説明

半導体集積回路装置及びその温度補正方法

【課題】簡単な構成で基準信号の温度補正を行うことができる半導体集積回路装置及びその温度補正方法を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも3つの異なる温度で半導体集積回路の信号発生手段21,22の出力する基準信号の値を測定し、測定した基準信号の値を目標値とするため信号発生手段のトリミング手段に与える補正制御データを求め、3つの温度で得た信号発生手段のトリミング手段に与える補正制御データから半導体集積回路の使用温度範囲における各温度の補正制御データを算出し、各温度の補正制御データを温度と対応付けて格納手段56に格納し、半導体集積回路の温度検出手段23で検出した温度に応じて格納手段から信号発生手段のトリミング手段に与える補正制御データを読み出して信号発生手段のトリミング手段に設定し、信号発生手段が出力する基準信号の温度補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準信号を出力する信号発生手段を有する半導体集積回路装置及びその温度補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池等の二次電池を用いた電池パックが携帯電話やデジタルカメラなどの携帯機器に搭載されている。リチウムイオン電池は、一般に、その電圧により電池残量を検出することが難しいとされている。このため、マイコンなどにより電池の充放電電流を検出し、検出した充放電電流を積算することにより、電池残量を測定する方法がとられている。
【0003】
このようにして電池パックにおけるリチウムイオン電池の電池残量を測定する電池監視モジュールは、高精度A/D変換回路などのアナログ回路と、計測した電流値を積算するCPUやタイマなどのデジタル回路を1つの半導体集積回路装置に搭載している。
【0004】
上記電池監視モジュールにはデジタル回路にクロックを供給する発振回路やアナログ回路に基準電圧を供給する基準電圧回路が設けられている。環境温度が変化すると、発振回路では発振周波数が変化し基準電圧回路では基準電圧が変化する。従来の電池監視モジュールでは発振回路や基準電圧回路の内部に個々に温度補正回路部を設ける設計を行って、発振回路や基準電圧回路それぞれの温度補正を行っている。
【0005】
なお、発振手段の発振周波数・電源電圧特性を温度変動に追従して電源を制御することにより、発振回路の安定性向上と消費電流の一定化を実現しようとする技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−169828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電池監視モジュールのように、発振回路と基準電圧回路を1つの半導体集積回路装置に搭載する場合には、発振回路と基準電圧回路のそれぞれに温度補正回路部を設ける構成とすると、温度補正回路部を含む発振回路と温度補正回路部を含む基準電圧回路それぞれの設計に手間が掛り、発振回路と基準電圧回路それぞれの温度補正回路部が大型化するという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で基準信号の温度補正を行うことができる半導体集積回路装置及びその温度補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様による温度補正方法は、
少なくとも3つの異なる温度で半導体集積回路の信号発生手段(21,22)の出力する基準信号の値を測定し、測定した前記基準信号の値を目標値とするため前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)に与える補正制御データを求め、
前記3つの温度で得た前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)に与える補正制御データから前記半導体集積回路の使用温度範囲における各温度の補正制御データを算出し、前記各温度の補正制御データを温度と対応付けて格納手段(56)に格納し、
前記半導体集積回路の温度検出手段(23)で検出した温度に応じて前記格納手段(56)から前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)に与える補正制御データを読み出して前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)に設定し、
前記信号発生手段(21,22)が出力する基準信号の温度補正を行う。
【0010】
好ましくは、前記格納手段(56)から読み出した前記補正制御データの前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)への設定は、定期的に行う。
【0011】
好ましくは、前記格納手段(56)から読み出した前記補正制御データの前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)への設定は、前記温度検出手段(23)で検出した温度が閾値を超えて変化したときに行う。
【0012】
本発明の一実施態様による半導体集積回路装置は、
基準信号を出力する信号発生手段(21,22)を有する半導体集積回路装置であって、
