説明

情報読み取り装置

【課題】被写体に含まれる特定の波長域の光を吸収する部位で表される情報を高精度に読み取り可能な情報読み取り装置を提供する。
【解決手段】第1の波長域の光で照明された印刷物40を撮像する撮像素子14からの撮像信号に基づいて、印刷物40に含まれる第1の波長域と同等又はそれよりも狭い第2の波長域の光を吸収する部位で表される情報を読み取る情報読み取り装置であって、撮像素子14が、印刷物40の同一位置からの光を受光して電気信号に変換する積層された2つの光電変換素子を含む画素部100を多数備え、2つの光電変換素子が、第2の波長域に感度を有する第1の光電変換素子と、第2の波長域を含み且つ第2の波長域よりも広い第3の波長域に感度を有する第2の光電変換素子であり、第1の光電変換素子から得られる第1の撮像信号と第2の光電変換素子から得られる第2の撮像信号とに基づいて前記情報を生成して出力する信号処理部30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の波長域の光で照明された被写体を撮像する撮像素子を有し、前記撮像素子からの撮像信号に基づいて、前記被写体に含まれる前記第1の波長域と同等又はそれよりも狭い第2の波長域の光を吸収する部位で表される情報を読み取る情報読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の印刷物や写真等に赤外光吸収インクでマークを印刷しておき、この印刷物や写真に赤外光を照明した状態で、この印刷物や写真を、赤外の波長域に感度のあるセンサを用いて撮影し、この撮影によって得られる撮像信号から、マークを読み取る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−217125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、照明光量の変動やばらつき、被写体の反射ムラ、しみ、汚れ等の影響で、マーカーを高精度に読み取ることが難しかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被写体に含まれる特定の波長域の光を吸収する部位で表される情報を高精度に読み取ることが可能な情報読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 第1の波長域の光で照明された被写体を撮像する撮像素子を有し、前記撮像素子からの撮像信号に基づいて、前記被写体に含まれる前記第1の波長域と同等又はそれよりも狭い第2の波長域の光を吸収する部位で表される情報を読み取る情報読み取り装置であって、前記撮像素子が、積層された2つの光電変換素子を含む画素部を多数備えたものからなり、前記2つの光電変換素子が、前記被写体の同一位置からの光を受光して各々電気信号に変換する積層型撮像素子であり、前記2つの光電変換素子が、前記第2の波長域に感度を有する第1の光電変換素子と、前記第2の波長域を含み且つ前記第2の波長域よりも広い第3の波長域に感度を有する第2の光電変換素子であり、前記第1の光電変換素子から得られる第1の撮像信号と、前記第2の光電変換素子から得られる第2の撮像信号とに基づいて前記情報を生成して出力する情報出力手段を備える情報読み取り装置。
【0007】
(2)(1)記載の情報読み取り装置であって、前記情報出力手段が、前記第1の光電変換素子から得られる第1の撮像信号に発生している輝度シェーディングを、前記第2の光電変換素子から得られる第2の撮像信号に基づいて補正する輝度シェーディング補正手段と、前記補正後の前記第1の撮像信号から前記情報を生成する情報生成手段とを備える情報読み取り装置。
【0008】
(3)(2)記載の情報読み取り装置であって、前記輝度シェーディング補正手段が、前記第1の撮像信号を前記第2の撮像信号で割った値を、前記補正後の前記第1の撮像信号とする情報読み取り装置。
【0009】
(4)(2)記載の情報読み取り装置であって、前記輝度シェーディング補正手段が、前記第1の撮像信号から前記第2の撮像信号を引いた値を、前記補正後の前記第1の撮像信号とする情報読み取り装置。
【0010】
(5)(2)〜(4)のいずれか1つ記載の情報読み取り装置であって、前記情報生成手段が、前記補正後の前記第1の撮像信号を所定値を基準として2値化した値に基づいて、前記情報を生成する情報読み取り装置。
【0011】
(6)(5)記載の情報読み取り装置であって、前記所定値が、前記補正後の前記第1の撮像信号の最大値と最小値の中間値、前記補正後の前記第1の撮像信号の平均値、又は前記補正後の前記第1の撮像信号のヒストグラムの中間値である情報読み取り装置。
【0012】
(7)(1)記載の情報読み取り装置であって、前記情報出力手段が、前記第1の撮像信号を、前記第2の撮像信号を基準として2値化した値に基づいて前記情報を生成する情報読み取り装置。
【0013】
