説明

基板上でのSi−Ge半導体材料およびデバイスの成長方法

Geリッチな含有率(Ge>50原子%)および正確な化学量論的SiGe、SiGe、SiGeおよびSiGeを有するSi−Ge材料をSi(100)上に成長させる方法が提供される。化合物(HGe)SiH4−x(x=1〜4)の群から得られる直接Si−Ge結合を有する新たな水素化物を用いて、約300〜450℃という前例のない低温で、欠陥密度の低い均一でリレーされた(relayed)高度に平面状の膜を成長させることで、厚い組成勾配のある緩衝層およびリフトオフ法を用いる必要が全くなくなる。約500〜700℃では、SiGe量子ドットが、狭い径分布、無欠陥微細構造および原子レベルで高度に均質な元素含有率にて成長する。その方法は、気体前駆体の全Si/Ge骨格の膜への組み込みを介して、形態、組成、構造および歪みの正確な制御を提供するものである。成長した材料は、高周波数電子および光学システム、ならびに高移動度SiおよびGeチャネルに基づく商業的デバイスの開発のための鋳型および緩衝層での利用に必要な形態的および微細構造的特徴を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料に関するものである。より詳細には、本発明は、SiGe、SiGe、SiGeおよびSiGe成分を含んだ単一ソースの(HGe)SiH4−x前駆体化合物を用いて、Si基板上にエピタキシャルGeリッチなSiGe層を成長させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Si(100)基板上でのSi1−xGe合金の成長は、高周波電子デバイスでの適用のために、過去20年間にわたって熱心な研究対象となってきた。最近、Siリッチ合金に基づく材料およびデバイスに関する基本的問題を解説する総合的総説がいくつか書かれている。それには、ムーニーらの報告(P. M. Mooney and J. O. Chu, “SiGe Technology: Heteroepitaxy and High-Speed Microelectronics”, Annu. Rev. Mater. Sci., vol. 30, 2000, pp. 355-362)、トロンプらの報告(M. Tromp and F. M. Ross, “Advances in situ ultra-high vacuum electron microscopy: Growth of SiGe on Si”, Annu. Rev. Mater. Sci., vol. 30, 2000, pp. 431-449)およびブルンナーの報告(K. Brunner, “Si/Ge nanostructures”, Rep. Prog. Phys. vol. 65, No. 1, Jan. 2002, pp. 27-72)などがある。
【0003】
合成の観点から、Si上でのSi1−xGeのヘテロエピタキシャル成長のために最も一般的に用いられている2つの技術は、固体SiおよびGeソースを用いる分子ビームエピタキシー(MBE)と、シラン(SiH)およびゲルマン(GeH)もしくはジシラン(Si)およびジゲルマン(Ge)などの一般的な水素化物を用いる超高真空化学蒸着(UHV−CVD)もしくはガスソースMBEである。MBEによる成長は、ビーンら(J. C. Bean, L. C. Feldman, A. T. Fiory, S. Nakahara and I. K. Robinson, “GexSi1-x/Si strained-layer superlattice grown by molecular-beam epitaxy” J. Vac. Sci. Technol. A, vol. 2, No. 2, 1984, pp. 436-440)によってより詳細に記載されている。
【0004】
ガスソースMBEによる成長については、グリーブら(D. W. Greve, “Growth of epitaxial germanium-silicon heterostructures by chemical vapour deposition”, Mat. Sci. Eng. B, vol. 18, No. 1, Feb 1993, pp. 22-51)によってより詳細に記載されている。
【0005】
Siウェハ上にこれらの材料を形成することには2つの主要な目的がある。第1の目的は、ビーンらの報告(J. C. Bean, L. C. Feldman, A. T. Fiory, S. Nakahara and I. K. Robinson, “GexSi1-x/Si strained-layer superlattice grown by molecular-beam epitaxy”, J. Vac. Sci. Technol. A, vol. 2, No. 2, 1984, pp. 436-440)に記載のような、歪み層超格子の形態を取り得る歪んだ欠陥のないSi1−xGe膜の形成である。第2の目的は、コヒーレントアイランド(coherent island)および量子ドットの成長である。ごく最近まで、Siと合体した高速エレクトロニクスの形成に用いられるSiリッチ系の成長が注目されていた。多重量子井戸エミッタ、光検出器、センサーおよび1.55μmの通信波長を含む広範囲のIR波長を網羅する高速モジュレータなどの将来的な世代の光電子デバイスにおいて大きい可能性があるにも拘わらず、Geリッチ類縁体の開発はそれよりかなり少ない。ケーニッヒらの報告(U. Konig and F. Schaffler, ″P-type Ge channel MODFETS with high transconductance grown on Si substrates″, IEEE Electron Device Lett., vol. 14, No. 5, April 1993, pp. 205-207)を参照する。
【0006】
全組成範囲にわたるSi1−xGe合金の作製が、Si−Ge系における総合的なバンドギャップおよび歪み工学を達成する上で非常に望ましい。Geリッチ濃度を有する材料は、歪みIV族材料に基づく多くのデバイス用途向けのSi上の仮想基板および緩衝層の形成ならびにIII〜VおよびII〜VI光半導体のSiエレクトロニクスとの統合において特に望ましい。
【0007】
現在、歪みのない微細構造を有し、組成および格子定数が可変であるSi1−xGe層が、歪みSiおよびGe膜(チャネル)に基づく高移動度電子デバイスの成長のための仮想基板として、工業的プロセスで用いられている。キュリーらの報告(M. T. Currie, S. B. Samavedam, T. A. Langdo, C. W. Leitz, and E. A. Fitzgerald, “Controlling threading dislocation densities in Ge on Si using graded SiGe layers and chemical-mechanical polishing″, Appl. Phys. Lett., vol. 72, No. 14, April 1998, pp. 1718- 1720)を参照する。Siチャネルに面内引張り歪みを導入することで、酸化物半導体(CMOS)電界効果トランジスタ上の従来の相補型金属で、Siの電子およびホール移動度を大幅に高めることができる。歪みSiCMOSデバイス用の標準的な材料積層物は、バルクSi(またはSOI)基板、厚いSi1−xGe緩衝層(単一組成を有するか、直線的もしくは段階的に勾配があるか、複数の組成を有する)および代表的には厚さ100〜500Åの薄い引張り応力のかかったSiチャネル層を組み込んでいる。ムーニーらの報告(P. M. Mooney and J. O. Chu, ″SiGe Technology: Heteroepitaxy and High-Speed Microelectronics″, Annu. Rev. Mater. Sci., vol. 30, 2000, pp. 355-362)を参照する。次に、従来のCMOSプロセッシングを用いて、歪みSiチャネルの頂部にCMOSデバイスを構築する。これら緩衝層上に成長する歪みSiチャネルで高移動度を得るには、高Ge含有率(x=0.50〜0.70)を有するSi1−xGe緩衝層が必要である。その移動度は、xが大きくなるに連れて単調増加し、リーらの報告(M. L. Lee, and E. A. Fitzgerald, ″Hole mobility enhancements in nanometer-scale strained-silicon heterostructures grown on Ge-rich relaxed Si1-xGex″, J. Appl. Phys. vol. 94, Nov. 4, Aug 2003, pp. 2590-2596)に記載のように、x=0.70の場合にはバルクSiの3倍となる。高移動度歪みSiおよびGeは、高性能電界効果トランジスタ(FET)およびバイポーラ・トランジスタで使用される。極度に高移動度のp−チャネル変調ドープFETが、GeリッチなSi1−xGe上で成長した圧縮歪みGe層が関与するヘテロ構造で示されている。ケーニッヒらの報告(U. Konig and F. Schaffler, ″P-type Ge channel MODFETS with high transconductance grown on Si substrates″, IEEE Electron Device Lett., vol. 14, No. 5, April 1993, pp. 205-207)、ハモンドらの報告(R. Hammond, S. J. Koester, and J. O. Chu, ″High-performance 0.1 mu m gate-length Ge/Si0.4Ge0.6p-channel MODFETs″, Electron. Lett. vol. 35, No. 18, Sep 1999, pp. 1590-1591)を参照する。
