説明

基板処理装置、基板搬送方法、コンピュータプログラムおよび記憶媒体

【課題】容器内の複数の基板を取り出して所定の処理を行い、処理後の基板を容器内に戻す一連の処理を繰り返し行う際に、スループットを向上させることができる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】洗浄処理装置は、一連の搬送動作を制御する制御部40を有し、制御部40は、一のウエハの基板を処理装置内に投入している状態において、フープ搬送装置12およびウエハ出し入れステージ15が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容したフープをウエハ出し入れステージ15に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、フープ搬送装置12の動作タイミング、ウエハ出し入れステージ15での操作のタイミング、およびウエハ移載装置19の動作タイミングを個別に調整した搬送スケジュールを作成するスケジュール作成部54を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体ウエハ等の基板に対してバッチ式洗浄処理等のバッチ処理を施す基板処理装置、およびこのような基板処理装置における基板搬送方法、ならびにこのような基板搬送方法を実現するためのコンピュータプログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハ(ウエハ)を所定の薬液や純水等の処理液によって処理し、ウエハからパーティクル、有機汚染物、金属不純物等のコンタミネーションを除去する洗浄処理が行われる。
【0003】
このような洗浄処理を行う洗浄処理装置としては、スループットを高める観点から複数のウエハを一括して処理するバッチ式の処理装置が多用されている。また、このようなバッチ式の洗浄処理装置においては、処理槽の小型化および処理時間の短縮化の観点から、フープに収納された複数枚の半導体ウエハをフープから取り出した状態で一括して保持し、これらを処理槽に浸漬させて処理するフープレス方式が処理槽の小型化および処理時間の短縮化の観点から主流となっている(例えば特許文献1)。
【0004】
このようなフープレス方式のバッチ式洗浄処理装置は、複数枚のウエハを搭載するフープであるフープ(FOUP;Front Open Unified Pod)を搬入出し、フープをストックする搬入出部と、ウエハに対して洗浄処理を施す処理部と、搬入出部と処理部との間でウエハを搬送するインターフェイス部とを有しており、以下のシーケンスで処理が行われる。
【0005】
まず、搬入出部のフープ搬送装置により、複数のウエハが搭載されたフープを、インターフェイス部との間の受け渡し部へ搬送し、次いで、受け渡し部においてフープの蓋を開く動作およびウエハの配置状態を検査する動作等を行い、引き続き、インターフェイス部の移載装置によりフープから複数のウエハを一括して取り出して、ウエハロード位置に位置する、処理部へウエハを搬送するウエハ搬送装置に受け渡し、ウエハ搬送装置により処理部の各処理槽へ搬送する。また、洗浄処理後のウエハは、ウエハ搬送装置によりインターフェイス部のウエハアンロード位置へ搬送し、そこでウエハ搬送装置の複数のウエハを移載装置が受け取り、搬入出部ではフープ搬送装置により空のフープを受け渡し部へ搬送し、次いでフープの蓋を開けておき、インターフェイス部の移載装置によりウエハ搬送装置のウエハを受け取って受け渡し位置のフープ内に複数のウエハを収容し、ウエハが収容されたフープはフープ搬送装置により、搬出に備えて所定の位置へ搬送される。
【0006】
これら一連のシーケンスにより、一つのロットのウエハの処理が終了するが、この際のウエハ搬送制御は、搬入出部のフープ搬送装置の動作、受け渡し部でのフープ蓋開閉等の動作、およびウエハ移載装置の一連の動作を一括して制御することにより、一定の動作タイミングで複数ロットの処理を繰り返し行う。これにより制御の複雑化を招くことなく洗浄処理を行うことができる。
【0007】
しかしながら、このような一定のレシピで複数ロットを連続して行う場合、次のロットのウエハの投入は、同じ時間に同じ装置のスケジュールが重ならないようなタイミングで行わなければならない。例えば、フープ搬送装置が空いていても、その先の搬送スケジュールにおいて、例えばウエハ移載装置が重なるような場合にはウエハを投入することができず、完全に装置の重なり合いが生じないようなタイミングでウエハを投入する必要がある。したがって、装置の空き時間を有効に利用することができず、処理のスループットが低下してしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2002−64075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、容器内の複数の基板を取り出して所定の処理を行い、処理後の基板を容器内に戻す一連の処理を繰り返し行う際に、スループットを向上させることができる基板処理装置およびこのような基板処理装置における基板搬送方法を提供することを目的とする。また、このような基板搬送方法を実現するためのコンピュータプログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、
複数の基板を収容する容器を搬入出する容器搬入出部と、
複数の未処理基板を収容した容器からそれら基板を取り出し、または空の容器に処理済基板を挿入する基板出し入れ部と、
前記基板搬入出部と前記基板出し入れ部との間で容器の搬送を行う容器搬送装置と、
複数の基板に一括して所定の処理を施す処理部と、
前記処理部へ複数の未処理基板を搬入しまたは処理部から処理済基板を搬出する基板搬入出部と、
前記基板出し入れ部から基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、または前記基板搬入出部から基板を取り出して前記容器に基板を挿入する基板移載装置と、
複数の未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、前記基板搬入出部と前記処理部との間で基板を搬送する基板搬送装置と、
未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器から未処理基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、または、空の容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器内に前記基板搬入出部から処理済基板を挿入し、処理済基板を挿入した容器を搬送する一連の搬送動作を制御する制御部と
を具備する基板処理装置であって、
前記制御部は、前記容器搬送装置、前記基板出し入れ部での操作、および前記基板移載装置を、それぞれ別個に制御し、
