説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】案内機能の利用に不慣れなユーザであっても、適切な目的地を案内できるようにする。
【解決手段】CPU11は、電話通信部15を介して通信相手と交信を行う場合に(例えば、電話着信後の回線遮断時あるいは電話発信後の回線遮断時に)、その相手に対応して決まる位置情報を取得すると共に、この位置情報をナビゲーション機能の目的地としてナビアプリを動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現在位置を取得する位置取得機能と、この位置取得機能によって得られた現在位置から目的地までを案内する案内機能を備えた携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話装置は、その多機能化に伴ってGPS(Global Positioning System)機能、ナビゲーション機能を搭載し、現在位置に基づいて目的地までの経路を案内出力するようにしたものが知られている。例えば、従来では、ナビゲーション機能付の携帯電話装置として、外出時に自宅などのように戻るべき位置を目的地として経路案内する技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−294429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ナビゲーション機能を利用するには、例えば、メニュー画面をオープンさせる操作を行ったのち、このメニュー画面の中からナビゲーション機能を探し出して選択指定するほか、目的地を入力指定するなど、一連の操作を行う必要があるが、操作に不慣れな子供、お年寄りなどにあっては、目的地の設定の仕方が分からなかったり、目的地を何処にするかさえも分からなったりすることが多く、ナビゲーション機能を適切に使いこなせないという問題があった。したがって、親と離れた子供などにあっては、ナビゲーション機能が搭載されているにも拘わらず、どのように対処したらよいかが分からず、対応が遅れたり、事態を悪化させてしまうことがあった。
また、複数の目的地が考えられる場合に、どの目的地を選択すれば良いか、という判断に迷うことがある。例えば、旅行先の宿泊地から家族で散歩に出かけて、子供が親とはぐれて道に迷った場合などでは、その宿泊地を目的地とした方が近いのか、親の居る場所を目的地とした方が近いのかを迷うことがある。
【0004】
この発明の課題は、案内機能の利用に不慣れなユーザであっても、適切な目的地を案内できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、現在位置を取得する位置取得機能と、この位置取得機能によって得られた現在位置から目的地までを案内する案内機能を備えた携帯端末装置であって、通信相手との交信によりその相手に対応して決まる位置情報を取得する取得手段と、この取得手段によって得られた位置情報を前記案内機能の目的地として当該案内機能を動作させる案内制御手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項10記載の発明)。
【0006】
なお、上述した請求項1記載の発明は次のようなものであってもよい。
前記取得手段は、通信相手との交信によってその相手端末から前記案内機能の起動が遠隔指示された際に、その相手に対応して決まる位置情報を取得し、前記案内制御手段は、前記遠隔指示を受けた際に、前記取得の位置情報を前記案内機能の目的地としてセットするほか、当該案内機能を起動する(請求項2記載の発明)。
【0007】
請求項3記載の発明において、前記案内制御手段は、予め登録されている相手端末から前記遠隔指示を受けた際に、案内機能を起動するようにしてもよい(請求項3記載の発明)。
【0008】
前記案内機能の起動を指示する指示手段と、前記通信相手を任意に選択する選択手段とを更に設け、前記指示手段によって案内機能の起動が指示され、かつ前記選択手段によって通信相手が選択されていることを条件に、前記取得手段は、当該選択相手に対応して決まる位置情報を取得する(請求項4記載の発明)。
【0009】
通信相手毎にその電話番号を記憶する電話番号記憶手段を更に設け、前記取得手段は、特定の通信相手との交信によって前記電話番号記憶手段から当該選択相手の電話番号を読み出すと共に、この電話番号に基づいて当該相手端末の現在位置を取得し、前記案内制御手段は、前記相手端末の現在位置を前記案内機能の目的地としてセットするほか、当該案内機能を起動する(請求項5記載の発明)。
