説明

基板処理装置

【課題】基板からの処理液の排出性を向上させることができ、基板の周囲に飛散する処理液の液滴の粒径を小さくすることができる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板処理装置は、基板Wを水平に保持するための支持リング8を有するスピンチャック3と、スピンチャック3に保持された基板Wに処理液を供給する洗浄液ノズルおよびリンス液ノズルとを備えている。支持リング8は、支持リング8に保持された基板Wの上面から外方へと処理液が流れていくように、当該基板Wの全周を取り囲んで当該基板Wの外周縁を外方に拡張するように設けられた環状の拡張面36を有している。拡張面36は、処理液に対する親液性が基板Wよりも高い親液面とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理するための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板の上面に処理液を供給する処理液ノズルと、基板の周囲に飛散する処理液を受け止めて捕獲するためのスプラッシュガードとを備えている。
【0003】
この基板処理装置で基板を処理する場合は、たとえば、スピンチャックによって基板を回転させつつ、当該基板の上面中央部に向けて処理液ノズルから処理液を連続吐出させる。処理液ノズルから吐出された処理液は、基板の上面中央部に着液し、基板の回転による遠心力を受けて、基板の上面周縁部に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板の上面全域に処理液が供給され、基板の上面に処理液による処理が行われる。また、基板の上面周縁部に達した処理液は、遠心力によって基板の周囲に振り切られ、スプラッシュガードによって受け止められる。処理液による処理が行われた後は、スピンチャックによって基板を高速回転させて当該基板を乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる。
【特許文献1】特開2008−27931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような構成で乾燥処理(スピンドライ)を行う場合、基板に付着している処理液は、液滴となって基板上を流れ基板の周縁部からその周囲に振り切られる。この液滴の大きさは、基板表面の疎水性が高いほど大きくなる。そのため、表面が疎水状態の基板に対して乾燥処理を行う場合には、粒径の大きな処理液の液滴が基板の周囲に振り切られる。そして、基板の周囲に振り切られた処理液の液滴は、スプラッシュガードに衝突して、基板側に跳ね返る。基板から振り切られる液滴の粒径が大きいので、基板側に跳ね返る液滴の粒径も大きくなる。したがって、基板から振り切られた後続の液滴が、この跳ね返った液滴に衝突して、基板側に跳ね返る場合がある。そのため、基板から排出された処理液が基板に再付着して基板が汚染されるおそれがある。
【0005】
一方、表面が親水状態の基板に対して乾燥処理を行う場合、基板から振り切られる処理液の液滴の粒径は小さくなる。したがって、スプラッシュガードに衝突して基板側に跳ね返ってくる液滴の粒径も小さくなり、基板側に跳ね返ってくる処理液の液滴と基板から振り切られた後続の液滴との衝突は、表面が疎水状態の場合に比べて少なくなる。そのため、処理液の再付着による基板の汚染は、表面が疎水状態の場合に比べて少なくなる。
【0006】
しかしながら、表面が親水状態であると、疎水状態である場合に比べて基板に対する処理液の付着力が大きくなるので、基板上から処理液を排出させ難くなる。したがって、処理液を連続供給して基板を処理するときに、基板上の処理液を後続の処理液に置換させ難くなる。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、基板からの処理液の排出性を向上させることができ、基板から排出された処理液の液滴を小さくすることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を水平に保持するための保持部(8,108,208,308,408,508,608)を有する基板保持手段(3)と、前記基板保持手段に保持された基板に処理液を供給する処理液供給手段(4,5)とを含み、前記保持部は、基板の全周を取り囲んで当該基板の外周縁を外方に拡張するように設けられた環状の拡張面(36,136,236,336)を有し、前記拡張面は、処理液に対する親液性が基板よりも高い親液面とされている、基板処理装置(1)である。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この発明によれば、基板を水平に保持するための保持部が、当該基板の全周を取り囲んで当該基板の外周縁を外方に拡張するように設けられた環状の拡張面を有している。また、この拡張面は、処理液に対する親液性が基板よりも高い親液面とされている。したがって、基板の上面周縁部に位置する処理液は、拡張面への移動が促され、拡張面に向かって円滑に移動していく。これにより、基板からの処理液の排出性が向上されている。そのため、表面が親液状態の基板に対して処理液を連続供給して当該基板を処理する場合であっても、基板上の処理液を後続の処理液に効率的に置換することができる。また、表面が親液状態の基板であったとしても当該基板から処理液を確実に排除して当該基板を乾燥させることができる。これにより、処理液による処理や乾燥処理を円滑に行うことができる。
【0009】
また、拡張面は基板よりも親液性が高くされているから、基板から拡張面に処理液の液滴が移動した場合に、拡張面上では処理液はよく濡れるので、処理液は拡張面全体に広がる。れにより、基板から排出された処理液の液滴を小さくすることができる。したがって、基板上での大きさよりも小さな粒径の処理液の液滴を拡張面から排出させることができる。そのため、たとえばスプラッシュガードなどの処理液捕獲手段により、基板の周囲に飛散する処理液を受け止める場合であっても、処理液捕獲手段から基板側に跳ね返った処理液の液滴に、拡張面から排出された後続の処理液の液滴が衝突して、基板から排出された処理液が基板に付着(再付着)することを抑制または防止することができる。特に、表面が疎水状態の基板に対して乾燥処理を行う場合に、基板に対する処理液の再付着を確実に抑制または防止することができる。これにより、処理液の再付着による基板の汚染を抑制または防止することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記基板保持手段は、前記保持部を鉛直軸線(L1)まわりに回転させる回転手段(9)を含み、前記保持部は、基板の下方に空間(S1)が生じるように当該基板の下面周縁部を全周にわたって支持できるように形成されたものであり、当該空間を当該保持部の周囲の空間に連通させるための連通部(38,438)を有している、請求項1記載の基板処理装置である。
【0011】
この発明によれば、保持部に基板を保持させた状態で当該保持部を鉛直軸線まわりに回転させることにより、基板の下方に生じた空間の気体を遠心力によって連通部から排出させて、当該空間を負圧にすることができる。したがって、この負圧により基板を吸着保持することができる。これにより、基板を吸着保持した状態で、保持部とともに一体回転させることができる。また、基板を鉛直軸線まわりに回転させることにより、たとえば基板上の処理液に遠心力を与えて、この処理液を基板から拡張面に移動させることができる。これにより、基板から処理液を確実に排出させることができる。
【0012】
また、この発明によれば、保持部が基板の下面周縁部を支持するので、基板の下面周縁部以外の部分を非接触にした状態で、基板を吸着保持することができる。これにより、基板と保持部との接触面積を低減することができる。したがって、パーティクルなどの異物が保持部から基板に移って、当該基板が汚染されることを抑制または防止することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記保持部は、内側に向かって下方に傾斜する環状のテーパ面(35,55)を含み、前記テーパ面は、基板の下面周縁部を線接触で支持するように形成されている、請求項1または2記載の基板処理装置である。
