説明

半導体装置の製造方法及び基板処理装置

【課題】ドライクリーニングを行う上で堆積物の除去効率を低下させることなく、反応容器内壁にダメージを与えることなく堆積物を除去する。
【解決手段】基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法及び基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に半導体装置を製造するための縦型の基板処理装置、すなわち半導体装置の製造装置の装置構成の一例を示す。
基板処理装置には、排気経路としての排気管2を備えた反応容器1と、反応容器1によって形成された処理室4内に複数の基板3を配置するためのボート6と、反応容器1の周囲に設置され、熱CVD反応及びエッチング反応を促進させるための加熱源としてのヒータ7とが備えられている。反応容器1の下部には成膜のための薄膜原料ガス(以下、原料ガスという)を供給するためのガス供給配管8と、ドライクリーニングのためのクリーニングガスを供給するためのガス供給配管9とが接続されている。排気管2の後段には減圧排気装置として真空ポンプ等の真空排気装置10が取り付けられ、真空排気装置10より上流側に可変コンダクタンスバルブ11が介設されている。
【0003】
原料ガス供給管とクリーニングガス供給管とは一本の配管で共用してもよい。前記ボート6は昇降可能なボートエレベータのシールキャップ5に支持されている。
【0004】
このように構成された基板処理装置で半導体装置を製造する場合は、基板を反応容器内に搬入する基板搬入工程、基板に成膜を形成する成膜工程、基板を反応容器から搬出する基板搬出工程が実施される。基板搬入工程では、ボート6に未処理の複数の基板を多段にチャージした後、ボートエレベータの上昇によりボートが処理室4内に挿入される。シールキャップ5が反応容器1内を密閉すると、基板の搬入工程が終了する。次に、成膜工程が実施される。
【0005】
成膜工程では、ヒータ7の加熱、真空排気装置10の排気によって、温度、圧力が基板処理に適した圧力に調節された後、CVD薄膜の原料である原料ガスがガス供給配管8に供給され、ガス供給配管8のガス導入口8aから反応容器1内に原料ガスが導入される。原料ガスは反応容器1内での熱CVD反応により基板3の成膜面に堆積する。基板3に堆積した薄膜の厚みが所定膜厚となると、直ちに、ガス導入口8aへの原料ガスの供給が停止又は遮断され成膜工程が終了し、基板搬出工程が実施される。基板搬出工程では、ボートエレベータ(図示せず)の下降によって処理室4からボート6が搬出され、ボート6から基板3が処理済み基板として払い出される。
【0006】
このように、基板処理装置は、本来、原料ガスの熱CVD反応によって基板の表面に一定厚の薄膜を形成する。一方で、反応生成物が、基板以外すなわち反応容器の内壁や反応容器内に設置された反応容器内部品の表面に堆積物として堆積してしまう。多数の基板を処理するために、基板搬入工程→成膜工程→基板搬出工程を1バッチとして複数回、繰り返すと、堆積物が剥離、落下して基板の薄膜に異物として混入してしまうことがある。
そこで、従来は、所定のクリーニング周期、例えば堆積物の累積厚みが所定値となる毎、あるいは成膜処理が1又は至連続して複数回実施された後、堆積物を除去するためのクリーニングが実施されている。
【0007】
従来のクリーニング技術には、ウエットクリーニングとドライクリーニングがある。
ウエットクリーニングは、基板処理装置の本体から反応容器を取り外し、HF水溶液の洗浄槽内で洗浄することによって堆積物を除去するクリーニング技術である。この技術を用いる上では、反応容器1を基板処理装置の本体から取り外す作業が必要となり、また、反応容器1を大気に開放しなければならず成膜可能な状態に復帰するには相当の時間がかかるという問題がある。
このため、現状では、反応容器1の取り外しが不要でメンテナンス性に優れたドライクリーニングが主流となっている。
【0008】
図7を参照してこのドライクリーニングの手順を説明する。まず、加熱源であるヒータ7の加熱によって反応容器1内が加熱され、可変コンダクタンスバルブ11によって反応容器1内の圧力が一定に保持される。この後、ガス供給配管9のガス導入口9aから反応容器1内にクリーニングガスを導入する。クリーニングガスを反応容器1内に導入すると、クリーニングガスの熱分解による活性種と堆積物とのエッチング反応によって反応容器1の内面に堆積している堆積物が表面からガス状の反応物となって剥離する。以下、このような反応を、便宜上、エッチングと呼ぶ。
クリーニングガスによる反応容器1内のクリーニングが終了し、排気管2及び真空排気装置10を経て堆積物が排出されると、直ちに、ガス供給配管9のガス導入口9aへのクリーニングガスの供給が停止される。
この後、反応容器1内のシーズニング工程、すなわちクリーニングガスを不活性ガスに置換させる等の工程により、反応容器1内は成膜工程に移行できる状態に回復される。
【0009】
上記のように、ドライクリーニングは、反応容器1内を加熱しクリーニングガスを加熱しクリーニングガスを熱分解することによって、クリーニング対象となる堆積物とのエッチング反応に適した活性種を生成する。また、堆積物自体も加熱するので、エッチングを促進するには加熱が重要な要素となる。また、ドライクリーニングでは、温度とエッチングレートとはアレニウスプロット(温度と反応速度との関係を示すグラフ)で直線的な関係となり、温度の増減に応じてエッチングレートが増減する。このため、堆積物を短時間で除去する場合は、温度を高くしてクリーニングガスのエッチングレートを上げることが好ましい。しかしながら、温度を高くすることにより、エッチングレートが高くなり、クリーニング処理時間すなわち、エッチング開始からエッチング終了までの時間を調節することによるエッチング量の制御性が悪化してしまう。そのため、反応容器等の表面が露出した後も、エッチングし続けることが起こってしまい、表面にダメージが発生してしまう問題がある。そこで、温度を低くすることもなされているが、エッチングレートが低くなってクリーニング処理時間が増加する問題がある。
例えば、Poly Si薄膜形成後のクリーニングの例で説明すると、特許文献1に開示されているように、通常、Poly Si薄膜の形成時は、530〜620℃近辺の温度条件にて成膜プロセスが実施されている。
成膜プロセス直後に、例えば、ClFガスによるドライクリーニング工程を実施する場合、成膜プロセスの直後、反応容器内の温度を、直ちに所定の温度、例えば400℃前後まで降温する。
もし、500℃を越えた高温を維持した状態でそのままドライクリーニングを行った場合、エッチングレートの増加により堆積物が効率的に除去される点で有利になる。その一方で、温度が高いほどエッチング量を緻密に制御することができないため、堆積物と反応容器や反応容器内に設置された反応容器内部品を構成している材料表面の一部が露出した後にもエッチングし続けたりすることで表面のダメージが大きくなってしまう。
このような表面のダメージを低減するには、堆積物を除去した時点で、直ちに、ドライクリーニングを停止するのが理想的である。しかし、現実には、反応容器内において、堆積物を均一に除去することは困難である。
【特許文献1】特開2002−175986号公報(ドライクリーニングについて)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、堆積物に対するエッチングレートと反応容器の表面の保護を考慮した中間的な温度条件でドライクリーニングを実施する方法が考えられる。だが、堆積物を完全に除去するには、現実には、反応容器内部品を構成している材料表面の一部が露出した後も引き続きエッチングし続けるオーバーエッチングが必要となる。そのため、オーバーエッチングの累積による反応容器表面のダメージを減少させることは困難である。
【0011】
そこで、本発明は、ドライクリーニングを行う上で堆積物の除去効率を低下させることなく、反応容器内壁にダメージを与えることなく、堆積物の除去を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記目的を達成するため、第一の態様として、基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する工程と、を有する半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によればドライクリーニングにより、反応容器内壁にダメージを与えることなく、また、堆積物の除去効率を低下させることなく、堆積物を除去することができるという優れた効果が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して実施の本発明の一実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態で好適に用いられる半導体製造装置としての基板処理装置の反応炉202の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
【0015】
基板処理装置の反応炉202は加熱源としてヒータ206を有する。ヒータ206は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより反応炉202を取り囲むように垂直に据え付けられている。
【0016】
ヒータ206の内側には、ヒータ206と同心円状に反応管としてのプロセスチューブ203が配設されている。
プロセスチューブ203は内部反応管としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ205とから構成されている。
インナーチューブ204は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。
インナーチューブ204の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウェハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
アウターチューブ205は、例えば石英または炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、内径がインナーチューブ204の外径よりも大きく上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、インナーチューブ204と同心円状に設けられている。
【0017】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状にマニホールド209が配設されている。
マニホールド209は、例えばステンレス等からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。
