説明

姿勢検出装置

【課題】被験者の姿勢を示す値を正確に算出する。
【解決手段】各画素における輝度値がカメラから被験者までの距離を示す距離画像を取得する距離画像取得部102と、距離画像取得部102が取得した距離画像に基づいて、被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する座標算出部104と、座標算出部104が算出した複数のマーカーの座標から、被験者の姿勢を示す値を算出する姿勢算出部106とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢検出装置に関し、特に、リハビリテーション用途で用いられ、人間の姿勢を数値化する姿勢検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人間の姿勢を数値化するための装置としてゴニオメーターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図23Aおよび図23Bは、ゴニオメーターを用いて頚椎の回旋角度を算出する方法を説明するための図である。図23Aに示すように、ゴニオメーター350は、第1定規352と、第2定規354とを含み、第1定規352と、第2定規354とは、回転中心356で回動可能に接続されている。第1定規352には、第1定規352と第2定規354とがなす角度を示す目盛りが記載されている。まず、図23Aのように被験者110が正面を向いている時に、第1定規352の長軸を被験者110の両肩峰と平行な位置に合わせ、その状態で第2定規354の長軸を、被験者110の上から見て被験者110の頭頂部と眉間とを結ぶ直線と一致する位置に合わせる。この状態で第1定規352と第2定規354とがなす角度を計測する。また、図23Bのように被験者110が頭を右方向限界まで回旋させた状態で、第1定規352と第2定規354との位置を図23Aと同様の位置に合わせ、第1定規352と第2定規354とがなす角度を計測する。図23Bの状態で計測された角度と図23Aの状態で計測された角度との差を算出することにより、被験者110の首の回旋角度を算出することができる。
【0004】
図24Aおよび図24Bは、ゴニオメーターを用いて右股関節を外転運動させたときの外転角度を算出する方法を説明するための図である。図24Aに示すように、両脚を閉じた状態の仰臥位の被験者120に対して、右側の上前腸骨棘にゴニオメーター350の回転中心356を合わせ、右側および左側の上前腸骨棘を結ぶ直線上に第1定規352の長軸を合わせ、右側の上前腸骨棘と膝蓋の中央とを結ぶ直線上に第2定規354の長軸を合わせる。この状態で第1定規352と第2定規354とがなす角度を計測する。また、図24Bのように右股関節を外転運動させた状態で、第1定規352と第2定規354との位置を図24Aと同様の位置に合わせ、第1定規352と第2定規354とがなす角度を計測する。図24Bの状態で計測された角度と図24Aの状態で計測された角度との差を算出することにより、被験者120の右股関節を外転運動させたときの外転角度を算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−279536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ゴニオメーターを用いる方法では、被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができないという課題がある。
【0007】
つまり、図23Aおよび図23Bに示した頚椎の回旋角度を算出する方法では、上述の通り、第1定規352の長軸を被験者110の両肩峰と平行な位置に合わせ、その状態で第2定規354の長軸を、被験者110の上から見て被験者110の頭頂部と眉間とを結ぶ直線と一致する位置に合わせる必要がある。しかし、両肩峰と第1定規352とは位置的に離れており、第1定規352を肩に直接当てることができない。また、眉間と第2定規354とは位置的に離れているため、第2定規354を眉間に直接当てることができない。このように、第1定規352および第2定規354を正確な位置に合わせるのが困難であるため、被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができない。
【0008】
また、図24Aおよび図24Bに示した右股関節を外転運動させたときの外転角度を算出する方法では、上述の通り、右側の上前腸骨棘にゴニオメーター350の回転中心356を合わせ、右側および左側の上前腸骨棘を結ぶ直線上に第1定規352の長軸を合わせ、右側の上前腸骨棘と膝蓋の中央とを結ぶ直線上に第2定規354の長軸を合わせる必要がある。しかし、右股関節を外転運動させたときの角度計測では、骨盤の位置を基準に大腿の側方への運動角度を計測するが、この運動では骨盤自体が傾斜する、いわゆる代償運動が生じる。このため、第1定規352および第2定規354を正確な位置に合わせるのが困難であるため、被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができない。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができる姿勢検出装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に係る姿勢検出装置は、各画素における輝度値がカメラから被験者までの距離を示す距離画像を取得する距離画像取得部と、前記距離画像取得部が取得した前記距離画像に基づいて、前記被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する座標算出部と、前記座標算出部が算出した前記複数のマーカーの座標から、前記被験者の姿勢を示す値を算出する姿勢算出部とを備える。
【0011】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができる。
【0012】
好ましくは、前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の肩峰と、頭頂部と、眉間とに貼付され、前記姿勢算出部は、前記被験者が正面を向いている状態と頭を回旋させた状態との、前記右側および左側の肩峰に貼付されたマーカーを結ぶ直線と、前記頭頂部に貼付されたマーカーおよび前記眉間に貼付されたマーカーを結ぶ直線とがなす角度の差を、頚椎の回旋角度として算出する。
【0013】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の右側および左側の肩峰と、頭頂部と、眉間とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の頚椎の回旋角度を正確に算出することができる。
【0014】
また、前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の上前腸骨棘と、右脚または左脚の膝蓋とに貼付され、前記姿勢算出部は、前記被験者が両脚を閉じた状態と、前記膝蓋にマーカーが貼付された脚側の股関節を外転運動させた状態との、前記右側および左側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーを結ぶ直線と、前記膝蓋に貼付されたマーカーと前記膝蓋にマーカーが貼付された脚側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーとを結ぶ直線とがなす角度の差を、股関節を外転運動させたときの外転角度として算出してもよい。
【0015】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の右側および左側の上前腸骨棘と、右脚または左脚の膝蓋とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の股関節を外転運動させたときの外転角度を正確に算出することができる。
【0016】
また、前記複数のマーカーは、前記被験者の第7頚椎棘突起と、右側および左側の上後腸骨棘とに貼付され、前記姿勢算出部は、前記第7頚椎棘突起に貼付されたマーカーと前記右側および左側の上後腸骨棘に貼付された前記2つのマーカーの中点とを結ぶ直線と、前記被験者の重心線とのなす角度を、体幹傾斜角として算出してもよい。
【0017】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の第7頚椎棘突起と、右側および左側の上後腸骨棘とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の体幹傾斜角を正確に算出することができる。
【0018】
