説明

半導体装置の金属電極形成方法及び半導体装置

【課題】 切削量の要求精度より大きい厚さばらつきを有する半導体基板に対し、切削量の要求精度を満足する切削加工により金属膜をパターニングして金属電極を形成する半導体装置の金属電極形成方法を実現する。
【解決手段】 吸着ステージ21bに吸着固定されることにより裏面11bの形状を反映して表面部11cの凹凸差が増大した半導体基板11について、表面部11cの表面形状データを取得し、この表面形状データに基づいて、圧電アクチュエータ24aにより半導体基板11に変位を与えて、切削面Pと表面部11cとの距離が切削加工の要求精度内になるように変形させる。そして、半導体基板11を吸着ステージ21bに吸着固定したまま切削面Pにおいて切削加工を行うことにより、金属膜14のうち開口部13aの内部に形成された部分のみを残すようにパターニングされた金属電極15を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、切削加工により金属膜をパターニングして金属電極を形成する半導体装置の金属電極形成方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の製造方法において、半導体基板に形成された回路面にはんだ接合用などの金属電極を安価に形成する要求がある。
この要求に対し、例えば、パターニングにホトリソグラフィー工程を行わずに金属電極を形成する技術として、特許文献1に、半導体基板の一面上に下地電極を形成し、下地電極の上に保護膜を形成し、保護膜に開口部を形成するとともに、開口部から臨む下地電極の表面上に、接続用の金属電極を形成してなる半導体装置において、保護膜の上面に対して開口部から臨む下地電極の表面が引っ込むように段差が形成されていることを利用して、下地電極及び保護膜の上に形成した金属膜を切削加工によりパターニングすることによって金属電極を形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−186304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の技術のように、切削により金属電極のパターンを形成する場合、半導体基板の全面において、金属膜の表面を基準した切削量のばらつきが、例えば2μm以内、という高い精度で切削加工を行う必要がある。
ここで、半導体基板を吸着ステージ上に吸着固定すると、半導体基板の裏面が平坦になるように変形されるため、主面は、裏面の元の凹凸形状を反映して、凹凸が大きい形状となる。
切削加工は吸着ステージと平行な面に沿って行われるため、半導体基板が切削量の要求精度より大きい厚さのばらつき、例えば3μm以上のばらつきを有する場合には、面内の一部に切削量の要求精度を満足しない領域が存在し、製品歩留まりが低下するという問題があった。
【0004】
そこで、この発明では、切削量の要求精度より大きい厚さばらつきを有する半導体基板に対し、切削量の要求精度を満足する切削加工により金属膜をパターニングして金属電極を形成する半導体装置の金属電極形成方法及び半導体装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、半導体基板の主面に、半導体素子と電気的に接続された下地電極を形成する工程と、前記下地電極を覆って保護膜を形成し、前記保護膜の表面から前記下地電極に向かって、前記下地電極を表出させる開口部を形成する工程と、前記保護膜及び前記開口部から臨む前記下地電極の表面を覆って金属膜を形成する工程と、半導体基板を吸着固定する吸着ステージに、前記金属膜が形成された半導体基板を吸着固定した後に、前記半導体基板の主面に臨んで配設され半導体基板の表面形状を測定する表面形状測定手段により、前記吸着ステージに吸着固定された半導体基板の、前記金属膜のうち前記保護膜を覆っている表面部の表面形状データを取得する工程と、前記表面形状測定手段により取得された前記表面形状データに基づいて、前記吸着ステージに固定された半導体基板に前記吸着ステージ側から変位を与えて変形させる変形手段により、前記吸着ステージと平行に設定された切削面と前記半導体基板の表面部との距離が所定の範囲内になるように変形させる工程と、前記表面形状測定手段により前記変形された半導体基板の表面部の表面形状を測定し、前記切削面と前記変形された半導体基板の表面部との距離が所定の範囲内であるか否かを判定する工程と、前記切削面と前記変形された半導体基板の表面部との距離が所定の範囲内であると判定された場合に、前記変形された半導体基板を前記吸着ステージに吸着固定したまま、前記切削面において切削を行う切削加工により、前記金属膜をパターニングして金属電極を形成する工程と、を備えた、という技術的手段を用いる。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、半導体基板の主面に、半導体素子と電気的に接続された下地電極を形成し、下地電極を覆って保護膜を形成し、保護膜の表面から下地電極に向かって、下地電極を表出させる開口部を形成し、保護膜及び開口部から臨む下地電極の表面を覆って金属膜を形成し、切削面において切削を行う切削加工により、金属膜をパターニングして金属電極を形成することができる。
ここで、金属膜が形成された半導体基板を吸着ステージに吸着固定した後に、表面形状測定手段により、吸着ステージに吸着固定された半導体基板の金属膜のうち保護膜を覆っている表面部の表面形状データを取得し、この表面形状データに基づいて、半導体基板に吸着ステージ側から変位を与えて変形させる変形手段により、吸着ステージと平行に設定された切削面と半導体基板の表面部との距離が所定の範囲内になるように変形させることができる。そして、表面形状測定手段により変形された半導体基板の表面形状を測定し、切削面と表面部との距離が所定の範囲内であると判定された場合に、変形手段により変形された半導体基板を吸着ステージに吸着固定したまま、切削面において切削加工を行うことができる。
