説明

半導体装置

【課題】ゲート電極とのコンタクトのためのコンタクトホールの形成時に、ゲート電極が深く掘り下げられることを防止できる半導体装置を提供すること。
【解決手段】ゲートトレンチ6を有するエピタキシャル層3に、ボディ領域5、ドレイン領域4、ソース領域9およびボディコンタクト領域10を形成する。ゲートトレンチ6には、ゲート電極8を埋設する。エピタキシャル層3には、層間絶縁膜11を積層する。ゲート電極8と層間絶縁膜11との間には、エピタキシャル層3とはエッチングレートの異なる材料からなるエッチングストッパ層14を介在させる。そして、エッチングにより、ゲート電極8およびボディコンタクト領域10それぞれとのコンタクトのための、ゲートコンタクトホール13およびソースコンタクトホール15を同時に形成する。ゲートコンタクトホール13は、平面視でエッチングストッパ層14と重なるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、トレンチゲート型VDMOSFET(Vertical Double diffused Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)は、低オン抵抗特性を有するパワーMOSFETとして知られている。
【0003】
図5は、従来のトレンチゲート型VDMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
【0004】
半導体装置101は、N型のシリコンからなる基板102を備えている。基板102上には、シリコンからなるエピタキシャル層103が積層されている。エピタキシャル層103は、基層部がN型のドレイン領域104をなしている。エピタキシャル層103において、ドレイン領域104の上側には、P型のボディ領域105がドレイン領域104に接して形成されている。
【0005】
エピタキシャル層103には、複数のゲートトレンチ106がその表面から掘り下がって形成されている。複数のゲートトレンチ106は、一定の間隔を空けて、互いに平行をなして同一方向に延びている。ゲートトレンチ106は、ボディ領域105を貫通し、その最深部がドレイン領域104に達している。ゲートトレンチ106内には、ゲート絶縁膜107を介して、N型不純物が高濃度にドープされたポリシリコンからなるゲート電極108が埋設されている。
【0006】
ボディ領域105の表層部には、N型のソース領域109が形成されている。また、ボディ領域105の表層部には、ゲートトレンチ106に対して間隔を空けた位置に、P型のボディコンタクト領域110がソース領域109を層厚方向に貫通して形成されている。
【0007】
エピタキシャル層103上には、層間絶縁膜111が積層されている。層間絶縁膜111には、ゲート電極108と対向する部分に、層間絶縁膜111を貫通するゲートコンタクトホール114が形成されている。また、層間絶縁膜111には、ボディコンタクト領域110と対向する部分に、層間絶縁膜111を貫通するソースコンタクトホール112が形成されている。ゲートコンタクトホール114およびソースコンタクトホール112は、同じエッチングガスが供給されることにより、同時に形成される。
【0008】
ゲートコンタクトホール114には、ゲートコンタクトプラグ116が埋設されている。ゲートコンタクトプラグ116は、その底面および側面においてゲート電極108に接続されている。
【0009】
一方、ソースコンタクトホール112には、ソースコンタクトプラグ113が埋設されている。ソースコンタクトプラグ113は、その底面においてボディコンタクト領域110に接続され、その側面においてソース領域109に接続されている。
【0010】
そして、層間絶縁膜111上には、ゲート配線117およびソース配線118が形成されている。ゲート配線117およびソース配線118は、それぞれゲートコンタクトプラグ116およびソースコンタクトプラグ113と接続されている。
【0011】
基板102の裏面には、ドレイン電極115が形成されている。
【特許文献1】特開2006−135038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ソースコンタクトホール112およびゲートコンタクトホール114を形成する工程では、ソースコンタクトホール112およびゲートコンタクトホール114を形成すべき領域にそれぞれ対向する開口を有するマスクが層間絶縁膜111上に形成される。そして、このマスクを介して、層間絶縁膜111にエッチングガスが供給される。このエッチングガスの供給は、ソースコンタクトホール112が層間絶縁膜111を貫通し、さらにソースコンタクトホール112がエピタキシャル層103の表面から掘り下がり、ソースコンタクトホール112の側面にソース領域109が露出するまで続けられる。そのため、ゲートコンタクトホール114は、層間絶縁膜111を貫通し、さらにゲート電極108の表面から掘り下がって形成される。
