説明

半導体記憶装置

【課題】強誘電体膜の膜質を均一化するチェインFeRAM型半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置80は、同一素子形成領域に隣接配置される、一対のソース/ドレイン層5を有するメモリトランジスタTR1及びTR2と、メモリトランジスタのソース/ドレイン層5の他方とメモリトランジスタTR2のソース/ドレイン層5の一方に、ビア及びバリアメタル膜13を介して接続される強誘電体キャパシタCAP1及びCAP2とを有する。強誘電体キャパシタCAP1及びCAP2は、バリアメタル膜13上に設けられ、四角錐台形状の下部電極14と、下部電極14を覆うように設けられる強誘電体膜15とを共有し、強誘電体キャパシタCAP1は、強誘電体膜15上に設けられる第1の上部電極16aを有し、強誘電体キャパシタCAP2は、強誘電体膜15上に設けられ、第1の上部電極16aと離間して配置される第2の上部電極16bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
強誘電体キャパシタを用いた不揮発性半導体記憶装置であるFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)は低消費電力、高速書き込み、高書き換え回数が可能等の利点を有する。このため、FeRAMは次世代の不揮発性メモリとしての多数開発が行われている。近年の半導体装置の微細化に伴い、FeRAMの微細化も進んできている。FeRAMは、微細化が進行するとキャパシタ電極と電極間に形成された強誘電体膜との接触面積が小さくなる。
【0003】
接触面積がある一定の大きさよりも小さくなると強誘電体膜と電極間の信号量が急激に減少してしまう。この信号量の減少により、微細化を進めることが困難となっている。そこで、スタック構造にかえて下部電極を四角錐台形状に加工し、その下部電極の上部及び側部に強誘電体薄膜を形成する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に記載されるFeRAMでは、四角錐台形状を有する強誘電体キャパシタの段差を考慮して、被覆性、均一性、スループットの優れたMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて強誘電体膜を形成している。ところが、このFeRAMを微細化すると、強誘電体膜の組成や結晶性が四角錐台形状の上部、斜面、及び底部などで異なる。強誘電体膜の組成や結晶性が均一ではなくなると、強誘電体キャパシタの容量が一定な値にすることが困難となり、容量値が変動するという問題点が発生する。このため、FeRAMの動作マージンが低下するという問題点が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−251985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、膜質が均一化された強誘電体膜を有する半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の半導体記憶装置は、メモリトランジスタと強誘電体キャパシタが並列接続されるメモリセルが直列に複数接続されるTCユニット直列型半導体記憶装置であって、一対のソース/ドレイン層を有する第1のメモリトランジスタと、前記第1のメモリトランジスタに対して同一素子形成領域に隣接配置され、一対のソース/ドレイン層を有し、ソース/ドレイン層の一方が前記第1のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と共有される第2のメモリトランジスタと、前記第1のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と前記第2のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の一方に、ビア及びバリアメタル膜を介して接続される第1及び第2の強誘電体キャパシタとを具備し、前記第1及び第2の強誘電体キャパシタは、前記バリアメタル膜上に設けられ、角錐台形状或いは円錐台形状の下部電極と、前記下部電極を覆うように設けられる強誘電体膜とを共有し、前記第1の強誘電体キャパシタは、前記強誘電体膜上に設けられる第1の上部電極を有し、前記第2の強誘電体キャパシタは、前記強誘電体膜上に設けられ、前記第1の上部電極と離間して配置される第2の上部電極を有することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明の他態様の半導体記憶装置は、1つのメモリトランジスタと1つの強誘電体キャパシタから構成されるメモリセルがマトリックス状に配置される1T1C型半導体記憶装置であって、第1の素子形成領域に隣接配置され、一対のソース/ドレイン層を有し、ソース/ドレイン層の一方が隣接するメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と共有される第1乃至3のメモリトランジスタと、前記第1の素子形成領域と並列配置される第2の素子形成領域に隣接配置され、一対のソース/ドレイン層を有し、ソース/ドレイン層の一方が隣接するメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と共有される第4乃至6のメモリトランジスタと、前記第1のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と前記第2のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の一方に、ビア及び第1のバリアメタル膜を介して接続される第1及び第2の強誘電体キャパシタと、前記第5のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と前記第6のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の一方に、ビア及び第2のバリアメタル膜を介して接続される第3及び第4の強誘電体キャパシタとを具備し、前記第1及び第4のメモリトランジスタ、前記第2及び第5のメモリトランジスタ、及び前記第3及び第6のメモリトランジスタは、それぞれ同一ワード線を共有し、前記第1及び第2の強誘電体キャパシタは、前記第1のバリアメタル膜上に設けられ、角錐台形状或いは円錐台形状の第1の下部電極と、前記第1の下部電極を覆うように設けられる第1の強誘電体膜とを共有し、前記第1の強誘電体キャパシタは、前記第1の強誘電体膜上に設けられる第1の上部電極を有し、前記第2の強誘電体キャパシタは、前記第1の強誘電体膜上に設けられ、前記第1の上部電極と離間して配置される第2の上部電極を有し、前記第3及び第4の強誘電体キャパシタは、前記第2のバリアメタル膜上に設けられ、角錐台形状或いは円錐台形状の第2の下部電極と、前記第2の下部電極を覆うように設けられる第2の強誘電体膜とを共有し、前記第3の強誘電体キャパシタは、前記第2の強誘電体膜上に設けられる第3の上部電極を有し、前記第4の強誘電体キャパシタは、前記第2の強誘電体膜上に設けられ、前記第3の上部電極と離間して配置される第4の上部電極を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、膜質が均一化された強誘電体膜を有する半導体記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体記憶装置を示す平面図。