これにより、吸着ステージに吸着固定されることにより裏面形状を反映して表面部の凹凸差が増大した半導体基板について、表面部の凹凸差を小さくし、切削面と表面部との距離を所定の範囲(切削加工の要求精度)内にすることができる。このため、切削加工の加工精度を向上させることができるため、金属電極形成における製品歩留まりを向上させることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の半導体装置の金属電極形成方法において、前記金属電極を形成する工程において、前記金属膜のうち前記開口部の内部に形成された部分のみを残すようにパターニングして金属電極を形成する、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、金属電極を形成する工程において、金属膜のうち開口部の内部に形成された部分のみを残すようにパターニングして金属電極を形成するため、例えば、開口部から臨む下地電極の表面及び開口部から下地電極の表面に向かって段差を形成する保護膜の側面に金属電極を形成することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の半導体装置の金属電極形成方法において、前記変形手段は、前記吸着ステージの裏面に当接して設けられており、前記吸着ステージを介して前記半導体基板に変位を与える、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、変形手段は、吸着ステージの裏面に当接して設けられており、吸着ステージを介して半導体基板に変位を与えるため、変形手段により半導体基板に局所的に応力が発生し、半導体基板が局所的に変形することを防止することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の半導体装置の金属電極形成方法において、前記変形手段は、変位をそれぞれ制御可能な複数個のアクチュエータを備えている、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、変形手段は、変位をそれぞれ制御可能な複数個のアクチュエータを備えているため、半導体基板の変形状態に応じて異なる変位を与えることができ、半導体基板の表面形状を精度良く制御することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の半導体装置の金属電極形成方法において、前記アクチュエータは、圧電素子を用いた圧電アクチュエータである、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、アクチュエータは、圧電素子を用いた圧電アクチュエータであるため、変位制御の精度を高くすることができる。また、圧電アクチュエータは、バックラッシュが少なく、作動時の発熱量も小さい。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項4または請求項5に記載の半導体装置の金属電極形成方法において、前記表面形状測定手段による前記表面形状データの測定点数は、前記アクチュエータの数よりも多い、という技術的手段を用いる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、表面形状測定手段による表面形状データの測定点数は、アクチュエータの数よりも多いため、アクチュエータ間の領域の変位も測定することができるので、表面形状の測定精度を向上させることができる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の半導体装置の金属電極形成方法において、前記表面形状測定手段は、前記変形手段により変位を与える点に対応する前記表面部の表面形状を少なくとも測定する、という技術的手段を用いる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、表面形状測定手段は、変形手段により変位を与える点に対応する表面部の表面形状を少なくとも測定するため、最も変形が大きい部分を測定することができるので、表面形状の測定精度を向上させることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の半導体装置の金属電極形成方法において、前記表面形状測定手段は、前記切削面に平行な面に沿って走査されるレーザ変位計である、という技術的手段を用いる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、表面形状測定手段は、切削面に平行な面に沿って走査されるレーザ変位計であるため、表面形状を非接触で精度良く測定することができるとともに、測定時間を短くすることができる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、半導体基板の主面に、半導体素子と電気的に接続された下地電極を形成し、前記下地電極を覆って保護膜を形成し、前記保護膜の表面から前記下地電極に向かって、前記下地電極を表出させる開口部を形成し、前記保護膜及び前記開口部から臨む前記下地電極の表面を覆って金属膜を形成するとともに、前記半導体基板を吸着固定する吸着ステージに前記半導体基板の裏面を吸着固定した状態で前記金属膜を表面より切削加工することにより、前記金属膜をパターニングして金属電極を形成してなる半導体装置において、切削加工により切削された部分の厚さのばらつきが、前記半導体基板の裏面の凹凸差より小さい、という技術的手段を用いる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、吸着ステージに半導体基板の裏面を吸着固定した状態で金属膜を表面より切削加工することにより、金属膜をパターニングして金属電極を形成してなる半導体装置において、切削加工により切削された部分の厚さのばらつきが、半導体基板の裏面の凹凸差より小さいため、加工面内の一部に切削量の要求精度を満足しない領域が存在することがなく、製品歩留まりを向上させることができる。
