説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】配線が形成された層間絶縁膜を有する半導体装置において、層間絶縁膜と、層間絶縁膜下に形成された下層との界面に、剥離が発生することを防止する。
【解決手段】半導体基板上に形成された第1の層間絶縁膜10と、第1の層間絶縁膜10上に形成された第2の層間絶縁膜14と、第2の層間絶縁膜14の上部領域に形成された第1の配線21とを備え、第2の層間絶縁膜14は、空孔14bを含有する多孔質領域14Bと、非多孔質領域14Aとで構成され、多孔質領域14Bは、第2の層間絶縁膜14のうち、第1の配線21の周囲に位置する領域に形成され、非多孔質領域14Aは、少なくとも第1の層間絶縁膜10と多孔質領域14Bとの間に介在して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線が形成された層間絶縁膜を有する半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、銅を含む配線を有する半導体装置において、配線間容量を低減させて、半導体装置の高速化を図るため、層間絶縁膜の低誘電率化が要求されている。そこで、層間絶縁膜として、多孔質化された低誘電率膜を利用することが検討されている。
【0003】
層間絶縁膜として、多孔質化された低誘電率膜を用いた半導体装置について、図7を参照しながら説明する(例えば特許文献1参照)。図7は、従来の半導体装置の構成を示す断面図である。
【0004】
図7に示すように、従来の半導体装置は、半導体基板(図示省略)上に形成された絶縁膜100と、絶縁膜100上に形成され、ポロジェン101aの脱離により多孔質化された絶縁膜101と、絶縁膜101上に形成され、非多孔質性の絶縁膜からなる被覆絶縁膜102と、絶縁膜101に形成されたビア103と、被覆絶縁膜102に形成され、ビア103と接続する配線104とを備えている。絶縁膜101は、ポロジェン101aが残存する非多孔質領域101Aを有している。
【0005】
絶縁膜101は、ビア103が密に配置された密領域と、密領域よりもビア103が疎に配置された疎領域とを有し、非多孔質領域101Aは、疎領域におけるビア103間の中央部に設けられている。
【0006】
従来では、絶縁膜101が、疎領域におけるビア103間の中央部に非多孔質領域101Aを有することにより、全領域が多孔質化された絶縁膜に比べて、絶縁膜101と絶縁膜100との接触面積が大きくなる。これにより、絶縁膜101と絶縁膜100との密着性の低下を抑制し、絶縁膜101と絶縁膜100との界面に剥離が発生することを抑制することが可能である。
【特許文献1】特開2008−60498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の半導体装置では、以下に示す問題がある。
【0008】
従来では、図7に示すように、非多孔質領域101Aは、絶縁膜101の疎領域におけるビア103間の中央部にのみ設けられ、絶縁膜101のうち非多孔質領域101A以外の領域には、空孔101bが存在する。そのため、絶縁膜101のうち非多孔質領域101A以外の領域における絶縁膜100との界面には、空孔101bが存在し、絶縁膜101(特に、絶縁膜101のうち非多孔質領域101A以外の領域)と絶縁膜100との界面に、剥離が発生するおそれがある。
【0009】
即ち、従来では、既述の通り、非多孔質領域101Aにより、絶縁膜101と、絶縁膜101下に形成された下層(即ち、絶縁膜100)との界面に、剥離が発生することを抑制することは可能なものの、絶縁膜101と絶縁膜100との界面に剥離が発生する問題が依然として残る。
【0010】
前記に鑑み、本発明の目的は、配線が形成された層間絶縁膜を有する半導体装置において、層間絶縁膜と、層間絶縁膜下に形成された下層との界面に、剥離が発生することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、半導体基板上に形成された第1の層間絶縁膜と、第1の層間絶縁膜上に形成された第2の層間絶縁膜と、第2の層間絶縁膜の上部領域に形成された第1の配線とを備え、第2の層間絶縁膜は、空孔を含有する多孔質領域と、非多孔質領域とで構成され、多孔質領域は、第2の層間絶縁膜のうち、第1の配線の周囲に位置する領域に形成され、非多孔質領域は、少なくとも第1の層間絶縁膜と多孔質領域との間に介在して形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る半導体装置によると、第2の層間絶縁膜のうち、第1の配線の周囲に位置する領域に多孔質領域を設けて、多孔質領域以外の領域に非多孔質領域を設けることにより、第1の層間絶縁膜と多孔質領域との間(言い換えれば、第2の層間絶縁膜のうち、下層との界面に位置する領域)に、非多孔質領域を設けることができる。そのため、第2の層間絶縁膜における下層との界面に空孔が存在することがなく、空孔により第2の層間絶縁膜と下層との密着性が低下することはないため、第2の層間絶縁膜と下層との界面に剥離が発生することを防止することができる。ここで、「下層」とは、第2の層間絶縁膜下に第2の層間絶縁膜と接して形成された層をいう。
【0013】
それと共に、第2の層間絶縁膜のうち、第1の配線の周囲に位置する領域に、多孔質領域を設けることにより、第2の層間絶縁膜のうち、配線間容量の低減に効果的に貢献する領域に、多孔質領域を設けることができるため、配線間容量を効果的に低減させて、半導体装置の高速化を図ることができる。
【0014】
加えて、第2の層間絶縁膜のうち、比較的大きい配線間隔を有する第1の配線間の中央部に、非多孔質領域を設けることができる。これにより、第2の層間絶縁膜と上層との界面に剥離が発生することを防止することができる。ここで、「上層」とは、第2の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜と接して形成された層をいう。
【0015】
本発明に係る半導体装置において、多孔質領域に含有される空孔は、ポロジェンが脱離されてなる空孔であり、非多孔質領域は、脱離されずに残存するポロジェンを含有していることが好ましい。
【0016】
本発明に係る半導体装置において、多孔質領域は、第1の配線の側面から第1の距離までの範囲内で、且つ第1の配線の底面から第2の距離までの範囲内に形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明に係る半導体装置において、第1の距離は、最小配線間隔に相当する距離以上で、且つ最小配線間隔の1.5倍に相当する距離以下であり、第2の距離は、第1の配線の底面と第2の層間絶縁膜における第1の層間絶縁膜との界面との底面界面距離の約0.5倍に相当する距離であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る半導体装置において、非多孔質領域は、第2の層間絶縁膜における第1の層間絶縁膜との界面から、第3の距離までの範囲内に形成される界面領域と、互いに隣り合う第1の配線の配線間のうち、第1の距離の2倍に相当する間隔よりも大きい間隔を有する配線間の中央部に形成される配線間領域とを含み、第3の距離は、第1の配線の底面と第2の層間絶縁膜における第1の層間絶縁膜との界面との底面界面距離の約0.5倍に相当する距離であることが好ましい。
【0019】
このようにすると、非多孔質領域の界面領域により、既述の通り、第2の層間絶縁膜と下層との界面に剥離が発生することを防止すると共に、非多孔質領域の配線間領域により、既述の通り、第2の層間絶縁膜と上層との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0020】
本発明に係る半導体装置において、第2の層間絶縁膜の下部領域に形成されたビアをさらに備え、ビアは、その下部領域が非多孔質領域を貫通し、その上部領域が多孔質領域を貫通して形成されていることが好ましい。