この発明によれば、テーパ面が基板の下面周縁部を線接触で支持するように形成されているので、基板と保持部との接触面積を小さくすることができる。これにより、保持部から基板に異物が移って、当該基板が汚染されることを抑制または防止することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記保持部は、環状に配置された複数の支持部(57)を有し、前記複数の支持部は、それぞれ、基板の下面周縁部を点接触で支持するように形成されている、請求項1または2記載の基板処理装置である。
この発明によれば、各支持部を基板の下面周縁部に点接触させることにより、これらの支持部を協働させて基板を支持することができる。また、各支持部と基板との接触が点接触であるので、基板と保持部との接触面積を小さくすることができ、これによって、基板の汚染を抑制または防止することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記拡張面は、前記保持部に保持される基板の上面よりも低くなるように形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の基板処理装置である。
この発明によれば、拡張面が、保持部に保持される基板の上面よりも低くされているので、基板上の処理液を重力によって拡張面に円滑に移動させることができる。これにより、基板からの処理液の排出性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための図解図である。基板処理装置1は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板Wは、この実施形態では、半導体ウエハのような円形基板である。
基板処理装置1は、隔壁で区画された処理室2内に、1枚の基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック3(基板保持手段)と、スピンチャック3に保持された基板Wの上面に処理液としての洗浄液を供給するための洗浄液ノズル4(処理液供給手段)と、スピンチャック3に保持された基板Wの上面に処理液としてのリンス液を供給するためのリンス液ノズル5(処理液供給手段)とを備えている。スピンチャック3の周囲には、処理カップ61およびスプラッシュガード62が配置されている。
【0017】
スピンチャック3は、鉛直方向に延びる回転軸6と、回転軸6の上端に水平に取り付けられた円板状のスピンベース7と、このスピンベース7上に配置された支持リング8(保持部)と、回転軸6に結合されたモータ9(回転手段)とを備えている。スピンチャック3は、基板Wの下面周縁部を支持リング8により支持した状態で当該基板Wを水平に保持することができる。また、スピンチャック3は、モータ9の駆動力により、保持した基板Wを当該基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線L1まわりに回転させることができる。回転軸6は、筒状のカバー10を挿通しており、カバー10には、モータ9が収容されている。スピンベース7は、この実施形態では、基板Wよりも直径の大きな円板状の部材である。
【0018】
また、回転軸6は中空軸とされている。回転軸6の内部には、下側処理液供給管11が非接触状態で挿通されている。下側処理液供給管11の上端には、基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する下面ノズル12が設けられている。下面ノズル12は、その吐出口12aが支持リング8により支持された基板Wの下面中央部に近接するように配置されている。
【0019】
また、下側処理液供給管11には、下側洗浄液供給管13および下側リンス液供給管14が接続されている。下側処理液供給管11には、下側洗浄液供給管13を介して図示しない洗浄液供給源からの洗浄液が供給される。また、下側処理液供給管11には、下側リンス液供給管14を介して図示しないリンス液供給源からのリンス液が供給される。下側処理液供給管11には、処理液としての洗浄液およびリンス液が選択的に供給されるようになっている。これにより、下側処理液供給管11から下面ノズル12に処理液を供給し、下面ノズル12の吐出口12aから基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出させることができる。
【0020】
下側洗浄液供給管13には、下面ノズル12への洗浄液の供給および供給停止を切り換えるための下側洗浄液バルブ15が介装されている。また、下側リンス液供給管14には、下面ノズル12へのリンス液の供給および供給停止を切り換えるための下側リンス液バルブ16が介装されている。
下側処理液供給管11に供給される洗浄液としては、たとえば、薬液やリンス液を用いることができる。薬液としては、たとえば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水のうちの少なくとも1つを含む液を例示することができる。また、リンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
【0021】
また、回転軸6と下側処理液供給管11との間には、下側処理液供給管11を取り囲む下側ガス供給路17が形成されている。下側ガス供給路17の上端は、スピンベース7の上面中央部に位置する環状の下側ガス吐出口18となっている(図3参照)。下側ガス供給路17には、下側ガス供給管19を介して図示しないガス供給源からのガスが供給される。下側ガス供給路17に供給されたガスは、下側ガス吐出口18から上方に向けて吐出される。下側ガス供給管19には、下側ガス供給路17へのガスの供給および供給停止を切り換えるための下側ガスバルブ20と、下側ガス供給路17に供給されるガスの流量を調整するためのガス流量調整バルブ21とが介装されている。下側ガス供給路17に供給されるガスとしては、たとえば、不活性ガスの一例である窒素ガスが用いられている。
【0022】
洗浄液ノズル4は、たとえば、連続流の状態で洗浄液を吐出するストレートノズルである。洗浄液ノズル4は、水平に延びるノズルアーム22の先端部に取り付けられている。洗浄液ノズル4は、その吐出口が下方に向けられた状態で、スピンチャック3よりも上側に配置されている。
洗浄液ノズル4には、洗浄液供給管23が接続されている。洗浄液ノズル4には、洗浄液供給管23を介して図示しない洗浄液供給源からの洗浄液が供給される。洗浄液供給管23には、洗浄液ノズル4への洗浄液の供給および供給停止を切り換えるための洗浄液バルブ25が介装されている。洗浄液ノズル4には、たとえば、下面ノズル12に供給される洗浄液と同種の洗浄液が供給されるようになっている。すなわち、この実施形態では、洗浄液ノズル4および下面ノズル12から同種の洗浄液が吐出されるようになっている。
【0023】
また、ノズルアーム22には、鉛直方向に沿って延びる支持軸27が結合されている。支持軸27は、その中心軸線まわりに揺動可能とされている。支持軸27には、たとえばモータ等で構成されたノズル揺動駆動機構28が結合されている。ノズル揺動駆動機構28の駆動力が支持軸27に入力されることにより、洗浄液ノズル4およびノズルアーム22が、支持軸27の中心軸線まわりに一体的に水平移動させられる。これにより、スピンチャック3に保持された基板Wの上方に洗浄液ノズル4を配置したり、スピンチャック3の上方から洗浄液ノズル4を退避させたりすることができる。
【0024】
リンス液ノズル5は、たとえば、連続流の状態でリンス液を吐出するストレートノズルである。リンス液ノズル5は、水平に延びるノズルアーム29の先端部に取り付けられている。リンス液ノズル5は、その吐出口が下方に向けられた状態で、スピンチャック3よりも上側に配置されている。
