説明

接触面上にある1以上の対象の位置決定

装置は、光伝播パネル(1)の接触面上にある少なくとも1の対象(O1)の位置を決定するように動作する。装置の照射機構は、接触面と対向面との間の内部反射による伝播用にビーム(B1、B2)の放射線をパネル(1)に誘導し、感知領域内の接触面に沿って各々のビーム(B1、B2)を掃引するように動作する。これによって、感知領域内の接触面に接触する対象(O1)が、少なくとも2のビームの一時的な減衰を生じさせるように感知領域が照射される。照射機構は、各々のビーム(B1、B2)が前記感知領域の下流で、パネル(1)上の細長い1以上の出力結合部位(outcoupling site)に沿って掃引されるように構成される。少なくとも1の光センサ(9A、9B)は出力結合部位に光学接続され、出力結合部位内で受信されるビーム(B1、B2)のエネルギーを測定するように動作する。データ処理装置(7)は、光センサ(9A、9B)から、時間の関数として出力結合部位内で受信されるビーム(B1、B2)のエネルギーを示す出力信号(S1、S2)を取得し、異なるビーム(B1、B2)に対する出力信号(S1、S2)に基づいて対象の位置を同定するように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2008年6月23日出願のスウェーデン特許出願第0801466−4号、2008年6月23日出願の米国仮特許出願第61/129,373号、2008年6月23日出願のスウェーデン特許出願第0801467−2号、2008年6月23日出願の米国仮特許出願第61/129,372号、2009年2月5日出願のスウェーデン特許出願第0900138−9号、2009年2月5日出願の米国仮特許出願第61/202,208号、2009年4月15日出願のスウェーデン特許出願第0950246−9号、及び2009年4月15日出願の米国仮特許出願第61/202,874号の利益を主張し、その総ては引用によって本明細書中に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明はタッチセンシティブパネル、及びこのようなパネルに関連するデータ処理技術に関する。
【背景技術】
【0003】
範囲が増加するまでに、タッチセンシティブパネルはコンピュータ、電子測定及び試験機器、ゲームデバイス等に入力データを提供するために用いられている。パネルは、ユーザが例えばポインタ、スタイラス又は1以上の手指を用いて対話するようにグラフィカルユーザインタフェース(GUI)で提供してもよい。GUIは固定的あるいは動的であってもよい。固定的なGUIは例えば、印刷物の形態でパネルの上、下あるいは内部に配置される。動的なGUIは:ディスプレイスクリーンがパネルに一体化されるか、又はパネルの下に配置されることによって;あるいは、画像をプロジェクタによってパネル上へ投射することによって;提供できる。
【0004】
例えば:カメラを用いてパネル上の1以上の接触点から散乱する光をキャプチャすることによって;あるいは、抵抗型ワイヤグリッド、容量型センサ、歪みゲージ等をパネルに組み込むことによって;パネルに対するタッチセンシティビティを提供するための多数の既知の技術が存在する。
【0005】
米国特許出願公開第2004/0252091号は、減衰内部全反射(FTIR:frustrated total internal reflection)に基づく代替的な技術を開示する。光はパネル内に結合されて、内部全反射によってパネル内部に伝播される。光検出器のアレイはパネルの周縁部を取り囲んで配置されて、光を検出する。対象がパネルの表面に接触すると、光が接触点で局所的に減衰する。対象の位置は光センサのアレイでの各光源からの光の減衰に基づいて三角測量によって決定される。
【0006】
米国特許第3,673,327号は、光ビーム伝播機がパネルの2の縁部に沿って配置されて、内部反射によってパネルを通って伝播する光ビームと交差するグリッドを構成する。対応するビームセンサのアレイは、逆位のパネルの縁部に配置される。対象がパネルの表面に接触する場合、接触点で交差するビームが減衰される。検出器のアレイ上の減衰したビームは直接的に対象の位置を同定する。
【0007】
これらの既知のFTIR技術は、多数の検出器、場合によっては多数の光源の使用を必要とするため、高価であることが弱点である。更に、検出器/光源の要求数はパネルの表面積とともに有意に増加するため、容易に計測できない。更に、パネルの空間解像度は検出器/光源の数に依存する。更には、パネルを照射するためのエネルギー消費は相当であり、パネルの表面積が増加すると共に有意に増加しうる。
【発明の概要】
【0008】
上に特定した従来技術の制限のうちの1以上を少なくとも部分的に克服することが本発明の目的である。
【0009】
この目的及び他の目的は、以下の記載から明白となり、独立請求項による方法、装置及びコンピュータプログラム製品を用いて少なくとも部分的に実現され、その実施形態は従属請求項によって規定される。
【0010】
本発明の第1の態様は、接触面上にある少なくとも1の対象の位置を決定するための装置であって、当該装置は:前記接触面と対向面とを規定するパネルと;前記接触面と前記対向面との間の内部反射による伝播用に少なくとも2のビームの放射線を前記パネルに誘導し、感知領域内の前記接触面に沿って各々のビームを掃引するように構成される照射機構であって、これによって、前記感知領域内の前記接触面に接触する対象が、前記少なくとも2のビームの一時的な減衰を生じさせる照射機構と;前記感知領域の前記パネルの下流上の細長い1以上の出力結合部位(outcoupling site)に沿って掃引されるように前記パネルの外に前記ビームを結合するための検出機構であって、前記1以上の出力結合部位に光学接続され、かつ前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビームのエネルギーを測定するように構成される少なくとも1の光センサを具える検出機構と;当該検出機構に接続され、時間の関数として前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビームのエネルギーを示す出力信号を取得するように構成され、前記出力信号に基づいて前記対象の位置を同定するように構成されるデータ処理装置と;を具える。
【0011】
一実施形態においては、前記データ処理装置は、前記対象由来の信号特性の集合を前記出力信号において同定し、各々の信号特性に基づいて前記感知領域にわたる減衰光の経路のうちの少なくとも一部を決定し、このように決定された前記減衰光の経路に基づいて前記対象の位置を同定するように構成される。前記データ処理装置は、前記感知領域にわたって、前記出力信号における各々の信号特性のうちの少なくとも1の時点の、光路へのマッピングを行うことによって、前記減衰光の経路を決定するように構成してもよい。更に、前記データ処理装置は前記マッピング時に、前記出力信号における各々の信号特性のうちの少なくとも1の時点を前記1以上の出力結合部位内の空間位置にマッピングするように構成してもよい。
【0012】
一実施例においては、前記データ処理装置は、各々の出力信号における時点の数列を前記1以上の出力結合部位内の空間位置の対応する数列にマッピングし、このようにマッピングされた出力信号における信号特性の集合を同定するように構成される。1の実装においては、照射機構は各々のビームに対する前記パネル上の入力結合点の集合を規定し、前記データ処理装置は前記信号特性に基づいて、前記減衰光の経路のうちの少なくとも一部を決定する場合に、前記接触面及び前記対向面のうちの少なくとも1つに起因する光散乱による、前記入力結合点のうちの1つとの距離に対する信号特性の幅の従属性を表わす所定の幅関数を適用するように構成される。前記幅関数は、前記入力結合点に対する距離の関数として前記信号特性で与えられる前記対象の実際の幅を表わしてもよい。
【0013】
1の実装においては、前記データ処理装置は、各々の信号特性に対する前記減衰光の経路のうちの少なくとも一部を決定する場合に、前記信号特性の中心点を前記入力結合点のうちの1つに幾何学的に回帰することによって前記減衰光の経路の中心光線を再構築し、前記信号特性の信号幅を決定し、前記幅関数を適用することによって前記中心光線に沿った1以上の候補位置での対象の幅を決定するように構成され、これによって前記減衰光の経路の一部を決定する。前記データ処理装置は、前記信号特性の集合から再構築される中心光線の集合を用いて、三角測量によって前記1以上の候補位置を決定するように構成してもよい。
【0014】
1の実装においては、前記データ処理装置は、各々の信号特性に対する前記減衰光の経路のうちの少なくとも一部を決定する場合に、候補位置の集合を決定するように構成され、前記データ処理装置は、前記対象の位置を同定する場合に、このように決定された前記減衰光の経路に基づいて少なくとも1の候補位置の形状測定値及び/又は面積測定値を演算し、当該形状測定値及び/又は面積測定値に基づいて前記少なくとも1の候補位置を検証するように構成される。
【0015】
一実施形態においては、前記データ処理装置は各々の出力信号を、前記対象が前記感知領域内の前記接触面と接触しない場合の出力信号を意味するバックグラウンド信号により正規化するように構成される。
【0016】
一実施形態においては、前記光センサは前記出力結合部位と平行に、かつ光学的に対向して配置される細長い光感知面を有する。前記出力結合部位は前記パネルの周縁部の一部によって規定されてもよく、前記光センサは前記周縁部に取付けられる。代替的に、前記出力結合部位は前記接触面及び前記対向面のうちの一方に取付けられる細長い結合要素によって規定してもよく、前記光センサは前記結合要素に取付けられる。
【0017】
一実施形態においては、前記照射機構は前記感知領域内で、主方向が実質的に不変な各々のビームを平行移動させることによって、前記ビームを掃引するように構成される。
【0018】
一実施形態においては、前記照射機構は、前記感知領域内で平行とならないように前記ビームを掃引すべく構成される。
【0019】
一実施形態においては、前記検出機構は、前記出力結合部位と整列して、かつ光学的に対向して配置され、前記ビームのうちの少なくとも1つを共通の検出点上で受信及び再配向するように構成される固定式の再配向デバイスを具える一方、前記少なくとも1のビームが前記接触面に沿って掃引され;検出機構は前記出力結合部位内で受信される前記エネルギーを前記共通の検出点で測定するように構成される。前記固定式の再配向デバイスは出力焦点面を規定する細長い光学要素を具え、前記ビームは前記感知領域内で掃引されると同時に、実質的に不変な入射角で前記細長い光学要素に沿って掃引されるように、前記照射機構は構成してもよい。1の実装においては、光センサは前記出力焦点面に配置される。別の実装においては、前記細長い光学要素が、少なくとも2のビームを各々の入射角で受信するように構成され、前記検出機構は少なくとも2の光センサを具えて、前記各々のビームのエネルギーを測定すべく、前記出力焦点面の別個の位置に配置される。これら及び他の実装においては、前記あるいは各々の光センサは光感知面と、前記光センサの有効な光感知領域を増加させるためのデバイスとを具え、当該デバイスが前記再配向デバイスと前記光感知面との間に配置される。例えば、前記有効な光感知領域を増加させるための前記デバイスは、拡散要素又は集光器であってもよい。更に別の実装においては、可動式の偏向要素は前記共通の検出点に配置され、前記可動式の偏向要素は前記光センサ上へ前記ビームを偏向するように前記照射機構と同期される。
【0020】
前述においては、前記再配向デバイスは、前記パネルの縁部の一部に沿って延在するように構成してもよい。
【0021】
一実施形態においては、前記照射機構は:回転軸周りで入力ビームを掃引するように構成されるビーム走査デバイスと;このように掃引された前記入力ビームを受信し、主方向に平行移動される一方、主方向が実質的に不変な少なくとも1の出力ビームを生成するように構成される固定式のビーム配向デバイスと;を具え、前記少なくとも1の出力ビームは前記パネルに結合され、これによって前記感知領域内で前記接触面に沿って掃引される前記少なくとも2のビームのうちの少なくとも1つを形成する。1の実装においては、前記ビーム配向デバイスが入力焦点面を規定する細長い光学要素を具え、前記回転軸が前記入力焦点面に配置される。1の実装においては、前記ビーム走査デバイスは前記細長い光学要素に沿って少なくとも2の別個の入力ビームを掃引するように構成され、各々の入力ビームは前記入力焦点面における別個の回転軸周りで掃引され、これによって前記細長い光学要素に別個の主方向を有する出力ビームを生成させる。1の実装においては、前記ビーム配向デバイスは、前記少なくとも1の出力ビームを所定の角度間隔を有する回折ビームの集合として生成するように構成される細長い格子構造を更に具える。
【0022】
前述においては、前記ビーム配向デバイスは前記パネルの縁部の一部に沿って延在するように構成してもよく、前記主方向が前記パネルの前記縁部の一部に対し実質的に平行であってもよい。
【0023】
一実施形態においては、前記照射機構は前記パネルにわたる第1の主方向において、相互に鋭角となる第1の集合のビームを掃引するように構成され、前記第1の集合における前記ビーム同士が30°以下、好適には20°以下の最大鋭角を有する。1の実装においては、前記第1の集合におけるビームのうちの1つの主方向は、前記第1の主方向と直交する。1の実装においては、前記第1の集合における各々の組合せのビーム同士は、固有の鋭角を有する。更に、前記照射機構は、前記パネルにわたる第2の主方向において、少なくとも1の第2のビームを掃引するように構成してもよい。代替的に、前記照射機構は前記パネルにわたる第2の主方向において、相互に鋭角となる第2の集合のビームを掃引するように構成してもよく、前記第2の集合における前記ビーム同士が、30°以下、好適には20°以下の最大鋭角を有する。1の実装においては、前記第1の集合は3のビームを具え、及び/又は、前記第2の集合は3のビームを具える。前記第2の集合におけるビームのうちの1つの主方向は、前記第2の主方向と直交してもよく、及び/又は、前記第2の集合における各々の組合せのビーム同士は、固有の鋭角を有してもよく、及び/又は、前記第1の主方向及び前記第2の主方向は互いに直交してもよい。
【0024】
前述においては、前記パネルは矩形であってもよく、前記第1の主方向及び前記第2の主方向は前記パネルの各々の縁部の一部に平行であってもよい。
【0025】
一実施形態においては、前記照射機構は前記感知領域にわたって角度を付して、かつ各々の走査軸周りで、前記ビームを掃引するように構成される。
【0026】
一実施形態においては、前記照射機構は前記各々のビームに対する前記パネル上の各々の入力結合部位(incoupling site)を規定し、各々のビームに対する前記入力結合部位及び前記出力結合部位が互いに前記感知領域の反対側に配置される。
【0027】
一実施形態においては、前記照射機構は前記パネルの平面において少なくともコリメートされるビームを射出するように構成される。
【0028】
一実施形態においては、前記照射機構は:前記接触面から見て前記パネルの下に配置されるプレート形状の光ガイドと;当該光ガイドを前記パネルに光学接続するように構成されるビーム重畳システムと;前記少なくとも2のビームを掃引するための少なくとも1の光走査部と;を具え、前記光ガイドは内部反射によって前記少なくとも1の光走査部から前記ビーム重畳システムに光を誘導するように構成される。
【0029】
本発明の第2の態様は、接触面上にある少なくとも1の対象の位置を決定するための装置であって、前記接触面は、当該接触面と対向面とを規定するパネルの一部であり、前記装置は:前記接触面と前記対向面との間の内部反射による伝播用に少なくとも2のビームの放射線を前記パネルに誘導する一方、感知領域内の前記接触面に沿って各々のビームを掃引するための手段であって、これによって、前記感知領域内の前記接触面に接触する対象が、前記少なくとも2のビームの一時的な減衰を生じさせる手段と;前記感知領域の前記パネルの下流上の細長い1以上の出力結合部位に沿って掃引されるように前記パネルの外に前記ビームを結合するための手段と;前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビームのエネルギーを測定するための手段と;時間の関数として前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビームのエネルギーを示す出力信号を取得するための手段と;前記出力信号に基づいて前記対象の位置を同定するための手段と;を具える。
