説明

基板処理装置、基板処理装置のための検査装置、ならびに検査用コンピュータプログラムおよびそれを記録した記録媒体

【課題】制御動作および/または装置動作の妥当性(レシピに適合するか否か)に関する検査を確実にかつ短時間に実施できるようにする。
【解決手段】この基板処理装置は、基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段(193)と、レシピに対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段(16,191,192)と、検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段(196)と、レシピに従う制御動作を実行する制御手段(16,190)と、制御動作を記録する制御動作記録手段(16,191)と、記録された制御動作と検査基準とを照合することにより制御動作の適否を判定する制御動作判定手段(16,191)とを含む。基板処理装置は、さらに、基板処理装置が実行した装置動作を記録する装置動作記録手段(16,192)と、記録された装置動作と検査基準とを照合することにより装置動作の適否を判定する装置動作判定手段(16,192)とをさらに含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置、基板処理装置の制御動作および/または装置動作を検査するための検査装置、ならびに検査用コンピュータプログラムおよびそれを記録した記録媒体に関する。基板処理装置の処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の基板を処理する基板処理装置は、たとえば、基板を保持して回転するスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板に対して処理液を供給する複数の処理液ノズルと、これらを制御する制御ユニットとを含む。制御ユニットは、たとえば、スピンチャックで基板を保持して回転させる一方で、回転中の基板に対して処理液ノズルから処理液が供給されるように、スピンチャックおよび処理液ノズルの動作を制御する。
【0003】
具体的には、制御ユニットは、基板の処理手順を記述したレシピに従って、スピンチャック、処理液ノズルその他の構成要素を制御する。レシピに記述される処理手順は、例えば、複数のステップを含む。各ステップには、たとえば、スピンチャックの回転開始/停止、スピンチャックの回転速度、処理液吐出の開始/停止などが記述される。
基板処理装置のハードウェア仕様は、目的とする処理内容により異なり、現実には、個々のユーザが実行しようとする処理内容に応じたカスタムメードとなっている。また、基板処理の内容は複雑であり、それに応じてハードウェア構成が複雑になっている。したがって、ハードウェアを制御するためのソフトウェアも複雑になっている。
【0004】
基板処理装置の使用者は、基板処理装置のハードウェア仕様およびソフトウェア仕様を理解したうえで、目的とする処理内容を定義するレシピを作成する。このレシピに従って制御ユニットがハードウェアを制御することにより、基板の処理が行われる。
使用者の意図に適合するようにハードウェアが動作しなければ、目的とする基板処理を行うことができない。そこで、レシピに従って実際に基板処理装置を動作させ、その動作の確認を行う必要がある。動作の確認方法は、概ね2つの方法に大別される。第1の方法は、ソフトウェア処理の記録とレシピとを照合する方法である。具体的には、制御ユニットが実行したソフトウェア動作を表す制御ログが記録されて、記憶装置に蓄積される。この蓄積された制御ログとレシピとを作業員が照合することで、制御ユニットによる制御動作の妥当性が検査される。ただし、ソフトウェア動作の全部が制御ログとして記録されるわけではないので、記録される動作のみが検査対象となる。第2の方法は、基板処理装置の実際の動作を作業員が目視して、レシピと照合する方法である。第1の方法では、ソフトウェア処理の妥当性が検査される。これに対して、第2の方法では、基板処理装置の現実の動作の妥当性が検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−10029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板処理装置は、複数のレシピを登録できるように構成されている。使用者は、様々な処理の組み合わせを定義した複数のレシピを基板処理装置に予め登録しておき、必要に応じていずれかのレシピを呼び出して用いることができる。たとえば、複数の処理液ノズルからの吐出順序や吐出時間などを様々に定義した複数のレシピが作成されて、基板処理装置に登録される。
【0007】
しかし、多数のレシピについて前述のような検査を行うには、多大な時間と労力を要する。しかも、人間による確認作業であるので、誤りや漏れを完全になくすことは困難である。そのため、基板処理工程において、不良が生じてしまうおそれがある。
一方、基板処理装置の構成部品の経年劣化等に起因する不良により、基板処理工程が不良となる場合がある。この場合、当該工程で問題が生じているので、その後の処理工程の実行は無駄になる。ところが、処理不良は処理完了後の基板または基板から取り出された最終製品(たとえば半導体製品)を検査する段階で明らかになる。そのため、不良な処理工程の後の工程が無駄に行われることになり、生産性が損なわれている。
【0008】
また、レシピの記述に問題があり、そのために基板処理工程が不良となる場合もあるから、不良の原因が部品の経年劣化等であると直ちに特定できるわけではない。そのため、不良原因の特定に時間がかかる場合があり、このことも、生産性を阻害する一因となっている。
そこで、この発明の第1の目的は、制御動作の妥当性(レシピに適合するか否か)を確実にかつ短時間に検査することができる基板処理装置を提供することである。
【0009】
この発明の第2の目的は、実際の処理動作の妥当性(レシピに適合するか否か)を自動的に検査することができる基板処理装置を提供することである。
この発明の第3の目的は、基板処理装置の制御動作の妥当性(レシピに適合するか否か)を確実にかつ短時間に検査することができる、基板処理装置のための検査装置を提供することである。
【0010】
この発明の第4の目的は、基板処理装置の実際の処理動作の妥当性(レシピに適合するか否か)を自動的に検査することができる、基板処理装置のための検査装置を提供することである。
この発明の第5の目的は、コンピュータを上記のような検査装置として機能させるためのコンピュータプログラムを提供することである。
【0011】
この発明の第6の目的は、上記のようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段(193)と、前記レシピ記憶手段から処理手順を読み出し、この処理手順に対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段(16,191,192,A1-A9,B3,C1-C9,D3,E4;16,197;71,741,742)と、前記検査基準生成手段によって生成された検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段(196;746)と、前記レシピ記憶手段に記憶されたレシピに従う制御動作を実行する制御手段(16,190,B2,D2,E2)と、前記制御手段による制御動作を記録する制御動作記録手段(16,191,B4;71,741)と、前記制御動作記録手段によって記録された制御動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記制御動作の適否を判定する制御動作判定手段(16,191,B6-B8;71,741)とを含む、基板処理装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
【0013】
この構成によれば、レシピに応じた検査基準(制御動作検査基準)を記述した検査基準ファイルが生成される。この検査基準ファイルに記述された検査基準に照らして、制御手段の制御動作の妥当性が判定される。これにより、制御手段がレシピの記述に従って妥当な制御動作を行っているかどうかを検査できるから、制御動作の不具合を確実に見つけることができる。しかも、レシピに応じた検査基準の抽出が検査基準生成手段によって行われ、その抽出された検査基準と制御動作との照合が制御動作判定手段によって行われるから、検査に要する時間および労力を大幅に削減することができる。
【0014】
前記制御動作記録手段は、前記制御手段による制御動作を制御動作記憶手段(194;744)に記録するものであってもよい。
前記レシピ記憶手段、検査基準記憶手段および制御動作記憶手段は、個別の記憶媒体(19,74)で構成されてもよいし、同一記憶媒体(19)の異なる記憶領域(193,196,194)を用いて構成されてもよい。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、ノズル(N1,N2,N3)から基板に対して処理流体を吐出させる処理手順を含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ノズルからの処理流体吐出制御に関する検査を行うための検査基準を含む検査基準ファイルを生成するものである、請求項1記載の基板処理装置である。この構成により、ノズルからの処理流体吐出制御に関する検査を自動で行える。
【0016】
ノズルは、処理流体を吐出する吐出部(11,12,13)と、流体の流通路(31,32,33)を開閉するバルブ(21,22,23)とを含む。複数の流通路が一つの吐出部へと合流し、各流通路に個別にバルブが設けられる場合、個々のバルブと共通の吐出部とが個々のノズルを形成しているとみなすことができる。処理流体は、気体(処理ガス)であってもよいし、液体(処理液)であってもよい。処理ガスの例は、窒素ガス等の不活性ガス、フッ酸蒸気等の腐食性ガスを含む。処理液の例は、洗浄液、エッチング液、ポリマー除去液、レジスト剥離液、リンス液を含む。洗浄液とは、基板表面の異物を除去する薬液であり、アンモニア過酸化水素水や塩酸過酸化水素水などが該当する。エッチング液とは、基板表面の薄膜を除去する薬液であり、フッ酸、塩酸、硫酸等が該当する。ポリマーとは、ドライエッチングやイオン注入のマスクとして用いられたフォトレジストから生じた変質物(レジスト残渣)である。このポリマーを除去するための薬液がポリマー除去液であり、有機アルカリ液を含む液体、有機酸を含む液体、無機酸を含む液体、フッ化アンモン系物質を含む液体などで構成される。レジスト剥離液は、たとえば、硫酸と過酸化水素水との混合液からなり、基板表面のレジスト(たとえばドライエッチングやイオン注入のマスクとして使用された後のレジスト)を剥離するために用いられる。
【0017】
前記基板処理装置は、基板保持回転機構(1)を備えていてもよい。そして、前記ノズルは、基板保持回転機構によって保持されている基板に対して処理流体を供給するものであってもよい。基板保持回転機構は、基板(典型的には1枚の基板)を保持して回転させるものである。基板保持回転機構は、たとえば、鉛直軸線周りに回転可能な回転軸(5)と、回転軸の上端に水平に固定されたスピンベース(6)と、スピンベースに備えられた基板保持機構(8)と、回転軸を回転駆動する回転駆動機構(7:たとえば電動モータ)とを含む。基板保持機構は、基板の下面を吸引して保持する吸引保持機構(いわゆるバキュームチャック)であってもよいし、基板の端面に当接する保持部材によって基板を握持(挟持)するもの(いわゆるメカニカルチャック)であってもよい。
【0018】
請求項3記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、ノズル(N1,N2,N3)からの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ステップ毎の制御検査区間を設定する制御検査区間設定手段(16,191,A5,A6;16,197;71,741)と、前記制御検査区間中における前記ノズルの吐出指示状態または停止指示状態を記述した制御合格基準を生成する制御合格基準生成手段(16,191,A7;16,197;71,741)とを含み、前記制御動作判定手段は、前記制御検査区間における前記制御手段の前記ノズルに関する制御動作と前記制御合格基準とを照合するものである、請求項2記載の基板処理装置である。
【0019】
この構成により、ステップ毎の制御検査区間が設定され、当該制御検査区間におけるノズルの吐出指示状態または停止指示状態が制御合格基準として記述される。制御動作判定手段は、制御手段の前記ノズルに関する制御動作(制御動作記録手段によって記録された動作)が制御合格基準に適合するか否かを判定する。こうして、各ステップにおけるノズルの吐出/停止制御の妥当性が自動判定される。
【0020】
レシピに含まれる複数のステップには、たとえば、実行順に識別情報(たとえばステップ番号)が付される。この場合、制御手段は、その識別情報の順序に従って、各ステップの記述に応じた制御動作を実行する。制御動作記録手段は、制御手段の制御動作をステップの識別情報と関連づけて時系列に従って記録することが好ましい。これにより、制御動作判定手段は、ステップの識別情報に基づいて、各ステップに対応した制御検査基準と、当該ステップで実行された制御動作とを照合することができる。これにより、レシピに従う制御動作が行われたか否かを検査することができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、複数のノズル(N1,N2,N3)からの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ステップ毎の制御検査区間を設定する制御検査区間設定手段(16,191,A5,A6;16,197;71,741)と、前記制御検査区間中における前記複数のノズルの吐出指示状態または停止指示状態をそれぞれ記述した制御合格基準を生成する制御合格基準生成手段(16,191,A7;16,197;71,741)とを含み、前記制御動作判定手段は、前記制御検査区間における前記制御手段の前記複数のノズルに関する制御動作と前記制御合格基準とを照合するものである、請求項2記載の基板処理装置。