【図2】図1のA−A線に沿う半導体記憶装置の断面図。
【図3】図1のB−B線に沿う半導体記憶装置の断面図。
【図4】本発明の実施例1に係る比較例の半導体記憶装置を示すビット線方向の断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る比較例の半導体記憶装置を示すワード線方向の断面図。
【図6】本発明の実施例1に係るPZT膜の組成分析箇所を示す図、図6(a)は本実施例の組成分析箇所を示す図、図6(b)は比較例の組成分析箇所を示す図。
【図7】本発明の実施例1に係るPZT膜の組成を示す図、図7(a)は鉛(Pb)の組成を示す図、図7(b)はジルコニウム(Zr)の組成を示す図。
【図8】本発明の実施例1に係る半導体記憶装置の製造工程を示す図、図8(a)は半導体記憶装置を示す平面図、図8(b)は図8(a)のC−C線に沿う半導体記憶装置の断面図、図8(c)は図8(a)のD−D線に沿う半導体記憶装置の断面図。
【図9】本発明の実施例1に係る半導体記憶装置の製造工程を示す断面図、図9(a)は図8(a)のC−C線に沿う半導体記憶装置の断面図、図9(b)は図8(a)のD−D線に沿う半導体記憶装置の断面図。
【図10】本発明の実施例1に係る半導体記憶装置の製造工程を示す断面図、図10(a)は図8(a)のC−C線に沿う半導体記憶装置の断面図、図10(b)は図8(a)のD−D線に沿う半導体記憶装置の断面図。
【図11】本発明の実施例1に係る半導体記憶装置の製造工程を示す断面図、図11(a)は図8(a)のC−C線に沿う半導体記憶装置の断面図、図11(b)は図8(a)のD−D線に沿う半導体記憶装置の断面図。
【図12】本発明の実施例1に係る半導体記憶装置の製造工程を示す断面図、図12(a)は図8(a)のC−C線に沿う半導体記憶装置の断面図、図12(b)は図8(a)のD−D線に沿う半導体記憶装置の断面図。
【図13】本発明の実施例1に係る半導体記憶装置の製造工程を示す断面図、図13(a)は図8(a)のC−C線に沿う半導体記憶装置の断面図、図13(b)は図8(a)のD−D線に沿う半導体記憶装置の断面図。
【図14】本発明の実施例2に係る半導体記憶装置を示す図、図14(a)は半導体記憶装置を示す平面図、図14(b)は、メモリセルの配置を説明する図。
【図15】本発明の実施例3に係る半導体記憶装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、本発明の実施例1に係る半導体記憶装置について、図面を参照して説明する。図1は半導体記憶装置を示す平面図、図2は図1のA−A線に沿う半導体記憶装置の断面図、図3は図1のB−B線に沿う半導体記憶装置の断面図である。本実施例では、強誘電体キャパシタを四角錐台形状にし、ビット線方向の寸法をワード線方向の寸法よりも大きくし、隣接配置される強誘電体キャパシタの下部電極を共有化している。
【0013】
図1に示すように、半導体記憶装置80は、水平方向に素子形成領域(BL)100が並列して平行に複数設けられ、素子形成領域(BL)100の間には素子分離領域101が設けられる。半導体記憶装置80は、垂直方向に並列配置される2つのワード線WLが設けられる。素子形成領域(BL)100上には、ソース/ドレイン層5上に形成される強誘電体キャパシタの第1の上部電極16aと、第1の上部電極16aと離間して配置され、ソース/ドレイン層5上に形成される第2の上部電極16bとが2つのワード線WLの両側に設けられる。2つのワード線WLの両側に設けられる第1の上部電極16aと第2の上部電極16bは、その上部に設けられる上部電極19で接続される。
【0014】
半導体記憶装置80は、メモリトランジスタと強誘電体キャパシタが並列接続されるメモリセルが直列に複数接続されるTCユニット直列型FeRAMである(詳細は後述する)。なお、TCユニット直列型FeRAMは、チェーンFeRAMとも呼称される。
【0015】
図2に示すように、半導体記憶装置80(ビット線方向)では、P型のシリコン基板1表面に複数のN型のソース/ドレイン層5が設けられる。ソース/ドレイン層5表面には、ソース/ドレイン層5よりも高不純物濃度のN層6が設けられる。N層6表面には、シリサイド層7が設けられる。
【0016】
半導体記憶装置80は、シリコン基板1上にメモリトランジスタが複数並列配置される(メモリトランジスタTR1、メモリトランジスタTR2、メモリトランジスタTR3、メモリトランジスタTR4、・・・)。メモリトランジスタTR1乃至TR4は、シリコン基板1上の設けられるゲート絶縁膜2と、ゲート絶縁膜2上に設けられるゲート電極3と、ゲート絶縁膜2とオーバーラップするようにシリコン基板1表面に設けられる一対のソース/ドレイン層5と、ゲート絶縁膜2及びゲート電極3の端部に設けられる側壁絶縁膜4とを有する。
【0017】
メモリトランジスタのソース/ドレイン層5の一方は、隣接配置されるメモリトランジスタのソース/ドレイン層5の他方と共有化されている。ここで、ゲート電極3はワード線WLとして用いられる。
【0018】
メモリトランジスタTR1乃至TR4上には、層間絶縁膜8、層間絶縁膜9、及び水素バリア膜12が積層形成される。メモリトランジスタTR1とメモリトランジスタTR2の間のシリサイド層7上と、メモリトランジスタTR3とメモリトランジスタTR4の間のシリサイド層7上とには、水素バリア膜12、層間絶縁膜9、及び層間絶縁膜8をエッチングした2つの開口部にビア10aとビア10bがシリサイド層7と接するようにそれぞれ埋設される。メモリトランジスタTR2と相対向するメモリトランジスタTR3の間のシリサイド層7上には、水素バリア膜12、層間絶縁膜9、及び層間絶縁膜8をエッチングした開口部にビア11がシリサイド層7と接するように埋設される。
【0019】