【0021】
このようにすると、ビアの下部領域は非多孔質領域に囲まれるため、ビアの底面領域に空孔が存在することがなく、例えば、空孔内に捕獲される水分、又は空孔内に残留するエッチングガス等により、ビアの底面領域が酸化される、又はビアの底面領域が腐食されて、ビアの信頼性が低下することを防止することができる。
【0022】
本発明に係る半導体装置において、第1の層間絶縁膜に形成された第2の配線をさらに備え、第1の配線は、ビアを介して、第2の配線と接続されていることが好ましい。
【0023】
このようにすると、第2の層間絶縁膜のうち、第2の配線と第1の配線間に位置する領域に、多孔質領域の膜厚と略同一の膜厚を有する非多孔質領域を設けることができる。そのため、第2の層間絶縁膜のうち、第2の配線と第1の配線間に位置する領域の機械的強度を確保する(具体的には例えば、第2の層間絶縁膜のうち、第2の配線と第1の配線間に位置する領域が、8GPa以上のヤング率を確保する)ことができるため、第2の層間絶縁膜のうち、第2の配線と第1の配線間に位置する領域に、割れが発生することを防止することができる。
【0024】
本発明に係る半導体装置において、第2の層間絶縁膜のうち、第2の配線と第1の配線間に位置する領域のヤング率は、8GPa以上であることが好ましい。
【0025】
本発明に係る半導体装置において、第1の層間絶縁膜と第2の層間絶縁膜との間に形成されたバリア膜をさらに備え、ビアは、第2の層間絶縁膜の下部領域、及びバリア膜を貫通して形成されていることが好ましい。
【0026】
本発明に係る半導体装置において、第2の層間絶縁膜上に形成されたキャップ膜をさらに備え、第1の配線は、第2の層間絶縁膜の上部領域、及びキャップ膜に形成されていることが好ましい。
【0027】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、第1の層間絶縁膜を形成する工程(a)と、第1の層間絶縁膜上に、ポロジェンを含有する第2の層間絶縁膜形成用膜を形成する工程(b)と、第2の層間絶縁膜形成用膜上に、配線溝形成用溝が形成されたハードマスクを形成する工程(c)と、ハードマスクを利用して、第2の層間絶縁膜形成用膜のうち、配線溝形成用溝の近傍に位置する領域に存在するポロジェンを脱離し、ポロジェンが脱離されてなる空孔を含有する多孔質領域と、脱離されずに残存するポロジェンを含有する非多孔質領域とで構成される第2の層間絶縁膜を形成する工程(d)と、ハードマスクを利用して、第2の層間絶縁膜の上部領域に、第1の配線溝を形成する工程(e)と、ハードマスクを除去した後、第1の配線溝内に第1の配線を形成する工程(f)とを備え、工程(e)において、第1の配線溝は、多孔質領域内に形成されることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、多孔質領域内に形成された第1の配線溝内に、第1の配線を形成することにより、第2の層間絶縁膜のうち、第1の配線の周囲に位置する領域に多孔質領域を設けて、多孔質領域以外の領域に非多孔質領域を設けることができる。これにより、第1の層間絶縁膜と多孔質領域との間(言い換えれば、第2の層間絶縁膜のうち、下層との界面に位置する領域)に、非多孔質領域を設けることができる。そのため、第2の層間絶縁膜における下層との界面に空孔が存在することがなく、空孔により第2の層間絶縁膜と下層との密着性が低下することはない。そのため、例えば、第1の配線の形成工程におけるCMP工程等の際に、第2の層間絶縁膜と下層との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0029】
それと共に、第2の層間絶縁膜のうち、第1の配線の周囲に位置する領域に、多孔質領域を設けることにより、第2の層間絶縁膜のうち、配線間容量の低減に効果的に貢献する領域に、多孔質領域を設けることができるため、配線間容量を効果的に低減させて、半導体装置の高速化を図ることができる。
【0030】
加えて、第2の層間絶縁膜のうち、比較的大きい配線間隔を有する第1の配線間の中央部に、非多孔質領域を設けることができる。これにより、例えば、第1の配線の形成工程におけるCMP工程等の際に、第2の層間絶縁膜と上層との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0031】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(b)において、第2の層間絶縁膜形成用膜に含有されるポロジェンは、紫外線、又は電子線の照射により脱離するポロジェンであり、工程(c)において、ハードマスクは、紫外線、又は電子線を反射させる金属膜からなり、工程(d)は、半導体基板上に、紫外線、又は電子線を照射する工程であることが好ましい。
【0032】
このようにすると、紫外線、又は電子線のうちハードマスクに照射される紫外線、又は電子線は、ハードマスクにより反射されて、第2の層間絶縁膜形成用膜のうち、配線溝形成用溝の近傍に位置する領域に、紫外線、又は電子線が照射される。
【0033】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(d)は、半導体基板上に、半導体基板の主面に対して垂直な方向に、第1の紫外線、又は第1の電子線を照射する工程(d1)と、半導体基板上に、半導体基板の主面に対して傾斜する方向に、第2の紫外線、又は第2の電子線を照射する工程(d2)とを含むことが好ましい。
【0034】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、紫外線、又は電子線を反射させる金属膜の材料は、Ti、TiN、Ta、TaN、W、及びWNからなる群から選択される1種類、又は複数種類の金属材料であることが好ましい。
【0035】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(b)において、第2の層間絶縁膜形成用膜に含有されるポロジェンは、紫外線、又は電子線の照射により脱離するポロジェンであり、工程(c)において、ハードマスクは、紫外線、又は電子線を吸収する絶縁膜からなり、工程(d)は、半導体基板上に、紫外線、又は電子線を照射する工程であることが好ましい。
【0036】
このようにすると、紫外線、又は電子線のうちハードマスクに照射される紫外線、又は電子線は、ハードマスクに吸収されて、第2の層間絶縁膜形成用膜のうち、配線溝形成用溝の近傍に位置する領域に、紫外線、又は電子線が照射される。
【0037】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、紫外線、又は電子線を吸収する絶縁膜の材料は、SiCN、SiCO、SiCH、SiON、SiO2、及びSiNからなる群から選択される1種類、又は複数種類の絶縁材料であることが好ましい。
【0038】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(b)において、第2の層間絶縁膜形成用膜に含有されるポロジェンは、熱処理により脱離するポロジェンであり、工程(c)において、ハードマスクは、ポロジェンが含まれない第1の層間絶縁膜に比べて密度の高い膜からなり、工程(d)は、半導体基板上の全面に対し、熱処理を施す工程であることが好ましい。
【0039】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、ハードマスクの材料は、Ti、TiN、Ta、TaN、W、及びWNからなる金属材料群、並びにSiCN、SiCO、SiCH、SiON、SiO2、及びSiNからなる絶縁材料群から選択される1種類、又は複数種類の材料であることが好ましい。
【0040】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(e)は、第2の層間絶縁膜の下部領域にビアホールを形成する工程をさらに含み、工程(f)は、ビアホール内にビアを形成する工程をさらに含み、工程(e)において、ビアホールは、その下部領域が非多孔質領域を貫通し、その上部領域が多孔質領域を貫通して形成されることが好ましい。
