説明

圧電発振器

【課題】小型であり、かつ耐衝撃性に優れた構造の圧電発振器を提供する。
【解決手段】パッケージ41に圧電振動素子7を搭載して蓋9により気密密封した構造の圧電振動子7の外側底面に、複数のランド40、43と、前記ランド40,43と導通した回路素子6と、樹脂製のブロックの表面に導電膜を被覆した構成を有する樹脂コア導電体100とを、備え、前記圧電振動子7の外側底面に前記回路素子6と前記樹脂コア導電体100とを固定した構造をとる圧電発振器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電発振器の構造に関し、特に発振回路や温度補償回路を構成する回路素子の上部にパッケージ化された圧電振動子を固定した構造の圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の移動体通信機の普及に伴う低価格化及び小型化の急激な進展により、これらの通信機器に使用される水晶発振器等の圧電発振器に対しても低価格化、小型化の要請が高まっている。
従来、圧電発振器の製造において、多品種少量生産の場合、発振回路、温度補償回路等を構成する回路素子を固有の集積回路に集積して圧電発振器を小型化することは、コスト的に見合わないため、この場合には、圧電発振器の発振回路、温度補償回路を構成するトランジスタ、抵抗、コンデンサ等の回路素子を個々のチップ部品として配線基板に搭載して使用していた。
図5は、従来の圧電発振器の一例としての水晶発振器の外観構造を示す分解斜視図である。同図に示した水晶発振器は、配線基板1上に水晶振動子2と、発振回路、温度補償回路を構成する回路素子3を搭載し、キャップ4を被せて完成する。又、水晶振動子2や回路素子3を搭載する際は、クリームハンダを配線基板上の所定のランドに、シルクスクリーンを用いてスクリーン印刷し、リフロー方式によりハンダ接合する方法が一般的である。
【0003】
しかし、図5に示したような水晶発振器は、水晶振動子2や回路素子3等の全ての電子部品を平坦な配線基板1上に搭載しているため、占有面積が大きく小型化が困難である。そこで、セラミックパッケージ内に発振回路、温度補償回路等を構成する回路素子を搭載し、そのセラミックパッケージの上部に、水晶振動素子を封入した水晶振動子のセラミックパッケージを固定した構造の水晶発振器が提案され、実用化されている。
図6は、従来の圧電発振器の他の一例として特許第2960374号に開示された水晶発振器の断面を示す外観図である。同図は、下部のセラミックパッケージ5内に発振回路、温度補償回路等を構成する回路素子6を搭載し、一方、上部セラミックパッケージ8には、水晶振動素子7を搭載すると共に、蓋9を用いて水晶振動素子7を封入することにより水晶振動子10を組み立てた後、水晶振動子10をセラミックパッケージ5の上部に固定して一体化した構造で、水晶発振器を小型化した従来例である。
下部のセラミックパッケージ5の凹部内には、発振回路、温度補償回路を構成する回路素子6に対応したランド11が設けられており、このランド11にクリームハンダを塗布した後、回路素子を搭載してリフロー方式によりハンダ接合する。又、セラミックパッケージ5の外底面には外部接続用の外部電極12を形成し、前記内部回路と導通している。
水晶振動子10は、セラミックパッケージ8の凹部内に水晶振動素子7を搭載した上で、凹部を金属製の蓋9により気密密閉した構造を備えている。セラミックパッケージ8の外底面には、水晶振動素子7上の励振電極と導通した外部電極13を設けており、この外部電極13を、導電性接着剤等を用いて下部のセラミックパッケージ5の上面電極14と接続固定する。これによって、下部のセラミックパッケージ5の凹部が水晶振動子10によって閉止される。
【0004】
図7は、従来の圧電発振器の他の一例として水晶発振器の断面を示す外観図である。この水晶発振器は、上部パッケージと下部パッケージを一体化したセラミックパッケージ15の下部凹部16に、発振回路、温度補償回路等を構成する回路素子6を搭載し、一方、水晶振動素子7を上部凹部17に搭載して蓋9により封入した構造であり、水晶発振器を更に小型化した従来例である。
セラミックパッケージ15の下部凹部16内の凹部側には、発振回路、温度補償回路を構成する回路素子6に対応したランド18が設けられており、クリームハンダを塗布した後、回路素子を搭載してリフロー方式によりハンダ接合する。又、セラミックパッケージ15の外底面には外部電極19を形成し、前記内部回路と導通している。