【0013】
したがって、ゲート電極108の材料であるポリシリコンのエッチングレートが、エピタキシャル層103の材料であるシリコンよりも大きい場合、ゲートコンタクトホール114がゲート電極108を深く掘り下がる。そのため、ゲートコンタクトホール114に埋設されるゲートコンタクトプラグ116とドレイン領域104との間の距離が短くなる。ゲートコンタクトプラグ116とドレイン領域104との距離が短いほど、ゲート−ドレイン間にリーク電流が生じやすくなる。
【0014】
本発明の目的は、ゲート電極とのコンタクトのためのコンタクトホール(第1コンタクトホール)の形成時に、ゲート電極が深く掘り下げられることを防止できる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、半導体層と、前記半導体層の表面から堀り下がったゲートトレンチと、前記半導体層において、前記ゲートトレンチの側方に形成された第1導電型のボディ領域と、前記半導体層の表層部に形成され、前記ボディ領域に前記半導体層の表面側から接する第2導電型のソース領域と、前記半導体層の表面から前記ソース領域を貫通して、前記ボディ領域に接続される第2導電型のボディコンタクト領域と、前記半導体層の基層部に形成され、前記ボディ領域に前記半導体層の表面側とは反対側の裏面側から接する第1導電型のドレイン領域と、前記ゲートトレンチに埋設されたゲート電極と、前記半導体層上に積層された絶縁膜と、前記絶縁膜における前記ゲート電極に対向する部分に形成され、前記絶縁膜を貫通する第1コンタクトホールと、前記絶縁膜における前記ボディコンタクト領域に対向する部分に形成され、前記絶縁膜を貫通する第2コンタクトホールと、前記第1コンタクトホールを介して、前記ゲート電極に電気的に接続される第1導電プラグと、前記第2コンタクトホールを介して、前記ソース領域および前記ボディコンタクト領域に電気的に接続される第2導電プラグと、平面視で前記第1コンタクトホールと重なる領域において、前記ゲート電極と前記絶縁膜との間に介在され、前記ゲート電極の材料と異なり、かつ、前記半導体層の材料とエッチングレートの異なる材料からなるエッチングストッパ層とを備える、半導体装置である。
【0016】
この構成によれば、半導体層には、その表面から掘り下がったゲートトレンチが形成されている。半導体層において、ゲートトレンチの側方には、第1導電型のボディ領域が形成されている。ボディ領域には、半導体層に形成されたソース領域およびドレイン領域が、それぞれ半導体層の表面側および裏面側から接している。また、ボディ領域には、半導体層の表面からソース領域を貫通するボディコンタクト領域が接続されている。そして、ゲートトレンチには、ゲート電極が埋設されている。これにより、トレンチゲート構造を有する半導体装置が構成されている。
【0017】
トレンチゲート構造の半導体装置において、半導体層上には、絶縁膜が積層されている。絶縁膜には、ゲート電極に対向する部分およびボディコンタクト領域に対向する部分に、それぞれ第1コンタクトホールおよび第2コンタクトホールが貫通して形成されている。
【0018】
ゲート電極には、第1コンタクトホールを介して、第1導電プラグが電気的に接続されている。ソース領域およびボディコンタクト領域には、第2コンタクトホールを介して、第2導電プラグが電気的に接続されている。
【0019】
さらに、ゲート電極と絶縁膜との間には、平面視で第1コンタクトホールと重なる領域において、エッチングストッパ層が介在されている。
【0020】
第1および第2のコンタクトホールは、同じエッチングガスが絶縁膜上から供給されることにより、同時に形成される。つまり、第1および第2のコンタクトホールの形成に際しては、まず、ゲートトレンチ上およびボディコンタクト領域上の絶縁膜が同時にエッチングされる。絶縁膜のエッチング後、ボディコンタクト領域上では、半導体層(ボディコンタクト領域)がエッチングされる。一方、ゲートトレンチ上では、エッチングストッパ層がエッチングされる。
【0021】
エッチングストッパ層は、ゲート電極の材料と異なり、かつ、半導体層の材料とエッチングレートの異なる材料からなる。エッチングストッパ層が上記した材料からなるので、第1および第2コンタクトホールの形成のためのエッチングガスを適当なガス種に定めることにより、単位時間当たりのエッチングストッパ層のエッチング量を、単位時間当たりの半導体層のエッチング量よりも少なくすることができる。その結果、第1コンタクトホールの深さを第2コンタクトホールの深さよりも浅くすることができ、ゲート電極が深く掘り下げられることを防止できる。よって、第1導電プラグとドレイン領域との距離を長く確保することができ、ゲート−ドレイン間におけるリーク電流の発生を抑制することができる。
