説明

外用に適する組成物

【課題】 薬効成分が本来有する性能を十分に発揮する、美容や医療に有効な化粧品、外用医薬品等の外用に適する組成物を提供する。
【解決手段】 次の成分(A)及び(B)
(A)アスタキサンチン類
(B)活性酸素除去剤、抗酸化剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、チロシナーゼ活性阻害剤及び保湿剤から選ばれる薬効剤の一種又は二種以上を含有することを特徴とする組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外用に適した組成物に関し、更に詳細には、アスタキサンチン類と特定の薬効剤を配合した、化粧品、外用医薬品等外用に適する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乳液、クリーム、化粧水、パック、分散液、洗浄料等の化粧品や、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等の外用医薬品には、これらに所定の薬効を付与することを目的として薬効成分が加えられている。
例えば、日焼け等により生じる皮膚の黒化や炎症、色素沈着により生ずるシミ、ソバカス等の現象を防止するために、カラミン等や、アスコルビン酸類、グルタチオン、コロイドイオウ、ハイドロキノン、シンナミックアルデヒド等が配合されており、また、肌荒れ改善、皮膚老化防止、細胞賦活の他、切創やひげそり後の傷の治療、ひび、あかぎれ、ただれ、痔疾、火傷などの改善等の創傷治療を目的に、アラントイン、アロエ抽出物、人参抽出物、シコン抽出物、胎盤抽出物、牛血液除蛋白物、発酵代謝物等の薬効成分が配合されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの薬効成分を配合した化粧品、外用医薬品等の外用に適する組成物(以下、「外用組成物」ということがある)では、薬効成分の効果が十分でなかったり、あるいは、製剤中で変質するなどして所期の薬効が得られない場合が多く、その改善が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、外用組成物の薬効成分の効果を向上させるべく鋭意検討を行った結果、アスタキサンチン類と薬効剤を組み合わせれば、本来薬効剤の有する作用が十分発揮されることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B)
(A)アスタキサンチン類
(B)活性酸素除去剤、抗酸化剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、チロシナーゼ活性阻
害剤及び保湿剤から選ばれる薬効剤の一種又は二種以上
を含有する組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、薬効剤の本来有する性能を十分に発揮させることができる。 例えば、薬効剤として活性酸素除去剤や抗酸化剤を含有する本発明の組成物は、優れた活性酸素除去作用を有し、肌荒れ改善や、皮膚老化防止等に安定で且つ優れた効果を有するので、紫外線による皮膚中での活性酸素生成に起因する過酸化脂質の生成、炎症、黒化、老化等に対し、極めて高い予防効果を有するものである。
一方、薬効剤として細胞賦活剤を含有する本発明の組成物は、優れた細胞賦活作用を有するため、皮膚の老化防止、外傷、ひび、あかぎれ、ただれ、痔疾、火傷などの改善、創傷治癒促進等に有効なものである。
【0007】
また、薬効剤として抗炎症剤やチロシナーゼ活性阻害剤を含有する本発明の組成物は、安定で且つ優れた抗炎症作用及び美白作用を有するため、皮膚の炎症や色素沈着に高い抑制効果を発揮し、日やけなどによる皮膚の黒色化、シミ、ソバカスの防止・改善等に有効である。
更に、薬効剤として保湿剤を含有する本発明の組成物は、安定で且つ優れた肌荒れ改善作用を有するため、肌の「くすみ」等の発生の防止、改善に有効なものである。
このように、本発明の組成物は、薬効剤の本来有する性能を十分に発揮させることができるので、美容や医療において極めて有用なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明組成物の成分(A)であるアスタキサンチン類は、既に酸化防止効果、抗炎症効果(特開平2−49091号)、皮膚老化防止効果(特開平5−155736号)、美白効果(日本香粧品科学会第19回学術大会講演要旨集P.66,1994年)を有することが知られたものである。このアスタキサンチン類は、化学合成品でも、オキアミ、サケ、マス、福寿草、赤色酵母等の天然物から抽出されたものでもよく、例えば以下の如くして調製されるものが好ましく利用できる。
【0009】
すなわち、オキアミ科オキアミ(Euphausia similis G.O.等)に抽出溶媒を加え抽出し、この抽出液を濾別して得られるアスタキサンチン類抽出エキスや、この抽出エキスから更に抽出溶媒を留去し、必要に応じて水素添加や加水分解等の化学反応を行った後、分子蒸留、あるいはカラムクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の手段を用いて脱臭、精製を行った精製アスタキサンチン類を用いることができる。
【0010】
上記抽出溶媒としては、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶媒を用いることができ、また、これらの混合溶液を用いることもできる。あるいは、超臨界状態の二酸化炭素を用いてもよい。
【0011】
なお、本発明におけるアスタキサンチン類とは、アスタキサンチンおよびその誘導体の両者を包含するものである。アスタキサンチンは、次の式
【化1】

