である。次に、配線絶縁膜5上にはSiOハードマスク6を形成する。これらキャップ絶縁膜4、配線絶縁膜5及びSiOハードマスク6は、例えば、CVD法により順次に形成することができる。
【0041】
ここで、キャップ絶縁膜4を構成するSiCNの原子組成比は、例えば、Si:C:N=1:0.45:1.58とすることができ、配線絶縁膜5を構成する炭素リッチSiOCH膜の原子組成比は、例えば、Si:C:O=1:2.7:0.9とすることができる。従って、この場合、配線絶縁膜5中のCとSiとの原子組成比(C/Si)は2.7であり、キャップ絶縁膜4中のCとSiとの原子組成比(C/Si)は0.45であるため、「SiOCH膜(配線絶縁膜5)中のCとSiとの原子組成比(C/Si)がキャップ絶縁膜4中のCとSiとの原子組成比(C/Si)の1/2よりも大きい」という条件を満たす。さらに、この場合、SiOCH膜(配線絶縁膜5)中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1よりも大きいという条件も満たす。
【0042】
SiOCH膜(配線絶縁膜5)中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1よりも大きい場合、すなわち、配線絶縁膜5中のC含有率が大きい場合、その配線絶縁膜5は、酸素ガスに対するエッチング反応が顕著となるため、エッチング生成物である酸素を利用したエッチングレートの制御が容易となる。このため、SiOCH膜(配線絶縁膜5)中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1よりも大きいことが好ましい。
【0043】
また、SiOCH膜(配線絶縁膜5)中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1よりも大きくなる範囲では、SiOCH膜(配線絶縁膜5)中のC濃度を高めるほど、キャップ絶縁膜4と配線絶縁膜5との組成の差が大きくなるため、配線絶縁膜5とキャップ絶縁膜4とのエッチング選択性が向上し、加工選択性が向上する。
【0044】
また、このような配線絶縁膜5を構成するSiOCH膜としては、複数の空孔を有するSiOCH膜(ポーラスSiOCH膜)であって、これら空孔の径の平均が0.8nm未満である膜が挙げられる。なお、それぞれの空孔は、互いに独立に配置されていることが好ましい。
【0045】
このような配線絶縁膜5の成膜は、例えば、図4に示す成膜装置を用いて、プラズマCVD法により行うことができる。この成膜装置の構成のうち、リザーバー101は配線絶縁膜5を構成するモノマー原料を供給する容器である。原料圧送部102はリザーバー101内のモノマー原料を送り出すため圧送ガスによる加圧を行う。この圧送ガスとしては、例えばHeが用いられる。液体マスフローコントローラー104はリザーバー101から供給されるモノマー原料の流量を制御する装置である。気化器106はリザーバー101から液体マスフローコントローラー104を介して供給されるモノマー原料を気化する装置である。キャリアガス供給部103は、気化器106により気化されたモノマー原料(原料ガス)を輸送するキャリアガス(例えばHe)を供給する。ガスマスフローコントローラー105は、キャリアガス供給部103から気化器106に供給するキャリアガスの流量を制御する装置である。反応容器(リアクター)107は、原料ガスをプラズマ重合させることにより、配線絶縁膜5を構成する炭素リッチSiOCH膜を基板108上に成膜させる容器である。RF(Radio Frequency)電源109は原料ガスとキャリアガスをプラズマ化する電力を供給する装置である。基板108は化学気相成長により成膜される半導体基板(半導体ウェハ(以下、ウェハ))である。排気ポンプ110は反応容器107から原料ガスとキャリアガスを排気する装置である。
【0046】
以下、図4の成膜装置を用いて炭素リッチSiOCH膜を成膜するプロセスを説明する。モノマー原料としては、例えば、下記一般式(式1)に示す環状有機シリカ構造を有する原料を用いる。ここで、R1、R2はビニル基を含有する不飽和炭素化合物又はアルキル基を含有する飽和炭素化合物であり、ビニル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基のいずれかであり、アルキル基も、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基のいずれかである。また、R1、R2は互いに同一であっても互いに異なっていても良い。
