説明

半導体装置及びその作製方法、並びに半導体装置の測定方法

【課題】特性を劣化させることなく、簡便に物理試験を行うことが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】端子部を有する検査素子が設けられた素子層が、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている半導体装置の測定方法であって、前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して、前記端子部に達するコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに導電性材料を含有する樹脂を充填し、前記充填された樹脂上に可撓性を有する配線基板を配置させた後に加熱することにより、前記導電性材料を含有する樹脂を介して前記端子部と前記可撓性を有する配線基板とを電気的に接続した後に測定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する発明は、可撓性を有する基板上に設けられた半導体装置及びその作製方法、並びに半導体装置の測定方法に関する。特に、無線チップの特性評価や不良解析などの検査を行うTEGに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データを送受信する無線チップの開発が盛んに進められており、このような無線チップは、ICタグ、IDタグ、RF(Radio Frequency)タグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、無線タグ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等とも呼ばれる。
【0003】
無線チップの伝送方式としては、電磁結合方式、電磁誘導方式、電波方式の3種類がある。電磁結合方式は、交流磁界によるコイルの相互誘導を利用した方式であり、13.56MHzの周波数を使用し、最大数十cm程度の交信が可能である。電磁誘導方式は、大きく2つの周波数を用いる。1つは135kHz以下、もう1つは13.56MHzであり、無線チップとリーダ/ライタの形状・サイズにより、最大1m程度の交信が可能となる。電波方式は、UHF及び2.45GHzの周波数帯を使用しており、最大の特徴は、交信距離が長いことである。
【0004】
一般的に、無線チップ(ICチップとも呼ばれる。)はトランジスタ等を含む集積回路部とアンテナとから構成され、電磁波を介して外部の機器(リーダ/ライタ)と情報のやりとりを行うことができる。最近では、無線チップを様々な商品に設けることによって、当該商品の監視や管理等を行おうという試みがなされている。例えば、商品に無線チップタグを貼付することによって、商品の在庫数や在庫状況などの在庫管理に止まらず商品管理を自動的に簡単に行うことができる商品管理システムが提案されている(特許文献1)。また、防犯効果を高めるために警備装置及び警備システムに無線チップの利用が提案されている(特許文献2)。また、紙幣や有価証券等に無線チップを搭載することによって、搾取等による不正利用を防ぐ方法が提案されている(特許文献3)。このように、無線チップは様々な分野へ利用することが提案されている。
【0005】
また、無線チップは、物品の表面に貼りつける、物品に埋め込むなどして固定して使用される。例えば、有機樹脂からなるパッケージの有機樹脂に埋め込んだり、パッケージの表面に貼りつけたりして使用される。
【特許文献1】特開2004−359363号公報
【特許文献2】特開2003−303379号公報
【特許文献3】特開2001−260580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線チップの製造プロセスは、1つずつ別々に作られるのではなく、数十個から数百個の無線チップが一枚のウエハ上に同時に作製され、その後個々のチップに分割される。この製造プロセスにおいて複数の無線チップを同時に作製する際に、TEG(Test Element Group)と呼ばれる検査素子を作製することがある。TEGは無線チップの完成後の歩留まりを測定したり、無線チップの性能に問題が生じた場合に無線チップの有する集積回路の素子の電気特性などを測定するために用いる。また、TEGは集積回路全体としての評価をするものと、トランジスタ単体や抵抗値のみの評価をするものなどがある。
【0007】
TEGの電気特性を測定するための方法は、接触式と非接触式とに大別される。接触式の検査方法は、非接触式と比べて精度が高く、検査装置も簡便であるため、接触式の検査方法を使用することが望まれていた。
【0008】
接触式の検査方法は、走査型電子顕微鏡などを用いて観察しながら、プローブと呼ばれる針をTEGの表面上に形成された電極パッドにあて、半導体素子の特定部分との電気的接触を測定する装置(プローバ)を用いる方法が知られている。しかしながら、この方法は、単結晶シリコン基板(ウエハ)を用いて作製されたTEGの測定の場合の話であり、可撓性基板上に作製されたTEGを測定する場合には、この方法を用いることが困難であった。すなわち、可撓性基板はとても柔らかいため、可撓性基板上に作製されたTEGにプローブ針をあてると、穴があいてしまう問題があった。また、可撓性基板上に作製された無線チップは、チップを曲げたり引っ張ったりしても使用に耐えうる特性が要求される。このため、TEGを用いて無線チップの曲げ特性や引っ張り特性を測定する必要があるが、プローブを用いた方法ではこのような特性を測定することは困難であった。また、特性評価や不良解析などの検査を繰り返し行うことにより、電極パッドそのものが変形してしまうため、繰り返し測定が困難となる問題もあった。さらに、無線チップは、その大きさも非常に小さいため、取り扱いや測定に高度な技術が要求される。このように、可撓性基板上に作製された無線チップの特性を接触式の検査方法で測定することは、事実上困難であった。
【0009】
本発明は、素子の特性を劣化させることなく、簡便に物理試験(電気試験)を行うことが可能な、可撓性を有する基板上に設けられた半導体装置及びその作製方法、並びに半導体装置の測定方法に関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で開示する半導体装置に関する発明の構成は、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている検査素子を有し、前記検査素子は端子部を有し、前記端子部上に、異方性導電体を介して可撓性を有する配線基板に電気的に接続させるためのコンタクトホールが設けられていることを特徴とする。
【0011】
本明細書で開示する半導体装置に関する発明の別の構成は、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている検査素子を有し、前記検査素子は端子部を有し、前記端子部は、当該端子部上に形成されたコンタクトホールに設けられた異方性導電体を介して可撓性を有する配線基板に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
本明細書で開示する半導体装置に関する発明の別の構成は、汚染防止膜と、前記汚染防止膜上に形成され、端子部を有する検査素子が設けられた素子層と、前記素子層上に形成された、該素子層の強度を確保する層と、を有し、前記汚染防止膜、前記検査素子、及び前記素子層の強度を確保する層は、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されており、前記端子部は、当該端子部上に形成されたコンタクトホールに設けられた異方性導電体を介して可撓性を有する配線基板に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0013】
また、上記発明の構成において、前記汚染防止膜は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、または窒化酸化珪素からなることを特徴とする。また、前記素子層の強度を確保する層は、有機材料または無機材料が用いられていることを特徴とする。また、前記異方性導電体は、異方性導電ペーストまたは異方性導電フィルムであることを特徴とする。
【0014】
また、本明細書で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の構成は、基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に端子部を有する検査素子が設けられた素子層を形成し、前記剥離層及び前記素子層を選択的に除去して開口部を形成した後、前記基板から前記素子層を分離し、可撓性を有する第1及び第2のフィルムを用いて前記素子層を封止する。そして、前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して前記端子部に達するコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに導電性材料を含有する樹脂を充填し、前記充填された樹脂上に可撓性を有する配線基板を配置させた後に加熱することにより、前記導電性材料を含有する樹脂を介して前記端子部と前記可撓性を有する配線基板とを電気的に接続することを特徴とする。
【0015】
また、本明細書で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の別の構成は、基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に端子部を有する検査素子が設けられた素子層を形成し、前記剥離層及び前記素子層を選択的に除去して開口部を形成した後、前記基板から前記素子層を分離し、可撓性を有する第1及び第2のフィルムを用いて前記素子層を封止する。そして、前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して前記端子部を露出させ、異方性導電フィルムを用いて前記露出された端子部と可撓性を有する配線基板とを電気的に接続することを特徴とする。
【0016】
また、上記発明の構成において、前記端子部上に形成された前記第1のフィルムをレーザー照射により除去することを特徴とする。
【0017】
また、本明細書で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の別の構成は、基板上に下地膜を形成し、前記下地膜上に剥離層を形成し、前記剥離層上に汚染防止膜を形成し、前記汚染防止膜上に薄膜トランジスタ、及び端子部を有する検査素子が設けられた素子層を形成し、前記素子層上に該素子層の強度を確保する層を形成し、前記剥離層、前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を選択的に除去して、開口部を形成した後、前記基板から前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を分離し、可撓性を有する第1及び第2のフィルムを用いて前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を封止する。そして、前記端子部上に形成された前記第1のフィルム及び前記素子層の強度を確保する層を除去して前記端子部に達するコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに導電性材料を含有する樹脂を充填し、前記充填された樹脂上に可撓性を有する配線基板を配置させた後に加熱することにより、前記導電性材料を含有する樹脂を介して前記端子部と前記可撓性を有する配線基板とを電気的に接続することを特徴とする。