で示されるカロテノイドであり、その誘導体としては、アスタキサンチンのエステルが挙げられ、例えば、グリシン、アラニン等のアミノ酸エステル類、酢酸エステル、クエン酸エステル等のカルボン酸エステル及びその塩類、リン酸エステル、硫酸エステル等の無機塩エステル及びその塩類、グルコシド等の配糖体類、またはエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸等の高度不飽和脂肪酸、オレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸またはパルミチン酸やステアリン酸等の飽和脂肪酸から選択される脂肪酸エステル類等から選択されるモノエステル体及び同種または異種のジエステル体等が挙げられる。
【0012】
本発明組成物におけるアスタキサンチン類の含有量は、好ましくは0.00001〜5質量%(以下単に「%」で示す)であり、より好ましくは0.0001〜1%である。抽出液を使用する場合は、溶質の含有量が上記範囲内であれば、その抽出液濃度等は何ら限定されるものではない。このアスタキサンチン類の含有量が0.00001%より少ないと十分な効果が得られないことがあり、また、5%を超えて配合してもそれ以上の効果の増大は見られない。
【0013】
一方、本発明の(B)成分の薬効剤は、活性酸素除去剤、抗酸化剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、チロシナーゼ活性阻害剤及び保湿剤から選ばれるものであるが、具体的な薬効剤としては、それぞれ以下に示すものが挙げられる。
【0014】
( 活性酸素除去剤及び抗酸化剤 )
活性酸素除去剤としては、例えば、SOD、マンニトール、ハイドロキノン、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、クエルセチン、クエルシトリン、没食子酸、没食子酸誘導体、イチョウ抽出物などのフラボノイドを成分中に含む植物抽出物、ゴカヒ抽出物、ヤシャジツ抽出物、ジコッピ抽出物等が挙げられる。
【0015】
また抗酸化剤としては、例えば、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート等のビタミンA類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンB類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、リン酸−L−アスコルビルマグネシウム、L−アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、ビタミンCジパルミテート等のビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩、ビタミンD類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンEアセテート等のビタミンE及びその誘導体並びにそれらの塩、グルタチオン及びその誘導体並びにそれらの塩、BHT及びBHA等が挙げられる。
【0016】
上記活性酸素除去剤及び抗酸化剤のうち、特に好ましいものとしては、マンニトール、ビタミンC及びその誘導体並びにその塩、ビタミンE及びその誘導体並びにその塩が挙げられる。
【0017】
( 細 胞 賦 活 剤 )
細胞賦活剤としては、例えば、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸、アデノシン一リン酸などのアデニル酸誘導体及びそれらの塩、リボ核酸及びその塩、グアニン、キサンチン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩などの核酸関連物質;血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、胎盤抽出物、鶏冠抽出物、ローヤルゼリーなどの動物由来の抽出物;酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、霊芝抽出物などの微生物由来の抽出物;ニンジン抽出物、センブリ抽出物、ローズマリー抽出物、オウバク抽出物、ニンニク抽出物、ヒノキチオール、セファランチンなどの植物由来の抽出物;α−又はγ−リノレイン酸、エイコサペンタエン酸及びそれらの誘導体、コハク酸及びその誘導体並びにそれらの塩、エストラジオール及びその誘導体並びにそれらの塩、乳酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、サリチル酸などのα−ヒドロキシ酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩等を挙げることができる。
【0018】
これら細胞賦活剤のうち、特に好ましいものとしては、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸及びその塩、血清除蛋白抽出物、胎盤抽出物、酵母抽出物、ニンジン抽出物、コハク酸及びその誘導体並びにそれらの塩が挙げられる。
【0019】
( 抗 炎 症 剤 )
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ε−アミノカプロン酸、酸化亜鉛、ジクロフェナクナトリウム、アロエ抽出物、サルビア抽出物、アルニカ抽出物、カミツレ抽出物、シラカバ抽出物、オトギリソウ抽出物、ユーカリ抽出物、ムクロジ抽出物等が挙げられる。
【0020】
これらの抗炎症剤のうち、特に好ましいものは、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グアイアズレン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ε−アミノカプロン酸、アロエ抽出物、カミツレ抽出物である。
【0021】
( チロシナーゼ活性阻害剤 )
チロシナーゼ活性阻害剤としては、システイン及びその誘導体(例えばN,N'−ジアセチルシスチンジメチル等)並びにその塩、センプクカ抽出物、ケイケットウ抽出物、サンペンズ抽出物、ソウハクヒ抽出物、トウキ抽出物、イブキトラノオ抽出物、クララ抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、ホップ抽出物、ノイバラ抽出物、ヨクイニン抽出物等が挙げられる。
【0022】
( 保 湿 剤 )
保湿剤としては、皮膚の構成成分であり、従来から化粧料に配合されているムコ多糖類及び/又はタンパク質が利用できる。
【0023】
このうちムコ多糖類としては、例えばヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸並びにこれらの塩類が挙げられ、特にヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸及びこれらの塩類を好適に用いることができる。
【0024】
また、タンパク質としては、例えばコラーゲン、エラスチン、ケラチン及びこれらの誘導体並びにその塩類を挙げることができ、特にコラーゲンが好ましい。
これらの各成分は、その起源について特に制約はなく、動物由来、微生物由来、合成品のいずれであってもよい。天然起源の場合の抽出方法、精製処理方法についても特に制約はない。
【0025】
上記の(B)成分である薬効剤の本発明の組成物への配合量は、薬効剤の種類により相違するが、以下に示す範囲とすることが好ましい。
【0026】
すなわち、活性酸素除去剤は、組成物中に、一般には0.00001〜5%、好ましくは0.001〜3%配合される。活性酸素除去剤の配合量が0.00001%より少ない場合は、十分な効果が得られないことがあり、また、5%を超えて配合してもそれ以上の効果の増大は見られず、かえって製剤面で悪影響が生じる場合がある。これらの活性酸素除去剤は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、抗酸化剤も組成物中に、一般には0.00001〜5%、好ましくは0.001〜3%配合される。 抗酸化剤の配合量が上記範囲よりも多い場合あるいは少ない場合は、前記活性酸素除去剤のところで説明したのと同じ理由で好ましくない。これらの抗酸化剤も、一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
細胞賦活剤は、経時安定性の点から組成物中に0.001〜5%、特に0.01〜3%配合するのが好ましく、一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0029】
抗炎症剤は、組成物中に、一般には0.0001〜5%、好ましくは0.01〜3%である。抗炎症剤はそれぞれ一種又は二種以上を組合せて用いることができる。
【0030】
更に、チロシナーゼ活性阻害剤は、組成物における含有量が乾燥固形分として0.0001〜10%、特に0.001〜5%となるように配合するのが好ましい。0.0001%未満では充分な美白効果が得られず、10%を超えて配合してもその効果は増大せず、また場合によっては製品の着色等の問題が生じることがあり好ましくない。なお、これらは、一種又は二種以上を組合わせて用いることができる。
【0031】
更にまた、保湿剤であるムコ多糖類及び/又はタンパク質の本発明組成物中の配合量は、一般には0.0001〜5%、好ましくは0.001〜3%である。これらの含有量が0.0001%より少ない場合は、十分な効果が得られないことがあり、また、5%を超えて配合してもそれ以上の効果の増大は見られない。これらのムコ多糖類、タンパク質も一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
本発明の組成物は、常法に従い、必須成分である(A)成分と(B)成分とを通常の外用組成物として知られる種々の形態の基剤に配合して調製することができる。
【0033】
組成物の形態の例としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、分散液、洗浄料、メーキャップ化粧料、頭皮・毛髪用品等の化粧品や、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等の医薬品などとすることができ、外用組成物の基剤としては、これら外用剤の形態に応じた基剤、例えば、精製水、低級アルコール、多価アルコール、油脂、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、防腐剤、香料等を用いることができる。
【実施例】
【0034】
次に参考例、試験例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。
【0035】
参 考 例 1
アスタキサンチン類の抽出:
オキアミの甲殻乾燥物100g(アスタキサンチン類含量223mg%)にアセトン500mlを加え、撹拌しながら1時間抽出を行った。その後、吸引濾過して得られた濾液をエバポレーターにて減圧濃縮し、得られた濃縮液を減圧乾燥してアスタキサンチン類抽出物15g(アスタキサンチン類含量1.3%)を得た。
【0036】
参 考 例 2
アスタキサンチン類の精製:
参考例1で得られた抽出物10gについてカラムクロマトグラフィーを行った。 すなわち、シリカゲルを充填した内径3cm、高さ20cmのガラス製カラムに抽出物を吸着させ、n−ヘキサン500mlで不純物を溶出させた後、アセトンにてアスタキサンチン類を溶出させた。この溶出液をエバポレータにて減圧濃縮し、更に水蒸気蒸留を行ってアスタキサンチン類の精製物0.8g(アスタキサンチン類含量14.6%)を得た。
【0037】
試 験 例 1
スーパーオキサイド除去活性測定試験:
参考例2で得たアスタキサンチン類と表1記載の活性酸素除去剤を、それぞれ単独または混合して試料とし、下記測定方法によりスーパーオキサイド除去活性を測定した。
すなわち、0.05M炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.2)2.4mlに基質溶液[3.0mM キサンチン(0.05M炭酸ナトリウム緩衝液に溶解)]0.1ml、3.0mM EDTA 0.1ml、0.15%(W/V)ウシ血清アルブミン 0.1ml、0.75mM ニトロブル−テトラゾリウム 0.1ml及び各被験試料0.1mlを混合し、25℃で10分間放置した。次いで、酵素溶液[キサンチンオキシダーゼ溶液(精製水にて約0.04units/ml希釈)]0.1mlを加えて反応を開始し、25℃で20分間インキュベートした後、6mM CaCl2 0.1mlを加えて反応を停止する。次いで560nmにおける吸光度(A)を測定する。
【0038】
対照には被験試料のかわりに精製水を加えた試料の吸光度(B)、また各試料のブランクには、6mM CaCl2 0.1mlを加えて反応停止後に、キサンチンオキシダーゼ0.1mlを添加した試料の吸光度(C)を測定し、次式より、スーパーオキサイド除去率を算出した。その結果を表1に示す。
【0039】
【数1】

