説明

半導体装置及びその作製方法

【課題】デュアルゲート型トランジスタのゲートと、ソースまたはドレインの間の寄生容量を低減する。
【解決手段】第1の導電層を覆って設けられた第1の絶縁層と、第1の絶縁層上に設けられた第1の半導体層と、第1の半導体層上に、第1の半導体層を露出させて離間して設けられた第2の半導体層と、第2の半導体層上に設けられた不純物半導体層と、不純物半導体層上に、少なくとも一部が接するように設けられた第2の導電層と、第2の導電層上に設けられた第2の絶縁層と、第1の半導体層、第2の半導体層、不純物半導体層、第2の導電層、及び第2の絶縁層を覆って設けられた第3の絶縁層と、少なくとも、第3の絶縁層上に設けられた第3の導電層と、を有し、第3の導電層は、第1の半導体層の第2の半導体層と重畳していない部分と重畳し、且つ第2の導電層の一部とも重畳している構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその作製方法に関する。なお、本明細書において、半導体装置とは、半導体素子自体または半導体素子を含むものをいい、このような半導体素子として、例えば薄膜トランジスタが挙げられる。従って、液晶表示装置なども半導体装置に含まれるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は人間の生活に欠かせないものとなっている。このような半導体装置に含まれる薄膜トランジスタなどの半導体素子は、基板上に半導体膜などの薄膜を形成し、該薄膜を所望の形状に加工することで作製される。このような作製方法は、例えば、液晶表示装置(例えば、液晶テレビ)にも適用されている。
【0003】
従来の液晶テレビの薄膜トランジスタには、半導体膜として非晶質シリコン膜が用いられることが多い。これは、非晶質シリコン膜により形成した薄膜トランジスタが、比較的作りやすい構造とされているからである。
【0004】
しかしながら、昨今の動画事情(例えば、3D映画鑑賞や3Dスポーツ観戦など)から、非晶質シリコン膜を用いた液晶テレビでは、動画の鮮明さを表現する事が困難になり、高速に応答するキャリア移動度の高い薄膜トランジスタの開発が進められている。そのため、微結晶シリコン膜の開発が進められている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−217424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1にも記載されているように、半導体膜として、微結晶シリコン膜を用いた薄膜トランジスタでは、オン電流を高くすることが可能である。しかし、上記した昨今の動画事情に鑑みると、まだ十分なものとはいえない。
【0007】
そこで、図2(A)及び(B)に示すように、チャネル形成領域と重畳して、ゲート電極(以下、第1のゲート電極と表記することがある。)とは反対側に「更なるゲート電極(以下、第2のゲート電極と表記することがある。)」を設け、該更なるゲート電極によりチャネル形成領域を拡大するとよい。
【0008】
図2(A)に示す薄膜トランジスタのように、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層のチャネル形成領域と重畳して第2のゲート電極が設けられており、半導体層と第2のゲート電極の間に介在する絶縁層が薄いと、第2のゲート電極と、ソース電極及びドレイン電極(特にドレイン電極)との間に大きな寄生容量を生じてしまう。
【0009】
一方で、図2(B)に示す薄膜トランジスタのように、半導体層と第2のゲート電極の間に介在する絶縁層が厚いと、半導体層において第2のゲート電極による電界が弱く、薄膜トランジスタの電界効果移動度を向上させ、オン電流を増大させることが困難になる。
【0010】
そこで、本発明の一態様は、デュアルゲート型薄膜トランジスタを有し、デュアルゲート型薄膜トランジスタの第2のゲート電極と、ソース電極及びドレイン電極のうち少なくとも一方と、の間の寄生容量が小さく、電界効果移動度が高く、且つオン電流が大きい半導体装置を提供することを課題とする。
【0011】
更には、本発明の一態様は、電界効果移動度が高く、且つオン電流が大きい半導体装置を簡便な工程で作製することができる作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様である半導体装置は、逆スタガ構造のデュアルゲート型薄膜トランジスタを有するものであって、該薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極となる導電層とパッシベーション層の間に層間絶縁層が設けられており、該パッシベーション層上には更なるゲート電極が設けられているものである。
【0013】
本発明の一態様である半導体装置の作製方法は、逆スタガ構造のデュアルゲート型薄膜トランジスタを作製するに際して、ソース電極及びドレイン電極となる導電層とパッシベーション層の間に設けられる層間絶縁層となる膜は、ソース電極及びドレイン電極となる導電膜上に積層して形成され、ソース電極及びドレイン電極となる導電層の形成と同一のエッチングマスクを用いて形成され、または、ソース電極及びドレイン電極となる導電層をエッチングマスクとして用いて形成されるものである。
【0014】
本発明の一態様は、第1の導電層を覆って設けられた第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に設けられた第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に、前記第1の半導体層の一部を露出させて離間して設けられた第2の半導体層と、前記第2の半導体層上に設けられた不純物半導体層と、前記不純物半導体層上に、少なくとも一部が接するように設けられた第2の導電層と、前記第2の導電層上に設けられた第2の絶縁層と、前記第1の半導体層、前記第2の半導体層、前記不純物半導体層、前記第2の導電層、及び前記第2の絶縁層を覆って設けられた第3の絶縁層と、少なくとも、前記第3の絶縁層上に設けられた第3の導電層と、を有し、前記第3の導電層は、前記第1の半導体層の前記第2の半導体層と重畳していない部分と重畳し、且つ前記第2の導電層の一部とも重畳していることを特徴とする半導体装置である。
【0015】
なお、ここで、前記第2の絶縁層は、前記層間絶縁層であり、前記第3の絶縁層は、前記パッシベーション層に相当する。また、前記第2の導電層は、少なくともソース電極及びドレイン電極を構成し、前記第3の導電層は、少なくとも第2のゲート電極を構成する。
【0016】
前記構成において、前記第2の絶縁層は、前記第3の絶縁層よりも厚いことが好ましい。第2のゲート電極と、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方と、の間の寄生容量を低減させ、電界効果移動度及びオン電流を大きくするためである。
【0017】
前記構成において、前記第3の導電層を透光性とすることで、表示装置を得ることができる。
【0018】
前記構成において、前記第3の絶縁層と前記第3の導電層の間に、第4の絶縁層を設け、前記第4の絶縁層は、前記第2の導電層の一部と重畳していることが好ましい。前記第4の絶縁層は、表面が概略平坦になる方法により形成するとよく、前記第4の絶縁層の表面を概略平坦にすることで、前記第4の絶縁層上に形成される画素電極層の断切れ等を防止することができるためである。従って、ここで「概略平坦」とは、上記目的を達成しうる程度のものであればよく、必ずしも高い平坦性が要求されるわけではない。
【0019】
本発明の一態様は、前記半導体装置の作製方法である。本発明の一態様は、第1の導電層を覆って設けられた第1の絶縁層上に、第1の半導体層、第2の半導体層及び不純物半導体層がこの順に積層された薄膜積層体を形成し、前記薄膜積層体を覆って、第2の導電層となる導電膜及び前記第2の絶縁層となる絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁層となる前記絶縁膜をエッチングすることで前記第2の絶縁層を形成し、前記第2の導電層となる前記導電膜をエッチングすることで前記第2の導電層を形成し、前記第2の導電層と重畳していない部分の前記不純物半導体層及び前記第2の半導体層を除去することで、前記第2の導電層と重畳していない部分の前記第1の半導体層を露出させ、前記第1の半導体層、前記第2の半導体層、前記不純物半導体層、前記第2の導電層及び前記第2の絶縁層を覆って第3の絶縁層を形成し、少なくとも、前記第3の絶縁層上に、前記第1の半導体層の前記第2の半導体層と重畳していない部分と重畳し、且つ前記第2の導電層の一部と重畳して設けられた第3の導電層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0020】
