説明

接着剤組成物、回路接続構造体、半導体装置及び太陽電池モジュール

【課題】
仮固定時間が短くても十分な支持力(仮固定力)を得ることが可能であり、且つ、本接続後の接着強度に優れる、接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】
アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、ウレタンアクリレートと、ラジカル重合開始剤と、を含有する、接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物、回路接続構造体、半導体装置及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、液晶表示素子等において、素子中の種々の部材を結合させる目的で従来から種々の接着剤組成物が使用されている。接着剤組成物に要求される特性は、接着性をはじめとして、耐熱性、高温高湿状態における信頼性等、多岐に渡る。
【0003】
また、接着に使用される被着体には、プリント配線板、ポリイミド等の有機基材をはじめ、銅、アルミニウム等の金属や、ITO、IZO、SiN、SiO等の多種多様な表面状態を有する基材が用いられる。そのため、接着剤組成物は、各被着体にあわせた分子設計が必要である場合がある。
【0004】
従来から、半導体素子や液晶表示素子用の接着剤組成物としては、高接着性でかつ高信頼性を示すエポキシ樹脂を用いたものが知られている(特許文献1参照)。このような接着剤組成物の構成成分としては、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と反応性を有する硬化剤、及び、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進する熱潜在性触媒が一般に用いられている。熱潜在性触媒は、硬化温度及び硬化速度を決定する重要な因子となっており、室温での貯蔵安定性と加熱時の硬化速度の観点から、種々の化合物が用いられてきた。
【0005】
エポキシ樹脂を用いた接着剤組成物では、実際の工程において、170〜250℃の温度で1〜3時間硬化することにより、所望の接着を得ていた。しかしながら、最近の半導体素子の高集積化、液晶素子の高精細化に伴い、素子間及び配線間ピッチが狭小化し、硬化時の加熱によって、周辺部材に悪影響を及ぼすおそれが出てきた。さらに、低コスト化のためには、スループットを向上させる必要性があり、より低温でかつ短時間での硬化、換言すれば低温速硬化での接着が要求されている。
【0006】
しかしながら、この低温速硬化を達成するためには、活性化エネルギーの低い熱潜在性触媒を使用する必要があり、室温付近での貯蔵安定性を兼備することが非常に難しい。
【0007】
そこで最近、アクリレート誘導体やメタアクリレート誘導体(以下、「(メタ)アクリレート誘導体」と総称する。)とラジカル重合開始剤である過酸化物とを併用した、ラジカル硬化型接着剤が注目されている。ラジカル硬化型接着剤は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため、エポキシ樹脂を用いた接着剤と比較して、短時間での硬化が可能である(特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1−113480号公報
【特許文献2】国際公開第98/44067号パンフレット
【特許文献3】国際公開第01/015505号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のラジカル硬化型接着剤では、接着強度が必ずしも十分ではないという問題があった。
【0010】
また、半導体素子や液晶表示素子等の部材の接着においては、通常、被着体の位置あわせ及び仮固定工程を経て、本接続が行われる。近年、スループット向上を目的とした実装時の各工程の短時間化が進んでおり、本接続前の被着体の位置あわせ及び仮固定工程が、1秒以下という場合が考えられている。しかしながら、従来のラジカル硬化型接着剤では、このような短時間の仮固定では、被着体を十分に支持することができず、位置ずれが生じてしまうという問題があった。
【0011】
例えば、特許文献3には、ラジカル重合性化合物としてウレタンアクリレートを選択することで接着性に優れるようになる旨の記載があるものの、このようなラジカル硬化型接着剤は、上述のような短時間の仮固定では、十分な支持力(仮固定力)を得ることが困難であった。
【0012】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、仮固定時間が短くても十分な支持力(仮固定力)を得ることが可能であり、且つ、本接続後の接着強度に優れる、接着剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該接着剤組成物を用いて接着された被着体を備える、回路接続構造体、半導体装置及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明は、アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートと、ラジカル重合開始剤と、を含有する、接着剤組成物を提供する。
【0014】
本発明に係る接着剤組成物は、上記構成の採用により、仮固定時間が短くとも十分な仮固定力を得ることが可能であり、且つ、本接続後の接着強度に優れる。そのため、本発明に係る接着剤組成物によれば、短時間で被着体の位置あわせ及び仮固定を行うことができる。そして、本発明に係る接着剤組成物を用いることにより、半導体素子や液晶表示素子等の製造工程において、スループットの向上を図ることができるようになる。
【0015】
また、本発明に係る接着剤組成物は、本接続時の低温速硬化が可能なラジカル硬化型接着剤であるため、エポキシ樹脂を用いた接着剤と比較して、本接続工程にかかる作業時間を短縮することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る接着剤組成物が本接続後の接着強度に優れるものであるため、本発明に係る接着剤組成物により接着された構造体は、優れた接続信頼性を有するものとなる。
【0017】
本発明に係る接着剤組成物において、上記アクリルゴムのガラス転移温度は、−30〜20℃の範囲であることが好ましい。このような接着剤組成物は、仮固定力に一層優れるとともに、接続信頼性に一層優れるようになる。
【0018】
本発明に係る接着剤組成物は、導電性粒子をさらに含有することが好ましい。導電性粒子をさらに含有することにより、接着剤組成物は、導電性又は異方導電性が付与される。そのため、このような接着剤組成物は、回路電極を有する回路部材同士の接続用途等により好適に使用することができ、接続した回路電極間の接続抵抗を十分に低減することができる。
【0019】
本発明において、上記アクリルゴムは、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート及び極性基含有(メタ)アクリレートを単量体単位として有していてもよい。
【0020】
また、上記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、5000〜30000であることが好ましい。
【0021】
また、上記アクリルゴムの含有量は、上記アクリルゴム、上記ウレタン(メタ)アクリレート及び上記ラジカル重合開始剤の総量基準で、1.5〜30質量%とすることができる。
【0022】
また、上記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、上記アクリルゴム、上記ウレタン(メタ)アクリレート及び上記ラジカル重合開始剤の総量基準で、5〜80質量%とすることができる。
【0023】
また、上記ラジカル重合開始剤の含有量は、上記アクリルゴム、上記ウレタン(メタ)アクリレート及び上記ラジカル重合開始剤の総量基準で、0.1〜30質量%とすることができる。
【0024】
本発明はまた、上記接着剤組成物をフィルム状に成形してなる、フィルム状回路接続材料を提供する。
【0025】
本発明はまた、対向配置された一対の回路部材と、上記一対の回路部材の間に設けられ、上記一対の回路部材がそれぞれ有する回路電極同士が電気的に接続されるように回路部材同士を接着する接続部材と、を備え、上記接続部材が、上記本発明に係る接着剤組成物の硬化物を含有する、回路接続構造体を提供する。
【0026】
本発明に係る回路接続構造体は、一対の回路部同士を接着する接続部材が上記本発明に係る接着剤組成物の硬化物を含有しているため、高温高湿環境下に長期間おかれた場合であっても優れた接続信頼性が得られ、且つ、接続部材と被着体(回路部材)との界面におけるはく離の発生を、十分に抑制することができる。
【0027】
本発明はまた、第一の回路電極を有する第一の回路部材と第二の回路電極を有する第二の回路部材との間に、上記接着剤組成物を介在させ、上記第一の回路電極と上記第二の回路電極とが対向するように上記第一の回路部材と上記第二の回路部材とを仮固定する仮固定工程と、仮固定された上記第一の回路部材及び上記第二の回路部材を加熱加圧して、上記接着剤組成物を硬化させるとともに、上記第一の回路電極と上記第二の回路電極とを電気的に接続させる接続工程と、を備える、回路接続構造体の製造方法を提供する。
【0028】
本発明はまた、半導体素子と、上記半導体素子を搭載する基板と、上記半導体素子及び上記基板の間に設けられ、上記半導体素子及び上記基板が電気的に接続されるように上記半導体素子及び上記基板を接着する接続部材と、を備え、上記接続部材が、上記本発明に係る接着剤組成物の硬化物を含有する、半導体装置を提供する。
【0029】
本発明に係る半導体装置は、半導体と基板とを接着する接続部材が上記本発明に係る接着剤組成物の硬化物を含有しているため、高温高湿環境下に長期間おかれた場合であっても優れた接続信頼性が得られ、且つ、接続部材と被着体(半導体素子、基板)との界面におけるはく離の発生を、十分に抑制することができる。
