基板処理装置
【課題】ブラシにより基板を洗浄処理する基板処理装置の高さを低減すること。
【解決手段】シーソー部材91は、支持部材90を支点として揺動可能であって、支点93に対して一方側に力点部96を有し、支点93に対して他方側に作用点部97を有している。押圧用アクチュエータ92は、力点部96の下方に配置されており、ブラシ20を基板に押し付けるための押し付け力を当該力点部96に与えて、シーソー部材91を揺動させる。前記押し付け力は、作用点部97からブラケット82および回転シャフト45等を介してブラシ20に伝達される。
【効果】押圧用アクチュエータ92をシーソー部材91の下方に配置することにより、ハウジング32の高さが低減されており、これによって、基板処理装置の高さが低減されている。
【解決手段】シーソー部材91は、支持部材90を支点として揺動可能であって、支点93に対して一方側に力点部96を有し、支点93に対して他方側に作用点部97を有している。押圧用アクチュエータ92は、力点部96の下方に配置されており、ブラシ20を基板に押し付けるための押し付け力を当該力点部96に与えて、シーソー部材91を揺動させる。前記押し付け力は、作用点部97からブラケット82および回転シャフト45等を介してブラシ20に伝達される。
【効果】押圧用アクチュエータ92をシーソー部材91の下方に配置することにより、ハウジング32の高さが低減されており、これによって、基板処理装置の高さが低減されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板をブラシで洗浄処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程において用いられる基板処理装置に備えられる枚葉式の処理ユニットは、たとえば、基板をほぼ水平に保持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックに保持された基板に処理液を供給するためのノズルとを備えている。基板をスクラブ洗浄するための処理ユニットは、さらに、前記スピンチャックに保持された基板をスクラブ洗浄するためのブラシを備えている。
【0003】
ブラシは、当該ブラシを基板に押し付けることができる保持アームによって保持されている。保持アームには、当該保持アームを移動させることにより、ブラシを基板に接離させたり、基板にブラシを当接させた状態で当該ブラシを当該基板に沿って移動させたりすることができるブラシ移動機構が接続されている。
【0004】
基板の上面に対するスクラブ洗浄の際には、たとえば、スピンチャックによって基板を水平面内で回転させつつ、ノズルから当該基板の上面に処理液が供給される。さらに、保持アームによって基板の上面にブラシを押し付けた状態で、前記ブラシ移動機構によって当該ブラシが当該基板の上面に沿って移動させられる。
【0005】
保持アームは、たとえば、ハウジングと、このハウジングの下面からその下端が突出するシャフトと、前記ハウジング内においてシャフトの上方に配置されたブラシ押圧用のアクチュエータとを備えている。
【0006】
スピンチャックに保持された基板にブラシが当接または近接した状態で、前記アクチュエータによってシャフトに荷重が与えられる。これにより、シャフトの下端に取り付けられたブラシが基板の表面に押し付けられる。
【特許文献1】特開2001−9388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来装置において、保持アームは、ブラシ押圧用のアクチュエータがシャフトの上方に配置されているので、上下方向の高さが大きくなってしまう。そのため、この保持アームが搭載された処理ユニットは、上下方向の高さが大きくなる。
【0008】
一方、基板処理装置に複数の処理ユニットを備える場合に、その占有する面積(フットプリント)を抑制する目的で、処理ユニットが上下方向に積層配置される場合がある。このような構成の基板処理装置に前述のような保持アームを有する処理ユニットを用いると、基板処理装置全体の鉛直方向の高さが大きくなってしまう。これにより、クリーンルームの天井高範囲内で設計することが困難になったり、このような設計が可能であったとしても、メンテナンスが困難となったりする問題がある。
【0009】
そこで、この発明の目的は、高さを低減しながら、ブラシによる基板洗浄が可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を洗浄するためのブラシ(20)と、支持部材(90)を支点(93)として揺動可能であって、前記支点に対して一方側に力点部(96)を有し、前記支点に対して他方側に作用点部(97)を有するシーソー部材(91)と、前記シーソー部材の力点部に駆動力を与え、当該シーソー部材を前記支点を中心に揺動させることにより、当該シーソー部材に前記ブラシを基板に押し付けるための押し付け力を付与する押圧用アクチュエータ(92)と、前記シーソー部材の前記作用点部から、前記力点部に与えられた駆動力を受ける被作用点部(83)を有し、前記ブラシに対して、当該ブラシを基板に押し付けるための押し付け力を伝達する伝達部材(45,82)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0011】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
【0012】
この発明によれば、シーソー部材を設けることによって、押圧用アクチュエータの配置の自由度が高められている。すなわち、ブラシを基板に押し付けるための押し付け力が、押圧用アクチュエータからシーソー部材の力点部に付与されるようにされていれば、当該押圧用アクチュエータは、シーソー部材の上方に配置されていてもよいし、下方に配置されていてもよいし、側方に配置されていてもよい。したがって、押圧用アクチュエータを適切に配置することにより、基板処理装置の高さを低減することができる。
【0013】
この発明において、ブラシは、前記押し付け力としての押圧用アクチュエータの駆動力がシーソー部材に入力され、さらに、この駆動力が伝達部材を介してシーソー部材からブラシに伝達されることにより、基板に押し付けられる。
【0014】
すなわち、押圧用アクチュエータは、シーソー部材の力点部に駆動力を入力することにより、支持部材を支点として当該シーソー部材を揺動させることができる。そして、押圧用アクチュエータによってシーソー部材が揺動されると、押圧用アクチュエータの駆動力が、シーソー部材の作用点部から伝達部材に伝達され、さらに、伝達部材からブラシに伝達される。これにより、ブラシが基板に押し付けられる。
【0015】
このようにして、基板処理装置の全高を抑制しつつ、基板に対してブラシによる洗浄処理を施すことができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、前記シーソー部材が、鉛直面に沿って揺動するように、前記支持部材に支持されており、前記アクチュエータが、前記シーソー部材の前記力点部の下方から駆動力を与えるように配置されており、前記伝達部材が、前記シーソー部材の前記作用点部の下方に延び、その下端部に前記ブラシが結合されたシャフト(45)を含む、請求項1記載の基板処理装置である。
【0017】
この発明によれば、押圧用アクチュエータがシーソー部材の下方に配置されている。すなわち、押圧用アクチュエータをシーソー部材の下方に配置することによって、基板処理装置の鉛直方向の高さが低減されている。
【0018】
押圧用アクチュエータは、シーソー部材の力点部の下方から当該力点部に駆動力を付与することにより、当該シーソー部材を鉛直面に沿って揺動させることができる。シーソー部材は、この揺動によって、前記駆動力を作用点部から伝達部材に伝達することができる。これにより、シャフトを介して前記駆動力がブラシに伝達され、当該ブラシが基板に押し付けられる。
【0019】
請求項3記載の発明は、前記シャフトの側方に配置され、前記シャフトを当該シャフトの軸方向に案内するガイド機構(79)を含む、請求項2記載の基板処理装置である。
【0020】
この発明によれば、ガイド機構がシャフトの側方に配置されているので、基板処理装置の鉛直方向の高さが低減されている。
【0021】
また、ガイド機構を設けて、シャフトを当該シャフトの軸方向に案内させることにより、当該シャフトをその軸方向に円滑に移動させることができる。これにより、シャフトの下端に結合されたブラシを確実に基板に押し付けることができる。
【0022】
請求項4記載の発明は、前記シャフトの側方に配置され、前記シャフトおよびブラシを一体的に回転させる回転用アクチュエータ(150)をさらに含む、請求項2または3記載の基板処理装置である。
【0023】
この発明によれば、回転用アクチュエータがシャフトの側方に配置されているので、基板処理装置の鉛直方向の高さが低減されている。
【0024】
回転用アクチュエータによるシャフトおよびブラシの一体回転は、ブラシによる基板の洗浄中に実施されてもよいし、ブラシによる基板の洗浄が行われていない間(たとえばブラシが待機位置にある間)に実施されてもよい。
【0025】
請求項5記載の発明は、前記シーソー部材が、肉抜き部(95)を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0026】
この発明によれば、シーソー部材を軽量化することができる。これにより、基板処理装置を軽量化することができるとともに、押圧用アクチュエータによる駆動力をブラシに伝達する際の追従性の向上を図ることができる。
【0027】
請求項6記載の発明は、前記力点部と前記支点との距離が、前記作用点部と前記支点との距離とは異なっている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0028】
たとえば、前記力点部と前記支点との距離を前記作用点部と前記支点との距離よりも長く設定してもよい。このようにすれば、てこの原理によって、押圧用アクチュエータの駆動力が増幅されてブラシへと伝達される。そのため、押圧用アクチュエータとして、駆動力が小さく、それに応じて小型のものを適用できる。したがって、基板処理装置の全高をより一層小さくすることができる。
【0029】
また、前記力点部と前記支点との距離を前記作用点部と前記支点との距離よりも短く設定してもよい。この場合、押圧用アクチュエータの駆動力が減衰されてブラシへと伝達される。そのため、押圧用アクチュエータから前記力点部に付与される駆動力にばらつきが生じたとしても、前記作用点部から伝達部材を介してブラシへと付与される力のばらつきの幅は、前記力点部に付与される駆動力のばらつきの幅よりも小さくなる。したがって、押圧用アクチュエータからシーソー部材に付与される駆動力を精度良く管理しなくても、前記作用点部から伝達部材に付与される力をほぼ一定に保つことができる。これにより、基板に対するブラシの押し付け圧を容易に、かつ、精度良く管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す図解的な平面図であり、図2は、図1における矢視II方向から見た基板処理装置1の図解的な正面図である。また、図3は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。この基板処理装置1は、たとえば洗浄処理等の各種の処理を半導体ウエハ等の基板Wに対して施すための装置である。基板処理装置1は、インデクサブロック2と、このインデクサブロック2に結合された処理ブロック3とを備えている。
【0032】
インデクサブロック2は、キャリア保持部4と、インデクサロボットIRと、インデクサロボット移動機構5(以下では、「IR移動機構5」という。)とを備えている。キャリア保持部4は、複数枚の基板Wを収容できるキャリアCを保持することができる。インデクサロボットIRは、キャリア保持部4に保持されたキャリアCに対して処理済の基板Wを搬入する搬入動作、および、未処理の基板WをキャリアCから搬出する搬出動作を行う。IR移動機構5は、インデクサロボットIRを水平方向に移動させる機能を有する。
【0033】
より詳細に説明すると、キャリア保持部4は、複数(たとえば4個)のキャリアCを保持することができるようになっている。キャリアCの内部には、複数枚の基板Wが上下方向に間隔を隔ててほぼ水平に保持されている。各基板Wは、キャリアCによって、デバイス形成領域が設けられた側の面である表面を上方に向けてほぼ水平に保持されている。
【0034】
キャリアCとしては、たとえば、基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)や、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、OC(Open Cassette)等を用いることができる。
【0035】
キャリアCは、所定の配列方向U(以下「キャリア配列方向U」という。)に沿って配列された状態で、キャリア保持部4に保持されるようになっている。IR移動機構5は、このキャリア配列方向Uに沿ってインデクサロボットIRを移動させることができる。
【0036】
IR移動機構5は、たとえば、インデクサロボットIRの移動する方向(すなわち、前記キャリア配列方向U)に沿って延びて配置され、インデクサロボットIRの移動を案内するリニアガイド(図示せず)と、このリニアガイドに沿うインデクサロボットIRの移動動作を駆動制御するベルト機構またはボールねじ機構等の駆動機構(図示せず)とから構成されている。
【0037】
インデクサロボットIRは、第1上アーム6の先端に取り付けられた第1上ハンド8と、第1下アーム7の先端に取り付けられた第1下ハンド9とを備えている。第1上ハンド8および第1下ハンド9は、上下方向に高さをずらして配置されており、互いに干渉しないようにされている。インデクサロボットIRは、この第1上ハンド8および第1下ハンド9によって基板Wを保持することができる。
【0038】
図示はしないが、インデクサロボットIRには第1回転駆動機構が内蔵されている。第1回転駆動機構は、第1上ハンド8および第1下ハンド9を対応するアーム6,7とともに所定の鉛直軸線まわりに回転させることができる。また同じく図示はしないが、インデクサロボットIRには第1昇降駆動機構が内蔵されている。第1昇降駆動機構は、第1上ハンド8および第1下ハンド9を対応するアーム6,7とともに鉛直方向に昇降させることができる。
【0039】
IR移動機構5によって、インデクサロボットIRをキャリア配列方向Uに沿って移動させるとともに、第1回転駆動機構によって、第1上ハンド8および第1下ハンド9を所定の鉛直軸線まわりに回転させることによって、第1上ハンド8および第1下ハンド9を各キャリアCに対向させることができる。インデクサロボットIRは、第1上ハンド8および第1下ハンド9がキャリアCに対向した状態で各アーム6,7を伸長させることにより、当該アーム6,7の先端に取り付けられたハンド8,9を当該キャリアCにアクセスさせることができる。
【0040】
一方、処理ブロック3は、基板Wに処理を施すための複数の処理ユニット10と、メインロボットMRとを備えている。メインロボットMRは、複数の処理ユニット10に対して未処理の基板Wを搬入する搬入動作、および、処理済の基板Wを処理ユニット10から搬出する搬出動作を行う。本実施形態では、たとえば、8つの処理ユニット10が設けられている。
【0041】
8つの処理ユニット10は、それぞれ、4つの処理ユニット10が上下方向に積み重ねられた第1処理ユニット部11および第2処理ユニット部12を構成している。第1および第2処理ユニット部11,12は、キャリア配列方向Uに所定距離離隔した状態で並んで配置されている。また、図1に示すように、第1および第2処理ユニット部11,12とキャリア保持部4とは、キャリア配列方向Uに直交する水平方向に所定距離離隔して配置されている。メインロボットMRは、第1処理ユニット部11と第2処理ユニット部12との間に配置されており、インデクサロボットIRは、第1および第2処理ユニット部11,12とキャリア保持部4との間に配置されている。
【0042】
各処理ユニット10では、たとえば、前記表面と反対の面である裏面をスクラブ洗浄するための裏面洗浄処理が一枚の基板Wに対して行われるようになっている。以下では、処理ユニット10を、「裏面洗浄処理ユニット10」ともいう。
【0043】
メインロボットMRは、第2上アーム13の先端に取り付けられた第2上ハンド15と、第2下アーム14の先端に取り付けられた第2下ハンド16とを備えている。第2上ハンド15および第2下ハンド16は、上下方向に高さをずらして配置されており、互いに干渉しないようにされている。メインロボットMRは、この第2上ハンド15および第2下ハンド16によって基板Wを保持することができる。
【0044】
図示はしないが、メインロボットMRには第2回転駆動機構が内蔵されている。第2回転駆動機構は、第2上ハンド15および第2下ハンド16を対応するアーム13,14とともに所定の鉛直軸線まわりに回転させることができる。また同じく図示はしないが、メインロボットMRには第2昇降駆動機構が内蔵されている。第2昇降駆動機構は、第2上ハンド15および第2下ハンド16を対応するアーム13,14とともに鉛直方向に昇降させることができる。
【0045】
第2回転駆動機構によって、第2上ハンド15および第2下ハンド16を所定の鉛直軸線まわりに回転させるとともに、第2昇降駆動機構によって、第2上ハンド15および第2下ハンド16を鉛直方向に昇降させることにより、第2上ハンド15および第2下ハンド16を各裏面洗浄処理ユニット10に対向させることができる。メインロボットMRは、第2上ハンド15および第2下ハンド16が裏面洗浄処理ユニット10に対向した状態で各アーム13,14を伸長させることにより、当該アーム13,14の先端に取り付けられたハンド15,16を当該裏面洗浄処理ユニット10にアクセスさせることができる。
【0046】
また、インデクサブロック2と処理ブロック3との境界部分には、基板Wを反転させるための第1反転ユニットRT1、第2反転ユニットRT2およびインデクサロボットIRとメインロボットMRとの間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS1、PASS2が上下に設けられている。第1反転ユニットRT1は、基板載置部PASS1、PASS2の上方に設けられており、第2反転ユニットRT2は、基板載置部PASS1、PASS2の下方に設けられている。第1および第2反転ユニットRT1,RT2は、それぞれ、基板Wをほぼ水平に保持するとともに、当該基板Wを保持した状態で当該基板Wの上下を反転させることができる。
【0047】