【0030】
本発明の第3の態様は、接触面上にある少なくとも1の対象の位置を決定する方法であって、前記接触面は、当該接触面と対向面とを規定するパネルの一部であり、前記方法は:前記接触面と前記対向面との間の内部反射による伝播用に少なくとも2のビームの放射線を前記パネルに誘導する一方、感知領域内の前記接触面に沿って各々のビームを掃引するステップであって、これによって、前記感知領域内の前記接触面に接触する対象が、前記少なくとも2のビームの一時的な減衰を生じさせるステップと;前記感知領域の前記パネルの下流上の細長い1以上の出力結合部位に沿って掃引されるように前記パネルの外に前記ビームを結合するステップと;前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビームのエネルギーを測定するステップと;時間の関数として前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビームのエネルギーを示す出力信号を取得するステップと;前記出力信号に基づいて前記対象の位置を同定するステップと;を具える。
【0031】
本発明の第4の態様は、接触面上にある少なくとも1の対象の位置を決定するための装置を動作させる方法であって、前記接触面は、当該接触面と対向面とを規定するパネルの一部であり、前記方法は:前記接触面と前記対向面との間の内部反射による伝播用に少なくとも2のビームの放射線を前記パネルに誘導し、感知領域内の前記接触面に沿って各々のビームを掃引すべく照射機構を動作させるステップであって、これによって、前記感知領域内の前記接触面に接触する対象が、前記少なくとも2のビームの一時的な減衰を生じさせ、これによって各々のビームが、前記感知領域の前記パネルの下流上の細長い1以上の出力結合部位に沿って掃引されるステップと;前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビームのエネルギーを測定すべく、前記1以上の出力結合部位に光学接続される少なくとも1の光センサを動作させるステップと;前記少なくとも1の光センサから、時間の関数として前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビームのエネルギーを示す出力信号を取得するステップと;前記出力信号に基づいて前記対象の位置を同定するステップと;を具える。
【0032】
本発明の第5の態様は、データ処理システムで実行される場合に、第4の態様に記載の方法を実行するように構成されるコンピュータコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品である。
【0033】
第1の態様の実施形態のいずれか1つは第2ないし第4の態様と組合わせることができる。
【0034】
本発明の更に別の目的、特徴、態様及び利点は、添付の特許請求の範囲から、ならびに図面から明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の実施形態は、添付の概略的な図面によってより詳細に記載されるであろう。
【0036】
【図1A】図1Aは、ある実施形態のタッチセンシングシステムの側面図である。
【図1B】図1Bは、別の実施形態の頂面平面図である。
【図1C】図1Cは、図1Bの実施形態で生成される測定信号のグラフである。
【図1D】図1Dは、図1Bの実施形態で生成される測定信号のグラフである。
【図1E】図1Eは、図1C又は1Dにおける測定信号に基づいて再構築された減衰光の経路を例示する。
【図2】図2Aないし2Cは、検出機構を例示したタッチセンシングシステムの実施形態の頂面平面図である。
【図3】図3Aないし3Cは、焦点面上への2のビームの主方向の再配向を示すための平面図(右)、及び対応する、焦点面における空間エネルギー分布のグラフ(左)であり;図3Dは、代替的な検出機構を有するタッチセンシングシステムの平面図である。
【図4】図4は、別の検出機構を例示した、ある実施形態のタッチセンシングシステムの頂面平面図である。
【図5】図5Aは、別の実施形態のタッチセンシングシステムの頂面平面図であり;図5Bは、図5Aにおける実施形態の側面図である。
【図6】図6Aないし6Eは、照射機構を例示したタッチセンシングシステムの実施形態の頂面平面図である。
【図7】図7は、別の実施形態の頂面平面図である。
【図8】図8Aないし8Cは、更なる別の別の実施形態の頂面平面図であり:図8Aはビーム掃引を例示し;図8Bは感知の異なる部分の位置を例示し;図8Cはビーム間のビーム同士の角度を例示する。
【図9】図9A又は9Bは、更に別の実施形態の頂面平面図であり:図9Aはビーム機構を例示し;図9Bは感知の異なる部分の位置を例示する。
【図10】図10Aは、2系統のv走査型ビーム機構が得られる、図7における実施形態の変形物であり;図10Bは、2系統のΨ走査型ビーム機構が得られる、図9における実施形態の変形物であり;図10Cは、非対称性の2系統のΨ走査型ビーム機構を例示する。
【図11】図11は、ビーム同士の角度が6°、12°、20°、及び40°である2系統のv走査型ビーム機構を有する実施形態における、感知の異なる部分の位置を例示する。
【図12】図12は、ビーム同士の角度が6°、12°、20°、及び40°である2系統のΨ走査型ビーム機構を有する実施形態における、感知の異なる部分の位置を例示する。
【図13】図13A又は13Bは、ビーム経路が折り返される実施形態の断面図である。
【図14】図14A又は14Bは、タッチセンシティブパネルの下に伝播板を具える実施形態の断面図である。
【図15】図15A又は15Bは、タッチセンシングシステムにおいて散乱させることによって生じた、分散関数のグラフである。
【図16】図16Aないし16Dは、光伝播パネル内部で伝播するビームの頂面平面図であり、図15A又は15Bにおける分散関数の起源を例示するのに役立つ。
【図17】図17Aないし17Dは、直線形のビーム走査の実施形態の頂面平面図であり、減衰経路の再構築を例示する。
【図18】図18A又は18Bは、直線形のビーム走査の別の実施形態の頂面平面図であり、減衰経路の再構築を例示する。
【図19】図19は、例示的な復号プロセスのフローチャートである。
【図20】図20は、測定データに基づいた分散関数のグラフである。
【図21】図21は、接触位置を決定するための、ある実施形態のデータ処理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の記載は、パネル内部を掃引して、入力(in)結合部位から出力(out)結合部位への内部反射によって伝播する光のビームの減衰を検出することによって動作する、あるタッチセンシングシステムの実施例を提示することで着手する。例示した検出機構及び照射機構が示される。次に、様々なビーム掃引及びこれらの掃引中のビーム同士の機構が詳細に述べられる。その後、例示的な実装の詳細が提示され、パネルにおける散乱によって生じる信号分散の影響について述べる。最後に、接触位置を決定するための例示的なアルゴリズムが与えられる。記載全体にわたって、同一の引用番号は対応する要素を同定するのに用いられる。
【0038】
図1Aは、タッチセンシング装置における例示的な機構の側面図である。その機構は光伝播パネル1と、1以上の光エミッター2(1つを図示)と、1以上の光センサ3とを具える。パネルは2の対向し、かつ略平行な面4、5を規定し、平面であっても曲面であってもよい。放射伝播チャネルは、パネルの2の境界面の間に提供され、境界面のうちの少なくとも1つによって、伝播光が接触する対象O1と相互作用できる。一般的には、1以上のエミッター2からの光が入って、放射伝播チャネルにおける内部全反射(TIR)によって伝播され、1以上のセンサ3はパネル1の縁部で構成されて、受信した光のエネルギーを示す各々の測定信号を生成する。
【0039】
対象O1が境界面に十分に近接する場合、光の一部は対象O1によって散乱され、光の一部は対象O1によって吸収され、光の一部は影響を受けずに伝播し続けることができる。従って、対象O1がパネルの境界面(例えば、上面4)に接触する場合、内部全反射は減衰し、伝播光のエネルギーが減少する。
【0040】
接触する対象O1の位置は、複数の様々な方向からパネル1を通って伝播される光のエネルギーを測定することによって決定できる。これは例えば:間隔を置いて配置された多数のエミッター2をコントローラ6によって動作させて、方向性のある、対応する数の光のシートをパネル1の内部に生成することによって;及び、1以上のセンサ3を動作させて、各々の光のシートの伝播エネルギーのエネルギーを検出することによって;行ってもよい。接触する対象が少なくとも2の光のシートを減衰させる限り、対象の位置は例えば三角測量によって決定できる。図1Aの実施形態においては、データ処理装置7は、1以上のセンサ3からの1以上の測定信号を処理するように構成されて、タッチセンシング領域内での接触する対象O1の位置を決定する。タッチセンシング領域(感知領域:sensing area)は少なくとも2の重なる光のシートによって照射されるパネルの表面積として規定される。
【0041】
図1Aに示したように、光は接触する対象O1によって遮断されない。従って、2の対象が、エミッター2からセンサ3への光路に沿って、互いの後方に配置されることが起こった場合、光の一部は双方の対象と相互作用する。光エネルギーが十分な場合、残余の光はセンサ3に到達し、双方の相互作用(接触点)が同定可能な測定信号を生成する。このような各々の接触点によって、0ないし1の範囲内だが、通常は0.7ないし0.99の範囲内で伝播する。光路に沿った伝播全体Tは、その光路上の個々の接触点の伝播tの積:T=Πtとなる。従って、光路で一列に位置したとしても、データ処理装置7が複数の接触する対象の位置を決定することは可能である。
【0042】
図1Bは、図1Aにおける機構を例示的に実装した平面図である。図1Bの実装においては、2のビームB1、B2は2の異なる方向においてパネルにわたって掃引され、各々の伝播ビームのエネルギーは掃引中に測定される。各々のビームB1、B2はパネル面で少なくとも好適にコリメートされるが、深さ方向には(すなわち、パネル面を横断して)コリメートしてもコリメートしなくてもよい。ビームB1、B2の掃引によってパネル内部に光のシートが形成される。特に、各々のビームB1、B2は、入力走査部8A、8Bによって生成され、パネル1上の入力結合部位に沿って掃引される。例示した実施例においては、入力結合部位はパネル1の左側及び上側の縁部に配置される。パネル上の出力結合部位での伝播エネルギーは、入力走査部8A、8Bと同期させて、パネル1にわたって掃引されるビームB1、B2を受信する出力走査部9A、9Bによって測定される。例示した実施例において、出力結合部位はパネル1の右側及び下側の縁部に配置される。
【0043】
図1Bは、「直線形のビーム走査(linear beam scan)」の実施例であり、各々のビームはパネルにわたる純粋な平行運動に供される。すなわち、その主方向は掃引中のパネル面において実質的に不変である。言い換えると、パネル面におけるビームの「走査角(scan angle)」は実質的に一定である。例示した実施例においては、ビームB1、B2は各々のパネル1の縁部に実質的に平行であり、ひいては、感知領域はパネルの表面積全体に対応する。しかしながら、以下に更に説明されるように、ビーム数、ビーム同士の角度、及びパネルの縁部に対するビームの角度は、特定の技術的効果を実現するように別の方法で構成してもよい。
【0044】
一般的にはデータ処理装置7は、各々の感知インスタンス(sensing instance)について出力走査部9A、9Bで得される時間分解された測定信号から、1以上の接触する対象の位置を決定するように構成される。感知インスタンスは、総てのビームが一度感知領域にわたって掃引された場合に形成される。
【0045】
図1C又は1Dは掃引中の各々の出力走査部9A、9Bで生成される測定信号S1、S2を例示するグラフである。測定信号S1、S2は一般的には時間の関数として測定されたエネルギーを示す。実質的には、測定信号S1、S2における各々のサンプリングされたデータ点は、タッチパネルにわたる各々の光路に対応し、光路は、関連する入力結合部位における入力結合点から、関連する出力結合部位における出力結合点に延在する。示されるように、接触する対象によって、各々の掃引について測定されたビームエネルギーの局所的な減少P1、P2が生じる。測定信号S1、S2を取得した後に、データ処理装置7は感知領域内で減衰光の経路を同定すべくそれらを処理する。データ処理装置7はタイミング情報にアクセスし、測定信号S1、S2の時点を感知領域の光路に直接的又は間接的に関連づける。一般的には、各々の光のシート(ビーム掃引)に対し、ならびに測定信号S1、S2及びタイミング情報に基づいて、データ処理装置7は、測定されたエネルギーをパネル上の位置、一般的には出力結合点と関連づける1以上の空間伝播信号を生成する。従って、空間伝播信号はパネル周縁部周りの異なる位置で受信されるエネルギーを示す。空間伝播信号は選択的にバックグラウンド信号によって正規化して、以下に更に例示するように異なる位置での真の光の伝播を示すことができる。
【0046】
図1Eは、各々のパネルに沿った出力結合点にマッピングされた、空間伝播信号S1’、S2’に変換された測定信号S1、S2を例示する。信号S1’、S2’は対象O1(図1B)から生ずる各々の信号特性を含むように例示されている。このような信号特性P1’、P2’は更に、以下においては「接触サイン(touch signature)」と称される。
【0047】
空間伝播信号を取得した後に、データ処理装置7は信号S1’、S2’における総ての接触サインP1’、P2’を同定する。データ処理装置7は、感知領域にわたる各々の出力結合点に対する各々のビームの主方向を示すデータを追跡するようにアクセスできる。このような追跡は例えば、ルックアップ表又は演算関数(アルゴリズム)の形態で利用可能であってもよい。従って、各々の接触サインP1’、P2’について、データ処理装置7は、一般的には対応する入力結合点に戻って接触サインP1’、P2’の中心を追跡することによって減衰経路を決定できる。対象O1の位置は中心光線B1’、B2’の交差によって与えられる。
【0048】
データ処理装置7が空間伝播信号を生成する多数の方法がある。第1の実施例においては、データ処理装置7はントローラ6に接続されて、入力走査部8A,8Bのビーム掃引要素の瞬間の角度(偏向角)を示す角度信号を取得する。従って、この信号は、測定信号S1、S2における時点を偏向角と関連づけるタイミング情報を提供する。データ処理装置7は、例えば:ルックアップ表にアクセスすることによって;あるいは、演算関数を適用することによって、各々の偏向角を出力結合点に関連づけるように動作可能である。第2の実施例においては、データ処理装置7は測定信号S1、S2における基準点を同定することによってタイミング情報を取得し、基準点は既知の出力結合点又は偏向角に対応する。基準点は例えば、測定信号S1、S2の開始又は終了によって与えてもよい。このタイミング情報及び既知の平均掃引速度に基づいて、データ処理装置7は、例えば:ルックアップ表にアクセスすることによって;あるいは、専用の演算関数を適用することによって、測定信号S1、S2における時点を出力結合点に関連づけるように動作可能である。
【0049】
平均掃引速度の使用では、掃引速度は掃引中に実質的に一定であると仮定される。掃引速度が既知の掃引関数によって変わる場合、データ処理装置7は時点を光路と適切に関連づけるべく、この掃引関数を適用するように動作可能であってもよいことは理解されよう。この掃引関数は較正手順によって取得してもよい。較正手順は:接触面上の既知の位置の集合に1以上の対象を配置するステップと;得られた測定信号に基づいて接触点の集合を決定するステップと;決定された接触点が既知の位置と合致するように掃引関数を推定するステップと;を具えることができる。代替的あるいは更には、較正手順は、システム内の光路の光学シミュレーションに基づいてもよい。
【0050】