水素バリア膜12、ビア10a、及びビア10b上には、バリアメタル膜13、下部電極14、及び強誘電体膜15が積層形成される。下部電極14は、ビア10a及びバリアメタル膜13を介してメモリトランジスタTR1のソース/ドレイン層の一方に接続され、ビア10b及びバリアメタル膜13を介してメモリトランジスタTR2のソース/ドレイン層の他方に接続される。下部電極14は、四角錐台形状の上部と、この上部と比較して水平方向に突出した顎部を有する底部とから構成される。下部電極14の底部はバリアメタル膜13の上面を全て覆っている。バリアメタル膜13の端面、下部電極14の顎部の端面、及び強誘電体膜15の端面は、水平方向において整合されている。なお、メモリトランジスタTR3及びTR4上の下部電極14も同様な構造を有する(説明を省略する)。
【0020】
メモリトランジスタTR1側の強誘電体膜15上には、第1の上部電極16aが設けられる。メモリトランジスタTR2側の強誘電体膜15上には、第1の上部電極16aと離間配置される第2の上部電極16bが設けられる。第1の上部電極16aと第2の上部電極16bの間と、第1の上部電極16a上の上部電極19と第2の上部電極16b上の上部電極19の間とには、層間絶縁膜20が埋設される。なお、メモリトランジスタTR3及びTR4上の第1の上部電極16a及び第2の上部電極16bも同様な構造を有する(説明を省略する)。
【0021】
ビア11上には、逆台形のビア18が設けられる。バリアメタル膜13の端面、下部電極14の顎部の端面、強誘電体膜15の端面、及び第1の上部電極16bとビア18の間と、バリアメタル膜13の端面、下部電極14の顎部の端面、強誘電体膜15の端面、及び第2の上部電極16aとビア18の間とには、層間絶縁膜17が埋設される。ビア18上には、ビア18の両側に配置される第1の上部電極16a及び第2の上部電極16bに接続される上部電極19が設けられる。
【0022】
強誘電体キャパシタCAP1及びCAP2は、メモリトランジスタTR1とメモリトランジスタTR2の間に設けられるビア10a及び10b上に形成され、下部電極14を共有する。強誘電体キャパシタCAP3及びCAP4は、メモリトランジスタTR3とメモリトランジスタTR4の間に設けられるビア10a及び10b上に形成され、下部電極14を共有する。
【0023】
強誘電体キャパシタCAP1とメモリトランジスタTR1、強誘電体キャパシタCAP2とメモリトランジスタTR2、強誘電体キャパシタCAP3とメモリトランジスタTR3、及び強誘電体キャパシタCAP4とメモリトランジスタTR4は、それぞれ並列接続される。強誘電体キャパシタCAP1とメモリトランジスタTR1から構成される第1のメモリセル、強誘電体キャパシタCAP2とメモリトランジスタTR2から構成される第2のメモリセル、強誘電体キャパシタCAP3とメモリトランジスタTR3から構成される第3のメモリセル、及び強誘電体キャパシタCAP4とメモリトランジスタTR4から構成される第4のメモリセルは直列に接続される。
【0024】
ここで、強誘電体キャパシタのビット線方向の寸法は、底部が上部よりも大きい(ビット線方向キャパシタ幅Wb1>ビット線方向キャパシタ幅Wb2)。また、強誘電体キャパシタのビット線方向の間隔はWbs1に設定される。
【0025】
図3に示すように、半導体記憶装置80(ワード線方向)は、P型のシリコン基板1表面に複数のN型のソース/ドレイン層5が設けられる。ソース/ドレイン層5表面には、ソース/ドレイン層5よりも高不純物濃度のN層6が設けられる。N層6表面には、シリサイド層7が設けられる。
【0026】
シリサイド層7上には、積層形成される層間絶縁膜9及び水素バリア膜12をエッチングした開口部にビア10aが埋設される。ビア10a及び水素バリア膜12上には、バリアメタル膜13、下部電極14、及び強誘電体膜15が積層形成される。下部電極14は、四角錐台形状の上部と、この上部と比較して水平方向に突出した顎部を有する底部とから構成される。下部電極14の底部はバリアメタル膜13の上面を全て覆っている。バリアメタル膜13の端面、下部電極14の顎部の端面、及び強誘電体膜15の端面は、水平方向において整合されている。強誘電体キャパシタのワード線方向の寸法は、底部が上部よりも大きい(ワード線方向キャパシタ幅Ww1>ワード線方向キャパシタ幅Ww2)。また、強誘電体キャパシタのワード線方向の間隔はWws1に設定される。
【0027】
ここで、ゲート電極2には、多結晶シリコン膜を用いているが、代わりにタングステン珪化(WSi)膜、或いはそれらの積層構造等からなるポリサイド構造を用いてもよい。側壁絶縁膜4には、例えば、シリコン窒化膜(SiN膜)を用いている。ビア10a、ビア10b、ビア11には、タングステン(W)を用いているが高不純物濃度の単結晶シリコン膜や多結晶シリコン膜などを用いてもよい。なお、ビア10a、ビア10b、ビア11は、ビアコンタクト或いはコンタクトプラグとも呼称される。ビア18には、例えばタングステン(W)を用いている。
【0028】
水素バリア膜12には、酸化アルミニウム(Al)を用いているが、代わりにシリコン窒化膜(SiN膜)などを用いてもよい。バリアメタル膜13には、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)を用いているが、代わりにチタンアルミニウム(TiAl)、チタン(Ti)、或いは窒化チタン(TiN)などを用いてもよい。
【0029】
下部電極14には、イリジウム(Ir)を用いているが、代わりにペロブスカイト構造を有する単結晶金属膜からなるSrRuO、酸化イリジウム(IrO)などを用いてもよい。なお、SrRuOを用いた場合、四角錐台形状の側面に形成された強誘電体膜15が下部電極10と格子整合する。
【0030】
強誘電体膜15には、PZT(Pb(Zr、Ti)O)を用いているが、代わりにSBT(SrBiTa)或いはBIT(BiTi12)などを用いてもよい。第1の上部電極16a、第2の上部電極16b、上部電極19には、酸化イリジウム(IrO)を用いているが、代わりにイリジウム(Ir)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、酸化ルテニウム(RuO)、SrRuO3(SRO)、LaNiO3(LNO)、或いは(La,Sr)CoO3(LSCO)などを用いてもよい。第1の上部電極16a、第2の上部電極16b、上部電極19は単一の材料から形成されている必要はなく積層構造となっていてもよい。また、層間絶縁膜20には、例えばシリコン酸化膜(SiO膜)を用いているが、代わりに水素バリア膜であるアルミナ膜(Al膜)とシリコン酸化膜(SiO膜)の積層膜を用いてもよい。
【0031】
次に、比較例の半導体記憶装置について図4及び図5を参照して説明する、図4は比較例の半導体記憶装置を示すビット線方向の断面図、図5は比較例の半導体記憶装置を示すビット線方向の断面図である。比較例の半導体記憶装置81は、本実施例の半導体記憶装置80とは水素バリア膜12までの構造は同一であり、水素バリア膜12よりも上部の構造が異なるので、異なる点のみ説明する。
【0032】