【0008】
Si1−xGe緩衝層および仮想基板は、低転位密度、低表面粗度ならびに歪み、Ge含有量および層厚の均一性などの多くの材料要件を満たす必要がある。低表面粗度および低スレッディング欠陥密度が、SiおよびGe蒸着層チャネルでの均一な空間応力分布を確保し、歪み強化キャリア移動度を低下させ得る界面散乱を防止する上で特に重要である。しかしながら、従来の温度下でSi上に成長したGeリッチなSi1−xGe膜は、薄膜と基板の間の格子ミスマッチが大きいために、高い転位密度および表面粗度を有する。キュリーらの報告(M. T. Currie, S. B. Samavedam, T. A. Langdo, C. W. Leitz, and E. A. Fitzgerald, ″Controlling threading dislocation densities in Ge on Si using graded SiGe layers and chemical mechanical polishing″, Appl. Phys. Lett. 72, 1718 (1998))を参照する。これらの系における表面粗度は、歪み緩和によって、またはその表面上の不均一質量分布の結果として大きくなり得るものであり、そしてそれが、高い応力が加わった限局領域での転位形成を促進する可能性がある。
【0009】
Si上での滑らかなSi1−xGe緩衝層形成のための公知の合成戦略は、緩衝層におけるSiおよびGe含有率が100%Ge以下で変動する厚い組成勾配を有する膜の成長に基づいたものである。文献に記載のように、膜厚が大きくなるに連れて、Si1−xGeエピ層とSi基板との間のミスフィット歪みが徐々に小さくなる(Y. J. Mii, Y. H. Xie, E. A. Fitzgerald, D. Monrow, F. A. Thiel, B. E. Weir, and L. C. Feldman, ″Extremely high electron-mobility in Si/GexSi1-xstructures grown by molecular-beam epitaxy″, Appl. Phys. Lett. vol. 59, No. 13, Sep 1991, pp. 1611- 1613;P. M. Mooney, J. L. Jordan-Sweet, K. Ismail, J. O. Chu, R. M. Feenstra, and F. K. LeGoues, ″Relaxed Si0.7Ge0.3buffer layers for high-mobility devices″, Appl. Phys. Lett. vol. 67, No. 16, Oct 1995, pp. 2373-2375;M. T. Currie, S. B. Samavedam, T. A. Langdo, C. W. Leitz, and E. A. Fitzgerald, Appl. Phys. Lett. 72, 1718 (1998))。代表的には、SiGe層の厚さ全体にわたって、10%Ge/μmの平均グレーディング率を用いる。キュリーら(M. T. Currie, et al.)の報告に記載のように、50%Ge濃度の場合、転位密度6×10cm−2および約30nmのRMS値での表面粗度を有する材料を得るには、5〜10μmの層厚が必要である。50%を超えるGe含有率の場合、格子ミスマッチ増加のために、欠陥密度および膜粗度がかなり悪化する。このため、許容される欠陥密度を得るにはさらに大きい膜厚が必要となり、別のデバイス構造を成長させる前に表面を平滑化するための化学機械研磨(CMP)段階が必要となる。得られる極端な膜厚およびCMP段階によって、デバイスの加工が非常に高価なものとなり、場合によっては、主要な膜特性の劣化などの別の問題が生じる。
【0010】
固体ソースMBEを介してSi基板上にSi1−xGe緩衝層を製造する別のアプローチが報告されている。このアプローチは、リンダーらの報告(K. K. Linder, F. C. Zhang, J.-S. Rieh, P. Bhattacharya, and D. Houghton, ″Reduction of dislocation density in mismatched SiGe/Si using a low-temperature Si buffer layer″, Appl. Phys. Lett. vol. 70, No. 24, June 1997, pp. 3224-3226)に記載されている。この方法では、純粋なSiの低温核形成層を、400℃で基板表面上に直接成膜する。次に、Geの割合を順次上昇させながら一連の個別のSi1−xGeエピ層をSi緩衝層上に成長させる。これらは最終的に、低表面粗度および低欠陥密度を示すGeリッチで歪みのない最上層成長のための鋳型として用いられる(約5×10/cm)。ペンらの報告(S. Peng, Z. Y. Zhao, H. Chen et al., ″Relaxed Ge0.9Si0.1alloy layers with low threading dislocation densities grown on low-temperature Si buffers″, Appl. Phys. Lett. vol. 72, No. 24, June 1998, pp. 3160-3162)を参照する。しかしながらこのアプローチには、数層から多層(Ge濃度に応じて)の成長が関与する多段階で複雑な手順の使用、ならびに商業的なSi−Geに基づく技術での費用対効果の高い大規模用途では適用できないMBE技術の使用等の欠点がある。
【特許文献1】P. M. Mooney and J. O. Chu, “SiGe Technology: Heteroepitaxy and High-Speed Microelectronics”, Annu. Rev. Mater. Sci., vol. 30, 2000, pp. 355-362
【非特許文献2】M. Tromp and F. M. Ross, “Advances in situ ultra-high vacuum electron microscopy: Growth of SiGe on Si”, Annu. Rev. Mater. Sci., vol. 30, 2000, pp. 431-449
【非特許文献3】K. Brunner, “Si/Ge nanostructures”, Rep. Prog. Phys. vol. 65, No. 1, Jan. 2002, pp. 27-72
【非特許文献4】J. C. Bean, L. C. Feldman, A. T. Fiory, S. Nakahara and I. K. Robinson, “GexSi1-x/Si strained-layer superlattice grown by molecular-beam epitaxy”, J. Vac. Sci. Technol. A, vol. 2, No. 2, 1984, pp. 436-440
【非特許文献5】D. W. Greve, ”Growth of epitaxial germanium-silicon heterostructures by chemical vapour deposition”, Mat. Sci. Eng. B, vol. 18, No. 1, Feb 1993, pp. 22-51
【非特許文献6】U. Konig and F. Schaffler, “P-type Ge channel MODFETS with high transconductance grown on Si substrates”, IEEE Electron Device Lett., vol. 14, No. 5, April 1993, pp. 205-207
【非特許文献7】M. T. Currie, S. B. Samavedam, T. A. Langdo, C. W. Leitz, and E. A. Fitzgerald, “Controlling threading dislocation densities in Ge on Si using graded SiGe layers and chemical-mechanical polishing”, Appl. Phys. Lett., vol. 72, No. 14, April 1998, pp. 1718- 1720
【非特許文献8】M. L. Lee, and E. A. Fitzgerald, “Hole mobility enhancements in nanometer-scale strained-silicon heterostructures grown on Ge-rich relaxed Si1-xGex”, J. Appl. Phys. vol. 94, Nov. 4, Aug 2003, pp. 2590-2596
【非特許文献9】R. Hammond, S. J. Koester, and J. O. Chu, “High-performance 0.1 mu m gate-length Ge/Si0.4Ge0.6 p-channel MODFETs”, Electron. Lett. vol. 35, No. 18, Sep 1999, pp. 1590-1591
【非特許文献10】Y. J. Mii, Y. H. Xie, E. A. Fitzgerald, D. Monrow, F. A. Thiel, B. E. Weir, and L. C. Feldman, “Extremely high electron-mobility in Si/GexSi1-x structures grown by molecular-beam epitaxy”, Appl. Phys. Lett. vol. 59, No. 13, Sep 1991, pp. 1611- 1613