前記構成において、前記第2の絶縁層と前記第2の導電層は、同一のエッチング工程で形成されることが好ましい。
【0021】
前記構成において、露出された部分の前記第1の半導体層を、水素ガスと酸素ガスの混合ガスプラズマに曝すとよい。
【0022】
なお、前記構成において、前記第1の半導体層は必ずしも必要ではなく、前記第1の半導体層の部分が前記第2の半導体層と同一の層により形成されていてもよい。
【0023】
なお、本明細書中において、半導体装置を説明する際にはトランジスタとして画素トランジスタを例示しているが、これに限定されず、本発明の一態様である半導体装置は、画素トランジスタ以外の用途で用いられるトランジスタであってもよい。
【0024】
なお、本明細書中において、エッチングには塩素系ガス(塩素を含むガス)またはフッ素系ガス(フッ素を含むガス)を用いることができる。塩素系ガスとしては、BClまたはClなどを例示することができるが、BClとClの混合ガスを用いるとよい。フッ素系ガスとしては、SFまたはCFなどを例示することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様である半導体装置によれば、寄生容量が小さく、電界効果移動度が高く、且つオン電流が大きい半導体装置を得ることができる。
【0026】
本発明の一態様である薄膜トランジスタの作製方法によれば、寄生容量が小さく、電界効果移動度が高く、且つオン電流が大きい半導体装置を、簡便な工程で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一態様である半導体装置を説明する断面図及び上面図。
【図2】図1との比較例として示す半導体装置を説明する断面図及び上面図。
【図3】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図4】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図5】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図6】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図7】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図8】本発明の一態様である半導体装置を説明する図。
【図9】本発明の一態様である半導体装置を説明する図。
【図10】本発明の一態様である半導体装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について図面を参照して説明する。
【0030】
図1(A)乃至(C)は、本発明の一態様である半導体装置の断面図と上面図を示す。図1(A)は、図1(B)に示す上面図のX−Yにおける断面図を示す。図1(A)及び図1(B)に示す半導体装置は、基板100上に設けられた第1の導電層102と、第1の導電層102を覆う第1の絶縁層104と、第1の絶縁層104上に設けられた第1の半導体層106と、第1の半導体層106上に、第1の半導体層106の一部を露出させて離間して設けられた第2の半導体層108と、第2の半導体層108上に設けられた不純物半導体層110と、不純物半導体層110上に、少なくとも一部が接するように設けられた第2の導電層112と、第2の導電層112上にのみ設けられた第2の絶縁層114と、第1の半導体層106、第2の半導体層108、不純物半導体層110、第2の導電層112及び第2の絶縁層114を覆って設けられた第3の絶縁層116と、少なくとも第3の絶縁層116上に設けられた第3の導電層118と、を有している。第2の導電層112と第3の導電層118は、開口部120において接続される。
【0031】
ここで、第3の導電層118は、少なくとも第1の半導体層106の第2の半導体層108と重畳していない部分と重畳し、且つ第2の導電層112の一部とも重畳している。
【0032】
図1(B)には、第3の導電層118により形成されるゲートが、第1の導電層102により形成されるゲートとは独立して設けられている形態の上面図を示す。このとき、第3の導電層118により形成されるゲートの電位は、第1の導電層102により形成されるゲートの電位と異なるものとすることができるため、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。ただし、本実施の形態の半導体装置はこれに限定されず、図1(C)に示すような構成であってもよい。
【0033】
図1(C)には、第3の導電層118により形成されるゲートが、第1の導電層102により形成されるゲートと開口部122において接続されている形態の上面図を示す。このとき、第3の導電層118により形成されるゲートの電位と、第1の導電層102により形成されるゲートの電位は、等しいものとなる。
【0034】
なお、第1の絶縁層104、第2の絶縁層114、及び第3の絶縁層116は、窒化シリコン層とすることが好ましい。
【0035】
なお、第1の絶縁層104、第2の絶縁層114、及び第3の絶縁層116は、窒化シリコン層に限定されない。更には、これらの層は複数の層が積層して設けられていてもよい。例えば、第2の絶縁層114として、窒化シリコン層上に酸化窒化シリコン層が積層された2層構造であってもよいし、酸化シリコン層上に酸化窒化シリコン層が設けられ、酸化窒化シリコン層上に窒化シリコン層が設けられた3層構造であってもよい。このように、第2の絶縁層114として、酸化シリコン層または酸化窒化シリコン層などを用いると、窒化シリコン層を用いる場合よりも厚さを薄くすることができる。酸化シリコン層及び酸化窒化シリコン層のほうが、窒化シリコン層よりも誘電率が小さいからである。
【0036】
なお、第3の導電層118により形成されるゲートは、図示した形態に限定されない。第3の導電層118により形成されるゲートでは、ゲート電極とゲート配線が異なる層として設けられていてもよく、第3の導電層118により設けられるゲート電極と、第3の導電層118上に設けられた絶縁層上に更に別の導電層を形成し、該別の導電層によりゲート配線が形成されていてもよい。
【0037】
または、第3の導電層118によりゲートのみを形成し、これとは異なる導電層により画素電極が設けられていてもよい。
【0038】
図1(A)乃至(C)に示す半導体装置は、寄生容量が小さく、電界効果移動度が高く、且つオン電流を大きくすることができる。
【0039】
図2(A)に示す半導体装置は、図1(A)乃至(C)に示す半導体装置との比較例である。図2(A)に示す半導体装置は、図1(A)乃至(C)における第2の絶縁層を有さず、第1の半導体層106、第2の半導体層108、不純物半導体層110及び第2の導電層112を覆って設けられた第3の絶縁層116Aと、少なくとも第3の絶縁層116A上に設けられた第3の導電層118Aと、を有している。なお、第3の絶縁層116Aは、図1(A)の第3の絶縁層116と同じ厚さで設けられている。
【0040】
図2(A)に示す半導体装置は、図1(A)に示す半導体装置と同様に、電界効果移動度が高く、且つオン電流を大きくすることができる。しかし、第2の導電層112と第3の導電層118Aの重畳する部分には第3の絶縁層116Aのみが挟持されているので、この部分に生じる容量(寄生容量)が、図1(A)に示す半導体装置の当該部分における寄生容量よりも大きくなってしまうという問題がある。
【0041】
図2(B)に示す半導体装置は、図1(A)乃至(C)に示す半導体装置との比較例である。図2(B)に示す半導体装置は、図1(A)乃至(C)における第2の絶縁層を有さず、第1の半導体層106、第2の半導体層108、不純物半導体層110及び第2の導電層112を覆って設けられた第3の絶縁層116Bと、少なくとも第3の絶縁層116B上に設けられた第3の導電層118Bと、を有している。なお、第3の絶縁層116Bは、図1(A)の第2の絶縁層114と第3の絶縁層116の合計の厚さと同じ厚さで設けられている。
【0042】
図2(B)に示す半導体装置は、図2(A)に示す半導体装置よりも寄生容量を小さくすることができる。しかし、第2の導電層112と第3の導電層118Bの重畳する部分には図1(A)の第2の絶縁層114と第3の絶縁層116の合計の厚さと同じ厚さで設けられた第3の絶縁層116Bが挟持されているので、第1の半導体層106における第3の導電層118Bで設けられたゲートからの電界が弱く、薄膜トランジスタの電界効果移動度を向上させ、オン電流を増大させることが困難である。
【0043】
従って、図1(A)に示すように、第2の絶縁層114を設けることで、寄生容量が小さく、電界効果移動度が高く、且つオン電流が大きい半導体装置を得ることができる。
