説明

垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子及びその製造方法

【課題】垂直型トランジスタのドレイン領域と埋め込みビットラインとの間に抵抗接点(ohmic contact)を形成しつつも、その製造工程が簡単な半導体メモリ素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】基板に形成されたトレンチによって上部へ突出した形のアクティブ領域と、アクティブ領域の上部に配置される第1の不純物領域と、アクティブ領域の下部に配置される第2の不純物領域と、第1の不純物領域と第2の不純物領域との間のアクティブ領域の側面に沿って配置されるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に配置されるゲート電極膜と、そして、トレンチの下部でライナー膜によって第2の不純物領域と離隔するように配置される金属膜と、金属膜上で前記第2の不純物領域と直接接触されるように配置されるポリシリコン膜とからなる埋め込みビットラインとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子及びその製造方法に関し、特に、垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の普及が拡大され、デジタル家電製品が次第に小型化するにつれて、モバイル機器やデジタル家電製品を構成する半導体素子の集積度も急激に増加している。特に、DRAM素子やフラッシュメモリ素子の場合、限定された空間内にさらに多量の情報を格納するために様々な試みがなされている。一般に、DRAM素子は、トランジスタとキャパシタとで構成されるが、トランジスタは、シリコン基板に形成され、その上にキャパシタが配置される積層型構造を有する。
【0003】
トランジスタとキャパシタとの電気的接続のために、下部のトランジスタのソース領域と上部のキャパシタの下部電極との間にはストレージノードコンタクトが配置される。また、トランジスタのドレイン領域は、ビットラインコンタクトを介してビットラインと電気的に接続される。このように、平面(planar)構造のトランジスタと、その上にキャパシタを配置させる構造において、トランジスタとキャパシタとの間にはワードライン、ビットラインのような信号伝送のための膜が配置されるが、この膜が占める空間のため、キャパシタの容量を増大させるのに限界をみせている状況である。さらに、平面構造のトランジスタは、ゲート幅が40nm以下に狭くなると、より多くの電力が消費され、ソース領域とドレイン領域との間での漏れ電流であるボディー電流(body current)の量が急激に増加するという問題がある。したがって、最近には垂直型トランジスタに対する研究が活発になされている。
【0004】
図1は、垂直型トランジスタの基本概念を説明するために示した図である。同図に示すように、垂直型トランジスタ100は、シリコン基板110の下部一側面にドレイン領域112が配置され、シリコン基板110の上部一側面にソース領域114が配置される構造を有する。ドレイン領域112とソース領域114との間にはチャネル領域116が形成され、チャネル領域116の上のシリコン基板110の側面上にはゲート絶縁膜118及びゲート電極120が順次配置される。このような垂直型トランジスタ100をDRAM素子に適用させる場合、ドレイン領域112にはビットライン(bit line)が接続され、ソース領域114にはストレージノード(storage node)が接続される。このとき、ビットラインは、シリコン基板110の下部側面に埋め込まれた形で配置されるので、上部のストレージノードが形成される空間を減少させず、これにより、高い集積度にもかかわらず、データ格納能力を向上させることができるようになる。
【0005】
ところが、このような垂直型トランジスタを形成するためには、シリコン基板110の下部一側面にドレイン領域112を形成しなければならないが、この過程が容易ではないという問題がある。例えば、ドレイン領域112を形成する前に、ドレイン領域112が形成されるシリコン基板110の下部一側面上に高濃度でドーピングされた導電膜を形成し、この導電膜内にドーピングされているドーパントをシリコン基板110に拡散させることにより、ドレイン領域112を形成することができる。しかし、この場合、ドレイン領域112の大きさやドーパント濃度を適宜調整することは容易でなく、その工程も非常に複雑になり、量産性低下のような限界がある。
【0006】
なお上記背景技術に関連する先行技術文献としては、下記特許文献1から特許文献5が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公開第2004/0094786 A1号公報
【特許文献2】米国特許公開第2007/0040200 A1号公報
【特許文献3】米国特許公開第2007/0190725 A1号公報
【特許文献4】米国特許公開第2007/0295995 A1号公報