【非特許文献11】P. M. Mooney, J. L. Jordan-Sweet, K. Ismail, J. O. Chu, R. M. Feenstra, and F. K. LeGoues, “Relaxed Si0.7Ge0.3buffer layers for high-mobility devices”, Appl. Phys. Lett. vol. 67, No. 16, Oct 1995, pp. 2373-2375
【非特許文献12】K. K. Linder, F. C. Zhang, J.-S. Rieh, P. Bhattacharya, and D. Houghton, “Reduction of dislocation density in mismatched SiGe/Si using a low-temperature Si buffer laye"r”, Appl. Phys. Lett. vol. 70, No. 24, June 1997, pp. 3224-3226
【非特許文献13】S. Peng, Z. Y. Zhao, H. Chen et al., “Relaxed Ge0.9Si0.1 alloy layers with low threading dislocation densities grown on low-temperature Si buffers”, Appl. Phys. Lett. vol. 72, No. 24, June 1998, pp. 3160-3162
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、Si基板上に高Ge含有率を有するSi−Geヘテロ構造を製造する、簡単で費用対効果の高い方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、Si基板上に高Ge含有率を有するSi−Ge膜を形成する低温の方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、Si上に直接成長させた薄い緩衝層を有する半導体構造であって、その層が平面の表面形態、低密度のスレッディング欠陥(10〜10/cm未満)、無歪み微細構造、鋭く明瞭な界面および原子レベルの均一な元素プロファイルを示すものを提供することにある。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、IR光エレクトロニクスでの利用に適した高Ge含有率Si−Ge/Siヘテロ構造ならびに太陽光発電および可撓性ディスプレイで使用される低温基板上のSiGe膜を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的および利点について、以下の説明で記載するが、一部はその説明で明らかになるか、本発明を実践することで理解することができる。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で示される手段および組み合わせによって理解および実現可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するため、そして本明細書で具体化および説明された本発明の目的に従って、本発明者らは、化学蒸着(CVD)またはガスソースMBEチャンバでの基板上にSi−Geを含むエピタキシャル層を成膜する低温方法を提供する。その方法は、Si−Ge材料を含む層が基板上の形成される条件下で、(HGe)SiH4−x(xは1,2,3または4)を含む気体前駆体を前記チャンバ中に導入する工程を備える。その方法は、基板の表面付近に(HGe)SiH4−xを含む気体前駆体を導入する工程と、エピタキシャルSiGeが基板上に形成される条件下で、前駆体を脱水素する工程とを備える。気体前駆体は、純粋な形で導入することもできるし、あるいは不活性ギャリアガスと混合することもできる。好適な不活性ギャリアガスには、HおよびNなどがある。気体前駆体は、低圧CVD、UHV−CVDまたはガスソースMBEによって成膜することができ、約250℃から約700℃の範囲の比較的低温ならびに約1×10−7Torrから少なくとも約5Torrの範囲の圧力で導入することができる。気体前駆体は、単一ガスソースとして、または(HGe)SiH4−xおよび水素化ゲルマニウム、水素化ケイ素または水素化−ハロゲン化ケイ素を含む混合物として導入することができる。
【0016】
その方法を用いて、平面状表面を有する歪み層もしくは無歪み層として、またはコヒーレントアイランドもしくは量子ドットとして形成されるエピタキシャルSi−Ge材料を含む層を基板上に成膜することができる。本発明の一態様によれば、基板およびSiGe層(xは1,2,3または4)として形成されるSi−Ge材料を有する半導体構造を成長させることができる。基板は、Si(100)などのシリコン基板でありうる。SiGe層は、平面状表面を有する歪み層もしくは無歪み層として形成することができるし、あるいは量子ドットもしくはコヒーレントアイランドとして形成することができる。SiGe層は、原子的に平面状の表面形態、1μm未満の厚さおよび10/cm未満のスレッディング欠陥密度を有することができる。Si−Ge層は、ホウ素、ヒ素、リン、アンチモンおよびインジウムからなる群から選択される元素でドープすることができる。シリコン基板をパターニングして、半導体の選択的成長用の鋳型を形成することができる。
【0017】
本発明の方法は、低い欠陥濃度および平滑表面を有するGeリッチ膜を与える新たな低温成長法を提供するものである。低成膜温度では、成長表面上でのGeの移動度は非常に低いため、質量分離が防止され、それによって膜に組成および歪みの変化を生じさせることができる。さらに、ドーパントの質量分離は低温では無視できるものであり、それは厚さの小さい層が必要なデバイスの形成においては特に有用である。成膜されたSi−Ge材料は、高周波エレクトロニクスおよび光学系ならびに高移動度SiおよびGeチャネルに基づく商業的デバイスの形成のための鋳型および緩衝層で使用する上での必要な形態的および微細構造的特徴を有する。それは、層全体に均一な組成を有する好適なSiGe層を提供することで、公知の組成的に勾配のあるSiGe1−x緩衝層およびリフトオフ法の必要性をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
添付の図面に示した、本発明の現在好ましい方法および実施形態について、より詳細に説明する。これらの実施例および図面を参照しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、より広い態様での本発明は、図示および説明される具体的な詳細、代表的な装置および例示の実施例に限定されるものではない。むしろ、下記の説明は、適切な分野における通常の技術を有する者への広範な説明的開示と理解すべきであり、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0019】
本発明者らは、Geリッチな含有率(Ge>50原子%)および正確な化学量論的SiGe、SiGe、SiGeおよびSiGeを有するエピタキシャルSi−Geヘテロ構造をSi(100)上に成長させる新規な方法を開発した。本発明の方法は、化合物(HGe)SiH4−x(x=1〜4)の群から得られる直接Si−Ge結合を有する新たな単分子水素化物を前駆体として利用する。本発明のある重要な態様によれば、本発明者らは、300〜450℃の前例のない低温で、均一で緩和した高度に平面状の欠陥密度の低い膜を成長させ、それによって厚い組成勾配のある緩衝層およびリフト法の必要性が全くなくなった。本発明の別の重要な態様によれば、本発明者らは、500〜600℃の温度で、径分布が狭く、欠陥のない微細構造および原子レベルで高度に均一な元素含有率のSi−Ge量子ドットを成長させた。従来の方法に勝る本発明の方法の主要な利点は、気体前駆体の全Si/Ge骨格の膜への組み込みを介した形態、組成、構造および歪みの正確な制御である。
【0020】
図1には、分子前駆体(HGe)SiH4−x(x=1,...,4)の構造を示してある。これらの構造は、分析データおよびスペクトルデータから導き出したものであり、発明の名称「シリコンおよびゲルマニウムコア原子を有する水素化物化合物ならびにそれの合成方法」で2004年12月31日出願のPCT特許出願PCT/US04/43854(これは、この参照によって全体が本明細書に組み込まれるものとする)に記載の第1原理シミュレーションによって確認される。これらの分子HGeSiH、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Siは、やはりPCT特許出願PCT/US04/43854に記載のように、市販の原料を用いる簡単な合成方法を介して高純度で得られる。それらは揮発性が高く、反応性が高いことから、低温(300〜450℃)膜成長において前駆体として特に有用となっている。本発明によれば、本発明者らは、単一のガスソースのみを用いるガスソースMBE、低圧CVDおよびUHV−CVDによって、これら化合物の成膜を実施した。これらの成膜によって、前駆体のSi−Ge含有率に相当する明瞭な濃度が得られた。顕著な結果は、前例のない低成長温度(300℃〜450℃)での前駆体の全Si/Ge骨格の膜への組み込みを介した原子レベルでの組成の正確な制御である。
【0021】