【0047】
【化1】

【0048】
この環状有機シリカ構造は、より具体的には、例えば、下記式(式2)又は(式3)に示す構造であることが挙げられる。
【0049】
【化2】

【0050】
【化3】

【0051】
原料圧送部102から圧送される圧送ガスによりリザーバー101からモノマー原料が送り出され、その流量は液体マスフローコントローラー104により制御される。一方、キャリアガス供給部103からはキャリアガスが供給され、その流量はガスマスフローコントローラー105によって制御される。モノマー原料とキャリガスは、例えば、気化器106の直前で互いに混合された後、気化器106内に導入される。気化器106内には加熱されたヒータブロック(図示せず)が存在し、液体のモノマー原料は、このヒータブロックにおいて気化され反応容器107に導入される。反応容器107内では例えば13.56MHzの高周波電力により、気化したモノマー原料とキャリアガスはプラズマ化し、プラズマ重合により基板108上に炭素リッチSiOCH膜が成膜される。原料モノマーの供給量は0.1g/min以上10g/min以下であることが好ましく、2g/min以下であることがさらに好ましい。キャリアガスであるHeの供給量は50sccm以上5000sccm以下であることが好ましく、2000sccm以下であることがさらに好ましい。反応容器107内の圧力は133〜1333Paであることが好ましい。RF電源109の出力は2000W以下であることが好ましく、1000W以下であることがさらに好ましい。
【0052】
こうして、配線絶縁膜5を成膜することができる。なお、キャップ絶縁膜4、配線絶縁膜5及びSiOハードマスク6の成膜は、例えば、図4に示す成膜装置を用いて連続的に行うことができる。
【0053】
次に、図3(b)に示すように、SiOハードマスク6上にレジストマスク7を所定のパターン形状に形成する。このレジストマスク7には、後工程で形成する各ビアホール8、9の開口径とそれぞれ対応する様々な内径の開口が形成されている。
【0054】
次に、レジストマスク7を介して該レジストマスク7の下地膜(SiOハードマスク6、配線絶縁膜5、及び、キャップ絶縁膜4)をドライエッチングすることによって、互いに開口径が異なるビアホール8、9を含む複数のビアホール8、9を形成する。
【0055】
ビアホール8、9を形成するためのドライエッチングは、Oを含有する混合ガスをエッチングガスとして用いて行う。詳細には、このドライエッチングは、第1混合ガスを用いる第1ドライエッチングと、第2混合ガスを用いる第2ドライエッチングと、を組み合わせて行う。第1及び第2混合ガスのうち、第1混合ガスは、相対的に開口径が小さいビアホール9のエッチングレートが、相対的に開口径が大きいビアホール8のエッチングレートよりも大きくなるように、相対的に低いO濃度に設定されている。逆に、第2混合ガスは、相対的に開口径が大きいビアホール8のエッチングレートが、相対的に開口径が小さいビアホール9のエッチングレートよりも大きくなるように、相対的に高いO濃度に設定されている。
【0056】
本実施形態の場合、例えば、図3(c)に示すように、先ず、開口径が相対的に小さいビアホール9を優先的に形成できる第1ドライエッチングを行う。この第1ドライエッチングは、複数のビアホール8、9のうち最も開口径が小さいビアホール(例えば、ビアホール9)が、キャップ絶縁膜4に達するか、又は、キャップ絶縁膜4の近傍に達する段階まで行う。この段階では、ビアホール9よりも開口径が相対的に大きいビアホール8の底は、ビアホール9の底よりも上に(浅く)位置している。なお、図3(c)には、最も開口径が小さいビアホール(例えば、ビアホール9)がキャップ絶縁膜4に達するまで第1ドライエッチングを行った状態を示す。
【0057】
次に、例えば、図3(d)に示すように、開口径が相対的に大きいビアホール8を優先的に形成できる第2ドライエッチングを行う。この第2ドライエッチングは、各ビアホール8、9のエッチングにおいて、キャップ絶縁膜4に達するオーバーエッチングが生じる段階まで(キャップ絶縁膜4の一部分もエッチングされるまで)行う。
【0058】