セラミックパッケージ15の上部凹部17内には、水晶振動素子7を搭載した上で、凹部を金属製の蓋9により気密密閉した構造を備えている。セラミックパッケージ15は、上部凹部17内に搭載した水晶振動素子7と下部凹部16に搭載した回路部品6とを導通した構造である。
次に、回路素子をセラミックパッケージに設けたランドに接続固定する方法は、前述した二つの従来例において説明したようなリフロー方式によりハンダ接続する方法の他、回路素子にバンプを固着して超音波振動を印加することにより、セラミックパッケージに設けたランドに接合するフリップチップ工法があり、この工法を利用して、回路素子をセラミックパッケージに設けたランドに接続固定してもよい。
【特許文献1】特許第2960374号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図6に示した従来の水晶発振器の構造を、水晶発振器の発振周波数出力をppmのオーダで微調整が必要な高精度水晶発振器に適用しようとした場合、下部のセラミックパッケージに搭載された発振回路、温度補償回路等を構成する回路素子は、水晶振動子により閉止されているので、温度補償回路の補償量や発振周波数を微調整するために必要なコンデンサ等の回路素子を交換、追加するといった作業が不可能であった。そこで、高精度水晶発振器は、図6に示した構造では、小型化を行うことが出来ないという問題が生じていた。
又、図6及び図7に示した従来の水晶発振器は、発振回路、温度補償回路等を構成する回路素子を、下部のセラミックパッケージの凹部に搭載するため、凹部内底面に設けた複数のランド上に、チップ部品からなる回路素子を、クリームハンダを用いたリフロー方式によってハンダ接続している。通常、クリームハンダをランド上に塗布する作業は、ハンダマスクを用いたスクリーン印刷によって実施されるが、下部のセラミックパッケージのようにクリームハンダを塗布する面が凹部になっている場合には周囲の凸部が障害となってスクリーン印刷技法を使用することが不可能である。このため、スクリーン印刷技法を併用したバッチ処理によって生産性を高めることが困難となり、クリームハンダを各ランド毎にディスペンサにより塗布する生産性の低い作業を実施せざるを得ず、チップ部品を使用した場合であってもコストアップの要因となっていた。
【0006】
一方、回路素子にバンプを固着して超音波振動を印加し、セラミックパッケージに設けたランドに接合するフリップチップ工法を用いる場合においては、次の問題が生じていた。図8に、フリップチップ工法を用いた回路素子の接続固定手段を示す。同図は、セラミックパッケージ5に設けたランド11に、回路素子6を接続固定する場合を示し、回路素子6に設けた電極20にバンプ21を固着した後、超音波振動部22に取り付けた押さえ治具23の先端部のチャッキング機構24により回路素子6を把持し、ランド11に回路素子6を押さえつけながら超音波振動部22を動作させ、超音波を印加して回路素子6を、バンプ21を介してランド11に接続固定する。この時、回路素子6を把持する押さえ治具23は、図8に示した如く所定の大きさが必要であり、セラミックパッケージ5の端部に回路素子を接続固定する際は、内壁との間に隙間dが必要となり、不要なスペースが生じて回路素子の実装効率を悪化させていた。
本発明は、上述したような問題を解決するためになされたものであって、発振周波数等の調整により回路素子の交換、追加が必要となる高精度水晶発振器に適応可能な構造を提供すると共に、回路素子を搭載する際にクリームハンダの塗布を、ハンダマスクを用いたスクリーン印刷によって行い、生産性を高めた製造方法が可能となる構造を提供する。又、回路素子の接続固定手段としてフリップチップ工法を用いた際は、不要なスペースが生じて回路素子の実装効率を悪化させない構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本発明の圧電発振器は、パッケージに圧電振動素子を搭載して蓋により気密密封した構造の圧電振動子の外側底面に、複数のランドと、前記ランドと導通した回路素子と、樹脂コア導電体とを、備え、前記圧電振動子の外側底面に前記回路素子と前記樹脂コア導電体とを固定したことを特徴とする。
【0009】
[適用例2]更に本発明の圧電発振器は、前記樹脂コア導電体が球状であることを特徴とする。
【0010】