【0044】
なお、図示していないが、第2の絶縁層114によりソース電極またはドレイン電極と、画素電極と、の間の寄生容量を低減することができるため、画素電極をソース電極及びドレイン電極と重畳するように配しても、ソース電極またはドレイン電極と、画素電極と、の間の寄生容量を抑えることができる。そのため、ソース電極またはドレイン電極と、画素電極と、を重畳させることができ、隣り合う画素電極の間隔を小さくすることができるため開口率を向上させることができる。
【0045】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した半導体装置の作製方法について説明する。
【0046】
まず、基板200上に第1の導電層202を選択的に形成し、第1の導電層202を覆って第1の絶縁層204を形成する(図3(A))。
【0047】
基板200は、絶縁性基板である。基板200として、例えば、ガラス基板、石英基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板などを用いることができる。基板200がガラス基板である場合には、第1世代(例えば、320mm×400mm)〜第10世代(例えば、2950mm×3400mm)のものを用いればよいが、これに限定されるものではない。
【0048】
第1の導電層202は、例えば、スパッタリング法を用いて導電膜(例えば金属膜、または一導電型の不純物元素が添加された半導体膜など)を形成し、該導電膜上にエッチングマスクを形成してエッチングを行うことで選択的に形成すればよい。または、インクジェット法などを用いてもよい。なお、第1の導電層202となる導電膜は、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。例えば、Ti層によりAl層を挟持した3層の積層構造とすればよい。なお、第1の導電層202は、少なくとも走査線とゲート電極を構成する。
【0049】
第1の絶縁層204は、例えば、プラズマCVD法を用いて絶縁性材料(例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは酸化シリコンなど)により形成すればよい。なお、第1の絶縁層204は、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここでは、例えば、窒化シリコン層上に酸化窒化シリコン層が積層された2層の積層構造とする。なお、第1の絶縁層204は、少なくともゲート絶縁層を構成する。
【0050】
なお、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。
【0051】
なお、「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。ただし、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が前記範囲内に含まれるものとする。
【0052】
なお、ここで、第1の絶縁層204の最上層が窒化シリコン層または窒化酸化シリコン層である場合には、第1の絶縁層204の表面をNOガスにより発生させたプラズマに曝すことが好ましい。第1の絶縁層204の表面をNOガスにより発生させたプラズマに曝すことで、第1の絶縁層204の表面を酸化し、この上に形成される第1の半導体膜206の結晶性を向上させることができるからである。ただし、プラズマを発生させるガスはNOガスに限定されず、第1の絶縁層204の表面を酸化することができるガス(酸化性ガスまたは酸素を含むガス)であればよい。
【0053】
次に、第1の絶縁層204上に第1の半導体膜206、第2の半導体膜208及び不純物半導体膜210をこの順に積層して形成し、不純物半導体膜210上にエッチングマスク211を形成する(図3(B))。
【0054】
第1の半導体膜206は、キャリア移動度が高い半導体材料により形成すればよく、好ましくは結晶性半導体により形成する。結晶性半導体としては、例えば、微結晶半導体が挙げられる。ここで、微結晶半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む。)の中間的な構造の半導体をいう。微結晶半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な半導体であり、結晶粒径が2nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上80nm以下、より好ましくは20nm以上50nm以下の柱状または針状の結晶粒が基板表面に対して法線方向に成長している半導体である。このため、柱状または針状の結晶粒の界面には、粒界が形成されることもある。なお、ここでの結晶粒径は、基板表面に対して平行な面における結晶粒の最大直径である。また、結晶粒は、非晶質半導体領域と、単結晶とみなせる微小結晶である結晶子を有する。なお、結晶粒は双晶を有する場合もある。
【0055】
微結晶半導体としては、微結晶シリコンを用いればよい。微結晶半導体の一である微結晶シリコンでは、そのラマンスペクトルのピークが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側にシフトしている。すなわち、単結晶シリコンを示す520cm−1と非晶質シリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため、水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、He、Ar、KrまたはNeなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体が得られる。
【0056】
なお、結晶性半導体膜に含まれる酸素及び窒素の濃度(二次イオン質量分析法による測定値)を低くし、好ましくは1×1018cm−3未満とすると、結晶性を高めることができる。
【0057】
なお、結晶性半導体膜は、2段階の成膜処理により形成することが好ましく、2段階の成膜処理において、例えば、第1段階では500Pa程度の圧力下で厚さ5nm程度の微結晶シリコン膜を形成し、第2段階では5000Pa程度の圧力下で所望の厚さの微結晶シリコン膜を形成するとよい。第2段階では第1段階よりもシランの流量比を小さくし、高希釈な条件とするとよい。
【0058】
第2の半導体膜208は、バッファ層として機能し、第1の半導体膜206よりもキャリア移動度の低い半導体材料により形成すればよい。好ましくは、非晶質半導体と微小半導体結晶粒を有し、従来の非晶質半導体と比較して、一定光電流法(CPM:Constant Photocurrent Method)やフォトルミネッセンス分光測定で測定されるUrbach端のエネルギーが小さく、欠陥吸収スペクトル量が少ない半導体膜である。このような半導体膜は、従来の非晶質半導体膜と比較して欠陥が少なく、価電子帯のバンド端(移動度端)における準位のテイル(裾)の傾きが急峻である秩序性の高い半導体膜である。
【0059】
第2の半導体膜208には、ハロゲン及び窒素を含んでいてもよい。窒素が含まれる場合には、NH基またはNH基として含んでいてもよい。
【0060】
なお、ここで、第1の半導体膜206と第2の半導体膜208の界面領域は、微結晶半導体領域と、当該微結晶半導体領域の間に充填される非晶質半導体領域と、を有する。具体的には、第1の半導体膜206から錐形状に伸びた微結晶半導体領域と、第2の半導体膜208と同様の「非晶質半導体を含む膜」と、で構成される。
【0061】
第2の半導体膜208によりバッファ層が設けられるため、トランジスタのオフ電流を小さくすることができる。また、上記の界面領域において、錐形状に伸びた微結晶半導体領域を有するため、縦方向(厚さ方向)の抵抗、すなわち、第2の半導体膜208と、不純物半導体膜210により構成されるソース領域またはドレイン領域と、の間の抵抗を低くすることができ、トランジスタのオン電流を高めることができる。すなわち、従来の非晶質半導体を適用した場合と比較すると、オフ電流を十分に低減させつつ、オン電流の低下をも抑制することができ、トランジスタのスイッチング特性を高くすることができる。
【0062】
なお、完成したトランジスタにおいて、第1の半導体膜206により形成される第1の半導体層が薄くなるとオン電流が低下し、第1の半導体膜206により形成される第1の半導体層が厚くなると、第1の半導体膜206により形成される第1の半導体層と後に形成される第2の導電層の接触面積が広くなり、オフ電流が増大する。従って、オンオフ比を高くするためには、第1の半導体膜206を厚くし、更には後述するように、第1の半導体膜206により形成される第1の半導体層を含む薄膜積層体212の側壁に絶縁化処理を行うことが好ましい。