第2ドライエッチングでは、開口径が大きいビアホール8のエッチングレートの方が、開口径が小さいビアホール9のエッチングレートよりも大きいことから、ビアホール9のオーバーエッチング中に、ビアホール8の深さをビアホール9と同程度の深さに追いつかせ、更に、ビアホール8のオーバーエッチングを行うことができる。その結果、図3(d)に示すように、各ビアホール8、9のオーバーエッチング量を互いに同程度にすることができる。なお、このように第2ドライエッチング後における各ビアホール8、9のオーバーエッチング量を互いに同程度にするためには、第1及び第2混合ガスの組成(特にO濃度)と、第1ドライエッチングを行う時間の長さと第2ドライエッチングを行う時間の長さとの比率と、を適宜に設定すると良い。
【0059】
このように第1ドライエッチングと第2ドライエッチングとを組み合わせてビアホール8、9をエッチングすることにより、配線絶縁膜として低炭素濃度SiOCH膜を用いる場合と同等の加工制御性及びパターン均一性を実現することができる。
【0060】
ここで、炭素リッチSiOCH膜(例えば、該炭素リッチSiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1よりも大きい)をエッチングする場合には、エッチングガス中の酸素濃度が高いほど、キャップ絶縁膜4に対する配線絶縁膜5のエッチング選択比を高めることができる。このため、第2のドライエッチングでは、開口径が相対的に小さいビアホール9において行われるオーバーエッチングのエッチングレートは小さくできる一方で、開口径が相対的に大きいビアホール8において行われる炭素リッチSiOCH膜のエッチングレートは大きくできるため、好適に、各ビアホール8、9のオーバーエッチング量を互いに同程度にすることができる。この場合、第1ドライエッチングでは、炭素リッチSiOCH膜の膜厚分布やマイクロローディング効果によるエッチングレート分布を考慮せずにエッチング量を設定することができる。また、この場合の第2のドライエッチングは、SiOCH膜の膜厚分布やマイクロローディング効果によるエッチングレート分布を補正するオーバーエッチングを行う工程を含むと言える。すなわち、第2ドライエッチングでは、例えば、開口径の小さいパターンにおいてオーバーエッチングを行っている間に、開口径の大きいパターンでのエッチングが進行し、開口径の大きいパターンでのエッチング深さが開口径の小さいパターンでのエッチング深さに追いつく。
【0061】
換言すれば、第2ドライエッチングで発生するエッチングレートの不均衡を予め第1ドライエッチングによって補正した後で、第2ドライエッチングを実施することにより、第2ドライエッチング後のエッチング深さを開口径に依らず同程度に揃えることができる。
【0062】
次に、第1及び第2混合ガスとは異なる組成のエッチングガスを用いたドライエッチングを行うことにより、キャップ絶縁膜4にキャップ開口部11、12(図3(e))を形成する。ここで用いるエッチングガスは、SiOCH膜に対するキャップ絶縁膜4のエッチング選択比が高くなるガスである。
【0063】
このようにキャップ開口部11、12を形成することにより、キャップ絶縁膜4を介して下層Cu配線3の表面が露出した状態となる。ここで、キャップ開口部11、12の形成用のドライエッチングを行う前の段階では、ビアホール8、9の底に位置するキャップ絶縁膜4の残膜の厚さは、ビアホール8、9の開口径に依らず同等である。このため、開口径が大きいビアホール8の直下のキャップ開口部11と、開口径が小さいビアホール9の直下のキャップ開口部12は、ほぼ同時に開口される。よって、キャップ開口部11、12の形成用のドライエッチングによって下層Cu配線3が受けるオーバーエッチング量及びダメージも、ビアホール8、9の開口径に依らず同等となる。従って、下層Cu配線3の表面組成及び表面形状は、各ビアホール8、9の開口径に依存することなく均質となる。
【0064】
次に、図3(e)に示すように、レジストマスク7を除去した後、配線溝形成用のレジストマスク10をフォトリソグラフィー法により形成する。次に、図3(f)に示すように、このレジストマスク10を介して配線絶縁膜5をドライエッチングすることにより配線溝16、17を形成した後、レジストマスク10を除去する。
【0065】