[適用例3]更に本発明の圧電発振器は、前記樹脂コア導電体が柔軟性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述のような本発明に基づく構成により、圧電発振器の低背化を実現し、更に配線基板上に水晶振動子を搭載する際に使用する接続手段として、樹脂コア導電体を使用したことにより、熱ストレスや、機械的衝撃に起因して発生する種々の不具合を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る圧電発振器の一例である水晶発振器についての第一の実施形態であり、同図(a)が第一の実施形態の断面を示す外観図であり、同図(b)が樹脂コア導電ボールの説明図、同図(c)が回路素子及び樹脂コア導電ボールが搭載された配線基板の上面外観図を示すものである。
本実施形態の特徴は、発振回路、温度補償回路等の構成要素である回路素子を搭載する配線基板の寸法(面積)を、配線基板上に樹脂コア導電ボールを介して搭載する水晶振動子の寸法よりも若干大きめにしたことにある。そこで、水晶振動子を配線基板に支持枠体を介して搭載したとしても、水晶振動子を搭載した領域と重ならない回路素子搭載スペースが確保でき、そのスペースに発振周波数等を微調整するためのコンデンサ等の回路素子を搭載し、回路素子の交換、追加が容易に行えるようにした。また、回路素子は、平坦な配線基板に搭載されており、クリームハンダを配線基板上の所定のランドに、ハンダマスクを用いてスクリーン印刷し、回路素子をリフロー方式によりハンダ接合する方法が採用可能である。
即ち、第一の実施形態の特徴的構成は、配線基板に固定して所定のギャップを隔てて水晶振動子を搭載するために、樹脂コア導電ボールを使用した点にある。
即ち、第一の実施形態は、上面に発振回路及び温度補償回路等を構成する回路素子6及び発振周波数等を調整する回路素子25を搭載すると共に、底面に外部電極26を備えた平板状の配線基板27と、この配線基板27の上面に固定した樹脂コア導電ボール100を介して所定のギャップを隔てて搭載された水晶振動子10とを一体化した構造である。
【0013】
配線基板27には、発振回路、温度補償回路を構成する回路素子6を搭載するランド29と、発振周波数調整用の回路素子25を搭載するランド30及び樹脂コア導電ボール100を配線基板27に固定するランド35が設けられており、配線基板27の所定のランドにハンダマスクを用いることにより、クリームハンダをスクリーン印刷して塗布した後、回路素子6、25や樹脂コア導電ボール100を搭載してリフロー方式によりハンダ接合する。発振周波数調整用の回路素子25は、水晶振動子10の搭載スペースの外側(複数の樹脂コア導電ボールの外側)に配置したランド30上に搭載されており、発振周波数の微調整が必要な場合、後述するよう搭載した水晶振動子10を取り外すことなく回路素子25の交換、追加が可能である。
なお、樹脂コア導電ボール100を配線基板27上のランド35に固定する前に、回路素子6、25のみを所定のランド29、30にリフロー接続しておき、その後、樹脂コア導電ボール100を導電接着剤により樹脂コア導電ボール固定用のランド35に固定するような手順を採用してもよい。
【0014】
次に、水晶振動子10は、セラミックパッケージ8の凹部内に水晶振動素子7を搭載した上で、凹部を金属製の蓋9により気密密封した構成であり、セラミックパッケージ8の外底面には、水晶振動子7の励振電極と導通した外部電極13を設けており、この外部電極13を導電性接着剤又は半田を用いて樹脂コア導電ボール100と接続固定して水晶発振器は完成する。
尚、図示しないマザーボード上への実装のために水晶発振器が加熱される際に、水晶振動子10及び回路素子6を固定する半田が溶解し、これらの部品の搭載位置がズレてしまうのを防止する為、水晶振動子10と回路素子6とを配線基板27に対して絶縁性接着剤にて固定するようにしても良い。
【0015】
樹脂コア導電ボール100は、球状(ボール状)であるため、角部が存在しないので搭載方向を整える為の工程を必要とすることなく、製造工程を簡素化できるという利点がある。
また、樹脂コアボール100は、弾性を備えた樹脂材料からなる樹脂ボールをコアとして用いたものであり、単なる金属ボールよりも弾力性、可撓性を備えている。即ち、図1(b)は、樹脂コア導電ボール100の構成及び使用状態を示す拡大断面図であり、この樹脂コア導電ボール100は、例えば、ジビニルベンゼンから成る球状の樹脂ボール101の表面全体に、ニッケル、銅等の導電金属メッキ層102を介して半田メッキ層103を形成した構成を備えている。
