説明

多層配線用パッド構造およびその製造方法

【課題】プローブをパッドに接触させる際の接触不良およびプローブ破損の発生を抑制できる多層配線用パッド構造およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1の配線2が形成されている半導体基板1に、第1の層間絶縁膜3、第1のコンタクトホール6、第2の配線11と第1の層間絶縁膜3との間の密着性を向上するためのW系金属薄膜7、第2の配線11を形成するためのめっき用金属薄膜8、第2の配線11、第2の層間絶縁膜12、第2のコンタクトホール13、第3の配線16と第2の層間絶縁膜12との間の密着性を向上させるためのW系金属薄膜14、第3の配線16を形成するためのめっき用金属薄膜15、第3の配線16が形成され、パッド中央17の表面は平坦で、パッド端18は下側に曲がっていることを特徴とする多層配線用パッド構造を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線用パッド構造およびその製造方法に関し、特に、GaAs系およびInP系高速集積回路用多層配線のパッド構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GaAs系およびInP系高速集積回路の多層配線に関しては、配線遅延の関係から、誘電率が低く、厚膜が容易に形成できる有機材料を用いた1μm以上の厚い層間絶縁膜と、抵抗率が低く、厚膜が容易に形成できるめっきAu(金)を用いた1μm以上の厚い配線が有効である。さらに、これらの集積回路の小型化・高機能化の要求が高く、配線層の多層化が求められている。
【0003】
従来のこの種の集積回路用多層配線に用いられるパッド構造の例を、図5および図6を用いて説明する。
【0004】
先ず、図5に示すように、第1の配線22を有する半導体基板21の上に、第1の層間絶縁膜23を堆積し、第2の配線24を形成する領域より若干小さい領域の第1の層間絶縁膜23を除去し、第2の配線24を形成し、その上に第2の層間絶縁膜25を堆積し、第3の配線26を形成する領域より若干小さい領域の第2の層間絶縁膜25を除去し、第3の配線26を形成し、パッドを形成していた。
【0005】
また、図6に示すように、第1の配線32を有する半導体基板31の上に、第1の層間絶縁膜33を堆積し、第1の層間絶縁膜33の中に複数のコンタクトホール34を形成し、そのコンタクトホール34の中に金属を埋込み、その上に第2の配線35を形成し、その上に第2の層間絶縁膜36を堆積し、第2の層間絶縁膜36の中に複数のコンタクトホール37を形成し、そのコンタクトホール37の中に金属を埋込み、その上に第3の配線38を形成し、パッドを形成していた(下記特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平5−347358号公報
【特許文献2】特許第3457123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パッドは、電気回路の電気的特性を評価する際に、プローブ(探針)を押しつけたり、あるいは、パッケージに実装する際、ボンディングにより金ワイヤを圧着する場所である。
【0007】
従来のパッド構造である図5の場合、パッド構造は配線が直接積層されているため、機械的強度が最も優れているが、パッド端とパッド中央で段差が生じる。この段差は、配線数の増加、あるいは、配線および層間絶縁膜の厚み増加により増大する。図5に示したように、高周波特性を評価するためのプローブ27は、プローブ27とパッド表面とがなす角度が小さく、また、セラミック等でできていることから柔軟性がないため、パッド表面の凹凸が大きい場合、接触不良、あるいは、プローブ破損が発生しやすいという問題があった(図5参照)。
【0008】
また、従来のパッド構造である図6の場合、配線間に複数のコンタクトホールを形成することにより、実用に支障のない強度とパッド表面の平坦化を実現したが、本構造においても配線の厚みが厚くなると、配線の出っ張りが大きく、また配線の側面は急峻であるため、パッドの側面にプローブが当りやすくなり、プローブ破損が発生しやすいという問題があった。
【0009】
これらを回避する方法として、パッド面積を大きくする方法があるが、回路中にパッドは多数あることから、集積回路サイズが大きくなり、高コスト化となる問題があった。
【0010】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、プローブをパッドに接触させる際の接触不良およびプローブ破損の発生を抑制できる多層配線用パッド構造およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、上記課題を解決するために、請求項1に記載のように、