図示はしないが、第1および第2反転ユニットRT1,RT2は、たとえば、ほぼ水平に配置された固定板と、この固定板に対して平行に配置され、当該固定板に対して平行に近接または離反可能な可動板と、これら固定板および可動板を一体的に回転させる回転駆動機構とをそれぞれ備えている。基板Wは、固定板と可動板との間でほぼ水平に保持されるようになっている。固定板と可動板との間に基板Wが保持された状態で、回転駆動機構が固定板および可動板を一体的に回転させることにより、当該基板Wの上下が反転されるようになっている。
【0048】
上側の基板載置部PASS1は、基板Wを処理ブロック3からインデクサブロック2へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS2は、基板Wをインデクサブロック2から処理ブロック3へ搬送する際に用いられる。
【0049】
基板載置部PASS1、PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示せず)が設けられている。それにより、基板載置部PASS1、PASS2において基板Wが載置されているか否かの判定を行うことが可能となる。また、基板載置部PASS1、PASS2には、基板Wの下面を支持する複数本の支持ピン(図示せず)が設けられている。インデクサロボットIRとメインロボットMRとの間で基板Wの受け渡しが行われる際には、基板Wが一時的に基板載置部PASS1、PASS2の支持ピン上に載置される。
【0050】
インデクサロボットIR、メインロボットMR、ならびに、第1および第2反転ユニットRT1,RT2の動作は、インデクサブロック2に設けられたメイン制御部17によって制御される。メイン制御部17は、CPU(中央演算処理装置)を含むコンピュータ等からなる。
【0051】
図3に示すように、メイン制御部17には、インデクサロボットIR、メインロボットMR、IR移動機構5、第1反転ユニットRT1、第2反転ユニットRT2および各裏面洗浄処理ユニット10が制御対象として接続されている。
【0052】
基板処理装置1による基板Wの処理動作は、メイン制御部17により制御される。
【0053】
まず、インデクサロボットIRは、キャリア保持部4に保持されたキャリアCの1つから第1下ハンド9を用いて未処理の基板Wを取り出す。この時点では基板Wの表面が上方に向けられている。インデクサロボットIRの第1下ハンド9は、基板Wの裏面の周縁部および外周端部を保持する。インデクサロボットIRは、キャリア配列方向Uに移動しつつ鉛直軸線回りで回転し、未処理の基板Wを基板載置部PASS2に載置する。
【0054】
基板載置部PASS2に載置された基板Wは、メインロボットMRにより受け取られ、第2反転ユニットRT2に搬入される。第2反転ユニットRT2において、表面が上方に向けられた基板Wが、裏面が上方を向くように反転される。反転後の基板Wは、メインロボットMRにより第2反転ユニットRT2から搬出され、続いて裏面洗浄処理ユニット10に搬入される。裏面洗浄処理ユニット10においては、基板Wの裏面に洗浄処理が行われる。
【0055】
裏面が洗浄された基板Wは、メインロボットMRにより裏面洗浄処理ユニット10から搬出され、続いて第1反転ユニットRT1に搬入される。第1反転ユニットRT1においては、裏面が上方に向けられた基板Wが、表面が上方を向くように反転される。反転後の基板Wは、メインロボットMRにより第1反転ユニットRT1から搬出され、基板載置部PASS1に載置される。基板載置部PASS1に載置された基板Wは、インデクサロボットIRにより受け取られ、キャリアC内に収納される。
【0056】
図4は、裏面洗浄処理ユニット10の概略構成の正面図であり、図5は、裏面洗浄処理ユニット10の概略構成の平面図である。
【0057】
各裏面洗浄処理ユニット10は、図示しない処理チャンバと、基板Wをほぼ水平に保持して回転させるスピンチャック18と、このスピンチャック18に保持された基板Wに薬液を供給するための薬液ノズル19aと、純水を供給するための純水ノズル19bと、スピンチャック18に保持された基板Wをスクラブ洗浄するためのブラシ20とを備えている。これらスピンチャック18、薬液ノズル19a、純水ノズル19bおよびブラシ20は、処理チャンバ内に収容されている。
【0058】
ブラシ20は、たとえば、PVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジ状の部材である。ブラシ20は、当該ブラシ20を基板Wに押し付けるための保持アーム21によって、その下方で保持されている。保持アーム21には、当該保持アーム21を移動させることにより、ブラシ20を基板Wに接離させるとともに、基板Wにブラシ20を当接させた状態で当該ブラシ20を当該基板Wに沿って移動させるブラシ移動機構22が接続されている。
【0059】
スピンチャック18は、円板状のスピンベース23と、このスピンベース23をほぼ水平に支持するとともに鉛直軸線まわりに回転自在な回転軸24と、この回転軸24に回転力を与えるチャック回転駆動機構25とを備えている。図5に示すように、スピンベース23の上面には、基板Wの端面に接触して当該基板Wを挟持する複数のチャックピン26が立設されている。複数のチャックピン26は、ピン駆動機構27によって一体的に駆動される。この構成により、基板Wをほぼ水平な状態に保持して回転させることができる。
【0060】
本実施形態では、裏面が上方に向けられた未処理の基板Wが、メインロボットMRによってスピンチャック18に搬入されるようになっている。また、処理済の基板Wは、メインロボットMRによってスピンチャック18から搬出されるようになっている。
【0061】
薬液ノズル19aは、当該薬液ノズル19aから吐出された薬液が、スピンチャック18に保持された基板Wのほぼ回転中心に向けて供給されるように配置されている。薬液ノズル19aには、薬液供給源からの薬液が薬液バルブ28を介して供給されている。また、純水ノズル19bは、当該純水ノズル19bから吐出された純水が、スピンチャック18に保持された基板Wのほぼ回転中心に向けて供給されるように配置されている。純水ノズル19bには、リンス液の一例としての純水(脱イオン水)が純水バルブ29を介して純水供給源から供給されている。
【0062】
すなわち、薬液バルブ28を開くことにより、薬液ノズル19aから基板Wに薬液を供給することができ、純水バルブ29を開くことにより、純水ノズル19bから基板Wに純水を供給することができる。スピンチャック18を回転状態として処理液(薬液または純水)を基板Wのほぼ回転中心に供給すると、この処理液は遠心力を受けて基板Wの上面(裏面)のほぼ全域に広がり、基板Wの周端縁から外方へと流下していくことになる。
【0063】
薬液ノズル19aに供給される薬液としては、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水のうちの少なくとも1つを含む液を例示することができる。具体的には、薬液として、SC―1(アンモニアと過酸化水素水との混合液)や、TMAH(テトラ・メチル・アンモニウム・ハイドロオキサイド:水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いることができる。また、純水ノズル19bに供給されるリンス液としては、純水以外に、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、磁気水や、希釈濃度(たとえば、1ppm程度)のアンモニア水などを例示することができる。
【0064】
ブラシ移動機構22は、保持アーム21を上下方向(Z軸方向)に移動させるためのZ軸移動機構30と、保持アーム21を水平方向(Y軸方向)に移動させるためのY軸移動機構31とを含む。
【0065】
Z軸移動機構30が保持アーム21を上下方向に移動させると、ブラシ20は、保持アーム21とともに、上下方向に移動する。また、Y軸移動機構31が保持アーム21を水平方向に移動させると、ブラシ20は、保持アーム21とともに水平方向に移動する。この構成により、ブラシ20は、基板Wの上方で水平方向に移動することができるとともに、上下動して基板Wに接離することができるようになっている。
【0066】
基板Wの裏面に対するスクラブ洗浄に際しては、スピンチャック18によって基板Wを水平面内で回転させつつ薬液ノズル19aから当該基板Wの上面に薬液が供給される。さらに、Z軸移動機構30および保持アーム21によってブラシ20が基板Wの上面に押し付けられる。この状態で、Y軸移動機構31によってブラシ20が当該基板Wの上面に沿って移動させられる。これにより、ブラシ20が基板Wの回転中心から周縁部まで移動していき、その過程で、ブラシ20が基板Wの上面の全域をスキャンしながらスクラブしていく。
【0067】
スクラブ洗浄が行われた後は、ブラシ20が基板Wから離反された状態で、回転中の基板Wに対して純水が純水ノズル19bから供給される。これにより、基板Wの上面が洗い流されて、薬液やパーティクル等の異物が基板Wの上面から除去される。基板Wに純水が供給された後は、基板Wの回転速度が予め定める高回転速度に上げられて、基板W上の純水を基板Wの回転による遠心力によって振り切って基板Wを乾燥させる乾燥工程が行われる。乾燥工程が終了すると、スピンチャック18による基板Wの回転が停止されて、処理済の基板WがメインロボットMRによってスピンチャック18から搬出されていく。
【0068】
図6は、保持アーム21の平面図であり、図7は、図6におけるVII−VII線に沿う保持アーム21の縦断面図である。図6では、ハウジング32の一部(後述の上板38)の図示を省略している。
【0069】
保持アーム21は、概ね四角箱形のハウジング32と、ブラシ20を保持するためのブラシ保持機構33と、ブラシ20を鉛直軸線まわりに回転させるためのブラシ回転機構34と、ブラシ20に鉛直下向きの荷重を加えるための荷重付加機構35とを備えている。ブラシ保持機構33、ブラシ回転機構34および荷重付加機構35は、ハウジング32内に収容されている。
【0070】
ハウジング32は、図7に示すように、互いに嵌め合わされた上ハウジング36および下ハウジング37を含む。上ハウジング36は、下端が開放された四角箱形である。上ハウジング36は、矩形の上板38と、この上板38に連結された四角筒状の周壁39とを含む。また、下ハウジング37は、上端が開放された概ね四角箱形である。下ハウジング37は、矩形の底部40と、この底部40の外周に沿って設けられた周壁部41とを含む。
【0071】
図7に示すように、上ハウジング36の周壁39の下端部は、下ハウジング37の周壁部41の上端部に外嵌している。周壁39と周壁部41との間には、環状のパッキン43が介在している。このパッキン43によって、上ハウジング36と下ハウジング37との間が適度に密閉されている。すなわち、パッキン43は、たとえば、スポンジ状の部材であり、適度に気体を流通させることができる。
【0072】
図6に示すように、下ハウジング37の外周面には、一対の横板44,44が固定されている。前述のZ軸移動機構30およびY軸移動機構31は、この一対の横板44,44を介して保持アーム21に接続されている。また、図7に示すように、底部40の先端側(図7において左側)には、ブラシ保持機構33が挿通する挿通孔42が形成されている。
【0073】
図8は、ブラシ保持機構33の拡大断面図である。
【0074】
ブラシ保持機構33は、鉛直方向に延びるシャフトとしての回転シャフト45と、この回転シャフト45を鉛直方向に移動可能に支持する支持機構46とを含む。
【0075】
回転シャフト45は下ハウジング37の底部40に設けられた挿通孔42を挿通している。回転シャフト45の上端は、上ハウジング36の上板38の近傍にまで至っており、その下端部は下ハウジング37の下面から下方に突出している(図7参照)。
【0076】
回転シャフト45の下端部には、ブラシホルダ47が取り付けられるホルダ取付部48が設けられている。ブラシ20は、このブラシホルダ47に保持されている。ブラシ20の下端部は、ブラシホルダ47よりも下方に突出している。本実施形態では、ブラシ20の下面が基板Wを洗浄するための洗浄面となっている。
【0077】
支持機構46は、たとえば円筒状のコイルばね49と、このコイルばね49に係合する第1係合部材50および第2係合部材51とを含む。第1係合部材50および第2係合部材51は、それぞれ、板状の部材であり円環状をなしている。回転シャフト45は、第1および第2係合部材50,51を挿通している。第1および第2係合部材50,51は、鉛直方向に間隔を隔ててほぼ水平に配置されている。第1係合部材50は、第2係合部材51の上方に配置されている。
【0078】
第2係合部材51に対向する第1係合部材50の対向面(下面)の周縁部には、コイルばね49の上端部が係合する第1係合溝52が形成されている。また、第1係合部材50に対向する第2係合部材51の対向面(上面)の周縁部には、コイルばね49の下端部が係合する第2係合溝53が形成されている。コイルばね49は、回転シャフト45に外嵌しており、第1および第2係合部材50,51間に配置されている。コイルばね49の上端および下端は、それぞれ、第1係合溝52および第2係合溝53に係合している。コイルばね49は、第1および第2係合部材50,51間で圧縮されるようになっている。
【0079】
第1係合部材50は、一体回転可能に回転シャフト45に連結されている。第1係合部材50の上方には回転シャフト45に連結された押さえナット54が配置されている。第1係合部材50は、この押さえナット54によって押されて回転シャフト45とともに下方に移動するようになっている。
【0080】
また、第2係合部材51は、その下方に配置された、第1プーリ73、第1筒状ハウジング55および一対のベアリング140,141を介して下ハウジング37に支持されている。第2係合部材51、第1プーリ73、第1筒状ハウジング55および一対のベアリング140,141は、下ハウジング37に対する鉛直方向への移動が規制されている。回転シャフト45は、第1プーリ73、第1筒状ハウジング55および一対のベアリング140,141を挿通しており、第2係合部材51、第1プーリ73、第1筒状ハウジング55および一対のベアリング140,141に対して、鉛直方向に移動可能となっている。
【0081】
回転シャフト45およびブラシ20等の自重は、押さえナット54を介して第1係合部材50に伝達されており、さらに、第1係合部材50からコイルばね49に伝達されている。したがって、コイルばね49は、回転シャフト45およびブラシ20等の自重によって下方に押さえつけられている。コイルばね49には、回転シャフト45およびブラシ20等の自重に対応した撓みが生じている。回転シャフト45およびブラシ20等は、コイルばね49の弾性反力によって鉛直方向に弾性的に支持されている。したがって、このコイルばね49の弾性反力によって回転シャフト45およびブラシ20等の自重が相殺されている。これにより、当該自重による影響を受けることなく、押圧用アクチュエータ92によって意図した大きさの力をブラシ20に与えることができる。これにより、基板Wに対するブラシ20の押付圧を精度良く管理することができる。
【0082】
鉛直下方への荷重が回転シャフト45に付与されると、当該回転シャフト45は、ブラシ20等とともに、鉛直下方に移動する。また、回転シャフト45に付与された荷重は、第1係合部材50を介してコイルばね49に加えられる。したがって、コイルばね49には、回転シャフト45に付与された荷重の大きさに対応した撓みが生じる。回転シャフト45に付与された鉛直下方への荷重が除去されると、回転シャフト45は、コイルばね49の弾性反力によって上方に移動され、当該荷重が付与される前の位置に戻される。なお、コイルばね49のばね定数は、コイルばね49の撓みに応じた反力が押圧用アクチュエータ92によるブラシ20の押圧精度に影響を及ぼさないように、非常に低いものとなっている。
【0083】
また、前述の第2係合部材51、第1プーリ73および第1筒状ハウジング55は、たとえば、ボルト170によって一体回転可能に連結されている。第1筒状ハウジング55は、一対のベアリング140,141を介して、下ハウジング37に回転可能に支持されている。また、第1プーリ73は、鉛直方向に関して、第2係合部材51と第1筒状ハウジング55との間に配置されている。第1プーリ73は、前述のブラシ回転機構34の一部を構成している。第1プーリ73には、回転シャフト45を回転させるための回転力が入力されるようになっている。
【0084】
回転シャフト45を回転させるための回転力が第1プーリ73に入力されると、第2係合部材51および第1筒状ハウジング55は、第1プーリ73とともに一体回転する。そして、第2係合部材51、第1プーリ73および第1筒状ハウジング55の回転は、コイルばね49の内側の空間に配置された回転伝達機構56によって、回転シャフト45に伝達される。これにより、回転シャフト45が鉛直軸線まわりに回転する。回転伝達機構56の具体的な構成については後述する。
【0085】
一対のベアリング140,141は上下に並んで配置されている。本実施形態では、ベアリング140,141として、たとえば、ラジアルボールベアリングが用いられている。上側のベアリング140の外輪の上端には、下ハウジング37に固定された筒状の上側押さえ部材57が係合している。また、下側のベアリング141の外輪の下端には、下ハウジング37の挿通孔42に嵌合された筒状の下側押さえ部材58が係合している。一対のベアリング140,141は、上側および下側押さえ部材57,58によって、下ハウジング37に固定されている。
【0086】
また、第1筒状ハウジング55の内側の空間には、回転シャフト45を取り囲むベローズ59が配置されている。ベローズ59の上端部は、第1筒状ハウジング55の内側の空間において、回転シャフト45に固定されている。また、ベローズ59の下端部は、第1筒状ハウジング55の下端部に固定された第2筒状ハウジング60と、この第2筒状ハウジング60の内周に嵌合された筒状のベローズ押さえ部材61とによって固定されている。ベローズ59の下端部は、第2筒状ハウジング60の内周とベローズ押さえ部材61の外周とによって挟持されている。
【0087】
このベローズ59によって、処理チャンバ内の処理液を含む雰囲気がハウジング32内に進入することが防止されている。また、このベローズ59によって、ハウジング32内で発生するごみが当該ハウジング32外に流出することが防止されている。これにより、ハウジング32内で発生するごみが基板Wに付着して、当該基板Wが汚染されることが抑制または防止されている。
【0088】