(8)(1)〜(7)のいずれか1つ記載の情報読み取り装置であって、前記情報出力手段が、前記第2の撮像信号に含まれるノイズ成分を除去するノイズ除去手段を備え、前記情報出力手段が前記情報を生成するために用いる前記第2の撮像信号は、前記ノイズ除去手段によるノイズ成分除去後の第2の撮像信号である情報読み取り装置。
【0014】
(9)(1)〜(8)のいずれか1つ記載の情報読み取り装置であって、前記第1の光電変換素子が、半導体基板上方に積層された一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられた有機光電変換層とを備えて構成され、前記第2の光電変換素子が、前記半導体基板内に形成されたフォトダイオードである情報読み取り装置。
【0015】
(10)(9)記載の情報読み取り装置であって、前記第2の光電変換素子上方に設けられた前記第3の波長域の光のみを透過させる光学フィルタを備える情報読み取り装置。
【0016】
(11)(1)〜(8)のいずれか1つ記載の情報読み取り装置であって、前記第1の波長域が赤外域の特定の範囲である情報読み取り装置。
【0017】
(12)(9)又は(10)記載の情報読み取り装置であって、前記第1の波長域が赤外域の特定の範囲である情報読み取り装置。
【0018】
(13)(12)記載の情報読み取り装置であって、前記有機光電変換層が、フタロシアニン系化合物で構成される情報読み取り装置。
【0019】
(14)(1)〜(13)のいずれか1つ記載の情報読み取り装置であって、前記第3の波長域が赤外域である情報読み取り装置。
【0020】
(15)(1)〜(14)のいずれか1つ記載の情報読み取り装置であって、前記被写体を照明する光源がLEDである情報読み取り装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、被写体に含まれる特定の波長域の光を吸収する部位で表される情報を高精度に読み取ることが可能な情報読み取り装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態を説明するための情報読み取り装置の概略構成を示す図である。
図1に示す情報読み取り装置は、被写体である印刷物40を撮像する撮像部10と、撮像部10からの撮像信号のゲインを制御し、デジタル変換するゲイン制御・A/D変換部20と、ゲイン制御・A/D変換部20からの撮像信号を用いて所定の信号処理を行う信号処理部30とを備える。印刷物40には、第1の波長域である赤外域の特定の範囲(例えば、波長が約760nm〜約960nmの範囲)と同等又はそれよりも狭い第2の波長域(例えば、波長が約820nm〜約910nmの範囲)の光を吸収するインク等でドットパターン等のマークが印字されている。
【0024】
撮像部10は、第1の波長域の光を照射するLED等の光源11と、第2の波長域を含み且つ第2の波長域よりも広い第3の波長域である赤外域(例えば、波長が約740nm〜約1000nmの範囲)の光のみを透過させる赤外透過フィルタ12と、赤外透過フィルタ12の後方に配置された撮像レンズ等の光学系13と、光学系13の後方に配置された撮像素子14とを備える。
【0025】
図2は、図1に示す撮像素子14の平面模式図である。図3は、図2に示すX−X線の断面模式図である。
図2に示すように、撮像素子14は、行方向とこれに直交する列方向に配列された多数の画素部100を備える。画素部100は、印刷物40の同一位置からの光を受光して電気信号に変換する積層された2つの光電変換素子(第1の光電変換素子と第2の光電変換素子)を含む。
【0026】
図3に示すように、n型シリコン基板1上に形成されたpウェル層2の表面部にはn型不純物領域3(以下、n領域3という)が形成され、pウェル層2とn領域3とのpn接合によって第2の光電変換素子であるフォトダイオードが構成される。
【0027】
pウェル層2上にはゲート絶縁膜(図示せず)を介して酸化シリコン等の入射光に対して透明な絶縁膜5が形成されている。n領域3上方の絶縁膜5上には、画素部100毎に分離されたポリシリコン等からなる入射光に対して透明な画素電極6が形成され、画素電極6上には有機材料からなる光電変換層7が形成されている。光電変換層7上には全ての画素部100で共通の一枚構成のポリシリコン等からなる入射光に対して透明な対向電極8が形成され、対向電極8上には入射光に対して透明な絶縁膜等からなる保護膜9が形成されている。画素電極6と、対向電極8と、これらの電極に挟まれる光電変換層7とによって、第1の光電変換素子が構成される。
【0028】
pウェル層2内には、画素部100に対応して設けられ、画素部100に含まれる第1の光電変換素子と第2の光電変換素子の各々で発生した電荷に応じた信号を読み出す信号読み出し部4が形成されている。
【0029】
図4は、図3に示す信号読み出し部4の具体的な構成例を示す図である。