【0022】
なお、前記エッチングストッパ層は、平面視で前記第1コンタクトホールの全域を包含する領域に形成されていることが好ましい。これにより、平面視で第1コンタクトホールとエッチング層とがずれ、第1コンタクトホールの一部がゲート電極を深く掘り下げて形成されることを確実に防止できる。
【0023】
また、前記エッチングストッパ層は、絶縁材料からなっていてもよい。この場合、前記第1導電プラグは、請求項2に記載されているように、前記エッチングストッパ層を貫通して前記ゲート電極に接続される。エッチングストッパ層を構成する絶縁材料としては、たとえば、窒化シリコン、SiONなどが挙げられる。
【0024】
また、前記エッチングストッパ層は、請求項3に記載されているように、導電材料からなっていてもよい。この場合、第1導電プラグは、前記エッチングストッパ層に当接することにより、前記エッチングストッパ層を介して前記ゲート電極に電気的に接続されていてもよい。また、第1導電プラグは、前記エッチングストッパ層を貫通して前記ゲート電極に直接接続されていてもよい。エッチングストッパ層を構成する導電材料としては、たとえば、金属元素(モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)など)とシリコンとの化合物(メタルシリサイド)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。図1Bは、図1Aのエッチングストッパ層およびその付近を図解的に示す平面図である。
【0027】
半導体装置1は、トレンチゲート型VDMOSFETの単位セルがマトリクス状に配置された構造を有している。なお、図1Aでは、複数の単位セルのうちの一部が示されている。
【0028】
半導体装置1の基体をなすN型の基板2上には、基板2よりもN型不純物が低濃度にドーピングされたシリコンからなる、N型のエピタキシャル層3が積層されている。半導体層としてのエピタキシャル層3の基層部は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、N型のドレイン領域4をなしている。また、エピタキシャル層3には、ドレイン領域4上に、P型のボディ領域5がドレイン領域4に接して形成されている。
【0029】
エピタキシャル層3には、ゲートトレンチ6がその表面31から掘り下がって形成されている。ゲートトレンチ6は、図1Aでは図示しないが、一定の間隔を空けて複数形成され、それらが互いに平行をなして同一方向(図1Aの紙面に垂直な方向、以下、この方向を「ゲート幅に沿う方向」ということがある。)に延びている。ゲートトレンチ6は、互いに対向する平面状の1対の側面61と、1対の側面61の下端において、これらを連設する曲面状の底面62とが一体的に形成されている。これにより、ゲートトレンチ6は、断面視略U字状に形成されている。ゲートトレンチ6は、ボディ領域5を層厚方向に貫通し、その最深部(底面62)がドレイン領域4に達している。
【0030】
ゲートトレンチ6内には、側面61および底面62の全域を覆うように、酸化シリコンからなるゲート絶縁膜7が形成されている。
【0031】
そして、ゲートトレンチ6内には、ゲート絶縁膜7の内側にゲート電極8が埋設されている。ゲート電極8は、たとえば、N型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンからなる。ゲート電極8は、ゲートトレンチ6のゲート幅に沿う方向に延びる平面視細長形状に形成されている。ゲート電極8の表面81は、エピタキシャル層3の表面31に対して一段低くなっている。
【0032】
ゲート電極8上には、エッチングストッパ層14が形成されている。エッチングストッパ層14は、たとえば、窒化シリコン、SiONなどの絶縁材料からなる。エッチングストッパ層14は、ゲートトレンチ6内におけるゲート電極8上を埋め尽くすように形成され、その表面20がエピタキシャル層3の表面31と面一をなしている。
【0033】
エピタキシャル層3の表層部には、ゲートトレンチ6に対してゲート幅と直交する方向(図1Aにおける左右方向)の両側に、ソース領域9が形成されている。ソース領域9は、ドレイン領域4のN型不純物濃度よりも高いN型不純物濃度(たとえば、1019/cm)を有している。ソース領域9は、ゲートトレンチ6に沿ってゲート幅に沿う方向に延び、その底部がエピタキシャル層3の表面側からボディ領域5に接している。
【0034】
また、エピタキシャル層3には、その表面31から、ゲート幅と直交する方向におけるソース領域9の中央部を貫通し、ボディ領域5に接続されるP型のボディコンタクト領域10が形成されている。
【0035】