図4に示すように、比較例の半導体記憶装置81(ビット線方向)では、メモリトランジスタTR1のソース/ドレイン層5の一方に電気的に接続されるビア10a上に、バリアメタル膜13及び下部電極14が積層形成される。メモリトランジスタTR2のソース/ドレイン層5の他方に電気的に接続されるビア10b上に、バリアメタル膜13及び下部電極14が積層形成される。比較例の半導体記憶装置81では、強誘電体キャパシタCAP1と強誘電体キャパシタCAP2は、下部電極を共有せず、別個に配置形成される。積層形成されるバリアメタル膜13及び下部電極14上、及び水素バリア膜12上には強誘電体膜15が設けられる。
【0033】
ここで、強誘電体キャパシタのビット線方向の寸法は、底部が上部よりも大きい(ビット線方向キャパシタ幅Wb11>ビット線方向キャパシタ幅Wb21)。また、メモリトランジスタTR1とメモリトランジスタTR2が共有するソース/ドレイン層上での強誘電体キャパシタのビット線方向の間隔はWbs21に設定される。メモリトランジスタTR2のソース/ドレイン層の一方上での強誘電体キャパシタのビット線方向の間隔はWbs11に設定される。
【0034】
ビット線方向キャパシタ間隔Wbs1、ビット線方向キャパシタ間隔Wbs11、ビット線方向キャパシタ間隔Wbs21の関係は、
Wbs11≧Wbs1>>Wbs21・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(1)
に設定される。ビット線方向キャパシタ幅Wb11、ビット線方向キャパシタ幅Wb21、ビット線方向キャパシタ幅Wb1、ビット線方向キャパシタ幅Wb2の関係は、
Wb1>2Wb11・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(2)
Wb2>2Wb21・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(3)
に設定される。つまり、本実施例の下部電極のビット線方向での寸法が比較例の下部電極のビット線方向での寸法よりも大きく、本実施例では電極と強誘電体膜の接触面積を増大させることができる。
【0035】
図5に示すように、比較例の半導体記憶装置81(ワード線方向)では、強誘電体キャパシタのワード線方向の寸法が、底部が上部よりも大きい(ワード線方向キャパシタ幅Ww11>ワード線方向キャパシタ幅Ww21)。また、強誘電体キャパシタのワード線方向の間隔はWws11に設定される。
【0036】
ここで、ワード線方向キャパシタ幅Ww1、ワード線方向キャパシタ幅Ww11の関係は、
Ww1>Ww11・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(4)
に設定される。ワード線方向キャパシタ間隔Wws1、ビット線方向キャパシタ間隔Wws11の関係は、
Wws1<Wws11・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(5)
に設定される。
【0037】
次に、強誘電体キャパシタのPZT膜の膜質について図6及び図7を参照して説明する。図6はPZT膜の組成分析箇所を示す図、図6(a)は本実施例の組成分析箇所を示す図、図6(b)は比較例の組成分析箇所を示す図、図7はPZT膜の組成を示す図、図7(a)は鉛(Pb)の組成を示す図、図7(b)はジルコニウム(Zr)の組成を示す図である。ここでは、上部電極を堆積した後でのビット線方向におけるPZT膜の膜質について調査している。PZT膜の組成及び構造の調査には、エネルギ分散型X線分析法(EDX Energy Dispersive X-ray Analysis)やX線回折法(XRD X-ray Diffraction)などを用いている。
【0038】
図6に示すように、EDXによるPZT膜(強誘電体膜15)の調査箇所は、比較的に下部電極14の膜厚が薄い部分(点A、点E 最終的に強誘電体キャパシタが形成されない部分)と、下部電極14の四角錐台形状のスロープ部分(点B、点D 最終的に強誘電体キャパシタが形成される四角錐台形状のスロープ部)と、下部電極14の膜厚が一番厚い四角錐台形状の上部(点C 最終的に強誘電体キャパシタが形成される四角錐台形状の上部)との5箇所である。なお、比較例の点Eは、ビット線方向キャパシタ間隔が狭い部分である。
【0039】
図7(a)に示すように、比較例では、下部電極14の四角錐台形状部の繰り返しピッチが本実施例よりも狭く、段差が急峻となる。このため、点B乃至Eではジルコニウム(Zr)原料及びチタン(Ti)原料の供給速度が鉛(Pb)原料の供給速度よりも低下(原料の供給律速)し、鉛(Pb)の組成比が増大すると考えられる((Zr+Ti)の組成比が減少する)。
【0040】
一方、本実施例では、下部電極14の四角錐台形状部の繰り返しピッチが比較例よりも広く、段差が緩やかとなる。このため、点A乃至Eでは、鉛(Pb)原料、ジルコニウム(Zr)原料、チタン(Ti)原料の供給速度が安定し、鉛(Pb)の組成比のばらつきが大幅に抑制されると考えられる。
【0041】
図7(b)に示すように、比較例では、下部電極14の四角錐台形状部の繰り返しピッチが本実施例よりも狭く、段差が急峻となる。このため、点B乃至Eではジルコニウム(Zr)原料とチタン(Ti)原料の供給速度にばらつきが生じ、ジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)の組成比がばらつくと考えられる。
【0042】
一方、本実施例では、下部電極14の四角錐台形状部の繰り返しピッチが比較例よりも広く、段差が緩やかとなる。このため、点A乃至Eでは、ジルコニウム(Zr)原料とチタン(Ti)原料の供給速度が安定し、ジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)の組成比のばらつきが大幅に抑制されると考えられる。
【0043】
なお、図示していないがX線回折法によるPZT膜の結晶構造解析では、本実施例の点A乃至E、比較例の点Aでの結晶性が良好(ペロブスカイト構造)であるのに対し、比較例の点B乃至Eでの結晶性が悪化していることを確認している。
【0044】
次に、半導体記憶装置の製造方法について図8乃至13を参照して説明する。図8は半導体記憶装置の製造工程を示す図、図8(a)は半導体記憶装置の平面図、図8(b)は図8(a)のC−C線に沿う半導体記憶装置の断面図、図8(c)は図8(a)のD−D線に沿う半導体記憶装置の断面図、図9乃至13は半導体記憶装置の製造工程を示す断面図、図9(a)乃至13(a)は図8(a)のC−C線に沿う半導体記憶装置の断面図、図9(b)乃至13(b)は図8(a)のD−D線に沿う半導体記憶装置の断面図である。
【0045】