【0018】
また、本明細書で開示する半導体装置の作製方法に関する発明の別の構成は、基板上に下地膜を形成し、前記下地膜上に剥離層を形成し、前記剥離層上に汚染防止膜を形成し、前記汚染防止膜上に薄膜トランジスタ、及び端子部を有する検査素子が設けられた素子層を形成し、前記素子層上に該素子層の強度を確保する層を形成し、前記剥離層、前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を選択的に除去して、開口部を形成した後、前記基板から前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を分離し、可撓性を有する第1及び第2のフィルムを用いて前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を封止する。そして、前記端子部上に形成された前記第1のフィルム及び前記素子層の強度を確保する層を除去して前記端子部を露出させ、異方性導電フィルムを用いて前記露出された端子部と可撓性を有する配線基板とを電気的に接続することを特徴とする。
【0019】
また、上記発明の構成において、前記端子部上に形成された前記第1のフィルム及び前記素子層の強度を確保する層をレーザー照射により除去することを特徴とする。
【0020】
また、上記発明の構成において、前記下地膜として、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、または窒化酸化珪素を用いることを特徴とする。また、前記素子層の強度を確保する層として、有機材料、または無機材料を用いることを特徴とする。また、前記剥離層として、タングステン、モリブデン、ニオブ、チタン、またはシリコンを含んだ金属膜を用いることを特徴とする。
【0021】
また、本明細書で開示する半導体装置の測定方法に関する発明の構成は、端子部を有する検査素子が設けられた素子層が、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている半導体装置の測定方法であって、前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して、前記端子部に達するコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに導電性材料を含有する樹脂を充填し、前記充填された樹脂上に可撓性を有する配線基板を配置させた後に加熱することにより、前記導電性材料を含有する樹脂を介して前記端子部と前記可撓性を有する配線基板とを電気的に接続した後に測定を行うことを特徴とする。
【0022】
また、本明細書で開示する半導体装置の測定方法に関する発明の構成は、端子部を有する検査素子が設けられた素子層が、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている半導体装置の測定方法であって、前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して、前記端子部を露出させ、異方性導電フィルムを用いて前記露出された端子部と可撓性を有する配線基板とを電気的に接続した後に測定を行うことを特徴とする。
【0023】
また、上記発明の構成において、前記端子部と可撓性を有する配線基板とを電気的に接続して測定を行った後、前記検査素子の端子部のみを除去し、第3のフィルム及び第4のフィルムにより素子層を封止することを特徴とする。
【0024】
また、上記発明の構成において、前記端子部と可撓性を有する配線基板とを電気的に接続して測定を行った後、可撓性を有する配線基板を取り外し、第3のフィルム及び第4のフィルムにより素子層を封止することを特徴とする。
【0025】
また、上記発明の構成において、可撓性を有する配線基板の一例としては、フレキシブルプリント基板(FPC)が挙げられる。FPCは、ポリエステルやポリイミドなど、可撓性を有する絶縁フィルム上に導体配線がプリント配線技術によって形成された基板を指す。
【0026】
また、本明細書において、本発明の新たな構成を有するTEG用のチップや、TEG用のチップを利用して作製された無線チップを半導体装置と称する。また、TEG用のチップとは、TEG、すなわち検査素子が形成されたものである。また、半導体装置とは、半導体特性を利用した装置全般を指すものとする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の半導体装置は、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されているTEGが端子部を有しており、この端子部に可撓性を有する配線基板を接続しているため、可撓性を有するTEGにおいても接触式の検査方法を用いることができる。また、電極パッドを使用しないため、電極パッドが変形することもなく、測定を繰り返し行うことによってTEGに損傷が与えられることもない。また、端子部が周辺雰囲気に常に曝されていることもないため、長期保存しても劣化することも少ない。また、可撓性を有する配線基板を貼り付けたまま測定を行うことができるため、可撓性を有する半導体装置を曲げたり引っ張ったりした際の電気特性の経時変化を随時測定することができる。
【0028】
また、端子部を有するTEGを作製した後、電気特性などを測定し、この特性検査に合格したTEGについて、端子部を切断後再度封止するか、可撓性を有する配線基板を取り外した後フィルムを用いて再度素子層を封止することにより、無線チップとして利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態について、図面を用いながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、可撓性基板上に複数の無線チップを作製すると同時に、TEG用のチップを作製する工程の一例について説明する。
【0031】
まず、図1(A)に示す基板400上に剥離層401を形成する。ここで用いる基板は後の工程で取り去るものであるため、可撓性基板に限定されるものではなく、ガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、ステンレスを含む金属基板または半導体基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いてもよい。
【0032】
次に、剥離層401上に、図1(E)に示す無線チップとなる素子102を構成する素子層402aを形成すると同時に、図1(E)に示すTEG用のチップとなる素子250を構成する素子層402bを形成する(図1(B)参照)。無線チップとなる素子102は主にトランジスタなどからなる薄膜回路とアンテナとを有し、TEG用のチップとなる素子250は薄膜回路と端子部とを有している。本明細書中において、薄膜回路とは、厚さが1μm以下の半導体膜を有する薄膜トランジスタ、ダイオードなどの能動素子、または抵抗などの受動素子が形成された回路である。また、無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250において、単体の素子だけでなく、トランジスタなど複数の素子より構成される回路(例えば、記憶回路(以下、「メモリ」とも記す。)や、制御回路、センサーなど)が形成されている回路部を総称して薄膜回路部と称する。
【0033】
次に、素子層402a、402b上に当該素子層402a、402bの強度を確保するための層(以下、本明細書において「強度確保層」と呼ぶ。)403を形成する。基板400から素子層402a、402bを分離した際に、圧縮応力や引っ張り応力等によって素子層402a、402bが反り、当該素子層402a、402bに含まれる薄膜トランジスタ等が破壊されるおそれがある。特に素子層402を薄く形成するほど当該素子層402が反る恐れが顕著になる。本実施の形態に示すように、基板400から素子層402a、402bを剥離する前に予め当該素子層402a、402b上に強度確保層403を形成することにより、剥離後の当該素子層402の反りを防止することができる。
【0034】
なお、図1(A)〜(E)においては、強度確保層403を素子層402a、402bの上面のみに形成しているため、強度確保層403を形成すると同時に、素子層402aと素子層402bとを分離する開口部404が形成されている。
【0035】
TEG用のチップとなる素子250の薄膜回路部の構造としては、例えば無線チップとなる素子102の薄膜回路部と同じ構造としてもよいし、無線チップとなる素子102の薄膜回路部を構成している回路の一部と同じ構造としてもよい。また、無線チップとなる素子102の薄膜回路部と同じ回路だけでなく、可撓性基板上に形成されたトランジスタ単体の特性などを測定することができるように単体のトランジスタが複数設けられていることが好ましい。
【0036】
次に、必要に応じて開口部404へエッチング剤を導入して剥離層401を除去する。剥離層401は完全に除去してもよいし、一部を残存させるように除去してもよい(図1(C)、(D)、(E)参照)。なお、エッチング剤を導入して剥離層401を除去する方法以外にも、レーザ光(例えばUV光)を照射することで開口部404の下部に設けられた剥離層401を除去する方法を用いることもできる。
【0037】
次に、図6(A)に示すように、無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250上に第1のフィルム203を配置する。次に、図6(B)に示すように、基板400の下側と第1のフィルム203の上側をアーム111、112で挟み、この状態のまま基板400を180度回転させ、基板400の上面と下面を反転させるようにする。そして、基板400を取り去ることにより、第1のフィルム203上に無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250が規則的に配置された状態となる(図6(C)参照)。
【0038】
次に、図7(A)に示すように、無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250が配置された第1のフィルム203上に第2のフィルム204を配置する。
【0039】
なお、第1及び第2のフィルムとしては、熱可塑性樹脂を用いればよく、好ましくは軟化点の低いものを用いればよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のビニル系共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂等が挙げられる。第1及び第2のフィルムは、以上で挙げたような熱可塑性樹脂の単層または、複数の層からなるフィルムを用いればよい。複数の層からなるフィルムとしては、例えば、第1の熱可塑性樹脂からなる基体上に、第1の熱可塑性樹脂よりも軟化点が低い第2の熱可塑性樹脂からなる接着層を有する構造などが挙げられる。また、2層以上からなる構造のものでもよい。また、生分解性の熱可塑性樹脂を用いてもよい。これらの材料を用いて形成された第1及び第2のフィルムは、可撓性を有する。
【0040】