【特許文献5】米国特許公開第2010/0237423 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するために提案されたものであって、その目的は、垂直型トランジスタのドレイン領域と埋め込みビットラインとの間に抵抗接点(ohmic contact)を形成しつつも、その製造工程が簡単な半導体メモリ素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記の目的を達成するための本発明に係る半導体メモリ素子が、基板に形成されたトレンチによって上部へ突出した形のアクティブ領域と、アクティブ領域の上部に配置される第1の不純物領域と、アクティブ領域の下部に配置される第2の不純物領域と、第1の不純物領域と第2の不純物領域との間のアクティブ領域の側面に沿って配置されるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に配置されるゲート電極膜と、そして、トレンチの下部でライナー膜によって第2の不純物領域と離隔するように配置される金属膜と、金属膜上で第2の不純物領域と直接接触されるように配置されるポリシリコン膜とからなる埋め込みビットラインと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するための本発明に係る半導体メモリ素子の製造方法が、基板にトレンチを形成して上部へ突出する形のアクティブ領域を限定するステップと、トレンチが形成された基板上に第1のライナー膜を形成するステップと、トレンチの下部の第1のライナー膜上に金属膜を形成するステップと、金属膜上の第1のライナー膜を選択的に除去してアクティブ領域の一側面下部が選択的に開口する開口領域を形成するステップと、そして、金属膜上にアクティブ領域の開口した領域と直接接触するポリシリコン膜を形成して金属膜及びポリシリコン膜からなる埋め込みビットラインを形成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
一例として、前記金属膜を形成するステップが、トレンチが埋められるように第1のライナー膜上に金属膜を形成するステップと、金属膜に対する第1のエッチングを行って第1の厚さの金属膜を形成するステップと、第1の厚さの金属膜上で露出する第1のライナー膜を所定厚さ除去するステップと、所定厚さの分だけ除去された第1のライナー膜上にスペーサ状の第2のライナー膜を形成するステップと、そして、第1の厚さの金属膜に対する第2のエッチングを行って第2の厚さの金属膜を形成するステップと、を含む。
【0012】
この場合、前記アクティブ領域の一側面下部を選択的に開口させるステップが、第2の厚さの金属膜上で露出する第1のライナー膜及び第2のライナー膜上にスペーサ状の第3のライナー膜を形成するステップと、第3のライナー膜内のトレンチを埋める犠牲膜を形成するステップと、アクティブ領域の一側面に隣接した第3のライナー膜上部を選択的に露出させるステップと、露出した第3のライナー膜を除去して金属膜上の第1のライナー膜を露出させるステップと、そして、犠牲膜及び第1のライナー膜の露出部分を除去してアクティブ領域の一側面下部を露出させるステップと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
金属膜を埋め込みビットライン接合領域に直接接触させる場合、その接触面に抵抗接点を形成するために、ドーパント濃度を高く維持しなければならないが、本発明によれば、ポリシリコン膜が埋め込みビットライン接合領域に直接接触されることにより、自然と抵抗接点が形成されるので、より低いドーパント濃度でポリシリコン膜をドーピングさせても良く、これにより、埋め込みビットライン接合領域のドーピング形状をより容易に形成することができる。また、抵抗接点の形成のための別途の金属シリサイドが不要なので、従来の金属シリサイドが後続の熱処理によってその厚さが不均一になり、それにより、素子の安定性を阻害するという問題が発生しない。さらに、ビットラインの上部にポリシリコン膜が配置されるので、後続工程においてポリシリコン膜が露出して酸化されても、金属膜が酸化される場合に比べて後続工程を行うのにおいて大きな影響を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】垂直型トランジスタの基本概念を説明するために示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子を示した断面図である。