図8に示すように、例えば、P型シリコン基板1上にシリコン酸化膜などのゲート絶縁膜2、砒素をドープしたn型多結晶シリコン膜、窒化シリコン膜(SiN膜)などのゲートキャップ膜を順に積層させて形成した後、通常のリソグラフィ法とRIE(Reactive Ion Etching)法によって、所定の形状に加工して、積層膜からなるゲート電極3を形成する。ゲート電極3をマスクとしてイオン注入を行い、熱処理により一対のN型のソース/ドレイン層5をゲート電極3のワード線方向両側のシリコン基板1表面に形成する。
【0046】
ソース/ドレイン層5形成後、シリコン窒化膜(SiN膜)などの絶縁膜を、シリコン基板1上に形成し、RIE法を用いた異方性エッチングによって、シリコン基板1表面に堆積した絶縁膜を除去し、ゲート電極3のワード線方向側面にのみ絶縁膜を残すように加工して、側壁絶縁膜4を形成する。ゲート電極3及び側壁絶縁膜4をマスクとしてイオン注入を行い、熱処理によりN型のソース/ドレイン層5表面にN層6を形成し、素子分離絶縁膜で囲まれる所定の領域にMOSトランジスタが形成される。
【0047】
層6形成後、ゲート電極3及びN層6上に金属膜(ニッケル(Ni)或いはタンタル(Ta))を堆積した後、熱処理を行い、シリサイド層7を形成する。シリサイド層7形成後、シリコン基板1上全面に、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて層間絶縁膜8及び9を積層形成する。例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって、層間絶縁膜9を平坦研磨する。層間絶縁膜9上に、例えばスパッタリング法を用いて、酸化アルミニウム(Al)膜からなる水素バリア膜12を形成する。なお、スパッタリング法の代わりにALD(Atomic Layer Deposition)法やCVD法等を用いてもよい。
【0048】
水素バリア膜12形成後、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法により水素バリア膜12、層間絶縁膜9、及び層間絶縁膜8を、順次、異方性エッチングし、MOSトランジスタの一方のソース/ドレイン層5にシリサイド層7が露呈するように開口部を形成する。この開口部にタングステン(W)からなるビアを埋設する(ビア10a、ビア10b)。
【0049】
ビア10a及びビア10b形成後、同様な手法を用いて、MOSトランジスタの他方のソース/ドレイン層5にシリサイド層7を露呈するように開口部を形成し、この開口部にタングステン(W)からなるビア11を埋設する。ここでは、ビア10a及びビア10bと、ビア11とを別工程で形成しているが同時に形成してもよい。
【0050】
次に、図9に示すように、スパッタ法を用いて、ビア10a、ビア10b、及び水素バリア膜12上に窒化チタンアルミニウム(TiAlN)からなるバリアメタル膜13を形成する。バリアメタル膜13上に、CVD法を用いてイリジウム(Ir)からなる下部電極14を形成する。下部電極14上に、CVD法を用いて、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)からなるマスク材21を形成する。
【0051】
続いて、図10に示すように、マスク材21を図示しないレジスト膜をマスクにエッチングする。このレジスト膜を除去後、マスク材21をマスクにバリアメタル膜13表面が露呈するまで下部電極14を四角錐台形状にエッチングする。マスク材21を除去後、膜厚の薄い下部電極14をCVD法を用いて形成し、下部電極14上にPZT膜からなる強誘電体膜15と上部電極16を順次形成する。
【0052】
PZT膜は、溶液気化MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成する。なお、溶液気化は、溶液フラッシュ或いはフラッシュ気化とも呼称される。
【0053】
具体的形成条件は、PZT膜の形成時の基板温度を例えば450℃〜650℃の範囲に設定する。溶媒としてテトラヒドロフラン(THF Tetrahydrofuran)を用いる。反応ガスとして酸素(O)を用いる。鉛(Pb)原料として鉛ビス(ジピバロイルメタナート)(Pb(dpm))、ジルコニウム(Zr)原料としてジルコニウム(ジイソプロピルジピバロイルメタナート)(Zr(iPr)(dpm))、チタン(Ti)原料としてチタン(ジイソプロピルジピバロイルメタナート)(Ti(iPr)(dpm))をそれぞれ用いる。ソース原料として、Pb(dpm)/THF、Zr(iPr)(dpm)/THF、Ti(iPr)(dpm)/THFを用いる。
【0054】
なお、鉛(Pb)原料としてPb(dpm)、ジルコニウム(Zr)原料としてZr(iPr)(dpm)、チタン(Ti)原料としてTi(iPr)(dpm)をそれぞれ用いているが必ずしもこれに限定されるものではない。低温成長が可能な比較的分解温度の低い他の原料を適宜用いてもよい。
【0055】
MOCVD法で形成した膜は、膜内部の欠陥が少なく、電極界面の欠陥も少ないことから、良好な分極特性を有するとともに、疲労特性、インプリント特性、リテンション特性などに対する信頼性もよいので、成膜にMOCVD法を用いることが好ましい。また、MOCVD法は、電極構造に対してステップカバレッジが良好であること、組成制御性に優れること、均一な高品質膜が大面積で得られること、成膜速度が速いこと、PZT膜の薄膜化が可能なこと(低電圧動作が可能なこと)などの利点を有することからも、PZT膜の形成には好ましい。
【0056】
PZT膜である強誘電体膜15の成膜後、酸化イリジウムからなる上部電極16を、CVD法を用いて強誘電体膜15上に形成する。
【0057】
上部電極16形成後、上部電極16上にCVD法を用いて層間絶縁膜17を形成し、CMP法を用いて、層間絶縁膜17を平坦研磨する。周知のリソグラフィ法を用いてレジスト膜31を層間絶縁膜17上に形成する。
【0058】
そして、図11に示すように、レジスト膜31をマスクにして、例えばRIE法を用いて、強誘電体キャパシタ形成領域では層間絶縁膜17、上部電極16、強誘電体膜15を下部電極14表面が露呈するように順次エッチングする。強誘電体キャパシタ間領域では層間絶縁膜17、上部電極16、強誘電体膜15、下部電極14、バリアメタル膜13を水素バリア膜12表面が露呈するように順次エッチングする。この結果、第1の上部電極16aと第2の上部電極16bが分離形成される。
【0059】
次に、図12に示すように、再度CVD法を用いて層間絶縁膜17を形成し、CMP法を用いて、第1の上部電極16a及び第2の上部電極16b表面が露呈するように層間絶縁膜17を平坦研磨する。周知のリソグラフィ法を用いてレジスト膜32を形成する。
【0060】