一のロットの基板を処理装置内に投入している状態において、前記容器搬送装置および前記基板出し入れ部が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、前記容器搬送装置の動作タイミング、前記基板出し入れ部での操作のタイミング、および前記基板移載装置の動作タイミングを個別に調整した搬送スケジュールを作成するスケジュール作成部を有することを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0010】
上記第1の観点において、動作タイミングの調整は、1のロットの搬送動作と次のロットの搬送動作で動作に重なり合いが生じるときに、いずれかの動作のタイミングをずらすことにより行うことができる。また、前記スケジュール作成部は、前記一のロットの基板の搬出動作の開始前に次のロットの基板の搬入動作を行うようにすることができる。さらに、前記基板出し入れ部は、未処理基板を収容した容器を載置する第1ステージと、処理済基板を挿入するための空の容器を載置する第2ステージとを有し、前記スケジュール作成部は、前記一のロットの基板の搬出動作のために空の容器を前記第2ステージに搬送する直前に、前記次のロットの基板の搬入動作基板のために未処理基板を収容した容器を前記第2ステージに搬送するようにすることができる。
【0011】
さらに、前記基板搬入出部は、前記処理部へ未処理基板を搬入する基板搬入位置と、前記処理部から処理済基板を搬出する基板搬出位置を有する構成とすることができる。この場合に、前記基板搬入出部は、前記基板移載装置から受け取った2つの容器分の未処理基板を容器内の基板配列ピッチの半分のハーフピッチで保持し、前記基板搬入位置でハーフピッチを保持した状態で前記基板搬送装置に受け渡す第1保持部と、前記ハーフピッチで配列された処理済基板を保持した前記基板搬出位置にある前記基板搬送装置から処理済基板を受け取り、基板を1つの容器分ずつ保持する第2保持部とを有し、前記搬送スケジュール作成部は、未処理基板の搬入の際に、1つの容器の未処理基板を容器から取り出して前記第1保持部へ受け渡す一連の動作を行った後、同様の動作で次の1つの容器の未処理基板を前記第1保持部へ受け渡し、前記第1の保持部でハーフピッチの基板配列を形成するようにし、処理済基板の搬出の際に、前記第2保持部でハーフピッチ2容器分の処理済基板を容器内の基板配列ピッチで1つの容器分ずつ分離し、一つの容器分の基板を容器に挿入する一連の動作を行った後、同様の動作で残りの基板を他の容器に挿入するようにすることができる。
【0012】
さらにまた、前記基板移載装置は、1つの容器分の基板を保持する基板保持アームを有し、この基板保持アームが三次元空間で任意の位置および姿勢をとることが可能な多軸構造を有していることが好ましい。また、前記基板出し入れ部にある容器の蓋体を開閉する蓋体開閉機構と、前記基板出し入れ部にある容器内の基板を検査する基板検査装置とをさらに有し、前記基板出し入れ部での操作は、容器の蓋体の開閉および前記検査装置による容器内の基板の検査であるようにすることができる。さらに、前記容器搬入出部は、容器を一時的に保持する容器保持部を有するようにしてもよい。
【0013】
本発明の第2の観点では、
複数の基板を収容する容器を搬入出する容器搬入出部と、
複数の未処理基板を収容した容器からそれら基板を取り出し、または空の容器に処理済基板を挿入する基板出し入れ部と、
前記基板搬入出部と前記基板出し入れ部との間で容器の搬送を行う容器搬送装置と、
複数の基板に一括して所定の処理を施す処理部と、
前記処理部へ複数の未処理基板を搬入しまたは処理部から処理済基板を搬出する基板搬入出部と、
前記基板出し入れ部から基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、または前記基板搬入出部から基板を取り出して前記容器に基板を挿入する基板移載装置と、
複数の未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、前記基板搬入出部と前記処理部との間で基板を搬送する基板搬送装置とを具備する基板処理装置における基板搬送方法であって、
未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器から未処理基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、
空の容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器内に前記基板搬入出部から処理済基板を挿入し、処理済基板を挿入した容器を搬送し、
一のロットの基板を処理装置内に投入している状態において、前記容器搬送装置および前記基板出し入れ部が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、前記容器搬送装置の動作タイミング、前記基板出し入れ部での操作のタイミング、および前記基板移載装置の動作タイミングを個別に調整することを特徴とする基板搬送方法を提供する。
【0014】
上記第2の観点において、動作タイミングの調整は、1のロットの搬送動作と次のロットの搬送動作で動作に重なり合いが生じるときに、いずれかの動作のタイミングをずらすことにより行うことができる。また、前記一のロットの基板の搬出動作の開始前に次のロットの基板の搬入動作を行うようにすることができる。さらに、前記基板出し入れ部は、未処理基板を収容した容器を載置する第1ステージと、処理済基板を挿入するための空の容器を載置する第2ステージとを有し、前記一のロットの基板の搬出動作のために空の容器を前記第2ステージに搬送する直前に、前記次のロットの基板の搬入動作基板のために未処理基板を収容した容器を前記第2ステージに搬送するようにすることができる。さらにまた、前記基板搬入出部は、前記処理部へ未処理基板を搬入する基板搬入位置と、前記処理部から処理済基板を搬出する基板搬出位置を有するようにすることができる。この場合に、前記基板搬入出部は、前記基板移載装置から受け取った2つの容器分の未処理基板を容器内の基板配列ピッチの半分のハーフピッチで保持し、前記基板搬入位置でハーフピッチを保持した状態で前記基板搬送装置に受け渡す第1保持部と、前記ハーフピッチで配列された処理済基板を保持した前記基板搬出位置にある前記基板搬送装置から処理済基板を受け取り、基板を1つの容器分ずつ保持する第2保持部とを有し、未処理基板の搬入の際に、1つの容器の未処理基板を容器から取り出して前記第1保持部へ受け渡す一連の動作を行った後、同様の動作で次の1つの容器の未処理基板を前記第1保持部へ受け渡し、前記第1の保持部でハーフピッチの基板配列を形成し、処理済基板の搬出の際に、前記第2保持部でハーフピッチ2容器分の処理済基板を容器内の基板配列ピッチで1つの容器分ずつ分離し、一つの容器分の基板を容器に挿入する一連の動作を行った後、同様の動作で残りの基板を他の容器に挿入するようにすることができる。
【0015】
本発明の第3の観点では、
複数の基板を収容する容器を搬入出する容器搬入出部と、
複数の未処理基板を収容した容器からそれら基板を取り出し、または空の容器に処理済基板を挿入する基板出し入れ部と、