【0010】
請求項5記載の発明において、前記位置取得機能によって得られた自己の現在位置と前記取得手段によって得られた相手の端末位置とを比較してそれらの離間距離を算出する距離算出手段を更に設け、前記案内制御手段は、前記距離算出手段によって算出された離間距離に応じて前記案内機能を起動するようにしてもよい(請求項6記載の発明)。
【0011】
通信相手毎に非移動の固定的な位置を示す固定位置情報を記憶する位置情報記憶手段を更に設け、前記取得手段は、通信相手との交信により、その相手に対応する固定位置情報を前記位置情報記憶手段から読み出し取得する(請求項7記載の発明)。
【0012】
通信相手毎にその電話番号を記憶する電話番号記憶手段を更に設け、前記取得手段は、通信相手との交信によってその相手の電話番号を前記電話番号記憶手段から読み出すと共に、この電話番号に基づいて当該相手端末の現在位置を取得する(請求項8記載の発明)。
【0013】
前記取得手段は、通信相手との交信によりその相手に対応して決まる位置情報を取得する際に、当該相手に対応している複数の位置情報の中から前記位置取得機能によって得られた自己の現在位置に最も近い位置情報を取得する(請求項9記載の発明)。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、案内機能の利用に不慣れなユーザであっても、適切な目的地を案内することができ、操作上の負担などを大幅に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1〜図9を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、携帯端末装置として適用した携帯電話装置の通信ネットワークシステムを示したブロック図である。
携帯電話装置1は、電話機能(通話機能)、メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)のほか、現在位置を取得するGPS機能、ナビゲーション機能を備えている。このナビゲーション機能は、現在地(現在位置)周辺の地図あるいは目的地周辺の地図を受信取得して案内出力するほか、現在位置から目的地までの経路地図を受信取得して案内出力するものである。
【0016】
この携帯電話装置1は、公衆携帯通信網(公衆移動体通信網)2を介して管理サーバ3との間において、公衆携帯通信網2を構成する最寄りの基地局4、交換機5を介して位置登録応答が行われるが、その際、携帯電話装置1は、GPS衛星6からの受信結果を管理サーバ3に送信して位置情報の要求を行い、管理サーバ3は、このGPS情報に基づいて携帯電話装置1の現在位置を算出し、この算出位置を要求元の携帯電話装置1に送信するようにしている。なお、管理サーバ3は、ユーザ毎にその加入者電話番号及びメールアドレスを記憶管理するほか、各携帯電話装置1の現在の位置情報を定期的に更新するようにしている。
【0017】
また、管理サーバ3は、地図上に現在位置から目的地までの経路などを案内する位置情報サービス(ナビゲーションサービス)を提供するコンテンツサーバとしても機能し、携帯電話装置1は、公衆携帯通信網2を介して管理サーバ3に接続し、この管理サーバ3からナビゲーション情報(経路地図)を受信取得し、目的地までの経路を案内表示するほか、必要に応じて右左折などの音声案内を行うようにしている。このように管理サーバ3は、端末位置の登録管理のほか、ナビゲーションサービスなど、各種サービスを実行可能としたが、勿論、機能毎、サービス毎に専用のサーバに分散する構成であってもよい。
【0018】
図2は、携帯電話装置1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
CPU11は、記憶部12内の各種のプログラムに応じて携帯電話装置1の全体動作を制御する中核的な中央演算処理装置である。記憶部12は、内部メモリであり、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図4〜図7に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納されている。また、そのデータ領域には、後述するアドレス帳ADなどが設けられている。外部記録メディア13は、着脱自在な可搬型メモリで、録画コンテンツなど、各種のデータ・プログラムを外部供給するもので、例えば、SDカード、ICカードなどによって構成されている。メモリ14は、ワーク領域を有する内部メモリであり、必要に応じてメモリ14内の各種のデータは、記憶部12にセーブされる。
