説明

半導体集積回路装置およびその製造方法

【課題】 不揮発性半導体記憶素子がマトリックス状に配置されている仮想グラウンドアレイの半導体集積回路装置において、ビット線間およびワード線間のリーク電流を効率よく抑制する。
【解決手段】 ビット線BL1〜4である拡散層とワード線WL1〜3であるゲート電極に囲まれた領域にある半導体基板の表面上に、不揮発性半導体記憶素子とは分離された状態で、シリコン酸化膜を介してシリコン窒化膜(電荷トラップ層)を形成し、さらに基板全体をプラズマ雰囲気に晒すことで、このシリコン窒化膜に電子を意図的にトラップさせる。その結果、この領域の半導体基板表面には正電荷が蓄積状態となり、ビット線間およびワード線間のリーク電流を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想グラウンドアレイを有する半導体集積回路装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の仮想グラウンドアレイの半導体集積回路装置の一例(例えば、特許文献1)について、その平面図を図28に示す。
【0003】
図28において、M11、M12、M13、M21、M22、M23、M31、M32、M33は不揮発半導体記憶素子であるMONOS型トランジスタであり、所定の容量(図においては9ビット)でマトリックス状に配置されている。そして、MONOS型トランジスタM11、M12、M13にはワード線WL1が、MONOS型トランジスタM21、M22、M23にはワード線WL2が、MONOS型トランジスタM31,M32、M33にはワード線WL3がそれぞれ接続されており、ビット線BL1、BL2、BL3およびBL4は、ワード線WL1、WL2およびWL3と直交した形で配置されている。ここで、同一ワード線上において隣接するMONOS型トランジスタのソース領域あるいはドレイン領域は、1つのビット線で共有されており、例えば、MONOS型トランジスタM11、M21およびM31のソース領域あるいはドレイン領域と、MONOS型トランジスタM12、M22およびM32のソース領域あるいはドレイン領域とは、1つのビット線BL2で共有されている。そして、ビット線とワード線に囲まれた領域にはP型拡散層24が形成されており、隣接するビット線間およびワード線間のリーク電流を抑制する働きをしている。
【0004】
なお、仮想グラウンドアレイとは、図28で示したように、マトリックス状に配置された半導体素子において複数のワード線とビット線が直交する形で配置され、同一ワード線上において隣接する半導体素子同士が1つの拡散層を挟む形で配置され、この拡散層の何れもがビット線に接続されていることを特徴とするアレイ構造のことである。このようなアレイ構造にすることで、1つのビット線を、ある時はトランジスタのソース線として、また別の時にはドレイン線として機能させることができる。
【0005】
図29は図28の断面図を示す。図29(a)は図28におけるa−a’の断面図であり、図29(b)は図28におけるb−b’の断面図であり、図29(c)は図28におけるc−c’の断面図であり、図29(d)は図28におけるd−d’の断面図である。
【0006】
図29において、P型ウエル1の表面にビット線であるN型拡散層2がライン状に形成されて、N型拡散層2の上にはフィールド酸化膜3がN型拡散層2と同じ方向に走ってライン状に形成され、フィールド酸化膜3に挟まれたP型ウエル1の上には第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6からなる第1のONO積層膜13が形成され、第1のONO積層膜13およびフィールド酸化膜3の上にはゲート電極7がN型拡散層2とは直交する形でライン状に形成されることで、MONOS型トランジスタが形成されている。
【0007】
ここで、図29(a)に示すように、N型拡散層2とゲート電極7はフィールド酸化膜3により分離された状態となっており、隣接するMONOS型トランジスタの第1のONO積層膜13はフィールド酸化膜3により分離された状態にある。そして、図29(b)および図29(c)に示すように、N型拡散層2とゲート電極7に囲まれたP型ウエル1の表面にはP型拡散層24が形成されている。
【0008】
図30は図29(b)の拡大図を示すものである。図30において、P型拡散層24には正電荷12が多数キャリアとして存在するので、隣接するN型拡散層2の間を流れるリーク電流を抑制することができ、回路の誤動作を防ぐことができる。
【0009】
図31は図29(c)の拡大図を示すものである。図31において、図30の場合と同じく、P型拡散層24にある正電荷12の存在により、隣接するゲート電極7の間を流れるリーク電流を抑制することができ、回路の誤動作を防ぐことができる。
【特許文献1】特開平5−326893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、半導体集積回路の集積度を向上させるためには、図28〜図30において隣接するN型拡散層2のピッチあるいは隣接するゲート電極7のピッチを狭める必要があるが、それらピッチを狭めた結果、N型拡散層2とゲート電極7に囲まれた領域で発生するビット線間リーク電流あるいはワード線間リーク電流を抑制することが難しくなるという課題が生じていた。
【0011】
この課題を解決するためには、図28〜図30においてP型拡散層24の不純物濃度をさらに濃くする必要があったが、その結果、P型拡散層24とN型拡散層2との接合耐圧が低くなるという課題が新たに生じていた。
【0012】
さらに、P型拡散層24の不純物濃度を濃くするほど、その後の熱処理等によりP型拡散層24の横方向への広がりが大きくなり、MONOS型トランジスタの実効ゲート幅が狭くなるという課題も生じていた。
【0013】
したがって、本発明の目的は、前記従来の課題を解決するもので、隣接するN型拡散層のピッチあるいは隣接するゲート電極のピッチを狭くしても、N型拡散層とゲート電極に囲まれた領域におけるビット線間リーク電流あるいはワード線間リーク電流を十分に抑制できる半導体集積回路装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の半導体集積回路装置は、複数の半導体素子が半導体基板にマトリックス状に配置された半導体集積回路装置であって、前記半導体基板中に、列方向に並ぶ複数の前記半導体素子のソース領域またはドレイン領域を共有して延在するビット線と、前記半導体基板上に、行方向に並ぶ複数の前記半導体素子のゲート電極を共有して延在するワード線と、隣接する前記ビット線および隣接する前記ワード線によって囲まれた前記半導体基板上領域に形成された電荷トラップ層とを備え、前記電荷トラップ層は、絶縁膜を介して前記電荷トラップ層周囲の前記半導体素子と分離されている。
【0015】
請求項2記載の半導体集積回路装置は、請求項1記載の半導体集積回路装置において、前記電荷トラップ層は電子をトラップし、前記電荷トラップ層の下に位置する前記半導体基板の表面層には正電荷が蓄積している。
【0016】
請求項3記載の半導体集積回路装置は、請求項1または2記載の半導体集積回路装置において、少なくとも隣接する前記ワード線間に挟まれた領域と前記ワード線の側面と対向する領域において、前記電荷トラップ層上にプラズマCVD膜が絶縁膜を介して形成されている。