前記基板搬入出部と前記基板出し入れ部との間で容器の搬送を行う容器搬送装置と、
複数の基板に一括して所定の処理を施す処理部と、
前記処理部へ複数の未処理基板を搬入しまたは処理部から処理済基板を搬出する基板搬入出部と、
前記基板出し入れ部から基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、または前記基板搬入出部から基板を取り出して前記容器に基板を挿入する基板移載装置と、
複数の未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、前記基板搬入出部と前記処理部との間で基板を搬送する基板搬送装置とを具備する基板処理装置において基板の搬送を制御するコンピュータプログラムであって、
実行時に、未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器から未処理基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、
空の容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器内に前記基板搬入出部から処理済基板を挿入し、処理済基板を挿入した容器を搬送し、
一のロットの基板を処理装置内に投入している状態において、前記容器搬送装置および前記基板出し入れ部が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、前記容器搬送装置の動作タイミング、前記基板出し入れ部での操作のタイミング、および前記基板移載装置の動作タイミングを個別に調整するように前記基板処理装置の搬送を制御するコンピュータプログラムを提供する。
【0016】
本発明の第4の観点では、上記第3の観点のコンピュータプログラムをコンピュータで動作可能な状態で記憶した記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一のロットの基板を処理装置内に投入している状態において、前記容器搬送装置および前記基板出し入れ部が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、前記容器搬送装置の動作タイミング、前記基板出し入れ部での操作のタイミング、および前記基板移載装置の動作タイミングを個別に調整するので、基板の搬送動作を極力短時間で行うことができ、処理トータルのスループットを高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について具体的に説明する。本実施形態では、本発明を半導体ウエハ(ウエハ)の搬入、液処理、乾燥、搬出をバッチ式に一貫して行うように構成された洗浄処理装置に適用した場合について説明する。
【0019】
図1は本実施形態に係る洗浄処理装置を示す斜視図であり、図2はその平面図である。図1および図2に示すように、液処理装置1は、ウエハWが水平状態で収納され、ウエハ容器として機能するフープFを搬入出し、また保管等するフープ搬入出部2と、ウエハWに所定の薬液を用いた洗浄処理および洗浄処理後の乾燥処理を行う洗浄処理部4と、搬入出部2と洗浄処理部4との間でウエハWを搬送するインターフェイス部3とで主に構成されている。
【0020】
フープ搬入出部2は、所定枚数、例えば25枚のウエハWを略水平に所定間隔で収納するフープFを載置するためのフープ搬入出ステージ5と、フープFを保管するフープストック部6と、フープを搬送するフープ搬送装置12とを有している。フープFはその一側面がウエハWの搬入出口となっており、この搬入出口が蓋体により開閉可能となっている構造を有している。フープストック部6は、フープFを保持する複数の保持部材13が設けられ、複数のフープFを保管可能となっている。
【0021】
フープ搬入出ステージ5とフープストック部6との間にはシャッター14が設けられており、フープ搬入出ステージ5に対するフープFの搬入出動作の際以外にはシャッター14が閉じた状態とされる。
【0022】
フープストック部6とインターフェイス部3との間は壁部16により仕切られており、この壁部16には窓部16aが上下2段(一方のみ図示)に形成されている。そして、これら窓部16aのフープストック部6側には、フープFの蓋体が窓部16aに対面するようにフープFを載置するウエハ出し入れステージ(基板出し入れ部)15が上下2段に設けられている(一方のみ図示)。なお、上方の窓部16aがウエハ搬入用であり、下方の窓部16aがウエハ搬出用である。ウエハ出し入れステージ15には、そこに載置されたフープFの蓋体の開閉を行うための蓋体開閉機構17が設けられており、フープFと壁部16とが密着した状態で蓋体を開けて、フープF内のウエハWをインターフェイス部3側へ搬出することが可能とされる。また逆に、インターフェイス部3側から空のフープF内へウエハWを搬入することも可能となっている。
【0023】
フープ保持部材13は、図2では、フープストック部6を形成する壁面近傍に高さ方向に複数段に、例えば4段に設けられている。フープストック部6は、洗浄処理前のウエハWが収納されたフープFを一時的に保管し、また、ウエハWが取り出された内部が空となったフープFを保管する役割を果たす。
【0024】
フープ搬送装置12は、多関節構造を有しており、その先端の支持アーム12aによりフープFを支持してフープFの搬送を行うようになっている。このフープ搬送装置12は、図2のA方向および高さ方向にも移動可能となっており、フープ搬入出ステージ5、保持部材13およびウエハ出し入れステージ15の間でフープFを搬送するように構成されている。
【0025】
インターフェイス部3の窓部16a近傍位置には、フープF内のウエハWの枚数を計測するためのウエハ検査装置18が配設されている。ウエハ検査装置18は、例えば赤外線センサヘッドをフープF内に収納されたウエハWの近傍において高さ方向にスキャンさせながらウエハWを検査する。
【0026】
インターフェイス部3には、ウエハの移載を行うためのウエハ移載装置19と、ウエハ搬入出部20とが設けられている。
【0027】
ウエハ移載装置19は、ウエハ出し入れステージ15に位置するフープFに対するウエハWの授受、および配列部21に対するウエハWの授受を行うものであり、多軸アーム構造を有しており、その先端にフープF内のウエハWの数のウエハを保持するウエハ保持アーム19aを有している。ウエハ保持アーム19aにはウエハWを保持可能な保持爪(図示せず)が設けられており、この保持爪によりウエハWが保持された状態で、多軸アーム構造によりウエハ保持アーム19aが3次元空間で任意の位置および姿勢をとることができるようになっている。
【0028】
ウエハ搬入出部20は、インターフェイス部3と洗浄処理部4との間でウエハWの搬送を行うためのものであり、ロード位置20aおよびアンロード位置20bと、配列部21とを有している。
【0029】