【図3】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図4】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図5】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図6】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図7】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図8】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図9】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図10】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図11】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【図12】図2の垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子を示した断面図である。同図に示すように、本実施形態に係る半導体メモリ素子200によれば、シリコン基板のような基板210に形成されたトレンチ220によって基板210の下部から上部へ突出した形のアクティブ領域Aが限定される。アクティブ領域Aの上部には、ストレージノード接合領域である第1の不純物領域、例えば、ソース領域231が配置される。アクティブ領域Aの下部、特に、右側壁の下には埋め込みビットライン接合領域である第2の不純物領域、例えば、ドレイン領域232が配置される。ソース領域231とドレイン領域232との間にはチャネル領域240が配置されるが、本実施形態においてチャネル領域240は、アクティブ領域Aの右側面に形成される。チャネル領域240の上、すなわち、アクティブ領域Aの側面上にはゲート絶縁膜250及びゲート電極膜260が順次配置される。トレンチ220下部の基板210上にはライナー膜271を介在して第1のビットライン281が配置される。ライナー膜271は、オキサイド膜を備える。この場合、オキサイド膜の厚さは略10Å〜200Åである。第1のビットライン281とライナー膜271との上には第2のビットライン282が配置される。第1のビットライン281及び第2のビットライン282は、埋め込みビットライン280を構成する。第2のビットライン282は、その上に配置される絶縁膜272によってゲート電極膜260とは電気的に分離される。例え、図面には示されていないが、ゲート電極膜260と埋め込みビットライン280とは、相互交差するライン状からなることができる。
【0016】
第1のビットライン281は、金属膜からなり、ライナー膜271によって基板210及びドレイン領域232と絶縁される。金属膜は、チタニウムナイトライド(TiN)膜、タングステンナイトライド(WN)膜、タンタル(Ta)膜、タンタルナイトライド(TaN)膜、タングステンシリサイド(WSi2)膜、タングステン(W)膜や、その組み合わせを含む。金属膜の厚さは、略100Å〜1000Åである。第2のビットライン282は、不純物がドーピングされたポリシリコン膜からなり、その側壁は、ドレイン領域232と直接接触される。ポリシリコン膜の厚さは、略10Å〜200Åである。ポリシリコン膜にドーピングされた不純物は、ヒ化物(As)またはリン(P)を含む。
【0017】
このように、本実施形態に係る半導体メモリ素子200は、金属膜からなる第1のビットライン281はドレイン領域232と接触されないことに対し、ドーピングされたポリシリコン膜からなる第2のビットライン282のみがドレイン領域232と接触される構造で形成される。したがって、ドレイン領域232と第2のビットライン282との接触部分には抵抗接点が自然と形成される。一般に、金属膜がドレイン領域232と直接接触する場合、抵抗接点を形成するために、金属膜とドレイン領域232との間に金属シリサイド膜を形成する方法が利用されている。この場合、後続の熱処理などによって金属シリサイド膜が凝集(agglomeration)されて、その厚さが不均一になり、その結果、コンタクト抵抗が増加する可能性がある。金属シリサイド膜を形成せずに、抵抗接点が形成される場合でも、金属膜とドレイン領域232との接触面に所望しない膜質、例えば、ナイトライド系の膜が形成され得る。しかし、本実施形態の場合には、ドレイン領域232と直接接触する第2のビットライン282がドーピングされたポリシリコン膜からなっているので、基本的に、接触部分に抵抗接点が形成され、したがって、別途の抵抗接点のための金属シリサイド膜が不要になり、所望しないナイトライド系の膜も形成されない。さらに、ドレイン領域232と接触する部分を除いた残りの領域に金属膜からなる第1のビットライン281が配置されるので、全体ビットライン280の抵抗もポリシリコン膜のみでビットラインを構成する場合に比べて低めることができる。
【0018】
図3〜図12は、本発明の一実施形態に係る垂直型トランジスタと埋め込みビットラインとを有する半導体メモリ素子の製造方法を説明するために示した断面図である。図3に示すように、シリコン基板のような基板210上にハードマスク膜パターン310を形成する。一例として、ハードマスク膜パターン310は、ナイトライド膜パターンで形成するか、またはオキサイド膜パターンとナイトライド膜パターンとが順次積層される構造で形成することができる。ハードマスク膜パターン310は、略500Å〜3000Åの厚さに形成する。ハードマスク膜パターン310は、基板210の一部表面を露出させる開口部311を有する。この開口部311によって基板210のアクティブ領域Aを限定するトレンチが形成される基板210の表面が露出する。