【0041】
このようにすると、ビアの下部領域は非多孔質領域に囲まれるため、ビアの底面領域に空孔が存在することがなく、例えば、空孔内に捕獲される水分、又は空孔内に残留するエッチングガス等により、ビアの底面領域が酸化される、又はビアの底面領域が腐食されて、ビアの信頼性が低下することを防止することができる。
【0042】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(a)の後で工程(b)の前に、第1の層間絶縁膜に第2の配線溝を形成した後、第2の配線溝内に第2の配線を形成する工程(g)をさらに備えていることが好ましい。
【0043】
このようにすると、第2の層間絶縁膜のうち、第2の配線と第1の配線間に位置する領域に、多孔質領域の膜厚と略同一の膜厚を有する非多孔質領域を設けることができる。そのため、第2の層間絶縁膜のうち、第2の配線と第1の配線間に位置する領域の機械的強度を確保することができるため、例えば、第1の配線の形成工程の後に行うワイヤボンディング工程、又はプローブ検査工程等の際に、第2の層間絶縁膜のうち、第2の配線と第1の配線間に位置する領域に、割れが発生することを防止することができる。
【0044】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(g)の後で工程(b)の前に、第1の層間絶縁膜、及び第2の配線の上にバリア膜を形成する工程(h)をさらに備え、工程(b)において、第2の層間絶縁膜形成用膜は、バリア膜上に形成され、工程(e)において、ビアホールは、第2の層間絶縁膜の下部領域、及びバリア膜を貫通して形成されることが好ましい。
【0045】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(b)の後で工程(c)の前に、第2の層間絶縁膜形成用膜上に、キャップ膜を形成する工程(i)をさらに備え、工程(c)において、第2の層間絶縁膜形成用膜上に、溝が形成されたキャップ膜、及び溝と連通する配線溝形成用溝が形成されたハードマスクが順次形成され、工程(e)において、第1の配線溝は、第2の層間絶縁膜の上部領域、及びキャップ膜に形成されることが好ましい。
【0046】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(c)は、キャップ膜上にハードマスクを形成する工程(c1)と、工程(c1)の後に、ハードマスクに配線溝形成用溝を形成すると共に、キャップ膜に溝を形成する工程(c2)とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、第2の層間絶縁膜のうち、第1の配線の周囲に位置する領域に多孔質領域を設けて、多孔質領域以外の領域に非多孔質領域を設けることにより、第1の層間絶縁膜と多孔質領域との間(言い換えれば、第2の層間絶縁膜のうち、下層との界面に位置する領域)に、非多孔質領域を設けることができる。そのため、第2の層間絶縁膜における下層との界面に空孔が存在することがなく、空孔により第2の層間絶縁膜と下層との密着性が低下することはないため、第2の層間絶縁膜と下層との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0048】
それと共に、第2の層間絶縁膜のうち、第1の配線の周囲に位置する領域に、多孔質領域を設けることにより、第2の層間絶縁膜のうち、配線間容量の低減に効果的に貢献する領域に、多孔質領域を設けることができるため、配線間容量を効果的に低減させて、半導体装置の高速化を図ることができる。
【0049】
加えて、第2の層間絶縁膜のうち、比較的大きい配線間隔を有する第1の配線間の中央部に、非多孔質領域を設けることができる。これにより、第2の層間絶縁膜と上層との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0051】
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図1(a) 及び(b) 、図2、図3(a) 〜(c) 、図4(a) 〜(c) 、及び図5(a) 〜(c) を参照しながら説明する。
【0052】
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成について、図1(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図1(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す図であり、具体的には、図1(a) は平面図であり、図1(b) は図1(a) に示すIb-Ib線における断面図である。
【0053】
図1(a) に示すように、半導体基板(図示省略)上には、第1の層間絶縁膜(図1(b):10参照)、バリア膜(図1(b):13参照)、第2の層間絶縁膜(図1(b):14参照)、及びキャップ膜15が順次形成されている。第2の層間絶縁膜の下部領域には、ビア20が形成され、第2の層間絶縁膜の上部領域、及びキャップ膜15には、ビア20と接続する配線21が形成されている。
【0054】
図1(b) に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、半導体基板(図示省略)上に形成された第1の層間絶縁膜10と、第1の層間絶縁膜10に形成された下層配線(第2の配線)12と、第1の層間絶縁膜10及び下層配線12の上に形成されたバリア膜13と、バリア膜13上に形成された第2の層間絶縁膜14と、第2の層間絶縁膜14上に形成されたキャップ膜15と、バリア膜13及び第2の層間絶縁膜14の下部領域に形成され、下層配線12と接続するビア20と、第2の層間絶縁膜14の上部領域及びキャップ膜15に形成され、ビア20と接続する上層配線(第1の配線)21とを備えている。
【0055】
ここで、下層配線12は、下層配線溝11の底面及び側面に形成されたバリアメタル膜12aと、下層配線溝11内にバリアメタル膜12aを介して埋め込まれた導電膜12bとからなる。ビア20は、ビアホール18の底面及び側面に形成されたバリアメタル膜20aと、ビアホール18内にバリアメタル膜20aを介して埋め込まれた導電膜20bとからなる。上層配線21は、上層配線溝19の底面及び側面に形成されたバリアメタル膜21aと、上層配線溝19内にバリアメタル膜21aを介して埋め込まれた導電膜21bとからなる。
【0056】
第2の層間絶縁膜14は、図1(b) に示すように、ポロジェン14aが脱離されてなる空孔14bを含有する多孔質領域14Bと、脱離されずに残存するポロジェン14aを含有する非多孔質領域14Aとで構成される。
【0057】
多孔質領域14Bは、図1(b) に示すように、第2の層間絶縁膜14のうち、上層配線21の周囲に位置する領域に形成されている。詳細には、多孔質領域14Bは、図2に示すように、上層配線21の側面から第1の距離Ds(図2参照)までの範囲内で、且つ上層配線21の底面から第2の距離Db(図2参照)までの範囲内に形成される。ここで、第1の距離Dsは、上層配線21の側面に対して垂直な方向に沿った距離であり、第2の距離Dbは、上層配線21の底面に対して垂直な方向に沿った距離である。なお、図2は、図1(b) に示す図と同一の図である。
【0058】
ここで、第1の距離Dsは、最小配線間隔Sminに相当する距離以上で、且つ最小配線間隔Sminの1.5倍に相当する距離以下である(Smin≦Ds≦Smin×1.5)ことが好ましい。また、第2の距離Dbは、上層配線21の底面と第2の層間絶縁膜14におけるバリア膜13との界面との底面界面距離Dbi(図2参照)の0.5倍に相当する距離である(Db=Dbi×0.5)ことが好ましい。ここで、「最小配線間隔Smin」とは、互いに隣り合う上層配線21の配線間隔のうち、最も小さい間隔に相当する。