信号読み出し部4は、pウェル層2内に形成されたn型不純物領域によって構成され、光電変換層7で発生した電荷を蓄積する蓄積ダイオード44と、ドレインが蓄積ダイオード44に接続され、ソースが電源Vnに接続されたリセットトランジスタ43と、ゲートがリセットトランジスタ43のドレインに接続され、ソースが電源Vccに接続された出力トランジスタ42と、ソースが出力トランジスタ42のドレインに接続され、ドレインが信号出力線45に接続された行選択トランジスタ41と、ドレインがn領域3に接続され、ソースが電源Vnに接続されたリセットトランジスタ46と、ゲートがリセットトランジスタ46のドレインに接続され、ソースが電源Vccに接続された出力トランジスタ47と、ソースが出力トランジスタ47のドレインに接続され、ドレインが信号出力線49に接続された行選択トランジスタ48とを備える。
【0030】
蓄積ダイオード44は、絶縁層5内に埋め込まれたアルミニウム等からなるコンタクト部(図示せず)によって画素電極6と電気的に接続されている。
【0031】
画素電極6と対向電極8間にバイアス電圧を印加することで、光電変換層7に入射した光に応じて電荷が発生し、この電荷が画素電極6を介して蓄積ダイオード44へと移動する。蓄積ダイオード44に蓄積された電荷は、出力トランジスタ42でその電荷量に応じた信号に変換される。そして、行選択トランジスタ41をONにすることで信号出力線45に信号が出力される。信号出力後は、リセットトランジスタ43によって蓄積ダイオード44内の電荷がリセットされる。
【0032】
n領域3で発生してここに蓄積された電荷は、出力トランジスタ47でその電荷量に応じた信号に変換される。そして、行選択トランジスタ48をONにすることで信号出力線49に信号が出力される。信号出力後は、リセットトランジスタ46によってn領域3内の電荷がリセットされる。
【0033】
このように、信号読み出し部4は、3トランジスタからなる公知のMOS回路で構成することができる。
【0034】
図5は、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子の分光感度特性を示した図である。
第1の光電変換素子は、図5の細い実線で示したように、第2の波長域に感度を有するものであり、このような感度を実現するための光電変換層7の材料としては、ナフタロシアニンやフタロシアニン等のフタロシアニン系化合物が挙げられる。
【0035】
本発明の近赤外から赤外領域(700nm以上の吸収領域)の有機光電変換層に用いる有機化合物としてはいかなるものを用いても良いが、近赤外から赤外領域(700nm以上の吸収領域)に吸収を持つ有機色素(以下、赤外色素と称する)を好ましく用いることができる。
【0036】
本発明の、有機光電変換層は有機p型半導体(化合物)、又は有機n型半導体(化合物)を含有することが好ましく、これらはいかなるものでも良いが、これらの有機半導体として赤外色素を少なくとも一つ用いる場合、及び、無色又は近赤外から赤外領域(700nm以上の吸収領域)に吸収を持たない有機半導体を用い、これらに赤外色素を加える場合が好ましい。
【0037】
赤外色素としては、いかなるものを用いても良いが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、キノンイミン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ジケトピロロピロール色素、ジオキサン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、ジオキサジン色素、アンサンスロン色素、アズレニウム色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素、キサンテン色素、スレン色素、トルイジン色素、ピラゾリン色素が挙げられる。
【0038】
次に金属錯体化合物について説明する。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体であり、金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、または錫イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、または亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、または亜鉛イオンである。前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社山本明夫著1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
【0039】
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、芳香族へテロ環オキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環置換チオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、またはシロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、芳香族へテロ環オキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、またはシロキシ配位子が挙げられる。