続いて、図13に示すように、レジスト膜32をマスクに層間絶縁膜17をエッチングし、逆台形を有する開口部を形成する。この開口部にタングステン(W)からなるビア18を埋設する。ビア18形成後、酸化イリジウム(IrO)からなる上部電極19を、CVD法を用いて形成する。周知のリソグラフィ法を用いてレジスト膜33を形成する。レジスト膜33をマスクに上部電極19をエッチングする。レジスト膜33を除去後、上部電極19がエッチングされた開口部に層間絶縁膜20を埋設する。これ以降、図示しないが層間絶縁膜、ビア、及び配線などを形成して半導体記憶装置80が完成する。
【0061】
上述したように、本実施例の半導体記憶装置では、一対のソース/ドレイン層5を有するメモリトランジスタTR1と、メモリトランジスタTR1に対して、同一素子形成領域に隣接配置され、一対のソース/ドレイン層5を有し、ソース/ドレイン層5の一方がメモリトランジスタTR1のソース/ドレイン層5の他方と共有されるメモリトランジスタTR2と、メモリトランジスタのソース/ドレイン層5の他方とメモリトランジスタTR2のソース/ドレイン層5の一方に、ビア及びバリアメタル膜13を介して接続される強誘電体キャパシタCAP1及びCAP2とが設けられる。強誘電体キャパシタCAP1及びCAP2は、バリアメタル膜13上に設けられ、四角錐台形状の下部電極14と、下部電極14を覆うように設けられる強誘電体膜15とを共有し、強誘電体キャパシタCAP1は、強誘電体膜15上に設けられる第1の上部電極16aを有し、強誘電体キャパシタCAP2は、強誘電体膜15上に設けられ、第1の上部電極16aと離間して配置される第2の上部電極16bを有する。下部電極15のビット線方向キャパシタ幅Wb1は比較例のビット線方向キャパシタ幅Wb11よりも広い。下部電極15のビット線方向キャパシタ間隔Wbs1は比較例のビット線方向キャパシタ間隔Wbs11よりも広い。強誘電体膜15はPZT膜からなり、溶液気化MOCVD法を用いて形成される。
【0062】
このため、メモリセルを微細化しても強誘電体膜の組成や結晶性を均一化でき強誘電体キャパシタの容量を一定な値にすることできる。したがって、半導体記憶装置80の動作マージンの低下を抑制することができる。
【0063】
本実施例では、下部電極14を四角錐台形状にしているが、代わりにn角錐台形状(ただし、nは3、又は5以上の整数)、或いは円錐台形状(釣鐘状)にしてもよい。
【実施例2】
【0064】
次に、本発明の実施例2に係る半導体記憶装置について、図面を参照して説明する。図14は半導体記憶装置を示す図、図14(a)は半導体記憶装置を示す平面図、図14(b)は、メモリセルの配置を説明する図である。本実施例では、1T1C型FeRAMに設けられる強誘電体キャパシタを四角錐台形状にし、ビット線方向の寸法をワード線方向の寸法よりも大きくし、隣接配置される強誘電体キャパシタの下部電極を共有化している。
【0065】
図14(a)に示すように、半導体記憶装置90は、水平方向に素子形成領域が並列して平行に複数設けられ(100a、100b、・・・)、第1の素子形成領域(BL)100aと第2の素子形成領域(BL)100bの間には素子分離領域101が設けられる。半導体記憶装置90は、垂直方向に並列配置される複数のワード線WLが設けられる(WL1、WL2、WL3、・・・)。半導体記憶装置90は、1つのメモリトランジスタと1つの強誘電体キャパシタから構成されるメモリセルがマトリックス状に配置される1T1C型FeRAMである。
【0066】
第1の素子形成領域(BL)100aには、複数のメモリトランジスタが並列配置される(TR11、TR12、TR13、・・・)。メモリトランジスタTR11のソース/ドレイン層5の一方上に形成される強誘電体キャパシタの第1の上部電極161とメモリトランジスタTR12のソース/ドレイン層5の他方上に形成される強誘電体キャパシタの第2の上部電極162は、実施例1と同様に下部電極及び強誘電体膜を共有している。
【0067】
第2の素子形成領域(BL)100bには、複数のメモリトランジスタが並列配置される(TR21、TR22、TR23、・・・)。メモリトランジスタTR22のソース/ドレイン層5の一方上に形成される強誘電体キャパシタの第3の上部電極163とメモリトランジスタTR23のソース/ドレイン層5の他方上に形成される強誘電体キャパシタの第4の上部電極164は、実施例1と同様に下部電極及び強誘電体膜を共有している。
【0068】
メモリトランジスタTR11とメモリトランジスタTR21がワード線WL1を、メモリトランジスタTR12とメモリトランジスタTR22がワード線WL2を、メモリトランジスタTR13とメモリトランジスタTR23がワード線WL3をそれぞれ共有している。第2の素子形成領域(BL)100bに設けられる強誘電体キャパシタは、第1の素子形成領域(BL)100aに対して、水平方向(ビット線方向)にハーフピッチシフトして配置される。この構造により、下部電極のショートマージンを保ちながら強誘電体キャパシタの接触面積を増やすことができ、下部電極の構造を実施例1よりも高集積度化することが可能となる。
【0069】
図14(b)に示すように、メモリセルMC1乃至6は、同一セルサイズを有し、互いに隣接配置される。メモリセルMC1は、セルの原点が左下に配置される。メモリセルMC2は、メモリセルMC1の右端に配置され、セルの原点が右下に配置され、メモリセルMC1に対してセルパターンが水平方向に反転配置される。メモリセルMC3は、メモリセルMC2の右端に配置され、セルの原点が左下に配置され、メモリセルMC2に対してセルパターンが水平方向に反転配置される(メモリセルMC1と同一セルパターン配置)。
【0070】
メモリセルMC4は、メモリセルMC1の下端に配置され、セルの原点が左上に配置され、メモリセルMC1に対してセルパターンが垂直方向に反転配置される。メモリセルMC5は、メモリセルMC4の右端に配置され、セルの原点が右上に配置され、メモリセルMC4に対してセルパターンが水平方向に反転配置される(メモリセルMC2に対して垂直方向に反転配置される)。メモリセルMC6は、メモリセルMC5の右端に配置され、セルの原点が左上に配置され、メモリセルMC5に対してセルパターンが水平方向に反転配置される(メモリセルMC3に対して垂直方向に反転配置される)。
【0071】
上述したように、本実施例の半導体記憶装置では、素子形成領域(BL)100aには、複数のメモリトランジスタTR11、TR12、TR13、・・・が並列配置される。素子分離領域101で分離され、並列配置される素子形成領域(BL)100bには、複数のメモリトランジスタTR21、TR22、TR23、・・・が並列配置される。素子形成領域(BL)100bに設けられる強誘電体キャパシタは、素子形成領域(BL)100aに対して、水平方向(ビット線方向)にハーフピッチシフトして配置される。第1の上部電極161と第2の上部電極162は、下部電極及び強誘電体膜を共有している。第3の上部電極163と第4の上部電極164は、下部電極及び強誘電体膜を共有している。