また、前記複数のマーカーは、前記被験者の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーと、右側および左側の上後腸骨棘に貼付された2つのマーカーとを含み、前記姿勢算出部は、前記第7頚椎棘突起に貼付されたマーカーと前記右側および左側の上後腸骨棘に貼付された前記2つのマーカーの中点とを結ぶ直線から、第7頚椎棘突起から前記腰椎の棘突起までの間に貼付された前記複数のマーカーを通る曲線のうち胸椎部の曲線までの距離の最大値を算出する第1算出部と、前記第7頚椎棘突起に貼付されたマーカーから、前記直線と前記曲線とが交差する点までの距離を算出する第2算出部と、前記第1算出部が算出した前記最大値を前記第2算出部が算出した距離で除した値を算出することにより、前記被験者の後湾の度合いを示す後湾指数を算出する第3算出部とを含んでいてもよい。
【0019】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーと、右側および左側の上後腸骨棘に貼付された2つのマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の後湾の度合いを示す後湾指数を正確に算出することができる。
【0020】
また、前記複数のマーカーは、前記被験者の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーと、右側および左側の上後腸骨棘に貼付された2つのマーカーとを含み、前記姿勢算出部は、前記第7頚椎棘突起に貼付されたマーカーと前記右側および左側の上後腸骨棘に貼付された前記2つのマーカーの中点とを結ぶ直線から、第7頚椎棘突起から前記腰椎の棘突起までの間に貼付された前記複数のマーカーを通る曲線のうち腰椎部の曲線までの距離の最大値を算出する第1算出部と、前記直線と前記曲線とが交差する点から、前記右側および左側の上後腸骨棘に貼付された前記2つのマーカーの中点までの距離を算出する第2算出部と、前記第1算出部が算出した前記最大値を前記第2算出部が算出した距離で除した値を算出することにより、前記被験者の前湾の度合いを示す前湾指数を算出する第3算出部とを含んでいてもよい。
【0021】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーと、右側および左側の上後腸骨棘に貼付された2つのマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の前湾の度合いを示す前湾指数を正確に算出することができる。
【0022】
また、前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の肩峰と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁とに貼付され、前記姿勢算出部は、前記右側および左側の肩峰に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、上部体幹の向きを示すベクトルである上部体幹ベクトルとして算出する上部体幹ベクトル算出部と、前記右側および左側の最下位助軟骨の下縁に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する下部体幹ベクトル算出部と、算出された前記上部体幹ベクトルおよび前記下部体幹ベクトルを前記被験者の前額面へ投影したベクトル同士がなす角度を、前記被験者の前記上部体幹と前記下部体幹との間の傾斜角度として算出する傾斜角度算出部とを含んでいてもよい。
【0023】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の右側および左側の肩峰と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の上部体幹と下部体幹との間の傾斜角度を正確に算出することができる。
【0024】
また、前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の最下位助軟骨の下縁と、右側および左側の上前腸骨棘とに貼付され、前記姿勢算出部は、前記右側および左側の最下位助軟骨の下縁に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する下部体幹ベクトル算出部と、前記右側および左側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、骨盤の向きを示すベクトルである骨盤ベクトルとして算出する骨盤ベクトル算出部と、算出された前記下部体幹ベクトルおよび前記骨盤ベクトルを前記被験者の前額面へ投影したベクトル同士がなす角度を、前記被験者の前記下部体幹と前記骨盤との間の傾斜角度として算出する傾斜角度算出部とを含んでいてもよい。
【0025】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の右側および左側の最下位助軟骨の下縁と、右側および左側の上前腸骨棘とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の下部体幹と骨盤との間の傾斜角度を正確に算出することができる。
【0026】
また、前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の肩峰と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁とに貼付され、前記姿勢算出部は、前記右側および左側の肩峰に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、上部体幹の向きを示すベクトルである上部体幹ベクトルとして算出する上部体幹ベクトル算出部と、前記右側および左側の最下位助軟骨の下縁に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する下部体幹ベクトル算出部と、算出された前記上部体幹ベクトルおよび前記下部体幹ベクトルを前記被験者の水平面へ投影したベクトル同士がなす角度を、前記被験者の前記上部体幹と前記下部体幹との間の回旋角度として算出する回旋角度算出部とを含んでいてもよい。
【0027】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の右側および左側の肩峰と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の上部体幹と下部体幹との間の回旋角度を正確に算出することができる。
【0028】
また、前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の最下位助軟骨の下縁と、右側および左側の上前腸骨棘とに貼付され、前記姿勢算出部は、前記右側および左側の最下位助軟骨の下縁に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する下部体幹ベクトル算出部と、前記右側および左側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、骨盤の向きを示すベクトルである骨盤ベクトルとして算出する骨盤ベクトル算出部と、算出された前記下部体幹ベクトルおよび前記骨盤ベクトルを前記被験者の水平面へ投影したベクトル同士がなす角度を、前記被験者の前記下部体幹と前記骨盤との間の回旋角度として算出する回旋角度算出部とを含んでいてもよい。
【0029】
この構成によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の右側および左側の最下位助軟骨の下縁と、右側および左側の上前腸骨棘とに貼付されマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の下部体幹と骨盤との間の回旋角度を正確に算出することができる。
【0030】
好ましくは、前記カメラは、前記被験者に光を照射し、照射した光の反射光を受光し、照射開始時刻と受光時刻との差から前記被験者までの距離を算出することにより、前記距離画像を生成し、前記複数のマーカーの各々は、再帰性反射部材からなる。
【0031】
再帰性反射部材は、当たった光を光源へ向けてまっすぐに反射する特性を有する。このため、距離画像を正確に算出することができる。よって、複数のマーカーの座標から被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができる。
【0032】
なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える姿勢検出装置として実現することができるだけでなく、姿勢検出装置に含まれる特徴的な処理部が実行する処理をステップとする姿勢検出方法として実現することができる。また、姿勢検出装置に含まれる特徴的な処理部としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたは姿勢検出方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムを、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができる姿勢検出装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】姿勢検出装置を含む姿勢検出システムの利用シーンを説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る姿勢検出装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】距離画像カメラの概観図である。