【0059】
言い換えれば、非多孔質領域14Aは、バリア膜13と多孔質領域14Bとの間、及び互いに隣り合う多孔質領域14Bの間(特に、互いに隣り合う多孔質領域14Bのうち、互いに重なり合わずに離間する多孔質領域14Bの間)に介在して形成されている。詳細には、非多孔質領域14Aは、図2に示すように、第2の層間絶縁膜14におけるバリア膜13との界面から、第3の距離Di(図2参照)までの範囲内に形成される界面領域14Aiと、互いに隣り合う上層配線21の配線間のうち、第1の距離Dsの2倍に相当する間隔よりも大きい間隔を有する配線間の中央部に形成される配線間領域14Asとを含む。ここで、第3の距離Diは、底面界面距離Dbiの0.5倍に相当する距離である(Di=Dbi×0.5)ことが好ましい。即ち、第3の距離Diは、第2の距離Dbと略同一であることが好ましい。
【0060】
非多孔質領域14Aの配線間領域14Asは、互いに隣り合う上層配線21の配線間のうち、第1の距離Dsの2倍に相当する間隔よりも大きい間隔(>Ds×2)を有する配線間には形成される一方、第1の距離Dsの2倍に相当する間隔以下の間隔(≦Ds×2)を有する配線間には形成されない。
【0061】
第2の層間絶縁膜14において、ビア20は、図1(b) に示すように、その下部領域が非多孔質領域14Aの界面領域14Aiを貫通し、その上部領域が多孔質領域14Bの底面領域を貫通して形成される。また、第2の層間絶縁膜14において、上層配線21は、多孔質領域14B内に形成される。ここで、「底面領域」とは、多孔質領域14Bのうち、上層配線21の底面から第2の距離Db(図2参照)までの範囲内に形成される領域をいう。
【0062】
第2の層間絶縁膜14のうち、下層配線12と上層配線21間に位置する領域には、多孔質領域14Bの底面領域の膜厚(図2:Db参照)と略同一の膜厚(図2:Di参照)を有する非多孔質領域14Aの界面領域14Aiが形成されている。ここで、第2の層間絶縁膜14のうち、下層配線12と上層配線21間に位置する領域のヤング率は、8GPa以上であることが好ましい。
【0063】
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図3(a) 〜(c) 、図4(a) 〜(c) 、及び図5(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図3(a) 〜図5(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【0064】
まず、図3(a) に示すように、半導体基板(図示省略)上に、例えば、比誘電率が3.0の炭素含有シリコン酸化膜(SiOC(H)膜)からなる第1の層間絶縁膜10を形成する。続いて、フォトリソグラフィー法により、第1の層間絶縁膜10上に、下層配線溝パターンを持つレジストパターン(図示省略)を形成した後、該レジストパターンをマスクに用いて、第1の層間絶縁膜10に対してドライエッチングを行い、第1の層間絶縁膜10に下層配線溝11を形成する。続いて、該レジストパターンを除去する。
【0065】
次に、スパッタ法により、第1の層間絶縁膜10上、並びに下層配線溝11の底面及び側面に、例えばタンタル膜(Ta膜)と窒化タンタル膜(TaN膜)とが順次積層されてなるバリアメタル膜を堆積する。続いて、スパッタ法により、バリアメタル膜上に、例えば銅を含むシード膜を形成した後、電解めっき法により、シード膜上に、下層配線溝11内を埋め込むように、例えば銅を含むめっき膜を堆積する。続いて、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、めっき膜、シード膜、及びバリアメタル膜のうち、下層配線溝11外に形成された部分を順次除去する。このようにして、下層配線溝11内に、バリアメタル膜12aを介して、銅を含む導電膜12bが埋め込まれてなる下層配線12を形成する。ここで、図3(a) において、導電膜12bのうち、シード膜とめっき膜との境界線は、図示が困難なため図示を省略する。
【0066】
次に、図3(b) に示すように、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、第1の層間絶縁膜10、及び下層配線12の上に、例えば膜厚が40nmのシリコン炭窒化膜(SiCN膜)からなるバリア膜13を堆積する。ここで、プラズマCVD法によるバリア膜13の堆積条件としては、次に示す条件が挙げられる。例えば、温度が400℃の下、原料ガスとして、テトラメチルシラン(Si(CH3)4)ガス、及びアンモニア(NH3)ガスを用い、希釈ガスとして、ヘリウム(He)ガスを用いて、プラズマCVD法によるバリア膜13の堆積を行う。またここで、バリア膜13は、その密度が、例えば1.8g/cm3であることが好ましく、その屈折率が、例えば1.8〜2.2(波長633nm)であることが好ましい。
【0067】
続いて、プラズマCVD法、又はスピン塗布法により、バリア膜13上に、例えば、紫外線(UV:ultraviolet)の照射により脱離するポロジェン14aを含有し、膜厚が200nmのSiOC(H)膜からなる第2の層間絶縁膜形成用膜14Xを堆積する。ここで、第2の層間絶縁膜形成用膜14Xの堆積方法としては、プラズマCVD法を用いることがより好ましい。
【0068】
次に、図3(c) に示すように、プラズマCVD法により、第2の層間絶縁膜形成用膜14X上に、例えば、膜厚が40nmのSiOC(H)膜からなるキャップ膜15を堆積した後、スパッタ法により、キャップ膜15上に、例えば、膜厚が30nmのTiN膜等の紫外線を反射させる金属膜からなるハードマスク16を堆積する。
【0069】
次に、図4(a) に示すように、フォトリソグラフィー法により、ハードマスク16上に、上層配線溝パターンを持つレジストパターン(図示省略)を形成する。続いて、該レジストパターンをマスクに用いて、ハードマスク16、及びキャップ膜15に対してドライエッチングを順次行い、ハードマスク16に上層配線溝形成用溝16yを形成すると共にキャップ膜15に溝15yを形成し、ハードマスク16及びキャップ膜15を貫通し、第2の層間絶縁膜形成用膜14Xの上面を露出させる溝16Yを形成する。続いて、該レジストパターンを除去する。このようにして、第2の層間絶縁膜形成用膜14X上に、溝15yが形成されたキャップ膜15、及び溝15yと連通する上層配線溝形成用溝16yが形成されたハードマスク16を順次形成する。
【0070】
次に、図4(b) に示すように、半導体基板上の全面に、例えば、照射角度(即ち、半導体基板の主面の法線に対して傾斜する角度)が0°で紫外線を照射する、即ち、半導体基板上の全面に、半導体基板の主面に対して垂直な方向に紫外線を照射する(UV1参照)。このとき、紫外線のうちハードマスク16に照射される紫外線は、ハードマスク16により反射されて、第2の層間絶縁膜形成用膜14Xのうち、溝16Yの近傍に位置する領域に、紫外線が照射される。ここで、紫外線は、例えば10秒〜20秒の短時間の間、150nm〜380nmの低エネルギーで照射されることが好ましい。またここで、本明細書中に登場する「第2の層間絶縁膜形成用膜14Xのうち、溝16Yの近傍に位置する領域」とは、第2の層間絶縁膜形成用膜14Xのうち、1)溝16Yの直下に位置する領域と、2)溝16Yの外周下に位置する領域とを含む。
【0071】
続いて、半導体基板上の全面に、例えば、照射角度が45°で紫外線を照射する、即ち、半導体基板上の全面に、半導体基板の主面に対して傾斜する方向に紫外線を照射する(UV2参照)。このとき、紫外線のうちハードマスク16に照射される紫外線は、ハードマスク16により反射されて、第2の層間絶縁膜形成用膜14Xのうち、溝16Yの近傍に位置する領域に、紫外線が照射される。ここで、紫外線は、例えば10秒〜20秒の短時間の間、150nm〜380nmの低エネルギーで照射されることが好ましい。
【0072】