次に、薬液処理により、ビアホール8、9及びキャップ開口部11、12を介して、下層Cu配線3の表面のCu酸化物やエッチング生成物などを除去し、この表面を清浄にする。この薬液処理に用いる薬液は、フッ素を含有することが好ましい。上述のように、キャップ開口部11、12を介した下層Cu配線3のオーバーエッチング量は、ビアホール8、9の開口径及び密度に依らず、ウェハの全面において同等となる。このため、薬液処理による洗浄効果も、ビアホール8、9の開口径及び密度に依らずウェハの全面で同等である。よって、この段階でも、キャップ開口部11、12の直下の下層Cu配線3の表面組成及び表面形状は、ビアホール8、9の開口径及び密度に依らずウェハ面内で均質となる。
【0066】
本実施形態では、このようにキャップ開口部11、12の直下の下層Cu配線3の表面組成及び表面形状が均質となるような制御ができるので、ビア(後述する金属層14の一部分)と下層Cu配線3との接続部における抵抗のバラツキを抑制することが可能である。
【0067】
次に、図3(g)に示すように、ウェハ表面の全面にイオン化スパッタ法によってTaN膜とTa膜との積層構造のバリアメタル13を形成し、更に、このバリアメタル13上にCu薄膜(図示略)を形成する。次に、このCu薄膜を電極として電界めっき法によってCuまたはCu合金により構成される金属層14を埋め込む。その後、Cu粒成長のための熱処理を行った後、図3(h)に示すように、余剰の金属層14、バリアメタル13及びSiOハードマスク6をCMPにより除去し、配線絶縁膜5の表面を露出させる。こうして、ビア及び上層Cu配線を形成することができる。すなわち、金属層14のうち、ビアホール8、9内に埋め込まれた部分がビアを構成し、配線溝16、17内に埋め込まれた部分が上層Cu配線を構成する。
【0068】
次に、図3(i)に示すように、金属層14上及び配線絶縁膜5上にキャップ絶縁膜15を形成する。このキャップ絶縁膜15は、キャップ絶縁膜4と同様の材料により構成することができ、例えば、SiCN膜とすることができる。こうして、下層Cu配線3と上層Cu配線(配線溝16、17内の金属層14)との2層の配線層を有する半導体装置を製造することができる。
【0069】
ここで、ビアホール8、9の下の下層Cu配線3の表層の状態として、組成、酸化状態、炭素などの不純物濃度については、TEM−EELS(透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)及び電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy−Loss Spectroscopy))などにより観測することができる。本実施形態の製造方法によって製造された半導体装置に対して、このような観測を行った場合には、スリットビアやリングシールといった開口径が大きなビアホール8も含め、各々のビアホール8、9の直下の下層Cu配線3の表層の組成がほぼ均一であることを観測することができる。
【0070】
以下、上述したような本実施形態に係る半導体装置の製造方法のより具体的な例を説明する。
【0071】
先ず、配線絶縁膜5としての炭素リッチSiOCH膜は、上記式(式2)に示す環状有機シリカ構造を含む原料を用いて、膜厚200nmとなるように、上述した成膜装置(図4)を用いたプラズマCVD法により形成する。炭素リッチSiOCH膜の比誘電率は、2.5である。このように配線絶縁膜5を形成した後は、引き続き、同一の成膜装置(図4)内で処理時間15〜30秒のHeプラズマ処理を行う。このHeプラズマ処理は、配線絶縁膜5の表層に表面改質層を形成することを目的として行う。更に、引き続き、同一の成膜装置(図4)内でSiOハードマスク6として厚さ200nmのSiO膜をSiHをソースガスとして用いたプラズマCVD法により成膜する。或いは、このSiO膜の成膜にはTEOS(テトラエトキシシラン)をソースガスに用いても良い。なお、Heプラズマ処理による表面改質層の形成と、SiOハードマスク6の成膜とは別の成膜装置で行っても良い。次に、フォトリソグラフィーによりビアホール加工用のレジストマスク7を形成する(図3(b))。
【0072】
次に、ドライエッチングによりビアホール8、9を形成する(ビアホール形成工程を行う)。
【0073】
このビアホール形成工程では、先ず、低酸素流量(第2ドライエッチングよりも酸素流量が少ない条件)で第1ドライエッチングを行い、エッチングレートが大きいビアホール9をキャップ絶縁膜4に達するまで形成する。なお、図3(c)では、ビアホール8、9はそれぞれ孤立した疎パターンになっているが、複数のビアホール8、9が密集した密パターンとなっていても良い。第1ドライエッチングのエッチング条件は、例えば、Ar:400〜800sccm、N:100〜500sccm、CF:20〜60sccm、O:5〜15sccm、圧力:15〜30mtorr、RFパワー:500〜1500W、時間:10〜60秒に設定することが好ましい。この第1ドライエッチングで用いるエッチンガス中のO濃度は1.2体積%未満とする。