また、第1及び第2のフィルムとして、外部からの静電気等によって半導体素子に悪影響が及ぶことの抑制を目的とした、帯電防止対策を施したフィルム(以下、「帯電防止フィルム」と記す。)を用いることもできる。帯電防止フィルムとしては、帯電防止可能な材料を樹脂中に分散させたフィルムや、帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルム等が挙げられる。帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、片面のみに帯電防止可能な材料が設けられたフィルムであってもよいし、両面に帯電防止可能な材料が設けられたフィルムであってもよい。また、片面のみに帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、帯電防止可能な材料が設けられた面をフィルムの内側になるように貼り付けてもよいし、フィルムの外側になるように貼り付けてもよい。なお、帯電防止可能な材料は、フィルムの全面であることが好ましいが、一部に設けてある構成でもよい。
【0041】
帯電防止可能な材料としては、金属、インジウムと錫の酸化物(以下、「ITO」と記す。)、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。また、他にも帯電防止材料として、側鎖にカルボキシル基および4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む樹脂材料等を用いることができる。これらの材料をフィルムに貼り付けたり、練り込んだり、塗布したりすることによって、帯電防止フィルムを形成することができる。
【0042】
次に、図7(B)に示すように、第2のフィルム204上から無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250の周囲にレーザー光206を照射することによって第1のフィルム203及び第2のフィルム204を溶融し、封止すると同時に切断する。この場合、封止と切断が同時に行われるため、工程の簡略化ができ、スループットが向上する。封止、切断後の状態を図7(C)に示す。以上説明した方法を用いて封止、切断することにより、無線チップ207及びTEG用のチップ251が完成する。
【0043】
無線チップ207の断面図の例を図8に示す。無線チップ207は、可撓性を有する第1及び第2のフィルム101a及び101bにより、薄膜回路部とアンテナとを有する素子層102が封止されている。このため、表面が曲線を描いているような物体上にも無線チップ207を取り付けることができる。
【0044】
なお、図7(A)、(B)、(C)を用いながら、レーザー光を用いて無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250の周囲を溶融することによって封止、切断を行う方法を説明したが、レーザー光以外の加熱手段を用いて無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250の周囲の第1及び第2のフィルムを溶融することによって、封止、切断を行ってもよい。
【0045】
たとえば、図9に示すように加熱したワイヤー208を第2のフィルム204上から押しつけることによって、無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250の周囲の第1及び第2のフィルムを溶融して封止、切断してもよい。
【0046】
次に、図7(C)に示したTEG用のチップ251について詳細に説明する。TEG用のチップ251をある断面で切断したときの斜視図の一例を図10(A)に示す。TEG用のチップ251は、汚染防止膜と、前記汚染防止膜上に形成され、端子部を有する検査素子が設けられた素子層と、前記素子層上に形成された、該素子層の強度を確保する層と、を有し、前記汚染防止膜、前記検査素子、及び前記素子層の強度を確保する層は、第1のフィルム203及び第2のフィルム204により封止されている。斜視図において一番手前側にある素子は、検査素子に相当する薄膜トランジスタ1630であり、1601、1602は、該薄膜トランジスタ1630のソースまたはドレインとして機能し、1603は、ゲートとして機能している。また、1604、1605、1606は、それぞれ薄膜トランジスタ1630のソース、ドレイン、ゲートに接続されている配線であり、各々の配線は、それぞれ端子部1621または端子部1622まで引き回されて(延在して)いる。なお、本実施の形態では、薄膜トランジスタ1630のゲート1603を2層構造としているが、この構成に限定されるものではなく、単層構造でもよい。
【0047】
また、図10(A)には、単体の薄膜トランジスタ1630のみ図示しているが、TEG用のチップ251は単体の薄膜トランジスタ1630以外の素子を複数有していてもよく、電気特性を測りたい素子については、当該素子に接続されている配線が端子部1621または端子部1622まで引き回されて(延在して)いる。つまり、端子部1621、1622には、薄膜トランジスタ1630のソース、ドレイン、ゲートに接続されている配線のみが引き回されて(延在して)いるわけではなく、電気特性を測りたい素子に接続されている配線も引き回されて(延在して)いる。また、本実施の形態では、端子部が2個設けられたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、端子部が1個でもよいし、3個以上でもよい。また、配線数や配線幅、各配線間の幅など、端子部のサイズについても限定されるものではない。
【0048】
また、本実施の形態では、封止、分断された後のチップとしてTEG用のチップが1個形成されている場合について説明したが、複数個形成されていてもよい。また、TEG用のチップの素子構造は、上述した構造に限定されるものではない。
【0049】
まず、TEG用のチップ251の端子部1621、端子部1622を含む領域にレーザー光(例えば、UV光やCOレーザー)を照射することにより、TEG用のチップ内部に設けられた端子部1621、1622に達する開口部(コンタクトホール)を形成する(図10(B))。
【0050】
次に、この開口部(コンタクトホール)を通じ、導電性材料を用いて端子部1621、1622と可撓性を有する配線基板1610、1611とをそれぞれ電気的に接続させるようにすることにより、TEG用のチップ251が完成する(図10(C))。具体的には、異方性導電ペーストを予め開口部(コンタクトホール)に滴下した後、可撓性を有する配線基板1610、1611と端子部1621、1622を貼り合わせる方法や、可撓性を有する配線基板1610、1611に異方性導電体(異方性導電フィルムまたは異方性導電ペースト)を予め仮付けした後、可撓性を有する配線基板1610、1611と端子部1621、1622とを圧着させて接続する方法を用いればよい。1607、1608が導電性材料を用いて形成された導電体である。本明細書中で異方性導電フィルムとは、熱硬化または熱可塑性の樹脂フィルムの中に導電性の粒子を混ぜたものを指しており、ACF(Anisotropic Conductive Film)とも呼ばれる。異方性導電フィルムが2枚積層された2層式ACFであってもよいし、異方性導電フィルムが3枚積層された3層式ACFであってもよい。強度確保層によって配線(端子電極に繋がる配線)が保護されているため、加圧変形によるクラックの発生を防止することができる。
【0051】
このようにしてTEG用のチップ251の端子部と可撓性を有する配線基板とが電気的に接続されているため、可撓性を有するTEG用のチップ251においても、電気特性を簡便に測定することができる。また、測定を行うことによって無線チップに損傷が与えられることもない。また、端子部が周辺雰囲気に常に曝されていることもないため、長期保存しても劣化することも少ない。また、FPCを貼り付けたまま測定を行うため、TEG用のチップ251を曲げたり引っ張ったりしたときの電気特性の経時変化を随時測定することができる。なお、本実施の形態では異方性導電体を介してTEG用のチップ251の端子部と可撓性を有する配線基板とを接続しているが、可撓性を有する配線基板の代わりに配線を直接TEG用のチップ251の端子部に接続するようにしてもよい。
【0052】
なお、本実施の形態では、端子部を備えたTEG用のチップ251について説明したが、複数の無線チップ各々も端子部を備えていてもよい。無線チップが端子部を備えていることにより、製品出荷直前の無線チップについての抜き打ち検査を容易に行うことができる。無線チップ各々が有する端子部は、1個でもよいし、2個以上有していてもよい。
【0053】
(実施の形態2)
本実施の形態では、可撓性基板上に複数の無線チップを作製すると同時にTEG用のチップを作製し、TEG用のチップの特性評価や不良解析をした後の結果をどのように反映するかについての一例を説明する。
【0054】
TEG用のチップの特性評価や不良解析をした結果、予定通りの特性結果が得られた場合は、TEG用のチップを作製した際に同時に作製された無線チップをそのまま製品として出荷することができる。また、この場合、TEG用のチップの端子部を切断後再度素子層を封止するか、可撓性を有する配線基板を取り外した後フィルムを用いて再度素子層を封止することにより、TEG用のチップとして作製したものを無線チップとして利用することもできるため、歩留まりを向上させることができる。
【0055】
また、TEG用のチップの特性評価や不良解析をした結果、予定通りの応答結果が得らなかった場合は、どのレベルで問題が生じていたのかを解析する。例えば、一つのトランジスタなど単体素子としての電気特性に問題があれば、単体素子の製造プロセスそのものを見直し、次から作製する無線チップの製造プロセスに改善点を反映させればよい。また、可撓性を有するTEG用のチップに対して曲げ試験や引っ張り試験といった物理試験を行った際に所定の特性が得られなかった場合、単体素子の製造プロセスそのものを見直し、次から作製する無線チップの製造プロセスに改善点を反映させればよい。また、単体素子としての電気特性に問題はないが、整流回路や復調回路といった回路としての特性に問題があれば、各回路を構成する素子同士の接続関係を見直し、次から作製する無線チップの製造プロセスに改善点を反映させればよい。
【実施例1】
【0056】
本実施例では、実施の形態1で説明した複数の無線チップとTEG用のチップを形成するまでの工程に関して、より詳細に説明する。
【0057】
まず、図1(A)に示すように、基板400を用意し、基板400上に剥離層401を設ける。基板400としては、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、ステンレスを含む金属基板または半導体基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いてもよい。また、プラスチック等の合成樹脂からなる可撓性を有する基板は、一般的に上述した基板材料と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。なお、CMP法などの研磨により基板400の表面を平坦化しておいてもよい。
【0058】
剥離層401としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、またはシリコン(Si)等を含んだ金属膜を用いて形成する。本実施例では、剥離層401としてWを含む金属膜を用いる。Wを含む金属膜は、CVD法、スパッタ法または電子ビーム等によって形成することができるが、ここではスパッタ法を用いて形成する。また、後の工程において物理的に基板を剥離する場合には、金属膜(例えばW)上に金属酸化物(例えばWO)を形成してもよい。他にもこの金属膜/金属酸化膜の組み合わせとして、Mo/MoO、Nb/NbOまたはTi/TiO等を用いることができる。また、剥離層401として、WO、MoO、NbO、TiO等の金属酸化物のみを形成することも可能である。