リンス液ノズル5には、リンス液供給管30が接続されている。リンス液ノズル5には、リンス液供給管30を介して図示しないリンス液供給源からのリンス液が供給される。リンス液供給管30には、リンス液ノズル5へのリンス液の供給および供給停止を切り換えるためのリンス液バルブ31が介装されている。リンス液ノズル5には、たとえば、下側リンス液供給管14を介して下面ノズル12に供給されるリンス液と同種のリンス液が供給されるようになっている。すなわち、この実施形態では、リンス液ノズル5および下面ノズル12から同種のリンス液が吐出されるようになっている。
【0025】
また、ノズルアーム29には、鉛直方向に沿って延びる支持軸32が結合されている。支持軸32は、その中心軸線まわりに揺動可能とされている。支持軸32には、たとえばモータ等で構成されたノズル揺動駆動機構33が結合されている。ノズル揺動駆動機構33の駆動力が支持軸32に入力されることにより、リンス液ノズル5およびノズルアーム29が、支持軸32の中心軸線まわりに一体的に水平移動させられる。これにより、スピンチャック3に保持された基板Wの上方にリンス液ノズル5を配置したり、スピンチャック3の上方からリンス液ノズル5を退避させたりすることができる。
【0026】
処理カップ61は、有底筒状であり、スピンチャック3の周囲を取り囲んでいる。処理カップ61の底部には、スピンチャック3の周囲を取り囲むように、基板Wの処理に用いられた後のリンス液を排液するための排液溝63が形成されており、さらに、この排液溝63を取り囲むように、基板Wの処理のために用いられた後の洗浄液を回収するための回収溝64が形成されている。排液溝63および回収溝64は、それらの間に形成された筒状の仕切壁65によって区画されている。排液溝63には、リンス液排液配管66が接続されており、回収溝64には洗浄液回収管67が接続されている。洗浄液回収管67は、図示しない洗浄液タンクに接続されており、回収溝64に集められた洗浄液は、洗浄液回収管67を介して洗浄液タンクに回収される。
【0027】
スプラッシュガード62は、基板Wの周囲に飛散した処理液を受け止めて処理カップ61に導くためのものである。スプラッシュガード62は、基板Wの回転軸線L1に対して回転対称な形状を有しており、処理カップ61の上方に配置されている。スプラッシュガード62の上端部の内面には、基板Wの回転軸線L1に対向するように開いた断面横向きV字状のリンス液捕獲部68が形成されており、下端部には、下方に向かうに従って内径が大きくなる凹湾曲状の洗浄液捕獲部69が形成されている。洗浄液捕獲部69の上方には、処理カップ61の仕切壁65を受け入れるための仕切壁収納溝70が形成されている。
【0028】
また、スプラッシュガード62には、ボールねじ機構等で構成されたガード昇降駆動機構(図示せず)が結合されている。ガード昇降駆動機構の駆動力をスプラッシュガード62に入力することにより、スプラッシュガード62を上下動させることができる。これにより、洗浄液捕獲部69がスピンチャック3に保持された基板Wの周端面に対向する回収位置(図1に示す位置)、リンス液捕獲部68がスピンチャック3に保持された基板Wの周端面に対向する排液位置、およびスプラッシュガード62の上端がスピンチャック3の基板保持位置よりも低くなる退避位置を含む複数の位置にスプラッシュガード62を移動させることができる。
【0029】
基板Wから排出される使用済み洗浄液を捕獲して図示しない洗浄液タンクに回収するときには、スプラッシュガード62を回収位置に位置させる。これにより、基板Wから排出された洗浄液を洗浄液捕獲部69により回収溝64に導いて、洗浄液タンクに回収することができる。また、基板Wから排出される使用済みリンス液を捕獲して排液するときには、スプラッシュガード62を排液位置に位置させる。これにより、基板Wから排出されたリンス液をリンス液捕獲部68により排液溝63に導いて、リンス液排液配管66から排液させることができる。さらに、図示しない搬送ロボットとスピンチャック3との間で基板Wの受け渡しをするときには、搬送ロボットが衝突しないように、洗浄液ノズル4およびリンス液ノズル5をスピンチャック3の上方から退避させ、さらに、スプラッシュガード62を退避位置に配置させる。
【0030】
図2は、スピンチャック3の図解的な縦断面図である。また、図3は、スピンチャック3の図解的な平面図である。以下では、図2および図3を参照して、支持リング8およびそれに関連する構成について説明する。
支持リング8は、たとえば、円環状をなす平板状の部材である。支持リング8の厚みは、たとえば、数mm〜数cm程度にされている。支持リング8の内径は、基板Wの外径よりも小さくされており、支持リング8の外径は、基板Wの外径よりも大きくされている。この実施形態では、支持リング8の外径が、スピンベース7の外径とほぼ同じ大きさにされている。支持リング8は、スピンベース7と同軸となるように、スピンベース7の上面周縁部に沿って水平に配置されている。
【0031】
支持リング8は、スピンベース7の上方で、基板Wの下面周縁部を全周にわたって支持することができる。支持リング8によって基板Wの下面周縁部が支持された状態で、スピンベース7の上面と基板Wの下面との間には、水平方向に沿う狭空間S1(空間)が生じるようになっている。
また、支持リング8の断面形状(鉛直面に沿う断面形状)は、その内周側に向かって先細りとなる楔状をなしている。支持リング8の下面は、円環状の水平面にされており、支持リング8の上面には、円環状の水平面34と、この水平面34の内周縁から支持リング8の内側に向かって下方に傾斜する円環状のテーパ面35とが設けられている。
【0032】
テーパ面35は、内径が基板Wの外径よりも小さくされており、外径が基板Wの外径よりも大きくされている。テーパ面35は、基板Wの下面外周縁に対して全周にわたって線接触した状態で、当該基板Wを支持することができる。水平面34およびテーパ面35は、テーパ面35によって基板Wが支持された状態で、水平面34の高さが、基板Wの上面よりも低くなるように形成されている。
【0033】
また、図3に示すように、支持リング8の上面において基板Wよりも外方に位置する部分(テーパ面35の外周部と水平面34とを含む部分。以下では、「拡張面36」という。)は、当該基板Wの外周縁を外方に拡張するように、当該基板Wの全周を取り囲んでいる。支持リング8は、基板Wの上面に供給された処理液を当該基板Wの上面から拡張面36に向かって外方へと流すことができるように形成されている。拡張面36の内周部は、テーパ面35の外周部に相当するので、支持リング8の内側に向かって下方に傾斜している。また、図2に示すように、拡張面36は、支持リング8に支持された基板Wの上面よりも低くなっている。
【0034】
また、拡張面36は、処理液に対する親液性が基板Wよりも高い親液面とされている。具体的には、たとえば、処理液に対する親液性が基板Wよりも高い材料によって支持リング8が形成されている。すなわち、基板Wがシリコンウエハである場合には(シリコンウエハと水との接触角は、70度)、たとえば、石英、窒化珪素、アルミナなどによって支持リング8が形成されている。これにより、拡張面36を含む支持リング8の全ての外表面が処理液に対する親液性が基板Wよりも高い親液面とされている。
【0035】
また、支持リング8は、スピンベース7に一体回転可能に連結されている。具体的には、スピンベース7と支持リング8との間に複数の連結部材37が介在しており、これらの連結部材37によって、支持リング8がスピンベース7に一体回転可能に連結されている。支持リング8は、モータ9(図1参照)の駆動力により、スピンベース7および回転軸6とともに回転軸線L1まわりに一体回転させられる。回転軸線L1は、支持リング8により支持される基板Wの中心を通る鉛直な軸線である。
【0036】