【図4】距離画像カメラによる距離計測の原理を説明するための図である。
【図5】(a)は、通常のカメラを用いて被験者を撮影した画像の一例を示す図である。(b)は、(a)と同一位置を撮影した距離画像の一例を示す図である。
【図6】被験者が正面を向いている状態を示す図である。
【図7】実施の形態1に係る姿勢検出装置が実行する処理のフローチャートである。
【図8】被験者が頭を右側限界まで回旋させた状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る姿勢検出装置が実行する処理のフローチャートである。
【図10A】被験者が両脚を閉じた状態を示す図である。
【図10B】被験者が右脚を開くことにより右股関節を外転運動させた状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る姿勢検出装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図12】マーカーの貼付位置を説明するための図である。
【図13】(a)は、被験者へのマーカーの貼付位置を模式的に示す図である。(b)は、第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーを通る曲線を示す図である。(c)は、体幹傾斜角、後湾指数および前湾指数の算出方法を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る姿勢検出装置が実行する処理のフローチャートである。
【図15】矢状面の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係る姿勢検出装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図17】マーカーの貼付位置を説明するための図である。
【図18】前額面の一例を示す図である。
【図19】水平面の一例を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態4に係る姿勢検出装置が実行する処理のフローチャートである。
【図21】上部体幹ベクトル、下部体幹ベクトルおよび骨盤ベクトルを説明するための図である。
【図22】上部体幹と下部体幹との間の傾斜角度の算出方法を説明するための図である。
【図23A】被験者が正面を向いている状態を示す図である。
【図23B】被験者が頭を右側限界まで回旋させた状態を示す図である。
【図24A】両脚を閉じた状態の仰臥位の被験者を示す図である。
【図24B】右股関節を外転運動させた状態の被験者を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る姿勢検出装置について実施の形態に基づいて説明する。
【0036】
(実施の形態1)
実施の形態1では、被験者の関節の可動域を計測することを目的とし、頚椎の回旋角度を算出する姿勢検出装置について説明する。
【0037】
図1は、姿勢検出装置を含む姿勢検出システムの利用シーンを説明するための図である。
【0038】
姿勢検出システムは、姿勢検出装置100と、距離画像カメラ400とを含む。姿勢検出装置100は、被験者までの距離を計測し、距離画像を撮像することができる距離画像カメラ400に接続され、距離画像カメラ400より距離画像を取得する。姿勢検出装置100は、取得した距離画像から被験者となる人物500の姿勢を検出する。距離画像カメラ400は地面に平行な面に対して一定の煽り角θだけ傾けられ、上方から地面を撮影可能な位置に配置されている。なお、姿勢検出装置100は、典型的にはCPUおよびメモリを備えるコンピュータにより実現され、後述する各種処理を実現するためのプログラムをCPU上で動作することにより、姿勢検出装置100としての機能を果たす。
【0039】
なお、距離画像カメラ400の真下の地面上の点を原点O(0,0,0)とし、水平方向をx軸方向、高さ方向をy軸方向、奥行き方向をz軸方向とする。以下では、断りのない限り、原点O、x軸、y軸およびz軸で三次元座標系を規定する。ただし、三次元座標系の規定方法はこれに限定されるものではない。
【0040】
図2は、本発明の実施の形態1に係る姿勢検出装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【0041】
姿勢検出装置100は、距離画像取得部102と、座標算出部104と、姿勢算出部106とを備える。
【0042】
距離画像取得部102は、各画素における輝度値がカメラから被験者までの距離を示す距離画像を取得する処理部である。
【0043】
カメラは、被験者までの距離を計測することができる距離画像カメラであり、被験者に光を照射し、照射した光の反射光を受光し、照射開始時刻と受光時刻との差から被験者までの距離を算出することにより、距離画像を生成する。距離画像取得部102は、距離画像カメラに接続され、距離画像カメラが撮影した距離画像を取得する。
【0044】
図3は、距離画像カメラの概観図である。
距離画像カメラ400は、その前面に規則的に配置された複数のLED(Light Emitting Diode)402と、レンズ404とを含む。LED402からは被験者に向かって光が照射され、その反射光がレンズ404に集光される。
【0045】
図4は、距離画像カメラ400による距離計測の原理を説明するための図である。
複数のLED402から一斉に照射された光403は、被験者(例えば、人物500)で反射され、反射光405がレンズ404によって集光される。この時、LED402から光403が出射してからレンズ404へ反射光405が到達するまでの時間は被験者の位置により異なる。つまり、被験者が距離画像カメラ400に近いほど反射光405の到達時間は短くなり、被験者が距離画像カメラ400に遠いほど反射光405の到達時間は長くなる。距離画像カメラ400は、到達時間を画素ごとに計測することによって、被験者までの距離を画素ごとに出力する。つまり、距離画像カメラ400は、被験者までの距離を画素における輝度値で表した距離画像を出力する。図5(a)は、通常のカメラを用いて被験者を撮影した画像の一例を示す図である。図5(a)に示すように、画像は、被験者として二人の人物を含むものとする。図5(b)は、図5(a)と同一位置を撮影した距離画像の一例を示す図である。距離画像では、距離画像カメラ400までの距離が近いものほど輝度値が小さく(輝度が暗く)、距離が遠いものほど輝度値が大きい(輝度が明るい)ものとする。図5(b)に示すように前側の人物の方が後ろ側の人物よりも輝度値が小さくなっていることが分かる。
【0046】
再度図2を参照して、座標算出部104は、距離画像取得部102が取得した距離画像に基づいて、被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する処理部である。
【0047】
図6は、マーカーの貼付位置を説明するための図である。
複数のマーカーは、被験者110の右側および左側の肩峰にそれぞれ貼付されたマーカー112および114と、頭頂部に貼付されたマーカー116と、眉間に貼付されたマーカー118とを含む。各マーカーは、再帰性反射部材からなる。
【0048】
再度図2を参照して、姿勢算出部106は、座標算出部104が算出した複数のマーカーの座標から、被験者の姿勢を示す値を算出する処理部である。
【0049】
具体的には、姿勢算出部106は、被験者が正面を向いている状態と被験者が頭を回旋させた状態との、右側および左側の肩峰に貼付されたマーカーを結ぶ直線と頭頂部に貼付されたマーカーおよび眉間に貼付されたマーカーを結ぶ直線とがなす角度の差を、頚椎の回旋角度として算出する。
【0050】
図7は、本発明の実施の形態1に係る姿勢検出装置100が実行する処理のフローチャートである。
【0051】
距離画像取得部102は、距離画像カメラ400が撮影した距離画像を取得する(S2)。つまり、距離画像取得部102は、図6に示すように被験者110が正面を向いている状態で撮影された距離画像と、図8に示すように被験者110が頭を右側限界まで回旋させた状態で撮影された距離画像とを取得する。
【0052】
座標算出部104は、距離画像取得部102が取得した距離画像に基づいて、被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する(S4)。つまり、図6に示した被験者110が正面を向いている状態におけるマーカー112〜118の三次元空間中での座標と、図8に示した被験者110が頭を右側限界まで回旋させた状態におけるマーカー112〜118の三次元空間中での座標とを算出する。なお、図6および図8に示すように、被験者110は距離画像カメラ400の方を向いているものとする。このため、座標算出部104は、距離画像において、一番左に写っているマーカーをマーカー112と判断し、一番右に写っているマーカーをマーカー114と判断し、一番上に写っているマーカーをマーカー116とし、それ以外のマーカーをマーカー118と判断することにより、マーカーを区別する。ただし、被験者110と距離画像カメラ400との位置関係はこれに限定されるものではなく、座標算出部104が各マーカーの位置を判断することができるのであれば、どのような位置関係であっても良い。