【0072】
このため、実施例1の効果の他に、下部電極のショートマージンを保ちながら強誘電体キャパシタの接触面積を増やすことができ、下部電極の構造を高集積度化することが可能となる。
【実施例3】
【0073】
次に、本発明の実施例3に係る半導体記憶装置について、図面を参照して説明する。図15は半導体記憶装置を示す平面図である。本実施例では、強誘電体キャパシタの上部電極の形状を変更している。
【0074】
図15に示すように、半導体記憶装置91は、水平方向に素子形成領域が並列して平行に複数設けられ(100a、100b、・・・)、第1の素子形成領域(BL)100aと第2の素子形成領域(BL)100bの間には素子分離領域101が設けられる。半導体記憶装置91は、垂直方向に並列配置される複数のワード線WLが設けられる(WL1、WL2、WL3、・・・)。半導体記憶装置91は、1つのメモリトランジスタと1つの強誘電体キャパシタから構成されるメモリセルがマトリックス状に配置される1T1C型FeRAMである。
【0075】
第1の素子形成領域(BL)100aには、複数のメモリトランジスタが並列配置される(TR11a、TR12a、TR13a、・・・)。メモリトランジスタTR11aのソース/ドレイン層5の一方上に形成される強誘電体キャパシタの第1の上部電極171とメモリトランジスタTR12aのソース/ドレイン層5の他方上に形成される強誘電体キャパシタの第2の上部電極172は、実施例1と同様に下部電極及び強誘電体膜を共有している。第1の上部電極171は、左側が突き出た三角形状を有する。第2の上部電極172は、右側が突き出た三角形状を有する(第1の上部電極171に対して、パターンが水平方向に反転配置)。
【0076】
第2の素子形成領域(BL)100bには、複数のメモリトランジスタが並列配置される(TR21a、TR22a、TR23a、・・・)。メモリトランジスタTR22aのソース/ドレイン層5の一方上に形成される強誘電体キャパシタの第3の上部電極173とメモリトランジスタTR23aのソース/ドレイン層5の他方上に形成される強誘電体キャパシタの第4の上部電極174は、実施例1と同様に下部電極及び強誘電体膜を共有している。第3の上部電極173は、左側が突き出た三角形状を有する。第4の上部電極174は、右側が突き出た三角形状を有する(第3の上部電極173に対して、パターンが水平方向に反転配置)。
【0077】
メモリトランジスタTR11aとメモリトランジスタTR21aがワード線WL1を、メモリトランジスタTR12aとメモリトランジスタTR22aがワード線WL2を、メモリトランジスタTR13aとメモリトランジスタTR23aがワード線WL3をそれぞれ共有している。第2の素子形成領域(BL)100bに設けられる強誘電体キャパシタは、第1の素子形成領域(BL)100aに対して、水平方向(ビット線方向)にハーフピッチシフトして配置される。この構造により、下部電極のショートマージンを保ちながら強誘電体キャパシタの接触面積を増やすことができ、下部電極の構造を実施例2よりも高集積度化することが可能となる。また、上部電極のスペースを実施例2よりも均一にすることが可能となる。
【0078】
上述したように、本実施例の半導体記憶装置では、素子形成領域(BL)100aには、複数のメモリトランジスタTR11a、TR12a、TR13a、・・・が並列配置される。素子分離領域101で分離され、並列配置される素子形成領域(BL)100bには、複数のメモリトランジスタTR21a、TR22a、TR23a、・・・が並列配置される。素子形成領域(BL)100bに設けられる強誘電体キャパシタは、素子形成領域(BL)100aに対して、水平方向(ビット線方向)にハーフピッチシフトして配置される。第1の上部電極161と第2の上部電極162は、下部電極及び強誘電体膜を共有している。第3の上部電極163と第4の上部電極164は、下部電極及び強誘電体膜を共有している。第1の上部電極161、第2の上部電極162、第3の上部電極163、及び第4の上部電極164はそれぞれ三角形状を有する。
【0079】
このため、実施例1の効果の他に、下部電極のショートマージンを保ちながら強誘電体キャパシタの接触面積を増やすことができ、下部電極の構造を高集積度化することができる。
【0080】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々、変更してもよい。
【0081】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。例えば2T2C型のFeRAMにも適用することができる。また、実施例3では、上部電極を三角形にしているが台形などにしてもよい。
【0082】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
(付記1) メモリトランジスタと強誘電体キャパシタが並列接続されるメモリセルが直列に複数接続されるTCユニット直列型半導体記憶装置であって、一対のソース/ドレイン層を有する第1のメモリトランジスタと、前記第1のメモリトランジスタに対して同一素子形成領域に隣接配置され、一対のソース/ドレイン層を有し、ソース/ドレイン層の一方が前記第1のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と共有される第2のメモリトランジスタと、前記第1のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と前記第2のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の一方に、ビア及びバリアメタル膜を介して接続される第1及び第2の強誘電体キャパシタとを具備し、前記第1及び第2の強誘電体キャパシタは、前記バリアメタル膜上に設けられる下部電極と、前記下部電極を覆うように設けられる強誘電体膜とを共有し、前記第1の強誘電体キャパシタは、前記強誘電体膜上に設けられる第1の上部電極を有し、前記第2の強誘電体キャパシタは、前記強誘電体膜上に設けられ、前記第1の上部電極と離間して配置される第2の上部電極を有し、前記下部電極は、ビット線方向の寸法がワード線方向の寸法よりも大きい半導体記憶装置。
【0083】
(付記2) 前記強誘電体膜は、PZT(Pb(Zr、Ti)O)、SBT(SrBiTa)、或いはBIT(BiTi12)である付記1に記載の半導体記憶装置。
【符号の説明】
【0084】
1 シリコン基板
2 ゲート絶縁膜
3 ゲート電極
4 側壁絶縁膜
5 ソース/ドレイン層
6 N
7 シリサイド層
8、9、17、20 層間絶縁膜
10a、10b、11、18 ビア
12 水素バリア膜
13 バリアメタル膜
14 下部電極
15 強誘電体膜
16、19 上部電極
16a、161、171 第1の上部電極