【0023】
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の半導体装置において、前記保護膜の上面に対して前記開口部から臨む前記下地電極の表面が引っ込むように段差が形成されており、前記金属電極は、前記開口部から臨む前記下地電極の表面及び前記段差を形成する前記保護膜の側面に形成されたものとなっている、という技術的手段を用いる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、金属電極は、開口部から臨む下地電極の表面及び段差を形成する保護膜の側面に形成されたものとなっているため、下地電極の表面のみに金属電極が形成される場合と比べて、金属電極の強度を向上させることができる。
【0025】
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の半導体装置において、前記金属電極のうち前記段差を形成する前記保護膜の側面に形成された部位は、前記金属電極を介し、はんだが接している、という技術的手段を用いる。
【0026】
請求項11に記載の発明によれば、金属電極のうち段差を形成する保護膜の側面に形成された部位は、金属電極を介し、はんだが接しているため、金属電極にはんだ付けを行う場合に、はんだのぬれ面積を大きくすることができるので、接合強度を向上することができる。
【0027】
請求項12に記載の発明では、請求項9に記載の半導体装置において、前記保護膜の上面に対して前記開口部より前記金属電極が突出して形成されている、という技術的手段を用いる。
【0028】
請求項12に記載の発明のように、保護膜の上面に対して開口部より突出して形成されている金属電極を用いた場合に、表面が平坦な金属電極を備えた半導体装置を得ることができる。
【0029】
請求項13に記載の発明では、請求項9ないし請求項12のいずれか1つに記載の半導体装置において、前記保護膜は、樹脂よりなる、という技術的手段を用いる。
【0030】
請求項13に記載の発明によれば、保護膜として樹脂系材料を用いることにより、下地電極に厚さがある場合でも適切に覆うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[第1実施形態]
この発明に係る半導体装置の金属電極形成方法及び半導体装置の第2実施形態について、図を参照して説明する。図1は、第1実施形態の金属電極形成方法により金属電極が形成された半導体装置の断面説明図である。図2ないし図4は、第1実施形態の金属電極形成方法の工程図である。図5は、表面形状制御装置の説明図である。図5(A)は、断面図であり、図5(B)は、半導体基板側から見た平面説明図である。図6は、半導体基板の表面形状制御の一例を示す説明図である。図6(A)は、吸着時の半導体基板の厚さプロファイルであり、図6(B)は、変形装置により与えた変位のプロファイルであり、図6(C)は、変形装置により変位を与えた半導体基板の厚さプロファイルである。図7は、金属電極においてはんだ付けを施した半導体装置の断面説明図である。
なお、各図では、説明のために一部を拡大し、一部を省略して示している。
【0032】
パワーカードなどに用いられる半導体装置10は、シリコン等により形成された半導体基板11を本体として形成されている。半導体基板11の主面11aには、素子の電極である下地電極12が、純AlやAl−Si、Al−Si−CuなどのAl合金などにより形成されている。
【0033】
主面11aと下地電極12の一部とを覆って絶縁材料からなる保護膜13が形成されている。保護膜13は、例えば、厚さ1〜20μmのポリイミド系樹脂により形成されている。
保護膜13には、表面から下地電極12に向かって開口して形成され、下地電極12を表出させる開口部13aが形成されている。
ここで、保護膜13の上面13dに対して開口部13aから臨む下地電極12の表面12aが引っ込むように段差が形成されている。
【0034】
開口部13aにより表出した下地電極12の表面12a及び段差を形成する保護膜13の側面13cを覆って、配線が接続される金属電極15が形成されている。金属電極15は、下地電極12側から積層形成したTi/Ni/Au膜やNi/Au膜などにより形成され、下地電極12と電気的に接続されている。
【0035】
次に、金属電極15の形成方法について説明する。
まず、図2(A)に示すように、図示しない半導体素子が形成された半導体基板11を用意し、ホトリソグラフィー法によりパターニングされ、半導体素子と電気的に接続された下地電極12を主面11aに形成する。
【0036】
次に、スピンコート法などによりポリイミド系樹脂からなる厚さが例えば10μmの保護膜13を形成し、下地電極12を表出させる開口部13aをホトリソグラフィー法により表面から下地電極12に向かって開口して形成する。保護膜13として樹脂系材料を用いることにより、厚さがある下地電極12を適切に覆うことができる。
ここで、保護膜13の上面13bに対して開口部13aから臨む下地電極12の表面12aが引っ込むような段差を形成する。
【0037】
続いて、図2(B)に示すように、下地電極12及び保護膜13の上面13b、側面13cを覆って、めっき法、スパッタ法などにより金属膜14を形成する。金属膜14は、Ti/Ni/Au膜、Ni/Au膜のような積層膜でもよいし、単層の金属膜でもよい。