【0040】
本発明に用いる赤外色素としては、上記で述べたいかなるものを用いても良く、複数の色素を用いても良い。また、これらの色素は顔料を用いても良い。
赤外色素が形成する膜は、アモルファス状態、液晶状態、及び結晶状態のいずれでも良い。結晶状態で用いる場合は、顔料を用いることが好ましい。
【0041】
本発明に用いる赤外色素として特に好ましくは一般式(I)で表されるフタロシアニン系化合物である。
【0042】
【化1】

【0043】
以下で一般式(I)について詳細に説明する。
一般式(I)においてMは水素原子、又は金属原子を表す。Mとして好ましくは金属原子であり、金属原子を表す場合は安定な錯体を形成するものであれば金属はいかなるものでも良く、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Cd、Hg、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Pd、Cd、Sn、Pt、Pb、Sr、VまたはMnなどを使用することができる。好ましくはMg、Ca、Co、Zn、Pd、VまたはCuが用いられ、より好ましくはCo、Pd、Zn、VまたはCuが用いられ、特に好ましくはCuまたはVが用いられる。なお、Mが水素原子である場合は、一般式(I)は下記であらわされる。
【0044】
【化2】

【0045】
以下に、一般式(I)で表される化合物に付与できる置換基について説明する。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、置換の有無にかかわらず、どのような置換基でも良い。
【0046】
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH)2)、ホスファト基(-OPO(OH)2)、スルファト基(-OSO3H)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
【0047】
更に詳しくは、Wは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)]、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)、複素環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスフォ基、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)、を表わす。
【0048】
また、2つのWが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
【0049】
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
【0050】
一般式(I)において、R1〜R16はそれぞれ独立して水素原子、又は置換基である。置換基としては、前述のWが挙げられる。
【0051】
一般に複数の置換基を有するフタロシアニン系化合物には置換基の結合している位置の異なる位置異性体が存在しうる。本発明の一般式(I)で表される化合物においても例外ではなく、場合によっては数種類の位置異性体が考えられる。本発明においてはフタロシアニン系化合物は単一の化合物として用いても良いが、位置異性体の混合物として用いることもできる。位置異性体の混合物として用いる場合には、混合している位置異性体の数、それぞれの位置異性体における置換基の置換位置、および位置異性体の混合比率はいかなるものでもよい。
【0052】
本発明において、一般式(I)で表される化合物が一般式(II)から選ばれる化合物である場合が好ましい。
【0053】
【化3】

【0054】
以下で、一般式(II)について説明する。
Mは一般式(I)と同義であり、同様のものが挙げられ同様のものが好ましい。R1、R、R、R、R、R12、R13、R16は一般式(I)と同義であり、同様の置換基が挙げられる。R1、R、R、R、R、R12、R13、R16として好ましくは水素原子、又はアルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子である。X1〜X16はそれぞれ独立して水素原子、又は置換基である。置換基としては、前述のWが挙げられる。X1〜X16として好ましくは水素原子である。
【0055】
以下に本発明で使用される赤外色素の具体例を示す。
ただし本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0056】
【化4】

【0057】
【化5】

【0058】
【化6】

【0059】
【化7】

【0060】
【化8】

【0061】
【化9】

【0062】