すなわち、ゲートトレンチ6およびソース領域9は、ゲート幅と直交する方向に交互に設けられ、それぞれゲート幅に沿う方向に延びている。そして、ソース領域9上に、ソース領域9に沿って、ゲート幅と直交する方向に隣接するユニットセル間の境界が設定されている。ボディコンタクト領域10は、ゲート幅と直交する方向に隣接する2つのユニットセル間に跨って少なくとも1つ以上設けられている。また、ゲート幅に沿う方向に隣接するユニットセル間の境界は、各ユニットセルに含まれるゲート電極8が一定のゲート幅を有するように設定されている。
【0036】
エピタキシャル層3上には、酸化シリコンからなる層間絶縁膜11が積層されている。層間絶縁膜11は、ソース領域9、ボディコンタクト領域10およびエッチングストッパ層14に接触してこれらを覆っている。これにより、エッチングストッパ層14は、その裏面側から接触するゲート電極8とその表面側から接触する層間絶縁膜11との間に介在されている。
【0037】
層間絶縁膜11のゲート電極8に対向する表面12から、ゲートトレンチ6の深さ方向において、層間絶縁膜11およびエッチングストッパ層14を貫通し、ゲート電極8の途中に至るように、ゲートコンタクトホール13が形成されている。ゲートコンタクトホール13の底面は、ソースコンタクトホール15(後述)の底面に対して、エピタキシャル層3の表面31側に位置している。ゲートコンタクトホール13は、図1Bに示すように、平面視でエッチングストッパ層14のゲート幅と直交する方向の幅よりも小さい径を有する、略円形状に形成されている。これにより、エッチングストッパ層14は、平面視において、ゲートコンタクトホール13の全域を包含している。
【0038】
また、層間絶縁膜11には、ボディコンタクト領域10に対向する部分に、ソースコンタクトホール15が形成されている。ソースコンタクトホール15は、層間絶縁膜11を貫通し、ボディコンタクト領域10の表層部を掘り下げて形成されている。これにより、ソースコンタクトホール15には、その側面にソース領域9が露出し、その底面にボディコンタクト領域10が露出している。
【0039】
ゲートコンタクトホール13には、導電材料からなるゲートコンタクトプラグ16が埋設されている。第1導電プラグとしてのゲートコンタクトプラグ16は、ゲート電極8に電気的に接続されている。
【0040】
ソースコンタクトホール15には、導電材料からなるソースコンタクトプラグ17が埋設されている。第2導電プラグとしてのソースコンタクトプラグ17は、ボディコンタクト領域10およびソース領域9に電気的に接続されている。
【0041】
また、層間絶縁膜11上には、ゲートコンタクトプラグ16と一体をなすゲート配線18と、ソースコンタクトプラグ17と一体をなすソース配線19が、互いに絶縁されて形成されている。
【0042】
ソース配線19は、接地されている。ソース配線19が接地されることにより、ソースコンタクトプラグ17を介してソース配線19に電気的に接続されるソース領域9およびボディ領域5の電位は、グランド電位とされる。
【0043】
基板2の裏面には、ドレイン電極22が形成されている。ドレイン電極22には、ドレイン配線23が接続されている。
【0044】
ドレイン電極22に適当な大きさの正電圧を印加しつつ、ゲート電極8の電位を制御することにより、ボディ領域5におけるゲート絶縁膜7との界面近傍にチャネルを形成して、ソース配線19とドレイン配線23との間に電流を流すことができる。
【0045】
図2A〜図2Mは、図1Aに示す半導体装置の製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
【0046】
まず、エピタキシャル成長法により、基板2上に、エピタキシャル層3が形成される。
【0047】
次いで、熱酸化処理により、エピタキシャル層3の表面31に、酸化シリコンからなる犠牲酸化膜24が形成される。その後、P−CVD(Plasma Chemical Vapor Deposition:プラズマ化学気相成長)法、LP−CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)などの方法により、犠牲酸化膜24上に、窒化シリコンからなる犠牲窒化膜25が形成される。そして、犠牲酸化膜24および犠牲窒化膜25がパターニングされることによって、図2Aに示すように、ゲートトレンチ6を形成すべき部分と対向する部分に開口27を有するハードマスク26が形成される。
【0048】
次いで、ハードマスク26を利用して、開口27から露出する表面31からのエッチングにより、図2Bに示すように、エピタキシャル層3に底面62および1対の側面61を有するゲートトレンチ6が形成される。
【0049】
次いで、熱酸化処理により、図2Cに示すように、ゲートトレンチ6の内面に犠牲酸化膜29が形成される。
【0050】