半導体基板上に形成され、単層または複数層の層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜によって絶縁される複数層の配線と、前記配線間を電気的に接続するために前記層間絶縁膜中に形成された複数のコンタクトホールとを有する多層配線用パッド構造において、前記層間絶縁膜は有機材料で構成され、パッド中央の表面は平坦であり、パッド端は前記半導体基板側に曲がっていることを特徴とする多層配線用パッド構造を構成する。
【0012】
また、本発明においては、請求項2に記載のように、
前記コンタクトホールの径が前記層間絶縁膜の厚さの1/2以上、最下層配線を除く前記配線の厚さの3倍以下であることを特徴とする請求項1記載の多層配線用パッド構造を構成する。
【0013】
また、本発明においては、請求項3に記載のように、
前記有機材料は、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、アリーレンエーテル系ポリマー、シロキサン系ポリマーまたは芳香族炭化水素系ポリマーであり、前記層間絶縁膜の厚さは1μm以上であることを特徴とする請求項1記載の多層配線用パッド構造を構成する。
【0014】
また、本発明においては、請求項4に記載のように、
前記配線は、1μm以上の厚さを有するめっきAuで構成され、前記半導体基板の表面に垂直な方向から見たときに、同じ形を有し、同じ位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の多層配線用パッド構造を構成する。
【0015】
また、本発明においては、請求項5に記載のように、
前記配線が、前記コンタクトホールの内壁面を含めた前記層間絶縁膜の表面と、前記半導体基板とは反対の側から接する部位に、W系金属薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の多層配線用パッド構造を構成する。
【0016】
また、本発明においては、請求項6に記載のように、
多層配線用パッド構造の製造方法であって、少なくとも1層からなる下層配線が形成されている半導体基板上に、有機材料組成物を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜の膜厚減少を伴う熱処理によって、有機材料で構成された層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、前記層間絶縁膜の表面に、コンタクトホールパタンを有するコンタクトホール形成用レジストマスクを形成するコンタクトホール形成用レジストマスク形成工程と、前記コンタクトホール形成用レジストマスクを用いるドライエッチング法により、前記下層配線と上層配線とを電気的に接続するための複数個のコンタクトホールを前記層間絶縁膜中に形成した後に、前記コンタクトホール形成用レジストマスクを除去するコンタクトホール形成工程と、前記コンタクトホールの内壁面を含めた前記層間絶縁膜の表面、および、前記コンタクトホール形成工程によって露出した前記下層配線の表面に、W系金属薄膜とめっき用金属薄膜とをこの順序で形成した後に、前記めっき用金属薄膜上に、配線パタンを有する配線形成用レジストマスクを形成する配線形成準備工程と、前記コンタクトホール内部および配線形成部分に、前記配線形成用レジストマスクをめっきマスクとして用いるめっき法により配線金属を堆積して前記上層配線を形成する配線形成工程と、前記配線形成用レジストマスクを除去し、前記上層配線が形成されていない部位の前記W系金属薄膜およびめっき用金属薄膜を除去する余剰物除去工程とを有することを特徴とする多層配線用パッド構造の製造方法を構成する。
【0017】
また、本発明においては、請求項7に記載のように、
多層配線用パッド構造の製造方法であって、少なくとも1層からなる下層配線が形成されている半導体基板上に、感光性有機材料を塗布して塗布膜を形成し、コンタクトホールパタン露光とそれに続く現像によって該塗布膜中に、前記下層配線と上層配線とを電気的に接続するための複数個のコンタクトホールを形成した後、該塗布膜の膜厚減少を伴う熱処理によって、有機材料で構成され前記コンタクトホールを有する層間絶縁膜を形成するコンタクトホール具有層間絶縁膜形成工程と、前記コンタクトホールの内壁面を含めた前記層間絶縁膜の表面、および、前記コンタクトホールが形成されることによって露出した前記下層配線の表面に、W系金属薄膜とめっき用金属薄膜とをこの順序で形成した後に、前記めっき用金属薄膜上に配線パタンを有する配線形成用レジストマスクを形成する配線形成準備工程と、前記コンタクトホール内部および配線形成部分に、前記配線形成用レジストマスクをめっきマスクとして用いるめっき法により配線金属を堆積して前記上層配線を形成する配線形成工程と、前記配線形成用レジストマスクを除去し、前記上層配線が形成されていない部位の前記W系金属薄膜およびめっき用金属薄膜を除去する余剰物除去工程とを有することを特徴とする多層配線用パッド構造の製造方法を構成する。