図3に示すように、複数の連結部材37は、支持リング8の周方向に間隔を隔てて配置されている。また、図2に示すように、複数の連結部材37は、スピンベース7の上面に対して離隔させた状態で、支持リング8をスピンベース7に連結している。スピンベース7と支持リング8との間の鉛直方向への間隔G1は、狭くされている(たとえば0.5mmに設定されている。)。スピンベース7と支持リング8との間の鉛直方向への間隔G1を狭くすることにより、狭空間S1の高さが低減され、狭空間S1の体積が一層小さくされている。
【0037】
また、支持リング8の下面とスピンベース7の上面との間には、水平方向に広がる連通部としての隙間38が形成されている。この隙間38は、支持リング8の内側の空間に連通している。したがって、隙間38は、スピンベース7の上面と基板Wの下面との間に形成される狭空間S1に連通している。狭空間S1は、この隙間38によって、支持リング8の周囲の空間に連通されている。
【0038】
支持リング8によって基板Wの下面周縁部が支持された状態で、スピンベース7および支持リング8が、低回転速度(たとえば10〜30rpm程度)で回転されると、支持リング8に支持された基板Wが、その中心を通る鉛直な回転軸線L1まわりに回転する。このとき、支持リング8に支持された基板Wは、支持リング8との間に生じる摩擦力により、支持リング8に対して滑ることなく支持リング8と一体回転する。
【0039】
一方、支持リング8によって基板Wの下面周縁部が支持された状態で、スピンベース7および支持リング8が所定の回転速度(たとえば数百rpm以上)で回転されると、スピンベース7の上面と基板Wの下面との間の形成された狭空間S1が負圧となり、支持リング8によって支持された基板Wが、スピンチャック3に吸着保持される。
すなわち、基板Wおよびスピンベース7が前記所定の回転速度で回転されると、狭空間S1に存在する気体には外向きの力(回転軸線L1から離れる方向への遠心力)が作用する。また、狭空間S1は、連通部としての隙間38によって支持リング8の周囲の空間に連通されている。さらに、基板Wの下面周縁部が全周にわたって支持リング8に支持されているので、基板Wの下面周縁部と支持リング8との間は、ほぼ密閉された状態となっている。したがって、基板Wおよびスピンベース7が前記所定の回転速度で回転されると、狭空間S1に存在する気体は遠心力によって隙間38から排出され、狭空間S1が負圧となる。そのため、支持リング8によって支持された基板Wは、スピンチャック3に吸着保持され、この状態で支持リング8とともに回転軸線L1まわりに回転する。これにより、支持リング8によって支持された基板Wを回転軸線L1まわりに一体回転させることができる。支持リング8によって支持された基板Wは、基板Wの下面周縁部以外の部分がスピンチャック3に対して非接触となった状態で、スピンチャック3に吸着保持されるようになっている。
【0040】
次に、支持リング8に対して基板Wを載置するための構成について説明する。引き続き、図2および図3を参照する。
支持リング8に対する基板Wの載置は、スピンベース7に取り付けられた複数の突上げピン39により行われる。各突上げピン39は、鉛直方向に延びる軸部40と、軸部40の上端に連結された上端部41とを有している。上端部41の上面には、球面状の微少突起42が形成されている。複数の突上げピン39は、微少突起42を基板Wの下面に点接触させることにより、当該基板Wを協働して支持することができる。
【0041】
複数の突上げピン39は、それぞれ、スピンベース7を厚み方向(図2では、紙面の上下方向)に貫通する複数の貫通孔43を挿通している。各突上げピン39は、スピンベース7に対して上下動可能に取り付けられている。また、各突上げピン39は、スピンベース7に対して一体回転可能に取り付けられている。
図3に示すように、複数の貫通孔43は、支持リング8と同心の所定の円周上で間隔を隔てて配置されている。同様に、複数の突上げピン39も、支持リング8と同心の所定の円周上で間隔を隔てて配置されている。また、図2に示すように、各貫通孔43には、環状のシール44が保持されている。各突上げピン39の軸部40は、対応するシール44を挿通している。これにより、各突上げピン39の軸部40とスピンベース7との間が封止されている。各突上げピン39は、対応するシール44に対して上下動可能となっている。
【0042】
また、各突上げピン39の軸部40の下端は、回転軸6を取り囲む円環状の支持部材45に連結されている。複数の突上げピン39は、上端の高さが揃えられた状態で支持部材45に連結されている。支持部材45の下方には、プッシャ46が配置されており、支持部材45は、プッシャ46によって上昇される。プッシャ46は、本体部47に対してロッド48を上方に進出させることにより、支持部材45を上昇させることができる。プッシャ46が支持部材45を上昇させることにより、複数の突上げピン39が鉛直上方に一体的に上昇される。プッシャ46は、各突上げピン39の上端部41が支持リング8よりも上方となる上位置(図2における上側の突上げピン39の位置)まで各突上げピン39を上昇させることができる。
【0043】
また、各突上げピン39の軸部40には、コイルばね49が外嵌されている。各コイルばね49は、スピンベース7と支持部材45との間で鉛直方向に圧縮されている。各コイルばね49の上端は、スピンベース7の下面に係合しており、各コイルばね49の下端は、支持部材45の上面に係合している。各突上げピン39は、複数のコイルばね49の弾性復元力により、上端部41の上面(微少突起42の周囲の面)がスピンベース7の上面と同じ高さになる下位置で待機させられている。
【0044】
プッシャ46により各突上げピン39が上位置まで上昇されると、各コイルばね49がさらに圧縮され弾性変形する。そして、各突上げピン39が上位置に達した後、プッシャ46のロッド48が降下されると、複数のコイルばね49の弾性復元力により、各突上げピン39が降下していく。これにより、各突上げピン39を上位置から下位置に降下させることができる。
【0045】
処理室2内に基板Wを搬入して、支持リング8に基板Wを載置するときは、最初に、プッシャ46により支持部材45が上昇され、各突上げピン39が上位置まで上昇される。そして、洗浄液ノズル4およびリンス液ノズル5をスピンチャック3の上方から退避させ、さらに、スプラッシュガード62を退避位置に位置させた状態で、図示しない搬送ロボットによって処理室2内に基板Wが搬入され、複数の突上げピン39上に基板Wが載置される。その後、プッシャ46のロッド48が降下されていき、コイルばね49の弾性復元力により各突上げピン39が下位置まで降下される。複数の突上げピン39に載置された基板Wは、各突上げピン39が降下する過程で、支持リング8のテーパ面35上に載置される。これにより、支持リング8に基板Wが載置される。
【0046】
一方、支持リング8から基板Wを払い出すときは、プッシャ46により支持部材45を上昇させ、各突上げピン39を上位置まで上昇させる。支持リング8に支持された基板Wは、各突上げピン39が上昇する過程で、複数の突上げピン39上に移動する。そして、複数の突上げピン39により支持された基板Wが、上位置において、搬送ロボットによって受け取られ、処理室2から搬出される。このとき、洗浄液ノズル4およびリンス液ノズル5は、スピンチャック3の上方から退避されており、スプラッシュガード62は、退避位置に配置されている。これにより、支持リング8から基板Wが払い出され、処理室2から基板Wが搬出される。
【0047】
このように、本実施形態では、搬送ロボットから支持リング8に基板Wを直接載置するのではなく、複数の突上げピン39を介して支持リング8に基板Wを載置することができる。したがって、たとえば搬送ロボットが基板Wの下面を支持する形式のものである場合でも、スピンベース7などに搬送ロボットを衝突させることなく、支持リング8に基板Wを載置することができる。これにより、支持リング8に対して基板Wを確実に載置することができる。同様に、複数の突上げピン39を用いることにより、スピンベース7などに搬送ロボットを衝突させることなく、支持リング8から基板Wを確実に払い出すことができる。