その後、図2Dに示すように、犠牲窒化膜25が除去される。さらに、犠牲酸化膜24および犠牲酸化膜29が除去される。これにより、エピタキシャル層3の表面31およびゲートトレンチ6の内面が露出する。
【0051】
次いで、熱酸化処理により、図2Eに示すように、エピタキシャル層3の表面31およびゲートトレンチ6の内面に酸化膜30が形成される。
【0052】
次いで、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、図2Fに示すように、エピタキシャル層3上に、ゲート電極の材料としてのポリシリコンの堆積層28が形成される。ゲートトレンチ6は、堆積層28により埋め尽くされ、エピタキシャル層3は、酸化膜30を介して堆積層28により覆われる。
【0053】
その後、エッチバックにより、堆積層28のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去される。堆積層28は、図2Gに示すように、そのエッチバック面が、エピタキシャル層3の表面31に対して予め定める深さだけ低くなるまでエッチバックされる。これにより、ゲートトレンチ6内に残存する堆積層28がゲート電極8となる。
【0054】
続いて、CVD法により、図2Hに示すように、エピタキシャル層3上に、エッチングストッパ層の材料からなる堆積層32が形成される。ゲートトレンチ6は、堆積層32により埋め尽くされ、エピタキシャル層3は、酸化膜30を介して堆積層32により覆われる。
【0055】
次いで、エッチバックにより、堆積層32のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去される。すなわち、堆積層32は、図2Iに示すように、そのエッチバック面(表面20)とエピタキシャル層3の表面31とが平坦になるまでエッチバックされる。これにより、ゲートトレンチ6内に残存する堆積層32がエッチングストッパ層14となる。
【0056】
続いて、エッチングによって、エピタキシャル層3の表面31上の酸化膜30が除去される。これにより、図2Iに示すように、エピタキシャル層3の表面31が露出するとともに、ゲートトレンチ6内に残存する酸化膜30がゲート絶縁膜7となる。
【0057】
次いで、イオン注入法により、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)がエピタキシャル層3にその表面31から導入される。そして、P型不純物を拡散させるための熱処理が行われることにより、図2Jに示すように、ゲートトレンチ6の側方に、ゲートトレンチ6の上端から底部に至るボディ領域5が形成される。また、ゲートトレンチ6の底部から基板2に至るエピタキシャル層3の基層部には、ボディ領域5と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域4が形成される。
【0058】
次いで、イオン注入法により、N型不純物(たとえば、ヒ素イオン)がエピタキシャル層3にその表面31から導入される。そして、N型不純物を拡散させるための熱処理が行われることにより、図2Jに示すように、エピタキシャル層3の表層部にソース領域9が形成される。さらに、イオン注入法により、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)がエピタキシャル層3にその表面31から導入される。そして、P型不純物を拡散させるための熱処理が行われることにより、図2Jに示すように、ソース領域9を貫通してボディ領域5に接するボディコンタクト領域10が形成される。
【0059】
その後、CVD法により、図2Kに示すように、エピタキシャル層3に層間絶縁膜11が積層される。
【0060】
次いで、フォトリソグラフィにより、層間絶縁膜11上にマスク(図示せず)が形成される。このマスクには、層間絶縁膜11の、ゲートトレンチ6に対向する部分およびボディコンタクト領域10に対向する部分をそれぞれ露出させる開口が形成されている。
【0061】
そして、当該マスクの開口から露出する層間絶縁膜11の複数の部分に対して、同じエッチングガスが同時に供給される。エッチングガスとしては、層間絶縁膜11(酸化シリコン)およびエピタキシャル層3(シリコン)をエッチングすることのできるガス、たとえば、CFガスなどが用いられる。
【0062】
このエッチング工程においては、まず、ゲートトレンチ6上およびボディコンタクト領域10上の層間絶縁膜11が同時にエッチングされる。層間絶縁膜11のエッチング後、ボディコンタクト領域10上では、エピタキシャル層3(ボディコンタクト領域10)がエッチングされる。一方、ゲートトレンチ6上では、エッチングストッパ層14がエッチングされる。そして、ボディコンタクト領域10上において、ソース領域9が露出するまでエッチングガスが供給された後、エッチングガスの供給が停止される。これにより、図2Lに示すように、ボディコンタクト領域10およびソース領域9を露出させるソースコンタクトホール15と、エッチングストッパ層14を貫通し、ゲート電極8を露出させるゲートコンタクトホール13とが同時に形成される。