樹脂ボール101としては、ジビニルベンゼン以外であっても、ニッケル、銅等の導電金属よりも柔軟性を有した高分子系樹脂材料を使用することができる。或いは、シリコンゴム等の弾性材料を用いてもよい。樹脂ボール101の直径は、例えば50〜760μmである。また、導電金属メッキ層102としては、ニッケル、銅以外の導電性の良好な金属を用いる。また、半田メッキ層103としては、共晶半田層(3〜30μm)と鉛フリー層(3〜30μm)の二層構造のものを用いる。
コア樹脂導電ボール100は、金属ボールに比して次のごとき利点を備えている。まず、樹脂コア導電ボール100は柔軟性質であるため、水晶振動子10のセラミックパッケージ8と樹脂系材質の配線基板27との熱膨張率の差に伴う機械的ストレス(応力)が樹脂コア導電ボール100上に生じても構成する樹脂コア導電ボール100が変形することによって機械的応力が吸収緩和され、熱ストレスに起因した外部電極13又はランド35と樹脂コア導電ボール100との間の接続強度の低下を防止することができる。また、水晶振動子10をマウントする際の衝撃が水晶振動子10に加わるが、樹脂コア導電ボール100を構成する樹脂ボール101が変形することによって衝撃が吸収緩和されるため、水晶振動子10の気密封止部へのダメージを減少させることができる。
なお、樹脂ボール101の変形が生じたとき、導電金属メッキ層102が断裂しない為には、直径約330μmの樹脂ボール101の場合、導電金属メッキ層102の厚さが20μm以上必要であり、更に、この場合、樹脂コア導電ボール100の柔軟性を保つためには、導電性金属メッキ層102の厚さを50μm以下にする必要がある。
【0016】
更に、本第一の実施形態に使用する手段として、球状の樹脂コア導電ボールを用いて説明したが、他にも、樹脂から成る四角柱、三角柱等の多角柱状または円柱、楕円柱状の所謂柱形状のブロックの外面に導電金属メッキ層を形成した構成の樹脂コア導電体を用いても良い(このことは、以下の全ての実施形態に当てはまる)。
そして、更に、配線基板27の平面図として図1(c)に示すように樹脂コア導電ボール100を用いれば、側壁部が無い分だけ、隣接し合う樹脂コア導電ボール間の基板27の周縁部に電子部品を配置することが可能であり、これにより配線基板27面に於ける回路素子実装可能面積の比率が高いものとなるので配線基板27として小面積なものであっても必要な数の回路素子6、25を搭載することが可能となり、このことから水晶発振器の小型化に有効な構成である。
更に、回路素子6としては、ICチップであっても良く、この場合、例えばフリップチップボンディング工法によりICチップを配線基板27上に搭載した後、配線基板27とICチップとを強固に固定する為に両者の隙間に接着剤を注入して固定する。
尚、ICチップを用いた場合、水晶発振器を組立てた後、ICの回路設定を調整する必要がある場合は、調整信号が入力される調整端子を例えば水晶振動子の外周壁に設ければ良い。
【0017】
図2は、本発明に係る圧電発振器の一例である水晶発振器について、第二の実施形態の断面を示す外観図である。第二の実施形態の特徴は、底面に発振回路、温度補償回路等を構成する回路素子を搭載した配線基板の上面を、水晶振動子の底面に固定して水晶発振器の小型化を図った点にある。
即ち、第二の実施形態は、底面に発振回路及び温度補償回路等を構成する回路素子6と水晶発振器の外部接続端子となる樹脂コア導電ボール100とを搭載すると共に、上面に外部電極37を備えた平板状の配線基板38に、この配線基板38の上面の外部電極37と水晶振動子10の外部電極13とを接続固定して一体化した構造であり、樹脂コア導電ボール100は、水晶発振器の外部接続端子となる。
配線基板38の底面には、発振回路、温度補償回路を構成する回路素子6を搭載するランド39及び樹脂コア導電ボール100を配線基板38に固定するランド40が設けられており、配線基板38の所定のランドにシルクスクリーンを用いることにより、クリームハンダをスクリーン印刷して塗布した後、回路素子6や樹脂コア導電ボール100を搭載してリフロー方式によりハンダ接合する。又、発振周波数等の調整により回路素子の交換、追加が必要となる場合は、配線基板38の底面の部品実装面がオープン状態であり、任意の回路素子を交換、追加することが可能である。