これにより、図4(c) に示すように、ハードマスク16を利用して、第2の層間絶縁膜形成用膜14Xのうち、溝16Yの近傍に位置する領域(即ち、紫外線が照射される領域)に存在するポロジェン14aを脱離し、ポロジェン14aが脱離されてなる空孔14bを含有する多孔質領域14Bと、脱離されずに残存するポロジェン14aを含有する非多孔質領域14Aとで構成される第2の層間絶縁膜14を形成する。
【0073】
ここで、多孔質領域14Bは、溝16Yの底面の中心点Cを基準に外方向に拡がるように形成され、中心点Cから距離Dh(図4(c) 参照)までの範囲内で、且つ中心点Cから距離Dv(図4(c) 参照)までの範囲内に形成される。ここで、距離Dhは、溝16Yの底面に対して平行な方向に沿った距離であり、距離Dvは、溝16Yの底面に対して垂直な方向に沿った距離である。なお、前述から判るように、距離Dhは、上層配線21の配線幅Lの0.5倍に相当する距離と、第1の距離Dsとの総和に相当し(Dh=L×0.5+Ds)、距離Dvは、上層配線21の配線高さHに相当する距離と、第2の距離Dbとの総和に相当する(Dv=H+Db)。
【0074】
次に、図5(a) に示すように、フォトリソグラフィー法により、ハードマスク16上に、ビアホールパターンを持つレジストパターン(図示省略)を形成した後、該レジストパターンをマスクに用いて、溝16Y内に露出する第2の層間絶縁膜14に対してドライエッチングを行い、第2の層間絶縁膜14を貫通し、バリア膜13の上面を露出させるホール17を形成する。続いて、該レジストパターンを除去する。
【0075】
次に、図5(b) に示すように、エッチバック法により、ホール17内に露出するバリア膜13を除去し、バリア膜13及び第2の層間絶縁膜14の下部領域に、下層配線12の上面を露出させるビアホール18を形成する。それと共に、ハードマスク16を利用して、溝16Y内に露出する第2の層間絶縁膜14の上部領域を除去し、第2の層間絶縁膜14の上部領域及びキャップ膜15に、上層配線溝19を形成する。このとき、ビアホール18は、図5(b) に示すように、その下部領域が非多孔質領域14Aの界面領域(図1(b):14Ai参照)を貫通し、その上部領域が多孔質領域14Bの底面領域を貫通して形成される。それと共に、上層配線溝19は、図5(b) に示すように、多孔質領域14B内に形成される。
【0076】
次に、図5(c) に示すように、スパッタ法により、ハードマスク16上、上層配線溝形成用溝16yの側面、上層配線溝19の底面及び側面、ビアホール18の底面及び側面に、Ta膜とTaN膜とが順次積層されてなるバリアメタル膜を堆積する。続いて、スパッタ法により、バリアメタル膜上に、銅を含むシード膜を形成した後、電解めっき法により、シード膜上に、ビアホール18及び上層配線溝19内を埋め込むように、銅を含むめっき膜を堆積する。
【0077】
次に、CMP法により、めっき膜、シード膜、バリアメタル膜、及びハードマスク16のうち、ビアホール18及び上層配線溝19の外に形成された部分を順次除去する。このようにして、ハードマスク16を除去した後、ビアホール18内に、バリアメタル膜20aを介して、銅を含む導電膜20bが埋め込まれてなるビア20を形成すると共に、上層配線溝19内に、バリアメタル膜21aを介して、銅を含む導電膜21bが埋め込まれてなる上層配線21を形成する。このとき、ビア20は、図5(c) に示すように、その下部領域が非多孔質領域14Aの界面領域(図1(b):14Ai参照)を貫通し、その上部領域が多孔質領域14Bの底面領域を貫通して形成される。それと共に、上層配線21は、図5(c) に示すように、多孔質領域14B内に形成される(言い換えれば、多孔質領域14Bは、第2の層間絶縁膜14のうち、上層配線21の周囲に位置する領域に形成される)。ここで、図5(c) において、導電膜20b,21bのうち、シード膜とめっき膜との境界線は、図示が困難なため図示を省略する。
【0078】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0079】
ここで、本実施形態では、図4(a) に示す工程において、上層配線溝パターンを持つレジストパターン(図示省略)を形成した後、図5(a) に示す工程において、ビアホールパターンを持つレジストパターン(図示省略)を形成し、続いて、図5(c) に示す工程において、ビアホール18内にビア20を形成すると共に、上層配線溝19内に上層配線21を形成する。即ち、本実施形態では、ビア20、及び上層配線21の形成方法として、上層配線溝パターンを持つレジストパターンを先に形成するトレンチファースト,ビアホールパターンを持つレジストパターンを後に形成するビアラストのデュアルダマシン法を採用する。
【0080】
本実施形態によると、図1(b) に示すように、第2の層間絶縁膜14のうち、上層配線21の周囲に位置する領域に多孔質領域14Bを設けて、多孔質領域14B以外の領域に非多孔質領域14Aを設けることにより、第2の層間絶縁膜14のうち、バリア膜13との界面に位置する領域に、非多孔質領域14Aの界面領域14Aiを設けることができる。そのため、第2の層間絶縁膜14におけるバリア膜13との界面に空孔14bが存在することがなく、空孔14bにより第2の層間絶縁膜14とバリア膜13との密着性が低下することはない。そのため、例えば、図5(c) に示す工程におけるCMP工程、上層配線21上に形成されるパッド(図示省略)にワイヤボンドを接続する工程(以下、「ワイヤボンディング工程」と称す)、又はパッドにプローブ針を当て内部回路を検査する検査工程(以下、「プローブ検査工程」と称す)等の際に、第2の層間絶縁膜14とバリア膜13との界面に剥離が発生することを防止することができる。
【0081】
それと共に、図1(b) に示すように、第2の層間絶縁膜14のうち、上層配線21の周囲に位置する領域に、多孔質領域14Bを設けることにより、第2の層間絶縁膜14のうち、配線間容量の低減に効果的に貢献する領域に、多孔質領域14Bを設けることができるため、配線間容量を効果的に低減させて、半導体装置の高速化を図ることができる。
【0082】
加えて、図1(b) に示すように、第2の層間絶縁膜14のうち、比較的大きい配線間隔(詳細には、第1の距離Dsの2倍に相当する間隔よりも大きい配線間隔)を有する上層配線21間の中央部に、非多孔質領域14Aの配線間領域14Asを設けることができる。ここで、比較的大きい配線間隔を有する上層配線21間の領域は、キャップ膜15との接触面積が比較的大きく、キャップ膜15との界面に剥離が発生する可能性が比較的高い。そのため、比較的大きい配線間隔を有する上層配線21間の中央部に、非多孔質領域14Aの配線間領域14Asを設けることにより、例えば、CMP工程等の際に、第2の層間絶縁膜14とキャップ膜15との界面に剥離が発生することを防止することができる。一方、比較的小さい配線間隔を有する上層配線21間の領域は、比較的大きい配線間隔を有する上層配線21間の領域に比べて、キャップ膜15との接触面積が小さく、キャップ膜15との界面に剥離が発生する可能性が低い。そのため、比較的小さい配線間隔を有する上層配線21間の領域に、非多孔質領域を設ける必要はない。
【0083】
加えて、図1(b) に示すように、第2の層間絶縁膜14のうち、バリア膜13との界面に位置する領域に、非多孔質領域14Aの界面領域14Aiを設けることにより、ビア20の下部領域は非多孔質領域14Aの界面領域14Aiに囲まれるため、ビア20の底面領域に空孔14bが存在することがなく、例えば、空孔14b内に捕獲される水分、又は空孔14b内に残留するエッチングガス等により、ビア20の底面領域が酸化される、又はビア20の底面領域が腐食されて、ビア20の信頼性が低下することを防止することができる。
【0084】
