説明

欠陥検査方法及び欠陥検査装置

【課題】特に搬送途中のウェハ上の異物を実時間で検出できるウェハの異物検査方法、および半導体製造工程の量産ラインにおいて、大量の不良を未然に防ぎ、歩留りを維持させるための異物検査装置を提供する。
【解決手段】 半導体製造工程の量産ラインにおいて、異物検査装置を小型にし、半導体製造ラインの処理装置の入出力口あるいは処理装置間の搬送系に載置する。また、屈折率変化型のレンズアレイ、空間フィルタ、パターン情報除去回路により、製品ウェハ111上の繰り返しパターン部上の異物を検出し、搬送途中のウェハ上異物検査を可能にした。さらに、半導体製造工程の量産ラインにおいて簡便な異物モニタ101だけで異物をモニタリングすることにより、生産ラインを軽量化して製造コストの低減を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程の量産立上げ及び量産ラインにおいて発生する異物を検出し、分析して対策を施す半導体製造工程における異物発生状況解析方法及びその装置、または半導体基板上の異物を検査する異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体製造工程では半導体基板(ウェハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になり、さらに半導体素子が微細化して半導体基板中に微小な異物が存在した場合にこの異物がキャパシタの絶縁膜やゲート酸化膜などの破壊の原因にもなる。これらの異物は搬送装置の稼動部から発生するものや、人体から発生するものや、プロセスガスによる処理装置内で反応生成されたものや薬品や材料等に混入されているものなどの種々の原因により種々の状態で混入される。
【0003】
従来のこの種の半導体基板上の異物を検出する技術の1つとして、特開昭62−89336号公報(特許文献1)に記載されているように、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、直前に検査した同一品種半導体基板の検査結果と比較することにより、パターンによる虚報を無くし、高感度かつ高信頼度な異物検査を可能にするものある。
【0004】
また、別の技術として、特開昭63−135848号公報(特許文献2)に開示されているように、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、この検出した異物をレーザフォトルミネッセンスあるいは2次X線分析(XMR)などの分析技術で分析するものがある。
【特許文献1】特開昭62−89336号公報
【特許文献2】特開昭63−135848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、半導体製造工程の量産立上げ時と量産ラインは区別されておらず、量産立上げ作業で使用した検査装置がそのまま量産ラインでも適用されており、量産ラインでは異物発生をいち早く感知し対策を施す必要があるが、従来の検査装置がスタンドアロ−ン型であり、製造ラインで処理した半導体基板を検査装置の箇所に持ち込んで異物の検査をするものであった。したがって、半導体基板の搬送、異物検査に時間を要したため、検査の頻度を十分な値まであげることは難しかった。
【0006】
これは、従来技術の装置規模が大きいうえに検査時間も長くかかり、これらの従来装置を用いて実時間モニタを実現するには、大規模な装置を数多く並べる必要がありこれは事実上困難であった。現実的には、1ロット、あるいは数ロットあるいは1日毎に1枚の半導体基板を検査するのが限界であった。このような頻度の異物検査では、異物の発生を十分に早く感知したとはいえない。すなわち、量産ラインに対し、理想的な実時間サンプリングには程遠いものであった。さらに、量産ラインの工程数及び設備を低減するためには必要にして十分な箇所に必要十分なモニタを設置する必要があるという問題があった。
【0007】
LSIの量産立上げの主要作業のうちの1つに、これらの異物の発生原因を究明して対策を施す作業があり、それには発生異物を検出して元素種などを分析することが発生原因探求の大きな手がかりになる。一方、量産ラインでは、これらの異物の発生をいち早く感知し対策を施す必要がある。異物発生から異物発生の感知まで時間が経過した場合不良の発生数は大きくなり歩留りは下がる。従って、高い歩留りを維持するためには異物発生からその感知までの経過時間を短縮することが欠かせない。つまり、異物検査の効果を最大限に出すためには、モニタのサンプリングタイムを短くすることが必要であり、理想的には、量産ラインに対し実時間のサンプリングが望ましい。
【0008】
本発明の目的は、処理装置の入口、または該出口、または、複数の処理装置の間の搬送系に設置して実時間で半導体基板上の異物の発生状況を検出できるようにした量産ラインの半導体製造工程における異物発生状況解析方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の量産ラインにおける異物検査装置は、上記実時間サンプリングを実現するものであり、異物モニタリング装置を小型にし、半導体製造ラインの処理装置の入出力口あるいは処理装置間の搬送系中に載置できるように構成した。即ち本発明は、複数の処理装置を備えた量産半導体製造ラインにおいて、照明アレイから成る斜方照明系とレンズアレイまたはマイクロレンズ群から構成された結像光学系と該結像光学系のフ−リエ変換面に配置された空間フィルタと上記結像光学系の結像位置に配置された検出器とを備えて半導体基板上の異物の発生状況を検出する異物モニタリング装置を、所定の処理装置の入口、または該出口、または複数の処理装置の間の搬送系に設置して該処理装置による半導体基板上の異物の発生状態を検出することを特徴とする半導体製造工程における異物発生状況解析装置である。
【0010】
また、本発明は、半導体基板上の異物を検査する装置において、半導体基板に対してほぼ短波長で平面波で直線状の形状に照明する照明系と、該照明系によって照明された半導体基板からの反射光像を結像する結像光学系と、該結像光学系の途中に半導体基板上の繰り返しパターンからの回折光を遮光するように設置された空間フィルタと、結像された光像を検出する検出器と、検出器で検出された信号の内半導体基板上で繰り返して発生する信号を消去する消去手段と、該消去手段によって消去されなかった信号に基いて半導体基板上の異物を検出する異物検出手段とを備えたことを特徴とする異物検査装置である。また、本発明は、上記異物検査装置において、上記結像光学系として屈折率変化型のレンズアレイで構成したことを特徴とするものである。
【0011】
半導体製造工程の量産立上げ時には材料、プロセス、装置、設計等の評価、改良(デバック)を行なうために高価で高性能な評価設備により各プロセス、設備等を評価し、量産時には生産ラインの工程数及び設備をできる限り低減し特に検査、評価の項目を減らして設備の費用および検査、評価に要する時間を短縮するようにする。それには量産立上げ時の評価が円滑、迅速に進むようにサンプリング半導体基板を工夫した異物検出分析システムを用いて異物の発生原因を究明して材料入手時の検査仕様を変更したり設備の発塵源の対策を立て、その結果がそれぞれの材料、プロセス、装置等にフィードバックされて発塵しやすいプロセスの仕様を発塵に対して強い素子の設計仕様としたりすると同時に、量産ラインの検査、評価の仕様作りに利用され異物の発生しやすい箇所に必要に応じて半導体基板上の異物モニタを設置したり、特定箇所の特定の異物の増減のみをモニタする仕様としたりする。
【0012】
上記のように量産立上げ時と量産ラインを分けることにより、量産立上げ時の異物の検出、分析、評価装置を効率よく稼動させることができて量産立上げを迅速にできるとともに、量産ラインで用いられる異物の検査、評価設備を必要最小限の簡便なモニタリング装置にして量産ラインの軽量化が図られる。
【0013】
また、本発明の上記量産ラインのモニタリング装置において、高速小型でかつ従来の大型の装置と同等の機能を持つ検査装置を現状の技術で解決するために、以下の方法に着目した。まず、メモリの繰り返し性に着目した。従来から繰り返しパターンを除去し欠陥を検出する方法は知られている。この方法は確実に検出性能を確保できる。しかし、この方法は上記のモニタリング装置を実現する上で好都合なことは触れられていない。さらに、この場合のモニタは半導体基板上の全ての点をモニタする必要はなくある特定の比率で半導体基板上を監視していればよく、繰り返しパターンの多いメモリの製造では、このメモリの繰り返し部だけをモニタするだけでも効果は大きいことに着目した。
【0014】
繰り返しパターンでは、コヒーレント光を照射するとある特定の方向にだけ光が射出する。すなわちメモリの場合は繰り返し部分から特定の方向に射出する光を空間フィルタによって遮光することができ、繰り返して発生することがない異物を高感度で検出することができる。この際、空間フィルタとして液晶を用いれば液晶のオンオフで空間フィルタの形状を任意に変更できるため任意の繰り返しパターンの検査を自動でできることになる。
【0015】
上記手段で半導体製造時の歩留りが向上するのは以下の理由による。半導体基板上の異物個数の厳密な検出実験により、異物個数は徐々に増減するものではなく、突発的に増減するものであることが新たに判明した。従来は、異物の個数は徐々に増減するものと考えられていたため、上述したようにロットで1枚ないし1日1枚等の頻度で異物検査されていた。ところが、この検査頻度では突発的な異物の増加が見落とされたり、増加したまましばらくたってから検出されたりすることになり、相当数の不良が発生することになる。すなわち、量産ラインでは異物の発生をいち早く感知し対策を施す必要があり、異物発生から異物発生の感知まで時間が経過した場合不良の発生数は大きくなり歩留りは下がる。従って、異物発生からその感知までの経過時間を短縮することにより高い歩留りを維持することができる。つまり、モニタのサンプリングタイムを短くすること、理想的には、実時間のサンプリングにより、異物検査の効果を最大限にだすことができる。
【0016】
さらに、従来装置では半導体基板を抜き取って検査しており、この際には半導体基板上に新たな異物が付着することになり、やはり歩留りを低下させる。本発明による異物検査装置では半導体基板を抜き取らないで検査できるためこの半導体基板への異物付着による歩留り低下もなくすことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、異物検査装置をラインに導入することで、ラインを通過するウェハ全てを検査することができ、異物の増加を実時間で検出できる。これにより、異物発生による大量の不良品の生産を未然に防止することができ歩留りを向上できる。
【0018】
また、本発明によれば、半導体製造工程の量産ラインにおいて簡便なモニタリング装置だけで異物をモニタリングすることにより、生産ラインを軽量化して製造コストの低減を可能にする。さらに、モニタリング装置は異物検査を実時間で実施できるため、不良の作り込みを最小限にでき、製品の歩留り向上に大きく寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
【実施例】
【0020】
図1は半導体製造工程の量産立上げ及び量産ラインの異物検査方法及びその装置の構成ブロック図の一例を示すものである。
【0021】
図1において、この半導体製造工程の量産立上げ及び量産ラインの異物検査装置は、露光装置11とエッチング装置12と洗浄装置13とイオン打込装置14とスパッタ装置15とCVD装置16等から成る半導体製造装置群10と、温度センサ21と搬送系内異物モニタ22と圧力センサ23と処理装置内異物モニタ24等から成るセンシング部20およびそのセンシング部コントロールシステム25と、ガス供給部31と水供給部32からなるユーティリティ群30と、水質サンプリングウェハ41とガスサンプリングウェハ42と装置内サンプリングウェハ43とデバイスウェハ44と雰囲気サンプリングウェハ45から成るサンプリング部40と、ウェハ異物検出部51とパターン欠陥検出部52から成る検出部50と、走査形電子顕微鏡(SEM)と2次イオン質量分析装置(SIMS)62と走査形トンネル顕微鏡/分光装置(STM/STS)63と赤外分光分析装置64等から成る分析部60と、異物致命性判定システム71と微小異物原因究明システム72と汚染源対策システム73とから成る対応システム70とより構成される。またこれらの構成要素はライン対応のオンライン異物検査システム81と量産立上げライン対応のオフライン異物検査システム82とに分けられ、これらをあわせて半導体製造工程の量産立上げおよび量産ライン異物検査システム80を成す。
【0022】
したがって、図に示すように、量産立上げ時と量産ラインを分けることにより、量産立上げ時の異物の検出、分析、評価装置を効率よく稼動させることができて量産立上げを迅速にできるとともに、量産ラインで用いられる異物の検査、評価設備を必要最小限の簡便なモニタリング装置にして量産ラインの軽量化が図られる。
【0023】
次に、オンライン異物検査システム81のオンラインモニタである搬送系内異物モニタ22と処理装置内異物モニタ24について、一実施例を示す。図2は半導体製造装置群10の中でも特に大量不良の多い枚葉式CVD装置16の搬送系にオンラインモニタである異物モニタ101を適用した例である。異物モニタ101を有するローダ102と予備室103と反応室104と加熱部105とガスシステム106とコントローラ107と上位CPU108から構成されている。ローダ部102に置かれたローダカセット109から予備室103に製品ウェハ111を搬送し、ゲートバルブ112を閉じ、予備室103を排気する。次に、ゲートバルブ113を開け、予備室103と反応室104の製品ウェハ111を交換し、ゲートバルブ113を閉じ、反応室104で膜生成を開始する。膜生成中に予備室103を大気圧に戻し、ゲートバルブ112を開け、製品ウェハ111を回収し、アンローダカセット110に搬送する途中で、異物モニタ101で製品ウェハ111上の異物を計測する。ゲートバルブ112直前に異物モニタ101を配し、膜生成前後の異物を比較しても良い。
【0024】
次に、異物モニタ101の構成について図3より説明する。まず、異物モニタ101の異物検査開始側に設けたウェハ回転方向検出器121で製品ウェハ111のオリフラの方向を検出し、製品ウェハ111の回転方向を検出する。その後、異物検出光学系122で製品ウェハ111上の異物検査を全面において行う。次に異物モニタ101より得られた異物情報を異物情報処理系123で処理し、異物の異常発生があれば、アラーム等で知らせる、あるいは装置停止機能124により装置本体125を停止することができる。また、キーボード126とCRT127により異物表示を行なう。さらに、異物解析システム128と連動されており、データのやり取りが可能である。例えば、システム128より製品ウェハ111の名前、場所、サンプリング等ほしいデータの命令を送信することにより、異物情報処理系123よりそれらのデータを得ることができる。ここで、本異物モニタ101では、異物検出光学系122は異物情報処理系123とは別体に成っており、さらに、ステージ系を有しておらず、処理装置の搬送系を利用する構成と成っている。しかし、もちろんステージ系を有する構成も可能である。したがって、本異物モニタ101の外形寸法は、幅W、奥行きL、高さHがそれぞれ1m以内、あるいは、本異物モニタ101の幅Wがウェハの幅Wwより短く、小型を可能にしている。また、本異物モニタ101は、自動較正機能を有しており、製造装置間及び工程間で製品ウェハ表面の反射率が異なるので、反射率を自動計測し、異物検出光学系の照明光量にフィードバックすることにより対処でき、めんどうな較正を必要としない。さらに、異物検出光学系122の検出レンズの焦点深度dは次式から算出され、0.1〜0.5mmと深いため自動焦点を必要としない。
【0025】
【数1】