【0074】
次に、高酸素流量(第1ドライエッチングよりも酸素流量が多い条件)での第2ドライエッチングを、各ビアホール8、9の底部においてキャップ絶縁膜4が例えば5〜15nm程度オーバーエッチングされるまで行う(図3(d))。ここで、高酸素流量のエッチング条件の方が、低酸素流量のエッチング条件よりも、SiOCH膜とキャップ絶縁膜4でのエッチングの選択比が大きい。つまり、キャップ絶縁膜4よりもSiOCH膜の方が優先的にエッチングされる。このため、図3(c)の工程とは反対に、開口径が大きいビアホール8のエッチングレートが大きい。この結果、互いに開口径が異なるビアホール8とビアホール9のエッチング深さが揃う。第2ドライエッチングのエッチング条件は、例えば、Ar:400〜800sccm、N:100〜500sccm、CF:20〜60sccm、O:16〜30sccm、圧力:15〜30mtorr、RFパワー:500〜1500W、時間:10〜60秒に設定することが好ましい。この第2ドライエッチングで用いるエッチンガス中のO濃度は1.2体積%以上とする。
【0075】
ここで、キャップ絶縁膜4は、例えば、SiCN膜とSiC膜との何れかであるか、又は、これらの積層膜であることが挙げられる。或いは、キャップ絶縁膜4は、不飽和炭化水素膜とアモルファスカーボン膜とを有するシリカカーボン複合膜(SCC:Silica−carbon−composite)であっても良いし、このシリカカーボン複合膜と、SiCN膜又はSiC膜と、の積層膜であっても良いし、或いは、このシリカカーボン複合膜と、SiCN膜及びSiC膜と、の積層膜であっても良い。ここで、SCC膜とは、下記一般式(式4)に示す直鎖状有機シリカ原料をプラズマ重合して得られる膜であり、Si:O:C=1:1:1.2である。
【0076】
【化4】

ここで、Rは、アルキル基を含有する飽和炭素化合物であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などである。
【0077】
次に、キャップ絶縁膜4にキャップ開口部11、12を形成して下層Cu配線3の表面を露出させた後、レジストマスク10を形成し、このレジストマスク10を介したドライエッチングにより配線絶縁膜5に配線溝16、17を形成する(図3(e)、図3(f))。
【0078】
次に、フッ素を含む薬液を用いた薬液処理により、ビアホール8、9及びキャップ開口部11、12を介して、下層Cu配線3の表面を清浄にする。
【0079】
次に、ウェハ表面の全面にイオン化スパッタ法によってTaN膜とTa膜のバリアメタル13及びCu薄膜(図示略)を形成し、このCu膜を電極として電界めっき法によってCuまたはCu合金により構成される金属層14を埋め込む(図3(g))。
【0080】
次に、Cu粒成長のために窒素雰囲気中で350℃、2分間の熱処理をした後、余剰の金属層14をCMPにより除去する。そして、スラリー及び研磨ヘッドを変えて、余剰のバリアメタル13、及び、SiOハードマスク6をCMPにより除去し、配線絶縁膜5の表面を露出させる(図3(h))。
【0081】
次に、金属層14上及び配線絶縁膜5上の全面にキャップ絶縁膜15としてキャップ絶縁膜4と同様の材料の膜(例えば、SiCN膜)を形成する(図3(i))。こうして、配線絶縁膜5として炭素リッチSiOCH膜を用い、下層Cu配線3と上層Cu配線(配線溝16、17内の金属層14)との2層の配線層を有する半導体装置を製造することができる。
【0082】
ここで、配線絶縁膜5を構成する炭素リッチSiOCH膜としてはCの含有量が多いものが好ましい。具体的には、炭素リッチSiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1以上であることが好ましい。C含有量の多い膜は酸素ガスに対するエッチング反応が顕著であり、エッチング生成物である酸素を利用したエッチングレートの制御が容易となる。また、キャップ絶縁膜4に対する炭素組成の相違が大きくなる。すなわち、配線絶縁膜5中のCとSiとの原子組成比(C/Si)>>キャップ絶縁膜4中のCとSiとの原子組成比(C/Si)×1/2となり、配線絶縁膜5とキャップ絶縁膜4とのエッチング選択性が向上するため加工選択性が向上する。