A: 試料の酵素反応による吸光度
B: 対照の酵素反応による吸光度
C: 試料の無酵素反応による吸光度
【0040】
【表1】

(注)表中の、アスタキサンチン類、SOD及びイチョウ抽出物の数字は、
それぞれの試料0.1ml中の重量(μg)を表わす。
*1 参考例2で製造したもの。
*2 シグマ社製;ウシ赤血球より得たもの(3.570 units/mg)。
*3 イチョウ葉10部に50V/V%エタノール水溶液50部を加え、室温で3
日間抽出した後濾過したもの。
【0041】
表1の結果より明らかな如く、参考例2で得られたアスタキサンチン類は単独でもSOD様作用を有していたが、SOD又はイチョウ抽出物と併用することにより、相乗的な作用を発揮し、活性酸素除去に極めて有効であることが示された。
【0042】
このことは、アスタキサンチン類と活性酸素除去剤を併用した本発明の組成物が、紫外線による皮膚中での活性酸素生成に起因する過酸化脂質の生成、炎症、黒化、老化に対し、極めて高い予防効果を有することを示すものである。
【0043】
実 施 例 1
乳 液:
表2に示す組成及び下記製法で乳液を調製し、その美肌効果及び皮膚老化防止効果を調べた。この結果を表3に示す。
【0044】
( 組 成 )
【表2】

*1 参考例2で製造したもの
*2 和光純薬社製
【0045】
( 製 法 )
A.成分(7)、(9)及び(13)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(1)〜(6)、(8)及び(10)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.上記Bを先のAに加えて混合し、成分(12)を加えて均一に乳化し、30℃
まで冷却して、成分(11)を加え、均一に混合して乳液を得る。
【0046】
( 試 験 方 法 )
被験乳液1品につき、26〜50才の女性15名をパネルとし、毎日、朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験乳液の適量を顔面に塗布した。塗布による美肌及び皮膚老化防止効果を下の基準によって評価した。
【0047】
美肌効果:
[評 価] [ 内 容 ]
有 効 肌のくすみが目立たなくなった。
やや有効 肌のくすみがあまり目立たなくなった。
無 効 使用前と変化なし。
【0048】
皮膚老化防止効果:
[評 価] [ 内 容 ]
有 効 肌のはり、つやが改善された。
やや有効 肌のはり、つやがやや改善された。
無 効 使用前と変化なし。
【0049】
( 結 果 )

【表3】

【0050】
表3の結果に示す如く、本発明品1に代表されるアスタキサンチン類と抗酸化剤を組み合わせた組成物を皮膚に適用することにより、肌のくすみ等を押え、美しい肌とするとともに、肌のはり、つやが改善され、皮膚の老化を防止することが明かとなった。
【0051】
実 施 例 2
ク リ ー ム :
表4に示す組成及び下記製法でクリームを調製し、その美肌効果及び皮膚老化防止効果を調べた。 この結果を表5に示す。
【0052】
( 組 成 )
【表4】

*1 参考例2で製造したもの
*2 日光ケミカルズ社製
*3 和光純薬社製
【0053】
( 製 法 )
A.成分(1)〜(8)、(11)及び(12)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.成分(13)を加熱して70℃に保つ。
C.AにBを加え、混合した後、冷却して(9)(10)を加えて、均一に混合し
て、クリームを得た。
( 試験方法 ) 実施例1と同じ
( 評価基準 ) 〃
【0054】
( 結 果 )
【表5】