【0026】
ここで、λは光の波長、NAは検出レンズの開口数である。さらに、小型なので、ユニット交換が可能であり、装置への搭載及びセッティングが容易な構造に成っており、メンテナンスが楽である。
【0027】
図4よりウェハ回転方向検出器121の検出方法について説明する。数個以上の発光点131を有する照明系の下を製品ウェハ111がウェハ移動方向133に沿って通過し、132の位置から134の位置に移動する。図にウェハ回転方向検出器21の照明系の発光点から出た照明光の製品ウェハ111上の軌跡135を示す。発光点Aの場合、照明光が製品ウェハ111に当たる時間Asと製品ウェハ111からはずれる時間Aeを測定し、これを他の発光点B〜Gについても行う。以上のデータと製品ウェハ111の移動時間により製品ウェハ111のオリフラの方向を求め、製品ウェハ111の回転方向を計算する。また、製品ウェハ111の回転方向の検出方法として、スクライブエリア検出、チップ検出、アライメントマーク等特殊マーク検出がある。
【0028】
したがって、本異物モニタ101は、ウェハ回転方向検出器121で得られた製品ウェハ111の回転方向と、図5に示すように、オリフラの延長線X軸とそれと直交し製品ウェハ111の外周と接するY軸の交点を仮想原点141とするオリフラ基準の座標あるいは回路パターン142の延長線の交点を仮想原点143とする回路パターン142基準の座標により、製品ウェハ111上の検出した異物の位置の情報を得ることができる異物座標管理が可能である。
【0029】
また、装置内の発塵分布を知るため、図6に示すように、各製品ウェハ111の回転方向が様々な方向142、143、144、145で搬送されてきても、145のように、搬送方向150と製品ウェハ111の外周が接するx軸とそれと直行し製品ウェハ111の外周が接するy軸から成る製品ウェハ111の回転方向によらない装置基準の異物座標管理も有している。装置内に発塵があれば、146のように規則的な異物分布を示す。
【0030】
さらに、本異物モニタ101のウェハ回転方向検出器121は、製品ウェハ111の回転方向を検出すると同時に製品ウェハ111の搬送速度を求めることができるので、製品ウェハ111の搬送速度に同期して検出器、例えば、CCDリニアセンサのスキャンスピードが変えられるように成っている。したがって、製品ウェハ111の搬送速度によらず、安定した検出性能が得られる。
【0031】
図7に製品ウェハ111上の異物検査が高速でかつ構造が小型である空間フィルタを用いた異物検出光学系122の構成図の一実施例を示す。斜方照明光学系151と検出光学系152から成る。斜方照明光学系151は図に示すように1個以上の照明アレイに成っている。検出光学系152は検出レンズとしてレンズアレイ153、レンズアレイのフーリエ変換面に空間フィルタ154、レンズアレイの結像位置に検出器155から成っている。
【0032】
図8に斜方照明光学系151の構成図を示す。ここで、斜方照明とは製品ウェハ111の法線163からθ傾けた方向164より照明することを意味する。照明光源として小型で高出力の半導体レーザ161を用い、アナモルフィックプリズム162で高輝度コヒーレント光照明を可能にしている。製品ウェハ111上をコヒーレント光照明することにより検出レンズ153のフーリエ変換面において製品ウェハ111のパターンのシャープなフーリエ変換像が得られるためである。さらに、アナモルフィックプリズム162は照明アレイの隣接照明成分が影響しない広領域照明を可能にしている。隣接照明光の影響があると、検出レンズ153のフーリエ変換面において、隣接照明によるパターンのフーリエ変換像がずれて重なりフーリエ変換像の面積が増え、空間フィルタのフィルタ部分の面積も増えることになり、空間フィルタを通過する異物からの散乱光量が少なくなり、異物検出性能が低下するからである。
【0033】
図9に検出光学系152の検出幅を示す。検出光学系152の検出幅170は製品ウェハ111の幅と同一であり、製品ウェハ111の送り156の1スキャン156のみで製品ウェハ111の全面を一括で検査することができ、高速検査が可能となる。
【0034】
図10に検出器155としてCCDリニアセンサを用いた場合を示す。製品ウェハ111の幅を一括で検出するため、図のようにCCDリニアセンサ171をちどり状に配置する。また、センサの重なり部分となる172についてはB列を削除し、A列のデータを有効とする。
【0035】
図11に空間フィルタ154の構成図を示す。レンズアレイ153の各レンズ素子181にそれぞれの空間フィルタ182が対応する。
【0036】
図12に空間フィルタ154の詳細図を示す。製品ウェハ111の規則性のある繰返しパターンからの回折光191はレンズアレイ153のフーリエ変換面上の空間フィルタ154位置では規則的な像192となる。したがって、図に示すような空間フィルタ154で製品ウェハ111の規則性のある繰返しパターンを遮光することができ、検出器であるCCDリニアセンサ155には取り込まれない。
【0037】
空間フィルタ154には、製品ウェハ111の繰返しパターンのフーリエ変換像を乾板に焼き付けて作成する乾板方式の空間フィルタを用いる。したがって、空間フィルタ154の焼き付けた部分は製品ウェハ111の規則性のある繰返しパターンからの光は通過しない。または、液晶を用いた液晶方式の空間フィルタがある。まず、製品ウェハ111の規則性のある繰返しパターンからの回折光191のレンズアレイ153のフーリエ変換面上の空間フィルタ154位置での規則的な像192をTVモニタ等により検出し、像192に対応した液晶素子の位置を記憶させる。次に、記憶された液晶素子部分に電圧を加えることにより、その部分に当った光を遮蔽することができる。したがって、各工程の製品ウェハ毎の像に対応した駆動液晶素子を記憶し、フォーマット化することにより、各工程の製品ウェハ毎の液晶のオンオフによる空間フィルタが可能となる。
【0038】
図13に各工程の製品ウェハ111に対応した乾板方式による空間フィルタ群1001を示す。各工程の製品ウェハ111に対応した空間フィルタを乾板方式により作成し、図のようにリニアガイドステージ等の移動機構により交換し、検出レンズ153に対して位置決めすることにより、全ての工程の製品ウェハ111に対応することができる。
【0039】
図14に乾板方式によるアンド空間フィルタ221を示す。数種類の工程の空間フィルタのアンドを取ることにより、空間フィルタの数を減らすことができ、一つのアンド空間フィルタ222、223で数種類の工程の製品ウェハ111の繰返しパターンからの光を遮蔽することができる。したがって、アンド空間フィルタ221を用いることにより、工程の多い場合でも空間フィルタの数を減らすことができ、装置構成を簡単化することができる。また、この方法は、液晶方式の空間フィルタにも利用でき記憶するフォーマットの数を減らすことができる。しかし、全ての工程の空間フィルタのアンドを取り、1個のアンド空間フィルタも可能であるが、アンド空間フィルタを通過する異物からの散乱光量が少なくなり、異物検出性能が低下する。
【0040】
次に、図15に部分検査による異物検出光学系122の構成図の一実施例を示す。検出レンズとしてマイクロレンズ群231を用い、各マイクロレンズ231のフーリエ変換面に空間フィルタ232を配置し、さらに、検出器としてCCDリニアセンサ233を配置する。したがって、解像度の高いマイクロレンズ231を用いることにより、レンズアレイ153を用いるより、さらに微小の異物を検出することができる。ただし、この方式においては、検出レンズとしてマイクロレンズ231ではなく、もちろん従来のレンズを用いた場合でも検査が可能である。部分検査の一実施例としてマイクロレンズ群231のピッチを製品ウェハ111のチップの間隔に合わせることにより、検査領域を有効にすることができる。
【0041】
しかし、図16の斜線部に示すように、マイクロレンズ群231一列だけでは製品ウェハ111上の部分検査となり、異物のモニタリング機能は果たせるが、製品ウェハ111の全面を検査することはできない。ここで、236はマイクロレンズ231が1個の検出幅である。しかし、製品ウェハ111を数スキャンすることにより、製品ウェハ111の全面検査が可能となる。または、図17に示すようにマイクロレンズ241を2列あるいは数列のちどり状に配置することにより、製品ウェハ111の1スキャン156のみで全面検査が可能となる。尚、マイクロレンズ241のフーリエ変換面に空間フィルタ242を配置し、さらに、検出器としてCCDリニアセンサ243を配置している。
【0042】
また、図15において、他の実施例として、斜方照明系151にパルス発光レーザを用いて製品ウェハ111上を広領域かつ高照度で照明する。さらに、検出器として2次元CCDセンサあるいはTVカメラ233を用いれば広領域で検出することができる。ここで、斜方照明系151において、パルス発光を行う場合は、検出器もそれに同期させて検出する。
【0043】
以上において、空間フィルタを用いる場合は、各製品ウェハ111の回転方向が一定で搬送されてくる場合は、例えば、装置の搬送系途中にオリフラ位置合せ機構を設置し、空間フィルタの方向に製品ウェハ111の方向を合せることにより、空間フィルタ検出が可能となる。しかし、各製品ウェハ111の回転方向が様々な方向で搬送されてくる場合は、製品ウェハ111の繰返しパターンの方向も変わるため、製品ウェハ111の回転方向に合せ空間フィルタも回転する必要がある。図15、図17に示すマイクロレンズを用いると、隣接する空間フィルタは独立しているため、個々の空間フィルタを製品ウェハ111の回転方向に合せ回転すれば良い。しかし、レンズアレイを用いる場合は、隣接する空間フィルタは連なっているため、図18に示すように製品ウェハ111の回転方向(オリフラの回転位置)251に合せ異物検出光学系122(253)を254のように回転し、252の方向にする必要がある。もちろんマイクロレンズを用いる場合でも、製品ウェハ111の回転方向251に合せ異物検出光学系122を回転しても良い。ここで、251の方向と252の方向は同一である。回転角は最大45°であり、図18の場合、回転する分、検出幅が長くなる。