第2の実施例の変形物においては、データ処理装置7はコントローラ6に接続されて、1以上の基準点を示す信号を受信する。例えばコントローラ6は、掃引の開始及び/又は終了を示す信号を出力してもよい。
【0051】
総ての光路は相互に平行であり、既知の角度(走査角によって与えられる)で感知領域にわたり出力結合点に延在するため、直線形のビーム走査は光路の再構築を推進することは理解されよう。ビームの走査角が掃引中に変わる場合、ルックアップ表/演算関数は出力結合点又は偏向角の関数としてビームの位置/方向を好適に示す。このルックアップ表/演算関数は、例えば以下に示すような較正手順によって取得してもよい。
【0052】
ある変形物においては、完全な空間伝播信号が測定信号から再構築されるわけではない。実際に、接触サインは(選択的に、後に述べる正規化後に)測定信号中で同定され、空間伝播信号は同定された接触サインに対してのみ再構築される。極端には、各々の接触サインの中心点のみが、対応する出力結合位置にマッピングされる。
【0053】
上の総ての実施例においては、時点は出力結合位置にマッピングされ、次いで光路にマッピングされる。代替的な実施形態においては、データ処理装置は測定信号における時点を光路に直接的にマッピングするように構成される。
【0054】
標準レベルで、本発明の上述及び他の実施形態は、接触面と対向面との間の内部反射による伝播用の2以上の放射ビームをパネルに誘導し、かつ、感知領域内の接触面に沿って各々のビームを掃引するための照射機構を具える。それにより、接触面は、接触する対象によってビームのうちの少なくとも2つが一時的に、すなわち各々の掃引中の時間間隔で、減衰するように照射される。標準レベルで更に、感知領域のパネル下流上の細長い1以上の出力結合部位に沿って掃引されるようにパネルの外にビームを結合するための検出機構が提供される。検出機構は一般的には、1以上の出力結合部位に光学接続され、1以上の出力結合部位内の各々のビームの受信したエネルギーを測定するように構成される少なくとも1の光センサを具える。標準レベルで更に、検出機構に接続され、時間の関数として1以上の出力結合部位内の各々のビームの受信したエネルギーを示す出力信号を取得し、出力信号に基づいて対象の位置を同定するように構成されるデータ処理装置が提供される。
【0055】
パネル内部にビームを掃引することによって、少数の光源又はエミッターしか接触面を適切に照射するのに要求されない。更に、時間の関数として出力結合部位で受信されるビームエネルギーをデータ処理装置に取得させることによって、光センサは、出力結合部位内の空間的に分離された複数の位置でエネルギー読取値を生成するように設計及び配置する必要はなく、代わりに出力結合部位での偶発的なビームエネルギーの総量を示す1のエネルギー読取値を生成できる。従って、光センサは0次元検出器であっても、あるいは0次元検出器として動作するように構成してもよく、代わりに、データ処理装置は異なる時点での出力信号のエネルギー読取値を、各々の出力結合部位内の異なる空間位置にマッピングするように構成できる。更には、光源の数も光センサの数もパネルの表面積に依存せず、ひいてはタッチセンシング装置は容易に拡大縮小できる。
【0056】
パネル全体を一定に照射する従来技術と比較して、パネルのわずかな部分しか同時に照射されないため、この照射機構によって、所定のSN比で電力消費を低くすることができる。
【0057】
更には、タッチセンシング装置の空間解像度は、サンプリング速度、すなわち、測定データが各々の光センサでサンプリングされる速度で与えられる。十分な量の光がパネルに誘導される場合、任意の所望の解像度が得られうることを、これは示している。更には、空間解像度はタッチセンシング装置の動作中に変えることができ、異なる空間解像度は感知領域の異なる部分で得ることができる。
【0058】
[検出機構の例示]
図2Aは、図1Bに示された形式の出力走査部9Bを具える検出機構のある実施形態を例示する。例示した実施形態においては、細長い固定式の再配向デバイス10Bは入射ビームB2を受信し、共通の検出点D2上に再配向するように構成される一方、ビームB2は感知領域にわたって掃引される。
【0059】
図2Aの実施例においては、出力走査部9Bは可動式の偏向要素11と、固定式の光センサ3とを具える。偏向要素11は共通の検出点D2に配置されて、センサ3上に入射ビームB2を偏向する。好適な偏向要素の限定されない実施例は、回転ミラー、共振ミラー、検流計ミラー、MEMS(微小電子機械システム:Micro−Electro−Mechanical System)ユニット、MOEMS(微小光電子機械システム:Micro Opto−Electrical−Mechanical System)ユニット、液晶、振動ミラー、光音響ユニット等を含む。出力走査部9Bは更に、センサ3の視野角を規定する開口絞り(図示せず)を具えてもよい
【0060】
一般的には、再配向デバイス10Bは感知領域と光学的に対向する細長い正面を規定する要素あるいは要素のアセンブリである。用語「光学的に対向する(optically facing)」は、パネル1の平面に再配向デバイス10Bを配置する必要がないが、例えば、平面の上方又は下方に配置されて、例えば境界面4、5のうちの1つを介してパネル1の外に結合されたビームを受信するという事実を説明するのを目的とする。任意の事象においては、ビームは感知領域内で掃引されるため、ビームは更に再配向デバイス10Bの正面の少なくとも一部に沿って掃引される。タッチセンシングシステムのフットプリントを限定するために、再配向デバイス10Bはパネル1の周縁部分の近傍に配置してもよい。堅牢性及び取付け精度の理由により、再配向デバイス10Bはこのような周縁部分と接触して取付けてもよい。
【0061】
一実施形態においては、再配向デバイス10Bは、正面と平行であり、かつ、正面から離れた焦点面を規定する光デバイスである。同一の入射角で正面に衝突する総ての光線は焦点面における共有点D2に配向される。従って、このような光デバイス10Bに沿って、主方向が実質的に不変なビームを掃引することによって、ビームは掃引中に明確に規定された共通の検出点に再配向されることは理解されよう。
【0062】
再配向デバイス10Bによって、感知領域の下流の2以上のビームのエネルギーを別個に検出することが可能になる。以下に述べるように、接触面にわたって同一方向に2以上の平行ではないビームを掃引することが所望されうる。主方向が異なるこのようなビームは、デバイス10Bによって異なる検出点上へ再配向される。各々の光センサ上へビームを偏向するように、1以上の出力走査部を検出点において構成することによって、ビームのエネルギーは、仮にビームがデバイスにわたって同時に掃引されるとしても、別個に測定できる。
【0063】
再配向デバイス10Bは入射する放射線(図2Aに示されるような)を伝播及び再配向するレンズデバイスであっても、反射によって入射する放射線を再配向するミラーデバイスであってもよい。再配向デバイス10Bは回折性の光学要素(DOE)、マイクロ型の光学要素、ミラー、屈折レンズ、及びその任意の組合せから構成してもよい。現在の好適な一実施形態においては、再配向デバイス10Bはフレネルの要素である。
【0064】
図2Aにおける実施形態は、出力走査部9Bが対応する入力走査部8Bと同期することが要求される(図1B参照)。これは、入力及び出力走査部8B、9Bの各々の組合せの偏向要素を機械的に接続することによって、あるいは入力及び出力走査部8B、9Bにおいて共通の偏向要素を用いることによって実現できる。代替的に、入力及び出力走査部8B、9Bは共通のコントローラ(例えば、図1Bに示されるようなコントローラ6)からの制御信号によって電気的に同期される。
【0065】
図2Bは、出力走査部9Bが光センサ3によって置換されていることを除いては、検出点D2に光感知面とともに配置される、図2Aにおける機構と同一の検出機構の一実施形態を示す。図2Aにおける機構と比較すると、光センサ3は更に大きな立体角にわたって光を受信可能にすることを必要とする。
【0066】
図2Aのように、再配向デバイス10Bによって、感知領域の下流の2以上のビームのエネルギーを別個に検出することが可能になる。上述のように、再配向デバイス10Bにわたって掃引される、主方向が異なる2以上のビームは、異なる検出点上へ再配向される。図2Cはこのような実施形態を例示し、2の光センサ3はデバイス10Bの焦点面foutに配置されて、ビームB1、B2のエネルギーを別個に測定する。
【0067】
焦点面foutにおけるセンサ3の位置は、ビームが再配向デバイス10Bを達する場合に一般的にはビーム特性が拡張するという事実によるべきものであり、ひいては、再配向デバイス10Bは焦点面foutにおける検出点ではなく、検出領域にビームを再配向する。この事象は更に図3において例示される。図3Aの右側部分は掃引中の3時点での2のビームB1、B2の主方向を示し、2のビームの主方向は焦点面foutにおいて各々の検出点上に再配向される。図3Aの左側部分は焦点面におけるビームのエネルギー分布を例示し、矢印はセンサ3の幅及び位置を示す。図示されるように、センサ3の間が十分に分離している場合、各々のビームのエネルギーを別個に測定することが可能であり、これによって、再配向デバイス10Bに沿ってビームは同時に掃引可能になる。仮にセンサ3が主方向に対し、各々のビーム特性の中心に、すなわち検出点に配置されない場合であっても、ビームエネルギーが測定できることは留意すべきである。更に、センサ3が光感知する表面積は、測定すべき総エネルギーの割合を最大化する一方で、ビーム間のクロストークを最小化するように最適化されうることは理解されよう。図3Bは図3Aに対応するが、単一のセンサ3の使用を例示しており、双方のビームのエネルギーを測定している。ここでは、1の比較的小さなセンサ3は主方向に対し、検出点の間に配置される。ビーム特性によっては、センサ3は双方のビームのエネルギーを測定することが可能である。図3Cは図3Aに対応するが、更に大きなセンサの使用を例示しており、双方のビームのエネルギーを測定している。この実施形態はビームエネルギーの検出の割合を増加させるが、センサ3の表面積の増加は更に、ノイズ検出の増加を引き起こしうる。図3B又は3Cにおける実施形態では、ビームが再配向デバイス10Bに沿って連続的に掃引されることが要求されることは理解されよう。
【0068】
図2Aないし2Cで示した実施形態においては、再配向デバイス10Bは、限定された角度範囲内でデバイス10Bの正面に衝突する光のみが1以上のセンサ3の上に配向されるため、焦点面に配置された1以上のセンサに対する角度フィルタとして動作する。従って、デバイス10Bはセンサ3の有効な視野角又は開口数を限定し、これによってセンサ3に到達する所望されない背景光の量を限定する。このような背景光は周辺光、又はパネル1の内部の散乱光を含みうる。
【0069】
再配向デバイス10Bは、仮にビームの主方向が掃引中に変わった場合でも、ビームを再配向するように構成できることは理解されよう。例えば、例えば、ビームの主方向における変位は照射機構における不正確さあるいは許容差によって生じうる。一般的には、このような意図しない走査角の変位は±2°を超えない。好適には、検出機構はセンサの視野角が予期される変位を超えるように設計される。
【0070】
以下に示されるように、センサ3はこのような走査角の変位に良好に適応するように変更できる。意図しない走査角の変位が商業上の実施においても生じることは知られているが、再配向デバイス10A、10Bは一般的には、主方向が掃引中に不変であると仮定して設計される。このような設計と実在との間の不整合によって、ビームの主方向の、焦点面における公称検出点の周りに延在する検出領域上への再配向を生じさせる。このことは焦点面におけるビーム特性の位置(図3Aないし3C参照)がビーム掃引中に変わることを意味する。測定されたエネルギーは:公称検出点に関連するセンサの位置;センサの光感知面の大きさ;ビーム特性の幅;及び、掃引中のビーム特性の位置における変位;に依存することは理解されよう。ノイズを抑制するために、光感知面が小さいセンサを用いることが所望されうる。しかしながら、光感知面が小さい場合、ビーム特性の位置における変位によって、測定すべきビームエネルギーに有意な変位が生じる。このような変位を補償することは可能であるが、測定されるエネルギーがあまりに小さいため、顕著な位置決定ができない。
【0071】
この問題は更に図3Dに例示され、掃引中の異なる時点でのビームB1の主方向を図示する。示されたように、主方向における変位によって、ビームB1が焦点面foutにおける異なる点に掃引中に配向される。この問題を改善するために、センサ3は固定式の集光器300(断面図に示す)とともに提供され、再配向デバイス10Aとセンサ3の光感知面302との間に配置される。図3Dの実施例においては、集光器300は光感知面302に囲まれ、かつ整列した内部反射式で円筒型のシェル304を具える。シェル304は、再配向されたビームB1を受信するように構成される開口部を規定し、次いでシェル304内部の1以上の反射によって光感知面302上へ配向される。集光器300はセンサ3の有効な光感知領域を増加させる。1の実装においては、シェル304はプラスチックで生成され、反射性材料の内層を有する。1の特定の実装においては、集光器300は複合型のパラボラ式集光器(CPC)として構成される。更に別の変形物においては、図3Dにおける集光器300は広角レンズによって実装される。
【0072】
別の変形物(図示せず)においては、図3Dにおける集光器300は拡散要素又はプレートによって置換され、好適にはデバイス10Aの焦点面foutにおいて、再配向デバイス10Aとセンサ3の光感知面302との間に構成される。拡散要素は大きな立体角にわたって入射する放射線を伝播及び拡散し、これによって、仮に光感知面302が拡散要素上の検出領域よりも小さい場合でも、入射する放射線の一部が光感知面302によって検出可能になる。
【0073】
代替的な実施形態においては、照射機構は掃引中に1以上のビームの主方向を意図的に変えるように設計して、例えば、感知領域の特定部分において特定の接触感知特性を提供できる。再配向デバイス10A、10Bに沿った主方向の意図的な変位が既知である限り、集光器/拡散要素の使用に拘らず、ビームの主方向を共通の検出点上へ再配向するようにデバイス10A、10Bを設計することが可能である。しかしながら、デバイス10A、10Bの設計は主方向が掃引中に実質的に不変である場合、特に2以上のビームが同一のデバイス10A、10Bによって再配向される場合に、単純化される。
【0074】
図4はタッチセンシングシステムにおける検出機構の別の実施形態を例示する。検出機構は、感知領域内で掃引される際にビームの総エネルギーを受信及び測定するように構成される細長いセンサデバイス3’を具える。一般的には、細長いセンサデバイス3’は単一のセンサ要素又はセンサ要素のアセンブリであり、感知領域に光学的に対向する細長い正面を規定する。ビームが感知領域内で掃引されると、ビームは更に、センサデバイス3’の正面の少なくとも一部に沿って掃引され、これによって、時間の関数としてセンサデバイス3’によって受信される総ビームエネルギーを示す測定信号を生成する。図4における検出機構は、空間効率が良く、簡易であり、堅牢であり、構築するのが容易となりうることは理解されよう。
【0075】
平行ではない2以上のビームが接触面にわたって同一方向に掃引される場合、これらのビームは、図4における検出機構が総ビームエネルギーを測定し、ひいてはそれぞれのビームを識別しないため、連続して掃引する必要がある。
【0076】
センサデバイス3’は0次元光センサ、すなわち、その正面で入射光の総エネルギーを測定するだけのセンサ、例えば光検出器であってもよい。代替的に、センサデバイス3’は、CCDセンサ又はCMOSセンサ、あるいは別個の光検出器の列といった1次元センサ又は2次元センサであってもよく、時間の関数として総ビームエネルギーを示す信号は、1次元センサ又は2次元センサの個々の感知要素(画素/光検出器)の読取り値を合計又は平均することによって取得される。
【0077】
タッチセンシングシステムのフットプリントを限定するために、センサデバイス3’はパネル1の周縁部分の近くに配置してもよい。堅牢性及び取付け精度の理由により、センサデバイス3’はこのような周縁部分に接触して取付けてもよい。
【0078】