前記信号発生手段(21,22)の出力する基準信号の値を補正制御データに応じて変更する前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)と、
前記半導体集積回路の使用温度範囲における各温度で前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)に与える補正制御データを温度と対応付けて格納した格納手段(56)と、
前記半導体集積回路の環境温度を検出する温度検出手段(23)と、
前記半導体集積回路の温度検出手段(23)で検出した温度に応じて前記格納手段(56)から前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)に与える補正制御データを読み出して前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)に設定する設定手段(11)と、を有する。
【0013】
好ましくは、前記設定手段(11)は、前記格納手段(56)から読み出した前記補正制御データの前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)への設定を定期的に行う。
【0014】
好ましくは、前記設定手段(11)は、前記格納手段(56)から読み出した前記補正制御データの前記信号発生手段(21,22)のトリミング手段(27)への設定を前記温度検出手段(23)で検出した温度が閾値を超えて変化したときに行う。
【0015】
好ましくは、前記信号発生手段は発振回路(21)であり、前記基準信号の値は発振周波数である。
【0016】
好ましくは、前記信号発生手段は基準電圧回路(22)であり、前記基準信号の値は基準電圧である。
【0017】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡単な構成で基準信号の温度補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電池パックの一実施形態の構成図である。
【図2】トリミング回路の一部の回路構成図である。
【図3】基準電圧回路の基準電圧・温度特性図である。
【図4】発振回路の発振周波数・温度特性図である。
【図5】制御データを登録する際の構成図である。
【図6】発振回路用制御電圧登録処理の一実施形態のフローチャートである。
【図7】基準電圧回路用制御電圧登録処理の一実施形態のフローチャートである。
【図8】発振周波数及び基準電圧の温度補正処理の一実施形態のフローチャートである。
【図9】電源オン時のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0021】
<電池パック>
図1は、本発明の半導体集積回路装置である電池監視モジュールを適用した電池パックの一実施形態の構成図を示す。図1において、電池監視モジュール10は、デジタル部とアナログ部とから大略構成されている。
【0022】
デジタル部内には、CPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ(EEPROM)14、通信インタフェース(I/F)15、タイマ16等が設けられている。上記のCPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14、通信インタフェース(I/F)15、タイマ16は内部バスにて相互に接続されている。
【0023】
また、アナログ部には、発振回路21、基準電圧回路22、温度検出回路23、電圧検出回路24、電流検出回路25、充放電保護回路26、トリミング回路27、ADコンバータ(ADC)28、パワーオンリセット回路29等が設けられている。
【0024】
電池監視モジュール10は、リチウムイオン電池30、電流検出用の抵抗R1、保護スイッチとしてのMOSトランジスタM1,M2と共に筐体に収納されて電池パック35が構成されている。このリチウムイオン電池30を接続した電池パック35は、電池監視モジュール10の端子10a,10b,10cにより携帯機器40に接続され、電池パック35より携帯機器40に電源を供給する。
【0025】
電池監視モジュール10において、CPU11は、ROM12に記憶されているプログラムを実行して電池監視モジュール10全体を制御すると共に、温度補正処理、電圧算出処理、電流算出処理、電池の充放電電流を積算して電池残量を管理する処理、充放電制御処理等を実行する。この際にRAM13が作業領域として使用される。また、不揮発性メモリ14には電源オフ時にも保持する制御データ等が格納される。
【0026】
通信インタフェース15は端子10cを介して携帯機器40に接続され、CPU11と携帯機器40のCPUとの間で通信を行う。タイマ16はシステムクロックをカウントし、そのカウント値はCPU11に参照される。
【0027】
信号発生手段としての発振回路21はトリミング回路27から制御電圧を供給されており、この制御電圧に応じて発振周波数を可変するVCO(電圧制御型発振器)を有している。発振回路21はVCOの発振周波数に基づくクロックを生成し基準信号としてCPU11,ADコンバータ28等に供給すると共に、端子10dより出力する。
【0028】