【0022】
この構成により、複数のノズルに関する制御動作を検査することができる。具体的には、各制御検査区間に対して、複数のノズルの吐出指示状態または吐出停止状態が、レシピに応じて制御合格基準に記述される。制御動作判定手段は、制御手段の前記複数のノズルに関する制御動作(制御動作記録手段によって記録された動作)が制御合格基準に適合するか否かを判定する。こうして、各ステップにおける複数のノズルの吐出/停止制御の妥当性が自動判定される。
【0023】
請求項5記載の発明は、前記制御検査区間設定手段は、ステップ開始から第1所定時間(T1)経過後、当該ステップ終了より第2所定時間(T2)前までの期間を当該ステップの制御検査区間として設定するものである、請求項3または4記載の基板処理装置である。
たとえば、第1ステップにおいて、特定のノズルから処理流体の吐出を開始させ、次の第2ステップにおいて当該ノズルからの処理流体の吐出を停止させる場合を想定する。この場合、制御手段が本来的に有する制御動作の遅れや、制御動作データの収集または記録のタイミングずれ等の影響のために、第1ステップにおける処理流体の吐出指示に遅れが生じるおそれがある。また、制御動作データの収集または記録のタイミングおよび方法によっては、第1ステップから第2ステップへの移行が記録されるタイミングよりも、処理流体吐出停止指示が記録されるタイミングが早くなるかもしれない。すなわち、ステップが移行する前後の期間に記録された制御動作は、その信頼性が低い。そこで、ステップ開始から第1所定時間経過後、当該ステップ終了より第2所定時間前までの期間を当該ステップの制御検査区間として設定することによって、信頼性の高い情報(制御動作の記録)に基づいて、制御動作の妥当性を適正に判定することができる。
【0024】
請求項6記載の発明は、前記制御手段による制御によって基板処理装置が実行した装置動作を記録する装置動作記録手段(16,192,D4,E5;71,742)と、前記装置動作記録手段によって記録された装置動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記基板処理装置の装置動作の適否を判定する装置動作判定手段(16,192,D6-D8,E7-E9;71,742)とをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0025】
また、請求項7記載の発明は、基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段(193)と、前記レシピ記憶手段から処理手順を読み出し、この処理手順に対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段(16,192,C1-C9,D3,E4;16,197;71,742)と、前記検査基準生成手段によって生成された検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段(196;746)と、前記レシピ記憶手段に記憶されたレシピに従って基板処理装置によって実行された装置動作を記録する装置動作記録手段(16,192,D4,E5;71,742)と、前記装置動作記録手段によって記録された装置動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記基板処理装置の装置動作の適否を判定する装置動作判定手段(16,192,D6-D8,E7-E9;71,742)とを含む、基板処理装置である。
【0026】
請求項6または7の発明によれば、基板処理装置の実際の動作がレシピの記述に適合するか否かを自動的に検査することができる。すなわち、基板処理装置の動作が記録され、その記録された装置動作と、レシピから抽出された検査基準とが照合される。これにより、基板処理装置の実際の動作の妥当性が自動で検査される。よって、誤りや漏れを生じることなく、確実に基板処理装置の動作を検査できる。
【0027】
前記装置動作記録手段は、前記基板処理装置によって実行された装置動作を装置動作記憶手段(195;745)に記録するものであってもよい。
前記レシピ記憶手段、検査基準記憶手段および装置動作記憶手段は、個別の記憶媒体(19,74)で構成されてもよいし、同一記憶媒体(19)の異なる記憶領域(193,196,195)を用いて構成されてもよい。
【0028】
また、装置動作の妥当性は、基板処理と並行して検査してもよい。そして、装置動作の不具合が発見されたときには、所定の装置異常処理を行うこととしてもよい。装置異常処理は、たとえば、使用者に対して異常発生を報知する処理を含んでいてもよい。これにより、たとえば、使用者は、すみやかに基板処理を中止することができる。したがって、装置動作異常に起因して処理が不良となる基板の発生を抑制できる。また、当該装置異常が生じたときに処理された基板に対して、その後の処理工程を省くことができる。これにより、無駄な後工程が実行されることによる生産性の低下を抑制できる。
【0029】
また、装置動作の妥当性が検査されるので、基板処理に不具合が生じたときに、その不具合が不適切なレシピに起因するのか、装置動作の不具合(たとえば部品の経年劣化)に起因するのかを、ただちに判断することができる。これにより、問題解決までの時間を短縮することができるので、基板処理の生産性を向上することができる。
請求項8記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、ノズル(N1,N2,N3)から基板に対して処理流体を吐出させる処理手順を含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ノズルからの処理流体吐出動作に関する検査を行うための検査基準を含む検査基準ファイルを生成するものである、請求項6または7記載の基板処理装置である。この構成により、ノズルからの処理流体吐出動作に関する検査を自動で行える。
【0030】
請求項9記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、ノズル(N1,N2,N3)からの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ステップ毎の装置検査区間を設定する装置検査区間設定手段(16,192,C5,C6;16,197;71,742)と、前記装置検査区間中における前記ノズルの吐出状態または停止状態を記述した装置合格基準を生成する装置合格基準生成手段(16,192,C7;16,197;71,742)とを含み、前記装置動作判定手段は、前記装置検査区間における前記ノズルに関する装置動作と前記装置合格基準とを照合するものである、請求項8記載の基板処理装置である。
【0031】
この構成により、ステップ毎の装置検査区間が設定され、当該装置検査区間におけるノズルの吐出状態または停止状態が装置合格基準として記述される。装置動作判定手段は、前記ノズルに関する装置動作(装置動作記録手段によって記録された動作)が装置合格基準に適合するか否かを判定する。こうして、各ステップにおけるノズルの吐出/停止動作の妥当性が自動判定される。
【0032】
レシピに含まれる複数のステップには、たとえば、実行順に識別情報(たとえばステップ番号)が付される。この場合、制御手段は、その識別情報の順序に従って、各ステップの記述に応じた制御動作を実行する。装置動作記録手段は、装置の実際の動作をステップの識別情報と関連づけて時系列に従って記録することが好ましい。これにより、装置動作判定手段は、ステップの識別情報に基づいて、各ステップに対応した装置検査基準と、当該ステップで実行された装置動作とを照合することができる。これにより、レシピに従う装置動作が行われたか否かを検査することができる。
【0033】
請求項10記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、複数のノズル(N1,N2,N3)からの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ステップ毎の装置検査区間を設定する装置検査区間設定手段(16,192,C5,C6;16,197;71,742)と、前記装置検査区間中における前記複数のノズルの吐出状態または停止状態をそれぞれ記述した装置合格基準を生成する装置合格基準生成手段(16,192,C7;16,197;71,742)とを含み、前記装置動作判定手段は、前記装置検査区間における前記複数のノズルに関する装置動作と前記装置合格基準とを照合するものである、請求項8記載の基板処理装置である。
【0034】
この構成により、複数のノズルの実際の動作を検査することができる。具体的には、各装置検査区間に対して、複数のノズルの吐出状態または吐出状態が、レシピに応じて装置合格基準に記述される。装置動作判定手段は、前記複数のノズルに関する装置動作(装置動作記録手段によって記録された動作)が装置合格基準に適合するか否かを判定する。こうして、各ステップにおける複数のノズルの吐出/停止動作の妥当性が自動判定される。
【0035】
請求項11記載の発明は、前記装置検査区間設定手段は、ステップ開始から第3所定時間(T3)経過後、当該ステップ終了より第4所定時間(T4)前までの期間を当該ステップの装置検査区間として設定するものである、請求項9または10記載の基板処理装置である。
たとえば、第1ステップにおいて、特定のノズルから処理流体の吐出を開始させ、次の第2ステップにおいて当該ノズルからの処理流体の吐出を停止させる場合を想定する。この場合、制御手段が本来的に有する制御動作の遅れや、装置動作データの収集または記録のタイミングずれ等の影響のために、第1ステップにおける処理流体の吐出開始に遅れが生じるおそれがある。さらに、処理流体の吐出を開始しても、目標流量に達するには或る程度の時間がかかる。また、装置動作データの収集または記録のタイミングによっては、第1ステップから第2ステップへの移行が記録されるタイミングよりも、処理流体吐出停止が記録されるタイミングが早くなるかもしれない。さらに、たとえば処理流体吐出開始から設定時間経過後に処理流体の吐出を停止しても、処理流体の流量が零になるまでには或る程度の時間がかかる。したがって、ステップが移行する前後の期間に記録された装置動作は、装置動作の適否を確認する目的に使用するには、その信頼性が低い。そこで、ステップ開始から第3所定時間経過後、当該ステップ終了より第4所定時間前までの期間を当該ステップの装置検査区間として設定することによって、信頼性の高い情報(装置動作の記録)に基づいて、装置動作の妥当性を適正に判定することができる。
【0036】
請求項12記載の発明は、基板処理装置を検査するための検査装置であって、前記基板処理装置は、基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段と、前記レシピ記憶手段に記憶されたレシピに従う制御動作を実行する制御手段とを含み、前記レシピ記憶手段から処理手順を読み出し、この処理手順に対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段が、前記基板処理装置または前記検査装置に備えられ、前記検査装置は、前記制御手段による制御動作を記録する制御動作記録手段と、前記検査基準生成手段によって生成された検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段と、前記制御動作記録手段によって記録された制御動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記制御動作の適否を判定する制御動作判定手段とを含む、基板処理装置のための検査装置である。この発明により、基板処理装置の制御動作の妥当性(レシピに適合するか否か)を確実にかつ短時間に検査することができる、基板処理装置のための検査装置が提供される。
【0037】
請求項13記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、ノズルから基板に対して処理流体を吐出させる処理手順を含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ノズルからの処理流体吐出制御に関する検査を行うための検査基準を含む検査基準ファイルを生成するものである、請求項12記載の基板処理装置のための検査装置である。
【0038】
請求項14記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、ノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ステップ毎の制御検査区間を設定する制御検査区間設定手段と、前記制御検査区間中における前記ノズルの吐出指示状態または停止指示状態を記述した制御合格基準を生成する制御合格基準生成手段とを含み、前記制御動作判定手段は、前記制御検査区間における前記制御手段の前記ノズルに関する制御動作と前記制御合格基準とを照合するものである、請求項13記載の基板処理装置のための検査装置である。