本発明で好ましく用いられるフタロシアニン系化合物のフタロシアニン環形成反応は、公知のいかなる合成法を用いても良いが、例えば、白井汪芳、小林長夫 編・著 「フタロシアニン−化学と機能−」アイピーシー社(1997年刊)の第1〜62頁、廣橋亮、坂本恵一、奥村映子 編 「機能性色素としてのフタロシアニン」アイピーシー社(2004年刊)の第29〜77頁に記載されている方法を用いることができる。フタロシアニン系化合物の代表的な合成方法としては、これらの文献に記載の、ワイラー法、フタロニトリル法、リチウム法、サブフタロシアニン法、及び塩素化フタロシアニン法が挙げられる。
【0063】
第2の光電変換素子は、図5の破線で示したように、第3の波長域に感度を有するものである。n領域3は、図5の1点鎖線で示したように、可視域から赤外域までに感度を有するように深さが決定されている。赤外透過フィルタ12は、図5の2点鎖線で示したように、第3の波長域の光のみを透過するものである。このような特性を持つn領域3と赤外透過フィルタ12とによって、第3の波長域に感度を有する第2の光電変換素子を実現している。尚、n領域3を、第3の波長域にのみ感度を有するように設計すれば、赤外透過フィルタ12を省略することも可能である。
【0064】
ゲイン制御・A/D変換部20は、第1の光電変換素子から得られた撮像信号の平均値と、第2の光電変換素子から得られた撮像信号の平均値とが、光源11からの照明光量が変動しても一定値となるようにゲイン設定を行う。
【0065】
本実施形態の情報読み取り装置は、後述する信号処理によって、印刷物40に印字されたマークで表される情報(例えば、印刷物40上における座標位置情報等)を高精度に読み取ることが可能である。
【0066】
図6は、被写体と光電変換素子の特性を説明するための図である。
図6(a),(b)に示すように、印刷物40のうちマークが印字されている部分では、光源11からの光が吸収されるため、分光反射率Rは0.1となり、印字のなされていない部分では、光源11からの光が反射されるため、分光反射率Rは0.9となる。又、図6(c),(d)に示すように、第1の光電変換素子は印字部分の吸収波長域と同じ第2の波長域に感度を有し、第2の光電変換素子は印字部分の吸収波長域を含み且つそれよりも広い範囲の第3の波長域に感度を有している。図6(a)〜(d)に示した各波形を、波長λを変数とする関数A(λ),B(λ),C(λ),D(λ)とすると、図7に示すように、第1の光電変換素子で印刷物40を撮像したときの、印字ありの部分と印字なしの部分とのコントラスト比は1:9となり、第2の光電変換素子で印刷物40を撮像したときの印字ありの部分と印字なしの部分とのコントラスト比は1:1.22となる。
【0067】
つまり、第1の光電変換素子から得られる撮像信号は、マークの有無による変化は大きいが、光源11からの光量ムラ、印刷物40における光の反射ムラ、及び印刷物40における光の吸収ムラ等の輝度シェーディングや、印刷物のしみや汚れに起因するノイズ及び第1の光電変換素子自身の持つノイズ等による変化は小さいことが分かる。
【0068】
一方、第2の光電変換素子から得られる撮像信号は、マークの有無による変化は小さいが、輝度シェーディングや、印刷物のしみや汚れに起因するノイズ及び第2の光電変換素子自身の持つノイズ等による変化は大きいことが分かる。
【0069】
このため、第1の光電変換素子から得られる撮像信号と、第2の光電変換素子から得られる撮像信号とを用いて、マークで表される情報を読み取ることで、輝度シェーディングやノイズ等の影響が少ない、高信頼性、高感度の撮像素子を実現することができる。情報読み取り装置では、信号処理部30が、第1の光電変換素子から得られる撮像信号と、第2の光電変換素子から得られる撮像信号とに基づいて、マークで表される情報を生成して出力することで、高精度での情報の読み取りを実現している。以下、このような信号処理について説明する。この信号処理には4つのパターンが存在し、いずれかのパターンを用いることができる。
【0070】
(第1の信号処理パターン)
図8は、第1の信号処理パターンを実現するためのゲイン制御・A/D変換部20と信号処理部30の内部ブロックを示す図である。
ゲイン制御・A/D変換部20は、第2の光電変換素子からの撮像信号のゲインを制御し、A/D変換するブロック20aと、第1の光電変換素子からの撮像信号のゲインを制御し、A/D変換するブロック20bとを含む。信号処理部30は、特許請求の範囲の情報出力手段として機能する。
【0071】
信号処理部30は、二次元ローパスフィルタ31と、除算部32と、二値化処理部33とを備える。二次元ローパスフィルタ31は、特許請求の範囲のノイズ除去手段として機能する。除算部32は、特許請求の範囲の輝度シェーディング補正手段として機能する。二値化処理部33は、特許請求の範囲の情報生成手段として機能する。
【0072】
二次元ローパスフィルタ31は、ブロック20aから出力された撮像信号に含まれる印刷物40上の傷やほこり等によるノイズ成分を除去する。第2の光電変換素子から得られる撮像信号は、輝度シェーディングやその他のノイズ成分による影響を大きく受けている信号であるため、この撮像信号からノイズ成分を除去した撮像信号は、輝度シェーディングに依存した撮像信号となる。