【0044】
また、空間フィルタを用いる場合は、製品ウェハ111上の規則的な繰返しパターン部の検査を行うことはできるが、それ以外の部分は検査できない。したがって、製品ウェハ111上の規則的な繰返しパターン部以外は、ソフト等で無効データあるいは検出禁止エリアとする。しかし、この場合、製品ウェハ111上の全ての点を異物をモニタするのではなく、ある特定の比率で製品ウェハ111上を監視しているが、繰り返しパターンの多いメモリの製造では、このメモリの繰り返し部だけをモニタするだけでも効果は大きい。
【0045】
次に、図19に白色光照明による異物検出光学系122の構成図の一実施例を示す。白色光による斜方照明系261と検出光学系262としてレンズアレイ153と検出器155から成っている。この方式を用いると、空間フィルタ方式に比べ異物の検出性能は低下する。しかし、図20に示すように白色光照明検出271は空間フィルタを用いないレーザ照明検出272に比べて検出性能は高く、また、製品ウェハ111上の規則的な繰返しパターン部に限定せず、全面を検査することができる。ここで、異物からの検出出力は製品ウェハ111上の全てのパターンのピーク値を基準273にとっている。
【0046】
次に、図21にウェハ比較検査による異物検出光学系の構成図の一実施例を示す。斜方照明光学系151と検出光学系152から成る。斜方照明光学系151は図に示すように1個以上の照明アレイに成っている。検出光学系152は検出レンズとしてレンズアレイ153あるいはマイクロレンズ群、検出レンズ153のフーリエ変換面に空間フィルタ154、検出レンズ153の結像位置に検出器155、さらに、検出器からの検出信号を画像処理する画像処理系280から成っている。まず、製品ウェハ111の1枚目を検出し画像としてメモリ282に記憶する。次に、2枚目の製品ウェハ111を検出した検出画像281と1枚目の記憶画像282を比較回路283により比較することにより、異物の顕在化を行なう。3枚目以降の製品ウェハ111検出画像281は、1枚目もしくは直前の2枚目の記憶画像282と比較する。本実施例では、空間フィルタ154を用いてパターンの情報を少なくしている。したがって、本異物検出光学系で検出する前にオリフラ位置合せ機構等を設置し、全ての製品ウェハ111の回転方向を空間フィルタの回転方向に合わせる。
【0047】
図22に異物モニタ101を用いた半導体FA(Factory Automation)のシステム図を示す。製品ウェハ111を一貫処理可能な一貫処理ステーション291、各種特殊処理に対応した各種ジョブステーション292、検査ステーション293、解析ステーション294から構成されており、各ステーションはクリーントンネル中の搬送系により結合されている。一貫処理ステーション291と各種ジョブステーション292において、特に大量不良の可能性の高いCVD装置やエッチング装置などには異物モニタ101を搭載して、装置内の異物監視を行なう。また、296、297のようにステーションの出入口の搬送系に異物モニタ101を搭載して、ステーション全体における異物監視を行なう。
【0048】
なお、本発明は量産立上げ時においても、量産ラインの監視に有効であることは当然である。
【0049】
次に本発明に係る小型異物モニタの他の具体的実施例を図23から図32を用いて説明する。
【0050】
以下、本実施例の構成を図23を用いて説明する。本実施例は、半導体レーザ1111、コリメータレンズ1112、x拡散レンズ1113、集光レンズ1114、y拡散レンズ1115、ミラー1116より構成される照明光学系1110と、結像レンズ1211,1221、空間フィルタ1212,1222、偏光板1213,1223、1次元検出器1214,1224より構成される検出光学系1210と、ウエハ搬送手段1301、自動焦点検出器1312、自動焦点位置決め機構1313より構成されるステージ系1300と、A/D変換器1411、閾値回路1412、2次元画像切り出し回路1413、パターン異物判断回路1414、パターン情報メモリ1418,1416、異物情報メモリ1417,1415より構成される信号処理系1401と、FFT回路1511、繰り返し部除去回路1512、データメモリ1513、マイクロコンピュータ1515、データ表示系1516、異常表示アラーム1517より構成されるデータ処理系1501とにより構成される。
【0051】
照明光学系1110では、半導体レーザ1111から射出した光が、コリメータレンズ1112により平面波になりx拡散レンズ1113によりx方向のみ広げられる。x拡散レンズ1113より射出した光は集光レンズ1114によりx方向は平行な光束つまり平面波に、y方向は集光される。その後y拡散レンズ1115によりy方向のみ平行光束まで拡散される。結果的に、x,y方向とも平行光束つまり平面波でありy方向に長い直線上のビームとなり、ウエハ(半導体基板)1001上を照明する。
【0052】
図24に照明光学系1110をx方向から見た構成を示し、図25にy方向から見た構成を示す。y方向には、ウエハ(半導体基板)1001上の照明エリアを十分照明できるだけ広がり、x方向には十分な照度になるよう絞り込んでいる。ただし、照明は平面波すなわちx方向にもy方向にも平行な光束になっている。
【0053】
ここで、本実施例では、x,y方向とも平行光束つまり平面波にして照明しているが、近似的に平面波になる光学系であればよい。また、ここでは、磁界ベクトルが照明の入射面に垂直になるような直線偏光を照射している。これにより、異物からの散乱光をパターンからの散乱光に対して相対的に向上する効果がある。但し、必ずしもs偏光である必要はなく、その他の直線偏光あるいは楕円、円偏光であっても本発明の目的を達成する上では差し支えない。
【0054】
検出光学系1210では、ウエハ1001上の検査位置1002から射出した光束を結像レンズ1211,1221により、空間フィルタ1212,1222、偏光板1213,1223を通して、1次元検出器1214,1224上に結像する。偏光板1213,1223は、磁界ベクトルが照明の入射面に垂直な光(S偏光)を遮光している。この偏光板は、異物からの散乱光をパターンからの散乱光に対して相対的に向上する効果がある。但し、必ずしも必要ではなく、省いても本発明の目的を達成する上では差し支えない。
【0055】
また、検出光学系の結像レンズ1211は、図26に示したような通常のレンズを用いても、あるいは、図27に示したような屈折率変化型のレンズアレイを用いてもよい。いずれの場合も、照明光学系1110として、図24及び図25に示したような平面波を照明できるような光学系を用いる場合、空間フィルタ1212,1222をはじめとした構成上の相違点はない。
【0056】
図28に照明光学系及び検出光学系の平面図を示す。検出光学系1210,1220,1230,1240,1250,1260および1次元検出器1214,1224,1234,1244,1264を複数配置し、ウエハの直径L全域をカバーできるようにしている。また、各照明光学系1110,1120,1130,1140,1150,1160はそれぞれ1次元検出器1214〜1264の検出エリアを照明するように配置している。この構成で、ウエハ全域を平行光束すなわち平面波で照明できる。この構成では、一つの検査領域にたいして一つの照明方向から照明している。この構成により、空間フィルタの効果が十分に発揮される。仮に一つの照明領域が複数の方向から照明された場合、空間フィルタ上でこれら複数の照明による回折パタ−ンが重複するため空間フィルタによる遮光領域を大きくする必要がある。このように遮光領域を大きくした場合、この遮光領域により検出すべき光信号をも遮光してしまうことになる。一つの方向から照明することによりこれを防ぐことができる。
【0057】
ステージ系1300では、ウエハ1001をウエハ搬送手段1301上に載置した後、ウエハ搬送手段1301はx方向に移動する。ここで、ウエハ搬送手段1301は、他の処理装置、具体的には、成膜装置、エッチング装置、露光装置などの半導体製造検査装置のもつ搬送系である。もちろん、本発明の異物検査装置が、この搬送手段を持ち合わせていてもよい。また、自動焦点検出系1312により、ウエハ1001と本発明による装置との距離が測定され、その結果を基に自動焦点制御系1313によりウエハ1001と本発明による装置との距離が最適になるよう制御される。この制御は検査開始前に1度だけされれば十分であるが、ウエハ搬送手段1301の精度によっては、検査中に実時間で制御される必要がある場合もある。
【0058】
信号処理系1410では、1次元検出器1214からの検出信号をA/D変換器1411、閾値回路1412を通過し、2値化された1ビットの信号が5×5の2次元画像切り出し回路1413に送られ、図に示した論理式によるパターン異物判定回路1414によりパターンと異物が判定される。すなわち、中央の点の論理値をP(0、0)とすると、以下の式(数2)が成立するときp(0,0)の信号を異物と判断し、以下の式(数3)が成立するときパターンと判断する。
【0059】
【数2】