【0039】
請求項15記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、複数のノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ステップ毎の制御検査区間を設定する制御検査区間設定手段と、前記制御検査区間中における前記複数のノズルの吐出指示状態または停止指示状態をそれぞれ記述した制御合格基準を生成する制御合格基準生成手段とを含み、前記制御動作判定手段は、前記制御検査区間における前記制御手段の前記複数のノズルに関する制御動作と前記制御合格基準とを照合するものである、請求項13記載の基板処理装置のための検査装置である。
【0040】
請求項16記載の発明は、前記制御検査区間設定手段は、ステップ開始から第1所定時間経過後、当該ステップ終了より第2所定時間前までの期間を当該ステップの制御検査区間として設定するものである、請求項13または14記載の基板処理装置のための検査装置である。
請求項17記載の発明は、前記制御手段による制御によって基板処理装置が実行した装置動作を記録する装置動作記録手段と、前記装置動作記録手段によって記録された装置動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記基板処理装置の装置動作の適否を判定する装置動作判定手段とをさらに含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載の基板処理装置のための検査装置である。
【0041】
請求項18記載の発明は、基板処理装置を検査するための検査装置であって、前記基板処理装置は、基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段を含み、前記レシピ記憶手段から処理手順を読み出し、この処理手順に対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段が前記基板処理装置または前記検査装置に設けられ、前記検査装置は、前記レシピ記憶手段に記憶されたレシピに従って基板処理装置によって実行された装置動作を記録する装置動作記録手段と、前記検査基準生成手段によって生成された検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段と、前記装置動作記録手段によって記録された装置動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記基板処理装置の装置動作の適否を判定する装置動作判定手段とを含む、基板処理装置のための検査装置である。この発明により、基板処理装置の実際の処理動作の妥当性(レシピに適合するか否か)を自動的に検査することができる、基板処理装置のための検査装置が提供される。
【0042】
請求項19記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、ノズルから基板に対して処理流体を吐出させる処理手順を含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ノズルからの処理流体吐出動作に関する検査を行うための検査基準を含む検査基準ファイルを生成するものである、請求項17または18記載の基板処理装置のための検査装置である。
【0043】
請求項20記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、ノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ステップ毎の装置検査区間を設定する装置検査区間設定手段と、前記装置検査区間中における前記ノズルの吐出状態または停止状態を記述した装置合格基準を生成する装置合格基準生成手段とを含み、前記装置動作判定手段は、前記装置検査区間における前記ノズルに関する装置動作と前記装置合格基準とを照合するものである、請求項17または18記載の基板処理装置のための検査装置である。
【0044】
請求項21記載の発明は、前記レシピ記憶手段は、複数のノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、前記検査基準生成手段は、ステップ毎の装置検査区間を設定する装置検査区間設定手段と、前記装置検査区間中における前記複数のノズルの吐出状態または停止状態をそれぞれ記述した装置合格基準を生成する装置合格基準生成手段とを含み、前記装置動作判定手段は、前記装置検査区間における前記複数のノズルに関する装置動作と前記装置合格基準とを照合するものである、請求項17または18記載の基板処理装置のための検査装置である。
【0045】
請求項22記載の発明は、前記装置検査区間設定手段は、ステップ開始から第3所定時間経過後、当該ステップ終了より第4所定時間前までの期間を当該ステップの装置検査区間として設定するものである、請求項20または21記載の基板処理装置のための検査装置である。
前記検査装置を構成する各手段は、基板処理装置に備えられたコンピュータによって実現されてもよいし、基板処理装置とは別に備えられたコンピュータによって実現されてもよい。つまり、検査装置は、基板処理装置に内蔵することもでき、基板処理装置に外付けすることもできる。また、検査装置の一部の構成が基板処理装置に備えられ、別の一部の構成が基板処理装置に外付けされてもよい。
【0046】
請求項23記載の発明は、コンピュータを請求項12〜22のいずれか一項に記載の検査装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。この発明により、コンピュータを上記のような検査装置として機能させるためのコンピュータプログラムが提供される。
請求項24記載の発明は、請求項23記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体(19,74,80,90)である。記録媒体の例としては、固体メモリ、データ記録ディスクなどが挙げられ、固定メディアおよびリムーバブルメディアのいずれも該当する。固体メモリとしては、一般的なメモリであるROMおよびRAMのほか、フラッシュデバイスを例示できる。フラッシュデバイスとしては、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード(SDメモリカードなど)を例示できる。データ記録ディスクは、固定ディスク(ハードディスク装置等)であってもよいし、リムーバブルディスクであってもよい。リムーバブルディスクの例は、CD−ROMディスク、DVD−ROMディスクなどである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図2】前記基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図3】記憶装置に登録することができるレシピの一例を示す図である。
【図4】制御動作ログメモリに記録される制御動作ログデータの一例を示す図である。
【図5】装置動作ログメモリに記録される装置動作ログデータの一例を示す図である。
【図6A】制御動作を検査するための制御検査基準の例を説明するための図である。
【図6B】制御動作を検査するための制御検査基準の例を説明するための図である。
【図6C】制御動作を検査するための制御検査基準の例を説明するための図である。
【図7】制御検査基準の他の例を説明するための図であり、制御動作の一例が示されている。
【図8】図7の例による制御検査区間設定のより具体的な例を示す図である。
【図9】図9Aは図8の処理におけるステップ番号「3」のための制御検査基準の例を示す。図9Bは図8の処理におけるステップ番号「4」のための制御検査基準の例を示す。
【図10】制御検査基準自動生成動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】制御動作検査機能を説明するためのフローチャートである。
【図12】制御動作ログデータおよび装置動作ログデータの一例をグラフ化して示す図である。
【図13】図13Aは図12の処理におけるステップ番号「2」のための装置検査基準の例を示す。図13Bは図12の処理におけるステップ番号「3」のための装置検査基準の例を示す。
【図14】装置検査基準自動生成動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】装置動作検査機能の一例を説明するためのフローチャートである。
【図16】装置動作検査機能の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図17】この発明の他の実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図18】この発明のさらに他の実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。この基板処理装置は、半導体ウエハ等の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉型の装置である。この基板処理装置は、スピンチャック1と、複数(この実施形態では3個)の処理液ノズルN1,N2,N3と、処理カップ2とを備えている。
【0049】
スピンチャック1は、1枚の基板Wを水平姿勢で保持して回転する基板保持回転機構である。より具体的には、スピンチャック1は、鉛直方向に沿って延びる回転軸5と、回転軸5の上端に水平姿勢で固定されたスピンベース6と、回転軸5を鉛直軸線周りに回転駆動する回転駆動機構7とを有している。スピンベース6は、たとえば、円盤状に形成されており、その周縁部には、周方向に間隔を開けて複数の保持部材8が設けられている。この複数の保持部材8によって、基板Wが握持(挟持)されて保持されるようになっている。この構成により、基板Wを水平姿勢で保持し、鉛直軸線周りに回転させることができる。
【0050】
処理液ノズルN1,N2,N3は、それぞれ、吐出部11,12,13および処理液バルブ21,22,23を有している。処理液バルブ21,22,23は、それぞれ、処理液流路31,32,33の途中に介装されており、これらの処理液流路31,32,33の先端に吐出部11,12,13が設けられている。処理液バルブ21,22,23を開閉することにより、吐出部11,12,13から処理液を吐出させたり、その吐出を停止させたりすることができる。吐出部11,12,13は、それぞれ、スピンチャック1に保持された基板Wに向けて処理液を吐出するように配置されている。
【0051】
吐出部11,12,13は、固定ノズルの形態を有していてもよいし、基板Wの上方で水平方向に移動する移動ノズル(いわゆるスキャンノズル)の形態を有していてもよい。むろん、3つの吐出部11,12,13が同一のノズル形態を有している必要はない。この実施形態では、ノズルN2,N3に対応した吐出部12,13は固定ノズルの形態を有しており、ノズルN1に対応した吐出部11はスキャンノズルの形態を有している。吐出部11は、水平面に沿って揺動可能な揺動アーム35の揺動端に結合されている。揺動アーム35の固定端は、鉛直軸線まわりに回転可能な回転軸36に結合されている。この回転軸36は、揺動駆動機構37によって鉛直軸線周りに回転され、かつ、昇降駆動機構38によって上下動されるようになっている。これにより、揺動アーム35を水平面に沿って揺動させることができ、かつ、上下動させることができる。その結果、吐出部11は、スピンチャック1に保持された基板Wの表面に沿って移動することができ、かつ、その基板Wの上方で上下動することができる。吐出部11が上限位置および下限位置にあることをそれぞれ検出するために上センサ39および下センサ40が備えられている。これらのセンサ39,40は、昇降駆動機構38の作動部の位置を検出するものであってもよい。
【0052】
処理液ノズルN1には、処理液タンク41に貯留された処理液が、処理液ポンプ51により汲み出され、処理液流路31を介して供給されるようになっている。同様に、処理液ノズルN2には、処理液タンク42に貯留された処理液が、処理液ポンプ52によって汲み出され、処理液流路32を介して供給されるようになっている。処理液ノズルN3には、この実施形態では、リンス液供給源43からのリンス液が処理液流路33を介して供給されるようになっている。リンス液は、純水(脱イオン水:DIW)であってもよい。
【0053】
処理カップ2は、スピンチャック1を取り囲む筒状の容器体であり、基板Wの処理のための処理液およびそのミストを含む雰囲気の拡散を防ぐ。
回転駆動機構7、揺動駆動機構37、昇降駆動機構38および処理液バルブ21,22,23の動作を制御するために、マイクロコンピュータ等を含む制御装置15が備えられている。制御装置15には、さらに、処理液流路31,32,33にそれぞれ介装された流量計46,47,48から、流量検出結果を表す信号が入力されている。また、制御装置15には、前述の上センサ39および下センサ40の出力信号が入力されている。
【0054】
制御装置15は、予め設定される処理レシピに従って、基板処理装置の構成要素を制御する。処理レシピは、基板処理の処理手順を記述した複数のステップを含む。各ステップには、スピンチャック1の回転速度、処理液吐出すべき処理液ノズル、吐出停止すべき処理液ノズル、その他の制御情報が記述される。
図2は、前記基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図であり、主として、制御装置15の構成が示されている。制御装置15は、コンピュータ16と、入力装置17と、表示装置18と、記憶装置19と、ハードウェアインタフェース20とを備えている。
【0055】