第2筒状ハウジング60は、その上端部を構成する大径部62と、その下端部を構成する小径部63とを含む。大径部62は、第1筒状ハウジング55の下端部に外嵌しており、たとえば止めねじ64によって第1筒状ハウジング55の下端部に一体回転可能に連結されている。また、小径部63と下側押さえ部材58との間には、磁性流体シール65が配置されている。小径部63と下側押さえ部材58との間は、この磁性流体シール65によってシールされている。
【0089】
磁性流体シール65の上端には、下側押さえ部材58の内周に形成された環状のフランジ66が係合している。また、磁性流体シール65の下端には、筒状のシール押さえ部材67が係合している。磁性流体シール65は、シール押さえ部材67とフランジ66とによって挟持され、保持されている。
【0090】
磁性流体シール65によって、処理チャンバ内の処理液を含む雰囲気がハウジング32内に進入することが防止されている。また、磁性流体シール65によって、たとえば、その上方に配置されたベアリング140,141の回転に伴う摩耗によって発生するごみが基板Wに落下することが防止されている。これにより、基板Wの汚染が抑制または防止されている。
【0091】
図9は、図8におけるIX−IX線に沿うブラシ保持機構33の横断面図である。以下では、図8および図9を参照して、回転伝達機構56について説明する。
【0092】
回転伝達機構56は、回転シャフト45に回転力を伝達するとともに、回転シャフト45を当該回転シャフト45の軸方向(鉛直方向)に案内するためのものである。回転伝達機構56は、二対のガイドローラ68と、これらのガイドローラ68を回転可能に支持するローラ支持機構69とを備えている。
【0093】
各ガイドローラ68は、ローラ支持機構69によって、当該ガイドローラ68の中心軸線まわりに回転可能に支持されている。各ガイドローラ68は、その外周面が回転シャフト45に当接するように配置されている。
【0094】
具体的には、回転シャフト45には、四角柱状のガイドローラ当接部70が設けられている。ガイドローラ当接部70は、回転シャフト45の軸方向に延びる4つの平坦面を含む。各ガイドローラ68は、当該ガイドローラ68の外周面がそれぞれ異なる平坦面に当接するように配置されている。
【0095】
すなわち、図9に示すように、各ガイドローラ68は、回転シャフト45を取り囲むように、回転シャフト45の周方向に等間隔を隔てて配置されている。対をなすガイドローラ68は、回転シャフト45を挟んで対向している。図8に示すように、一方の対をなすガイドローラ68は、他方の対をなすガイドローラ68に対して鉛直方向に間隔を隔てて配置されている。
【0096】
一方、ローラ支持機構69は、対をなす第1ローラ支持部材71および第2ローラ支持部材72を含む。図9に示すように、第1および第2ローラ支持部材71,72は、それぞれ平面視においてL形をなしており、回転シャフト45を挟んで対向している。第1および第2ローラ支持部材71,72は、それぞれ、回転シャフト45の周方向に隣接する一対のガイドローラ68,68を回転可能に支持している。第1および第2ローラ支持部材71,72は、第2係合部材51と一体的に形成されており、それぞれ第2係合部材51の上面から上方に延びている。
【0097】
第1および第2ローラ支持部材71,72には、第2係合部材51から回転力が伝達される。第1および第2ローラ支持部材71,72に伝達された回転力は、各ガイドローラ68と回転シャフト45との当接部を介して回転シャフト45に伝達される。これにより、回転シャフト45が鉛直軸線まわりに回転する。
【0098】
また、回転シャフト45が鉛直方向に移動するとき、各ガイドローラ68は、回転シャフト45の移動にともなって当該ガイドローラ68の中心軸線まわりに回転する。これにより、回転シャフト45が円滑に鉛直方向に移動できるようになっている。また、二対のガイドローラ68が鉛直方向に間隔を隔てて配置されているので、回転シャフト45は、当該二対のガイドローラ68によって案内されて、鉛直方向に直進するようになっている。鉛直方向への回転シャフト45の直進安定性は、後述の第1リニアガイド機構79によって高められている。
【0099】
次に、図6および図7を参照して、前述のブラシ回転機構34について説明する。
【0100】
ブラシ回転機構34は、前述の第1プーリ73と、この第1プーリ73と対をなす第2プーリ74と、第1および第2プーリ73,74間に掛け渡されたベルト75と、第2プーリ74に連結された回転用アクチュエータとしてのモータ150とを備えている。
【0101】
モータ150は、回転シャフト45の側方に配置されており、出力軸150aが下方に向けられている。モータ150の上端の位置は、回転シャフト45の上端の位置よりも低くされている。これにより、ハウジング32の鉛直方向への高さが低減されている。ハウジング32の鉛直方向への高さを低減することで、保持アーム21の鉛直方向への高さが低減されており、その結果、処理ユニット10の鉛直方向への高さが低減されている。これにより、基板処理装置1の鉛直方向への高さが低減されている。
【0102】
モータ150は、台座160およびステー78を介して下ハウジング37に固定されている。モータ150の出力軸150aには、第2プーリ74が同軸的に連結されている。第2プーリ74は、このモータ150によって回転駆動される。モータ150によって第2プーリ74が回転駆動されると、この第2プーリ74の回転は、ベルト75を介して第1プーリ73に伝達される。そして、第1プーリ73に伝達された回転は、前述のように、第2係合部材51および回転伝達機構56を介して、回転シャフト45に伝達される。これにより、回転シャフト45が鉛直軸線まわりに回転し、当該回転シャフト45とともに、ブラシ20が鉛直軸線まわりに回転する。
【0103】
ブラシ回転機構34によるブラシ20の回転は、ブラシ20による基板Wの洗浄中に実施されてもよいし、ブラシ20による基板Wの洗浄が行われていない間(たとえばブラシ20が待機位置にある間)に実施されてもよい。本実施形態では、ブラシ20が待機位置にある状態で、ブラシ回転機構34によるブラシ20の回転が実施されるようになっている。
【0104】
図示はしないが、ブラシ20の待機位置には、当該ブラシ20が収容される有底筒状のポッドが配置されている。ブラシ20は、このポッド内で回転される。また、ブラシ20には、このポッド内で純水が供給される。ブラシ20を回転させるとともに、当該ブラシ20に純水を供給することにより、ブラシ20に対して均一に純水が供給される。これにより、ブラシ20に付着している異物が洗い流されるとともに、ブラシ20の乾燥が防止、抑制される。
【0105】
図10は、図6におけるX−X線に沿う保持アーム21の縦断面図である。以下では、図6および図10を参照して、前述の第1リニアガイド機構79について説明する。
【0106】
第1リニアガイド機構79は、第1スライド部材80と、この第1スライド部材80と対をなす第1リニアガイド81とを備えている。第1スライド部材80および第1リニアガイド81は、図10に示すように、それぞれ鉛直方向に延びている。第1スライド部材80および第1リニアガイド81は、回転シャフト45の側方に配置されており、それぞれの上端の位置は、回転シャフト45の上端の位置よりも低くされている。これにより、ハウジング32の鉛直方向への高さが低減されている。したがって、基板処理装置1の鉛直方向への高さが低減されている。
【0107】
第1スライド部材80は、ブラケット82を介して回転シャフト45に連結されている。図10に示すように、ブラケット82は、水平方向に延びる水平板83と、この水平板83の一端部(図10では右端部)から鉛直下方に延びる鉛直板84とを含む。水平板83の上面の位置は、回転シャフト45の上端の位置よりもやや低くされている。
【0108】
第1スライド部材80は、鉛直板84の一端面(図10では左側の面)に固定されている。ブラケット82と第1スライド部材80とは、鉛直方向に一体移動可能に連結されている。また、図6に示すように、第1スライド部材80には、鉛直方向に延びる第1スライド溝85が形成されている。第1リニアガイド81は、この第1スライド溝85に嵌合している。
【0109】
第1リニアガイド81は、図10に示すように、当該第1リニアガイド81を保持するガイド保持部材86を介して下ハウジング37に固定されている。第1スライド部材80は、第1リニアガイド81に対して鉛直方向にスライド移動可能である。第1リニアガイド81は、鉛直方向への第1スライド部材80の移動を案内する。したがって、第1スライド部材80と鉛直方向に一体移動するブラケット82も第1リニアガイド81によって鉛直方向に案内される。
【0110】
また、図10に示すように、水平板83の他端部(図10では左端部)には貫通孔87が形成されている。回転シャフト45の上端部は貫通孔87を挿通している。回転シャフト45の上端部には、当該上端部に外嵌する円筒状のボス88がボルト171によって固定されている。ボス88の一部は貫通孔87内に配置されており、当該ボス88の一部とブラケット82との間には、一対のベアリング142,143と、この一対のベアリング142,143を押さえるための円筒状の蓋部材89とが介在している。
【0111】
一対のベアリング142,143は、上下に並んで配置されており、それぞれボス88に外嵌している。本実施形態では、ベアリング142,143として、たとえば、ラジアルボールベアリングが用いられている。また、蓋部材89は、一対のベアリング142,143に外嵌するとともに、上側のベアリング142の外輪を下方に押さえつけている。蓋部材89は、貫通孔87に嵌合しており、ブラケット82に固定されている。
【0112】
回転シャフト45およびボス88は、回転シャフト45の中心軸線まわりに回転可能にブラケット82に連結されている。また、回転シャフト45およびボス88は、鉛直方向に一体移動可能にブラケット82に連結されている。すなわち、ブラケット82が鉛直方向に移動すると、回転シャフト45も鉛直方向に移動するようになっている。
【0113】
前述のように、ブラケット82は第1リニアガイド機構79によって鉛直方向に案内されるので、当該ブラケット82と鉛直方向に一体移動する回転シャフト45も第1リニアガイド機構79によって鉛直方向に案内される。すなわち、回転シャフト45は、前述の回転伝達機構56および第1リニアガイド機構79によって鉛直方向に案内されるようになっており、この第1リニアガイド機構79によって、鉛直方向への直進安定性が高められている。回転伝達機構56および第1リニアガイド機構79によって、回転シャフト45を当該回転シャフト45の軸方向に案内させることにより、回転シャフト45をその軸方向に円滑に移動させることができる。これにより、ブラシ20を確実に基板Wに押し付けることができる。
【0114】
図11は、図6におけるXI−XI線に沿う保持アーム21の縦断面図である。以下では、図6および図11を参照して、荷重付加機構35について説明する。
【0115】
荷重付加機構35は、支持部材90によって揺動可能に支持されたシーソー部材91と、ブラシ20に対して、当該ブラシ20を基板Wに押し付けるための押し付け力を付与するための押圧用アクチュエータ92とを備えている。押圧用アクチュエータ92としては、たとえば、エアーシリンダや電磁プランジャやボイスコイルモータ等を用いることができる。以下では、押圧用アクチュエータ92がエアーシリンダである場合について説明する。
【0116】
支持部材90は、図11に示すように、鉛直方向に延びており、その下端部は下ハウジング37に固定されている。支持部材90の上端部には、水平方向に延びる支点軸93が設けられている。シーソー部材91は、この支点軸93に連結されている。シーソー部材91は、支点軸93を支点として鉛直面に沿って揺動するように支持部材90に支持されている。
【0117】
シーソー部材91は、たとえば板状の部材であり、自由状態(シーソー部材91に荷重が与えられていない状態)においてほぼ水平に配置されている。すなわち、シーソー部材91の端部(図6および図11では右端)にはウェイト94が取り付けられており、このウェイト94によって、前記自由状態においてシーソー部材91がほぼ水平になるように調整されている。図6に示すように、シーソー部材91には、肉抜き部としての複数の貫通孔95が当該シーソー部材91の長手方向に並んで形成されている。この貫通孔95によってシーソー部材91が軽量化されている。これにより、基板処理装置1が軽量化されるとともに、押圧用アクチュエータ92による駆動力をブラシ20に伝達する際の追従性の向上を図ることができる。
【0118】
また、シーソー部材91は、前記支点(支点軸93)に対して一方側(図6および図11では右側)に力点部96を有しており、前記支点に対して他方側(図6および図11では左側)に作用点部97を有している。本実施形態では、力点部96と支点(支点軸93)との距離が、作用点部97と支点との距離にほぼ等しくなるように設定されている。したがって、力点部96に入力された力と、作用点部97から出力される力がほぼ等しくなるようになっている。図6に示すように、力点部96の下方には、押圧用アクチュエータ92が配置されており、作用点部97の下方には、ブラケット82の水平板83が配置されている。
【0119】
図11に示すように、押圧用アクチュエータ92は、ロッド98が上方に向けられた状態で、台座161を介して下ハウジング37に固定されている。ロッド98は、鉛直方向に進退するようになっている。ロッド98は、力点部96の鉛直下方に配置されており、当該力点部96を下方から押し上げることができる。すなわち、押圧用アクチュエータ92は、力点部96の下方から当該力点部96に駆動力を与えるようになっている。
【0120】
押圧用アクチュエータ92が力点部96に駆動力を与えることにより、支点軸93を支点としてシーソー部材91が鉛直面に沿って揺動する。そして、シーソー部材91が揺動すると、シーソー部材91の作用点部97が、ブラケット82の水平板83の上面に当接して当該ブラケット82を下方に向けて押す。これにより、押圧用アクチュエータ92からの駆動力がブラケット82に伝達される。
【0121】
ブラケット82に伝達された押圧用アクチュエータ92からの駆動力は、当該ブラケット82および回転シャフト45を介して、「ブラシを基板に押し付けるための押し付け力」としてブラシ20に伝達される。すなわち、ブラケット82および回転シャフト45は、当該押し付け力を伝達する伝達部材として機能する。
【0122】
スピンチャック18に保持された基板Wの上面にブラシ20の洗浄面(下面)が当接または近接した状態で、押圧用アクチュエータ92がシーソー部材91に駆動力を与えると、シーソー部材91の揺動にともなって、ブラケット82、回転シャフト45およびブラシ20等が僅かに下方に移動して、ブラシ20が基板Wの上面に押し付けられる。ブラシ20が基板Wの上面に押し付けられた状態で、当該ブラシ20を当該基板Wの上面に沿って移動させることにより、基板Wの上面に付着している異物が当該上面から擦り取られる。これにより、基板W上から異物が除去される。
【0123】
基板Wに対するブラシ20の押付圧は、押圧用アクチュエータ92に供給される空気の圧力によって調整されている。すなわち、押圧用アクチュエータ92には、図示しない吸気ポートおよび排気ポートが設けられており、空気供給源からの空気が空気圧調整バルブ99を介して吸気ポートに供給されている(図11参照)。空気圧調整バルブ99としては、たとえば、空気圧を電気的に調整することができる電空レギュレータが用いられている。空気圧調整バルブ99の開度は、メイン制御部17によって制御される(図3参照)。
【0124】
吸気ポートを介して押圧用アクチュエータ92に空気を供給することで、ロッド98を鉛直上方に移動させることができる。これにより、力点部96を押し上げて、シーソー部材91を揺動させることができる。また、空気圧調整バルブ99の開度を調整して押圧用アクチュエータ92への空気圧を大きくすることにより、押圧用アクチュエータ92からシーソー部材91に与えられる駆動力を大きくすることができる。これにより、基板Wに対するブラシ20の押付圧を高めることができる。
【0125】
基板Wに対するブラシ20の押付圧は、図6および図11に示す圧力センサ100の検出値に基づいて予め設定されている。すなわち、押圧用アクチュエータ92への空気圧は、圧力センサ100の検出値に基づいて予め設定しておくことができる。圧力センサ100としては、たとえば歪ゲージ型の圧力センサを用いることができる。
【0126】
以下では、図6および図11を参照して、圧力センサ100について説明する。
【0127】
圧力センサ100は、図6に示すように、支持部材90の前方に配置されており、台座162を介して下ハウジング37に固定されている。圧力センサ100は、ブラケット82の側方に位置している。図11に示すように、圧力センサ100の左端上方には、ブラケット82の鉛直板84から延びる延設部101が配置されている。圧力センサ100および延設部101は、シーソー部材91からブラケット82に駆動力が付与されていない状態において、鉛直方向に所定距離離隔している。
【0128】
押圧用アクチュエータ92に所定の空気圧で空気が供給されると、この空気圧に対応した駆動力が押圧用アクチュエータ92からシーソー部材91の力点部96に付与される。これにより、シーソー部材91が揺動してブラケット82を下方に押す。シーソー部材91がブラケット82を下方に押すと、延設部101が下方に移動して圧力センサ100の上端に当接し、当該圧力センサ100を押し付ける。これにより、圧力センサ100に対する延設部101の押付圧が生じて、この押付圧が圧力センサ100によって検出される。圧力センサ100の検出値は、メイン制御部17に入力される(図3参照)。
【0129】
圧力センサ100に対する延設部101の押付圧の検出は、ブラシ20が基板Wに当接していない状態(たとえばブラシ20が待機位置にある状態)において行われる。すなわち、ブラシ20が基板Wに当接していない状態で押圧用アクチュエータ92が作動させられ、そのときに圧力センサ100によって検出される押付圧が監視される。この検出される押付圧が所望の値となるように、押圧用アクチュエータ92に供給される空気圧が制御される。所望の押付圧が得られると、そのときの空気圧に対応する制御データ(具体的には、空気圧調節バルブ99の制御データ)がメイン制御部17のメモリに格納される。
【0130】
基板Wを処理するときには、前記メモリに格納された制御データが読み出され、この制御データを用いて空気圧調節バルブ99が制御される。これにより、押圧用アクチュエータ92が作動し、ブラシ20が前記所望の押付圧で基板Wに押し付けられることになる。
【0131】