加えて、図1(b) に示すように、第2の層間絶縁膜14のうち、下層配線12と上層配線21間に位置する領域に、多孔質領域14Bの底面領域の膜厚(図2:Db参照)と略同一の膜厚(図2:Di参照)を有する非多孔質領域14Aの界面領域14Aiを設けることができる。そのため、第2の層間絶縁膜14のうち、下層配線12と上層配線21間に位置する領域の機械的強度を確保する(具体的には例えば、第2の層間絶縁膜14のうち、下層配線12と上層配線21間に位置する領域が、8GPa以上のヤング率を確保する)ことができる。そのため、例えば、ワイヤボンディング工程、又はプローブ検査工程等の際に、第2の層間絶縁膜14のうち、下層配線12と上層配線21間に位置する領域に、割れが発生することを防止することができる。
【0085】
以上のように、第2の層間絶縁膜14のうち、上層配線21の周囲に位置する領域に多孔質領域14Bを設けて、多孔質領域14B以外の領域に非多孔質領域14Aを設けることにより、配線間容量を効果的に低減させると共に、第2の層間絶縁膜14とバリア膜13との界面に剥離が発生することを防止するとことができる。加えて、配線間容量を効果的に低減しながら、
1)第2の層間絶縁膜14とキャップ膜15との界面に剥離が発生することを防止する,
2)ビア20の信頼性が低下することを防止する,
3)第2の層間絶縁膜14のうち、下層配線12と上層配線21間に位置する領域に、割れが発生することを防止することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、本発明を容易に説明する為に、図1(b) に示すように、多孔質領域14Bは、空孔14bのみを含有し、ポロジェン14aを含有せず、一方、非多孔質領域14Aは、ポロジェン14aのみを含有し、空孔14bを含有しない場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、多孔質領域14Bが、空孔14bだけでなく、空孔14bの個数よりも少ない個数のポロジェン14aを含有し、一方、非多孔質領域14Aが、ポロジェン14aだけでなく、ポロジェン14aの個数よりも少ない個数の空孔14bを含有してもよい。特に、多孔質領域14Bと非多孔質領域14Aとの境界領域には、空孔14bとポロジェン14aとが混在する場合がある。
【0087】
即ち、本明細書中の「多孔質領域」とは、空孔を主に含有する領域であり、一方、本明細書中の「非多孔質領域」とは、空孔を主に含有しない領域であり、「多孔質領域」は、「非多孔質領域」に比べて、高い空孔密度を有する領域であり、一方、「非多孔質領域」は、「多孔質領域」に比べて、低い空孔密度を有する領域である。
【0088】
また、本実施形態では、紫外線を反射させるハードマスク16の金属材料として、TiNを用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。紫外線を反射させるハードマスクの金属材料として、例えば、Ti、Ta、TaN、W、及びWN等からなる群から選択される1種類、又は複数種類の金属材料を用いてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、図4(b) に示すように、半導体基板上の全面に、半導体基板の主面に対して垂直な方向に紫外線を照射した(UV1参照)後、半導体基板上の全面に、半導体基板の主面に対して傾斜する方向に紫外線を照射する(UV2参照)場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1に例えば、半導体基板上の全面に、半導体基板の主面に対して垂直な方向にのみ、紫外線を照射する、又は第2に例えば、半導体基板上の全面に、半導体基板の主面に対して傾斜する方向にのみ、紫外線を照射してもよい。
【0090】
また、本実施形態では、第2の層間絶縁膜形成用膜14のうち、溝16Yの近傍に位置する領域に存在するポロジェン14aを脱離する方法として、ハードマスク16として、紫外線を反射させる金属膜を採用し、ポロジェン14aとして、紫外線の照射により脱離するポロジェンを採用し、半導体基板上の全面に、紫外線を照射する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
第1に例えば、ハードマスクとして、紫外線を吸収する絶縁膜を採用し、ポロジェンとして、紫外線の照射により脱離するポロジェンを採用し、半導体基板上の全面に、紫外線を照射してもよい。このように、第2の層間絶縁膜形成用膜上に、溝が形成されたキャップ膜、及び上層配線溝形成用溝が形成されたハードマスクが順次形成された状態で、紫外線を照射することにより、紫外線のうちハードマスクに照射される紫外線は、ハードマスクに吸収されて、第2の層間絶縁膜形成用膜のうち、溝、及び上層配線溝形成用溝の近傍に位置する領域に、紫外線が照射される。ここで、紫外線を吸収するハードマスクの絶縁材料としては、例えば、SiCN、SiCO、SiCH、SiON、SiO2、及びSiN等からなる群から選択される1種類、又は複数種類の絶縁材料が挙げられる。
【0092】
第2に例えば、ハードマスクとして、電子線を反射させる金属膜を採用し、ポロジェンとして、電子線の照射により脱離するポロジェンを採用し、半導体基板上の全面に、電子線を照射してもよい。
【0093】
第3に例えば、ハードマスクとして、電子線を吸収する絶縁膜を採用し、ポロジェンとして、電子線の照射により脱離するポロジェンを採用し、半導体基板上の全面に、電子線を照射してもよい。
【0094】
第4に例えば、ハードマスクとして、密度の比較的高い膜を採用し、ポロジェンとして、熱処理により脱離するポロジェンを採用し、半導体基板上の全面に対し、熱処理を施してもよい。このように、第2の層間絶縁膜形成用膜上に、溝が形成されたキャップ膜、及び上層配線溝形成用溝が形成されたハードマスクが順次形成された状態で、熱処理を施すことにより、第2の層間絶縁膜形成用膜のうち、溝、及び上層配線溝形成用溝の近傍に位置する領域に存在するポロジェンを脱離することができる。ここで、熱処理温度は、例えば、300℃の低温であることが好ましく、熱処理時間は、例えば、数10秒〜3分程度の短時間であることが好ましい。またここで、ハードマスクの密度は、例えば、2.21g/cm3程度であることが好ましい。またここで、ハードマスクの材料としては、例えば、Ti、TiN、Ta、TaN、W、及びWN等からなる金属材料群、並びにSiCN、SiCO、SiCH、SiON、SiO2、及びSiN等からなる絶縁材料群から選択される1種類、又は複数種類の材料が挙げられる。但し、キャップ膜の密度が比較的高い場合、キャップ膜上にハードマスクを設けずに、第2の層間絶縁膜形成用膜上に、溝が形成されたキャップ膜のみが形成された状態で、熱処理を施してもよい。
【0095】
また、本実施形態では、バリア膜13として、SiCN膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1に例えば、SiCN膜の代わりに、シリコン炭酸化膜(SiCO膜)を用いてもよい。第2に例えば、SiCN膜の単層膜の代わりに、SiCN膜、及びSiCO膜が順次積層されてなる積層膜を用いてもよい。ここで、SiCO膜の形成方法としては、温度が400℃の下、原料ガスとして、テトラメチルシラン(Si(CH3)4)ガス、及び二酸化炭素(CO2)ガスを用い、希釈ガスとして、ヘリウム(He)ガスを用いて、プラズマCVD法により行う方法等が挙げられる。
【0096】
<具体例>
以下に、本発明の一実施形態の具体例に係る半導体装置の構成について、図6(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図6(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態の具体例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【0097】
図6(a) に示すように、本具体例に係る半導体装置として、
・配線41a,41b,41cの配線幅La,Lb,Lcが略同一で、配線幅La,Lb,Lcは、最小配線幅Lminに相当する幅であり(La,Lb,Lc=Lmin)、