【0048】
図4は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
この基板処理装置1は、制御部50を備えている。制御部50は、モータ9、ノズル揺動駆動機構28,33、プッシャ46などの動作を制御する。また、基板処理装置1に備えられたバルブの開閉、および流量調整バルブの開度の調整は、制御部50によって制御される。
【0049】
図5は、基板処理装置1による基板Wの処理例を説明するための工程図である。また、図6〜図8は、それぞれ、基板Wの処理中におけるスピンチャック3の図解的な側面図である。
以下では、図1および図5を参照して、基板処理装置1による基板Wの処理例について説明する。また、この処理例の各処理工程において、図2、および図6〜図8を適宜参照する。
【0050】
未処理の基板Wは、図示しない搬送ロボットによって処理室2に搬入され(ステップS11)、複数の突上げピン39(図2参照)を介して支持リング8上に載置される。このとき、洗浄液ノズル4およびリンス液ノズル5は、スピンチャック3の上方から退避されており、スプラッシュガード62は、退避位置に配置されている。支持リング8によって基板Wが支持されることにより、スピンベース7の上面と当該基板Wの下面との間には、水平方向に沿う狭空間S1が形成される。
【0051】
次に、基板Wの上面および下面に対する洗浄処理が同時に行われる(ステップS12)。具体的には、最初に、制御部50によりノズル揺動駆動機構28が制御されて、洗浄液ノズル4が基板Wの中心部の上方に配置される。そして、制御部50によりガード昇降駆動機構(図示せず)が制御されて、洗浄液捕獲部69がスピンチャック3に保持された基板Wの周端面に対向する回収位置にスプラッシュガード62が移動させられる。
【0052】
次に、制御部50により下側ガスバルブ20が開かれて、下側ガス吐出口18から所定の吐出流量で窒素ガスが吐出される。下側ガス吐出口18から吐出された窒素ガスは、外方(回転軸線L1から離れる方向)に向かって狭空間S1を広がっていき、支持リング8の下面とスピンベース7の上面との間の隙間38を通って狭空間S1から排出される。
隙間38から外方に窒素ガスを吹き出させることにより、処理液のミストやパーティクルなどの異物が、隙間38を介して狭空間S1に進入することを抑制または防止することができる。また、この実施形態では、スピンベース7と支持リング8との間の鉛直方向への間隔G1が狭くされているので(図2参照)、処理液のミストや異物が、隙間38を介して狭空間S1に進入することを一層確実に抑制または防止することができる。これにより、処理液や異物が基板Wの下面に付着して、当該下面が汚染されることを抑制または防止することができる。
【0053】
続いて、制御部50によりモータ9が制御されて、所定の回転速度(たとえば数百rpm以上)でスピンベース7が回転させられる。これにより、支持リング8によって支持された基板Wが、スピンベース7に対して非接触の状態で、スピンチャック3に吸着保持され、支持リング8とともに前記所定の回転速度で回転軸線L1まわりに一体回転する。このとき下側ガス吐出口18からの窒素ガスの吐出流量は、制御部50によりガス流量調整バルブ21の開度が制御されて、スピンチャック3による基板Wの吸着状態が維持される量に予め調整されている。
【0054】
次に、制御部50により洗浄液バルブ25および下側洗浄液バルブ15が開かれて、洗浄液ノズル4および下面ノズル12から同種の洗浄液が吐出される。洗浄液ノズル4から吐出された洗浄液は、図6に示すように、基板Wの上面中心部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの上面中心部から周縁部に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板Wの上面全域に洗浄液が供給され、基板Wの上面中心部から上面周縁部に向かう流れを有する洗浄液の液膜が基板Wの上面に沿って形成される。このようにして、基板Wの上面に対する洗浄処理が行われる。
【0055】
また、基板Wの上面に対する洗浄処理において基板Wの上面周縁部に達した洗浄液は、遠心力によって拡張面36に移動していく。したがって、図6に示すように、拡張面36上には、基板W上に形成された洗浄液の液膜に連なる洗浄液の液膜が形成される。この拡張面36上に形成された洗浄液の液膜は、液滴となって拡張面36の外周縁から外方に排出される。そして、拡張面36から外方に飛散する洗浄液の液滴は、スプラッシュガード62の洗浄液捕獲部69によって捕獲され、処理カップ61の回収溝64に導かれる。これにより、基板Wから排出された使用済みの洗浄液が回収される。
【0056】
前述のように、拡張面36は、処理液に対する親液性が基板Wよりも高い親液面とされている。したがって、基板Wの上面周縁部に達した洗浄液は、拡張面36によって外方への移動が促され、拡張面36に向かって円滑に移動していく。さらに、拡張面36が、支持リング8に支持された基板Wの上面よりも低くなっているので、基板Wの上面周縁部に達した洗浄液は重力により拡張面36へと円滑に移動していく。これにより、基板Wからの処理液の排出性が向上されている。したがって、基板W上の洗浄液を後続の洗浄液によって確実に置換して、基板Wの上面に対する洗浄処理を効率的に行うことができる。
【0057】
一方、下面ノズル12から吐出された洗浄液は、図6に示すように、基板Wの下面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの下面に沿って中心部から周縁部に向かって広がっていく。これにより、基板Wの下面全域に洗浄液が供給され、その中心部から周縁部に向かう流れを有する洗浄液の液膜が基板Wの下面に沿って形成される。このようにして、基板Wの下面に対する洗浄処理が行われ、基板Wの上面および下面に対する洗浄処理が同時に行われる。
【0058】
また、基板Wの下面に対する洗浄処理において下面ノズル12から吐出された洗浄液は、支持リング8の下面とスピンベース7の上面との間の隙間38を通り、狭空間S1から排出される。そして、スピンベース7の外方に飛散するリンス液は、スプラッシュガード62の洗浄液捕獲部69によって捕獲され、処理カップ61の回収溝64に導かれる。これにより、基板Wから排出された使用済みの洗浄液が回収される。
【0059】
基板Wの下面に対する洗浄処理において、下面ノズル12からの洗浄液の吐出流量は、狭空間S1が液密にならず、狭空間S1と支持リング8の周囲の空間との連通状態が維持される量に設定されている。具体的には、膜厚がたとえば数μm〜数百μmの洗浄液の液膜が基板Wの下面に沿って形成され、さらに、隙間38が洗浄液によって封止されないように、下面ノズル12からの洗浄液の吐出流量が設定されている。これにより、基板Wの下面に対する洗浄処理において、スピンチャック3による基板Wの吸着状態が維持されるようになっている。
【0060】
基板Wの上面および下面に対する洗浄処理が所定時間にわたって行われた後は、制御部50により洗浄液バルブ25および下側洗浄液バルブ15が閉じられて、基板Wの上面および下面への洗浄液の供給が停止される。
次に、基板Wの上面および下面に対するリンス処理が同時に行われる(ステップS13)。具体的には、最初に、制御部50によりガード昇降駆動機構(図示せず)が制御されて、図7に示すように、リンス液捕獲部68がスピンチャック3に保持された基板Wの周端面に対向する排液位置までスプラッシュガード62が移動させられる。そして、制御部50により2つのノズル揺動駆動機構28,33が制御されて、洗浄液ノズル4が基板W上から退避された後、リンス液ノズル5が基板Wの中心部の上方に配置される。このとき、スピンベース7は、所定の回転速度(たとえば数百rpm以上)で回転されており、下側ガス吐出口18からはスピンチャック3による基板Wの吸着状態が維持される量で窒素ガスが吐出されている。
【0061】