配列部21は、ウエハ移載装置19から供給される2フープ分、例えば50枚の未処理のウエハWをフープFのピッチの半分のピッチ(ハーフピッチ)に配列する第1配列機構21aと、ハーフピッチで洗浄処理後、ハーフピッチのウエハWをフープFのピッチ(ノーマルピッチ)に戻す第2配列機構21bとを有している。
【0030】
配列部21の第1配列機構21aおよび第2配列機構21bはいずれも同じ構造を有しており、図3に示すように垂直方向に延びるガイド210と、ガイド210に対し上下可能でハーフピッチのウエハ保持溝が形成されたウエハハンド211と、1フープ分のウエハが保持可能でウエハハンド211が上方へ通過可能に構成されたウエハホルダ212とを有している。
【0031】
そして、ウエハWを洗浄処理部4に搬入(ロード)する際には、ウエハ移載装置19のウエハ保持アーム19aをウエハ出し入れステージ15上に載置されたフープF内に挿入し、水平姿勢のウエハWを受け取って、これらウエハWを上方から垂直姿勢で第1配列機構21aのウエハハンド211に受け渡す。この際には、ウエハハンド211がウエハホルダ212の上方に位置されている。次のフープFからウエハ移載装置19のウエハ保持アーム19aにより受け取られたウエハは、第1配列機構21aの上部に位置されているウエハホルダ212に受け渡され、図4に示すように、この状態で下方からウエハハンド211を上昇させることによりウエハホルダ212のウエハWをウエハハンド211が受け取ってハーフピッチのウエハ配列が実現される。そして、このハーフピッチの複数、例えば50枚のウエハWを保持したウエハハンド211の直下のロード位置20aにウエハ搬送装置22を位置させてウエハハンド211を下降させることにより、2フープ分のウエハがハーフピッチでウエハ搬送装置22に保持される。
【0032】
また、洗浄後のウエハWを搬出(アンロード)する際には、洗浄後の2フープ分のウエハWをハーフピッチで保持したウエハ搬送装置22をアンロード位置20bに位置させ、第2配列機構21bのウエハハンド211によりウエハを受け取り、ウエハハンド211を下降させる過程で半分のウエハがウエハホルダ212により保持される。これにより、ウエハホルダ212およびウエハハンド211にそれぞれノーマルピッチで1フープ分が載置された状態となり、これらを一方ずつ移載装置19のウエハ保持アーム19aによりウエハ出し入れステージ15上の空のフープFに水平姿勢で受け渡す。
【0033】
ウエハ搬送装置22は、ハーフピッチのウエハ保持溝が形成された3本のチャック22a〜22cを有しており、2フープ分のウエハWをハーフピッチで保持可能となっており、インターフェイス部3から洗浄処理部4へ延びるガイドレール23を図中矢印Bで示す方向に沿って移動可能となっている。そして、ウエハ搬送装置22は、ウエハ移載装置19から垂直姿勢で未処理のウエハWをロード/アンロード部20のロード位置20aで受け取り、ガイドレール23に沿って洗浄処理部4へ移動してウエハWを洗浄処理部へ搬入し、逆に、洗浄処理の終了したウエハWを洗浄処理部4から搬出して、ガイドレール23に沿ってロード/アンロード部20のアンロード位置20bまで移動し、そこで処理済みのウエハWをウエハ移載装置19に受け渡す機能を有している。
【0034】
洗浄処理部4は、洗浄処理ユニット7と、乾燥ユニット8と、パーキングエリア9から構成されており、インターフェイス部3側から、乾燥ユニット8、洗浄処理ユニット7、パーキングエリア9の順で配置されている。そして、ウエハ搬送装置22は、X方向に延在するガイドレール23に沿って移動し、これらの間でウエハWの受け渡しを行うようになっている。
【0035】
パーキングエリア9は、未処理のウエハWを待機させる場所である。液処理または乾燥処理があるロットのウエハWについて行われており、ウエハ搬送装置22を運転させることが必要でない時間を利用して、次に液処理を開始すべきウエハWがパーキングエリア9へ搬送される。パーキングエリア9は洗浄処理ユニット7に隣接していることから、洗浄処理開始にあたって、ウエハWの移動時間を短縮することが可能となり、スループットを向上させることができる。
【0036】
洗浄処理ユニット7には、図2に示すように、パーキングエリア9側から、第1の薬液槽31、第1の水洗槽32、第2の薬液槽33、第2の水洗槽34、第3の薬液槽35、第3の水洗槽36が順に配置されている。また、第1の薬液槽31と第1の水洗槽32の間でウエハWを搬送するための第1の搬送装置37、第2の薬液槽33と第2の水洗槽34の間でウエハWを搬送するための第2の搬送装置38、第3の薬液槽35と第3の水洗槽36の間でウエハWを搬送するための第3の搬送装置39を備えている。
【0037】
第1の薬液槽31には、例えば、有機性汚れ除去や表面金属不純物除去を行うために、130℃前後に加熱されたSPM液(濃硫酸と過酸化水素水の混合溶液)が貯留されており、第2の薬液槽33には、パーティクル等の付着物を除去するための薬液、例えばSC−1液(アンモニアと過酸化水素と水の混合溶液)が貯留されており、第3の薬液槽35には、ウエハWの表面に形成された酸化膜をエッチングするためのエッチング液、例えば希フッ酸が貯留されている。エッチング液としては、希フッ酸の他、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合物(バッファドフッ酸(BHF))を用いることもできる。
【0038】
第1〜第3の水洗槽32,34,36は、それぞれ第1から第3の薬液槽31,33,35による液処理によってウエハWに付着した薬液を除去するものであり、例えば、オーバーフローリンスやクイックダンプリンス等の各種の水洗手法が用いられる。
【0039】
第1の搬送装置37は、上下方向に昇降可能な駆動機構を有しており、ウエハ搬送装置22から受け渡されたウエハWを下降させて第1の薬液槽31に浸して所定時間経過後に引き上げ、次いで、ウエハWを水平方向に移動させてウエハWを第1の水洗槽32に浸して所定時間保持し、引き上げるように動作する。第1の水洗槽32での処理を終えたウエハWは、一度、ウエハ搬送装置22のチャック22a〜22cに戻された後、ウエハ搬送装置22から第2の搬送装置38へ搬送される。第2および第3の搬送装置38,39は、第1の搬送装置37と同様の構造を有し、また、同様に動作する。
【0040】
乾燥ユニット8には、水洗槽24とウエハ搬送装置22のチャック22a〜22cを洗浄するチャック洗浄機構26が配設されており、水洗槽24の上部には、例えばイソプロピルアルコール(IPA)の蒸気が供給されてウエハWを乾燥する乾燥室(図示せず)が設けられている。また、水洗槽24と乾燥室との間でウエハWを搬送する搬送装置25が設けられており、水洗槽24で水洗されたウエハWが搬送装置25で引き上げられ、乾燥室においてIPA乾燥されるようになっている。搬送装置25は水平方向の移動ができない他は前述した第1の搬送装置37等と同様に構成されており、ウエハ搬送装置22との間でウエハWの受け渡しが可能となっている。
【0041】