前駆体化合物の標的成膜実験を約300〜700℃の温度範囲で行って、デバイス品質膜および量子ドットを直接シリコン基板上に成長させるためのパラメータ空間を描いた。以下でより詳細に説明するように、膜は、低温範囲で得られ、Si上の格子工学による「仮想基板」形成の好適な候補としての必須要件を満たす。可能な利用分野としては、極度に高い電子およびホール移動度を示す歪みSiおよびGeチャネルデバイスのシリコン上への集積などがある。高温範囲では、前駆体の成膜によって、GeおよびSiのいずれの分離もなく、いずれの場合でも前駆体の化学量論を反映する3次元のコヒーレントに歪んだアイランド(量子ドット)の集合体が得られる。
【0022】
450℃、400℃、350℃および300℃それぞれでのHGeSiH、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Siの成膜によって、それぞれSiGe、SiGe、SiGeおよびSiGe濃度を有する排他的(exclusively)緩和膜が得られた。低成長温度によって、SiおよびGe元素の表面分離が防止されて、原子レベルで非常に均一な組成および歪みプロファイルが得られる。全Si−Ge分子コアの組み込みによって、結晶全体にわたって比較的均一な結合配置の形成が促進されて、平面状表面形態(表面の波紋形状がない)を有する緩和膜が生じる。
【0023】
本発明者らの膜における材料形態(平滑膜−粗膜およびアイランド)は、単一のパラメータ、すなわち単分子ソースの所定の流動速度での成長温度の調節によって制御することができる。前述のように、300℃〜450℃での前駆体の成膜によって、平面状表面を有する排他的緩和層が得られる。図2、図5、図8および図10には、本発明に従って成長させた、それぞれSiGe(部分緩和)、SiGe、SiGeおよびSiGeの膜の例を示してある。300℃から450℃の範囲の成膜温度で本発明の方法を用いて得られた層は、同様の条件下で従来のソースを用いて以前に得られている同等の厚さおよび組成を有するものよりはるかに高い品質のものである。本発明者らの膜は、低スレッディング欠陥密度を示し、大部分の欠陥がSi界面に濃縮されている。それは、歪みなく、高度に平面状に成長することから、勾配組成やリフトオフ法、そして表面を滑らかにするための成長後の化学機械研磨が全く必要なくなる。これらの膜の良好な作製の主たる特徴には、(i)前例のない低温合成(300℃〜450℃)、(ii)原子的に平滑で欠陥のない表面形態(ミスマッチ誘発の欠陥が、主として界面に集中している)、(iii)無歪み微細構造、および(iv)層平面性の優れた熱安定性などがある。従ってこれらの材料は、5.5Åから5.65Åの範囲の格子パラメータを有する格子工学による「仮想基板」の形成に好適な候補としての必須要件を満たしている。これら仮想基板の直接の用途には、極度に高い電子およびホール移動度を示す歪みSiおよびGeチャネルデバイスのシリコン上での集積などがある。本発明者らは、最先端の高性能電界効果トランジスタ(FET)およびバイポーラ接合トランジスタならびに完全にIV族材料に基づく新規な光素子において、これによって重要な利用分野が生じるものと予想している。
【0024】
500℃を超える温度でのHGeSiH、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Si前駆体の成膜では、自己集合量子ドットならびに全ての場合で前駆体の化学量論を反映する狭い径分布および非常に均一な組成を有する歪みアイランドが形成され、GeやSiの分離はない。ドットの成長は、ストランスキー−クラスタノフ(Stranski-Krastanov)機構を介して進行する。ドットの面密度および径分布は、それぞれ前駆体の流動速度および成長温度の簡単な調節によって制御される。図12には、600℃で本発明に従って成長させた一組のSiGe量子ドットの例を示してある。
【0025】
シリコン上でのSiGe層の成長
本発明者らは、成長プロセスのその場でのリアルタイム観察のための低エネルギー電子顕微鏡(LEEM)を取り付けたUHV−CVDチャンバ中で、Si(100)基板上へのSi−Ge膜の成長を行った。チャンバの底面圧は、2×10−10Torrであった。リーク弁を介して入れた気体前駆体に基板表面を曝露することで膜成長を行った。成膜には、10−7〜10−6Torrの範囲の分圧を用いた。前駆体のフラックスを、ガラス導入管を介して送り、その管はLEEMの対物レンズにある開口部を通過している。導入管は、基板表面に対して16°の角度で基板から2.5cmの位置に配置した。基板はp型Si(100)(ρ約50Ωcm)であり、1240℃で繰り返しフラッシング(flashing)することで基板表面から元の酸化層を蒸発させ、エピタキシー用に準備した。サンプルの背面に取り付けた加熱フィラメントからの電子照射を介して、基板の加熱を行った。
【0026】
本発明者らは、底面圧2×10−10TorrのガスソースMBEチャンバ中での(HGe)SiH4−x化合物の成膜反応も行った。やはり、1240℃で繰り返しフラッシングすることで元の酸化層を蒸発させ、Si(100)基板をエピタキシー用に準備した。10−7〜10−6Torrの範囲の分圧で気体前駆体に基板表面を曝露することで膜成長を行った。
【0027】
これらの条件下で、それぞれ450℃、400℃、350℃および300℃での完全H脱離を介し、Si表面上にHGeSiH、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Si化合物を解離させることで、2〜3nm/分の成長速度で膜を形成した。ランダムモードでのラザフォード後方散乱(RBS)は、それぞれSiGe、SiGe、SiGeおよびSiGeの膜組成を示し、相当する前駆体のSi/Ge骨格の元素含有率と一致している。RBSチャネルスペクトラムは、低成長温度にも拘わらず、構造中のSiおよびGe原子が非常に良好にチャネリングされ、それがSi基板とのエピタキシャルアライメントでの単結晶材料と一致していることを示している。代表的な例として、図9で、380℃でSi(100)上に成長させたSiGe膜についてのRBSランダムスペクトラムとチャネリングスペクトラムを比較している。図9の例のように、ほとんどのサンプルで、層横断での結晶性の度合いを測定するアラインド/ランダムピーク高さの比(χmin)は比較的低く、代表的には界面での30%から表面付近での7%の範囲であった。層厚全体でのχmin値の低下は、欠陥のほとんどが界面領域付近に集中していることを示唆している。これは、断面透過型電子顕微鏡検査(XTEM)によって明瞭に確認された。<110>投影での明視野XTEM画像は、(111)格子面に沿って広がる一般的なスレッディング転位を示している。それにも拘わらず、これら欠陥のほとんどが、膜界面から10nm以内で60°の角度で消えた(図5参照)。膜の上側部分では、スレッディング欠陥、特には上面に貫通するものが相対的になかった。さらに、位相およびZコントラスト高分解能XTEM画像は、膜および基板の(111)格子面が完全に整合している完全にエピタキシャルな微細構造を有する鋭く明瞭な界面を示した。それらの膜の表面形態を、原子間力顕微鏡(AFM)走査によって調べた。それらの膜は、予想される臨界厚さをかなり超える100〜500nmの厚さ範囲であっても高度に平面状の表面を有している。AFMRMS値は、代表的な25μm×25μm面積では0.5〜1nmの範囲である。さらに、表面平面性は、750℃まで熱的に安定であることが認められた。
【0028】
ラマンおよび高分解能X線回折(XRD)を用いて、全ての膜の構造特性、結合特性および歪み特性を調べた。特に、SiGe、SiGeおよびSiGe材料のラマンスペクトラムは、膜が完全に緩和していることを示していた。(224)および(004)反射のX線逆格子空間マップを用いて、界面の面に対して法線方向および平行な格子定数を測定した。これらはほとんどのサンプルで実質的に同一であり、完全な立方体対称性からの歪みねじれがないことを示している。さらにX線データは、モザイクの広がりが0.1°と低い高度に整列したヘテロ構造を示した。SiGe(x=2,3,4)とは対照的に、SiGe合金は、かなりの残留歪みを有していた。X線逆格子空間マップ測定値は、正方晶ねじれと一致する「c」方向での伸長を示した。歪み計算値は、60〜70%の範囲であった。かなり類似した歪み値が、Si−Si、Si−GeおよびGe−Ge音子モードのラマンシフトから求められた。ラマンを用いて、各種侵入深さでのレーザ線を用いて音子周波数を測定することによって、これらSiGe層での歪みの分布を調べた。結果は、ラマンピークが深さによって変化しないことを示しており、歪みが層を横切る方向で変化しないことを示していた。総合的に、本発明者らのSi−Ge材料の特性決定から、Geリッチ濃度および均一な応力もしくは歪み緩和のある微細構造を有する結晶性で、高度にエピタキシャルな、平滑で、連続的な、均一の合金層の成長が明らかになった。本発明者らの膜を良好に合成する上での重要な点は、前例のない低い成長温度であり、それによってSiおよびGe原子の表面移動度が低下し、質量分離が防止されることで、原子レベルで高度に均一な組成プロファイルおよび歪みプロファイルが得られる。さらに、全Si−Ge分子コアの取り込みによって、結晶全体にわたる特別に均一な結合配置の形成が促進されて、平面状表面形態(表面の波紋形状がない)を有する緩和膜が得られる。
【0029】
調べた温度範囲の高温法では、自己集合アイランドまたは量子ドットの排他的成長が観察される。これらは恐らく、Si基板の相対的に大きいSi−Ge格子と相対的に小さい格子の間のミスマッチによって生じる歪みを軽減する手段として、Si上にSi−Geのエピタキシャル成長時に自然に形成される。本発明者らの実験では、アイランドは、平坦な湿潤層約3〜5単層厚の形成後に最初に現れる。アイランドの形態分布および径分布を、AFMおよびXTEMによって調べた。図12には、(HGe)SiHを用いて600℃で成長させたアイランドの代表的AFM画像を示してある。これらのアイランドは主としてドーム形状であり、妥当な径の均一性を持ち、大体の密度分布が約3×10cmである。明視野XTEM顕微鏡写真には、欠陥のない微細構造を有し、径分布が狭いコヒーレントアイランドの集合体を示した。アイランドの微細構造特性を、JEOL2010Fで行うZコントラスト撮像によって調べた。これらの実験から、(HGe)SiHによって製造される代表的なサンプルに関して示したように、均一な厚さの湿潤層を介して、基板表面上で成長した区別の明瞭なアイランドの存在が確認された。留意すべき点として、Zコントラスト画像において、強度はZ1.7に比例し、結果的にGe含有アイランドならびに湿潤層は、基底層のSiよりかなり明るいように見える。