マニホールド209は、インナーチューブ204とアウターチューブ205に係合しており、これらを支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間にはシール部材としてのOリング220aが設けられている。
マニホールド209がヒータベース251に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。
前記プロセスチューブ203にマニホールド209が接続され反応容器260が形成される。
【0018】
後述するシールキャップ219にはガス導入部としてのノズル230が反応容器260内、下部に連通するように接続されており、ノズル230にガス供給配管232が接続されている。ガス供給配管232にはノズル230との接続側と反対側である上流側に、ガス供給量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241を介して、原料ガス供給ライン280と連結した原料ガス供給源270、クリーニングガス供給ライン281と連結したクリーニングガス供給源271、不活性ガス供給ライン282と連結した不活性ガス供給源272、後で述べる実施の形態4で用いる水素ガス供給ライン283と連結した水素ガス供給源273が接続されている。
MFC241には、ガス供給量制御部235が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。なお、図1においては、本来は1ラインに1つのMFC241を用いるところを、便宜上全ラインに共通のMFC241を記載している。
【0019】
マニホールド209には、反応容器260内の雰囲気を排気するため排気管231が設けられている。
排気管231は、インナーチューブ204とアウターチューブ205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されており、筒状空間250に連通している。
排気管231のマニホールド209との接続側と反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ245および圧力調整装置242を介して真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されており、反応容器260内の圧力が所定の圧力すなわち真空度となるよう真空排気し得るように構成されている。
圧力調整装置242および圧力センサ245には、圧力制御部236が電気的に接続されており、圧力制御部236は圧力センサ245により検出された圧力に基づいて圧力調整装置242により反応容器260内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0020】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口、すなわち、炉口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。
シールキャップ219はマニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。
シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面にはマニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられる。
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255はシールキャップ219を貫通して、後述するボート217に接続されており、ボート217を回転させることで基板200を回転させるように構成されている。
シールキャップ219はプロセスチューブ203の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。これによりボート217を処理室201に対して搬入・搬出できるようになっている。
回転機構254及びボートエレベータ115には、駆動制御部237が電気的に接続されており、所望の動作を所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0021】
基板保持具としてのボート217は、例えば石英(SiO)や炭化シリコン等(SiC)等のSiを含む耐熱性材料からなり、複数枚の基板200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、ボート217の下部には、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されていて、ヒータ206からの熱がマニホールド209側に伝わりにくくなるよう構成されている。
【0022】
プロセスチューブ203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。ヒータ206と温度センサ263には、電気的に温度制御部238が接続されている。温度センサ263は、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ206への通電具合を調整することにより、反応容器260内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0023】
ガス供給量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス供給量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、主制御部239はコントローラ240として構成されている。
【0024】
次に上記構成に係る反応炉202をCVD膜、例えばPoly Si膜等の薄膜、を形成する半導体装置の製造方法について説明する。また、以下の説明では、基板処理装置の各部動作はコントローラ240により制御されるものとする。
【0025】
図2は本発明の半導体装置の製造方法に係る基板処理工程とクリーニング工程を示す工程図である。なお、クリーニング工程は、所定のクリーニング周期、例えば、1回または連続する複数の成膜工程を繰り返した後、次の薄膜形成工程の前に実施される。
図2より、薄膜形成工程では、基板200を処理室201内に搬入する工程である基板搬入工程、反応容器内を第1の温度で加熱しながら該反応容器内に成膜用ガスを供給して基板200に成膜する工程である成膜工程、成膜後の基板200を前記反応容器内から搬出する工程である基板搬出工程が順次実施される。また、ドライクリーニング工程では、真空引き工程、第1の除去工程、すなわち第1のクリーニング工程としての高温クリーニング工程と、温度を降温する工程と、第2の除去工程、すなわち第2のクリーニングとしての低温クリーニング工程、パージ及び温度上昇工程、次の薄膜形成工程のための大気復帰工程が順次実施される。以下、図1及び図2を参照して各工程を、工程順に説明する。
【0026】
<ボートローディング工程(基板の搬入工程)>
この工程では、複数枚の基板200がボート217に装填すなわちウェハチャージされる。この工程では、反応容器260内は基板搬入温度にしておく。
次に、このボート217がボートエレベータ115の上昇によって処理室201に搬入すなわちボートローディングされる。ボート217の搬入を終了すると、ボートエレベータ115のシールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209をシールするので反応容器1は密閉され、外部から遮断された状態となる。
この後、真空排気装置246によって反応容器260の雰囲気が排気され、圧力を検知する圧力センサ245の検知圧力に基づく圧力調整装置242のフィードバック制御により、反応容器260内の圧力は所定の圧力すなわち真空度に調節され、好ましくは真空に調節される。また、温度センサ263が検出した温度情報に基づいて反応容器260内が所定の温度分布となるようにヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、ボート217が回転されることで基板200が回転される。
反応容器260の温度、圧力がそれぞれ薄膜としての成膜に適した温度、圧力に安定すると成膜工程が実施される。
【0027】
<成膜工程>
成膜工程では成膜用ガスとしての原料ガスが原料ガス供給源270から、原料ガス供給ライン280を通して、ガス供給配管232に供給される。シリコンウェハである基板200上にPoly Si膜等の薄膜を形成する場合、原料ガスには、SiHが用いられる。このとき、原料ガスの流量はMFC241にて所定の流量となるようにフィードバック制御される。原料ガスはガス供給配管232からノズル230に導入され、ノズル230のガス供給口から反応容器260内に導入される。
そして、原料ガスは反応容器260内を上昇移動し、処理室201内を通過する際に基板200の表面と接触し、熱CVD反応によって基板200の表面上に堆積する。残りの原料ガスは、インナーチューブ204の上端開口から筒状空間250に流出して排気管231により排出される。
なお、Poly Si膜の場合の成膜条件としては、
処理温度:530℃〜650℃
反応容器内圧力:0〜1000Pa前後
原料ガス:SiH(数十ccm〜数千ccm(リットル/min))
が例示される。
基板200の表面上にPoly Si等、薄膜が形成される成膜処理時間が経過すると原料ガス供給源270からガス供給配管232への原料ガスの供給が停止又は遮断され、パージガスとしてN、Ar、He等の不活性ガスが、不活性ガス供給源272から不活性ガス供給ライン282を通してガス供給配管232に供給される。パージガスはガス供給配管232からノズル230に導入され、ノズル230のガス供給口より反応容器260内、具体的には前記マニホールド209を通じて反応容器260内へと導入される。
パージガスは、原料ガスの場合と同様に、反応容器260内を上昇してインナーチューブ204の上端開口からインナーチューブ204とアウターチューブ205との間の筒状空間250に流出して排気管231より排気される。反応容器260内はこの不活性ガス雰囲気の置換により常圧に復帰される。
成膜工程が終了すると基板の搬出工程が実施される。
【0028】
<ボートアンローディング工程(基板の搬出工程)>
基板の搬出工程では、ボートエレベータ115の下降によるシールキャップ219の下降によりマニホールド209の炉口が開放され、処理済み基板200がボート217に支持された状態でマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出すなわちボートアンローディングされる。その後、処理済み基板200はボート217から取り出される、すなわちウェハディスチャージされる。
【0029】
<ドライクリーニング工程>