尚、樹脂コア導電ボール100を配線基板38に固定する際に、回路素子6のみを所定のランド39にリフロー接続し、その後、樹脂コア導電ボール100を導電性接着剤又はハンダにより樹脂コア導電ボール固定用のランド40に固定するような手順を採用しても良い。又、本実施例に使用する配線基板38の平坦度は、水晶振動子10の平坦度により保たれるので、配線基板38は、薄い基板を用いることが出来る。
【0018】
次に、水晶振動子10は、セラミックパッケージ8の凹部内に水晶振動素子7を搭載した上で、凹部を金属製の蓋9により気密密閉した構造を備えている。セラミックパッケージ8の外底面には、水晶振動素子7と導通した外部電極13を設けており、この外部電極13を、導電性接着剤等を用いて配線基板の外部電極37と接続固定して水晶発振器は完成する。
図3(a)は、本発明に係る圧電発振器の一例である水晶発振器について、第三の実施形態の断面を示す外観図である。第三の実施形態の特徴は、発振回路、温度補償回路等を構成する回路素子を、水晶振動素子搭載用パッケージの外側底面に所定の回路パターンとランドを設けて搭載し、図3に示す配線基板38を不要にして水晶発振器の小型化と、更に低背化を図った点にある。
即ち、第三の実施形態は、セラミックパッケージ41の外側底面に回路パターンと共に設けた所定のランド42、43に、夫々発振回路、温度補償回路を構成する回路素子6と、樹脂コア導電ボール100とを搭載した後、セラミックパッケージ41の凹部に水晶振動素子7を搭載して蓋9により気密密封した構造であり、樹脂コア導電ボール100は、水晶発振器の外部接続端子となる。
セラミックパッケージ41の外側底面には、発振回路、温度補償回路を構成する回路パターンと回路素子6を搭載するランド42、及び樹脂コア導電ボール100を固定するランド43が設けられており、これらのランドにシルクスクリーンを用いることにより、クリームハンダをスクリーン印刷して塗布した後、回路素子6や樹脂コア導電ボール100を搭載してリフロー方式によりハンダ接合する。又、発振周波数等の調整により回路素子の交換、追加が必要となる場合は、部品実装面がオープン状態であり、任意の回路素子を交換、追加することが可能である。
尚、樹脂コア導電ボール100をセラミックパッケージ41の外側底面に固定する際に、回路素子6のみを所定のランド42にリフロー方法により半田接続し、その後、樹脂コア導電ボール100を導電性接着剤により樹脂コア導電ボール固定用のランド43に固定するような手順を採用しても良い。
更に、先にセラミックパッケージ41の凹部内に水晶振動子7を搭載し、凹部を金属製の蓋9にて気密密封して、水晶振動子10を完成させた後、回路素子6、樹脂コア導電ボール100をセラミックパッケージ41の底面に設けたランド42、43上に搭載するような製造方法であっても良く、この方法によれば良品と判断された水晶振動子10のみを用いることができる。
【0019】
そして、図3(b)は、第二の実施形態に於ける水晶振動子10または第三の実施形態における配線基板38の回路素子搭載面を示す平面図である。
同図から明らかなように第一の実施形態の場合と同様、第二、第三の実施形態の場合に於いても、樹脂コア導電ボール100を用いたので、耐熱衝撃性及び耐衝撃性に優れると共に、図3(b)に示す如く樹脂コア導電ボール100間の配線基板38の周縁部にも回路素子を配置することが可能であり、この為、配線基板38又は水晶振動子10の外側底面に於ける回路素子実装面積の比率を高いものとすることができるので水晶発振器の小型化に有効な構成である。
更に、回路素子6としては、ICチップであっても良く、この場合、例えばフリップチップボンディング工法によりICチップを配線基板27上に搭載した後、配線基板27とICチップとを強固に固定する為に両者を接着剤にて固定する。
更に、第二、第三の実施形態の場合、水晶発振器の端子の配置関係を認識する為に、複数の樹脂コア導電ボール100のうち、少なくとも一つの形状または大きさを他の樹脂コア導電ボールと異なるようにしても良い。
【0020】
次に、回路素子を配線基板に接続固定する方法として、回路素子にバンプを固着し超音波振動を印加して接合するフリップチップ工法を採用した際の製造手順を説明する。フリップチップ工法は、常温ボンディング対応であると共に、バンプと配線基板を直接金属接合するため信頼性の高い工法である。
図4に、本発明に係る圧電発振器の一例である水晶発振器について、第四の実施形態としてフリップチップ工法を用いた際の製造手順を示す。本実施形態の特徴は、平坦な配線基板上に、回路素子をフリップチップ工法により接続固定した後、水晶振動子を搭載する支持枠体を接着固定するという手順を採用したため、フリップチップ工法を用いることにより生ずる無駄なスペースを排除し、回路素子の実装効率を向上させた。