図4に示される検出機構は2以上のパネル1の縁部に取付けて1以上のビームの総エネルギーを測定してもよいことは理解されよう。例えば、検出機構は、図1Bにおけるパネルの下側及び右側の縁部に取付けて、出力走査部9A、9B及び再配向デバイス10A、10Bを置換してもよい。
【0079】
図4の検出機構は更に、「有角ビーム走査(angular beam scan)」で動作する、すなわち、各々のビームが回転軸周りでパネル1内部に掃引されるタッチセンシングシステムに取付けてもよい。
【0080】
図5A又は5Bはそれぞれ、4の入力走査部8Aないし8Dがタッチパネル1の各々の縁部の中点に配置された、このようなタッチセンシングシステムの実施形態の頂面平面図及び立面側面図である。各々の入力走査部8Aないし8Dは結合要素13を介してパネル1に射出されるビームB1ないしB4を生成し、ビームB1ないしB4が接触面4の全体にわたって掃引されるように回転軸周りでビームB1ないしB4を回転させる。4のセンサデバイス3’はパネル1の縁部に取付けられて、各々のビームB1ないしB4を受信し、接触面4にわたって掃引されるように総エネルギーを測定する。従って、センサデバイス3’は各々のビームB1ないしB4に対し時間の関数として、伝播されたビームエネルギーを表わす測定信号を生成する。センサデバイス3’が接触面の側面全体に沿って延在するように、かつ感知領域を最大化するように、光は結合要素13を介して下方の境界面5を通って射出される(図5B)。
【0081】
図4又は5における検出機構は一般的には大きな視野角で動作し、ひいては更に、出力結合点の上に入射する周辺光を収集できる。この目的のために、タッチセンシングデバイスは周辺光を抑制する手段を含んでもよい(図示せず)。一実施形態においては、帯域通過型スペクトルフィルタが出力結合位置とセンサデバイス3’との間、例えばセンサデバイスの正面に配置される。スペクトルフィルタは1以上のビームにおける光の主要部分を伝播し、周辺光の主要部分を遮断するように適合される。別の実施形態においては、各々の入力走査部は、既知の変調周波数で変調光を射出するように制御され、周辺光は各々のセンサデバイス3’の測定信号の電子工学的なフィルタリングによって抑制される。1の実装においては、測定信号が処理されて、変調周波数でのロックイン検出又はヘテロダイン検出はビーム由来のエネルギーを分離する。別の実装においては、測定信号は変調周波数に近接しない総ての周波数成分を除去するように調整された遮断周波数を有する、専用の帯域フィルタを通過させる。電子工学的なフィルタリングの異なる実装は、ソフトウェア及び/又はハードウェア構成を用いて、ディジタル信号がデータ処理装置7において処理されることによって生じうる(図1)。代替的に、電子工学的なフィルタリングは専用のアナログ電子回路によって行ってもよい。フィルタをかけるための同様の手段は、本明細書中に開示された他の検出機構の実施形態のいずれかに含まれうることは理解されよう。
【0082】
図2A又は2Bにおける検出機構は更に、有角の走査ビームのエネルギーを検出するように用いられうることは理解されよう。再配向デバイス10A、10Bに沿ったビームの主方向が既知である限り、ビームの主方向を共通の検出点D1、D2上へ再配向するように再配向デバイス10A、10Bを設計することが可能である。
【0083】
[照射機構の例示]
既に上に示したように、照射機構は入力走査部8Aないし8Dを含んでもよい。一般的には、入力走査部8Aないし8Dは光源と、回転軸周りの所望の方向に光源からの光のビームを偏向するように制御可能な少なくとも1の可動式の偏向要素とを具える。このようにして、入力走査部は有角ビーム走査を生成する。このような偏向要素の限定しない実施例は回転ミラー、共振ミラー、検流計ミラー、MEMS(微小電子機械システム:Micro−Electro−Mechanical System)ユニット、MOEMS(微小光電子機械システム:Micro Opto−Electrical−Mechanical System)ユニット、液晶、振動ミラー、光音響ユニット等を含む。
【0084】
照射機構は直線形のビーム走査を生成するように構成してもよい。図1Aの実施例においては、タッチセンシングシステムは照射機構を具え、2の入力走査部8A、8Bの各々が、接触面4の平面において、所望の主方向を有するビームB1、B2を出力するように設計及び構成される細長い固定式のビーム配向要素14A、14Bに沿って、ビームB1、B2を生成及び掃引する。
【0085】
一般的にはビーム配向デバイス14A、14Bは、その所定の入力方向に対するビームの出力方向を規定する要素又は要素のアセンブリである。デバイス14Bはパネル1の平面に配置する必要はないが、例えば平面の上方又は下方に配置して、結合要素(図5の符号13参照)を介してビームをパネル1に射出できる。タッチセンシングシステムのフットプリントを制限するために、ビーム配向デバイス14A、14Bはパネル1の周縁部分近くに配置してもよい。堅牢性及び取付け精度の理由により、デバイス14A、14Bはこのような周縁部分と接触して取付けてもよい。
【0086】
一実施形態においては、ビーム配向デバイス14A、14Bは、その入力側と平行で、かつ離れた焦点面を規定する光デバイスである。従って、焦点面における点に由来し、デバイス14A、14Bの入力側に衝突する総ての光線は同一方向に出力される。図6Aはタッチセンシングシステムを例示し、入力走査部8Bの回転軸はビーム配向デバイス14Bの焦点面finに配置され、これによって入力走査部8Bの有角ビーム走査を、デバイス14Bに平行な方向における直線形のビーム走査に変換する。示されるように、出力ビームの主方向とデバイス14Bの光軸(破線)との間の角度αはデバイス14Bの焦点からの回転軸の変位dによって与えられる(焦点面finとデバイス14Bの光軸との間の交差により与えられる)。
【0087】
ビーム配向デバイス14A、14Bは入射する放射線(図6Aに示されるような)を伝播及び再配向するレンズデバイスであっても、反射によって入射する放射線を再配向するミラーデバイスであってもよい。デバイス14A、14Bは回折性の光学要素(DOE)、マイクロ型の光学要素、ミラー、屈折レンズ、及びその任意の組合せから構成してもよい。現在の好適な一実施形態においては、ビーム配向デバイスはフレネルの要素である。
【0088】
図6Aにおけるビーム配向デバイス14Bは、接触面にわたって、同一の掃引方向に、主方向(走査角)が異なる複数のビームを掃引するように用いることができる。これは、ビーム配向デバイス14Bの焦点面finにおいて、異なる位置で複数の有角ビーム走査の回転軸を配置することによって実現できる。このような実施形態は図6Bに示され、3の入力走査部8Aないし8Cは焦点面finにおいて、その回転軸とともに配置される。図6Bにおける照射機構は、空間効率が良く、簡易であり、堅牢であり、構築するのが容易となるが、ビーム同士で明確な角度を提供できることは理解されよう。更に、検出機構によって許容される場合に、ビームB1ないしB3は感知領域にわたって同時に掃引可能になる。しかしながら図6Bにおいては、検出機構は、細長いセンサデバイス3’がビームB1ないしB3を識別しないため、入力走査部を連続的に励起するように要求される。
【0089】
図6Cは、相互の角度が明確なビームB1ないしB3の集合の直線状の平行移動を生成するための照射機構の代替的あるいは補助的な構成を例示する。図6Cの実施形態においては、有角走査はビーム配向デバイス14Bの焦点面に配置される回転軸周りで入力走査部8Aによって生成される。デバイス14Bの出力ビームは、好適には実質的に不変な主方向を有し、透過型回折格子15によって受信され、0次ビームB2ならびに0次ビームの側方の1次ビームB1、B3を生成する。図面に示されていないが、格子は同様に高次のビームを生成するように設計してもよい。異なるビームB1ないしB3同士の角度は、周知の回折格子の式:d・(sinθ+sinθ)=m・λによる格子の特性によって決定され、dは格子における回折要素の間隔であり、θは格子の上に衝突するビームの入射角であり、mは次数であり、λは放射線の波長であり、θは各々のm次のビームと格子の法線方向との間の角度である。回折格子の式は一般的には、総ての型式の格子に適用可能である。
【0090】
ビーム配向デバイス14Bと組合わせた格子15の使用によって、空間効率が良く、簡易であり、堅牢であり、構築するのが容易となりうる照射機構が提供される一方、ビーム同士で明確な角度が提供される。更には、ビームB1ないしB3を感知領域にわたって同時に掃引するのを可能にする。更なるビーム方向は、例えば図6Bに示されるように、2以上の有角走査を提供し、ビーム配向デバイス14Bの焦点面finにおいて有角走査の回転軸を配置することによって生成してもよいことは理解されよう。
【0091】
例示された実施形態においては、格子15はデバイス14Bの下流に配置される。これによって、主方向が実質的に不変なビームによって格子15は掃引され、格子15によって生成されるビームB1ないしB3の集合は、更に感知領域内で実質的に不変な主方向に掃引される。しかしながら、格子15は代替的に、検出機構が掃引中にビームB1ないしB3の主方向においてより大きな変位を受けるように構成される場合、デバイス14Bの上流に配置してもよい。
【0092】
上述の格子15はビーム配向デバイス14Bに一体化してもよく、レンズデバイスであってもミラーデバイスであってもよいことは理解されよう。透過型回折格子の代替物として、反射格子を用いてもよい。
【0093】
格子の代替物又は補完物として、ビーム配向デバイス14Bは、単一の入力ビームに基づいて相互の角度が明確な出力ビームの集合を生成するようにそれ自体を構成してもよい。このようなビーム配向デバイス14Bは、深さ方向の互いの頂部に配置される細長いビーム配向セグメント(図示せず)の集合を具えてもよく、各々のビーム配向セグメントは、深さ方向におけるビーム配向デバイス14Bと少なくとも同一の幅の入力ビームによって掃引される場合に、固有の方向に出力ビームを生成するように構成される。1の実装においては、異なるビーム配向セグメントの焦点は、入力焦点面finにおける異なる位置に配置してもよい。例えば、セグメントはその長軸方向に移動して、ビーム配向デバイス14Bの異なるセグメントを形成する、基本ビーム配向セグメントから総てを設計してもよい。互いの頂部に配置する代わりに、ビーム配向セグメントは、ビーム配向デバイス14Bにおいて相互に重畳させてもよい。
【0094】
更に別の格子の代替物又は補完物として、細長いプリズム構造をビーム配向デバイス14Bとパネル縁部/結合要素との間に配置してもよく、プリズム構造は長軸方向に反復するプリズム要素を具える。図6Dはこのようなプリズム要素26の実施例を例示し、別々に傾斜する5の平面状のプリズム面27を有し、これによって入力ビームがプリズム構造に沿って(方向R1に)掃引されるときに、異なる5の方向に配向される。例示した実施例においては、プリズム要素26は周辺材料28のくぼみとして形成される。代替的には、プリズム要素26は周辺材料28のからの突起部として形成してもよい。プリズム構造は別個の構成として提供しても、パネル縁部又は結合要素に一体化してもよい。
【0095】
感知領域内でビームを掃引するための更に別の照射機構は、図6Eに例示される。ここで、光源2のアレイはパネル1の縁部に並んで配置されて、各々のビームの光をパネル内に射出する。光源2を経時的に励起することによって(例えば、図1Aのコントローラ6によって)、方向R2における直線形のビーム走査が生成される。光源からのビームはパネル1の平面において、コリメートしても、散乱させても、収束してもよい。ビームがコリメートされる場合、前述の格子15及び/又は上述の代替物のいずれかを光源2とパネル1との間に提供して、各々の光源からのビームを、相互の角度が明確なビームの集合に変換してもよい。本明細書中に記載の他の実施形態と同様に、タイミング情報はデータ処理装置(図1における符号7)で利用でき、時点を光路に変換できる。
【0096】
[ビーム機構の例示]
以下においては、ビーム走査が直線形のタッチセンシングシステムが、更に詳細に述べられている。特に、感知領域内での異なるビーム機構が図7ないし12によって述べられている。これらの図面はパネルに対するビーム機構に着目するため、ほとんどのハードウェア構成が省略されている。例示したシステムは、図1ないし4及び6で上述したのと同一又は同様の構成の組合せによって実装できることは理解されよう。
【0097】
以下に更に説明されるように、パネル内での異なるビーム機構は、タッチセンシングシステムに対し、例えば接触位置を検出する場合の精度、感知インスタンス内で検出できる接触位置の数、システムの技術的な複雑さ、システムのフットプリント、パネルの表面積全体に対する複数のタッチセンシング領域の相対的な大きさ等に関し、異なる特性を提供しうる。
【0098】
例示したビーム機構においては、ビームがパネル全体にわたって物理的に交差しないことは理解されよう。代わりに、放射線経路及び放射線経路間で交差する点は、ビームの各々がパネルにわたって掃引された場合に再構成できる。
【0099】
更に、ビーム方向に関する以下の記載は、各々のビームの主方向のことであり、パネルの平面図に示されるように、パネルにおいてビーム射出部位から延在する直交する対称性の線であることは理解されよう。
【0100】
更には、本出願の文脈においては、「掃引方向(sweep direction)」は特定の方向(R)とその逆位の方向(−R)とを含む主方向のことである。
【0101】
図面においてはデカルト座標系が導入され、座標軸X、Yは矩形パネルの側面と平行である。これは例示の目的のためだけのものであり、接触位置は任意の型の座標系、例えば極座標系、楕円座標系、放物線座標系等で表わすことができる。
【0102】
1のビーム機構においては、ビームのうちの1以上は掃引方向と直交しない。更に、掃引方向は双方のビームで同一であってもよい。図7は、平行ではない2のビームB1、B2が感知領域にわたって同一の掃引方向R1に平行移動するこのようなビーム機構の実施例を示し、各々のビームの主方向は掃引方向R1の基準Nに対し各々の角度α1、α2を規定する。2の平行ではない2のビームB1、B2が感知領域にわたって同一の方向R1に挿引されるこの型式のビーム機構は、以下においては「v走査(v−scan)」と称される。例示した実施形態においては、他の総ての実施形態と同様に、ビームB1、B2は感知領域の反対側から、あるいは同一側に導入してもよい。例示したv走査の実施形態においては、感知領域(斜線によって示される)は、パネル1の表面積の部分集合である。
【0103】
タッチセンシングシステムが感知インスタンス内で感知領域に接触する複数の対象の位置を検出する能力は、感知領域にわたって3以上のビームを掃引することによって改善される。このいわゆる「マルチタッチ(multi−touch)」機能を可能にする実施例の実施形態は、図8ないし12によってここに記載される。
【0104】
図8A又は8Bは、3のビームB1ないしB3が感知領域にわたって掃引される実施形態を例示する。図8Aは、平行ではない2のビームB1、B2が第1の掃引方向R1に平行移動し、第3のビームB3が第1の掃引方向に垂直な第2の掃引方向R2に掃引されることを示す。
【0105】
例示した実施例においては、第1及び第2の掃引方向R1、R2はパネルの側面に平行である。これによって、システムの設計を容易にすることが知られている。例えば、前述に記載のように、細長いビーム配向要素(例えば、図6Aにおける符号14B)をパネル1の側面に沿って配置して、ビームがビーム配向要素に沿って掃引されるときにパネルにおいてビームの主方向を規定してもよい。従って、直線状の周縁部分(側面/縁部)によって規定されるパネルについては、各々の掃引方向が各々の周縁部分に対して実質的に平行であることが一般的には所望されうる。
【0106】
図8Aにおいては、ビームB1ないしB3はX方向においてはv走査を、Y方向においては単一の走査を形成する。例示した実施例においては、ビームB1、B2の角度は、掃引方向R1の基準に等しいが逆向きである。Y方向に掃引されたビームは掃引方向R2と直交する。これによって、図8Bに示したように、パネルの感知領域は、各々の交差する点が2のビームによって形成される多数の第1の下位部分(sub−portion)P1と、各々の交差する点が3のビームによって形成される中心の第2の下位部分P2とを具える。1の特定の実施形態においては、ビームB1ないしB3は第2の下位部分P2内で実質的に等角である。このようなビーム機構はビーム同士の角度を最大化する。相互の角度が大きくなると、いくつかの実装においては少なくとも接触位置の検出精度が改善される。「等角ビーム(equiangular beam)」によって、各々の交差する点において、ビームの主方向が360°にわたって等しく分布することが示される。この実施例においては図8Cに示されるように、ビーム同士は60°(α1=α2=30°)の角度で交差する。