【0083】
図5は開口径が互いに異なるビアホール8、9を同時にドライエッチングした場合のそれぞれのエッチングレートを示している。図5から、酸素流量が約15sccm以上では開口径大(ビアホール8)の方がエッチングレートが大きく、酸素流量が約15sccm未満では開口径小(ビアホール9)の方がエッチングレートが大きく、酸素流量が約15sccmの部分で開口径大(ビアホール8)と開口径小(ビアホール9)のエッチングレートが入れ替わることが分かる。このときの酸素流量以外のエッチング条件は、例えば、Ar:800sccm、N:400sccm、CF:60sccm、圧力:30mtorr、RFパワー:500〜1200Wである。この条件では、酸素流量15sccmは全体の1.2体積%となる。また、図6は、この条件で、且つ、酸素流量を15sccmとして、開口径が互いに異なるビアホールを同時にドライエッチングした場合の断面を示す写真である。図6から、ビアホールの開口径に関わらず、エッチングレートが同じであることが分かる。
【0084】
次に、図7を参照して、上述した第1ドライエッチング(低酸素流量であり、開口径が小さいビアホール9のエッチングレートの方が、ビアホール8のエッチングレートよりも大きいドライエッチング)において、酸素流量を10sccmとした場合について説明する。図7は、酸素流量を10sccmに固定にし、CF流量を変化させた場合の、SiOCH膜のエッチングのレートを示している。酸素流量が固定された場合、CF流量が基準値を超えた場合、エッチングレートが飽和することがわかる。SiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1を超える場合、SiOCH膜のエッチングにはOとFの両方が必要となり、どちらかが足りない場合、CやSiが残留してしまうためエッチングレートが上昇しなくなる。この現象を利用し、エッチング生成物であるOを利用することにより、ビアホール中のOの量を制御すれば、CFの供給量にパターン間差があったとしてもエッチングレートはパターン間で変化しない。そのためパターンの開口径や粗密が異なる場合でも、ビアホール加工におけるエッチングレートの制御が可能となる。
【0085】
以上のような実施形態によれば、第1混合ガスを用いる第1ドライエッチングと、第2混合ガスを用いる第2ドライエッチングと、を適宜に組み合わせてビアホール形成工程を行うことによって、相対的に小さい開口径のビアホール9と、相対的に大きい開口径のビアホール8と、のエッチング深さを揃えることができる。つまり、第1ドライエッチングと第2ドライエッチングとを適宜に組み合わせて行うことによって、配線絶縁膜5としてSiOCH膜を用いる場合におけるビアホール8、9の加工制御性を、ビアホール8、9の開口径に依らず十分に確保することができる。これにより、ビアホール8、9の下層に位置する下層Cu配線3の表面の組成のバラツキを低減することができる。よって、ビアと下層Cu配線3との接続抵抗のバラツキを抑制し、半導体装置の信頼性及び歩留まりを向上させることができる。
【0086】
すなわち、例えば図3(d)に示すように、ビアホール8、9に開口径の面内分布があっても、それらビアホール8、9の形成直後の段階では下層Cu配線3が確実にキャップ絶縁膜4で保護されることにより、ビアホール8、9の直下の下層Cu配線3への表面酸化や炭素によるコンタミネーションを好適に抑制できる。
【0087】
特に、配線絶縁膜5を構成する炭素リッチSiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1よりも大きい場合には、低消費電力かつ高信頼の半導体装置を高歩留まりで製造することができるとともに、キャップ絶縁膜4に対する配線絶縁膜5のエッチング選択性を高めることができる。