【0059】
また、基板400や金属膜を用いて形成された剥離層401からの不純物やゴミの侵入を防ぐため、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiO)(x>y)、窒化酸化珪素(SiN)(x>y)(x、yは正の整数)等の酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造とした絶縁膜を汚染防止膜として剥離層401上に設けることが好ましい。本実施例では、酸化窒化珪素(SiO)、窒化酸化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiO)を順に積層して、汚染防止膜とする。このように積層構造された絶縁膜は、大気に曝すことなく連続成膜して形成することが可能である。
【0060】
なお、図1(A)では、基板400上に直に剥離層401を形成しているが、基板400と剥離層401の間に下地膜を形成してもよい。下地膜は、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiO)(x>y)、窒化酸化珪素(SiN)(x>y)(x、yは正の整数)等の酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造を用いることができる。特に、基板からの汚染が懸念される場合には、基板400と剥離層401間に下地膜を形成するのが好ましい。
【0061】
次に、剥離層401上に薄膜トランジスタ(TFT)で形成された複数の集積回路(薄膜回路)と、端子部を有する層402(以下、素子層402a、402bと記す。)を形成する(図1(B))。端子部は、1つのみでもよいし、目的に応じて端子部を複数個形成してもよい。例えば、薄膜トランジスタ単体の電気特性などを測定するために配線が引き回されて(延在して)構成された第1の端子部と、集積回路全体としての特性を測るために配線が引き回されて(延在して)構成された第2の端子部との2つを有する構成でもよい。また、無線チップとなる素子として用いる素子層402aはどのような構成でもよく、例えばLSI、CPUまたはメモリ等を設けることができる。
【0062】
また、素子層402a、402bに含まれる半導体膜は、膜厚が0.2μm以下、代表的には40nm〜170nm、好ましくは50nm〜150nmの厚さとする。
【0063】
次に、素子層402a、402b上に強度を確保するための層403(強度確保層)を形成する(図1(C))。基板400から素子層402a、402bを分離した際に、圧縮応力や引っ張り応力等によって当該素子層402が反り、当該素子層402a、402bに含まれる薄膜トランジスタ等が破壊される恐れがある。特に素子層402を薄く形成するほど当該素子層402が反る恐れが顕著になる。そのため、基板400から素子層402a、402bを剥離する前に予め当該素子層402に強度確保層を形成して補強しておくことにより、剥離後の当該素子層402の反りを防止することができる。上面図を図2(A)に示す。図2(A)は、基板400に12個のチップとなる薄膜回路を形成する場合を示しており、点A、Bを結ぶ線における断面図が図1(C)に相当する。
【0064】
強度確保層403は、有機化合物、無機化合物などの固体材料からなる層であり、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、シロキサン樹脂等の樹脂材料、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、ポリイミド、感光性樹脂などの有機材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素などの無機材料等を用いることができる。また、強度確保層403は、以上で述べたような材料から選んだ複数種類の材料を積層する構造としてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または、置換基として少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0065】
また、強度確保層403は、スクリーン印刷法や液滴吐出法によって形成することができる。液滴吐出法とは、導電膜や絶縁膜等の材料を含んだ組成物の液滴(ドットともいう)を選択的に吐出(噴射)して任意の場所に膜を形成する方法であり、その方式によってはインクジェット法とも呼ばれている。また、エッチング剤に耐性がある場合は、樹脂材料に限られず無機材料を用いてもよい。強度確保層403を形成する方法としては、上記スクリーン印刷法、液滴吐出法以外に、感光性樹脂をスピンコート法等で塗布し、露光、現像することによって、必要な箇所のみ感光性樹脂を残存させることにより形成する方法を用いることもできる。
【0066】
また、図1(A)〜(E)においては、強度確保層403を素子層402a、402bの上面のみに形成している場合を示したが、強度確保層403は、当該素子層の上面と同時に側面を覆うように形成してもよい。この場合、素子層402a、402bを基板400から剥離した際に、当該素子層にとって強度確保層403がより十分な保護膜として働く。ただし、この場合、後にエッチング剤を導入するための開口部404をふさがないように注意する必要がある。
【0067】
また、図1(A)〜(E)においては、素子層402a、402にパターニングした後に、強度確保層403を形成する場合を示したが、この方法に限定されるものではない。例えば、図3に示すように、素子層402上に強度確保層を形成した後パターニングして、このパターニングした強度確保層403をマスクとして素子層402をエッチングする方法を用いて形成することもできる。また、素子層402を形成し、当該素子層402上に強度確保層を形成した後、図1(D)に示すような開口部を形成する方法を用いてもよい。開口部を形成する方法としては、レーザーを照射する方法などを用いることができる。本明細書において、「パターニング」とは、所望の形状にエッチングすることを指す。
【0068】
次に、図1(D)に示すように、必要に応じて開口部404へエッチング剤を導入する。開口部から導入されたエッチング剤によって、剥離層401を除去する。本実施例では、剥離層401とエッチング剤を化学的に反応させて、剥離層401の除去を行う。エッチング剤としては、剥離層401と反応しやすいフッ化ハロゲン(ハロゲン化化合物)を含む気体または液体を使用することができる。本実施例では、剥離層401に用いるタングステン(W)とよく反応する三フッ化塩素ガス(ClF)を用いる。また、この他にもCF、SF、NF、F等のフッ素を含む気体、またはこれらのうち複数種類を混合したガスや、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)のような強アルカリ溶液を用いてもよく、実施者が適宜選択すればよい。また、エッチング剤を導入して剥離層401を除去する剥離方法以外にも、レーザ光(例えばUV光)を照射することで開口部404の下部に設けられた剥離層401の一部を除去した後、剥離する方法を用いることもできる。
【0069】
次に、剥離層401を除去した後、素子層402及び強度確保層403を有する無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250を基板400から分離(転置)する。本実施例では、剥離層401を完全に除去するため、物理的な手段を用いることなく基板400から無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250を分離することができる。断面図を図1(E)に、上面図を図2(B)に示す。図2(B)の点A、Bを結ぶ線における断面図が図1(E)に相当する。
【0070】
剥離層401を除去した後の斜視図を図4(A)に示す。次に、基板400上の無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250を第1のフィルム203上に移動する。ここでは、図4(B)に示すように、吸着手段110(真空チャック)を用いて、基板400から分離した無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250を保持しながら移動して、第1のフィルム203上に素子102及び素子250を設置する(図4(C))。
【0071】
なお、ここでは、剥離層401を完全に除去する場合について説明したが、図5に示すように剥離層401を一部残存させて除去することも可能である。剥離層401の一部を残存させることによって、真空チャック110が無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250を吸引するまで基板400から分離することがないので、無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250が飛散することがない。
【0072】
また、基板400上の無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250を第1のフィルム203上に移動させる方法は、真空チャック110を使用する以外の方法で行ってもよい。例えば、実施の形態1で説明した方法を用いることができる。
【0073】
まず、剥離層401を完全に除去した後に、基板400から分離した状態で基板400上に配置されている複数の無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250上に第1のフィルム203を設置する(図6(A))。次に、基板400の下側と第1のフィルム203の上側からアーム111、112で無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250が設けられた基板400と第1のフィルム203とを挟み、この状態のまま180度回転させて図6(B)に示す状態とする。そして、基板400を取り去ることにより、図6(C)に示すように、第1のフィルム203上に無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250が規則的に配置された状態とすることができる。
【0074】
この後は、実施の形態1において説明した工程に従って無線チップとなる素子及びTEG用のチップとなる素子の封止、切断を行うことによって、本発明の無線チップ及びTEG用のチップを完成させることができる。
【0075】
なお、剥離された基板400は再利用することができる。その結果、無線チップの作製において、低コスト化を達成することができる。そのため、ガラス基板より原価の高い石英基板を用いた場合でも低コスト化を達成することができる。なお、基板を再利用する場合、剥離の工程において基板に傷が生じないように制御するのが望ましい。なお、傷が生じた場合には、有機樹脂膜や無機樹脂膜をスピンコート法や液滴吐出法によって形成したり、研削、研磨することによって平坦化処理を行って再利用すればよい。
【0076】