コンピュータ16は、CPUを含み、記憶装置19から必要なプログラムおよびデータを読み込んで、基板処理および基板処理装置の検査のために必要な演算処理および制御処理を実行する。これにより、コンピュータ16は、本発明における検査基準生成手段(制御検査区間設定手段、制御合格基準生成手段、装置検査区間設定手段、装置合格基準生成手段)、制御手段、制御動作記録手段、制御動作判定手段、装置動作記録手段、および装置動作判定手段として機能することができる。
【0056】
入力装置17は、コンピュータ16に接続されており、操作者によって操作されるキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルその他の入力インタフェースからなる。表示装置18は、コンピュータ16に接続されており、入力装置17とともに操作者に対するインタフェースを提供する。表示装置18は、たとえば、液晶表示装置等の二次元表示装置からなる。操作者は、表示装置18の表示を参照しながら入力装置17を操作することにより、コンピュータ16に対して、予め作成されたレシピの選択、基板処理の開始、その他の指令を与えることができる。また、操作者は、入力装置17および表示装置18を用いて、レシピを作成して登録することもできる。
【0057】
ハードウェアインタフェース20は、基板処理装置に備えられた制御対象(構成要素)に対するインタフェースを提供する。すなわち、コンピュータ16は、ハードウェアインタフェース20を介して、回転駆動機構7、揺動駆動機構37、昇降駆動機構38、処理液ノズルN1,N2,N3(より具体的にはバルブ21,22,23)などを制御する。また、上センサ39、下センサ40、流量計46〜48、その他の各種センサ類からの検出信号は、ハードウェアインタフェース20を介して、制御装置15に取り込まれるようになっている。図示は省略するが、流量計46〜48は、それぞれ下限センサを有している。下限センサは、たとえば、流量値が予め設定された下限流量値以上のときにオンし、流量値が当該下限流量値未満のときにオフするオン/オフ型のセンサである。
【0058】
コンピュータ16は、制御対象のハードウェアに対する制御指令をハードウェアインタフェース20に備えられた制御動作ログメモリ20aに書き込む。この書き込まれた制御指令が、それぞれのハードウェアに与えられる。制御動作ログメモリ20aには、制御手順のために必要な各種センサ類からの検出信号も書き込まれる。この書き込まれた信号は、コンピュータ16によって取り込まれ、制御動作のために用いられる。また、基板処理装置に備えられた各種ハードウェアの動作をモニタするために、各種センサ類からの検出信号が、ハードウェアインタフェース20に備えられた装置動作ログメモリ20bに、時系列に従って書き込まれるようになっている。この書き込まれた検出信号が、コンピュータ16によって取り込まれ、基板処理装置の動作が監視されるようになっている。制御動作ログメモリ20aおよび装置動作ログメモリ20bは、別の記憶媒体で構成されても、同一記憶媒体の異なる記憶領域で構成されてもよい。
【0059】
制御動作ログメモリ20aに書き込まれた制御指令および検出信号(以下、「制御動作ログデータ」という。)は、コンピュータ16が実行した制御動作の記録である。そこで、コンピュータ16は、制御動作ログメモリ20aに書き込まれた制御動作ログデータを定期的に取得し、制御動作データとして記憶装置19に書き込む。また、装置動作ログメモリ20bに書き込まれた検出信号(以下、「装置動作ログデータ」という。)は、基板処理装置の実際の動作(装置動作)を表す記録である。そこで、コンピュータ16は、装置動作ログメモリ20bに書き込まれた装置動作ログデータを定期的に取得し、装置動作データとして記憶装置19に書き込む。
【0060】
記憶装置19は、コンピュータ16に接続されており、固体メモリ装置、ハードディスク装置その他の記憶装置からなる。記憶装置19は、基板処理制御プログラムを記憶した記憶領域190、制御動作検査プログラムを記憶した記憶領域191、装置動作検査プログラムを記憶した記憶領域192、レシピを記憶するための記憶領域193(レシピ記憶手段)、前記制御動作ログデータを記憶するための記憶領域194、前記装置動作ログデータを記憶するための記憶領域195、および後述の検査基準ファイルを記憶するための記憶領域196(検査基準記憶手段)を有している。記憶領域193には予めレシピを登録しておくことができ、登録されたレシピは、入力装置17の操作によって呼び出して、コンピュータ16に実行させることができる。
【0061】
基板処理制御プログラムは、記憶領域193に記憶されたレシピに従って基板処理装置の各部を動作させるためのプログラムである。コンピュータ16は、このプログラムを読み取って実行することにより、レシピに従って基板処理装置の各部の動作を制御する制御手段として機能する。
制御動作検査プログラム(記憶領域191)は、レシピに従うコンピュータ16の制御動作の妥当性を検査するためのプログラムである。コンピュータ16は、このプログラムを読み取って実行することにより、記憶領域193に記憶されたレシピと、記憶領域194に記憶された制御動作ログデータとを照合し、これにより、制御動作の妥当性を検査する。この機能を実現するために、コンピュータ16は、制御動作検査プログラムを実行することによって、記憶領域193に記憶されたレシピに対応した制御検査基準を記述した検査基準ファイルを作成して記憶領域196に書き込む。制御動作ログメモリ20aから制御動作ログデータを定期的に取得して記憶領域194に書き込む機能も、制御動作検査プログラムを実行するコンピュータ16の機能の一つである。
【0062】
装置動作検査プログラム(記憶領域192)は、レシピに従う基板処理装置のハードウェア動作(装置動作)の妥当性を検査するためのプログラムである。コンピュータ16は、このプログラムを読み取って実行することにより、記憶領域193に記憶されたレシピと、記憶領域195に記憶された装置動作ログデータとを照合し、これにより、装置動作(ハードウェア動作)の妥当性を検査する。この機能を実現するために、コンピュータ16は、装置動作検査プログラムを実行することによって、記憶領域193に記憶されたレシピに対応した装置検査基準を記述した検査基準ファイルを作成して記憶領域196に書き込む。装置動作ログメモリ20bから装置動作ログデータを定期的に取得して記憶領域195に書き込む機能も、装置動作検査プログラムを実行するコンピュータ16の機能の一つである。
【0063】
図3は、記憶装置19の記憶領域193に登録することができるレシピの一例を示す。基板処理のためのレシピは、たとえば、使用者が入力装置17を操作することによって、予め記憶装置19に登録しておくことができる。記憶装置19には、複数種類のレシピを登録することができる。使用者は、入力装置17を操作することによって、登録済みのレシピの一つを選択し、その実行を基板処理装置に対して指示することができる。
【0064】
レシピは、この実施形態では、「ステップ番号」と、「内容」とを含む。ステップ番号は、処理手順の実行順序を表す識別情報である。内容とは、ステップ番号によって特定されるステップで実行すべき処理手順の記述である。コンピュータ16は、ステップ番号に従う順序でレシピを読み取り、各ステップの内容を実行する。
図3の例では、ステップ番号「1」の内容は、「スピンベースを1000rpmで回転開始」することである。したがって、コンピュータ16は、回転駆動機構7を制御して、1000rpmでスピンチャック1を回転させる。このステップは、スピンチャック1の回転速度が1000rpmに達するまで継続される。スピンチャック1の回転速度は、たとえば、回転駆動機構7がモータを含む場合、そのモータの回転速度を検出することによって検出できる。コンピュータ16は、スピンチャック1の回転速度が1000rpmに達すると、次のステップに進む。
【0065】
ステップ番号「2」の内容は、「スキャンノズルN1を上昇」することである。したがって、コンピュータ16は、昇降駆動機構38を制御して、吐出部11(スキャンノズル)を上位置まで上昇させる。このステップは、上センサ39がスキャンノズルN1が上位置に達したことを検出するまで継続される。すなわち、コンピュータ16は、上センサ39によって、スキャンノズルN1が上位置に達したことが検出されると、次のステップに進む。
【0066】
ステップ番号「3」の内容は、「ノズルN3を吐出開始」させることである。したがって、コンピュータ16は、処理液バルブ23を開いて、ノズルN3の吐出部13から処理液(リンス液)を吐出させる。このステップは、たとえば、当該ステップにおいて記述される処理液吐出時間だけ継続される(図3では記述を省略)。コンピュータ16は、処理液バルブ23を開いた後、流量計48の下限センサがオンしてからの時間を計測し、その時間が処理液吐出時間に達すると、次のステップに進む。
【0067】
ステップ番号「4」の内容は、「ノズルN3を吐出停止」させることである。したがって、コンピュータ16は、処理液バルブ23を閉じて、ノズルN3からの処理液の吐出を停止させる。コンピュータ16は、処理液バルブ23を閉じた後、流量計48の下限センサがオフすると、次のステップに進む。
ステップ番号「5」の内容は、「スピンチャックの回転を停止」することである。したがって、コンピュータ16は、回転駆動機構7を制御して、スピンチャック1の回転を停止させる。このステップは、スピンチャック1の回転停止が検出されるまで継続される。スピンチャック1の回転停止は、たとえば、回転駆動機構7がモータを含む場合に、このモータの停止を確認することによって検出できる。
【0068】
図4は、ハードウェアインタフェース20の制御動作ログメモリ20aに記録される制御動作ログデータの一例を示す。この例では、制御動作ログデータは、日時情報と、イベント内容とを含む。すなわち、イベントが生じると、日時情報と当該イベントの内容とを含む制御動作ログデータが生成され、制御動作ログメモリ20aに記録される。イベントとは、この例では、コンピュータ16による制御指令の発行と、オン/オフ型センサによるオン/オフの切り換わりとを含む。コンピュータ16が制御指令を発行すると、その制御指令の内容が日時情報とともに制御動作ログデータとして制御動作ログメモリ20aに書き込まれる。また、オン/オフ型センサによるオン/オフの切り換わりが生じると、当該センサの変化後の状態(オンまたはオフ)と、そのときの日時情報とが制御動作ログデータとして制御動作ログメモリ20aに書き込まれる。センサのオン/オフ情報は、コンピュータ16による制御手順の実行のために用いられる情報である。
【0069】
オン/オフ型センサには、たとえば、上センサ39および下センサ40が該当する。スキャンノズルN1が上位置まで上昇すると上センサ39はオフからオンに変化する。また、スキャンノズルN1が下位置まで下降すると下センサ40はオフからオンに変化する。さらに、流量計46〜48に、前述の下限センサが備えられている場合には、この下限センサもオン/オフ型センサに該当する。
【0070】
たとえば、図4の例では、コンピュータ16がスキャンノズルN1の上昇指令(図3のステップ「2」)を発行すると、この指令が、制御動作ログメモリ20aに、その発行日時情報とともに記録される。この指令に応じて昇降駆動機構38が作動し、スキャンノズルN1が上位置に達すると、上センサ39がオフからオンに切り換わり、この信号がハードウェアインタフェース20に入力される。そして、制御動作ログメモリ20aに、イベント内容として「上センサオン」が記録され、さらに、上センサ39がオン状態となった日時情報が記録される。
【0071】
上センサ39がオンになると、コンピュータ16は、次のステップ(図3のステップ「3」)を実行する。すなわち、コンピュータ16は、ノズルN3からの処理液吐出を指令する。この指令が、制御動作ログメモリ20aに、その発行日時情報とともに記録される。そして、この指令に応じて処理液バルブ23が開かれることになる。処理液バルブ23が開かれて処理液流路33に処理液(リンス液)が流通し始めると、処理液流量は流量計48に予め設定された下限流量値に達する。これにより、下限センサがオンすると、その信号がハードウェアインタフェース20に入力される。そして、制御動作ログメモリ20aに、イベント内容として「下限センサオン」が記録され、さらに下限センサがオン状態となった日時情報が記録される。
【0072】
その後、レシピに記述された処理液吐出時間が経過すると、コンピュータ16は、ノズルN3からの処理液吐出を停止するために、処理液バルブ23を閉じるための指令を発行する。この指令が、制御動作ログメモリ20aに、その発行日時情報とともに記録される。そして、この指令に応じて、処理液バルブ23が閉じられると、処理液流路33を流通する処理液流量が減少し、流量計48に設定された下限流量値を下回る。これにより、下限センサがオフ状態となると、その信号がハードウェアインタフェース20に入力される。そして、制御動作ログメモリ20aに、イベント内容として「下限センサオフ」が記録され、さらに、下限センサがオフ状態となった日時情報が記録される。
【0073】
同様にして、他の制御指令、およびレシピのステップ遷移のためのトリガとなるセンサ情報等が制御動作ログメモリ20aに記録される。
図5は、装置動作ログメモリ20bに記録される装置動作ログデータの記録態様の一例を示す図である。この例では、所定の記録周期(たとえば1秒)ごとに、実行中のステップ番号と、処理液ノズルN3に対応した流量計48が検出する流量値とを時系列に従って記録した例が示されている。すなわち、ステップ番号と流量値とが時系列に従って記録されている。より具体的には、ステップ「3」の開始によって流量が増加し、所定時間の経過後には、流量が減少していく。そして、流量がゼロになった時点で、ステップ「4」に遷移している。