図4に示した製造手順を説明すると、(a)に記載した回路素子6をフリップチップ工法により配線基板に接続固定する場合は、先ず、回路素子6に備えた電極20にバンプ21を固着した後((b))、超音波振動子22に取り付けた押さえ治具23の先端部のキャッチング機構24により回路素子6を把持する。更にランド29に、バンプ21が固着されている回路素子6を押さえつけながら超音波振動子22を動作させて超音波を印加し、回路素子6をランド29に固着させる((c))。その後、水晶振動子を搭載する樹脂コア導電ボール100を、導電性接着剤等を用いて配線基板に接着固定する((d))。水晶発振器は、最後に樹脂コア導電ボール100に水晶振動子を導電性接着剤等を用いて接着固定して完成する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は本発明に係る圧電発振器の一例である水晶発振器について、第一の実施形態の断面を示す図、(b)はその要部構成を示す断面図、(c)は配線基板の平面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態に係る圧電発振器の構成を示す断面図である。
【図3】(a)は本発明に係る圧電発振器の一例である水晶発振器の第三の実施形態の断面図、(b)は配線基板の平面図である。
【図4】(a)乃至(d)は本発明に係る圧電発振器の一例である水晶発振器について、第四の実施形態としてフリップチップ工法を用いた際の製造手順を示す図である。
【図5】従来の圧電発振器の一例として水晶発振器の外観構造を示す分解斜視図である。
【図6】従来の圧電発振器の他の一例として水晶発振器の断面図である。
【図7】従来の圧電発振器の他の一例として水晶発振器の断面図である。
【図8】従来のフリップチップ工法を用いた回路素子の接続固定手段を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1・・配線基板、2・・水晶振動子、3・・回路素子、4・・キャップ、5・・セラミックパッケージ、6・・回路素子、7・・水晶振動素子、8・・セラミックパッケージ、9・・蓋、10・・水晶振動子、11・・ランド、12・・外部電極、13・・外部電極、14・・上面電極、15・・セラミックパッケージ、16・・下部凹部、17・・上部凹部、18・・ランド、19・・外部電極、20・・電極、21・・バンプ、22・・超音波振動子、23・・押さえ治具、24・・キャッチング機構、25・・回路素子、26・・外部電極、27・・配線基板、29・・ランド、30・・ランド、31・・ランド、32・・上部電極、33・・下部電極、35・・ランド、37・・外部電極、38・・配線基板、39・・ランド、40・・ランド、41・・セラミックパッケージ、42・・ランド、43・・ランド、100・・樹脂コア導電ボール、101・・樹脂ボール、102・・導電金属メッキ層、103・・半田メッキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージに圧電振動素子を搭載して蓋により気密密封した構造の圧電振動子の外側底面に、複数のランドと、前記ランドと導通した回路素子と、樹脂コア導電体とを、備え、前記圧電振動子の外側底面に前記回路素子と前記樹脂コア導電体とを固定したことを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
前記樹脂コア導電体が、球状であることを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項3】
前記樹脂コア導電体が柔軟性を有することを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−112028(P2009−112028A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313500(P2008−313500)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【分割の表示】特願2002−311738(P2002−311738)の分割
【原出願日】平成14年10月25日(2002.10.25)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】