【0019】
電話通信部15は、無線部を構成するアンテナに接続された送受信部(ベースバンド部)の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのちに、音響制御部16を介して受話スピーカ17から音声出力させる。また、電話通信部15は、送話マイク18から入力された音声データを音響制御部16から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのちに送受信部の送信側に与えられてアンテナから発信出力させる。一方、インターネット接続機能などによって電話通信部15を介して受信取得したコンテンツ(例えば、地図情報など)は、表示制御部19を介してメイン表示部20に与えられて表示出力される。
【0020】
キー操作部21は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、このキー操作部21には、数値/文字入力キー、ダイヤルキー、ナビゲーション機能の起動を指示するナビボタンなどが設けられており、CPU11は、キー操作部21からのキー入力信号に応じた処理を実行する。GPS受信部22は、GPS衛星6と地上局とを利用して現在位置(経緯度情報)を受信するもので、CPU11は、定期的にGPS受信部22をアクセスして現在位置(端末位置)を取得する。RTC(リアルタイムクロックモジュール)23は、時計部を構成するもので、CPU11は、RTC23から現在日時を取得する。
【0021】
図3は、アドレス帳ADを説明するための図である。
アドレス帳ADは、通信相手毎に、その相手に関する情報を記憶管理するもので、「名前」、「電話番号」、「メールアドレス」、「特定相手フラグ」、「属性」、「位置情報」の各項目を有し、その内容は、ユーザ操作によって任意に設定された情報である。「名前」、「電話番号」、「メールアドレス」は、相手端末を識別する端末識別情報である。「特定相手フラグ」は、子に対して親などのように特定の相手を示すフラグであり、子供所持の携帯電話装置1では、図示のように「父」、「母」、「祖父母」に対応して「特定相手フラグ(丸印)」がセットされている。この場合、経路案内時には特定相手として「父」、あるいは「母」が選択されてその居場所までの経路を案内するようにしている。
【0022】
「属性」は、「特定相手フラグ」に対応する「位置情報」の種類を示すもので、自宅の位置などのように非移動の固定的な位置を示す固定位置であれば“固定”がセットされ、その相手所持の携帯電話装置1の位置(移動端末の現在位置)であれば“移動”がセットされる。また、「特定相手フラグ」に対応する「位置情報」は、その「属性」が“固定”の場合にセットされるもので、自宅、祖父母宅などのように非移動の固定的な位置を示す“固定位置情報(経緯度情報)”である。
【0023】
ここで、CPU11は、子供所持の携帯電話装置1に対してそのナビゲーション機能の起動が親などの特定相手端末から遠隔指示された際に、その相手に応じて決まる位置情報を取得してナビゲーション機能の目的地としてセットするようにしている。すなわち、電話通信部15を介して通信相手と交信を行う場合に(例えば、電話着信後の回線遮断時あるいは電話発信後の回線遮断時に)、CPU11は、その相手の電話番号が「特定相手フラグ」対応の「電話番号」であれば、つまり、特定相手との通話終了時であれば、この特定相手の端末からナビゲーション起動の遠隔指示を受けていることを条件に、その相手の「位置情報」の「属性」を調べ、それが“固定”のときにはアドレス帳ADから対応する「固定位置情報」を読み出してナビゲーション機能の目的地とするが、“移動”のときには、管理サーバ3から当該相手の端末位置を受信してナビゲーション機能の目的地としてナビゲーション機能を動作(例えば、起動)するようにしている。
【0024】
次に、この実施例の動作概念を図4〜図9に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0025】