【0074】
図6A、図6Bおよび図6Cは、コンピュータ16が実行する制御動作を検査するための検査基準(制御検査基準)の例を説明するための図である。コンピュータ16は、制御動作検査プログラム(記憶領域191)を実行することによって、レシピに対応した制御検査基準を作成し、この制御検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する。この検査基準ファイルが、記憶装置19の記憶領域196に格納される。図6Aでは、処理液ノズルN3からの処理液吐出制御に関する制御検査基準の作成例が示されている。
【0075】
図3に示す処理レシピを実行する場合、コンピュータ16は、ステップ番号「3」が実行される期間を「検査区間」(制御検査区間)とする。すなわち、「検査区間開始条件」(制御検査区間開始条件)は、「ステップ番号が3であること」である。また、「検査区間終了条件」(制御検査区間終了条件)は、「ステップ番号が3以外であること」である。そして、「合格基準」(制御合格基準)は、「ノズルN3に吐出指示が出ていること」および「他のノズルに吐出指示が出ていないこと」を含む。コンピュータ16は、処理レシピの内容を読み取って上記のような検査区間開始条件、検査区間終了条件および合格基準を作成し、これらを含む検査基準ファイルを作成する。コンピュータ16は、その作成した検査基準ファイルを記憶装置19の記憶領域196に登録する。
【0076】
コンピュータ16は、制御動作ログデータ(記憶領域194)および装置動作ログデータ(記憶領域195)と検査基準ファイル(記憶領域196)とを照合することによって、制御動作の妥当性を判定する。具体的には、コンピュータ16は、装置動作ログデータ(図5参照)に基づき、ステップ番号の時間変化を調べる。これにより、図6Bおよび図6Cの各上段に示すステップ番号の時間変化が把握される。さらに、コンピュータ16は、制御動作ログデータ(図4参照)に基づき、ステップ「3」が開始された時刻からステップ「3」が終了する時刻までの間(検査区間)における処理液ノズルN3および他のノズルに対する制御指令を調べる。これにより、図6Bおよび図6Cの各下段に示すように、処理液ノズルN3に関する吐出指示の時間変化が把握される。他の処理液ノズルに関する吐出指示の時間変化も同様にして把握される。コンピュータ16は、前記検査区間において、処理液ノズルN3から処理液を吐出させるための制御指令が発生されており、かつ、他のノズルから処理液を吐出させるための制御指令が発生されていなければ、合格基準(制御合格基準)を満たすと判定し、さもなければ当該合格基準を満たしていないと判定する。
【0077】
図6Bは合格基準を満たす例であり、図6Cは合格基準を満たさない例である。図6Cの例では、検査区間の初期において、処理液ノズルN3から処理液を吐出すべき旨の指令が発生されていない。
図7は、検査基準(制御検査基準)の他の例を説明するための図であり、制御動作の一例が示されている。図7の上段には装置動作ログデータから把握されるステップ番号の時間変化を示し、図7の下段には制御動作ログデータから把握される処理液ノズルN3に対する吐出指示の時間変化を示す。
【0078】
ハードウェアインタフェース20の制御動作ログメモリ20aへの制御指令等の書き込みは、一定の時間間隔(たとえば10ミリ秒間隔)で実行される。また、制御動作ログメモリ20aへのステップ番号の書き込み(更新)は、別の一定の時間間隔(たとえば100ミリ秒間隔)で実行される。そのため、ステップ番号の変化と制御指令発行のタイミングとは必ずしも一致しない。そこで、図7の例では、各ステップの検査区間(制御検査区間)を、当該ステップの継続時間よりも短く設定している。具体的には、ステップ番号「3」の検査区間の開始条件は「ステップ3の開始から第1所定時間T1だけ経過したこと」であり、終了条件は「ステップ3の終了よりも第2所定時間T2だけ前であること」である。これにより、制御装置15が本来的に有する制御動作(より具体的にはハードウェアインタフェース20への制御動作ログデータの書き込み)の遅れまたはタイミングずれの影響等を排除して、妥当な検査区間を設定することができる。その結果、より適正に制御動作を検査することができる。前記第1所定時間T1は、たとえば、0.2秒であってもよい。また、前記第2所定時間T2は、たとえば、0.3秒であってもよい。
【0079】
図8は、図7の例による検査区間設定のより具体的な例を示す。図8の上段には装置動作ログデータから把握されるステップ番号の時間変化を示し、図8の中段には制御動作ログデータから把握される処理液ノズルN1に対する吐出指示の時間変化を示し、図8の下段には制御動作ログデータから把握される処理液ノズルN3に対する吐出指示の時間変化を示す。この図8には、ステップ番号「2」において処理液ノズルN1から処理液を吐出し、ステップ番号「3」において処理液ノズルN3から処理液を吐出することを記述した処理レシピに対応する吐出指示(制御動作ログデータ)が示されている。
【0080】
ステップ番号が「1」から「2」に変化するタイミングよりも少し遅れて処理液ノズルN1から処理液を吐出させるための制御指令が発行されている。また、ステップ番号が「2」から「3」に変化するタイミングよりも少し前に、処理液ノズルN1からの処理液吐出を停止させるための制御指令が発行されている。さらに、ステップ番号が「2」から「3」に変化するタイミングより少し遅れて処理液ノズルN3からの処理液吐出を指示する制御指令が発行されている。さらに、ステップ番号が「3」から「4」に変化するよりも少し前のタイミングで処理液ノズルN3からの処理液吐出を停止させるための制御指令が発行されている。
【0081】
図9Aは、図8の処理におけるステップ番号「2」のためにコンピュータ16が自動生成する検査基準(制御検査基準)の例を示す。検査区間開始条件は「ステップ番号が2になってから0.2秒後」である。検査区間終了条件は「ステップ番号が2でなくなる0.3秒前」である。したがって、ステップ番号が「2」になった後第1所定時間T1(たとえば0.2秒)経過した時点から、ステップ番号が「2」でなくなる(「2」から「3」に変わる)よりも第2所定時間T2(たとえば0.3秒)前の時点までが、制御検査区間(図8の「検査区間1」)として設定されることになる。制御合格基準は、「処理液ノズルN1への吐出指示が出ており、かつ、処理液ノズルN2,N3への吐出指示が出ていないこと(吐出停止状態を保っていること)」である。このような内容の検査基準が作成され、検査基準ファイルとして、記憶装置19(記憶領域196)に登録される。コンピュータ16は、前述のように設定される「検査区間1」において当該合格条件を満たすかどうかを判断する。
【0082】
図9Bは、図8の処理におけるステップ番号「3」のためにコンピュータ16が自動生成する検査基準(制御検査基準)の例を示す。検査区間開始条件は「ステップ番号が3になってから0.2秒後」である。検査区間終了条件は「ステップ番号が3でなくなる0.3秒前」である。したがって、ステップ番号が「3」になった後第1所定時間T1(たとえば0.2秒)経過した時点から、ステップ番号が「3」でなくなる(「3」から「4」に変わる)よりも第2所定時間T2(たとえば0.3秒)前の時点までが、制御検査区間(図8の「検査区間2」)として設定されることになる。合格基準は、「処理液ノズルN1,N2への吐出指示が出ておらず(吐出停止状態を保っており)、かつ、処理液ノズルN3への吐出指示が出ていること」である。このような内容の検査基準が作成され、検査基準ファイルとして、記憶装置19(記憶領域196)に登録される。コンピュータ16は、前述のように設定される「検査区間2」において当該合格条件を満たすかどうかを判断する。
【0083】
前述のとおり、処理液を吐出するステップは、流量計の下限センサがオフすることをトリガとして終了する。そのため、処理液吐出指令が発行されてから、次のステップに移行するまでに遅れ時間が生じる。そこで、検査区間の終了条件をステップの変化よりも早めておくことにより、制御動作の妥当性をより適正に検査できる。
図10は、コンピュータ16が制御動作検査プログラムを実行することによって実現される機能の一つである制御検査基準自動生成動作を説明するためのフローチャートである。操作者は、入力装置17の操作によって、検査対象の処理レシピを選択する(ステップA1)。また、操作者は、前記第1所定時間T1および第2所定時間T2を設定する(ステップA1)。ただし、これらの時間T1,T2は、制御動作検査プログラムにおいて予め設定しておき、操作者による入力を要しないようにしてもよい。
【0084】
コンピュータ16は、検査対象として選択された処理レシピを記憶装置19(記憶領域193)から読み込む(ステップA2)。さらに、コンピュータ16は、当該基板処理装置に備えられている全ての処理液ノズルの情報を取得する(ステップA3)。
たとえば、基板処理制御プログラム(記憶領域190)は、最大でn個の処理液ノズルの制御に対応しており、それらn個の処理液ノズルに異なるノズル番号を付して識別するように設計されていてもよい。この場合、基板処理装置に実際に備えられている処理液ノズルに対して異なるノズル番号が割り当てられ、基板処理制御プログラムは、ノズル番号に基づいて各処理液ノズルの制御を実行する。基板処理装置が必ずしもn個のノズルを備えているとは限らないから、いずれの処理液ノズルも割り当てられないノズル番号が存在する場合もある。そこで、各ノズル番号に対して、予め、有効(対応処理液ノズルあり)または無効(対応処理液ノズルなし)のフラグが付与される。この場合、前記ステップA3における処理は、有効なノズル番号を全て取得する処理となる。
【0085】
次に、コンピュータ16は、検査対象の処理レシピを構成するステップを先頭ステップから順に調べ、各ステップに対応する制御検査基準を作成する。
具体的には、コンピュータ16は、該当ステップにおいて、吐出開始する処理液ノズルおよび吐出継続している処理液ノズルが全て抽出される(ステップA4)。さらに、コンピュータ16は、当該ステップに対する制御検査区間を設定する。すなわち、検査区間開始条件を、「ステップ番号が当該ステップの番号になってから第1所定時間T1が経過したこと」、とする(ステップA5)。さらに、検査区間終了条件を、「ステップ番号が当該ステップ番号でなくなるよりも第2所定時間T2だけ前であること」、とする(ステップA6)。これにより、図8、図9Aおよび図9Bを参照して説明した態様で制御検査区間が設定されることになる。さらに、コンピュータ16は、該当ステップにおける制御合格基準を作成する(ステップA7)。具体的には、コンピュータ16は、当該ステップに対する制御合格基準を、「吐出指示状態となっている全ての処理液ノズルに対して吐出指示がでており、かつ吐出指示状態となっていない全ての処理液ノズルに対して吐出指示が出ていないこと」、とする。「吐出指示状態となっている全ての処理液ノズル」とは、ステップA4で抽出された全ての処理液ノズルであり、それ以外の全ての処理液ノズルが「吐出指示状態となっていない全ての処理液ノズル」である。コンピュータ16は、検査区間開始条件、検査区間終了条件および制御合格基準を含む制御検査基準を作成し、この制御検査基準を検査基準ファイルに格納して記憶装置19(記憶領域196)に書き込む(ステップA8)。
【0086】
このような処理が、処理レシピを構成する全てのステップに対して繰り返し実行される(ステップA9)。処理レシピの全てのステップに対して制御検査基準の作成が終わると、処理を終了する。
図11は、コンピュータ16が制御動作検査プログラムを実行することによって実現される制御動作検査機能を説明するためのフローチャートである。この図11には、基板処理装置の製造段階で実行される検査手順が示されているが、むろん、実際の基板処理の段階で同様の検査を行うこともできる。
【0087】
まず、操作者は、入力装置17を操作して、基板処理装置に備えられる全ての処理液ノズルからの吐出を順次行う検査用レシピを選択する(ステップB1)。この検査用レシピは、予め作成されて記憶装置19(記憶領域193)に登録されているものとする。次に、操作者は、入力装置17を操作して、選択された検査用レシピの実行を指示する。これにより、コンピュータ16は、基板処理制御プログラムを実行し、前記選択された検査用レシピに含まれるステップを順次実行する(ステップB2)。その一方で、コンピュータ16は、制御動作検査プログラムを実行し、検査用レシピに対応した制御検査基準を作成して記憶装置19(記憶領域196)に登録する(ステップB3)。この処理の詳細は、前述の図10に示したとおりである。
【0088】
コンピュータ16は、検査用レシピを実行しているときに、ハードウェアインタフェース20のメモリ20a,20bに記憶された制御動作ログデータおよび装置動作ログデータを定期的に読み込み、記憶装置19(記憶領域194,195)に書き込む(ステップB4)。
検査用レシピの実行が終了すると(ステップB5)、コンピュータ16は、収集された制御動作ログデータおよび装置動作ログデータを記憶装置19から読み出し、さらに、検査基準ファイルを記憶装置19から読み出す(ステップB6)。そして、コンピュータ16は、装置動作ログデータから、ステップ番号の時間変化(図8等の上段の図を参照)を把握し、制御検査基準に従って、各ステップの制御検査区間を特定する(ステップB7)。そして、各ステップの検査区間において、制御検査基準に含まれる制御合格基準を満たしているかどうかを判断する(ステップB8)。
【0089】