【0088】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法により、下層Cu配線3と、下層Cu配線3上に形成されている積層構造20と、を有し、積層構造20は、シリコン(Si)と炭素(C)とを含有するキャップ絶縁膜4と、キャップ絶縁膜4上に形成されている配線絶縁膜5としてのSiOCH膜と、を有し、このSiOCH膜は、該SiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)がキャップ絶縁膜4中のCとSiとの原子組成比(C/Si)の1/2よりも大きい炭素リッチSiOCH膜であり、積層構造20には、互いに開口径が異なるビアホール8、9を含む複数のビアホール8、9が、積層構造20を貫通して下層Cu配線3に達する深さに形成され、各ビアホール8、9内には下層Cu配線3に接続されたCuデュアルダマシン配線(金属層14)が形成され、各Cuデュアルダマシン配線(金属層14)に接する下層Cu配線3の表面組成が、各ビアホール8、9の開口径に依存することなく均質である半導体装置を製造することができる。逆に、このような特徴を有する半導体装置は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造された蓋然性が高いと言える。
【0089】
また、上記の実施形態では、配線層が下層Cu配線と上層Cu配線との2層だけの例を説明したが、3層以上であっても良いのは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1 SiOCH配線層間膜
2 バリアメタル
3 下層Cu配線
4 キャップ絶縁膜
5 配線絶縁膜
6 SiOハードマスク
7 レジストマスク
8 ビアホール
9 ビアホール
10 レジストマスク
11 キャップ開口部
12 キャップ開口部
13 バリアメタル
14 金属層
15 キャップ絶縁膜
16 配線溝
17 配線溝
20 積層構造
21 活性酸素
22 活性酸素
101 リザーバー
102 原料圧送部
103 キャリアガス供給部
104 液体マスフローコントローラー
105 ガスマスフローコントローラー
106 気化器
107 反応容器
108 基板
109 RF電源
110 排気ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層Cu配線上に形成されている積層構造に、第1及び第2開口径のビアホールを含む複数のビアホールを形成するビアホール形成工程を有し、
前記積層構造は、シリコン(Si)と炭素(C)とを含有するキャップ絶縁膜と、前記キャップ絶縁膜上に形成されている配線絶縁膜としてのSiOCH膜と、を有し、
前記ビアホール形成工程では、第1混合ガスをエッチングガスとして用いる第1ドライエッチングと、第2混合ガスをエッチングガスとして用いる第2ドライエッチングと、を組み合わせることによって、前記配線絶縁膜に前記複数のビアホールを形成し、
前記第1及び第2混合ガスの各々は、CF系ガスとCHF系ガスとのうちの少なくとも一方のガスと、Oガスと、を含有し、
前記第1混合ガスのO濃度は、前記第1及び第2開口径のうち相対的に小さい第1開口径のビアホールのエッチングレートが、相対的に大きい第2開口径のビアホールのエッチングレートよりも大きくなるように設定され、
前記第2混合ガスのO濃度は、前記第2開口径のビアホールのエッチングレートが、前記第1開口径のビアホールのエッチングレートよりも大きくなるように設定されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ビアホール形成工程では、前記第1ドライエッチングと前記第2ドライエッチングとをこの順に行い、
前記第1ドライエッチングは、前記第1開口径のビアホールが、前記キャップ絶縁膜に達するか、又は、前記キャップ絶縁膜の近傍に達する段階まで行い、
前記第2ドライエッチングは、各ビアホールにおいて前記キャップ絶縁膜に対するオーバーエッチングが生じる段階まで行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記配線絶縁膜としての前記SiOCH膜は、該SiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が前記キャップ絶縁膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)の1/2よりも大きい炭素リッチSiOCH膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1混合ガスにおけるO濃度は1.2体積%未満であり、
前記第2混合ガスにおけるO濃度は1.2体積%以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1及び第2混合ガスの各々は、ArとNのうちの少なくとも一方のガスを含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記SiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記SiOCH膜は複数の空孔を有し、