信号発生手段としての基準電圧回路22はトリミング回路27から制御電圧を供給されており、基準電圧回路22は制御電圧に応じて基準電圧を可変して出力する。この基準電圧は基準信号としてADコンバータ28等に供給されると共に、端子10eより出力される。
【0029】
温度検出回路23は環境温度を検出してアナログの温度検出信号をADコンバータ28に供給する。
【0030】
電圧検出回路24は電池監視モジュール10に外付けされているリチウムイオン電池30の両端電圧を検出してアナログの電圧検出信号をADコンバータ28に供給する。
【0031】
電流検出回路25は電池監視モジュール10に外付けされている電流検出用の抵抗R1の両端電圧を検出してアナログの電流検出信号をADコンバータ28に供給する。
【0032】
ADコンバータ28はマルチプレクサを内蔵しており、アナログの温度検出信号、アナログの電圧検出信号、アナログの電流検出信号を順次選択してアナログ/デジタル変換を行い、温度検出信号、電圧検出信号、電流検出信号それぞれをデジタル化する。このアナログ/デジタル変換の際に基準電圧回路22からの基準電圧が使用される。ADコンバータ28でデジタル化された温度検出値、電圧検出値、電流検出値それぞれはCPU11に供給される。
【0033】
パワーオンリセット回路29はリチウムイオン電池30から供給される電源が立ち上がったことを検出してリセット信号を発生し電池監視モジュール10内の各回路部に供給する。
【0034】
<トリミング回路>
図2は、トリミング回路27の一部の回路構成図を示す。この回路は発振回路21用の制御電圧を発生する回路と、基準電圧回路22の制御電圧を発生する回路のいずれか一方を示している。
【0035】
図2において、演算増幅器51は反転入力端子に定電圧源52から定電圧V1を供給されている。演算増幅器51の非反転入力端子は3端子抵抗53の中間端子に接続されている。演算増幅器51の出力は端子54から制御電圧として出力されると共に、3端子抵抗53の一端に供給される。3端子抵抗53の他端は定電位(例えば接地)とされている。
【0036】
3端子抵抗53はトリミングレジスタ55から供給される補正制御データに応じて中間端子の接続位置(電圧取り出し位置)を変更することで3端子摺動抵抗として機能する。これにより、演算増幅器51の出力端子から非反転入力端子に帰還される電圧が補正制御データに応じて変更され、端子54からの出力電圧が変化する。
【0037】
不揮発性メモリ56には例えばアドレス0〜nに、値が徐々に大きくなる制御データが予め書き込まれている。また、不揮発性メモリ56には環境温度に応じたアドレス(アドレスn以降)に補正制御データが書き込まれる。
【0038】
不揮発性メモリ56は端子57を介してCPU11から読み出しアドレスを供給され、これにより不揮発性メモリ56から読み出された補正制御データがトリミングレジスタ55に設定され、トリミングレジスタ55から3端子抵抗53に供給される。つまり、CPU11からの制御によって端子54から出力される制御電圧が変化する。
【0039】
<温度特性>
図3は、基準電圧回路22の基準電圧・温度特性図を示す。基準電圧回路22はトリミング回路27から供給される制御電圧が一定であれば、環境温度が10°C付近で最大値となり、環境温度が10°Cから低下するほど基準電圧が低下すると共に、環境温度が10°Cから上昇するほど基準電圧が低下する、実線に示すような温度特性を有している。
【0040】
また、図4は、発振回路21の発振周波数・温度特性図を示す。発振回路21はトリミング回路27から供給される制御電圧が一定であれば、環境温度が低下するほど発振周波数が高くなり、環境温度が上昇するほど発振周波数が低くなる、実線に示すような温度特性を有している。
【0041】
<制御電圧登録工程>
図5は、電池パック35の製造工程でトリミング回路27の不揮発性メモリ56に補正制御データを登録する際の構成図を示す。図5において、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図5において、測定装置60は信号周波数を測定する機能と信号電圧を測定する機能を有している。測定装置60は電池監視モジュール10の端子10d,10eと接続され、また、測定装置60と通信回路65は通信線61にて接続される。
【0042】
電池監視モジュール10の端子10dから出力されるクロックが測定装置60に供給され、また、電池監視モジュール10の端子10eから出力される基準電圧が測定装置60に供給される。測定装置60が出力する制御の指示は通信回路65を介して電池監視モジュール10の通信インタフェース15に供給される。また、リチウムイオン電池30の代りに電源66が接続される。
【0043】
<発振回路用制御電圧登録>
図6は、発振回路用制御電圧登録処理の一実施形態のフローチャートを示す。この処理は電池監視モジュール10の環境温度をn回(nは3以上の数であり、環境温度は例えば−40°C,0°C,+80°C)変更する。
【0044】
図6において、ステップS11で測定装置60は通信回路65及び通信インタフェース15を介してCPU11に発振周波数を制御するトリミングレジスタ55に対して初期値を設定する。次に、ステップS12〜S13で、環境温度が測定温度と一致するまで待ち、ステップS14で測定装置60は端子10dから供給される発振回路21出力の発振周波数を測定し、ステップS15で図4に一点鎖線で示す目標値と比較して両者が一致するか否かを判別する。発振周波数が目標値と不一致であればステップS16で発振周波数を目標値とする方向と周波数の差分を含む変更指示をCPU11に供給する。これにより、CPU11は変更指示に応じた値をトリミングレジスタ55に設定し、トリミング回路27から発振回路21に変更された制御電圧が供給される。ステップS16を実行するとステップS14に進む。