【0107】
ビームが感知領域内で等角となることが所望されるが、このようなビーム機構は感知領域をパネルの中心部分(下位部分P2参照)に限定できる一方、パネル面全体の残りは浪費される。従って、タッチセンシングシステムのフットプリントは感知領域の大きさに比例して過剰になりうる。
【0108】
しかしながら上に示したように、等角構成ではなくとも、2のビームによって掃引される中心部分の外に下位部分(下位部分P1参照)が存在する。これらの下位部分は更にタッチセンシティビティを提供できる。しかしながら、中心部分とこれらの下位部分との間の性能は、例えば各々の対象の位置決定において到達しうる精度、ならびに区別されうる同時接触の数について異なっている。システム全体の性能はパネルにわたって掃引されるビーム数を増加させることによって改善されうるが、ビーム数が増加することによって、更に多数の異なるビームによって掃引される下位部分の数が増加する。従って、性能における差異はパネルにわたって拡がりうる。更に、パネルにわたって約6ないし10を超えるビームが掃引されるのを回避することが所望されうる。ビーム数が増加すると、システムの費用、技術的な複雑さ、及びフットプリントの可能性が増加する。更に、処理システムのサンプリング速度は通常、特定の価格点で一定となるため、ビーム数の増加によって、ビーム走査ごとのサンプル数が減少する。更に、各々のサンプルに対する測定信号のレベルは、ビーム数の増加とともに減少する可能性がある。
【0109】
図9Aは図8Aにおける実施形態の変形を例示し、更なる1のビームB4がX方向において追加して掃引される。例示した実施例においては、このビームは掃引方向R1と直交し、ひいてはパネルの反対側の組合せと平行であり、これによって感知領域はパネル1の全体に拡張する。図9Bに示されるように、感知領域は、各々の点が2のビームによって掃引される2の第1の下位部分P1と、各々の交差する点が3のビームによって形成される隣接した4の第2の下位部分P2と、各々の交差する点が4のビームによって形成される中心の第3の下位部分P3とを具える。この実施形態においては、等角ビームは感知領域の範囲を拡張するように更なるビームB4によって補完される。この拡張は、一方向R1におけるv走査(B1及びB2)と直交ビーム(B4)との組合せを、パネルにわたって掃引することによって実現される。このビームの組合せは以下においては「Ψ走査(Ψ−scan)」と称する。図9Bと図8Bとを組合わせることによって、パネル全体の性能は、総ての下位部分が更に多数のビームによって掃引されるために増加することは留意すべきである。しかしながら、パネルにわたる性能の差異がまだ存在する。
【0110】
図10Aは図7における実施形態の変形を例示し、X及びY方向の各々が2の平行ではないビーム同士、すなわちv走査によって掃引され、図10Bは図9における実施形態の変形を例示し、X及びY方向の各々が2の平行ではないビーム同士、及び直交ビーム、すなわちΨ走査によって掃引される。
【0111】
図11は、図10Aに示した2のv走査構成における4のビームによって掃引される矩形パネル上の異なる下位部分の位置を示す。特に、図11は各々のv走査において異なるビーム同士の角度(すなわち、図10Aにおいてそれぞれ、ビームB1とB2との間、ならびにビームB3とB4との間の角度)が設定される場合に、これらの下位部分の範囲及び位置がどのように変化するかを示す。約20°のビーム同士の角度(図11(a))で、パネルの主要部分は4のビームによって掃引される。従って、システムの性能はパネルの大部分にわたって同一である。ビーム同士の角度を低減することによって、中心の下位部分の範囲が増加し、他の下位部分の大きさが減少する。約12°ないし15°の角度(図11(d)参照)で、2未満のビームで掃引される下位部分が実質的になく、ひいてはパネル全体が接触感知性となる。約2°ないし8°の角度(図11(b)参照)で、パネル全体は実質的に均一の性能を提供すると見なされうる。システムの性能は相互の角度が減少すると低減するが、十分な性能が相互の約2°ないし最大30°の鋭角で得られうることが分かった。
【0112】
図12は、図10Bに示した2のΨ走査構成における6のビームによって掃引される矩形パネル上の異なる下位部分の位置を示す。図12は各々のΨ走査において異なるビーム同士の最大角度(すなわち、図10Bにおいてそれぞれ、ビームB1とB2との間、ならびにビームB5とB6との間の角度)の影響を示す。下位部分の分布及び大きさは図12と図11との間で差異がない。しかしながら、2のΨ走査の場合、各々の下位部分は2以上のビームで掃引され、システムの性能を増加させるのに役立つ。例えば、システムが複数の接触を検出する能力は増加し、相互の約12°ないし15°の角度(図12(d)参照)で既に、4未満のビームで掃引される下位部分が実質的にない。
【0113】
一般的には、v/Ψ走査は、鋭角のビーム同士の少なくとも1の集合を、パネルにわたって所定の掃引方向に掃引するステップを具え、集合に含まれるビーム同士は30°以下、好適には20°以下の最大鋭角を有する。v走査においては、各々の集合には2のビームがあり、Ψ走査においては、各々の集合には3のビームがある。Ψ走査においては、これらのビームのうちの1の主方向は、好適には掃引方向と直交する。
【0114】
掃引方向に直交するΨ走査において、中心のビームを有する1の利点は、中心のビームが少なくともパネルが矩形である場合に、パネル全体にわたって掃引されることである。2のv走査と比較して、2のΨ走査の中心の2のビームはパネル全体にわたって掃引でき、これによってパネルの周縁部での性能に顕著な改善を引き起こしうる。
【0115】
v走査及びΨ走査を用いる一般的な利点は、タッチセンシングシステムの好適な性能が、パネルにわたって数個のビームのみを掃引することによって得られうることである。更に、v走査及びΨ走査の双方は、空間効率が良く、簡易であり、堅牢である構成の組合せによって、例えば本明細書中に記載の照射及び/又は検出機構によって、実現できる。
【0116】
驚くべきことに、非対称のビーム機構が多数の所定のビームに対する大多数の接触位置の決定を可能にし、及び/又は接触位置を決定する場合に堅牢性を改善できることが見出された。このような非対称のビーム機構は、各々の組合せのビーム同士が固有の鋭角を規定するように少なくとも3のビームを構成することによって取得してもよい。例えば、Ψ走査を形成するビームの集合における、各々の組合せのビーム同士は固有の鋭角を有してもよい。別の変形物においては、非対称のビーム機構は、共通の掃引方向に対して異なる角度を有するように(例えば、図7においてα1≠α2)、少なくとも2のビームを構成することによって取得される。
【0117】
図10Cは、ビームB1ないしB6同士の鋭角の固有の選択によって非対称になりうる2のΨ走査構成を例示する。図10Cの定義においては、相互の鋭角は一方のビーム(B1、B2、及びB4)の集合においては、α、β、及び(α+β)によって、他方のビーム(B3、B5、及びB6)の集合においては、γ、δ、及び(γ+δ)によって与えられる。従って、好適な非対称のビーム機構はα≠β及び/又はγ≠δである場合に取得される。非対称な特性は更にα≠β≠γ≠δを選択することによって、更にはα≠β≠γ≠δ≠(α+β)≠(γ+δ)を選択することによって改善できる。更なる非対称のビーム機構は、ビームB1ないしB6同士の鋭角の総てが固有であるように、α、β、γ、及びδが選択される場合に取得される。このような1の限定しない実施例においては、α=6°、β=8°、γ=7°、及びδ=5°である。パネルが矩形であり、長辺同士と短辺同士が対向する場合、非対称特性はパネルの長辺に対して(すなわち、方向R2において)直交に掃引されるビーム(B3、B5、及びB6)の集合の相互の最大鋭角が他方のビーム(B1、B2、及びB4)の集合よりも小さくなる、すなわち(γ+δ)<(α+β)となるように選択できる。このようなビーム機構によって、他の非対称な2のΨ走査構成と比較してパネルの感知領域が増加する。
【0118】
前に記載のビーム機構のうちのいずれか1つは上述の設計原理のいずれか1つに従わない更なるビームと組合わせてもよいことは更に留意すべきである。例えば、等角ビームの集合は、等角ビームの集合と等角ではない1以上の更なるビームと組合わせてもよい。更に、前に記載のビーム機構のうちのいずれか1つを組合わせること、例えば、v走査とΨ走査とを、等角ビームと1以上のv走査又はΨ走査とを、組合わせることが可能である。
【0119】
異なるビーム機構、及びビーム機構を生成するためのシステムについての更なる詳細は、米国仮特許出願第61/129,372号、及び米国仮特許出願第61/129,373号に与えられており、双方が2008年6月23日に出願され、引用によって本明細書中に組み込まれている。
【0120】
[実装の詳細の例示]
上の実施形態の総てにおいて、光源は任意の好適な波長範囲で、例えば赤外光又は可視光の波長範囲で動作できる。総てのビームは同一の波長で生成してもよい。代替的には、異なるビーム掃引は波長範囲が異なる光で生成してもよく、波長に基づいてビーム掃引間の区別が可能となる。更に、光源は連続放射線あるいはパルス放射線のいずれを出力してもよい。更には、光源は同時に又は経時的に励起してもよい。例えばダイオードレーザ、VCSEL(垂直共振器表面発光ダイオードレーザ)、又はLED(発光ダイオード)、白熱電球、ハロゲンランプ等の、所望の波長範囲で光を射出することを可能にする任意の型の光源を用いることができる。好適には、射出部位でビームがパネルの平面において実質的にコリメートされるように、照射機構は構成される。このことによって、感知領域の逆位の末端で1以上のセンサに到達する放射線の量が最大化される。
【0121】
伝播エネルギーは、光を電気的な測定信号に変換することが可能な任意の型の光センサによって測定できる。本明細書の文脈においては、「光センサ(light sensor)」が0次元光検出器を指すことは強調すべきである。従って、光センサは、光検出器、又はCCD若しくはCMOS検出器上の画素といった単一の光感知要素であってもよい。代替的に光センサは、ハードウェア又はソフトウェアにおける別個の要素の出力を合計/平均することによって、0次元光検出のために組合わされた光感知要素の群によって形成してもよい。
【0122】
一般的には、パネルは1以上の層において固体材料で生成される。接触面における内部反射は内部全反射(TIR)によって生じ、パネルの材料と周囲の媒体、一般的には空気との間の屈折率の差によって生じる。逆位の境界面における反射はTIR、あるいは逆位の境界面に塗布される反射コーティングのいずれかによって生じうる。内部全反射は、放射線が各々の射出点で臨界角より大きい、接触面の基準に対する角度でパネル内に射出される限り維持される。臨界角は当業者に公知のように、射出点で放射線を受信する材料、及び周囲の材料の反射率によって調整される。一般的には、パネルは関連する波長範囲における十分な放射線の量を伝播して、伝播エネルギーの感知可能な測定を可能にする任意の材料で生成される。このような材料はガラス、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びポリカーボネート(PC)を含む。パネルは円形、楕円形又は多角形といった任意の形状であってもよく、矩形を含んでいる。パネルは外周の縁部の一部によって規定され、パネルの上面及び下面に垂直であってもなくてもよい。放射線は縁部の一部を介して直接的にパネルの内部及び外部に結合してもよい。代替的に、別個の結合要素は縁部の一部又はパネルの上面若しくは底面に取付けて、放射線をパネルの内外に誘導してもよい。このような結合要素の形状は楔形であってもよい(図5参照)。
【0123】
タッチセンシングシステムは更に、少なくとも一部の感知領域内にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供するインタフェースデバイスを具えてもよい。インタフェースデバイスはパネル上方、下方、又は内部に配置される固定画像を有する基板の形態であってもよい。代替的に、インタフェースデバイスはシステムの下方又は内部に配置されるスクリーン(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ)であっても、パネル上へイメージを投射すべくシステムの下方又は上方に配置されるプロジェクタであってもよい。このようなインタフェースデバイスはコンピュータ画面によって提供されるGUIと同様に、動的なGUIを提供してもよい。
【0124】
図面に示されていないが、アンチグレア(AG)構造をパネルの上面及び下面の一方又は双方に提供してもよい。AG構造はパネルの表面上の外部照明からのグレアを低減するのに用いられうる拡散面構造である。そうしなければ、このようなグレアによって、外部の観察者が前述のインタフェースデバイスによってパネル上に提供される任意の情報を見る能力が低下するであろう。更に、接触する対象が剥き出しの手指である場合、手指とパネルとの間の接触によって通常、表面上に指紋が残る。完全な扁平面でが、このような指紋ははっきりと可視でき、通常は所望されない。AG構造を表面に加えることによって、指紋の可視性は低減する。更に、手指とパネルとの間の摩擦はアンチグレアが用いられる場合に低減し、これによってユーザの見聞を改善する。アンチグレアは光沢単位(GU)で特定され、GU値が低くなると、グレアが低くなる。一実施形態においては、パネルの1以上の接触面は10ないし200、好適には100ないし120のGU値を有する。
【0125】
上述の実施形態においては、入力走査部及び/又はセンサはパネルの周縁部の外部に配置される。このことは、例えばタッチセンシングシステムがインタフェースデバイス、例えばディスプレイデバイスに一体化すべき場合に所望されない。タッチセンシングシステムの構成がディスプレイの周縁部から離れて配置される場合は、完全なシステムの表面積が所望されないほど大きくなるであろう。
【0126】
図13Aは、図6Aにおける実施形態の変形の断面図である。ビーム経路は入力走査部8A及びセンサ3がパネル1の下方に配置できるように重畳される。例示したタッチセンシングシステムは2の重畳システムを具え、パネル1の反対側に配置される。図13Aのシステムにおいて、ビームは光源2から射出されて、回転ミラー16に到達し、重畳システムの方にビームを反射する。第1の重畳システムに入射した後に、ビームは最初に固定ミラー17で、その後固定ミラー18で反射され、これによってビームはパネル1の平面に重畳される。重畳されたビームは次いで、ビーム配向デバイス(レンズ)14Bを通過し、例えば光学的に透明な接着剤又はその他の種類の好適な接着剤でパネル1に取付けられうる結合要素13を介してパネル1に入射する。ビームはパネル1にわたる内部反射によって伝播し、結合要素13を介してパネルから射出する。その後、ビームが更にパネルの下方に重畳されるように、ビームは第2の重畳システムに入射し、再配向レンズデバイス10Bを通過し、固定ミラー19、20で反射される。ビームはその後第2の重畳システムから射出し、センサ3によって受信される。
【0127】
図13Bは、図6Bにおける実施形態の変形の立面側面図である。ビーム経路は入力走査部8Aないし8Cをパネル1の下に配置できるように重畳される。図6Bにおける実施形態と比較すると、出力走査部と左側の重畳システムは結合要素13に取付けられた細長いセンサデバイス3’によって置き換えられている。
【0128】
総ての実施形態においては、タッチセンシングシステムは伝播デバイスを具えていてもよく、パネル1の下方に配置されて、入力走査部/光源とパネル上の射出点との間にある照射機構において、及び/又はパネル上の出力結合点と出力走査部/センサデバイスとの間にある検出機構において、閉鎖型の光ガイドチャネルを規定する。このような伝播デバイスの使用によって、パネルの1つ又は数個の側面で成分のほとんどを集めること可能となる。好適には、伝播デバイスは最小限の拡散で光を誘導するように設計され、ビーム特性の広幅化を回避する(以下の記載参照)。パネル上のAG構造の存在下で、検出機構においてではなく、照射機構において伝播デバイスを具えることが、これによってセンサでのビーム特性の幅を最小化するため、更に好適である(AG構造における拡散によるビームの広幅化については以下の記載参照)。