【0019】
図4に示すように、ハードマスク膜パターン310をエッチングマスクとしたエッチングによって基板210の露出部分を所定深さ除去してトレンチ220を形成する。このトレンチ220によって基板210の上部へ突出する形のアクティブ領域Aが限定され、トレンチ220の深さによってアクティブ領域Aの高さが決定される。次に、トレンチ220が形成された基板210上に第1のライナー膜271を形成する。第1のライナー膜271は、略10Å〜200Åの厚さのオキサイド膜で形成することができる。次いで、トレンチ220の内部が埋められるように第1のライナー膜271上に金属膜283を形成する。この金属膜283は、チタニウムナイトライド(TiN)膜、タングステンナイトライド(WN)膜、タンタル(Ta)膜、タンタルナイトライド(TaN)膜、タングステンシリサイド(WSi2)膜、タングステン(W)膜や、その組み合わせによって形成することができる。
【0020】
図5に示すように、金属膜283をリセスさせる第1のエッチングを行って第1の厚さを有する金属膜285がトレンチ220の下部に残るようにする。この第1のエッチングは、エッチバック(etch back)法を利用して行うことができる。場合によっては、エッチバックを行う前に、金属膜283に対する平坦化を行うことができる。リセスされた第1の厚さの金属膜285の上部面がある位置(図面において「B」として表示された部分参照)は、後続工程においてドレイン領域が開口する開口領域の上端と実質的に一致する。したがって、金属膜283に対するエッチングは、ドレイン領域の開口領域の上端位置を考慮して行わなければならない。
【0021】
図6に示すように、第1の厚さの金属膜285上で露出する第1のライナー膜271を所定厚さの分だけ除去する。次に、所定厚さの分だけ除去された第1のライナー膜271上にスペーサ状の第2のライナー膜320を形成する。第2のライナー膜320は、略10Å〜200Åの厚さに形成し、第1のライナー膜271との選択的エッチングがなされ得る程度に十分なエッチング選択比を有する物質で形成する。すなわち、後続の第1のライナー膜271に対するエッチング時、第2のライナー膜320は、エッチングによる影響が最小化されなければならない。一例として、第1のライナー膜271をオキサイド膜で形成した場合、第2のライナー膜320はナイトライド膜で形成することができる。スペーサ状の第2のライナー膜320を形成するためには、まず、図面には示されていないが、全面に第2のライナー膜用物質膜(図示せず)を形成する。そして、第2のライナー膜用物質膜に対する異方性エッチング、例えば、エッチバックを行うことにより、スペーサ状の第2のライナー膜320を形成することができる。
【0022】
図7に示すように、リセスされた第1の厚さの金属膜(図6の285)に対する第2のエッチングを行って第1のビットラインになる第2の厚さの金属膜281を形成する。この過程は、スペーサ状の第2のライナー膜320を形成する過程中に行うこともできる。金属膜281の第2の厚さは、ドレイン領域の開口領域の下端に一致させる厚さである。すなわち、第2の厚さの金属膜281の上部面がある位置(図面において「C」として表示された部分参照)は、後続工程において形成されるドレイン領域の開口領域の下端と実質的に一致する。一例として、金属膜(図6の285)が除去される厚さ(すなわち、ドレイン領域の開口領域の長さ)は、略100Å〜700Åに設定し、金属膜281の最終厚さは、略100Å〜1000Åになるようにする。
【0023】
金属膜281が形成されることにより、第1のライナー膜271の一部は金属膜281と第2のライナー膜320との間で露出する。この状態で金属膜281上に露出する第1のライナー膜271と、第2のライナー膜320の上にスペーサ状の第3のライナー膜330を形成する。第3のライナー膜330をスペーサ状に形成するために、まず、全面に第3のライナー膜用物質膜(図示せず)を形成し、この第3のライナー膜用物質膜に対する異方性エッチングを行う。第3のライナー膜330は、第1のライナー膜271と十分なエッチング選択比を有する物質膜で形成する。一例として、第3のライナー膜330は、ポリシリコン膜で形成することができる。次に、第3のライナー膜330内のトレンチ220内部が埋められるように全面に犠牲膜340を形成する。犠牲膜340は、第1のライナー膜271と同じ物質膜で形成する。すなわち、第1のライナー膜271をオキサイド膜で形成した場合、犠牲膜340もオキサイド膜で形成する。したがって、犠牲膜340も第1のライナー膜271と同様に、第3のライナー膜330と十分なエッチング選択比を有するようになり、これにより、後続工程において第3のライナー膜330を除去するエッチング時、犠牲膜340はエッチングによる影響が最小化される。