圧力センサ100と延設部101との位置関係は、ブラシ20が基板Wに当接している状態で、互いに当接しないように定められている。すなわち、シーソー部材91からブラケット82に駆動力が付与されていない状態における圧力センサ100と延設部101との鉛直方向への間隔が、ブラシ20が基板Wに押し付けられるときに荷重付加機構35によって押されてブラシ20が鉛直方向に移動する距離よりも大きくされている。
【0132】
したがって、ブラシ20が基板Wに押し付けられるときに、延設部101は圧力センサ100に当接しておらず、圧力センサ100に対する延設部101の押付圧が生じていない。一方、ブラシ20が待機位置にある状態ではブラシ20を鉛直方向に大きく移動させることができるので、延設部101を圧力センサ100に当接させることができ、これによって、圧力センサ100に対する延設部101の押付圧を発生させることができる。
【0133】
ブラシ20を基板Wに押し付けるときに、延設部101と圧力センサ100とを非接触にすることにより、シーソー部材91からブラケット82に付与された全ての駆動力をブラシ20に対して伝達することができる。これにより、ブラシ20を確実に所望の押付圧で基板Wに押し付けることができる。
【0134】
また、基板Wにブラシ20を押し付けて基板Wを処理している際に、通常、圧力センサ100は荷重を検知しない状態であるが、例えば基板Wが割れているなどの異常がある場合、ブラシ20が鉛直方向に移動する距離が大きくなり、圧力センサ100が荷重を検知すると、エラーとして検出することができる。
【0135】
また、前述のように、回転シャフト45およびブラシ20等は、コイルばね49によって弾性的に支持されており、このコイルばね49の弾性反力によって回転シャフト45およびブラシ20等の自重が相殺されているので、当該自重による影響を受けることなく、意図した大きさの力をブラシ20に与えることができる。これにより、基板Wに対するブラシ20の押付圧を精度良く管理することができる。
【0136】
本実施形態の一つの特徴は、シーソー部材91を設けることによって、押圧用アクチュエータ92の配置の自由度が高められていることである。すなわち、ブラシ20を基板Wに押し付けるための押し付け力が、押圧用アクチュエータ92からシーソー部材91の力点部96に付与されるようにされていれば、押圧用アクチュエータ92は、シーソー部材91の上方に配置されていてもよいし、下方に配置されていてもよいし、側方に配置されていてもよい。
【0137】
本実施形態のように、押圧用アクチュエータ92をシーソー部材91の下方に配置することにより、ハウジング32の鉛直方向への高さを最も効果的に低減することができる。これにより、保持アーム21の鉛直方向への高さを低減することができ、その結果、処理ユニット10の高さを低減することができる。したがって、基板処理装置1の高さを低減することができる。
【0138】
また、第1リニアガイド機構79および回転用アクチュエータとしてのモータ150が回転シャフト45の側方に配置されており、さらに、第1リニアガイド機構79およびモータ150の高さが回転シャフト45よりも低くされているので、ハウジング32の鉛直方向への高さがさらに低減されている。すなわち、本実施形態では、押圧用アクチュエータ92、第1リニアガイド機構79およびモータ150が適切な位置に配置されており、これによって、ハウジング32内の空間が効率的に利用されている。これにより、鉛直方向へのハウジング32の高さが低減され、基板処理装置1の高さが低減されている。
【0139】
図12は、図6における矢視XII方向から見た保持アーム21の図解的な側面図である。以下では、図11および図12を参照して、ハウジング32内の雰囲気を排気するための排気ポート102について説明する。
【0140】
下ハウジング37の周壁部41には、排気ポート102が設けられている。図示はしないが、この排気ポート102には、排気配管を介して、処理チャンバ外に配置された排気源に接続されている。ハウジング32内の雰囲気は、この排気源によって排気されるようになっている。すなわち、ハウジング32内の雰囲気は、排気ポート102および排気配管を介して、処理チャンバ外に導かれる。
【0141】
排気源によってハウジング32内の雰囲気を排気することにより、ハウジング32内で発生するごみ(たとえば、ベルト75やベアリング140〜143の摩耗によって発生する摩耗粉)を雰囲気とともにハウジング32内から除去し、さらに、処理チャンバ外に排出することができる。これにより、ハウジング32内で発生するごみが基板Wに付着して、当該基板Wが汚染されることを抑制または防止することができる。
【0142】
ハウジング32内の圧力は、排気源によって当該ハウジング32内の雰囲気が排気されるときに、スポンジ状のパッキン43を介して処理チャンバ内の雰囲気が当該ハウジング32内に供給されることにより、ほぼ一定に保たれる。パッキン43は気体のみを流通させるので、処理液を含む処理チャンバ内の雰囲気が、パッキン43を介してハウジング32内に進入することが抑制または防止されている。これにより、雰囲気中に含まれる処理液によって、ハウジング32内の構成が損傷されることが抑制または防止されている。
【0143】
また、処理液を含む処理チャンバ内の雰囲気がパッキン43を介してハウジング32内に進入したとしても、本実施形態では、処理液として純水が用いられており、処理チャンバ内の雰囲気に含まれる液体成分が水を主体として構成されているので、当該液体成分によって、ハウジング32内の構成が損傷されることはない。
【0144】
図13は、Z軸移動機構30の概略構成の正面図であり、図14は、Z軸移動機構30の概略構成の平面図である。
【0145】
Z軸移動機構30は、ボールねじ機構103と、このボールねじ機構103に駆動力を与えるモータ151と、ボールねじ機構103に連結された昇降部材105とを備えている。
【0146】
保持アーム21は、前述の一対の横板44,44と、第1ブラケット106および第2ブラケット107とを介して、昇降部材105に連結されている。保持アーム21は、昇降部材105とともに鉛直方向に昇降する。また、モータ151は、メイン制御部17によって制御されるようになっている。
【0147】
図15は、図13におけるXV−XV線に沿うZ軸移動機構30の横断面図であり、図16は、図14におけるXVI−XVI線に沿うZ軸移動機構30の縦断面図である。
【0148】
ボールねじ機構103は、鉛直方向に延びるボールねじ108と、図示しない複数のボールを介してボールねじ108に螺合するボールナット109とを含む。図16に示すように、モータ151は、ボールねじ108の下方で、その出力軸151aを上方に向けて保持ブラケット111に保持されている。モータ151の出力軸151aは、継手112を介してボールねじ108の下端に連結されている。出力軸151aの回転は、継手112を介してボールねじ108に伝達される。
【0149】
図16に示すように、モータ151を保持する保持ブラケット111は、水平方向に沿って配置された平板状の第1ベース部材113に固定されている。また、図15に示すように、ボールナット109は、当該ボールナット109の移動を案内するためのガイド部材114を介して第1ベース部材113に固定されている。
【0150】
ガイド部材114は、第1ベース部材113に沿って鉛直方向に延びている。ガイド部材114には、鉛直方向に延びるガイド溝115が形成されている。ボールナット109は、このガイド溝115に嵌合しており、このガイド溝115に沿って鉛直方向に案内される。
【0151】
ボールナット109は四角柱状をなしており、その中心部に、鉛直方向に延びるねじ孔116が形成されている。ボールねじ108は、複数のボールを介して、このねじ孔116に螺合している。図15に示すように、昇降部材105は、ボールナット109の一端部(図15では下端部)に固定されている。昇降部材105は、ボールナット109とともに鉛直方向に昇降するようになっている。
【0152】
モータ151の出力軸151aが回転すると、この回転がボールねじ108に伝達され、ボールナット109がガイド部材114に沿って鉛直方向に移動する。これにより、昇降部材105、第1および第2ブラケット106,107、一対の横板44,44ならびに保持アーム21が、鉛直方向に移動する。このようにして、保持アーム21およびブラシ20が鉛直方向(Z軸方向)に移動するようになっている。
【0153】
図17は、Y軸移動機構31の概略構成の正面図であり、図18は、図17におけるXVIII−XVIII線に沿うY軸移動機構31の横断面図である。
【0154】
Y軸移動機構31は、水平方向(Y軸方向)に所定距離離隔して配置された第1プーリ117および第2プーリ118と、この第1および第2プーリ117,118に掛け渡されたベルト119と、第1プーリ117に連結されたモータ152と、クランプ部材121を介してベルト119に連結された第2ベース部材122と、第2リニアガイド機構123を介して第2ベース部材122を水平移動可能に支持するL形ブラケット124とを備えている。
【0155】
モータ152は、出力軸152aがほぼ水平になるように配置されており、台座163を介して処理チャンバC1に固定されている。第1プーリ117は、出力軸152aに同軸的に連結されている。第1プーリ117は、このモータ152によって回転駆動される。モータ152は、メイン制御部17によって制御される。また、第2プーリ118は、図18に示すように、支軸126を介して台座164に回転可能に支持されている。台座164は、処理チャンバC1に固定されている。
【0156】
モータ152によって第1プーリ117が回転駆動されると、この第1プーリ117の回転は、ベルト119を介して第2プーリ118に伝達される。これにより、クランプ部材121が水平方向に移動する。すなわち、クランプ部材121は、ベルト119に固定されており、ベルト119の回転にともなって水平方向に移動するようになっている。
【0157】
図17に示すように、クランプ部材121は、互いに固定された第1クランプ部材127および第2クランプ部材128を含む。ベルト119は、第1および第2クランプ部材127,128によって挟持されている。これにより、クランプ部材121がベルト119に固定されている。第1クランプ部材127は、第2ベース部材122に固定されており、ベルト119の回転にともなってクランプ部材121が水平方向に移動すると、この第2ベース部材122も水平方向に移動するようになっている。
【0158】
図17に示すように、第2ベース部材122は、第1ベース部材113に固定された平板状の固定部129と、この固定部129に対して直交する平板状の直交部130とを含む。固定部129は、第1ベース部材113の背面側(ボールねじ機構103等が配置されていない側)に配置されている。固定部129は、この背面側から第1ベース部材113に固定されている。また、直交部130は、第2リニアガイド134を介して、L形ブラケット124に連結されている。L形ブラケット124は、鉛直方向に延びるとともに水平方向に延びる鉛直部131と、この鉛直部131の下端部から水平方向に延びる水平部132とを含む。
【0159】
第2リニアガイド機構123は、直交部130に固定された第2スライド部材133と、この第2スライド部材133と対をなす第2リニアガイド134とを備えている。第2リニアガイド134は、平板状の部材であり、水平方向に延びている。第2リニアガイド134は、L形ブラケット124の鉛直部131に固定されている。
【0160】
第2スライド部材133には、水平方向に延びる第2スライド溝135が形成されている。第2スライド部材133は、この第2スライド溝135に第2リニアガイド134が嵌合した状態で、当該第2リニアガイド134に保持されている。第2スライド部材133は、第2リニアガイド134に対して水平方向にスライド移動可能である。第2リニアガイド134は、水平方向への第2スライド部材133の移動を案内する。したがって、第2スライド部材133に固定された第2ベース部材122も第2リニアガイド134によって水平方向に案内される。第2ベース部材122が水平方向に移動すると、当該第2ベース部材122に固定された第1ベース部材113も水平方向に移動する。
【0161】
すなわち、モータ152によって第1プーリ117が回転駆動されると、ベルト119が回転してクランプ部材121が水平方向に移動する。これにより、第1および第2ベース部材113,122が水平方向に移動して保持アーム21が水平方向に移動される。このようにして、保持アーム21およびブラシ20が水平方向(Y軸方向)に移動するようになっている。
【0162】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では全ての処理ユニット10が裏面洗浄処理ユニットである場合について説明したが、基板Wの表面をスクラブ洗浄するための表面洗浄処理ユニットが、処理ユニット10に含まれていてもよいし、全ての処理ユニット10が表面洗浄処理ユニットとされていてもよい。
【0163】
また、処理ユニット10が表面洗浄処理ユニットである場合、スピンチャック18は、前述の基板Wの端面を挟持して当該基板Wを保持する構成のものに限らず、たとえば、基板Wの裏面を真空吸着することにより基板Wをほぼ水平な姿勢で保持し、さらにその状態でほぼ鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持した基板Wを回転させることができる真空吸着式のもの(バキュームチャック)が採用されてもよい。
【0164】
また、前述の実施形態では、基板Wの裏面をブラシ20によってスクラブ洗浄する場合に本発明を適用する例について説明したが、基板Wの周端面をブラシ20によって洗浄する場合(いわゆるベベル洗浄)に本発明が適用されてもよい。
【0165】
また、前述の実施形態では、力点部96と支点(支点軸93)との距離が、作用点部97と支点との距離にほぼ等しくなるように設定されている場合について説明したが、たとえば、力点部96と支点との距離が、作用点部97と支点との距離よりも短く設定されていてもよい。この場合、基板Wに対するブラシ20の押し付け圧を容易に、かつ、精度良く管理することができる。すなわち、力点部96と支点との距離が作用点部97と支点との距離よりも短く設定されているので、押圧用アクチュエータ92から力点部96に付与される駆動力にばらつきが生じたとしても、作用点部97からブラケット82に付与される力のばらつきの幅は、力点部96に付与される駆動力のばらつきの幅よりも小さくなる。したがって、押圧用アクチュエータ92からシーソー部材91に付与される駆動力を精度良く管理しなくても、作用点部97から伝達部材に付与される力をほぼ一定に保つことができる。これにより、基板Wに対するブラシ20の押し付け圧を容易に、かつ、精度良く管理することができる。
【0166】
また、力点部96と支点との距離が、作用点部97と支点との距離よりも長く設定されていてもよい。この場合、力点部96に与えられる駆動力が増幅されて作用点部97に伝達されるので、押圧用アクチュエータとして、発生駆動力の小さいものを用いることができる。それに応じて、押圧用アクチュエータの小型化を図ることができ、結果として、処理ユニット10をより一層低背化することができる。
【0167】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。
【図2】図1における矢視II方向から見た基板処理装置の図解的な正面図である。
【図3】基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図4】裏面洗浄処理ユニットの概略構成の正面図である。
【図5】裏面洗浄処理ユニットの概略構成の平面図である。
【図6】保持アームの平面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う保持アームの縦断面図である。
【図8】ブラシ保持機構の拡大断面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に沿うブラシ保持機構の横断面図である。
【図10】図6におけるX−X線に沿う保持アームの縦断面図である。
【図11】図6におけるXI−XI線に沿う保持アームの縦断面図である。
【図12】図6における矢視XII方向から見た保持アームの図解的な側面図である。
【図13】Z軸移動機構の概略構成の正面図である。
【図14】Z軸移動機構の概略構成の平面図である。
【図15】図13におけるXV−XV線に沿うZ軸移動機構の横断面図である。
【図16】図14におけるXVI−XVI線に沿うZ軸移動機構の縦断面図である。
【図17】Y軸移動機構の概略構成の正面図である。
【図18】図17におけるXVIII−XVIII線に沿うY軸移動機構の横断面図である。
【符号の説明】
【0169】
1 基板処理装置
20 ブラシ
45 回転シャフト(シャフト、伝達部材)
79 第1リニアガイド機構(ガイド機構)
82 ブラケット(伝達部材)
83 水平板(被作用点部)
90 支持部材
91 シーソー部材
92 押圧用アクチュエータ
93 支点軸(支点)
95 貫通孔(肉抜き部)
96 力点部
97 作用点部
150 モータ(回転用アクチュエータ)
W 基板
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板をブラシで洗浄処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程において用いられる基板処理装置に備えられる枚葉式の処理ユニットは、たとえば、基板をほぼ水平に保持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックに保持された基板に処理液を供給するためのノズルとを備えている。基板をスクラブ洗浄するための処理ユニットは、さらに、前記スピンチャックに保持された基板をスクラブ洗浄するためのブラシを備えている。
【0003】
ブラシは、当該ブラシを基板に押し付けることができる保持アームによって保持されている。保持アームには、当該保持アームを移動させることにより、ブラシを基板に接離させたり、基板にブラシを当接させた状態で当該ブラシを当該基板に沿って移動させたりすることができるブラシ移動機構が接続されている。
【0004】
基板の上面に対するスクラブ洗浄の際には、たとえば、スピンチャックによって基板を水平面内で回転させつつ、ノズルから当該基板の上面に処理液が供給される。さらに、保持アームによって基板の上面にブラシを押し付けた状態で、前記ブラシ移動機構によって当該ブラシが当該基板の上面に沿って移動させられる。
【0005】
保持アームは、たとえば、ハウジングと、このハウジングの下面からその下端が突出するシャフトと、前記ハウジング内においてシャフトの上方に配置されたブラシ押圧用のアクチュエータとを備えている。