【0030】
本発明はまた、半導体素子と基板との間に、上記接着剤組成物を介在させ、上記基板上に上記半導体素子を仮固定する仮固定工程と、上記半導体素子及び上記基板を加熱加圧して、上記回路接続材料を硬化させるとともに、上記半導体素子と上記基板とを電気的に接続させる接続工程と、を備える、半導体装置の製造方法を提供する。
【0031】
本発明はまた、電極を有する太陽電池セルと、配線部材と、上記電極と上記配線部材が電気的に接続されるように上記太陽電池セルと上記配線部材を接着する接続部材と、を備え、上記接続部材が、上記本発明に係る接着剤組成物の硬化物を含有する、太陽電池モジュールを提供する。
【0032】
本発明に係る太陽電池モジュールは、太陽電池セルと配線部材とを接着する接続部材が上記本発明に係る接着剤組成物の硬化物を含有しているため、高温高湿環境下に長期間おかれた場合であっても優れた接続信頼性が得られ、且つ、接続部材と被着体(太陽電池セル、配線部材)との界面におけるはく離の発生を、十分に抑制することができる。
【0033】
本発明はまた、電極を有する太陽電池セルと配線部材との間に、上記本発明に係る接着剤組成物を介在させ、上記太陽電池セル上に上記配線部材を仮固定する仮固定工程と、上記太陽電池セル及び上記配線部材を加熱加圧して、上記接着剤組成物を硬化させるとともに、上記太陽電池セルと上記配線部材とを電気的に接続させる接続工程と、を備える、太陽電池モジュールの製造方法を提供する。
【0034】
本発明はまた、アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、ウレタン(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、を含有する組成物の接着剤としての使用に関する。
【0035】
本発明はまた、アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、ウレタン(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、を含有する組成物の使用であって、一対の回路部材がそれぞれ有する回路電極同士が電気的に接続されるように、上記回路部材同士を接着するための回路接続材料としての使用に関する。
【0036】
本発明はさらに、アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、ウレタン(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、を含有する組成物の使用であって、半導体素子と基板とを電気的に接続するための回路接続材料としての使用に関する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、仮固定時間が短くても十分な支持力(仮固定力)を得ることが可能であり、且つ、本接続後の接着強度に優れる、接着剤組成物を提供することができる。また、本発明によれば、当該接着剤組成物を用いて接着された被着体を備える、回路接続構造体、半導体装置及び太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の接着剤組成物からなるフィルム状接着剤の一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の回路接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。
【図3】回路部材を接続する一連の工程図である。
【図4】本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。
【図5】本発明の太陽電池モジュールの一実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
なお、以下の説明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタアクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基を意味する。すなわち、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタアクリレートを意味する。
【0041】
また、本明細書中、重量平均分子量とは、下記表1に示す条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
【0042】
【表1】

【0043】
(接着剤組成物)
本実施形態に係る接着剤組成物は、アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴム(以下、場合により「(a)成分」と称する。)と、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレート(以下、場合により「(b)成分」と称する。)と、ラジカル重合開始剤(以下、場合により「(c)成分」と称する。)と、を含有する。
【0044】
本実施形態に係る接着剤組成物は、仮固定時間が短くとも十分な仮固定力を得ることが可能であり、且つ、本接続後の接着強度に優れる。そのため、本実施形態に係る接着剤組成物によれば、短時間で被着体の位置あわせ及び仮固定を行うことができる。そして、本実施形態に係る接着剤組成物を用いることにより、半導体素子や液晶表示素子等の製造工程において、スループットの向上を図ることができるようになる。
【0045】
また、本実施形態に係る接着剤組成物は、本接続時の低温速硬化が可能なラジカル硬化型接着剤であるため、エポキシ樹脂を用いた接着剤と比較して、本接続工程にかかる作業時間を短縮することができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係る接着剤組成物が本接続後の接着強度に優れるものであるため、本実施形態に係る接着剤組成物により接着された構造体は、優れた接続信頼性を有するものとなる。
【0047】
以下、本実施形態に係る接着剤組成物を構成する各成分について詳述する。
【0048】
((a)成分:アクリルゴム)
本実施形態に係る接着剤組成物は、アクリルゴムを含有する。そして、当該アクリルゴムは、アクリロニトリル由来の構造単位を、アクリルゴムの総量基準で5質量%以上、好ましくは8質量%以上、有する。アクリルゴムにおけるアクリロニトリル由来の構造単位の含有量が上記より少ないと、接着力が低くなる傾向がある。
【0049】
また、アクリルゴムは、アクリロニトリル由来の構造単位の含有量が、アクリルゴムの総量基準で18質量%以下、好ましくは16質量%以下、である。アクリルゴムにおけるアクリロニトリル由来の構造単位の含有量が上記より多いと、(b)成分との相溶性が悪くなり、生産性に劣る傾向がある。
【0050】
なお、アクリロニトリル由来の構造単位の含有量は、アクリルゴム合成時の仕込み量から容易に計算可能であるが、合成されたアクリルゴムから計算する場合には、例えば、IR、NMR、GC−MS、元素分析等によってアクリルゴム中のニトリル当量を定量することで計算することができる。
【0051】
アクリルゴムは、例えば、アクリロニトリルと、アクリロニトリル以外のラジカル重合性モノマーと、を重合することにより得ることができる。アクリロニトリル以外のラジカル重合性モノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の極性基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;1,4−ブタジエン等のジエン類;等が挙げられる。これらのラジカル重合性モノマーは、単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
【0052】
アクリロニトリルとアクリロニトリル以外のラジカル重合性モノマーとの重合方法は、特に制限はなく、通常の懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合、高圧ラジカル重合等の重合方法を採用することができる。
【0053】
アクリルゴムは、上記のラジカル重合性モノマーのうち、アルキル(メタ)アクリレート及び極性基含有(メタ)アクリレートを単量体単位として有することが好ましい。
【0054】
アクリルゴムにおける、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位の含有量は、77質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位の含有量を上記のようにすることで、より良好な仮固定力が得られるという効果が奏される。
【0055】
また、アクリルゴムにおける、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位の含有量は、94質量%以下であることが好ましく、92質量%以下であることがより好ましい。アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位の含有量を上記のようにすることで、本接続後により良好な接着力が得られるという効果が奏される。
【0056】
アクリルゴムにおける、極性基含有アクリレート由来の構造単位の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。二官能性アクリレート由来の構造単位の含有量を上記のようにすることで、本接続後により良好な接着力が得られるという効果が奏される。
【0057】
また、アクリルゴムにおける、極性基含有アクリレート由来の構造単位の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。二官能性アクリレート由来の構造単位の含有量を上記のようにすることで、他の接着剤組成物との十分な相溶性が得られるという効果が奏される。
【0058】