次に、制御部50によりリンス液バルブ31および下側リンス液バルブ16が開かれて、リンス液ノズル5および下面ノズル12から同種のリンス液が吐出される。リンス液ノズル5から吐出されたリンス液は、図7に示すように、基板Wの上面中心部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの上面中心部から周縁部に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板Wの上面全域にリンス液が供給され、リンス液によって基板W上から洗浄液が洗い流される。このようにして、基板Wの上面に対するリンス処理が行われる。
【0062】
基板Wの下面に対するリンス処理において基板Wの上面に供給されたリンス液は、基板Wの上面周縁部から拡張面36に向かって外方に移動していき、液滴となって拡張面36の外周縁から排出される。そして、拡張面36から外方に飛散するリンス液の液滴は、スプラッシュガード62のリンス液捕獲部68によって捕獲され、処理カップ61の排液溝63に導かれる。これにより、使用済みのリンス液が排液溝63からリンス液排液配管66に導かれ、排液される。
【0063】
一方、下面ノズル12から吐出されたリンス液は、図7に示すように、基板Wの下面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて、基板Wの下面に沿って中心部から周縁部に向かって広がっていく。これにより、基板Wの下面全域にリンス液が供給され、リンス液によって基板Wの下面から洗浄液が洗い流される。このようにして、基板Wの下面に対するリンス処理が行われ、基板Wの上面および下面に対するリンス処理が同時に行われる。
【0064】
基板Wの下面に対するリンス処理において下面ノズル12から吐出されたリンス液は、支持リング8の下面とスピンベース7の上面との間の隙間38を通り、狭空間S1から排出される。そして、スピンベース7の外方に飛散するリンス液は、スプラッシュガード62のリンス液捕獲部68によって捕獲され、処理カップ61の排液溝63に導かれる。これにより、使用済みのリンス液が排液溝63からリンス液排液配管66に導かれ、排液される。
【0065】
基板Wの下面に対するリンス処理において、下面ノズル12からのリンス液の吐出流量は、狭空間S1が液密にならず、狭空間S1と支持リング8の周囲の空間との連通状態が維持される量に設定されている。具体的には、膜厚がたとえば数μm〜数百μmのリンス液の液膜が基板Wの下面に沿って形成され、さらに、隙間38がリンス液によって封止されないように、下面ノズル12からのリンス液の吐出流量が設定されている。これにより、基板Wの下面に対するリンス処理において、スピンチャック3による基板Wの吸着状態が維持されるようになっている。
【0066】
基板Wの上面および下面に対するリンス処理が所定時間にわたって行われた後は、制御部50によりリンス液バルブ31および下側リンス液バルブ16が閉じられて、基板Wの上面および下面へのリンス液の供給が停止される。
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる(ステップS14)。具体的には、スプラッシュガード62が排液位置に位置する状態で、制御部50によりモータ9が制御されて、高回転速度(たとえば数千rpm)でスピンベース7が回転される。このとき下側ガス吐出口18からは、スピンチャック3による基板Wの吸着状態が維持される吐出流量で、窒素ガスが吐出されている。
【0067】
スピンベース7が高回転速度で回転されることにより、支持リング8に支持された基板Wは、スピンチャック3に吸着保持された状態で、支持リング8とともに高回転速度で回転軸線L1まわりに一体回転する。また、基板Wに付着しているリンス液は、図8に示すように、液滴となった状態で遠心力によって基板W上を流れていき、基板Wの上面周縁部から拡張面36に移動していく。これにより、基板W上からリンス液が排液され(排液工程)、基板Wが乾燥する。また、基板Wから拡張面36に移動したリンス液の液滴は、遠心力によって拡張面36の周囲に振り切られ、スプラッシュガード62によって処理カップ61の排液溝63に導かれる。
【0068】
前述のように、拡張面36の親液性が基板Wよりも高くなっているので、乾燥処理において基板Wの上面から拡張面36に移動したリンス液の液滴は、拡張面36によく濡れて、拡張面36全体に広がる。そのため、拡張面36からは、基板W上での粒径よりも小さな粒径のリンス液の液滴がその周囲に飛散する。したがって、スプラッシュガード62に衝突して基板W側に跳ね返った処理液の液滴や、この跳ね返った液滴と拡張面36から振り切られた後続の液滴との衝突により基板W側に跳ね返った処理液の液滴が基板Wに付着(再付着)することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wから排出された処理液の再付着による基板Wの汚染を抑制または防止することができる。
【0069】
基板Wの高速回転が所定時間にわたって続けられた後は、モータ9の回転が停止され、スピンチャック3による基板Wの回転が停止される。その後、処理済みの基板Wが、複数の突上げピン39(図2参照)によって支持リング8から受け取られ、当該基板Wが、搬送ロボットによって処理室2から搬出される(ステップS15)。
以上のように本実施形態では、基板Wを支持する支持リング8が、基板Wの全周を取り囲んで当該基板Wの外周縁を外方に拡張するように設けられた円環状の拡張面36を有しており、この拡張面36が、処理液に対する親液性が基板Wよりも高い親液面とされている。したがって、基板Wの上面周縁部に位置する処理液は、拡張面36への移動が促され、拡張面36に向かって円滑に移動していく。これにより、基板Wからの処理液の排出性が向上されている。そのため、表面が親液状態の基板Wに対して処理液を連続供給して当該基板Wを処理する場合であっても、基板W上の処理液を後続の処理液に効率的に置換することができる。また、表面が親液状態の基板Wであったとしても当該基板Wから処理液を確実に排除して当該基板Wを乾燥させることができる。これにより、処理液による処理や乾燥処理を円滑に行うことができる。
【0070】
また、拡張面36は基板Wよりも親液性が高くされているから、乾燥処理において基板Wから拡張面36に移動した処理液の液滴は、拡張面36とよく濡れ、拡張面36全体に広がる。したがって、拡張面36からその周囲に飛散する処理液の液滴の大きさは、基板W上での大きさよりも小さくなる。すなわち、拡張面36を介さずに基板Wの上面周縁部から直接的に処理液の液滴を振り切る場合よりも小さな粒径の処理液の液滴を基板Wの周囲に飛散させることができる。そのため、スプラッシュガード62により基板Wの周囲に飛散する処理液を受け止める場合であっても、スプラッシュガード62から基板W側に跳ね返った処理液の液滴に、拡張面36から振り切られた後続の処理液の液滴が衝突して、基板Wから排出された処理液が基板Wに付着(再付着)することを抑制または防止することができる。特に、表面が疎水状態の基板Wに対して乾燥処理を行う場合に、基板Wに対する処理液の再付着を確実に抑制または防止することができる。これにより、処理液の再付着による基板Wの汚染を抑制または防止することができる。
【0071】
さらに、この実施形態では、スピンベース7および支持リング8の回転速度を高めることにより、支持リング8に支持された基板Wを吸着保持できるので、たとえば、複数の挟持部材により基板Wの周端面を挟持して当該基板Wを保持するメカニカルチャック機構や、狭空間S1内の空気を吸引することにより基板Wを吸着保持するためのバキューム機構などの保持機構を別途設けなくてもよい。そのため、基板処理装置1の構造を簡易にすることができ、基板処理装置1の製造コストを低減することができる。また、基板処理装置1を小型化することもできる。さらに、メカニカルチャック機構を設けなくてもよいので、たとえば前述の乾燥処理において、基板W上で外方に移動する処理液が挟持部材に当たって跳ね返ったり、回転軸線L1まわりの挟持部材の回転により気流が乱れたりして、基板Wから排出された処理液が当該基板Wに再付着することを抑制または防止することができる。これにより、処理液の再付着による基板Wの汚染を抑制または防止することができる。