【0017】
請求項4記載の半導体集積回路装置は、請求項1または2記載の半導体集積回路装置において、前記ワード線の上方領域および側方領域に電荷トラップ層が形成され、前記電荷トラップ層上に遮光膜が絶縁膜を介して形成されている。
【0018】
請求項5記載の半導体集積回路装置は、請求項4記載の半導体集積回路装置において、前記遮光膜は非ドープ多結晶シリコン膜層である。
【0019】
請求項6記載の半導体集積回路装置は、請求項1または2記載の半導体集積回路装置において、前記半導体素子はMONOS型トランジスタを有する不揮発性半導体記憶素子である。
【0020】
請求項7記載の半導体集積回路装置は、請求項1または2記載の半導体集積回路装置において、前記半導体素子は浮遊ゲート電極型トランジスタを有する不揮発性半導体記憶素子である。
【0021】
請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法は、半導体基板中に、列方向に並ぶ複数の前記半導体素子のソース領域またはドレイン領域を共有かつ延在するように形成してビット線とする第1工程と、前記半導体基板上に、行方向に並ぶ複数の前記半導体素子のゲート電極を共有かつ延在するように形成してワード線とする第2工程と、少なくとも隣接する前記ビット線および隣接する前記ワード線によって囲まれた前記半導体基板上領域に絶縁膜を形成する第3工程と、前記絶縁膜上に電荷トラップ層を形成する第4工程と、前記半導体基板全面をプラズマ雰囲気に晒すことにより、前記電荷トラップ層に電子をトラップさせる第5工程とを含む。
【0022】
請求項9記載の半導体集積回路装置の製造方法は、請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第5工程では、前記半導体基板全面をプラズマ雰囲気に晒す代わりに、プラズマCVD膜を前記電荷トラップ層上に形成することで前記電荷トラップ層に電子をトラップさせる。
【0023】
請求項10記載の半導体集積回路装置の製造方法は、半導体基板中に、列方向に並ぶ複数の前記半導体素子のソース領域またはドレイン領域を共有かつ延在するように形成してビット線とする第1工程と、前記半導体基板上に、行方向に並ぶ複数の前記半導体素子のゲート電極を共有かつ延在するように形成してワード線とする第2工程と、少なくとも隣接する前記ビット線および隣接する前記ワード線によって囲まれた前記半導体基板上領域に絶縁膜を形成する第3工程と、前記絶縁膜上に電荷トラップ層を形成する第4工程と、前記半導体基板上に遮光膜を形成する第5工程と、前記遮光膜のうち、隣接する前記ビット線および隣接する前記ワード線によって囲まれた前記半導体基板上領域に形成された部分を除去する第6工程と、前記半導体基板全面に紫外線を照射することにより、前記電荷トラップ層に電子をトラップさせる第7工程とを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の請求項1記載の半導体集積回路装置によれば、隣接するビット線および隣接するワード線によって囲まれた半導体基板上領域に形成された電荷トラップ層を備え、電荷トラップ層は、絶縁膜を介して電荷トラップ層周囲の半導体素子と分離されているので、電荷トラップ層に電子をトラップさせた状態にすることで、この領域の半導体基板の表面には正電荷が蓄積状態となる。これにより、仮想グラウンドアレイにおいて、隣接する拡散層間すなわちビット線間、および、隣接するゲート電極間すなわちワード線間のリーク電流を効率よく抑制することができ、回路の誤動作を防ぐことができる。さらに、ソース領域およびドレイン領域である拡散層のピッチあるいはゲート電極である導電膜層のピッチが狭くなる場合においても、他の特性に影響を及ぼすことなくリーク電流の抑制を実現できることから、アレイサイズの縮小や、半導体素子の集積度の向上を図ることができる。
【0025】
請求項2では、電荷トラップ層は電子をトラップし、電荷トラップ層の下に位置する半導体基板の表面層には正電荷が蓄積しているので、隣接するビット線間および隣接するワード線間のリーク電流を抑制することができる。
【0026】
請求項3では、少なくとも隣接するワード線間に挟まれた領域とワード線の側面と対向する領域において、電荷トラップ層上にプラズマCVD膜が絶縁膜を介して形成されているので、プラズマCVD膜を形成する際のプラズマにより電荷トラップ層に電位差を与えることで、電子をトラップさせることができる。
【0027】
請求項4では、ワード線の上方領域および側方領域に電荷トラップ層が形成され、電荷トラップ層上に遮光膜が絶縁膜を介して形成されているので、紫外線を照射することにより、遮光膜で覆われていない隣接するワード線間に挟まれた領域とワード線の側面と対向する領域の電荷トラップ層に電子をトラップさせることができる。
【0028】
請求項5では、請求項4記載の半導体集積回路装置において、遮光膜は非ドープ多結晶シリコン膜層であること好ましい。
【0029】
請求項6では、請求項1または2記載の半導体集積回路装置において、半導体素子はMONOS型トランジスタを有する不揮発性半導体記憶素子であることが好ましい。
【0030】
請求項7では、請求項1または2記載の半導体集積回路装置において、半導体素子は浮遊ゲート電極型トランジスタを有する不揮発性半導体記憶素子であることが好ましい。
【0031】
本発明の請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法によれば、少なくとも隣接するビット線および隣接するワード線によって囲まれた半導体基板上領域に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に電荷トラップ層を形成する工程と、半導体基板全面をプラズマ雰囲気に晒すことにより、電荷トラップ層に電子をトラップさせる工程とを含むので、基板全体がプラズマ雰囲気に晒され、そのプラズマにより電荷トラップ層に電位差を与えることができることで、電荷トラップ層に電子を意図的にトラップさせることが可能となる。このように、電荷トラップ層は製造工程中において意図的に電子をトラップさせた状態にすることができるため、この領域の半導体基板の表面には正電荷が蓄積状態となり、隣接ビット線間および隣接ワード線間のリーク電流を抑制することが可能となる。さらに、ソース領域およびドレイン領域である拡散層のピッチあるいはゲート電極である導電膜層のピッチが狭くなる場合においても、他の特性に影響を及ぼすことなくリーク電流の抑制を実現できる。
【0032】
請求項9では、請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法において、第5工程では、半導体基板全面をプラズマ雰囲気に晒す代わりに、プラズマCVD膜を電荷トラップ層上に形成することで電荷トラップ層に電子をトラップさせることでも同様の効果が得られる。
【0033】