アクリルゴムのガラス転移温度は、−30〜20℃の範囲であることが好ましく、−25〜15℃の範囲であることがより好ましい。アクリルゴムのガラス転移温度が−30℃未満では、接着剤組成物の硬化物が耐熱性に劣る傾向がある。また、アクリルゴムのガラス転移温度が20℃以下では、より短時間での被着体の位置合わせが可能になるとともに、仮固定時により高い仮固定力が得られる傾向がある。
【0059】
アクリルゴムの重量平均分子量は、100000〜1500000の範囲であることが好ましく、250000〜1000000の範囲であることがより好ましい。アクリルゴムの重量平均分子量が100000未満では、接着剤組成物の硬化物が耐熱性に劣る傾向がある。また、アクリルゴムの重量平均分子量が1500000より大きいと、他の樹脂(特に(b)成分)との相溶性が悪くなったり、流動性が低くなったりする傾向がある。
【0060】
本実施形態に係る接着剤組成物におけるアクリルゴム((a)成分)の含有量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総量基準で、1.5〜30質量%であることが好ましく、2.5〜20質量%であることがより好ましい。アクリルゴムの含有量が1.5質量%以上では、より短時間での被着体の位置合わせが可能になるとともに、仮固定時により高い仮固定力が得られる傾向がある。また、アクリルゴムの含有量が30質量%より多いと、他の樹脂(特に(b)成分)との相溶性が悪くなる傾向がある。
【0061】
((b)成分:ウレタン(メタ)アクリレート)
本実施形態に係る接着剤組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する。ここで、ウレタン(メタ)アクリレートとは、分子内に少なくとも1個のウレタン基と、少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基と、を有する化合物である。
【0062】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ジオール化合物と、ジイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物との反応生成物が挙げられる。
【0063】
上記ジオール化合物としては、ポリエチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリカプロラクトンポリオール、ポリヘキサメチレンカーボネート、シリコーンポリオール、アクリルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
上記ジイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トリエチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0066】
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、5000〜30000の範囲であることが好ましく、8000〜20000の範囲であることがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が5000以上であると本接続後の接着力に一層優れる傾向があり、30000以下であると流動性がより向上する傾向がある。
【0067】
本実施形態に係る接着剤組成物におけるウレタン(メタ)アクリレート((b)成分)の含有量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総量基準で、5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が5質量%以上では、より高い接着力が得られる傾向がある。また、ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が80質量%より多いと、接着剤組成物をフィルム状として用いる際に、フィルム形成性が悪くなる傾向がある。
【0068】
((c)成分:ラジカル重合開始剤)
本実施形態に係る接着剤組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する。ここで、ラジカル重合開始剤とは、加熱及び/又は光照射により分解して遊離ラジカルを発生し得る化合物である。
【0069】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、従来から知られている過酸化物やアゾ化合物を用いることができる。これらのラジカル重合開始剤は、加熱により分解して遊離ラジカルを発生し得る化合物である。
【0070】
ラジカル重合開始剤の1分間半減期温度は、80〜200℃の範囲であることが好ましく、90〜175℃の範囲であることが好ましい。ラジカル重合開始剤の1分間半減期温度が上記範囲内であると、接着剤組成物の保存安定性が良好になり、且つ十分な反応性(硬化性)を有するものとなる。なお、ここで「1分間半減期温度」とは、半減期が1分となる温度をいう。また、「半減期」とは、化合物の濃度が初期値の半分に減少するまでの時間をいう。
【0071】
また、ラジカル重合開始剤としては、分子量が180〜1000の範囲である過酸化物が好ましく、分子量が200〜500の範囲である過酸化物がより好ましい。このようなラジカル重合開始剤は、(a)成分及び(b)成分との相溶性に優れるため、安定性及び反応性に優れるほか、揮発性が低いため取扱い性が容易である。
【0072】
ラジカル重合開始剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類;ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、等のパーオキシジカーボネート類;ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3−メチルベンゾイルパーオキサイド、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ系重合開始剤;等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いる他に、2種以上の化合物を混合して用いてもよい。
【0073】
また、ラジカル重合開始剤としては、波長150〜750nmの光の照射によりラジカルを発生し得る化合物を用いることもできる。このような化合物としては、例えば、Photoinitiation,Photopolymerization,and Photocuring,J.−P. Fouassier,Hanser Publishers(1995年)、p17〜p35に記載されているα−アセトアミノフェノン誘導体やホスフィンオキサイド誘導体が光照射に対する感度が高いため好ましい。これらの化合物は、1種を単独で用いる他に、2種以上の化合物を混合して用いてもよい。また、上記過酸化物やアゾ化合物と混合して用いてもよい。
【0074】
ラジカル重合開始剤中の塩素イオンの含有量は、5000ppm以下であることが好ましい。このようなラジカル重合開始剤を含有する接着剤組成物は、回路部材の接続端子の腐食を一層抑制することができるため、回路部材接続用の接着剤組成物として好適である。
【0075】
また、ラジカル重合開始剤中の有機酸の含有量は、5000ppm以下であることが好ましい。このようなラジカル重合開始剤を含有する接着剤組成物は、回路部材の接続端子の腐食を一層抑制することができるため、回路部材接続用の接着剤組成物として好適である。
【0076】
また、ラジカル重合開始剤としては、室温(25℃)、常圧下で24時間の開放放置後に20質量%以上の質量保持率を有するラジカル重合開始剤が好ましい。このようなラジカル重合開始剤を含有する接着剤組成物は、貯蔵安定性に一層優れる。
【0077】
本実施形態に係る接着剤組成物におけるラジカル重合開始剤((c)成分)の含有量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総量基準で、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量が0.1質量%以上では、より高い反応率及びより高い接着力が得られる傾向がある。また、ラジカル重合開始剤の含有量が30質量%より多いと、ポットライフが短くなる傾向がある。すなわち、ラジカル重合開始剤を上記範囲とすることで、高い反応率及び接着力と、長いポットライフとを両立することができるようになる。
【0078】
((d)成分:導電性粒子)
本実施形態に係る接着剤組成物は、さらに導電性粒子(以下、場合により「(d)成分」と称する。)を含有していてもよい。導電性粒子を含有する接着剤組成物は、異方導電性接着剤組成物として好適に用いることができる。
【0079】
導電性粒子としては、Au、Ag、Pd、Ni、Cu、はんだ等を含有する金属粒子;カーボン粒子;ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電性材料からなる核体に、金属、金属粒子、カーボン等の導電性材料を被覆した複合粒子;等が挙げられる。導電性粒子は、例えば、銅からなる金属粒子に銀を被覆した粒子であってもよい。また、導電性粒子として、特開2005−116291号公報に記載されるような、微細な金属粒子が多数、鎖状に繋がった形状を有する金属粉末を用いることもできる。
【0080】
導電性粒子としては、プラスチックからなる核体に導電性材料を被覆してなる複合粒子、又は、金属粒子(例えば、ニッケル、銅、銀等を含有する金属粒子)が好ましい。これらの導電性粒子は、加熱加圧によって変形する変形性を有するので、回路部材同士を接着する際に、該回路部材が有する回路電極と導電性粒子との接触面積を増加させることができる。そのため、これらの導電性粒子を含有する接着剤組成物によれば、接続信頼性に一層優れる回路接続構造体が得られる。また、導電性粒子としては、上記導電性粒子の表面を絶縁性粒子により被覆したものや、ハイブリダイゼーション等の方法により上記導電性粒子の表面に絶縁性物質からなる絶縁層が設けられたものを用いることもできる。このような導電性粒子を用いることで、隣接する導電性粒子同士の接触による短絡が生じにくくなる。