【0053】
姿勢算出部106は、被験者が正面を向いている状態と被験者が頭を回旋させた状態との、右側および左側の肩峰に貼付されたマーカーを結ぶ直線と頭頂部に貼付されたマーカーおよび眉間に貼付されたマーカーを結ぶ直線とがなす角度の差を、頚椎の回旋角度として算出する(S6)。つまり、姿勢算出部106は、図6に示した被験者110が正面を向いている状態において、三次元空間中で、マーカー112とマーカー114とを結ぶ直線と、マーカー116とマーカー118とを結ぶ直線とがなす角度を算出する。また、姿勢算出部106は、図8に示した被験者110が頭を右側限界まで回旋させた状態において、三次元空間中で、マーカー112とマーカー114とを結ぶ直線と、マーカー116とマーカー118とを結ぶ直線とがなす角度を算出する。姿勢算出部106は、算出した2つの角度の差を算出することにより頚椎の回旋角度を算出する。具体的には、2つの角度の差の絶対値を頚椎の回旋角度として算出しても良い。
【0054】
例えば、マーカー112、114、116および118のそれぞれの三次元空間中での座標を、(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)および(x4,y4,z4)とする。マーカー112とマーカー114とを結ぶ直線と、マーカー116とマーカー118とを結ぶ直線とがなす角度ψは、マーカー112の位置を始点としマーカー114の位置を終点とするベクトルと、マーカー116の位置を始点としマーカー118の位置を終点とするベクトルとがなす角度ψと等しい。つまり、上記角度ψは、以下の(式1)で表すことができる。この角度ψを、被験者110が正面を向いている状態と被験者110が頭を右側限界まで回旋させた状態とでそれぞれ算出し、算出した2つの角度の差を算出することにより頚椎の回旋角度を算出することができる。
【0055】
【数1】

【0056】
以上説明したように、実施の形態1によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができる。具体的には、距離画像から、被験者の右側および左側の肩峰と、頭頂部と、眉間とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の頚椎の回旋角度を正確に算出することができる。
【0057】
また、再帰性反射部材は、当たった光を光源へ向けてまっすぐに反射する特性を有する。このため、距離画像を正確に算出することができる。よって、複数のマーカーの座標から被験者の姿勢を示す値を正確に算出することができる。
【0058】
なお、実施の形態1では、被験者が右側へ回旋運動を行ったときの頚椎の回旋角度を算出する姿勢検出装置について説明したが、被験者が左側へ回旋運動を行ったときの頚椎の回旋角度も、右側へ回旋運動を行った場合と同様に算出することができる。
【0059】
(実施の形態2)
実施の形態2では、被験者の関節の可動域を計測することを目的とし、股関節を外転運動させたときの外転角度を算出する姿勢検出装置について説明する。
【0060】
実施の形態2に係る姿勢検出装置および姿勢検出装置を含む姿勢検出システムの構成は、実施の形態1で図2および図1を用いて説明したものとそれぞれ同様である。このため、以下の説明では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明し、同様の部分について説明を繰り返さない。
【0061】
実施の形態1では姿勢算出部106が頚椎の回旋角度を算出したが、実施の形態2では姿勢算出部106が股関節を外転運動させたときの外転角度を算出する。
【0062】
図9は、本発明の実施の形態2に係る姿勢検出装置200が実行する処理のフローチャートである。
【0063】
距離画像取得部102は、距離画像カメラ400が撮影した距離画像を取得する(S2)。つまり、距離画像取得部102は、図10Aに示すように被験者120が両脚を閉じた状態で撮影された距離画像と、図10Bに示すように被験者120が右脚を開くことにより右股関節を外転運動させた状態で撮影された距離画像とを取得する。なお、図10Aおよび図10Bに示すように被験者120はベッドの上に寝ているものとし、被験者120の右側および左側の上前腸骨棘にそれぞれマーカー122および124が貼付され、右脚の膝蓋(好ましくは膝蓋の中心位置)にマーカー126が貼付されているものとする。各マーカーは、再帰性反射部材からなる。
【0064】
座標算出部104は、距離画像取得部102が取得した距離画像に基づいて、被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する(S8)。つまり、図10Aに示した被験者120が両脚を閉じた状態におけるマーカー122〜126の三次元空間中での座標と、図10Bに示した被験者120が右股関節を外転運動させた状態におけるマーカー122〜126の三次元空間中での座標とを算出する。なお、図10Aおよび図10Bに示すように、被験者120は仰臥位の状態を取っており、距離画像において左脚が下側に、右脚が上側に、足先が左側に、腰が右側に写っているものとする。このため、座標算出部104は、距離画像において、一番左に写っているマーカーをマーカー126と判断し、一番下に写っているマーカーをマーカー124と判断し、それ以外のマーカーをマーカー122と判断することにより、マーカーを区別する。ただし、被験者120と距離画像カメラ400との位置関係はこれに限定されるものではなく、座標算出部104が各マーカーの位置を判断することができるのであれば、どのような位置関係であっても良い。
【0065】
姿勢算出部106は、被験者120が両脚を閉じた状態と、右股関節を外転運動させた状態との、右側および左側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーを結ぶ直線と、右側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーとを結ぶ直線とがなす角度の差を、股関節を外転運動させたときの外転角度として算出する(S10)。つまり、姿勢算出部106は、図10Aに示した被験者120が両脚を閉じた状態において、三次元空間中で、マーカー122とマーカー124とを結ぶ直線と、マーカー122とマーカー126とを結ぶ直線とがなす角度を算出する。また、姿勢算出部106は、図10Bに示した被験者120が右股関節を外転運動させた状態において、三次元空間中で、マーカー122とマーカー124とを結ぶ直線と、マーカー122とマーカー126とを結ぶ直線とがなす角度を算出する。姿勢算出部106は、算出した2つの角度の差を算出することにより右股関節を外転運動させたときの外転角度を算出する。具体的には、2つの角度の差の絶対値を外転角度として算出しても良い。
【0066】
例えば、122、124および126のそれぞれの三次元空間中での座標を、(x5,y5,z5)、(x6,y6,z6)および(x7,y7,z7)とする。マーカー122とマーカー124とを結ぶ直線と、マーカー122とマーカー126とを結ぶ直線とがなす角度φは、マーカー122の位置を始点としマーカー124の位置を終点とするベクトルと、マーカー122の位置を始点としマーカー126の位置を終点とするベクトルとがなす角度φと等しい。つまり、上記角度φは、以下の(式2)で表すことができる。この角度φを、被験者120が両脚を閉じた状態と右股関節を外転運動させた状態とでそれぞれ算出し、算出した2つの角度の差を算出することにより右股関節を外転運動させたときの外転角度を算出することができる。
【0067】
【数2】

【0068】
以上説明したように、実施の形態2によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の右側および左側の上前腸骨棘と、右脚の膝蓋とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の右股関節を外転運動させたときの外転角度を正確に算出することができる。
【0069】
なお、実施の形態2では、被験者が右脚を開くことにより右股関節を外転運動させたときの外転角度を算出する姿勢検出装置について説明したが、被験者が左脚を開くことにより左股関節を外転運動させたときの外転角度も、右股関節を外転運動させた場合と同様に算出することができる。
【0070】
(実施の形態3)
実施の形態3では、脊柱の曲がり具合を計測することを目的とし、後述する体幹傾斜角、後湾指数および前湾指数を算出する姿勢検出装置について説明する。
【0071】
実施の形態3に係る姿勢検出装置を含む姿勢検出システムの構成は、実施の形態1で図1を用いて説明したものと同様である。以下の説明では、実施の形態1および2と異なる部分を中心に説明し、同様の部分については説明を繰り返さない。