【0045】
上記のステップS14〜S16を繰り返すことにより発振周波数は目標値と一致する。発振周波数が目標値と一致すると、ステップS15からステップS17に進む。ステップS17で測定装置60はCPU11に対して、この時点でトリミングレジスタ55に設定されている制御データを発振回路21用のトリミング回路27の不揮発性メモリ56の当該温度検出値に応じたアドレスに補正制御データとして書き込む指示を行う。
【0046】
次に、ステップS18で環境温度をn回変更したか否かを判別し、まだ環境温度をn回変更していなければステップS19で環境温度を変更してステップS13に進み、上記のステップS13〜S19を繰り返す。既に環境温度をn回変更していればステップS20に進む。
【0047】
ステップS20で測定装置60は通信回路65及び通信インタフェース15を介してCPU11に設定処理を指示する。CPU11は発振回路21用の不揮発性メモリ56に記憶されている3以上の環境温度に対する補正制御データから、電池監視モジュール10の使用温度範囲(例えばー40°C〜+120°C)における図4に一点鎖線で示す各環境温度で発振周波数を目標値とする補正制御データを近似的に算出し、算出した各温度の補正制御データを発振回路21用の不揮発性メモリ56の各環境温度に応じたアドレスに書き込んで、この処理を終了する。
【0048】
<基準電圧回路用制御電圧登録>
図7は、基準電圧回路用制御電圧登録処理の一実施形態のフローチャートを示す。この処理は電池監視モジュール10の環境温度をn回(nは3以上の数であり、環境温度は例えば−40°C,0°C,+80°C)変更する。
【0049】
図7において、ステップS21で測定装置60は通信回路65及び通信インタフェース15を介してCPU11に基準電圧を制御するトリミングレジスタ55に対して初期値を設定する。次に、ステップS22〜S23で、環境温度が測定温度と一致するまで待ち、ステップS24で測定装置60は端子10eから供給される基準電圧を測定し、ステップS25で図3に一点鎖線で示す目標値と比較して両者が一致するか否かを判別する。基準電圧が目標値と不一致であればステップS26で基準電圧を目標値とする方向と電圧の差分を含む変更指示をCPU11に供給する。これにより、CPU11は変更指示に応じた値をトリミングレジスタ55に設定し、トリミング回路27から基準電圧回路22に変更された制御電圧が供給される。ステップS26を実行するとステップS24に進む。
【0050】
上記のステップS24〜S26を繰り返すことにより基準電圧は目標値と一致する。基準電圧が目標値と一致すると、ステップS25からステップS27に進む。ステップS27で測定装置60はCPU11に対して、この時点でトリミングレジスタ55に設定されている制御データを基準電圧回路22用のトリミング回路27の不揮発性メモリ56の当該温度検出値に応じたアドレスに補正制御データとして書き込む指示を行う。
【0051】
次に、ステップS28で環境温度をn回変更したか否かを判別し、まだ環境温度をn回変更していなければステップS29で環境温度を変更してステップS23に進み、上記のステップS23〜S29を繰り返す。既に環境温度をn回変更していればステップS30に進む。
【0052】
ステップS20で測定装置60は通信回路65及び通信インタフェース15を介してCPU11に設定処理を指示する。CPU11は基準電圧回路22用の不揮発性メモリ56に記憶されている3以上の環境温度に対する補正制御データから、電池監視モジュール10の使用温度範囲(例えばー40°C〜+120°C)における図3に一点鎖線で示す各環境温度で基準電圧を目標値とする補正制御データを近似的に算出し、算出した各温度の補正制御データを基準電圧回路22用の不揮発性メモリ56の各環境温度に応じたアドレスに書き込んで、この処理を終了する。
【0053】
<温度補正>
図8は、発振周波数及び基準電圧の温度補正処理の一実施形態のフローチャートを示す。この処理は電源オン時、一定周期(例えば数分)、又は、温度検出回路23の温度検出値が予め設定された閾値を超えて変化したときに実行される。
【0054】
図8において、ステップS31でCPU11は温度検出回路23で検出しADコンバータ28から供給される温度検出値を読み取る。ステップS32でCPU11は発振回路21用のトリミング回路27の不揮発性メモリ56の当該温度検出値に応じたアドレスから補正制御データを読み出して発振回路21用のトリミング回路27のトリミングレジスタ55に設定する。
【0055】
ステップS33でCPU11は基準電圧回路22用のトリミング回路27の不揮発性メモリ56の当該温度検出値に応じたアドレスから補正制御データを読み出して基準電圧回路22用のトリミング回路27のトリミングレジスタ55に設定する。これによって、発振回路21の出力する発振周波数は温度補正された所定値となり、基準電圧回路22の出力する基準電圧は温度補正された所定値となる。
【0056】
<電源オン時の動作>