搬入出部2の下部には、制御部40が設けられている。この制御部40は、図5に示すように、洗浄処理装置1の各構成部、例えばフープ搬送装置12、ウエハ出し入れステージ15、ウエハ移載装置19、ウエハ搬送装置22等を制御するマイクロプロセッサ(MPU)を備えたコントローラ41と、ユーザーインターフェイス42と、処理に必要な情報が記憶された記憶部43とを有している。
【0042】
ユーザーインターフェイス42と記憶部43とはコントローラ41に接続されている。ユーザーインターフェイス42は、オペレータが洗浄処理装置1の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、洗浄処理装置1の各構成部の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を備えている。記憶部43は、洗浄処理装置2で実行される各種処理をコントローラ41の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて洗浄処理装置1の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピ45が格納されている。レシピ等の制御プログラムは記憶部43の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクのような固定的なものであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。
【0043】
制御部40は、このように洗浄処理装置1の全体を制御するものであるが、以下、実施形態の要部に関連するフープ搬送装置12およびウエハ移載装置19等の搬送系の制御を中心に説明する。
【0044】
コントローラ41は、搬入出部2のフープ搬送装置12を制御するフープ搬送装置制御部51と、インターフェイス部3のウエハ移載装置19を制御するウエハ移載装置制御部52と、ウエハ出し入れステージ15上での処理、例えば蓋体開閉機構17によるフープFの蓋体開閉動作やウエハ検査装置18の動作の制御を行うウエハ出し入れステージ制御部53と、記憶部43に記憶されているレシピに基づいて、最適な搬送スケジュールを作成する搬送スケジュール作成部54とを有している。
【0045】
搬送スケジュール作成部54は、記憶部43に記憶されている複数のレシピから選択されたレシピに基づいて、最適な搬送スケジュールを作成するためのものであり、例えば、最初のロットのウエハWの搬出スケジュールと2番目のロットのウエハWの搬入スケジュールが錯綜するような場合に、最初のロットのウエハと2番目のロットのウエハWの搬送スケジュールを最適化する。
【0046】
次に、以上のように構成された洗浄処理装置1の処理動作についてフープFおよびウエハWの搬送シーケンスを中心にして説明する。
まず、所定枚数、例えば25枚のウエハWが水平状態で収納された2つのフープFを、フープ搬入出ステージ5のステージ11に載せる。そして、記憶部43に記憶されたレシピに基づいてこれら2つのフープF内のウエハWについて一連の処理を行う。
【0047】
最初に、ウエハの搬入の際の搬送シーケンスについて、図6に示すタイミングチャートに基づいて説明する。まず、ステージ11上の一方のフープFをフープ搬送装置12により搬入用のウエハ出し入れステージ15へ搬送する(動作A1)。なお、複数ロットの基板を繰り返し搬送するにあたっては、必要に応じてフープストック部6のフープ保持部13に一旦保管した後に搬送を行ってもよい。次いでウエハ出し入れステージ15に載置されたフープFについて、蓋体開閉機構17によりロックを外してフープFの蓋体を空け(動作B1)、次いでウエハ検査装置18によりウエハ枚数のカウント等を行う(動作B2)。この検査と並行してウエハ移載装置19の準備動作(動作C1)を行う。検査終了後、ウエハ移載装置19のウエハ保持アーム19aを窓部16aを介してウエハ出し入れステージ15上のフープF内に挿入してウエハWを取り出し(動作C2)、配列部21の第1配列機構21aのウエハハンド211に受け渡す(動作C3)。この動作C3と同時に蓋体開閉機構17により、ウエハ出し入れステージ15上のウエハWを取り出した後のフープFに蓋体開閉機構17により蓋体を装着し(動作B3)、引き続きそのフープFを、フープ搬送装置12によりいずれかのフープ保持部材13へ搬送する(動作A2)。
【0048】
同様の動作をステージ11上のもう一方のフープFに対しても行う。すなわち、もう一方のフープFをウエハ出し入れステージ15に搬送し(動作A1)、ウエハ移載装置19のウエハ保持アーム19aにより、そのフープF内のウエハWを取り出して、第1配列機構21aへ受け渡す(動作C1〜C3等)。このとき、上述したように第1配列機構21aでは、ウエハホルダ212にウエハWが受け渡され、ウエハハンド211を上昇させることによりウエハホルダ212上のウエハWがウエハハンド211の既に搭載されたウエハWの間に保持され、ハーフピッチで2フープ分、例えば50枚のウエハWがウエハハンド211に保持された状態となり、これをウエハ搬送装置22に受け渡す。
【0049】
次に、このようにしてウエハ搬送装置22に受け渡された2フープ分のウエハWを1ロットとして洗浄処理部へ搬送し、所定の洗浄処理を行う。
【0050】
この際には、ウエハWを保持したウエハ搬送装置22を、ガイドレール23に沿って液処理ユニット7の第1の薬液槽31または第1の水洗槽32の位置へ移動させ、ウエハWを第1の搬送装置37へ移し替え、ウエハWの洗浄処理を開始する。ウエハWの液処理は、例えば、第1の薬液槽31への浸漬と第1の水洗槽32による洗浄、第2の薬液槽33への浸漬と第2の水洗槽34による洗浄、第3の薬液槽35への浸漬と第3の水洗槽36による洗浄の順で行われる。
【0051】
液処理ユニット7での処理が終了したウエハWは、一度、ウエハ搬送装置22に移し替えられた後、乾燥ユニット8の搬送装置25へ移し替えられ、乾燥処理が施される。乾燥処理が終了したウエハWは、ウエハ搬送装置22にハーフピッチで2フープ分、例えば50枚垂直姿勢で搭載された状態でインターフェイス部3のアンロード位置20bまで搬送される。
【0052】
アンロード位置20bまで搬送されたウエハWは、そこから第2配列機構21bのウエハハンド211に2フープ分のウエハがハーフピッチのまま受け渡され、ウエハハンド211を下降させることにより、ウエハホルダ212に1フープ分のウエハWが受け渡され、ウエハハンド211およびウエハホルダ212にノーマルピッチで1フープ分のウエハWが搭載された状態となる。
【0053】