【0072】
図11は、本発明の実施の形態3に係る姿勢検出装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【0073】
姿勢検出装置200は、距離画像取得部102と、座標算出部204と、姿勢算出部206とを含む。
【0074】
距離画像取得部102は、各画素における輝度値がカメラから被験者までの距離を示す距離画像を取得する処理部である。
【0075】
座標算出部204は、距離画像取得部102が取得した距離画像に基づいて、被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する処理部である。
【0076】
図12は、マーカーの貼付位置を説明するための図である。
複数のマーカーは、被験者220の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカー222、223および224と、右側および左側の上後腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー226およびマーカー228とを含む。各マーカーは、再帰性反射部材からなる。図13(a)は、被験者220へのマーカーの貼付位置を模式的に示す図であり、被験者220を側方から見た図である。図13(b)は、第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカー222、223を通る曲線230を示す図である。
【0077】
再度図11を参照して、姿勢算出部206は、体幹傾斜角算出部208と、第1算出部211と、第2算出部212と、第3算出部213とを含む。
【0078】
図13(c)を参照して、体幹傾斜角算出部208は、被験者220の第7頚椎棘突起に貼付されたマーカー222と右側および左側の上後腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー226および228の中点240とを結ぶ直線232と、被験者220の重心線234とのなす角度を、体幹傾斜角γとして算出する。重心線234とは、被験者220の重心から地面に垂直に降ろした垂線のことである。なお、この重心線234は、例えば、マーカー226および228の中点240から地面に垂直に降ろした垂線と仮定することができる。
【0079】
第1算出部211、第2算出部212および第3算出部213は、後湾指数および前湾指数を算出するための処理部である。図13(c)を参照して、第1算出部211、第2算出部212および第3算出部213が実行する処理について説明する。
【0080】
第1算出部211は、第7頚椎棘突起に貼付されたマーカー222と右側および左側の上後腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー226および228の中点240とを結ぶ直線232から、第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカー222〜224を通る曲線230のうち胸椎部の曲線230までの距離の最大値h1を算出する。第1算出部211は、さらに、上記直線232から、上記曲線230のうち腰椎部の曲線230までの距離の最大値h2を算出する。
【0081】
第2算出部212は、第7頚椎棘突起に貼付されたマーカー222から、上記直線232と上記曲線230とが交差する点227までの距離l1を算出する。第2算出部212は、さらに、上記直線232と上記曲線230とが交差する点227から、上記中点240までの距離l2を算出する。
【0082】
第3算出部213は、第1算出部211が算出した上記最大値h1を第2算出部212が算出した距離l1で除した値を算出することにより、被験者220の後湾の度合いを示す後湾指数を算出する。第3算出部213は、さらに、第1算出部211が算出した上記最大値h2を第2算出部212が算出した上記距離l2で除した値を算出することにより、被験者220の前湾の度合いを示す前湾指数を算出する。
【0083】
図14は、本発明の実施の形態3に係る姿勢検出装置200が実行する処理のフローチャートである。
【0084】
距離画像取得部102は、距離画像カメラ400が撮影した距離画像を取得する(S2)。つまり、距離画像取得部102は、図12に示すように被験者220の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカー222、223および224と、右側および左側の上後腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー226およびマーカー228とが写るように距離画像カメラ400が被験者220の背中を撮影した距離画像を取得する。
【0085】
座標算出部204は、距離画像取得部102が取得した距離画像に基づいて、被験者220に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する(S21)。つまり、図12に示した被験者220のマーカー222、223、224、226および228の三次元空間中での座標を算出する。図12に示すように被験者220は背中を距離画像カメラ400に向けているものとする。このため、座標算出部204は、距離画像において一番上に写っているマーカーをマーカー222と判断し、最も下から2つのマーカーのうち、左側に写っているマーカーをマーカー228と判断し、右側に写っているマーカーをマーカー226と判断し、最も下から3つ目に写っているマーカーをマーカー224と判断し、それ以外のマーカーをマーカー223と判断することにより、マーカーを区別する。ただし、被験者220と距離画像カメラ400との位置関係はこれに限定されるものではなく、座標算出部204が各マーカーの位置を判断することができるのであれば、どのような位置関係であっても良い。
【0086】
体幹傾斜角算出部208は、被験者220の第7頚椎棘突起に貼付されたマーカー222と右側および左側の上後腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー226および228の中点240とを結ぶ直線232と、被験者220の重心線234とのなす角度を、体幹傾斜角γとして算出する(S22)。体幹傾斜角γにより被験者220が前傾の度合いまたは後傾の度合いを判断することができる。
【0087】
第1算出部211は、第7頚椎棘突起に貼付されたマーカー222と右側および左側の上後腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー226および228の中点240とを結ぶ直線232から、第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカー222〜224を通る曲線230のうち胸椎部の曲線230までの距離の最大値h1を算出する(S23)。
【0088】
第2算出部212は、第7頚椎棘突起に貼付されたマーカー222から、上記直線232と上記曲線230とが交差する点227までの距離l1を算出する(S24)。
【0089】
第3算出部213は、第1算出部211が算出した上記最大値h1を第2算出部212が算出した距離l1で除した値を算出することにより、被験者220の後湾の度合いを示す後湾指数を算出する(S25)。
【0090】
第1算出部211は、上記直線232から、上記曲線230のうち腰椎部の曲線230までの距離の最大値h2を算出する(S26)。
【0091】
第2算出部212は、上記直線232と上記曲線230とが交差する点227から、上記中点240までの距離l2を算出する(S27)。
【0092】
第3算出部213は、第1算出部211が算出した上記最大値h2を第2算出部212が算出した上記距離l2で除した値を算出することにより、被験者220の前湾の度合いを示す前湾指数を算出する(S28)。
【0093】
以上説明したように、実施の形態3によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の第7頚椎棘突起と、右側および左側の上後腸骨棘とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の体幹傾斜角を正確に算出することができる。
【0094】
また、距離画像から、被験者の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーと、右側および左側の上後腸骨棘に貼付された2つのマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の後湾の度合いを示す後湾指数を正確に算出することができる。
【0095】
さらに、距離画像から、被験者の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーと、右側および左側の上後腸骨棘に貼付された2つのマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の前湾の度合いを示す前湾指数を正確に算出することができる。