【発明の効果】
【0018】
パッド中央は平坦、かつ、パッド端は下側に曲げた構造にすることにより、パッド面積を大きくすることなく、プローブをパッドに接触させる際の接触不良およびプローブ破損の発生を抑制できる多層配線用パッド構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明では、有機材料を用いて形成された複数層の厚い層間絶縁膜と、これら層間絶縁膜によって絶縁される複数層の厚い配線と、各配線間を電気的に接続する複数のコンタクトホールとを有する多層配線用パッド構造において、パッド中央は平坦で、パッド端は下側に曲がっていることを特徴とする多層配線用パッド構造を構成する。
【0020】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
[実施の形態例1]
図1は、本発明の第1の実施の形態例である多層配線用パッド構造(層間絶縁膜は2層)を説明するための断面図である。図において、第1の配線2が形成されている半導体基板1上に、有機材料で構成された第1の層間絶縁膜3、第1の配線2と第2の配線11との間を電気的に接続するために第1の層間絶縁膜3中に形成された第1のコンタクトホール6、第2の配線11と第1の層間絶縁膜3との間の密着性を向上させるためのW(タングステン)系金属薄膜7、第2の配線11を形成するためのめっき用金属薄膜8、第2の配線11、有機材料で構成された第2の層間絶縁膜12、第2の配線11と第3の配線16との間を電気的に接続するために第2の層間絶縁膜12中に形成された第2のコンタクトホール13、第3の配線16と第2の層間絶縁膜12との間の密着性を向上させるためのW系金属薄膜14、第3の配線16を形成するためのめっき用金属薄膜15、第3の配線16が形成され、第3の配線16がパッドを形成している。
【0022】
本発明に係る多層配線用パッド構造は、図1に示したように、パッド中央17の表面は平坦で、パッド端18は下側(半導体基板1側)に曲がっていることを特徴とする。このような特徴は、層間絶縁膜形成時に、例えば、第1の配線2の厚さによる段差によって現れるのであるが、層間絶縁膜の形成を有機材料組成物の溶液塗布によって行った場合に、塗布面が平坦になったとしても、塗布後の熱処理により体積収縮を起こすような有機材料組成物を塗布して成膜すれば、その後の熱処理で、塗布膜の膜厚減少が起こり、この特徴が現れる。
【0023】
パッド端18が下側に曲がっていることで、プローブが第3の配線16の側壁にぶつかる問題を抑制でき、パッド中央17が平坦なことで接触不良の問題も抑制できる。
【0024】
コンタクトホール6、13の径が層間絶縁膜3、12の厚さの1/2以上、配線11、16の厚さの3倍以下であることが望ましい。配線11、16をめっきAu(金)で構成する場合に、コンタクトホール6、13の径が層間絶縁膜3、12の厚みの1/2よりも小となると、コンタクトホール6、13に埋込むめっきAuの形状が細長くなり、機械的強度が弱くなる。一方、コンタクトホール6、13の径が配線11、16の厚みの3倍を超えると、コンタクトホール6、13内を十分にめっきAuで満たすことができなくなり、表面凹凸が発生する。
【0025】
層間絶縁膜3、12を構成する有機材料としては、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、アリーレンエーテル系ポリマー、シロキサン系ポリマー、芳香族炭化水素系ポリマー等を用いることができ、層間絶縁膜3、12の厚さは、配線遅延低減のため、1μm以上であることが望ましい。
【0026】
本実施の形態例においては、配線2、11、16は、例えば、1μm以上の厚さが形成されているめっきAuで構成され、半導体基板1の表面に垂直な方向から見たときに、同じ形を有し、同じ位置に形成される。
【0027】
[実施の形態例2]
図2および3は、本発明の第2の実施の形態例である、多層配線用パッド構造の製造方法における工程を説明するための断面図である。
【0028】