堆積物のクリーニング周期に到達すると、次の薄膜形成工程との間の工程で、反応容器260内にクリーニングガスと希釈ガスとが導入され、所定の体積濃度のクリーニングガスによる堆積物のドライクリーニングが実施される。このときクリーニングガスはフッ素原子(F)、塩素原子(Cl)を結合中に含んだガスであることが好ましい。とりわけ、低温領域においても適度な反応性を有する塩素(Cl)、フッ化塩素系ガス、三フッ化塩素(ClF)又はフッ素(F)、フッ化水素(HF)が好ましい。なお、堆積物がPoly Si膜の場合、クリーニングガスとしてフッ化塩素系ガス、三フッ化塩素(ClF)又はフッ素(F)を含むガスが用いられる。
クリーニングガスを希釈するための希釈ガスとしてはN、Ar、He等の不活性ガスが用いられる。
【0030】
ドライクリーニング工程では、真空引き工程の後に、クリーニングの第1ステップとしての高温クリーニング工程、クリーニングの第2ステップとしての温度降下工程、クリーニングの第3ステップとしての低温クリーニング工程、クリーニング後の雰囲気を排気するためのパージ及び温度上昇工程、次の薄膜形成工程のための大気復帰工程が順次、実施される。
【0031】
<真空引き工程>
真空引き工程では、前記ボートエレベータ115のシールキャップ219及びOリング220bによりマニホールド209の炉口が密閉された状態で、ヒータ206の加熱により、反応容器260内の温度を500℃以上に保持しながら真空排気装置246により反応容器260内の雰囲気が排気される。
このとき、反応容器260の圧力は真空(0Pa〜5Pa近辺)となる。
【0032】
<第1のクリーニング工程(高温クリーニング工程)>
第1の除去工程、すなわち第1のクリーニング工程(高温クリーニング工程)で用いるクリーニング方法には、反応容器260内の温度を第1の温度からこれよりも低い高温に降温させながら反応容器260内にクリーニングガスを導入することでクリーニングする方法(第1のクリーニング方法)と、反応容器260の温度を一定の高温に保持しながら反応容器260内にクリーニングガスを導入することによりクリーニングする方法(第2のクリーニング方法)との二つの方法がある。尚、いずれの方法でも、反応容器内の圧力は減圧状態に維持されて行われる。
以下、方法別に第1のクリーニング工程を説明する。第1のクリーニング方法の場合、まず、ヒータ206の降温又は反応容器260内の冷却により、第1の温度(550℃以上、好ましくは、真空引き工程時と同じ温度ないし真空引き工程およびボートアンローディング工程時と同じ温度)から第1の温度よりも低い第2の温度(500℃を越える温度)に漸次降温させながら反応容器260内にクリーニングガスを導入する。なお、ボートアンローディング工程時の反応容器260の温度を基板搬出温度とする。
この場合、クリーニングガスは、クリーニングガス供給源271からクリーニングガス供給ライン281及びMFC241を介してガス供給配管232に供給され、ノズル230のガス導入口から反応容器260にクリーニングガスを導入する。クリーニングガスの導入によるクリーニング処理時間は、第1の温度から第2の温度への降温の際の各温度でのクリーニングガスのエッチングレートと、反応容器260の内壁や反応容器260内部品の表面等に堆積した堆積物の元の厚みとに基づいて、クリーニング終了時の堆積物の厚みが目標エッチング量となるように決定する。なお、実施の形態1では、MFC241、ガス供給配管232及びノズル230は、原料ガスとクリーニングガスとの共用としているが、ガスの種類に応じて別個に設けても良い。
目標エッチング量は、次の低温クリーニング工程での精度のよいエッチングを行えるようにするために、堆積物の元の厚みの少なくとも半分以上で堆積物の元の厚み未満、例えば、90%前後とするのが好ましい。
なお、反応容器内部に反応生成物が堆積した状態で炉内温度を降温させると、堆積物に前記クラックが発生し、堆積物が反応容器内部から剥がれることにより、堆積物からパーティクルが発生してしまう。そのため、基板が反応容器にある状態で温度降下させると、発生したパーティクルが基板に堆積してしまう。しかし、基板が反応容器内にない状態であるクリーニング工程において温度降下させているため、仮にパーティクルが発生していても、基板へのパーティクルの堆積の問題は起こらない。
また、降温させることにより、堆積物への熱ストレスが堆積物にクラックを生じさせる。これにより、堆積物の表面積、すなわちクリーニングガスに接触する面積を大きくすることができる。そのため、堆積物の除去速度としてのエッチングレート及びクリーニング速度を増大させることができる。
上述のように降温させながらクリーニングガスを導入すると、クリーニングガスのエッチングレートが降温の温度勾配に対応して漸次減少、すなわち、温度の高い第1の温度ではエッチングレートが最大に、第2の温度ではエッチングレートが最小に、第1の温度から第2の温度の間では、クリーニングガスのエッチングレートが最大から最小に変化する。なお、本明細書全体において、「漸次、減少」という場合には、第1の温度から第2の温度まで至る間に温度を所定期間一定とする場合も含まれるものとする。
エッチングレートがこのように温度に変化に追従して変化すると、第1の温度側では堆積物に対するエッチング量が大きい短時間のエッチングがなされ、第2の温度側ではエッチング量が小さくエッチング量の制御が可能なエッチング量の小さいエッチングがなされる。すなわち、前記堆積物の除去速度は、温度が高いほど大きく、温度が低いほど小さいが、温度降下させつつクリーニングガスを供給し続けることで、高温時では除去速度を大きくして堆積物を荒削り除去でき、温度が下がるに従い、次第に除去速度を小さくして堆積物を緻密除去することができる。
従って、この第1の方法によれば、第1の温度側ではエッチング時間の短縮を優先したエッチング量の大きいエッチングがなされ、第2の温度側ではエッチング量の小さく処理時間の設定によりエッチング量の制御が可能なエッチング量の小さいエッチングがなされ、結果として、従来よりも短時間で目標とした目標エッチング量に堆積物を精度よくエッチングすることができる。
【0033】
このため、反応容器260の内面、具体的には、インナーチューブ204の内外面、アウターチューブ205の内面、マニホールド209の内面、ボート217外面のオーバーエッチングのない状態でこの第1のクリーニング工程を終了することができる。
従って、反応容器260の内壁や反応容器内配置部品がSiを含むSi材料、例えば、石英(SiO)で構成されていても、表面がクリーニングガスに露出することはなく、オーバーエッチングによって表面にダメージが発生することもない。すなわち、反応管等反応炉構成部品を極力エッチングすることなく、堆積物のみを除去することができる。
このように、第1のクリーニング工程(高温クリーニング工程)では、温度とエッチングレートとの関係を利用して短時間で堆積物の所定量のエッチングが可能となる。
なお、さらに、真空引き工程時と同じ温度ないし真空引き工程時及びボートアンロード工程時と同じ温度として第1の温度を設定して温度降下を開始させると共に、反応容器60内にクリーニングガスを導入することにより、無駄な温度降下時間を設けることなくエッチングが行えるため、スループットが向上する。
【0034】
次に、第1のクリーニング工程(高温クリーニング工程)における第2のクリーニング方法について説明する。
この第2のクリーニング方法では、まず、ヒータ206の温度制御により反応容器260及び反応容器260内の温度を550℃以上に保持しながらクリーニングガス供給源からガス供給配管232にクリーニングガスを供給し、ノズル230のガス導入口から反応容器260内にクリーニングガスを導入し、その結果として、反応容器260及び反応容器260に配置された反応容器内部品、具体的は、インナーチューブ204、アウターチューブ205、マニホールド209の内壁やボート217の外面に堆積した堆積物の半分以上、全厚未満、例えば90%以上を、エッチングにより除去する。
この場合、クリーニングガスのエッチングによるクリーニング処理時間は、第1の方法の場合と同様に、反応容器260の内壁や反応容器内設置部品の表面等に堆積したエッチング前の元の堆積物の厚みと、500℃を越える温度、好ましくは550℃の温度でのクリーニングガスのエッチングレートと、堆積物に対する目標エッチング量とに基づいて算出し、堆積物に対する最終的なエッチング量が堆積物の半分以上全厚未満、例えば90%前後になるように決定するが、クリーニングガスのエッチングレートは温度が高くなるほど高くなり、クリーニング処理時間の設定によるエッチング量のコントロールが困難になる場合が想定される。
このため、この第2のクリーニング方法では、クリーニングガスのエッチングレートを、クリーニング処理温度、この例では、550℃でのエッチングレートに対応するように調節する。
エッチングガスのエッチングレートの調節方法としては、反応容器260に対するクリーニングガスの全圧、すなわち反応容器260に対するクリーニングガスの供給圧力を調節する方法と、クリーニングガスを不活性ガス(N、Ar、He等)からなる希釈ガスで希釈することによってクリーニングガスの分圧を下げる方法とがある。ただ、全体且つ均一なエッチングを実施するには、クリーニングガスを不活性ガスからなる希釈ガスで希釈し、希釈ガスに対する分圧を下げる後者の方法が好ましい。
このため第2の方法では、500℃を越える高温でエッチングに適した制御性のよいクリーニングガスを検討した結果、クリーニングガスの体積濃度が1vol%以上10vol%未満である場合にこのような条件を満たすことを見出した。この場合、クリーニングガスの体積濃度は、より好ましくは、1vol%以上5vol%以下の範囲とするとよい。
【0035】
そこで、第2のクリーニング方法では、反応容器260内の温度を500℃を越える温度で且つ一定温度に保持しながら反応容器260にクリーニングガスを導入することにより堆積物をエッチングする方法において、体積濃度が1vol%以上10vol%未満のクリーニングガスを用い、堆積物の元の厚みの少なくとも半分以上で堆積物の元の厚み未満、例えば、90%前後をエッチングできるようにエッチング処理時間を定める。
このようにエッチングレートを調節すると、時間によるエッチング量の制御性が安定する。そのため、反応容器260の内壁や反応容器内設置部品がSiを含むSi材料、例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)で構成されていた場合でも表面、すなわち堆積物との境界面にエッチングによるダメージの発生が防止され、クリーニング処理時間も大幅に短縮することが可能となる。
なお、この第2のクリーニング方法で使用する体積濃度が1vol%以上10vol%未満のクリーニングガスは第1のクリーニング方法で使用してもよい。
【0036】