本発明の請求項10記載の半導体集積回路装置の製造方法によれば、少なくとも隣接するビット線および隣接するワード線によって囲まれた半導体基板上領域に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に電荷トラップ層を形成する工程と、半導体基板上に遮光膜を形成する工程と、遮光膜のうち、隣接するビット線および隣接するワード線によって囲まれた半導体基板上領域に形成された部分を除去する工程と、半導体基板全面に紫外線を照射することにより、電荷トラップ層に電子をトラップさせる工程とを含むので、照射された紫外線が半導体基板の表面に達し、半導体基板の表面近傍の電子が励起され、絶縁膜のバリアハイトを越えて電子が電荷トラップ層に注入されトラップされる。このように電荷トラップ層は製造工程中において意図的に電子をトラップさせた状態にすることができるため、請求項8と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
最初に本発明の実施形態の概念について説明する。図1は本発明の実施形態の概念図を示すものであり、仮想グラウンドアレイの半導体集積回路装置の平面図を示すものである。
【0036】
図1において、M11、M12、M13,M21、M22、M23、M31、M32、M33は不揮発半導体記憶素子であり、所定の容量(図においては9ビット)でマトリックス状に配置されている。そして、不揮発半導体記憶素子M11、M12、M13にはワード線WL1が、不揮発半導体記憶素子M21、M22、M23にはワード線WL2が、不揮発半導体記憶素子M31,M32、M33にはワード線WL3がそれぞれ接続されており、ビット線BL1、BL2、BL3およびBL4は、ワード線WL1、WL2およびWL3と直交した形で配置されている。ここで、同一ワード線上において隣接する不揮発半導体記憶素子のソース領域あるいはドレイン領域は1つのビット線で共有されており、例えば、不揮発半導体記憶素子M11、M21およびM31のソース領域あるいはドレイン領域と、不揮発半導体記憶素子M12、M22およびM32のソース領域あるいはドレイン領域は、1つのビット線BL2で共有されている。そして、ビット線とワード線に囲まれた領域には、ONO積層膜14が配置されている。ここで、ONO積層膜14に含まれるシリコン窒化膜は不揮発性半導体記憶素子とは分離された状態にある。
【0037】
本発明は様々な種類の不揮発性半導体記憶素子の仮想グラウンドアレイに適用可能であり、以下にMONOS型トランジスタを適用した場合および浮遊ゲート電極型トランジスタを適用した場合についての実施形態の概念を図2〜図7を用いて説明する。
【0038】
図2は、図1における不揮発半導体記憶素子にMONOS型トランジスタを適用した場合の実施形態の概念のセルアレイ断面図を示している。一般に、マトリックス状に配置されたMONOS型トランジスタを仮想グラウンドアレイで構成したものはNROMフラッシュメモリーとして知られている。
【0039】
図2(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、図2(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、図2(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、図2(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【0040】
図2において、P型ウエル1の表面にビット線であるN型拡散層2がライン状に形成され、N型拡散層2の上にはフィールド酸化膜3がN型拡散層2と同じ方向に走ってライン状に形成され、P型ウエル1およびフィールド酸化膜3の上には第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6とゲート電極7がN型拡散層2とは直交する形でライン状に形成されることで、MONOS型トランジスタが形成されている。
【0041】
ここで、図2(a)に示すように、N型拡散層2とゲート電極7はフィールド酸化膜3により分離された状態となっており、隣接するMONOS型トランジスタにおいて、第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6からなるONO積層膜13はフィールド酸化膜3により分離された状態にある。そして、図2(b)および図2(c)に示すように、N型拡散層2とゲート電極7に囲まれた領域のP型ウエル1の表面上には、第3のシリコン酸化膜8と第2のシリコン窒化膜9と第4のシリコン酸化膜10からなる第2のONO積層膜14が形成されており、第2のシリコン窒化膜9とMONOS型トランジスタは分離された状態となっている。
【0042】
図3は図2(b)の拡大図、すなわち、N型拡散層2とゲート電極7に囲まれた領域に関してゲート電極が走っている方向を見た断面図を示すものである。
【0043】
図4は図2(c)の拡大図、すなわち、N型拡散層2とゲート電極7に囲まれ領域に関してN型拡散層2が走っている方向を見た断面図を示すものである。
【0044】
ここで、図3および図4において、第2のシリコン窒化膜9は意図的に電子11をトラップした状態にしている。その結果、P型ウエル1の表面には正電荷12が蓄積された状態となり、図3においては隣接するビット線すなわち拡散層2の間を流れるリーク電流を抑制することができる。そして、図4においては隣接するワード線の間を流れるリーク電流を抑制することができる。
【0045】
図5は、図1における不揮発半導体記憶素子に浮遊ゲート型トランジスタを適用した場合の実施形態の概念のセルアレイ断面図を示している。一般に、マトリックス状に配置された浮遊ゲート電極型トランジスタを仮想グラウンドアレイで構成したものはANDフラッシュメモリーとして知られている。
【0046】
図5(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、図5(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、図5(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、図5(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【0047】
図5において、P型ウエル1の表面にビット線であるN型拡散層2がライン状に形成され、N型拡散層2の上にはフィールド酸化膜3がN型拡散層2と同じ方向に走ってライン状に形成され、P型ウエル1およびフィールド酸化膜3の上にはトンネル酸化膜20と浮遊ゲート電極21と容量絶縁膜22とワード線である制御ゲート電極23からなる積層膜がN型拡散層2とは直交する形でライン状に形成されることで、浮遊ゲート電極型トランジスタが形成されている。
【0048】
ここで、図5(a)に示すように、N型拡散層2と浮遊ゲート電極21および制御ゲート電極23はフィールド酸化膜3により分離された状態となっており、隣接する浮遊ゲート電極型トランジスタの浮遊ゲート電極21はフィールド酸化膜3と容量絶縁膜22により分離された状態にある。そして、図5(b)および図5(c)に示すように、N型拡散層2と浮遊ゲート電極型トランジスタの積層膜に囲まれた領域のP型ウエル1の表面上には、シリコン酸化膜8とシリコン窒化膜9とシリコン酸化膜10からなるONO積層膜14が形成され、シリコン窒化膜9と浮遊ゲート電極型トランジスタは分離された状態となっている。