【0038】
続いて、図2(C)に示すように、半導体基板11を裏面11bにおいて、表面形状制御装置20(図5)の吸着ステージ21bに設けられた吸着面21aに載置し、吸着固定する。このとき、吸着面21aにおいて発生する吸着力により、裏面11bが平坦になるため、半導体基板11の表面部11cは、裏面11bの元の凹凸形状を反映して、凹凸が大きい表面形状となる。
【0039】
ここで、表面部11cとは、金属膜14のうち、保護膜13の上面13bを覆っている部分を示す。また、「表面形状」とは、表面部11cの凹凸のプロファイルであり、表面部11cと後述する切断面Pとの距離のプロファイルに対応する。表面形状は、表面部11cにおける半導体基板11の厚さや表面粗さなどにより数値化して表面形状データとすることができる。
【0040】
ここで、表面形状制御装置20の構成について、図5(A)及び(B)を参照して説明する。
表面形状制御装置20は、半導体基板11を載置するステージ21と、半導体基板11を吸着固定するための吸着装置22と、半導体基板11の表面部11cの形状を測定する表面形状測定装置23と、半導体基板11を裏面11bから変形させるための変形装置24と、これらの装置を制御するための制御コンピュータ25とから構成されている。
【0041】
ステージ21は、吸着ステージ21bと下部ステージ21cとの間に中空部21dを有する中空形状に形成されており、吸着ステージ21bには、半導体基板11を吸着固定する吸着面21aと、真空ポンプなどの吸着装置22を用いて中空部21dを減圧することにより生じる吸着力を半導体基板11に作用させる吸着孔21eとが形成されている。
【0042】
吸着ステージ21bは、後述する変形装置24による変位を半導体基板11に加えるために、変形しやすく形成されている。ここでは、吸着ステージ21bは、厚さ1mmの板状のステンレス鋼により形成されている。
下部ステージ21cには、吸着装置22を接続するための減圧孔21fと変形装置24とが設けられている。
【0043】
本実施形態では、変形装置24として、複数個の圧電アクチュエータ24aを用いた。圧電アクチュエータ24aは、所定の間隔、例えば1cm間隔で格子状に配置されており、吸着ステージ21bの裏面21gに当接し、上向きの変位を発生させることができるように設けられている。なお、図5(A)及び(B)には、便宜上、縦4個、横4個ずつの計16個の圧電アクチュエータ24aが配置されている場合を例示した。各圧電アクチュエータ24aは、制御コンピュータ25により独立して変位を制御することができ、それぞれ異なる変位を発生させることができる。ここで、圧電アクチュエータ24aは、変位制御の精度が高く、バックラッシュが少ないとともに、作動時の発熱量も小さい。
【0044】
圧電アクチュエータ24aに上向きの変位を生じさせると、吸着ステージ21bを介して半導体基板11に上向きの変位を与えて、半導体基板11を変形させることができる。ここで、圧電アクチュエータ24aは、吸着ステージ21bを介して半導体基板11に変位を与えるため、圧電アクチュエータ24aにより半導体基板11に局所的に応力が発生し、局所的に変形することを防止することができる。
また、吸着装置22による負圧を用いて半導体基板11に下向きの変位を与えることもできる。
【0045】
変形装置24は、上端部を吸着ステージ21bの裏面21gと接合して設けてもよい。この構成を用いると、半導体基板11に上向きの変位を与える場合に遊びが生じないとともに、半導体基板11に吸着ステージ21bを介して下向きの変位を与えることもできる。
【0046】
表面形状測定装置23は、半導体基板11の表面部11cの表面形状を測定する装置である。本実施形態では、表面形状測定装置23としてレーザ変位計を用いた。レーザ変位計を用いると、表面形状を非接触で精度良く測定することができるとともに、測定時間を短くすることができる。
表面形状測定装置23により測定された表面部11cの表面形状データは、制御コンピュータ25に対して出力される。
【0047】
続く工程では、図3(D)に示すように、表面形状測定装置23により半導体基板11の表面部11cの表面形状を測定する。ここでは、半導体基板11の表面部11cに格子状に測定点を設定して、表面形状測定装置23を切削面Pに平行な面に沿って走査して半導体基板11の厚さを測定し、各点の測定データを制御コンピュータ25に対して出力する。そして、制御コンピュータ25では、各点の測定データに基づいて、各測定点間を補完して、半導体基板11の表面部11cの表面形状データを構築する。
【0048】
ここで、表面形状測定装置23は、図5(B)の直線Sに示すように、測定点に少なくとも変形装置24により変位が与えられる点に対応する表面部11cの点が含まれるように走査する。
これによれば、最も変位が大きくなる測定点を測定することができるので、表面形状の測定精度を向上させることができる。
また、測定点の数は圧電アクチュエータ24aの数よりも多くすることができる。これによれば、各圧電アクチュエータ24a間の領域の変位も測定することができ、各圧電アクチュエータ24a間を補完する測定点を増やすことができるため、表面形状の測定精度を向上させることができる。
【0049】
表面形状データの一例を図6(A)に示す。図6(A)において、横軸は半導体基板11のX軸(図5(B))方向の位置、縦軸は半導体基板11の厚さを示す。図6(A)は、変形装置24により変位が与えられる点に対応する表面部11cの点を含み、1mm間隔で測定した幅約80mmの領域における厚さのプロファイルを示す。ここで、半導体基板11の表面部11cの凹凸差は最大3.2μmである。
【0050】