【0063】
なお、CFガスに対する、エピタキシャル層3を形成するシリコンのエッチングレートは、たとえば、200〜300nm/minである。また、エッチングストッパ層14を形成する窒化シリコンのエッチングレートは、シリコンよりも小さく、たとえば、15〜20nm/minである。また、ゲート電極8を形成するポリシリコンのエッチングレートは、シリコンよりも大きく、たとえば、350〜450nm/minである。
【0064】
その後、スパッタ法により、エピタキシャル層3上に、導電材料が成膜される。導電材料は、ゲートコンタクトホール13およびソースコンタクトホール15を埋め尽くし、層間絶縁膜11上に薄膜を形成するように付着(堆積)される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、層間絶縁膜11上の導電材料がパターニングされる。これにより、図2Mに示すように、それぞれ一体をなす、ゲートコンタクトプラグ16およびゲート配線18と、ソースコンタクトプラグ17およびソース配線19とが同時に形成される。また、スパッタ法により、基板2の裏面にドレイン電極22が形成される。
【0065】
以上の工程を経て、図1Aに示す半導体装置1が得られる。
【0066】
上述したように、ゲートコンタクトホール13およびソースコンタクトホール15の形成のためのエッチングガスとして、CFガスが用いられる。そして、CFガスに対するエッチングストッパ層14のエッチングレートは、たとえば、15〜20nm/minであり、エピタキシャル層3のエッチングレート(たとえば、200〜300nm/min)よりも小さい。
【0067】
そのため、ゲートコンタクトホール13およびソースコンタクトホール15の形成時に、単位時間当たりのエッチングストッパ層14のエッチング量を、単位時間当たりのエピタキシャル層3のエッチング量よりも少なくすることができる。その結果、ゲートコンタクトホール13の深さをソースコンタクトホール15の深さよりも浅くすることができ、ゲート電極8が深く掘り下げられることを防止できる。よって、ゲートコンタクトプラグ16とドレイン領域4との距離を長く確保することができ、ゲート−ドレイン間におけるリーク電流の発生を抑制することができる。
【0068】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。図3において、図1Aに示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
【0069】
図3の半導体装置41では、エッチングストッパ層14は、たとえば、金属元素(モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)など)とシリコンとの化合物(メタルシリサイド)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの導電材料からなる。
【0070】
ゲートコンタクトホール13は、その底面がエッチングストッパ層14の層厚方向途中に位置するように形成されている。そして、ゲートコンタクトホール13に埋設されるゲートコンタクトプラグ16は、エッチングストッパ層14に当接し、エッチングストッパ層14を介してゲート電極8に電気的に接続されている。
【0071】
その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、また、動作も同様である。
【0072】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することができる。
【0073】
たとえば、半導体装置1の各半導体部分は、その導電型が反対導電型であってもよい。すなわち、半導体装置1および半導体装置41において、P型の部分がN型であり、N型の部分がP型であってもよい。
【0074】
また、エッチングストッパ層14は、図4に示すように、平面視でゲートコンタクトホール13よりもやや大きい外形を有する円環状に形成されていてもよい。
【0075】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
【図1B】図1Aのエッチングストッパおよびその付近を図解的に示す平面図である。