【0055】
表5の結果に示される如く、本発明品2及び3に代表されるアスタキサンチン類と抗酸化剤又は活性酸素除去剤を組み合わせた組成物を皮膚に適用することにより、肌のくすみ等を押え、美しい肌とするとともに、肌のはり、つやが改善され、皮膚の老化を防止することが明かとなった。
【0056】
実 施 例 3
化 粧 水:
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1,3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレンソルビタン 1.2
モノラウリン酸エステル(20E.O.)
(4)エチルアルコール 8.0
(5)アスタキサンチン類*1 0.0005
(6)SOD*2 0.5
(7)防 腐 剤 適 量
(8)香 料 適 量
(9)精 製 水 残 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 シグマ社製;人赤血球より得たもの(5.230 units/mg)
【0057】
( 製 法 )
A.成分(3)、(4)、(5)、(7)及び(8)を混合溶解する。
B.成分(1)、(2)、(6)及び(9)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、化粧水を得た。
【0058】
実 施 例 4
パ ッ ク:
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ポリビニルアルコール 20.0
(2)エチルアルコール 20.0
(3)グリセリン 5.0
(4)カオリン 6.0
(5)アスタキサンチン類*1 0.05
(6)イチョウ抽出物*2 0.2
(7)防 腐 剤 0.2
(8)香 料 0.1
(9)精 製 水 残 量
*1 参考例2で製造したもの
*2 イチョウ葉10部に50V/V%エタノール水溶液50部を加え、室温で3
日間抽出した後濾過したもの。
【0059】
( 製 法 )
A.成分(1)、(3)、(4)及び(9)を混合し、70℃に加熱し、攪拌する。
B.成分(2)、(5)、(7)及び(8)を混合する。
C.上記Bを先のAに加え、混合した後、冷却して(6)を均一に分散してパッ
クを得た。
【0060】
実 施 例 5
洗 浄 料:
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ステアリン酸 10.0
(2)パルミチン酸 8.0
(3)ミリスチン酸 12.0
(4)ラウリン酸 4.0
(5)オレイルアルコール 1.5
(6)精製ラノリン 1.0
(7)香 料 0.1
(8)防 腐 剤 0.2
(9)グリセリン 18.0
(10)水酸化カリウム 6.0
(11)アスタキサンチン類*1 0.5
(12)酢酸−dl−α− 0.05
トコフェロール*2
(13)精 製 水 残 量
*1 参考例2で製造したもの
*2 シグマ社製
【0061】
( 製 法 )
A.成分(9)、(10)及び(13)を混合し、70℃に加熱する。
B.成分(1)〜(6)、(8)、(11)及び(12)を混合し、70℃に加熱する

C.上記Bを先のAに加え、しばらく70℃に保ち、けん化反応が終了後、50℃
まで冷却し、成分(7)を加え、冷却して洗浄料を得た。
【0062】
実 施 例 6
口 紅 :
次に示す処方及び製法で口紅を調製した。
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)アスタキサンチン類*1 0.02
(2)エルゴカルシフェロール*2 0.02
(3)赤色202号 0.2
(4)キャンデリラロウ 9.0
(5)固形パラフィン 8.0
(6)ミツロウ 5.0
(7)カルナウバロウ 5.0
(8)ラノリン 11.0
(9)イソプロピルミリスチン酸エステル 10.0
(10)精製ヒマシ油 残 量
*1 参考例2で製造したもの
*2 和光純薬社製
【0063】
( 製 法 )
A.成分(4)〜(10)を加熱溶解後、3本ローラーで練る。
B.成分(1)〜(3)を加えたのち、再び3本ローラーで2回練る。
C.冷却・成型して口紅を得る。
【0064】
試 験 例 2
創傷治癒試験:
生後8週令のウイスター(Wistar)系雄性ラットを、1群10匹として実験に供した。ラットの背部を剃毛した後、麻酔下、正中線に対称となるように左右2箇所の背部皮膚を4cmにわたり切開し、一方を薬剤塗布部位、他方を対照部位とした。切開後直ちに、両切開部位3箇所を縫合し、消毒用エタノールで清拭した。縫合部のうち薬剤塗布部位には表6に示した本発明品4〜6及び比較品8〜11(生理食塩水に溶解したもの)のうちいずれか1種を、対照部位には生理食塩水を0.1mlずつ1日2回、1週間にわたり塗布した。
【0065】
1週間後背部皮膚を剥離して切開創を中心に短冊状の切片を作成し、皮膚切片の張力強度をレオメーター NRM−2002J(不動工業株式会社製)を用いて測定した。得られた測定値から、次式により創傷治癒率を算出した。
この結果を表6に示す。
【0066】
【数2】

【0067】
【表6】

【0068】
*1 参考例2で製造したもの。
*2 和光純薬社製
*3 三省製薬社製
*4 日光ケミカルズ社製
【0069】
表6の結果に示される如く、アスタキサンチン類とATP、胎盤抽出物、酵母抽出物等の細胞賦活剤とを組合せた本発明組成物を皮膚に適用した場合は、創傷治癒率が高く、皮膚の外傷、ひび、あかぎれ、ただれ、痔疾、火傷等を有効に改善、治療できることが明かとなった。
【0070】
実 施 例 7
ク リ ー ム :
表7に示す組成及び下記製法でクリームを調製し、その美肌効果及び皮膚老化防止効果を調べた。この結果を表8に示す。
【0071】
( 組 成 )
【表7】

*1 参考例2で製造したもの
*2 三省製薬社製
*3 ペンタファーム社製
【0072】
( 製 法 )
A.成分(1)〜(8)、(11)及び(12)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.成分(9)、(10)及び(13)を混合し、加熱して70℃に保つ。
C.AにBを加えて混合し、30℃まで冷却してクリームを得た。
【0073】
( 試 験 方 法 )
被験クリーム1品につき、28〜54才の女性15名をパネルとし、毎日、朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験クリームの適量を顔面に塗布した。塗布による美肌及び皮膚老化防止効果を実施例1と同様の基準によって評価した。この結果を表8に示す。
【0074】
( 結 果 )
【表8】