【0006】
スピンチャックに保持された基板にブラシが当接または近接した状態で、前記アクチュエータによってシャフトに荷重が与えられる。これにより、シャフトの下端に取り付けられたブラシが基板の表面に押し付けられる。
【特許文献1】特開2001−9388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来装置において、保持アームは、ブラシ押圧用のアクチュエータがシャフトの上方に配置されているので、上下方向の高さが大きくなってしまう。そのため、この保持アームが搭載された処理ユニットは、上下方向の高さが大きくなる。
【0008】
一方、基板処理装置に複数の処理ユニットを備える場合に、その占有する面積(フットプリント)を抑制する目的で、処理ユニットが上下方向に積層配置される場合がある。このような構成の基板処理装置に前述のような保持アームを有する処理ユニットを用いると、基板処理装置全体の鉛直方向の高さが大きくなってしまう。これにより、クリーンルームの天井高範囲内で設計することが困難になったり、このような設計が可能であったとしても、メンテナンスが困難となったりする問題がある。
【0009】
そこで、この発明の目的は、高さを低減しながら、ブラシによる基板洗浄が可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を洗浄するためのブラシ(20)と、支持部材(90)を支点(93)として揺動可能であって、前記支点に対して一方側に力点部(96)を有し、前記支点に対して他方側に作用点部(97)を有するシーソー部材(91)と、前記シーソー部材の力点部に駆動力を与え、当該シーソー部材を前記支点を中心に揺動させることにより、当該シーソー部材に前記ブラシを基板に押し付けるための押し付け力を付与する押圧用アクチュエータ(92)と、前記シーソー部材の前記作用点部から、前記力点部に与えられた駆動力を受ける被作用点部(83)を有し、前記ブラシに対して、当該ブラシを基板に押し付けるための押し付け力を伝達する伝達部材(45,82)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0011】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
【0012】
この発明によれば、シーソー部材を設けることによって、押圧用アクチュエータの配置の自由度が高められている。すなわち、ブラシを基板に押し付けるための押し付け力が、押圧用アクチュエータからシーソー部材の力点部に付与されるようにされていれば、当該押圧用アクチュエータは、シーソー部材の上方に配置されていてもよいし、下方に配置されていてもよいし、側方に配置されていてもよい。したがって、押圧用アクチュエータを適切に配置することにより、基板処理装置の高さを低減することができる。
【0013】
この発明において、ブラシは、前記押し付け力としての押圧用アクチュエータの駆動力がシーソー部材に入力され、さらに、この駆動力が伝達部材を介してシーソー部材からブラシに伝達されることにより、基板に押し付けられる。
【0014】
すなわち、押圧用アクチュエータは、シーソー部材の力点部に駆動力を入力することにより、支持部材を支点として当該シーソー部材を揺動させることができる。そして、押圧用アクチュエータによってシーソー部材が揺動されると、押圧用アクチュエータの駆動力が、シーソー部材の作用点部から伝達部材に伝達され、さらに、伝達部材からブラシに伝達される。これにより、ブラシが基板に押し付けられる。
【0015】
このようにして、基板処理装置の全高を抑制しつつ、基板に対してブラシによる洗浄処理を施すことができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、前記シーソー部材が、鉛直面に沿って揺動するように、前記支持部材に支持されており、前記アクチュエータが、前記シーソー部材の前記力点部の下方から駆動力を与えるように配置されており、前記伝達部材が、前記シーソー部材の前記作用点部の下方に延び、その下端部に前記ブラシが結合されたシャフト(45)を含む、請求項1記載の基板処理装置である。
【0017】
この発明によれば、押圧用アクチュエータがシーソー部材の下方に配置されている。すなわち、押圧用アクチュエータをシーソー部材の下方に配置することによって、基板処理装置の鉛直方向の高さが低減されている。
【0018】
押圧用アクチュエータは、シーソー部材の力点部の下方から当該力点部に駆動力を付与することにより、当該シーソー部材を鉛直面に沿って揺動させることができる。シーソー部材は、この揺動によって、前記駆動力を作用点部から伝達部材に伝達することができる。これにより、シャフトを介して前記駆動力がブラシに伝達され、当該ブラシが基板に押し付けられる。
【0019】
請求項3記載の発明は、前記シャフトの側方に配置され、前記シャフトを当該シャフトの軸方向に案内するガイド機構(79)を含む、請求項2記載の基板処理装置である。
【0020】
この発明によれば、ガイド機構がシャフトの側方に配置されているので、基板処理装置の鉛直方向の高さが低減されている。
【0021】
また、ガイド機構を設けて、シャフトを当該シャフトの軸方向に案内させることにより、当該シャフトをその軸方向に円滑に移動させることができる。これにより、シャフトの下端に結合されたブラシを確実に基板に押し付けることができる。
【0022】
請求項4記載の発明は、前記シャフトの側方に配置され、前記シャフトおよびブラシを一体的に回転させる回転用アクチュエータ(150)をさらに含む、請求項2または3記載の基板処理装置である。
【0023】
この発明によれば、回転用アクチュエータがシャフトの側方に配置されているので、基板処理装置の鉛直方向の高さが低減されている。
【0024】
回転用アクチュエータによるシャフトおよびブラシの一体回転は、ブラシによる基板の洗浄中に実施されてもよいし、ブラシによる基板の洗浄が行われていない間(たとえばブラシが待機位置にある間)に実施されてもよい。
【0025】
請求項5記載の発明は、前記シーソー部材が、肉抜き部(95)を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0026】
この発明によれば、シーソー部材を軽量化することができる。これにより、基板処理装置を軽量化することができるとともに、押圧用アクチュエータによる駆動力をブラシに伝達する際の追従性の向上を図ることができる。
【0027】
請求項6記載の発明は、前記力点部と前記支点との距離が、前記作用点部と前記支点との距離とは異なっている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0028】
たとえば、前記力点部と前記支点との距離を前記作用点部と前記支点との距離よりも長く設定してもよい。このようにすれば、てこの原理によって、押圧用アクチュエータの駆動力が増幅されてブラシへと伝達される。そのため、押圧用アクチュエータとして、駆動力が小さく、それに応じて小型のものを適用できる。したがって、基板処理装置の全高をより一層小さくすることができる。
【0029】
また、前記力点部と前記支点との距離を前記作用点部と前記支点との距離よりも短く設定してもよい。この場合、押圧用アクチュエータの駆動力が減衰されてブラシへと伝達される。そのため、押圧用アクチュエータから前記力点部に付与される駆動力にばらつきが生じたとしても、前記作用点部から伝達部材を介してブラシへと付与される力のばらつきの幅は、前記力点部に付与される駆動力のばらつきの幅よりも小さくなる。したがって、押圧用アクチュエータからシーソー部材に付与される駆動力を精度良く管理しなくても、前記作用点部から伝達部材に付与される力をほぼ一定に保つことができる。これにより、基板に対するブラシの押し付け圧を容易に、かつ、精度良く管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す図解的な平面図であり、図2は、図1における矢視II方向から見た基板処理装置1の図解的な正面図である。また、図3は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。この基板処理装置1は、たとえば洗浄処理等の各種の処理を半導体ウエハ等の基板Wに対して施すための装置である。基板処理装置1は、インデクサブロック2と、このインデクサブロック2に結合された処理ブロック3とを備えている。
【0032】
インデクサブロック2は、キャリア保持部4と、インデクサロボットIRと、インデクサロボット移動機構5(以下では、「IR移動機構5」という。)とを備えている。キャリア保持部4は、複数枚の基板Wを収容できるキャリアCを保持することができる。インデクサロボットIRは、キャリア保持部4に保持されたキャリアCに対して処理済の基板Wを搬入する搬入動作、および、未処理の基板WをキャリアCから搬出する搬出動作を行う。IR移動機構5は、インデクサロボットIRを水平方向に移動させる機能を有する。
【0033】
より詳細に説明すると、キャリア保持部4は、複数(たとえば4個)のキャリアCを保持することができるようになっている。キャリアCの内部には、複数枚の基板Wが上下方向に間隔を隔ててほぼ水平に保持されている。各基板Wは、キャリアCによって、デバイス形成領域が設けられた側の面である表面を上方に向けてほぼ水平に保持されている。
【0034】
キャリアCとしては、たとえば、基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)や、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、OC(Open Cassette)等を用いることができる。
【0035】
キャリアCは、所定の配列方向U(以下「キャリア配列方向U」という。)に沿って配列された状態で、キャリア保持部4に保持されるようになっている。IR移動機構5は、このキャリア配列方向Uに沿ってインデクサロボットIRを移動させることができる。
【0036】
IR移動機構5は、たとえば、インデクサロボットIRの移動する方向(すなわち、前記キャリア配列方向U)に沿って延びて配置され、インデクサロボットIRの移動を案内するリニアガイド(図示せず)と、このリニアガイドに沿うインデクサロボットIRの移動動作を駆動制御するベルト機構またはボールねじ機構等の駆動機構(図示せず)とから構成されている。
【0037】
インデクサロボットIRは、第1上アーム6の先端に取り付けられた第1上ハンド8と、第1下アーム7の先端に取り付けられた第1下ハンド9とを備えている。第1上ハンド8および第1下ハンド9は、上下方向に高さをずらして配置されており、互いに干渉しないようにされている。インデクサロボットIRは、この第1上ハンド8および第1下ハンド9によって基板Wを保持することができる。
【0038】
図示はしないが、インデクサロボットIRには第1回転駆動機構が内蔵されている。第1回転駆動機構は、第1上ハンド8および第1下ハンド9を対応するアーム6,7とともに所定の鉛直軸線まわりに回転させることができる。また同じく図示はしないが、インデクサロボットIRには第1昇降駆動機構が内蔵されている。第1昇降駆動機構は、第1上ハンド8および第1下ハンド9を対応するアーム6,7とともに鉛直方向に昇降させることができる。
【0039】
IR移動機構5によって、インデクサロボットIRをキャリア配列方向Uに沿って移動させるとともに、第1回転駆動機構によって、第1上ハンド8および第1下ハンド9を所定の鉛直軸線まわりに回転させることによって、第1上ハンド8および第1下ハンド9を各キャリアCに対向させることができる。インデクサロボットIRは、第1上ハンド8および第1下ハンド9がキャリアCに対向した状態で各アーム6,7を伸長させることにより、当該アーム6,7の先端に取り付けられたハンド8,9を当該キャリアCにアクセスさせることができる。
【0040】
一方、処理ブロック3は、基板Wに処理を施すための複数の処理ユニット10と、メインロボットMRとを備えている。メインロボットMRは、複数の処理ユニット10に対して未処理の基板Wを搬入する搬入動作、および、処理済の基板Wを処理ユニット10から搬出する搬出動作を行う。本実施形態では、たとえば、8つの処理ユニット10が設けられている。
【0041】
8つの処理ユニット10は、それぞれ、4つの処理ユニット10が上下方向に積み重ねられた第1処理ユニット部11および第2処理ユニット部12を構成している。第1および第2処理ユニット部11,12は、キャリア配列方向Uに所定距離離隔した状態で並んで配置されている。また、図1に示すように、第1および第2処理ユニット部11,12とキャリア保持部4とは、キャリア配列方向Uに直交する水平方向に所定距離離隔して配置されている。メインロボットMRは、第1処理ユニット部11と第2処理ユニット部12との間に配置されており、インデクサロボットIRは、第1および第2処理ユニット部11,12とキャリア保持部4との間に配置されている。
【0042】
各処理ユニット10では、たとえば、前記表面と反対の面である裏面をスクラブ洗浄するための裏面洗浄処理が一枚の基板Wに対して行われるようになっている。以下では、処理ユニット10を、「裏面洗浄処理ユニット10」ともいう。
【0043】
メインロボットMRは、第2上アーム13の先端に取り付けられた第2上ハンド15と、第2下アーム14の先端に取り付けられた第2下ハンド16とを備えている。第2上ハンド15および第2下ハンド16は、上下方向に高さをずらして配置されており、互いに干渉しないようにされている。メインロボットMRは、この第2上ハンド15および第2下ハンド16によって基板Wを保持することができる。
【0044】
図示はしないが、メインロボットMRには第2回転駆動機構が内蔵されている。第2回転駆動機構は、第2上ハンド15および第2下ハンド16を対応するアーム13,14とともに所定の鉛直軸線まわりに回転させることができる。また同じく図示はしないが、メインロボットMRには第2昇降駆動機構が内蔵されている。第2昇降駆動機構は、第2上ハンド15および第2下ハンド16を対応するアーム13,14とともに鉛直方向に昇降させることができる。
【0045】
第2回転駆動機構によって、第2上ハンド15および第2下ハンド16を所定の鉛直軸線まわりに回転させるとともに、第2昇降駆動機構によって、第2上ハンド15および第2下ハンド16を鉛直方向に昇降させることにより、第2上ハンド15および第2下ハンド16を各裏面洗浄処理ユニット10に対向させることができる。メインロボットMRは、第2上ハンド15および第2下ハンド16が裏面洗浄処理ユニット10に対向した状態で各アーム13,14を伸長させることにより、当該アーム13,14の先端に取り付けられたハンド15,16を当該裏面洗浄処理ユニット10にアクセスさせることができる。
【0046】
また、インデクサブロック2と処理ブロック3との境界部分には、基板Wを反転させるための第1反転ユニットRT1、第2反転ユニットRT2およびインデクサロボットIRとメインロボットMRとの間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS1、PASS2が上下に設けられている。第1反転ユニットRT1は、基板載置部PASS1、PASS2の上方に設けられており、第2反転ユニットRT2は、基板載置部PASS1、PASS2の下方に設けられている。第1および第2反転ユニットRT1,RT2は、それぞれ、基板Wをほぼ水平に保持するとともに、当該基板Wを保持した状態で当該基板Wの上下を反転させることができる。
【0047】
図示はしないが、第1および第2反転ユニットRT1,RT2は、たとえば、ほぼ水平に配置された固定板と、この固定板に対して平行に配置され、当該固定板に対して平行に近接または離反可能な可動板と、これら固定板および可動板を一体的に回転させる回転駆動機構とをそれぞれ備えている。基板Wは、固定板と可動板との間でほぼ水平に保持されるようになっている。固定板と可動板との間に基板Wが保持された状態で、回転駆動機構が固定板および可動板を一体的に回転させることにより、当該基板Wの上下が反転されるようになっている。
【0048】
上側の基板載置部PASS1は、基板Wを処理ブロック3からインデクサブロック2へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS2は、基板Wをインデクサブロック2から処理ブロック3へ搬送する際に用いられる。
【0049】
基板載置部PASS1、PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示せず)が設けられている。それにより、基板載置部PASS1、PASS2において基板Wが載置されているか否かの判定を行うことが可能となる。また、基板載置部PASS1、PASS2には、基板Wの下面を支持する複数本の支持ピン(図示せず)が設けられている。インデクサロボットIRとメインロボットMRとの間で基板Wの受け渡しが行われる際には、基板Wが一時的に基板載置部PASS1、PASS2の支持ピン上に載置される。
【0050】
インデクサロボットIR、メインロボットMR、ならびに、第1および第2反転ユニットRT1,RT2の動作は、インデクサブロック2に設けられたメイン制御部17によって制御される。メイン制御部17は、CPU(中央演算処理装置)を含むコンピュータ等からなる。
【0051】
図3に示すように、メイン制御部17には、インデクサロボットIR、メインロボットMR、IR移動機構5、第1反転ユニットRT1、第2反転ユニットRT2および各裏面洗浄処理ユニット10が制御対象として接続されている。
【0052】
基板処理装置1による基板Wの処理動作は、メイン制御部17により制御される。
【0053】
まず、インデクサロボットIRは、キャリア保持部4に保持されたキャリアCの1つから第1下ハンド9を用いて未処理の基板Wを取り出す。この時点では基板Wの表面が上方に向けられている。インデクサロボットIRの第1下ハンド9は、基板Wの裏面の周縁部および外周端部を保持する。インデクサロボットIRは、キャリア配列方向Uに移動しつつ鉛直軸線回りで回転し、未処理の基板Wを基板載置部PASS2に載置する。
【0054】
基板載置部PASS2に載置された基板Wは、メインロボットMRにより受け取られ、第2反転ユニットRT2に搬入される。第2反転ユニットRT2において、表面が上方に向けられた基板Wが、裏面が上方を向くように反転される。反転後の基板Wは、メインロボットMRにより第2反転ユニットRT2から搬出され、続いて裏面洗浄処理ユニット10に搬入される。裏面洗浄処理ユニット10においては、基板Wの裏面に洗浄処理が行われる。