先ず、図2の(a)に示したように、層間絶縁膜形成工程として、第1の配線2(下層配線)が形成されている半導体基板1上に、有機材料組成物を塗布し、熱処理することによって有機材料で構成された層間絶縁膜3を形成する。有機材料組成物を半導体基板1に塗布した時、第1の配線2の厚さによる段差があっても、塗布膜の表面はほぼ平坦になるが、その後の熱処理により、塗布膜の膜厚減少が起こるようにすれば、配線2が有る場所で層間絶縁膜3が盛り上がった形状になり、第1の配線2の端面周辺で層間絶縁膜3の表面が第1の配線2の中央部分から見て下方に曲がった形状となる。一方、それ以外の場所で層間絶縁膜3の表面はほぼ平坦となる。層間絶縁膜3を構成する有機材料としては、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)等を用いることができる。ポリイミドを用いた場合には、熱処理の際に脱水反応が起こるので、それによる膜厚減少も起こる。
【0029】
上記の、熱処理による膜厚減少を大きくするために、加熱によって膜中から除去される物質を有機材料組成物中に含有させておくことが有効である。加熱によって膜中から除去される物質としては、例えば、加熱によって解重合する、α-メチルスチレンのポリマーまたはオリゴマーを使うことができる。
【0030】
次に、図2の(b)に示したように、コンタクトホール形成用レジストマスク形成工程として、コンタクトホールパタン5を有するコンタクトホール形成用レジストマスク4を形成する。
【0031】
次に、図2の(c)に示したように、コンタクトホール形成工程として、レジストマスク4を用いて、O(酸素)/CF(四フッ化炭素)の混合ガスを用いたRIE(反応性イオンエッチング)により、第1の層間絶縁膜3に、第1の配線2の表面に達するコンタクトホール6を形成した後、有機溶剤等により、レジストマスク4を除去する。ここで、コンタクトホール径は、第1の層間絶縁膜3の厚みの1/2以上、第2の配線の厚みの3倍以下となるように形成する。コンタクトホール6の径が層間絶縁膜3の厚みの1/2よりも小となると、コンタクトホール6に埋込むめっきAu(金)の形状が細長くなり、機械的強度が弱くなる。一方、コンタクトホール6の径が第2の配線の厚みの3倍を超えると、コンタクトホール6内を十分にめっきAuで満たすことができなくなり、表面凹凸が発生する。以上の理由から、コンタクトホール径は上記範囲が最適である。
【0032】
次に、図2の(d)に示したように、配線形成準備工程として、コンタクトホール6の内壁面を含めた層間絶縁膜3の表面、および、前記コンタクトホール形成工程によって露出した第1の配線2の表面に、第2の配線11(図3の(e)に示す)と第1の層間絶縁膜3との間の密着性を向上させるためのW(タングステン)系金属薄膜7と、Au等のめっき用金属薄膜8とをこの順序でスパッタ法により連続して堆積し、次いで、配線パタン10を有する配線形成用レジストマスク9を形成する。配線パタン10は、半導体基板1の表面に垂直な方向から見たときに、第1の配線2と同じ形を有し、第1の配線2と同じ位置にあるものとする。これにより、層間絶縁膜3の表面の曲面形状を利用し、次の工程で形成される第2の配線11の端を下方に曲げることができる。
【0033】
次に、図3の(e)に示したように、配線形成工程として、配線形成用レジストマスク9をめっきマスクとして用いて、Auの電解めっき法によりコンタクトホール6の内部および配線パタン10中の配線形成部分に配線金属であるAuを堆積し、第2の配線11(上層配線)を形成する。コンタクトホール6の径を第1の層間絶縁膜3の厚みの1/2以上にすることにより、第2の配線11の機械的強度は十分となり、コンタクトホール6の径を第2の配線11の厚みの3倍以下にすることにより、コンタクトホール6の内部をめっきAuで埋めることができ、第2の配線11の表面が平坦化される。また、層間絶縁膜3表面の曲面形状を利用し、第2の配線11の中央(パッド中央)は平坦で、端(パッド端)が下方(半導体基板1側)に曲がった構造が形成できる。
【0034】
次に、図3の(f)に示したように、余剰物除去工程として、有機溶剤等により、レジストマスク9を除去し、その後、ミリング法等で、第2の配線11が堆積されていない部位のめっき用金属薄膜8およびW系金属薄膜7(余剰物)を除去する。これによって、本発明に係る多層配線用パッド構造(層間絶縁膜は単層、第2の配線11がパッドを形成)が完成する。
【0035】