【0075】
上記の結果に示された如く、本発明品7及び8に代表されるアスタキサンチン類と細胞賦活剤を配合した本発明組成物は、これを皮膚に適用することにより、肌のくすみ等を押え、美しい肌とするとともに、肌のはり、つやが改善され、皮膚の老化を防止することが明かとなった。
【0076】
実 施 例 8
化 粧 水:
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 1.0
(2)エタノール 15.0
(3)防腐剤 0.1
(4)ヒノキチオール 0.01
(5)香料 適 量
(6)アスタキサンチン類* 0.01
(7)クエン酸 0.1
(8)クエン酸ナトリウム 0.3
(9)1,3−ブチレングリコール 4.0
(10) 精 製 水 残 量
* 参考例2で製造したもの。
【0077】
( 製 法 )
A.成分(1)〜(6)を加熱、混合溶解する。
B.成分(7)〜(10)を加熱、混合溶解する。
C.AとBを混合して化粧水を得た。
【0078】
実 施 例 9
乳 液:
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ポリオキシエチレン(10E.O.) 1.0
ソルビタンモノステアレート
(2)ポリオキシエチレン(60E.O.) 0.5
ソルビットテトラオレエート
(3)グリセリルモノステアレート 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 8.0
(7)エイコサペンタエン酸 5.0
(8)防 腐 剤 0.1
(9)アスタキサンチン類* 0.1
(10)カルボキシビニルポリマー 0.1
(11)水酸化ナトリウム 0.05
(12)エチルアルコール 5.0
(13)精 製 水 残 量
(14)香 料 適 量
* 参考例2で製造したもの。
【0079】
( 製 法 )
A.成分(10)〜(13)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(1)〜(9)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.BにAを加えて混合し、均一に乳化する。
D.Cを冷却後(14)を加え、均一に混合して乳液を得た。
【0080】
実 施 例 10
軟 膏:
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ステアリン酸 18.0
(2)セタノール 4.0
(3)トリエタノールアミン 2.0
(4)グリセリン 5.0
(5)アスタキサンチン類*1 1.0
(6)乳 酸*2 1.0
(7)精 製 水 残 量
*1 参考例2で製造したもの
*2 和光純薬社製
【0081】
( 製 法 )
A.成分(3)、(4)及び(7)の一部を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分(1)、(2)及び(5)を加熱混合し、75℃に保つ。
C.AをBに徐々に加える。
D.Cを冷却しながら(7)の残部で溶解した(6)を加え、軟膏を得た。
【0082】
試 験 例 3
抗炎症効果及び美白効果:
表9に示した薬剤及びエタノール15%(v/v)を含み、残部が精製水からなる化粧水を調製し、有色モルモット背部に塗布して日焼けによる炎症及び色素沈着に対する効果を調べた。その結果を表10に示す。
【0083】
( 試験方法 )
有色モルモット(各群10匹)の背部を剃毛し、麻酔下紫外線を照射した。紫外線照射は、東芝株式会社製FL20S・BLBランプとFL20S・E30ランプを3本ずつ同時に照射し、紫外線量は4.8×104erg/cm2とした。紫外線照射の24時間前と照射直後及び照射12時間後、24時間後にモルモット背部の4ヵ所に試料を0.2mlずつよく擦り込んだ。なお、紫外線照射前に塗布部位を温水でよく洗浄した。照射の24時間後に炎症の程度を、そして7日後に色素沈着の程度を観察した。
【0084】
【表9】

*1 参考例2で製造したもの。
*2 丸善製薬社製
*3 和光純薬社製
*4 丸善製薬社製
【0085】
( 評価基準 )
炎症についての評価基準(抗炎症効果)
0 : 炎症が全く認められない
1 : ごくわずか炎症が認められる
2 : 炎症は認められるが非照射部位との境界は不明瞭
3 : 炎症が認められ、非照射部位との境界は鮮明
【0086】
色素沈着についての評価基準(美白効果)
0 : 色素沈着が全く認められない
1 : ごくわずか色素沈着が認められる
2 : 色素沈着は認められるが非照射部位との境界は不明瞭
3 : 色素沈着が認められ、非照射部位との境界は鮮明
【0087】
上記評価基準に従い、それぞれの評点が1点以下であるモルモットが10匹中何匹いたかを数え、以下の判定基準に従って判定した。
【0088】
( 判定基準 )
[判 定] [ 内 容 ]
著 効 10匹中、評点1点以下のモルモット数が8匹以上である。
有 効 10匹中、評点1点以下のモルモット数が6匹以上である。
やや有効 10匹中、評点1点以下のモルモット数が4匹以上である。
無 効 10匹中、評点1点以下のモルモット数が3匹以下である。
【0089】
【表10】