【0063】
上記の微結晶半導体領域は、第1の半導体膜206から第2の半導体膜208に向かって先端が細くなる錐形状の結晶粒により大部分が構成されているとよい。または、第1の半導体膜206から第2の半導体膜208に向かって幅が広がる結晶粒により大部分が構成されていてもよい。
【0064】
上記の界面領域において、微結晶半導体領域が第1の半導体膜206から第2の半導体膜208に向かって先端が細くなる錐形状に伸びた結晶粒である場合には、第1の半導体膜206側のほうが、第2の半導体膜208側と比較して、微結晶半導体領域の占める割合が高い。微結晶半導体領域は、第1の半導体膜206の表面から厚さ方向に成長するが、原料ガスにおいて堆積性ガス(例えば、シラン)に対する水素の流量が小さく(すなわち、希釈率が低く)、または窒素を含む原料ガスの濃度が高いと、微結晶半導体領域における結晶成長が抑制され、結晶粒が錐形状になり、堆積されて形成される半導体は、大部分が非晶質半導体となる。
【0065】
なお、上記の界面領域は、窒素、特にNH基若しくはNH基を含有することが好ましい。これは、微結晶半導体領域に含まれる結晶の界面、微結晶半導体領域と非晶質半導体領域の界面において、窒素、特にNH基若しくはNH基がシリコン原子のダングリングボンドと結合すると、欠陥を低減させ、キャリアが流れやすくなるためである。このため、窒素、好ましくはNH基若しくはNH基を1×1020cm−3乃至1×1021cm−3含有すると、シリコン原子のダングリングボンドを窒素、好ましくはNH基若しくはNH基で架橋しやすくなり、キャリアがより流れやすくなる。この結果、結晶粒界や欠陥におけるキャリアの移動を促進する結合ができ、上記の界面領域のキャリア移動度が向上する。そのため、トランジスタの電界効果移動度が向上する。
【0066】
なお、上記の界面領域の酸素濃度を低減させることにより、微結晶半導体領域と非晶質半導体領域の界面または結晶粒間の界面における欠陥密度を低減させ、キャリアの移動を阻害する結合を低減させることができる。
【0067】
不純物半導体膜210は、一導電型を付与する不純物元素を添加した半導体により形成する。トランジスタがn型である場合には、一導電型を付与する不純物元素を添加した半導体として、例えば、PまたはAsを添加したシリコンが挙げられる。または、トランジスタがp型である場合には、一導電型を付与する不純物元素として、例えば、Bを添加することも可能であるが、トランジスタはn型とすることが好ましい。そのため、ここでは、一例として、Pを添加したシリコンを用いる。なお、不純物半導体膜210は、非晶質半導体により形成してもよいし、微結晶半導体などの結晶性半導体により形成してもよい。
【0068】
なお、第1の絶縁層204、第1の半導体膜206、第2の半導体膜208、不純物半導体膜210は同一チャンバー内で連続して形成することが好ましい。第1の絶縁層204、第1の半導体膜206、第2の半導体膜208、不純物半導体膜210の各々の層間の界面に不純物が含まれてしまうことを防止するためである。
【0069】
エッチングマスク211は、レジスト材料により形成すればよい。
【0070】
次に、エッチングマスク211を用いて、第1の半導体膜206、第2の半導体膜208及び不純物半導体膜210をエッチングし、薄膜積層体212を形成する(図3(C))。
【0071】
なお、ここで、上述したように、薄膜積層体212の側壁に対して絶縁化処理を行うことが好ましい。なぜなら、完成したトランジスタの第1の半導体層と第2の導電層が接するとオフ電流が増大してしまうことが多いからである。ここで絶縁化処理の一としては、薄膜積層体212の側壁を酸素プラズマ若しくは窒素プラズマに曝す処理が挙げられる。または、薄膜積層体212の側壁が露出された状態で絶縁膜を形成し、該絶縁膜を異方性の高いエッチング方法により基板200の表面に垂直な方向のエッチングを行うことで、薄膜積層体212の側壁に接してサイドウォール絶縁層を形成する処理が挙げられる。
【0072】
次に、第1の絶縁層204及び薄膜積層体212上に、導電膜214と絶縁膜216を形成し、絶縁膜216上にはエッチングマスク217を形成する(図4(A))。
【0073】
導電膜214は、第1の導電層202と同様に、導電性材料(例えば金属、または一導電型の不純物元素が添加された半導体など)により形成すればよい。なお、導電膜214は、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。例えば、Ti層によりAl層を挟持した3層の積層構造として形成する。
【0074】
絶縁膜216は、第1の絶縁層204と同様の材料及び同様の方法により形成すればよい。なお、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここでは、例えば窒化シリコンにより形成すればよい。
【0075】
エッチングマスク217は、レジスト材料により形成すればよい。
【0076】
次に、エッチングマスク217を用いて絶縁膜216をエッチングして、第2の絶縁層218を形成する(図4(B))。
【0077】
次に、導電膜214をエッチングして第2の導電層220を形成する(図4(C))。
【0078】
なお、絶縁膜216をエッチングする工程(図4(A)の状態から図4(B)の状態に加工する工程)と導電膜214をエッチングする工程(図4(B)の状態から図4(C)の状態に加工する工程)は同一のエッチング工程により一括して行うことが好ましい。作製工程が簡略化するためである。
【0079】
なお、導電膜214のエッチングは、第2の絶縁層218をエッチングマスクとして用いて行ってもよい。このとき、導電膜214をエッチングして第2の導電層220を形成する前にエッチングマスク217を除去すればよい。
【0080】
なお、導電膜214をエッチングして第2の導電層220を形成する際には、薄膜積層体212の上部がエッチングされてもよい。
【0081】
次に、薄膜積層体212の上部をエッチングして第1の半導体層222、第2の半導体層224及び不純物半導体層226を形成する(図5(A))。このとき、薄膜積層体212のエッチングは、一の工程により行ってもよいし、複数の工程により行ってもよいが、最終的には、第1の半導体層222の第2の半導体層224と重畳していない部分(すなわち、チャネル形成領域となる部分)を露出させるまで行う。
【0082】
なお、導電膜214をエッチングして第2の導電層220を形成する工程と、薄膜積層体212の上部をエッチングして第1の半導体層222、第2の半導体層224、及び不純物半導体層226を形成する工程は、一の工程として同時に行ってもよい。
【0083】
次に、第3の絶縁層228を形成する(図5(B))。
【0084】
第3の絶縁層228は、第1の絶縁層204及び絶縁膜216と同様に、絶縁性材料により形成すればよい。なお、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここでは、例えば窒化シリコンにより形成すればよい。
【0085】
次に、第2の絶縁層218と第3の絶縁層228に開口部229を形成し、開口部229において第2の導電層220と接続されるように、第3の導電層230を形成する(図5(C))。
【0086】
第3の導電層230は、透光性を有する導電性高分子(導電性ポリマーともいう。)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した第3の導電層230は、シート抵抗が10000Ω/□以下であり、且つ波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0087】
なお、導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、又は、アニリン、ピロール及びチオフェンの2種以上の共重合体若しくはその誘導体などがあげられる。
【0088】
第3の導電層230は、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などを用いて形成することができる。
【0089】
第3の導電層230は、上記材料により形成した膜をフォトリソグラフィ法により加工することで、形成すればよい。
【0090】
第3の導電層230を、透光性を有する材料により形成すると、画素電極として機能させることができる。
【0091】
なお、図示していないが、第3の絶縁層228と第3の導電層230の間に、第4の絶縁層を形成してもよい。前記第4の絶縁層は、前記第2の導電層の一部と重畳していることが好ましい。前記第4の絶縁層は、表面が概略平坦になる方法により形成するとよく、前記第4の絶縁層の表面を概略平坦にすることで、前記第4の絶縁層上に形成される画素電極層の断切れ等を防止することができるためである。従って、ここで「概略平坦」とは、上記目的を達成しうる程度のものであればよく、高い平坦性が要求されるわけではない。