【0030】
図12は、完全に鋭く均一な界面を示す最も一般的に認められる量子ドット微細構造の代表例でもある。本発明者らの方法によって成長した量子ドットの非常にコヒーレントな性質(欠陥が認められない)は、ラマンスペクトラムによって確認され、そのスペクトラムは、ドットの基板との格子ミスマッチのために予想されるように、アイランドが非常に歪んでいることを示している。本発明者らは、1.7Å解像度でのRBSおよび電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて、ドットの化学量論および元素均一性を確認した。アイランドの組成は、SiGe、SiGeおよびSiGeであることが認められ、それは成長に用いられる単分子前駆体(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Siそれぞれの化学量論を反映している。ドットを横切るEELS組成プロファイルは、ナノメートルの大きさで顕著に均一な元素分布を示した。組成に関しての重要な利点は、純粋なGeアイランドをT>550℃で成長させた場合に通常認められるように、界面横断的に元素の混合が認められないという点である。基板からGeアイランドへのこの種のSi相互拡散は、Ge>50原子%でSi上のSi−Ge量子ドットを形成する最も一般的に報告されている方法を代表するものである。残念ながら、元素のこの相互拡散は、アイランドの底部でSiを枯渇させて、深さ数ナノメートルの溝を形成する。さらに、Si/Si−Geドット界面はもはや明瞭でなくなる。組成勾配のある広く不鮮明な移行領域が、最初の界面を横切るように形成される。ドット全体を通って垂直方向には、かなりの濃度勾配も認められる。本発明者らの単一ソース手法によって、これらの問題はなくなる。
【0031】
(HGe)SiH4−xの活性化エネルギー測定
SiGe、SiGe、SiGeおよびSiGe膜を形成するHGeSiH、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Siの分解プロファイルを、LEEMを用いて調べた。詳細には、各化合物について、単一Si−Ge単層について成長速度/温度を測定することで、基板表面からのH脱着に関する活性化エネルギーを求めた。Si−Ge分子についての活性化エネルギーを、ジゲルマンについて測定したものと比較した。データは、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Siがジゲルマンと顕著に類似した反応性を示し、それによってジゲルマンに匹敵する非常に低温の成膜方法に有利であることを示している。
【0032】
化合物の最初の層ごとの成長を、LEEMによってその場でモニタリングした。(1/2,0)回折ビームを用い、Si(100)−(2×1)上で8μmの視野にわたってビデオ画像を撮った。単一高さの原子段差によって分離されている(2×1)および(1×2)段が、これらの条件下では暗から明に対照的に交替している。これは、各段差を横切っての二量体再構築の回転によるものである。図3には、SiH(GeHのCVDを介して形成されたSi(100)上のSiGeのLEEM画像列の例を示してあり、層ごとの成膜を示している。図3について説明すると、画像(a)は、清浄なSi表面の形態を示しており、画像(b)は第1の完全単層の成膜を示しており、画像(c)は第2の完全単層を示しており、画像(d)は第3の完全単層を示している。視野は8mmである。(2×1)および(1×2)段におけるコントラスト反転が認められ、層ごとの成長を示している。第4の単層後、恐らく不完全層の新たな成長のために、LEEMコントラストは広がった。
【0033】
温度の関数としての第1の層についての平均成長速度をLEEMで測定し、Si(100)上での水素化Si−Ge化合物分解の活性化エネルギーを求めた。比較のため、純粋なHGeGeHの活性化エネルギーも、同じ方法を用いて測定した。図4は、HGeSiH、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)SiならびにHGeGeHについての第1の層の成長速度の温度依存性のプロットを示すグラフである。そのプロットは、約420℃から約540℃の温度範囲およびガス圧約1.0×10−6Torrにおける成長速度を示している。図4のデータは、一次H脱着速度論と一致しており、HGeSiH、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Siそれぞれについて2.0eV、1.7eV、1.7eVおよび1.5eVの活性化エネルギー、そしてHGeGeHについて約1.7eVの活性化エネルギーを生じる。図4からわかるように、比較的高Ge含有率の化合物は、純粋なジゲルマンに匹敵するくらい低温方法に明らかに有利である。
【0034】
図4中の直線は、一次脱着速度論に典型的なものである。傾きは活性化エネルギーを与え、それは文献(G. Eres and J. W. Sharp, ″Investigation of the kinetics of digermane chemisorption and reaction product desorption in thin film growth of germanium″, J. Vac. Sci. Technol. A, vol. 11, No. 5, Sep-Oct 1993, pp. 2463-2471;およびT. R. Bramblett, Q. Lu, N. E. Lee, N. Taylor, M. A. Hasan, and J. E. Greene, ″Ge(001) gas-source molecular beam epitaxy on Ge(001)2×1 and Si(001)2×1 from Ge2H6- growth kinetics and surface roughening″, J. Appl. Phys. vol. 77, No. 4, Feb 1995, pp. 1504-1513)に記載の純粋なGe(100)表面からのH脱着について以前に得られている1.7eVおよび1.6eVという活性化エネルギーと良好な一致を示している。HGeSiH化合物についてのLEEMにおける成長速度/温度の研究では、活性化エネルギー2.0eVが得られている。この値は、ジゲルマン(GeHについて本発明者らが測定した値(1.6eV)とタカハシら(J. Takahashi, Y. Utsumi, H. Akazawa, I. Kawashima, and T. Urisu, ″Synchrotron radiation excited Si epitaxial growth using disilane gas source molecular beam system″, Appl. Phys. Lett. vol. 58, No. 24, June 1991, pp. 2776- 2778)によってジシラン(SiHについて報告されている値(2.3eV)に対して中間的である。SiHGeHは本質的に(SiHおよび(GeHの組成混成体、すなわち(SiH+(GeH→2(SiHGeH)であることから、2.0eVの値が妥当であるように思われる。
【0035】
その活性化エネルギー結果は、一連の化合物(HGe)SiH4−x(x=2〜4)の分解速度論が(GeHのものと顕著に類似していることを示しており、これらの化合物が(SiHおよびHGeSiHのいずれよりも反応性が高いことを示唆している。従ってそれらは、GeリッチなSi−Ge合金に対するユニークな低温ソースを代表するものである。(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Siの反応性が高いことで、可撓性ディスプレイで用いられるプラスチック基板などの300℃という高い処理温度に耐えることができる特殊基板上にSiGe半導体を直接形成する方途が開かれる。
【0036】
実施例
以下の実施例は、本発明をさらに説明する上で役立つものである。しかしながら理解しておくべき点として、実施例は本発明を説明するものであって、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0037】
実施例−SiGeの成長
前駆体フラックス5×10−5Torrおよび温度480℃でガスソースMBEを用いて、SiGe層の成長を行った。この温度より高いと、平滑層ではなく歪みアイランド(量子ドット)が得られた。AFM、XRD、ラマン散乱、RBSおよび高分解能XTEMによって、エクスシチュ(ex situ)で膜を調べた。SiGeの元素濃度、厚さおよび結晶性をRBSによって確認した。ランダム後方散乱スペクトラムは、100nm以下の範囲の膜厚および相当するHGeSiH前駆体のGeSi骨格の元素含有率と一致するGe含有率50原子%を示している。アラインドスペクトラムは、基板とエピタキシャル整合した高度に結晶性材料であることを示していた。完全に不正形のSiGeの予想臨界厚さをかなり超える厚さ100nmの膜のAFM試験で、10μm×10μmの面積で約1.6nmのRMS値が得られ、平面状の表面形態が示された。X線回折は、立方構造の(004)反射に相当する単一の鋭いピークを示した。(004)および(224)反射の逆格子空間マップを含む高分解能XRDで、基板と完全なエピタキシャル整合している部分歪み層が明らかになった。