【0060】
【数3】

【0061】
判断された結果は、1次元検出器1214の基本クロックから求められる座標信号によりパターンメモリ1415および異物メモリ1416に格納される。ここで、閾値回路1412から異物メモリ1416までの回路は、3系統等の複数用意してあり、閾値回路1412の閾値を段階的に変えておく。このような回路構成により必要十分な機能を有しながら回路規模が小型になるという効果を持つ。ここで、この信号処理系は各検出光学系1210〜1260の信号を処理するため、信号処理系1410〜1460が設けられている。
【0062】
データ処理系1501では、異物メモリ1416のデータからFFT回路1511により異物マップデータがフーリエ変換され、繰り返し部除去回路1512によりチップ間の繰り返し部が除去される。こうして得られた異物データは異物メモリ1513に座標及び閾値が格納されると共に、この異物数が許容範囲より大きい場合、アラーム1517より警報信号が出される。この警報信号が出された場合、作業者は、ラインの動作を止めると共に、異物の発生原因を追求し、対策を施す。また、マイクロコンピュータ515より指令することにより、異物のマップデータ、座標データ等が表示系1516に出力される。また、本発明では、パターンのデータもメモリ1416に格納されている。このデータは、このパターン部では異物検査を実施していないことを意味する。従って、パターンデータの全体面積に対する比率は、検査面積比率を意味する。この検査面積比率が、所定の値より小さい場合は、検査装置のエラーあるいは、ウエハプロセスのエラーの可能性がある。従って、この場合も、アラーム1517より警報を出す。
【0063】
図51に、信号処理系1410とデータ処理系1501の機能を兼ねた異物パターン判断系を示す。データ処理系1501では、ウエハ内のチップの繰り返し性を利用してチップ周辺の非繰り返しパターンを識別除去している。この機能は、図51に示した回路によっても達成される。
【0064】
この実施例は、2次元画像切り出し回路1413に替えて画像切り出し回路1420をもつ。画像切り出し回路1420は切り出し部1421、1422及び被判断部1423より構成される。この切り出し部1421、1422は、被判断部1423に対して試料上でのチップピッチp離れた位置の画像を切り出せるように配置されている。ここで、ウエハは、回転誤差Δα、チップ転写誤差、結像倍率誤差、2値化による誤差などによるチップ間隔誤差Δpを持っているため、画像切り出し部1421、1422は被判断部1423に対して概ね±Δα、±Δpの余裕を持っている。この値は、実験的に、あるいは装置の製作精度を基に設計されればよい値であるが、本実施例の場合画素サイズを7μmとして、Δpを1.5画素、Δαを0.5度とし、ピッチが10mm程度として、Δw(=Δα・p)を12.5画素としている。この画像切り出し回路1420から切り出された信号は、図23に示した信号処理系に準じて処理される。2次元切り出し回路1413では切り出された正方形の周辺部を式1に従ってロの字形に論理積を取るのに対し、切り出し部1421、1422の全域にわたって論理積が取られる。すなわち、2次元切り出し回路1413では切り出された正方形の周辺部をP(i,j)としているのに対し、切り出し部1421、1422では切り出された全域をP(i,j)としている。このP(i,j)の形状が異なるだけでパターンの判断は式1で、異物の判断は式2で示される。
【0065】
この構成では、FFT回路1511および繰り返し部除去回路1512を省略することができる。
【0066】
以下、動作を図23ないし図32により説明する。
【0067】
本発明では、超微細パターンの形成された超LSI上の異物を高速高精度でしかも小型の装置で検査するため、パターンの繰り返し性に着目している。従来の装置では、ウエハの全面積を高速高精度で検査するため、高性能の大型の装置が用いられていた。ところが、半導体生産の歩留りを向上するためには、必ずしも、全面積に付いて異物検査をするよりも、むしろ、全面積検査を犠牲にして、全ウエハ検査を実施した方が良いという結果が判明した。従来装置を用いる限り、ウエハを適当な頻度でサンプリングして検査するしかなく、この検査方法では、一度、不良が発生したとき大量の不良をつくり込んでしまう可能性がある。このような、全ウエハ検査をする場合、ウエハの全面積を検査しなくても、装置発塵、プロセス発塵等の不良を発見できる。
【0068】
そこで、メモリーに代表されるLSIには、繰り返しのパターンが大きな比率で存在することに着目した。DRAM,SRAM等では、80%以上、マイクロコンピュータ、カスタムLSI等でも多くの場合、30%以上である。このような比率で有れば、この繰り返し部だけの検査で十分である。繰り返し部の欠陥、異物の検査では、光学的なフィルタリングを用いた非繰り返し部の強調検出技術が有効である。そこで、この技術を適した。この方法は、空間フィルタの作成方法が課題である。
【0069】
図29に示したような基本パターン1010の繰り返しパターンに図23に示した装置で光を照明した場合、図30に示したような規則的な回折パターン1011が空間フィルタ1212,1222で観察される。この回折パターン1011は図29に示したパターンからの回折にによるものである。ここで、図29上に異物1012が存在した場合、この異物1012からの回折光は、規則的な回折パターン1011とは異なった不規則な形状になり、例えば図30上のパターン1013のように観察される。そこで、この空間フィルタ1212,1222上で回折パターン1011を遮光するようなフィルタを設ければ、パターン1014の情報は削除され1次元検出器1214,1224上では、異物1012の情報のみが図11のように観測される。すなわち本発明により、異物1012のみが選択的に検出されたことになる。
【0070】
ここで、パターン1014のピッチpと回折パターン1011のピッチθ(観測点2から結像レンズ1211,1221へ入射する回折パターンの角度で示している。)との関係は、照明光学系1110の射出する光の波長λとして以下の式(数4)で示される。
【0071】
【数4】

【0072】
従って、pが小さいほどθは大きくなる。すなわち、LSIがより微細化し、pが小さくなるほど回折パターンのθは大きくなり結像レンズ211に入射する回折パターンは減少し空間フィルタの形状は簡単になるという利点がある。
【0073】
また、同じ製品の場合、基本パターン1010の形状は変わっても位置ピッチは変わらないため回折パターンの基本的な形状は変わらない。つまり、同じ製品を検査する限り、回折パターンの形状はほぼ変わらず、従ってこれを遮光する空間フィルタの形状もほぼ変わらないという特徴を有する。この特徴を利用し、各製品毎に各工程の回折パターンの形状を測定しそれら全ての回折パターンを遮光するような空間フィルタを作成しても、そのフィルタが結像レンズの開口全てを遮光するようなことはないことに着目した。このように各工程毎の回折パターンをすべて遮光するようなフィルタを用いることにより空間フィルタの交換を省くことができる。また、特にメモリの製造ラインでは製品が少なく製品の変更も少ないため効果的である。
【0074】
ここで、本発明では、結像レンズ1212,1222に屈折率変化型のレンズアレイを用いると装置をさらに小型に構成できる。屈折率変化型レンズアレイは、小型の光学系が構成できるためファクシミリ、電子複写機等に用いられている。光学系を小型にするという目的を達成する為にはこの屈折率変化型のレンズアレイは効果的である。しかしながら本発明では空間フィルタを用いる必要がある。従来、屈折率変化型のレンズアレイにもフーリエ変換面があり空間フィルタを用いることができることは着目されていなかった。本発明では、この屈折率変化型のレンズアレイに空間フィルタを用いることができることに着目して、屈折率変化型のレンズアレイを用いた小型の異物モニターを実現した。空間フィルタの構成、作用は上述したものと同一であり、各レンズ1つ1つに上述の空間フィルタを設置すればよい。またこの屈折率変化型のレンズアレイの空間フィルタの位置は図31に示すようにレンズの射出側の端面になる。
【0075】
図32に空間フィルタの形状を示す。特に、最も簡便にかつ任意のパターンに対し効果を出すには図32(a)に示した直線上のものがよい。また、この直線上の空間フィルタよりパターンとの弁別性能を出すには図32(b)に示した様な形状のものが必要になる。さらに、製品内の各工程全てで使用できる形状の1例を図32(c)に示す。
【0076】
図33に異物の検出例を示す。
【0077】
ここで高速小型の異物検査装置を実現する上で、この空間フィルタを用いた方法は従来技術(特許公開昭和62−89336号)に示した偏光検出法より適している。この理由を図34、35、36を用いて説明する。
【0078】
試料に光を照明し異物からの散乱光を検出する方法では、試料表面に形成されたパターンからの散乱光がノイズになる。このノイズは、図34(c)に示したように検出器2006の画素(1つの信号として検出される最小単位)サイズが大きいほど大きくなる。ノイズ源になるパターンは試料上ほぼ全面に形成されているため、ノイズは画素サイズに比例して大きくなる。
【0079】
一方で、画素数が多いほど検査時間がかかるため、高速検査を実現するためには画素サイズを大きくする必要がある。したがって、画素サイズを大きくして、ノイズレベルも小さくする必要がある。このノイズレベルを小さくする方法として、小泉他、「LSIウエハパターンからの反射光の解析」、計測自動制御学会論文集、17−2、77/82(1981)に、偏光を利用した方法が解析されている。これによれば、偏光を利用することによって、パターンからの散乱光(ノイズ)を減衰させることができる。ところがこの方法による散乱光の減衰率は、上記論文に解析されている通り、検出器の方向に依存する。このため、結像光学系を用いたように様々な方向に射出した光を集光する場合、それぞれの減衰率を積分すると減衰率は0.1%から0.01%程度になる。
【0080】
これに対し、本出願の空間フィルタを用いた方法では、減衰率を0.001%から0.0001%にできる。この理由を図35、36を用いて説明する。繰り返しパターンの形成されたウエハ2001を照明光2002で照明し、照明した領域をレンズ系2003、2005を用いて検出器2006に結像する。ここで、空間フィルタ2004を載置したフーリエ変換面でのパターンからの射出光の強度分布を図36に示す。繰り返しパターンからの射出光はパターンのピッチに応じた位置に集中する。この集中の比率を算出した例として、複スリットの場合の回折光強度分布が久保田宏著、「応用光学」(岩波)に説明されている。
これによれば、スリットの数(本出願では同時に照明される繰り返しパターンの数)が多くなれば、集中の比率が大きくなる。この比率はフーリエ変換F[]を用いても算出できる。照明されたパターンの形状をa(x,y)とすると、空間フィルタの位置の光強度分布はF[a(x,y)]となる。空間フィルタの形状をp(u,v)とすると、p(u,v)*F[a(x,y)]が、空間フィルターを通過する光となる。また空間フィルタに相補的な図形の形状を ̄p(u,v)とすると、 ̄p(u,v)*F[a(x,y)]は、空間フィルタによって遮光される光成分である。この2つの成分の比率が先の減衰率になる。パターンの繰り返し数が3の時のこの減衰率を算出すると0.001%程度である。繰り返し数が5の時0.0001%程度になり、さらに繰り返し数を多くすれば減衰率は低下する。従って、偏光を用いるよりも減衰率を低くでき、パターンノイズを低減できることになる。
【0081】
以上の計算は、パターン形状及びその他の条件が理想的な場合であって、現実の実験結果とは必ずしも一致しない可能性がある。しかしながら、偏光方式よりも1桁から3桁減衰率が低下し、パターンノイズを低減できるという実験結果を得ている。
【0082】
次に本発明の小型異物モニタの他の実施例を図34から図47を用いて説明する。図34に異物検出器の検出画素サイズとノイズレベルの関係を示す。小型異物モニタの課題として高速・小型化がある。同図(a)に異物検出光学系を示す。ウェハ2001上のパターンと異物からの散乱光を検出レンズ2003を通して、検出器2006で検出する。検出器2006からの検出信号は検出器2006の1画素毎に出力される。同図(b)に検出器2006の1画素に相当するウェハ上の大きさが小画素の場合と大画素の場合を示す。検出時間Tはウェハの面積S、検出器のデータ取り込み時間t、検出器の画素サイズw、検出器の画素数nとして以下の式(数5)で示される。
【0083】
【数5】