【0024】
図8に示すように、犠牲膜340に対する平坦化を行ってトレンチ220内にのみ犠牲膜340が残るようにする。そして、結果物の上部に第3のライナー膜330を選択的に除去するマスク膜パターン350を形成する。マスク膜パターン350は、フォトレジスト膜で形成することができる。図面において「D」として示したように、マスク膜パターン350の開口部352によってアクティブ領域Aの一側面にある第3のライナー膜330、すなわち、選択的に除去すべき第3のライナー膜330は露出することに対し、反対側面にある第3のライナー膜330、すなわち、除去してはならない第3のライナー膜330はマスク膜パターン350で覆われている。本実施形態では、マスク膜パターン350を用いて第3のライナー膜330を選択的に除去する方法を説明しているが、これは、例示的なものであって、その他の方法を利用することができるということは当たり前である。
【0025】
図9に示すように、マスク膜パターン(図8の350)によって露出した第3のライナー膜330を除去して金属膜281上の第1のライナー膜271を露出させる。この過程は、ウェットエッチング法を利用して行うことができる。この過程において犠牲膜340は、第3のライナー膜330との十分なエッチング選択比を有する物質からなっているので、エッチングによる影響をほとんど受けず、それにより、犠牲膜340で覆われた第3のライナー膜330は除去されない。エッチングが終了すると、マスク膜パターン(図8の350)を除去する。図面において「E」として示したように、第3のライナー膜330が選択的に除去されることにより、トレンチ220内には空いた空間が作られる。この空いた空間を介してアクティブ領域Aの下部一側面、すなわち、ドレイン領域の開口領域と接する第1のライナー膜271が露出する(図面において「F」として表示した部分参照)。
【0026】
図10に示すように、犠牲膜340を除去する。犠牲膜340と第1のライナー膜271とは同じ物質からなっているので、犠牲膜340を除去する過程において第1のライナー膜271の露出部分も共に除去される。たとえ、犠牲膜340と第1のライナー膜271とが同じ物質からなっても、除去されなければならない犠牲膜340の量が除去されなければならない第1のライナー膜271の量より多い。したがって、犠牲膜340と第1のライナー膜271とは、エッチング選択比を有する同じ物質膜で形成するのが好ましい。一例として、第1のライナー膜271は、LP−TEOSオキサイド膜で形成し、犠牲膜340は、SOD(Spin On Glass)オキサイド膜で形成する。第1のライナー膜271が除去されることにより、アクティブ領域Aの側面が露出し、この露出する領域がドレイン領域の開口領域350となる。犠牲膜340と第1のライナー膜271との露出部分の除去のためのエッチングはウェットエッチング法を利用して行うことができる。
【0027】
図11に示すように、トレンチ220が埋められるように全面に不純物がドーピングされたポリシリコン膜284を形成する。ポリシリコン膜284にドーピングされる不純物イオンはリン(P)またはヒ化物(As)である。場合によっては、反対導電型の不純物イオンがドーピンクされることもできる。ポリシリコン膜284にドーピングされる不純物イオンのドーピング濃度は、後続の拡散工程によって形成されるドレイン領域の濃度を考慮して決定される。しかし、ドレイン領域とポリシリコン膜284とが直接接触されることにより、抵抗接点が自然と形成され、したがって、金属膜をドレイン領域に接触させる場合と同様に、抵抗接点のためにドレイン領域の開口領域350と接触する面での不純物イオンを高く形成する必要がない。
【0028】
図12に示すように、不純物がドーピングされたポリシリコン膜(図11の284)に対するエッチバックを行ってトレンチ220内に所定厚さのみ残し、残りは全て除去されるようにする。このとき、除去される厚さは、残っているポリシリコン膜282の上部面がドレイン領域の開口領域350の上端部より高いように限定される。場合によって、エッチバックを行う前に、平坦化工程を先に行うこともできる。トレンチ220内に残っているポリシリコン膜282は第2のビットラインを形成する。したがって、ビットライン280は金属膜281からなる第1のビットラインと、ポリシリコン膜282からなる第2のビットラインとで形成される。ポリシリコン膜282からなる第2のビットラインがビットライン280の上部に配置されることにより、後続工程においてビットライン280が露出して酸化されても後続工程を行うのに大きな影響を及ぼさない。次に、熱処理を行ってポリシリコン膜282内の不純物イオンをアクティブ領域Aに拡散させてドレイン領域232、すなわち、埋め込みビットライン接合領域を形成する。一例として、熱処理は、略700℃以上の温度で行う。
【0029】
次に、図2に示すように、ポリシリコン膜282の上に絶縁膜272を形成する。そして、アクティブ領域Aの上部にストレージノード接合領域であるソース領域231を形成してチャネル領域240を限定する。次いで、チャネル領域240の上にゲート絶縁膜250及びゲート電極膜260を順次形成する。