図4〜図7は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話装置1の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、携帯電話装置1において、CPU11は、電話通信部15を作動させて現在位置を登録する待受処理を行うと共に(図4のステップA1)、電話着信有無をチェックしたり(ステップA2)、何らかの操作有無をチェックしたりしながら待受状態となる(ステップA3)。この待受状態において、電話着信有りを検出すると(ステップA2でYES)、着信メロディなどを発生出力させる着信報知を行うと共に、その相手との回線接続に応じて通話処理を実行する(ステップA4)。
【0026】
その後、通話終了(回線遮断)を検出すると(ステップA5でYES)、今回の着信に「遠隔コード」が付加されていたかを調べる(ステップA6)。この「遠隔コード」は、外部端末からナビゲーション機能の自動起動を遠隔指示するもので、例えば、子供所持の携帯電話装置1に対してそのナビゲーション機能の起動が親などの特定相手端末から遠隔指示された際に、その発信信号に付加されるもので、電話着信側において、電話番号の前に付加されている遠隔コード“777”を検出すると(ステップA6でYES)、CPU11は、この発信元(通信相手)の「電話番号」に基づいてアドレス帳ADを検索し、その相手に対応して「特定相手フラグ」がセットされているか否かによって特定相手からの遠隔指示であるか否かをチェックする(ステップA7)。
【0027】
いま、特定相手からの遠隔指示でなければ(ステップA7でNO)、この指示を無効とするために待受状態に戻るが(ステップA1)、特定相手から遠隔指示を受けたときには(ステップA6でYES)、アドレス帳ADを参照し、特定相手に対応する「属性」をチェックし(ステップA8)“固定”がセットされているか、“移動”がセットされているかを調べる(ステップA9)。ここで、特定相手の「属性」が“固定”であれば、ナビゲーション機能(ナビアプリ)を起動したのち(ステップA10)、この特定相手対応の「固定位置情報」をアドレス帳ADから読み出し(ステップA11)、この「固定位置情報」をナビゲーション機能の目的地としてセットする(ステップA12)。
【0028】
そして、現在位置から目的地までの経路地図を取得して表示するナビゲーション処理に移る(ステップA13〜A17)。すなわち、GPS受信部22から現在位置を受信取得すると共に(ステップA13)、管理サーバ3に対して、現在位置から目的地までの経路地図を要求したのち(ステップA14)、この要求に応答して管理サーバ3から経路地図を受信取得すると(ステップA15)、この経路地図をナビゲーション画面に表示させる(ステップA16)。そして、現在位置と目的地の位置とを比較して両者はほぼ一致するか、つまり、目的地に到着したかを調べ(ステップA17)、目的地に到着していなければ(ステップA17でNO)、上述のステップA15に戻り、以下、目的地に到着するまで上述の動作を繰り返す。なお、目的地に到着した場合には(ステップA17でYES)、上述の待受状態に戻る(ステップA1)。
【0029】
また、特定相手の「属性」に“移動”であれば(ステップA9でNO)、図5のフローに移り、ナビアプリを起動させたのち(ステップA18)、GPS受信部22から自己の現在位置を取得する(ステップA19)。そして、自己の端末位置から相手の端末位置までの経路案内要求を自己の端末位置と相手の電話番号と共に管理サーバ3に対して送信する(ステップA20)。これによって管理サーバ3側では、この経路案内要求に応答して後述する経路地図作成処理(図8のフロー)を実行する。
【0030】
携帯電話装置1は、管理サーバ3から経路地図を受信すると(ステップA21)、この経路地図を表示させる(ステップA22)。なお、この経路地図は、幼児でも容易に理解可能な内容で現在地から相手位置までの経路がアニメーション風に表示するようにしたものである。以下、ナビゲーション終了の指示操作が行われるまで(ステップA23)、上述のステップA19に戻り、以下、刻々変化する自己の端末位置を逐次送信しながら上述の動作を繰り返す。そして、ナビゲーションの終了が指示されると(ステップA23でYES)、管理サーバ3に対してナビゲーション終了要求を送信する(ステップA24)。
【0031】
図8は、管理サーバ3側において携帯電話装置1からの経路案内要求を受信した際に実行開始されるフローチャートである。