【0072】
さらにまた、この実施形態では、支持リング8のテーパ面35が基板Wの下面周縁部を線接触で支持するようになっているので、基板Wとテーパ面35との接触面積が小さくなっている。これにより、パーティクルなどの異物がテーパ面35から基板Wに移って、当該基板Wが汚染されることを抑制または防止することができる。また、スピンチャック3によって基板Wを吸着保持するときに、基板Wの下面周縁部以外の部分をスピンチャック3に対して非接触とすることができるので、スピンチャック3から基板Wに異物が移って、当該基板Wが汚染されることを抑制または防止することができる。
【0073】
以下では、図9〜図14を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。この図9〜図14において、前述の図1〜図8に示された各部と同等の構成部分については、図1〜図8と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
前述の実施形態では、支持リング8が円環状をなす平板状の部材であり、その断面形状が、その内周側に向かって先細りとなる楔状をなしている場合について説明したが、支持リング8の形状はこれに限らない。具体的には、たとえば、支持リング8が図9〜図14に示す形状にされていてもよい。
【0074】
図9に示す支持リング108(保持部)は、円環状をなす平板状にされていて、その断面形状(鉛直面に沿う断面形状)が矩形にされていている。支持リング108の上面および下面は、それぞれ円環状の水平面となっている。また、支持リング108の内径は、基板Wの外径よりも小さくされており、支持リング108の外径は、基板Wの外径よりも大きくされている。この実施形態では、支持リング108の外径が、スピンベース7の外径とほぼ同じ大きさにされている。支持リング108は、スピンベース7と同軸となるように、スピンベース7の上面周縁部に沿って水平に配置されている。基板Wの下面周縁部は、支持リング108の上面内周部によって支持されている。支持リング108によって基板Wを支持した状態で、基板Wよりも外方に位置する支持リング108の上面の一部が、基板Wの外周縁を外方に拡張するように、当該基板Wの全周を取り囲む拡張面136となっている。
【0075】
また、図10に示す支持リング208(保持部)は、円環状をなす平板状にされていて、内周上側の角部が全周にわたって下方に切りかかれている。この切りかかれた部分により、支持リング208と同心で円環状をなす環状段部51が形成されている。環状段部51は、支持リング208の内周面上端から外方に延びる円環状の水平面52と、この水平面52の外周縁から上方に向かって延びる円筒状の鉛直面53とを有している。水平面52は、内径が基板Wの外径よりも小さくされており、外径が基板Wの外径よりもやや大きくされている。鉛直面53は、高さが基板Wの厚みよりも小さくされている。
【0076】
基板Wの下面周縁部は、水平面52によって支持されている。水平面52によって基板Wの下面周縁部が支持された状態で、鉛直面53は、基板Wの周端面に近接した位置で対向している。鉛直面53を基板Wの周端面に近接させることで、水平方向への基板Wの位置ずれを抑制または防止することができる。
また、支持リング208の上面は、円環状の水平面にされており、水平面52によって基板Wの下面周縁部が支持された状態で、基板Wの上面周縁部に連なるように形成されている。この支持リング208の上面が、基板Wの外周縁を外方に拡張するように、当該基板Wの全周を取り囲む拡張面236となっている。
【0077】
また、図11に示す支持リング308(保持部)は、円環状をなす平板状にされていて、内周上側の角部が全周にわたって下方に切りかかれている。この切りかかれた部分により、支持リング308と同心で円環状をなす環状段部54が形成されている。環状段部54は、支持リング308の内周面上端から外方に延びる円環状のテーパ面55と、このテーパ面55の外周縁から上方に向かって延びる円筒状の鉛直面56とを有している。テーパ面55は、支持リング308の内側に向かって下方に傾斜している。テーパ面55は、内径が基板Wの外径よりも小さくされており、外径が基板Wの外径よりもやや大きくされている。
【0078】
テーパ面55は、線接触で基板Wの下面周縁部を支持することができる。テーパ面55によって基板Wの下面周縁部が支持された状態で、鉛直面56は、基板Wの周端面に近接した位置で対向している。鉛直面56を基板Wの周端面に近接させることで、水平方向への基板Wの位置ずれを抑制または防止することができる。
また、支持リング308の上面は、円環状の水平面にされており、テーパ面55によって基板Wの下面周縁部が支持された状態で、基板Wの上面周縁部に連なるように形成されている。この支持リング308の上面が、基板Wの外周縁を外方に拡張するように、当該基板Wの全周を取り囲む拡張面336となっている。
【0079】
また、図12に示す支持リング408(保持部)は、図2に示す支持リング8と同様の形状にされており、さらに、テーパ面35から上方に突出する複数(3つ以上)の支持部57を有している。図12においては、支持部57を1つだけ図示している。複数の支持部57は、テーパ面35上において、支持リング408の周方向に間隔を隔てて環状に配置されている。
【0080】
各支持部57は、外表面が球面状にされており、点接触で基板Wの下面を支持することができる(いわゆる、プロキシミティボール)。各支持部57は、基板Wの下面においてたとえば外周縁から1〜2mm中心側の位置を支持するように配置されている。支持リング408は、各支持部57を基板Wの下面周縁部に点接触させることにより、これらの支持部57を協働させて基板Wを支持することができる。
【0081】
また、各支持部57のテーパ面35からの突出量は小さくされている。支持リング408は、基板Wの下面周縁部をテーパ面35に近接させた状態で、当該基板Wを支持することができる。複数の支持部57により基板Wを支持した状態で、基板Wの下面とテーパ面35との間には、支持部57により支持された部分を除き、隙間438が生じるようになっている。スピンベース7の上面と基板Wの下面との間に形成される狭空間S1は、この隙間438により、支持リング408の周囲の空間に連通されている。すなわち、この実施形態では、隙間438が、狭空間S1を支持リング408の周囲の空間に連通させる連通部として機能する。したがって、この実施形態では、図14に示すように、スピンベース7の上面と支持リング408の下面との間に隙間を設けずに、スピンベース7の上面に対して支持リング408の下面を密着させても、狭空間S1に存在する気体を、基板Wの下面周縁部とテーパ面35との間の隙間438から排出させて、狭空間S1を負圧にすることができる。これにより、支持リング408に支持された基板Wを吸着保持することができる。なお、図示はしないが、この実施形態において、スピンベース7の上面と支持リング408の下面との間に、図2に示すような間隔G1を設けるような構成としてもよい。
【0082】
図示はしないが、図9〜図11に示す支持リング108,208,308に、複数の支持部57を設けて、これらの支持部57によって基板Wを支持してもよい。
また、図13に示す支持リング508(保持部)は、図2に示す支持リング8と同様の形状にされた平板部58と、この平板部58の外周部から下方に延びる筒状部59とを有している。筒状部59は、平板部58の外周部から下方に向かって鉛直に延びている。筒状部59は、スピンベース7の外側に位置しており、隙間38を取り囲んでいる。筒状部59の内周面と、スピンベース7の外周面との間には、所定の隙間が形成されている。この筒状部59により、処理液のミストやパーティクルなどの異物が、隙間38を介して狭空間S1に進入することを抑制または防止することができる。これにより、処理液や異物が基板Wの下面に付着して、当該下面が汚染されることを抑制または防止することができる。