【0096】
なお、実施の形態3では、体幹傾斜角と、後湾指数と、前湾指数とを算出するものとしているが、3つのうちいずれか1つまたは2つを算出するものであってもよい。体幹傾斜角を算出するには、被験者の第7頚椎棘突起に貼付されたマーカー222と、右側および左側の上後腸骨棘とにそれぞれ貼付されたマーカー226および228の三次元空間中での座標を算出することができれば良い。つまり、それ以外のマーカー223および224は必要がない。
【0097】
また、実施の形態3では、姿勢算出部206が行う計算は三次元空間中の座標を用いて行うこととしたが、各座標を矢状面に投影した座標を用いて計算を行ってもよい。図15は、矢状面を説明するための図である。矢状面346は被験者220を左右対称に切る平面である。つまり、図13(a)は矢状面346に投影したマーカーの位置を示していると考えることもできる。
【0098】
(実施の形態4)
実施の形態4では、脳性麻痺児に見られる体幹変形を計測することを目的とし、後述する傾斜角度および回旋角度を算出する姿勢検出装置について説明する。
【0099】
実施の形態4に係る姿勢検出装置を含む姿勢検出システムの構成は、実施の形態1で図1を用いて説明したものと同様である。以下の説明では、実施の形態1〜3と異なる部分を中心に説明し、同様の部分については説明を繰り返さない。
【0100】
図16は、本発明の実施の形態4に係る姿勢検出装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【0101】
姿勢検出装置300は、距離画像取得部102と、座標算出部304と、姿勢算出部306とを含む。
【0102】
距離画像取得部102は、各画素における輝度値がカメラから被験者までの距離を示す距離画像を取得する処理部である。
【0103】
座標算出部304は、距離画像取得部102が取得した距離画像に基づいて、被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する処理部である。
【0104】
図17は、マーカーの貼付位置を説明するための図である。
複数のマーカーは、被験者320の右側および左側の肩峰にそれぞれ貼付されたマーカー322および324と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁にそれぞれ貼付されたマーカー326および328と、右側および左側の上前腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー330および332とを含む。各マーカーは、再帰性反射部材からなる。図17は、被験者320を骨格図で示しているが、実際にはマーカーは皮膚または衣服上に貼付される。
【0105】
再度図16を参照して、姿勢算出部306は、上部体幹ベクトル算出部308と、下部体幹ベクトル算出部310と、骨盤ベクトル算出部312と、傾斜角度算出部314と、回旋角度算出部316とを含む。
【0106】
上部体幹ベクトル算出部308は、右側および左側の肩峰にそれぞれ貼付されたマーカー322および324を結ぶベクトルを、上部体幹の向きを示すベクトルである上部体幹ベクトルとして算出する。
【0107】
下部体幹ベクトル算出部310は、右側および左側の最下位助軟骨の下縁にそれぞれ貼付されたマーカー326および328を結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する。
【0108】
骨盤ベクトル算出部312は、右側および左側の上前腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー330および332を結ぶベクトルを、骨盤の向きを示すベクトルである骨盤ベクトルとして算出する。
【0109】
傾斜角度算出部314は、算出された上部体幹ベクトルおよび下部体幹ベクトルを被験者の前額面へ投影したベクトル同士がなす角度を、被験者の上部体幹と下部体幹との間の傾斜角度として算出する。図18は、前額面の一例を示す図である。前額面342は、被験者320を前後に切る面で、矢状面346に垂直な平面である。傾斜角度算出部314は、さらに、算出された下部体幹ベクトルおよび骨盤ベクトルを被験者の前額面へ投影したベクトル同士がなす角度を、被験者の下部体幹と骨盤との間の傾斜角度として算出する。
【0110】
回旋角度算出部316は、算出された上部体幹ベクトルおよび下部体幹ベクトルを被験者の水平面へ投影したベクトル同士がなす角度を、被験者の上部体幹と下部体幹との間の回旋角度として算出する。図19は、水平面の一例を示す図である。水平面344は、床に平行で、前額面342と矢状面346ととに直交する平面である。回旋角度算出部316は、さらに、算出された下部体幹ベクトルおよび骨盤ベクトルを被験者の水平面へ投影したベクトル同士がなす角度を、被験者の下部体幹と骨盤との間の回旋角度として算出する。
【0111】
なお、実施の形態4では、三次元座標系を以下のように定義する。つまり、図18に示した前額面342をy−z平面とし、図19に示した水平面344をx−y平面とする。また、前額面342と図15に示した矢状面346(x−z平面)とが交わる線(z軸)のうち、地面の位置を原点とする。このような条件を満たす三次元座標系を想定する。
【0112】
図20は、本発明の実施の形態4に係る姿勢検出装置300が実行する処理のフローチャートである。
【0113】
距離画像取得部102は、距離画像カメラ400が撮影した距離画像を取得する(S2)。つまり、距離画像取得部102は、図17に示すように被験者320の右側および左側の肩峰にそれぞれ貼付されたマーカー322および324と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁にそれぞれ貼付されたマーカー326および328と、右側および左側の上前腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー330および332とが写るように距離画像カメラ400が被験者320を撮影した距離画像を取得する。
【0114】
座標算出部304は、距離画像取得部102が取得した距離画像に基づいて、被験者320に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する(S31)。つまり、図17に示した被験者320のマーカー322、324、326、328、330および332の三次元空間中での座標を算出する。図17に示すように被験者320は正面を距離画像カメラ400に向けているものとする。このため、座標算出部304は、距離画像において、最も上から1番目または2番目に写っているマーカーのうち左側のマーカーをマーカー322と判断し、右側のマーカーをマーカー324と判断する。また、座標算出部304は、距離画像において最も上から3番目または4番目に写っているマーカーのうち左側のマーカーをマーカー326と判断し、右側のマーカーをマーカー328と判断する。また、座標算出部304は、距離画像において、最も下から1番目または2番目に写っているマーカーのうち左側のマーカーをマーカー330と判断し、右側のマーカーをマーカー332と判断する。ただし、被験者320と距離画像カメラ400との位置関係はこれに限定されるものではなく、座標算出部304が各マーカーの位置を判断することができるのであれば、どのような位置関係であっても良い。
【0115】
上部体幹ベクトル算出部308は、右側および左側の肩峰にそれぞれ貼付されたマーカー322および324を結ぶベクトルを、上部体幹の向きを示すベクトルである上部体幹ベクトルとして算出する(S32)。つまり、図21に示すように、三次元空間中で、マーカー324の位置を始点としマーカー322の位置を終点とするベクトルを、上部体幹ベクトル334として算出する。
【0116】
下部体幹ベクトル算出部310は、右側および左側の最下位助軟骨の下縁にそれぞれ貼付されたマーカー326および328を結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する(S33)。つまり、図21に示すように、三次元空間中で、マーカー328の位置を始点としマーカー326の位置を終点とするベクトルを、下部体幹ベクトル336として算出する。
【0117】
骨盤ベクトル算出部312は、右側および左側の上前腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー330および332を結ぶベクトルを、骨盤の向きを示すベクトルである骨盤ベクトルとして算出する(S34)。つまり、図21に示すように、三次元空間中で、マーカー332の位置を始点としマーカー330の位置を終点とするベクトルを、骨盤ベクトル338として算出する。
【0118】