【0055】
裏面が洗浄された基板Wは、メインロボットMRにより裏面洗浄処理ユニット10から搬出され、続いて第1反転ユニットRT1に搬入される。第1反転ユニットRT1においては、裏面が上方に向けられた基板Wが、表面が上方を向くように反転される。反転後の基板Wは、メインロボットMRにより第1反転ユニットRT1から搬出され、基板載置部PASS1に載置される。基板載置部PASS1に載置された基板Wは、インデクサロボットIRにより受け取られ、キャリアC内に収納される。
【0056】
図4は、裏面洗浄処理ユニット10の概略構成の正面図であり、図5は、裏面洗浄処理ユニット10の概略構成の平面図である。
【0057】
各裏面洗浄処理ユニット10は、図示しない処理チャンバと、基板Wをほぼ水平に保持して回転させるスピンチャック18と、このスピンチャック18に保持された基板Wに薬液を供給するための薬液ノズル19aと、純水を供給するための純水ノズル19bと、スピンチャック18に保持された基板Wをスクラブ洗浄するためのブラシ20とを備えている。これらスピンチャック18、薬液ノズル19a、純水ノズル19bおよびブラシ20は、処理チャンバ内に収容されている。
【0058】
ブラシ20は、たとえば、PVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジ状の部材である。ブラシ20は、当該ブラシ20を基板Wに押し付けるための保持アーム21によって、その下方で保持されている。保持アーム21には、当該保持アーム21を移動させることにより、ブラシ20を基板Wに接離させるとともに、基板Wにブラシ20を当接させた状態で当該ブラシ20を当該基板Wに沿って移動させるブラシ移動機構22が接続されている。
【0059】
スピンチャック18は、円板状のスピンベース23と、このスピンベース23をほぼ水平に支持するとともに鉛直軸線まわりに回転自在な回転軸24と、この回転軸24に回転力を与えるチャック回転駆動機構25とを備えている。図5に示すように、スピンベース23の上面には、基板Wの端面に接触して当該基板Wを挟持する複数のチャックピン26が立設されている。複数のチャックピン26は、ピン駆動機構27によって一体的に駆動される。この構成により、基板Wをほぼ水平な状態に保持して回転させることができる。
【0060】
本実施形態では、裏面が上方に向けられた未処理の基板Wが、メインロボットMRによってスピンチャック18に搬入されるようになっている。また、処理済の基板Wは、メインロボットMRによってスピンチャック18から搬出されるようになっている。
【0061】
薬液ノズル19aは、当該薬液ノズル19aから吐出された薬液が、スピンチャック18に保持された基板Wのほぼ回転中心に向けて供給されるように配置されている。薬液ノズル19aには、薬液供給源からの薬液が薬液バルブ28を介して供給されている。また、純水ノズル19bは、当該純水ノズル19bから吐出された純水が、スピンチャック18に保持された基板Wのほぼ回転中心に向けて供給されるように配置されている。純水ノズル19bには、リンス液の一例としての純水(脱イオン水)が純水バルブ29を介して純水供給源から供給されている。
【0062】
すなわち、薬液バルブ28を開くことにより、薬液ノズル19aから基板Wに薬液を供給することができ、純水バルブ29を開くことにより、純水ノズル19bから基板Wに純水を供給することができる。スピンチャック18を回転状態として処理液(薬液または純水)を基板Wのほぼ回転中心に供給すると、この処理液は遠心力を受けて基板Wの上面(裏面)のほぼ全域に広がり、基板Wの周端縁から外方へと流下していくことになる。
【0063】
薬液ノズル19aに供給される薬液としては、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水のうちの少なくとも1つを含む液を例示することができる。具体的には、薬液として、SC―1(アンモニアと過酸化水素水との混合液)や、TMAH(テトラ・メチル・アンモニウム・ハイドロオキサイド:水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いることができる。また、純水ノズル19bに供給されるリンス液としては、純水以外に、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、磁気水や、希釈濃度(たとえば、1ppm程度)のアンモニア水などを例示することができる。
【0064】
ブラシ移動機構22は、保持アーム21を上下方向(Z軸方向)に移動させるためのZ軸移動機構30と、保持アーム21を水平方向(Y軸方向)に移動させるためのY軸移動機構31とを含む。
【0065】
Z軸移動機構30が保持アーム21を上下方向に移動させると、ブラシ20は、保持アーム21とともに、上下方向に移動する。また、Y軸移動機構31が保持アーム21を水平方向に移動させると、ブラシ20は、保持アーム21とともに水平方向に移動する。この構成により、ブラシ20は、基板Wの上方で水平方向に移動することができるとともに、上下動して基板Wに接離することができるようになっている。
【0066】
基板Wの裏面に対するスクラブ洗浄に際しては、スピンチャック18によって基板Wを水平面内で回転させつつ薬液ノズル19aから当該基板Wの上面に薬液が供給される。さらに、Z軸移動機構30および保持アーム21によってブラシ20が基板Wの上面に押し付けられる。この状態で、Y軸移動機構31によってブラシ20が当該基板Wの上面に沿って移動させられる。これにより、ブラシ20が基板Wの回転中心から周縁部まで移動していき、その過程で、ブラシ20が基板Wの上面の全域をスキャンしながらスクラブしていく。
【0067】
スクラブ洗浄が行われた後は、ブラシ20が基板Wから離反された状態で、回転中の基板Wに対して純水が純水ノズル19bから供給される。これにより、基板Wの上面が洗い流されて、薬液やパーティクル等の異物が基板Wの上面から除去される。基板Wに純水が供給された後は、基板Wの回転速度が予め定める高回転速度に上げられて、基板W上の純水を基板Wの回転による遠心力によって振り切って基板Wを乾燥させる乾燥工程が行われる。乾燥工程が終了すると、スピンチャック18による基板Wの回転が停止されて、処理済の基板WがメインロボットMRによってスピンチャック18から搬出されていく。
【0068】
図6は、保持アーム21の平面図であり、図7は、図6におけるVII−VII線に沿う保持アーム21の縦断面図である。図6では、ハウジング32の一部(後述の上板38)の図示を省略している。
【0069】
保持アーム21は、概ね四角箱形のハウジング32と、ブラシ20を保持するためのブラシ保持機構33と、ブラシ20を鉛直軸線まわりに回転させるためのブラシ回転機構34と、ブラシ20に鉛直下向きの荷重を加えるための荷重付加機構35とを備えている。ブラシ保持機構33、ブラシ回転機構34および荷重付加機構35は、ハウジング32内に収容されている。
【0070】
ハウジング32は、図7に示すように、互いに嵌め合わされた上ハウジング36および下ハウジング37を含む。上ハウジング36は、下端が開放された四角箱形である。上ハウジング36は、矩形の上板38と、この上板38に連結された四角筒状の周壁39とを含む。また、下ハウジング37は、上端が開放された概ね四角箱形である。下ハウジング37は、矩形の底部40と、この底部40の外周に沿って設けられた周壁部41とを含む。
【0071】
図7に示すように、上ハウジング36の周壁39の下端部は、下ハウジング37の周壁部41の上端部に外嵌している。周壁39と周壁部41との間には、環状のパッキン43が介在している。このパッキン43によって、上ハウジング36と下ハウジング37との間が適度に密閉されている。すなわち、パッキン43は、たとえば、スポンジ状の部材であり、適度に気体を流通させることができる。
【0072】
図6に示すように、下ハウジング37の外周面には、一対の横板44,44が固定されている。前述のZ軸移動機構30およびY軸移動機構31は、この一対の横板44,44を介して保持アーム21に接続されている。また、図7に示すように、底部40の先端側(図7において左側)には、ブラシ保持機構33が挿通する挿通孔42が形成されている。
【0073】
図8は、ブラシ保持機構33の拡大断面図である。
【0074】
ブラシ保持機構33は、鉛直方向に延びるシャフトとしての回転シャフト45と、この回転シャフト45を鉛直方向に移動可能に支持する支持機構46とを含む。
【0075】
回転シャフト45は下ハウジング37の底部40に設けられた挿通孔42を挿通している。回転シャフト45の上端は、上ハウジング36の上板38の近傍にまで至っており、その下端部は下ハウジング37の下面から下方に突出している(図7参照)。
【0076】
回転シャフト45の下端部には、ブラシホルダ47が取り付けられるホルダ取付部48が設けられている。ブラシ20は、このブラシホルダ47に保持されている。ブラシ20の下端部は、ブラシホルダ47よりも下方に突出している。本実施形態では、ブラシ20の下面が基板Wを洗浄するための洗浄面となっている。
【0077】
支持機構46は、たとえば円筒状のコイルばね49と、このコイルばね49に係合する第1係合部材50および第2係合部材51とを含む。第1係合部材50および第2係合部材51は、それぞれ、板状の部材であり円環状をなしている。回転シャフト45は、第1および第2係合部材50,51を挿通している。第1および第2係合部材50,51は、鉛直方向に間隔を隔ててほぼ水平に配置されている。第1係合部材50は、第2係合部材51の上方に配置されている。
【0078】
第2係合部材51に対向する第1係合部材50の対向面(下面)の周縁部には、コイルばね49の上端部が係合する第1係合溝52が形成されている。また、第1係合部材50に対向する第2係合部材51の対向面(上面)の周縁部には、コイルばね49の下端部が係合する第2係合溝53が形成されている。コイルばね49は、回転シャフト45に外嵌しており、第1および第2係合部材50,51間に配置されている。コイルばね49の上端および下端は、それぞれ、第1係合溝52および第2係合溝53に係合している。コイルばね49は、第1および第2係合部材50,51間で圧縮されるようになっている。
【0079】
第1係合部材50は、一体回転可能に回転シャフト45に連結されている。第1係合部材50の上方には回転シャフト45に連結された押さえナット54が配置されている。第1係合部材50は、この押さえナット54によって押されて回転シャフト45とともに下方に移動するようになっている。
【0080】
また、第2係合部材51は、その下方に配置された、第1プーリ73、第1筒状ハウジング55および一対のベアリング140,141を介して下ハウジング37に支持されている。第2係合部材51、第1プーリ73、第1筒状ハウジング55および一対のベアリング140,141は、下ハウジング37に対する鉛直方向への移動が規制されている。回転シャフト45は、第1プーリ73、第1筒状ハウジング55および一対のベアリング140,141を挿通しており、第2係合部材51、第1プーリ73、第1筒状ハウジング55および一対のベアリング140,141に対して、鉛直方向に移動可能となっている。
【0081】
回転シャフト45およびブラシ20等の自重は、押さえナット54を介して第1係合部材50に伝達されており、さらに、第1係合部材50からコイルばね49に伝達されている。したがって、コイルばね49は、回転シャフト45およびブラシ20等の自重によって下方に押さえつけられている。コイルばね49には、回転シャフト45およびブラシ20等の自重に対応した撓みが生じている。回転シャフト45およびブラシ20等は、コイルばね49の弾性反力によって鉛直方向に弾性的に支持されている。したがって、このコイルばね49の弾性反力によって回転シャフト45およびブラシ20等の自重が相殺されている。これにより、当該自重による影響を受けることなく、押圧用アクチュエータ92によって意図した大きさの力をブラシ20に与えることができる。これにより、基板Wに対するブラシ20の押付圧を精度良く管理することができる。
【0082】
鉛直下方への荷重が回転シャフト45に付与されると、当該回転シャフト45は、ブラシ20等とともに、鉛直下方に移動する。また、回転シャフト45に付与された荷重は、第1係合部材50を介してコイルばね49に加えられる。したがって、コイルばね49には、回転シャフト45に付与された荷重の大きさに対応した撓みが生じる。回転シャフト45に付与された鉛直下方への荷重が除去されると、回転シャフト45は、コイルばね49の弾性反力によって上方に移動され、当該荷重が付与される前の位置に戻される。なお、コイルばね49のばね定数は、コイルばね49の撓みに応じた反力が押圧用アクチュエータ92によるブラシ20の押圧精度に影響を及ぼさないように、非常に低いものとなっている。
【0083】
また、前述の第2係合部材51、第1プーリ73および第1筒状ハウジング55は、たとえば、ボルト170によって一体回転可能に連結されている。第1筒状ハウジング55は、一対のベアリング140,141を介して、下ハウジング37に回転可能に支持されている。また、第1プーリ73は、鉛直方向に関して、第2係合部材51と第1筒状ハウジング55との間に配置されている。第1プーリ73は、前述のブラシ回転機構34の一部を構成している。第1プーリ73には、回転シャフト45を回転させるための回転力が入力されるようになっている。
【0084】
回転シャフト45を回転させるための回転力が第1プーリ73に入力されると、第2係合部材51および第1筒状ハウジング55は、第1プーリ73とともに一体回転する。そして、第2係合部材51、第1プーリ73および第1筒状ハウジング55の回転は、コイルばね49の内側の空間に配置された回転伝達機構56によって、回転シャフト45に伝達される。これにより、回転シャフト45が鉛直軸線まわりに回転する。回転伝達機構56の具体的な構成については後述する。
【0085】
一対のベアリング140,141は上下に並んで配置されている。本実施形態では、ベアリング140,141として、たとえば、ラジアルボールベアリングが用いられている。上側のベアリング140の外輪の上端には、下ハウジング37に固定された筒状の上側押さえ部材57が係合している。また、下側のベアリング141の外輪の下端には、下ハウジング37の挿通孔42に嵌合された筒状の下側押さえ部材58が係合している。一対のベアリング140,141は、上側および下側押さえ部材57,58によって、下ハウジング37に固定されている。
【0086】
また、第1筒状ハウジング55の内側の空間には、回転シャフト45を取り囲むベローズ59が配置されている。ベローズ59の上端部は、第1筒状ハウジング55の内側の空間において、回転シャフト45に固定されている。また、ベローズ59の下端部は、第1筒状ハウジング55の下端部に固定された第2筒状ハウジング60と、この第2筒状ハウジング60の内周に嵌合された筒状のベローズ押さえ部材61とによって固定されている。ベローズ59の下端部は、第2筒状ハウジング60の内周とベローズ押さえ部材61の外周とによって挟持されている。
【0087】
このベローズ59によって、処理チャンバ内の処理液を含む雰囲気がハウジング32内に進入することが防止されている。また、このベローズ59によって、ハウジング32内で発生するごみが当該ハウジング32外に流出することが防止されている。これにより、ハウジング32内で発生するごみが基板Wに付着して、当該基板Wが汚染されることが抑制または防止されている。
【0088】
第2筒状ハウジング60は、その上端部を構成する大径部62と、その下端部を構成する小径部63とを含む。大径部62は、第1筒状ハウジング55の下端部に外嵌しており、たとえば止めねじ64によって第1筒状ハウジング55の下端部に一体回転可能に連結されている。また、小径部63と下側押さえ部材58との間には、磁性流体シール65が配置されている。小径部63と下側押さえ部材58との間は、この磁性流体シール65によってシールされている。
【0089】
磁性流体シール65の上端には、下側押さえ部材58の内周に形成された環状のフランジ66が係合している。また、磁性流体シール65の下端には、筒状のシール押さえ部材67が係合している。磁性流体シール65は、シール押さえ部材67とフランジ66とによって挟持され、保持されている。
【0090】
磁性流体シール65によって、処理チャンバ内の処理液を含む雰囲気がハウジング32内に進入することが防止されている。また、磁性流体シール65によって、たとえば、その上方に配置されたベアリング140,141の回転に伴う摩耗によって発生するごみが基板Wに落下することが防止されている。これにより、基板Wの汚染が抑制または防止されている。
【0091】
図9は、図8におけるIX−IX線に沿うブラシ保持機構33の横断面図である。以下では、図8および図9を参照して、回転伝達機構56について説明する。
【0092】
回転伝達機構56は、回転シャフト45に回転力を伝達するとともに、回転シャフト45を当該回転シャフト45の軸方向(鉛直方向)に案内するためのものである。回転伝達機構56は、二対のガイドローラ68と、これらのガイドローラ68を回転可能に支持するローラ支持機構69とを備えている。
【0093】
各ガイドローラ68は、ローラ支持機構69によって、当該ガイドローラ68の中心軸線まわりに回転可能に支持されている。各ガイドローラ68は、その外周面が回転シャフト45に当接するように配置されている。
【0094】
具体的には、回転シャフト45には、四角柱状のガイドローラ当接部70が設けられている。ガイドローラ当接部70は、回転シャフト45の軸方向に延びる4つの平坦面を含む。各ガイドローラ68は、当該ガイドローラ68の外周面がそれぞれ異なる平坦面に当接するように配置されている。
【0095】
すなわち、図9に示すように、各ガイドローラ68は、回転シャフト45を取り囲むように、回転シャフト45の周方向に等間隔を隔てて配置されている。対をなすガイドローラ68は、回転シャフト45を挟んで対向している。図8に示すように、一方の対をなすガイドローラ68は、他方の対をなすガイドローラ68に対して鉛直方向に間隔を隔てて配置されている。
【0096】
一方、ローラ支持機構69は、対をなす第1ローラ支持部材71および第2ローラ支持部材72を含む。図9に示すように、第1および第2ローラ支持部材71,72は、それぞれ平面視においてL形をなしており、回転シャフト45を挟んで対向している。第1および第2ローラ支持部材71,72は、それぞれ、回転シャフト45の周方向に隣接する一対のガイドローラ68,68を回転可能に支持している。第1および第2ローラ支持部材71,72は、第2係合部材51と一体的に形成されており、それぞれ第2係合部材51の上面から上方に延びている。