【0073】
除算部32は、ブロック20bから出力された撮像信号を、二次元ローパスフィルタ31によってノイズ成分を除去された撮像信号で割り算することで、第1の光電変換素子から得られた撮像信号に発生している輝度シェーディングを補正する。
【0074】
二値化処理部33は、除算部32で輝度シェーディングを補正された撮像信号を、所定値を基準として二値化し、この二値化データに対し、印刷物40を斜め方向から撮像した場合に生じる画像の幾何学的歪(キーストン歪)や、印刷物40が撮像系に対して回転した場合や距離が変化した場合に生じる画像回転倍率変化を補正する処理を行った後、補正後の二値化データに基づいて、印刷物40に印字されたマークによって表される情報を生成する。この所定値としては、例えば、除算部32から出力される撮像信号の最大値と最小値の中間値や、除算部32から出力される撮像信号の平均値や、除算部32から出力される撮像信号のヒストグラムの中間値等を用いれば良い。
【0075】
以上のように構成された情報読み取り装置では、印刷物40の撮像が行われると、第1の光電変換素子及び第2の光電変換素子の各々から撮像信号が出力される。出力された撮像信号はゲイン制御・A/D変換部20を経て信号処理部30に入力される。信号処理部30では、第2の光電変換素子からの撮像信号に含まれるノイズ成分が除去され、第1の光電変換素子からの撮像信号が、ノイズ成分を除去された第2の光電変換素子からの撮像信号によって割り算されて、輝度シェーディングが補正される。輝度シェーディングが補正された撮像信号は二値化処理された後、情報が復元される。
【0076】
このような構成によれば、輝度シェーディングとノイズの影響を排除した状態で情報を復元することができるため、情報の読み取りを高精度に行うことができる。
【0077】
尚、図8では、ノイズ成分を除去するために2次元ローパスフィルタ31を設けているが、これは省略しても構わない。この場合は、ブロック20aから出力される撮像信号が除算部32に直接入力される構成とし、除算部32において、ブロック20bから出力された撮像信号をブロック20aから出力された撮像信号で割り算する処理を行って、輝度シェーディングを補正すれば良い。このようにした場合、ブロック20aから出力される撮像信号にはノイズ成分が含まれているため、2次元ローパスフィルタ31を設ける場合に比べると、情報の読み取り精度は落ちるが、それでも従来よりは高精度に情報を読み取ることができる。
【0078】
(第2の信号処理パターン)
図9は、第2の信号処理パターンを実現するためのゲイン制御・A/D変換部20と信号処理部30の内部ブロックを示す図である。図9において図8と同様の構成には同一符号を付してある。図9に示す構成は、図8に示した除算部32を減算部34に変更したものである。減算部34は、特許請求の範囲の輝度シェーディング補正手段として機能する。
【0079】
減算部34は、ブロック20bから出力された撮像信号から、二次元ローパスフィルタ31によってノイズ成分を除去された撮像信号を引き算することで、第1の光電変換素子から得られた撮像信号に発生している輝度シェーディングを補正する。
【0080】
このような構成の情報読み取り装置においては、まず、マークが印字されていない印刷物40を撮像部10によって撮像し、第1の光電変換素子から得られる撮像信号と第2の光電変換素子から得られる撮像信号との差がほぼゼロとなるように、ブロック20a,20bのゲインを設定しておく。この状態から、印刷物40の撮像が行われると、第1の光電変換素子及び第2の光電変換素子の各々から撮像信号が出力される。出力された撮像信号はゲイン制御・A/D変換部20を経て信号処理部30に入力される。信号処理部30では、第2の光電変換素子からの撮像信号に含まれるノイズ成分が除去され、第1の光電変換素子からの撮像信号から、ノイズ成分を除去された第2の光電変換素子からの撮像信号が引き算されて、輝度シェーディングが補正される。輝度シェーディングが補正された撮像信号は二値化処理されて、情報が復元される。
【0081】
このような構成によれば、輝度シェーディングとノイズの影響を排除した状態で情報を復元することができるため、情報の読み取りを高精度に行うことができる。又、除算部32の代わりに減算部34を用いているため、第1の信号処理パターンに比べて回路構成が簡単になるというメリットがある。
【0082】
尚、図9においても、2次元ローパスフィルタ31は省略することが可能である。又、二値化処理部33が用いる所定値としては、例えば、減算部34から出力される撮像信号の最大値と最小値の中間値や、減算部34から出力される撮像信号の平均値や、減算部34から出力される撮像信号のヒストグラムの中間値等を用いれば良い。
【0083】
(第3の信号処理パターン)