先ず、管理サーバ3は、要求元の現在位置と相手の電話番号とを受信すると(ステップB1)、この「電話番号」に基づいて相手端末の現在位置を当該相手の「電話番号」の基地局登録から計算したのち(ステップB2)、要求元の現在位置から相手の現在位置までの最適な経路を計算する(ステップB3)。そして、要求元の現在位置から相手の現在位置までの経路地図を作成したのち(ステップB4)、この経路地図を要求元の携帯電話装置1に送信する(ステップB5)。以下、要求元側からナビゲーションの終了指示があるまで(ステップB6)、上述のステップB1に戻り、刻々と変化する位置情報から新たな経路地図を作成して要求元に逐次送信する動作を繰り返す。
【0032】
一方、何らかの操作が行われた場合には(図4ステップA3でYES)、ナビゲーション機能の起動を指示する「ナビボタン」が操作されたのか(図6のステップA25)、「電話発信ボタン」が操作されたのかを調べ(ステップA36)、それ以外の操作であれば(ステップA36でNO)、その操作に対応する処理として、例えば、メール作成処理などを実行するが(ステップA37)、「ナビボタン」が操作された場合には、ナビアプリを起動させたのち(ステップA26)、「キッズモード」にセットされているか否かを調べる(ステップA27)。この「キッズモード」は、子供でもナビゲーション機能を容易に利用可能とするための動作モードであり、親などは子供の外出時に子供所持の携帯電話装置1を操作して「キッズモード」に設定しておく。
【0033】
いま、「キッズモード」が解除されている状態において、「ナビボタン」が操作された場合には(ステップA27でNO)、次のステップA28に移り、目的地を任意に選択すべき旨のガイダンスを表示させる。このガイダンスにしたがって任意の目的地が選択指定されると(ステップA29)、それをナビゲーション機能の目的地としてセットする(ステップA30)。なお、任意の目的地を選択する際に、管理サーバ3から所望する地図を取得し、この地図上で任意の目的地をポイント指示(マーク指示)するようにしてもよい。このように目的地がセットされると(ステップA30)、上述と同様に、現在位置から目的地までの経路地図を取得して表示するナビゲーション処理に移る(ステップA13〜A17)。
【0034】
「キッズモード」に設定されている状態において、「ナビボタン」が操作された場合には(ステップA27でYES)、アドレス帳ADを検索し、「特定相手フラグ」がセットされている全ての相手を読み出してメニュー表示させる(ステップA31)。なお、図3の例では、父、母、祖父母の「名前」あるいは「似顔絵」がメニュー表示され、その中から任意の相手が選択されると(ステップA32)、その選択相手に対応する「電話番号」をアドレス帳ADから読み出して電話発信を行ったのち(ステップA33)、その特定相手との回線接続に応じて通話処理を行う(ステップA34)。
【0035】
その後、通話終了(回線遮断)を検出すると(ステップA35でYES)、図4のステップA8に移り、上述と同様に、特定相手に対応する「属性」が“固定”であれば(ステップA9でYES)、その「固定位置情報」を目的地としてセットして、この目的地までの経路地図を表示するナビゲーション処理を実行するが(ステップA10〜A17)、「属性」が“移動”であれば(ステップA9でNO)、その特定相手の端末位置までの経路案内要求を管理サーバ3に対して行い、この経路案内要求に応じて管理サーバ3から受信した経路地図を表示するナビゲーション処理を実行する(ステップA18〜A24)。
【0036】
他方、「電話発信ボタン」が操作された場合には(ステップA36でYES)、図7のフローに移り、ユーザ操作によって発信相手が任意に選択されると(ステップA38)、選択された相手の「電話番号」をアドレス帳ADから読み出してその電話番号宛に電話通信部15から発信を行う(ステップA39)。これによって相手との回線接続に応じて通話処理を実行する(ステップA40)。そして、その後、通話終了(回線遮断)を検出すると(ステップA41でYES)、アドレス帳ADを参照し、今回の発信相手は「特定相手フラグ」がセットされている特定相手か(ステップA42)、警視庁(110番通報)かを調べ(ステップA47)、それ以外であれば、待受状態に戻るが(図4のステップA1)、特定相手であれば(ステップA42でYES)、この特定相手の「電話番号」でその相手の端末位置(現在位置)を探索すべきことを管理サーバ3に対して要求する(ステップD43)。