【0092】
なお、前記第4の絶縁層は、例えば、感光性ポリイミド、アクリルまたはエポキシ樹脂などを用いて、スピンコーティング法などにより形成することができる。ただし、これらの材料又は形成方法に限定されるものではない。
【0093】
以上説明したように、実施の形態1の半導体装置を簡便な工程で作製することができる。
【0094】
なお、基板200は、実施の形態1の基板100に相当する。
【0095】
なお、第1の導電層202は、実施の形態1の第1の導電層102に相当する。
【0096】
なお、第1の絶縁層204は、実施の形態1の第1の絶縁層104に相当する。
【0097】
なお、第1の半導体層222は、実施の形態1の第1の半導体層106に相当する。
【0098】
なお、第2の半導体層224は、実施の形態1の第2の半導体層108に相当する。
【0099】
なお、不純物半導体層226は、実施の形態1の不純物半導体層110に相当する。
【0100】
なお、第2の導電層220は、実施の形態1の第2の導電層112に相当する。
【0101】
なお、第2の絶縁層218は、実施の形態1の第2の絶縁層114に相当する。
【0102】
なお、第3の絶縁層228は、実施の形態1の第3の絶縁層116に相当する。
【0103】
なお、第3の導電層230は、実施の形態1の第3の導電層118に相当する。
【0104】
なお、開口部229は、実施の形態1の開口部120に相当する。
【0105】
ところで、実施の形態1において、第2の導電層112と第3の導電層118は開口部120において接続されている。そして、第1の導電層102と第3の導電層118は開口部122において接続されている。ここで、実施の形態2において、開口部120及び開口部122に対応する開口部229と開口部231の形成方法について説明する。
【0106】
開口部229及び開口部231は、一のエッチング工程により形成してもよいし、複数のエッチング工程により形成してもよい。
【0107】
図6(A−1)乃至(C−1)は開口部229の形成方法を説明する図であり、図6(A−2)乃至(C−2)は開口部231の形成方法を説明する図である。
【0108】
まず、開口部229と開口部231を形成する部分以外の部分にエッチングマスク240を形成する(図6(A−1)及び(A−2))。
【0109】
開口部229を形成する部分では、基板200上に第1の絶縁層204、第2の導電層220、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層228が設けられている。一方で、開口部231を形成する部分では、基板200上に第1の導電層202、第1の絶縁層204及び第3の絶縁層228が設けられている。
【0110】
次に、エッチングマスク240を用いて第2の絶縁層218及び第3の絶縁層228をエッチングして、開口部229を形成すると同時に、第1の絶縁層204及び第3の絶縁層228をエッチングして、開口部231を形成する(図6(B−1)及び(B−2))。
【0111】
次に、開口部229と開口部231のそれぞれに、第3の導電層230を選択的に形成する(図6(C−1)及び(C−2))。
【0112】
または、図7に示すように、開口部229及び開口部231の形成を二段階のエッチング工程により行ってもよい。
【0113】
図7(A−1)乃至(D−1)は二段階のエッチング工程による開口部229の形成方法を説明する図であり、図7(A−2)乃至(D−2)は二段階のエッチング工程による開口部231の形成方法を説明する図である。
【0114】
まず、開口部229と開口部231を形成する部分以外にエッチングマスク240を形成する(図7(A−1)及び(A−2))。図6の場合と同様に、開口部229を形成する部分では、基板200上に第1の絶縁層204、第2の導電層220、第2の絶縁層218及び第3の絶縁層228が設けられている。一方で、開口部231を形成する部分では、基板200上に第1の導電層202、第1の絶縁層204及び第3の絶縁層228が設けられている。
【0115】
次に、エッチングマスク240を用いて第3の絶縁層228をエッチングして、開口部229P及び開口部231Pを形成する(図7(B−1)及び(B−2))。
【0116】
次に、開口部229Pの部分の第2の絶縁層218をエッチングして、開口部229を形成すると同時に、開口部231Pの部分の第1の絶縁層204をエッチングして、開口部231を形成する(図7(C−1)及び(C−2))。
【0117】
次に、開口部229と開口部231のそれぞれに、第3の導電層230を選択的に形成する(図7(D−1)及び(D−2))。
【0118】
以上説明したように、開口部229及び開口部231を形成することができる。
【0119】
(実施の形態3)
上記実施の形態にて作製した薄膜トランジスタを適用した半導体装置としては、電子ペーパーが挙げられる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、デジタルサイネージ、PID(Public Information Display)、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図8に示す。
【0120】
図8は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍300は、筐体301および筐体303の2つの筐体で構成されている。筐体301および筐体303は、軸部311により一体とされており、該軸部311を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍と同様に取り扱うことが可能となる。
【0121】
筐体301には表示部305及び光電変換装置306が組み込まれ、筐体303には表示部307及び光電変換装置308が組み込まれている。表示部305及び表示部307は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図8では表示部305)に文章を表示し、左側の表示部(図8では表示部307)に画像を表示することができる。
【0122】
また、図8では、筐体301に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体301において、電源321、操作キー323、スピーカ325などを備えている。操作キー323により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍300は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0123】
また、電子書籍300は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0124】
(実施の形態4)
上記実施の形態にて作製した薄膜トランジスタを適用した半導体装置としては、電子ペーパー以外にもさまざまな電子機器(遊技機も含む)が挙げられる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0125】
図9(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置400は、筐体401に表示部403が組み込まれている。表示部403により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド405により筐体401を支持した構成を示している。
【0126】
テレビジョン装置400の操作は、筐体401が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機410により行うことができる。リモコン操作機410が備える操作キー409により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部403に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機410に、当該リモコン操作機410から出力する情報を表示する表示部407を設ける構成としてもよい。
【0127】
なお、テレビジョン装置400は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0128】
図9(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム420は、筐体421に表示部423が組み込まれている。表示部423は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0129】