このように、絶縁表面を有する基板に薄膜回路を形成して無線チップやTEG用のチップを作製する場合、円形のシリコンウェハからチップを作製する場合と比較して、母体基板の形状に制約がない。そのため、無線チップの生産性を高め、大量生産を行うことができる。さらに、絶縁基板を再利用することができるため、コストを削減することができる。また、本実施例は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【実施例2】
【0077】
本実施例では、図4(C)及び図6(C)に示す、第1のフィルム203上に複数の無線チップとなる素子102及びTEG用のチップとなる素子250が配置された状態とするまでの工程につき、実施例1とは異なる方法について説明する。
【0078】
まず、絶縁表面を有する基板900の一表面に、薄膜トランジスタ(TFT)で形成された複数の集積回路と、端子部を有する層(以下、「素子層901」と記す。)を形成する(図11(A)参照)。ここで、端子部は、1つのみ作製してもよいし、目的に応じて端子部を複数個形成してもよい。本実施例では、TEG用のチップの端子部を2個有するものとする。
【0079】
基板900は、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、アクリル基板等に相当する。これらの基板900は、一辺が1メートル以上のものを容易に作製することができ、また、その形状は四角形や円形など、所望の形状のものを作製することができる。従って、基板900として、例えば、一辺が1メートル以上のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような特徴は、円形のシリコン基板から無線チップを取り出す場合と比較すると、大きな優位点である。
【0080】
素子層901は、複数の絶縁膜と、複数の素子を構成する半導体層や導電層と、アンテナとして機能する導電層と、端子部とを含む。具体的には、後の無線チップとなる領域の素子層は、下地膜として機能する第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に設けられた複数の素子と、複数の素子を覆う第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜に接し複数の素子に接続する第1の導電層と、第1の導電層を覆う第3の絶縁膜と、第3の絶縁膜に接しアンテナとして機能する第2の導電層と、第2の導電層を覆う第4の絶縁膜とを含む。また、後のTEGとなる領域の素子層は、下地膜として機能する第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に設けられた素子と、素子を覆う第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜に接し素子に接続され、端子部として機能する第1の導電層と、第1の導電層を覆う第3の絶縁膜と、第3の絶縁膜上に設けられた第4の絶縁膜とを含む。さらに詳しい構成については、実施例4において説明する。
【0081】
なお、ここでは、素子層901にアンテナとして機能する導電層を形成した例を示しているが、図12に示すように、素子層901にはアンテナを形成せず、アンテナを予め設けたアンテナ用基板と素子層901を導電性接着剤などにより貼り合わせた構造としてもよい。
【0082】
図12では、基板900から転置された素子層901とアンテナ用基板235とを貼り合わせる手段として、導電体237が分散している異方性導電接着剤236を用いている。異方性導電接着剤236は、無線チップの配線238及びアンテナ234が設けられた領域239において導電体237が無線チップの配線238及びアンテナ234に圧着されるため、導通をとることができる。その他の領域では、導電体237が十分な間隔を保っているため、電気的に接続されることはない。異方性導電接着剤236としては、異方性導電ペーストや異方性導電フィルムを用いることができる。また、異方性導電接着剤の他に、金属と金属を超音波によって接合する方法(「超音波接合」と呼ぶ。)、紫外線硬化樹脂または両面テープ等を用いて貼り合わせてもよい。
【0083】
次に、素子層901を覆うように(図12のようにTFT基板上にアンテナ用基板235を貼りつけている場合には、アンテナ用基板235を覆うように)第3のフィルム902を設ける。第3のフィルム902は素子層901の保護を目的とした保護フィルムである。なお、第3のフィルムの材料としては、実施の形態1で説明した第1のフィルム203及び第2のフィルム204として用いることの可能な材料を適宜利用することができる。
【0084】
次に、第3のフィルム902を覆うように第4のフィルム903を設ける。第4のフィルム903としては、塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂などの、引っ張ると延伸する性質を有するフィルム(エキスパンドフィルム)を用いる。また、第4のフィルム903は、常温ではその接着力が強く、光を照射するとその接着力が弱くなる性質を有することが好ましく、具体的には、紫外光を照射するとその接着力が弱くなるUVテープを用いるとよい。
【0085】
なお、第3のフィルム902は、必要に応じて設ければよい。第3のフィルム902は、素子層901の保護を目的として設けているため、素子層901を保護する必要がない場合には、第3のフィルム902を設けず、第2のフィルム上に第4のフィルム903を設けてもよい。
【0086】
次に、研削手段904により、基板900の一表面と反対の表面を研削する(図11(B)参照)。好適には、基板900の厚さが100μm以下となるまで研削する。本実施例では、基板900を研削して、その厚さを50μmとする。なお、基板の厚さを100μm以下とすることで基板は可撓性を有するようになる。一般的に、この研削工程では、基板900が固定されたステージと研削手段904の一方又は両方を回転させることで、基板900の表面を研削する。研削手段904とは、例えば、砥石に相当する。
【0087】
次に、研磨手段906により、研削した基板900の表面を研磨する(図11(C)参照)。好適には、基板900の厚さが20μm以下となるまで研磨する。本実施例では、基板900を研磨して、その厚さを10μmとする。この研磨工程も、上記の研削工程と同様に、基板900が固定されたステージと研磨手段906の一方又は両方を回転させることで、基板900の表面を研磨する。研磨手段906とは、例えば、砥石に相当する。その後、研削・研磨工程により生じたごみを除去するために、必要に応じて洗浄を行う。この場合、洗浄により生じた水滴を自然乾燥させる、または乾燥手段を用いて乾燥させる。乾燥手段は、具体的には基板900を回転させる方法や、ブロアーを用いて基板900にエアー(大気)などのガスを吹き付ける方法などがある。
【0088】
次に、切断手段907により、基板900と素子層901と第3のフィルム902とを切断する。素子層901は、複数の集積回路の各々が分離されるように、集積回路同士の境界線を切断する。また、素子層901に設けられた素子は切断せず、素子層901に設けられた絶縁膜を切断する。そのため、切断工程を経ると、無線チップとなる素子940及びTEG用のチップとなる素子950が形成される(図11(D)参照)。なお、切断手段907とは、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどに相当する。また、この工程では、第4のフィルム903は切断しない。
【0089】
次に、無線チップとなる素子940間、及び無線チップとなる素子940とTEG用のチップとなる素子950との間に隙間が形成されるように、第4のフィルム903を延伸させる(図13(A)参照)。この際、無線チップとなる素子940間、及び無線チップとなる素子940とTEG用のチップとなる素子950との間の隙間を均等にするために、図13(A)の矢印で示すように面方向に均等に引っ張るとよい。続いて、第4のフィルム903に光を照射する。第4のフィルム903がUVテープの場合は紫外光を照射する。そうすると、第4のフィルム903の接着力が弱くなり、第4のフィルム903と無線チップとなる素子940及びTEG用のチップとなる素子950の間の密着性が小さくなる。そして、物理的手段により、無線チップとなる素子940及びTEG用のチップとなる素子950を第4のフィルム903から分離することができる状態になる。
【0090】
物理的手段としては、ピックアップ手段や、吸着手段(真空チャック)を用いればよい。ピックアップ手段を用いる場合には、図13(B)に示すように、第4のフィルム903にUV光を照射し、ピックアップ手段909により、第4のフィルム903から無線チップとなる素子940及びTEG用のチップとなる素子950を分離して、無線チップとなる素子940及びTEG用のチップとなる素子950を第1のフィルム203上に設置する。また、真空チャックを用いる場合には、図13(C)に示すように、第4のフィルム903にUV光を照射し、真空チャック910を無線チップとなる素子940及びTEG用のチップとなる素子950上に配置する。そして、真空チャック910によって、無線チップとなる素子940及びTEG用のチップとなる素子950を保持して、無線チップとなる素子940及びTEG用のチップとなる素子950を第1のフィルム203上に移動する(図13(D)参照)。
【0091】
なお、上記の工程では、基板900の研削工程(図11(B)参照)と研磨工程(図11(C)参照)が終了した後に、基板900の切断工程(図11(D)参照)を行っているが、この順番に制約されない。基板900の切断工程を行った後に、基板900の研削工程と研磨工程を行ってもよい。
【0092】
上記工程を経て完成する無線チップ及びTEG用のチップの厚さは薄く、軽量であることを特徴とする。また、本実施例のように、基板の厚さを100μm以下とすることで、可撓性を有する無線チップ及びTEG用のチップを作製することができる。また、本実施例は、上記の実施の形態や他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例3】
【0093】
本実施例では、実施の形態1で説明した、無線チップ及びTEG用のチップの封止、切断を行う方法とは別の方法について説明する。すなわち、実施の形態1では、無線チップ及びTEG用のチップの封止と切断を同時に行う場合において説明したが、封止と切断は必ずしも同時に行う必要はなく、別々の工程で行ってもよい。以下、封止と切断を別々に行う方法について説明する。
【0094】
封止と切断を別工程で行う例としては、切断することまではできないが封止のみできるようなエネルギー密度のレーザー光を照射することによって封止を行い、その後切断が可能なエネルギー密度のレーザー光を照射することによって切断を行う方法が挙げられる。この場合、封止する際に照射するレーザー光の幅は、切断する際に照射するレーザー光の幅よりも長くする。そして、封止する際に照射するレーザー光の幅を、切断する際に照射するレーザー光の幅よりも長くすることによって、第1及び第2のフィルムが接着する面積を大きくすることができ、封止と切断を同時に行う場合に比較して、より確実な封止を行うことができる。また、封止と切断を別工程で行う場合、なお、封止を先に行ってもよいし、切断を先に行ってもよい。
【0095】
また、封止と切断を別工程で行う他の例としては、図9に示す加熱したワイヤー208の幅を広くしたものを第2のフィルム204上から押しつけることによって封止のみを行い、加熱したワイヤー208やレーザー光によって、切断するようにする方法も挙げられる。封止を行う際に用いるワイヤーの幅を、切断する際に用いるワイヤーの幅またはレーザー光の幅よりも広くすることによって、切断面積よりも広い面積で第1及び第2のフィルムが接着するように封止を行うことができる。なお、封止を先に行ってもよいし、切断を先に行ってもよい。なお、本実施例は上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例4】