次に、図3の(g)に示したように、上記余剰物除去工程の後に、図2の(a)から図3の(f)までの工程を再実施し、第2の層間絶縁膜12、第2のコンタクトホール13、W系金属薄膜14、めっき用金属薄膜15、第3の配線16を形成することにより多層配線用パッド構造を製造する。これによって、本発明に係る多層配線用パッド構造(層間絶縁膜は2層)が完成する。ここでも、コンタクトホール13の径を第2の層間絶縁膜12の厚みの1/2以上、第3の配線16の厚みの3倍以下にすることにより、機械的強度を有し、かつ、パッド中央が平坦な第3の配線16が実現する。また、配線端周辺の層間絶縁膜12表面の曲面形状を利用し、パッド端が下方に曲がった構造が実現できる。パッド端が下方に曲がる度合は、配線層数の増加とともに大きくなる。
【0036】
なお、4層以上の配線の場合、図2の(a)から図3の(f)までの工程を必要な回数繰り返し、所望のパッド構造を製造することができる。
【0037】
[実施の形態例3]
上記実施の形態例2においては、第1のコンタクトホール6を有する第1の層間絶縁膜3の形成を、図2の(a)、(b)、(c)に示す工程によって行ったが、これを別の工程(コンタクトホール具有層間絶縁膜形成工程)によって行うことも可能である。すなわち、図4の(a)に示すように、第1の配線2(下層配線)が形成されている半導体基板1上に、第1の層間絶縁膜3を形成するための感光性有機材料(例えば感光性ポリイミド)を塗布して感光性有機材料の塗布膜3'を形成し、塗布膜3'をコンタクトホールパタン露光した後、現像することによって塗布膜3'中にコンタクトホール6を形成して、図4の(b)に示す状態とし、次に、塗布膜3'の膜厚減少を伴う熱処理によって、有機材料で構成され、コンタクトホール6を有する第1の層間絶縁膜3を形成すれば、図2の(c)に示した状態が実現する。
【0038】
この方法によれば、レジストマスク4を用いたRIEが不要となり、工程短縮とコスト削減が可能となる。さらに、感光性有機材料として感光性ポリイミドを用いた場合、感光性ポリイミドは、非感光性ポリイミドよりも、熱処理による体積収縮の割合が大きいから、パッド端が下方に曲がる度合も大きくなり、好都合である。
【0039】
上記のコンタクトホール具有層間絶縁膜形成工程と、図2の(d)から図3の(f)までの工程とを組合わせてなる組合わせ工程によって、本発明に係る多層配線用パッド構造(層間絶縁膜は単層)を製造することができ、この組合わせ工程を2回実施すれば、本発明に係る多層配線用パッド構造(層間絶縁膜は2層)が実現し、4層以上の配線の場合、上記組合わせ工程を必要な回数繰り返し、所望のパッド構造を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施の形態例である多層配線用パッド構造を説明するための断面図である。
【図2】第2の実施の形態例である、多層配線用パッド構造の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】図2の続きである。
【図4】第3の実施の形態例である、多層配線用パッド構造の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】従来の多層配線用パッド構造を説明するための断面図である。
【図6】従来の多層配線用パッド構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1:半導体基板、2:第1の配線、3:第1の層間絶縁膜、3':感光性有機材料の塗布膜、4:コンタクトホール形成用レジストマスク、5:コンタクトホールパタン、6:第1のコンタクトホール、7:W系金属薄膜、8:めっき用金属薄膜、9:配線形成用レジストマスク、10:配線パタン、11:第2の配線、12:第2の層間絶縁膜、13:第2のコンタクトホール、14:W系金属薄膜、15:めっき用金属薄膜、16:第3の配線、17:パッド中央、18:パッド端、21:半導体基板、22:第1の配線、23:第1の層層間絶縁膜、24:第2の配線、25:第2の層間絶縁膜、26:第3の配線、27:プローブ、31:半導体基板、32:第1の配線、33:第1の層間絶縁膜、34:コンタクトホール、35:第2の配線、36:第2の層間絶縁膜、37:コンタクトホール、38:第3の配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成され、単層または複数層の層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜によって絶縁される複数層の配線と、前記配線間を電気的に接続するために前記層間絶縁膜中に形成された複数のコンタクトホールとを有する多層配線用パッド構造において、
前記層間絶縁膜は有機材料で構成され、パッド中央の表面は平坦であり、パッド端は前記半導体基板側に曲がっていることを特徴とする多層配線用パッド構造。