【0037】
図9は、管理サーバ3側において携帯電話装置1から相手位置要求を受信した際に実行開始されるフローチャートである。
先ず、管理サーバ3は、携帯電話装置1から相手位置要求と共に送信されてきた当該相手の「電話番号」を受信すると(ステップC1)、この「電話番号」に基づいて相手端末の現在位置を当該相手の「電話番号」の基地局登録から計算する(ステップC2)。この場合、管理サーバ3側では、電話番号毎に位置登録されている登録内容(基地局エリア)を参照し、その相手(電話番号)に対応付けて登録されている基地局2を特定して当該相手の現在位置として求める。
【0038】
その結果、当該相手が居る基地局エリアの登録有無に基づいて相手の現在位置を特定することができたか否かを調べ(ステップC3)、相手側の基地局エリアが登録されておらず、その相手位置の特定が不可能なときには(ステップC3でYES)、相手位置取得不可を要求元の携帯電話装置1に送信するが(ステップC4)、相手側の基地局エリアが登録されていて、その相手位置の特定が可能なときには(ステップC3でNO)、その相手の現在位置を要求元の携帯電話装置1に送信する(ステップC5)。
【0039】
携帯電話装置1は、管理サーバ3側からその相手位置を受信すると(ステップA44)、GPS受信部22から自己の現在位置を取得し(ステップA45)、自己の現在位置と相手位置との離間距離(直線距離)を計算する(ステップA46)。そして、この離間距離は所定距離(例えば、1km)以内かを調べ(ステップA47)、1kmを超えていれば、待受状態に戻るが(図4ステップA1)、1km以内であれば(ステップA47でYES)、上述した図5のフローに移り、その特定相手の端末位置までの経路案内要求を管理サーバ3に対して行い、この経路案内要求に応じて管理サーバ3から受信した経路地図を表示するナビゲーション処理を実行する(ステップA18〜A24)。
【0040】
また、今回の発信相手が警視庁(110番通報)であれば(ステップA48でYES)、GPS受信部22から自己の現在位置を取得し(ステップA49)、自己の現在位置の近傍に位置している交番を検索すべきことを管理サーバ3に対して要求する(ステップA50)。この検索要求に応答して管理サーバ3から交番位置を受信すると(ステップA51)、ナビアプリを起動すると共に(ステップA52)、この交番位置をナビゲーション機能の目的地としてセットしたのち(ステップA53)、上述と同様に、現在位置から目的地までの経路地図を取得して表示するナビゲーション処理に移る(図4のステップA13〜A17)。
【0041】
以上のように、この実施例においてCPU11は、電話通信部15を介して通信相手と交信を行う場合に(例えば、電話着信後の回線遮断時あるいは電話発信後の回線遮断時に)、その相手に対応して決まる位置情報を取得すると共に、この位置情報をナビゲーション機能の目的地としてナビアプリを動作するようにしたので、ナビゲーション機能の利用に不慣れなユーザ(お年寄り、子供など)であっても、適切な目的地を案内することができ、操作上の負担などを大幅に軽減することが可能となる。
【0042】
通信相手との交信によってその相手端末からナビゲーション機能の起動が遠隔指示された際に、その相手に対応して決まる位置情報を取得し、この位置情報をナビゲーション機能の目的地としてナビアプリを自動起動するようにしたから、一切の操作が不要となり、操作に不慣れなユーザでもナビゲーション機能を利用することができる。
【0043】
ナビゲーション機能の起動が遠隔指示された際に、CPU11は、アドレス帳ADを参照し、「特定相手フラグ」がセットされている相手端末からの遠隔指示であることを条件に、ナビアプリを起動するようにしたから、無用な相手から遠隔指示を受けたとしても、それをキャンセルすることができる。
【0044】
「キッズモード」下において、ナビアプリを起動するナビボタンが操作され、かつ、通信相手が任意に選択された際に、その相手に応じて決まる位置情報を取得するようにしたので、ナビボタンの操作と相手の選択操作だけで足り、操作に不慣れなユーザであっても、ナビゲーション機能の利用が可能なほか、父親を選択するか、母親を選択するかなど、好みの相手を自由に選択することが可能となる。
【0045】