続いて、図3(E)に示すように、半導体基板11の裏面11bから変形装置24により変位を加えて、吸着ステージ21bと平行に設定された切削面Pと表面部11cとの距離のばらつきが後述する切削加工における要求精度内に収まるように半導体基板11を変形させ、表面形状を制御する。つまり、表面部11cの凹凸差が切削加工における要求精度内に収まるように半導体基板11を変形させる。
【0051】
具体的には、制御コンピュータ25において構築された表面形状データに基づいて、表面部11cの凹凸差が、要求精度、例えば1μm以内、になるように、制御コンピュータ25により変形装置24の各圧電アクチュエータ24aの変位量を制御して、吸着ステージ12bを介して裏面11bから半導体基板11に変位を与える。
ここで、変形装置24の各圧電アクチュエータ24aの変位と半導体基板11の変形量との関係は、シミュレーションまたは実測によりあらかじめ求めておく。
【0052】
表面形状の制御の一例を図6(B)及び(C)に示す。図6(B)において、横軸は半導体基板11のX軸方向の位置、縦軸は変形装置24により与えられた変位を示す。ここで、図中A〜Hが各圧電アクチュエータの配置位置を示し、変位のプロファイルは、圧電アクチュエータA〜Hにより与えた変位を直線補完したものである。
正の値は上向きの変位、負の値は下向きの変位を表している。圧電アクチュエータC、E、Fにおける変位は、吸着装置22による減圧により発生させた変位である。
【0053】
続いて、変形された半導体基板11の表面部11cの表面形状を表面形状測定装置23により測定し、切削面Pと表面部11cとの距離のばらつきが切削加工における要求精度の範囲内であるか否かを制御コンピュータ25において判定する。ここでは、表面部11cの凹凸差が1μm以内であるか否かを判定する。
本実施形態では、図6(C)に示すように、表面部11cの凹凸差が1μm以内となり、切削面Pと表面部11cとの距離のばらつきが切削加工における要求精度の範囲内に表面形状を制御することができた。
【0054】
制御コンピュータ25において、切削面Pと表面部11cとの距離のばらつきが切削加工における要求精度の範囲内であると判定されると、続いて、図4(F)に示すように、バイト31を用いて金属膜14の表面から切削加工を行い、金属膜14をパターニングして金属電極15を形成する。ここで、保護膜13の上面13bも切削加工され、新たな上面13dが表出する。
【0055】
本実施形態では、バイト31と半導体装置10との相対速度は20m/s、切削加工のピッチは70μmに設定した。また、バイト31の金属膜14に対する高さ精度は0.1μm以下とした。
【0056】
上述の切削条件で、半導体基板11の主面11a全面にわたって切削加工を行うことにより、保護膜13の上面13b上に位置する金属膜14を除去し、開口部13aの内部にのみ金属膜14を残すようにパターニングして金属電極15を形成することができる。つまり、金属電極15は、開口部13aにより表出した下地電極12の表面12a及び段差を形成する保護膜13の側面13cを覆って形成される。
【0057】
そして、図4(G)に示すように、圧電アクチュエータ24aの変位を解除して、半導体基板11をステージ21から外すことにより、半導体基板11に金属電極15を形成することができる。
【0058】
上述の工程によれば、半導体基板11の主面11a全面にわたって切削加工を行うことにより、保護膜13の上面13b上に位置する金属膜14を除去し、開口部13aの内部にのみ金属膜14を残すようにパターニングして金属電極15を形成することができる。金属電極15は、開口部13aにより表出した下地電極12の表面12a及び段差を形成する保護膜13の側面13cを覆って形成されているので、下地電極12の表面12aのみに金属電極15が形成される場合と比べて、金属電極15の強度を向上させることができる。
【0059】
また、吸着ステージ21bに吸着固定されることにより裏面11bの形状を反映して表面部11cの凹凸差が増大した半導体基板11について、表面部11cの凹凸差を小さくし、切削面Pと表面部11cとの距離を所定の範囲(加工の要求精度)内にすることができる。これにより、切削加工の加工精度を向上させることができるため、金属電極形成における製品歩留まりを向上させることができる。
【0060】
金属電極15は、はんだやワイヤなどの部材により他の部材と接続される。例えば、図7に示すように、エミッタ電極たる金属電極15には、はんだ41を介してヒートシンク40を接合する構成を用いることができる。
ここで、金属電極15のうち段差を形成する保護膜13の側面13cに形成された部位に対しては、金属電極15を介して、はんだ41が接している。これにより、はんだ41が金属電極15に接触する面積を増大させることができるので、はんだ41の接合強度を向上させることができる。
【0061】
[第1実施形態の効果]
(1)半導体基板11の主面11aに、半導体素子と電気的に接続された下地電極12を形成し、下地電極12を覆って保護膜13を形成し、保護膜13の表面から下地電極12に向かって、下地電極12を表出させる開口部13aを形成し、保護膜13及び開口部13aから臨む下地電極12の表面を覆って金属膜14を形成し、切削面Pにおいて切削を行う切削加工により、金属膜14のうち開口部13aの内部に形成された部分のみを残すようにパターニングして金属電極15を形成することができる。
このとき、金属膜14が形成された半導体基板11を吸着ステージ21bに吸着固定した後に、表面形状測定装置23により、吸着ステージ21bに吸着固定された半導体基板11の金属膜14のうち保護膜13を覆っている表面部11cの表面形状データを取得し、この表面形状データに基づいて、半導体基板11に吸着ステージ21b側から変位を与えて変形させる変形装置24により、吸着ステージ21bと平行に設定された切削面Pと半導体基板11の表面部11cとの距離が所定の範囲(切削加工の要求精度)内になるように変形させることができる。そして、表面形状測定装置23により、変形された半導体基板11の表面形状を測定し、切削面Pと表面部11cとの距離が所定の範囲内であると判定された場合に、変形装置24により変形された半導体基板11を吸着ステージ21bに吸着固定したまま、切削面Pにおいて切削加工を行うことができる。