【0038】
XTEM検査によって、平滑で連続的な均一のSiGe層の結晶性および高エピタキシャル成長が確認される。TEM明視野画像は、厚さ100nmの膜にスレッディング転位がないことを示している。サンプルの系統的調査によって、TEM顕微鏡写真における約1.5μmの視野内には層を貫通する欠陥がないことが明らかになった。この場合のスレッディング転位の上限は、10〜10/cm未満であり、それはSi上に直接成長させた50原子%Geを含む材料では異例である。
【0039】
高分解能画像は、実質的に欠陥のない微細構造を有する完全に整合した単結晶のSiGe/Si界面を示している。上面に貫通する転位核がなく、100〜150nm離れて、偶発的刃状転位が認められた(基板表面上の段差で)。これらの欠陥は、界面の面に平行であり、膜とSi基板の間の格子ミスマッチによって生じる異なる応力を緩和するものと考えられる。SiGe系材料は平面状欠陥ではなく(111)−スレッディング転位および積層欠陥を示すのが普通であることから、これらサンプル中の刃状転位の存在は驚くべきことである。考えられる説明としては、Si表面上の段差が、これら欠陥の形成における核化部位として働くというものである。ラマンスペクトラムは、それぞれ周波数295.8cm−1、414.3cm−1および497.7cm−1での「Ge−Ge」、「Si−Ge」および「Si−Si」格子振動に相当する3つの主要な特徴を示した。これらの測定値は、それぞれ293cm−1、410.5cm−1および492.2cm−1にあると計算される無歪みSi0.50Ge0.50合金における予想位置に関して、かなり青色シフトしている。そのラマンシフトは、材料においてかなりの残留歪みがあるはずであることを示している。侵入深さを変動させてレーザ線を用いて得られたデータの解析で、Si−Si、Ge−GeおよびSi−Geフォノンモードの周波数が全体を通じて同じであることがわかり、層における歪みの均一な分布を示している。
【0040】
図2には、本発明に従ってSi(100)基板上に成長させたSiGe層の一組の顕微鏡写真の例を示してある。図2の上の画像は、SiGe層の全層厚の明視野XTEM顕微鏡写真であり、視野内にスレッディング欠陥がないことを示している。左下の画像は、Si(100)基板とSiGe層の間で完全なエピタキシャルアライメントを有する界面領域を示している。右下の画像は、界面での段差領域に近い刃状転位を示している。これらの欠陥は通常は、Si表面上の段差に位置し、ミスマッチSiおよびSiGe材料のために部分的に歪みを緩和する。
【0041】
実施例−SiGeの成長
ガスソースMBEを介したSiGe(すなわち、Si0.33Ge0.67)層および量子ドットの成長を、(HGe)SiHの脱水素化を介して400℃〜700℃の温度範囲で調べた。完全に平面状の表面を有する連続層を生じる最高成膜温度は約480℃である。この温度および5×10−6Torr前駆体圧での代表的な成長速度は約3.5nm/分であった。予想通り、温度を低下させて450℃とするにつれて、その成長速度は1.0nm/分まで低下し、400℃より低温では、化合物の反応性および付着係数の低下のために、感知できる成長は認められなかった。
【0042】
SiGe層の元素濃度および膜厚を、ランダムモードでのRBSによって求めた。結晶性およびエピタキシャル整合を、イオンチャネリングによって調べた。図6には、膜厚400nmおよび(HGe)SiH化合物のGeSi骨格のGe含有率と完全に一致するGe含有率67%を有する480℃で成長させたサンプルについてのランダムおよびアラインド後方散乱スペクトラムを示している。RBSによって測定される膜濃度は、膜厚方向で一定である。層を横断する結晶度を測定するアラインド/ランダムピーク高さの比(χmin)は、界面での27%から表面付近の7%という比較的低い範囲である。これは、Si基板とエピタキシャル整合している単結晶材料を示している。界面領域を横断する脱チャネリングの度合がかなり高いことは、大半の欠陥がGeSi/Si境界付近の膜の下側部分に位置しており、膜厚が大きくなるに連れて転位密度が低下することを示唆している。これは明視野XTEM画像によって確認され、それはスレッディング欠陥のほとんどが代表的な厚さ200nmの層における界面の上10nmの領域内で消えていることを示している。図6には、Si(100)上の200nmSiGe膜のRBSスペクトラムを示している。界面での27%から表面での7%までのχminの急峻な低下は、膜厚の増加に伴って欠陥濃度が大幅に低下することを示している。
【0043】
XTEM画像は、膜が原子的に平坦であることも示しており、そのことはコンタクトモードでのAFM画像によって確認される。厚さ40nmおよび400nmで成長した材料は、5×5μmから10×10μmの範囲の面積について、それぞれ0.4nmおよび1.2nmのRMS値を示す。これらのRMS値は、組成勾配法(約30nm)ならびにSiおよびSiGe核化層を利用する他のMBE方法(約2.4nm)について既報のものより顕著に低い。
【0044】
X線θ−2θ回折測定は、(004)反射に相当する強いピークを示している。(004)反射の面内ロッキング走査は、この種の高度にミスマッチしたヘテロエピタキシーに代表的な0.3°というFWHMを有する。各種厚さを有するSi0.33Ge0.67層についての面外格子定数aの測定値を表1に挙げてある。Si(100)上に成膜したSiGe層についての正方歪みという仮定の下で、層の無歪み格子パラメータaSiGeは、関係式aSiGe=a[1−2ν(a−a)/a(1+y)](式中、νはSi−Geのポアソン比(0.27〜0.28)である)によって、面内格子パラメータ(a‖SiGe)および垂直格子パラメータ(a⊥SiGe)に関係するものである。無歪みSi0.33Ge0.67格子パラメータaSiGeの値は、aSiGe=5.43105+0.2005x+0.0263xを用いて計算され、aSiGe=0.5581nmを与える。各種濃度を有する膜についての面内a‖SiGe格子定数を表1に挙げてある。最後に、面内歪み緩和度Rが、R=(a‖SiGe−a)/(aSiGe−a)[式中、a=0.5431nmは、Si基板格子定数である]によって与えられる。表1は、厚さ40nmがR度=85%でほぼ緩和していることを示している。厚さ400nmのSi0.33Ge0.67層の格子定数は、無歪み緩和膜の値に極めて近い。図7に示されているように、Si0.33Ge0.67膜のラマンスペクトラム(下図)は、Ge−Ge(296cm−1)、Si−Ge(407cm−1)およびSi−Si(478cm−1)格子振動に相当する特徴的ピークを示している。ピーク位置は、完全緩和材料と一致している。
【0045】
【表1】

アニーリング実験を行って、実際のデバイス加工温度内に十分入る範囲である480℃〜750℃の温度でのエピ層の熱的安定性を確認した。RBSアラインドスペクトラムのXRD格子定数χmin値およびAFM表面粗度を、アニールサンプルについて測定し、成長させたままの材料の値と比較した。厚さ400nmを有するサンプルは、750℃で14時間のアニーリング後であっても表面粗度(rms)の上昇を示さない。これは、本発明者らのサンプルにおける表面の平面性が熱的に堅牢であることを示している。XRDおよびRBSアラインドスペクトラムは、アニーリング前後で観察可能な変化がないことを示していた。これは、480℃で成長させたままのSi0.33Ge0.67層における完全緩和を裏付けるものである。アニーリング実験は、成長させたままの層の品質の低下も改善も示さなかった。それらは、低いスレッディング転位密度、平坦な表面を有しており、400nm未満の厚さで完全に緩和しており、少なくとも750℃以下で顕著な熱的安定性を示す。
【0046】
実施例−SiGeの成長
Si(100)上でのSiGe(すなわち、Si0.25Ge0.75)層の成長を、350℃から450℃の範囲での(HGe)SiHの熱的脱水素によって実施した。平滑表面(RMS1.5〜2.0nm)および200nm以下の厚さを有する無歪み層を、ガスソースMBEおよびT<400℃での低圧CVDによって成膜させた。T=450℃で成長させたサンプルは1μm範囲でかなり厚く、比較的高い表面粗度(RMS>5.0nm)を示した。450℃での成長速度は、これらの中等度の成長温度であっても化合物の特別に高い反応性のために、0.1μm/分であった。RBSによって測定された全てのサンプルの組成は一貫して、前駆体の全SiGe分子コアに相当するSi0.25Ge0.75であった。XTEMは、ほとんどの転位が界面で始まり、界面上の10nm領域内で終了することを示した。明視野TEM顕微鏡写真では、膜表面まで貫通するスレッディング欠陥は認められなかった。図8には、本発明に従ってSi(100)上に成長させた無歪みで原子的に平滑なSiGe層のXTEM画像を示してある。図8に示したように、欠陥は層の下側部分に集中しており、界面上10nm以内でほとんど消えている。
【0047】
ほとんどの欠陥の界面への集積は、RBSチャネリングスペクトラムで明らかであった。代表的なχmin値は、界面で約20%から急速に低下して、上面付近で7%となっている。図9には、380℃で成長させたSiGe(001)層のRBSアラインドスペクトラムを示してある。χminは、SiGe/Si界面で25%であり、表面では9%まで低下する。界面での鋭いピークは、表面に向かって消えていく高濃度の欠陥を示している。
【0048】
位相差およびZコントラストモードでの高分解能画像(図8参照)は、膜および基板の111格子面が完全に整合している完全にエピタキシャルな微細構造を有する鋭く明瞭な界面を示した。図8の挿入図は、明瞭で急激な完全にエピタキシャルな界面微細構造を示す原子分解能Zコントラスト画像である。Si0.25Ge0.75膜のラマンスペクトラム(図7の上図)は、特徴的なGe−Ge、Si−GeおよびSi−Siピークを示しており、相当する周波数が完全緩和材料を示している。X線回折データは、SiGe系での無歪み材料成長をさらに裏付けるものであった。実験的格子パラメータは、ベガードの法則を用いて求めた理論値と一致していた。