CPU11は、アドレス帳ADを参照し、相手の「位置情報」の「属性」を調べ、それが“移動”のときには、を読み出し、この相手の電話番号に基づいてその端末位置(相手端末の現在位置)を探索すべきことを管理サーバ3に対して要求することによって管理サーバ3から当該相手端末の位置情報を受信取得したのち、この相手の端末位置をナビゲーション機能の目的地としてナビアプリを起動するようにしたので、予め登録されている位置情報に限らず、携帯電話装置1のような移動体であってもその相手端末の現在位置を容易に取得することができる。
【0046】
この場合、CPU11は、管理サーバ3から取得した相手の端末位置と自己の現在位置とを比較してそれらの離間距離を算出し、この離間距離に応じてナビアプリを起動するようにしたので、ユーザ操作で目的地を設定しなくても、現在位置からの離間距離に応じて適切な相手位置までの案内が可能となる。
【0047】
CPU11は、アドレス帳ADを参照し、相手の「位置情報」の「属性」が“固定”であれば、アドレス帳ADから対応する「固定位置情報」を読み出しナビゲーション機能の目的地とするようにしたから、例えば、“自宅の位置”、“祖父母宅の位置”などを事前に登録しておけば、その固定位置情報を迅速かつ確実に取得することが可能となる。
【0048】
今回の発信相手が警視庁(110番通報)である場合に、自己の現在位置の近傍に位置している交番を検索すべきことを管理サーバ3に対して要求し、この検索要求に応答して管理サーバ3から交番位置を受信取得するようにしたので、迷子などの場合に最寄りの交番への誘導案内が可能となる。
【0049】
なお、上述した実施例においては、電話着信後の回線遮断時あるいは電話発信後の回線遮断時に、その相手に応じて決まる位置情報を目的地としてナビアプリを自動起動するようにしたが、相手との通話中にその相手に応じて決まる位置情報を目的地としてナビアプリを自動起動するようにしてもよい。また、ユーザ操作によってナビアプリを起動したナビ動作中に、電話着信あるいは電話発信があった際に、その相手に応じて決まる位置情報を目的地として案内するようにしてもよい。
【0050】
上述した実施例においては、相手の端末位置との位置関係に応じて相手位置までの経路地図を取得して案内表示するようにしたが、この経路地図を相手端末にも送信して表示させるようにすれば、互に端末画面を見ながら接近することができ、効率の良い出会が可能となる。
【0051】
また、ナビアプリの自動起動に先立って、その起動の要否を問い合わせる確認メッセージを表示させ、ユーザから起動要が指示されたこと条件にナビアプリを起動するようにすれば、ユーザの意向を反映させることが可能となり、無駄な起動を防ぐことができる。
【0052】
また、自己の端末位置と相手の端末位置との位置関係に応じて相手位置までの経路を案内する場合に限らず、自己の端末位置と相手の端末位置との離間距離と歩行速度とに基づいて自己の端末位置から相手の端末位置までの予想所要時間を算出し、この予想所要時間を経路と共に案内するようにしてもよい。
【0053】
更に、自己の端末位置と相手の端末位置との離間距離と比較される所定距離(1km)は、固定値とせずに任意に設定可能としてもよい。
その他、ナビゲーション機能付の携帯電話装置に限らず、例えば、ナビゲーション機能付のPDA・電子カメラ・電子腕時計・音楽再生機などの携帯端末装置であっても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】携帯端末装置として適用した携帯電話装置の通信ネットワークシステムを示したブロック図。
【図2】携帯電話装置1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】アドレス帳ADを説明するための図。
【図4】電源投入に伴って実行開始される携帯電話装置1の全体動作を示したフローチャート。
【図5】図4に続く、フローチャート。
【図6】図4に続く、フローチャート。
【図7】図6に続く、フローチャート。
【図8】管理サーバ3側において携帯電話装置1からの経路案内要求を受信した際に実行開始されるフローチャート。
【図9】管理サーバ3側において携帯電話装置1から相手位置要求を受信した際に実行開始されるフローチャート。
【符号の説明】
【0055】
1 携帯電話装置
2 公衆携帯通信網
3 管理サーバ
4 基地局
5 交換機
11 CPU
12 記憶部
15 電話通信
17 受話スピーカ
18 送話マイク
20 メイン表示部
21 キー操作部