【0090】
表10の結果より、アスタキサンチン類とグリチルリチン酸ジカリウム、グアイアズレン、アロエ抽出物等の抗炎症剤を配合した本発明組成物は、これを皮膚に適用することにより、皮膚の炎症および色素沈着を抑制することが明らかとなった。
【0091】
実 施 例 11
ク リ ー ム :
次に示す処方及び下記製法でクリームを調製した。
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ポリオキシエチレンモノステアレート(40E.O.) 2.0
(2)グリセリルモノステアレート(自己乳化型) 5.0
(3)ステアリン酸 5.0
(4)ベヘニルアルコール 0.5
(5)スクワラン 15.0
(6)イソオクタン酸セチル 5.0
(7)ブチルパラベン 0.1
(8)メチルパラベン 0.1
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)グリチルリチン酸ジカリウム*1 0.2
(11)アスタキサンチン類*2 0.5
(12)精 製 水 残 量
(13)香 料 適 量
*1 丸善製薬社製
*2 参考例2で製造したもの
【0092】
( 製 法 )
A.成分(1)〜(7)及び(11)を70℃にて加熱溶解する。
B.成分(8)〜(10)及び(12)を70℃にて加熱溶解する。
C.AをBに加え、乳化する。
D.Cに成分(13)を加え、冷却してクリームを得る。
【0093】
実 施 例 12
乳 液 :
次に示す処方及び下記製法で乳液を調製した。
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
モノステアレート(10 E.O)
(2)ポリオキシエチレンソルビット 0.5
テトラオレエート(60 E.O)
(3)グリセリルモノステアレート 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)精製アボガド油 4.0
(7)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4.0
(8)ブチルパラベン 0.1
(9)アスタキサンチン類*1 1.0
(10)アロエ抽出物*2 0.2
(11)メチルパラベン 0.1
(12)カルボキシビニルポリマー 0.07
(13)1,3−ブチレングリコール 5.0
(14)精 製 水 残 量
(15)水酸化ナトリウム 0.025
(16)精 製 水 7.5
(17)香 料 適 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 丸善製薬社製
【0094】
( 製 法 )
A.成分(1)〜(9)を70℃にて加熱溶解する。
B.成分(10)〜(14)を70℃にて加熱溶解する。
C.AをBに加え、乳化する。
D.Cに(15)〜(17)を加え、冷却して乳液を得る。
【0095】
実 施 例 13
化 粧 水 :
次に示す処方及び下記製法で化粧水を調製した。
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O) 1.0
(2)香料 適 量
(3)エタノール 10.0
(4)メチルパラベン 0.1
(5)カミツレ抽出物*2 0.3
(6)クエン酸 0.1
(7)クエン酸ナトリウム 0.3
(8)1,3−ブチレングリコール 5.0
(9)アスタキサンチン類*1 0.01
(10)精 製 水 残 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 一丸ファルコス社製
【0096】
( 製 法 )
A.成分(1)〜(4)及び(9)を混合溶解する。
B.成分(5)〜(8)及び(10)を混合溶解する。
C.BをAに加え、攪拌して化粧水を得る。
【0097】
参 考 例 3
植物抽出物の製造:
ソウハクヒ(日局)、クジン(クララ)(日局)、トウキ(日局)、ホップ(花穂)の各10gにそれぞれ70%(v/v)エチルアルコール100mlを加え、室温で時々攪拌しながら3日間抽出し、濾過して各植物抽出物を得た。
【0098】
試 験 例 4
チロシナーゼ活性阻害試験:
下記方法により、参考例2で得た抽出物の0.5%(W/V)溶液及び参考例3で得た抽出物について、単独またはそれらを組み合わせた試料のチロシナーゼ活性阻害率を調べた。
すなわち、各試料に酵素溶液[シグマ社製、28,000単位のチロシナーゼ10mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)20mlに溶解したもの]0.1mlを加え、さらに0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)を加え4.0mlとし、これを25℃にて10分間インキュベートした。
【0099】
次いで、これにあらかじめ25℃に保っておいた基質溶液[L−DOPA(東京化成)198.0mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)100mlに溶解したもの]1.0mlを加え、10分間反応せしめた。反応後、475nmにおける吸光度(ODS)を測定した。
同様に、加熱失活させた前記酵素を用いて反応させた時の吸光度(ODHE)及び試料無添加のときの吸光度(ODB)を測定し、次式よりチロシナーゼ活性の活性阻害率を算出した。
【0100】
【数3】

ODS : 試料吸光度
ODB : 試料無添加時の吸光度
ODHE : 酵素不活性時の吸光度
この結果を表11に示す。
【0101】
【表11】

* 参考例2で製造したもの。
【0102】
表11から明かな如く、アスタキサンチン類とチロシナーゼ活性阻害剤を組み合わせた場合には、アスタキサンチン類またはチロシナーゼ活性阻害剤を単独で用いた場合よりチロシナーゼ活性阻害作用が高く、相乗的な美白効果を示した。
従って、アスタキサンチン類とチロシナーゼ活性阻害剤を組合わせた本発明組成物は、これを肌に適用することにより、極めて優れたチロシナーゼ活性阻害作用を発揮し、日やけ等による肌の黒色化、シミ、ソバカスなどを効果的に抑制する。
【0103】
実 施 例 14
乳 液 :
表12に示す組成の乳液を製造し、美白効果について評価した。この結果を表13に示す。
【0104】
【表12】

*1 参考例2で製造したもの
*2 システイン(和光純薬社製)を1.0mg/mlの濃度になるように水で希
釈して、用いた。
*3 参考例3で製造したもの。
【0105】
< 製 法 >
A.(6)〜(10)、(14)及び(15)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.(1)〜(5)、(11)及び(12)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.BをAに加えて混合し、さらに(13)を加え、均一に乳化し、30℃まで
冷却して乳液を得る。
【0106】
< 美白効果試験 >
被験乳液1品につき、25〜50才の女性15名をパネルとし、毎日、朝と夜の2回、洗顔後に被験乳液を、それぞれ適量顔面に12週間にわたって塗布することにより、使用テストを行ない、次の基準で評価した。
評価基準;
有 効 : シミ、ソバカスが目立たなくなった。
やや有効 : シミ、ソバカスがあまり目立たなくなった。
無 効 : 変わらない。
【0107】
【表13】