【0049】
実施例−SiGeの成長
Si(100)上でのSiGe(すなわち、Si0.20Ge0.80)層の成長を、380℃から300℃および5×10−6Torr前駆体圧でのCVDおよびガスソースMBEofSi(GeHを介した熱的脱水素化によって行った。これらの条件下では、2nm/分という妥当な成長速度で、平滑で均一な層が得られた。全ての膜についてのAFMRMSは、5.0μm×5.0μmの面積を網羅する走査において1.0〜1.5nmの範囲であった。図10は、SiGe膜の原子的に平坦な上面を示すXTEM画像である。厚さ500nm以下の層のRBS分析で、Si0.20Ge0.80の元素含有率が得られ、それは、前駆体のSiGe四面体コアのものを反映している。図11には、厚さ0.5μmのSi0.20Ge0.80(001)層のRBSランダムおよびアラインドスペクトラム(下側の線)を示してある。イオンチャネリングデータは、欠陥が主として界面に集中しているが、膜の上側部分には比較的欠陥が少ないことを示唆していた。XTEM明視野画像は、界面での欠陥集積を裏付けるものであり、非常にコヒーレントな層厚および完全に平面状の表面を示すものであった(図10参照)。XRD分析では、予想通りの無歪み成長を示す、格子定数についての予想ベガード値が得られた。
【0050】
以上の開示内容から、本発明がさらなる利点および変形形態を有し得ることは、当業者には明らかであろう。例えば、本発明の方法を用いて、例えばガラス基板などのSi基板以外の基板上にSi−Ge材料を成長させることが可能である。さらに、(HGe)SiH、(HGe)SiHおよび(HGe)Siの反応性が高いことで、可撓性ディスプレイに使用されるプラスチック基板などの300℃という高温での加工に耐えることができる特殊基板上にSiGe材料を成長させることが可能となる。別の例として、その方法を用いて、前駆体を窒素源と混合してSiGeN層を作ることにより、SiGeN層を形成することができる。
【0051】
従って、比較的広い態様での本発明は、図示および説明した具体的な詳細、代表的なデバイスならびに例示的な実施例に限定されるものではない。従って、発明の概念の精神または範囲から逸脱しない限りにおいて、そのような詳細からの逸脱が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に従ってSi基板上にエピタキシャルGeリッチ膜を成長させるのに用いられる前駆体(GeHSiH4−x(x=1,2,3および4)の分子構造を示す図である。
【図2】本発明に従ってSi(100)上に成長させた化学量論的SiGe組成を有する層の一組の顕微鏡写真であり、(上図)全層厚の明視野断面透過型電子顕微鏡検査(XTEM)顕微鏡写真、(左下図)Si(100)とSiGeの間の完全なエピタキシャルアライメントを示す界面領域の顕微鏡写真、(右下図)界面の面に平行な刃状転位が段差近傍で見ることができる界面での段差上におけるSiGe成長を示す顕微鏡写真である。
【図3】本発明によるSi(100)上でのSiGeの層ごとの成長を示す一組の低エネルギー電子顕微鏡検査(LEEM)画像であり、(a)清浄表面の形態、(b)第1の層の成膜、(c)第2の層の成膜、(d)第3の層の成膜を示す画像である。
【図4】本発明によるSiHGeH、SiH(GeH、SiH(GeHおよびSi(GeH前駆体について、ならびに比較のためのGeHGeHの第1の層の成長速度の温度依存性を示すグラフである。
【図5】本発明によるSi(100)上に成長させたSiGe層のXTEM顕微鏡写真であり、スレッディング転位が界面領域で濃縮され、膜表面に広がらず、層が厚さにおいて非常に均一であり、原子的に平滑および連続的な表面形態を示すことを示している。
【図6】本発明に従ってSi(100)上に成長した200nmSiGe膜のラザフォード後方散乱(RBS)ランダム(上側の線)およびアラインド(下側の線)スペクトラムを示す図である。
【図7】完全緩和材料を示す特徴的なGe−Ge、Si−GeおよびSi−Siピークを示すSiGe(下図)およびSiGe(上図)のラマンスペクトラムを示す図であり、SiGeスペクトラム(下図)には、Si基板に相当する別の鋭いピークもある。
【図8】本発明に従ってSi(100)上に成長させた歪みのない、原子的に平滑なSiGe層の明視野XTEM画像であり、明瞭で急激な完全にエピタキシャルな界面微細構造を示す界面領域の原子分解Zコントラスト画像の挿入図を含む。
【図9】本発明に従って380℃で成長させたSiGe(001)層のRBSランダム(上側の線)およびアラインド(下側の線)スペクトラムを示す図である。
【図10】本発明によるSiGe膜の原子的に平坦な上面を示すXTEM画像である。
【図11】厚さ0.5μmの本発明によるSiGe(001)層のRBSランダム(上側の線)およびアラインド(下側の線)スペクトラムを示す図である。
【図12】本発明に従ってSi(100)上に成長したSiGe量子ドットを示す一組の顕微鏡写真であり、(上図)大きさが均一である非常にコヒーレントな(スレッディング欠陥なし)SiGe量子ドットを示す明視野XTEM顕微鏡写真、(左下図)完全エピタキシャルアライメントならびに鋭く均一な界面を示す界面領域の高分解能Zコントラスト画像、(右下図)狭い径分布を有するドーム形状アイランドの集合体を示し、切子面のあるアイランドを示す拡大挿入図を含むAFM画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ中で基板上にSi−Ge層を成膜する方法であって、
Si−Ge材料を含む層が前記基板上に形成される条件下で、前記チャンバ中に、(HGe)SiH4−x(式中、xは1,2,3または4)を含む気体前駆体を導入する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記気体前駆体を導入する工程が、実質的に純粋な形態の前記前駆体を導入することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気体前駆体を導入する工程が、単一ガスソースとして前記前駆体を導入することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記気体前駆体を導入する工程が、不活性ギャリアガスと混合した前記前駆体を導入することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ギャリアガスがHを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記キャリアがNを含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記気体前駆体を低圧化学蒸着によって成膜する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記気体前駆体を超高真空化学蒸着によって成膜する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記気体前駆体を、ガスソース分子ビームエピタキシーによって成膜する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記Si−Ge材料が量子ドットを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記Si−Ge材料がSiGeNを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ホウ素、リン、ヒ素、アンチモンおよびインジウムからなる群から選択される元素で前記Si−Ge材料をドープする工程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板上に前記Si−Ge材料の選択的成長を行うためにパターニングされたSi基板をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記気体前駆体を、(HGe)SiH4−xおよび水素化ゲルマニウム、水素化シリコンまたは水素化−ハロゲン化シリコンを含む混合物として導入する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記前駆体がHGeSiHを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体が(HGe)SiHを含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記前駆体が(HGe)SiHを含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記前駆体が(HGe)Siを含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記基板がシリコンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記シリコンがSi(100)を含む請求項に10記載の方法。
【請求項21】