検査用処理レシピの全てのステップについて制御合格基準を満たせば(ステップB8:YES)、処理を終了する。検査用処理レシピのいずれかステップにおいて制御合格基準が満たされないときには、予め定める制御異常処理が実行される(ステップB9)。制御異常処理は、たとえば、制御機能に異常が生じていることを報知する処理であってもよい。この報知は、表示装置18において異常の発生を表す表示を行う処理であってもよいし、警報音を発生する処理であってもよい。また、前記制御異常処理は、制御異常が生じたステップを特定するレポートを作成して記憶装置19に格納する処理を含んでいてもよい。
【0090】
このようにして、この実施形態によれば、実行されるレシピに対応した制御検査基準が自動的に作成される一方で、レシピ実行中における制御動作が監視される。そして、制御動作と制御検査基準とが照合されることにより、制御動作の妥当性が自動的に判定される。これにより、人的なミスを介在させることなく、制御動作の妥当性を速やかに判定することができる。
【0091】
次に、基板処理装置の装置動作の妥当性を判定するための構成について説明する。
図12は、ハードウェアインタフェース20の制御動作ログメモリ20aに格納される制御動作ログデータおよび装置動作ログメモリ20bに格納される装置動作ログデータの一例をグラフ化して示す図である。より具体的には、図12(a)はステップ番号の時間変化を表している。ステップ番号の時間変化は、装置動作ログデータ(図5参照)から得られる。図12(b)は処理液ノズルN1に対する吐出指示を表している。この吐出指示(制御指令)の時間変化は、制御動作ログデータ(図4参照)から得られる。図12(c)は処理液ノズルN1からの処理液吐出流量の時間変化を表している。この吐出流量時間変化は、装置動作ログデータ(図5参照)における流量計46の計測値から得られる。図12(d)は処理液ノズルN3に対する吐出指示を表している。この吐出指示(制御指令)の時間変化は、制御動作ログデータ(図4参照)から得られる。図12(e)は処理液ノズルN3からの処理液吐出流量の時間変化を表している。この吐出流量時間変化は、装置動作ログデータ(図5参照)における流量計48の計測値から得られる。この図12は、ステップ番号「2」において処理液ノズルN1から処理液を吐出し、ステップ番号「3」において処理液ノズルN3から処理液を吐出することを記述した処理レシピに対応している。
【0092】
図12(b)に表れているように、ステップ番号が「1」から「2」に変化するタイミングよりも少し遅れて処理液ノズルN1から処理液を吐出させるための制御指令が発行されている。また、ステップ番号が「2」から「3」に変化するタイミングよりも少し前に、処理液ノズルN1からの処理液吐出を停止させるための制御指令が発行されている。制御指令の発行に応答して処理液バルブ21が開閉される。これにより、図12(c)に表れているように、流量計46によって計測される吐出流量が変化する。制御指令発行から処理液バルブ21が実際に動作するまでに制御系統での指令伝達に要する時間分の遅延が生じる。さらに、処理液バルブ21が実際に開閉されてから、吐出流量が下限流量値(たとえば1500ml/分)に達するまで、または吐出流量が零になるまでには、処理液バルブ21および処理液流路31等の特性に応じた遅延が生じる。
【0093】
同様に、図12(d)に表れているように、ステップ番号が「2」から「3」に変化するタイミングより少し遅れて処理液ノズルN3からの処理液吐出を指示する制御指令が発行されている。さらに、ステップ番号が「3」から「4」に変化するよりも少し前のタイミングで処理液ノズルN3からの処理液吐出を停止させるための制御指令が発行されている。制御指令の発行に応答して処理液バルブ23が開閉される。これにより、図12(e)に表れているように、流量計46によって計測される吐出流量が変化する。制御指令発行から処理液バルブ23が実際に動作するまでに制御系統での指令伝達に要する時間分の遅延が生じる。さらに、処理液バルブ23が実際に開閉されてから、吐出流量が下限流量値(たとえば2200ml/分)に達するまで、または吐出流量が零になるまでには、処理液バルブ21および処理液流路31等の特性に応じた遅延が生じる。
【0094】
図13Aは、図12の処理におけるステップ番号「2」のためにコンピュータ16が自動生成する検査基準(装置検査基準)の例を示す。検査区間開始条件は「ステップ番号が2になってから0.2秒後」である。検査区間終了条件は「ステップ番号が2でなくなる0.3秒前」である。したがって、ステップ番号が「2」になった後第3所定時間T3(たとえば0.2秒。前記第1所定時間T1と等しくてもよい。)経過した時点から、ステップ番号が「2」でなくなる(「2」から「3」に変わる)よりも第4所定時間T4(たとえば0.3秒。前記第2所定時間T2と等しくてもよい。)前の時点までが、装置検査区間(図12の「検査区間1」)として設定されることになる。装置合格基準は、「処理液ノズルN1への吐出指示が出ており、かつ、処理液ノズルN1の吐出流量が1500ml/分(下限流量値)を超えていること」である。このような内容の装置検査基準が作成され、検査基準ファイルとして、記憶装置19(記憶領域196)に登録される。検査時において、コンピュータ16は、「検査区間1」において当該装置合格条件を満たすかどうかを判断することになる。
【0095】
図12(c)の例では、「検査区間1」において、処理液ノズルN1に対する吐出指示が出ており、かつ、処理液ノズルN1の吐出流量は1500ml/分を超えているから、装置合格基準が満たされている。
図13Bは、図12の処理におけるステップ番号「3」のためにコンピュータ16が自動生成する検査基準(装置検査基準)の例を示す。検査区間開始条件は「ステップ番号が2になってから0.2秒後」である。検査区間終了条件は「ステップ番号が3でなくなる0.3秒前」である。したがって、ステップ番号が「3」になった後第3所定時間T3(たとえば0.2秒)経過した時点から、ステップ番号が「3」でなくなる(「3」から「4」に変わる)よりも第4所定時間T4(たとえば0.3秒)前の時点までが、装置検査区間(図12の「検査区間2」)として設定されることになる。装置合格基準は、「処理液ノズルN3への吐出指示が出ており、かつ、処理液ノズルN3の吐出流量が2200ml/分(下限流量値)を超えていること」である。このような内容の装置検査基準が作成され、検査基準ファイルとして、記憶装置19(記憶領域196)に登録される。検査時において、コンピュータ16は、「検査区間2」において当該装置合格条件を満たすかどうかを判断することになる。
【0096】
図12(e)の例では、「検査区間2」において、処理液ノズルN3に対する吐出指示が出ているものの、「検査区間2」の当初の期間において処理液ノズルN3の吐出流量は2200ml/分に達していない。したがって、合格基準が満たされていない。原因としては、処理液バルブ21の不具合や処理液流路33の不具合(たとえばフィルタの目詰まり)が考えられる。
【0097】
図14は、コンピュータ16が装置動作検査プログラムを実行することによって実現される機能の一つである装置検査基準自動生成動作を説明するためのフローチャートである。操作者は、入力装置17の操作によって、検査対象の処理レシピを選択する(ステップC1)。また、操作者は、前記第3所定時間T3および第4所定時間T4を設定する(ステップC1)。ただし、これらの時間T3,T4は、装置動作検査プログラムにおいて予め設定しておき、操作者による入力を要しないようにしてもよい。
【0098】
コンピュータ16は、検査対象として選択された処理レシピを記憶装置19(記憶領域193)から読み込む(ステップC2)。さらに、コンピュータ16は、当該基板処理装置に備えられている全ての処理液ノズルの情報を取得する(ステップC3)。この処理の具体例は、図10のステップA3と同様である。
次に、コンピュータ16は、検査対象の処理レシピを構成するステップを先頭ステップから順に調べ、各ステップに対応する装置検査基準を作成する。
【0099】
具体的には、コンピュータ16は、該当ステップにおいて、吐出開始する処理液ノズルおよび吐出継続している処理液ノズルが全て抽出される(ステップC4)。さらに、コンピュータ16は、当該ステップに対する装置検査区間を設定する。すなわち、検査区間開始条件を、「ステップ番号が当該ステップの番号になってから第3所定時間T3が経過したこと」、とする(ステップC5)。さらに、検査区間終了条件を、「ステップ番号が当該ステップ番号でなくなるよりも第4所定時間T4だけ前であること」、とする(ステップC6)。これにより、図12、図13Aおよび図13Bを参照して説明した態様で装置検査区間が設定されることになる。さらに、コンピュータ16は、該当ステップにおける装置合格基準を作成する(ステップC7)。具体的には、コンピュータ16は、当該ステップに対する装置合格基準を、「吐出指示状態となっている処理液ノズルに対して吐出指示がでており、かつ当該処理液ノズルの吐出流量が下限流量値を超えていること」、とする。「吐出指示状態となっている全ての処理液ノズル」とは、ステップC4で抽出された全ての処理液ノズルである。コンピュータ16は、検査区間開始条件、検査区間終了条件および装置合格基準を含む装置検査基準を作成し、この装置検査基準を検査基準ファイルに格納して記憶装置19(記憶領域196)に書き込む(ステップC8)。
【0100】
このような処理が、処理レシピを構成する全てのステップに対して繰り返し実行される(ステップC9)。処理レシピの全てのステップに対して装置検査基準の作成が終わると、処理を終了する。
図15は、コンピュータ16が装置動作検査プログラムを実行することによって実現される装置動作検査機能を説明するためのフローチャートである。この図15には、基板処理装置の製造段階で実行される検査手順が示されている。
【0101】
まず、操作者は、入力装置17を操作して、基板処理装置に備えられる全ての処理液ノズルからの吐出を順次行う検査用レシピを選択する(ステップD1)。この検査用レシピは、予め作成されて記憶装置19(記憶領域193)に登録されているものとする。次に、操作者は、入力装置17を操作して、選択された検査用レシピの実行を指示する。これにより、コンピュータ16は、基板処理制御プログラムを実行し、前記選択された検査用レシピに含まれるステップを順次実行する(ステップD2)。その一方で、コンピュータ16は、装置動作検査プログラムを実行し、装置検査基準を作成して記憶装置19(記憶領域196)に登録する(ステップD3)。この処理の詳細は、前述の図14に示したとおりである。
【0102】
コンピュータ16は、検査用レシピを実行しているときに、ハードウェアインタフェース20のメモリ20a,20bに記憶された制御動作ログデータおよび装置動作ログデータを定期的に読み込み、記憶装置19(記憶領域194,195)に書き込む(ステップD4)。
検査用レシピの実行が終了すると(ステップD5)、コンピュータ16は、収集された制御動作ログデータおよび装置動作ログデータを記憶装置19から読み出し、さらに、検査基準ファイルを記憶装置19から読み出す(ステップD6)。そして、コンピュータ16は、装置動作ログデータから、ステップ番号の時間変化(図12(a)参照)を把握し、装置検査基準に従って、各ステップの装置検査区間を特定する(ステップD7)。そして、各ステップの装置検査区間において、装置検査基準に含まれる装置合格基準を満たしているかどうかを判断する(ステップD8)。
【0103】
検査用処理レシピの全てのステップについて装置合格基準を満たせば(ステップD8:YES)、処理を終了する。検査用処理レシピのいずれかステップにおいて装置合格基準が満たされないときには、予め定める装置異常処理が実行される(ステップD9)。装置異常処理は、たとえば、装置のハードウェア機能に異常が生じていることを報知する処理であってもよい。この報知は、表示装置18において異常の発生を表す表示を行う処理であってもよいし、警報音を発生する処理であってもよい。また、前記装置異常処理は、異常が生じたハードウェア(たとえば処理液ノズル)や異常が生じたステップを特定するレポートを作成して記憶装置19に格納する処理を含んでいてもよい。
【0104】
このようにして、検査用処理レシピに対応した装置検査基準が自動作成され、検査用処理レシピに基づく実際の装置動作が装置検査基準に適合するかどうかが自動的に判定される。これにより、基板処理装置の製造段階における装置動作の検査の手間および時間を大幅に低減でき、かつ、人為的ミスを可及的に排除して、より確実な検査に寄与することができる。
【0105】
図16は、コンピュータ16が装置動作検査プログラムを実行することによって実現される装置動作検査機能を説明するためのフローチャートであり、実際の基板処理時に実行される検査手順が示されている。まず、操作者は、入力装置17を操作して、基板Wを処理するために適用すべき処理レシピを指定する(ステップE1)。この処理レシピは、予め作成されて記憶装置19(記憶領域193)に登録されている。処理レシピの指定は、複数枚の基板W(たとえば1ロットを形成する複数枚(たとえば25枚)の基板)に対して行われてもよい。また、個々の基板Wに対して、それぞれ処理レシピが指定されてもよい。
【0106】
次に、操作者は、入力装置17を操作して、処理の実行を指示する。これにより、コンピュータ16は、基板処理制御プログラムを実行し、前記指定された処理レシピに含まれるステップを順次実行する(ステップE2)。この処理が、処理すべき複数枚の基板Wに対して繰り返し実行される(ステップE3)。
一方、コンピュータ16は、装置動作検査プログラムを実行し、実行中の処理レシピに対応した装置検査基準を作成して記憶装置19(記憶領域196)に登録する(ステップE4)。この処理の詳細は、前述の図14に示したとおりである。
【0107】