図10は、第3の信号処理パターンを実現するためのゲイン制御・A/D変換部20と信号処理部30の内部ブロックを示す図である。図10において図8と同様の構成には同一符号を付してある。図10に示す構成は、図8に示した除算部32を削除し、二次元ローパスフィルタ31から出力された撮像信号と、ブロック20bから出力された撮像信号とが二値化処理部33に直接入力されるようにしたものである。
【0084】
二値化処理部33は、ブロック20bから出力された撮像信号を、所定値を基準にして二値化し、この二値化データに対し、幾何学的歪(キーストン歪)や画像回転倍率変化を補正する処理を行った後、補正後の二値化データに基づいて、印刷物40に印字されたマークによって表される情報を生成する。この点では第1の信号処理パターンにおける二値化処理部33と機能は同じであるが、第3の信号処理パターンでは、二値化処理部33が用いる所定値を、二次元ローパスフィルタ31から出力された撮像信号とした点が特徴となっている。例えば、上記所定値として、二次元ローパスフィルタ31から出力された撮像信号から一定値を減じた値や、二次元ローパスフィルタ31から出力された撮像信号に一定係数を掛けた値を用いることができる。
【0085】
このような構成の情報読み取り装置では、印刷物40の撮像が行われると、第1の光電変換素子及び第2の光電変換素子の各々から撮像信号が出力される。出力された撮像信号はゲイン制御・A/D変換部20を経て信号処理部30に入力される。信号処理部30では、第2の光電変換素子からの撮像信号に含まれるノイズ成分が除去され、第1の光電変換素子からの撮像信号が、ノイズ成分を除去された第2の光電変換素子からの撮像信号を基準にして二値化されて、情報が復元される。
【0086】
このような構成によれば、二値化処理と同時に輝度シェーディングの影響を排除することができ、輝度シェーディングとノイズの影響を排除した状態で情報を復元することができるため、情報の読み取りを高精度に行うことができる。又、除算部32も減算部34も設けていないため、第1の信号処理パターンや第2の信号処理パターンに比べて回路構成が簡単になるというメリットがある。
【0087】
尚、図10においても、2次元ローパスフィルタ31を省略することが可能である。
【0088】
(第4の信号処理パターン)
図11は、第4の信号処理パターンを実現するためのゲイン制御・A/D変換部20と信号処理部30の内部ブロックを示す図である。図11において図8と同じ構成には同一符号を付してある。図11に示す構成は、図8に示したブロック20aを削除し、ブロック20bから出力された撮像信号を二次元ローパスフィルタ31の入力としたものである。
図11の二次元ローパスフィルタ31は、ブロック20bから出力された撮像信号に含まれるノイズを除去する。図11の除算部32は、ブロック20bから出力された撮像信号を、二次元ローパスフィルタ31から出力された撮像信号で割り算することで、ブロック20bから出力された撮像信号に発生している輝度シェーディングを補正する。
【0089】
このように、第2の光電変換素子からの撮像信号を用いなくとも、輝度シェーディング及びノイズの影響を排除して、情報を高精度に読み取ることが可能である。
【0090】
尚、本実施形態では、第2の波長域を赤外域の特定の範囲(波長が約820nm〜約910nmの範囲)とし、第3の波長域を赤外域(波長が約740nm〜約1000nmの範囲)としたが、これに限らない。第2の波長域と第3の波長域は、第3の波長域が第2の波長域を含み且つ第2の波長域よりも広いという条件を満たしていれば効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態を説明するための情報読み取り装置の概略構成を示す図
【図2】図1に示す撮像素子の平面模式図
【図3】図2に示すX−X線の断面模式図
【図4】図3に示す信号読み出し部の具体的な構成例を示す図
【図5】第1の光電変換素子と第2の光電変換素子の分光感度特性を示した図
【図6】被写体と光電変換素子の特性を説明するための図
【図7】第1の光電変換素子から得られる撮像信号と第2の光電変換素子から得られる撮像信号とのコントラスト比を説明するための図
【図8】第1の信号処理パターンを実現するためのゲイン制御・A/D変換部と信号処理部の内部ブロックを示す図
【図9】第2の信号処理パターンを実現するためのゲイン制御・A/D変換部と信号処理部の内部ブロックを示す図
【図10】第3の信号処理パターンを実現するためのゲイン制御・A/D変換部と信号処理部の内部ブロックを示す図
【図11】第4の信号処理パターンを実現するためのゲイン制御・A/D変換部と信号処理部の内部ブロックを示す図
【符号の説明】
【0092】
10 撮像部
11 光源
12 赤外透過フィルタ
13 光学系
14 撮像素子
20 ゲイン制御・A/D変換部
30 信号処理部
40 印刷物
100 画素部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長域の光で照明された被写体を撮像する撮像素子を有し、前記撮像素子からの撮像信号に基づいて、前記被写体に含まれる前記第1の波長域と同等又はそれよりも狭い第2の波長域の光を吸収する部位で表される情報を読み取る情報読み取り装置であって、