22 GPS受信部
23 RTC
AD アドレス帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を取得する位置取得機能と、この位置取得機能によって得られた現在位置から目的地までを案内する案内機能を備えた携帯端末装置であって、
通信相手との交信によりその相手に対応して決まる位置情報を取得する取得手段と、
この取得手段によって得られた位置情報を前記案内機能の目的地として当該案内機能を動作させる案内制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記取得手段は、通信相手との交信によってその相手端末から前記案内機能の起動が遠隔指示された際に、その相手に対応して決まる位置情報を取得し、
前記案内制御手段は、前記遠隔指示を受けた際に、前記取得の位置情報を前記案内機能の目的地としてセットするほか、当該案内機能を起動する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記案内制御手段は、予め登録されている相手端末から前記遠隔指示を受けた際に、案内機能を起動する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記案内機能の起動を指示する指示手段と、
前記通信相手を任意に選択する選択手段と、
を更に設け、前記指示手段によって案内機能の起動が指示され、かつ前記選択手段によって通信相手が選択されていることを条件に、前記取得手段は、当該選択相手に対応して決まる位置情報を取得する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
通信相手毎にその電話番号を記憶する電話番号記憶手段を更に設け、
前記取得手段は、特定の通信相手との交信によって前記電話番号記憶手段から当該選択相手の電話番号を読み出すと共に、この電話番号に基づいて当該相手端末の現在位置を取得し、
前記案内制御手段は、前記相手端末の現在位置を前記案内機能の目的地としてセットするほか、当該案内機能を起動する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記位置取得機能によって得られた自己の現在位置と前記取得手段によって得られた相手の端末位置とを比較してそれらの離間距離を算出する距離算出手段を更に設け、
前記案内制御手段は、前記距離算出手段によって算出された離間距離に応じて前記案内機能を起動する、
ようにしたことを特徴とする請求項5記載の携帯端末装置。
【請求項7】
通信相手毎に非移動の固定的な位置を示す固定位置情報を記憶する位置情報記憶手段を更に設け、
前記取得手段は、通信相手との交信により、その相手に対応する固定位置情報を前記位置情報記憶手段から読み出し取得する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項8】
通信相手毎にその電話番号を記憶する電話番号記憶手段を更に設け、
前記取得手段は、通信相手との交信によってその相手の電話番号を前記電話番号記憶手段から読み出すと共に、この電話番号に基づいて当該相手端末の現在位置を取得する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記取得手段は、通信相手との交信によりその相手に対応して決まる位置情報を取得する際に、当該相手に対応している複数の位置情報の中から前記位置取得機能によって得られた自己の現在位置に最も近い位置情報を取得する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項10】
コンピュータに対して、
現在位置を取得するステップと、
通信相手との交信によりその相手に対応して決まる位置情報を取得するステップと、
前記取得の現在位置から目的地までを案内する案内機能の目的地として、前記取得の位置情報をセットして当該案内機能を動作するステップと、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−203014(P2008−203014A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37407(P2007−37407)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】