なお、第1のクリーニング工程において、堆積物がPoly Siの場合、第1の温度は530℃〜620(500℃を越える温度)、第2の温度は500℃直前の温度とし、Siの場合は、第1の温度が720℃、第2の温度は550℃直前の温度とする。それぞれの場合において、530℃〜620(500℃以上)から500℃直前の温度、720℃から550℃に漸次降温させながら前記したクリーニングを行う。
また、第1のクリーニング工程の第1のクリーニング方法において、「第1の温度より第2の温度に漸次降下させる」際の態様としては、第1の温度と第2の温度を直線的に結んだ場合や、直線的に変化する複数の温度勾配同士を結んで第1の温度勾配側でエッチングレートを大きく、第2の温度側でエッチングレートを小さくする場合の両方の態様が含まれるものとする。
また、クリーニング処理時間において、クリーニングの終了時期は、第2の温度の直前の温度として、時間によるエッチング量の制御性を向上するようにしてもよい。
【0037】
<温度降下工程>
この工程では、反応容器260内の温度を、第1のクリーニング工程終了時の温度、すなわち、500℃を越える第2の温度から200℃未満、好ましくは200℃未満150℃以上、より好ましくは150℃の第3の温度に漸次降温させる。
この温度降下工程は、200℃未満でクリーニングを実施する次の低温クリーニング工程に移行するための温度過渡期にあたり、反応容器260内の堆積物の除去するものではない。そのため、一定の温度勾配で降温し、この間は不活性ガスのみを導入しながら第1のクリーニング工程で生成したガス状の堆積物を排気し、クリーニングガスの導入を停止している。
なお、この工程で堆積物の残存量を測定器により正確に検知できる場合は、この温度降下工程で温度を徐々に下げながら第1のクリーニング工程で流す量より少ない量のクリーニングガスを導入し、反応容器260の内壁や反応容器内配置部品の表面が露出することのない程度に残膜を徐々に除去してもよい。
このように、温度降下工程で第1のクリーニング工程後の残膜を薄くエッチングすると、次の低温クリーニング工程で除去する残膜の厚みが薄くなるので、全体としてのクリーニング時間を短縮することが可能となる。
【0038】
<第2のクリーニング工程(低温クリーニング工程)>
第2の除去工程、すなわち第2のクリーニング工程(低温クリーニング工程)では反応容器260内の温度を第1のクリーニング工程時の温度より低温となるよう200℃未満から100℃以上の低温の温度範囲の所定温度、好ましくは150℃に保持する。そして、堆積物の厚み、すなわち第1のクリーニング工程後の堆積物の残膜の厚みと、200℃未満から100℃以上の低温の温度範囲内で設定した温度でのエッチングレートとに基づいて、残膜のみをエッチングにより除去できるよう、クリーニング処理時間を算出する。このクリーニング処理時間の間、前記ノズル230のガス導入口から反応容器260内にクリーニングガスを導入する。
残膜の厚みは、第1のクリーニング工程でのクリーニングによって十分に薄くなっている。低温クリーニング工程での設定温度のエッチングレートはそれぞれ第1のクリーニング工程でのエッチングレートよりも低く、エッチング量が少なくなる。そのため、エッチングにより誤って反応容器260の石英内壁を露出させてしまうことがないのでエッチングによるダメージを与えることがない。
この結果、反応容器260の内壁や反応容器内配置部品に堆積した堆積物の残膜すなわち第1のクリーニング工程後の残膜が除去される。つまり、低温クリーニング工程(200℃未満100℃以上)の場合、残膜と石英内壁とのエッチング選択性がよく、石英内壁が露出してクリーニングガスに晒されたとしても、石英内壁のダメージは小さくて済む。
また、200℃未満100℃以上の温度範囲の所定温度で反応容器260に希釈ガスとして不活性ガスを導入すると、さらに、クリーニングガスのエッチングレートが低下するので、反応容器260の内壁や反応容器260内部品の表面にエッチングによるダメージを与えることがない。また、実用的なエッチングレートで堆積物の残膜を残さず除去することができる。
なお、反応容器260内の温度を200℃未満100℃以上とする場合は、クリーニング処理時間の短縮とエッチング量の精度の両方が要求されている場合のエッチングに適している。
なお、この場合、前記クリーニングガスの体積濃度を漸次高くしたり、ガス分圧を漸次高くしたり、ガス全圧を漸次高くしたりすることで、エッチングレートの制御性を向上させることができる。このとき、ガス分圧を高くするとは、全体の圧力を一定としてクリーニングガスの体積濃度を上げることである。また、ガス全圧を高くするとは、クリーニングガスの体積濃度を一定として全体の圧力を上げることである。
【0039】
<パージ及び温度上昇工程>
第2のクリーニング工程(低温クリーニング工程)を終了すると、直ちに、ガス供給配管に対するクリーニングガスの供給を停止又は遮断する。そして、ガス状の反応生成物となった堆積物を真空排気装置246によって排気管231から排気しながら、温度センサと温度制御部によるヒータ206の加熱によって反応容器260内の温度を処理温度、好ましくは、650℃になるように徐々に昇温させる。
このように反応容器260の温度を処理温度に徐々に上昇させながら排気すると、ガス状となった反応生成物を残さず排出できるので、反応容器260の清浄化が達成される。
【0040】
<大気復帰工程(終了時状態)>
この工程では、反応容器260内の温度は、ヒータ206の温度制御によって処理温度(500〜650℃)に保持され、排気によって圧力が大気圧に復帰した時点で終了する。
この工程を終了すると、次のバッチ処理として先に、説明した薄膜形成工程が開始される。
【0041】
このように、この実施の形態1におけるドライクリーニングでは、まず、高温条件によるドライクリーニング(高温クリーニング工程)を行うことにより、反応容器260内壁や反応容器260内部品に堆積した堆積物の大部分を除去し、次に、低温条件によるドライクリーニング(低温クリーニング工程)を行うことにより、反応容器260や反応容器260内部品を構成している石英等の材料表面との選択性を保った状態で残りの堆積物の残膜を完全に除去することができる。それにより、クリーニングガスによる材料表面のダメージが低減されると共に、クリーニング時間が短縮される。
【0042】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態1における一実施例を説明する。
図2は本実施例に係る製造方法の工程図である。
なお、本実施例に係る半導体装置の製造装置である基板処理装置の反応容器260の内壁は石英(SiO)又はSiCで構成している。
第1のステップとして、処理温度と同じ650℃の高温条件、且つClFガスの体積濃度が5vol%となるようにクリーニングガスをNガスにより希釈して反応容器260内に導入し、反応容器260へのガス流量及び反応容器260の圧力を保持しながら高温条件によるドライクリーニングを開始し、650℃から500℃に至る直前まで(この場合550℃)一定の割合で温度を降下している間、ドライクリーニングを継続する。この場合、クリーニングガスとしてのClFガスは互いに独立した別々のガス供給配管(図示せず)より、同じく別々のノズルに供給し、ノズルから反応容器260に導入した。
また、クリーニング処理時間は、エッチング前の堆積物(Poly Si)の元の膜厚と、反応容器260の降温の際のクリーニングガスの各温度でのエッチングレートに基づいて堆積物の90%を除去できる時間とした。
次に、第2のステップとして、ClFガスのみの導入を停止し、不活性ガスであるNガス雰囲気で500℃近辺(この場合550℃)から150℃に至るまで、反応容器260内の温度を降温した。
続いて、第3のステップとして、150℃の低温条件、且つClFガスの体積濃度が25vol%となるようにクリーニングガスをNガスにより希釈して導入し、ガス流量及び圧力を保持しながら減圧状態で低温条件によるドライクリーニングを実施した。尚、この場合、300Paの圧力に保持するようにした。
このとき、クリーニング処理時間は、第1のステップでエッチングした堆積物の残膜の厚みと、150℃の温度でのクリーニングガスのエッチングレートに基づいて堆積物が完全に除去できる時間とし、オーバーエッチングを見込んでいる。
このように、第1のステップ、すなわち高温クリーニング工程では、堆積物の90%が除去され、10%が残膜として堆積していたが、第3のステップ、すなわち低温クリーニング工程により全てが除去された。この場合、クリーニング処理時間は、150℃で終了するようにオーバーエッチング処理時間を見込んでいたが、低温(150℃)でのエッチングであり、エッチングレートが低いので、石英からなる反応容器、すなわちインナーチューブ204、アウターチューブ205の内壁の表面のエッチングによるダメージは極めて小さなものとなった。
また、第1ステップから第3のステップまでのクリーニングの所要時間も大幅に小さくなり、スループットが大幅に向上した。
したがって、堆積物のエッチングの際に、オーバーエッチングを見込み、1又は連続する複数のクリーニング周期毎にドライクリーニングを繰り返すような場合でもSi含有材料表面面の累積ダメージは従来よりも大幅に小さくなる。
なお、クリーニングガスの体積濃度を調節する場合、クリーニングガスと希釈ガスとをそれぞれ別々の配管により、反応容器260内に導入してもよいし、予め、体積濃度を調節したクリーニングガスを一つのノズルから導入するようにしてもよい。
また、高温(第1の温度)と低温(第2の温度)の二つの温度でクリーニング処理時間を決定する場合において、オーバーエッチングを防止する場合は、クリーニング処理時間の終了直前の温度でクリーニング処理を終了するようにタイミングを修正するようにしてもよい。
図5(a),(b)はClFガスを用いて熱CVD反応により形成したPoly Si膜と熱酸化膜をエッチングしたときの温度依存性を示し、図6(a),(b)に、同じくClFガスを用いてPoly Si膜と熱酸化膜をエッチングしたときの圧力依存性データを示す。
図5(a),(b)に示すように、Poly Si膜のエッチングレートの温度依存性が見られ、温度の上昇に伴いエッチングレートが高くなるものの、熱酸化膜に対する選択比(=Poly Si/SiO)は低下する傾向にある。
一方、200℃以下の低温条件においては、Poly Si膜のエッチングレートはやや低下するものの実用的な値が得られており、また、熱酸化膜に対して極めて高い選択比を確保できる。
さらに、図6(a),(b)に示すように、同じ条件であってもクリーニングガスとしてのClFガスの分圧を低くすることでPoly Si膜のエッチングレートを抑制できるとともに、熱酸化膜に対する選択性を大きく向上させることが可能である。
従って、以上のような実験データに基づき、高温条件によるドライクリーニング(高温クリーニング工程)、低温条件によるドライクリーニング(低温クリーニング)を組み合わせると、反応容器260の内壁や反応容器260内部品がクリーニングガスによって表面にダメージを受けやすい材料、すなわちSiO(石英)、SiC(炭化シリコン)等のSi含有材料で構成されていても表面のダメージの発生を抑制ないし、微少なものとすることができることがわかった。