傾斜角度算出部314は、算出された上部体幹ベクトル334および下部体幹ベクトル336を被験者の前額面へ投影したベクトル同士がなす角度を、被験者の上部体幹と下部体幹との間の傾斜角度αとして算出する(S35)。例えば、マーカー324、322、328および326の三次元空間中での座標を、それぞれ、(X1、Y1、Z1)、(X2、Y2、Z2)、(X3、Y3、Z3)および(X4、Y4、Z4)とする。すると、上部体幹ベクトル334は、(X2−X1,Y2−Y1,Z2−Z1)で示され、下部体幹ベクトル336は、(X4−X3,Y4−Y3,Z4−Z3)で示される。図22に示すように上部体幹ベクトル334を前額面342に投影したベクトルをベクトルU_trとし、下部体幹ベクトル336を前額面342に投影したベクトルをベクトルL_trとする。傾斜角度算出部314は、被験者の上部体幹と下部体幹との間の傾斜角度αを以下の(式3)に従い算出する。ただし、U_tr=(0,Y2−Y1,Z2−Z1)であり、L_tr=(0,Y4−Y3,Z4−Z3)である。
【0119】
【数3】

【0120】
傾斜角度算出部314は、さらに、算出された下部体幹ベクトル336および骨盤ベクトル338を被験者の前額面へ投影したベクトル同士がなす角度を、被験者の下部体幹と骨盤との間の傾斜角度βとして算出する(S35)。例えば、マーカー332および330の三次元空間中での座標を、それぞれ、(X5、Y5、Z5)および(X6、Y6、Z6)とする。すると、骨盤ベクトル338は、(X6−X5,Y6−Y5,Z6−Z5)で示される。骨盤ベクトル338を前額面342に投影したベクトルをP_trとすると、傾斜角度算出部314は、被験者の下部体幹と骨盤との間の傾斜角度βを以下の(式4)に従い算出する。ただし、P_tr=(0,Y6−Y5,Z6−Z5)である。
【0121】
【数4】

【0122】
回旋角度算出部316は、算出された上部体幹ベクトル334および下部体幹ベクトル336を被験者の水平面へ投影したベクトル同士がなす角度を、被験者の上部体幹と下部体幹との間の回旋角度ρとして算出する(S36)。例えば、上部体幹ベクトル334を水平面344に投影したベクトルをU_tr2とし、下部体幹ベクトル336を水平面344に投影したベクトルをL_tr2とする。回旋角度算出部316は、被験者の上部体幹と下部体幹との間の回旋角度ρを以下の(式5)に従い算出する。ただし、U_tr2=(X2−X1,Y2−Y1,0)であり、L_tr2=(X4−X3,Y4−Y3,0)である。
【0123】
【数5】

【0124】
回旋角度算出部316は、さらに、算出された下部体幹ベクトル336および骨盤ベクトル338を被験者の水平面へ投影したベクトル同士がなす角度を、被験者の下部体幹と骨盤との間の回旋角度σとして算出する(S36)。例えば、骨盤ベクトル338を水平面344に投影したベクトルをP_tr2とする。回旋角度算出部316は、被験者の下部体幹と骨盤との間の回旋角度σを以下の(式6)に従い算出する。ただし、P_tr2=(X6−X5,Y6−Y5,0)である。
【0125】
【数6】

【0126】
以上説明したように、実施の形態4によると、ゴニオメーターを被験者に当てるのではなく、距離画像から、被験者の右側および左側の肩峰と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の上部体幹と下部体幹との間の傾斜角度、および被験者の上部体幹と下部体幹との間の回旋角度を正確に算出することができる。
【0127】
また、距離画像から、被験者の右側および左側の最下位助軟骨の下縁と、右側および左側の上前腸骨棘とに貼付されたマーカーの三次元空間中での座標を算出している。このため、各マーカーの座標を正確に求めることができる。よって、複数のマーカーの座標から、被験者の下部体幹と骨盤との間の傾斜角度、および被験者の下部体幹と骨盤との間の回旋角度を正確に算出することができる。
【0128】
なお、実施の形態4では、被験者の上部体幹と下部体幹との間の傾斜角度、下部体幹と骨盤との間の傾斜角度、上部体幹と下部体幹との間の回旋角度、および下部体幹と骨盤との間の回旋角度を算出するとしているが4つの角度のうち1〜3つの角度を算出するものであっても良い。
【0129】
被験者の上部体幹と下部体幹との間の傾斜角度、または上部体幹と下部体幹との間の回旋角度を算出するには、被験者の右側および左側の肩峰にそれぞれ貼付されたマーカー322および324と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁にそれぞれ貼付されたマーカー326および328との三次元空間中での座標を算出することができればよい。つまり、それ以外のマーカー330および332は必要がない。
【0130】
また、被験者の下部体幹と骨盤との間の傾斜角度、または下部体幹と骨盤との間の回旋角度を算出するには、被験者の右側および左側の最下位助軟骨の下縁にそれぞれ貼付されたマーカー326および328と、右側および左側の上前腸骨棘にそれぞれ貼付されたマーカー330および332との三次元空間中での座標を算出することができればよい。つまり、それ以外のマーカー322および324は必要がない。
【0131】
以上、本発明の実施の形態に係る姿勢検出装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0132】
例えば、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0133】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0134】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0135】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。
【0136】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu-ray Disc(登録商標))、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしても良い。
【0137】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。
【0138】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしても良い。
【0139】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【0140】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、姿勢検出装置に適用でき、特に距離画像カメラから得られる距離画像に基づいて被験者の姿勢を検出することができる姿勢検出装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0142】
100、200、300 姿勢検出装置
102 距離画像取得部
104、204、304 座標算出部
106、206、306 姿勢算出部
110、120、220、320 被験者
112、114、116、118、122、124、126、222、223、224、226、228、322、324、326、328、330、332 マーカー
208 体幹傾斜角算出部
211 第1算出部
212 第2算出部
213 第3算出部
227 交差する点
230 曲線
232 直線
234 重心線
240 中点
308 上部体幹ベクトル算出部
310 下部体幹ベクトル算出部
312 骨盤ベクトル算出部
314 傾斜角度算出部
316 回旋角度算出部
334 上部体幹ベクトル
336 下部体幹ベクトル
338 骨盤ベクトル
342 前額面
344 水平面
346 矢状面
350 ゴニオメーター
352 第1定規
354 第2定規
356 回転中心
400 距離画像カメラ
402 LED
403 光
404 レンズ
405 反射光
500 人物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素における輝度値がカメラから被験者までの距離を示す距離画像を取得する距離画像取得部と、
前記距離画像取得部が取得した前記距離画像に基づいて、前記被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する座標算出部と、
前記座標算出部が算出した前記複数のマーカーの座標から、前記被験者の姿勢を示す値を算出する姿勢算出部と
を備える姿勢検出装置。
【請求項2】
前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の肩峰と、頭頂部と、眉間とに貼付され、
前記姿勢算出部は、前記被験者が正面を向いている状態と頭を回旋させた状態との、前記右側および左側の肩峰に貼付されたマーカーを結ぶ直線と、前記頭頂部に貼付されたマーカーおよび前記眉間に貼付されたマーカーを結ぶ直線とがなす角度の差を、頚椎の回旋角度として算出する
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項3】
前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の上前腸骨棘と、右脚または左脚の膝蓋とに貼付され、