コンピュータ16は、処理レシピを実行しているときに、ハードウェアインタフェース20のメモリ20a,20bに記憶された制御動作ログデータおよび装置動作ログデータを定期的に読み込み、記憶装置19(記憶領域194,195)に書き込む(ステップE5)。
1枚の基板Wに対して処理レシピの実行が終了すると(ステップE6)、コンピュータ16は、収集された制御動作ログデータおよび装置動作ログデータを記憶装置19から読み出し、さらに、検査基準ファイルを記憶装置19から読み出す(ステップE7)。そして、コンピュータ16は、装置動作ログデータから、ステップ番号の時間変化(図12(a)参照)を把握し、装置検査基準に従って、各ステップの装置検査区間を特定する(ステップE8)。そして、各ステップの装置検査区間において、装置検査基準に含まれる装置合格基準を満たしているかどうかを判断する(ステップE9)。
【0108】
処理レシピの全てのステップについて合格基準を満たせば(ステップE9:YES)、処理を終了する。処理レシピのいずれかステップにおいて合格基準が満たされないときには、予め定める装置異常処理が実行される(ステップE10)。装置異常処理は、たとえば、装置のハードウェア機能に異常が生じていることを報知する処理であってもよい。この報知は、表示装置18において異常の発生を表す表示を行う処理であってもよいし、警報音を発生する処理であってもよい。また、前記装置異常処理は、異常が生じたハードウェア(たとえば処理液ノズル)や異常が生じたステップを特定するレポートを作成して記憶装置19に格納する処理を含んでいてもよい。また、前記装置異常処理は、基板処理装置の動作を停止する処理を含んでいてもよい。基板処理動作の停止は、たとえば、処理中の基板Wの終了を待って行ってもよい。
【0109】
このようにして、実際に基板Wを処理しているときに、並行して装置動作に不具合が生じていないかどうかが検査される。これにより、ハードウェアに異常が生じたときには、後工程による基板Wの処理を待つことなく、その異常が報知されるから、後工程が無駄に行われることを回避できる。また、ハードウェアの異常が自動で検出されるから、基板Wに対する処理不良が生じたときに、その原因が処理レシピに起因するのか、ハードウェアに起因するのかを即座に判別できる。これにより、処理不良に対する対策をすみやかに採ることができるから、生産性の向上に寄与することができる。
【0110】
図17は、この発明の他の実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するためのブロック図である。この図17において、前述の図2に示された各部に対応する部分には、同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、パーソナルコンピュータ等のコンピュータで構成された検査装置70が基板処理装置に対して接続可能とされている。すなわち、基板処理装置は、検査装置70を接続するためのインタフェース60を有している。このインタフェース60を介して、基板処理装置は、制御装置15のコンピュータ16との間でデータ通信を行うことができる。検査装置70は、コンピュータ71と、入力装置72と、表示装置73と、記憶装置74とを備えている。
【0111】
コンピュータ71は、CPUを含み、記憶装置74から必要なプログラムおよびデータを読み込んで基板処理装置を検査するための演算処理および制御処理を実行する。これにより、コンピュータ71は、制御動作記録手段、制御動作判定手段、装置動作記録手段、および装置動作判定手段として機能することができる。
入力装置72は、コンピュータ71に接続されており、操作者によって操作されるキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルその他の入力インタフェースからなる。表示装置73は、コンピュータ71に接続されており、入力装置72とともに操作者に対するインタフェースを提供する。表示装置73は、たとえば、液晶表示装置等の二次元表示装置からなる。操作者は、表示装置73の表示を参照しながら入力装置72を操作することにより、コンピュータ71に対して指令を与えることができる。
【0112】
基板処理装置側のコンピュータ16は、前述の第1の実施形態の場合と同様に、制御対象のハードウェアに対する制御指令をハードウェアインタフェース20に備えられた制御動作ログメモリ20aに書き込む。この書き込まれた制御指令が、それぞれのハードウェアに与えられる。制御動作ログメモリ20aには、制御手順のために必要な各種センサ類からの検出信号も書き込まれる。この書き込まれた信号は、コンピュータ16によって取り込まれ、制御動作のために用いられる。また、基板処理装置の動作をモニタするために、各種センサ類からの検出信号は、ハードウェアインタフェース20に備えられた装置動作ログメモリ20bに時系列に従って書き込まれるようになっている。この書き込まれた検出信号が、コンピュータ16によって取り込まれ、基板処理装置の動作が監視されるようになっている。
【0113】
一方、検査装置70のコンピュータ71は、制御動作ログメモリ20aに書き込まれた制御指令および検出信号(制御動作ログデータ)を定期的に取得し、制御動作データとして記憶装置74に書き込む。また、検査装置70のコンピュータ71は、装置動作ログメモリ20bに書き込まれた検出信号(装置動作ログデータ)を定期的に取得し、装置動作データとして記憶装置74に書き込む。
【0114】
記憶装置74は、コンピュータ71に接続されており、固体メモリ装置、ハードディスク装置その他の記憶装置からなる。記憶装置74は、制御動作検査プログラムを記憶した記憶領域741、装置動作検査プログラムを記憶した記憶領域742、前記制御動作ログデータを記憶するための記憶領域744、前記装置動作ログデータを記憶するための記憶領域745、および検査基準ファイルを記憶するための記憶領域746を有している。
【0115】
制御動作検査プログラム(記憶領域741)は、基板処理装置側コンピュータ16の制御動作の妥当性を検査するためのプログラムである。検査装置側コンピュータ71は、このプログラムを読み取って実行することにより、基板処理装置が実行するレシピと制御動作ログデータ(記憶領域744)とを照合し、これにより、制御動作の妥当性を検査する。制御動作ログメモリ20aから制御動作ログデータを定期的に取得して記憶領域744に書き込む機能も、制御動作検査プログラムを実行するコンピュータ71の機能の一つである。
【0116】
装置動作検査プログラム(記憶領域742)は、レシピに従う基板処理装置のハードウェア動作の妥当性を検査するためのプログラムである。検査装置側コンピュータ71は、このプログラムを読み取って実行することにより、基板処理装置が実行するレシピと、記憶領域745に記憶された装置動作ログデータとを照合し、これにより、装置動作(ハードウェア動作)の妥当性を検査する。装置動作ログメモリ20bから装置動作ログデータを定期的に取得して記憶領域745に書き込む機能も、装置動作検査プログラムを実行するコンピュータ71の機能の一つである。
【0117】
一方、基板処理装置側の記憶装置19には、記憶領域190に基板処理制御プログラムが格納され、記憶領域193に処理レシピが格納され、記憶領域197に検査基準作成プログラムが格納されている。基板処理装置側のコンピュータ16は、検査基準作成プログラムを読み取って実行することにより、実行されるレシピに対応した検査基準を含む検査基準ファイルを生成する。この検査基準ファイルは、検査装置70に与えられ、その記憶装置74(記憶領域746)に格納される。
【0118】
このような構成により、基板処理装置および検査装置70が協働することにより、前述の第1の実施形態と同様な動作が可能となり、制御動作および装置動作の妥当性を検査することができる。すなわち、基板処理装置および検査装置70は、協働して、図11、図15および図16などに示した処理を実行することができる。しかも、この実施形態では、基板処理装置の制御装置15には、検査基準作成機能を備えればよいので、制御装置15の仕様に対する変更を最小限に抑制することができる。換言すれば、前述の第1の実施形態においては、検査装置70の機能が基板処理装置に内蔵されているのに対して、本実施形態では、検査機能を外付けの検査装置70によって実現している。
【0119】
なお、検査基準作成プログラムの機能は、検査装置70に備えられる制御動作検査プログラムおよび装置動作検査プログラムにそれぞれ備えられていてもよい。この場合には、基板処理装置のコンピュータ16は、検査基準作成機能を備える必要はない。この構成を採るときには、検査装置70側のコンピュータ71は、基板処理装置から処理レシピのデータを取得し、この処理レシピに対応する検査基準ファイルを自動生成する。このような構成とすれば、基板処理装置の制御装置15の仕様変更をより少なくすることができる。
【0120】
また、図18に示すように、外部記憶装置80に、検査基準作成プログラムが格納されていてもよい。この外部記憶装置80は、USBメモリ、CD−ROM、DVD−ROMその他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この外部記憶装置80に格納された検査基準作成プログラムを制御装置15に備えられた適切な読み取り手段を介して読み取り、コンピュータ16で実行させることにより、コンピュータ16が検査基準作成機能を有することになる。こうして、前述の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0121】
この実施形態による利点は、必要なときに検査レシピ自動生成機能を付加できることである。これにより、検査基準作成プログラムを制御装置15の記憶装置19に格納しておく必要がないから、記憶装置19の記憶容量を節約できる。また、制御装置15が予め検査基準作成機能を有している必要がないから、このような機能のない制御装置15に対して、事後的に検査基準作成機能を付加することができる。さらに、外部記憶装置80を適切に管理しておくことにより、検査基準作成機能の使用者を限定することができる。外部記憶装置80に格納された検査基準作成プログラムの複製を制御装置15の記憶装置19に格納して運用する場合には、制御装置15の構成は図17のとおりとなる。
【0122】
同様に、図18に示すように、検査装置70において実行される制御動作検査プログラムおよび装置動作検査プログラムが、外部記憶装置90に格納されていてもよい。この外部記憶装置90も、前述の外部記憶装置80と同様に、USBメモリ、CD−ROM、DVD−ROMその他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この外部記憶装置90に格納された制御動作検査プログラムおよび装置動作検査プログラムを検査装置70に備えられた適切な読み取り手段を介して読み取り、コンピュータ71で実行させることにより、コンピュータ71が制御動作検査機能および装置動作検査機能を有することになる。外部記憶装置90に格納された制御動作検査プログラムおよび装置動作検査プログラムの各複製を検査装置70の記憶装置74に格納して運用する場合には、検査装置70の構成は図17のとおりとなる。
【0123】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、3つの処理液ノズルを備えた基板処理装置を例に取ったが、この数は、むろん、一例に過ぎない。また、前述の実施形態では、主として、処理液ノズルの吐出制御および吐出動作の検査について説明したが、スピンチャック1の制御動作および実際の回転動作に関する検査や、揺動アーム35に関する制御動作および実際の揺動および昇降動作に関する検査も同様に行うことができる。たとえば、スピンチャック1の制御動作に関しては、回転開始から回転停止までの間で検査区間を設定し、この検査区間内において回転継続の指令が出されているかどうかを検査してもよい。また、実際の回転動作に関しては、検査区間内においてスピンチャック1の回転速度がレシピにおいて指定された回転速度近傍の誤差範囲内の値となっているかどうかを検査してもよい。
【0124】
さらに、前述の実施形態では、制御動作検査機能および装置動作検査機能の両方が備えられる例について説明したが、いずれか一方のみの検査機能が備えられてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 スピンチャック
2 処理カップ
5 回転軸
6 スピンベース
7 回転駆動機構
8 保持部材
11,12,13 吐出部
15 制御装置
16 コンピュータ
17 入力装置
18 表示装置
19 記憶装置
190 記憶領域(基板処理制御プログラム)
191 記憶領域(制御動作検査プログラム)
192 記憶領域(装置動作検査プログラム)
193 記憶領域(レシピ)
194 記憶領域(制御動作ログデータ)
195 記憶領域(装置動作ログデータ)
196 記憶領域(検査基準ファイル)
197 記憶領域(検査基準生成プログラム)
20 ハードウェアインタフェース
20a 制御動作ログメモリ
20b 装置動作ログメモリ
21,22,23 処理液バルブ
31,32,33 処理液流路
35 揺動アーム
36 回転軸
37 揺動駆動機構
38 昇降駆動機構
39 上センサ
40 下センサ
41,42 処理液タンク
43 リンス液供給源
46,47,48 流量計
51,52 処理液ポンプ
60 インタフェース
70 基板処理装置
70 検査装置
71 コンピュータ
72 入力装置
73 表示装置
74 記憶装置
741 記憶領域(制御動作検査プログラム)
742 記憶領域(装置動作検査プログラム)
744 記憶領域(制御動作ログデータ)
745 記憶領域(装置動作ログデータ)
746 記憶領域(検査基準ファイル)