【0083】
また、図14に示す支持リング608(保持部)は、図2に示す支持リング8と同様の形状にされた平板部58と、この平板部58の外周部から下方に延びる筒状部60とを有している。筒状部60は、平板部58の外周部から外方に広がりつつ下方に延びている。筒状部60は、スピンベース7の外側に位置しており、隙間38を取り囲んでいる。筒状部60の内周面と、スピンベース7の外周面との間には、所定の隙間が形成されている。
【0084】
この筒状部60により、処理液のミストやパーティクルなどの異物が、隙間38を介して狭空間S1に進入することを抑制または防止することができる。また、筒状部60が平板部58の外周部から外方に広がりつつ下方に延びているので、隙間38から外方に排出された処理液を、筒状部60の内周面により下方に導くことができる。これにより、隙間38から排出された処理液が筒状部60に当たって跳ね返り、再び隙間38に進入することを抑制または防止することができる。その結果、隙間38からの処理液の排出性の低下を抑制または防止することができる。
【0085】
図示はしないが、図9〜図11に示す支持リング108,208,308に、筒状部59または筒状部60を設けてもよい。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では、支持リング108,208,308,408,508,608とスピンベース7とが別体である場合について説明したが、支持リング108,208,308,408,508,608とスピンベース7とが一体形成されていてもよい。具体的には、たとえば図15に示すように、支持リング8、スピンベース7および複数の連結部材37が一体形成されていてもよい。
【0086】
また、前述の実施形態では、保持部として機能する支持リング108,208,308,408,508,608がそれぞれ環状である場合について説明したが、保持部は、環状でなくてもよい。たとえば、平板状の部材を保持部として用いてもよい。この場合、前記平板状の部材に小径の吸引孔を形成し、この吸引孔から基板の下面を吸引することにより、前記平板状の部材上で基板を吸着保持することができる。
【0087】
また、前述の実施形態では、スピンベース7の上面中央部に位置する環状の下側ガス吐出口18から上方に向けて窒素ガスを吐出させる場合について説明したが、これに限らず、たとえばスピンベース7の上面周縁部に複数の吐出口を形成し、これらの吐出口から上方に向けて窒素ガスを吐出させてもよい。この場合、スピンベース7と支持リング8との間の隙間38から確実に窒素ガスを吹き出させて、この隙間38に処理液や異物が進入することを一層確実に抑制または防止することができる。
【0088】
また、前述の実施形態では、処理液に対する親液性が基板Wよりも高い材料によって支持リング8を形成することにより、拡張面36が親液面とされている場合について説明したが、これに限らず、たとえば、処理液に対する親液性が基板Wよりも高い材料によって支持リング8の外表面をコーティングすることにより、拡張面36を親液面としてもよい。
【0089】
また、前述の実施形態では、処理対象となる基板Wとして半導体ウエハを取り上げたが、半導体ウエハに限らず、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの他の種類の基板が処理対象とされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解図である。
【図2】スピンチャックの図解的な縦断面図である。
【図3】スピンチャックの図解的な平面図である。
【図4】基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図5】基板処理装置による基板の処理例を説明するための工程図である。
【図6】基板の処理中におけるスピンチャックの図解的な側面図である。
【図7】基板の処理中におけるスピンチャックの図解的な側面図である。
【図8】基板の処理中におけるスピンチャックの図解的な側面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る支持リングおよびそれに関連する構成の図解的な縦断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係る支持リングおよびそれに関連する構成の図解的な縦断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態に係る支持リングおよびそれに関連する構成の図解的な縦断面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係る支持リングおよびそれに関連する構成の図解的な縦断面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係る支持リングおよびそれに関連する構成の図解的な縦断面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係る支持リングおよびそれに関連する構成の図解的な縦断面図である。
【図15】本発明のさらに他の実施形態に係る支持リングおよびそれに関連する構成の図解的な縦断面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 基板処理装置
3 スピンチャック
4 洗浄液ノズル
5 リンス液ノズル
8 支持リング
9 モータ
35 テーパ面
36 拡張面
38 隙間
50 制御部
55 テーパ面
57 支持部
108 支持リング
136 拡張面
208 支持リング
236 拡張面
308 支持リング
336 拡張面
408 支持リング
438 隙間
508 支持リング
608 支持リング
L1 回転軸線
S1 狭空間
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持するための保持部を有する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板に処理液を供給する処理液供給手段とを含み、
前記保持部は、基板の全周を取り囲んで当該基板の外周縁を外方に拡張するように設けられた環状の拡張面を有し、
前記拡張面は、処理液に対する親液性が基板よりも高い親液面とされている、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板保持手段は、前記保持部を鉛直軸線まわりに回転させる回転手段を含み、
前記保持部は、基板の下方に空間が生じるように当該基板の下面周縁部を全周にわたって支持できるように形成されたものであり、当該空間を当該保持部の周囲の空間に連通させるための連通部を有している、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記保持部は、内側に向かって下方に傾斜する環状のテーパ面を含み、
前記テーパ面は、基板の下面周縁部を線接触で支持するように形成されている、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記保持部は、環状に配置された複数の支持部を有し、
前記複数の支持部は、それぞれ、基板の下面周縁部を点接触で支持するように形成されている、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記拡張面は、前記保持部に保持される基板の上面よりも低くなるように形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−93190(P2010−93190A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264081(P2008−264081)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】