前記撮像素子が、積層された2つの光電変換素子を含む画素部を多数備えたものからなり、前記2つの光電変換素子が、前記被写体の同一位置からの光を受光して各々電気信号に変換する積層型撮像素子であり、
前記2つの光電変換素子が、前記第2の波長域に感度を有する第1の光電変換素子と、前記第2の波長域を含み且つ前記第2の波長域よりも広い第3の波長域に感度を有する第2の光電変換素子であり、
前記第1の光電変換素子から得られる第1の撮像信号と、前記第2の光電変換素子から得られる第2の撮像信号とに基づいて前記情報を生成して出力する情報出力手段を備える情報読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報読み取り装置であって、
前記情報出力手段が、前記第1の光電変換素子から得られる第1の撮像信号に発生している輝度シェーディングを、前記第2の光電変換素子から得られる第2の撮像信号に基づいて補正する輝度シェーディング補正手段と、前記補正後の前記第1の撮像信号から前記情報を生成する情報生成手段とを備える情報読み取り装置。
【請求項3】
請求項2記載の情報読み取り装置であって、
前記輝度シェーディング補正手段が、前記第1の撮像信号を前記第2の撮像信号で割った値を、前記補正後の前記第1の撮像信号とする情報読み取り装置。
【請求項4】
請求項2記載の情報読み取り装置であって、
前記輝度シェーディング補正手段が、前記第1の撮像信号から前記第2の撮像信号を引いた値を、前記補正後の前記第1の撮像信号とする情報読み取り装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項記載の情報読み取り装置であって、
前記情報生成手段が、前記補正後の前記第1の撮像信号を所定値を基準として2値化した値に基づいて、前記情報を生成する情報読み取り装置。
【請求項6】
請求項5記載の情報読み取り装置であって、
前記所定値が、前記補正後の前記第1の撮像信号の最大値と最小値の中間値、前記補正後の前記第1の撮像信号の平均値、又は前記補正後の前記第1の撮像信号のヒストグラムの中間値である情報読み取り装置。
【請求項7】
請求項1記載の情報読み取り装置であって、
前記情報出力手段が、前記第1の撮像信号を、前記第2の撮像信号を基準として2値化した値に基づいて前記情報を生成する情報読み取り装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の情報読み取り装置であって、
前記情報出力手段が、前記第2の撮像信号に含まれるノイズ成分を除去するノイズ除去手段を備え、
前記情報出力手段が前記情報を生成するために用いる前記第2の撮像信号は、前記ノイズ除去手段によるノイズ成分除去後の第2の撮像信号である情報読み取り装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の情報読み取り装置であって、
前記第1の光電変換素子が、半導体基板上方に積層された一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられた有機光電変換層とを備えて構成され、
前記第2の光電変換素子が、前記半導体基板内に形成されたフォトダイオードである情報読み取り装置。
【請求項10】
請求項9記載の情報読み取り装置であって、
前記第2の光電変換素子上方に設けられた前記第3の波長域の光のみを透過させる光学フィルタを備える情報読み取り装置。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項記載の情報読み取り装置であって、
前記第1の波長域が赤外域の特定の範囲である情報読み取り装置。
【請求項12】
請求項9又は10記載の情報読み取り装置であって、
前記第1の波長域が赤外域の特定の範囲である情報読み取り装置。
【請求項13】
請求項12記載の情報読み取り装置であって、
前記有機光電変換層が、フタロシアニン系化合物で構成される情報読み取り装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項記載の情報読み取り装置であって、
前記第3の波長域が赤外域である情報読み取り装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載の情報読み取り装置であって、
前記被写体を照明する光源がLEDである情報読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−336362(P2007−336362A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167599(P2006−167599)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】