【0108】
表13から明かな如く、アスタキサンチン類とチロシナーゼ活性阻害剤を組合わせて配合した本発明品の12、13は、これらを全く含まない比較品20と比較した場合はもとより、アスタキサンチン類またはチロシナーゼ活性阻害剤を単独で配合した比較品21〜23と比べても、シミ・ソバカスを目立たなくする効果に優れ、顕著な美白効果を示した。
従って、アスタキサンチン類とチロシナーゼ活性阻害剤を組合わせて配合した本発明組成物を肌に適用することにより、シミ、ソバカス等を抑制できる。
【0109】
実 施 例 15
化 粧 水:
<処 方> 配合量(%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1,3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレンソルビタン 1.2
モノラウリン酸エステル(20E.O.)
(4)エチルアルコール 8.0
(5)アスタキサンチン類*1 0.01
(6)ヨクイニン抽出物*2(乾燥固形分として) 0.05
(7)防腐剤 適 量
(8)香 料 適 量
(9)精製水 残 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 丸善製薬社製
【0110】
<製 法>
A.(3)、(4)、(5)、(7)及び(8)を混合溶解する。
B.(1)、(2)、(6)及び(9)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、化粧水を得た。
【0111】
実 施 例 16
クリーム:
<処 方> 配合量(%)
(1)ミツロウ 6.0
(2)セタノール 5.0
(3)還元ラノリン 5.0
(4)スクワラン 30.0
(5)グリセリンモノステアレート 4.0
(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(7)ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
モノラウリン酸エステル(20E.O.)
(8)アスタキサンチン類*1 1.0
(9)ソウハクヒ抽出物*2(乾燥固形分として) 0.2
(10)防腐剤 0.3
(11)香 料 0.05
(12)精製水 残 量
*1 参考例2で製造したもの
*2 丸善製薬社製
【0112】
<製 法>
A.(1)〜(8)、(10)及び(11)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.(9)及び(12)を混合し、加熱して70℃に保つ。
C.AにBを加え、混合した後、冷却してクリームを得た。
【0113】
実 施 例 17
洗 浄 料 :
<処 方> 配合量(%)
(1)ステアリン酸 10.0
(2)パルミチン酸 8.0
(3)ミリスチン酸 12.0
(4)ラウリン酸 4.0
(5)オレイルアルコール 1.5
(6)精製ラノリン 1.0
(7)香 料 0.1
(8)防腐剤 0.2
(9)グリセリン 18.0
(10)水酸化カリウム 6.0
(11)アスタキサンチン類*1 0.2
(12)ホップ抽出物*2 0.01
(13)精製水 残 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 香栄興業社製
【0114】
<製 法>
A.(9)、(10)及び(13)を混合し、70℃に加熱する。
B.(1)〜(6)、(8)及び(11)を混合し、70℃に加熱する。
C.AにBを加え、暫く70℃に保ち、けん化反応が終了してから、50℃ま
で冷却し、(7)及び(12)を加え、冷却して洗浄料を得た。
【0115】
実 施 例 18
乳 液:
表14に示す組成及び下記製法で乳液を調製し、その肌荒れ改善効果を調べた。この結果を表15に示す。
【0116】
( 組 成 )
【表14】

*1 参考例2で製造したもの。
*2 日光ケミカルズ製
*3 高研製
【0117】
( 製 法 )
A.(6)、(8)〜(10)及び(14)の各成分を加熱混合し、70℃に保つ。
B.(1)〜(5)、(7)、(11)及び(12)の各成分を加熱混合し、70℃に
保つ。
C.上記Bを先のAに加えて混合し、成分(13)を加えて均一に乳化し、30℃
まで冷却して乳液を得た。
【0118】
( 試 験 方 法 )
被験乳液1品につき、24〜45才の健常人15名をパネルとし、実験的な荒れ肌を惹起する前の肌状態をミクロスコープカメラで撮影し、下記基準によりそのスコアを求めた。実験的な荒れ肌は、上腕屈側部をエーテル、アセトン(1:1)混液で処理することにより惹起した。さらにその後は、7日間にわたって毎日、朝と夜の2回被験乳液を塗布し、荒れ肌惹起の3、5及び7日後に前記と同様肌状態のスコアを求めた。
【0119】
肌状態スコア:
[スコア] [ 状 態 ]
1 肌の皮溝が不鮮明であり、角質のはがれが認められる。
2 肌の皮溝がやや不鮮明であるかまたは一方向性が強い。
3 肌の皮溝は認められるが、浅いかまたは一方向性が強い。
4 肌の皮溝が認められるかまたはやや網目状である。
5 肌の皮溝がはっきり認められるかまたはきれいな網目状である。
【0120】
( 結 果 )
【表15】

【0121】
表15の結果に示される如く、本発明品14に代表されるアスタキサンチン類とムコ多糖類を組合せた本発明組成物および本発明品15に代表されるアスタキサンチン類とタンパク質を組合せた本発明組成物は、これらを皮膚に適用することにより、肌の荒れを改善できることが明らかになった。
【0122】
実 施 例 19
ク リ ー ム :
表16に示す組成及び下記製法でクリームを調製し、その美肌効果を調べた。この結果を表17に示す。
【0123】
( 組 成 )
【表16】

*1 参考例2で製造したもの
*2 生化学工業社製
*3 一丸ファルコス社製
【0124】
( 製 法 )
A.成分(1)〜(8)、(11)及び(12)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.成分(9)、(10)及び(13)を混合し、加熱して70℃に保つ。
C.AにBを加え、混合した後、冷却してクリームを得た。
【0125】
( 試 験 方 法 )
被験クリーム1品につき、27〜54歳の女性15名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間にわたって洗顔後に被験クリームの適量を顔面に塗布した。塗布による美肌効果を以下の基準によって評価した。
【0126】
( 評 価 基 準 )
美肌効果:
[評 価] [ 内 容 ]
有 効 肌のくすみが目立たなくなった。
やや有効 肌のくすみがあまり目立たなくなった。
無 効 使用前と変化なし。
【0127】
( 結 果 )
【表17】