【0084】
式(数5)より、高速・小型を実現するためには、wを大きくすることと、nを増やして並列処理を行うことが最も有効である。しかし、同図(c)に示すように、wを大きくすると、wに比例してウェハ2001上のパターンからのノイズレベルも増加する。したがって、wを大きくして、異物検出性能を維持するためには、パターンからのノイズレベルを低減する必要がある。
【0085】
そこで、次に、パターンからのノイズレベルを低減するために、空間フィルタ法によるノイズ低減の効果について説明する。図35は空間フィルタを用いた異物検出光学系の構成図を示す。検出レンズ2003のフーリエ変換面に空間フィルタ2004を設置している。ノイズであるウェハ2001上の繰返し性のあるメモリパターンからの回折光2007は、検出レンズ2003を通過後、空間フィルタ2004で遮光する。また、ウェハ2001上の異物からの散乱光2008は検出レンズ2003、空間フィルタ2004、結像レンズ2005を通過して検出器2006で検出される。
【0086】
ここで、図35の空間フィルタ2004面におけるパターン回折光2007のx方向の光強度分布を図36に示す。同図において、空間フィルタ2004の透過部分(A)と遮光部分(B)に相当するパターン回折光2007の光強度の比、即ちA:Bは1:105となり、空間フィルタ2004を設置することにより、パターンノイズを1/105に低減することができる。従来の異物検査装置に用いられた偏光フィルタ法では、パターンノイズ低減は1/102であるため、検出器の画素サイズが同一であれば、ノイズ低減レベルは103向上し、異物検出感度も向上する。したがって、異物検出感度の目標設定を従来の異物検査装置の性能以下にすることにより、検出器の画素サイズの大画素化を行うことができ、異物検出光学系の高速・小型化が可能となる。
【0087】
なお、空間フィルタで遮光できるパターンは繰返し性のあるメモリパターンであり、メモリパターン部以外はソフト等で無効データあるいは検出禁止エリアとする。
【0088】
図37に空間フィルタ法を適応した場合の異物検出光学系における弁別比を示す。ここで、異物検出系光学系における検出レンズ2003は結像レンズも兼ねているため、結像レンズを必要としない。検出器2006からの検出信号分布より、異物の検出信号をS、パターンノイズをNとすると弁別比をS/Nで表す。次に、図38に検出器の画素サイズと弁別比の関係を示す。ここでは、異物として2μm標準粒子の例を示す。異物をパターンから安定して弁別するためには、弁別比1以上を必要とする。したがって、同図より、2μm標準粒子をパターンから弁別して検出するためには、検出器の画素サイズは20μm以下であれば良いことがわかる。
【0089】
次に、図39に照明領域と検出領域を示す。検査時間Tは、検査幅Lx、Ly、検出器の画素サイズw、検出器の読みだしクロック周波数fとして以下の式(数6)で示される。
【0090】
【数6】

【0091】
また、有効照明光強度Pは、照明パワーP0、照明幅Wx、Wyとして以下の式(数7)で示される。
【0092】
【数7】

【0093】
ここで、Wx≒Lxであるため、式(数7)は式(数8)で示される。
【0094】
【数8】

【0095】
総照明光量Ptは式(数6)と式(数8)より、式(数9)で示される。
【0096】
【数9】

【0097】
したがって、検出信号強度Iは、異物信号係数K2と式(数9)より、式(数10)で示される。
【0098】
【数10】

【0099】
式(数10)より、Iはw・fの関数となる。
【0100】
以上の結果を基に、図40に装置仕様を決定するための性能図を示す。画素サイズと検査時間の関係、画素サイズと弁別比の関係、画素サイズ・検出器のクロック周波数と検出信号の関係の3図により装置仕様を決定する。例えば、20秒の検査時間を実現するために、画素サイズと検査時間の関係より、検出器のクロック周波数を2MHzに設定すれば、検出器の画素サイズは13μmで良い。その時、画素サイズと弁別比の関係より、2μm異物のパターンからの弁別比は2であり、パターンから弁別することができる。最後に、画素サイズ・検出器のクロック周波数と検出信号の関係より、2μm異物の検出信号は、画素サイズ・クロック周波数で決まり、60mVであり、検出器で検出可能である。以上の様に、3つの性能図により、装置の検出異物寸法と検査時間の仕様を任意に決定することができる。
【0101】
図41は空間フィルタ法を用いた異物検出光学系の装置構成を示す図である。異物検出光学系は、製品ウェハ2001の一軸走査2010で製品ウェハ2001全面が検査可能な構成に成っている。そのため、異物検出光学系は照明光学系2011と検出光学系2013に分け、それぞれユニット構成に成っている。検査対象ウェハがφ200mmの場合について以下に説明する。例えば、8ユニットでウェハ2001全幅を検査するためには、1ユニットの照明領域及び検出領域2012は、25mmにすれば良い。したがって、検査対象ウェハがφ150mmの場合は、8ユニットのうち6ユニットを用いれば良い。1ユニットの検出光学系2013は、検出レンズ2014、検出レンズ2014のフーリエ変換面に設置された空間フィルタ2015、検出器としてリニアセンサ2016で構成されている。検出レンズ2014の外形寸法が検出幅より大きい場合は、本実施例の同図に示すようにちどり状に配置することによりウェハ2001全幅を確保することができる。また、検出レンズ2014の外形寸法が検出幅以下の場合、あるいは、ウェハ上を限定する検査すなわち部分検査の場合には直線状に配置することができる。ここで用いている空間フィルタ2015は検出光学系2013がちどり状の場合は4ユニット構成を2組使用し、検出光学系2013が直線状の場合は8ユニット構成を1組使用する。リニアセンサ2016からの検出信号は異物検出処理(別体)2017で処理され、異物データとして出力する。
【0102】
なお、検出光学系2013がちどり状の場合は2組、検出光学系2013が直線状の場合は1組の空間フィルタ2015の交換は、ウェハ2001の品種間により行う必要があるが、工程にはほとんど依存せず、1品種ウェハを1種類の空間フィルタ2015で対応可能である。
【0103】
次に本実施例のうちの仕様の一例を示す。照明光学系は、照明光源として波長780nm、出力200mWの半導体レーザを用い、照明光入射角度は上方から60°でウェハ上の26×1mm2の領域を照明する。検出光学系は、検出レンズとして投影レンズ(50mmF2.8を用い、検出倍率1倍(検出NA=0.1)で検出する。検出器には画素サイズ13μm、画素数2048、駆動周波数4MHzのCCDリニアセンサ、あるいは、異物弁別性能の高い画素サイズ7μm、画素数4096、駆動周波数4MHzのCCDリニアセンサを用いる。
【0104】
次に、図42はパターンノイズ光のウェハ回転角度による影響を示す一例図である。ウェハ2001が回転すると、ウェハ2001のパターンからの回折光もウェハ2001に応じて回転する。したがって、異物検出光学系2021に対してウェハ2001が回転していると、異物検出光学系2021の空間フィルタの遮光部分からウェハ2001のパターンからの回折光が漏れてくる。したがって、パターンからの回折光の漏れ光すなわちパターンノイズ光は、空間フィルタの遮光幅とウェハの回転角度の関数となる。ここで、ウェハの回転角度θは、異物検出光学系2021の中心線2020とウェハ2001の中心線2000の角度を表す。しかし、空間フィルタの遮光幅を広げると異物からの散乱光も減光するため、最適幅を求める必要がある。そこで、従来のプリアライメント装置ではウェハの回転角度を±2°以内に抑えることができるので、異物検出性能、例えば、2μm異物をパターンから弁別して検出できる空間フィルタの遮光幅を最適幅とした場合のウェハの回転によるパターンノイズ光の変化の一例を同図に示す。
【0105】
異物検査のモニタとしての機能を有するためには、できるだけ焦点深度の深い異物検出系が必要である。
【0106】
焦点深度は、検出画素サイズの大きさにより、検出レンズのNAから計算される焦点深度より大きい値を得ることができる。
【0107】
検出画素サイズが検出異物サイズより十分小さければ、焦点深度dは、検出レンズの開口数に依存し、光の波長λ、検出レンズの開口数NAとして以下の式(数11)で示される。
【0108】
【数11】