次に、このような状態からウエハWを搬出する際の搬送シーケンスについて、図7のタイミングチャートに基づいて説明する。上記第2配列機構21bに上述のように保持されたウエハに対して搬出動作を行う場合には、まず、フープ搬送装置12により搬出用のウエハ出し入れステージ15に空のフープFを載置(動作A3)し、蓋体開閉機構17によりその蓋体を開けておく(動作B4)。次いで、ウエハ移載装置19の準備動作を行った後(動作C4)、ウエハ保持アーム19aを第1配列機構21a内に挿入し、垂直姿勢で保持されているウエハハンド211からウエハを取り出す(動作C5)。その後、搬出用のウエハ出し入れステージ上のフープFにウエハWを保持したウエハ保持アーム19aを挿入し、ウエハWを水平姿勢で搬入する(動作C6)。その後、ウエハ保持アーム19aをフープFから出して、ウエハ検査装置18によりフープF内のウエハWの検査を行い(動作B5)、検査終了後、蓋体開閉機構17によりフープFの蓋体を閉じる(動作B6)。これにより、最初のロットのウエハの搬出動作は終了する。そして、このようにして洗浄処理されたウエハWを収納したフープFは、フープ搬送装置12によりフープ保持部材13に搬送され、そこに保持される。
【0054】
同様の動作をウエハホルダ212上のウエハWに対しても行う。すなわち、搬出用のウエハ出し入れステージ15に空のフープFを載置する動作等(動作A3等)を行っておき、ウエハ移載装置19の所定の動作(動作C4〜C6)を行って、ウエハホルダ212上のウエハWを空のフープFに搬入し、さらに所定の処理を行う(B5,6等)。
【0055】
以上により、最初のロットのウエハWの一連の処理が終了する。
【0056】
次に、2番目のロットを搬入するが、この際の搬送スケジュールは、最初のロットの搬出動作との搬送スケジュールとの重なり合いが生じないように決定する必要がある。この点を考慮すると、最初のロットの搬出動作が終わってから2番目のロットを搬入するのが最も安全であるが、そのような場合には、フープ搬送装置12、蓋体開閉機構17、検査装置18、ウエハ移載装置19等の待機時間が非常に長くなり、スループットも極めて低いものとなってしまう。このため、極力スループットを高めることができる搬送シーケンスを作成することが求められる。
【0057】
例えば、最初のロットにおける搬出動作の際におけるフープ搬送装置12の動作A3の前には、フープ搬送装置12および搬入用のウエハ出し入れステージ15が空いているため、その時間を有効利用して2番目のロットのフープFの搬送動作(動作A1)を行うことが考えられる。しかしながら、従来では、フープ搬送装置12の動作と、ウエハ出し入れステージ15における蓋体開閉装置17および検査装置18における動作と、ウエハ移載装置19の動作とは、一括して制御されており、これらの処理スケジュールは予め決定されているため、図8に示すように、2番目のロットにおけるウエハ移載装置19の最初フープからのウエハ取り出し動作(動作C2)およびウエハ搬送装置22への受け渡し動作(動作C3)が、すでに決まっている最初のロットにおけるウエハ移載装置19の準備動作(動作C4)およびウエハ移載装置19のウエハ受け取り動作(動作C5)とスケジュール的に重なってしまう。このため、このタイミングでは2番目のロットのウエハの搬入を行うことができず、フープ搬送装置12の空き時間を有効に利用することができない。
【0058】
このようなことから、従来は、2番目のロットのウエハWの搬入開始タイミング(フープ搬送装置12による動作A1)が、図9に示すように、ウエハ移載装置19がウエハ出し入れステージ15上のフープにウエハWを受け渡す動作(動作C6)の時まで遅延してしまう。このため、搬送シーケンスが長くなってしまい、スループットが低いものとならざるを得ない。
【0059】
そこで、本実施形態では、フープ搬送装置12の制御、ウエハ出し入れステージ15上での操作の制御(蓋体開閉機構17および検査装置18の制御)、ウエハ移載装置19の制御をそれぞれ別個独立に行うようにし、最初のロットも含めて、コントローラ41の搬送スケジュール作成部54でスループットを考慮した最適な搬送スケジュールを作成し、ここで作成された搬送スケジュールに基づいて、搬送動作の制御を行うようにする。
【0060】
すなわち、スケジュール作成部54は、一のロットのウエハを処理装置内に投入している状態において、フープ搬送装置12および搬入側のウエハ出し入れステージ15が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容したフープFを搬入側のウエハ出し入れステージ15に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、フープ搬送装置12の動作タイミング、ウエハ出し入れステージ15での蓋体開閉装置17による蓋体の開放や検査装置18による検査等の操作のタイミング、およびウエハ移載装置19の動作タイミングを個別に調整した搬送スケジュールを作成する。動作タイミングの調整は、1のロットの搬送動作と次のロットの搬送動作で動作に重なり合いが生じるときに、いずれかの動作のタイミングをずらすことを挙げることができる。
【0061】
例えば、1番目のロットの搬出動作と2番目のロットの搬入動作とを並行して行う場合、フープ搬送装置12が空いて2番目のロットのウエハが搬入可能になった時点で2番目のロットのウエハを搬入し、搬入側および搬出側それぞれに、フープ搬送装置12、ウエハ出し入れステージ15(蓋体開閉装置17、検査装置18)、ウエハ移載装置19の動作をウエハの搬送時間が最短になるようにしてスケジューリングし、そのようなスケジューリングでいずれかの装置に最初のロットの搬出動作と2番目のロットの搬入動作で重なり合いが生じるような場合に、いずれかを先に行うようにして、他の動作を送らせるようにする。これにより、効率的に各装置を使うことができ、搬送シーケンスを短縮することができる。
【0062】
具体的には、図10に示すように、最初のロットにおける搬出動作の際におけるフープ搬送装置12の動作A3の前におけるフープ12の空き時間に2番目のロットのフープの搬送動作(動作A1)を入れる。そして、ウエハ出し入れステージ15上における蓋体開閉装置17によるフープFの蓋体開放動作(動作B1)および検査装置18による検査動作(動作B2)を行い、それと同時にフープ搬送装置12による空のフープFのウエハ出し入れステージ15への搬送動作(動作A3)を行い、次いで、その空のフープFの蓋体開放動作(動作B4)を行う。
【0063】
図8に示すように、従来の搬送シーケンスでは、この次のウエハ移載装置19の処理において最初のロットの搬出動作と2番目のロットの搬入動作とが重なってしまうが、本実施形態では、ウエハ移載装置19のスケジュールが重ならないように、ウエハ移載装置19により、まず2番目のロットについての動作C1〜C3を行って第1配列機構21aに処理前のウエハWを受け渡し、その後、引き続きウエハ移載装置19により、洗浄処理後の最初のロットのウエハWを保持した第2配列機構21bからウエハWを受け取ってウエハ出し入れステージ15上のフープFにウエハを受け渡す動作(動作C4〜C6)を行う。このようにすることにより、ウエハの搬送動作、特に、ウエハの搬入動作を短時間で行うことができ、処理トータルのスループットを高めることができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では本発明を洗浄処理装置に適用した場合について示したが、容器内の複数の基板を取り出して基板の処理を行う装置であれば適用可能である。また、上記実施形態では、2つのフープのウエハを1ロットとして処理する例について示したが、これに限るものではなく、1つの容器の基板を1ロットとして処理してもよいことはいうまでもない。さらに、上記実施形態では、ウエハ移載装置として多軸構造のものを用いた例について示したが、これに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗浄処理装置を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る洗浄処理装置を示す平面図。