なお、デジタルフォトフレーム420は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部423に表示させることができる。
【0130】
また、デジタルフォトフレーム420は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0131】
図10は携帯型のコンピュータの一例を示す斜視図である。
【0132】
図10の携帯型のコンピュータは、上部筐体441と下部筐体442とを接続するヒンジユニットを閉状態として表示部443を有する上部筐体441と、キーボード444を有する下部筐体442とを重ねた状態とすることができ、持ち運ぶことが便利であるとともに、使用者がキーボード入力する場合には、ヒンジユニットを開状態として、表示部443を見て入力操作を行うことができる。
【0133】
また、下部筐体442はキーボード444の他に入力操作を行うポインティングデバイス446を有する。また、表示部443をタッチ入力パネルとすれば、表示部の一部に触れることで入力操作を行うこともできる。また、下部筐体442はCPUやハードディスク等の演算機能部を有している。また、下部筐体442は他の機器、例えばUSBの通信規格に準拠した通信ケーブルが差し込まれる外部接続ポート445を有している。
【0134】
上部筐体441には更に上部筐体441内部にスライドさせて収納可能な表示部447を有しており、広い表示画面を実現することができる。また、収納可能な表示部447の画面の向きを使用者は調節できる。また、収納可能な表示部447をタッチ入力パネルとすれば、収納可能な表示部の一部に触れることで入力操作を行うこともできる。
【0135】
表示部443または収納可能な表示部447は、液晶表示パネル、有機発光素子または無機発光素子などの発光表示パネルなどの映像表示装置を用いる。
【0136】
また、図10の携帯型のコンピュータは、受信機などを備えた構成として、テレビ放送を受信して映像を表示部に表示することができる。また、上部筐体441と下部筐体442とを接続するヒンジユニットを閉状態としたまま、表示部447をスライドさせて画面全面を露出させ、画面角度を調節して使用者がテレビ放送を見ることもできる。この場合には、ヒンジユニットを閉状態として表示部443を表示させず、さらにテレビ放送を表示するだけの回路の起動のみを行うため、最小限の消費電力とすることができ、バッテリー容量の限られている携帯型のコンピュータにおいて有用である。
【実施例1】
【0137】
本実施例では、実施の形態1にて説明した本発明の一態様である半導体装置を作製し、その電気的特性を測定した。作製したサンプルは、本発明の一態様である半導体装置である実施例サンプルと、本発明の一態様である半導体装置の作製方法を適用していない比較例サンプルである。なお、実施例サンプル及び比較例サンプルともにチャネル長を3.5μmとし、チャネル幅を20μmとした。
【0138】
まず、実施例サンプルの作製方法を説明する。
【0139】
まず、基板上に下地層として厚さ200nmのSiON膜をプラズマCVD法により形成した。次に、該下地層上にスパッタリング法により第1の導電層となる導電膜を形成し、該導電膜を加工して第1の導電層を形成した。第1の導電層は、厚さ50nmのTi層、厚さ100nmのAl層、厚さ50nmのTi層が積層された構造とした。
【0140】
次に、第1の導電層を覆って厚さ300nmの窒化シリコンからなる第1の絶縁層をプラズマCVD法により形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
モノシラン(SiH)ガス流量=15sccm
アンモニア(NH)ガス流量=500sccm
窒素(N)ガス流量=180sccm
水素(H)ガス流量=200sccm
反応室内圧力=100Pa
上部電極と下部電極の間隔=26mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=200W
上部電極の温度=200℃
下部電極の温度=300℃
【0141】
次に、第1の絶縁層の表面に対してプラズマ処理を行った。ここで、プラズマ処理の詳細な条件は以下の通りである。
一酸化二窒素(NO)ガス流量=400sccm
反応室内圧力=60Pa
上部電極と下部電極の間隔=30mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=300W
上部電極の温度=200℃
下部電極の温度=300℃
処理時間=3分間
【0142】
次に、プラズマ処理後の第1の絶縁層上に第1の半導体膜をプラズマCVD法により形成した。なお、本実施例では、第1の半導体膜は、2段階の形成処理により形成した。すなわち、第1段階では厚さ5nmの微結晶シリコン膜を形成し、第2段階では厚さ65nmの微結晶シリコン膜を形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
<第1段階>
モノシラン(SiH)ガス流量=2.5sccm
アルゴン(Ar)ガス流量=750sccm
水素(H)ガス流量=750sccm
反応室内圧力=1250Pa
上部電極と下部電極の間隔=7mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=300W
上部電極の温度=200℃
下部電極の温度=300℃
<第2段階>
モノシラン(SiH)ガス流量=1.5sccm
アルゴン(Ar)ガス流量=750sccm
水素(H)ガス流量=750sccm
反応室内圧力=10000Pa
上部電極と下部電極の間隔=7mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=300W
上部電極の温度=200℃
下部電極の温度=300℃
【0143】
次に、第1の半導体膜上に厚さ80nmの第2の半導体膜を形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
モノシラン(SiH)ガス流量=25sccm
水素希釈アンモニアガス流量=100sccm
アルゴン(Ar)ガス流量=750sccm
水素(H)ガス流量=650sccm
反応室内圧力=1250Pa
上部電極と下部電極の間隔=15mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=150W
上部電極の温度=200℃
下部電極の温度=300℃
【0144】
なお、ここで、水素希釈アンモニアガスとは、アンモニアガスを水素ガスにより体積比で1000ppmまで希釈したガスをいう。
【0145】
次に、第2の半導体膜上に厚さ50nmの不純物半導体膜をプラズマCVD法により形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
モノシラン(SiH)ガス流量=90sccm
水素希釈ホスフィンガス流量=10sccm
水素(H)ガス流量=500sccm
反応室内圧力=170Pa
上部電極と下部電極の間隔=25mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=30W
上部電極の温度=200℃
下部電極の温度=300℃
【0146】
なお、ここで、水素希釈ホスフィンガスとは、ホスフィンガスを水素ガスにより体積比で0.5パーセントまで希釈したガスをいう。
【0147】
次に、不純物半導体膜上にレジスト材料により第1のエッチングマスクを形成した。そして、第1のエッチングマスクを用いて、第1の半導体膜、第2の半導体膜及び不純物半導体膜をエッチングして、薄膜積層体を形成した。ここで、該エッチングはICPにより行った。ここで、エッチングの詳細な条件は以下の通りである。
三塩化ホウ素(BCl)ガス流量=36sccm
四フッ化メタン(CF)ガス流量=36sccm
酸素(O)ガス流量=8sccm
反応室内圧力=2.0Pa
ICP電力=450W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=100W
【0148】
次に、薄膜積層体に対して酸素プラズマ処理を行った。ここで、プラズマ処理の詳細な条件は以下の通りである。
酸素(O)ガス流量=100sccm
反応室内圧力=0.67Pa
高周波電力=2000W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=350W
下部電極の温度=−10℃
処理時間=30秒間
【0149】
その後、第1のエッチングマスクを除去した。
【0150】
次に、薄膜積層体を覆って厚さ300nmの導電膜をスパッタリング法により形成した。導電膜上には、第2のエッチングマスクを形成した。導電膜は、厚さ50nmのTi層、厚さ200nmのAl層及び厚さ50nmのTi層を積層した構造とした。