これにより、吸着ステージ21bに吸着固定されることにより裏面11bの形状を反映して表面部11cの凹凸差が増大した半導体基板11について、表面部11cの凹凸差を小さくし、切削面Pと表面部11cとの距離を所定の範囲内にすることができる。このため、切削加工の加工精度を向上させることができるため、金属電極形成における製品歩留まりを向上させることができる。
【0062】
(2)金属電極15は、開口部13aにより表出した下地電極12の表面12a及び段差を形成する保護膜13の側面13cを覆って形成されているので、下地電極12の表面12aのみに金属電極15が形成される場合と比べて、金属電極15の強度を向上させることができる。また、金属電極15にはんだ付けを行う場合には、はんだのぬれ面積を大きくすることができるので、接合強度を向上することができる。
【0063】
(3)変形装置24の圧電アクチュエータ24aは、吸着ステージ21bの裏面21gに当接して設けられており、吸着ステージ21bを介して半導体基板11に変位を与えるため、圧電アクチュエータ24aにより半導体基板11に局所的に応力が発生し、半導体基板11が局所的に変形することを防止することができる。
【0064】
(4)変形装置24は、変位をそれぞれ制御可能な複数個の圧電アクチュエータ24aを備えているため、半導体基板11の変形状態に応じて異なる変位を与えることができ、半導体基板11の表面形状を精度良く制御することができる。圧電アクチュエータ24aは、変位制御の精度を高く、バックラッシュが少ないとともに、作動時の発熱量も小さい。
【0065】
(5)表面形状測定装置23による表面形状データの測定点数は、圧電アクチュエータ24aの数よりも多いため、圧電アクチュエータ24a間の領域の変位も測定することができるので、表面形状の測定精度を向上させることができる。
【0066】
(6)表面形状測定装置23は、変形装置24により変位を与える点に対応する表面部11cの表面形状を少なくとも測定するため、最も変形が大きい部分を測定することができるので、表面形状の測定精度を向上させることができる。
【0067】
(7)表面形状測定装置23が、切削面Pに平行な面に沿って走査されるレーザ変位計であるため、表面形状を非接触で精度良く測定することができるとともに、測定時間を短くすることができる。
【0068】
[第2実施形態]
この発明に係る半導体装置の金属電極形成方法及び半導体装置の第2実施形態について、図を参照して説明する。ここでは、バイポーラトランジスタや横拡散型トランジスタ(LDMOS)などのパワー素子と外部の基板とのコンタクトをとるための電極としてAu電極を用いる場合を例に説明する。図8ないし図10は、第2実施形態に係る半導体装置の電極形成方法の断面説明図である。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0069】
金属電極15の形成方法について説明する。
まず、図8(A)に示すように、図示しないパワー素子が形成された半導体基板11を用意し、ホトリソグラフィー法によりパターニングされ、半導体素子と電気的に接続された下地電極12を主面11aに形成する。
【0070】
次に、下地電極12の上面に窒化けい素(P−SiN)からなる保護膜53を形成し、下地電極12の一部を表出させる開口部53aを表面から下地電極12に向かって開口して形成する。
【0071】
次に、図8(B)に示すように、スパッタ法により、保護膜53の表面及び下地電極12を覆うバリア・シード層56を形成する。本実施形態では、バリア・シード層56は、TiN膜にCu膜を積層して形成されている。
そして、フォトリソグラフィ法およびエッチング法により、フォトレジスト膜57を所定の形状にパターニングして形成する。
【0072】
続いて、図9(C)に示すように、フォトレジスト膜57をマスクとし、電解めっき法によりAu電極膜54を形成する。
【0073】
続いて、図9(D)に示すように、フォトレジスト膜57を除去した後に、保護膜53の表面で露出したバリア・シード層56をエッチング法により除去する。
【0074】
続いて、図10(E)に示すように、半導体基板11を裏面11bにおいて、表面形状制御装置20(図5)の吸着ステージ21bに設けられた吸着面21aに載置し、吸着固定する。このとき、吸着面21aにおいて発生する吸着力により、裏面11bが平坦になるため、半導体基板11の表面部11cは、裏面11bの元の凹凸形状を反映して、凹凸が大きい表面形状となる。ここで、表面部11cとは、Au電極膜54の表面部分を示す。
【0075】
続く工程では、図11(F)に示すように、表面形状測定装置23により半導体基板11の表面部11cの表面形状を測定する。ここでは、半導体基板11の表面部11cに格子状に測定点を設定して、表面形状測定装置23を切削面Pに平行な面に沿って走査して半導体基板11の厚さを測定し、各点の測定データを制御コンピュータ25に対して出力する。そして、制御コンピュータ25では、各点の測定データに基づいて、各測定点間を補完して、半導体基板11の表面部11cの表面形状データを構築する。
【0076】
続いて、図11(G)に示すように、半導体基板11の裏面11bから変形装置24により変位を加えて、吸着ステージ21bと平行に設定された切削面Pと表面部11cとの距離のばらつきが後述する切削加工における要求精度内に収まるように半導体基板11を変形させ、表面形状を制御する。つまり、表面部11cの凹凸差が切削加工における要求精度内に収まるように半導体基板11を変形させる。