【0081】
本実施形態に係る接着剤組成物における導電性粒子((d)成分)の含有量は、接着剤組成物中の固形分の総体積を基準として、0.1〜30体積%とすることが好ましく、0.1〜10体積%とすることがより好ましい。導電性粒子の含有量が0.1体積%未満であると、導電性が劣る傾向があり、30体積%を超えると回路電極間の短絡が生じやすくなる傾向がある。上記固形分の総体積は、例えば、23℃での硬化前の接着剤組成物の各成分の体積の和で決定される。各成分の体積は、例えば、比重を利用して質量を体積に換算することで求めることができる。また、体積を測定しようとする成分を溶解したり膨潤させたりせず、その成分をよくぬらすことができる適当な溶媒(水、アルコール等)をメスシリンダー等の容器に入れ、該容器へ測定対象の成分を投入し、増加した体積をその成分の体積として求めることもできる。
【0082】
(その他の成分)
本実施形態に係る接着剤組成物は、上記以外の成分を含有していてもよい。
【0083】
例えば、本実施形態に係る接着剤組成物は、上記アクリルゴム以外の熱可塑性樹脂をさらに含有していてもよい。
【0084】
熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂類、ポリアミド樹脂類、フェノキシ樹脂類、ポリ(メタ)アクリレート樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリビニルブチラール樹脂類等が挙げられる。さらに、これらの熱可塑性樹脂中には、シロキサン結合やフッ素置換基が含まれていても良い。これらは、混合する樹脂同士が完全に相溶するか、もしくはミクロ相分離が生じて白濁する状態であれば、好適に用いることができる。
【0085】
熱可塑性樹脂の分子量は、大きいほどフィルム形成性が容易に得られ、また接着剤としての流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。熱可塑性樹脂の分子量は特に制限を受けるものではないが、一般的な重量平均分子量としては5000〜200000が好ましく、10000〜150000が特に好ましい。この値が、5000未満ではフィルム形成性が劣る傾向があり、また200000を超えると他の成分との相溶性が悪くなる傾向がある。
【0086】
また、本実施形態に係る接着剤組成物は、上記ウレタン(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性成分をさらに含有していてもよい。
【0087】
ラジカル重合性成分は、モノマー、オリゴマー等の状態で使用することができ、モノマーとオリゴマーとを混合して用いることもできる。また、ラジカル重合性成分は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0088】
ラジカル重合性成分としては、(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性成分としては、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等のオリゴマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基にエチレングリコールやプロピレングリコールを付加させた化合物に(メタ)アクリロイルオキシ基を導入した化合物等の多官能(メタ)アクリレート;等が挙げられる。また、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等を用いることもできる。
【0089】
これらのうち、(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性成分としては、分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
【0090】
また、ラジカル重合性成分としては、(メタ)アクリロイル基を有するもの以外にも、アリル基、マレイミド基、ビニル基等の活性ラジカルによって重合し得る官能基を有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、4,4’−ビニリデンビス(N,N−ジメチルアニリン)、N−ビニルアセトアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチロールアクリルアミド、4,4‘−ジフェニルメタンビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)へキサン等が挙げられる。
【0091】
さらに、ラジカル重合性成分としては、リン酸エステル構造を有するラジカル重合性成分が挙げられる。このようなラジカル重合性成分を有する接着剤組成物は、金属等の無機物表面に対する接着強度が向上するため、回路部材同士の接着に好適に用いることができる。
【0092】
リン酸エステル構造を有するラジカル重合性成分としては、例えば、下記式(1)〜(3)で表されるリン酸エステル類が挙げられる。
【0093】
【化1】

【0094】
式中、Rはアクリロイル基又はメタアクリロイル基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、x及びwはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。なお、式中、R同士、R同士、w同士及びx同士は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0095】
【化2】

【0096】
式中、Rはアクリロイル基又はメタアクリロイル基を示し、y及びzはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。なお、式中、R同士、y同士及びz同士は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0097】
【化3】

【0098】
式中、Rはアクリロイル基又はメタアクリロイル基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、a及びbはそれぞれ独立に1〜8の整数を示す。式中、R同士及びa同士は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0099】
また、リン酸エステル構造を有するラジカル重合性成分としては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2,2’−ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルホスフェート、EO変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、リン酸ビニル等が挙げられる。
【0100】
また、リン酸エステル構造を有するラジカル重合性成分は、無水リン酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることによっても得られる。具体的には、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等がある。
【0101】
本実施形態に係る接着剤組成物におけるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性成分の含有量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総量を100質量部としたとき、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
【0102】
また、本実施形態に係る接着剤組成物は、安定化剤をさらに含有していてもよい。
【0103】
安定化剤は、硬化速度の制御や、貯蔵安定性を付与する目的で添加される。このような安定化剤としては、ベンゾキノン、ハイドロキノン等のキノン誘導体;4−メトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール等のフェノール誘導体;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等のアミノキシル誘導体;テトラメチルピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン誘導体;等が好適に用いられる。
【0104】
安定化剤の添加量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総量基準で、0.01〜15質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。この添加量が0.01質量%未満では、添加効果が十分に得られない傾向があり、15質量%を超えると、重合反応が阻害される場合がある。
【0105】
また、本実施形態に係る接着剤組成物は、カップリング剤、密着向上剤、レベリング剤等の接着助剤をさらに含有していてもよい。かかる接着助剤としては、下記式(4)で表される化合物が好適に用いられる。これらの接着助剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0106】
【化4】

【0107】
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基又は炭素数1〜5のアリール基を示し、Rはアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、イソシアナート基、イミダゾール基、メルカプト基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、ウレイド基又はグリシジル基を示し、cは1〜10の整数を示す。