【0129】
図14A又は14Bは、図13Bにおける実施形態の変形を例示し、伝播デバイスは伝播板22の形態に組み込まれ、パネルと同一の材料若しくはその他の放射線を十分に伝播する材料又は材料の組合せで生成されうる。伝播板は好適には、その板内に上述のビームが掃引されるのを可能にする範囲を有し、実質的にパネルと同一の大きさを有してもよい。図14Aにおいては、伝播板22はパネル1から間隔を置いて配置され、インタフェースデバイス23がパネル1とその板22との間に配置されるべく収容される。図14Bにおいては、板22はパネル1と接触して配置され、パネル1に一体化された層として形成できる。双方の実施例においては、タッチセンシングシステムは伝播板22からパネル1にビームを配向する遠位側の重畳システム24を具える。図14の実施例においては、ビーム配向デバイス14Bは遠位側の重畳システム24に含まれている。これによって、デバイス14Bにおける不正確さの影響を低減し、及び/又はシステムのフットプリントを低減しうるビーム配向デバイス14Bとセンサデバイス3’(あるいは、存在すれば再配向デバイス10B)との間の距離が最小化される。
【0130】
一般的には、伝播板22の使用によって、タッチセンシングシステムが提供でき、簡易であり、小型であり、堅牢であり、構築するのが容易である。ビームは内部全反射によって、及び/又はその板22が1以上の反射層でコーティングされることによって、その板22内に制限される。代替的な実施形態(図示せず)においては、タッチセンシングシステムは2以上の伝播デバイスを具えてもよい。例えば、別個のビームは別個の伝播デバイスで誘導してもよく、システムはビームをパネルに誘導するための1以上の伝播デバイスと、ビームをパネルから誘導するための1以上の伝播デバイスとを具えてもよい。光ファイバーといった他の型の伝播デバイスを代替的に用いてもよい。
【0131】
[接触位置の決定]
接触位置の決定のためのプロセス(本明細書中では「復号プロセス(decoding process)」とも称される)は、図1に関連づけて手短に上に示した。本出願人は復号プロセスを設計して、パネルにおける光散乱の効果を考慮することは好都合であると理解している。以下に示されるように、復号プロセスは、実際に伝播光に光伝播パネルの境界面の一方又は双方で散乱を生じさせることによって改善できる。
【0132】
前に説明したように、このような散乱はアンチグレア(AG)構造によって引き起こされうる。一方及び双方のその境界面上にAG構造を有する光伝播パネルにおいて、光のビームが内部反射によって伝播する場合、このような散乱境界面に対する各々の内部反射は、いくつかの光にビームの主方向から離れて分流を生じさせ、更に放射線に境界面を通る漏れを生じさせうる。従って、AG構造の提供によって一般的には、ビームがパネル上の入射点から伝播される場合に、パネルの平面でのビームの広範化を生じさせる。
【0133】
この広範化によって、空間伝播信号における接触サインの形状に、パネル上の接触する対象の位置、特に、接触する対象と関連する入力結合/入射点との間の距離への依存が生じる。図15Aは接触する対象によって生じる接触サインの幅と、接触する対象と入射点との間の距離との間の例示的な従属性を示す。接触する対象の実際の幅はWである。接触する対象が入射点の近くに配置される場合、検出された接触サインは明確であり、実際の幅と同様の幅を有している。接触する対象が入射点から遠くに移動するにつれて、検出された接触サインは徐々に広範化される。出力結合点の近くでは、接触サインの幅は更に、相応に小さくなりうる。幅と接触位置との間の実際の関数従属性は、タッチセンシング装置の実際の光学的設計に大きく依存し、図15Aは単なる実施例として与えられることは理解されよう。
【0134】
図15Aにおいては、入力結合点と出力結合点との間の中心に配置される小さい接触する対象は、入射点の近くに配置される大きい接触する対象と同一の接触サインの幅を与えることは理解されよう。図15Aにおけるデータに基づいて、特定の接触サインの幅を与える接触する対象の実際の幅を、接触する対象と入射点との距離の関数として決定することが可能である。この型の関数従属性は以下では分散関数と称される。図15Bは、図15Aにおけるデータに対し決定される分散関数のグラフである。従って図15Bは、空間伝播信号において同様の接触サインの幅を生成する異なる位置での実際の対象の幅を例示する。以下で更に説明されるように、このような分散関数は、1以上の接触する対象の位置及び/又は大きさを決定する場合の精度及び/又は整合性を改善するのに用いられうる。
【0135】
分散関数の始点はここで更に、図1Bの直線形のビーム走査の実施形態に関連づけて説明される。特定のタッチセンシング装置の動作を理解するために、その光学的設計を分析することが必要である。入射点からの光線の集合の散乱形状は、多くの異なる因子、例えばパネルの厚さ、境界面上への内部入射角、AG構造等に依存する。得られた接触サインは光線の集合の散乱とは別に、他の多くの因子、例えば、センサの表面積、センサの有効視野角、射出光の断面等に依存する。ビームがパネルの縁部に対し平行に掃引される場合、センサ特有のパラメータは一般的に、出力結合点に近い接触位置で接触サインにより多くの影響を与える。結果的に、エミッタ特有の特性は主に、入射点に近い接触位置で接触サインに影響を与える。
【0136】
上で説明したように、パネルを通って伝播される光のビームはAG構造と干渉する度に広幅化される。図16AはビームB1が入射側で射出され、検出側に伝播するパネル1の平面図である。検出側では、例えば検出機構の視野角が図2A又は2Bの実施形態におけるように限定される場合、ビームB1のエネルギーは限定された領域(符号30によって示され、以下で「受信領域(receiving area)」と称される)内で感知される。受信領域30の長さはセンサの有効視野角に依存する。
【0137】
図16Aに示されるように、ビームB1はパネルを通って伝播しつつ散乱する。受信領域30の長さは図示されるように、パネルの平面において有限であるため、検出側に到達する散乱するビームB1の中心部分のみを受信する。図16Bは受信領域30に到達する外側の光線を示している。
【0138】
図16Cは、対象O1が入射側、本実施例においては左側に近いパネル1に接触する場合の状況を例示する。単純化のために、我々はビームB1に対し移動する接触する対象O1を考察するが、結果は静止状態の接触する対象や移動するビーム(ビーム走査の実施形態と同様の)に対し同等に適用可能である。4の異なる対象O1の位置が図16Cの左側部分に示される。明らかに、対象O1は短距離でビームB1と干渉する。図16Cは更に、対象O1がビームB1の大部分と干渉することを示す。従って、得られた接触サインは狭く(幅が小さく)、かつ強く(伝播が低く)なる。
【0139】
図16Dは、対象O1が入射側から更に離れてパネル1に接触する場合の状況を例示する。明らかに、対象O1は更に長距離にわたってビームB1と干渉する。対象O1がビームB1のわずかな部分と干渉することは更に理解されよう。従って、得られた接触サインは広範かつ脆弱になる。
【0140】
図16の実施例においては、接触サインの幅は図16Dにおける対象O1の右側の位置で相応に減少する。このようなサインの動作は更に、図15Aのグラフに例示される。サインの幅におけるこのような減少は、(例えば、図16Aに示されるように)受信領域30の長さが検出側で散乱するビームの幅より小さい場合にのみ観察されることに留意すべきである。例えば、図4A又は4Bに示した実施形態においては、センサの有効視野角は大きく(一般的には45°ないし180°)、接触サインにおける減少は観察される可能性が低い。
【0141】
以上、接触サインの幅及び高さは、散乱の効果によって接触する対象の位置と共に変化することが示された。以下では、得られた分散関数がどのように復号プロセスを改善するのに用いられるかを説明する。説明のために、散乱の効果は以下の開示に付随する図面において相応に誇張される。
【0142】
図17Aないし17Dは直線形のビーム走査の実施形態を例示し、コリメートされた3の平行ではないビームがパネルにわたって掃引(平行移動)され、3の空間伝播信号を生じさせる。
【0143】
図17Aは3のビームB1ないしB3と、得られた空間伝播信号S1’ないしS3’とを例示する。第1のビームB1はパネル1の上下の縁部と平行であり、パネル1において左側で射出され右側で検出される一方、下から上に掃引される。得られた伝播信号S1’はパネル1の右側に図示される。第2のビームB2は、パネル1の縁部に対し平行ではない走査角を有し、上側で射出され下側で検出される一方、左側から右側(あるいはその逆)に掃引される。得られた伝播信号S2’は下側に図示される。第3のビームB3は、パネル1の左右の縁部に対し平行であり、下側で射出され上側で検出される一方、左側から右側(あるいはその逆)に掃引される。得られた伝播信号S3’は上側に図示される。各々の伝播信号S1’ないしS3’は各々の接触サインP1’ないしP3’を含み、接触する対象O1から得られる。
【0144】
図17Bは、接触サインP1’ないしP3’に基づいて決定される減衰経路を例示し、分散によって生じる信号分散を考慮していない。ここでは減衰経路は、関連するビーム経路に沿って各々のピークP1’ないしP3’の極限から延在する平行な直線によって例示されるように、接触サインP1’ないしP3’の極限を追跡して対応する入射点に戻すことによって再構築されている。明らかに、減衰経路の交差では、対象O1の推定される大きさについて不整合がある。
【0145】
図17Cは、図17Aにおける第1のビームB1に対する減衰経路の再構築を例示し、本実施形態で決定される分散関数を用いている。分散関数は理論的に演算しても、測定データ由来であってもよい。図17Cは入射点からの距離の関数として、検出された接触サインの幅を与える対象O1の実際の幅を示す2の分散線を含む。対象O1が入射点の近くに配置される場合、実際の幅は接触サインの幅に実質的に等しいことは理解されよう。対象O1が入射点から更に離れて配置される場合、その実際の幅は、検出される接触サインP1’を生成するために更に小さくしなければならない。
【0146】
図17Dは分散関数を各々の接触サインP1’ないしP3’の幅に適用することによって、ビームB1ないしB3により生成される伝播信号S1’ないしS3’において、接触サインP1’ないしP3’に対して再構築される減衰経路を例示する。明らかに、減衰経路の交差で得られた実際の幅は整合性がある。従って、分散関数を適用することによって、交差での実際の幅の整合性を検査することにより決定される位置を検証することが可能となる。
【0147】
以下に示されるように、更なる利点は空間伝播信号が処理されて、パネル上の2以上の接触する対象の位置を決定する場合に取得されうる。これらの利点は図18A又は18Bに示される直線形のビーム走査の実施形態に関連づけて説明される。この実施形態においては、2のコリメートされたビームはパネルにわたって掃引(平行移動)され、2の空間伝播信号が生じる。第1の伝播信号S1は、パネル1の上縁部及び下縁部に対して平行であり、左側で射出されパネル1の右側で出力結合されるビームB1の伝播エネルギーを感知することによって生成される。第2の伝播信号S2’は、パネル1の左縁部及び右縁部に対して平行であり、下側で射出されパネル1の上側で出力結合されるビームB2の伝播エネルギーを感知することによって生成される。
【0148】
図18Aにおいては、各々の伝播信号S1’、S2’は2の接触サインP1a’、P1b’、P2a’、P2b’を含み、各々は接触する対象O1、O2のうちの一方から得られる。図18Aは更に、本実施形態で分散関数を適用する場合に、接触サインP1a’、P1b’、P2a’、P2b’に基づいて再構築された減衰経路(補正された減衰経路)を例示する。図18Aは更に、分散関数を適用することなく得られる減衰経路(補正されない減衰経路)を例示する。減衰経路は多角形の4の交差を形成し、各々の交差が候補の位置c1ないしc4となる。補正された減衰経路を見ると、交差のうちの2つはほとんど正方形である一方、他方の2の交差は薄く細長いことが理解されよう。対象O1、O2が形状においてほぼ正則であると認知される場合、接触する対象は正方形の交差c1、c4に配置されると結論づけられうる。従って、交差の形状/面積に基づいて、マルチタッチの状況における候補の位置の中にあるゴースト位置から真の位置は識別できる。
【0149】
図18Bは、2の対象O1、O2が図18Aにおけるゴースト位置に配置される場合に生成される空間伝播信号S1’、S2’を例示する。補正された減衰経路を見ると、接触する対象O1、O2に対応する交差がほぼ正方形であり、同様の面積を有することが更に理解されよう。ゴースト点での交差c1、c4は更に正方形であるが、一方の交差の面積が非常に小さく、他方の交差の面積が顕著に大きい。従って、交差c1ないしc4の面積を評価することによって、2の最も確率の高い接触位置を決定することが可能である。不可能ではないが、総ての交差がほぼ同一の形状及び面積を有するため、補正されない減衰経路に基づいて真の位置とゴースト位置とを識別することは非常に困難であることは理解されよう。
【0150】
図19は、上述のビーム走査の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、接触位置を同定するのに用いられうる例示的な復号プロセスに対するフローチャートである。
【0151】
ステップ701においては、そのプロセスは、一般的には所定の時間間隔で測定信号からのデータ値をサンプリングすることによって、光センサから測定信号を取得する。
【0152】
次いでステップ702においては、時間従属性の測定信号は各々の光のシートに対するサンプルのベクトルを形成するように処理され、各々のサンプルのベクトルは異なる時点と関連するデータ値の列を含んでいる。実装によってはこの処理は、ノイズ及び/又は周辺光の抑制のために測定信号にフィルタをかけるステップ、異なるセンサからの測定信号を組み合わせるステップ、測定信号を補間するステップ等を具えてもよい。その処理は更に、サンプルのベクトルがバックグラウンドデータによって分割される正規化を含んでもよい。バックグラウンドデータは、任意の対象が接触面に接触することなく受信されるエネルギーを表す、対応するサンプルのベクトルであってもよい。バックグラウンドデータは別個の較正ステップ中にプリセット又は取得されてもよい。サンプルのベクトルは次いで、前述のタイミング情報によって空間伝播信号に変換される。この変換においては、空間伝播信号はパネル座標系において等しいサンプリング距離を有するように矯正、すなわち変換してもよい。このような矯正は、出力結合部位にわたるビーム掃引の速度を示す掃引関数に基づいて各々の空間伝播信号を補間するステップを具えてもよく、出力結合部位において均一に間隔を空けた出力結合点の集合にマッピングされるサンプルを有するデータ集合を生じさせる。矯正は選択的であるが、接触位置の後の演算を単純化できる。
【0153】
ステップ703においては、各々の空間伝播信号は接触する対象から生じうる1以上のピークを同定するように処理される一方、場合によっては更に、隣接/重畳するピークを分離する。同定されたピークは上述の接触サインに対応する。
【0154】
ステップ704においては、各々のピークの中心点が同定される。このステップは伝播信号におけるデータ値を補間するステップを具えても具えなくてもよい。中心点を用いて、かつ、空間伝播信号における各々のデータ値でビームの走査角を認知することによって、そのプロセスは各々の中心点に対する中心光線(図1E参照)を決定する。更には、空間伝播信号における各々のピークの幅が決定される。
【0155】
ステップ705においては、中心光線間の交差は三角測量によって決定される。これらの交差は候補の接触点を形成する。
【0156】