【0096】
本実施例では、素子層の構成例について図14を用いながら具体的に説明する。なお、図14は、後にTEG用のチップとなる領域(TEG部391)と無線チップとなる領域(無線チップ部392)を示している。
【0097】
361は、下地膜となる絶縁膜であり、窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜、酸化窒化珪素と窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜、又は、酸化珪素と窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜などからなる。
【0098】
絶縁膜361上には、複数の素子が形成されている。複数の素子は、例えば、薄膜トランジスタ、容量素子、抵抗素子、ダイオード等から選択された複数に相当する。図14では、複数の素子としてN型の薄膜トランジスタ362、364と、P型の薄膜トランジスタ363、365が形成された場合の断面構造を示す。薄膜トランジスタ362、364は、チャネル形成領域と、ライトドープした不純物領域とヘビードープした不純物領域とを含むLDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。また、薄膜トランジスタ363、365は、チャネル形成領域と、不純物領域とを含むシングルドレイン構造を有している。また、薄膜トランジスタ362〜365のゲート電極の側面には、サイドウォールが形成されている。
【0099】
なお、薄膜トランジスタの構造は上記の記載に制約されず、どのような構造でもよい。例えば、シングルドレイン構造、オフセット構造、LDD構造、GOLD(Gate Overlapped Lightly Doped drain)構造等の構造でもよい。
【0100】
薄膜トランジスタ362〜365上には、該薄膜トランジスタを覆うように絶縁膜366が形成されており、該絶縁膜366上には、該薄膜トランジスタ362〜365の不純物領域と電気的に接続されたソース/ドレイン配線371〜376が形成されている。ソース/ドレイン配線371〜376上には、該ソース/ドレイン配線371〜376を覆うように絶縁膜367が形成されており、該絶縁膜367上には、該ソース/ドレイン配線371〜376と電気的に接続された導電層377〜380が形成されている。この導電層377〜380のうち、TEG部391に設けられている導電層377、378は、端子部として機能し、無線チップ部392に設けられている導電層379、380は、アンテナとして機能する。また、導電層377〜380上には、導電層377〜380を覆うように絶縁膜368が形成されている。
【0101】
本実施例では、無線チップ部の素子層にアンテナとして機能する導電層379、380を形成した例を示しているが、素子層にはアンテナを形成せず、アンテナを予め設けたアンテナ用基板と素子層を貼り合わせて、アンテナと素子層を電気的に接続した構造としてもよい。
【0102】
また、本実施例では、TEG部についてはアンテナを設けていない構成を示しているが、TEG部にもアンテナを設ける構造としてもよい。TEG部に、アンテナを設けた無線チップの回路と同じ構成を設けることにより、アンテナを設けていない構成よりも無線チップの回路の電気特性をより正確に把握することができる。なお、本実施例は上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例5】
【0103】
本実施例では、実施例4とは異なる素子層の構成例に関して図15を用いながら説明する。なお、図15は、後にTEG用のチップとなる領域(TEG部591)と無線チップとなる領域(無線チップ部592)を示している。
【0104】
窒化珪素膜511、酸化珪素膜512は下地膜となる絶縁膜であり、酸化珪素膜512上には、複数の素子が形成されている。ここで、下地絶縁膜として機能する窒化珪素膜511、酸化珪素膜512は、この材料や積層順に限定されるものではない。下地絶縁膜としては、例えば、窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜、酸化窒化珪素と窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜、又は、酸化珪素と窒化酸化珪素と酸化窒化珪素の積層膜などで形成してもよい。
【0105】
また、複数の素子は、例えば、薄膜トランジスタ、容量素子、抵抗素子、ダイオード等から選択された複数に相当する。図15では、半導体層521のチャネル領域が絶縁膜を介して下部電極513とゲート電極522の間に挟まれている構造の薄膜トランジスタ523が複数の素子として形成された場合の断面構造を示す。
【0106】
以下に、薄膜トランジスタ523の構造について説明する。なお、TEG部591に設けれられている薄膜トランジスタ525は、薄膜トランジスタ523の構造と同一の構造のものである。
【0107】
下部電極513上には、絶縁膜514、515が形成されており、絶縁膜515上には、半導体層521が形成されている。ここで、下部電極513は、金属、または一導電型の不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、W、Mo、Ti、Ta、Alなどを用いることができる。
【0108】
半導体層521上には、ゲート絶縁膜516を介してゲート電極522が形成されている。ここで、図15では、薄膜トランジスタ523がGOLD構造の薄膜トランジスタである場合を示しているが、この構造に限定されるものではない。例えば、ゲート電極の側面にサイドウォールを有するLDD構造としてもよい。
【0109】
そして、半導体層521、ゲート電極522を覆って絶縁膜517が形成され、該絶縁膜517上には、半導体層521のソース領域またはドレイン領域と電気的に接続されたソース/ドレイン配線518が形成されている。
【0110】
ソース/ドレイン配線518上には、絶縁膜519が形成され、該絶縁膜519上には、導電層524、593、594が形成されている。この導電層524、593、594のうち、TEG部591に設けられている導電層593、594は、端子部として機能し、無線チップ部592に設けられている導電層524は、アンテナとして機能する。また、導電層524上には、導電層524を覆うように絶縁膜520が形成されている。
【0111】
絶縁膜515、517、519、520としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化珪素膜や酸化窒化珪素膜、またはSOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化珪素膜などを用いることができる。有機絶縁膜としては、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂などの膜を用いることができる。また、アクリル膜と酸化窒化珪素膜の積層構造など、異なる材質の膜からなる積層構造を用いてもよい。
【0112】
以上で説明したような下部電極を有するTFTは、TFTサイズを小さくする場合に有利な構造である。一般に、TFTのサイズが小さくなり、回路を動作させるクロック周波数が向上すると、集積回路の消費電力が増加する。従って、下部電極にバイアス電圧を印加し、このバイアス電圧を変化させることで、TFTのしきい値電圧を変化させることができるため、消費電力の増加を抑止することができる。
【0113】
nチャネル型TFTの下部電極に対する負のバイアス電圧の印加は、しきい値電圧を高めリークを減少させる。その反対に正のバイアス電圧の印加は、しきい値電圧を下げ、チャネルに電流が流れやすくなり、TFTはより高速化、若しくは低電圧で動作する。pチャネル型TFTの下部電極に対するバイアス電圧の印加による効果はこの反対となる。このことより下部電極に印加するバイアス電圧を制御することで、集積回路の特性を大きく向上させることができる。
【0114】
このバイアス電圧を使って、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTのしきい値電圧をバランスさせることで集積回路の特性を改善することができる。このとき、消費電力を低減するために、電源電圧と下部電極に印加するバイアス電圧との両方を制御してもよい。また、回路がスタンバイモードの時は、大きく逆方向のバイアス電圧を与え、動作時についても負荷の小さいときは弱い逆方向バイアス、負荷の大きいときには、弱い順バイアス電圧を印加する。バイアス電圧の印加は制御回路を設けて、回路の動作状態若しくは負荷の状態により切り替え可能とすればよい。このような手法で、消費電力やTFTの性能をコントロールすることで、回路の性能を最大に発揮させることができる。
【0115】
本実施例では、無線チップ部の素子層にアンテナとして機能する導電層524を形成した例を示しているが、素子層にはアンテナを形成せず、アンテナを予め設けたアンテナ用基板と素子層を貼り合わせて、アンテナと素子層を電気的に接続した構造としてもよい。
【0116】
また、本実施例では、TEG部についてはアンテナを設けていない構成を示しているが、TEG部にもアンテナを設ける構造としてもよい。TEG部に、アンテナを設けた無線チップの回路と同じ構成を設けることにより、アンテナを設けていない構成よりも無線チップの回路の電気特性をより正確に把握することができる。なお、本実施例は上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例6】
【0117】
本実施例では、素子層の有する薄膜トランジスタの半導体層として、レーザー光の照射により結晶化した結晶質半導体層を使用した場合の例について説明する。
【0118】
レーザー光を発生させる発振器は、連続発振のレーザーを用いることができる。前記発振器は、連続発振のYAGレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、YAlOレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザー、COレーザーから選ばれた1種又は複数種である。
【0119】
連続発振のレーザーを用いると、結晶欠陥が少なく、大粒径の多結晶半導体を用いて、トランジスタを作製することができる。さらに移動度や応答速度が良好なために高速駆動が可能で、素子の動作周波数を向上させた液晶表示装置を提供することができる。また、特性バラツキが少ないために高い信頼性を得ることができる。
【0120】
また、さらなる動作の周波数の向上を目的として、トランジスタのチャネル長方向とレーザー光の走査方向と一致させることが好適である。これは、連続発振レーザーによるレーザー結晶化工程では、トランジスタのチャネル長方向とレーザー光の基板に対する走査方向とが概ね並行(好ましくは−30°〜30°)であるときに、最も高い移動度が得られるためである。なおチャネル長方向とは、チャネル形成領域において、電流が流れる方向、換言すると電荷が移動する方向と一致する。このように作製したトランジスタは、結晶粒がチャネル長方向に延在する多結晶半導体によって構成される活性層を有し、このことは結晶粒界が概ねチャネル長方向に沿って形成されていることを意味する。