図9に電源オン時のタイミングチャートを示す。図9(A)に示す電源がオンする。これにより、パワーオンリセット回路29はハイレベルでリセット、ローレベルでリセット解除を指示する図9(B)に示すリセット信号を生成して電池監視モジュール10の各回路部に供給する。また、電源オンにより発振回路21は発振を開始して図9(C)に示すクロックを出力する。
【0057】
リセット解除により、タイマ16は発振回路21の出力クロックを用いて図9(C)に示す発振安定期間をカウントする。CPU11は上記発振安定期間をタイマ16から通知されて、この発振安定期間後に図8の処理を実行する。これによって、電源オンから僅かな時間で発振回路21の出力する発振周波数は温度補正された所定値となり、基準電圧回路22の出力する基準電圧は温度補正された所定値となる。
【0058】
なお、上記実施形態ではトリミング回路27内に不揮発性メモリ56を設けているが、不揮発性メモリ56の代りに、不揮発性メモリ14を使用しても良く、上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0059】
10 電池監視モジュール
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15 通信インタフェース
16 タイマ
21 発振回路
22 基準電圧回路
23 温度検出回路
24 電圧検出回路
25 電流検出回路
26 充放電保護回路
27 トリミング回路
28 ADコンバータ
29 パワーオンリセット回路
30 リチウムイオン電池
35 電池パック
40 携帯機器
51 演算増幅器
52 定電圧源
53 3端子抵抗
55 トリミングレジスタ
56 不揮発性メモリ
60 測定装置
65 通信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの異なる温度で半導体集積回路の信号発生手段の出力する基準信号の値を測定し、測定した前記基準信号の値を目標値とするため前記信号発生手段のトリミング手段に与える補正制御データを求め、
前記3つの温度で得た前記信号発生手段のトリミング手段に与える補正制御データから前記半導体集積回路の使用温度範囲における各温度の補正制御データを算出し、前記各温度の補正制御データを温度と対応付けて格納手段に格納し、
前記半導体集積回路の温度検出手段で検出した温度に応じて前記格納手段から前記信号発生手段のトリミング手段に与える補正制御データを読み出して前記信号発生手段のトリミング手段に設定し、
前記信号発生手段が出力する基準信号の温度補正を行うことを特徴とする半導体集積回路の温度補正方法。
【請求項2】
請求項1記載の温度補正方法において、
前記格納手段から読み出した前記補正制御データの前記信号発生手段のトリミング手段への設定は、定期的に行うことを特徴とする温度補正方法。
【請求項3】
請求項1記載の温度補正方法において、
前記格納手段から読み出した前記補正制御データの前記信号発生手段のトリミング手段への設定は、前記温度検出手段で検出した温度が閾値を超えて変化したときに行うことを特徴とする温度補正方法。
【請求項4】
基準信号を出力する信号発生手段を有する半導体集積回路装置であって、
前記信号発生手段の出力する基準信号の値を補正制御データに応じて変更する前記信号発生手段のトリミング手段と、
前記半導体集積回路の使用温度範囲における各温度で前記信号発生手段のトリミング手段に与える補正制御データを温度と対応付けて格納した格納手段と、
前記半導体集積回路の環境温度を検出する温度検出手段と、
前記半導体集積回路の温度検出手段で検出した温度に応じて前記格納手段から前記信号発生手段のトリミング手段に与える補正制御データを読み出して前記信号発生手段のトリミング手段に設定する設定手段と、
を有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体集積回路装置において、
前記設定手段は、前記格納手段から読み出した前記補正制御データの前記信号発生手段のトリミング手段への設定を定期的に行うことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項4記載の半導体集積回路装置において、
前記設定手段は、前記格納手段から読み出した前記補正制御データの前記信号発生手段のトリミング手段への設定を前記温度検出手段で検出した温度が閾値を超えて変化したときに行うことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の半導体集積回路装置において、
前記信号発生手段は発振回路であり、前記基準信号の値は発振周波数であることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項5又は6記載の半導体集積回路装置において、
前記信号発生手段は基準電圧回路であり、前記基準信号の値は基準電圧であることを特徴とする半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−166439(P2011−166439A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26752(P2010−26752)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】