【0077】
具体的には、制御コンピュータ25において構築された表面形状データに基づいて、表面部11cの凹凸差が、要求精度、例えば1μm以内、になるように、制御コンピュータ25により変形装置24の各圧電アクチュエータ24aの変位量を制御して、吸着ステージ12bを介して裏面11bから半導体基板11に変位を与える。
【0078】
続いて、変形された半導体基板11の表面部11cの表面形状を表面形状測定装置23により測定し、切削面Pと表面部11cとの距離のばらつきが切削加工における要求精度の範囲内であるか否かを制御コンピュータ25において判定する。ここでは、表面部11cの凹凸差が1μm以内であるか否かを判定する。
【0079】
制御コンピュータ25において、切削面Pと表面部11cとの距離のばらつきが切削加工における要求精度の範囲内であると判定されると、続いて、図12(H)に示すように、バイト31を用いてAu電極膜54の表面から切削加工を行い、金属電極55を形成する。
【0080】
そして、図12(I)に示すように、圧電アクチュエータ24aの変位を解除して、半導体基板11をステージ21から外すことにより、半導体基板11に金属電極55を形成することができる。
【0081】
上述の工程によれば、半導体基板11の主面11a全面にわたって切削加工を行うことにより、表面が平坦な金属電極55を形成することができる。
また、吸着ステージ21bに吸着固定されることにより裏面11bの形状を反映して表面部11cの凹凸差が増大した半導体基板11について、表面部11cの凹凸差を小さくし、切削面Pと表面部11cとの距離を所定の範囲(加工の要求精度)内にすることができる。これにより、切削加工の加工精度を向上させることができるため、金属電極形成における製品歩留まりを向上させることができる。
【0082】
[第2実施形態の効果]
(1)半導体基板11の主面11a全面にわたって切削加工を行うことにより、表面が平坦な金属電極55を形成することができる。
また、吸着ステージ21bに吸着固定されることにより裏面11bの形状を反映して表面部11cの凹凸差が増大した半導体基板11について、表面部11cの凹凸差を小さくし、切削面Pと表面部11cとの距離を所定の範囲(加工の要求精度)内にすることができる。これにより、切削加工の加工精度を向上させることができるため、金属電極形成における製品歩留まりを向上させることができる。
【0083】
[その他の実施形態]
(1)上述した実施形態では、変形装置として圧電アクチュエータ24aを用いたが、これに限定されるものではなく、変位を制御して加えることができれば適用することができる。例えば、電磁ソレノイド、油圧アクチュエータなどを用いることもできる。この構成を用いると、圧電アクチュエータ24aより大きな変位を発生させることができる。
【0084】
(2)上述した実施形態では、表面形状測定装置23としてレーザ変位計を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、表面粗さ計や静電容量の変化により距離を検出するギャップセンサなどを用いることもできる。
また、表面形状測定装置23による測定点の数及び配置は任意であり、均等な間隔で配置する必要もない。また、例えば、表面粗さ計を用いる場合のように、連続した測定により取得したプロファイルデータを用いることもできる。
【0085】
(3)吸着ステージ21bに貫通孔を形成し、圧電アクチュエータ24aを直接接触させて変位を加えてもよい。この構成を用いると、変位を与える際に吸着ステージ21bを介さないので、圧電アクチュエータ24aが変位を発生するために必要な力を小さくすることができるので、小型の圧電アクチュエータを使用することができる。
【0086】
(4)上述した実施形態では、中空部21dの常圧の大気を吸着装置22で減圧することにより負圧を生じさせたが、中空部21dに水、オイルなどの流体を充填し、この流体を中空部21dの外部に排出することにより負圧を生じさせてもよい。この構成を用いた場合でも、負圧により半導体基板11に下向きの変位を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態の金属電極形成方法により金属電極が形成された半導体装置の断面説明図である。
【図2】第1実施形態の金属電極形成方法の工程図である。
【図3】第1実施形態の金属電極形成方法の工程図である。
【図4】第1実施形態の金属電極形成方法の工程図である。
【図5】表面形状制御装置の説明図である。図5(A)は、断面図であり、図5(B)は、半導体基板側から見た平面説明図である。
【図6】半導体基板の表面形状制御の一例を示す説明図である。図6(A)は、吸着時の半導体基板の厚さプロファイルであり、図6(B)は、変形装置により与えた変位のプロファイルであり、図6(C)は、変形装置により変位を与えた半導体基板の厚さプロファイルである。
【図7】金属電極においてはんだ付けを施した半導体装置の断面説明図である。
【図8】第2実施形態の金属電極形成方法の工程図である。
【図9】第2実施形態の金属電極形成方法の工程図である。
【図10】第2実施形態の金属電極形成方法の工程図である。
【図11】第2実施形態の金属電極形成方法の工程図である。
【図12】第2実施形態の金属電極形成方法の工程図である。
【符号の説明】
【0088】
10 半導体装置
11 半導体基板
11a 主面
11c 表面部
12 下地電極
13 保護膜
13a 開口部
14 金属膜
15 金属電極
20 表面形状制御装置
21 ステージ
21a 吸着ステージ
23 表面形状測定装置(表面形状測定手段)
24 変形装置(変形手段)
25 制御コンピュータ
31 バイト