【0097】
第1および第2ローラ支持部材71,72には、第2係合部材51から回転力が伝達される。第1および第2ローラ支持部材71,72に伝達された回転力は、各ガイドローラ68と回転シャフト45との当接部を介して回転シャフト45に伝達される。これにより、回転シャフト45が鉛直軸線まわりに回転する。
【0098】
また、回転シャフト45が鉛直方向に移動するとき、各ガイドローラ68は、回転シャフト45の移動にともなって当該ガイドローラ68の中心軸線まわりに回転する。これにより、回転シャフト45が円滑に鉛直方向に移動できるようになっている。また、二対のガイドローラ68が鉛直方向に間隔を隔てて配置されているので、回転シャフト45は、当該二対のガイドローラ68によって案内されて、鉛直方向に直進するようになっている。鉛直方向への回転シャフト45の直進安定性は、後述の第1リニアガイド機構79によって高められている。
【0099】
次に、図6および図7を参照して、前述のブラシ回転機構34について説明する。
【0100】
ブラシ回転機構34は、前述の第1プーリ73と、この第1プーリ73と対をなす第2プーリ74と、第1および第2プーリ73,74間に掛け渡されたベルト75と、第2プーリ74に連結された回転用アクチュエータとしてのモータ150とを備えている。
【0101】
モータ150は、回転シャフト45の側方に配置されており、出力軸150aが下方に向けられている。モータ150の上端の位置は、回転シャフト45の上端の位置よりも低くされている。これにより、ハウジング32の鉛直方向への高さが低減されている。ハウジング32の鉛直方向への高さを低減することで、保持アーム21の鉛直方向への高さが低減されており、その結果、処理ユニット10の鉛直方向への高さが低減されている。これにより、基板処理装置1の鉛直方向への高さが低減されている。
【0102】
モータ150は、台座160およびステー78を介して下ハウジング37に固定されている。モータ150の出力軸150aには、第2プーリ74が同軸的に連結されている。第2プーリ74は、このモータ150によって回転駆動される。モータ150によって第2プーリ74が回転駆動されると、この第2プーリ74の回転は、ベルト75を介して第1プーリ73に伝達される。そして、第1プーリ73に伝達された回転は、前述のように、第2係合部材51および回転伝達機構56を介して、回転シャフト45に伝達される。これにより、回転シャフト45が鉛直軸線まわりに回転し、当該回転シャフト45とともに、ブラシ20が鉛直軸線まわりに回転する。
【0103】
ブラシ回転機構34によるブラシ20の回転は、ブラシ20による基板Wの洗浄中に実施されてもよいし、ブラシ20による基板Wの洗浄が行われていない間(たとえばブラシ20が待機位置にある間)に実施されてもよい。本実施形態では、ブラシ20が待機位置にある状態で、ブラシ回転機構34によるブラシ20の回転が実施されるようになっている。
【0104】
図示はしないが、ブラシ20の待機位置には、当該ブラシ20が収容される有底筒状のポッドが配置されている。ブラシ20は、このポッド内で回転される。また、ブラシ20には、このポッド内で純水が供給される。ブラシ20を回転させるとともに、当該ブラシ20に純水を供給することにより、ブラシ20に対して均一に純水が供給される。これにより、ブラシ20に付着している異物が洗い流されるとともに、ブラシ20の乾燥が防止、抑制される。
【0105】
図10は、図6におけるX−X線に沿う保持アーム21の縦断面図である。以下では、図6および図10を参照して、前述の第1リニアガイド機構79について説明する。
【0106】
第1リニアガイド機構79は、第1スライド部材80と、この第1スライド部材80と対をなす第1リニアガイド81とを備えている。第1スライド部材80および第1リニアガイド81は、図10に示すように、それぞれ鉛直方向に延びている。第1スライド部材80および第1リニアガイド81は、回転シャフト45の側方に配置されており、それぞれの上端の位置は、回転シャフト45の上端の位置よりも低くされている。これにより、ハウジング32の鉛直方向への高さが低減されている。したがって、基板処理装置1の鉛直方向への高さが低減されている。
【0107】
第1スライド部材80は、ブラケット82を介して回転シャフト45に連結されている。図10に示すように、ブラケット82は、水平方向に延びる水平板83と、この水平板83の一端部(図10では右端部)から鉛直下方に延びる鉛直板84とを含む。水平板83の上面の位置は、回転シャフト45の上端の位置よりもやや低くされている。
【0108】
第1スライド部材80は、鉛直板84の一端面(図10では左側の面)に固定されている。ブラケット82と第1スライド部材80とは、鉛直方向に一体移動可能に連結されている。また、図6に示すように、第1スライド部材80には、鉛直方向に延びる第1スライド溝85が形成されている。第1リニアガイド81は、この第1スライド溝85に嵌合している。
【0109】
第1リニアガイド81は、図10に示すように、当該第1リニアガイド81を保持するガイド保持部材86を介して下ハウジング37に固定されている。第1スライド部材80は、第1リニアガイド81に対して鉛直方向にスライド移動可能である。第1リニアガイド81は、鉛直方向への第1スライド部材80の移動を案内する。したがって、第1スライド部材80と鉛直方向に一体移動するブラケット82も第1リニアガイド81によって鉛直方向に案内される。
【0110】
また、図10に示すように、水平板83の他端部(図10では左端部)には貫通孔87が形成されている。回転シャフト45の上端部は貫通孔87を挿通している。回転シャフト45の上端部には、当該上端部に外嵌する円筒状のボス88がボルト171によって固定されている。ボス88の一部は貫通孔87内に配置されており、当該ボス88の一部とブラケット82との間には、一対のベアリング142,143と、この一対のベアリング142,143を押さえるための円筒状の蓋部材89とが介在している。
【0111】
一対のベアリング142,143は、上下に並んで配置されており、それぞれボス88に外嵌している。本実施形態では、ベアリング142,143として、たとえば、ラジアルボールベアリングが用いられている。また、蓋部材89は、一対のベアリング142,143に外嵌するとともに、上側のベアリング142の外輪を下方に押さえつけている。蓋部材89は、貫通孔87に嵌合しており、ブラケット82に固定されている。
【0112】
回転シャフト45およびボス88は、回転シャフト45の中心軸線まわりに回転可能にブラケット82に連結されている。また、回転シャフト45およびボス88は、鉛直方向に一体移動可能にブラケット82に連結されている。すなわち、ブラケット82が鉛直方向に移動すると、回転シャフト45も鉛直方向に移動するようになっている。
【0113】
前述のように、ブラケット82は第1リニアガイド機構79によって鉛直方向に案内されるので、当該ブラケット82と鉛直方向に一体移動する回転シャフト45も第1リニアガイド機構79によって鉛直方向に案内される。すなわち、回転シャフト45は、前述の回転伝達機構56および第1リニアガイド機構79によって鉛直方向に案内されるようになっており、この第1リニアガイド機構79によって、鉛直方向への直進安定性が高められている。回転伝達機構56および第1リニアガイド機構79によって、回転シャフト45を当該回転シャフト45の軸方向に案内させることにより、回転シャフト45をその軸方向に円滑に移動させることができる。これにより、ブラシ20を確実に基板Wに押し付けることができる。
【0114】
図11は、図6におけるXI−XI線に沿う保持アーム21の縦断面図である。以下では、図6および図11を参照して、荷重付加機構35について説明する。
【0115】
荷重付加機構35は、支持部材90によって揺動可能に支持されたシーソー部材91と、ブラシ20に対して、当該ブラシ20を基板Wに押し付けるための押し付け力を付与するための押圧用アクチュエータ92とを備えている。押圧用アクチュエータ92としては、たとえば、エアーシリンダや電磁プランジャやボイスコイルモータ等を用いることができる。以下では、押圧用アクチュエータ92がエアーシリンダである場合について説明する。
【0116】
支持部材90は、図11に示すように、鉛直方向に延びており、その下端部は下ハウジング37に固定されている。支持部材90の上端部には、水平方向に延びる支点軸93が設けられている。シーソー部材91は、この支点軸93に連結されている。シーソー部材91は、支点軸93を支点として鉛直面に沿って揺動するように支持部材90に支持されている。
【0117】
シーソー部材91は、たとえば板状の部材であり、自由状態(シーソー部材91に荷重が与えられていない状態)においてほぼ水平に配置されている。すなわち、シーソー部材91の端部(図6および図11では右端)にはウェイト94が取り付けられており、このウェイト94によって、前記自由状態においてシーソー部材91がほぼ水平になるように調整されている。図6に示すように、シーソー部材91には、肉抜き部としての複数の貫通孔95が当該シーソー部材91の長手方向に並んで形成されている。この貫通孔95によってシーソー部材91が軽量化されている。これにより、基板処理装置1が軽量化されるとともに、押圧用アクチュエータ92による駆動力をブラシ20に伝達する際の追従性の向上を図ることができる。
【0118】
また、シーソー部材91は、前記支点(支点軸93)に対して一方側(図6および図11では右側)に力点部96を有しており、前記支点に対して他方側(図6および図11では左側)に作用点部97を有している。本実施形態では、力点部96と支点(支点軸93)との距離が、作用点部97と支点との距離にほぼ等しくなるように設定されている。したがって、力点部96に入力された力と、作用点部97から出力される力がほぼ等しくなるようになっている。図6に示すように、力点部96の下方には、押圧用アクチュエータ92が配置されており、作用点部97の下方には、ブラケット82の水平板83が配置されている。
【0119】
図11に示すように、押圧用アクチュエータ92は、ロッド98が上方に向けられた状態で、台座161を介して下ハウジング37に固定されている。ロッド98は、鉛直方向に進退するようになっている。ロッド98は、力点部96の鉛直下方に配置されており、当該力点部96を下方から押し上げることができる。すなわち、押圧用アクチュエータ92は、力点部96の下方から当該力点部96に駆動力を与えるようになっている。
【0120】
押圧用アクチュエータ92が力点部96に駆動力を与えることにより、支点軸93を支点としてシーソー部材91が鉛直面に沿って揺動する。そして、シーソー部材91が揺動すると、シーソー部材91の作用点部97が、ブラケット82の水平板83の上面に当接して当該ブラケット82を下方に向けて押す。これにより、押圧用アクチュエータ92からの駆動力がブラケット82に伝達される。
【0121】
ブラケット82に伝達された押圧用アクチュエータ92からの駆動力は、当該ブラケット82および回転シャフト45を介して、「ブラシを基板に押し付けるための押し付け力」としてブラシ20に伝達される。すなわち、ブラケット82および回転シャフト45は、当該押し付け力を伝達する伝達部材として機能する。
【0122】
スピンチャック18に保持された基板Wの上面にブラシ20の洗浄面(下面)が当接または近接した状態で、押圧用アクチュエータ92がシーソー部材91に駆動力を与えると、シーソー部材91の揺動にともなって、ブラケット82、回転シャフト45およびブラシ20等が僅かに下方に移動して、ブラシ20が基板Wの上面に押し付けられる。ブラシ20が基板Wの上面に押し付けられた状態で、当該ブラシ20を当該基板Wの上面に沿って移動させることにより、基板Wの上面に付着している異物が当該上面から擦り取られる。これにより、基板W上から異物が除去される。
【0123】
基板Wに対するブラシ20の押付圧は、押圧用アクチュエータ92に供給される空気の圧力によって調整されている。すなわち、押圧用アクチュエータ92には、図示しない吸気ポートおよび排気ポートが設けられており、空気供給源からの空気が空気圧調整バルブ99を介して吸気ポートに供給されている(図11参照)。空気圧調整バルブ99としては、たとえば、空気圧を電気的に調整することができる電空レギュレータが用いられている。空気圧調整バルブ99の開度は、メイン制御部17によって制御される(図3参照)。
【0124】
吸気ポートを介して押圧用アクチュエータ92に空気を供給することで、ロッド98を鉛直上方に移動させることができる。これにより、力点部96を押し上げて、シーソー部材91を揺動させることができる。また、空気圧調整バルブ99の開度を調整して押圧用アクチュエータ92への空気圧を大きくすることにより、押圧用アクチュエータ92からシーソー部材91に与えられる駆動力を大きくすることができる。これにより、基板Wに対するブラシ20の押付圧を高めることができる。
【0125】
基板Wに対するブラシ20の押付圧は、図6および図11に示す圧力センサ100の検出値に基づいて予め設定されている。すなわち、押圧用アクチュエータ92への空気圧は、圧力センサ100の検出値に基づいて予め設定しておくことができる。圧力センサ100としては、たとえば歪ゲージ型の圧力センサを用いることができる。
【0126】
以下では、図6および図11を参照して、圧力センサ100について説明する。
【0127】
圧力センサ100は、図6に示すように、支持部材90の前方に配置されており、台座162を介して下ハウジング37に固定されている。圧力センサ100は、ブラケット82の側方に位置している。図11に示すように、圧力センサ100の左端上方には、ブラケット82の鉛直板84から延びる延設部101が配置されている。圧力センサ100および延設部101は、シーソー部材91からブラケット82に駆動力が付与されていない状態において、鉛直方向に所定距離離隔している。
【0128】
押圧用アクチュエータ92に所定の空気圧で空気が供給されると、この空気圧に対応した駆動力が押圧用アクチュエータ92からシーソー部材91の力点部96に付与される。これにより、シーソー部材91が揺動してブラケット82を下方に押す。シーソー部材91がブラケット82を下方に押すと、延設部101が下方に移動して圧力センサ100の上端に当接し、当該圧力センサ100を押し付ける。これにより、圧力センサ100に対する延設部101の押付圧が生じて、この押付圧が圧力センサ100によって検出される。圧力センサ100の検出値は、メイン制御部17に入力される(図3参照)。
【0129】
圧力センサ100に対する延設部101の押付圧の検出は、ブラシ20が基板Wに当接していない状態(たとえばブラシ20が待機位置にある状態)において行われる。すなわち、ブラシ20が基板Wに当接していない状態で押圧用アクチュエータ92が作動させられ、そのときに圧力センサ100によって検出される押付圧が監視される。この検出される押付圧が所望の値となるように、押圧用アクチュエータ92に供給される空気圧が制御される。所望の押付圧が得られると、そのときの空気圧に対応する制御データ(具体的には、空気圧調節バルブ99の制御データ)がメイン制御部17のメモリに格納される。
【0130】
基板Wを処理するときには、前記メモリに格納された制御データが読み出され、この制御データを用いて空気圧調節バルブ99が制御される。これにより、押圧用アクチュエータ92が作動し、ブラシ20が前記所望の押付圧で基板Wに押し付けられることになる。
【0131】
圧力センサ100と延設部101との位置関係は、ブラシ20が基板Wに当接している状態で、互いに当接しないように定められている。すなわち、シーソー部材91からブラケット82に駆動力が付与されていない状態における圧力センサ100と延設部101との鉛直方向への間隔が、ブラシ20が基板Wに押し付けられるときに荷重付加機構35によって押されてブラシ20が鉛直方向に移動する距離よりも大きくされている。
【0132】
したがって、ブラシ20が基板Wに押し付けられるときに、延設部101は圧力センサ100に当接しておらず、圧力センサ100に対する延設部101の押付圧が生じていない。一方、ブラシ20が待機位置にある状態ではブラシ20を鉛直方向に大きく移動させることができるので、延設部101を圧力センサ100に当接させることができ、これによって、圧力センサ100に対する延設部101の押付圧を発生させることができる。
【0133】
ブラシ20を基板Wに押し付けるときに、延設部101と圧力センサ100とを非接触にすることにより、シーソー部材91からブラケット82に付与された全ての駆動力をブラシ20に対して伝達することができる。これにより、ブラシ20を確実に所望の押付圧で基板Wに押し付けることができる。
【0134】
また、基板Wにブラシ20を押し付けて基板Wを処理している際に、通常、圧力センサ100は荷重を検知しない状態であるが、例えば基板Wが割れているなどの異常がある場合、ブラシ20が鉛直方向に移動する距離が大きくなり、圧力センサ100が荷重を検知すると、エラーとして検出することができる。
【0135】
また、前述のように、回転シャフト45およびブラシ20等は、コイルばね49によって弾性的に支持されており、このコイルばね49の弾性反力によって回転シャフト45およびブラシ20等の自重が相殺されているので、当該自重による影響を受けることなく、意図した大きさの力をブラシ20に与えることができる。これにより、基板Wに対するブラシ20の押付圧を精度良く管理することができる。
【0136】
本実施形態の一つの特徴は、シーソー部材91を設けることによって、押圧用アクチュエータ92の配置の自由度が高められていることである。すなわち、ブラシ20を基板Wに押し付けるための押し付け力が、押圧用アクチュエータ92からシーソー部材91の力点部96に付与されるようにされていれば、押圧用アクチュエータ92は、シーソー部材91の上方に配置されていてもよいし、下方に配置されていてもよいし、側方に配置されていてもよい。
【0137】
本実施形態のように、押圧用アクチュエータ92をシーソー部材91の下方に配置することにより、ハウジング32の鉛直方向への高さを最も効果的に低減することができる。これにより、保持アーム21の鉛直方向への高さを低減することができ、その結果、処理ユニット10の高さを低減することができる。したがって、基板処理装置1の高さを低減することができる。
【0138】