【0121】
また、連続発振レーザーを用いたレーザー結晶化について説明したが、本発明は連続発振レーザーに制約されず、パルスレーザーを用いたレーザー結晶化を行ってもよい。これは、パルス的に出力されるエネルギービーム(パルスビーム)であっても、レーザー光により半導体膜が溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザー光を照射できるような発振周波数でレーザー光を発振させれば、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができるためである。つまり、パルスレーザーであっても、連続発振レーザーを用いた場合と同様の効果を得ることができるためである。
【0122】
従って、パルス発振の周期が、半導体膜が溶融してから完全に固化するまでの時間よりも短くなるように、発振の周波数の下限を定めたパルスビームを使用するとよい。具体的には、パルスレーザーの発振周波数は10MHz以上、好ましくは60〜100MHzとし、通常パルスレーザーの発振周波数として用いる数十Hz〜数百Hzの周波数帯よりも著しく高い周波数帯を使用する。
【0123】
上記の周波数帯を使用すると、半導体膜がレーザー光によって溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザー光を照射することができる。従って、従来の周波数帯のパルス発振のレーザーを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半導体膜を形成することができる。さらに具体的には、結晶粒の走査方向における幅が10〜30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を形成することができ、連続発振レーザーと同程度の結晶粒を得ることができる。そして走査方向に沿って長く伸びた単結晶の結晶粒を形成することで、少なくともTFTのチャネル長方向には結晶粒界のほとんど存在しない半導体膜の形成が可能となる。
【0124】
パルスレーザーとしては、上記周波数での発振が可能な、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザー、COレーザー、YAGレーザー、Yレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、YAlOレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザー又は金蒸気レーザーを用いることができる。なお、本実施例は、上記の実施の形態や他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例7】
【0125】
本実施例では、TEG用のチップの回路構成の一例について説明する。TEG用のチップは、無線チップと同一の回路に加え、トランジスタなど単体素子の電気特性を調べるための素子を備えている。また、ここで説明するTEG用のチップの仕様は、国際標準規格のISO15693に準拠し、近傍型で、交信信号周波数は13.56MHzである。また、受信はデータ読み出し命令のみ対応し、送信のデータ伝送レートは約13kHzであり、データ符号化形式はマンチェスタコードを用いている。
【0126】
図16に示すように、TEG用のチップ715は、大別して、アンテナ部721、電源部722、ロジック部723、端子部から構成される。アンテナ部721は、外部信号の受信とデータの送信を行うためのアンテナ701からなる。
【0127】
電源部722は、アンテナ701を介して外部から受信した信号により電源を作る整流回路702と、作りだした電源を保持するための保持容量703からなる。また、ロジック部723は、受信した信号を復調する復調回路704と、クロック信号を生成するクロック生成・補正回路705と、各コード認識及び判定回路706と、メモリからデータを読み出すための信号を受信信号により作り出すメモリコントローラ707と、符号化した信号を受信信号にのせるための変調回路及び変調用抵抗708と、読み出したデータを符号化する符号化回路709と、データを保持するマスクROM711とを有する。
【0128】
端子部は、薄膜トランジスタなどの単体素子が複数設けられた単体素子群733の電気特性などを測定するために配線が引き回されて構成された第1の端子部731と、電源部722やロジック部723の回路としての特性を測るために配線が引き回されて(延在して)構成された第2の端子部732からなる。
【0129】
各コード認識及び判定回路706が認識・判定するコードは、フレーム終了信号(EOF、end of frame)、フレーム開始信号(SOF、start of frame)、フラグ、コマンドコード、マスク長(mask length)、マスク値(mask value)等である。また、各コード認識及び判定回路706は、送信エラーを識別する巡回冗長検査(CRC、cyclic redundancy check)機能も含む。
【0130】
次に、上記構成を有するTEG用のチップのレイアウトの一例について、図17、18を参照して説明する。まず、1つのTEGの全体的なレイアウトについて説明する(図17参照)。TEG用のチップは、アンテナ701と、電源部722、ロジック部723、及び端子部を構成する素子群714とで、別々のレイヤーに形成されており、具体的には、素子群714上にアンテナ701が形成されている。素子群714を形成する領域の一部と、アンテナ701を形成する領域の一部は重なっている。図17に示す構成では、アンテナ701を構成する配線の幅を150μm、配線と配線の間の幅を10μmで設計し、その巻き数は15巻きとした。なお本発明は、上記のように、アンテナ701と、素子群714とを別々のレイヤーに形成する形態に制約されない。また、アンテナ701は、図17に示すように、巻いた形状に制約されない。
【0131】
次に、電源部722、ロジック部723、及び端子部のレイアウトについて説明する(図18参照)。電源部722を構成する整流回路702と保持容量703は同じ領域に設けられる。ロジック部723を構成する復調回路704と、各コード認識及び判定回路706は、2カ所に分けて設けられる。マスクROM711とメモリコントローラ707は隣接して設けられる。クロック生成・補正回路705と各コード認識及び判定回路706は隣接して設けられる。復調回路704は、クロック生成・補正回路705と各コード認識及び判定回路706の間に設けられる。また、図16のブロック図には示していないが、ロジック部用の検波容量712と、電源部用の検波容量713とが設けられる。変調回路及び変調用抵抗708は、検波容量712と検波容量713の間に設けられる。
【0132】
端子部は、薄膜トランジスタなどの単体素子が複数設けられた単体素子群733の電気特性などを測定するために配線が引き回されて構成された第1の端子部731と、電源部722やロジック部723の回路としての特性を測るために配線が引き回されて構成された第2の端子部732とからなる。第1の端子部731及び単体素子群733は、電源部722、ロジック部723が設けられた領域以外の隙間に形成されていればよい。また、第2の端子部732は、電源部722、ロジック部723が設けられた領域の周辺に設けられていればよい。
【0133】
マスクROM711は、製造工程で記憶内容をメモリに作り込むものであり、ここでは、高電位電源(VDDともよぶ)に接続する電源線と、低電位電源(VSSともよぶ)に接続する電源線の2本の電源線を設けて、各メモリセルが記憶する記憶内容は、各メモリセルが含むトランジスタが、上記のどちらの電源線に接続しているかにより判断する。
【0134】
次に、整流回路702の回路構成の一例について説明する(図19(A)参照)。整流回路702は、トランジスタ91、92と、容量用トランジスタ93とを有する。トランジスタ91のゲート電極はアンテナ701に接続する。容量用トランジスタ93のゲート電極は高電位電源(VDD)に接続する。また、容量用トランジスタ93のソース電極とドレイン電極は接地電源(GND)に接続する。続いて、復調回路704の回路構成の一例について説明する(図19(B)参照)。復調回路704は、トランジスタ94、95、抵抗素子96、99、容量用トランジスタ97、98とを有する。トランジスタ94のゲート電極はアンテナ701に接続する。容量用トランジスタ98のゲート電極は論理回路に接続する。容量用トランジスタ98のソース電極とドレイン電極は接地電源(GND)に接続する。
【0135】
次に、上記の整流回路702や復調回路704の有する容量用トランジスタの断面構造について説明する(図20(A)参照)。容量用トランジスタ601は、ソース電極とドレイン電極が互いに接続されており、容量用トランジスタ601がオンすると、ゲート電極とチャネル形成領域との間に容量が形成される。このような容量用トランジスタ601の断面構造は、通常の薄膜トランジスタの断面構造と変わらない。等価回路図は、図20(B)のように表すことができる。なお、上記の構成のように、ゲート絶縁膜を用いた容量だと、トランジスタのしきい値電圧の変動に対して影響を受けるため、ゲート電極と重なる領域602に、不純物元素を添加してもよい(図20(C)参照)。この場合の等価回路図は図20(D)のように表すことができる。なお、本実施例は、上記の実施の形態や他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例8】
【0136】
本実施例では、上記実施の形態または実施例で示した端子部を有するTEG用のチップを作製後、特性検査に合格したTEG用のチップについて、端子部を切断後封止するか、可撓性を有する配線基板を取り外した後封止して、無線チップとして再利用する際の用途に関して説明する。また、上記実施の形態または実施例で示したTEG用のチップを作製する際に同時に作製される無線チップの用途に関して説明する。
【0137】
無線チップの用途の例として、紙幣、硬貨、有価証券、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図21(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図21(B)参照)、DVDソフトやCDやビデオテープ等の記録媒体(図21(C)参照)、車やバイクや自転車等の乗り物類(図21(D)参照)、鞄や眼鏡等の身の回り品(図21(E)参照)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に無線チップを設けて使用することができる。なお、電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(単にテレビまたはテレビ受像器とも呼ぶ)及び携帯電話機等を指す。
【0138】
無線チップは、物品の表面に貼り付けたり、物品に埋め込んだりして物品に固定することができる。例えば、本であれば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージであれば当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等に無線チップを設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に無線チップを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また、乗物類に無線チップを設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、過去の既往症や薬の服用履歴を記録するための無線チップを健康保健証に設け、当該健康保険証を医者が診断する際に確認することにより、複数の病院に通院している場合においても薬の種類や投与量などの医者の診断ミスを防止することができる。