【図3】ウエハ搬入出部の配列部とウエハ移載装置を示す側面図。
【図4】配列部の第1配列機構からウエハ搬送装置へ2ロット分のウエハを受け渡す状態を示す側面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る洗浄処理装置に搭載された制御部を示すブロック図。
【図6】ウエハ搬入の際の搬送シーケンスを示すタイミングチャート。
【図7】ウエハ搬出の際の搬送シーケンスを示すタイミングチャート。
【図8】従来の制御方法で所望の搬送スケジュールを実行できない例を示すタイミングチャート。
【図9】従来の制御方法で作成可能な搬送スケジュールを示すタイミングチャート。
【図10】本発明の一実施形態に係る洗浄処理装置により実現される搬送スケジュールを示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0066】
1;洗浄処理装置
2;フープ搬入出部
3;インターフェイス部
4;洗浄処理部
5;フープ搬入出ステージ
12;フープ搬送装置
15;ウエハ出し入れステージ
16;壁部
16a;窓部
17;蓋体開閉装置
18;検査装置
19;ウエハ移載装置
19a;ウエハ保持アーム
20;ウエハ搬入出部
20a;ロード位置
20b;アンロード位置
21;配列部
21a;第1配列機構
21b;第2配列機構
22;ウエハ搬送装置
40;制御部
41;コントローラ
43;記憶部
54;搬送スケジュール作成プログラム
F;フープ
W;ウエハ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を収容する容器を搬入出する容器搬入出部と、
複数の未処理基板を収容した容器からそれら基板を取り出し、または空の容器に処理済基板を挿入する基板出し入れ部と、
前記基板搬入出部と前記基板出し入れ部との間で容器の搬送を行う容器搬送装置と、
複数の基板に一括して所定の処理を施す処理部と、
前記処理部へ複数の未処理基板を搬入しまたは処理部から処理済基板を搬出する基板搬入出部と、
前記基板出し入れ部から基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、または前記基板搬入出部から基板を取り出して前記容器に基板を挿入する基板移載装置と、
複数の未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、前記基板搬入出部と前記処理部との間で基板を搬送する基板搬送装置と、
未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器から未処理基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、または、空の容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器内に前記基板搬入出部から処理済基板を挿入し、処理済基板を挿入した容器を搬送する一連の搬送動作を制御する制御部と
を具備する基板処理装置であって、
前記制御部は、前記容器搬送装置、前記基板出し入れ部での操作、および前記基板移載装置を、それぞれ別個に制御し、
一のロットの基板を処理装置内に投入している状態において、前記容器搬送装置および前記基板出し入れ部が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、前記容器搬送装置の動作タイミング、前記基板出し入れ部での操作のタイミング、および前記基板移載装置の動作タイミングを個別に調整した搬送スケジュールを作成するスケジュール作成部を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
動作タイミングの調整は、1のロットの搬送動作と次のロットの搬送動作で動作に重なり合いが生じるときに、いずれかの動作のタイミングをずらすことにより行われることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記スケジュール作成部は、前記一のロットの基板の搬出動作の開始前に次のロットの基板の搬入動作を行うようにすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板出し入れ部は、未処理基板を収容した容器を載置する第1ステージと、処理済基板を挿入するための空の容器を載置する第2ステージとを有し、前記スケジュール作成部は、前記一のロットの基板の搬出動作のために空の容器を前記第2ステージに搬送する直前に、前記次のロットの基板の搬入動作基板のために未処理基板を収容した容器を前記第2ステージに搬送するようにすることを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板搬入出部は、前記処理部へ未処理基板を搬入する基板搬入位置と、前記処理部から処理済基板を搬出する基板搬出位置を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板搬入出部は、前記基板移載装置から受け取った2つの容器分の未処理基板を容器内の基板配列ピッチの半分のハーフピッチで保持し、前記基板搬入位置でハーフピッチを保持した状態で前記基板搬送装置に受け渡す第1保持部と、前記ハーフピッチで配列された処理済基板を保持した前記基板搬出位置にある前記基板搬送装置から処理済基板を受け取り、基板を1つの容器分ずつ保持する第2保持部とを有し、
前記搬送スケジュール作成部は、未処理基板の搬入の際に、1つの容器の未処理基板を容器から取り出して前記第1保持部へ受け渡す一連の動作を行った後、同様の動作で次の1つの容器の未処理基板を前記第1保持部へ受け渡し、前記第1の保持部でハーフピッチの基板配列を形成するようにし、処理済基板の搬出の際に、前記第2保持部でハーフピッチ2容器分の処理済基板を容器内の基板配列ピッチで1つの容器分ずつ分離し、一つの容器分の基板を容器に挿入する一連の動作を行った後、同様の動作で残りの基板を他の容器に挿入するようにすることを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板移載装置は、1つの容器分の基板を保持する基板保持アームを有し、この基板保持アームが三次元空間で任意の位置および姿勢をとることが可能な多軸構造を有していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板出し入れ部にある容器の蓋体を開閉する蓋体開閉機構と、前記基板出し入れ部にある容器内の基板を検査する基板検査装置とをさらに有し、前記基板出し入れ部での操作は、容器の蓋体の開閉および前記検査装置による容器内の基板の検査であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記容器搬入出部は、容器を一時的に保持する容器保持部を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