また、第1リニアガイド機構79および回転用アクチュエータとしてのモータ150が回転シャフト45の側方に配置されており、さらに、第1リニアガイド機構79およびモータ150の高さが回転シャフト45よりも低くされているので、ハウジング32の鉛直方向への高さがさらに低減されている。すなわち、本実施形態では、押圧用アクチュエータ92、第1リニアガイド機構79およびモータ150が適切な位置に配置されており、これによって、ハウジング32内の空間が効率的に利用されている。これにより、鉛直方向へのハウジング32の高さが低減され、基板処理装置1の高さが低減されている。
【0139】
図12は、図6における矢視XII方向から見た保持アーム21の図解的な側面図である。以下では、図11および図12を参照して、ハウジング32内の雰囲気を排気するための排気ポート102について説明する。
【0140】
下ハウジング37の周壁部41には、排気ポート102が設けられている。図示はしないが、この排気ポート102には、排気配管を介して、処理チャンバ外に配置された排気源に接続されている。ハウジング32内の雰囲気は、この排気源によって排気されるようになっている。すなわち、ハウジング32内の雰囲気は、排気ポート102および排気配管を介して、処理チャンバ外に導かれる。
【0141】
排気源によってハウジング32内の雰囲気を排気することにより、ハウジング32内で発生するごみ(たとえば、ベルト75やベアリング140〜143の摩耗によって発生する摩耗粉)を雰囲気とともにハウジング32内から除去し、さらに、処理チャンバ外に排出することができる。これにより、ハウジング32内で発生するごみが基板Wに付着して、当該基板Wが汚染されることを抑制または防止することができる。
【0142】
ハウジング32内の圧力は、排気源によって当該ハウジング32内の雰囲気が排気されるときに、スポンジ状のパッキン43を介して処理チャンバ内の雰囲気が当該ハウジング32内に供給されることにより、ほぼ一定に保たれる。パッキン43は気体のみを流通させるので、処理液を含む処理チャンバ内の雰囲気が、パッキン43を介してハウジング32内に進入することが抑制または防止されている。これにより、雰囲気中に含まれる処理液によって、ハウジング32内の構成が損傷されることが抑制または防止されている。
【0143】
また、処理液を含む処理チャンバ内の雰囲気がパッキン43を介してハウジング32内に進入したとしても、本実施形態では、処理液として純水が用いられており、処理チャンバ内の雰囲気に含まれる液体成分が水を主体として構成されているので、当該液体成分によって、ハウジング32内の構成が損傷されることはない。
【0144】
図13は、Z軸移動機構30の概略構成の正面図であり、図14は、Z軸移動機構30の概略構成の平面図である。
【0145】
Z軸移動機構30は、ボールねじ機構103と、このボールねじ機構103に駆動力を与えるモータ151と、ボールねじ機構103に連結された昇降部材105とを備えている。
【0146】
保持アーム21は、前述の一対の横板44,44と、第1ブラケット106および第2ブラケット107とを介して、昇降部材105に連結されている。保持アーム21は、昇降部材105とともに鉛直方向に昇降する。また、モータ151は、メイン制御部17によって制御されるようになっている。
【0147】
図15は、図13におけるXV−XV線に沿うZ軸移動機構30の横断面図であり、図16は、図14におけるXVI−XVI線に沿うZ軸移動機構30の縦断面図である。
【0148】
ボールねじ機構103は、鉛直方向に延びるボールねじ108と、図示しない複数のボールを介してボールねじ108に螺合するボールナット109とを含む。図16に示すように、モータ151は、ボールねじ108の下方で、その出力軸151aを上方に向けて保持ブラケット111に保持されている。モータ151の出力軸151aは、継手112を介してボールねじ108の下端に連結されている。出力軸151aの回転は、継手112を介してボールねじ108に伝達される。
【0149】
図16に示すように、モータ151を保持する保持ブラケット111は、水平方向に沿って配置された平板状の第1ベース部材113に固定されている。また、図15に示すように、ボールナット109は、当該ボールナット109の移動を案内するためのガイド部材114を介して第1ベース部材113に固定されている。
【0150】
ガイド部材114は、第1ベース部材113に沿って鉛直方向に延びている。ガイド部材114には、鉛直方向に延びるガイド溝115が形成されている。ボールナット109は、このガイド溝115に嵌合しており、このガイド溝115に沿って鉛直方向に案内される。
【0151】
ボールナット109は四角柱状をなしており、その中心部に、鉛直方向に延びるねじ孔116が形成されている。ボールねじ108は、複数のボールを介して、このねじ孔116に螺合している。図15に示すように、昇降部材105は、ボールナット109の一端部(図15では下端部)に固定されている。昇降部材105は、ボールナット109とともに鉛直方向に昇降するようになっている。
【0152】
モータ151の出力軸151aが回転すると、この回転がボールねじ108に伝達され、ボールナット109がガイド部材114に沿って鉛直方向に移動する。これにより、昇降部材105、第1および第2ブラケット106,107、一対の横板44,44ならびに保持アーム21が、鉛直方向に移動する。このようにして、保持アーム21およびブラシ20が鉛直方向(Z軸方向)に移動するようになっている。
【0153】
図17は、Y軸移動機構31の概略構成の正面図であり、図18は、図17におけるXVIII−XVIII線に沿うY軸移動機構31の横断面図である。
【0154】
Y軸移動機構31は、水平方向(Y軸方向)に所定距離離隔して配置された第1プーリ117および第2プーリ118と、この第1および第2プーリ117,118に掛け渡されたベルト119と、第1プーリ117に連結されたモータ152と、クランプ部材121を介してベルト119に連結された第2ベース部材122と、第2リニアガイド機構123を介して第2ベース部材122を水平移動可能に支持するL形ブラケット124とを備えている。
【0155】
モータ152は、出力軸152aがほぼ水平になるように配置されており、台座163を介して処理チャンバC1に固定されている。第1プーリ117は、出力軸152aに同軸的に連結されている。第1プーリ117は、このモータ152によって回転駆動される。モータ152は、メイン制御部17によって制御される。また、第2プーリ118は、図18に示すように、支軸126を介して台座164に回転可能に支持されている。台座164は、処理チャンバC1に固定されている。
【0156】
モータ152によって第1プーリ117が回転駆動されると、この第1プーリ117の回転は、ベルト119を介して第2プーリ118に伝達される。これにより、クランプ部材121が水平方向に移動する。すなわち、クランプ部材121は、ベルト119に固定されており、ベルト119の回転にともなって水平方向に移動するようになっている。
【0157】
図17に示すように、クランプ部材121は、互いに固定された第1クランプ部材127および第2クランプ部材128を含む。ベルト119は、第1および第2クランプ部材127,128によって挟持されている。これにより、クランプ部材121がベルト119に固定されている。第1クランプ部材127は、第2ベース部材122に固定されており、ベルト119の回転にともなってクランプ部材121が水平方向に移動すると、この第2ベース部材122も水平方向に移動するようになっている。
【0158】
図17に示すように、第2ベース部材122は、第1ベース部材113に固定された平板状の固定部129と、この固定部129に対して直交する平板状の直交部130とを含む。固定部129は、第1ベース部材113の背面側(ボールねじ機構103等が配置されていない側)に配置されている。固定部129は、この背面側から第1ベース部材113に固定されている。また、直交部130は、第2リニアガイド134を介して、L形ブラケット124に連結されている。L形ブラケット124は、鉛直方向に延びるとともに水平方向に延びる鉛直部131と、この鉛直部131の下端部から水平方向に延びる水平部132とを含む。
【0159】
第2リニアガイド機構123は、直交部130に固定された第2スライド部材133と、この第2スライド部材133と対をなす第2リニアガイド134とを備えている。第2リニアガイド134は、平板状の部材であり、水平方向に延びている。第2リニアガイド134は、L形ブラケット124の鉛直部131に固定されている。
【0160】
第2スライド部材133には、水平方向に延びる第2スライド溝135が形成されている。第2スライド部材133は、この第2スライド溝135に第2リニアガイド134が嵌合した状態で、当該第2リニアガイド134に保持されている。第2スライド部材133は、第2リニアガイド134に対して水平方向にスライド移動可能である。第2リニアガイド134は、水平方向への第2スライド部材133の移動を案内する。したがって、第2スライド部材133に固定された第2ベース部材122も第2リニアガイド134によって水平方向に案内される。第2ベース部材122が水平方向に移動すると、当該第2ベース部材122に固定された第1ベース部材113も水平方向に移動する。
【0161】
すなわち、モータ152によって第1プーリ117が回転駆動されると、ベルト119が回転してクランプ部材121が水平方向に移動する。これにより、第1および第2ベース部材113,122が水平方向に移動して保持アーム21が水平方向に移動される。このようにして、保持アーム21およびブラシ20が水平方向(Y軸方向)に移動するようになっている。
【0162】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では全ての処理ユニット10が裏面洗浄処理ユニットである場合について説明したが、基板Wの表面をスクラブ洗浄するための表面洗浄処理ユニットが、処理ユニット10に含まれていてもよいし、全ての処理ユニット10が表面洗浄処理ユニットとされていてもよい。
【0163】
また、処理ユニット10が表面洗浄処理ユニットである場合、スピンチャック18は、前述の基板Wの端面を挟持して当該基板Wを保持する構成のものに限らず、たとえば、基板Wの裏面を真空吸着することにより基板Wをほぼ水平な姿勢で保持し、さらにその状態でほぼ鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持した基板Wを回転させることができる真空吸着式のもの(バキュームチャック)が採用されてもよい。
【0164】
また、前述の実施形態では、基板Wの裏面をブラシ20によってスクラブ洗浄する場合に本発明を適用する例について説明したが、基板Wの周端面をブラシ20によって洗浄する場合(いわゆるベベル洗浄)に本発明が適用されてもよい。
【0165】
また、前述の実施形態では、力点部96と支点(支点軸93)との距離が、作用点部97と支点との距離にほぼ等しくなるように設定されている場合について説明したが、たとえば、力点部96と支点との距離が、作用点部97と支点との距離よりも短く設定されていてもよい。この場合、基板Wに対するブラシ20の押し付け圧を容易に、かつ、精度良く管理することができる。すなわち、力点部96と支点との距離が作用点部97と支点との距離よりも短く設定されているので、押圧用アクチュエータ92から力点部96に付与される駆動力にばらつきが生じたとしても、作用点部97からブラケット82に付与される力のばらつきの幅は、力点部96に付与される駆動力のばらつきの幅よりも小さくなる。したがって、押圧用アクチュエータ92からシーソー部材91に付与される駆動力を精度良く管理しなくても、作用点部97から伝達部材に付与される力をほぼ一定に保つことができる。これにより、基板Wに対するブラシ20の押し付け圧を容易に、かつ、精度良く管理することができる。
【0166】
また、力点部96と支点との距離が、作用点部97と支点との距離よりも長く設定されていてもよい。この場合、力点部96に与えられる駆動力が増幅されて作用点部97に伝達されるので、押圧用アクチュエータとして、発生駆動力の小さいものを用いることができる。それに応じて、押圧用アクチュエータの小型化を図ることができ、結果として、処理ユニット10をより一層低背化することができる。
【0167】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。
【図2】図1における矢視II方向から見た基板処理装置の図解的な正面図である。
【図3】基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図4】裏面洗浄処理ユニットの概略構成の正面図である。
【図5】裏面洗浄処理ユニットの概略構成の平面図である。
【図6】保持アームの平面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う保持アームの縦断面図である。
【図8】ブラシ保持機構の拡大断面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に沿うブラシ保持機構の横断面図である。
【図10】図6におけるX−X線に沿う保持アームの縦断面図である。
【図11】図6におけるXI−XI線に沿う保持アームの縦断面図である。
【図12】図6における矢視XII方向から見た保持アームの図解的な側面図である。
【図13】Z軸移動機構の概略構成の正面図である。
【図14】Z軸移動機構の概略構成の平面図である。
【図15】図13におけるXV−XV線に沿うZ軸移動機構の横断面図である。
【図16】図14におけるXVI−XVI線に沿うZ軸移動機構の縦断面図である。
【図17】Y軸移動機構の概略構成の正面図である。
【図18】図17におけるXVIII−XVIII線に沿うY軸移動機構の横断面図である。
【符号の説明】
【0169】
1 基板処理装置
20 ブラシ
45 回転シャフト(シャフト、伝達部材)
79 第1リニアガイド機構(ガイド機構)
82 ブラケット(伝達部材)
83 水平板(被作用点部)
90 支持部材
91 シーソー部材
92 押圧用アクチュエータ
93 支点軸(支点)
95 貫通孔(肉抜き部)
96 力点部
97 作用点部
150 モータ(回転用アクチュエータ)
W 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を洗浄するためのブラシと、
支持部材を支点として揺動可能であって、前記支点に対して一方側に力点部を有し、前記支点に対して他方側に作用点部を有するシーソー部材と、
前記シーソー部材の力点部に駆動力を与え、当該シーソー部材を前記支点を中心に揺動させることにより、当該シーソー部材に前記ブラシを基板に押し付けるための押し付け力を付与する押圧用アクチュエータと、
前記シーソー部材の前記作用点部から、前記力点部に与えられた駆動力を受ける被作用点部を有し、前記ブラシに対して、当該ブラシを基板に押し付けるための押し付け力を伝達する伝達部材とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記シーソー部材が、鉛直面に沿って揺動するように、前記支持部材に支持されており、
前記アクチュエータが、前記シーソー部材の前記力点部の下方から駆動力を与えるように配置されており、
前記伝達部材が、前記シーソー部材の前記作用点部の下方に延び、その下端部に前記ブラシが結合されたシャフトを含む、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記シャフトの側方に配置され、前記シャフトを当該シャフトの軸方向に案内するガイド機構を含む、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記シャフトの側方に配置され、前記シャフトおよびブラシを一体的に回転させる回転用アクチュエータをさらに含む、請求項2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記シーソー部材が、肉抜き部を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記力点部と前記支点との距離が、前記作用点部と前記支点との距離とは異なっている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項1】
基板を洗浄するためのブラシと、
支持部材を支点として揺動可能であって、前記支点に対して一方側に力点部を有し、前記支点に対して他方側に作用点部を有するシーソー部材と、
前記シーソー部材の力点部に駆動力を与え、当該シーソー部材を前記支点を中心に揺動させることにより、当該シーソー部材に前記ブラシを基板に押し付けるための押し付け力を付与する押圧用アクチュエータと、
前記シーソー部材の前記作用点部から、前記力点部に与えられた駆動力を受ける被作用点部を有し、前記ブラシに対して、当該ブラシを基板に押し付けるための押し付け力を伝達する伝達部材とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記シーソー部材が、鉛直面に沿って揺動するように、前記支持部材に支持されており、
前記アクチュエータが、前記シーソー部材の前記力点部の下方から駆動力を与えるように配置されており、
前記伝達部材が、前記シーソー部材の前記作用点部の下方に延び、その下端部に前記ブラシが結合されたシャフトを含む、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記シャフトの側方に配置され、前記シャフトを当該シャフトの軸方向に案内するガイド機構を含む、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記シャフトの側方に配置され、前記シャフトおよびブラシを一体的に回転させる回転用アクチュエータをさらに含む、請求項2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記シーソー部材が、肉抜き部を有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記力点部と前記支点との距離が、前記作用点部と前記支点との距離とは異なっている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−206139(P2009−206139A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44327(P2008−44327)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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