P 切削面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面に、半導体素子と電気的に接続された下地電極を形成する工程と、
前記下地電極を覆って保護膜を形成し、前記保護膜の表面から前記下地電極に向かって、前記下地電極を表出させる開口部を形成する工程と、
前記保護膜及び前記開口部から臨む前記下地電極の表面を覆って金属膜を形成する工程と、
半導体基板を吸着固定する吸着ステージに、前記金属膜が形成された半導体基板を吸着固定した後に、前記半導体基板の主面に臨んで配設され半導体基板の表面形状を測定する表面形状測定手段により、前記吸着ステージに吸着固定された半導体基板の、前記金属膜のうち前記保護膜を覆っている表面部の表面形状データを取得する工程と、
前記表面形状測定手段により取得された前記表面形状データに基づいて、前記吸着ステージに固定された半導体基板に前記吸着ステージ側から変位を与えて変形させる変形手段により、前記吸着ステージと平行に設定された切削面と前記半導体基板の表面部との距離が所定の範囲内になるように変形させる工程と、
前記表面形状測定手段により前記変形された半導体基板の表面部の表面形状を測定し、前記切削面と前記変形された半導体基板の表面部との距離が所定の範囲内であるか否かを判定する工程と、
前記切削面と前記変形された半導体基板の表面部との距離が所定の範囲内であると判定された場合に、前記変形された半導体基板を前記吸着ステージに吸着固定したまま、前記切削面において切削を行う切削加工により、前記金属膜をパターニングして金属電極を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の金属電極形成方法。
【請求項2】
前記金属電極を形成する工程において、前記金属膜のうち前記開口部の内部に形成された部分のみを残すようにパターニングして金属電極を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の金属電極形成方法。
【請求項3】
前記変形手段は、前記吸着ステージの裏面に当接して設けられており、前記吸着ステージを介して前記半導体基板に変位を与えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の金属電極形成方法。
【請求項4】
前記変形手段は、変位をそれぞれ制御可能な複数個のアクチュエータを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の半導体装置の金属電極形成方法。
【請求項5】
前記アクチュエータは、圧電素子を用いた圧電アクチュエータであることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の金属電極形成方法。
【請求項6】
前記表面形状測定手段による前記表面形状データの測定点数は、前記アクチュエータの数よりも多いことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の半導体装置の金属電極形成方法。
【請求項7】
前記表面形状測定手段は、前記変形手段により変位を与える点に対応する前記表面部の表面形状を少なくとも測定することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の半導体装置の金属電極形成方法。
【請求項8】
前記表面形状測定手段は、前記切削面に平行な面に沿って走査されるレーザ変位計であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の半導体装置の金属電極形成方法。
【請求項9】
半導体基板の主面に、半導体素子と電気的に接続された下地電極を形成し、前記下地電極を覆って保護膜を形成し、前記保護膜の表面から前記下地電極に向かって、前記下地電極を表出させる開口部を形成し、前記保護膜及び前記開口部から臨む前記下地電極の表面を覆って金属膜を形成するとともに、前記半導体基板を吸着固定する吸着ステージに前記半導体基板の裏面を吸着固定した状態で前記金属膜を表面より切削加工することにより、前記金属膜をパターニングして金属電極を形成してなる半導体装置において、
切削加工により切削された部分の厚さのばらつきが、前記半導体基板の裏面の凹凸差より小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記保護膜の上面に対して前記開口部から臨む前記下地電極の表面が引っ込むように段差が形成されており、前記金属電極は、前記開口部から臨む前記下地電極の表面及び前記段差を形成する前記保護膜の側面に形成されたものとなっていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属電極のうち前記段差を形成する前記保護膜の側面に形成された部位は、前記金属電極を介し、はんだが接していることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記保護膜の上面に対して、前記開口部より前記金属電極が突出して形成されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記保護膜は、樹脂よりなることを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1つに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−49356(P2009−49356A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337039(P2007−337039)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】