・配線41a,41b,41cの配線高さHa,Hb,Hcが略同一で、配線高さHa,Hb,Hcは、最小配線幅Lminの2倍に相当する高さであり(Ha,Hb,Hc=Lmin×2)、
・互いに隣り合う配線41bと配線41c間の配線間隔Sbcが最小配線間隔Sminであり(Sbc=Smin)、
・互いに隣り合う配線41aと配線41b間の配線間隔Sabの間隔が、最小配線間隔Sminの3倍に相当する間隔よりも大きく(Sab>Smin×3)、
・最小配線幅Lminの幅は、最小配線間隔Sminの間隔と略同一であり(Lmin=Smin)、
・第2の層間絶縁膜34の膜厚とキャップ膜35の膜厚との総和膜厚Tが、最小配線間隔Sminの4倍に相当する膜厚である(T=Smin×4)
場合の半導体装置を示す。
【0098】
多孔質領域34Bは、図6(a) に示すように、上層配線41a〜41cの側面から、最小配線間隔Sminの1.5倍に相当する第1の距離Ds(Ds=Smin×1.5)までの範囲内で、且つ上層配線41a〜41cの底面から、底面界面距離Dbiの0.5倍に相当する第2の距離Db(Db=Dbi×0.5)までの範囲内に形成されている。
【0099】
非多孔質領域34Aの界面領域は、図6(a) に示すように、第2の層間絶縁膜34におけるバリア膜33との界面から、底面界面距離Dbiの0.5倍に相当する第3の距離Di(Di=Dbi×0.5,即ち、Di=Db)までの範囲内に形成されている。
【0100】
非多孔質領域34Aの配線間領域は、図6(a) に示すように、互いに隣り合う上層配線の配線間のうち、第1の距離Dsの2倍に相当する間隔よりも大きい配線間隔Sabを有する配線間の中央部に形成されている。
【0101】
本具体例に係る半導体装置において、最小配線間隔Sminを「1」とすると、図6(b) に示すように、
・配線幅La,Lb,Lcは「1」
・配線高さHa,Hb,Hcは「2」
・配線間隔Sbcは「1」
・総和膜厚Tは「4」
・第1の距離Dsは「1.5」
・第2の距離Dbは「1」
・第3の距離Diは「1」
・底面界面距離Dbiは「2」
・ビア40のビア高さは「2」
となる。なお、図6(b) は、図6(a) に示す図と同一の図である。
【0102】
本具体例によると、第2の層間絶縁膜34のうち、上層配線41a〜41cの周囲に位置する領域に多孔質領域34Bを設けて、多孔質領域34B以外の領域に非多孔質領域34Aを設けることにより、配線間容量を効果的に低減させると共に、第2の層間絶縁膜34とバリア膜33との界面に剥離が発生することを防止するとことができる。加えて、配線間容量を効果的に低減しながら、
1)第2の層間絶縁膜34とキャップ膜35との界面に剥離が発生することを防止する,
2)ビア40の信頼性が低下することを防止する,
3)第2の層間絶縁膜34のうち、下層配線32a〜32cと上層配線41a〜41c間に位置する領域に、割れが発生することを防止することができる。
【0103】
なお、本具体例では、第1の距離Dsが、最小配線間隔Sminの1.5倍に相当する距離(Ds=Smin×1.5)である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の距離は、最小配線間隔Sminに相当する距離以上で、且つ最小配線間隔Sminの1.5倍に相当する距離以下であればよい。
【0104】
また、本具体例は、単なる一例に過ぎず、本発明は、本具体例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、配線が形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜下に層間絶縁膜と接して形成された下層との界面に、剥離が発生することを防止することができるため、配線が形成された層間絶縁膜を有する半導体装置及びその製造方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図3】(a) 〜(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図4】(a) 〜(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図5】(a) 〜(c) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図6】(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態の具体例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図7】従来の半導体装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0107】
10 第1の層間絶縁膜
11 下層配線溝
12 下層配線
12a バリアメタル膜
12b 導電膜
13 バリア膜
14X 第2の層間絶縁膜形成用膜
14 第2の層間絶縁膜
14A 非多孔質領域
14As 配線間領域
14Ai 界面領域
14B 多孔質領域
14a ポロジェン
14b 空孔
15 キャップ膜
15y 溝
16 ハードマスク
16y 上層配線溝形成用溝
16Y 溝
17 ホール
18 ビアホール
19 上層配線溝
20 ビア
20a バリアメタル膜
20b 導電膜
21 上層配線
21a バリアメタル膜
21b 導電膜
Ds 第1の距離
Db 第2の距離
Di 第3の距離
Dbi 底面界面距離
UV1,UV2 紫外線
32a,32b,32c 下層配線
33 バリア膜
34 第2の層間絶縁膜
34A 非多孔質領域
34B 多孔質領域
35 キャップ膜
40 ビア
41a,41b,41c 上層配線
La,Lb,Lc 配線幅
Ha,Hb,Hc 配線高さ
Sab,Sbc 配線間隔
T 総和膜厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された第1の層間絶縁膜と、
前記第1の層間絶縁膜上に形成された第2の層間絶縁膜と、
前記第2の層間絶縁膜の上部領域に形成された第1の配線とを備え、
前記第2の層間絶縁膜は、空孔を含有する多孔質領域と、非多孔質領域とで構成され、
前記多孔質領域は、前記第2の層間絶縁膜のうち、前記第1の配線の周囲に位置する領域に形成され、
前記非多孔質領域は、少なくとも前記第1の層間絶縁膜と前記多孔質領域との間に介在して形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記多孔質領域に含有される空孔は、ポロジェンが脱離されてなる空孔であり、
前記非多孔質領域は、脱離されずに残存するポロジェンを含有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記多孔質領域は、前記第1の配線の側面から第1の距離までの範囲内で、且つ前記第1の配線の底面から第2の距離までの範囲内に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1の距離は、最小配線間隔に相当する距離以上で、且つ前記最小配線間隔の1.5倍に相当する距離以下であり、
前記第2の距離は、前記第1の配線の底面と前記第2の層間絶縁膜における前記第1の層間絶縁膜との界面との底面界面距離の約0.5倍に相当する距離であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の半導体装置において、
前記非多孔質領域は、
前記第2の層間絶縁膜における前記第1の層間絶縁膜との界面から、第3の距離までの範囲内に形成される界面領域と、
互いに隣り合う前記第1の配線の配線間のうち、前記第1の距離の2倍に相当する間隔よりも大きい間隔を有する配線間の中央部に形成される配線間領域とを含み、
前記第3の距離は、前記第1の配線の底面と前記第2の層間絶縁膜における前記第1の層間絶縁膜との界面との底面界面距離の約0.5倍に相当する距離であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2の層間絶縁膜の下部領域に形成されたビアをさらに備え、