16b、162、172 第2の上部電極
21 マスク材
31〜33 レジスト膜
80、81、90、91 半導体記憶装置
100、100a、100b 素子形成領域
101 素子分離領域
163、173 第3の上部電極
164、174 第4の上部電極
CAP1〜CAP4 強誘電体キャパシタ
MC1〜MC6、MC11 メモリセル
TR1〜TR4、TR11〜TR13、TR11a〜TR13a、TR21〜TR23、TR21a〜TR23a メモリトランジスタ
Wb1、Wb11、Wb2、Wb21 ビット線方向キャパシタ幅
Wbs1、Wbs11、Wbs21 ビット線方向キャパシタ間隔
WL、WL1〜3 ワード線
Ww1、Ww11、Ww2、Ww21 ワード線方向キャパシタ幅
Wws1、Wws11 ワード線方向キャパシタ間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリトランジスタと強誘電体キャパシタが並列接続されるメモリセルが直列に複数接続されるTCユニット直列型半導体記憶装置であって、
一対のソース/ドレイン層を有する第1のメモリトランジスタと、
前記第1のメモリトランジスタに対して同一素子形成領域に隣接配置され、一対のソース/ドレイン層を有し、ソース/ドレイン層の一方が前記第1のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と共有される第2のメモリトランジスタと、
前記第1のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と前記第2のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の一方に、ビア及びバリアメタル膜を介して接続される第1及び第2の強誘電体キャパシタとを具備し、
前記第1及び第2の強誘電体キャパシタは、前記バリアメタル膜上に設けられ、角錐台形状或いは円錐台形状の下部電極と、前記下部電極を覆うように設けられる強誘電体膜とを共有し、
前記第1の強誘電体キャパシタは、前記強誘電体膜上に設けられる第1の上部電極を有し、
前記第2の強誘電体キャパシタは、前記強誘電体膜上に設けられ、前記第1の上部電極と離間して配置される第2の上部電極を有する
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記下部電極は、角錐台形状或いは円錐台形状の上部と比較して水平方向に突出した顎部を有し、
前記下部電極の底部は、前記バリアメタル膜の上面を覆い、
前記バリアメタル膜の端面、前記下部電極の前記顎部の端面、及び前記強誘電体膜の端面が前記水平方向において整合していることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
1つのメモリトランジスタと1つの強誘電体キャパシタから構成されるメモリセルがマトリックス状に配置される1T1C型半導体記憶装置であって、
第1の素子形成領域に隣接配置され、一対のソース/ドレイン層を有し、ソース/ドレイン層の一方が隣接するメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と共有される第1乃至3のメモリトランジスタと、
前記第1の素子形成領域と並列配置される第2の素子形成領域に隣接配置され、一対のソース/ドレイン層を有し、ソース/ドレイン層の一方が隣接するメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と共有される第4乃至6のメモリトランジスタと、
前記第1のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と前記第2のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の一方に、ビア及び第1のバリアメタル膜を介して接続される第1及び第2の強誘電体キャパシタと、
前記第5のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の他方と前記第6のメモリトランジスタのソース/ドレイン層の一方に、ビア及び第2のバリアメタル膜を介して接続される第3及び第4の強誘電体キャパシタとを具備し、
前記第1及び第4のメモリトランジスタ、前記第2及び第5のメモリトランジスタ、及び前記第3及び第6のメモリトランジスタは、それぞれ同一ワード線を共有し、
前記第1及び第2の強誘電体キャパシタは、前記第1のバリアメタル膜上に設けられ、角錐台形状或いは円錐台形状の第1の下部電極と、前記第1の下部電極を覆うように設けられる第1の強誘電体膜とを共有し、
前記第1の強誘電体キャパシタは、前記第1の強誘電体膜上に設けられる第1の上部電極を有し、
前記第2の強誘電体キャパシタは、前記第1の強誘電体膜上に設けられ、前記第1の上部電極と離間して配置される第2の上部電極を有し、
前記第3及び第4の強誘電体キャパシタは、前記第2のバリアメタル膜上に設けられ、角錐台形状或いは円錐台形状の第2の下部電極と、前記第2の下部電極を覆うように設けられる第2の強誘電体膜とを共有し、
前記第3の強誘電体キャパシタは、前記第2の強誘電体膜上に設けられる第3の上部電極を有し、
前記第4の強誘電体キャパシタは、前記第2の強誘電体膜上に設けられ、前記第3の上部電極と離間して配置される第4の上部電極を有する
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1の下部電極は、角錐台形状或いは円錐台形状の上部と比較して水平方向に突出した顎部を有し、
前記第1の下部電極の底部は、前記第1のバリアメタル膜の上面を覆い、
前記第1のバリアメタル膜の端面、前記第1の下部電極の前記顎部の端面、及び前記第1の強誘電体膜の端面が前記水平方向において整合し、
前記第2の下部電極は、角錐台形状或いは円錐台形状の上部と比較して水平方向に突出した顎部を有し、
前記第2の下部電極の底部は、前記第2のバリアメタル膜の上面を覆い、
前記第2のバリアメタル膜の端面、前記第2の下部電極の前記顎部の端面、及び前記第2の強誘電体膜の端面が前記水平方向において整合している
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記メモリトランジスタを覆うように、層間絶縁膜上に設けられる水素バリア膜を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−124447(P2011−124447A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282066(P2009−282066)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】