【0151】
次に、第1の半導体層、第2の半導体層、不純物半導体層及び第2の導電層を覆って厚さ300nmの窒化シリコンからなる第2の絶縁層となる絶縁膜をプラズマCVD法により形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
モノシラン(SiH)ガス流量=15sccm
アンモニア(NH)ガス流量=500sccm
窒素(N)ガス流量=180sccm
水素(H)ガス流量=200sccm
反応室内圧力=100Pa
上部電極と下部電極の間隔=26mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=200W
上部電極の温度=200℃
下部電極の温度=300℃
【0152】
そして、第2のエッチングマスクを用いて絶縁膜を2段階でエッチングして第2の絶縁層を形成した。ここで、エッチングの詳細な条件は以下の通りである。
<第1段階>
トリフルオロメタン(CHF)ガス流量=50sccm
ヘリウム(He)ガス流量=100sccm
反応室内圧力=5.5Pa
ICP電力=475W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=300W
<第2段階>
トリフルオロメタン(CHF)ガス流量=7.5sccm
ヘリウム(He)ガス流量=142.5sccm
反応室内圧力=5.5Pa
ICP電力=475W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=300W
【0153】
次に、酸素(O)ガス雰囲気中でアッシングを行った後に第2のエッチングマスクを除去した。
【0154】
次に、第1の半導体膜により形成される半導体層を露出させるまでエッチングを行った。ここで、エッチングの詳細な条件は以下の通りである。
4フッ化メタン(CF)ガス流量=100sccm
反応室内圧力=0.67Pa
ソース電力=1000W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=50W
【0155】
次に、第1の半導体膜により形成される半導体層の露出された部分にプラズマ処理を行った。ここで、プラズマ処理の詳細な条件は以下の通りである。
水蒸気(HO)ガス流量=300sccm
反応室内圧力=66.5Pa
高周波電力=1800W
処理時間=3分間
【0156】
次に、第1の半導体層、第2の半導体層、不純物半導体層、第2の導電層及び第2の絶縁層を覆って厚さ300nmの窒化シリコンからなる第3の絶縁層となる絶縁膜をプラズマCVD法により形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
モノシラン(SiH)ガス流量=20sccm
アンモニア(NH)ガス流量=220sccm
窒素(N)ガス流量=450sccm
水素(H)ガス流量=450sccm
反応室内圧力=160Pa
上部電極と下部電極の間隔=21mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=200W
上部電極の温度=250℃
下部電極の温度=290℃
【0157】
次に、該絶縁膜上にエッチングマスクを形成し、該エッチングマスクを用いて該絶縁膜をエッチングして開口部を形成することで、第3の絶縁層を形成した。開口部は、第2の導電層のソース電極またはドレイン電極となる部分と重畳して形成した。
【0158】
次に、第3の絶縁層上に厚さ50nmの第3の導電層となる導電膜をスパッタリング法により形成した。ここでは、導電膜としてITOを用いた。その後、該導電膜上にエッチングマスクを形成してエッチングを行い、第3の導電層を形成した。
【0159】
次に、比較例サンプルの作製方法を説明する。
【0160】
まず、実施例サンプルと同様に、基板上に下地層及び第1の導電層となる導電膜を形成し、該導電膜を加工して第1の導電層を形成した。
【0161】
次に、第1の導電層を覆って厚さ300nmの窒化シリコンからなる第1の絶縁層をプラズマCVD法により形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は、上部電極と下部電極の間隔を30mm、上部電極の温度を250℃、下部電極の温度を290℃とした以外は実施例サンプルと同じである。
【0162】
次に、第1の絶縁層の表面に対してプラズマ処理を行った。ここで、プラズマ処理の詳細な条件は、上部電極の温度を250℃、下部電極の温度を290℃とした以外は実施例サンプルと同じである。
【0163】
次に、プラズマ処理後の第1の絶縁層上に第1の半導体膜をプラズマCVD法により形成した。なお、本実施例では、第1の半導体膜は、3段階の形成処理により形成した。すなわち、第1段階では厚さ5nmの微結晶シリコン膜を形成し、第2段階では厚さ25nmの微結晶シリコン膜を形成し、第3段階では厚さ40nmの微結晶シリコン膜を形成した。なお、第3段階はモノシランの流量を周期的に変えつつ行った。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
<第1段階>
モノシラン(SiH)ガス流量=3.0sccm
アルゴン(Ar)ガス流量=750sccm
水素(H)ガス流量=750sccm
反応室内圧力=1250Pa
上部電極と下部電極の間隔=15mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=100W
上部電極の温度=250℃
下部電極の温度=290℃
<第2段階>
モノシラン(SiH)ガス流量=2.0sccm
アルゴン(Ar)ガス流量=1500sccm
水素(H)ガス流量=1500sccm
反応室内圧力=10000Pa
上部電極と下部電極の間隔=7mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=350W
上部電極の温度=250℃
下部電極の温度=290℃
<第3段階>
モノシラン(SiH)ガス流量=1.0sccm(10秒間)
モノシラン(SiH)ガス流量=0.1sccm(5秒間)
アルゴン(Ar)ガス流量=1500sccm
水素(H)ガス流量=1500sccm
反応室内圧力=10000Pa
上部電極と下部電極の間隔=7mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=350W
上部電極の温度=250℃
下部電極の温度=290℃
【0164】
次に、第1の半導体膜上に厚さ80nmの第2の半導体膜を形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
モノシラン(SiH)ガス流量=20sccm
水素希釈アンモニアガス流量=50sccm
アルゴン(Ar)ガス流量=750sccm
水素(H)ガス流量=700sccm
反応室内圧力=350Pa
上部電極と下部電極の間隔=25mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=60W
上部電極の温度=250℃
下部電極の温度=290℃
【0165】
なお、ここで、水素希釈アンモニアガスとは、アンモニアガスを水素ガスにより体積比で1000ppmまで希釈したガスをいう。
【0166】
次に、第2の半導体膜上に厚さ50nmの不純物半導体膜をプラズマCVD法により形成した。ここで、プラズマCVD法の詳細な条件は以下の通りである。
モノシラン(SiH)ガス流量=80sccm
水素希釈ホスフィンガス流量=150sccm
水素(H)ガス流量=750sccm
反応室内圧力=350Pa
上部電極と下部電極の間隔=15mm
高周波電力周波数=13.56MHz
高周波電力=30W
上部電極の温度=250℃
下部電極の温度=290℃
【0167】
なお、ここで、水素希釈ホスフィンガスとは、ホスフィンガスを水素ガスにより体積比で0.5パーセントまで希釈したガスをいう。
【0168】
次に、不純物半導体膜上にレジスト材料により第1のエッチングマスクを形成した。そして、第1のエッチングマスクを用いて、第1の半導体膜、第2の半導体膜及び不純物半導体膜をエッチングして、薄膜積層体を形成した。ここで、該エッチングはICPにより行った。ここで、エッチングの詳細な条件は以下の通りである。
三塩化ホウ素(BCl)ガス流量=36sccm
四フッ化メタン(CF)ガス流量=36sccm
酸素(O)ガス流量=8sccm
反応室内圧力=2.0Pa
ICP電力=450W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=100W
【0169】
次に、薄膜積層体に対して酸素プラズマ処理を行った。ここで、プラズマ処理の詳細な条件は以下の通りである。