尚、ClFガスを代表して説明したが、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)を結合中に含んだガス、例えば、塩素(Cl)、フッ化塩素系ガス、フッ素(F)、フッ化水素(HF)でも同様となる。
【0043】
以下、本発明に係る半導体装置の製造方法の他の実施の形態について説明する。
(実施の形態2)
図3は他の製造方法を示す工程図である。本形態でも実施の形態1と同様に、堆積物の膜を除去するためのドライクリーニング工程は、1回または複数回の成膜工程を繰り返した後、次の薄膜形成工程との間で実施される。また、ドライクリーニング工程では、実施の形態1と同様なクリーニングガスが用いられ、例えば、ClFガス又はフッ素(F)を含むクリーニングガスが用いられ、クリーニングガスの希釈ガスとしてはN、Ar、He等の不活性ガスが用いられる。
この実施の形態2に係る製造方法では、ボートローディング工程、反応容器内の昇温工程、成膜工程、反応容器内の降温工程、ボートアンローディング、基板払い出し、空ボート217の搬入工程、第1のクリーニング工程(高温クリーニング工程)、反応容器内の降温工程、第2のクリーニング工程(低温クリーニング工程)、パージ工程が順次、実施される。
以下、図1及び図3を参照して各工程を工程順に説明する。
【0044】
<ボートローディング工程>
ボートローディング工程では、圧力センサ245と圧力調整装置242によって反応容器260内の圧力がフィードバック制御され、温度センサ263、温度制御部238によるヒータ206の温度制御によって反応容器260内の基板搬入温度としての雰囲気温度が150℃以上200℃未満、好ましくは、180℃に保持される。
なお、この工程では、反応容器260内の残留ガスを排出するため、不活性ガス供給源からN等の不活性ガスをガス供給配管232に供給し、ノズル230のガス導入口から反応容器260にパージガスとして流すようにしてもよい。
反応容器260内の温度、圧力が安定すると、ボートエレベータ115の上昇によりボート217が処理室201に挿入される。
ボート217の処理室201内への搬入を終了すると、反応容器260の昇温工程が実施される。
ボートローディング工程時、反応容器260内の温度を高くすればするほど、成膜前の基板上に自然酸化膜が形成されやすくなる。すなわち、基板搬入温度としての反応容器260内の温度を高くすればするほど、その後に自然酸化膜除去工程を設けたとしても、前記自然酸化膜を除去することが困難となり、前記自然酸化膜を除去するのに多くの時間を要してしまう。
そのため、ボートローディング工程時に反応容器260内の温度をできるだけ低温にすることにより、基板上に自然酸化膜が生成されにくくすることができ、余分な工程を排することができる。
【0045】
<反応容器の昇温工程>
昇温工程では、成膜工程のため、ヒータ206の温度制御により反応容器260の温度が180℃から処理温度である750℃に昇温される。
反応容器260内の温度が750℃に安定し、圧力が成膜である薄膜の形成に適した圧力に安定すると、基板200の成膜工程が実行される。
この際、温度センサ263が検出した温度情報に基づいて反応容器260内が所望の温度分布となるように温度制御部238により、ヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。
続いて、回転機構254により、ボート217が回転されることで基板200が回転される。反応容器260の温度、圧力がそれぞれ薄膜に適した温度(750℃)、圧力に安定すると、基板の成膜工程が実施される。
【0046】
<成膜工程>
成膜工程ではシリコンウェハである基板200上にSi膜を形成するため、反応容器260の温度はヒータ206の温度制御によって処理温度750℃に保持され、原料ガス供給源から原料ガス(DCSおよびNH)が供給される。
原料ガスの流量はMFC241にて所望の流量となるようにフィードバック制御される。原料ガスがガス供給配管232からノズル230へと導入され、ノズル230のガス供給口から反応容器260内へと導入されると、原料ガスは反応容器260内を上昇した後、インナーチューブ204の上端開口から筒状空間250に流出して排気管231から排気される。そして、原料ガスは処理室201内を通過する際に基板200の表面と接触し、熱CVD反応によって基板200の表面上に堆積する。
シリコンウェハである基板200上にPoly Si膜等の薄膜を形成する場合は、前記したように、ノズル230から成膜用ガス(SiH)を供給する。
予め、設定された処理時間が経過し、基板200の表面上に薄膜が形成されると、ガス供給配管232への原料ガスの供給が遮断される。
【0047】
<反応容器内の降温工程>
この工程では、ヒータ206の温度制御により反応容器260の温度を処理温度である750℃から550℃まで漸次降温させながら、前記真空排気装置246により残留ガスを排気する。このとき、不活性ガス供給源からの不活性ガスがガス供給配管232に供給され、ノズル230から導入された不活性ガスによって反応容器260内の雰囲気が不活性ガス雰囲気に置換される。置換が終了し圧力が常圧に回復すると共に、パージガス(不活性ガス)を反応容器260に導入し、反応容器260内に残留している堆積物としての反応副生成物を排気させるようにしてもよい。
反応容器260内の温度が第1の温度である500℃より高い温度、例えば、550℃に安定すると、ボートアンローディング工程に移行する。
【0048】
<ボートアンローディング、基板払い出し、空ボートの搬入工程>
この工程では、基板搬出温度550℃において、ボートエレベータ115の下降によりボート217が処理室201から搬出され、ボート217から成膜完了後の処理済み基板200が取り出される。そして、処理済み基板200を全て取り出し、この後、ボートエレベータの上昇により空ボート217を処理室201内に挿入する。シールキャップ219とOリング220bが反応容器260を密閉すると、ボートアンローディング、基板払い出し、空ボート217の搬入工程が終了し、第1のクリーニング工程(高温クリーニング工程)を実施する。
尚、ボートアンローディング工程においては、前記自然酸化膜が基板に成膜された膜上に形成されたとしても、後の工程にて自然酸化膜除去工程を設けることにより、自然酸化膜による影響を抑制できる。また、D(doped)−Poly Si膜の場合は、ボートアンローディング工程時に意図的に自然酸化膜を形成させることがある。故に、ボートローディング工程に比べて、ボートアンローディング工程では自然酸化膜による影響が少ない。そのため、ボートアンローディング工程では、反応容器260内を高温としたままでも良い。
【0049】
<第1のクリーニング工程(高温クリーニング工程)>
この第1のクリーニング工程では、クリーニングガス供給源からクリーニングガスがガス供給配管232に供給される。
そして、ノズル230のガス供給口からクリーニングガスを反応容器260に導入することにより、反応容器260の内面や反応容器内配置部品の表面に堆積した堆積物をエッチングする。
この際、エッチングガスとしてのクリーニングガスの体積濃度(第1の体積濃度)は希釈ガス(不活性ガス)に対して1vol%以上10vol%未満となるように調節される。
クリーニングガスの体積濃度が1vol%以上10vol%未満となると、実施の形態1(第2のクリーニング方法)で説明したように、反応容器260の温度が550℃の高温でもクリーニング処理時間の調節によるエッチング量のコントロールが可能となる。
エッチング処理時間は、550℃におけるクリーニングガスのエッチングレートと、クリーニング前の反応容器260の内壁や反応容器内配置部品の堆積物の元の厚みとに基づいて着物の全厚の少なくとも半分以上且つ全厚未満、例えば、90%前後となるように決定される。
クリーニング処理時間を終了すると、直ちに、クリーニングガス供給源からガス供給配管232へのクリーニングガスの供給を停止又は遮断する。
従って、この実施の形態2でも反応容器260の内壁やボート217等の反応容器内設置部品の表面にダメージが抑制され、エッチングレート優先のドライクリーニングにより堆積物の少なくとも半分以上全厚未満、例えば、90%前後がクリーニングガスのエッチングにより除去される。
【0050】
<反応容器内の降温工程>
第1のクリーニング工程を終了すると、制御部は、第1のクリーニング工程に続く第2のクリーニング工程で堆積物の残膜を除去するため、反応容器260の降温を実施する。この工程では、反応容器260内の温度を550℃から150℃以上、200℃未満、好ましくは180℃に降温する。このとき、反応容器260内の雰囲気は、不活性ガス供給源の不活性ガスをガス供給配管232に供給しノズル230から導入することで排気してもよい。
【0051】
<第2のクリーニング工程(低温クリーニング工程)>
第2のクリーニング工程では、反応容器260内の温度を550℃から150℃以上200℃未満の温度範囲での所定温度、好ましくは180℃に保持し、クリーニングガス供給源からガス供給配管232にクリーニングガスを供給してノズル230のガス供給口から反応容器260にクリーニングガスを供給する。
このとき、希釈ガスとしての不活性ガスに対するクリーニングガスの体積濃度(第2の体積濃度)は第1のクリーニング工程の体積濃度より高い10vol%以上から30vol%未満の範囲とする。好ましくは、25vol%以上30vol%未満になるように調節する。
そして、クリーニング処理時間を、150℃以上、200℃未満の温度範囲内での所定温度、例えば、180℃でのクリーニングガスのエッチングレートと、クリーニングガスの残膜の厚みとに基づいて算出し、このクリーニング時間の間、クリーニングガスを反応容器260に導入する。
この場合、実施の形態1と同様に、前記クリーニングガスの体積濃度を漸次高くしたり、ガス分圧を漸次高くしたり、ガス全圧を漸次高くしたりすることで、エッチングレート(除去速度)の制御性を向上させることができる。特に、温度変化によるエッチングレートの制御のみでは、期待通りにエッチングレートを操作できない場合がある。例えば、100℃〜150℃等次の薄膜形成工程における基板搬入工程時の基板搬入温度のような比較的低温になると、エッチングレートが予想よりも低くなりすぎることがある。そこで、体積濃度や圧力というパラメータを用いることにより、低くなりすぎたエッチングレートを高くするといったようにエッチングレートを期待通りに制御しやすくすることができる。
第2のクリーニング工程を終了すると、直ちに、クリーニングガス供給源からガス供給配管232へのクリーニングガスの供給を停止又は遮断してこの第2のクリーニング工程を終了する。
【0052】
<パージ工程>