【符号の説明】
【0030】
210 基板
220 トレンチ
231 ソース領域
232 ドレイン領域
240 チャネル領域
250 ゲート絶縁膜
260 ゲート電極膜
271 ライナー膜
272 絶縁膜
281 金属膜
282 ポリシリコン膜
280 埋め込みビットライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成されたトレンチによって上部へ突出した形のアクティブ領域と、
該アクティブ領域の上部に配置される第1の不純物領域と、
前記アクティブ領域の下部に配置される第2の不純物領域と、
前記第1の不純物領域と第2の不純物領域との間の前記アクティブ領域の側面に沿って配置されるゲート絶縁膜と、
該ゲート絶縁膜上に配置されるゲート電極膜と、
前記トレンチの下部でライナー膜によって第2の不純物領域と離隔するように配置される金属膜と、該金属膜上で前記第2の不純物領域と直接接触されるように配置されるポリシリコン膜とからなる埋め込みビットラインと、
を備えることを特徴とする半導体メモリ素子。
【請求項2】
前記ライナー膜が、オキサイド膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子。
【請求項3】
前記オキサイド膜の厚さが、10Å〜200Åであることを特徴とする請求項2に記載の半導体メモリ素子。
【請求項4】
前記金属膜が、チタニウムナイトライド(TiN)膜、タングステンナイトライド(WN)膜、タンタル(Ta)膜、タンタルナイトライド(TaN)膜、タングステンシリサイド(WSi2)膜、タングステン(W)膜や、その組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子。
【請求項5】
前記金属膜の厚さが、100Å〜1000Åであることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子。
【請求項6】
前記ポリシリコン膜の厚さが、10Å〜200Åであることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子。
【請求項7】
前記ポリシリコン膜が、不純物がドーピングされたポリシリコン膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子。
【請求項8】
前記不純物が、ヒ化物(As)またはリン(P)を含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体メモリ素子。
【請求項9】
前記ポリシリコン膜と前記ゲート電極膜との間に配置される絶縁膜をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ素子。
【請求項10】
基板にトレンチを形成して上部へ突出する形のアクティブ領域を限定するステップと、
前記トレンチが形成された基板上に第1のライナー膜を形成するステップと、
前記トレンチの下部の第1のライナー膜上に金属膜を形成するステップと、
該金属膜上の第1のライナー膜を選択的に除去して、前記アクティブ領域の一側面下部が選択的に開口する開口領域を形成するステップと、
前記金属膜上に、前記アクティブ領域の開口した領域と直接接触するポリシリコン膜を形成して、前記金属膜及びポリシリコン膜からなる埋め込みビットラインを形成するステップと、
を含むことを特徴とする半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項11】
第1のライナー膜が、オキサイド膜で形成されることを特徴とする請求項10に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項12】
前記オキサイド膜が、10Å〜200Åの厚さに形成されることを特徴とする請求項11に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項13】
前記金属膜が、チタニウムナイトライド(TiN)膜、タングステンナイトライド(WN)膜、タンタル(Ta)膜、タンタルナイトライド(TaN)膜、タングステンシリサイド(WSi2)膜、タングステン(W)膜や、その組み合わせで形成されることを特徴とする請求項10に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項14】
前記金属膜が、100Å〜1000Åの厚さを有するように形成されることを特徴とする請求項10に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項15】
前記ポリシリコン膜が、不純物がドーピングされたポリシリコン膜で形成されることを特徴とする請求項10に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項16】