80 外部記憶装置
90 外部記憶装置
N1,N2,N3 処理液ノズル
T1 第1所定時間
T2 第2所定時間
T3 第3所定時間
T4 第4所定時間
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段と、
前記レシピ記憶手段から処理手順を読み出し、この処理手順に対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段と、
前記検査基準生成手段によって生成された検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段と、
前記レシピ記憶手段に記憶されたレシピに従う制御動作を実行する制御手段と、
前記制御手段による制御動作を記録する制御動作記録手段と、
前記制御動作記録手段によって記録された制御動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記制御動作の適否を判定する制御動作判定手段と
を含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記レシピ記憶手段は、ノズルから基板に対して処理流体を吐出させる処理手順を含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ノズルからの処理流体吐出制御に関する検査を行うための検査基準を含む検査基準ファイルを生成するものである、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記レシピ記憶手段は、ノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ステップ毎の制御検査区間を設定する制御検査区間設定手段と、前記制御検査区間中における前記ノズルの吐出指示状態または停止指示状態を記述した制御合格基準を生成する制御合格基準生成手段とを含み、
前記制御動作判定手段は、前記制御検査区間における前記制御手段の前記ノズルに関する制御動作と前記制御合格基準とを照合するものである、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記レシピ記憶手段は、複数のノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ステップ毎の制御検査区間を設定する制御検査区間設定手段と、前記制御検査区間中における前記複数のノズルの吐出指示状態または停止指示状態をそれぞれ記述した制御合格基準を生成する制御合格基準生成手段とを含み、
前記制御動作判定手段は、前記制御検査区間における前記制御手段の前記複数のノズルに関する制御動作と前記制御合格基準とを照合するものである、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御検査区間設定手段は、ステップ開始から第1所定時間経過後、当該ステップ終了より第2所定時間前までの期間を当該ステップの制御検査区間として設定するものである、請求項3または4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御手段による制御によって基板処理装置が実行した装置動作を記録する装置動作記録手段と、
前記装置動作記録手段によって記録された装置動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記基板処理装置の装置動作の適否を判定する装置動作判定手段とをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段と、
前記レシピ記憶手段から処理手順を読み出し、この処理手順に対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段と、
前記検査基準生成手段によって生成された検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段と、
前記レシピ記憶手段に記憶されたレシピに従って基板処理装置によって実行された装置動作を記録する装置動作記録手段と、
前記装置動作記録手段によって記録された装置動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記基板処理装置の装置動作の適否を判定する装置動作判定手段と
を含む、基板処理装置。
【請求項8】
前記レシピ記憶手段は、ノズルから基板に対して処理流体を吐出させる処理手順を含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ノズルからの処理流体吐出動作に関する検査を行うための検査基準を含む検査基準ファイルを生成するものである、請求項6または7記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記レシピ記憶手段は、ノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ステップ毎の装置検査区間を設定する装置検査区間設定手段と、前記装置検査区間中における前記ノズルの吐出状態または停止状態を記述した装置合格基準を生成する装置合格基準生成手段とを含み、
前記装置動作判定手段は、前記装置検査区間における前記ノズルに関する装置動作と前記装置合格基準とを照合するものである、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記レシピ記憶手段は、複数のノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ステップ毎の装置検査区間を設定する装置検査区間設定手段と、前記装置検査区間中における前記複数のノズルの吐出状態または停止状態をそれぞれ記述した装置合格基準を生成する装置合格基準生成手段とを含み、
前記装置動作判定手段は、前記装置検査区間における前記複数のノズルに関する装置動作と前記装置合格基準とを照合するものである、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記装置検査区間設定手段は、ステップ開始から第3所定時間経過後、当該ステップ終了より第4所定時間前までの期間を当該ステップの装置検査区間として設定するものである、請求項9または10記載の基板処理装置。
【請求項12】
基板処理装置を検査するための検査装置であって、
前記基板処理装置は、基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段と、前記レシピ記憶手段に記憶されたレシピに従う制御動作を実行する制御手段とを含み、
前記レシピ記憶手段から処理手順を読み出し、この処理手順に対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段が、前記基板処理装置または前記検査装置に備えられ、
前記検査装置は、前記制御手段による制御動作を記録する制御動作記録手段と、前記検査基準生成手段によって生成された検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段と、前記制御動作記録手段によって記録された制御動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記制御動作の適否を判定する制御動作判定手段とを含む、
基板処理装置のための検査装置。
【請求項13】
前記レシピ記憶手段は、ノズルから基板に対して処理流体を吐出させる処理手順を含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ノズルからの処理流体吐出制御に関する検査を行うための検査基準を含む検査基準ファイルを生成するものである、請求項12記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項14】
前記レシピ記憶手段は、ノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ステップ毎の制御検査区間を設定する制御検査区間設定手段と、前記制御検査区間中における前記ノズルの吐出指示状態または停止指示状態を記述した制御合格基準を生成する制御合格基準生成手段とを含み、
前記制御動作判定手段は、前記制御検査区間における前記制御手段の前記ノズルに関する制御動作と前記制御合格基準とを照合するものである、請求項13記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項15】
前記レシピ記憶手段は、複数のノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ステップ毎の制御検査区間を設定する制御検査区間設定手段と、前記制御検査区間中における前記複数のノズルの吐出指示状態または停止指示状態をそれぞれ記述した制御合格基準を生成する制御合格基準生成手段とを含み、
前記制御動作判定手段は、前記制御検査区間における前記制御手段の前記複数のノズルに関する制御動作と前記制御合格基準とを照合するものである、請求項13記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項16】
前記制御検査区間設定手段は、ステップ開始から第1所定時間経過後、当該ステップ終了より第2所定時間前までの期間を当該ステップの制御検査区間として設定するものである、請求項13または14記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項17】
前記制御手段による制御によって基板処理装置が実行した装置動作を記録する装置動作記録手段と、
前記装置動作記録手段によって記録された装置動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記基板処理装置の装置動作の適否を判定する装置動作判定手段とをさらに含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項18】
基板処理装置を検査するための検査装置であって、
前記基板処理装置は、基板の処理手順を記述したレシピを記憶するレシピ記憶手段を含み、
前記レシピ記憶手段から処理手順を読み出し、この処理手順に対応した検査基準を記述した検査基準ファイルを生成する検査基準生成手段が前記基板処理装置または前記検査装置に設けられ、
前記検査装置は、前記レシピ記憶手段に記憶されたレシピに従って基板処理装置によって実行された装置動作を記録する装置動作記録手段と、前記検査基準生成手段によって生成された検査基準ファイルを記憶する検査基準記憶手段と、前記装置動作記録手段によって記録された装置動作と、前記検査基準記憶手段に記憶された検査基準ファイルに記述された検査基準とを照合することにより、前記基板処理装置の装置動作の適否を判定する装置動作判定手段とを含む、
基板処理装置のための検査装置。
【請求項19】
前記レシピ記憶手段は、ノズルから基板に対して処理流体を吐出させる処理手順を含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ノズルからの処理流体吐出動作に関する検査を行うための検査基準を含む検査基準ファイルを生成するものである、請求項17または18記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項20】
前記レシピ記憶手段は、ノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ステップ毎の装置検査区間を設定する装置検査区間設定手段と、前記装置検査区間中における前記ノズルの吐出状態または停止状態を記述した装置合格基準を生成する装置合格基準生成手段とを含み、
前記装置動作判定手段は、前記装置検査区間における前記ノズルに関する装置動作と前記装置合格基準とを照合するものである、請求項17または18記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項21】
前記レシピ記憶手段は、複数のノズルからの処理流体の吐出および停止に関する記述を含み、かつ、複数のステップを含むレシピを記憶することができるものであり、
前記検査基準生成手段は、ステップ毎の装置検査区間を設定する装置検査区間設定手段と、前記装置検査区間中における前記複数のノズルの吐出状態または停止状態をそれぞれ記述した装置合格基準を生成する装置合格基準生成手段とを含み、
前記装置動作判定手段は、前記装置検査区間における前記複数のノズルに関する装置動作と前記装置合格基準とを照合するものである、請求項17または18記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項22】
前記装置検査区間設定手段は、ステップ開始から第3所定時間経過後、当該ステップ終了より第4所定時間前までの期間を当該ステップの装置検査区間として設定するものである、請求項20または21記載の基板処理装置のための検査装置。
【請求項23】
コンピュータを請求項12〜22のいずれか一項に記載の検査装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項24】
請求項23記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−77243(P2011−77243A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226262(P2009−226262)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】