この工程では第1のクリーニング工程、第2のクリーニング工程でガス化した反応生成物をガス状の状態で排気するため、ヒータ206の温度制御により反応容器260の温度を、堆積物のガス化温度以上、例えば180℃に保持し、この状態で真空排気装置246により反応容器内雰囲気を排気しながらガス供給配管232にバージガスとして不活性ガス、例えばNガスを供給してノズル230から反応容器260内に導入する。
反応容器260内が180℃に保持され、パージガスとしてNガス等の不活性ガスが導入されると、反応容器260内でのエッチングにより発生した堆積物の反応ガスは、全て、排気管231に排気され、排気管231に介設された排気トラップにより捕捉される。
なお、排気トラップの回収後は真空排気装置246よりも上流側に設けられた図示しない除害装置により無害化される。
【0053】
このように、本実施の形態2では、第1のクリーニング工程(高温クリーニング)において、クリーニングガスのエッチングレートを高くするため反応容器260内の温度が550℃〜600℃未満という高温下でクリーニングガス(ClF)を流し、石英、SiC等のSi含有部材や金属で構成された反応容器260の内壁や反応容器内部品表面の堆積物の膜を高速で石英等の表面(堆積物との境界面)が現れない程度のエッチング量にエッチングする。そして、この後に、第2のクリーニング工程(低温クリーニング工程)において、エッチングレートを低くするため、200℃未満150℃以上に反応容器内の温度を低下させた後、クリーニングガス(ClF)を流して残りの膜をエッチングする。
つまり、第1のクリーニング工程でエッチングスピードが増加し、堆積物との境界面がむき出しにならない程度に最初にエッチングしておき、その後、エッチングレートを低くするため反応容器260内の温度を150℃以上、200℃未満の範囲内の温度という低温とし、反応容器260等の表面に堆積した残膜を低速でエッチングする。すなわち、反応容器260の内壁や反応容器内配置部品を構成している材料の表面がエッチングされることを防止しつつ、残膜をエッチングする。
また、残膜のエッチングレートを遅くすることによりエッチング制御をきめ細かく制御することができ、反応容器260や反応容器260内部品を構成する材料の表面、特に、石英やSiC等のSi含有料で構成されている場合に表面に影響を与えない堆積物のみのエッチング制御を容易にすることができる。
また、これにより、エッチング時間の短縮が可能になるとともに、反応容器260の温度を次バッチ処理のボートローディング温度に効率的に近付けることができるのでスループットも向上する。
さらに、ボートローディング温度は極力低い方が、ボートロード時の基板面間、すなわち、ボート217上に置かれた複数枚の基板200それぞれの温度差、ボート217の温度差がなくなり、面間熱履歴が均一になる。
【0054】
(実施の形態3)
図4は第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す。
本形態でも実施の形態1と同様に、堆積物の膜を除去するためのドライクリーニング工程は、1回または複数回の成膜工程を繰り返した後、次の薄膜形成工程との間で実施される。また、ドライクリーニング工程では、実施の形態1と同様なクリーニングガスが用いられ、例えば、ClFガス又はフッ素(F)を含むクリーニングガスが用いられ、クリーニングガスの希釈ガスとしてはN、Ar、He等の不活性ガスが用いられる。
この例では、ボートローディング工程、反応容器内の昇温工程、成膜工程、ボートアンローディング、基板払い出し及び空ボート217の挿入工程、クリーニング工程、及び反応容器のパージ工程を順次、実施する。なお、この実施の形態3ではボートローディング工程、反応容器内の昇温工程、成膜工程、反応容器内の降温工程、パージ工程は、実施の形態2と同じなのでここではクリーニング工程について詳述する。
【0055】
<クリーニング工程>
クリーニング工程ではヒータ206の温度制御により反応容器260内の温度を550℃から徐々に180℃に降温させる。そして、550℃から180℃直前への降温過程によって定まるクリーニング処理時間の間、クリーニングガスを導入する。クリーニング処理時間は、降温の際の各温度でのクリーニングガスのエッチングレートと、クリーニング前すなわちエッチング前の堆積物の元の厚みとに基づいて、堆積物の全厚を目標エッチング量とする時間を決定する。この場合、クリーニングガスの体積濃度は550℃で10vol%未満、好ましくは1vol%以上5vol%未満、180℃の直前の温度で30vol%としてクリーニングガスのエッチングレートを修正し、オーバーエッチングを防止することが望ましい。
なお、降温させる間、クリーニングガスの体積濃度を漸次高くしても良い。また、温度降下中にガス分圧を漸次高くしたり、ガス全圧を漸次高くしたりしても良い。このようにすることで、除去速度すなわちエッチングレートの制御性を向上させることができる。
【0056】
このように、実施の形態3では、反応容器260内の温度を処理温度から降下させて基板搬出温度である500〜600℃未満にし、ボートアンローディング工程を完了させる。その後は、引き続き、反応容器260内の温度を550℃〜600℃未満から150〜200℃未満の範囲内で温度を漸次に降下させる間、クリーニングガス(ClF(三フッ化塩素))ガスを導入し続ける。
このようにすると、実施の形態1、2で説明した効果および以下で説明する効果のうち1つまたはそれ以上の効果を奏する。高温下で高いエッチングレートが、温度を下げるにしたがって少しずつ低くなるため、反応容器260や反応容器260内部品の表面に堆積した堆積物の膜が、最初は高速でエッチングされ、反応容器260の壁面等の表面に近づくにしたがって少しずつ低速でエッチングすることができる。これにより、反応容器260の内壁等の表面がエッチングされることを防ぎつつ、堆積物の残膜をエッチングすることができる。
すなわち、堆積物の残膜のエッチングレートを遅くすることで、エッチング制御を細やかにすることができ、反応容器260の内壁等を構成している材料の表面に影響を与えない堆積物のみのエッチング制御を容易にすることができる。従って、反応容器の内面やボート217等の反応容器内配置部品に石英やSiCを使用した場合でも、エッチングよる表面のダメージを抑制することができる。また、これにより、エッチング時間の短縮が可能になると共に、反応容器20内の温度を次バッチの基板搬入温度に効率よく近づけることができる。また、実施の形態1及び2で述べたような温度降下工程を、クリーニング工程とは別個に設ける必要が無くなる。これらの理由により、スループットが向上する。
【0057】
(実施の形態4)
図8は第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す。
本形態でも実施の形態1と同様に、堆積物の膜を除去するためのドライクリーニング工程は、1回または複数回の成膜工程を繰り返した後、次の薄膜形成工程との間で実施される。また、ドライクリーニング工程では、実施の形態1と同様なクリーニングガスが用いられ、例えば、ClFガス又はフッ素(F)を含むクリーニングガスが用いられ、クリーニングガスの希釈ガスとしてはN、Ar、He等の不活性ガスが用いられる。
この例では、ボートローディング工程、反応容器内の昇温工程、成膜工程、ボートアンローディング工程、真空引き工程、エッチングを行うクリーニング工程、及び反応容器内のパージ工程を順次、実施する。なお、この実施の形態4では反応容器内の昇温工程、成膜工程、ボートアンローディング工程は実施の形態1と同様であり、また、ボートローディング工程に反応容器の温度を低くする点は、実施の形態2、3と同様であり、ここでは真空引き工程、エッチング工程、反応容器内のパージ工程について詳述する。
【0058】
<真空引き工程>
真空引き工程では、基板搬出温度650℃から、クリーニング工程開始温度600℃に降下させながら、反応容器260内の雰囲気を排気する。クリーニング工程開始温度600℃近辺になると、反応容器260の圧力は真空(0Pa〜5Pa近辺)となる。
【0059】
<クリーニング工程>
クリーニング工程では、ヒータ206の温度制御により反応容器260内の温度を基板搬出温度600℃からクリーニング工程終了温度150℃直前の温度に降温させるまでの時間によって定まるエッチング処理時間の間、クリーニングガスを導入する。なお、ここでは、クリーニングガスとして塩素(Cl)ガスを使用する。塩素(Cl)ガスも実施の形態1で説明したようにシリコン(Si)をエッチングするが酸化膜及び石英(SiO)をエッチングしないという特性を有するため、堆積物とインナーチューブ204などの材質である石英とのエッチング選択性がよく、エッチングによって反応容器260内の石英内壁に与えるダメージを軽減できる。
尚、ここではエッチング工程終了温度を150℃直前の温度としたが、堆積物の全厚をエッチングすることができるのなら、クリーニング工程終了温度はこの温度に限られない。
クリーニング処理時間は、実施の形態3と同様に、降温の際の各温度でのクリーニングガスのエッチングレートと、エッチング前の堆積物の厚みとに基づいて、堆積物の全厚を目標エッチング量とする時間を決定する。
【0060】
図8より、実施の形態4のクリーニング工程では、ヒータ206の温度制御により反応容器260内の温度を600℃から徐々に150℃に降温させる。そして、600℃から150℃直前への降温過程によって定まるクリーニング処理時間の間、クリーニングガスを導入する。この時、反応容器内の圧力は減圧状態、1330Paに維持されている
なお、降温させる間、クリーニングガスの体積濃度を漸次高くしても良い。また、この場合、温度降下中にガス分圧を漸次高くしたり、ガス全圧を漸次高くしたりしても良い。このように、除去速度すなわちエッチングレートの制御性を向上させることができる。
これにより、実施の形態3で述べたように、反応容器260の内壁等の表面がエッチングされることを防ぎつつ、堆積物の残膜をエッチングすることができる。
また、エッチング時間の短縮が可能になると共に、反応容器20内の温度を次バッチの基板搬入温度に効率よく近づけることができる。また、クリーニング工程とは別に温度降下工程を設ける必要が無くなる。これらの理由により、スループットが向上する。従って、反応容器の内面やボート217等の反応容器内配置部品に石英やSiCを使用した場合でも、エッチングよる表面のダメージを抑制することができる。
【0061】
図8より、実施の形態4のクリーニング工程においては、温度降下させながらClガスの流量を不連続的、例えば階段状に増加させている。しかし、エッチングレートを調整することができるならば、Clガスを不連続的に変化、具体的には不連続的、例えば階段状に増加させることに限られず、徐々に増加させても良い。
また、この工程においては、Clガスを不活性ガスであるNガスで希釈し、全圧を一定にしているが、エッチングレートを調整することができるならば、Nガスを不連続的に変化、具体的には不連続的、例えば階段状に減少させることに限られず、徐々に減少させても良い。