【請求項2】
前記コンタクトホールの径が前記層間絶縁膜の厚さの1/2以上、最下層配線を除く前記配線の厚さの3倍以下であることを特徴とする請求項1記載の多層配線用パッド構造。
【請求項3】
前記有機材料は、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、アリーレンエーテル系ポリマー、シロキサン系ポリマーまたは芳香族炭化水素系ポリマーであり、前記層間絶縁膜の厚さは1μm以上であることを特徴とする請求項1記載の多層配線用パッド構造。
【請求項4】
前記配線は、1μm以上の厚さを有するめっきAuで構成され、前記半導体基板の表面に垂直な方向から見たときに、同じ形を有し、同じ位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の多層配線用パッド構造。
【請求項5】
前記配線が、前記コンタクトホールの内壁面を含めた前記層間絶縁膜の表面と、前記半導体基板とは反対の側から接する部位に、W系金属薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の多層配線用パッド構造。
【請求項6】
多層配線用パッド構造の製造方法であって、
少なくとも1層からなる下層配線が形成されている半導体基板上に、有機材料組成物を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜の膜厚減少を伴う熱処理によって、有機材料で構成された層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、
前記層間絶縁膜の表面に、コンタクトホールパタンを有するコンタクトホール形成用レジストマスクを形成するコンタクトホール形成用レジストマスク形成工程と、
前記コンタクトホール形成用レジストマスクを用いるドライエッチング法により、前記下層配線と上層配線とを電気的に接続するための複数個のコンタクトホールを前記層間絶縁膜中に形成した後に、前記コンタクトホール形成用レジストマスクを除去するコンタクトホール形成工程と、
前記コンタクトホールの内壁面を含めた前記層間絶縁膜の表面、および、前記コンタクトホール形成工程によって露出した前記下層配線の表面に、W系金属薄膜とめっき用金属薄膜とをこの順序で形成した後に、前記めっき用金属薄膜上に、配線パタンを有する配線形成用レジストマスクを形成する配線形成準備工程と、
前記コンタクトホール内部および配線形成部分に、前記配線形成用レジストマスクをめっきマスクとして用いるめっき法により配線金属を堆積して前記上層配線を形成する配線形成工程と、
前記配線形成用レジストマスクを除去し、前記上層配線が形成されていない部位の前記W系金属薄膜およびめっき用金属薄膜を除去する余剰物除去工程とを有することを特徴とする多層配線用パッド構造の製造方法。
【請求項7】
多層配線用パッド構造の製造方法であって、
少なくとも1層からなる下層配線が形成されている半導体基板上に、感光性有機材料を塗布して塗布膜を形成し、コンタクトホールパタン露光とそれに続く現像によって該塗布膜中に、前記下層配線と上層配線とを電気的に接続するための複数個のコンタクトホールを形成した後、該塗布膜の膜厚減少を伴う熱処理によって、有機材料で構成され前記コンタクトホールを有する層間絶縁膜を形成するコンタクトホール具有層間絶縁膜形成工程と、
前記コンタクトホールの内壁面を含めた前記層間絶縁膜の表面、および、前記コンタクトホールが形成されることによって露出した前記下層配線の表面に、W系金属薄膜とめっき用金属薄膜とをこの順序で形成した後に、前記めっき用金属薄膜上に配線パタンを有する配線形成用レジストマスクを形成する配線形成準備工程と、
前記コンタクトホール内部および配線形成部分に、前記配線形成用レジストマスクをめっきマスクとして用いるめっき法により配線金属を堆積して前記上層配線を形成する配線形成工程と、
前記配線形成用レジストマスクを除去し、前記上層配線が形成されていない部位の前記W系金属薄膜およびめっき用金属薄膜を除去する余剰物除去工程とを有することを特徴とする多層配線用パッド構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−188228(P2009−188228A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27324(P2008−27324)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】