複数の基板を収容する容器を搬入出する容器搬入出部と、
複数の未処理基板を収容した容器からそれら基板を取り出し、または空の容器に処理済基板を挿入する基板出し入れ部と、
前記基板搬入出部と前記基板出し入れ部との間で容器の搬送を行う容器搬送装置と、
複数の基板に一括して所定の処理を施す処理部と、
前記処理部へ複数の未処理基板を搬入しまたは処理部から処理済基板を搬出する基板搬入出部と、
前記基板出し入れ部から基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、または前記基板搬入出部から基板を取り出して前記容器に基板を挿入する基板移載装置と、
複数の未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、前記基板搬入出部と前記処理部との間で基板を搬送する基板搬送装置とを具備する基板処理装置における基板搬送方法であって、
未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器から未処理基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、
空の容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器内に前記基板搬入出部から処理済基板を挿入し、処理済基板を挿入した容器を搬送し、
一のロットの基板を処理装置内に投入している状態において、前記容器搬送装置および前記基板出し入れ部が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、前記容器搬送装置の動作タイミング、前記基板出し入れ部での操作のタイミング、および前記基板移載装置の動作タイミングを個別に調整することを特徴とする基板搬送方法。
【請求項11】
動作タイミングの調整は、1のロットの搬送動作と次のロットの搬送動作で動作に重なり合いが生じるときに、いずれかの動作のタイミングをずらすことにより行われることを特徴とする請求項10に記載の基板搬送方法。
【請求項12】
前記一のロットの基板の搬出動作の開始前に次のロットの基板の搬入動作を行うことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の基板搬送方法。
【請求項13】
前記基板出し入れ部は、未処理基板を収容した容器を載置する第1ステージと、処理済基板を挿入するための空の容器を載置する第2ステージとを有し、
前記一のロットの基板の搬出動作のために空の容器を前記第2ステージに搬送する直前に、前記次のロットの基板の搬入動作基板のために未処理基板を収容した容器を前記第2ステージに搬送することを特徴とする請求項12に記載の基板搬送方法。
【請求項14】
前記基板搬入出部は、前記処理部へ未処理基板を搬入する基板搬入位置と、前記処理部から処理済基板を搬出する基板搬出位置を有することを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の基板搬送方法。
【請求項15】
前記基板搬入出部は、前記基板移載装置から受け取った2つの容器分の未処理基板を容器内の基板配列ピッチの半分のハーフピッチで保持し、前記基板搬入位置でハーフピッチを保持した状態で前記基板搬送装置に受け渡す第1保持部と、前記ハーフピッチで配列された処理済基板を保持した前記基板搬出位置にある前記基板搬送装置から処理済基板を受け取り、基板を1つの容器分ずつ保持する第2保持部とを有し、
未処理基板の搬入の際に、1つの容器の未処理基板を容器から取り出して前記第1保持部へ受け渡す一連の動作を行った後、同様の動作で次の1つの容器の未処理基板を前記第1保持部へ受け渡し、前記第1の保持部でハーフピッチの基板配列を形成し、処理済基板の搬出の際に、前記第2保持部でハーフピッチ2容器分の処理済基板を容器内の基板配列ピッチで1つの容器分ずつ分離し、一つの容器分の基板を容器に挿入する一連の動作を行った後、同様の動作で残りの基板を他の容器に挿入することを特徴とする請求項14に記載の基板搬送方法。
【請求項16】
複数の基板を収容する容器を搬入出する容器搬入出部と、
複数の未処理基板を収容した容器からそれら基板を取り出し、または空の容器に処理済基板を挿入する基板出し入れ部と、
前記基板搬入出部と前記基板出し入れ部との間で容器の搬送を行う容器搬送装置と、
複数の基板に一括して所定の処理を施す処理部と、
前記処理部へ複数の未処理基板を搬入しまたは処理部から処理済基板を搬出する基板搬入出部と、
前記基板出し入れ部から基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、または前記基板搬入出部から基板を取り出して前記容器に基板を挿入する基板移載装置と、
複数の未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、前記基板搬入出部と前記処理部との間で基板を搬送する基板搬送装置とを具備する基板処理装置において基板の搬送を制御するコンピュータプログラムであって、
実行時に、未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器から未処理基板を取り出して前記基板搬入出部に受け渡し、
空の容器を前記基板出し入れ部に搬送し、その容器内に前記基板搬入出部から処理済基板を挿入し、処理済基板を挿入した容器を搬送し、
一のロットの基板を処理装置内に投入している状態において、前記容器搬送装置および前記基板出し入れ部が空いているタイミングで、次のロットの未処理基板を収容した容器を前記基板出し入れ部に搬送し、トータルの搬送時間が適切になるように、前記容器搬送装置の動作タイミング、前記基板出し入れ部での操作のタイミング、および前記基板移載装置の動作タイミングを個別に調整するように前記基板処理装置の搬送を制御するコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16のコンピュータプログラムをコンピュータで動作可能な状態で記憶した記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−99710(P2009−99710A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268741(P2007−268741)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】