【図2A】図1Aに示す半導体装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【図2B】図2Aの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2C】図2Bの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2D】図2Cの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2E】図2Dの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2F】図2Eの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2G】図2Fの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2H】図2Gの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2I】図2Hの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2J】図2Iの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2K】図2Jの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2L】図2Kの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2M】図2Lの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
【図4】図1Bに示すエッチングストッパ層の変形例を示す平面図である。
【図5】従来のトレンチゲート型VDMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 半導体装置
3 エピタキシャル層(半導体層)
4 ドレイン領域
5 ボディ領域
6 ゲートトレンチ
8 ゲート電極
9 ソース領域
10 ボディコンタクト領域
11 層間絶縁膜(絶縁膜)
12 表面(絶縁膜の表面)
13 ゲートコンタクトホール(第1コンタクトホール)
14 エッチングストッパ層
15 ソースコンタクトホール(第2コンタクトホール)
16 ゲートコンタクトプラグ(第1導電プラグ)
17 ソースコンタクトプラグ(第2導電プラグ)
31 表面(半導体層の表面)
41 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層の表面から堀り下がったゲートトレンチと、
前記半導体層において、前記ゲートトレンチの側方に形成された第1導電型のボディ領域と、
前記半導体層の表層部に形成され、前記ボディ領域に前記半導体層の表面側から接する第2導電型のソース領域と、
前記半導体層の表面から前記ソース領域を貫通して、前記ボディ領域に接続される第2導電型のボディコンタクト領域と、
前記半導体層の基層部に形成され、前記ボディ領域に前記半導体層の表面側とは反対側の裏面側から接する第1導電型のドレイン領域と、
前記ゲートトレンチに埋設されたゲート電極と、
前記半導体層上に積層された絶縁膜と、
前記絶縁膜における前記ゲート電極に対向する部分に形成され、前記絶縁膜を貫通する第1コンタクトホールと、
前記絶縁膜における前記ボディコンタクト領域に対向する部分に形成され、前記絶縁膜を貫通する第2コンタクトホールと、
前記第1コンタクトホールを介して、前記ゲート電極に電気的に接続される第1導電プラグと、
前記第2コンタクトホールを介して、前記ソース領域および前記ボディコンタクト領域に電気的に接続される第2導電プラグと、
平面視で前記第1コンタクトホールと重なる領域において、前記ゲート電極と前記絶縁膜との間に介在され、前記ゲート電極の材料と異なり、かつ、前記半導体層の材料とエッチングレートの異なる材料からなるエッチングストッパ層とを備える、半導体装置。
【請求項2】
前記エッチングストッパ層が、絶縁材料からなり、
前記第1導電プラグが、前記エッチングストッパ層を貫通して前記ゲート電極に接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記エッチングストッパ層が、導電材料からなる、請求項1に記載の半導体装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図2M】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−147298(P2010−147298A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323908(P2008−323908)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】