【0139】
また、無線チップを物の管理や流通のシステムに応用することで、システムの高機能化を図ることができる。例えば、表示部294を含む携帯端末の側面にリーダライタ295を設け、品物297の側面に無線チップ296を設ける場合を考える(図22(A))。この場合、リーダライタ295に無線チップ296をかざすと、表示部294に品物297の原材料や原産地、流通過程の履歴等の情報が表示されるシステムになっている。また、別の例として、ベルトコンベアの脇にリーダライタ295を設ける場合、品物297の検品を簡単に行うことができる(図22(B))。なお、本実施例は上記実施の形態及び実施例と自由に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】実施例1を説明する図。
【図2】実施例1を説明する図。
【図3】実施例1を説明する図。
【図4】実施例1を説明する図。
【図5】実施例1を説明する図。
【図6】実施例1を説明する図。
【図7】実施の形態1を説明する図。
【図8】実施の形態1を説明する図。
【図9】実施の形態1を説明する図。
【図10】実施の形態1を説明する図。
【図11】実施例2を説明する図。
【図12】実施例2を説明する図。
【図13】実施例2を説明する図。
【図14】実施例4を説明する図。
【図15】実施例5を説明する図。
【図16】実施例7を説明する図。
【図17】実施例7を説明する図。
【図18】実施例7を説明する図。
【図19】実施例7を説明する図。
【図20】実施例7を説明する図。
【図21】実施例8を説明する図。
【図22】実施例8を説明する図。
【符号の説明】
【0141】
1601 ソース(ドレイン)
1602 ドレイン(ソース)
1603 ゲート
1604 配線
1605 配線
1606 配線
1607 導電体
1608 導電体
1609 導電体
1610 可撓性を有する配線基板
1611 可撓性を有する配線基板
1621 端子部
1622 端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている検査素子を有し、
前記検査素子は端子部を有し、
前記端子部上に、異方性導電体を介して可撓性を有する配線基板に電気的に接続させるためのコンタクトホールが設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている検査素子を有し、
前記検査素子は端子部を有し、
前記端子部は、当該端子部上に形成されたコンタクトホールに設けられた異方性導電体を介して可撓性を有する配線基板に電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
汚染防止膜と、
前記汚染防止膜上に形成され、端子部を有する検査素子が設けられた素子層と、
前記素子層上に形成された、該素子層の強度を確保する層と、を有し、
前記汚染防止膜、前記検査素子、及び前記素子層の強度を確保する層は、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されており、
前記端子部は、当該端子部上に形成されたコンタクトホールに設けられた異方性導電体を介して可撓性を有する配線基板に電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、前記汚染防止膜は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、または窒化酸化珪素からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項3または4において、前記素子層の強度を確保する層は、有機材料または無機材料が用いられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、前記異方性導電体は、異方性導電ペーストまたは異方性導電フィルムであることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
基板上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に端子部を有する検査素子が設けられた素子層を形成し、
前記剥離層及び前記素子層を選択的に除去して開口部を形成した後、前記基板から前記素子層を分離し、
可撓性を有する第1及び第2のフィルムを用いて前記素子層を封止し、
前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して前記端子部に達するコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールに導電性材料を含有する樹脂を充填し、
前記充填された樹脂上に可撓性を有する配線基板を配置させた後に加熱することにより、前記導電性材料を含有する樹脂を介して前記端子部と前記可撓性を有する配線基板とを電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
基板上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に端子部を有する検査素子が設けられた素子層を形成し、
前記剥離層及び前記素子層を選択的に除去して開口部を形成した後、前記基板から前記素子層を分離し、
可撓性を有する第1及び第2のフィルムを用いて前記素子層を封止し、
前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して前記端子部を露出させ、
異方性導電フィルムを用いて前記露出された端子部と可撓性を有する配線基板とを電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項7または8において、前記端子部上に形成された前記第1のフィルムをレーザー照射により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項10】
基板上に下地膜を形成し、
前記下地膜上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に汚染防止膜を形成し、
前記汚染防止膜上に薄膜トランジスタ、及び端子部を有する検査素子が設けられた素子層を形成し、
前記素子層上に該素子層の強度を確保する層を形成し、
前記剥離層、前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を選択的に除去して、開口部を形成した後、前記基板から前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を分離し、
可撓性を有する第1及び第2のフィルムを用いて前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を封止し、
前記端子部上に形成された前記第1のフィルム及び素子層の強度を確保する層を除去して前記端子部に達するコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールに導電性材料を含有する樹脂を充填し、
前記充填された樹脂上に可撓性を有する配線基板を配置させた後に加熱することにより、前記導電性材料を含有する樹脂を介して前記端子部と前記可撓性を有する配線基板とを電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項11】
基板上に下地膜を形成し、
前記下地膜上に剥離層を形成し、
前記剥離層上に汚染防止膜を形成し、
前記汚染防止膜上に薄膜トランジスタ、及び端子部を有する検査素子が設けられた素子層を形成し、
前記素子層上に該素子層の強度を確保する層を形成し、
前記剥離層、前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を選択的に除去して、開口部を形成した後、前記基板から前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を分離し、
可撓性を有する第1及び第2のフィルムを用いて前記汚染防止膜、前記素子層、及び前記素子層の強度を確保する層を封止し、
前記端子部上に形成された前記第1のフィルム及び前記素子層の強度を確保する層を除去して前記端子部を露出させ、
異方性導電フィルムを用いて前記露出された端子部と可撓性を有する配線基板とを電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項12】
請求項10または11において、前記端子部上に形成された前記第1のフィルム及び前記素子層の強度を確保する層をレーザー照射により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか一において、前記下地膜として、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、または窒化酸化珪素を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一において、前記素子層の強度を確保する層として、有機材料、または無機材料を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項15】
請求項7乃至14のいずれか一において、前記剥離層として、タングステン、モリブデン、ニオブ、チタン、またはシリコンを含んだ金属膜を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項16】
端子部を有する検査素子が設けられた素子層が、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている半導体装置の測定方法であって、
前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して、前記端子部に達するコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールに導電性材料を含有する樹脂を充填し、
前記充填された樹脂上に可撓性を有する配線基板を配置させた後に加熱することにより、前記導電性材料を含有する樹脂を介して前記端子部と前記可撓性を有する配線基板とを電気的に接続した後に測定を行うことを特徴とする半導体装置の測定方法。
【請求項17】
端子部を有する検査素子が設けられた素子層が、可撓性を有する第1及び第2のフィルムにより封止されている半導体装置の測定方法であって、
前記端子部上に形成された前記第1のフィルムを除去して、前記端子部を露出させ、
異方性導電フィルムを用いて前記露出された端子部と可撓性を有する配線基板とを電気的に接続した後に測定を行うことを特徴とする半導体装置の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−310810(P2006−310810A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84606(P2006−84606)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】