前記姿勢算出部は、前記被験者が両脚を閉じた状態と、前記膝蓋にマーカーが貼付された脚側の股関節を外転運動させた状態との、前記右側および左側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーを結ぶ直線と、前記膝蓋に貼付されたマーカーと前記膝蓋にマーカーが貼付された脚側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーとを結ぶ直線とがなす角度の差を、股関節を外転運動させたときの外転角度として算出する
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項4】
前記複数のマーカーは、前記被験者の第7頚椎棘突起と、右側および左側の上後腸骨棘とに貼付され、
前記姿勢算出部は、前記第7頚椎棘突起に貼付されたマーカーと前記右側および左側の上後腸骨棘に貼付された前記2つのマーカーの中点とを結ぶ直線と、前記被験者の重心線とのなす角度を、体幹傾斜角として算出する
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項5】
前記複数のマーカーは、前記被験者の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーと、右側および左側の上後腸骨棘に貼付された2つのマーカーとを含み、
前記姿勢算出部は、
前記第7頚椎棘突起に貼付されたマーカーと前記右側および左側の上後腸骨棘に貼付された前記2つのマーカーの中点とを結ぶ直線から、第7頚椎棘突起から前記腰椎の棘突起までの間に貼付された前記複数のマーカーを通る曲線のうち胸椎部の曲線までの距離の最大値を算出する第1算出部と、
前記第7頚椎棘突起に貼付されたマーカーから、前記直線と前記曲線とが交差する点までの距離を算出する第2算出部と、
前記第1算出部が算出した前記最大値を前記第2算出部が算出した距離で除した値を算出することにより、前記被験者の後湾の度合いを示す後湾指数を算出する第3算出部とを含む
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項6】
前記複数のマーカーは、前記被験者の第7頚椎棘突起から腰椎の棘突起までの間に貼付された複数のマーカーと、右側および左側の上後腸骨棘に貼付された2つのマーカーとを含み、
前記姿勢算出部は、
前記第7頚椎棘突起に貼付されたマーカーと前記右側および左側の上後腸骨棘に貼付された前記2つのマーカーの中点とを結ぶ直線から、第7頚椎棘突起から前記腰椎の棘突起までの間に貼付された前記複数のマーカーを通る曲線のうち腰椎部の曲線までの距離の最大値を算出する第1算出部と、
前記直線と前記曲線とが交差する点から、前記右側および左側の上後腸骨棘に貼付された前記2つのマーカーの中点までの距離を算出する第2算出部と、
前記第1算出部が算出した前記最大値を前記第2算出部が算出した距離で除した値を算出することにより、前記被験者の前湾の度合いを示す前湾指数を算出する第3算出部とを含む
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項7】
前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の肩峰と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁とに貼付され、
前記姿勢算出部は、
前記右側および左側の肩峰に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、上部体幹の向きを示すベクトルである上部体幹ベクトルとして算出する上部体幹ベクトル算出部と、
前記右側および左側の最下位助軟骨の下縁に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する下部体幹ベクトル算出部と、
算出された前記上部体幹ベクトルおよび前記下部体幹ベクトルを前記被験者の前額面へ投影したベクトル同士がなす角度を、前記被験者の前記上部体幹と前記下部体幹との間の傾斜角度として算出する傾斜角度算出部とを含む
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項8】
前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の最下位助軟骨の下縁と、右側および左側の上前腸骨棘とに貼付され、
前記姿勢算出部は、
前記右側および左側の最下位助軟骨の下縁に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する下部体幹ベクトル算出部と、
前記右側および左側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、骨盤の向きを示すベクトルである骨盤ベクトルとして算出する骨盤ベクトル算出部と、
算出された前記下部体幹ベクトルおよび前記骨盤ベクトルを前記被験者の前額面へ投影したベクトル同士がなす角度を、前記被験者の前記下部体幹と前記骨盤との間の傾斜角度として算出する傾斜角度算出部とを含む
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項9】
前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の肩峰と、右側および左側の最下位助軟骨の下縁とに貼付され、
前記姿勢算出部は、
前記右側および左側の肩峰に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、上部体幹の向きを示すベクトルである上部体幹ベクトルとして算出する上部体幹ベクトル算出部と、
前記右側および左側の最下位助軟骨の下縁に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する下部体幹ベクトル算出部と、
算出された前記上部体幹ベクトルおよび前記下部体幹ベクトルを前記被験者の水平面へ投影したベクトル同士がなす角度を、前記被験者の前記上部体幹と前記下部体幹との間の回旋角度として算出する回旋角度算出部とを含む
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項10】
前記複数のマーカーは、前記被験者の右側および左側の最下位助軟骨の下縁と、右側および左側の上前腸骨棘とに貼付され、
前記姿勢算出部は、
前記右側および左側の最下位助軟骨の下縁に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、下部体幹の向きを示すベクトルである下部体幹ベクトルとして算出する下部体幹ベクトル算出部と、
前記右側および左側の上前腸骨棘に貼付されたマーカーを結ぶベクトルを、骨盤の向きを示すベクトルである骨盤ベクトルとして算出する骨盤ベクトル算出部と、
算出された前記下部体幹ベクトルおよび前記骨盤ベクトルを前記被験者の水平面へ投影したベクトル同士がなす角度を、前記被験者の前記下部体幹と前記骨盤との間の回旋角度として算出する回旋角度算出部とを含む
請求項1記載の姿勢検出装置。
【請求項11】
前記カメラは、前記被験者に光を照射し、照射した光の反射光を受光し、照射開始時刻と受光時刻との差から前記被験者までの距離を算出することにより、前記距離画像を生成し、
前記複数のマーカーの各々は、再帰性反射部材からなる
請求項1〜10のいずれか1項に記載の姿勢検出装置。
【請求項12】
各画素における輝度値がカメラから被験者までの距離を示す距離画像を取得する距離画像取得ステップと、
前記距離画像取得ステップにおいて取得された前記距離画像に基づいて、前記被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する座標算出ステップと、
前記座標算出ステップにおいて算出された前記複数のマーカーの座標から、前記被験者の姿勢を示す値を算出する姿勢算出ステップと
を含む姿勢検出方法。
【請求項13】
各画素における輝度値がカメラから被験者までの距離を示す距離画像を取得する距離画像取得ステップと、
前記距離画像取得ステップにおいて取得された前記距離画像に基づいて、前記被験者に貼付された複数のマーカーの三次元空間中での座標を算出する座標算出ステップと、
前記座標算出ステップにおいて算出された前記複数のマーカーの座標から、前記被験者の姿勢を示す値を算出する姿勢算出ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図20】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図5】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−120648(P2012−120648A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273035(P2010−273035)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(510322845)有限会社アルファ (2)
【Fターム(参考)】