【0108】
さらに、本実施形態に係る接着剤組成物は、応力緩和及び接着性向上を目的として、アクリルゴム以外の公知のゴム成分を添加してもよい。ゴム成分として具体的には、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2−ポリブタジエン、水酸基末端1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0109】
上記ゴム成分としては、接着性向上の観点から、高極性基であるシアノ基、カルボキシル基を側鎖あるいは末端に含むゴム成分が好ましい。これらの化合物は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0110】
本実施形態に係る接着剤組成物は、上記の各成分のうち、導電性粒子以外の成分を、該成分を溶解及び/又は分散可能な溶剤中で混合して得ることができる。また、上記の各成分を、溶剤を用いずに混合して製造することもできる。なお、導電性粒子は、上記混合過程の中で適宜添加すればよい。
【0111】
本実施形態に係る接着剤組成物は、フィルム状にして用いることもできる。具体的には、例えば、接着剤組成物に必要に応じて溶剤を加えるなどしてなる溶液を、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、離形紙等の剥離性基材上に塗布し、溶剤を除去してフィルム状とすることができる。また、上記溶液を、不織布等の基材に願浸させて、剥離性基材上に載置し、溶剤を除去してフィルム状とすることもできる。フィルム状で使用すると、取扱性等の点から一層便利である。
【0112】
図1は、本実施形態の接着剤組成物からなるフィルム状接着剤の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すフィルム状接着剤1は、上記の実施形態に係る接着剤組成物をフィルム状に形成してなるものである。このフィルム状接着剤によれば、取り扱いが容易であり、被着体へ容易に設置することができるため、接続作業を容易に行うことができる。また、フィルム状接着剤1は、2種以上の層からなる多層構成(図示せず)を有していてもよい。また、フィルム状接着剤1が導電性粒子(図示せず)を含有する場合には、異方導電性フィルムとして好適に用いることができる。
【0113】
本実施形態に係る接着剤組成物及びフィルム状接着剤は、通常、加熱及び加圧を併用して被着体同士を接着させることができる。加熱温度は、100〜250℃の温度であることが好ましい。圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば特に制限されないが、一般的には0.1〜10MPaであることが好ましい。これらの加熱及び加圧は、0.5秒〜120秒間の範囲で行うことが好ましい。本実施形態に係る接着剤組成物及びフィルム状接着剤によれば、例えば、150〜200℃、3MPaの条件にて、15秒間の短時間の加熱及び加圧でも被着体同士を十分に接着させることが可能である。
【0114】
また、本実施形態に係る接着剤組成物及びフィルム状接着剤は、熱膨張係数の異なる異種の被着体の接着剤として使用することができる。具体的には、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィルム等に代表される回路接続材料、CSP用エラストマー、CSP用アンダーフィル材、LOCテープ等に代表される半導体素子接着材料として使用することができる。
【0115】
(回路接続構造体)
以下、本実施形態に係る接着剤組成物及びフィルム状接着剤を、それぞれ異方導電性接着剤組成物及び異方導電性フィルムとして使用し、回路基板の主面上に回路電極が形成されてなる2つの回路部材を接続する場合の一例について説明する。
【0116】
すなわち、異方導電性接着剤組成物又は異方導電性フィルムを、回路基板上の相対向する回路電極間に配置し、加熱加圧することにより、対向する回路電極間の電気的接続と回路基板間の接着とを行い、回路部材同士を接続することができる。ここで、回路電極が形成される回路基板としては、半導体、ガラス、セラミック等の無機物からなる基板、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物からなる基板、ガラス/エポキシ等の無機物と有機物とを組み合わせた基板等を用いることができる。また、こうした回路接続材料としての用途に本実施形態に係る接着剤組成物及びフィルム状接着剤を使用する場合、これらには導電性粒子を含有させることが好ましい。
【0117】
図2は、本発明の回路接続構造体(回路部材の接続構造)の一実施形態を示す概略断面図である。図2に示すように、本実施形態に係る回路接続構造体2は、相互に対向する第一の回路部材20及び第二の回路部材30を備えており、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間には、これらを接続する回路接続部材10が設けられている。
【0118】
第一の回路部材20は、回路基板(第一の回路基板)21と、回路基板21の主面21a上に形成される回路電極(第一の回路電極)22とを備えている。なお、回路基板21の主面21a上には、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
【0119】
一方、第二の回路部材30は、回路基板(第二の回路基板)31と、回路基板31の主面31a上に形成される回路電極(第二の回路電極)32とを備えている。また、回路基板31の主面31a上にも、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
【0120】
第一及び第二の回路部材20,30としては、電気的接続を必要とする電極が形成されているものであれば特に制限はない。具体的には、液晶ディスプレイに用いられているITOやIZO等で電極が形成されているガラス又はプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンチップ等が挙げられ、これらは必要に応じて組み合わせて使用される。このように、本実施形態では、プリント配線板やポリイミド等の有機物からなる材質をはじめ、銅、アルミニウム等の金属やITO(indium tin oxide)、窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO)等の無機材質のように多種多様な表面状態を有する回路部材を用いることができる。
【0121】
回路接続部材10は、本実施形態に係る接着剤組成物又はフィルム状接着剤の硬化物からなるものである。この回路接続部材10は、絶縁性物質11及び導電性粒子7を含有している。導電性粒子7は、対向する回路電極22と回路電極32との間のみならず、主面21a,31a同士間にも配置されている。回路接続構造体2においては、回路電極22,32が、導電性粒子7を介して電気的に接続されている。即ち、導電性粒子7が回路電極22,32の双方に直接接触している。
【0122】
ここで、導電性粒子7は、先に説明した導電性粒子であり、絶縁性物質11は、本実施形態に係る接着剤組成物又はフィルム状接着剤を構成する絶縁性の各成分の硬化物である。
【0123】
この回路接続構造体2においては、上述したように、対向する回路電極22と回路電極32とが導電性粒子7を介して電気的に接続されている。このため、回路電極22,32間の接続抵抗が十分に低減される。従って、回路電極22,32間の電流の流れを円滑にすることができ、回路の持つ機能を十分に発揮することができる。なお、回路接続部材10が導電性粒子7を含有していない場合には、回路電極22と回路電極32とが直接接触することで、電気的に接続される。
【0124】
回路接続部材10は、本実施形態に係る接着剤組成物又はフィルム状接着剤の硬化物により構成されていることから、回路部材20又は30に対する回路接続部材10の接着強度が十分に高くなり、信頼性試験(高温高湿試験)後においても安定した性能(良好な接着強度や接続抵抗)を維持することができる。
【0125】
次に、図3を参照しながら、上述した回路接続構造体の製造方法の一例について説明する。まず、上述した第一の回路部材20と、フィルム状回路接続材料40とを用意する(図3(a)参照)。フィルム状回路接続材料40は、本実施形態に係る接着剤組成物(回路接続材料)をフィルム状に成形してなるものであり、導電性粒子7と接着剤成分5とを含有する。なお、回路接続材料が導電性粒子7を含有しない場合でも、その回路接続材料は絶縁性接着剤として異方導電性接着に使用でき、特にNCP(Non−Conductive Paste)と呼ばれることもある。また、回路接続材料が導電性粒子7を含有する場合には、その回路接続材料はACP(Anisotropic Conductive Paste)と呼ばれることもある。
【0126】
フィルム状回路接続材料40の厚さは、6〜50μmであることが好ましい。フィルム状回路接続材料40の厚さが6μm未満では、回路電極22,32間に回路接続材料が充填不足となる傾向がある。他方、50μmを超えると、回路電極22,32間の接着剤組成物を十分に排除しきれなくなり、回路電極22,32間の導通の確保が困難となる傾向がある。
【0127】
次に、フィルム状回路接続材料40を第一の回路部材20の回路電極22が形成されている面上に載せる。なお、フィルム状回路接続材料40が支持体(図示せず)上に付着している場合には、フィルム状回路接続材料40側を第一の回路部材20に向けるようにして、第一の回路部材20上に載せる。このとき、フィルム状回路接続材料40はフィルム状であり、取り扱いが容易である。このため、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間にフィルム状回路接続材料40を容易に介在させることができ、第一の回路部材20と第二の回路部材30との接続作業を容易に行うことができる。
【0128】