【0109】
式(数11)において、例えば、λ=780nm、NA=0.1の場合はd=39μmとなる。また、検出画素サイズが検出異物サイズより十分大きければ、焦点深度は、検出画素サイズに依存する。この場合、検出画素サイズを相当解像度a’とすると、相当開口数NA’との関係は以下の式(数12)で示される。
【0110】
【数12】

【0111】
さらに、式(数12)におけるNA’を式(数11)のNAに代入すると、実際の焦点深度dが得られる。例えば、a’=13μmとすると、NA’=0.037となり、d=285μmとなる。
【0112】
したがって、検出器の大画素化により、異物検出系の焦点深度を深くする効果がある。
【0113】
図43はウェハステージの高さによる異物検出出力の変化を示す一例図である。λ=780nm、NA=0.1、検出画素サイズ13μmを用いた場合の5μm異物の検出出力の変化を示している。同図より、焦点深度は±70μmである。この値は検出レンズの開口数から得られる値(39μm)と検出画素サイズから得られる値(285μm)の間の値に成っている。したがって、13μmの検出画素サイズは5μm異物に対して十分大きくないが、焦点深度を深くしている。
【0114】
以上のように、検出レンズの開口数を小さくすることと、検出画素サイズを大きくすることにより、焦点深度を深くすることができ、ウェハの搬送系の高さ方向の位置制御をラフにすることが可能である。
【0115】
次に、本小形異物モニタリング装置に用いる照明光学系の1ユニットの構成を示す。ウェハ上を片側は検査領域を十分照明できるように広げ、片側は十分な照度になるように絞り込み、線状照明が可能な構成となっている。照明光源が点光源であれば、両側とも平面波すなわち平行な光束ができる。ここで、照明光を平行光にすると、検出光学系の空間フィルタ位置の像をシャープにすることができ、空間フィルタによるパターンの遮光性能を高くし、異物検出性能も高くすることができる。しかし、例えば、照明光源として小形の半導体レーザを用いる場合、高出力になるにしたがって、発光点の片側の長さが長くなる。したがって、片側は平面波すなわち平行な光束はできない。そこで、それに対応した照明光学系の実施例を2種類示す。ただし、ウェハ上の線状照明のうち、ビームの長い方向をy方向、ビームの短い方向をx方向とする。
【0116】
1つ目の方式の構成を図44に示し、同図(a)にx方向から見た構成を示し、同図(b)にy方向から見た構成を示す。ここで、半導体レーザ2101の発光点2100の長い方向がx方向、発光点2100の短い(点光源に近い)方向がy方向である。ただし、ウェハ上においてP偏光照明であればS偏光照明になるようにλ/2板を挿入する。
【0117】
同図(a)のx方向は、半導体レーザ2101から射出した光はレンズ2102〜レンズ2106を用い、光束を絞ってウェハ2001上を照明する。同図(b)のy方向は、半導体レーザ2101から射出した光はレンズ2102〜レンズ2106を用い、光束を広げ平行光にする。この方式はx方向の光束を容易に絞り込むことができるので、照明の高照度化が可能である。この方法では、x方向の光束を平行光ではなくある角度をもって絞り込むため検出光学系の空間フィルタ面におけるx方向の回折パターンは長くなるが、図32に示すような直線状の空間フィルタを用いることによってパタ−ンからの回折光を遮光することができる。図45は図44の照明光学系を用いた場合の検出検出光学系の空間フィルタ面におけるウェハ上の回折パターンの平面図の一例を示す。ウェハ上のパターンからの回折パターンの1点の大きさは、x方向は照明の開口数に依存しx1=数mm、y方向は平行光であるためy1=数μmになり、y方向のみシャープな光となる。ウェハの向きにより同図(a)に示すようにy方向のピッチpyがx方向のピッチpxより短い場合には空間フィルタの遮光率が高くなり、異物からの検出出力も低下する。そこで、ウェハを90°回転することにより、ウェハ上のパターンからの回折パターンは同図(b)に示すようになり、y方向のピッチは同図(a)におけるpxと同一であり、空間フィルタの遮光性能を向上することができる。このように、y方向に回折パターンのピッチの長い方がくるようにウェハの向きを予め設定することにより、異物からの検出出力を更に向上することができる。このウエハの最適な向きは、予めデ−タとして入力することができる。また、一度回折パターンの向きを見てウェハの最適な向きを検出し、以後はその最適な向きの上方を用いる。
【0118】
2つ目の方式の構成を図46に示し、同図(a)にx方向から見た構成を示し、同図(b)にy方向から見た構成を示す。ここで、半導体レーザ2101の発光点2100の短い(点光源に近い)方向がx方向、発光点2100の長い方向がy方向である。ただし、ウェハ上においてP偏光照明であればS偏光照明になるようにλ/2板を挿入する。
【0119】
同図(a)のx方向は、半導体レーザ2101から射出した光はレンズ2202〜レンズ2207を用い、光束を絞って平行光にする。同図(b)のy方向は、半導体レーザ2101から射出した光はレンズ2202〜レンズ2207を用い、光束を広げウェハ2001上を照明する。しかし、x方向の発光点2100の長さが数十μmと長いため、平行光にすることができない。ここで光源2100は、レンズ2202〜レンズ2207、結像レンズ2014を通して空間フィルタ2015の位置に結像する。この総合結像倍率は空間フィルタの遮光性能より数十μm以下が最適であるため、1倍前後になるようにする。
【0120】
図47に図46の照明光学系を用いた場合の検出検出光学系の空間フィルタ面におけるウェハ上のパターンからの回折パターンの平面図の一例を示す。空間フィルタ面におけるウェハ上のパターンからの回折パターンの1点の大きさは、x方向は平行光であるためx2=100μm程度、y方向は照明光源の大きさに比例するのでy2=数十μmになり、ウェハの向きに依らず、x方向、y方向とも比較的シャープな光が得られ、空間フィルタの遮光性能を高くすることができる。
【0121】
次に本発明の小型異物モニタの偏光検出法による異物検出光学系の他の実施例を図48から図49を用いて説明する。
【0122】
偏光検出法はメモリパターンに限定しないでウェハ全面の全てのパターンから異物を弁別して検出することが可能である。
【0123】
図48は検出レンズとして屈折率変化型のレンズアレイを用いた異物検出光学系の構成図を示す。斜方照明光学系3002と検出光学系3003から成る。斜方照明光学系3002は図に示すように1個以上の照明アレイに成っている。検出光学系3003は検出レンズとして屈折率変化型のレンズアレイ3004、偏光素子として偏光板3005、屈折率変化型のレンズアレイ3004の結像位置に検出器3006から成っている。照明アレイによりウェハ全幅を照明する線状照明にし、ウェハ全幅を検出する。したがって、ウェハ3001の一軸走査3010でウェハ3001全面を検査できる。照明アレイ3002の照明角度は水平方向から数度上方より行い、磁界ベクトルが照明の入射面に垂直になるような直線偏光(S偏光)でウェハ3001上を照射する。また、ウェハ3001上のパターン及び異物からの散乱光は、屈折率変化型のレンズアレイ3004を通過後、偏光板3005でP偏光(磁界ベクトルが照明の入射面に平行な成分の直線偏光)のみを通過させ、パターンからの散乱光を減じ異物からの散乱光を強調させて、検出器3006で検出する。
【0124】