【0049】
図6は図5(b)の拡大図すなわち、N型拡散層2と制御ゲート電極23に囲まれた領域に関して制御ゲート電極23が走っている方向を見た断面図を示すものである。
【0050】
また、図7は図5(c)の拡大図、すなわち、N型拡散層2と制御ゲート電極23に囲まれた領域に関してN型拡散層2が走っている方向を見た断面図を示すものである。
【0051】
図6および図7において、図3および図4で説明した場合と同様に、シリコン窒化膜9は意図的に電子11をトラップした状態としている。その結果、P型ウエル1の表面には正電荷12が蓄積された状態となり、図6においては隣接するビット線すなわち拡散層2の間を流れるリーク電流を抑制することができる。そして、図7においては隣接するワード線の間を流れるリーク電流を抑制することができる。
【0052】
以上、本発明をNROMフラッシュメモリーあるいはANDフラッシュメモリーのいずれに適用した場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0053】
次に、上記概念に基づいて本発明の各実施形態に合わせた説明を行う。なお、ここでは不揮発性半導体記憶素子としてMONOS型トランジスタを適用した説明を行う。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。
【0054】
図8は本発明の第1の実施形態における断面図を示したものであり、図8(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、図8(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、図8(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、図8(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【0055】
図8において、P型ウエル1の表面にビット線であるN型拡散層2がライン状に形成され、N型拡散層2の上にはフィールド酸化膜3がN型拡散層2と同じ方向に走ってライン状に形成され、P型ウエル1およびフィールド酸化膜3の上には第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6とワード線でありゲート電極である多結晶シリコン膜15と金属シリサイド16の積層ゲート膜25がN型拡散層2とは直交する形でライン状に形成されることで、MONOS型トランジスタが形成されている。そして、少なくとも隣接するビット線および隣接するワード線によって囲まれた半導体基板上領域に電荷トラップ層が形成される。この場合、隣接する積層ゲート膜25に挟まれた領域の表面上および積層ゲート膜25の上面と側面には、第3のシリコン酸化膜8と第2のシリコン窒化膜9と第4のシリコン酸化膜10からなる第2のONO積層膜14が形成され、さらに第2のONO積層膜14の上にプラズマ膜18が形成されている。
【0056】
ここで、図8(a)に示すように、N型拡散層2と多結晶シリコン膜15はフィールド酸化膜3により分離された状態となっており、隣接するMONOS型トランジスタの第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6からなる第1のONO積層膜13はフィールド酸化膜3により分離された状態にある。また、第2のシリコン窒化膜9とMONOS型トランジスタとは分離した状態にある。そして、第2のシリコン窒化膜9の全面には電子11がトラップされた状態にあり、その結果、図8(b)および図8(c)に示すように、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれたP型ウエル1の表面には正電荷12が蓄積された状態となる。
【0057】
図8において、第2のシリコン窒化膜9に電子11をトラップさせるために、プラズマCVD膜18を形成している。すなわち、プラズマCVD膜18を形成する工程で基板全体はプラズマ雰囲気に晒され、そのプラズマにより第2のONO積層膜14に電位差を与えることができるので、その結果、第2のシリコン窒化膜9に電子11が注入されトラップさせることができる。
【0058】
なお、プラズマCVD膜18を堆積する以外の方法でプラズマ雰囲気にさらすことができれば、プラズマCVD膜18を省略しても構造上の問題はない。
【0059】
また、図8において、金属シリサイド16の代わりに金属を形成することでゲート電極の低抵抗化を実現することができる。さらに、ゲート電極を多結晶シリコン膜15のみで構成しても半導体集積回路装置の動作上問題なければ、金属シリサイド16を省略してもよい。
【0060】
また、図8において、第2のONO積層膜14の上部酸化膜である第4のシリコン酸化膜10を省略してもよい。その際、第2のシリコン窒化膜9にトラップされた電子11がデトラップされないために、第2のシリコン窒化膜9の上には非導電性の膜を形成すればよい。
【0061】
次に、本発明の第1の実施形態に示した半導体集積回路装置の製造方法を、図9〜図16を用いて説明する。図9〜図16において、各図(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、各図(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、各図(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、各図(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【0062】
まず、図9に示すように、P型ウエル1の表面上に第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6からなる第1のONO積層膜13を堆積する。
【0063】
次に、図10に示すように、ライン状にパターニングされたフォトレジストをマスクとして(図示せず)、第1のONO積層膜13をドライエッチング等により除去する。
【0064】
次に、図11に示すように、第1のONO積層膜13をドライエッチング法等により除去した際に用いたフォトレジストをそのままマスクとして(図示せず)、リンイオン(P)やヒ素イオン(As)等のN型不純物を基板表面に注入し、ライン状にN型拡散層2を形成する。
【0065】
次に、図12に示すように、シリコン窒化膜5をマスクとしてP型ウエル1を選択的に熱酸化し、N型拡散層2の上にフィールド酸化膜3をライン状に形成する。この熱酸化の際に、N型拡散層2は熱拡散により広がる。
【0066】
次に、図13に示すように、ゲート電極である多結晶シリコン膜15を第1のONO積層膜13およびフィールド酸化膜3の上に堆積する。
【0067】
次に、図14に示すように、多結晶シリコン膜15の上にタングステンシリサイド(WSi)やチタンシリサイド(TiSi)やコバルトシリサイド(CoSi)といった金属シリサイド16を形成する。
【0068】