そして、フィルム状回路接続材料40を、図3(a)の矢印A及びB方向に加圧し、フィルム状回路接続材料40を第一の回路部材20に仮接続する(図3(b)参照)。このとき、加熱しながら加圧してもよい。但し、加熱温度はフィルム状回路接続材料40中の接着剤組成物の硬化温度よりも低い温度とする。仮接続時の加熱温度は、好ましくは50〜120℃であり、より好ましくは60〜110℃である。また、仮接続時の圧力は、0.1〜3MPaであることが好ましい。
【0129】
続いて、図3(c)に示すように、第二の回路部材30を、第二の回路電極を第一の回路部材20に向けるようにしてフィルム状回路接続材料40上に載せる。なお、フィルム状回路接続材料40が支持体(図示せず)上に付着している場合には、支持体を剥離してから第二の回路部材30をフィルム状回路接続材料40上に載せる。このとき第一及び第二の回路電極が相対向するよう位置合わせをしてから、第二の回路部材の上から加熱、加圧することで第二の回路部材を仮固定することができる。こうすることで続く本接続時の電極の位置ずれを抑制することができる。仮固定時の加熱温度はフィルム状回路接続材料40中の接着剤組成物の硬化温度よりも低い温度とし、スループット短縮のため位置合わせから仮固定完了までの時間は5秒以下であることが好ましい。なお、仮固定時の加熱温度は、好ましくは50〜120℃であり、より好ましくは60〜110℃である。また、仮固定時の圧力は、0.1〜3MPaであることが好ましい。
【0130】
そして、フィルム状回路接続材料40を加熱しながら、図3(c)の矢印A及びB方向に第一及び第二の回路部材20,30を介して加圧する。このときの加熱温度は、重合反応が開始可能な温度とする。こうして、フィルム状回路接続材料40が硬化処理されて本接続が行われ、図2に示すような回路接続構造体が得られる。
【0131】
ここで、接続条件は先に述べた通り、加熱温度100〜250℃(より好ましくは150〜240℃)、圧力0.1〜10MPa、接続時間0.5秒〜120秒間であることが好ましい。これらの条件は、使用する用途、接着剤組成物、回路部材によって適宜選択され、必要に応じて、後硬化を行ってもよい。
【0132】
上記のようにして回路接続構造体を製造することにより、得られる回路接続構造体において、導電性粒子7を対向する回路電極22,32の双方に接触させることが可能となり、回路電極22,32間の接続抵抗を十分に低減することができる。
【0133】
また、フィルム状回路接続材料40の加熱により、回路電極22と回路電極32との間の距離を十分に小さくした状態で接着剤成分5が硬化して絶縁性物質11となり、第一の回路部材20と第二の回路部材30とが回路接続部材10を介して強固に接続される。すなわち、得られる回路接続構造体においては、回路接続部材10が本実施形態に係る接着剤組成物からなる回路接続材料の硬化物により構成されていることから、回路部材20又は30に対する回路接続部材10の接着強度が十分に高くなるとともに、電気的に接続した回路電極間の接続抵抗を十分に低減することができる。また、高温高湿環境下に長期間おかれた場合であっても、接着強度の低下及び接続抵抗の増大を十分に抑制することができる。
【0134】
また、図4は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図4に示すように、半導体装置3は、半導体素子50と、半導体の支持部材となる基板60とを備えており、半導体素子50及び基板60の間には、これらを電気的に接続する半導体素子接続部材80が設けられている。また、半導体素子接続部材80は基板60の主面60a上に積層され、半導体素子50は更にその半導体素子接続部材80上に積層されている。
【0135】
基板60は回路パターン61を備えており、回路パターン61は、基板60の主面60a上で半導体接続部材80を介して又は直接に半導体素子50と電気的に接続されている。そして、これらが封止材70により封止され、半導体装置3が形成される。
【0136】
半導体素子50の材料としては、シリコン、ゲルマニウムの4族の半導体素子、GaAs、InP、GaP、InGaAs、InGaAsP、AlGaAs、InAs、GaInP、AlInP、AlGaInP、GaNAs、GaNP、GaInNAs、GaInNP、GaSb、InSb、GaN、AlN、InGaN、InNAsPなどのIII−V族化合物半導体素子、HgTe、HgCdTe、CdMnTe、CdS、CdSe、MgSe、MgS、ZnSe、ZeTeなどのII−VI族化合物半導体素子、そして、CuInSe(ClS)などの種々のものを用いることができる。
【0137】
半導体素子接続部材80は、絶縁性物質11及び導電性粒子7を含有している。導電性粒子7は、半導体素子50と回路パターン61との間のみならず、半導体素子50と主面60aとの間にも配置されている。半導体装置3においては、半導体素子50と回路パターン61とが、導電性粒子7を介して電気的に接続されている。このため、半導体素子50及び回路パターン61間の接続抵抗が十分に低減される。したがって、半導体素子50及び回路パターン61間の電流の流れを円滑にすることができ、半導体の有する機能を十分に発揮することができる。
【0138】
なお、半導体素子接続部材80が導電性粒子7を含有していない場合には、半導体素子50と回路パターン61とを所望の量の電流が流れるように直接接触させるか若しくは十分に近づけることで電気的に接続される。
【0139】
半導体素子接続部材80は上記本発明の接着剤組成物の硬化物により構成されている。このことから、半導体素子50及び基板60に対する半導体素子接続部材80の接着強度は十分高く、かつ、半導体素子50及び回路パターン61間の接続抵抗は十分小さくなっている。また、高温高湿環境下に長期間おかれた場合であっても、接着強度の低下及び接続抵抗の増大を十分に抑制することができる。更に、半導体素子接続部材80は低温短時間の加熱処理により形成され得るものである。よって、半導体装置3は、従来よりも高い信頼性を有することが可能である。
【0140】
また、半導体装置3は、上述した回路接続構造体の製造方法における第一及び第二の回路部材20,30として、基板60及び半導体素子50を用いて、上述した回路接続構造体の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0141】
次いで、本実施形態に係る太陽電池モジュールについて説明する。
【0142】
本実施形態に係る太陽電池モジュールは、電極を有する太陽電池セルと、配線部材と、上記電極と上記配線部材が電気的に接続されるように上記太陽電池セルと上記配線部材を接着する接続部材と、を備える。そして、上記接続部材は、上記接着剤組成物の硬化物を含有する。
【0143】
図5は、本発明の太陽電池モジュールの一実施形態を示す模式断面図である。図5に示すように、太陽電池モジュールは、太陽電池セル100A及び配線部材94を備えており、太陽電池セル100A及び配線部材94の間には、これらを電気的に接続する接続部材95が設けられている。
【0144】
太陽電池セル100Aは、基板92上に電極96を有し、該電極96を介して配線部材94と電気的に接続している。なお、電極96を備える側の面が受光面98である。太陽電池セル100Aには、受光面98と反対側の裏面99に、裏面電極97が設けられている。
【0145】
配線部材94は、太陽電池セル100Aと他の部材とを電気的に接続するための部材である。例えば、図5においては、配線部材94により、太陽電池セル100Aの電極96と、太陽電池セル100Bの裏面電極97とが電気的に接続されている。
【0146】
図5に示す太陽電池モジュールにおいては、上記接着剤組成物の硬化物を含有する接続部材95により、配線部材94と太陽電池セル100Bの裏面電極97とが電気的に接続するように、配線部材94と太陽電池セル100Bとが接着されている。
【0147】
接続部材95は、例えば絶縁性物質及び導電性粒子を含有するものであってよい。接続部材95が絶縁性粒子を含有する場合、太陽電池セル100Aの電極96と配線部材94とは、導電性粒子を介して電気的に接続され得る。また、太陽電池セル100Bの裏面電極97と配線部材94もまた、導電性粒子を介して電気的に接続され得る。
【0148】
図5に示す太陽電池モジュールは、接続部材95が上記本発明の接着剤組成物の硬化物により構成されている。このことから、太陽電池セル100A及び配線部材94間に対する接続部材95の接着強度は十分高く、かつ、太陽電池セル100A及び配線部材94間の接続抵抗は十分小さくなっている。また、高温高湿環境下に長期間おかれた場合であっても、接着強度の低下及び接続抵抗の増大を十分に抑制することができる。さらに、接続部材95は低温短時間の加熱処理により形成され得るものである。よって、図5に示す太陽電池モジュールは、接続時に太陽電池セル100Aを劣化させることなく製造することができ、従来よりも高い信頼性を有することが可能である。
【0149】
また、図5に示す太陽電池モジュールは、上述した回路接続構造体の製造方法における第一及び第二の回路部材20,30として、太陽電池セル100A及び配線部材4を用いて、上述した回路接続構造体の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0150】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0151】
以下、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0152】
まず、実施例及び比較例で用いたアクリルゴム、ウレタンアクリレート、導電性粒子及びフェノキシ樹脂の製造について説明する。なお、アクリルゴムのガラス転移温度は、以下の方法で測定した。
【0153】
(ガラス転移温度の測定)
フェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイト社製品名、平均分子量45000)40gをメチルエチルケトン60gに溶解して、固形分40重量%の溶液とした。次に合成したアクリルゴム15gをトルエン42.5g、酢酸エチル42.5gの混合溶媒に溶解して固形分15重量%の溶液とした。これらを固形分比でフェノキシ樹脂:アクリルゴム=3:1の比で混合し、塗工機を用いて塗工後、70℃の熱風で10分乾燥させることで、厚み20umのフィルムを得た。得られたフィルムについて、Rheometric Scientific社製RSA IIを用いて以下の条件で測定を行った。得られた結果にて、tanδのピーク温度のうち低温側の温度をアクリルゴムのTgとした。
<測定条件>
昇温速度:5℃/分
振動数:1Hz
測定温度範囲:−40℃〜100℃
【0154】
(アクリルゴム1の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート61g、エチルアクリレート23g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル13gを加え窒素気流下、室温で1時間撹拌後、70℃まで加熱しそのまま3時間撹拌し、さらに90℃まで加熱して3時間撹拌した。得られた固体を回収後水洗、乾燥させることで重量平均分子量500000、Tg−10℃のアクリルゴム1を得た。このアクリルゴム1を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0155】
(アクリルゴム2の合成)
アクリルゴム1と同様の装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート66g、エチルアクリレート26g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル5gを加え、アクリルゴム1と同様の条件にて加熱撹拌することで、重量平均分子量600000、Tg−17℃のアクリルゴム2を得た。このアクリルゴム2を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0156】
(アクリルゴム3の合成)
アクリルゴム1と同様の装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート60g、エチルアクリレート20g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル17gを加え、アクリルゴム1と同様の条件にて加熱撹拌することで、重量平均分子量450000、Tg2℃のアクリルゴム3を得た。このアクリルゴム3を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0157】
(アクリルゴム4の合成)
アクリルゴム1と同様の装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート74g、エチルアクリレート10g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル13gを加え、アクリルゴム1と同様の条件にて加熱撹拌することで、重量平均分子量550000、Tg−22℃のアクリルゴム4を得た。このアクリルゴム4を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0158】
(アクリルゴム5の合成)
アクリルゴム1と同様の装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート54g、エチルアクリレート30g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル13gを加え、アクリルゴム1と同様の条件にて加熱撹拌することで、重量平均分子量650000、Tg12℃のアクリルゴム5を得た。このアクリルゴム5を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0159】
(アクリルゴム6の合成)
アクリルゴム1と同様の装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート84g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル13gを加え、アクリルゴム1と同様の条件にて加熱撹拌することで、重量平均分子量420000、Tg−32℃のアクリルゴム6を得た。このアクリルゴム6を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0160】
(アクリルゴム7の合成)
アクリルゴム1と同様の装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート24g、エチルアクリレート60g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル13gを加え、アクリルゴム1と同様の条件にて加熱撹拌することで、重量平均分子量710000、Tg26℃のアクリルゴム7を得た。このアクリルゴム7を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0161】
(アクリルゴム8の合成)
アクリルゴム1と同様の装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート64g、エチルアクリレート31g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル2gを加え、アクリルゴム1と同様の条件にて加熱撹拌することで、重量平均分子量480000、Tg−18℃のアクリルゴム8を得た。このアクリルゴム8を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0162】
(アクリルゴム9の合成)
アクリルゴム1と同様の装置に、脱イオン水500g、ブチルアクリレート57g、エチルアクリレート17g、ヒドロキシエチルアクリレート3g、アクリロニトリル23gを加え、アクリルゴム1と同様の条件にて加熱撹拌することで、重量平均分子量500000、Tg13℃のアクリルゴム9を得た。このアクリルゴム9を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分15質量%の溶液とした。
【0163】
(ウレタンアクリレートの合成)
重量平均分子量800のポリカプロラクトンジオール400部と、2−ヒドロキシプロピルアクリレート131部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.5部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル1.0部を攪拌しながら50℃に加熱して混合した。次いで、イソホロンジイソシアネート222部を滴下し更に撹拌しながら80℃に昇温してウレタン化反応を行った。イソシアネート基の反応率が99%以上になったことを確認後、反応温度を下げて、重量平均分子量8500のウレタンアクリレートを得た。
【0164】
(導電性粒子の作製)
ポリスチレン粒子の表面上に、厚さ0.2μmになるようにニッケルからなる層を設け、更にこのニッケルからなる層の表面上に、厚さ0.04μmになるように金からなる層を設けた。こうして平均粒径5μmの導電性粒子を作製した。
【0165】
(フェノキシ樹脂の合成)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、分子内にフルオレン環構造を有するフェノール化合物(4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジフェニール)とから、重量平均分子量45000のフェノキシ樹脂を合成し、この樹脂を質量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40質量%の溶液とした。
【0166】
次に、実施例及び比較例について説明する。
【0167】
(実施例1〜9、比較例1〜2)
表2に示すアクリルゴム、上記ウレタンアクリレート、上記フェノキシ樹脂、リン酸エステルとしてジ(2−メタアクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート(共栄社化学製、商品名P−2M)、ラジカル重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノネート(日本油脂株式会社製、商品名パーキュアHO)を、それぞれ固形分質量比で表2に示す割合で配合し、接着剤組成物含有液を作製した。そして、この接着剤組成物含有液に、導電性粒子を接着剤組成物中の固形分の総体積を基準として3体積%分散させて、回路接続材料含有液を調製した。
【0168】
この回路接続材料含有液を、25℃60%RH環境下に1時間放置した後、片面を表面処理(離型処理)した厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃3分の熱風乾燥により、PETフィルム上に厚み16μmのフィルム状回路接続材料を得た。このとき樹脂分離によってフィルム上に発生した異物の有無を確認した。ここで、フィルムに異物がまったく見られなかったものを「A」、フィルム表面に一部異物が見られるものの回路接続に支障がない程度であったものを「B」、フィルム表面全体で異物が発生していて回路接続に使用不能であったものを「C」として、相溶性の評価をした。相溶性の評価結果は、表3に示すとおりであった。
【0169】
【表2】

【0170】
次に、上記のフィルム状回路接続材料のうち、相溶性の評価結果がA又はBであったものについて、厚さ0.2μmの酸化インジウム(ITO)の薄層が形成されたガラス(厚さ1.1mm、表面抵抗20Ω/□)に対して、温度70℃、1MPa、2秒間で各2サンプルずつ転写した。
【0171】