前記空孔の径の平均が0.8nm未満であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記SiOCH膜の前記空孔は互いに独立に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記キャップ絶縁膜は、SiCN膜とSiC膜との何れかであるか、又は、これらの積層膜であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記キャップ絶縁膜は、
不飽和炭化水素膜とアモルファスカーボン膜とを有するシリカカーボン複合膜、
前記シリカカーボン複合膜と、SiCN膜又はSiC膜と、の積層膜、
或いは、前記シリカカーボン複合膜と、SiCN膜及びSiC膜と、の積層膜であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記SiOCH膜は、下記一般式(式1)に示す環状有機シリカ構造を有することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【化1】

ここで、R1、R2はビニル基を含有する不飽和炭素化合物又はアルキル基を含有する飽和炭素化合物であり、前記ビニル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基のいずれかであり、前記アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基のいずれかであり、R1とR2とは互いに同一であっても互いに異なっていても良い。
【請求項12】
前記環状有機シリカ構造は、下記式(式2)又は(式3)に示す構造を有することを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【化2】

【化3】

【請求項13】
下層Cu配線と、
前記下層Cu配線上に形成されている積層構造と、
を有し、
前記積層構造は、シリコン(Si)と炭素(C)とを含有するキャップ絶縁膜と、前記キャップ絶縁膜上に形成されている配線絶縁膜としてのSiOCH膜と、を有し、
前記SiOCH膜は、該SiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が前記キャップ絶縁膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)の1/2よりも大きい炭素リッチSiOCH膜であり、
前記積層構造には、互いに開口径が異なるビアホールを含む複数のビアホールが、前記積層構造を貫通して前記下層Cu配線に達する深さに形成され、各ビアホール内には前記下層Cu配線に接続されたCuデュアルダマシン配線が形成され、
各Cuデュアルダマシン配線に接する前記下層Cu配線の表面組成が、各ビアホールの開口径に依存することなく均質であることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
前記炭素リッチSiOCH膜中のCとSiとの原子組成比(C/Si)が1よりも大きいことを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記炭素リッチSiOCH膜は複数の空孔を有し、
前記空孔の径の平均が0.8nm未満であることを特徴とする請求項13又は14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記SiOCH膜の前記空孔は互いに独立に配置されていることを特徴とする請求項13乃至15の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記キャップ絶縁膜は、SiCN膜とSiC膜との何れかであるか、又は、これらの積層膜であることを特徴とする請求項13乃至16の何れか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−9556(P2011−9556A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152677(P2009−152677)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】