ここで、金属シリサイド16の代わりにタングステン(W)等の金属を形成することも可能である。また、金属シリサイド16はゲート電極の低抵抗化のために形成しているわけだが、半導体集積回路装置の動作上問題なければ、金属シリサイド16を省略することも可能である。
【0069】
次に、図15に示すように、N型拡散層2およびフィールド酸化膜3とは直交する形でライン状にパターニングされたフォトレジストをマスクとして(図示せず)、金属シリサイド16と多結晶シリコン15と第1のONO積層膜13をドライエッチング法等により除去し、第1のONO積層膜13と多結晶シリコン酸化膜15と金属シリサイド16からなる積層ゲート膜25を、N型拡散層2およびフィールド酸化膜3とは直交する形でライン状に形成する。
【0070】
次に、図16に示すように、積層ゲート膜25の上面と側面、および隣接する積層ゲート膜25に囲まれたP型ウエル1およびフィールド酸化膜3の上に、第3のシリコン酸化膜8と第2のシリコン窒化膜9と第4のシリコン酸化膜10をLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法等により順番に堆積し、第2のONO積層膜14を形成する。
【0071】
ここで、第4のシリコン酸化膜10を省略することも可能である。ただし、この場合、第2のシリコン窒化膜9は後の工程で意図的に電子をトラップさせた状態にするために、この電子をデトラップさせないために第2のシリコン窒化膜9の上には非導電性膜を形成する必要がある。
【0072】
最後に、プラズマCVD法によりシリコン酸化膜等のプラズマCVD膜18を第2のONO積層膜の上に堆積する。この工程において基板全体がプラズマ雰囲気に晒され、そのプラズマにより第2のONO積層膜14に電位差を与えることができるので、第2のシリコン窒化膜9に電子11を意図的にトラップさせることが可能となる。その結果、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれたP型ウエル1の表面には正電荷12が蓄積された状態となる。このようにして、図8に示す半導体集積回路装置が完成する。
【0073】
なお、ここで基板全体をプラズマ雰囲気に晒す方法として、プラズマCVD膜18の形成を省略して、代わりにドライエッチング等の処理を実施してもよい。この際、第2のONO積層膜14の上部シリコン酸化膜である第4のシリコン酸化膜10を残してもあるいは除去しても差し支えはない。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図17〜図22に基づいて説明する。
【0074】
図17は本発明の第2の実施形態における断面図を示したものであり、図17(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、図17(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、図17(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、図17(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【0075】
本発明の第2の実施形態で示す半導体集積回路装置は、図8に示す第1の実施形態と比較して、第2のONO積層膜14およびプラズマCVD膜18が積層ゲート膜25の上面を覆っていない構造となっていることが特徴である。この構造は、第2のONO積層膜14を形成した後に金属シリサイド16を形成することができるという利便性を持っている。詳細は後述の製造方法において説明する。
【0076】
図17において、P型ウエル1の表面にビット線であるN型拡散層2がライン状に形成され、N型拡散層2の上にはフィールド酸化膜3がN型拡散層2と同じ方向に走ってライン状に形成され、P型ウエル1およびフィールド酸化膜3の上には第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6とワード線である多結晶シリコン膜15との積層ゲート膜25がN型拡散層2とは直交する形でライン状に形成されることで、MONOS型トランジスタが形成されている。そして、少なくとも隣接するビット線および隣接するワード線によって囲まれた半導体基板上領域に電荷トラップ層が形成される。この場合、隣接する積層ゲート膜25に挟まれた領域の表面上および積層ゲート膜25の側壁には、第3のシリコン酸化膜8と第2のシリコン窒化膜9と第4のシリコン酸化膜10からなる第2のONO積層膜14が形成され、第2のONO積層膜14の上にプラズマCVD膜18が形成され、積層ゲート膜25の間の溝にはプラズマCVD18越しに層間絶縁膜が形成されている。
【0077】
ここで、図17(a)に示すように、N型拡散層2と多結晶シリコン膜15はフィールド酸化膜3により分離された状態となっており、隣接するMONOS型トランジスタの第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6からなる第1のONO積層膜13はフィールド酸化膜3により分離された状態にある。また、第2のシリコン窒化膜9とMONOS型トランジスタは分離した状態にある。そして、第2のシリコン窒化膜9の全面には電子11がトラップされた状態にあり、その結果、図17(b)および図17(c)に示すように、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれたP型ウエル1の表面には正電荷12が蓄積された状態となる。
【0078】
図17において、第2のシリコン窒化膜9に電子11をトラップさせる方法は、第1の実施形態の場合と同様であり、プラズマCVD膜18を堆積する以外の方法でプラズマ雰囲気にさらすことができれば、プラズマCVD膜18を省略しても構造上の問題はない。
【0079】
また、図17において、第1の実施形態の場合と同様に、金属シリサイド16の代わりに金属を形成することでゲート電極の低抵抗化を実現することができる。さらに、ゲート電極を多結晶シリコン膜15のみで構成しても半導体集積回路装置の動作上問題なければ、金属シリサイド16を省略してもよい。
【0080】
また、図17において、第1の実施形態の場合と同様に、第2のONO積層14の上部酸化膜である第4のシリコン酸化膜10を省略してもよい。その際、第2のシリコン窒化膜9にトラップされた電子11がデトラップされないために、第2のシリコン窒化膜9の上には非導電性の膜を形成すればよい。
【0081】
次に、本発明の第2の実施形態に示した半導体集積回路装置の製造方法を、図18〜図22を用いて説明する。図18〜図22において、各図(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、各図(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、各図(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、各図(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【0082】
はじめに、図18は第1の実施形態で示した製造方法の図13と同じであり、それまでの製造方法も同じであるので、ここでは図18までの製造方法は省略する。