【0128】
表17の結果に示される如く、本発明品16に代表されるアスタキサンチン類とムコ多糖類を組合せた本発明組成物および本発明品17に代表されるアスタキサンチン類とタンパク質を組合せた本発明組成物は、これらを皮膚に適用することにより、肌の「くすみ」等の発生を防止、改善することができ、美しい肌とすることができることが明かとなった。
【0129】
実 施 例 20
化 粧 水:
次に示す処方及び下記製法で化粧水を調製した。
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1,3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレンソルビタン 1.2
モノラウリン酸エステル(20E.O.)
(4)エチルアルコール 8.0
(5)アスタキサンチン類*1 0.005
(6)コラーゲン*2 0.5
(7)防 腐 剤 適 量
(8)香 料 適 量
(9)精 製 水 残 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 高研製
【0130】
( 製 法 )
A.成分(3)〜(5)、(7)及び(8)を混合溶解する。
B.成分(1)、(2)、(6)及び(9)を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、化粧水を得た。
【0131】
実 施 例 21
パ ッ ク:
次に示す処方及び下記製法でパックを調製した。
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ポリビニルアルコール 20.0
(2)エチルアルコール 20.0
(3)グリセリン 5.0
(4)カオリン 6.0
(5)アスタキサンチン類*1 0.5
(6)ヒアルロン酸ナトリウム*2 0.01
(7)防 腐 剤 0.2
(8)香 料 0.05
(9)精 製 水 残 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 キューピー製
【0132】
( 製 法 )
A.成分(1)、(3)、(4)、(6)及び(9)を混合し、70℃に加熱し、攪拌
する。
B.成分(2)、(5)、(7)及び(8)を混合する。
C.上記Bを先のAに加え、混合した後、冷却してパックを得た。
【0133】
実 施 例 22
洗 浄 料 :
次に示す処方及び下記製法で洗浄料を調製した。
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)ステアリン酸 10.0
(2)パルミチン酸 8.0
(3)ミリスチン酸 12.0
(4)ラウリン酸 4.0
(5)オレイルアルコール 1.5
(6)精製ラノリン 1.0
(7)香 料 0.1
(8)防 腐 剤 0.2
(9)グリセリン 18.0
(10)水酸化カリウム 6.0
(11)アスタキサンチン類*1 0.5
(12)ケラチン加水分解液*2 0.05
(13)精 製 水 残 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 成和化成製
【0134】
( 製 法 )
A.成分(9)、(10)及び(13)を混合し、70℃に加熱する。
B.成分(1)〜(6)、(8)及び(11)を混合し、70℃に加熱する。
C.上記Bを先のAに加え、しばらく70℃に保ち、けん化反応が終了後、5
0℃まで冷却し、成分(7)及び(12)を加え、冷却して洗浄料を得た。
【0135】
実 施 例 23
ヘアトニック:
次に示す処方及び下記製法でヘアトニックを調製した。
( 処 方 ) 配合量(%)
(1)アスタキサンチン類*1 0.1
(2)カミツレ抽出物*2 0.3
(3)メントール 0.1
(4)エタノール 40.0
(5)香料 適 量
(6)精製水 残 量
*1 参考例2で製造したもの。
*2 一丸ファルコス社製
【0136】
( 製 法 )
A.成分(1)及び(3)〜(5)を混合溶解する。
B.成分(2)及び(6)を混合溶解する。
C.BにAを加えて均一に混合し、ヘアトニックを得た。
以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B)
(A)アスタキサンチン類
(B)活性酸素除去剤、抗酸化剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、チロシナーゼ活性阻
害剤及び保湿剤から選ばれる薬効剤の一種又は二種以上
を含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
薬効剤が活性酸素除去剤である請求項第1項記載の組成物。
【請求項3】
活性酸素除去剤が、SOD、マンニトール、ハイドロキノン、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、クエルセチン、クエルシトリン、没食子酸、没食子酸誘導体、イチョウ抽出物等のフラボノイドを成分中に含む植物抽出物、ゴカヒ抽出物、ヤシャジツ抽出物及びジコッピ抽出物から選ばれたものである請求項第2項記載の組成物。
【請求項4】
薬効剤が抗酸化剤である請求項第1項記載の組成物。
【請求項5】
抗酸化剤が、ビタミンA類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンB類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩、ビタミンD類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンE及びその誘導体並びにそれらの塩、グルタチオン及びその誘導体並びにそれらの塩、BHT及びBHAから選ばれたものである請求項第4項記載の組成物。
【請求項6】
薬効剤が細胞賦活剤である請求項第1項記載の組成物。
【請求項7】
細胞賦活剤が、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸、アデノシン一リン酸などのアデニル酸誘導体及びそれらの塩、リボ核酸及びその塩、グアニン、キサンチン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩などの核酸関連物質;血清除蛋白抽出物、脾臓抽出物、胎盤抽出物、鶏冠抽出物、ローヤルゼリーなどの動物由来の抽出物;酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、霊芝抽出物などの微生物由来の抽出物;ニンジン抽出物、センブリ抽出物、ローズマリー抽出物、オウバク抽出物、ニンニク抽出物、ヒノキチオール、セファランチンなどの植物由来の抽出物;α−またはγ−リノレイン酸、エイコサペンタエン酸及びそれらの誘導体、コハク酸及びその誘導体並びにそれらの塩、エストラジオール及びその誘導体並びにそれらの塩、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、サリチル酸などのα−ヒドロキシ酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩から選ばれたものである請求項第6項記載の組成物。
【請求項8】
薬効剤が抗炎症剤である請求項第1項記載の組成物。
【請求項9】
抗炎症剤が、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ε−アミノカプロン酸、酸化亜鉛、ジクロフェナクナトリウム、アロエ抽出物、サルビア抽出物、アルニカ抽出物、カミツレ抽出物、シラカバ抽出物、オトギリソウ抽出物、ユーカリ抽出物及びムクロジ抽出物から選ばれたものである請求項第8項記載の組成物。
【請求項10】
薬効剤がチロシナーゼ活性阻害剤である請求項第1項記載の組成物。
【請求項11】
チロシナーゼ活性阻害剤が、システイン及びその誘導体並びにその塩、センプクカ抽出物、ケイケットウ抽出物、サンペンズ抽出物、ソウハクヒ抽出物、トウキ抽出物、イブキトラノオ抽出物、クララ抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、ホップ抽出物、ノイバラ抽出物及びヨクイニン抽出物から選ばれたものである請求項第10項記載の組成物。
【請求項12】
薬効剤が保湿剤である請求項第1項記載の組成物。
【請求項13】
保湿剤がムコ多糖類及び/又はタンパク質である請求項第12項記載の組成物。
【請求項14】
ムコ多糖類が、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸並びにこれらの塩類から選ばれたものである請求項第13項記載の組成物。
【請求項15】
タンパク質が、コラーゲン、エラスチン、ケラチン及びこれらの誘導体並びにその塩類から選ばれたものである請求項第13項記載の組成物。
【請求項16】
皮膚外用剤である請求項第1項ないし第15項のいずれかの項記載の組成物。
【請求項17】
化粧品である請求項第1項ないし第15項のいずれかの項記載の組成物。
【請求項18】
外用医薬品である請求項第1項ないし第15項のいずれかの項記載の組成物。

【公開番号】特開2006−348035(P2006−348035A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187127(P2006−187127)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【分割の表示】特願平7−326241の分割
【原出願日】平成7年11月22日(1995.11.22)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【出願人】(591265954)イタノ冷凍株式会社 (1)
【Fターム(参考)】