【0062】
<第1パージ工程(Hパージ)>
前記クリーニング工程(高温クリーニング工程)を終了すると、直ちに、ガス供給配管231に対するクリーニングガス(Cl)及び希釈ガスとしての不活性ガス(N)の供給を停止又は遮断する。その後、クリーニング工程終了温度150℃から基板搬入温度100℃への降温を継続しながら、水素ガス供給源273から水素ガス供給ライン283を介してHガスを反応容器260内に供給する。この時、反応容器内の圧力は、減圧状態、5320Paに維持されている。これにより、クリーニングガス(Cl)とHガスが反応し、塩化水素ガス(HCl)が生成される。この反応により、反応容器260内に残存するクリーニングガス(Cl)を効率よく取り除くことができ、塩化水素ガスは排気管231から排気される。
なお、実施の形態4ではNガス供給ライン283とHガス供給ライン282を別々のラインとしているが、一部共通のラインであってもよい。
実施の形態4では、第1パージ工程は150℃から120℃程度に降温する間に行われているが、前記反応が適切に行われるならば、この範囲に限られない。
【0063】
<第2パージ工程(Nパージ)>
前記第1パージ工程を終了すると、直ちに、Hガスの供給を停止又は遮断する。その後、基板搬入温度100℃までの降温を継続しながら、再びNガスを反応容器260内に供給し、残存したHを排気する。これにより、反応容器260の清浄化が達成される。
なお、第2パージ工程における全圧は一定としている。第2パージ工程においては、全圧を変動させないようにするために反応容器260内を減圧排気しているためである。このようにパージ工程を行うのが好ましいが、適切にパージ工程を行うことができるのならば、全体の圧力を高くするように制御しても良い。
第1及び第2パージ工程は、150℃から100℃に降温する過程で行われるのが好ましい。クリーニング後であって、大気圧復帰工程の前に第1及び第2パージ工程を行うことにより、スループットを向上させることができる。
【0064】
<大気復帰工程(開始時状態)>
この工程では、反応容器260内の温度は、基板搬入温度100℃に保持され、排気によって圧力が大気圧に復帰した時点で終了する。
この工程を終了すると、次のバッチ処理として、先に説明した薄膜形成工程が開始される。
【0065】
本実施の形態により実施の形態1〜3で説明した効果及び以下で説明する効果のうち、1つまたはそれ以上の効果を奏する。
反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、反応容器内壁に堆積した堆積物を除去することにより、反応容器内の温度が高温時では除去速度を大きくして堆積物を荒削り除去でき、温度が下がるに従い、次第に除去速度を小さくして堆積物を緻密除去することができる。すなわち、反応容器内の温度を降下させることにより、堆積物を除去するエッチングレートを最適なものに調節することができる。
また、該反応容器を処理温度にして成膜し、前記反応容器内を前記処理温度以下の基板搬出温度にして該成膜後の基板を前記反応容器内から搬出することにより、成膜工程から基板搬出工程に至る間にも温度を降下させることになり、よりエッチングレートを最適なものに調節することができる。
また、反応容器内を基板搬入温度にして基板を反応容器内に搬入し、該反応容器を処理温度にして成膜し、前記反応容器内を基板搬出温度にして該成膜後の基板を前記反応容器内から搬出し、除去工程において前記反応容器内の温度を前記基板搬出温度から前記基板搬入温度の範囲内で温度降下させることにより、再度、基板搬入温度に昇温することなく、次回の薄膜形成工程へとスムーズに移行することができる。
なお、前記基板搬出温度から前記基板搬入温度に至るまで前記反応容器内の温度を降下させている間、クリーニングガスを供給し続けてもよい。すなわち、前記基板搬出温度から前記基板搬入温度に至るまで前記反応容器内の温度を降下させている間の実質的に全域で、前記反応容器内にクリーニングガスを供給してもよい。また、実施の形態1の温度降下工程のようにクリーニングガスの供給を行わない部分を設けてもよい。
【0066】
(付記)
以下、本実施の好ましい態様を付記する。
【0067】
[付記1]
基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0068】
[付記2]
反応容器内を基板搬入温度にして、それから前記基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内を処理温度にして、それから該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、前記反応容器内を前記処理温度以下の基板搬出温度にして、それから該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記反応容器内の温度を前記基板搬出温度から前記基板搬入温度の範囲内で温度降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0069】
[付記3]
反応容器内を基板搬入温度にして、それから前記基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内を処理温度にして、それから該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、前記反応容器内を基板搬出温度にして、それから該成膜後の基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記反応容器内の温度を前記基板搬出温度から前記基板搬入温度の範囲内で温度降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0070】
[付記4]
付記1乃至3のいずれかにおいて、前記除去工程は、前記反応容器内の前記クリーニングガスの体積濃度が1vol%以上10vol%未満となるように前記反応容器内に前記クリーニングガスを供給する半導体装置の製造方法。
【0071】
[付記5]
付記4において、前記除去工程では、前記基板搬出温度から前記基板搬入温度に至るまで前記反応容器内の温度を降下させている間の実質的に全域で、前記反応容器内にクリーニングガスを供給する半導体装置の製造方法。
【0072】
[付記6]
付記1乃至3のいずれかの前記除去工程において、前記反応容器内の前記クリーニングガスの体積濃度を漸次高くする半導体装置の製造方法。
【0073】
[付記7]
付記1乃至3のいずれかにおいて、前記除去工程において、前記反応容器内の前記クリーニングガスのガス分圧を漸次高くする半導体装置の製造方法。
【0074】
[付記8]
付記1乃至3のいずれかにおいて、前記除去工程において、前記反応容器内の前記クリーニングガスのガス全圧を漸次高くする半導体装置の製造方法。
【0075】
[付記9]
付記3乃至5のいずれかにおいて、前記除去工程において、クリーニングガスは、Cl、ClF、F、HFのいずれか一つ以上を含むガスである半導体装置の製造方法。
【0076】
[付記10]
基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する第1の除去工程と、前記反応容器を第1の除去工程時の温度より低い温度にして、それから前記反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記第1の除去工程で少なくとも前記反応容器内に残された前記堆積物を除去する第2の除去工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0077】
[付記11]
付記10において、前記第1の除去工程は、前記反応容器内の前記クリーニングガスの体積濃度が1vol%以上10vol%未満となるように前記反応容器内に前記クリーニングガスを供給する半導体装置の製造方法。
【0078】
[付記12]
付記11において、第2の除去工程時の前記反応容器内の前記クリーニングガスの体積濃度は、第1の除去工程時のガス体積濃度より高い半導体装置の製造方法。
【0079】
[付記13]
基板を処理する反応容器と、該反応容器内を加熱する加熱装置と、前記反応容器内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ラインと、該反応容器内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給ラインと、該クリーニングガス供給ラインに設けられ、前記クリーニングガスの供給量を制御するガス供給量制御部と、前記加熱装置を制御する加熱制御部と、前記反応容器内を排気する排気ラインと、前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内に前記クリーニングガス供給ラインから前記クリーニングガスを供給するように、少なくとも前記加熱装置及びガス供給量制御部を制御するコントローラと、を備える基板処理装置。
【0080】
[付記14]
基板を処理する反応容器と、該反応容器内を加熱する加熱装置と、前記反応容器内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ラインと、該反応容器内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給ラインと、該クリーニングガス供給ラインに設けられ、前記クリーニングガスの供給量を制御するガス供給量制御部と、前記加熱装置を制御する加熱制御部と、前記反応容器内を排気する排気ラインと、前記反応容器内の温度を基板搬出温度から降下させながら該反応容器内に前記クリーニングガス供給ラインから前記クリーニングガスを供給するように、少なくとも前記加熱装置及びガス供給量制御部を制御するコントローラと、を備える基板処理装置。
【0081】
[付記15]
基板を処理する反応容器と、該反応容器内を加熱する加熱装置と、前記反応容器内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ラインと、該反応容器内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給ラインと、該クリーニングガス供給ラインに設けられ、前記クリーニングガスの供給量を制御するガス供給量制御部と、前記加熱装置を制御する加熱制御部と、前記反応容器内を排気する排気ラインと、前記反応容器内の温度を基板搬出温度から基板搬入温度の範囲内で降下させながら該反応容器内に前記クリーニングガス供給ラインから前記クリーニングガスを供給するように、少なくとも前記加熱装置及びガス供給量制御部を制御するコントローラと、を備える基板処理装置。
【0082】
[付記16]