【0083】
次に、図19に示すように、N型拡散層2およびフィールド酸化膜3とは直交する形でライン状にパターニングされたフォトレジストをマスクとして(図示せず)、多結晶シリコン15と第1のONO積層膜13をドライエッチング法等により除去し、第1のONO積層膜13と多結晶シリコン酸化膜15からなる積層膜をN型拡散層2およびフィールド酸化膜3とは直交する形でライン状に形成する。
【0084】
次に、図20に示すように、第1のONO積層膜13と多結晶シリコン酸化膜15からなる積層膜の上面と側面、および隣接するこれら積層膜に囲まれたP型ウエル1およびフィールド酸化膜3の上に、第3のシリコン酸化膜8と第2のシリコン窒化膜9と第4のシリコン酸化膜10をLPCVD法等により順番に堆積し、第2のONO積層膜14を形成する。ここで、第1の実施形態で示した場合と同様に、第4のシリコン酸化膜10を省略することも可能である。
【0085】
次に、図21に示すように、第2のONO積層膜14の上にプラズマCVD膜18を堆積する。この工程において基板全体がプラズマ雰囲気に晒され、そのプラズマにより第2のONO積層膜14に電位差を与えることができるので、第2のシリコン窒化膜9に電子11をトラップさせることが可能となる。その結果、N型拡散層2と、第1のONO膜と多結晶シリコン膜15からなる積層膜に囲まれたP型ウエル1の表面には正電荷12が蓄積された状態となる。そして、プラズマCVD膜18の上に層間絶縁膜17を形成する。
【0086】
ここで、基板全体をプラズマ雰囲気に晒す方法として、プラズマCVD膜18の形成を省略して、代わりにドライエッチング等の処理を実施してもよい。この際、第2のONO積層膜14の上部シリコン酸化膜である第4のシリコン酸化膜10を残してもあるいは除去しても差し支えはない。また、層間絶縁膜17にはBPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜等を用いればよい。
【0087】
次に、図22に示すように、層間絶縁膜17とプラズマCVD膜18と第2のONO積層膜14を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、多結晶シリコン膜15が露出するまで研磨する。
【0088】
最後に、多結晶シリコン15の上にチタンシリサイド(TiSi)やコバルトシリサイド(CoSi)といった金属シリサイド16を形成する。このようにして、図17に示す半導体集積回路装置が完成する。
【0089】
ここで、金属シリサイド16の代わりにタングステン(W)等の金属を形成することも可能である。また、金属シリサイド16はゲート電極の低抵抗化のために形成しているわけだが、半導体集積回路装置の動作上問題なければ、金属シリサイド16を省略することも可能である。
【0090】
以上、本発明の第2の実施形態に示した半導体集積回路装置の製造方法は、第1の実施形態で示した製造方法とは異なり、金属シリサイド16を第2のONO積層膜14を形成した後に形成していることが特徴である。この製造方法によると、例えば熱酸化やLPCVD法等の高温処理を実施した後に、金属シリサイド16あるいは金属を成長することができる。従って、ゲート電極となる金属シリサイド16あるいは金属が低融点材料の場合には、本発明の第2の実施形態に示した半導体集積回路装置の製造方法が有効である。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を図23〜図27に基づいて説明する。
【0091】
図23は本発明の第3の実施形態における断面図を示したものであり、図23(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、図23(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、図23(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、図23(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【0092】
本発明の第3の実施形態で示す半導体集積回路装置は、第2のシリコン窒化膜9に電子11をトラップさせる方法が、第1の実施形態および第2の実施形態とは異なっており、所望の個所に紫外線を照射することで第2のシリコン窒化膜9に電子11を意図的にトラップさせている。
【0093】
図23において、P型ウエル1の表面にビット線であるN型拡散層2がライン状に形成され、N型拡散層2の上にはフィールド酸化膜3がN型拡散層2と同じ方向に走ってライン状に形成され、P型ウエル1およびフィールド酸化膜3の上には第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6とワード線である多結晶シリコン膜15と金属シリサイド16との積層ゲート膜25がN型拡散層2とは直交する形でライン状に形成されることで、MONOS型トランジスタが形成されている。そして、少なくとも隣接するビット線および隣接するワード線によって囲まれた半導体基板上領域に電荷トラップ層が形成される。この場合、隣接する積層ゲート膜25に挟まれた領域の表面上および積層ゲート膜25の上面と側面には、第3のシリコン酸化膜8と第2のシリコン窒化膜9と第4のシリコン酸化膜10からなる第2のONO積層膜14が形成され、さらに、隣接する積層ゲート膜25に挟まれた領域を除いて、第2のONO積層膜14の上に遮光膜19が形成されている。
【0094】
ここで、図23(a)に示すように、N型拡散層2と多結晶シリコン膜15はフィールド酸化膜3により分離された状態となっており、隣接するMONOS型トランジスタの第1のシリコン酸化膜4と第1のシリコン窒化膜5と第2のシリコン酸化膜6からなる第1のONO積層膜13はフィールド酸化膜3により分離された状態にある。また、第2のシリコン窒化膜9とMONOS型トランジスタは分離した状態にある。そして、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれた領域にある第2のシリコン窒化膜9には電子11がトラップされた状態にあり、その結果、図23(b)および図23(c)に示すように、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれたP型ウエル1の表面には正電荷12が蓄積された状態となる。
【0095】
図23において、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれた領域の第2のシリコン窒化膜9に電子をトラップさせるために、図23で示した半導体集積回路装置を形成した後、基板全体に紫外線を照射する。その際、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれた領域は遮光膜19で覆われていないために、照射された紫外線がP型ウエル1の表面に達し、P型ウエル1の表面近傍の電子が励起され、第3のシリコン酸化膜8のバリアハイトを越えて電子11が第2のシリコン窒化膜9に注入されトラップされる。
【0096】