次に、各サンプルに対して、ライン幅25μm、ピッチ50μm、厚さ18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)を、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて70℃の温度にて1MPaで1秒間の加熱加圧によって仮固定した。次に、2サンプルのうち1サンプルについて、190℃の温度にて3MPaで15秒間の加熱加圧(本接続)を行い、幅2mmにわたりFPC基板とITO基板とをフィルム状回路接続材料の硬化物により接続した回路接続構造体を作製した。
【0172】
(接続抵抗の測定)
得られた回路接続構造体について、隣接回路間の抵抗値(接続抵抗)を、マルチメータで測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗37点の平均で得た。得られた抵抗値を、初期接続抵抗として、表3に示す。
【0173】
また、得られた回路接続構造体を、85℃85%RH環境下に250時間放置した後、同様に隣接回路間の抵抗値(接続抵抗)を測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗37点の平均で得た。得られた抵抗値を、高温高湿保持後接続抵抗として、表3に示す。
【0174】
(仮固定力及び接着力の測定)
FPCが仮固定されサンプルについて、JIS−Z0237に準じて90度剥離法により接着強度(仮固定力)を評価した。また、FPCが本接続されたサンプルについても同様に、JIS−Z0237に準じて90度剥離法により接着強度(接着力)を評価した。ここで、仮固定力及び接着力の測定装置は、東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/min、25℃)を使用した。得られた仮固定力及び接着力を、表3に示す。
【0175】
【表3】

【0176】
表3に示した結果から明らかなように、実施例1〜9で得られたフィルム状回路接続材料は、70℃、1MPa、1秒の仮固定条件でも290mN/cm以上の十分な仮固定力が得られ、本接続後も7N/cm以上の高い接着力が得られた。一方、アクリロニトリル由来の構造単位の含有量が少ない比較例1では、本接続後の接着力が十分に得られなかった。また、アクリロニトリル由来の構造単位の含有量が多い比較例2では、相溶性が悪く、フィルム塗工時に異物が発生して回路接続に使用することが困難であった。さらに、実施例のうちガラス転移温度が−30〜20℃の範囲である実施例1〜7は、仮固定力に一層優れるとともに、接続信頼性に一層優れるものであった。
【符号の説明】
【0177】
1…フィルム状接着剤、2…回路接続構造体、3…半導体装置、5…接着剤成分、7…導電性粒子、10…回路接続部材、11…絶縁性物質、20…第一の回路部材、21…回路基板(第一の回路基板)、21a…主面、22…回路電極(第一の回路電極)、30…第二の回路部材、31…回路基板(第二の回路基板)、31a…主面、32…回路電極(第二の回路電極)、40…フィルム状回路接続材料、50…半導体素子、60…基板、61…回路パターン、70…封止材、80…半導体素子接続部材、92…基板、94…配線部材、95…接続部材、96…電極、97…裏面電極、98…受光面、100A,100B…太陽電池セル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、
ウレタン(メタ)アクリレートと、
ラジカル重合開始剤と、
を含有する、接着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリルゴムのガラス転移温度が、−30〜20℃の範囲である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
導電性粒子をさらに含有する、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記アクリルゴムは、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート及び極性基含有(メタ)アクリレートを単量体単位として有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、5000〜30000である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記アクリルゴムの含有量が、前記アクリルゴム、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び前記ラジカル重合開始剤の総量基準で、1.5〜30質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が、前記アクリルゴム、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び前記ラジカル重合開始剤の総量基準で、5〜80質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記ラジカル重合開始剤の含有量が、前記アクリルゴム、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び前記ラジカル重合開始剤の総量基準で、0.1〜30質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物をフィルム状に成形してなる、フィルム状回路接続材料。
【請求項10】
対向配置された一対の回路部材と、
前記一対の回路部材の間に設けられ、前記一対の回路部材がそれぞれ有する回路電極同士が電気的に接続されるように回路部材同士を接着する接続部材と、
を備え、
前記接続部材が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物の硬化物を含有する、回路接続構造体。
【請求項11】
第一の回路電極を有する第一の回路部材と第二の回路電極を有する第二の回路部材との間に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物を介在させ、前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とが対向するように前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを仮固定する仮固定工程と、
仮固定された前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材を加熱加圧して、前記接着剤組成物を硬化させるとともに、前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とを電気的に接続させる接続工程と、
を備える、回路接続構造体の製造方法。
【請求項12】
半導体素子と、
前記半導体素子を搭載する基板と、
前記半導体素子及び前記基板の間に設けられ、前記半導体素子及び前記基板が電気的に接続されるように前記半導体素子及び前記基板を接着する接続部材と、
を備え、
前記接続部材が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物の硬化物を含有する、半導体装置。
【請求項13】
半導体素子と基板との間に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物を介在させ、前記基板上に前記半導体素子を仮固定する仮固定工程と、
前記半導体素子及び前記基板を加熱加圧して、前記接着剤組成物を硬化させるとともに、前記半導体素子と前記基板とを電気的に接続させる接続工程と、を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
電極を有する太陽電池セルと、
配線部材と、
前記電極と前記配線部材が電気的に接続されるように、前記太陽電池セルと前記配線部材を接着する接続部材と、
を備え、
前記接続部材が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物の硬化物を含有する、太陽電池モジュール。
【請求項15】
電極を有する太陽電池セルと配線部材との間に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物を介在させ、前記太陽電池セル上に前記配線部材を仮固定する仮固定工程と、
前記太陽電池セル及び前記配線部材を加熱加圧して、前記接着剤組成物を硬化させるとともに、前記太陽電池セルと前記配線部材とを電気的に接続させる接続工程と、を備える、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項16】
アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、ウレタン(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、を含有する組成物の接着剤としての使用。
【請求項17】
アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、ウレタン(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、を含有する組成物の使用であって、
一対の回路部材がそれぞれ有する回路電極同士が電気的に接続されるように、前記回路部材同士を接着するための回路接続材料としての使用。
【請求項18】
アクリロニトリル由来の構造単位を5〜18質量%有するアクリルゴムと、ウレタン(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、を含有する組成物の使用であって、
半導体素子と基板とを電気的に接続するための回路接続材料としての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41525(P2012−41525A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156667(P2011−156667)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】