前記気体前駆体を約250℃から約700℃の温度で導入する請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記気体前駆体を約480℃の温度で導入する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記気体前駆体を約250℃から約450℃の温度で導入する請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記気体前駆体を約1×10−7Torrから少なくとも約5Torrの範囲の圧力で導入する請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記Si−Ge材料を、平面状表面を有する歪みまたは無歪み層として前記基板上に形成する請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記Si−Ge材料を歪みコヒーレントアイランドとして前記基板上に形成する請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記気体前駆体のほぼ全てのSiおよびGe骨格をエピタキシャルSiGeに導入する請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記Si−Ge材料の組成が実質的に均一である請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記Si−Ge材料を、実質的に質量移行を制限する条件下で形成する請求項1に記載の方法。
【請求項30】
基板上にエピタキシャルSiGe層(式中、xは1,2,3または4)を成膜する方法であって、
(HGe)SiH4−xを含む気体前駆体を前記基板の表面付近に導入する工程と、
エピタキシャルSiGexが前記基板上に形成される条件下で前記前駆体を脱水素化する工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項31】
前記気体前駆体を導入する工程が、実質的に純粋な形態の前記前駆体を導入することを含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記気体前駆体を導入する工程が、単一ガスソースとして前記前駆体を導入することを含む請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記気体前駆体を導入する工程が、不活性ギャリアガスと混合した前記前駆体を導入することを含む請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記ギャリアガスがHを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記キャリアがNを含む請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記気体前駆体を低圧化学蒸着によって成膜する請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記気体前駆体を超高真空化学蒸着によって成膜する請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記気体前駆体を、ガスソース分子ビームエピタキシーによって成膜する請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記前駆体がHGeSiHを含む請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記前駆体が(HGe)SiHを含む請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記前駆体が(HGe)SiHを含む請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記前駆体が(HGe)Siを含む請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記基板がシリコンを含む請求項30に記載の方法。
【請求項44】
前記基板がSi(100)を含む請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記基板がガラスを含む請求項30に記載の方法。
【請求項46】
前記基板がプラスチックを含む請求項30に記載の方法。
【請求項47】
ホウ素、ヒ素、リン、ヒ素、アンチモンおよびインジウムからなる群から選択される元素でエピタキシャルSiGeをドープする工程をさらに備える請求項30に記載の方法。
【請求項48】
前記基板上にエピタキシャルSiGeの選択的成長を行うために前記基板をパターニングする工程をさらに備える請求項30に記載の方法。
【請求項49】
前記気体前駆体を、(HGe)SiH4−xおよび水素化ゲルマニウム、水素化シリコンまたは水素化−ハロゲン化シリコンを含む混合物として導入する請求項30に記載の方法。
【請求項50】
前記気体前駆体を約250℃から約700℃の温度で導入する請求項30に記載の方法。
【請求項51】
前記気体前駆体を約480℃の温度で導入する請求項51に記載の方法。
【請求項52】
前記気体前駆体を約250℃から約450℃の温度で導入する請求項30に記載の方法。
【請求項53】
前記気体前駆体を約1×10−7Torrから少なくとも約5Torrの範囲の圧力で導入する請求項30に記載の方法。
【請求項54】
エピタキシャルSiGeが、実質的に平面状表面を有する歪みまたは無歪み層を含む請求項30に記載の方法。
【請求項55】
前記エピタキシャルSiGeが歪みコヒーレントアイランドを含む請求項30に記載の方法。
【請求項56】
前記気体前駆体のほぼ全てのSiおよびGe骨格をエピタキシャルSiGeに導入する請求項30に記載の方法。
【請求項57】
前記エピタキシャルSiGeの組成が実質的に均一である請求項30に記載の方法。
【請求項58】
前記エピタキシャルSiGeを、実質的に質量移行を制限する条件下で形成する請求項1に記載の方法。
【請求項59】
基板と、
SiGe層が前記基板上に形成される条件下で、前記基板の表面付近に(HGe)SiH4−x(式中、xは1,2,3または4)を含む気体前駆体を導入することで形成されたSiGe層と
を備えることを特徴とする半導体構造。
【請求項60】
前記SiGe層が前記前駆体の脱水素化によって形成される請求項59に記載の半導体構造。
【請求項61】
前記基板がシリコンを含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項62】
前記基板がSi(100)を含む請求項61に記載の半導体構造。
【請求項63】
前記SiGe層がSiGeを含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項64】
前記SiGe層がSiGeを含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項65】
前記SiGe層がSiGeを含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項66】
前記SiGe層がSiGeを含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項67】
前記SiGe層が、厚さ約1ミクロン未満の厚さを有するSiGe膜を含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項68】
前記SiGe層が、約100nmから約500nmの範囲の厚さを有するSiGe膜を含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項69】
前記SiGe層が、約10/cm未満のスレッディング欠陥密度を有するSiGe膜を含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項70】
前記SiGe層が、実質的に原子的に平面状の表面形態を有するSiGe膜を含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項71】
前記エピタキシャルSiGe層が、層の横断方向に実質的に均一な組成を有するSiGe緩衝層を含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項72】
前記エピタキシャルSiGe層が、層の横断方向に実質的に均一な歪みを有するSiGe緩衝層を含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項73】
前記エピタキシャルSiGe層が、組成的に勾配のないSiGe緩衝層を含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項74】
前記SiGe層が、1以上の歪みアイランドを含む請求項59に記載の半導体構造。
【請求項75】
前記SiGe層が、1以上のコヒーレントアイランドを含む請求項59に記載の半導体構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2008−513979(P2008−513979A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531158(P2007−531158)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/012157
【国際公開番号】WO2006/031257
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507080994)アリゾナ ボード オブ リージェンツ ア ボディー コーポレート アクティング オン ビハーフ オブ アリゾナ ステイト ユニバーシティ (17)
【氏名又は名称原語表記】ARIZONA BOARD OF REGENTS,a body corporate acting on behalf of ARIZONA STATE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】