基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器を処理温度にして、それから該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら基板に成膜する工程と、該成膜後の基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記成膜工程において前記反応容器内壁に所定の膜厚堆積した反応生成物をエッチングするエッチングレートが漸次小さくなるよう前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを流すクリーニング工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0083】
[付記17]
基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器を処理温度にして、それから該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記成膜工程において前記反応容器内壁に所定の膜厚堆積した反応生成物をエッチングするエッチングレートが漸次小さくなるよう前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニング体積濃度が1vol%以上10vol%未満の第1の体積濃度となるように前記反応容器内にクリーニングガスを流す第1のクリーニング工程と、該第1のクリーニング工程後に、前記反応容器内の温度を前記第1のクリーニング工程時の温度より低い温度状態にして、それから前記反応容器内にクリーニングガスを流す第2のクリーニング工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0084】
[付記18]
基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内を第1の温度で加熱しながら該反応容器内に成膜用ガスを供給しつつ前記基板を成膜する工程と、該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、前記反応容器内に前記第1の温度より低温の第2の温度にした状態で前記成膜する工程時に前記反応容器内部に堆積した反応生成物の一部をエッチングする第1のクリーニング工程と、前記反応容器内に前記第2の温度より低温の第3の温度にした状態で前記第1のクリーニング工程時に前記反応容器内に残った反応生成物をエッチングする第2のクリーニング工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0085】
[付記19]
基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板を成膜する工程と、該成膜後の前記基板を前記反応容器から搬出する工程と、前記成膜工程において前記反応容器内壁に所定の膜厚堆積した反応生生物のうちの一部の膜厚を除去するよう前記第1のクリーニング条件で前記反応容器内にクリーニングガスを流す第1のクリーニング工程と、前記反応容器内に前記第1のクリーニング工程において前記反応容器内に残った反応生成物の残りの膜厚分を除去するよう前記第1のクリーニング条件よりエッチングにするエッチングレートが低い第2のクリーニング条件で前記反応容器内にクリーニングガスを流す第2のクリーニング工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0086】
[付記20]
基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内を処理温度にして、それから該反応容器成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、該製膜後の前記基板を前記反応容器から搬出する工程と、前記反応容器内の温度が550℃から処理温度の範囲内に維持した状態でクリーニングガス、例えば、フッ化塩素系ガス、三フッ化塩素(ClF)ガスないしフッ素(F)ガスを前記反応容器内に導入してドライエッチングして洗浄する第1のクリーニング工程と、該第1のクリーニング工程の後に引き続き前記反応容器内の温度が150℃以上200℃未満となるように降下させる第1の温度降下工程と、該第1の温度降下工程の後に引き続き前記反応容器内の温度が150℃以上200℃未満の範囲内に維持した状態で前記第1のクリーニングガス工程で用いたクリーニングガスと同じクリーニングガスを前記反応容器内に導入してドライエッチングして洗浄する第2のクリーニング工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【0087】
[付記21]
基板を反応容器内に搬入する工程と、該反応容器内を処理温度にして、それから該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、前記反応容器内を前記処理温度より降下させる第1の温度降下工程と、該第1の温度降下工程の後、引き続き該成膜後の前記基板を前記反応容器から搬出する工程と、前記反応容器内を前記搬出工程時の温度から150℃以上200℃未満範囲の温度まで温度降下させながらフッ化塩素系ガス、三フッ化塩素ガスないしフッ素ガスを前記反応容器内に導入してドライエッチングして洗浄するクリーニング工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態で好適に用いられる半導体製造装置としての基板処理装置の反応炉の概略構成図である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法に係る基板処理工程とクリーニング工程を示す工程図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る製造方法を示す工程図である。
【図5】ClFガスを用いてPoly Si膜及びSiO膜をエッチングしたときの温度依存性を示す図である。
【図6】同じくClFガスを用いてPoly Si膜及びSiO膜をエッチングしたときの圧力依存性データを示す図である。
【図7】半導体装置を製造するための縦型の基板処理装置(半導体装置の製造装置)の装置構成を示す図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
【0089】
1 反応容器
2 排気管
3 基板
4 処理室
5 シールキャップ
6 ボート
7 ヒータ
8 ガス供給配管
9 ガス供給配管
10 真空排気装置
11 可変コンダクタンスバルブ
8a ガス導入口
9a ガス導入口
115 ボートエレベータ
200 基板
201 処理室
202 反応炉
203 プロセスチューブ
204 インナーチューブ(反応容器)
205 アウターチューブ(反応容器)
206 ヒータ
209 マニホールド(反応容器)
216 断熱板
217 ボート
219 シールキャップ
220b Oリング
230 ノズル
231 排気管
232 ガス供給配管
235 ガス供給量制御部
236 圧力制御部
237 駆動制御部
238 温度制御部
239 主制御部
240 コントローラ
241 MFC(マスフローコントローラ)
242 圧力調整装置
245 圧力センサ
246 真空排気装置
250 筒状空間
251 ヒータベース
254 回転機構
255 回転軸
260 反応容器
263 温度センサ
270 原料ガス供給源
271 クリーニングガス供給源
272 水素ガス供給源
273 窒素ガス供給源
280 原料ガス供給ライン
281 クリーニングガス供給ライン
282 水素ガス供給ライン
283 窒素ガス供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を反応容器内に搬入する工程と、
該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、
該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、
前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
反応容器内を基板搬入温度にして、それから基板を反応容器内に搬入する工程と、
該反応容器内を処理温度にして、それから該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、
前記反応容器内を基板搬出温度にして、それから該成膜後の前記基板を前記反応容器内から搬出する工程と、
前記反応容器内の温度を前記基板搬出温度から前記基板搬入温度の範囲内で温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記除去工程において、前記反応容器内の前記クリーニングガスの体積濃度を漸次高くする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基板を反応容器内に搬入する工程と、
該反応容器内に成膜用ガスを供給しながら前記基板に成膜する工程と、
該成膜後の基板を前記反応容器内から搬出する工程と、
前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記成膜工程において少なくとも前記反応容器内壁に堆積した堆積物を除去する第1の除去工程と、
前記反応容器を第1の除去工程時の温度より低い温度にして、それから前記反応容器内にクリーニングガスを供給し、前記第1の除去工程で少なくとも前記反応容器内に残された前記堆積物を除去する第2の除去工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板を処理する反応容器と、
該反応容器内を加熱する加熱装置と、
前記反応容器内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ラインと、
該反応容器内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給ラインと、
該クリーニングガス供給ラインに設けられ、前記クリーニングガスの供給量を制御するガス供給量制御部と、
前記加熱装置を制御する加熱制御部と、
前記反応容器内を排気する排気ラインと、
前記反応容器内の温度を降下させながら該反応容器内に前記クリーニングガス供給ラインから前記クリーニングガスを供給するように、少なくとも前記加熱装置及びガス供給量制御部を制御するコントローラと、
を備える基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−218984(P2008−218984A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8217(P2008−8217)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】