ここで、積層ゲート膜25の上面および側壁を遮光膜19で覆っている理由は、積層ゲート膜25が形成されている領域において、P型ウエル1の表面近傍の電子が紫外線により励起されないようにするためである。もし、この領域において電子が励起されると、MONOS型トランジスタの構成要素である第1のシリコン窒化膜5に電子がトラップされ、トランジスタの閾値電圧が上昇してしまい、電子がトラップされない場合と比べて特性が大きく変わってしまう。
【0097】
しかしながら、不揮発性半導体記憶素子にMONOS型トランジスタではなく浮遊ゲート電極型トランジスタを適用した場合には、記憶素子として電子を蓄積する層がシリコン窒化膜ではないので、トランジスタ全面に紫外線を照射しても何ら問題ない。従って、この場合は遮光膜19を省略してもよい。
【0098】
また、図23おいて、第1の実施形態の場合と同様に、金属シリサイド16の代わりに金属を形成することでゲート電極の低抵抗化を実現することができる。さらに、ゲート電極を多結晶シリコン膜15のみで構成しても半導体集積回路装置の動作上問題なければ、金属シリサイド16を省略してもよい。
【0099】
次に、本発明の第3の実施形態に示した半導体集積回路装置の製造方法を、図24〜図27を用いて説明する。図24〜図27において、各図(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、各図(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、各図(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、各図(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【0100】
はじめに、図24は第1の実施形態に示した製造方法の図16と同じであり、それまでの製造方法も同じであるので、ここでは図24までの製造方法は省略する。
【0101】
次に、図25に示すように、第2のONO積層膜14の上に遮光膜19を形成する。ここで、遮光膜19には高抵抗である非ドープ多結晶シリコン膜等を適用すればよい。
【0102】
次に、図26に示すように、隣接する積層ゲート膜25に囲まれたP型ウエル1とフィールド酸化膜3の上に存在する遮光膜19を、フォトレジストをマスクにして(図示せず)、ドライエッチング法等で除去する。
【0103】
最後に、図27に示すように、基板全体に紫外線を照射する。ここで、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれた領域は遮光膜19が覆われていないために、照射された紫外線がP型ウエル1の表面に達し、P型ウエル1の表面近傍の電子が励起され、第3のシリコン酸化膜8のバリアハイトを越えて電子11が第2のシリコン窒化膜9に注入されトラップされる。その結果、N型拡散層2と積層ゲート膜25に囲まれたP型ウエル1の表面には正電荷12が蓄積された状態となる。このようにして、図10に示す半導体集積回路装置が完成する。
【0104】
以上、本発明の第3の実施形態に示した半導体集積回路装置の製造方法は、第2のシリコン窒化膜に電子11をトラップさせる方法が、第1の実施形態および第2の実施形態で示した製造方法とは異なっていることが特徴である。
【0105】
なお、第2の実施形態で示したように、金属シリサイド16を第2のONO積層膜14形成後に形成することも可能である。この場合、ここでは図示しないが、第2のONO積層膜14を形成した後に、第2のONO積層膜の上に層間絶縁膜を形成し、CMP法により多結晶シリコン膜15が露出するまで第2のONO積層膜と層間絶縁膜を研磨し、多結晶シリコン膜の上に金属シリサイド16を形成し、金属シリサイド16の上に遮光膜19を形成し、ゲート電極間に挟まれた領域の遮光膜19を除去し、基板全体に紫外線を照射すればよい。
【0106】
以上の3つの実施形態はMONOS型トランジスタの仮想グラウンドアレイ、すなわちNROMフラッシュメモリーに適用することを前提に説明をしているが、例えば概念説明で示した浮遊ゲート電極型トランジスタによるアレイ構造をはじめとする他のアレイ構造や半導体素子の種類にこだわることなくその要旨を逸脱しない範囲で様々な形態に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明に係る半導体装置集積回路装置およびその製造方法は、ビット線間、およびワード線間のリーク電流を効率よく抑制し、回路の誤動作を防ぐことができるとともにアレイサイズの縮小が可能となるものであり、特に、仮想グラウンドアレイを有する半導体集積回路装置およびその製造方法等に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明に実施形態の概念に係る仮想グラウンドアレイを有する半導体装置の平面図である。
【図2】図1にトラップ型不揮発性半導体記憶装置を適用した実施形態の概念の断面図を示しており、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図3】図2(b)の要部拡大断面図である。
【図4】図2(c)の要部拡大断面図である。
【図5】図1にフローティングゲート型不揮発性半導体記憶装置を適用した実施形態の概念の断面図を示しており、(a)は図1におけるa−a’ の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’ の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’ の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図6】図5(b)の要部拡大断面図である。
【図7】図5(c)の要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の半導体装置の断面図を示しており、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図9】本発明第1の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図14】本発明の第1の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図15】本発明の第1の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図16】本発明の第1の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態を適用した場合の半導体装置の断面図を示しており、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図18】本発明第2の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’ の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’ の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’ の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図19】本発明第2の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図20】本発明の第2の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図21】本発明の第2の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図22】本発明第2の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図23】本発明の第3の実施形態を適用した場合の半導体装置の断面図を示しており、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図24】本発明の第3の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図25】本発明の第3の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図26】本発明第3の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図27】本発明第3の実施形態における製造方法の一例を示したものであり、(a)は図1におけるa−a’の断面図であり、(b)は図1におけるb−b’の断面図であり、(c)は図1におけるc−c’の断面図であり、(d)は図1におけるd−d’の断面図である。
【図28】従来の仮想グラウンドアレイを有する半導体装置の平面図である。
【図29】MONOS型不揮発性半導体記憶装置を適用した場合の断面図を示しており、(a)は図28におけるa−a’の断面図であり、(b)は図28におけるb−b’の断面図であり、(c)は図28におけるc−c’の断面図であり、(d)は図28におけるd−d’の断面図である。
【図30】図29(b)の要部拡大断面図である。
【図31】図29(c)の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0109】
1 P型ウエル
2 N型拡散層
3 フィールド酸化膜
4 第1のシリコン酸化膜
5 第1のシリコン窒化膜
6 第2のシリコン酸化膜
7 ゲート電極
8 第3のシリコン酸化膜
9 第2のシリコン窒化膜
10 第4のシリコン酸化膜
11 電子
12 正電荷
13 第1のONO積層膜
14 第2のONO積層膜
15 多結晶シリコン膜
16 金属シリサイド
17 層間絶縁膜
18 プラズマCVD膜
19 遮光膜
20 トンネル酸化膜
21 浮遊ゲート電極
22 容量絶縁膜
23 制御ゲート電極
24 P型拡散層
25 積層ゲート膜
M11〜M33 不揮発性半導体記憶素子
BL1〜BL4 ビット線
WL1〜WL3 ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体素子が半導体基板にマトリックス状に配置された半導体集積回路装置であって、
前記半導体基板中に、列方向に並ぶ複数の前記半導体素子のソース領域またはドレイン領域を共有して延在するビット線と、
前記半導体基板上に、行方向に並ぶ複数の前記半導体素子のゲート電極を共有して延在するワード線と、
少なくとも隣接する前記ビット線および隣接する前記ワード線によって囲まれた前記半導体基板上領域に形成された電荷トラップ層とを備え、
前記電荷トラップ層は、絶縁膜を介して前記電荷トラップ層周囲の前記半導体素子と分離されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記電荷トラップ層は電子をトラップし、前記電荷トラップ層の下に位置する前記半導体基板の表面層には正電荷が蓄積している請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
少なくとも隣接する前記ワード線間に挟まれた領域と前記ワード線の側面と対向する領域において、前記電荷トラップ層上にプラズマCVD膜が絶縁膜を介して形成されている請求項1または2記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記ワード線の上方領域および側方領域に電荷トラップ層が形成され、前記電荷トラップ層上に遮光膜が絶縁膜を介して形成されている請求項1または2記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
前記遮光膜は非ドープ多結晶シリコン膜層である請求項4記載の半導体集積回路装置。
【請求項6】
前記半導体素子はMONOS型トランジスタを有する不揮発性半導体記憶素子である請求項1または2記載の半導体集積回路装置。
【請求項7】
前記半導体素子は浮遊ゲート電極型トランジスタを有する不揮発性半導体記憶素子である請求項1または2記載の半導体集積回路装置。
【請求項8】
半導体基板中に、列方向に並ぶ複数の前記半導体素子のソース領域またはドレイン領域を共有かつ延在するように形成してビット線とする第1工程と、
前記半導体基板上に、行方向に並ぶ複数の前記半導体素子のゲート電極を共有かつ延在するように形成してワード線とする第2工程と、
少なくとも隣接する前記ビット線および隣接する前記ワード線によって囲まれた前記半導体基板上領域に絶縁膜を形成する第3工程と、
前記絶縁膜上に電荷トラップ層を形成する第4工程と、
前記半導体基板全面をプラズマ雰囲気に晒すことにより、前記電荷トラップ層に電子をトラップさせる第5工程とを含む半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項9】
前記第5工程では、前記半導体基板全面をプラズマ雰囲気に晒す代わりに、プラズマCVD膜を前記電荷トラップ層上に形成することで前記電荷トラップ層に電子をトラップさせる請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板中に、列方向に並ぶ複数の前記半導体素子のソース領域またはドレイン領域を共有かつ延在するように形成してビット線とする第1工程と、
前記半導体基板上に、行方向に並ぶ複数の前記半導体素子のゲート電極を共有かつ延在するように形成してワード線とする第2工程と、
少なくとも隣接する前記ビット線および隣接する前記ワード線によって囲まれた前記半導体基板上領域に絶縁膜を形成する第3工程と、
前記絶縁膜上に電荷トラップ層を形成する第4工程と、
前記半導体基板上に遮光膜を形成する第5工程と、
前記遮光膜のうち、隣接する前記ビット線および隣接する前記ワード線によって囲まれた前記半導体基板上領域に形成された部分を除去する第6工程と、
前記半導体基板全面に紫外線を照射することにより、前記電荷トラップ層に電子をトラップさせる第7工程とを含む半導体集積回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−253192(P2006−253192A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63818(P2005−63818)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】