ステップ706においては、各々の交差での実際の幅は伝播信号における各々のピークに対し演算され、分散関数とピーク幅を用いている。例えば、交差でのピーク幅及び位置データは図15Bに示される形式の関数に入力でき、交差での実際の幅を出力する。従って、ステップ706によって各々の候補の接触点に対する幅データが生じる。
【0157】
ステップ707においては、そのプロセスは候補の接触点の間にある、最も確率の高い真の接触点の集合を決定する。上述に示したように、真の接触点は各々の候補の接触点に対する面積値を演算し、面積測定値に面積値を整合させることによって、若しくは各々の候補の接触点に対する形状値を演算し、形状測定値に形状値を整合させることによって、又はその組み合わせで同定できる。
【0158】
ステップ708においては、真の接触点はそのプロセスによって出力される。
【0159】
検証ステップ707を更に例示するために、我々は図18Aにおける状況を考察する。上述のステップ701ないし706を適用した後に、そのプロセスは4の候補の接触点:c1=(x,y1)、c2=(x1,y2)、c3=(x2,y1)、及びc4=(x2,y2)、ならびに各々の候補点での対応する幅データ(w,w)を決定する。第1の検証のサブステップは細長い形状を有するゴースト点について試験するように構成できる。各々の候補点について、比率r=min(w,w)/max(w,w)は幅データを用いて演算される。比率rが左上及び右下の候補の接触点c2、c3について有意に小さい場合、そのプロセスは右上及び左下の候補の接触点c4、c1が真の接触点であると結論づける。第2の検証のサブステップは例えば、w*wとして、候補点の面積を演算するように構成できる。左下の候補の接触点c1が他の候補の接触点より有意に大きく、同時に右上の候補点c4が他の候補の接触点よりも小さい場合、そのプロセスは左下及び右上の候補の接触点c1、c4はゴースト点と結論づけられる(図18B参照)。単純化した検証の実施例においては、そのプロセスは第1の検証のサブステップによる左上の候補点c2又は右下の候補点c4のみを検証するように構成できる。例えば、解像すべき接触の数、分散関数、対象の形状及び面積、対象間の形状及び面積の変化等に依存する、多数の代替的な検証ステップ707の実装があることが当業者には理解されよう。
【0160】
上述の実施例は、光伝播パネルの内部で多数の平行ではないコリメートされたビームを掃引することによって生成される空間伝播信号に基づいて、減衰経路の再構築において分散関数を適用することによる復号プロセスを改善することは一般的に可能であることを示す。
【0161】
図19の実施例においては、中心光線は、対応する入射点に対して接触サインの中心点を幾何学的に回帰することによって各々の接触サインで最初に再構築される(ステップ704)。その後、候補の接触点の集合は再構築された中心光線を三角測量することによって決定され(ステップ705)、分散関数は各々の候補の接触点で実際の幅を決定するように適用される(ステップ706)。従って、補正された減衰経路は候補の接触点でのみ決定される。
【0162】
ある変形においては(図示せず)、補正された減衰経路は三角測量の前に決定され、すなわち、分散関数が最初に検出側から入射側への減衰経路全体を再構築するように適用される。次いで、減衰経路全体が三角測量ステップにおいて交差され、ひいては候補の接触点の位置と実際の幅との双方を生じさせる。
【0163】
上の実施例においては、コリメートされたビームがパネル内に射出されるが、当業者は、復号プロセスでの上の教示をどのように実装して、入力結合部位でのパネルの平面において分散又は収束するビームを計上するかを容易に理解できよう。同様に直線形のビーム走査が記載されているが、上の教示は有角ビーム走査に同様に適用可能である(図5参照)。
【0164】
当業者に上述の復号プロセスについて多くの変形及び代替があることは理解されよう。例えば、空間伝播信号はサンプルのベクトルの一部のみを表すように生成してもよい。例えば、ステップ702及び703は、接触サインがサンプルのベクトルで最初に同定されるように、組み合わせてもよく、空間伝播信号はサンプルのベクトルにおける、接触サイン内の多くのサンプル点のうちの1つに対してのみ生成される。
【0165】
実際に、復号プロセスは任意の利用可能な画像再構築アルゴリズム、特に、断層撮影の分野などで用いられる小視野(few−view)アルゴリズムに基づいている。任意のこのようなアルゴリズムは、分散関数が既知である限り、分散を計上するように変形できる。
【0166】
[分散関数の取得]
分散関数は特定のタッチセンシング装置に対する理論的な計算、あるいは測定のいずれかによって取得されうる。図20は、図18に示される型の直線形のビーム走査の実施形態から取得される測定データのグラフであり、測定データは37インチの直径を有する矩形の光伝播パネルで取得される。そのグラフは入射点(例えば、図18Aにおけるパネルの左側に配置される)と接触する対象との間の距離の関数として、測定された接触サインの半値幅を示す。従って、このグラフは図15Aにおけるグラフに対応する。接触サインの幅は入射点からの距離に(及び、更には出力結合点への距離に)明らかに依存する。この特定の実施例においては、接触する対象が出力結合点の近くに配置される場合に、接触サインの幅が減少しない。分散関数は実際の測定データによって、好適には図15Bに示されるような関数で再計算後に与えてもよく、あるいは分散関数は測定データに合致する好適な関数に基づいて誘導してもよい。
【0167】
[データ処理装置]
上述のデータ処理装置は更に図21に例示される。図示されるように、データ処理装置7は上述の復号プロセスにおいて異なる処理ステップを実行するための要素又は手段の集合mないしmを具える。データ処理装置は1以上の汎用目的又は特有目的の演算デバイス上での特定目的のソフトウェア(又はファームウェア)の実行によって実行できる。この文脈においては、このような演算デバイスの各々の「要素(element)」又は「手段(means)」は方法ステップの概念上の等価物のことであり、常に、要素/手段とハードウェア又はソフトウェアのルーチンの特定部分との間で1対1対応であるとは限らないことは理解されよう。ハードウェアの一部分は時に異なる手段/要素を具える。例えば、処理ユニットは、1の命令を実行する場合に1の要素/手段で動作し、別の命令を実行する場合は別の要素/手段で動作する。更に、1の要素/手段はいくつかの場合においては1の命令によって、いくつかの他の場合においては複数の命令によって、実装されてもよい。このようなソフトウェア制御式の演算デバイスは、1以上の処理ユニット、例えばCPU(中央演算処理装置:Central Processing Unit)、DSP(デジタル信号プロセッサ:Digital Signal Processor)、ASIC(特定用途向けIC:Application−Specific Integrated Circuit)、離散式アナログ及び/又はディジタル構成、あるいはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ:Field Programmable Gate Array)といったその他のプログラム可能な論理デバイスを具えてもよい。演算デバイスは更に、システムメモリと、システムメモリを含む多様なシステム構成を処理ユニットに接続するシステムバスとを具えてもよい。システムバスは任意の多様なバス構成を用いる、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺機器用バス、及びローカルバスを含むバス構成のいくつかの型のうちの任意のものであってもよい。システムメモリは読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及びフラッシュメモリといった揮発性及び/又は不揮発性のメモリの形態のコンピュータ記憶媒体を具えてもよい。特定目的のソフトウェアはシステムメモリに、あるいは磁気媒体、光媒体、フラッシュメモリカード、デジタルテープ、ソリッドステートRAM、ソリッドステートROM等といった、演算デバイスに含まれるかアクセス可能な他の脱離可能/脱離不能な揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体に記憶してもよい。演算デバイスはシリアルインタフェース、パラレルインタフェース、USBインタフェース、無線インタフェース、ネットワークアダプター等といった1以上の通信インタフェース、ならびにA/D変換器といった1以上のデータ取得デバイスを含んでもよい。1以上のI/Oデバイスは通信インタフェースを介して演算デバイスに接続してもよく、例えばキーボード、マウス、タッチスクリーン、ディスプレイ、プリンタ、ディスクドライブ等を具える。特定目的のソフトウェアは演算デバイス又は任意の好適なコンピュータで読み出し可能な媒体に提供してもよく、記録媒体、読み出し専用メモリ、又は電気的な搬送信号を含む。
【0168】
本発明は主にいくつかの実施形態によって上述している。しかしながら、当該技術分野の当業者によって容易に理解されるように、上に開示した以外の他の実施形態は本発明の範囲及び精神で同様に可能であり、添付の特許請求の範囲によってのみ規定及び限定される。
【0169】
例えば、パネルがAG構造で提供される場合でも、得られた復号プロセスの性能が受容可能と考えられる場合、復号プロセスは分散を考慮する必要はないことは理解されよう。
【0170】
更に、前述に記載の光学構成のうちの1以上は単一の光学ユニットに接続してもよく、前述に記載の単一の光学構成の機能は構成の組合せによって提供してもよい。例えば、放射線をパネルに、あるいはパネル縁部に結合するために、結合要素にビーム配向デバイス又は再配向デバイスを統合することは予想されよう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触面(4)上にある少なくとも1の対象の位置を決定するための装置であって、当該装置が:
前記接触面(4)と対向面(5)とを規定するパネル(1)と;
前記接触面(4)と前記対向面(5)との間の内部反射による伝播用に少なくとも2のビーム(B1ないしB6)の放射線を前記パネル(1)に誘導し、感知領域内の前記接触面(4)に沿って各々のビーム(B1ないしB6)を掃引するように構成される照射機構であって、これによって、前記感知領域内の前記接触面(4)に接触する対象が、前記少なくとも2のビーム(B1ないしB6)の一時的な減衰を生じさせる照射機構と;
前記感知領域の前記パネル(1)の下流上の細長い1以上の出力結合部位に沿って掃引されるように前記パネル(1)の外に前記ビーム(B1ないしB6)を結合するための検出機構であって、前記1以上の出力結合部位に光学接続され、かつ前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビーム(B1ないしB6)のエネルギーを測定するように構成される少なくとも1の光センサ(3;3’)を具える検出機構と;
当該検出機構に接続され、時間の関数として前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビーム(B1ないしB6)のエネルギーを示す出力信号(S1、S2)を取得するように構成され、前記出力信号(S1、S2)に基づいて前記対象の位置を同定するように構成されるデータ処理装置(7)と;
を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記データ処理装置(7)が、前記対象由来の信号特性(P1、P2)の集合を前記出力信号(S1、S2)において同定し、各々の信号特性(S1、S2)に基づいて前記感知領域にわたる減衰光の経路のうちの少なくとも一部を決定し、このように決定された前記減衰光の経路に基づいて前記対象の位置を同定するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記データ処理装置(7)が前記感知領域にわたって、前記出力信号(S1、S2)における各々の信号特性(P1、P2)のうちの少なくとも1の時点の、光路へのマッピングを行うことによって、前記減衰光の経路を決定するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記データ処理装置が前記マッピング時に、前記出力信号(S1、S2)における各々の信号特性(P1、P2)のうちの少なくとも1の時点を前記1以上の出力結合部位内の空間位置にマッピングするように構成されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項2に記載の装置において、前記データ処理装置(7)が、各々の出力信号(S1、S2、S3)における時点の数列を前記1以上の出力結合部位内の空間位置の対応する数列にマッピングし、このようにマッピングされた出力信号(S1’、S2’、S3’)における信号特性(P1’、P2’;P1a’、P1b’、P2a’、P2b’)の集合を同定するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記照射機構が各々のビームに対する前記パネル上の入力結合点の集合を規定し、前記データ処理装置(7)が前記信号特性に基づいて、前記減衰光の経路のうちの少なくとも一部を決定する場合に、前記接触面(4)及び前記対向面(5)のうちの少なくとも1つに起因する光散乱による、前記入力結合点のうちの1つとの距離に対する信号特性の幅の従属性を表わす所定の幅関数を適用するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、前記幅関数が、前記入力結合点に対する距離の関数として前記信号特性(P1’、P2’;P1a’、P1b’、P2a’、P2b’)で与えられる前記対象の実際の幅を表わすことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置において、前記データ処理装置(7)が各々の信号特性(P1’、P2’;P1a’、P1b’、P2a’、P2b’)に対する前記減衰光の経路のうちの少なくとも一部を決定する場合に、前記信号特性(P1’、P2’;P1a’、P1b’、P2a’、P2b’)の中心点を前記入力結合点のうちの1つに幾何学的に回帰することによって前記減衰光の経路の中心光線を再構築し、前記信号特性(P1’、P2’;P1a’、P1b’、P2a’、P2b’)の信号幅を決定し、前記幅関数を適用することによって前記中心光線に沿った1以上の候補位置(c1ないしc4)での対象の幅を決定するように構成され、これによって前記減衰光の経路の一部を決定することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記データ処理装置(7)が、前記信号特性(P1’、P2’;P1a’、P1b’、P2a’、P2b’)の集合から再構築される中心光線の集合を用いて、三角測量によって前記1以上の候補位置(c1ないしc4)を決定するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の装置において、前記データ処理装置(7)が各々の信号特性(P1’、P2’;P1a’、P1b’、P2a’、P2b’)に対する前記減衰光の経路のうちの少なくとも一部を決定する場合に、候補位置(c1ないしc4)の集合を決定するように構成され、前記データ処理装置(7)が前記対象の位置を同定する場合に、このように決定された前記減衰光の経路に基づいて少なくとも1の候補位置(c1ないしc4)の形状測定値及び/又は面積測定値を演算し、当該形状測定値及び/又は面積測定値に基づいて前記少なくとも1の候補位置(c1ないしc4)を検証するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の装置において、前記データ処理装置(7)が各々の出力信号を、前記対象が前記感知領域内の前記接触面(4)と接触しない場合の出力信号を意味するバックグラウンド信号により正規化するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の装置において、前記光センサ(3’)が前記出力結合部位と平行に、かつ光学的に対向して配置される細長い光感知面を有することを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記出力結合部位が前記パネル(1)の周縁部の一部によって規定され、前記光センサ(3’)が前記周縁部に取付けられることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置において、前記出力結合部位が前記接触面(4)及び前記対向面(5)のうちの一方に取付けられる細長い結合要素(13)によって規定され、前記光センサ(3’)が前記結合要素(13)に取付けられることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の装置において、前記照射機構が前記感知領域内で、主方向が実質的に不変な各々のビームを平行移動させることによって、前記ビーム(B1ないしB6)を掃引するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の装置において、前記照射機構が、前記感知領域内で平行とならないように前記ビーム(B1ないしB6)を掃引すべく構成されることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の装置において、前記検出機構が、前記出力結合部位と整列して、かつ光学的に対向して配置され、前記ビーム(B1ないしB6)のうちの少なくとも1つを共通の検出点(D1、D2)上で受信及び再配向するように構成される固定式の再配向デバイス(10A、10B)を具える一方、前記少なくとも1のビーム(B1ないしB6)が前記接触面(4)に沿って掃引され;検出機構が前記出力結合部位内で受信される前記エネルギーを前記共通の検出点(D1、D2)で測定するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置において、前記固定式の再配向デバイス(10A、10B)が出力焦点面(fout)を規定する細長い光学要素を具え、前記ビーム(B1ないしB6)が前記感知領域内で掃引されると同時に、実質的に不変な入射角で前記細長い光学要素(10A、10B)に沿って掃引されるように、前記照射機構が構成されることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、前記光センサ(3)が前記出力焦点面(fout)に配置されることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項18に記載の装置において、前記細長い光学要素(10A、10B)が、少なくとも2のビーム(B1ないしB6)を各々の入射角で受信するように構成され、前記検出機構が少なくとも2の光センサ(3)を具えて、前記各々のビーム(B1ないしB6)のエネルギーを測定すべく、前記出力焦点面(fout)の別個の位置に配置されることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の装置において、前記光センサ(3)は光感知面(302)と、前記光センサ(3)の有効な光感知領域を増加させるためのデバイス(300)とを具え、当該デバイス(300)が前記再配向デバイス(10A、10B)と前記光感知面(302)との間に配置されることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置において、前記有効な光感知領域を増加させるための前記デバイス(300)が、拡散要素又は集光器であることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項17又は18に記載の装置において、可動式の偏向要素(11)が前記共通の検出点(D1又はD2)に配置され、前記可動式の偏向要素(11)が前記光センサ(3)上へ前記ビーム(B1ないしB6)を偏向するように前記照射機構と同期されることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項17ないし23のいずれか1項に記載の装置において、前記再配向デバイス(10A、10B)が、前記パネル(1)の縁部の一部に沿って延在するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれかに記載の装置において、前記照射機構が:回転軸周りで入力ビームを掃引するように構成されるビーム走査デバイス(8A、8B)と;このように掃引された前記入力ビームを受信し、主方向(R1、R2)に平行移動される一方、主方向が実質的に不変な少なくとも1の出力ビームを生成するように構成される固定式のビーム配向デバイス(14A、14B)と;を具え、前記少なくとも1の出力ビームが前記パネル(1)に結合され、これによって前記感知領域内で前記接触面(4)に沿って掃引される前記少なくとも2のビーム(B1ないしB6)のうちの少なくとも1つを形成することを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置において、前記ビーム配向デバイス(14A、14B)が入力焦点面(fin)を規定する細長い光学要素を具え、前記回転軸が前記入力焦点面(fin)に配置されることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、前記ビーム走査デバイス(8A、8B)が前記細長い光学要素(14A、14B)に沿って少なくとも2の別個の入力ビームを掃引するように構成され、各々の入力ビームが前記入力焦点面(fin)における別個の回転軸周りで掃引され、これによって前記細長い光学要素(14A、14B)に別個の主方向を有する出力ビームを生成させることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項25、26、又は27に記載の装置において、前記ビーム配向デバイス(14A、14B)が、前記少なくとも1の出力ビームを所定の角度間隔を有する回折ビームの集合として生成するように構成される細長い格子構造(15)を更に具えることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項25ないし28のいずれか1項に記載の装置において、前記ビーム配向デバイス(14A、14B)が前記パネル(1)の縁部の一部に沿って延在するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置において、前記主方向(R1、R2)が前記パネル(1)の前記縁部の一部に対し実質的に平行であることを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項1ないし30のいずれか1項に記載の装置において、前記照射機構が前記パネル(1)にわたる第1の主方向(R1)において、相互に鋭角となる第1の集合のビーム(B1、B2、B4)を掃引するように構成され、前記第1の集合における前記ビーム(B1、B2、B4)同士が30°以下、好適には20°以下の最大鋭角を有することを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項31に記載の装置において、前記第1の集合におけるビーム(B4)のうちの1つの主方向が、前記第1の主方向(R1)と直交することを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項31又は32に記載の装置において、前記第1の集合における各々の組合せのビーム(B1、B2、B4)同士が、固有の鋭角を有することを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項31ないし33のいずれか1項に記載の装置において、前記照射機構が、前記パネル(1)にわたる第2の主方向(R2)において、少なくとも1の第2のビーム(B3、B5、B6)を掃引するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項31ないし33のいずれか1項に記載の装置において、前記照射機構が前記パネル(1)にわたる第2の主方向(R2)において、相互に鋭角となる第2の集合のビーム(B3、B5、B6)を掃引するように構成され、前記第2の集合における前記ビーム(B3、B5、B6)同士が、30°以下、好適には20°以下の最大鋭角を有することを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項35に記載の装置において、前記第1の集合が3のビーム(B1、B2、B4)を具え、及び/又は、前記第2の集合が3のビーム(B3、B5、B6)を具えることを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項35又は36に記載の装置において、前記第2の集合におけるビーム(B6)のうちの1つの主方向が、前記第2の主方向(R2)と直交することを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項35ないし37のいずれか1項に記載の装置において、前記第2の集合における各々の組合せのビーム(B3、B5、B6)同士が、固有の鋭角を有することを特徴とする装置。
【請求項39】
請求項35ないし38のいずれか1項に記載の装置において、前記第1の主方向(R1)及び前記第2の主方向(R2)が互いに直交することを特徴とする装置。
【請求項40】
請求項35ないし39のいずれか1項に記載の装置において、前記パネル(1)が矩形であり、前記第1の主方向(R1)及び前記第2の主方向(R2)が前記パネル(1)の各々の縁部の一部に平行になることを特徴とする装置。
【請求項41】
請求項1ないし14に記載の装置において、前記照射機構が前記感知領域にわたって角度を付して、かつ各々の走査軸周りで、前記ビーム(B1ないしB4)を掃引するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項42】
請求項1ないし41のいずれかに記載の装置において、前記照射機構が前記各々のビーム(B1ないしB6)に対する前記パネル(1)上の各々の入力結合部位を規定し、各々のビーム(B1ないしB6)に対する前記入力結合部位及び前記出力結合部位が互いに前記感知領域の反対側に配置されることを特徴とする装置。
【請求項43】
請求項1ないし42のいずれかに記載の装置において、前記照射機構が前記パネル(1)の平面において少なくともコリメートされるビームを射出するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項44】
請求項1ないし43のいずれかに記載の装置において、前記照射機構が:前記接触面(4)から見て前記パネル(1)の下に配置されるプレート形状の光ガイド(22)と;当該光ガイド(22)を前記パネル(1)に光学接続するように構成されるビーム重畳システム(24)と;前記少なくとも2のビーム(B1ないしB6)を掃引するための少なくとも1の光走査部(8A、8B)と;を具え、前記光ガイド(22)が内部反射によって前記少なくとも1の光走査部(8A、8B)から前記ビーム重畳システム(24)に光を誘導するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項45】
接触面(4)上にある少なくとも1の対象の位置を決定するための装置であって、前記接触面(4)が、当該接触面(4)と対向面(5)とを規定するパネル(1)の一部であり、前記装置が:
前記接触面(4)と前記対向面(5)との間の内部反射による伝播用に少なくとも2のビーム(B1ないしB6)の放射線を前記パネル(1)に誘導する一方、感知領域内の前記接触面(4)に沿って各々のビーム(B1ないしB6)を掃引するための手段(8A、8B、14A、14B、13)であって、これによって、前記感知領域内の前記接触面(4)に接触する対象が、前記少なくとも2のビーム(B1ないしB6)の一時的な減衰を生じさせる手段(8A、8B、14A、14B、13)と;
前記感知領域の前記パネル(1)の下流上の細長い1以上の出力結合部位に沿って掃引されるように前記パネル(1)の外に前記ビーム(B1ないしB6)を結合するための手段(13)と;
前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビーム(B1ないしB6)のエネルギーを測定するための手段(10A、10B、3、3’)と;
時間の関数として前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビーム(B1ないしB6)のエネルギーを示す出力信号(S1、S2)を取得するための手段(7)と;
前記出力信号(S1、S2)に基づいて前記対象の位置を同定するための手段(7)と;
を具えることを特徴とする装置。
【請求項46】
接触面(4)上にある少なくとも1の対象の位置を決定する方法であって、前記接触面(4)が、当該接触面(4)と対向面(5)とを規定するパネル(1)の一部であり、前記方法が:
前記接触面(4)と前記対向面(5)との間の内部反射による伝播用に少なくとも2のビーム(B1ないしB6)の放射線を前記パネル(1)に誘導する一方、感知領域内の前記接触面(4)に沿って各々のビーム(B1ないしB6)を掃引するステップであって、これによって、前記感知領域内の前記接触面(4)に接触する対象が、前記少なくとも2のビーム(B1ないしB6)の一時的な減衰を生じさせるステップと;
前記感知領域の前記パネル(1)の下流上の細長い1以上の出力結合部位に沿って掃引されるように前記パネル(1)の外に前記ビーム(B1ないしB6)を結合するステップと;
前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビーム(B1ないしB6)のエネルギーを測定するステップと;
時間の関数として前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビーム(B1ないしB6)のエネルギーを示す出力信号(S1、S2)を取得するステップと;
前記出力信号(S1、S2)に基づいて前記対象の位置を同定するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項47】
接触面(4)上にある少なくとも1の対象の位置を決定するための装置を動作させる方法であって、前記接触面(4)が、当該接触面(4)と対向面(5)とを規定するパネル(1)の一部であり、前記方法が:
前記接触面(4)と前記対向面(5)との間の内部反射による伝播用に少なくとも2のビーム(B1ないしB6)の放射線を前記パネル(1)に誘導し、感知領域内の前記接触面(4)に沿って各々のビーム(B1ないしB6)を掃引すべく照射機構を動作させるステップであって、これによって、前記感知領域内の前記接触面(4)に接触する対象が、前記少なくとも2のビーム(B1ないしB6)の一時的な減衰を生じさせ、これによって各々のビーム(B1ないしB6)が、前記感知領域の前記パネル(1)の下流上の細長い1以上の出力結合部位に沿って掃引されるステップと;
前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビーム(B1ないしB6)のエネルギーを測定すべく、前記1以上の出力結合部位に光学接続される少なくとも1の光センサ(3;3’)を動作させるステップと;
前記少なくとも1の光センサ(3;3’)から、時間の関数として前記1以上の出力結合部位内で受信される前記各々のビーム(B2ないしB6)のエネルギーを示す出力信号(S1、S2)を取得するステップと;
前記出力信号(S1、S2)に基づいて前記対象の位置を同定するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項48】
データ処理システムで実行される場合に、請求項47に記載の方法を実行するように構成されるコンピュータコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2011−525652(P2011−525652A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514059(P2011−514059)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057731
【国際公開番号】WO2010/006886
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510332969)フラットフロッグ ラボラトリーズ アーベー (9)
【氏名又は名称原語表記】FlatFrog Laboratories AB
【Fターム(参考)】