図49は検出レンズとして通常のレンズを用いた異物検出光学系の装置構成図を示す。異物検出光学系は、製品ウェハ3001の一軸走査3110で製品ウェハ3001全面が検査可能な構成に成っている。そのため、異物検出光学系は照明光学系3111と検出光学系3113に分け、それぞれユニット構成に成っている。検査対象ウェハがφ200mmの場合について以下に説明する。例えば、8ユニットでウェハ3001全幅を検査するためには、1ユニットの照明領域及び検出領域3112は、25mmにすれば良い。したがって、検査対象ウェハがφ150mmの場合は、8ユニットのうち6ユニットを用いれば良い。1ユニットの検出光学系3113は、検出レンズ3114、偏光板3115、検出器としてリニアセンサ3116で構成されている。検出レンズ3114の外形寸法が検出幅より大きい場合は、本実施例の同図に示すようにちどり状に配置することによりウェハ3001全幅を確保することができる。また、検出レンズ3114の外形寸法が検出幅以下の場合、あるいは、ウェハ上を限定する検査すなわち部分検査の場合には直線状に配置することができる。照明ユニット3111の照明角度は水平方向から数度上方より行い、磁界ベクトルが照明の入射面に垂直になるような直線偏光(S偏光)でウェハ3001上を照射する。また、ウェハ3001上のパターン及び異物からの散乱光は、検出レンズ3114を通過後、偏光板3115でP偏光(磁界ベクトルが照明の入射面に平行な成分の直線偏光)のみを通過させ、パターンからの散乱光を減じ異物からの散乱光を強調させて、リニアセンサ3116で検出する。リニアセンサ3116からの検出信号は異物検出処理(別体)3117で処理され、異物データとして出力する。
【0125】
図50に本発明の位置付けと機能を示す。LSIの量産立上げの主要作業のうちの1つに、異物の発生原因を究明して対策を施す作業があり、それには発生異物を検出して元素種などを分析することが発生原因探求の大きな手がかりになる。一方、量産ラインでは、これらの異物をいち早く感知し対策を施す必要がある。異物発生からその感知までの時間が経過した場合、不良の発生数は大きくなり歩留まりは下がる。したがって、高い歩留まりを維持するためには異物発生からその感知までの経過時間を短縮することが欠かせない。また、ウェハ上の異物個数の厳密な検出実験により、異物個数は徐々に増減するものではなく、突発的に増減することが新たに判明した。同図(a)にCVD等の処理装置内で発生する製品ウェハ上の異物数の時間推移を示す。同図(b)に従来方式を示す。従来装置はスタンドアローン型であり、量産ラインで処理したウェハを検査装置の個所に持ち込んで異物の検査をする抜取り検査であった。したがって、ウェハの搬送、異物検査に時間を要したため、検査の頻度すなわちサンプリングは、同図(a)に示すように、1ロット、あるいは数ロット、あるいは1日毎に1枚であり、検査枚数に限界があった。このようなサンプリングでは突発的な異物の増加が見落とされたり、増加したまましばらく経ってから検出されたりすることになり、相当数の不良(ドカ不良)が発生することになる。すなわち、このようなサンプリングでは、異物の発生を十分に早く感知したとはいえない。そこで、同図(c)に示すように、異物モニタリング装置を小型にした小形異物モニタを処理装置の入出力口あるいは処理装置間の搬送系中に載置し、小形異物モニタからの異物データを異物管理システムに取り込むことにより、異物管理を枚葉で行うことができる。したがって、本小形異物モニタを用いることにより、同図(a)に示すように、モニタのサンプリングタイムを短くでき、枚葉の実時間サンプリングが可能で、異物検査の効果を最大限に出すことができる。
【0126】
本発明の機能としては次の5項目がある。、処理装置の搬送系に取付け可能な大きさ、すなわち、小形であり、ウェハの枚葉検査ができる高速検査が可能であり、処理装置毎の異物管理ができるように処理装置のオプションになりうる安価な価格である。また、モニタであるためセッティングが容易でメンテナンスフリーになっている。
【0127】
以下、空間フィルタの実施例を図52から図55を用いて説明する。この空間フィルタは、液晶表示素子を用いて構成しても良いが、液晶素子の場合、特定の偏光方向の光だけしか使用できない。また、光の減衰率が小さいためパターンからの回折光を十分に遮光できない問題がある。そこで、空間フィルタを金属板等を用い機械的に構成するのが良い。
【0128】
空間フィルタは、図44、45で説明したように直線状のパターンの集合で構成される。(もちろん空間フィルタは図45(a)に示したような点の集合を遮光するように一回り大きい点の集合であるのが望ましいが、ここで示したような直線の集合であっても十分その機能は果たし、かつ構成が単純であるという効果もある。)この直線状パターンのピッチと位相を合わせればよい。図52にこの金属板を用いたピッチ可変空間フィルタ1270の一実施例を示す。
【0129】
この実施例は、照明光学系1110、検出光学系1210、ステージ系1300、信号処理系1401データ処理系1501より構成される点は、図23に示した実施例と同じである。
【0130】
ここで半導体レーザ1111の射出口1021が図52に示すように縦長に配置された場合、図44の照明系を用いると、空間フィルタの直線方向は、図52に示したように照明光束の入射面に平行になる。この場合、空間フィルタの位置合わせとして、空間フィルタの中心にある直線状パターンを基準にして直線状パターンのピッチを合わせるだけでよい。この場合、空間フィルタのピッチ可変機構は単純に構成できる。
【0131】
図52のピッチ可変空間フィルタ1270の構成を図53に示す。ピッチ可変空間フィルタ1270は、金属あるいは金属酸化物あるいはプラスチック等の遮光率の高い材料で形成された複数の直線上パターン1271、ばね状支持具1272、支持具1273、固定手段1274、ねじ1275、ネジ駆動手段1276、より構成される。ここで、ネジ1235には、1277部に右ネジ、1278部に左ネジが形成されている。ここで、ネジ駆動手段1276によりねじ1275を回転させることにより直線状パターン1271間のピッチを変えることができる。この、ネジ駆動手段1276の駆動は、ウエハ搬入時に、ウエハ上のチップピッチpと同時にチップ内のセルピッチdを受け取ることにより、直線上パターン1271間のピッチが算出された値に従って制御される。ここで、ばね状支持具1272はゴムであってもよい。
【0132】
またここで、この空間フィルタ1270のピッチは広いダイナミックレンジで変えることは難しい。例えば、ピッチを1/10にする場合、ねじ1275は空間フィルタとして必要な長さの10倍の長さが必要になるからである。そこで、空間フィルタ1270を複数個重ねて設置しておき、ピッチを小さく変化させる場合は、重ねたまま先の可変機構で可変し、大きく変化させる場合は重ねたそれぞれの空間フィルタをずらすことによって小さなピッチを実現できる。もちろん必要に応じ、可変機構とずらすことを同時にもできる。
【0133】
ここで、空間フィルタ1270の中央部の直線状パターン1279は、他の直線状パターンより太く構成されるのが望ましい。これは、中央部の回折光すなわち0次回折光は光強度が強く回折光の強度分布の幅がひろいため、十分に回折光を遮光するためには幅の広い直線状パターンを必要とするためである。
【0134】
また、ここでは、駆動機構の一実施例を示したが、本発明を実施するに当たって、ここに示した実施例である必要はなく、遮光性の高い直線状パターン1271を駆動する構成であれば他の駆動機構であっても良い。具体的には、図54に示すような構成であってもよい。この実施例では、直線状パターン1271はリンク1291で支持されており、リンク駆動機構1292でリンク1291の傾きを変えることによりピッチを変える構成である。
【0135】
また、空間フィルタのピッチが大きくできる方向、すなわちウエハ上のパターンのピッチdが小さい方向にウエハの向きを設定すれば尚良い。
【0136】
図55、56に示すように、照明光学系1110として、図45に示した光学系を用いた場合、空間フィルタの中央部にやや大きめの直線状空間フィルタ1279を照明の入射面に平行に配置し、これに垂直に直線状パターンを配置する必要がある。この場合、空間フィルタの位置合わせとしてピッチと位相を調整する必要がある。照明の入射角をα、直線状回折パターンの射出角をθn、照明光の波長をλ、ウエハ上のパターンの基本ピッチをdとすると、以下の式が成り立つ。
【0137】
【数13】