酸素(O)ガス流量=100sccm
反応室内圧力=0.67Pa
高周波電力=2000W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=350W
下部電極の温度=−10℃
処理時間=30秒間
【0170】
その後、第1のエッチングマスクを除去した。
【0171】
次に、薄膜積層体を覆って厚さ300nmの導電膜をスパッタリング法により形成した。導電膜上には、第2のエッチングマスクを形成した。導電膜は、厚さ50nmのTi層、厚さ200nmのAl層、厚さ50nmのTi層が積層された構造とした。
【0172】
そして、第2のエッチングマスクを用いて絶縁膜及び導電膜をエッチングして第2の導電層を形成しつつ、薄膜積層体の上部もエッチングした。このエッチングは第1の半導体膜により形成される半導体層を露出させない程度に行った。ここで、エッチングの詳細な条件は以下の通りである。
三塩化ホウ素(BCl)ガス流量=60sccm
塩素(Cl)ガス流量=20sccm
反応室内圧力=1.9Pa
高周波電力=450W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=100W
【0173】
次に、酸素(O)ガス雰囲気中でアッシングを行った後に第2のエッチングマスクを除去した。
【0174】
次に、第1の半導体膜により形成される半導体層を露出させるまでエッチングを行った。ここで、エッチングの詳細な条件は以下の通りである。
臭化水素(HBr)ガス流量=125sccm
6フッ化硫黄(SF)ガス流量=10sccm
酸素(O)ガス流量=5sccm
反応室内圧力=1.7Pa
ICP電力=500W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=50W
【0175】
次に、第1の半導体膜により形成される半導体層の露出された部分に実施例サンプルと同様に、水蒸気(HO)ガスを用いてプラズマ処理を行った。
【0176】
次に、第1の半導体層、第2の半導体層、不純物半導体層、第2の導電層及び第2の絶縁層を覆って厚さ300nmの窒化シリコンからなる第3の絶縁層となる絶縁膜をプラズマCVD法により実施例サンプルと同様に形成した。
【0177】
次に、該絶縁膜上にエッチングマスクを形成し、該エッチングマスクを用いて該絶縁膜をエッチングして開口部を形成することで、実施例サンプルと同様に第3の絶縁層を形成した。開口部は、第2の導電層のソース電極またはドレイン電極となる部分と重畳して実施例サンプルと同様に形成した。
【0178】
次に、第2の絶縁層上に第3の導電層となる導電膜をスパッタリング法により実施例サンプルと同様に形成した。その後、該導電膜上にエッチングマスクを形成してエッチングを行い、実施例サンプルと同様に第3の導電層を形成した。
【0179】
なお、実施例サンプル及び比較例サンプルともに、図1(C)に示すように第1の導電層により形成されるゲート電極と第3の導電層により形成されるバックゲート電極を接続させた。
【0180】
以上のように形成した実施例サンプルと比較例サンプルのオン電流、オフ電流及び電界効果移動度を下記の表1に示す。
【0181】
【表1】

【0182】
なお、Ioff(V=最小値におけるV−10V)はゲート電圧Vが−10Vのときのオフ電流であり、Ioff(最小値)はオフ電流の最小値であり、Ion(V=15V)はゲート電圧Vが15Vのときのオン電流であり、μFE_sat.は電界効果移動度である。
【0183】
本発明の一態様である半導体装置によれば、少なくとも、電界効果移動度が高く、且つオン電流が大きい半導体装置を得ることができる。また、オフ電流をも小さくすることができる。
【符号の説明】
【0184】
100 基板
102 第1の導電層
104 第1の絶縁層
106 第1の半導体層
108 第2の半導体層
110 不純物半導体層
112 第2の導電層
114 第2の絶縁層
116 第3の絶縁層
116A 第3の絶縁層
116B 第3の絶縁層
118 第3の導電層
118A 第3の導電層
118B 第3の導電層
120 開口部
122 開口部
200 基板
202 第1の導電層
204 第1の絶縁層
206 第1の半導体膜
208 第2の半導体膜
210 不純物半導体膜
211 エッチングマスク
212 薄膜積層体
214 導電膜
216 絶縁膜
217 エッチングマスク
218 第2の絶縁層
220 第2の導電層
222 第1の半導体層
224 第2の半導体層
226 不純物半導体層
228 第3の絶縁層
229 開口部
229P 開口部
230 第3の導電層
231 開口部
231P 開口部
240 エッチングマスク
300 電子書籍
301 筐体
303 筐体
305 表示部
306 光電変換装置
307 表示部
308 光電変換装置
311 軸部
321 電源
323 操作キー
325 スピーカ
400 テレビジョン装置
401 筐体
403 表示部
405 スタンド
407 表示部
409 操作キー
410 リモコン操作機
420 デジタルフォトフレーム
421 筐体
423 表示部
441 上部筐体
442 下部筐体
443 表示部
444 キーボード
445 外部接続ポート
446 ポインティングデバイス
447 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電層を覆って設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に設けられた第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に、前記第1の半導体層を露出させて離間して設けられた第2の半導体層と、
前記第2の半導体層上に設けられた不純物半導体層と、
前記不純物半導体層上に、少なくとも一部が接するように設けられた第2の導電層と、
前記第2の導電層上に設けられた第2の絶縁層と、
前記第1の半導体層、前記第2の半導体層、前記不純物半導体層、前記第2の導電層、及び前記第2の絶縁層を覆って設けられた第3の絶縁層と、
少なくとも、前記第3の絶縁層上に設けられた第3の導電層と、を有し、
前記第3の導電層は、前記第1の半導体層の前記第2の半導体層と重畳していない部分と重畳し、且つ前記第2の導電層の一部とも重畳していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の絶縁層は、前記第3の絶縁層よりも厚いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第3の導電層は透光性であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第3の絶縁層と前記第3の導電層の間には、第4の絶縁層が設けられており、
前記第4の絶縁層は、前記第2の導電層の一部と重畳していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
第1の導電層を覆って設けられた第1の絶縁層上に、第1の半導体層、第2の半導体層及び不純物半導体層がこの順に積層された薄膜積層体を形成し、
前記薄膜積層体を覆って、第2の導電層となる導電膜及び第2の絶縁層となる絶縁膜を形成し、
前記第2の絶縁層となる前記絶縁膜をエッチングすることで前記第2の絶縁層を形成し、
前記第2の導電層となる前記導電膜をエッチングすることで前記第2の導電層を形成し、
前記第2の導電層と重畳していない部分の前記不純物半導体層及び前記第2の半導体層を除去することで、前記第2の導電層と重畳していない部分の前記第1の半導体層を露出させて半導体素子を形成し、
前記半導体素子を覆って第3の絶縁層を形成し、
少なくとも、前記第3の絶縁層上に、前記第1の半導体層の前記第2の半導体層と重畳していない部分と重畳し、且つ前記第2の導電層の一部と重畳して設けられた第3の導電層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2の絶縁層と前記第2の導電層は、同一のエッチング工程で形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、
露出された部分の前記第1の半導体層を、水素ガスと酸素ガスの混合ガスプラズマに曝すことを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−69937(P2012−69937A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183606(P2011−183606)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】