前記不純物が、ヒ化物(As)またはリン(P)を含むことを特徴とする請求項15に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項17】
前記ポリシリコン膜が、10Å〜200Åの厚さに形成されることを特徴とする請求項10に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項18】
前記金属膜を形成するステップが、
前記トレンチが埋められるように、前記第1のライナー膜上に金属膜を形成するステップと、
該金属膜に対する第1のエッチングを行って第1の厚さの金属膜を形成するステップと、
該第1の厚さの金属膜上で露出する第1のライナー膜を所定厚さ除去するステップと、
前記所定厚さの分だけ除去された第1のライナー膜上にスペーサ状の第2のライナー膜を形成するステップと、
前記第1の厚さの金属膜に対する第2のエッチングを行って第2の厚さの金属膜を形成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項19】
前記第1の厚さが、前記第1の厚さの金属膜の上部面を前記開口領域の上端に一致させる厚さであることを特徴とする請求項18に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項20】
前記第2のライナー膜が、前記第1のライナー膜との選択的エッチングがなされ得る程度に十分なエッチング選択比を有する物質で形成されることを特徴とする請求項18に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項21】
前記第2の厚さが、前記第2の厚さの金属膜の上部面を前記開口領域の下端に一致させる厚さであることを特徴とする請求項18に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項22】
前記アクティブ領域の一側面下部を選択的に開口させるステップが、
前記第2の厚さの金属膜上で露出する第1のライナー膜及び第2のライナー膜上にスペーサ状の第3のライナー膜を形成するステップと、
該第3のライナー膜内のトレンチを埋める犠牲膜を形成するステップと、
前記アクティブ領域の一側面に隣接した第3のライナー膜の上部を選択的に露出させるステップと、
前記露出した第3のライナー膜を除去して、前記金属膜上の第1のライナー膜を露出させるステップと、
前記犠牲膜及び第1のライナー膜の露出部分を除去して、前記アクティブ領域の一側面下部を露出させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項18に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項23】
前記第3のライナー膜が、前記第1のライナー膜及び犠牲膜との十分なエッチング選択比を有する物質膜で形成されることを特徴とする請求項22に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項24】
前記第3のライナー膜が、ポリシリコン膜で形成されることを特徴とする請求項22に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項25】
前記犠牲膜が、前記第1のライナー膜と同じ物質を用いて形成されることを特徴とする請求項22に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項26】
前記犠牲膜及び第1のライナー膜が、オキサイド膜で形成されることを特徴とする請求項25に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項27】
前記第1のライナー膜が、LP−TEOSオキサイド膜で形成され、前記犠牲膜が、SODオキサイド膜で形成されることを特徴とする請求項26に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項28】
前記アクティブ領域の一側面に隣接した第3のライナー膜の上部を選択的に露出させるステップが、前記第3のライナー膜の上部を選択的に露出させる開口部を有するフォトレジスト膜パターンを形成して行われることを特徴とする請求項22に記載の半導体メモリ素子の製造方法。
【請求項29】
熱処理を行い、前記ポリシリコン膜内の不純物を前記開口領域を介して前記ポリシリコン膜と接触されるアクティブ領域内に拡散させて埋め込みビットライン接合領域を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体メモリ素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−19200(P2012−19200A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101790(P2011−101790)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】