【0138】
従って、この式(数13)を成立するような可変機構を構成する必要がある。具体的には、図55に示したピッチ可変空間フィルタ1270を90度回転した方向に配置し、ピッチの調整の他に、ピッチ可変空間フィルタ1270全体を直線状パターン1271に垂直な方向に移動することによって、位相を調整する。この位相の調整は位相調整手段1281により行う。また、この構成では、空間フィルタの中心位置に照明の入射面に平行にやや太め具体的には、直線状パターンの1から3倍程度の遮光板を配置するとよい。
【0139】
直線状パターンの太さは、実験的に求めるのがよいが、設計的には、照明系の光源1111の空間フィルタ上での像の大きさの1割から2割増しに設定されるべきである。但し、空間フィルタの調整機構の精度を考慮する場合、さらに大きな余裕を設ける必要がある。
【0140】
また、図23の構成は6チャンネルの並列で説明しているが、6チャンネルでなくても良く、ウエハのサイズ、検査時間等の仕様により決定されるものである。
【0141】
ここでは、図44、45に示した光学系で照明光学系を構成した場合の空間フィルタ機構を説明したが、ここに、説明しない他の照明系を用いた場合であっても機械的な空間フィルタを用いることによって、遮光率を向上できるため、パターンからの回折光を効率的に遮光でき、異物の検出感度を向上することができる。
【0142】
また、空間フィルタのピッチ及び幅をさらに細かくしたい場合、ここに示した機械構成では精度が不足することになる。この場合、「マイクロメカニズム」として紹介されている方法を用いて可変空間フィルタを作ることができる。
【0143】
以上の構成は、製品のチップ間ピッチ、セルピッチ等のデータを受け取ることにより、自動的に空間フィルタのピッチを変えることができるため、空間フィルタを製品毎に交換する手間が省けるという効果を有する。
【0144】
空間フィルタを製品毎に作成しておき、この空間フィルタを自動的に交換してもよい。その一例を図13に示す。この方法は、図28に示した検出器1254、1234、1214の3つのフィルタを一つの基板上に設置し、これを交換するものである。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の一実施例を示す半導体製造工程の量産立上げ及び量産ラインの異物検査方法及びその装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例を示す異物モニタを搭載した枚葉式CVD装置の平面図である。
【図3】異物モニタの構成図である。
【図4】ウェハ回転方向検出器の検出方法を示す図である。
【図5】異物座標管理のための製品ウェハ基準の座標を示す図である。
【図6】異物座標管理のための装置基準の座標を示す図である。
【図7】異物検出光学系の構成図である。
【図8】斜方照明光学系の構成図である。
【図9】検出光学系の検出幅を示す図である。
【図10】検出器の構成図である。
【図11】空間フィルタの構成図である。
【図12】空間フィルタの詳細図である。
【図13】各工程の製品ウェハに対応した乾板方式による空間フィルタ群の構成図である。
【図14】乾板方式によるアンド空間フィルタの構成図である。
【図15】部分検査による異物検出光学系の構成図である。
【図16】部分検査による異物検出光学系の検出エリアを示す図である。
【図17】2列に配置したマイクロレンズ方式による異物検出光学系の構成図である。
【図18】レンズアレイを用いた場合のウェハ回転による空間フィルタ検出方法を示す図である。
【図19】白色光照明による異物検出光学系の構成図である。
【図20】白色光照明による異物検出性能を示す図である。
【図21】ウェハ比較検査による異物検出光学系の構成図である。
【図22】異物モニタを用いた半導体FAのシステム図である。
【図23】本発明に係る異物検査装置の一実施例を示すブロック図である。
【図24】図23においてx方向からみた照明光学系の側面図である。
【図25】図23においてy方向からみた照明光学系の側面図である。
【図26】図23における結像レンズの一実施例を示す図である。
【図27】図23における結像レンズの一実施例を示す図である。
【図28】図23に示す光学系の配列を示す平面図である。
【図29】ウエハ上パターンを示す平面図である。
【図30】回折パターンを示す平面図である。
【図31】屈折率変化型レンズを示す図である。
【図32】空間フィルタを示す平面図である。
【図33】異物の検出例を示す図である。
【図34】検出画素サイズとノイズレベルの関係を示す図である。
【図35】空間フィルタを用いた異物検出光学系の構成図である。
【図36】空間フィルタ面における光強度分布を示す図である。
【図37】異物件卯光学系における弁別比を示す図である。
【図38】検出画素サイズと弁別比の関係を示す図である。
【図39】照明領域と検出領域を示す図である。
【図40】装置仕様を決定するための性能図である。
【図41】異物検出光学系の装置構成を示す図である。
【図42】パターンノイズ光のウェハ回転角度による影響を示す一例図である。
【図43】ウェハステージ高さによる異物検出出力の変化を示す一例図である。
【図44】照明ユニットの側面図である。
【図45】空間フィルタ面における回折パターンの平面図である。
【図46】照明ユニットの側面図である。
【図47】空間フィルタ面における回折パターンの平面図である。
【図48】偏光検出による異物検出光学系の構成図である。
【図49】偏光検出による異物検出光学系の装置構成図である。
【図50】本発明の位置付けと機能を示す図である。
【図51】信号処理系の実施例を示すブロック図である。
【図52】可変空間フィルタを用いた本発明の一実施例を示す構成図である。
【図53】図52に示す場合の可変空間フィルタの具体的構成図である。
【図54】図52に示す場合の可変空間フィルタの他の具体的構成図である。
【図55】可変空間フィルタを用いた本発明の他の一実施例を示す構成図である。
【図56】図55に示す場合の可変空間フィルタの具体的構成図である。
【符号の説明】
【0146】
10…半導体製造装置群、20…センシング部、24…真空内異物モニタ、30…ユーティリティ群、40…サンプリング部、50…検出部、60…分析部、63…STM/STS、70…対応システム、80…半導体製造工程の量産立上げおよび量産ライン異物検査システム、81…オンライン異物検査装置システム、82…オフライン異物検査システム、101…異物モニタ、111…製品ウェハ、121…ウェハ回転方向検出器、122…異物検出光学系、123…異物情報処理系、124…装置停止機能、128…異物解析システム、151…斜方照明光学系、152…検出光学系、153…レンズアレイ、154…空間フィルタ、155…検出器、201…空間フィルタ群、221…アンド空間フィルタ、231…マイクロレンズ群、280…画像処理系、1110…照明光学系、1210…検出光学系、1410…信号処理系、1211,1221…結像レンズ、1212,1222…空間フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造工程において、量産立上げ時の異物の検出・分析・評価システムを量産ラインから分離してそのシステムの結果を量産ラインにフィードバックし、量産ラインでは異物モニタリング装置でモニタリングして半導体基板上の異物の発生状態を検出することを特徴とする半導体製造工程における異物発生状況解析方法。
【請求項2】
上記異物モニタリング装置を、半導体製造ラインの所定の処理装置の入口、または該出口、または処理装置間の搬送系に設置し、半導体基板上の異物を実時間でサンプリングすることを特徴とする請求項1記載の半導体製造工程における異物発生状況解析方法。
【請求項3】
上記異物モニタリング装置において、異物の異常発生が検出された場合、アラ−ム等で知らせるか、あるいは異物の異常発生を起こしている処理装置本体を停止させることを特徴とする請求項2記載の半導体製造工程における異物発生状況解析方法。
【請求項4】
上記異物モニタリング装置は、半導体基板上に発生する異物の位置情報を得て異物の発生状態を検出することを特徴とする請求項2記載の半導体製造工程における異物発生状況解析方法。
【請求項5】
複数の処理装置を備えた量産半導体製造ラインにおいて、照明アレイから成る斜方照明系とレンズアレイまたはマイクロレンズ群から構成された結像光学系と該結像光学系のフ−リエ変換面に配置された空間フィルタと上記結像光学系の結像位置に配置された検出器とを備えて半導体基板上の異物の発生状況を検出する異物モニタリング装置を、所定の処理装置の入口、または該出口、または複数の処理装置の間の搬送系に設置して該処理装置による半導体基板上の異物の発生状態を検出することを特徴とする半導体製造工程における異物発生状況解析装置。
【請求項6】
上記異物モニタリング装置は、半導体基板上に発生する異物の位置情報を検出してその位置情報を記憶させる手段を有することを特徴とする請求項5記載の半導体製造工程における異物発生状況解析装置。
【請求項7】
上記異物モニタリング装置の空間フィルタは、形状を任意に変更可能に構成したことを特徴とする請求項5記載の半導体製造工程における異物発生状況解析装置。
【請求項8】
複数の処理装置を備えた量産半導体製造ラインにおいて、照明アレイから成る斜方照明系と検出レンズとしてレンズアレイまたはマイクロレンズ群と検出レンズのフ−リエ変換面に配置された空間フィルタと検出レンズの結像位置に配置された検出器とを備えて半導体基板上の異物の発生状況を検出する異物モニタリング装置を、所定の処理装置の入口、または該出口、または複数の処理装置の間の搬送系に設置し、上記異物モニタリング装置における半導体基板を走査するステージとして上記処理装置あるいは搬送系の移動ステージとすることを特徴とする半導体製造工程における異物発生状況解析装置。
【請求項9】
半導体基板上の異物を検査する装置において、半導体基板に対してほぼ短波長で平面波で直線状の形状に照明する照明系と、該照明系によって照明された半導体基板からの反射光像を結像する結像光学系と、該結像光学系の途中に半導体基板上の繰り返しパターンからの回折光を遮光するように設置された空間フィルタと、結像された光像を検出する検出器と、検出器で検出された信号の内半導体基板上で繰り返して発生する信号を消去する消去手段と、該消去手段によって消去されなかった信号に基いて半導体基板上の異物を検出する異物検出手段とを備えたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項10】
上記結像光学系として、屈折率変化型のレンズアレイで構成したことを特徴とする請求項9記載の異物検査装置。
【請求項11】
半導体基板を所定の方向に移動させる移動手段と、前記半導体基板表面に斜め方向から該移動方向に交わる方向に長手方向を有するように帯状の光を照射する照明手段と、該照明手段によって照射された帯状の光からの散乱反射光を結像させるためのレンズアレイと、前記半導体基板上の繰り返しパターンからの回折光を遮光するように設置された空間フィルタと、前記レンズアレイにより結像された光像を検出するリニアセンサと、該リニアセンサで検出された信号の内半導体基板上で繰り返して発生する信号を消去する消去手段とを備え、該消去手段によって消去されなかった信号に基いて半導体基板上の異物を検出することを特徴とする異物検査装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にパターンが形成された試料の欠陥を検査する方法であって、
レーザ光源から発射されたレーザのビーム径を拡大して成形し、
該ビーム径を拡大して成形したレーザを前記試料の表面に斜めの方向から入射させて前記試料に照射し、
該レーザが照射された前記試料からの光を対物レンズで集光し、
該対物レンズで集光された前記試料からの光の一部を該対物レンズのフーリエ変換面上に配置した空間フィルタで遮光し、
該空間フィルタを透過した前記試料からの光による像を結像させ、
該結像させた前記試料からの光の像を撮像し、
該撮像して得た画像信号を処理して前記試料の表面の欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
表面にパターンが形成された試料の欠陥を検査する方法であって、
レーザ光源から発射されたレーザのビーム径を拡大して成形して偏光の状態を調整して前記試料の表面に斜めの方向から前記試料の表面の撮像領域に照射し、
該レーザが照射された前記試料の表面の撮像領域からの光による像を結像させ、
該結像させた前記試料の表面の撮像領域からの光の像を撮像し、
該撮像して得た前記試料の画像信号を処理して前記試料の表面の欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項3】
前記試料は一方向に連続的に移動し、前記成形したレーザを前記試料の表面上で前記移動する方向に対して直角な方向に長い領域に照射することを特徴とする請求項1または2に記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記試料の表面からの光を対物レンズで集光し、該対物レンズで集光した光の一部を空間フィルタで遮光し、該空間フィルタを透過した光による像を結像させることを特徴とする請求項2に記載の欠陥検査方法。
【請求項5】
前記空間フィルタは、前記対物レンズのフーリエ変換面に配置されており、前記試料の表面に形成されたパターンのうち、繰り返しパターンからの光を遮光することを特徴とする請求項1または4に記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
表面にパターンが形成された試料の欠陥を検査する装置であって、
レーザを発射するレーザ光源と、
該レーザ光源から発射されたレーザのビーム径を拡大するビームエキスパンダ部、および該ビームエキスパンダ部でビーム径を拡大させたレーザのビーム形状を成形するビーム形状成形部を有し、該ビーム形状成形部で成形したレーザを前記試料の表面に斜めの方向から入射させて前記試料を照明する照明光学系手段と、
該照明光学系手段により照明された前記試料からの反射光を対物レンズおよび該対物レンズのフーリエ変換面に配置した空間フィルタを介して像検出器の検出面上に結像させて検出する検出光学系手段と、
該検出光学系手段で前記反射光の像を検出して得た画像信号を処理して前記試料の表面の欠陥を検出する画像処理手段と、
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
表面にパターンが形成された試料の欠陥を検査する装置であって、
レーザを発射するレーザ光源と、
該レーザ光源から発射されたレーザのビーム径を拡大するビームエキスパンダ部、該ビームエキスパンダ部でビーム径を拡大させたレーザのビーム形状を成形するビーム形状成形部、およびビーム形状を成形したレーザの偏光の状態を調整する偏光制御部を有し、前記ビーム形状成形部で成形し前記偏光制御部で偏光の状態が制御されたレーザを前記試料の表面に斜めの方向から入射させて前記試料の撮像領域を照明する照明光学系手段と、
該照明光学系手段により前記レーザ光で照明された前記試料の表面の撮像領域からの光による像を結像させる結像光学系手段と、
該結像光学系手段で結像させた前記撮像領域からの光の像を検出する像検出手段と、
該像検出手段で前記撮像領域からの光の像を検出して得た画像信号を処理して前記試料の表面の欠陥を検出する画像処理手段と、
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
前記試料を載置して少なくとも一方向に移動可能なテーブル手段を更に備え、
前記照明光学系手段は、前記テーブル手段により一方向に移動する前記試料の表面上の前記移動する一方向に対して直角な方向に長い領域に前記成形したレーザを照射することを特徴とする請求項6または7に記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
前記結像光学系手段は、前記試料の表面からの光を集光する対物レンズと、該対物レンズで集光した光の一部を遮光する空間フィルタと、該空間フィルタを透過した光を結像させる結像レンズと、を備えることを特徴とする請求項7に記載の欠陥検査装置。
【請求項10】
前記空間フィルタは、前記対物レンズのフーリエ変換面に配置されており、前記試料の表面に形成されたパターンのうち、繰り返しパターンからの反射光を遮光することを特徴とする請求項7に記載の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【公開番号】特開2006−30215(P2006−30215A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256275(P2005−256275)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【分割の表示】特願2002−26239(P2002−26239)の分割
【原出願日】平成4年4月17日(1992.4.17)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】