前記ビアは、その下部領域が前記非多孔質領域を貫通し、その上部領域が前記多孔質領域を貫通して形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1の層間絶縁膜に形成された第2の配線をさらに備え、
前記第1の配線は、前記ビアを介して、前記第2の配線と接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第2の層間絶縁膜のうち、前記第2の配線と前記第1の配線間に位置する領域のヤング率は、8GPa以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項6〜8のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の層間絶縁膜と前記第2の層間絶縁膜との間に形成されたバリア膜をさらに備え、
前記ビアは、前記第2の層間絶縁膜の下部領域、及び前記バリア膜を貫通して形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項6〜9のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2の層間絶縁膜上に形成されたキャップ膜をさらに備え、
前記第1の配線は、前記第2の層間絶縁膜の上部領域、及び前記キャップ膜に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
半導体基板上に、第1の層間絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記第1の層間絶縁膜上に、ポロジェンを含有する第2の層間絶縁膜形成用膜を形成する工程(b)と、
前記第2の層間絶縁膜形成用膜上に、配線溝形成用溝が形成されたハードマスクを形成する工程(c)と、
前記ハードマスクを利用して、前記第2の層間絶縁膜形成用膜のうち、前記配線溝形成用溝の近傍に位置する領域に存在するポロジェンを脱離し、ポロジェンが脱離されてなる空孔を含有する多孔質領域と、脱離されずに残存するポロジェンを含有する非多孔質領域とで構成される第2の層間絶縁膜を形成する工程(d)と、
前記ハードマスクを利用して、前記第2の層間絶縁膜の上部領域に、第1の配線溝を形成する工程(e)と、
前記ハードマスクを除去した後、前記第1の配線溝内に第1の配線を形成する工程(f)とを備え、
前記工程(e)において、前記第1の配線溝は、前記多孔質領域内に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)において、前記第2の層間絶縁膜形成用膜に含有されるポロジェンは、紫外線、又は電子線の照射により脱離するポロジェンであり、
前記工程(c)において、前記ハードマスクは、紫外線、又は電子線を反射させる金属膜からなり、
前記工程(d)は、前記半導体基板上に、紫外線、又は電子線を照射する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)は、
前記半導体基板上に、前記半導体基板の主面に対して垂直な方向に、第1の紫外線、又は第1の電子線を照射する工程(d1)と、
前記半導体基板上に、前記半導体基板の主面に対して傾斜する方向に、第2の紫外線、又は第2の電子線を照射する工程(d2)とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の半導体装置の製造方法において、
紫外線、又は電子線を反射させる前記金属膜の材料は、Ti、TiN、Ta、TaN、W、及びWNからなる群から選択される1種類、又は複数種類の金属材料であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)において、前記第2の層間絶縁膜形成用膜に含有されるポロジェンは、紫外線、又は電子線の照射により脱離するポロジェンであり、
前記工程(c)において、前記ハードマスクは、紫外線、又は電子線を吸収する絶縁膜からなり、
前記工程(d)は、前記半導体基板上に、紫外線、又は電子線を照射する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
紫外線、又は電子線を吸収する前記絶縁膜の材料は、SiCN、SiCO、SiCH、SiON、SiO2、及びSiNからなる群から選択される1種類、又は複数種類の絶縁材料であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)において、前記第2の層間絶縁膜形成用膜に含有されるポロジェンは、熱処理により脱離するポロジェンであり、
前記工程(c)において、前記ハードマスクは、ポロジェンが含まれない前記第1の層間絶縁膜に比べて密度の高い膜からなり、
前記工程(d)は、前記半導体基板上の全面に対し、熱処理を施す工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ハードマスクの材料は、Ti、TiN、Ta、TaN、W、及びWNからなる金属材料群、並びにSiCN、SiCO、SiCH、SiON、SiO2、及びSiNからなる絶縁材料群から選択される1種類、又は複数種類の材料であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項11〜18のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)は、前記第2の層間絶縁膜の下部領域にビアホールを形成する工程をさらに含み、
前記工程(f)は、前記ビアホール内にビアを形成する工程をさらに含み、
前記工程(e)において、前記ビアホールは、その下部領域が前記非多孔質領域を貫通し、その上部領域が前記多孔質領域を貫通して形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)の後で前記工程(b)の前に、前記第1の層間絶縁膜に第2の配線溝を形成した後、前記第2の配線溝内に第2の配線を形成する工程(g)をさらに備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(g)の後で前記工程(b)の前に、前記第1の層間絶縁膜、及び前記第2の配線の上にバリア膜を形成する工程(h)をさらに備え、
前記工程(b)において、前記第2の層間絶縁膜形成用膜は、前記バリア膜上に形成され、
前記工程(e)において、前記ビアホールは、前記第2の層間絶縁膜の下部領域、及び前記バリア膜を貫通して形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項21に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)の後で前記工程(c)の前に、前記第2の層間絶縁膜形成用膜上に、キャップ膜を形成する工程(i)をさらに備え、
前記工程(c)において、前記第2の層間絶縁膜形成用膜上に、溝が形成された前記キャップ膜、及び前記溝と連通する前記配線溝形成用溝が形成された前記ハードマスクが順次形成され、
前記工程(e)において、前記第1の配線溝は、前記第2の層間絶縁膜の上部領域、及び前記キャップ膜に形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c)は、
前記キャップ膜上に前記ハードマスクを形成する工程(c1)と、
前記工程(c1)の後に、前記ハードマスクに前記配線溝形成用溝を形成すると共に、前記キャップ膜に前記溝を形成する工程(c2)とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−129950(P2010−129950A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306132(P2008−306132)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】